(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-17
(45)【発行日】2025-02-26
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G03G 15/08 20060101AFI20250218BHJP
【FI】
G03G15/08 340
(21)【出願番号】P 2021146257
(22)【出願日】2021-09-08
【審査請求日】2024-03-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000947
【氏名又は名称】弁理士法人あーく事務所
(72)【発明者】
【氏名】山口 淳
【審査官】河内 悠
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-228826(JP,A)
【文献】特開平04-042259(JP,A)
【文献】特開平08-286490(JP,A)
【文献】特開2013-156588(JP,A)
【文献】特開2018-146914(JP,A)
【文献】特開2012-013911(JP,A)
【文献】特開2013-127554(JP,A)
【文献】特開2018-120012(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 15/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体に設けられ、該筐体に装着されたトナーカートリッジからトナーが導入されるトナー導入口と、
前記トナー導入口を閉鎖するシャッター部材とを備えた画像形成装置であって、
前記筐体には、前記トナーカートリッジを前記筐体に装着する装着方向に沿って案内する装着経路が設けられ、
前記シャッター部材は、
前記トナー導入口より前記装着方向における上流側に設けられた回動支点と、
前記トナー導入口を閉鎖する閉鎖部と、
前記回動支点から前記閉鎖部に向かって延設された延設部と、を有し、
前記延設部は、前記シャッター部材が前記トナー導入口を閉鎖する閉鎖位置にある状態において、前記装着経路を横切るように位置し、
前記トナーカートリッジが前記筐体に装着される際、前記トナーカートリッジに押圧された前記シャッター部材が、前記回動支点を中心にして回動し、前記トナー導入口を開放すること
を特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項
1に記載の画像形成装置であって、
前記シャッター部材の前記回動支点と反対側の端部にシャッター側係止部が設けられ、
前記筐体に筐体側係止部が設けられ、
前記シャッター部材が前記トナー導入口を閉鎖している状態において、前記筐体側係止部は、前記シャッター側係止部を係止していること
を特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項
2に記載の画像形成装置であって、
前記トナー導入口の周囲に弾性部材が設けられ、
前記弾性部材は、前記筐体側係止部が前記シャッター側係止部を係止している状態において、前記シャッター部材によって押し下げられるように圧縮変形すること
を特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項1から請求項
3までのいずれか1つに記載の画像形成装置であって、
前記シャッター部材が前記トナー導入口を閉鎖する方向に付勢する付勢部材を備えること
を特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項1から請求項
4までのいずれか1つに記載の画像形成装置であって、
前記筐体は、装着された前記トナーカートリッジの移動を規制する規制部を備えること
を特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、装着されたトナーカートリッジからトナーが導入される画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子写真方式を用いた画像形成装置では、像担持体に形成された静電潜像を現像する現像装置が設けられている。画像形成装置では、メンテナンス等での作業効率を考慮して、現像装置を着脱自在にしたものが普及している(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の画像形成装置は、像担持体と、静電潜像を現像する現像装置と、現像装置に現像剤を補給する補給手段とを有する。現像装置には、補給手段から現像剤を受け入れる補給口と、補給口を開閉するシャッター部材とが設けられている。また、現像装置を移動させる離接手段と、離接手段が現像装置を移動させるのに連動して、シャッター部材を移動させる移動手段とを備えている。
