IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 大王製紙株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-パンツ型使い捨ておむつ 図1
  • 特許-パンツ型使い捨ておむつ 図2
  • 特許-パンツ型使い捨ておむつ 図3
  • 特許-パンツ型使い捨ておむつ 図4A
  • 特許-パンツ型使い捨ておむつ 図4B
  • 特許-パンツ型使い捨ておむつ 図4C
  • 特許-パンツ型使い捨ておむつ 図5
  • 特許-パンツ型使い捨ておむつ 図6
  • 特許-パンツ型使い捨ておむつ 図7
  • 特許-パンツ型使い捨ておむつ 図8A
  • 特許-パンツ型使い捨ておむつ 図8B
  • 特許-パンツ型使い捨ておむつ 図8C
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-17
(45)【発行日】2025-02-26
(54)【発明の名称】パンツ型使い捨ておむつ
(51)【国際特許分類】
   A61F 13/49 20060101AFI20250218BHJP
   A61F 13/496 20060101ALI20250218BHJP
【FI】
A61F13/49 100
A61F13/49 312Z
A61F13/496
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021134417
(22)【出願日】2021-08-19
(65)【公開番号】P2023028607
(43)【公開日】2023-03-03
【審査請求日】2024-04-02
(73)【特許権者】
【識別番号】390029148
【氏名又は名称】大王製紙株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】240000327
【弁護士】
【氏名又は名称】弁護士法人クレオ国際法律特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】水元 陽星
【審査官】嘉村 泰光
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-104654(JP,A)
【文献】特表2015-516273(JP,A)
【文献】特開2013-233183(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 13/15-13/84
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
腹側部と、背側部と、前記腹側部と前記背側部との間に位置する股下部とを有し、前記腹側部から前記股下部を通って前記背側部に向かう方向を長手方向とし、前記長手方向に直交する方向を幅方向とするパンツ型使い捨ておむつであって、
前記腹側部の幅方向の両側部と前記背側部の幅方向の両側部とを接合して形成した筒状の胴回り部を備え、
前記胴回り部は、前記長手方向の中間位置に、前記幅方向に沿って延在し、前記胴回り部の折り曲げの起点となる折曲部が形成され
前記折曲部は、前記胴回り部の上端部と前記股下部の内側に配置される吸収パッドの長手方向の端部との間の中央位置と、前記吸収パッドの前記端部と、の間に形成された第1の折曲部を有する
ことを特徴とするパンツ型使い捨ておむつ。
【請求項2】
請求項1に記載されたパンツ型使い捨ておむつにおいて、
前記胴回り部には、前記幅方向に伸縮可能な伸縮部材が設けられ、
前記伸縮部材は、着用者の脇腹に対向する側部領域では、前記腹側部と前記背側部との接合位置を中心として前記胴回り部の上端に向かって配置された
ことを特徴とするパンツ型使い捨ておむつ。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載されたパンツ型使い捨ておむつにおいて、
前記胴回り部には、前記幅方向に伸縮可能な伸縮部材が長手方向に沿って所定の間隔をあけて複数設けられ、
前記第1の折曲部よりも前記胴回り部の上端部側の第1領域に配置された伸縮部材の伸縮応力は、前記第1の折曲部よりも前記股下部側の第2領域に配置された伸縮部材の伸縮応力よりも高い
