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特許7636341ノイズ除去を備えた広帯域の低ノイズ増幅器
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-17
(45)【発行日】2025-02-26
(54)【発明の名称】ノイズ除去を備えた広帯域の低ノイズ増幅器
(51)【国際特許分類】
   H03F 1/42 20060101AFI20250218BHJP
   H03F 1/34 20060101ALI20250218BHJP
   H03F 3/195 20060101ALI20250218BHJP
   H03F 3/343 20060101ALN20250218BHJP
【FI】
H03F1/42
H03F1/34
H03F3/195
H03F3/343 210
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2021560048
(86)(22)【出願日】2020-04-01
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-06-29
(86)【国際出願番号】 US2020026104
(87)【国際公開番号】W WO2020222969
(87)【国際公開日】2020-11-05
【審査請求日】2023-02-13
(31)【優先権主張番号】16/399,599
(32)【優先日】2019-04-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】16/557,521
(32)【優先日】2019-08-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】520128820
【氏名又は名称】ノースロップ グラマン システムズ コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ガネヴァッティ、マヌーチェフル
(72)【発明者】
【氏名】ラロッカ、ティモシー、アール.
【審査官】工藤 一光
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-116889(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第102394571(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0271223(US,A1)
【文献】国際公開第2017/069776(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03F1/00-3/72
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
増幅器と補助増幅器と加算回路とを構成する複数のCMOSトランジスタと、フィードバック回路を構成し、前記複数のCMOSトランジスタに接続され、絶縁体基板上のシリコン上に収容され、0.5GHzから50GHzの周波数範囲にわたって動作するように構成されたノイズ除去回路とを有する低ノイズ増幅器回路であって、
前記増幅器は、前記増幅器の入力に結合された第1信号および第1ノイズ信号を増幅し、前記増幅器の出力においてそれぞれ対応する増幅された第2信号および第2ノイズ信号を生成する前記CMOSトランジスタのうちの1または複数を使用し、増幅された前記第2信号は、前記第1信号の位相に対して180度位相がずれており、増幅された前記第2ノイズ信号は、前記第1ノイズ信号と同じ位相を有し、前記第1信号は、0.5GHzから50GHzの範囲の周波数を有し、
前記増幅器に接続される前記フィードバック回路は、前記増幅器によって与えられる前記第2信号および第2ノイズ信号の増幅の量を制御し、前記フィードバック回路は、周波数に対する非線形の利得係数を有し、前記利得係数は、前記周波数範囲の周波数の増加に伴って前記増幅器に印加される利得を増加させ、前記利得係数の増加は、前記周波数範囲にわたって前記第2信号および第2ノイズ信号の一定の増幅の量をもたらすために、前記増幅器に関連する内部静電容量による周波数の増加に伴う前記増幅器に印加される利得の減少を補償し、
1または複数の前記CMOSトランジスタを使用する前記補助増幅器は、前記増幅器に接続され、前記増幅器から、前記第1信号および前記第1ノイズ信号を補助入力で受信し、補助出力で、前記第1信号を増幅した第3信号と、前記第1ノイズ信号を増幅した第4信号と、を生成し、それぞれ、前記第3信号および第4信号は、前記第1信号および第1のノイズ信号の位相に対して180度の位相をそれぞれ有し、それぞれ、前記補助増幅器によって提供される増幅の量は、前記増幅器によって提供される増幅の量に等しく、
前記加算回路は、前記増幅器と前記補助増幅器とに接続され、前記増幅器と前記補助増幅器とから、前記第2信号、前記第2ノイズ信号、前記第3信号、および前記第4信号を受信し、加算出力において結果信号を生成し、前記結果信号を前記フィードバック回路へ送信し、前記結果信号は、前記第2信号と第3信号との第1の加算と、前記第2ノイズ信号と前記第4信号との第2の加算とを含み、前記第2の加算は、前記第2ノイズ信号と前記第4信号との振幅が等しいが180度の逆位相を有するため、前記第2ノイズ信号および前記第4信号の除去をもたらし、