【0005】
上述した画像形成装置では、シャッター部材を移動させるために、離接手段と移動手段とが動作し、現像装置とシャッター部材とが間接的に連動する構成とされており、構造が複雑になってしまうという課題がある。また、現像装置とシャッター部材との間に複数の部材が設けられており、シャッター部材の開閉に干渉する部材が多いため、意図しない動きによって、シャッター部材が開いてしまうことが懸念される。近年では、設置時の手間などを削減するため、画像形成装置に現像剤を予め充填した状態で出荷することがあるが、シャッター部材が開いてしまうと現像剤が漏れ出すという課題がある。
【0006】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであり、充填された現像剤が漏れ出すことを防止できる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る画像形成装置は、筐体に設けられ、該筐体に装着されたトナーカートリッジからトナーが導入されるトナー導入口と、前記トナー導入口を閉鎖するシャッター部材とを備えた画像形成装置であって、前記筐体には、前記トナーカートリッジを前記筐体に装着する装着方向に沿って案内する装着経路が設けられ、前記シャッター部材は、前記トナー導入口より前記装着方向における上流側に設けられた回動支点と、前記トナー導入口を閉鎖する閉鎖部と、前記回動支点から前記閉鎖部に向かって延設された延設部と、を有し、前記延設部は、前記シャッター部材が前記トナー導入口を閉鎖する閉鎖位置にある状態において、前記装着経路を横切るように位置し、前記トナーカートリッジが前記筐体に装着される際、前記トナーカートリッジに押圧された前記シャッター部材が、前記回動支点を中心にして回動し、前記トナー導入口を開放することを特徴とする。
【0009】
本発明に係る画像形成装置は、前記シャッター部材の前記回動支点と反対側の端部にシャッター側係止部が設けられ、前記筐体に筐体側係止部が設けられ、前記シャッター部材が前記トナー導入口を閉鎖している状態において、前記筐体側係止部は、前記シャッター側係止部を係止している構成としてもよい。
【0010】
本発明に係る画像形成装置は、前記トナー導入口の周囲に弾性部材が設けられ、前記弾性部材は、前記筐体側係止部が前記シャッター側係止部を係止している状態において、前記シャッター部材によって押し下げられるように圧縮変形する構成としてもよい。
【0011】
本発明に係る画像形成装置は、前記シャッター部材が前記トナー導入口を閉鎖する方向に付勢する付勢部材を備える構成としてもよい。
【0012】
本発明に係る画像形成装置では、前記筐体は、装着された前記トナーカートリッジの移動を規制する規制部を備える構成としてもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によると、シャッター部材によってトナー導入口が閉鎖されているので、出荷時などに、充填された現像剤がトナー導入口から漏れ出すことを防止できる。また、トナーカートリッジを装着するだけでトナー導入口を開放できるので、設置時の作業効率を向上させることができる。さらに、シャッター部材が、トナーカートリッジの装着方向に対して交差する位置にある時に、トナー導入口を閉鎖するので、トナー導入口が閉鎖状態であることを、シャッター部材の位置によって簡単に確認できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る画像形成装置の概略断面図である。
【
図2】トナー搬送ユニット周辺の部材を示す概略斜視図である。
【
図3】トナー搬送ユニット周辺の部材の断面を示す概略断面図である。
【
図4】トナーカートリッジが有するカートリッジシャッターが閉鎖位置にある状態を示す拡大斜視図である。
【
図5】トナーカートリッジが有するカートリッジシャッターが開放位置にある状態を示す拡大斜視図である。
【
図6】トナー搬送ユニットに設けたトナー導入口が、シャッター部材によって閉鎖された状態を示す概略斜視図である。
【
図7】トナー導入口が開放された状態を示す概略斜視図である。