ことを特徴とするパンツ型使い捨ておむつ。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載されたパンツ型使い捨ておむつにおいて、 前記折曲部は、前記第1の折曲部から前記中央位置までの距離と同等の距離で、前記第1の折曲部から離れた位置に形成された第2の折曲部を有する
ことを特徴とするパンツ型使い捨ておむつ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パンツ型使い捨ておむつに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、腹側部と、背側部と、腹側部と背側部との間に位置する股下部とを有し、腹側部の幅方向の両側部と背側部の幅方向の両側部とが接合されて筒状の胴回り部が形成されたパンツ型の使い捨ておむつが知られている(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)。従来のパンツ型使い捨ておむつでは、胴回り部に幅方向に延びる一対の折り目が設けられている。そして、一対の折り目が互いに反対方向に折り曲げられて、胴回り部の外側面に襞が形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第6169467号
【文献】特許第6467214号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、パンツ型使い捨ておむつを着用する場合は、着用者の足を容易に挿入できるように、幅方向に沿って胴回り部が折り曲げられたり丸められたりして、胴回り部を短くすることが一般的である。しかしながら、従来のパンツ型使い捨ておむつでは、胴回り部の外周面に形成された襞をつかんで胴回り部を引き上げることは可能であるが、胴回り部を折り曲げにくいという課題がある。
【0005】
そこで、本発明は、幅方向に沿って胴回り部を容易に折り曲げることができるパンツ型使い捨ておむつを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明のパンツ型使い捨ておむつは、腹側部と、背側部と、前記腹側部と前記背側部との間に位置する股下部とを有し、前記腹側部から前記股下部を通って前記背側部に向かう方向を長手方向とし、前記長手方向に直交する方向を幅方向とするパンツ型使い捨ておむつであって、前記腹側部の幅方向の両側部と前記背側部の幅方向の両側部とを接合して形成した筒状の胴回り部を備え、前記胴回り部は、前記長手方向の中間位置に、前記幅方向に沿って延在し、前記胴回り部の折り曲げの起点となる折曲部が形成され、前記折曲部は、前記胴回り部の上端部と前記股下部の内側に配置される吸収パッドの長手方向の端部との間の中央位置と、前記吸収パッドの前記端部と、の間に形成された第1の折曲部を有することを特徴とする。



【発明の効果】
【0007】
このように構成された本発明のパンツ型使い捨ておむつは、幅方向に沿って胴回り部を容易に折り曲げることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施例1のパンツ型使い捨ておむつを示す斜視図である。
図2】実施例1のパンツ型使い捨ておむつを示す展開図である。
図3図2におけるA-A断面を模式的に示す説明図である。
図4A】実施例1のパンツ型使い捨ておむつに吸収パッドを取り付けた状態を模式的に示す説明図である。
図4B】実施例1のパンツ型使い捨ておむつの第1折曲部を折り曲げた状態を模式的に示す説明図である。
図4C】実施例1のパンツ型使い捨ておむつの第2折曲部を折り曲げた状態を模式的に示す説明図である。
図5】実施例1のパンツ型使い捨ておむつを示す正面図である。
図6】実施例2のパンツ型使い捨ておむつを示す斜視図である。
図7】実施例2のパンツ型使い捨ておむつの展開図である。
図8A】第1変形例のパンツ型使い捨ておむつを示す断面説明図である。
図8B】第2変形例のパンツ型使い捨ておむつを示す断面説明図である。
図8C】第3変形例のパンツ型使い捨ておむつを示す断面説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明によるパンツ型使い捨ておむつを実施するための形態を、図面に示す実施例1及び実施例2に基づいて説明する。
【0010】
(実施例1)