前記増幅器前記補助増幅器と前記加算回路の前記CMOSトランジスタおよび前記フィードバック回路は、絶縁体基板上の単一のシリコン上に配置される
低ノイズ増幅器回路。
【請求項2】
前記結果信号は、20GHzから50GHzまで2デシベル未満、3GHzから50GHzまで1.6dB未満の関連するノイズ指数を有する、
請求項1に記載の低ノイズ増幅器回路。
【請求項3】
前記フィードバック回路は、前記増幅器のドレインとゲートとの間に接続され、
前記補助増幅器は、前記第2ノイズ信号のために前記増幅器によって与えられる前記利得と同じ無負荷時利得を有する
請求項1に記載の低ノイズ増幅器回路。
【請求項4】
前記増幅器は、前記増幅器の前記出力として一緒に接続されたそれぞれのドレインと共にカスコードで接続された少なくとも2つのCMOSトランジスタを含み、
前記加算回路は、少なくとも1つのCMOSトランジスタを含み、
前記補助増幅器は、互いにカスコードで接続され、かつ、前記加算回路の前記少なくとも1つのCMOSトランジスタとカスコードで接続された一のCMOSトランジスタを含む、少なくとも2つのCMOSトランジスタを含み、
高出力インピーダンスのカスコード電流源は、前記補助増幅器のカスコードで接続されたトランジスタの1つに電流を注入するために、前記少なくとも1つのCMOSトランジスタのソースと前記一のCMOSトランジスタのドレインとの間のノードに接続し、注入された前記電流がカスコードで接続された前記少なくとも2つのCMOSトランジスタを流れる一方、前記加算回路の前記少なくとも1つのCMOSトランジスタを流れないように構成する
請求項1に記載の低ノイズ増幅器回路。
【請求項5】
前記増幅器の前記入力に接続され、前記周波数範囲の全体にわたってインピーダンス安定性を高めるように構成された少なくとも1つのキャパシタおよび1つのインダクタを含む、周波数整合ネットワークをさらに備える
請求項1に記載の低ノイズ増幅器回路。
【請求項6】
前記第2信号および前記第2ノイズ信号を、前記加算回路による前記第2信号および前記第2ノイズ信号の受信に先立ってハイパスフィルタする前記加算回路に接続されたハイパスフィルタを含む、
請求項1に記載の低ノイズ増幅器回路。
【請求項7】
前記補助増幅器において、一方のトランジスタのソースと他方のトランジスタのドレインとの間に接続され、補助増幅器の1または複数のトランジスタに関連する内部静電容量を補償することによって、前記周波数範囲にわたってインピーダンスを安定させるフィードバックを提供するように構成された少なくとも1つのインダクタをさらに含む
請求項1に記載の低ノイズ増幅器回路。
【請求項8】
前記フィードバック回路は、少なくとも第1抵抗器と直列の少なくとも1つのインダクタを含む請求項1に記載の低ノイズ増幅器回路。
【請求項9】
前記フィードバック回路は、少なくとも1つの前記インダクタと並列の第2抵抗器を含む請求項8に記載の低ノイズ増幅器回路。
【請求項10】
前記第2抵抗器および少なくとも1つの前記インダクタは、前記増幅器の出力にそれぞれ結合され、前記第1抵抗器の1つの端子は、前記増幅器の前記入力に結合される、請求項9に記載の低ノイズ増幅器回路。
【請求項11】
前記加算出力に結合された二次増幅段をさらに含み、前記二次増幅段は、最終出力で追加増幅を提供する請求項1に記載の低ノイズ増幅器回路。
【請求項12】
前記増幅器、フィードバック回路、補助増幅器、加算回路、および前記二次増幅段は、全て、45nmの12SOIを利用する絶縁体基板上の単一集積シリコンの一部として形成される、請求項11に記載の低ノイズ増幅器回路。
【請求項13】
前記二次増幅段は、前記加算出力から前記結果信号を受信する入力を有するカスコード回路を含み、前記カスコード回路は、共通ゲート構成を有する第2CMOS装置に結合された共通ソース構成を有する第1CMOS装置を有し、前記カスコード回路の前記入力は、前記第1CMOS装置のゲートに結合され、かつ前記カスコード回路からの出力は、前記第2CMOS装置のドレインである、請求項11に記載の低ノイズ増幅器回路。
【請求項14】
ソースフォロワとして構成された第3CMOS装置と、前記カスコード回路からの前記出力に結合された前記第3CMOS装置のゲートと、さらに増幅された信号を負荷に結合する前記第3CMOS装置のソースとをさらに含む、請求項13に記載の低ノイズ増幅器回路。
【請求項15】
前記第3CMOS装置の前記ソースに結合され、前記第3CMOS装置のためのバイアスを確立する2つのCMOS装置のうちの1つと共にカレントミラーの構成で結合された2つのCMOS装置をさらに含む、請求項14に記載の低ノイズ増幅器回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2019年4月30日に出願された米国特許出願第16/399,599号の一部継続出願であり、「Low Noise Amplifier With Noise Cancellation」と題する。
【0002】
本発明はノイズ除去を備えた広帯域の低ノイズ増幅器に関する。
【背景技術】
【0003】
本発明の実施形態は、ノイズ除去を有する低ノイズ増幅器に関し、ミリ波周波数での信号の増幅および超広帯域CMOS用途のための半導体装置としての実装に適しているが、これらに限定されない。
【0004】
