(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-17
(45)【発行日】2025-02-26
(54)【発明の名称】撮像素子および撮像装置
(51)【国際特許分類】
H10F 39/12 20250101AFI20250218BHJP
H10F 39/18 20250101ALI20250218BHJP
H04N 25/703 20230101ALI20250218BHJP
H04N 25/76 20230101ALI20250218BHJP
【FI】
H10F39/12 D
H10F39/18 E
H04N25/703
H04N25/76
(21)【出願番号】P 2021544019
(86)(22)【出願日】2020-09-03
(86)【国際出願番号】 JP2020033385
(87)【国際公開番号】W WO2021045139
(87)【国際公開日】2021-03-11
【審査請求日】2023-07-18
(31)【優先権主張番号】P 2019162545
(32)【優先日】2019-09-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】316005926
【氏名又は名称】ソニーセミコンダクタソリューションズ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000002185
【氏名又は名称】ソニーグループ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080160
【氏名又は名称】松尾 憲一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100149205
【氏名又は名称】市川 泰央
(72)【発明者】
【氏名】村川 祐亮
(72)【発明者】
【氏名】富樫 秀晃
(72)【発明者】
【氏名】永島 義人
(72)【発明者】
【氏名】古川 明
(72)【発明者】
【氏名】安藤 良洋
(72)【発明者】
【氏名】芥川 恭大
(72)【発明者】
【氏名】美濃田 拓
(72)【発明者】
【氏名】岩下 博紀
(72)【発明者】
【氏名】丹羽 孝仁
(72)【発明者】
【氏名】西田 翔
(72)【発明者】
【氏名】石丸 幹朗
【審査官】今井 聖和
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/126326(WO,A1)
【文献】特開2015-146364(JP,A)
【文献】特開2015-088693(JP,A)
【文献】特開2016-152381(JP,A)
【文献】特開2018-182327(JP,A)
【文献】特開2015-012127(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0211306(US,A1)
【文献】特開2017-183562(JP,A)
【文献】特開2017-168566(JP,A)
【文献】国際公開第2016/098640(WO,A1)
【文献】国際公開第2013/111628(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H10F 39/12
H10F 39/18
H04N 25/703
H04N 25/76
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板に形成されて入射光に応じて光電変換を行う光電変換部と前記光電変換により生成された電荷を転送する電荷転送部とを備える
複数の画
素、並びに前記光電変換部および前記電荷転送部をそれぞれ備えるとともに互いに隣接して配置されて位相差を検出する複数の位相差画素を2次元格子状に配置して構成された画素アレイ部を備え、
各前記画素
は、前記入射光を個別に集光する個別オンチップレンズ
を有し、
各前記画素および各前記位相差画素は、前記半導体基板に形成されて前記電荷転送部により転送される電荷に基づいて画像信号を生成する画素回路を有し、
前記画素アレイ部は、
前記複数の位相差画素に共通に配置されて前記入射光を共通に集光する共通オンチップレンズと、
隣り合う前記画素の境界に、前記半導体基板を囲繞する壁状に配置された分離部と、を有し、
前記電荷転送部は、前記光電変換部を構成する半導体領域とは異なる半導体領域およびゲート電極を有し、
前記複数の位相差画素の前記電荷転送部
を構成する前記異なる半導体領域および前記ゲート電極は、平面視において前記共通オンチップレンズ
、前記個別オンチップレンズ
および前記分離部と重ならない領域に配置され
ている
撮像素子。
【請求項2】
前記画素回路は、前記半導体基板の表面側に形成される請求項1記載の撮像素子。
【請求項3】
前記光電変換部は、前記半導体基板に形成されて前記表面とは異なる面である裏面に入射する前記入射光の光電変換を行う請求項2記載の撮像素子。
【請求項4】
前記電荷転送部は、前記半導体基板の厚さ方向に電荷を転送する縦型トランジスタにより構成される請求項3記載の撮像素子。
【請求項5】
前記光電変換部は、前記半導体基板の裏面側に隣接して配置される光電変換膜により構成される請求項2記載の撮像素子。
【請求項6】
前記電荷転送部は、前記半導体基板を貫通する電極である貫通電極により構成される請求項5記載の撮像素子。
【請求項7】
前記入射光のうち所定の波長の光を透過するカラーフィルタをさらに具備する請求項5記載の撮像素子。
【請求項8】
前記カラーフィルタは、前記個別オンチップレンズおよび前記共通オンチップレンズと前記光電変換膜との間に配置される請求項7記載の撮像素子。
【請求項9】
前記カラーフィルタは、前記光電変換膜と前記半導体基板との間に配置される請求項7記載の撮像素子。
【請求項10】
前記位相差画素の前記光電変換部の間に配置される分離部をさらに具備する請求項1
~9のいずれか1項に記載の撮像素子。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか1項に記載の撮像素子と、
前記
画素回路により生成された画像信号を処理する処理回路と
を具備
する
撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、撮像素子および撮像装置に関する。詳しくは、被写体の位相差を検出する撮像素子および当該撮像素子を使用する撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、フォトダイオード等の光電変換素子が形成された半導体基板の裏面側に被写体からの光が照射される裏面照射型の撮像素子において、半導体基板の裏面側において光電変換により生成された電荷を半導体基板の表面側に転送する撮像素子が使用されている。例えば、半導体基板の裏面側に隣接して有機光電変換膜が配置され、この有機光電変換膜における光電変換により生成された電荷を半導体基板の表面側に貫通電極により転送する撮像素子が使用されている(例えば、特許文献1参照。)。この貫通電極により転送された電荷は、半導体基板の表面側に配置された回路素子により画像信号に変換される。また、貫通電極は、入射光の光電変換の単位となる画素の間の領域である画素間に配置される。
【0003】
また、この撮像素子には、位相差画素についても提案されている。ここで位相差画素とは、被写体の位相差を検出するための画素である。検出された位相差により被写体の焦点位置を検出し、撮像レンズのピントを合わせるオートフォーカスに適用することができる。位相差の検出は瞳分割により行うことができる。この瞳分割は、撮影レンズの右側および左側を透過した入射光を画像信号にそれぞれ変換する1対の画素を配置して位相差を検出する方法である。撮影レンズの右側を透過した画像信号による画像と右側を透過した画像との位相差を検出することにより、焦点位置を検出することができる。瞳分割に使用する位相差画素は、画素の左側または右側を遮光した画素により構成することができる。画素の左側および右側を遮光した画素にオンチップレンズにより集光された入射光を照射することにより、撮影レンズの右側および左側を透過した入射光の光電変換を行うことができる。しかし、その遮光により、位相差画素の画像信号は出力が半減することとなる。位相差の検出精度が低下するという問題がある。
【0004】
そこで、隣接する2つの画素に共通のオンチップレンズ(共通オンチップレンズ)を配置することにより、瞳分割を行う方式が提案されている。共通オンチップレンズを使用して2つの画素の画素間に入射光を集光することにより、撮影レンズの右側および左側を透過した入射光の光電変換を行うことができる。画素の遮光を行わないため、画像信号の出力の低下を防ぐことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述の従来技術では、共通オンチップレンズを使用する瞳分割方式を適用すると、位相差の検出精度が低下するという問題がある。共通オンチップレンズは画素間に入射光を集光するため、上述の貫通電極等の光電変換に寄与しない構造体が画素間に配置されると1対の位相差画素のそれぞれの画像信号に差異を生じて位相差検出の誤差が増加するという問題がある。
【0007】
本開示は、上述した問題点に鑑みてなされたものであり、一対の画素に共通にオンチップレンズが配置されて構成される位相差画素を備える撮像素子の位相差検出の誤差を低減することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示は、上述の問題点を解消するためになされたものであり、その第1の態様は、入射光に応じて光電変換を行う光電変換部と上記光電変換により生成された電荷を転送する電荷転送部とを備える画素と、上記画素毎に配置されて上記入射光を個別に集光する個別オンチップレンズと、上記光電変換部および上記電荷転送部をそれぞれ備えるとともに隣接して配置されて位相差を検出する複数の位相差画素と、上記複数の位相差画素に共通に配置されて上記入射光を共通に集光する共通オンチップレンズと、半導体基板に形成されて上記転送される電荷に基づいて画像信号を生成する画素回路とを具備し、上記複数の位相差画素の上記電荷転送部は、上記共通オンチップレンズおよび上記個別オンチップレンズの間の領域に配置される撮像素子である。
【0009】
また、この第1の態様において、上記画素回路は、上記半導体基板の表面側に形成されてもよい。
【0010】
また、この第1の態様において、上記光電変換部は、上記半導体基板に形成されて上記表面とは異なる面である裏面に入射する上記入射光の光電変換を行ってもよい。
【0011】
また、この第1の態様において、上記電荷転送部は、上記半導体基板の厚さ方向に電荷を転送する縦型トランジスタにより構成されてもよい。
【0012】
また、この第1の態様において、上記光電変換部は、上記半導体基板の裏面側に隣接して配置される光電変換膜により構成されてもよい。
【0013】
また、この第1の態様において、上記電荷転送部は、上記半導体基板を貫通する電極である貫通電極により構成されてもよい。
【0014】
また、この第1の態様において、上記入射光のうち所定の波長の光を透過するカラーフィルタをさらに具備してもよい。
【0015】
また、この第1の態様において、上記カラーフィルタは、上記個別オンチップレンズおよび上記共通オンチップレンズと上記光電変換膜との間に配置されてもよい。
【0016】
また、この第1の態様において、上記カラーフィルタは、上記光電変換膜と上記半導体基板との間に配置されてもよい。
【0017】