実施例1におけるパンツ型使い捨ておむつ(以下、「おむつ10」という)は、図1及び図2に示すように、腹側部1と、背側部2と、腹側部1と背側部2との間に位置する股下部3とを有している。なお、本明細書では、腹側部1から股下部3を通って背側部2に向かう方向を長手方向D1とし、長手方向D1に直交する方向を幅方向D2とする。また、以下の説明では、おむつ10を着用する着用者Mを基準として「上下」「左右」「前後」等の用語を用いる。
【0011】
そして、おむつ10は、腹側部1の幅方向D2の両側部に有するサイドシール部4aと、背側部2の幅方向D2の両側部に有するサイドシール部4bとが接合され、筒状の胴回り部5と、一対の脚挿入開口6とが形成される。着用者Mは、おむつ10の着用時、一対の脚挿入開口6に足M1、M2をそれぞれ挿入し、胴回り部5によって腹部及び背中が覆われる。
【0012】
また、おむつ10は、図3に示すように、外装バックシート11と、外装バックシート11に積層された表面シート12と、外装バックシート11と表面シート12の間に設けられた吸収体13と、を備えている。外装バックシート11は、おむつ10の着用時に着衣側に配置されるシート材であり、例えば液不透過性を有する不織布によって形成される。表面シート12は、おむつ10の着用時に着用者Mの肌側に配置されるシート材であり、例えば液透過性を有する不織布によって形成される。吸収体13は、液保持性を有する吸収性ポリマーとパルプを含んで構成され、股下部3に対応する位置に配置される。
【0013】
おむつ10の胴回り部5には、幅方向D2に伸縮する複数の伸縮部材14が設けられている。各伸縮部材14は、例えば、糸状又は帯状の天然ゴム等を使用することができる。複数の伸縮部材14は、胴回り部5の長手方向D1に沿って所定の間隔をあけて配置され、表面シート12とギャザー押えシート15との間に挟み込まれて、所定の伸長状態で保持されている。なお、ギャザー押えシート15は、例えば液透過性を有する不織布によって形成されたシート材であり、表面シート12の表面(着用者Mの肌側の面)に固定される。
【0014】
そして、実施例1のおむつ10では、胴回り部5に第1領域7と第2領域8とが設定され、第1領域7に配置された伸縮部材14の伸縮応力が、第2領域8に配置された伸縮部材14の伸縮応力よりも高くなるように設定されている。ここで、「第1領域7」は、胴回り部5の上端部5aから後述する第1の折曲部21までの領域である。つまり、第1領域7は、第1の折曲部21よりも胴回り部5の上端部5a側の領域となる。また、「第2領域8」は、第1の折曲部21から脚挿入開口6までの領域である。つまり、第2領域8は、第1の折曲部21よりも股下部3側の領域となる。
【0015】
そして、「伸縮部材14の伸縮応力」とは、第1領域7又は第2領域8にそれぞれ配置された複数の伸縮部材14の伸縮応力を合算した総合的な伸縮応力である。すなわち、実施例1のおむつ10では、第1領域7に配置される伸縮部材14と、第2領域8に配置される伸縮部材14とは、同一の伸縮素材が使用され、各伸縮部材14の伸縮応力は同等に設定されている。そして、第1領域7には、第2領域8よりも多くの伸縮部材14が配置されている。この結果、おむつ10は、第1領域7に配置された複数の伸縮部材14の総合的な伸縮応力が、第2領域8に配置された複数の伸縮部材14の総合的な伸縮応力よりも高くなっている。
【0016】
なお、おむつ10では、第1領域7に配置された複数の伸縮部材14の総合的な伸縮応力が、第2領域8に配置された複数の伸縮部材14の総合的な伸縮応力よりも高ければよいため、上記構成に限らない。例えば、第1領域7において、第2領域8と同じ数の伸縮部材14が配置されると共に、第1領域7に配置された複数の伸縮部材14のそれぞれの伸縮応力が、第2領域8に配置された複数の伸縮部材14のそれぞれの伸縮応力よりも高く設定されてもよい。
【0017】
さらに、実施例1のおむつ10は、胴回り部5の上端部5aに沿って設けられた背漏れ防止シート16を有している。背漏れ防止シート16は、例えば液透過性を有する帯状の不織布によって形成されたシート材である。背漏れ防止シート16は、おむつ10の長手方向D1の両端縁に配置され、ギャザー押えシート15の表面(着用者Mの肌側の面)に固定されている。
【0018】
また、実施例1のおむつ10は、図2に示すように、一般的に股下部3の内側(表面シート12の表面)に吸収パッド17を配置して使用される。吸収パッド17は、おむつ10と同様に、液透過性のトップシート17aと、吸収体17bと、液不透過性のバックシート17cと、を着用者Mの肌側から着衣側に向かって順に備えている。なお、おむつ10及び吸収パッド17は、それぞれ着用者Mの鼠径部に沿う立体ギャザーを有していてもよい。