【
図10】トナー導入口が閉鎖された状態のトナー搬送ユニットを示す概略上面図である。
【
図11】シャッター部材にトナーカートリッジが当接した状態のトナー搬送ユニットを示す概略上面図である。
【
図12】トナー導入口が開放された状態のトナー搬送ユニットを示す概略上面図である。
【
図13】
図12のトナー搬送ユニットを斜め上方から見た状態を示す概略斜視図である。
【
図14】
図12のトナー搬送ユニットを装着方向の上流側から見た状態を示す概略正面図である。
【
図15】本発明の第2実施形態に係るトナー搬送ユニット周辺の部材を示す概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態に係る画像形成装置について、図面を参照して説明する。
【0016】
図1は、本発明の第1実施形態に係る画像形成装置の概略側面図である。
【0017】
画像形成装置100は、スキャナ機能、複写機能、プリンタ機能、およびファクシミリ機能等を有する複合機であり、画像読取装置110によって読み取られた原稿の画像を外部に送信し(スキャナ機能に相当する)、読み取られた原稿の画像または外部から受信した画像をカラーもしくは単色で用紙に画像形成する(複写機能、プリンタ機能、およびファクシミリ機能に相当する)。
【0018】
画像読取装置110の上側には、画像読取装置110に対して開閉自在に支持された原稿搬送装置120(ADF)が設けられている。原稿搬送装置120が開かれると、画像読取装置110の上方が開放され、原稿(用紙)を手置きで置くことができるようになっている。また、原稿搬送装置120は、載置された原稿を画像読取装置110の上に自動で搬送する。画像読取装置110は、載置された原稿または原稿搬送装置120から搬送された原稿を読み取って画像データを生成する。
【0019】
画像形成装置100は、露光装置1、現像装置2、感光体ドラム3、クリーナ装置4、帯電器5、中間転写ベルト装置6、定着装置7、給紙トレイ81、手差しトレイ82、排紙トレイ91、および用紙搬送経路Sを備える構成とされており、外部から伝達された画像データに応じて、所定の用紙に対して多色および単色の画像を形成する。
【0020】
画像形成装置100において扱われる画像データは、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の各色を用いたカラー画像に応じたものである。従って、現像装置2、感光体ドラム3、帯電器5、クリーナ装置4は、各色に応じた4種類の潜像を形成するようにそれぞれ4個ずつ設けられ、それぞれブラック、シアン、マゼンタ、イエローに設定され、これらによって4つの画像ステーションが構成されている。
【0021】
感光体ドラム3は、画像形成装置100の略中央に配置されている。帯電器5は、感光体ドラム3の表面を所定の電位に均一に帯電させる。露光装置1は、感光体ドラム3の表面を露光して静電潜像を形成する。現像装置2は、感光体ドラム3の表面の静電潜像を現像して、感光体ドラム3の表面にトナー像を形成する。上述した一連の動作によって、各感光体ドラム3の表面に各色のトナー像が形成される。クリーナ装置4は、現像および画像転写の後に感光体ドラム3の表面の残留トナーを除去および回収する。
【0022】
中間転写ベルト装置6は、感光体ドラム3の上側に配置され、中間転写ベルト61、中間転写ベルト駆動ローラ62、中間転写ベルト従動ローラ63、中間転写ローラ64、および中間転写ベルトクリーニング装置65を備えている。なお、中間転写ローラ64は、YMCK用の各色の画像ステーションに対応して4本設けられている。
【0023】
中間転写ベルト駆動ローラ62、中間転写ベルト従動ローラ63、および中間転写ローラ64は、中間転写ベルト61を張架して、中間転写ベルト61の表面を所定方向(図中矢符D方向)に移動させるように構成されている。
【0024】
中間転写ベルト61は、矢符Dの方向へ周回移動し、中間転写ベルトクリーニング装置65によって残留トナーを除去および回収され、各感光体ドラム3の表面に形成された各色のトナー像が順次転写して重ね合わされて、中間転写ベルト61の表面にカラーのトナー像が形成される。
【0025】
画像形成装置100は、転写ローラ10aを含む2次転写装置10をさらに備えている。転写ローラ10aは、中間転写ベルト61との間にニップ域が形成されており、用紙搬送経路Sを通じて搬送されて来た用紙をニップ域に挟み込んで搬送する。用紙は、ニップ域を通過する際に、中間転写ベルト61の表面のトナー像が転写される。