また、この第1の態様において、上記位相差画素の上記光電変換部の間に配置される分離部をさらに具備してもよい。
【0018】
また、本開示の第2の態様は、入射光に応じて光電変換を行う光電変換部と上記光電変換により生成された電荷を転送する電荷転送部とを備える画素と、上記画素毎に配置されて上記入射光を個別に集光する個別オンチップレンズと、上記光電変換部および上記電荷転送部をそれぞれ備えるとともに隣接して配置されて位相差を検出する複数の位相差画素と、上記複数の位相差画素に共通に配置されて上記入射光を共通に集光する共通オンチップレンズと、半導体基板に形成されて上記転送される電荷に基づいて画像信号を生成する画素回路と、上記生成された画像信号を処理する処理回路とを具備し、上記複数の位相差画素の上記電荷転送部は、上記共通オンチップレンズおよび上記個別オンチップレンズの間の領域に配置される撮像装置である。
【0019】
上述の態様を採ることにより、平面視において共通オンチップレンズが配置される領域とは異なる領域に電荷転送部が配置されるという作用をもたらす。電荷転送部の共通オンチップレンズの集光への影響の低減が想定される。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本開示の実施の形態に係る撮像素子の構成例を示す図である。
【
図2】本開示の第1の実施の形態に係る画素の構成例を示す回路図である。
【
図3】本開示の第1の実施の形態に係る画素の構成例を示す断面図である。
【
図4】本開示の第1の実施の形態に係る画素アレイ部の構成例を示す図である。
【
図5】本開示の第1の実施の形態に係る位相差画素の構成例を示す断面図である。
【
図6】本開示の第2の実施の形態に係る位相差画素の構成例を示す断面図である。
【
図7】本開示の第3の実施の形態に係る画素の構成例を示す回路図である。
【
図8】本開示の第3の実施の形態に係る画素の構成例を示す断面図である。
【
図9】本開示の第3の実施の形態に係る画素アレイ部の構成例を示す図である。
【
図10】本開示の第4の実施の形態に係る画素の構成例を示す回路図である。
【
図11】本開示の第4の実施の形態に係る画素の構成例を示す断面図である。
【
図12】本開示の第4の実施の形態に係る画素アレイ部の構成例を示す図である。
【
図13】本開示の第5の実施の形態に係る画素の構成例を示す断面図である。
【
図14】本開示の第6の実施の形態に係る画素の構成例を示す断面図である。
【
図15】本開示の第7の実施の形態に係る画素の構成例を示す回路図である。
【
図16】本開示の第7の実施の形態に係る画素の構成例を示す断面図である。
【
図17】本開示の第7の実施の形態に係る画素アレイ部の構成例を示す図である。
【
図18】本技術が適用され得る撮像装置の一例であるカメラの概略的な構成例を示すブロック図である。
【
図19】内視鏡手術システムの概略的な構成の一例を示す図である。
【
図20】カメラヘッド及びCCUの機能構成の一例を示すブロック図である。
【
図21】車両制御システムの概略的な構成の一例を示すブロック図である。
【
図22】車外情報検出部及び撮像部の設置位置の一例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
次に、図面を参照して、本開示を実施するための形態(以下、実施の形態と称する)を説明する。以下の図面において、同一または類似の部分には同一または類似の符号を付している。また、以下の順序で実施の形態の説明を行う。
1.第1の実施の形態
2.第2の実施の形態
3.第3の実施の形態
4.第4の実施の形態
5.第5の実施の形態
6.第6の実施の形態
7.第7の実施の形態
8.カメラへの応用例
9.内視鏡手術システムへの応用例
10.移動体への応用例
【0022】
<1.第1の実施の形態>
[撮像素子の構成]
図1は、本開示の実施の形態に係る撮像素子の構成例を示す図である。同図の撮像素子1は、画素アレイ部2と、垂直駆動部3と、カラム信号処理部4と、制御部5とを備える。
【0023】
画素アレイ部2は、画素100および位相差画素200が2次元格子状に配置されて構成されたものである。ここで、画素100は、照射された光に応じた画像信号を生成するものである。この画素100は、照射された光に応じた電荷を生成する光電変換部を有する。また画素100は、画素回路をさらに有する。この画素回路は、光電変換部により生成された電荷に基づく画像信号を生成する。画像信号の生成は、後述する垂直駆動部3により生成された制御信号により制御される。画素アレイ部2には、信号線6および7がXYマトリクス状に配置される。信号線6は、画素100における画素回路の制御信号を伝達する信号線であり、画素アレイ部2の行毎に配置され、各行に配置される画素100に対して共通に配線される。信号線7は、画素100の画素回路により生成された画像信号を伝達する信号線であり、画素アレイ部2の列毎に配置され、各列に配置される画素100に対して共通に配線される。これら光電変換部および画素回路は、半導体基板に形成される。
【0024】
また、位相差画素200は、被写体の位相差を検出する画素である。同図の画素アレイ部2のハッチングが付された矩形が位相差画素200を表す。この位相差画素200は、隣接する2つの位相差画素200が対になって配置され、瞳分割を行う。画素100と同様に、位相差画素200にも光電変換部および画素回路が配置され、信号線6および7が接続される。
【0025】
垂直駆動部3は、画素100および位相差画素200の画素回路の制御信号を生成するものである。この垂直駆動部3は、生成した制御信号を同図の信号線6を介して画素100に伝達する。カラム信号処理部4は、画素100および位相差画素200により生成された画像信号を処理するものである。このカラム信号処理部4は、同図の信号線7を介して画素100から伝達された画像信号の処理を行う。カラム信号処理部4における処理には、例えば、画素100および位相差画素200において生成されたアナログの画像信号をデジタルの画像信号に変換するアナログデジタル変換が該当する。カラム信号処理部4により処理された画像信号は、撮像素子1の画像信号として出力される。制御部5は、撮像素子1の全体を制御するものである。この制御部5は、垂直駆動部3およびカラム信号処理部4を制御する制御信号を生成して出力することにより、撮像素子1の制御を行う。制御部5により生成された制御信号は、信号線8および9により垂直駆動部3およびカラム信号処理部4に対してそれぞれ伝達される。なお、カラム信号処理部4は、請求の範囲に記載の処理回路の一例である。
【0026】
[画素の回路構成]
図2は、本開示の第1の実施の形態に係る画素の構成例を示す回路図である。同図は、画素100の構成例を表す回路図である。同図の画素100は、光電変換部11と、電荷転送部12と、電荷保持部21と、MOSトランジスタ22乃至24とを備える。なお、同図において、電荷転送部12は、MOSトランジスタを想定する。
【0027】
光電変換部11のアノードは接地され、カソードは電荷転送部12のソースに接続される。電荷転送部12のドレインは、MOSトランジスタ22のソース、MOSトランジスタ23のゲートおよび電荷保持部21の一端に接続される。電荷保持部21の他の一端は、接地される。MOSトランジスタ22および23のドレインは電源線Vddに共通に接続され、MOSトランジスタ23のソースはMOSトランジスタ24のドレインに接続される。MOSトランジスタ24のソースは、信号線7に接続される。電荷転送部12、MOSトランジスタ22および24のゲートは、それぞれ転送信号線TR、リセット信号線RSTおよび選択信号線SELに接続される。なお、転送信号線TR、リセット信号線RSTおよび選択信号線SELは、信号線6を構成する。
【0028】
光電変換部11は、前述のように照射された光に応じた電荷を生成するものである。この光電変換部11には、フォトダイオードを使用することができる。また、電荷保持部21およびMOSトランジスタ22乃至24は、画素回路20を構成する。
【0029】
電荷転送部12は、光電変換部11の光電変換により生成される電荷を電荷保持部21に転送するトランジスタである。電荷転送部12における電荷の転送は、転送信号線TRにより伝達される信号により制御される。電荷保持部21は、電荷転送部12により転送された電荷を保持するキャパシタである。MOSトランジスタ23は、電荷保持部21に保持された電荷に基づく信号を生成するトランジスタである。MOSトランジスタ24は、MOSトランジスタ23により生成された信号を画像信号として信号線7に出力するトランジスタである。このMOSトランジスタ24は、選択信号線SELにより伝達される信号により制御される。
【0030】
MOSトランジスタ22は、電荷保持部21に保持された電荷を電源線Vddに排出することにより電荷保持部21をリセットするトランジスタである。このMOSトランジスタ22によるリセットは、リセット信号線RSTにより伝達される信号により制御され、電荷転送部12による電荷の転送の前に実行される。なお、このリセットの際、電荷転送部12を導通させることにより、光電変換部11のリセットも行うことができる。このように、画素回路20は、光電変換部11により生成された電荷を画像信号に変換する。
【0031】
なお、画素回路20は、光電変換部11により生成されて電荷転送部12により転送された電荷に基づいて画像信号を生成する回路である。なお、位相差画素200においても、同図の回路構成を適用することができる。
【0032】
[画素の構成]
図3は、本開示の第1の実施の形態に係る画素の構成例を示す断面図である。同図は、画素100の構成例を表す模式断面図である。同図の画素100は、半導体基板110と、配線領域130と、固定電荷膜141と、分離部142と、遮光膜143と、カラーフィルタ150と、平坦化膜144と、オンチップレンズ181とを備える。
【0033】
半導体基板110は、画素100の光電変換部11や画素回路20の素子の拡散領域等が形成される半導体の基板である。この半導体基板110は、例えば、シリコン(Si)により構成することができる。光電変換部11や画素回路20の素子の拡散領域は、半導体基板110に形成されたウェル領域に配置される。便宜上、同図の半導体基板110は、p型のウェル領域に構成されるものと想定する。このp型のウェル領域である半導体基板110にn型の半導体領域を配置することにより、光電変換部11等を形成することができる。半導体基板110の内部の矩形は、n型の半導体領域を表す。半導体基板110の表面側には、後述する配線領域130が形成される。
【0034】
光電変換部11は、n型の半導体領域111により構成される。具体的には、n型の半導体領域111と周囲のp型のウェル領域との界面のpn接合により構成されるフォトダイオードが光電変換部11に該当する。入射光が照射されると、n型の半導体領域111において光電変換を生じる。この光電変換により生成された電荷のうち電子がn型の半導体領域111に蓄積される。なお、n型の半導体領域111は半導体基板110の裏面側に配置され、裏面側に照射された入射光の光電変換を行う。このような撮像素子1は、裏面照射型の撮像素子と称される。
【0035】
半導体基板110の表面側には、n型の半導体領域112乃至115が形成される。また、半導体基板110の表面には、ゲート絶縁膜を介してゲート電極122乃至124が配置される。これらはMOSトランジスタ22乃至24および電荷保持部21を構成し、画素回路20を構成する。
【0036】