【0019】
そして、実施例1のおむつ10は、胴回り部5に、幅方向D2に沿って延在した折曲部20が形成されている。折曲部20は、胴回り部5の剛性が折曲部20の周囲の領域(以下、「胴回り部5の一般部」という)と異なっている部分であり、幅方向D2に沿って胴回り部5を折り曲げるときの起点となる。なお、実施例1の折曲部20は、胴回り部5の剛性が胴回り部5の一般部よりも低減されている。
【0020】
また、実施例1のおむつ10では、胴回り部5の長手方向D1に沿って所定の間隔をあけて二つの折曲部20が設けられている。すなわち、実施例1の折曲部20は、胴回り部5の長手方向D1の中間位置に配置された第1の折曲部21と、第1の折曲部21よりも股下部3側(胴回り部5の上端部5aから離れた位置)に配置された第2の折曲部22と、を有している。第1の折曲部21及び第2の折曲部22は、いずれも外装バックシート11に積層されるシート材の枚数の差、つまり、おむつ10の厚さの差によって形成されている。
【0021】
具体的には、第1の折曲部21は、ギャザー押えシート15が配置された領域と、ギャザー押えシート15に背漏れ防止シート16が積層された領域との厚さの差によって形成される。すなわち、第1の折曲部21は、背漏れ防止シート16の下端縁16aに沿う。また、第2の折曲部22は、表面シート12が配置された領域と、表面シート12にギャザー押えシート15が積層された領域との厚さの差によって形成される。すなわち、第2の折曲部22は、ギャザー押えシート15の下端縁15aに沿う。
【0022】
そして、第1の折曲部21は、胴回り部5の上端部5aと吸収パッド17の長手方向D1の端部17dとの間の中央位置Sから、吸収パッド17の端部17dまでの位置、つまり上記中央位置Sと端部17dとの間に形成される。なお、中央位置Sは、吸収パッド17をおむつ10に取り付けるときの標準的な取付位置に基づいて設定される。実施例1では、第1の折曲部21は、胴回り部5の上端部5aから下側に50mm~180mm離れた位置に形成されている。
【0023】
また、第2の折曲部22は、第1の折曲部21から中央位置Sまでの距離と同等の距離だけ、第1の折曲部21から離れた位置に形成される。すなわち、第2の折曲部22の形成位置は、第2の折曲部22を起点として胴回り部5を折り曲げるとき、中央位置Sに沿って折り曲げ可能な位置に設定される。実施例1では、第2の折曲部22は、第1の折曲部21から下側に50mm~100mm離れた位置に形成され、第1の折曲部21から第2の折曲部22までの距離は、50~100mmの範囲に設定される。なお、「同等の距離」とは、第1の折曲部21から中央位置Sまでの距離と同一の距離だけでなく、所定の誤差の範囲に入る距離を含む。
【0024】
以下、実施例1のパンツ型使い捨ておむつ10の作用を説明する。
【0025】
実施例1のおむつ10を着用するには、着用者Mは、まず、図4Aに示すように、おむつ10の内側に吸収パッド17を取り付ける。なお、吸収パッド17は、おむつ10の長手方向D1のほぼ中央部(股下部3に対応する位置)に取り付けられる。吸収パッド17の取付位置は、標準的な取付位置に対して前後にずれることが可能である。
【0026】
次に、着用者Mは、図4Bに示すように、おむつ10の胴回り部5の上端部5aを、おむつ10の内側に向かって折り曲げる。ここで、胴回り部5の中間位置には、胴回り部5を幅方向D2に沿って折り曲げるときの起点となる第1の折曲部21が形成されている。そのため、着用者Mは、第1の折曲部21を起点として胴回り部5を容易に折り曲げることができる。また、第1の折曲部21によって胴回り部5の剛性が低減されたことで、胴回り部5の折り曲げ位置が第1の折曲部21によって規定される。これにより、実施例1のおむつ10は、胴回り部5の折り曲げ位置が第1の折曲部21が形成された位置からずれにくく、着用者Mは幅方向D2に平行に胴回り部5を折り曲げることができる。
【0027】
さらに、実施例1のおむつ10は、第1の折曲部21が形成された位置で胴回り部5が折り曲げられることで、吸収パッド17の長手方向D1の端部17dを胴回り部5によって挟み込むことができる。このため、おむつ10は、吸収パッド17の端部17dの飛び出しを抑制して、着用者Mが脚挿入開口6に足M1、M2を挿入する際の妨げになることを防止できる。