不要な信号の存在を最小限に抑えるために、特に低周波電子装置において、除去技術が採用されてきた。例えば、望ましくない信号の大きさを最小限に抑えるために、望ましくない信号と180°位相がずれている望ましくない信号のレプリカを、望ましくない信号に結合または追加することができる。レプリカ信号が正確に180°位相がずれており、望ましくない信号と等しい大きさを有する「完全である」条件下では、これらの信号を一緒に加算すると、実質的に全除去となる。
【0005】
上述の技術を用いた不要な信号の除去は、より高いマイクロ波周波数およびミリ波周波数で、はるかに困難になる。除去される信号と等しい大きさだけでなく、完全な180°の位相関係を維持する上での課題のために、「完全である」レプリカ信号をより高い周波数で生成することはますます困難になる。除去される信号が増幅器と関連している場合、特に増幅器が高周波の実質的な範囲にわたって動作する場合には、さらに多くの課題が存在する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の実施形態の目的は、ノイズ除去を備えた低ノイズ増幅器、特にこれに限定されないが、低ノイズ指数を提供しながら、約0.5GHzから十分なミリ波周波数までの極めて広い範囲にわたって動作する増幅器の必要性を満たすことである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
低ノイズ増幅器の例示的な実施形態は、0.5GHz~50GHzの周波数範囲にわたって低ノイズ指数および動作を提供するために、積分ノイズ除去を有する。半導体増幅器は、入力信号を増幅するとともに、増幅された信号および増幅されたノイズが、それぞれ対応する入力と位相がずれ、位相が同相であるとともに、ノイズを増幅する。周波数に対して非線形であるフィードバック回路は、周波数範囲にわたって一定の増幅を可能にする。補助半導体増幅器は、同じ入力を増幅し、増幅された信号および増幅されたノイズを生成し、両方とも入力に対して位相がずれる。加算回路は、補助増幅器が増幅器と同じ量の増幅を提供し、加算される増幅されたノイズ信号が互いに180度位相がずれているので、これらの増幅された信号の全てをノイズ成分が除去されるように組み合わせる。任意の二次増幅段階は、追加の増幅を提供する。好ましくは、増幅器、補助増幅器、および加算装置は、周波数範囲にわたるインピーダンス安定化を備えたSOI基板上に配置されたCMOSトランジスタを利用する。
【0008】
本発明の例示的な実施形態の特徴は、説明、特許請求の範囲、および添付の図面から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施形態によるノイズ除去を備えた低ノイズ増幅器の概念を示す簡略概略図である。
図2】本発明の一実施形態によるノイズ除去を備えた低ノイズ増幅器の一実施形態の概略図である。
図3】45nmの12 SIO(絶縁体上のシリコン)を使用する72μmのCMOS半導体装置について予想されるノイズ指数および利得を示すグラフである。
図4】ミリ波周波数での動作に適した、本発明の一実施形態によるノイズ除去を備えた低ノイズ増幅器のより詳細な概略図である。
図5】装置抽出の前後にそれぞれ図5に示す実施形態についてのノイズ指数のグラフである。
図6】装置抽出の前後にそれぞれ図5に示す実施形態についてのノイズ指数のグラフである。
図7図5に示される実施形態について、40~60GHzのミリメートル周波数範囲にわたる利得および入力出力リターンロスを示すグラフである。
図8図5に示す実施形態に関連する3次歪みを示すグラフである。
図9A】広範囲の周波数にわたる動作に適したノイズ除去を備えた低ノイズ増幅器の概略図である。
図9B】方程式を含む説明の理解を助けるために、低ノイズ増幅器の簡略化された概略図である。
図10】示された広範囲の周波数にわたって、図9Aに示された実施形態の利得および入力出力リターンロスを示すグラフである。
図11】示された広範囲の周波数にわたって、図9Aに示された実施形態のノイズ指数を示すグラフである。
図12図9Aに示す実施形態に関連する3次歪みを示すグラフである。
図13】広範囲の周波数にわたって増加した利得を提供するのに適したさらなる増幅段を含むノイズ除去を備えた低ノイズ増幅器の概略図である。
図14図13に示す実施形態の利得および入力出力リターンロスを示すグラフである。
図15】示された広範囲の周波数にわたって、図13に示された実施形態のノイズ指数を示すグラフである。
図16図13に示す実施形態に関連する3次歪みを示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の実施形態の1つの態様は、ノイズ除去を達成するために二次増幅段と信号加算を利用することによって、LNAの第1増幅段に付随するノイズに対するノイズ除去を提供することによって、LNA回路の出力におけるノイズは、主に、二次増幅段と加算段に付随するノイズのみによって決定されるという認識にある。二次段および加算段は、ミリ波動作周波数においても非常に低いノイズ指数を達成するように選択および構成することができる。
【0011】
0.5GHz~50GHzの動作範囲を有する実施形態の別の態様は、ノイズフィードバック信号に関連する利得が広範囲の周波数にわたって実質的に一定のままであるように、ノイズ除去に関与する能動装置に関連する固有の寄生静電容量、例えば、入力静電容量Cgs、CdsおよびCgdを考慮に入れるべきであるという認識にある。これは、広範囲の周波数にわたってノイズ除去フィードバック信号に対して実質的に平坦/一定の利得を維持するために寄生静電容量の影響を補償するノイズ除去フィードバック経路内の周波数依存回路を利用することによって達成される。