n型の半導体領域112は、電荷保持部21を構成する半導体領域である。このn型の半導体領域112は、浮遊拡散領域(フローティングディフュージョン)と称され、電荷転送部12により転送される電荷を保持する。また、n型の半導体領域112、n型の半導体領域113およびゲート電極122は、MOSトランジスタ22を構成する。n型の半導体領域112および113は、それぞれMOSトランジスタ22のソースおよびドレインに該当する。n型の半導体領域112および113の間のゲート電極122の近傍のウェル領域は、MOSトランジスタ22のチャネル領域に該当する。
【0037】
また、n型の半導体領域113、n型の半導体領域114およびゲート電極123は、MOSトランジスタ23を構成する。n型の半導体領域113および114は、それぞれMOSトランジスタ23のドレインおよびソースに該当する。また、n型の半導体領域114、n型の半導体領域115およびゲート電極124は、MOSトランジスタ24を構成する。n型の半導体領域114および115は、それぞれMOSトランジスタ24のドレインおよびソースに該当する。
【0038】
また、電荷転送部12は、n型の半導体領域111、n型の半導体領域112およびゲート電極121により構成されるMOSトランジスタである。n型の半導体領域111および112は、それぞれ電荷転送部12のソースおよびドレインに該当する。ゲート電極121は、半導体基板110に形成された孔にゲート絶縁膜を介して電極が埋め込まれた形状に構成され、n型の半導体領域111および112の近傍に配置される。ゲート電極121にゲート電圧を印加することにより、ゲート電極121の近傍のウェル領域にチャネルが形成され、n型の半導体領域111および112の間が導通状態になる。これにより、光電変換部11のn型の半導体領域111に蓄積された電荷がフローティングディフュージョンであるn型の半導体領域112に転送される。このように、半導体基板110に対して垂直方向に電荷の転送を行うトランジスタは、縦型トランジスタと称される。ゲート絶縁膜は、例えば、酸化シリコン(SiO2)や窒化シリコン(SiN)、高誘電体膜により構成することができる。ゲート電極121は、例えば、金属やポリシリコンにより構成することができる。
【0039】
配線領域130は、半導体基板110の表面側に隣接して配置され、半導体基板110に形成された素子の配線が形成される領域である。配線領域130には、絶縁層131および配線層132が配置される。配線層132は、銅(Cu)等の金属により構成され、半導体基板110に形成された素子等に信号を伝達する配線である。絶縁層131は、配線層132を絶縁するものである。この絶縁層131は、例えば、SiO2により構成することができる。また、絶縁層131および配線層132は、多層に構成することができる。なお、同図において、ゲート電極122乃至124と半導体基板110との間の絶縁層131は、ゲート酸化膜と称される。また、配線層132と半導体領域およびゲート電極123等との間はコンタクトプラグ133により接続される。
【0040】
固定電荷膜141は、半導体基板110の裏面側の界面に形成されて、半導体基板110の界面準位をピニングするものである。この固定電荷膜141は、負の固定電荷を有する材料により構成され、半導体基板110の界面の近傍にホールを蓄積させる。この蓄積されたホールにより界面準位がピニングされる。これにより、界面準位に起因する暗電流の影響を軽減することができる。
【0041】
分離部142は、画素100の半導体基板110を囲繞する壁状に配置され、半導体基板110を分離するものである。また、分離部142は、隣接する画素100からの入射光の遮光を行う。この分離部142は、半導体基板110に形成された溝にタングステン(W)等の金属を配置することにより構成することができる。同図の分離部142は、固定電荷膜141を介して半導体基板110に形成された溝に配置される。
【0042】
遮光膜143は、半導体基板110の裏面側に配置されて入射光を遮光するものである。この遮光膜は、画素100の境界に配置され、隣接する画素100のカラーフィルタ150を透過した光を遮光する。これにより、混色の発生を防止することができる。遮光膜143は、分離部142と同様に、W等の金属により構成することができる。
【0043】
カラーフィルタ150は、入射光のうち所定の波長の光を透過する光学的なフィルタである。このカラーフィルタ150として、例えば、赤色光、緑色光および青色光を透過するそれぞれのカラーフィルタ150を画素100に配置することができる。また、赤外光を透過するカラーフィルタ150を画素100に配置することもできる。
【0044】
平坦化膜144は、カラーフィルタ150が形成された画素100の裏面側を平坦化する膜である。この平坦化膜144は、塗布型の絶縁材料により構成することができる。
【0045】
オンチップレンズ181は、入射光を集光するレンズである。このオンチップレンズ181は、半球形状に構成され、入射光を半導体基板110の光電変換部11(n型の半導体領域111)に集光する。同図のオンチップレンズ181は、カラーフィルタ150を介して入射光の集光を行う。オンチップレンズ181は、例えば、屈折率が1.0乃至1.3の有機材料により構成することができる。なお、オンチップレンズ181は、請求の範囲に記載の個別オンチップレンズの一例である。
【0046】
なお、位相差画素200には、オンチップレンズ181の代わりに後述する共通オンチップレンズ182が配置される。これ以外の位相差画素200の構成は、画素100と同様の構成にすることができる。
【0047】
[画素アレイ部の構成]
図4は、本開示の第1の実施の形態に係る画素アレイ部の構成例を示す図である。同図は、画素アレイ部2における画素100および位相差画素200の構成例を表す平面図である。同図の
破線の矩形が画素100を表し、
点線の矩形が位相差画素200を表す。また、画素100および位相差画素200において、斜線のハッチングが付された矩形は画素回路20の領域を表す。この画素回路20の中の矩形は、電荷保持部21のn型の半導体領域112を表す。また、網掛けのハッチングが付された矩形は縦型トランジスタのゲート電極121を表す。画素回路20およびゲート電極121に隣接する矩形が光電変換部11のn型の半導体領域111を表す。電荷転送部12のゲート電極121は、画素100等の隅部に配置され、n型の半導体領域111および画素回路20がそれぞれ隣接して配置される。
【0048】
画素100の一点鎖線の円は、オンチップレンズ181を表す。また、位相差画素200の一点鎖線の長円は、共通オンチップレンズ182を表す。同図に表したように、オンチップレンズ181は画素100毎に配置され、共通オンチップレンズ182は隣接する2つの位相差画素200に共通に配置される。なお、共通オンチップレンズ182の形状は、この例に限定されない。例えば、共通オンチップレンズ182を楕円形状に構成することもできる。同図の隣接する2つの位相差画素200は、隣接する方向に瞳分割を行う。同図の画素アレイ部2においては、被写体を左右に瞳分割する。
【0049】
光電変換部11のn型の半導体領域111の電荷は、縦型トランジスタに構成された電荷転送部12により、平面視において90度向きを変えて転送される。この電荷転送部12は、位相差画素200において共通オンチップレンズ182とは重ならない領域に配置される。すなわち、光電変換に寄与しないゲート電極121を有する縦型トランジスタにより構成される電荷転送部12は、入射光が照射される面において共通オンチップレンズ182およびオンチップレンズ181の間の領域に配置される。これにより、位相差画素200における共通オンチップレンズ182による入射光の集光に対する電荷転送部12の影響を除去することができる。電荷転送部12のゲート電極121が共通オンチップレンズ182により集光される入射光の光路を遮蔽しないためである。
【0050】
[位相差画素の構成]
図5は、本開示の第1の実施の形態に係る位相差画素の構成例を示す断面図である。同図は、位相差画素200の構成例を表す断面図であり、
図4におけるa-a’線に沿う断面図である。
【0051】
前述のように、共通オンチップレンズ182は、2つの位相差画素200の共通のオンチップレンズとして配置される。また、共通オンチップレンズ182は、2つの位相差画素200の間の半導体基板110の裏面の近傍に焦点を形成する。これにより、撮影レンズの左側を通過した被写体からの入射光が右側の位相差画素200の光電変換部11(n型の半導体領域111)に入射し、撮影レンズの右側を通過した入射光が左側の位相差画素200の光電変換部11に入射する。同図の実線の矢印は撮影レンズの左側を通過した入射光301を表し、点線の矢印は撮影レンズの右側を通過した入射光302を表す。このように、隣接する2つの位相差画素200に共通オンチップレンズ182を配置することにより、瞳分割を行うことができ、位相差の検出が可能となる。
【0052】
なお、2つの位相差画素200の間の半導体基板110の裏面の近傍の焦点を通過した被写体からの光は、n型の半導体領域111に入射し、光電変換される。この入射光が到達するn型の半導体領域111の近傍に電荷転送部12のゲート電極121等の光電変換に寄与しない構造体が配置されると、入射光の光電変換の妨げとなる。また、このような構造体が2つの位相差画素200において非対称に配置されると、2つの位相差画素200の感度に差異を生じ、画像信号出力に差異を生じることとなる。入射光の位相差に起因しない画像信号の差分を生じるため、位相差検出の誤差を生じる。
【0053】
光電変換部11の近傍に光電変換に寄与しない構造体を配置する場合であっても、2つの位相差画素200を完全に対称に構成することにより、画像信号の差分を生じないとも思われる。しかし、2つの位相差画素200の構成を完全に対称に構成することは困難である。また、画素アレイ部2の周縁部に配置された位相差画素200においては、像高が高くなり、入射光が位相差画素200に対して斜めに入射する。このため、光電変換に寄与しない構造体の影響が増大する。そこで、
図4において前述したように、共通オンチップレンズ182が配置される領域とは異なる領域に、光電変換に寄与しない構造体であるゲート電極121を有する電荷転送部12を配置する。これにより、2つの位相差画素200の画像信号の出力差を低減することができる。この場合においても、2つの位相差画素200を対称な構成にすることにより、2つの位相差画素200の画像信号の出力差をさらに低減することが可能となる。
【0054】
以上説明したように、本開示の第1の実施の形態の撮像素子1は、共通オンチップレンズ182が配置される2つの位相差画素200を備える。この本開示の第1の実施の形態の撮像素子1において、光電変換に寄与しない構造体であるゲート電極121を有する電荷転送部12が共通オンチップレンズ182と画素100のオンチップレンズ181との間に配置される。これにより、位相差画素200の画像信号の差異を低減することができ、位相差画素200の位相差検出の誤差を低減することができる。
【0055】
<2.第2の実施の形態>
上述の第1の実施の形態の撮像素子1は、2つの位相差画素200が隣接して配置されていた。これに対し、本開示の第2の実施の形態の撮像素子1は、隣接する2つの位相差画素200の間の半導体基板110に分離部を配置する点で、上述の第1の実施の形態と異なる。
【0056】
[位相差画素の構成]
図6は、本開示の第2の実施の形態に係る位相差画素の構成例を示す断面図である。同図は、
図5と同様に位相差画素200の構成例を表す断面図である。2つの位相差画素200の間の半導体基板110に分離部142が配置される点で、