【0026】
給紙トレイ81は、画像形成に使用する用紙を蓄積しておくためのトレイであり、露光装置1の下側に設けられている。手差しトレイ82は、画像形成装置100の側面に開閉自在に設けられ、開放することで画像形成に使用する用紙を載置できるトレイである。また、排紙トレイ91は、画像形成装置100の上側に設けられており、画像形成済みの用紙を載置するためのトレイである。
【0027】
用紙搬送経路Sは、S字状に設けられた主経路S1と、主経路S1の途中で分岐して再合流する反転経路S2とを備え、主経路S1に沿って、ピックアップローラ11a、手差しピックアップローラ11b、レジスト前ローラ12a、レジストローラ13、2次転写装置10、定着装置7、および排紙ローラ12bが配置されている。反転経路S2は、定着装置7と排紙ローラ12bとの間から分岐し、反転搬送ローラ12cおよび反転搬送ローラ12dを経由してレジスト前ローラ12aとレジストローラ13との間に再合流する。
【0028】
ピックアップローラ11aは、給紙トレイ81の端部近傍に備えられ、給紙トレイ81から用紙を1枚ずつ用紙搬送経路Sに供給する呼び込みローラである。レジストローラ13は、給紙トレイ81から搬送されている用紙を一旦保持し、感光体ドラム3上のトナー像の先端と用紙の先端とを合わせるタイミングで用紙を転写ローラ10aに搬送する。レジスト前ローラ12aは、用紙の搬送を促進補助するための小型のローラである。
【0029】
定着装置7では、定着ローラ71に加圧ローラ72が押圧され、定着ローラ71を加熱する加熱部73を備えている。定着装置7では、未定着のトナー像が形成された用紙を受け取り、用紙を定着ローラ71と加圧ローラ72との間に挟み込んで搬送する。定着後の用紙は、排紙ローラ12bによって排紙トレイ91上に排出される。
【0030】
また、用紙の表面だけでなく、裏面に画像形成を行う場合は、用紙を排紙ローラ12bから反転経路S2へと逆方向に搬送して、用紙の表裏を反転させ、用紙をレジストローラ13へと再度導き、表面と同様にして裏面に画像形成を行い、用紙を排紙トレイ91へと搬出する。
【0031】
画像形成装置100には、トナーカートリッジ200が装着されるカートリッジ装着部141が設けられている。カートリッジ装着部141は、複数設けてもよく、本実施の形態では、YMCK用の各色に応じて、4つのカートリッジ装着部141が設けられている。トナーカートリッジ200に充填されているトナーは、トナー搬送ユニット300を介して現像装置2に供給される。次に、トナー搬送ユニット300について、
図2を参照して説明する。
【0032】
図2は、トナー搬送ユニット周辺の部材を示す概略斜視図であって、
図3は、トナー搬送ユニット周辺の部材の断面を示す概略断面図である。
【0033】
図2および
図3は、1組のトナーカートリッジ200、トナー搬送ユニット300、および現像装置2を抽出して示している。なお、トナー搬送ユニット300の数は、画像形成装置100に設けたトナーカートリッジ200および現像装置2の数に応じて調整すればよく、本実施の形態では、4つのトナーカートリッジ200および現像装置2に対応して、4つのトナー搬送ユニット300が設けられている。
【0034】
トナーカートリッジ200は、内部にトナーが収容される空間を有する容器であって、カートリッジ装着部141に装着して、画像形成装置100に装着される構成とされている。カートリッジ装着部141の奥には、駆動部400が設けられており、駆動部400から伝達された駆動力によって、トナーカートリッジ200に設けられたスクリュー202等を駆動させ、トナーカートリッジ200の内部に収容されたトナーをトナー搬送ユニット300へ搬送することができる。詳しくは後述するが、トナーカートリッジ200をカートリッジ装着部141に装着すると、トナーカートリッジ200のトナー供給口203(後述する
図5参照)と、トナー搬送ユニット300のトナー導入口305(後述する
図7参照)とが接続される。
【0035】
トナー搬送ユニット300は、画像形成装置100内において、現像装置2に接続されるように配置され、トナー導入口305から取り込んだトナーを、トナー排出口303(
図6参照)を介して現像装置2に送り込む。なお、トナー搬送ユニット300の詳細な構造については、
図6および
図7を参照して後ほど説明する。
【0036】
本実施の形態において、現像装置2は、トナーカートリッジ200の下方に位置しており、現像装置2とトナーカートリッジ200との間に、トナー搬送ユニット300が配置されている。