【0012】
図1は、本発明の実施形態100によるノイズ除去を備えた低ノイズ増幅器の概念を示す簡略化された概略図を示す。共通ソーストランジスタ105は、その出力Yが加算段110の1つの入力に結合された増幅段を提供する。また、トランジスタ105への入力Xは、その出力が加算段110の他方の入力に接続されている反転増幅器115への入力を提供する。抵抗Rは入力信号源の抵抗を表し、抵抗Rはフィードバック抵抗であり、その結果、増幅段によって与えられる増幅は、Y=X*(1-g*R)となる。ノードXからノードYまでのノイズ増幅率は、1+R/Rである。
【0013】
*Rが1より大である場合、Xにおける入力信号電圧Vrfは、増幅され、そしてVrf電圧と180°位相がずれているYにおける電圧を提供するために増幅される。電圧Vは、トランジスタ105の入出力において同じ位相を有するノイズ電圧を表す。増幅器115によって提供される180°の位相反転は、増幅器115によって反転された信号VrfがYにおける信号Vrfと同じ位相を有し、したがって、信号は同相であり、加算器110のアウトプットにおいて大きさが加算される。しかしながら、増幅器115によって提供される180°位相反転は、XからのノイズVが増幅され、増幅器115の出力におけるYでのノイズと180°位相がずれる結果となる。したがって、加算回路110で結合されるノイズ信号は、加算回路110の出力で減算される、すなわち逆の大きさで位相がずれる。ノイズ除去を最大にするために、増幅器115によって提供される増幅は、増幅器115の出力で提供されるノイズの大きさがYでのノイズと同じ大きさであるが逆位相であるように、-(1+R/R)であるべきである。入力増幅段105のノイズが除去されると、次いで、全体回路のノイズは、二次段、増幅器115、および加算回路110のノイズによってのみ実質的に決定される。加算回路110は、3つの抵抗器の「Y」接続であってもよく、または、2つの信号経路を組み合わせるために、例えばトランジスタのような能動装置を使用してもよい。
【0014】
図2は、本発明によるノイズ除去を備えた低ノイズ増幅器の実施形態200のより詳細な概略図を示す。実施例200では、実施例100について説明したのと同じノイズ除去の基本原理が利用される。整合増幅器Q1Bは、増幅段を形成するために増幅器Q1Aと連動して動作する抵抗性フィードバックインバータとして実装される。増幅器段の全トランスコンダクタンス利得はg=gm.nmos+gm.pmos、すなわちQ1AとQ1Bの利得の合計である。物理的に実現される装置のサイズが増大するにつれて、ドレイン‐ソース間抵抗Rdsが減少し、これによりノイズ信号がチャンネル内に漏れて戻り、除去されないことに注意すべきである。さらに、両方の能動入力増幅装置は、入力寄生静電容量を示し、その結果、周波数依存性のノイズ信号漏洩が生じる。
【0015】
結合された二次段および加算器205は、カスコード共通ソース増幅器Q2AおよびQ2Bの上部にソースフォロワQ3として実装される。ノイズ電圧利得A(=-(1+R/R))は、-gm2A/gm3に等しい。したがって、Q2Bのドレインから来るノイズ信号の大きさがQ3のソースから来るノイズ信号の大きさと同じになるように、Q2A装置は正しい利得を達成するためにQ3のA倍の物理的なサイズにする必要がある。これは、増幅器Q1Aのドレインからの出力の利得が「A」であることを意味している。Q2AのサイズがQ1AおよびQ1Bのゲートでの入力静電容量よりも大きすぎると、Cgs2(Q2Aのゲートからソースの静電容量)が入力整合に影響するため、サイジングを考慮する必要がある。ソースフォロワQ3よりもはるかに大きいので、共通ソースカスコード装置Q2AおよびQ2Bからの電流を操縦するのを助けるために、別個の電流源215を使用することができる。ハイパスフィルタ、キャパシタCおよび抵抗Rは、Q3の入力ゲートに結合された増幅された信号をフィルタリングする。バイアス電圧は示されていないが、後述する実施形態を考慮すると当業者には明らかであろう。
【0016】
図3は、示されるような周波数に対して0.8vおよび10mAで動作する45nm 12 SIO(絶縁体上シリコン)技術を使用する72μmCMOS半導体装置について予想される、両方ともデシベルでのノイズ指数305および利得310を示すグラフを示す。ノイズ指数は、60GHzで3db未満、40GHzで約2db未満であり、より低い周波数でのそれよりも低いことに留意されたい。40GHzでの最大利得は約11dbであり、60GHzでほぼ10db以下に実質的に直線的に降下する。これは、本発明の実施形態における使用のための適合性を実証する。
【0017】