図5において説明した位相差画素200と異なる。
【0057】
同図の位相差画素200においては、半導体基板110のそれぞれのn型の半導体領域111の間のウェル領域に分離部142が配置される。このため、隣接する位相差画素200からの入射光の漏洩や電荷の漏洩を軽減することができる。
【0058】
これ以外の撮像素子1の構成は本開示の第1の実施の形態において説明した撮像素子1の構成と同様であるため、説明を省略する。
【0059】
以上説明したように、本開示の第2の実施の形態の撮像素子1は、2つの位相差画素200の間の半導体基板110に分離部142を配置することにより、入射光等の漏洩を軽減し、画像信号の差異の発生を低減することができる。位相差検出の誤差をさらに低減することができる。
【0060】
<3.第3の実施の形態>
上述の第1の実施の形態の撮像素子1は、画素100および位相差画素200毎に画素回路20が配置されていた。これに対し、本開示の第3の実施の形態の撮像素子1は、複数の画素100等により画素回路20を共有する点で、上述の第1の実施の形態と異なる。
【0061】
[画素の回路構成]
図7は、本開示の第3の実施の形態に係る画素の構成例を示す回路図である。同図の画素100および位相差画素200は、複数の画素100等において画素回路20が共有される点で、
図2において説明した画素100および位相差画素200と異なる。回路構成について画素100を例に挙げて説明する。同図の画素100は、光電変換部11および電荷転送部12を備え、画素回路20が分離されて配置される。同図は、4つの画素100等(画素100a、100bおよび100cならびに位相差画素200a)に対して画素回路20が共通に接続されて構成される例を表したものである。
【0062】
画素100a、100bおよび100cならびに位相差画素200aの電荷転送部12のドレインは、画素回路20の電荷保持部21に共通に接続される。
【0063】
画素100a、100bおよび100cならびに位相差画素200aのそれぞれのTRに順次ON信号を入力することにより、画素100a等の光電変換部11により生成された電荷が順次画素回路20に転送される。この転送された電荷に基づいて画像信号を順次生成することができる。
【0064】
[画素の構成]
図8は、本開示の第3の実施の形態に係る画素の構成例を示す断面図である。同図は、
図3と同様に、画素100の構成例を表す模式断面図である。なお、同図において、符号に付された文字「a」および「b」は、
図7に表した異なる画素100(画素100aおよびb)に対応する。同図の画素100は、次の点で
図3において説明した画素100と異なる。電荷保持部21が画素100等の間に配置される。また、電荷保持部21に複数の電荷転送部12(電荷転送部12aおよび12b)が共通に接続される。すなわち、電荷転送部12aおよび12bのそれぞれのゲート電極121aおよび121bが電荷保持部21のn型の半導体領域112に近接して配置される。電荷保持部21のn型の半導体領域112は、電荷転送部12aおよび12bの共通のドレイン領域を構成する。なお、電荷保持部21以外の画素回路20の記載は省略した。
【0065】
[画素アレイ部の構成]
図9は、本開示の第3の実施の形態に係る画素アレイ部の構成例を示す図である。同図は、
図4と同様に画素アレイ部2における画素100および位相差画素200の構成例を表す平面図である。画素回路20が画素100等の外側の領域に配置されて複数の画素100毎に共通に配置される点で、
図4において説明した画素アレイ部2と異なる。
【0066】
画素回路20は、隣接する2行2列の画素100等に共通に配置される。画素回路20の電荷保持部21のn型の半導体領域112は、これら4つの画素100等の中央部に配置される。この電荷保持部21のn型の半導体領域112に4つの画素100等のゲート電極121が近接して配置される。
【0067】
同図においてもゲート電極121は、共通オンチップレンズ182およびオンチップレンズ181の間に配置される。これにより、2つの位相差画素200の画像信号の出力差を低減することができる。
【0068】
これ以外の撮像素子1の構成は本開示の第1の実施の形態において説明した撮像素子1の構成と同様であるため、説明を省略する。
【0069】
以上説明したように、本開示の第3の実施の形態の撮像素子1は、複数の画素100等により画素回路20を共有する。これにより、画素100等の構成を簡略化することができる。
【0070】
<4.第4の実施の形態>
上述の第3の実施の形態の撮像素子1は、画素100および位相差画素200の半導体基板110に光電変換部11が配置されていた。これに対し、本開示の第4の実施の形態の撮像素子1は、光電変換を行う光電変換膜がさらに配置される点で、上述の第1の実施の形態と異なる。
【0071】
[画素の回路構成]
図10は、本開示の第4の実施の形態に係る画素の構成例を示す回路図である。同図の画素100および位相差画素200は、光電変換部がさらに配置され、複数の画素100等において複数の画素回路20が共有される点で、
図7において説明した画素100および位相差画素200と異なる。回路構成について画素100を例に挙げて説明する。同図の画素100は、光電変換部13およびスイッチ素子14をさらに備え、複数の画素回路20が配置される。同図は、4つの画素100等(画素100a、100bおよび100cならびに位相差画素200a)に対して2つの画素回路20(画素回路20aおよび20b)が共通に接続されて構成される例を表したものである。
【0072】
光電変換部13は、光電変換膜が第1電極および第2電極に挟持されて構成される光電変換部である。同図において光電変換部13は、2端子素子に構成され、光電変換に基づく電荷を生成する。また、スイッチ素子14は、電荷転送部12と同様に光電変換部13により生成された電荷を転送する素子である。スイッチ素子14は、3端子素子に構成され、入力端子、出力端子および制御信号端子を備える。電荷転送部12のMOSトランジスタと同様に、制御信号が制御信号端子に入力されると入力端子および出力端子の間が導通状態になる。後述するように、光電変換部13およびスイッチ素子14は、画素100等において一体に構成される。同図においては、便宜上、光電変換部13およびスイッチ素子14を個別に記載した。また、同図の画素100等には、電源線Vouがさらに配置される。この電源線Vouは、光電変換部13にバイアス電圧を供給する電源線である。また、信号線6は、スイッチ素子14の制御信号端子に制御信号を伝達する信号線TR2をさらに備える。これに伴い、電荷転送部12のゲートに制御信号を伝達する信号線を信号線TR1に変更して区別する。
【0073】
画素100a、100bおよび100cならびに位相差画素200aの電荷転送部12のドレインは、画素回路20aの電荷保持部21に共通に接続される。また、光電変換部13の一端は電源線Vouに接続され、他端はスイッチ素子14の入力端子に接続される。スイッチ素子14の制御信号端子は、信号線TR2に接続される。画素100a、100bおよび100cならびに位相差画素200aのスイッチ素子14の出力端子は、画素回路20bの電荷保持部21に共通に接続される。
【0074】
画素100a、100bおよび100cならびに位相差画素200aのそれぞれのTR1に順次ON信号を入力することにより、画素100a等の光電変換部11により生成された電荷が順次画素回路20aに転送されて画像信号が生成される。同様に、画素100a、100bおよび100cならびに位相差画素200aのそれぞれのTR2に順次制御信号を入力することにより、画素100a等の光電変換部13により生成された電荷が順次画素回路20bに転送されて画像信号が生成される。
【0075】
[画素の構成]
図11は、本開示の第4の実施の形態に係る画素の構成例を示す断面図である。同図は、
図8と同様に、画素100の構成例を表す模式断面図である。なお、同図において、符号に付された文字「a」、「b」および「c」は、
図10に表した異なる画素100(画素100a、100bおよび100c)に対応する。同図の画素100は、次の点で
図8において説明した画素100と異なる。電荷転送部12がMOSトランジスタにより構成される。また、複数の電荷転送部12(電荷転送部12aおよび12b)が電荷保持部21aに共通に接続される。すなわち、電荷保持部21aのn型の半導体領域112が、電荷転送部12aおよび12bの共通のドレイン領域を構成する。同図のゲート電極125aおよび125bは、これらの電荷転送部12のゲートに該当する。電荷保持部21aは、
図10において説明した画素回路20aの電荷保持部21に該当する。また、光電変換部19をさらに備え、光電変換部19により生成された電荷を転送する貫通電極139をさらに備える。また、高屈折率膜151が光電変換部19およびオンチップレンズ181の間に配置される。
【0076】
光電変換部19は、半導体基板110の裏面側に隣接して配置される。具体的には、平坦化膜144の領域に配置される。この光電変換部19は、第1電極163と、絶縁膜162と、光電変換膜164と、第2電極165と、電荷蓄積用電極161とを備える。光電変換部19は、電荷蓄積用電極161、絶縁膜162、光電変換膜164および第2電極165が積層されて構成される。第1電極163、光電変換膜164および第2電極165は複数の画素100等において共通に配置され、電荷蓄積用電極161および絶縁膜162は画素100等に個別に配置される。また、第1電極163は、複数の画素100に共通に配置される光電変換膜164の中央部に接続される。なお、絶縁膜162を複数の画素100等において共通に配置することもできる。
【0077】
光電変換膜164は、有機光電変換膜により構成され、入射光の光電変換を行う膜である。この光電変換膜164は、例えば、ローダミン系色素、メラシアニン系色素、キナクリドン、フタロシアニン系色素、クマリン系色素およびトリス-8-ヒドリキシキノリンAl等を含む有機光電変換材料により構成することができる。また、光電変換膜164は、入射光のうちの特定の波長の光を吸収して光電変換を行う構成にすることができる。
【0078】
第2電極165は、光電変換膜164に隣接して配置される電極である。この第2電極165は、例えば、酸化インジウム錫(ITO:Indium Tin Oxide)により構成することができる。絶縁膜162は、光電変換膜164および電荷蓄積用電極161の間を絶縁する膜である。この絶縁膜162は、例えば、SiO2により構成することができる。電荷蓄積用電極161は、絶縁膜162を介して光電変換膜164に積層され、光電変換膜164に電圧を印加する電極である。この電荷蓄積用電極161は、例えば、ITOにより構成することができる。第1電極163は、光電変換膜164により生成された電荷が出力される電極である。
【0079】
なお、第2電極165および光電変換膜164は、
図10において説明した光電変換部13に該当する。絶縁膜162、電荷蓄積用電極161および第1電極163は、
図10において説明したスイッチ素子14に該当する。
【0080】
また、第2電極165は、
図10において説明した電源線Vou(不図示)に接続される端子に該当する。また、第1電極163は、
図10のスイッチ素子14の出力端子に該当する。また、電荷蓄積用電極161は、スイッチ素子14の制御信号端子に該当する。なお、電荷蓄積用電極161および第1電極163は、それぞれ配線168および169に接続される。
【0081】