【0037】
図4は、トナーカートリッジが有するカートリッジシャッターが閉鎖位置にある状態を示す拡大斜視図であって、
図5は、トナーカートリッジが有するカートリッジシャッターが開放位置にある状態を示す拡大斜視図である。
【0038】
トナーカートリッジ200は、駆動部400に接続される駆動接続部201が設けられた側の底面端部に、カートリッジシャッター210が設けられている。トナーカートリッジ200が画像形成装置100に装着されていない状態において、トナーカートリッジ200は、
図4に示すように、トナー供給口203を覆う位置にあり、トナーが漏れ出ないように閉鎖している。トナーカートリッジ200が画像形成装置100に装着されると、
図5に示すように、カートリッジシャッター210は、トナーカートリッジ200の底面に沿って、駆動接続部201から離れる方向にスライド移動し、トナー供給口203が開放される。
【0039】
図6は、トナー搬送ユニット300に設けたトナー導入口305が、シャッター部材310によって閉鎖された状態を示す概略斜視図であって、
図7は、トナー導入口が開放された状態を示す概略斜視図である。
図6および
図7に示す矢符Xは、トナーカートリッジ200の装着方向Xを示している。なお、
図6および
図7では、図面の見易さを考慮して、シャッター部材310等の一部の部材を簡略化して示している。
【0040】
トナー搬送ユニット300には、ユニット筐体301と、シャッター部材310とが含まれる。ユニット筐体301は、上部にトナー導入口305が設けられ、下部にトナー排出口303が設けられている。ユニット筐体301の上部には、円柱形状の回動支軸308(回動支点の一例)が設けられている。回動支軸308には、シャッター部材310に設けられた回動穴311(回動支点の一例)が、回動支軸308回りに回動可能となるように取り付けられている。取付ビス316は、シャッター部材310が回動支軸308から外れないようにするための抜け止めであり、回動支軸308に設けられたねじ穴に取り付けられる。
【0041】
ここで、シャッター部材310は、回動支軸308を支点にして回動することで、トナー導入口305を開閉する。シャッター部材310の先端、すなわち、回動支軸311と反対側の端部には、シャッター側係止部312が設けられており、ユニット筐体301には、シャッター側係止部312を係止するための筐体側係止部304が設けられている。具体的に、シャッター側係止部312は、周囲よりも突出した突起とされている。また、筐体側係止部304は、シャッター側係止部312に対応する箇所に開口を設けた突起とされている。筐体側係止部304は、シャッター部材310がトナー導入口305を閉鎖している状態において、開口に挿入されたシャッター側係止部312を係止している。このように、ユニット筐体301にシャッター部材310を係止することで、衝撃などによってトナー導入口305が開放されることを防止できる。なお、シャッター部材310の詳細な構造については、後述する
図8および
図9を参照して説明する。
【0042】
トナー導入口305の周囲には、弾性部材302が取り付けられている。弾性部材302には、トナー導入口305に対応した開口が設けられており、トナーカートリッジ200からのトナーの供給を妨げないようになっている。ここで、弾性部材302は、シャッター部材310がトナー導入口305を閉鎖している状態において、シャッター部材310によって、ユニット筐体301側に押されて圧縮変形するように配置されている。このように構成することで、トナー導入口305と弾性部材302との封止性を向上できる。
【0043】
本実施例では、トナー導入口305と直交する方向の厚みが2mmの多孔質のスポンジ材を、弾性部材302として使用しており、シャッター部材310が閉鎖位置にある状態では、シャッター部材310によって、0.6mm圧縮される(圧縮された状態における弾性部材302のトナー導入口305と直交する方向の厚みは1.4mm)。この弾性部材302の弾性変形により、弾性部材302とシャッター部材310との間に隙間は発生せず、高い封止性を得ることができる。さらに、シャッター部材310は、弾性部材302を圧縮変形させる変形力の反力により、トナー導入口305から離れる方向に力を受ける。この反力は、シャッター部材310がトナー導入口305を閉鎖している状態では、シャッター側係止部312を筐体側係止部304に向けて移動させる方向に作用するので、シャッター側係止部312と筐体側係止部304との当接摩擦力が増大し、強固にシャッター部材310を係止することができる。