図4は、ミリ波周波数の範囲、すなわち40GHz~60GHzにわたる動作に適したノイズ除去を備えた低ノイズ増幅器の実施形態400のより詳細な概略図を示す。実施形態400は、実施形態200と実質的に同様であり、同じ原理を使用して動作する。したがって、これらの実施形態間の相違のみが主に議論される。実施形態200における5つの能動装置は、それぞれのトランジスタが対応する機能を実行する、実施形態400における類似の回路位置において、それぞれの5つの装置T1~T5に対応する。整合ネットワーク405は、キャパシタC1とともに、入力整合ネットワークを形成し、信号源407とトランジスタT4およびT5によって提供される一次増幅段のゲートとの間のインピーダンス整合を提供する。同様に、キャパシタC2とともに整合ネットワーク410は、増幅された出力、すなわちトランジスタT3のソースと、抵抗RLOADよって表されるような増幅された信号を受信するための次の段との間のインピーダンス整合を提供するために、出力整合ネットワークを形成する。例示的実施形態400では、増幅器は、40GHz~60GHzのミリメートル波動作に適している。DC供給電圧源415は、能動装置に電力を供給するために、図示のように提供される。理解されるように、トランジスタT2のゲートに付随するDCバイアス電圧源420は、トランジスタT2を動作の活性線形領域にバイアスするために適切なDC電圧に設定されるであろう。
【0018】
実施形態400は、電流源425と、ミリメートル波長(MMW)周波数での広帯域動作を強化する入出力整合ネットワーク405および410との実装を提供する。20GHz範囲の動作を持つMMW応用のための成功したノイズ除去(NC)LNAは挑戦的である。補助増幅器T1/T3の利得選択は、入力段T4/T5におけるノイズ信号の電圧増幅比に基づくことが好ましい。重大な段間インピーダンス不整合またはノイズ電流漏れが存在する場合、入力段からのノイズの効果的な除去は出力において生じない。しかしながら、ギガヘルツ周波数での整合ネットワークの実施は、寄生を加えるなどの複雑さを提供する。例えば、インダクタは、一般に、CMOS技術で実装されるインダクタと同様に、インダクタ自体のインダクタンスおよび寄生静電容量の値に基づく自己共振周波数(SRF)を示す。また、インダクタに関連する抵抗損失もある。これらの要因は、動作の帯域幅(BW)に悪影響を及ぼす可能性がある。これらの考慮から、入力増幅段の利得は、補助増幅器の無負荷利得よりも、例えば5倍高いことが好ましい。これは、補助増幅器の利得(すなわち、|1+R/R|>gm2/gm3)よりも実質的に大きいR/R比(例:5倍以上)を選択することで実現できる。T1とT2は同じサイズであるため、利得(gm1/gm3)=(gm2/gm3)となる。入力段利得を高くすると、ノイズが入力段利得によってスケールダウンされるため、フィードバック抵抗Rのノイズ寄与も小さくなる。
【0019】
入力段とフィードバック抵抗のノイズ寄与が今度は最小化されるので、出力段(補助増幅器プラス加算器)に関連するノイズが全体のLNAノイズを支配することになる。gm1およびgm2を増加させることは、より高い出力段利得をもたらし、それによってノイズを減少させることができる。これを達成する1つの方法は、外部電流源からの電流をステアリングすることである。トランジスタT1およびT2は、トランジスタT3よりも高いgm値を有するので、トランジスタT1およびT2は、トランジスタT3を通る電流に干渉することなく、より多くのDC電流を運ぶことができる。したがって、外部電流源を使用して、トランジスタT1およびT2のみに電流を供給することができる。補助増幅器から十分な絶縁を提供しない単純な電流源は、MMW周波数でのノイズ性能と周波数応答を劣化させる結果となる。これを克服するために、トランジスタT6~T9およびバイパスキャパシタC5を有するカスコード電流源425が、補助増幅器への望ましくない負荷効果を低減するために使用される。
【0020】
追加の拡張は、拡張された帯域幅にわたるMMW周波数でのより効果的な動作を支援する。具体的には、インダクティブデジェネレーションを出力段に組み込み、ノイズ低減を強化する。例えば、T1のソースと直列のインダクタL3および増幅段内部入力静電容量Cgsと直列のインダクタL1を使用すると、周波数帯域幅の大部分にわたって所望の実際の入力インピーダンスが得られる。L3によるインダクティブデジェネレーションの使用は、広い周波数範囲にわたって改善された性能をもたらす。L3の適切な選択は、片手での入力インピーダンスと広帯域整合とノイズ係数(NF)性能の間のバランスである。共通ゲートトランジスタT2のT3のソースとドレインの間にインダクタL4を挿入することにより、寄生低減技術を補助増幅器に適用することができる。これは、T3については全体の直列静電容量Cgsを、T2についてはCdsを除去/低減する効果を有する。装置のサイズおよび寄生静電容量L4に基づいて選択された値を有するインダクタL4は、T2とT3との間の整合を実現するのに役立ち、その結果、最適な電流が流れ、システム内の利得が増加する。事実上、インダクタL4は、容量性の高い出力インピーダンス(T2のドレインを見ると)を、2つのトランジスタ間により効果的に電流が流れる、より低いインピーダンス値に変換する。この補正は、より高い利得の結果として周波数の安定性が損なわれず、出力リターンロスも損なわれないように最適化されることが好ましい。例えば、45nmの12SOI技術の場合、装置のサイズT1/T2に応じて、L4は、低電力用途の場合、80~150pHの範囲とすることができる。副段負荷効果の実績としてノイズ指数をさらに低減するために、数キロオームのゲート抵抗Rが使用される。T4/T5のドレインとT3のCgsの間の直列静電容量とゲート抵抗Rの組合せは、ハイパスフィルタを形成する。ハイパスフィルタは、希望する動作周波数範囲の低周波数を設定する。MMW応用のために、1ピコファラドの分数の低損失キャパシタ値を使用することができる。
【0021】