撮像素子の露光期間中に電源線Vouの電圧より高い電圧の制御信号を電荷蓄積用電極161に印加する。すると、光電変換膜164の光電変換により生成された電荷のうちの電子が電荷蓄積用電極161に引き寄せられ、絶縁膜162を介した電荷蓄積用電極161の近傍の光電変換膜164の領域に蓄積される。その後、光電変換により生成された電荷を転送する際に、電源線Vouの電圧より低い制御信号を電荷蓄積用電極161に印加する。これにより、光電変換膜164に蓄積された電荷(電子)が第1電極163に移動し、配線169から出力される。
【0082】
貫通電極139は、半導体基板110を貫通して構成される電極である。この貫通電極139は、半導体基板110の裏面側から表面側に電荷を転送する電極である。貫通電極139は、例えば、半導体基板110に形成された貫通孔に金属等の導電材料を埋め込むことにより形成することができる。同図の貫通電極139は、光電変換部19の配線169および配線領域130に配置される配線層132の間を接続する。上述の光電変換部19により生成されて第1電極163に移動した電荷は、貫通電極139を介して半導体基板110の表面側に転送される。この転送された電荷は、配線層132およびコンタクトプラグ133を介してn型の半導体領域116にさらに転送される。このn型の半導体領域116は、
図10において説明した画素回路20bの電荷保持部21bを構成する。
【0083】
高屈折率膜151は、高い屈折率に構成される膜である。光電変換部19は、オンチップレンズ181に近接して配置される。この高屈折率膜151を配置することにより、入射光の集光位置を光電変換部19に近づけることができる。高屈折率膜151には、例えば、窒化シリコン(SiN)を使用することができる。なお、高屈折率膜151を省略することも可能である。
【0084】
光電変換部19は、オンチップレンズ181および半導体基板110の間に配置されるため、光電変換部19により吸収されなかった波長の光が半導体基板110の光電変換部11により光電変換されることとなる。例えば、光電変換部19が可視光の光電変換を行い、光電変換部11が赤外光の光電変換を行う構成にすることができる。また、例えば、光電変換部19が短波長の可視光の光電変換を行い、光電変換部11が長波長の可視光の光電変換を行う構成にすることもできる。
【0085】
[画素アレイ部の構成]
図12は、本開示の第4の実施の形態に係る画素アレイ部の構成例を示す図である。同図は、
図4と同様に画素アレイ部2における画素100および位相差画素200の構成例を表す平面図である。画素回路20aおよび20bが画素100等の外側の領域に配置されて複数の画素100毎に共通に配置され、貫通電極139がさらに配置される点で、
図4において説明した画素アレイ部2と異なる。
【0086】
画素回路20aは、隣接する2行2列の画素100等に共通に配置される。画素回路20aの電荷保持部21のn型の半導体領域112は、これら4つの画素100等の中央部に配置される。同様に、画素回路20bは、隣接する2行2列の画素100等に共通に配置される。画素回路20bに接続される貫通電極139は、これら4つの画素100等の中央部に配置される。
【0087】
同図において貫通電極139は、共通オンチップレンズ182およびオンチップレンズ181の間に配置される。貫通電極139は、半導体基板110に配置されて光電変換に寄与しない構造体に該当する。この貫通電極139を共通オンチップレンズ182が配置される領域とは異なる領域に配置することにより、2つの位相差画素200の画像信号の出力差を低減することができる。
【0088】
なお、画素100等の構成は、この例に限定されない。例えば、光電変換膜による光電変換部は、電荷蓄積用電極161を省略した2端子型にすることもできる。この場合であっても、貫通電極139は、共通オンチップレンズ182およびオンチップレンズ181の間に配置する。
【0089】
これ以外の撮像素子1の構成は本開示の第1の実施の形態において説明した撮像素子1の構成と同様であるため、説明を省略する。
【0090】
以上説明したように、本開示の第4の実施の形態の撮像素子1は、光電変換に寄与しない構造体である貫通電極139を共通オンチップレンズ182と画素100のオンチップレンズ181との間に配置する。これにより、位相差画素200の画像信号の差異を低減することができ、位相差画素200の位相差検出の誤差を低減することができる。
【0091】
<5.第5の実施の形態>
上述の第4の実施の形態の撮像素子1は、半導体基板110の裏面側に光電変換膜を備える光電変換部19が配置されていた。これに対し、本開示の第5の実施の形態の撮像素子1は、オンチップレンズおよび光電変換部19の間にカラーフィルタを配置する点で、上述の第4の実施の形態と異なる。
【0092】
[画素の構成]
図13は、本開示の第5の実施の形態に係る画素の構成例を示す断面図である。同図は、
図11と同様に、画素100の構成例を表す模式断面図である。同図の画素100は、カラーフィルタ150が光電変換部19の第2電極165および高屈折率膜151の間に配置される点で、
図11の画素100と異なる。
【0093】
カラーフィルタ150には、例えば、赤外光や紫外光を遮蔽するカラーフィルタを使用することができる。これにより、可視光の撮像を行う撮像素子において、赤外光等による誤差を低減することができる。
【0094】
これ以外の撮像素子1の構成は本開示の第4の実施の形態において説明した撮像素子1の構成と同様であるため、説明を省略する。
【0095】
以上説明したように、本開示の第5の実施の形態の撮像素子1は、カラーフィルタ150をオンチップレンズ181および光電変換部19の間に配置することにより、可視光の画像信号の誤差を低減することができる。
【0096】
<6.第6の実施の形態>
上述の第5の実施の形態の撮像素子1は、オンチップレンズ181および光電変換部19の間にカラーフィルタ150を配置していた。これに対し、本開示の第6の実施の形態の撮像素子1は、光電変換部19および半導体基板110の間にカラーフィルタを配置する点で、上述の第5の実施の形態と異なる。
【0097】
[画素の構成]
図14は、本開示の第6の実施の形態に係る画素の構成例を示す断面図である。同図は、
図13と同様に、画素100の構成例を表す模式断面図である。同図の画素100は、カラーフィルタ150が平坦化膜144および固定電荷膜141の間に配置される点で、
図13の画素100と異なる。
【0098】
同図のカラーフィルタ150は光電変換部19および半導体基板110の間に配置され、同図のカラーフィルタ150には光電変換部19を透過した光が入射する。そこで、光電変換部19に吸収されなかった光のうち半導体基板110の光電変換部11における光電変換の対象外の波長の光を遮蔽するカラーフィルタを使用することができる。例えば、光電変換部19が緑色光を吸収して光電変換を行う際に、緑色光を遮光するカラーフィルタ150を使用することができる。これにより、半導体基板110の光電変換部11により生成される画像信号の誤差を低減することができる。
【0099】
これ以外の撮像素子1の構成は本開示の第5の実施の形態において説明した撮像素子1の構成と同様であるため、説明を省略する。
【0100】
以上説明したように、本開示の第6の実施の形態の撮像素子1は、カラーフィルタ150を光電変換部19および半導体基板110の間に配置することにより、半導体基板110の光電変換部11において生成される画像信号の誤差を低減することができる。
【0101】
<7.第7の実施の形態>
上述の第4の実施の形態の撮像素子1は、半導体基板110に光電変換部11が配置されていた。これに対し、本開示の第7の実施の形態の撮像素子1は、半導体基板110に配置される光電変換部をさらに備える点で、上述の第4の実施の形態と異なる。
【0102】
[画素の回路構成]
図15は、本開示の第7の実施の形態に係る画素の構成例を示す回路図である。同図の画素100および位相差画素200は、光電変換部がさらに配置される点で、
図10において説明した画素100および位相差画素200と異なる。回路構成について画素100を例に挙げて説明する。同図の画素100は、光電変換部15および電荷転送部16をさらに備え、画素回路20cがさらに配置される点で、
図10において説明した画素100と異なる。
【0103】
光電変換部15は、光電変換部11と同様に、半導体基板110に形成されるフォトダイオードにより構成される。また、電荷転送部16は、電荷転送部12と同様にMOSトランジスタにより構成される。また、信号線6は、電荷転送部16のゲートに制御信号を伝達する信号線TR3をさらに備える。
【0104】
光電変換部15のアノードは接地され、カソードは電荷転送部16のソースに接続される。電荷転送部16のゲートは信号線TR3に接続される。画素100a、100bおよび100cならびに位相差画素200aの電荷転送部16のドレインは、画素回路20cの電荷保持部21に共通に接続される。
【0105】
[画素の構成]
図16は、本開示の第7の実施の形態に係る画素の構成例を示す断面図である。同図は、
図11と同様に、画素100の構成例を表す模式断面図である。同図の画素100は、光電変換部15、電荷転送部16およびカラーフィルタ150をさらに備える点で、
図11において説明した画素100と異なる。
【0106】
光電変換部15は、半導体基板110の裏面の近傍に配置される。具体的には、光電変換部15を構成するn型の半導体領域117は、半導体基板110の裏面側の浅い領域に形成される。一方、光電変換部11のn型の半導体領域111は、半導体基板110の深い領域に形成される。すなわち、半導体基板110の表面の近傍に配置される。
【0107】
半導体基板110に配置されたn型の半導体領域118は、画素回路20cの電荷保持部21cを構成する半導体領域である。
【0108】
光電変換部15のn型の半導体領域117に隣接して電荷転送部16が配置される。この電荷転送部16は、
図3において説明した電荷転送部12と同様に縦型トランジスタに構成される。電荷転送部16は、ゲート電極126を備える。電荷転送部16により、半導体基板110の裏面近傍に配置された光電変換部15により生成された電荷が、半導体基板110の表面側に配置された電荷保持部21の半導体領域118に転送される。
【0109】
光電変換膜により構成される光電変換部19は、最もオンチップレンズ181に近い領域に配置されるため、短い波長の光、例えば、青色光を吸収して光電変換を行う構成にすることができる。光電変換部15は、半導体基板110の裏面から浅い領域に配置されるため、光電変換部19を透過した入射光のうちの比較的短い波長の光、例えば、緑色光の光電変換を行う。これに対し、光電変換部11は、半導体基板110の裏面から深い領域に配置され、赤色光や赤外光のように半導体基板110の深い領域に到達する光の光電変換を行うこととなる。このように、同図の画素100は、3つの波長域の入射光の光電変換を行い、ぞれぞれの光に対応する画像信号を生成することができる。
【0110】
なお、カラーフィルタ150は、紫外光を遮蔽するカラーフィルタを使用することができる。また、上述の光電変換部11が赤色光のみの光電変換を行う際には、赤外光を遮蔽するカラーフィルタ150を使用することができる。
【0111】
[画素アレイ部の構成]
図17は、本開示の第7の実施の形態に係る画素アレイ部の構成例を示す図である。同図は、
図12と同様に画素アレイ部2における画素100および位相差画素200の構成例を表す平面図である。画素回路20cがさらに配置され、ゲート電極126がさらに配置される点で、