【0044】
図8は、シャッター部材を示す上面図であって、
図9は、シャッター部材を示す斜視図である。
【0045】
図8および
図9では、トナー搬送ユニット300から取り外されたシャッター部材310を抽出して示している。シャッター部材310は、トナー導入口305を閉鎖する閉鎖部317と、回動支点311から閉鎖部317に向かって延びた延設部313とを有する。つまり、延設部313は、シャッター部材310のうち、回動支点311からシャッター部材310の先端(シャッター側係止部312)までの間であって、回動支点311に近い部分に設けられている。
【0046】
シャッター部材310では、延設部313の側辺に沿って、シャッターガイド部314が設けられている。シャッターガイド部314は、延設部313の側辺よりも外側へ突出するようにせり出したリブとされている。シャッターガイド部314については、
図10ないし
図12に示すトナーカートリッジ200との位置関係と併せて詳細に説明する。
【0047】
シャッター部材310については、
図9に示すように、厚みを持たせた部材とされているが、トナー導入口305に面する底面を残し、上面側を凹ますように肉抜きをして、軽量化を図ってもよい。また、画像形成装置100の組み立ての際(例えば、画像形成装置の出荷時)、肉抜きによって設けられた凹部に、ユーザが指を差し入れて動かすことで、シャッター部材310を容易に閉鎖位置へ回動させることができる(後述する付勢部材を設けない場合)。
【0048】
次に、トナーカートリッジ200を画像形成装置100に装着する際のシャッター部材310の動きについて、
図10ないし
図12を参照して説明する。なお、
図10ないし
図12では、図面の見易さを考慮し、トナーカートリッジ200について、容器のうち、トナー供給口203近傍の一部と、カートリッジシャッター210とだけを示しており、他の部分を省略している。
【0049】
図10は、トナー導入口が閉鎖された状態のトナー搬送ユニットを示す概略上面図である。
【0050】
図10では、上から見たトナー搬送ユニット300と、トナーカートリッジ200との位置関係を示しており、トナーカートリッジ200の先端がシャッター部材310に触れる前の状態を示している。シャッター部材310は、回動支点311にキックバネ315(付勢部材の一例)が取り付けられている。シャッター部材310は、キックバネ315に付勢されて、自身がトナー導入口305を閉鎖する閉鎖方向R1に回動し、シャッター側係止部312が筐体側係止部304に係止されると停止する。つまり、キックバネ315は、シャッター側係止部312が筐体側係止部304に係止された状態を維持するように、シャッター部材310を付勢している。なお、これに限定されず、キックバネ315を設けなくてもよい。
【0051】
トナーカートリッジ200は、装着方向X(
図10では、下向き)に沿ってカートリッジ装着部141に挿入される。つまり、
図10に示す状態から、装着方向Xでの下流へ移動させた経路が、トナーカートリッジ200の挿入経路に相当する。カートリッジシャッター210には、装着方向Xに沿って延びた側辺当接部211が2箇所設けられており、側辺当接部211同士の間にトナー供給口203が位置している。ユニット筐体301には、装着方向Xに沿って延びた側辺ガイド部306(規制部の一例)が設けられている。側辺ガイド部306は、側辺当接部211に対して、装着方向Xでの下流側近傍であって、少しずれた位置に設けられている。後述する
図12に示すように、トナーカートリッジ200を装着方向Xへ押し込んだ際には、側辺当接部211が隣接する位置に側辺ガイド部306が配置されている。
【0052】
また、カートリッジシャッター210には、装着方向Xに延びた先端当接部212が設けられている。ユニット筐体301には、先端当接部212に対し、装着方向Xにおける下流側にシャッター受け部307(規制部の一例)が設けられており、トナーカートリッジ200を装着方向Xへ押し込むと、先端当接部212が当たる位置に、シャッター受け部307が配置されている。
【0053】
回動支点311は、シャッター部材310のうち、装着方向Xでの上流側に設けられており、装着方向Xでの下流側へ向かうように、延設部313が延びている。シャッター部材310は、トナー導入口305を閉鎖した状態では、装着方向Xに対して傾斜するように、延設部313が延びており、トナーカートリッジ200の挿入経路を横切っている。