インダクタは、特にMMW周波数でのインピーダンス整合において重要であり、それらのインダクタンス値、Q係数、およびSRFに対して特性化されることが好ましい。すべてのインダクタは、好ましくは、40GHz~60GHzの範囲で増幅器を動作させるために、100GHzを超えるSRFを示す必要がある。さらに、SOI技術におけるインダクタは、バルクシリコンで実装されるインダクタと比較して、より少ないオーム損失を被ることが期待される。
【0022】
動作周波数およびBWをさらに高めるために、広帯域入力整合ネットワーク405が使用されるべきである。入力および出力DCブロッキングキャパシタC1、C2は、好ましくは、入力および出力整合ネットワークの一部として組み込まれる。これは、これらのキャパシタがMMW周波数では典型的に小さく、例えば1pF未満であり、寄生および損失がより小さくなるので好ましい。分路インダクタ(L2=106pH)、直列インダクタ(L1=100pH)、および分路キャパシタ(C4=26.5×10-15ファラド)の組合せは、電源インピーダンスへの広帯域インピーダンス変換を提供する。
【0023】
図5および図6は、装置抽出の前後にそれぞれ図5に示す実施例についてのノイズ図のグラフ500および600である。装置抽出は、装置の集積回路レイアウトに続いて、装置の種々のノードにおける抵抗、静電容量、およびインダクタンスを決定する。それは、装置の実際に実現可能な挙動をより良く予測する。図6に示すように、抽出を行い、すべての有意なノードにおける装置静電容量および抵抗を計算した。図示のように、40GHzから60GHzまでの20GHz以上の3dBのNFまたはそれ以下が達成される。
【0024】
図7は、図5に示される実施形態についての、40~60GHzのミリメートル周波数範囲にわたる利得705、入力リターンロス710、および出力リターンロス715を示すグラフ700である。
【0025】
図8は、図5に示された実施形態に関連する3次歪みについてのシミュレートされた2トーン試験の結果を表示するグラフ800である。グラフ800は、典型的な2階調テストのプロットである。増幅器の入力に二つの周波数信号f1とf2(周波数間隔0.5GHzのもの)が注入される。信号f1,f2のパワーを増加させ、増幅器の出力でf1信号、f2信号、2f1-f2,2f2-f1における歪み結果のパワーを測定する。出力三次相互変調積(OIP3、Output Third-order Intermodulation Product)は、外挿された電力線傾斜805と810の交差から達成される。805および810の直線勾配は、それぞれ1および3である。OIP3に対する15dBmの予測値は、MMW周波数での低電力応用に対して非常に良好である。
【0026】
付加的線形化技術は、NFと入力整合、例えばデリバティブ重合せ(DS、Derivative Superposition)に悪影響を及ぼすことなく、NCLNA回路に適用できる。DSは、入力増幅段におけるT4/T5の相補的性質を利用する。PMOS(T5)およびNMOS(T4)のゲートに異なるバイアスをかけることによって、および/またはT4対T5の個々の物理的サイズを調整することによって、両方の装置T4/T5が共通のドレイン電流を共有するので、位相がずれた非線形相互コンダクタンス係数(Id対Vgsの3次導関数)が生成され、加算後に除去される。これは、ドレイン電流内の三次非線形性係数の低減の判定として、更なる入力三次相互変調積(IIP3)改善をもたらす。5dBmをはるかに超えるIIP3が、上記の線形化技術を用いて達成可能である。トランジスタT4、T5およびT1は、図4に示されるように共通のゲート電圧を共有するが、T1トランジスタのT4/T5へのACのみの結合を提供すること(例えば、直列キャパシタを使用すること)は、DS線形化を強化することができる。これは、もちろん、独立したゲートバイアス電圧をT1ゲートに与えるためにバイアス抵抗/回路の追加を必要とするであろう。
【0027】
図9Aは、周波数0.5GHz~40GHzにわたる低ノイズ動作に適したノイズ除去を備えた低ノイズ増幅器900の概略図を示す。この例示的実施形態は、この範囲の周波数で利用可能なその低ノイズ指数および利得、および相対的な低コストのために選択された12 SOI 45nm CMOS技術を利用する。低ノイズ増幅器900は、増幅器400と実質的に類似しているので、この回路の説明は、増幅器900と増幅器400との間の差に集中するであろう。図2に関してより詳細に説明するように、増幅器400の抵抗Rは、ノイズ信号の増幅を制御し、一定の利得係数を提供するフィードバック要素である。
【0028】
能動装置の固有の入力静電容量であるCinputまたはCinの存在は、入力インピーダンスが周波数に依存するので、ノイズ除去メカニズムに複雑さを加える。以下の説明は、インダクタL2が役立つ理由を説明するためのものである。単一のフィードバック抵抗Rのみが使用される図2の回路を参照する。入力インピーダンスは周波数によって変化するため、ノイズ増幅は周波数によって変化する。フィードバック装置の入力インピーダンスは、ほぼ次に等しいことが示され得る。
in=1/(g+SCin)ここで、gは装置相互コンダクタンスであり、S=jω=j2πfは一般に複素周波数である。
【0029】
入力インピーダンスが反応性になると、入力静電容量にノイズ電流が流れ、周波数の増加に伴ってノイズ除去が不足する。従って、ノイズ電圧利得、即ち、Q1Aのドレインおよびゲートにおけるノードのノイズ電圧の比率は、以下に示すように、周波数に依存し、周波数が増加するにつれて増大する。
【数1】