【0028】
特に、実施例1のおむつ10では、第1の折曲部21が、胴回り部5の上端部5aと吸収パッド17の端部17dとの間の中央位置Sと、吸収パッド17の端部17dとの間に形成されている。そのため、図4Bに示すように、第1の折曲部21を起点に胴回り部5がおむつ10の内側に折り曲げられた際、胴回り部5は、吸収パッド17の端部17dに重なることができる。これにより、おむつ10は、吸収パッド17の飛び出しを適切に抑えることができる。
【0029】
また、実施例1のおむつ10は、吸収パッド17の端部17dと第1の折曲部21との間に隙間を確保できる。このため、第1の折曲部21を起点に胴回り部5が折り曲げられた際、吸収パッド17は、胴回り部5と共に折り曲がることがない。これにより、吸収パッド17は、胴回り部5と共に折り込まれることが防止され、着用者Mは、胴回り部5を容易に折り曲げることができる。
【0030】
さらに、実施例1のおむつ10は、胴回り部5の第1領域7に配置された伸縮部材14の伸縮応力が、第2領域8に配置された伸縮部材14の伸縮応力よりも高くなっている。そのため、おむつ10は、図5に示すように、第1の折曲部21よりも胴回り部5の上端部5a側の第1領域7が、第2領域8よりも縮小する。これにより、胴回り部5の上端部5aは、第1領域7に配置された伸縮部材14によっておむつ10の内側へと引っ張られ、着用者Mは、おむつ10の内側に胴回り部5の上端部5aをさらに容易に折り曲げることができる。
【0031】
続いて、着用者Mは、図4Cに示すように、おむつ10の胴回り部5を、おむつ10の外側に向かって折り曲げる。ここで、胴回り部5には、胴回り部5を幅方向D2に沿って折り曲げるときの起点となる第2の折曲部22が形成されている。そのため、着用者Mは、第2の折曲部22を起点として胴回り部5を容易に折り曲げることができる。また、第2の折曲部22によって胴回り部5の剛性が低減されたことで、胴回り部5の折り曲げ位置が第2の折曲部22によって規定される。これにより、実施例1のおむつ10は、胴回り部5の折り曲げ位置が第2の折曲部22が形成された位置からずれにくく、着用者Mは幅方向D2に平行に胴回り部5を折り曲げることができる。
【0032】
また、吸収パッド17は、長手方向D1の両端部17dが予め胴回り部5に挟み込まれている。そのため、第2の折曲部22を起点として胴回り部5が折り曲げられた際、吸収パッド17は、両端部17dが胴回り部5に挟み込まれた状態で、胴回り部5と共におむつ10の外側に折り曲げられる。これにより、吸収パッド17の両端部17dがむき出しになることを防止しつつ、胴回り部5の長手方向D1の長さを短くすることができる。よって、おむつ10は、吸収パッド17が脚挿入開口6に足M1、M2を挿入する際の邪魔になることを防止でき、着用者Mは容易に足M1、M2を挿入することができる。
【0033】
特に、実施例1のおむつ10では、第2の折曲部22が、第1の折曲部21から中央位置Sまでの距離と同等の距離だけ、第1の折曲部21から離れた位置に形成されている。そのため、図4Cに示すように、胴回り部5が第2の折曲部22を起点にしておむつ10の外側に折り曲げられた際、着用者Mは胴回り部5で吸収パッド17を押さえた状態を維持することができる。これにより、着用者Mは、胴回り部5の上端部5aが広がって吸収パッド17の両端部17dが露出してしまうことを防止できる。
【0034】
そして、着用者Mは、足M1、M2を脚挿入開口6に挿入した後、おむつ10を引き上げる。このとき、着用者Mが胴回り部5の上端部5aを持っておむつ10を引っ張ることで、胴回り部5は容易に展開し、着用者Mの腹部や背中に沿うことができる。これにより、着用者Mはおむつ10を容易に着用することができる。
【0035】
(実施例2)
実施例2におけるパンツ型使い捨ておむつ(以下、「おむつ10A」という)は、図6に示すように、胴回り部5に複数の伸縮部材14が配置されると共に、胴回り部5に第1の折曲部21及び第2の折曲部22を有する折曲部20が形成されている。そして、実施例1と同様に、胴回り部5には、胴回り部5の上端部5aから第1の折曲部21までの領域である第1領域7と、第1の折曲部21から股下部3までの領域である第2領域8と、が設定されている。
【0036】