図12において説明した画素アレイ部2と異なる。
【0112】
同図の画素回路20aは、
図12の画素回路20aに対して1画素ずれた位置に配置される。
図12において画素回路20aが配置されていた場所に画素回路20cが配置される。この画素回路20cの電荷保持部のn型の半導体領域118に隣接して4つのゲート電極126が配置される。
【0113】
画素回路20a、20bおよび20cの電荷保持部21は、何れも4つの画素100等の光電変換部11等に共通に接続される。
【0114】
同図に表したように、光電変換に寄与しない貫通電極139およびゲート電極126(電荷転送部16)は、共通オンチップレンズ182およびオンチップレンズ181の間の領域に配置される。また、画素回路20a、20bおよび20cの電荷保持部21は、何れも4つの画素100等により共有されて接続される。これにより、n型の半導体領域112、貫通電極139およびゲート電極126をそれぞれ個別に4つの画素100等の中心に配置することが可能となる。これにより、2つの位相差画素200の画像信号の出力差を低減することができる。
【0115】
これ以外の撮像素子1の構成は本開示の第4の実施の形態において説明した撮像素子1の構成と同様であるため、説明を省略する。
【0116】
以上説明したように、本開示の第7の実施の形態の撮像素子1は、光電変換に寄与しない構造体であるゲート電極121を有する電荷転送部16および貫通電極139を共通オンチップレンズ182と画素100のオンチップレンズ181との間に配置する。これにより、位相差画素200の画像信号の差異を低減することができ、位相差画素200の位相差検出の誤差を低減することができる。
【0117】
なお、第2の実施の形態の位相差画素200の構成は、第3乃至第7の実施の形態に組み合わせてもよい。すなわち、第3乃至第7の実施の形態の位相差画素200の間の半導体基板110に分離部142を配置してもよい。
【0118】
<8.カメラへの応用例>
本開示に係る技術(本技術)は、様々な製品に応用することができる。例えば、本技術は、カメラ等の撮像装置に搭載される撮像素子として実現されてもよい。
【0119】
図18は、本技術が適用され得る撮像装置の一例であるカメラの概略的な構成例を示すブロック図である。同図のカメラ1000は、レンズ1001と、撮像素子1002と、撮像制御部1003と、レンズ駆動部1004と、画像処理部1005と、操作入力部1006と、フレームメモリ1007と、表示部1008と、記録部1009とを備える。
【0120】
レンズ1001は、カメラ1000の撮影レンズである。このレンズ1001は、被写体からの光を集光し、後述する撮像素子1002に入射させて被写体を結像させる。
【0121】
撮像素子1002は、レンズ1001により集光された被写体からの光を撮像する半導体素子である。この撮像素子1002は、照射された光に応じたアナログの画像信号を生成し、デジタルの画像信号に変換して出力する。
【0122】
撮像制御部1003は、撮像素子1002における撮像を制御するものである。この撮像制御部1003は、制御信号を生成して撮像素子1002に対して出力することにより、撮像素子1002の制御を行う。また、撮像制御部1003は、撮像素子1002から出力された画像信号に基づいてカメラ1000におけるオートフォーカスを行うことができる。ここでオートフォーカスとは、レンズ1001の焦点位置を検出して、自動的に調整するシステムである。このオートフォーカスとして、撮像素子1002に配置された位相差画素により像面位相差を検出して焦点位置を検出する方式(像面位相差オートフォーカス)を使用することができる。また、画像のコントラストが最も高くなる位置を焦点位置として検出する方式(コントラストオートフォーカス)を適用することもできる。撮像制御部1003は、検出した焦点位置に基づいてレンズ駆動部1004を介してレンズ1001の位置を調整し、オートフォーカスを行う。なお、撮像制御部1003は、例えば、ファームウェアを搭載したDSP(Digital Signal Processor)により構成することができる。
【0123】
レンズ駆動部1004は、撮像制御部1003の制御に基づいて、レンズ1001を駆動するものである。このレンズ駆動部1004は、内蔵するモータを使用してレンズ1001の位置を変更することによりレンズ1001を駆動することができる。
【0124】
画像処理部1005は、撮像素子1002により生成された画像信号を処理するものである。この処理には、例えば、画素毎の赤色、緑色および青色に対応する画像信号のうち不足する色の画像信号を生成するデモザイク、画像信号のノイズを除去するノイズリダクションおよび画像信号の符号化等が該当する。画像処理部1005は、例えば、ファームウェアを搭載したマイコンにより構成することができる。
【0125】
操作入力部1006は、カメラ1000の使用者からの操作入力を受け付けるものである。この操作入力部1006には、例えば、押しボタンやタッチパネルを使用することができる。操作入力部1006により受け付けられた操作入力は、撮像制御部1003や画像処理部1005に伝達される。その後、操作入力に応じた処理、例えば、被写体の撮像等の処理が起動される。
【0126】
フレームメモリ1007は、1画面分の画像信号であるフレームを記憶するメモリである。このフレームメモリ1007は、画像処理部1005により制御され、画像処理の過程におけるフレームの保持を行う。
【0127】
表示部1008は、画像処理部1005により処理された画像を表示するものである。この表示部1008には、例えば、液晶パネルを使用することができる。
【0128】
記録部1009は、画像処理部1005により処理された画像を記録するものである。この記録部1009には、例えば、メモリカードやハードディスクを使用することができる。
【0129】
以上、本開示が適用され得るカメラについて説明した。本技術は以上において説明した構成のうち、撮像素子1002に適用され得る。具体的には、
図1において説明した撮像素子1は、撮像素子1002に適用することができる。撮像素子1002に撮像素子1を適用することにより、位相差検出の誤差が軽減され、オートフォーカスを行う際の画像の画質の低下を防止することができる。カメラ1000は、請求の範囲に記載の撮像装置の一例である。画像処理部1005は、請求の範囲に記載の処理回路の一例である。
【0130】
なお、ここでは、一例としてカメラについて説明したが、本開示に係る技術は、その他、例えば監視装置等に適用されてもよい。また、本開示は、カメラ等の電子機器の他に、半導体モジュールの形式の半導体装置に適用することもできる。具体的には、
図18の撮像素子1002および撮像制御部1003を1つのパッケージに封入した半導体モジュールである撮像モジュールに本開示に係る技術を適用することもできる。
【0131】
<9.内視鏡手術システムへの応用例>
本開示に係る技術は、様々な製品へ応用することができる。例えば、本開示に係る技術は、内視鏡手術システムに適用されてもよい。
【0132】
図19は、本開示に係る技術が適用され得る内視鏡手術システムの概略的な構成の一例を示す図である。
【0133】
図19では、術者(医師)11131が、内視鏡手術システム11000を用いて、患者ベッド11133上の患者11132に手術を行っている様子が図示されている。図示するように、内視鏡手術システム11000は、内視鏡11100と、気腹チューブ11111やエネルギー処置具11112等の、その他の術具11110と、内視鏡11100を支持する支持アーム装置11120と、内視鏡下手術のための各種の装置が搭載されたカート11200と、から構成される。
【0134】
内視鏡11100は、先端から所定の長さの領域が患者11132の体腔内に挿入される鏡筒11101と、鏡筒11101の基端に接続されるカメラヘッド11102と、から構成される。図示する例では、硬性の鏡筒11101を有するいわゆる硬性鏡として構成される内視鏡11100を図示しているが、内視鏡11100は、軟性の鏡筒を有するいわゆる軟性鏡として構成されてもよい。
【0135】
鏡筒11101の先端には、対物レンズが嵌め込まれた開口部が設けられている。内視鏡11100には光源装置11203が接続されており、当該光源装置11203によって生成された光が、鏡筒11101の内部に延設されるライトガイドによって当該鏡筒の先端まで導光され、対物レンズを介して患者11132の体腔内の観察対象に向かって照射される。なお、内視鏡11100は、直視鏡であってもよいし、斜視鏡又は側視鏡であってもよい。
【0136】
カメラヘッド11102の内部には光学系及び撮像素子が設けられており、観察対象からの反射光(観察光)は当該光学系によって当該撮像素子に集光される。当該撮像素子によって観察光が光電変換され、観察光に対応する電気信号、すなわち観察像に対応する画像信号が生成される。当該画像信号は、RAWデータとしてカメラコントロールユニット(CCU:Camera Control Unit)11201に送信される。
【0137】
CCU11201は、CPU(Central Processing Unit)やGPU(Graphics Processing Unit)等によって構成され、内視鏡11100及び表示装置11202の動作を統括的に制御する。さらに、CCU11201は、カメラヘッド11102から画像信号を受け取り、その画像信号に対して、例えば現像処理(デモザイク処理)等の、当該画像信号に基づく画像を表示するための各種の画像処理を施す。
【0138】
表示装置11202は、CCU11201からの制御により、当該CCU11201によって画像処理が施された画像信号に基づく画像を表示する。
【0139】
光源装置11203は、例えばLED(Light Emitting Diode)等の光源から構成され、術部等を撮影する際の照射光を内視鏡11100に供給する。
【0140】
入力装置11204は、内視鏡手術システム11000に対する入力インタフェースである。ユーザは、入力装置11204を介して、内視鏡手術システム11000に対して各種の情報の入力や指示入力を行うことができる。例えば、ユーザは、内視鏡11100による撮像条件(照射光の種類、倍率及び焦点距離等)を変更する旨の指示等を入力する。
【0141】
処置具制御装置11205は、組織の焼灼、切開又は血管の封止等のためのエネルギー処置具11112の駆動を制御する。気腹装置11206は、内視鏡11100による視野の確保及び術者の作業空間の確保の目的で、患者11132の体腔を膨らめるために、気腹チューブ11111を介して当該体腔内にガスを送り込む。レコーダ11207は、手術に関する各種の情報を記録可能な装置である。プリンタ11208は、手術に関する各種の情報を、テキスト、画像又はグラフ等各種の形式で印刷可能な装置である。
【0142】
なお、内視鏡11100に術部を撮影する際の照射光を供給する光源装置11203は、例えばLED、レーザ光源又はこれらの組み合わせによって構成される白色光源から構成することができる。RGBレーザ光源の組み合わせにより白色光源が構成される場合には、各色(各波長)の出力強度及び出力タイミングを高精度に制御することができるため、光源装置11203において撮像画像のホワイトバランスの調整を行うことができる。また、この場合には、RGBレーザ光源それぞれからのレーザ光を時分割で観察対象に照射し、その照射タイミングに同期してカメラヘッド11102の撮像素子の駆動を制御することにより、RGBそれぞれに対応した画像を時分割で撮像することも可能である。当該方法によれば、当該撮像素子にカラーフィルタを設けなくても、カラー画像を得ることができる。