入力電圧利得(入力電圧に対するQ1Aのゲートの電圧の比率)は、次式によって示されるように、周波数の増加と共に減少する。
【数2】

上記の解析は、ノイズ除去が装置の寄生静電容量による周波数の増加と共に劣化することを示している。従って、ノイズ除去は超広帯域動作のために装置寄生を克服しなければならない。
図9Aを参照すると、フィードバック回路905は、この能動増幅器に関連する寄生静電容量の影響を補償するために周波数によって変化する利得を提供し、その結果、同位相および同位相外のノイズ信号の最大除去を維持するために、実質的に一定のフィードバック利得が周波数範囲にわたってノイズ信号に印加される。例示的なフィードバック回路905は、抵抗器R1、抵抗器R2、およびインダクタL2を含む。周波数の範囲のより低い周波数では、インダクタL2は、抵抗R2にわたって非常に低いインピーダンスを提供し、その結果、抵抗R1が主に利得係数を決定する。周波数の範囲内で周波数が増加すると、インダクタL2のインピーダンスは増加し、その結果、利得係数は、抵抗R2とインダクタL2との並列の組み合わせで表されるインピーダンスと直列の抵抗R1によって決定される。これは、周波数の増加とともに正の利得スロープを生成するという影響を持っている。抵抗R1およびR2およびインダクタL2の値は、Q1Aに関連する寄生静電容量による利得のロールオフ/減少をオフセットする正の利得スロープを提供するように選択され、その結果、正味の効果は、極めて広い動作周波数範囲にわたって一定/平坦利得プロファイルを提供することである。インダクタL2は、動作の最高周波数を超える自己共振周波数を有するべきである。利得対周波数のスロープを変化させることを提供する他のフィードバック回路、例えば、キャパシタを有する回路、またはインダクタとキャパシタの組み合わせを利用することができる。
【0030】
図9Bは、超広帯域動作のより詳細な数学的表現および説明が提示される、図9Aの簡略版を提供する。ノイズ解析のために、C1は回路から除去され、Q1bのノイズの寄与は無視されている。L1が存在すると、装置の入力静電容量が部分的に除去され、その結果、以下の式に示すように、より広い周波数にわたって、より良い入力整合条件と動作が得られる。
【数3】

L1、L2、およびR2の存在は、ノードxとyの間の信号利得およびノイズ利得に対する新しい表現をもたらす。これらの方程式を調べると、利得伝達関数にゼロを効果的に挿入することにより、ノイズ漏れの低減と除去および信号利得の再成形と拡張が明らかになる。この付加的なゼロは、利得における上方への傾斜を提供する一方で、装置入力寄生静電容量およびミラー効果静電容量は、動作の帯域幅を減少させる傾向がある。ノイズ利得と信号利得の式を以下に示す。
【数4】

ここで
【数5】

そして
【数6】

ここで、
(jω)は、R1、R2、およびL2を含むQ1aフィードバックインピーダンスである。
Q1ノイズ電流によるノードxおよびyのノイズ電圧の式は、次式で与えられる。
【数7】

ここで
n1=4kTγgm1
k=1.38x10-23J/Kはボルツマン定数
T=ケルビン温度
m1=Q1aの相互コンダクタンス

【数8】

直流Vnyでは、以下の期待される式まで減少することに注意する。
【数9】

ノイズ除去の場合、補助増幅器の利得は周波数に依存し、次式で与えられる。
【数10】

DCにおける上記の利得は、以下の期待される式に減少することに留意されたい。
【数11】

入力から出力までの全信号利得を決定するために、まず重ね合わせ原理を用いて出力信号Voutを決定する。
【数12】

ここで
【数13】

O2(s)=固有成分rO2とCds2を含むQ2の出力インピーダンス
out=Vout1+Vout2=補助経路と主経路による出力の電圧の合計
が存在しV=0の場合、Vout=Vout1
が存在しV=0の場合、Vout=Vout2
合計信号利得は、以下のように書くことができる。
【数14】