そして、実施例2のおむつ10Aでは、複数の伸縮部材14の配置方向が、実施例1と異なっている。なお、その他の構成は実施例1と同様であるので、詳細な説明は省略する。
【0037】
すなわち、実施例2の複数の伸縮部材14は、図6及び図7に示すように、胴回り部5に設定された第1領域7のうち、着用者Mの腹部及び背中に対向する中央領域αでは、折曲部20(第1の折曲部21及び第2の折曲部22)に沿って配置されている。つまり、第1領域7の中央領域αにおける伸縮部材14の配置方向は、幅方向D2に対して平行に設定される。
【0038】
また、複数の伸縮部材14は、胴回り部5に設定された第1領域7のうち、着用者Mの脇腹に対向する側部領域βでは、腹側部1と背側部2とが接合される接合位置γ(サイドシール部4a、4b)を中心として胴回り部5の上端部5aに向かうように斜めに配置される。つまり、第1領域7の側部領域βにおける伸縮部材14の配置方向は、中央領域αと側部領域βとの境界位置からサイドシール部4a、4bに向かうにつれて次第に斜め上方に傾斜するように設定される。
【0039】
さらに、複数の伸縮部材14は、胴回り部5に設定された第2領域8では、中央領域α及び側部領域βの全域において、折曲部20(第1の折曲部21及び第2の折曲部22)に沿って配置されている。つまり、第2領域8における伸縮部材14の配置方向は、幅方向D2に対して平行に設定される。
【0040】
このように、実施例2のおむつ10Aは、胴回り部5の第1領域7において、中央領域αでは折曲部20に沿って伸縮部材14が配置され、側部領域βでは接合位置γを中心として次第に斜め上方に傾斜するように伸縮部材14が配置される。そのため、側部領域βでは、伸縮部材14によって外装バックシート11がおむつ10Aの内側に引っ張られる。これにより、第1領域7の側部領域βは、第1の折曲部21を起点にしておむつ10Aの内側に向かって倒れやすくなり、着用者Mは、第1の折曲部21を起点として胴回り部5を内側に容易に折り曲げることができる。
【0041】
一方、実施例2のおむつ10Aは、胴回り部5の第2領域8では、胴回り部5の全周にわたって複数の伸縮部材14が折曲部20(第1の折曲部21及び第2の折曲部22)に沿って配置されている。そのため、第2領域8では、胴回り部5が伸縮部材14によっておむつ10Aの内側に引っ張られることがない。そのため、例えば図4Cに示すように、着用者Mが第2の折曲部22を起点にして胴回り部5をおむつ10Aの外側に向かって折り曲げる際、伸縮部材14の伸縮応力が着用者Mの折り曲げ動作の妨げになることを防止できる。
【0042】
以上、本発明のパンツ型使い捨ておむつを実施例1及び実施例2に基づき説明してきた。しかし、具体的な構成については、これらの実施例に限られるものではなく、特許請求の範囲の各請求項に係る発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や、各実施例の組み合わせや、追加等は許容される。
【0043】
実施例1のおむつ10では、第1の折曲部21及び第2の折曲部22が、いずれも外装バックシート11に積層されるシート材の枚数の差によって形成された例が示された。しかしながら、折曲部20を形成する構成はこれに限らない。
【0044】
例えば、図8Aに示す第1変形例のおむつ10Bのように、背漏れ防止シート16及びギャザー押えシート15が、幅方向D2に延びるスリット15b、16bによって、長手方向D1に沿って複数のパーツに分割されてもよい。この場合、背漏れ防止シート16にスリット16bが形成された位置で胴回り部5の厚さが薄くなるため、スリット16bによって第1の折曲部21が形成される。また、ギャザー押えシート15にスリット15bが形成された位置においても、胴回り部5の厚さが薄くなる。このため、スリット15bによって第2の折曲部22が形成される。
【0045】
すなわち、折曲部20は、図8Aに示すように、おむつ10Bが有するシート材(ギャザー押えシート15及び背漏れ防止シート16)を長手方向D1に沿って間欠配置することで形成されてもよい。
【0046】
また、図8Bに示す第2変形例のおむつ10Cのように、胴回り部5は、幅方向D2に延びる圧搾部15c、16cを有してもよい。この場合、背漏れ防止シート16に重複して圧搾部16cが形成された位置で、胴回り部5の厚さが薄くなると共に、胴回り部5の一般部よりも剛性が高くなる。そのため、圧搾部16cによって第1の折曲部21が形成される。また、ギャザー押えシート15に重複して圧搾部15cが形成された位置においても、胴回り部厚さが薄くなると共に、胴回り部5の一般部よりも剛性が高くなる。このため、圧搾部15cによって第2の折曲部22が形成される。