【0143】
また、光源装置11203は、出力する光の強度を所定の時間ごとに変更するようにその駆動が制御されてもよい。その光の強度の変更のタイミングに同期してカメラヘッド11102の撮像素子の駆動を制御して時分割で画像を取得し、その画像を合成することにより、いわゆる黒つぶれ及び白とびのない高ダイナミックレンジの画像を生成することができる。
【0144】
また、光源装置11203は、特殊光観察に対応した所定の波長帯域の光を供給可能に構成されてもよい。特殊光観察では、例えば、体組織における光の吸収の波長依存性を利用して、通常の観察時における照射光(すなわち、白色光)に比べて狭帯域の光を照射することにより、粘膜表層の血管等の所定の組織を高コントラストで撮影する、いわゆる狭帯域光観察(Narrow Band Imaging)が行われる。あるいは、特殊光観察では、励起光を照射することにより発生する蛍光により画像を得る蛍光観察が行われてもよい。蛍光観察では、体組織に励起光を照射し当該体組織からの蛍光を観察すること(自家蛍光観察)、又はインドシアニングリーン(ICG)等の試薬を体組織に局注するとともに当該体組織にその試薬の蛍光波長に対応した励起光を照射し蛍光像を得ること等を行うことができる。光源装置11203は、このような特殊光観察に対応した狭帯域光及び/又は励起光を供給可能に構成され得る。
【0145】
図20は、
図19に示すカメラヘッド11102及びCCU11201の機能構成の一例を示すブロック図である。
【0146】
カメラヘッド11102は、レンズユニット11401と、撮像部11402と、駆動部11403と、通信部11404と、カメラヘッド制御部11405と、を有する。CCU11201は、通信部11411と、画像処理部11412と、制御部11413と、を有する。カメラヘッド11102とCCU11201とは、伝送ケーブル11400によって互いに通信可能に接続されている。
【0147】
レンズユニット11401は、鏡筒11101との接続部に設けられる光学系である。鏡筒11101の先端から取り込まれた観察光は、カメラヘッド11102まで導光され、当該レンズユニット11401に入射する。レンズユニット11401は、ズームレンズ及びフォーカスレンズを含む複数のレンズが組み合わされて構成される。
【0148】
撮像部11402は、撮像素子で構成される。撮像部11402を構成する撮像素子は、1つ(いわゆる単板式)であってもよいし、複数(いわゆる多板式)であってもよい。撮像部11402が多板式で構成される場合には、例えば各撮像素子によってRGBそれぞれに対応する画像信号が生成され、それらが合成されることによりカラー画像が得られてもよい。あるいは、撮像部11402は、3D(Dimensional)表示に対応する右目用及び左目用の画像信号をそれぞれ取得するための1対の撮像素子を有するように構成されてもよい。3D表示が行われることにより、術者11131は術部における生体組織の奥行きをより正確に把握することが可能になる。なお、撮像部11402が多板式で構成される場合には、各撮像素子に対応して、レンズユニット11401も複数系統設けられ得る。
【0149】
また、撮像部11402は、必ずしもカメラヘッド11102に設けられなくてもよい。例えば、撮像部11402は、鏡筒11101の内部に、対物レンズの直後に設けられてもよい。
【0150】
駆動部11403は、アクチュエータによって構成され、カメラヘッド制御部11405からの制御により、レンズユニット11401のズームレンズ及びフォーカスレンズを光軸に沿って所定の距離だけ移動させる。これにより、撮像部11402による撮像画像の倍率及び焦点が適宜調整され得る。
【0151】
通信部11404は、CCU11201との間で各種の情報を送受信するための通信装置によって構成される。通信部11404は、撮像部11402から得た画像信号をRAWデータとして伝送ケーブル11400を介してCCU11201に送信する。
【0152】
また、通信部11404は、CCU11201から、カメラヘッド11102の駆動を制御するための制御信号を受信し、カメラヘッド制御部11405に供給する。当該制御信号には、例えば、撮像画像のフレームレートを指定する旨の情報、撮像時の露出値を指定する旨の情報、並びに/又は撮像画像の倍率及び焦点を指定する旨の情報等、撮像条件に関する情報が含まれる。
【0153】
なお、上記のフレームレートや露出値、倍率、焦点等の撮像条件は、ユーザによって適宜指定されてもよいし、取得された画像信号に基づいてCCU11201の制御部11413によって自動的に設定されてもよい。後者の場合には、いわゆるAE(Auto Exposure)機能、AF(Auto Focus)機能及びAWB(Auto White Balance)機能が内視鏡11100に搭載されていることになる。
【0154】
カメラヘッド制御部11405は、通信部11404を介して受信したCCU11201からの制御信号に基づいて、カメラヘッド11102の駆動を制御する。
【0155】
通信部11411は、カメラヘッド11102との間で各種の情報を送受信するための通信装置によって構成される。通信部11411は、カメラヘッド11102から、伝送ケーブル11400を介して送信される画像信号を受信する。
【0156】
また、通信部11411は、カメラヘッド11102に対して、カメラヘッド11102の駆動を制御するための制御信号を送信する。画像信号や制御信号は、電気通信や光通信等によって送信することができる。
【0157】
画像処理部11412は、カメラヘッド11102から送信されたRAWデータである画像信号に対して各種の画像処理を施す。
【0158】
制御部11413は、内視鏡11100による術部等の撮像、及び、術部等の撮像により得られる撮像画像の表示に関する各種の制御を行う。例えば、制御部11413は、カメラヘッド11102の駆動を制御するための制御信号を生成する。
【0159】
また、制御部11413は、画像処理部11412によって画像処理が施された画像信号に基づいて、術部等が映った撮像画像を表示装置11202に表示させる。この際、制御部11413は、各種の画像認識技術を用いて撮像画像内における各種の物体を認識してもよい。例えば、制御部11413は、撮像画像に含まれる物体のエッジの形状や色等を検出することにより、鉗子等の術具、特定の生体部位、出血、エネルギー処置具11112の使用時のミスト等を認識することができる。制御部11413は、表示装置11202に撮像画像を表示させる際に、その認識結果を用いて、各種の手術支援情報を当該術部の画像に重畳表示させてもよい。手術支援情報が重畳表示され、術者11131に提示されることにより、術者11131の負担を軽減することや、術者11131が確実に手術を進めることが可能になる。
【0160】
カメラヘッド11102及びCCU11201を接続する伝送ケーブル11400は、電気信号の通信に対応した電気信号ケーブル、光通信に対応した光ファイバ、又はこれらの複合ケーブルである。
【0161】
ここで、図示する例では、伝送ケーブル11400を用いて有線で通信が行われていたが、カメラヘッド11102とCCU11201との間の通信は無線で行われてもよい。
【0162】
以上、本開示に係る技術が適用され得る内視鏡手術システムの一例について説明した。本開示に係る技術は、以上説明した構成のうち、カメラヘッド11102の撮像部11402に適用され得る。具体的には、
図1の撮像素子1は、撮像部10402に適用することができる。撮像部10402に本開示に係る技術を適用することにより、より鮮明な術部画像を得ることができるため、術者が術部を確実に確認することが可能になる。
【0163】
なお、ここでは、一例として内視鏡手術システムについて説明したが、本開示に係る技術は、その他、例えば、顕微鏡手術システム等に適用されてもよい。
【0164】
<10.移動体への応用例>
本開示に係る技術は、様々な製品へ応用することができる。例えば、本開示に係る技術は、自動車、電気自動車、ハイブリッド電気自動車、自動二輪車、自転車、パーソナルモビリティ、飛行機、ドローン、船舶、ロボット等のいずれかの種類の移動体に搭載される装置として実現されてもよい。
【0165】
図21は、本開示に係る技術が適用され得る移動体制御システムの一例である車両制御システムの概略的な構成例を示すブロック図である。
【0166】
車両制御システム12000は、通信ネットワーク12001を介して接続された複数の電子制御ユニットを備える。
図21に示した例では、車両制御システム12000は、駆動系制御ユニット12010、ボディ系制御ユニット12020、車外情報検出ユニット12030、車内情報検出ユニット12040、及び統合制御ユニット12050を備える。また、統合制御ユニット12050の機能構成として、マイクロコンピュータ12051、音声画像出力部12052、及び車載ネットワークI/F(interface)12053が図示されている。
【0167】
駆動系制御ユニット12010は、各種プログラムにしたがって車両の駆動系に関連する装置の動作を制御する。例えば、駆動系制御ユニット12010は、内燃機関又は駆動用モータ等の車両の駆動力を発生させるための駆動力発生装置、駆動力を車輪に伝達するための駆動力伝達機構、車両の舵角を調節するステアリング機構、及び、車両の制動力を発生させる制動装置等の制御装置として機能する。
【0168】
ボディ系制御ユニット12020は、各種プログラムにしたがって車体に装備された各種装置の動作を制御する。例えば、ボディ系制御ユニット12020は、キーレスエントリシステム、スマートキーシステム、パワーウィンドウ装置、あるいは、ヘッドランプ、バックランプ、ブレーキランプ、ウィンカー又はフォグランプ等の各種ランプの制御装置として機能する。この場合、ボディ系制御ユニット12020には、鍵を代替する携帯機から発信される電波又は各種スイッチの信号が入力され得る。ボディ系制御ユニット12020は、これらの電波又は信号の入力を受け付け、車両のドアロック装置、パワーウィンドウ装置、ランプ等を制御する。
【0169】
車外情報検出ユニット12030は、車両制御システム12000を搭載した車両の外部の情報を検出する。例えば、車外情報検出ユニット12030には、撮像部12031が接続される。車外情報検出ユニット12030は、撮像部12031に車外の画像を撮像させるとともに、撮像された画像を受信する。車外情報検出ユニット12030は、受信した画像に基づいて、人、車、障害物、標識又は路面上の文字等の物体検出処理又は距離検出処理を行ってもよい。
【0170】
撮像部12031は、光を受光し、その光の受光量に応じた電気信号を出力する光センサである。撮像部12031は、電気信号を画像として出力することもできるし、測距の情報として出力することもできる。また、撮像部12031が受光する光は、可視光であっても良いし、赤外線等の非可視光であっても良い。
【0171】
車内情報検出ユニット12040は、車内の情報を検出する。車内情報検出ユニット12040には、例えば、運転者の状態を検出する運転者状態検出部12041が接続される。運転者状態検出部12041は、例えば運転者を撮像するカメラを含み、車内情報検出ユニット12040は、運転者状態検出部12041から入力される検出情報に基づいて、運転者の疲労度合い又は集中度合いを算出してもよいし、運転者が居眠りをしていないかを判別してもよい。
【0172】
マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030又は車内情報検出ユニット12040で取得される車内外の情報に基づいて、駆動力発生装置、ステアリング機構又は制動装置の制御目標値を演算し、駆動系制御ユニット12010に対して制御指令を出力することができる。例えば、マイクロコンピュータ12051は、車両の衝突回避あるいは衝撃緩和、車間距離に基づく追従走行、車速維持走行、車両の衝突警告、又は車両のレーン逸脱警告等を含むADAS(Advanced Driver Assistance System)の機能実現を目的とした協調制御を行うことができる。
【0173】
また、マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030又は車内情報検出ユニット12040で取得される車両の周囲の情報に基づいて駆動力発生装置、ステアリング機構又は制動装置等を制御することにより、運転者の操作に拠らずに自律的に走行する自動運転等を目的とした協調制御を行うことができる。
【0174】
また、マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030で取得される車外の情報に基づいて、ボディ系制御ユニット12020に対して制御指令を出力することができる。例えば、マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030で検知した先行車又は対向車の位置に応じてヘッドランプを制御し、ハイビームをロービームに切り替える等の防眩を図ることを目的とした協調制御を行うことができる。
【0175】
音声画像出力部12052は、車両の搭乗者又は車外に対して、視覚的又は聴覚的に情報を通知することが可能な出力装置へ音声及び画像のうちの少なくとも一方の出力信号を送信する。
図21の例では、出力装置として、オーディオスピーカ12061、表示部12062及びインストルメントパネル12063が例示されている。表示部12062は、例えば、オンボードディスプレイ及びヘッドアップディスプレイの少なくとも一つを含んでいてもよい。
【0176】
図22は、撮像部12031の設置位置の例を示す図である。
【0177】
図22では、車両12100は、撮像部12031として、撮像部12101、12102、12103、12104、12105を有する。
【0178】
撮像部12101、12102、12103、12104、12105は、例えば、車両12100のフロントノーズ、サイドミラー、リアバンパ、バックドア及び車室内のフロントガラスの上部等の位置に設けられる。フロントノーズに備えられる撮像部12101及び車室内のフロントガラスの上部に備えられる撮像部12105は、主として車両12100の前方の画像を取得する。サイドミラーに備えられる撮像部12102、12103は、主として車両12100の側方の画像を取得する。リアバンパ又はバックドアに備えられる撮像部12104は、主として車両12100の後方の画像を取得する。撮像部12101及び12105で取得される前方の画像は、主として先行車両又は、歩行者、障害物、信号機、交通標識又は車線等の検出に用いられる。
【0179】
なお、
図22には、撮像部12101ないし12104の撮影範囲の一例が示されている。撮像範囲12111は、フロントノーズに設けられた撮像部12101の撮像範囲を示し、撮像範囲12112、12113は、それぞれサイドミラーに設けられた撮像部12102、12103の撮像範囲を示し、撮像範囲12114は、リアバンパ又はバックドアに設けられた撮像部12104の撮像範囲を示す。例えば、撮像部12101ないし12104で撮像された画像データが重ね合わせられることにより、車両12100を上方から見た俯瞰画像が得られる。
【0180】
撮像部12101ないし12104の少なくとも1つは、距離情報を取得する機能を有していてもよい。例えば、撮像部12101ないし12104の少なくとも1つは、複数の撮像素子からなるステレオカメラであってもよいし、位相差検出用の画素を有する撮像素子であってもよい。
【0181】
例えば、マイクロコンピュータ12051は、撮像部12101ないし12104から得られた距離情報を基に、撮像範囲12111ないし12114内における各立体物までの距離と、この距離の時間的変化(車両12100に対する相対速度)を求めることにより、特に車両12100の進行路上にある最も近い立体物で、車両12100と略同じ方向に所定の速度(例えば、0km/h以上)で走行する立体物を先行車として抽出することができる。さらに、マイクロコンピュータ12051は、先行車の手前に予め確保すべき車間距離を設定し、自動ブレーキ制御(追従停止制御も含む)や自動加速制御(追従発進制御も含む)等を行うことができる。このように運転者の操作に拠らずに自律的に走行する自動運転等を目的とした協調制御を行うことができる。
【0182】
例えば、マイクロコンピュータ12051は、撮像部12101ないし12104から得られた距離情報を元に、立体物に関する立体物データを、2輪車、普通車両、大型車両、歩行者、電柱等その他の立体物に分類して抽出し、障害物の自動回避に用いることができる。例えば、マイクロコンピュータ12051は、車両12100の周辺の障害物を、車両12100のドライバが視認可能な障害物と視認困難な障害物とに識別する。そして、マイクロコンピュータ12051は、各障害物との衝突の危険度を示す衝突リスクを判断し、衝突リスクが設定値以上で衝突可能性がある状況であるときには、オーディオスピーカ12061や表示部12062を介してドライバに警報を出力することや、駆動系制御ユニット12010を介して強制減速や回避操舵を行うことで、衝突回避のための運転支援を行うことができる。
【0183】
撮像部12101ないし12104の少なくとも1つは、赤外線を検出する赤外線カメラであってもよい。例えば、マイクロコンピュータ12051は、撮像部12101ないし12104の撮像画像中に歩行者が存在するか否かを判定することで歩行者を認識することができる。かかる歩行者の認識は、例えば赤外線カメラとしての撮像部12101ないし12104の撮像画像における特徴点を抽出する手順と、物体の輪郭を示す一連の特徴点にパターンマッチング処理を行って歩行者か否かを判別する手順によって行われる。マイクロコンピュータ12051が、撮像部12101ないし12104の撮像画像中に歩行者が存在すると判定し、歩行者を認識すると、音声画像出力部12052は、当該認識された歩行者に強調のための方形輪郭線を重畳表示するように、表示部12062を制御する。また、音声画像出力部12052は、歩行者を示すアイコン等を所望の位置に表示するように表示部12062を制御してもよい。
【0184】
以上、本開示に係る技術が適用され得る車両制御システムの一例について説明した。本開示に係る技術は、以上説明した構成のうち、撮像部12031等に適用され得る。具体的には、
図1の撮像素子1は、撮像部12031等に適用することができる。撮像部12031等に本開示に係る技術を適用することにより、より鮮明な撮影画像を得ることができるため、ドライバの疲労を軽減することが可能になる。
【0185】
最後に、上述した各実施の形態の説明は本開示の一例であり、本開示は上述の実施の形態に限定されることはない。このため、上述した各実施の形態以外であっても、本開示に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能であることは勿論である。
【0186】
また、本明細書に記載された効果はあくまで例示であって限定されるものでは無い。また、他の効果があってもよい。
【0187】
また、上述の実施の形態における図面は、模式的なものであり、各部の寸法の比率等は現実のものとは必ずしも一致しない。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれることは勿論である。
【0188】
なお、本技術は以下のような構成もとることができる。
(1)入射光に応じて光電変換を行う光電変換部と前記光電変換により生成された電荷を転送する電荷転送部とを備える画素と、
前記画素毎に配置されて前記入射光を個別に集光する個別オンチップレンズと、
前記光電変換部および前記電荷転送部をそれぞれ備えるとともに隣接して配置されて位相差を検出する複数の位相差画素と、
前記複数の位相差画素に共通に配置されて前記入射光を共通に集光する共通オンチップレンズと、
半導体基板に形成されて前記転送される電荷に基づいて画像信号を生成する画素回路と
を具備し、
前記複数の位相差画素の前記電荷転送部は、前記共通オンチップレンズおよび前記個別オンチップレンズの間の領域に配置される
撮像素子。
(2)前記画素回路は、前記半導体基板の表面側に形成される前記(1)に記載の撮像素子。
(3)前記光電変換部は、前記半導体基板に形成されて前記表面とは異なる面である裏面に入射する前記入射光の光電変換を行う前記(2)に記載の撮像素子。
(4)前記電荷転送部は、前記半導体基板の厚さ方向に電荷を転送する縦型トランジスタにより構成される前記(3)に記載の撮像素子。
(5)前記光電変換部は、前記半導体基板の裏面側に隣接して配置される光電変換膜により構成される前記(2)に記載の撮像素子。
(6)前記電荷転送部は、前記半導体基板を貫通する電極である貫通電極により構成される前記(5)に記載の撮像素子。
(7)前記入射光のうち所定の波長の光を透過するカラーフィルタをさらに具備する前記(5)に記載の撮像素子。
(8)前記カラーフィルタは、前記個別オンチップレンズおよび前記共通オンチップレンズと前記光電変換膜との間に配置される前記(7)に記載の撮像素子。
(9)前記カラーフィルタは、前記光電変換膜と前記半導体基板との間に配置される前記(7)に記載の撮像素子。
(10)前記位相差画素の前記光電変換部の間に配置される分離部をさらに具備する前記(1)から(9)の何れかに記載の撮像素子。
(11)入射光に応じて光電変換を行う光電変換部と前記光電変換により生成された電荷を転送する電荷転送部とを備える画素と、
前記画素毎に配置されて前記入射光を個別に集光する個別オンチップレンズと、
前記光電変換部および前記電荷転送部をそれぞれ備えるとともに隣接して配置されて位相差を検出する複数の位相差画素と、
前記複数の位相差画素に共通に配置されて前記入射光を共通に集光する共通オンチップレンズと、
半導体基板に形成されて前記転送される電荷に基づいて画像信号を生成する画素回路と、
前記生成された画像信号を処理する処理回路と
を具備し、
前記複数の位相差画素の前記電荷転送部は、前記共通オンチップレンズおよび前記個別オンチップレンズの間の領域に配置される
撮像装置。
【符号の説明】
【0189】
1 撮像素子
2 画素アレイ部
4 カラム信号処理部
11、13、15、19 光電変換部
12、12a、12b、16 電荷転送部
14 スイッチ素子
20、20a、20b、20c 画素回路
21、21a、21b、21c 電荷保持部
100、100a、100b、100c 画素
110 半導体基板
121、121a、121b、122~124、125a、125b、126 ゲート電極
139 貫通電極
142 分離部
150 カラーフィルタ
151 高屈折率膜
161 電荷蓄積用電極
162 絶縁膜
163 第1電極
164 光電変換膜
165 第2電極
181 オンチップレンズ
182 共通オンチップレンズ
200、200a 位相差画素
1000 カメラ
1002 撮像素子
1005 画像処理部
10402、12031、12101~12105 撮像部