ここで
【数15】

m1=1/Rの場合、信号利得は期待どおりに-R/Rに減少することに注意する。
図9Bの回路の簡略化されたノイズ指数式は、次のように書くことができる。
【数16】

ここで、
【数17】

【数18】

【数19】

補助増幅器/加算器(adder)回路のノイズは、以下のようにさらに簡略化されることができる。
【数20】

ここで、
【数21】

ds2=Q2のドレイン・ソース間の固有装置静電容量
r02、r03は,Q2およびQ3の固有抵抗である。
m2およびgm3は、Q2およびQ3トランジスタの相互コンダクタンスである。
インダクタンスLとgm3を適切に選択することにより、補助増幅器/加算器のノイズを最小限に抑えることができることを示した。
さらに、信号利得Avsigは比率gm2/gm3に比例するので、NFは全信号利得によって正規化されるので、この比率を増加することによって減少させることができる。
増幅器900に関連する他の係数もまた、低ノイズ指数を有する例外的に広い帯域幅に寄与する。なお、キャパシタC2と抵抗RB1との組み合わせが段間ハイパスフィルタを構成している。したがって、これらの成分の値は、所望の最高動作周波数が、高域フィルタを低すぎる周波数に設定することによって制限されないように選択されるべきである。Q2Aの供給源と直列にあるインダクタL3 は、Q2AのCgsによる寄生効果を無効にするのに役立つ。インダクタL3と並列の抵抗R3は、装置バイアス条件に悪影響を及ぼすことなく、Q2Aの入力インピーダンスの最適化を支援する。
【0031】
インダクタL4は、寄生静電容量(Q3の場合はCgs、Q2Bの場合はCds)の低減に役立ち、Q3とQ2Bの間の整合を提供する。このインダクタは、Q2Bのドレインを見て容量性出力インピーダンスをより低いインピーダンス値に変換し、2つのトランジスタ間の電流のより実効的な流れを可能にする。
【0032】
m2/gm3の比率(トランジスタ2および3の利得)がQ2/Q3によって与えられる副増幅の利得を決定するので、Q2装置のサイズが大きいほど、利得が高くなり、利得が増大するために装置ノイズ率が低下する。
【0033】
出力負荷は、低周波数でインダクティブであるソースフォロワQ3を見るインピーダンスに比例するので、(Cgsと並列の)キャパシタC3の追加は、数ギガヘルツまでの低周波数での装置帯域幅に寄与する。低周波動作を拡張するために、入力および出力DCブロッキングキャパシタC1およびC4は、好ましくは、この周波数性能に必要なサイズの静電容量を収容するためにオフチップ部品であるべきである。バイパスキャパシタと同様に他の整合ネットワークも45nm SOI技術で実現できる。
【0034】
図10は、1GHz未満から40GHzまで広がる示された広範囲の周波数にわたって、図9Aに示される実施形態についての利得1005および入力リターンロス1010および出力リターンロス1015を示すグラフである。
【0035】
図11は、示された広範囲の周波数にわたって、図9Aに示された実施形態に対するノイズ指数1105を示すグラフである。2GHz未満の周波数に対するノイズ指数は、動作範囲の残りの部分に対して達成されるものよりも高い一方、回路は、依然としてかなりの利得を提供し、これらのより低い周波数においても動作可能である。
【0036】
図12は、図9Aに示された実施形態に関連する3次歪みについてのシミュレートされた2トーン試験の結果を表示するグラフである。グラフは、典型的な2階調テストのプロットである。増幅器の入力には二つの周波数信号f1=30GHzとf2=30.5GHzが注入される。信号f1,f2のパワーを増加させ、増幅器の出力でf1信号、f2信号、2f1-f2,2f2-f1における歪み結果のパワーを測定する。出力三次相互変調積(OIP3)は、外挿された電力線傾斜1205および1210の交差から達成される。1205および1210の直線勾配は、それぞれ1および3である。OIP3に対する15dBmの予測値は、MMW周波数での低電力応用に対して非常に良好である。
【0037】
図13は、ノイズ除去を備えた第1段1310と、広範囲の周波数にわたって追加の利得を提供するのに適したさらなる増幅段1315とを含む低ノイズ増幅器1305の概略図である。段1310は、増幅器900と同じであり、したがって、追加の議論を必要としない。段1315は、カスコード装置(Q4AおよびQ4B)と、50オーム負荷にブロードバンド整合を提供するソースフォロワQ84とからなる。カスコード装置のための能動負荷Q5は、電力消費を低減するために利用される。装置Q4Bは、Q4Aに対して絶縁を提供することで、広い周波数範囲にわたって装置Q4Aの周波数安定性を向上させる。Q6とQ7からなるカレントミラーは、出力装置Q8のバイアスとエミッタフォロワQ8の負荷の一部を提供する。カレントミラーは、バイアス抵抗RB3によって制御されるように、出力装置Q8に供給される電流を決定する。低ノイズ増幅器1305は、システムオンチップ用途として、集積マイクロ波アセンブリとして、または通信受信機内などのスタンドアロンモジュールとして使用するのに適している。インダクタL5とL6は、それぞれQ4AとQ8に広帯域のインピーダンス整合を提供する。
【0038】
図14は、図13に示される実施形態についての利得1405および入力リターンロス1410および出力リターンロス1415を示すグラフである。利得は、0.5GHz未満から50GHzまでのわずか20dB以上で実質的に平坦であることに注意する。すなわち、実質的に平坦な利得は、周波数範囲にわたって2dB以上変動しない。
【0039】
図15は、示された広範囲の周波数にわたって、図13に示された実施形態についてのノイズ指数1505を示すグラフである。1GHzから50GHzでは、ノイズ指数は2dB以下であり、3GHzから50GHzでは、ノイズ指数は1.6dB以下のままである。ノイズ指数は、約3GHz以下ではより高いが、増幅器は依然として機能しており、範囲内のより高い周波数におけるものと同様に、より低い周波数におけるものと同じ利得を提供することに留意されたい。したがって、これらのより低い周波数におけるものであっても、多くの用途に対する動作に適している。
【0040】
図16は、図13に示された実施形態に関連付けられた3次歪みについてのシミュレートされた2トーン試験の結果を表示するグラフである。グラフは、典型的な2階調テストのプロットである。増幅器の入力には、2つの周波数信号f1=30GHzおよびf2=30.5GHzが注入される。信号f1,f2のパワーを増加させ、増幅器の出力でf1信号、f2信号、2f1-f2,2f2-f1における歪み結果のパワーを測定する。約2 dBmの出力三次相互変調積(OIP3)を、外挿した電力線傾斜1605と1610の交差から達成した。1605および1610の直線勾配は、それぞれ1および3である。約-18dBmのIIP3の予測値は、高い利得の観点から予想される。直線性は、出力段装置のサイズおよび直線性向上技術を増加させることによって改善することができる。
【0041】
本発明の例示的な実施態様を本明細書に示し、詳細に説明したが、本発明の精神から逸脱することなく、様々な修正、追加、置換などを行うことができることが当業者には明らかであろう。例えば、例示的な実施形態のすべての構成要素は、(特に述べられたものを除いて)CMOS SOI基板内に組み込まれるものとして想定されるが、同様のまたは異なる動作周波数に対処する実装形態のために、他の半導体技術を使用することができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9A
図9B
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16