【0047】
すなわち、折曲部20は、図8Bに示すように、胴回り部5設けられて幅方向D2に延びる圧搾部15c、16cによって形成されてもよい。
【0048】
さらに、図8Cに示す第3変形例のおむつ10Dのように、背漏れ防止シート16及びギャザー押えシート15は、幅方向D2に延びる積層部材16d、15dが設けられてもよい。この場合、背漏れ防止シート16に積層部材16dが設けられた位置で胴回り部5の厚さが厚くなり、剛性が胴回り部5の一般部よりも高くなる。このため、積層部材16dによって第1の折曲部21が形成される。また、ギャザー押えシート15に積層部材15dが設けられた位置で胴回り部5の厚さが厚くなり、剛性が胴回り部5の一般部よりも高くなる。そのため、積層部材15dによって第2の折曲部22が形成される。
【0049】
つまり、折曲部20は、図8Cに示すように、おむつ10Dが有するシート材(ギャザー押えシート15及び背漏れ防止シート16)に別部材である積層部材15d、16dを積層させ、胴回り部5の厚さを厚くして形成されてもよい。
【0050】
また、実施例1及び実施例2では、二つの折曲部20(第1の折曲部21、第2の折曲部22)が、長手方向D1に沿って所定の間隔をあけて形成された例が示された。しかし、折曲部20の数や折曲部20を形成する位置は、実施例1及び実施例2に示された例に限定されない。すなわち、折曲部20は、胴回り部5に少なくとも一つ以上形成されればよく、折曲部20の数や、折曲部20を形成する位置は任意に設定可能である。
【0051】
また、実施例1では、第1の折曲部21が胴回り部5の上端部5aから下側に50mm~180mm離れた位置に形成され、第2の折曲部22が第1の折曲部21から下側に50mm~100mm離れた位置に形成された例が示された。しかしながら、折曲部20を形成する位置はこれに限らない。第1の折曲部21は、胴回り部5の上端部5aと吸収パッド17の長手方向D1の端部17dとの間の中央位置Sから、吸収パッド17の端部17dまでの位置に形成されればよい。また、第2の折曲部22は、第1の折曲部21から中央位置Sまでの距離と同等の距離だけ、第1の折曲部21から離れた位置に形成されればよい。そのため、第1の折曲部21及び第2の折曲部22の形成位置は、胴回り部5の長手方向D1の長さや、おむつ10に取り付ける吸収パッド17の大きさ等に応じて変更可能である。
【0052】
また、実施例1では、おむつ10の内側に吸収パッド17を取り付けて使用する例が示された。しかしながら、吸収パッド17は必ずしも使用されなくてもよい。なお、吸収パッド17を使用しない場合では、必ずしも胴回り部5をおむつ10の内側に折り曲げる必要がない。そのため、着用者Mは、吸収パッド17を取り付けずにおむつ10を着用する場合、第1の折曲部21及び第2の折曲部22のいずれにおいても、胴回り部5をおむつ10の外側に向かって折り曲げてもよい。つまり、着用者Mは、胴回り部5をおむつ10の外側に二回折り返してもよい。
【0053】
また、実施例2では、胴回り部5の第1領域7において、中央領域αでは折曲部20に沿って伸縮部材14が配置され、側部領域βでは接合位置γに向かうにつれて次第に斜め上方に傾斜するように伸縮部材14が配置された例が示された。しかしながら、これに限らない。中央領域αでは、必ずしも折曲部20に沿って伸縮部材14が配置される必要がなく、例えば、中央領域αにおいても、接合位置γに向かうにつれて次第に斜め上方に傾斜するように伸縮部材14が配置されてもよい。
【符号の説明】
【0054】
10 パンツ型使い捨ておむつ
1 腹側部
2 背側部
3 股下部
5 胴回り部
5a 上端部
7 第1領域
8 第2領域
14 伸縮部材
15 ギャザー押えシート
15a 下端縁
16 背漏れ防止シート
16a 下端縁
17 吸収パッド
20 折曲部
21 第1の折曲部
22 第2の折曲部
D1 長手方向
D2 幅方向
M 着用者
α 中央領域
β 側部領域
γ 接合位置
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図5
図6
図7
図8A
図8B
図8C