【0054】
シャッターガイド部314は、延設部313の側辺のうち、装着方向Xでの上流側の側辺(
図10では、上側の側辺)に設けられている。つまり、トナーカートリッジ200を装着方向Xへ押し込んだ際には、トナーカートリッジ200に当たる位置に延設部313が配置されている。
【0055】
図10に示す状態では、
図4のように、トナー供給口203の下方にカートリッジシャッター210が位置し、トナー供給口203を閉鎖している。
【0056】
図11は、シャッター部材にトナーカートリッジが当接した状態のトナー搬送ユニットを示す概略上面図である。
【0057】
図11では、
図10に示す状態から、トナーカートリッジ200が装着方向Xに押し込まれた状態を示しており、トナーカートリッジ200がシャッター部材310に当接している。シャッター部材310は、トナーカートリッジ200に押されたことで、キックバネ315の付勢力に抗して、トナー導入口305を開放する開放方向R2に回動しており、トナー導入口305の一部が開放されている。
【0058】
図11に示す状態では、側辺ガイド部306が一方の側辺当接部211に隣接している。側辺ガイド部306の上部には、側辺当接部211の上方を覆うようにせり出したリブが設けられており、カートリッジシャッター210が側方および上方へ移動することを規制している。
【0059】
また、
図11に示す状態において、他方の側辺当接部211は、シャッターガイド部314の下方に位置し、延設部313の側辺を押圧している。シャッターガイド部314によって、カートリッジシャッター210の移動を規制しつつ、トナー供給口203がトナー導入口305へ向かうように案内することができる。
【0060】
図12は、トナー導入口が開放された状態のトナー搬送ユニットを示す概略上面図である。
【0061】
図12では、
図11に示す状態から、トナーカートリッジ200がさらに装着方向Xに押し込まれた状態を示している。この状態では、先端当接部212がシャッター受け部307に当接しており、その結果、カートリッジシャッター210は、装着方向Xへの移動が規制されている。ところで、トナーカートリッジ200では、トナー供給口203を有する容器に対して、カートリッジシャッター210がスライド移動する構成とされているので、カートリッジシャッター210の移動が規制されていても、容器を押し留める部材が存在しなければ、容器をさらに装着方向Xへ押し込むことができる。カートリッジシャッター210を押し留めた状態で、トナーカートリッジ200をさらに押し込むことで、容器だけが装着方向Xへ移動し、
図5に示すように、トナー供給口203が開放される。
【0062】
シャッター部材310は、奥へ装着されたトナーカートリッジ200の容器に押されて、
図11に示す状態よりもさらに開放方向R2へ回動し、トナー導入口305が完全に開放される(
図12)。そして、奥へ押し込まれたトナーカートリッジ200は、トナー供給口203がトナー導入口305の上方に移動する。トナー供給口203とトナー導入口305とが接続された状態で、トナーカートリッジ200を受け止めるように、カートリッジ装着部141の位置および形状が設計されている。
【0063】
図13は、
図12のトナー搬送ユニットを斜め上方から見た状態を示す概略斜視図であって、
図14は、
図12のトナー搬送ユニットを装着方向の上流側から見た状態を示す概略斜視図である。
【0064】
図13および
図14では、
図12のトナー搬送ユニットを異なる視点から見た状態を示している。
図13に示すように、シャッターガイド部314の下面は、シャッター部材310の先端側に向かうに従って、下方へ下がるように傾斜している。つまり、カートリッジシャッター210がシャッター部材310に当接する際、装着方向Xの上流側では、シャッターガイド部314の下部の隙間が広いので、側辺当接部211がスムーズにシャッターガイド部314の下方に入り込む。また、装着方向Xの下流側に向かうに従って、シャッターガイド部314の下部の隙間が狭くなるので、カートリッジシャッター210を押し込むにつれて、カートリッジシャッター210ががたつく余地が小さくなり、確実に移動を規制することができる。
【0065】
先端当接部212およびシャッター受け部307では、いずれか一方または両方に傾斜を設けてもよく、装着方向Xの下流側へ押し込むにつれて、カートリッジシャッター210を上方へ押し上げるようにしてもよい。
【0066】
近年では、画像形成装置100において、効率的な配置とするため、各部材が密集しており、部材が配置されていない隙間があまり存在しない。そのため、組み立て工程などで、目視で検査する際には、視野が制約されることがある。
【0067】
上述したように、トナー搬送ユニット300では、シャッター部材310がトナーカートリッジ200の挿入経路を横切っており、トナーカートリッジ200が押圧して回動させることで、トナー導入口305を開放する構成とされている。つまり、トナーカートリッジ200を挿入する前では、シャッター部材310がトナーカートリッジ200の進路を塞いでおり、
図14におけるカートリッジシャッター210に対応する位置に、シャッター部材310の延設部313が存在している。
【0068】
ところで、画像形成装置100では、装着方向Xの手前から奥にトナーカートリッジ200を挿入する構成とされており、トナー搬送ユニット300は、カートリッジ装着部141において、奥まった位置に設けられている。目視での検査において、カートリッジ装着部141の手前側から見た際には、シャッター部材310がトナーカートリッジ200の進路を塞ぐように取り付けられているかどうかによって、トナー導入口305が閉鎖されていることを確認することができる。
【0069】
上述したように、シャッター部材310によってトナー導入口305が閉鎖されているので、出荷時などに、充填された現像剤がトナー導入口305から漏れ出すことを防止できる。また、トナーカートリッジ200を装着するだけでトナー導入口305を開放できるので、設置時の作業効率を向上させることができる。また、装着したトナーカートリッジ200によって、延設部313が押されるので、トナーカートリッジ200の装着に併せて、スムーズにシャッター部材310を開くことができる。
【0070】
画像形成装置100では、トナー搬送ユニット300の奥に駆動部400が設けられている。そのため、トナー導入口305を閉鎖するシャッター部材310については、開放する際に移動させる方向が制約されており、奥にスライド移動させて開放する構成とすることが難しい。しかしながら、本実施の形態において、シャッター部材310は、回動支点311を支点にして回動する構成とされているので、駆動部400によって動きが制限されずに、トナー導入口305を開閉することができる。
【0071】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態に係る画像形成装置について、図面を参照して説明する。
【0072】
第2実施形態では、第1実施形態に対し、トナー搬送ユニット300の構造が異なっている。なお、第2実施形態は、
図1ないし
図14に示す第1実施形態と略同様の構成とされているので、説明を省略し、異なる点のみ説明する。
【0073】
図15は、本発明の第2実施形態に係るトナー搬送ユニット周辺の部材を示す概略斜視図である。
【0074】
第2実施形態では、第1実施形態に対して、トナー搬送ユニット300が中間ホッパーとされている点が異なる。トナー搬送ユニット300を中間ホッパーとした際には、駆動部400の駆動力をトナー搬送ユニット300に伝達する構成としてもよく、中間ホッパーに溜めたトナーを撹拌部材などで撹拌する。中間ホッパーからは、トナーの使用状況に応じて現像装置2にトナーを供給する。
【0075】
なお、今回開示した実施の形態は全ての点で例示であって、限定的な解釈の根拠となるものではない。従って、本発明の技術的範囲は、上記した実施の形態のみによって解釈されるものではなく、特許請求の範囲の記載に基づいて画定される。また、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれる。
【符号の説明】
【0076】
2 現像装置
100 画像形成装置
200 トナーカートリッジ
203 トナー供給口
210 カートリッジシャッター
211 側辺当接部
212 先端当接部
300 トナー搬送ユニット
301 ユニット筐体(筐体の一例)
302 弾性部材
303 トナー排出口
304 筐体側係止部
305 トナー導入口
306 側辺ガイド部(規制部の一例)
307 シャッター受け部(規制部の一例)
308 回動支軸(回動支点の一例)
310 シャッター部材
311 回動穴(回動支点の一例)
312 シャッター側係止部
313 延設部
314 シャッターガイド部(規制部の一例)
315 キックバネ(付勢部材の一例)
316 取付ビス
317 閉鎖部