(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-17
(45)【発行日】2025-02-26
(54)【発明の名称】非接触給電システム、サーバ及び非接触給電システムの利用料金算出方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 30/04 20120101AFI20250218BHJP
G08G 1/09 20060101ALI20250218BHJP
H02J 50/10 20160101ALI20250218BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20250218BHJP
H02J 13/00 20060101ALI20250218BHJP
G06Q 50/06 20240101ALI20250218BHJP
B60L 53/12 20190101ALI20250218BHJP
B60M 7/00 20060101ALI20250218BHJP
B60L 53/68 20190101ALI20250218BHJP
G16Y 10/40 20200101ALI20250218BHJP
G16Y 40/10 20200101ALI20250218BHJP
【FI】
G06Q30/04
G08G1/09 F
H02J50/10
H02J7/00 P
H02J7/00 301D
H02J13/00 301A
G06Q50/06
B60L53/12
B60M7/00 X
B60L53/68
G16Y10/40
G16Y40/10
(21)【出願番号】P 2022034840
(22)【出願日】2022-03-07
【審査請求日】2024-04-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100147555
【氏名又は名称】伊藤 公一
(74)【代理人】
【識別番号】100123593
【氏名又は名称】関根 宣夫
(74)【代理人】
【識別番号】100133835
【氏名又は名称】河野 努
(74)【代理人】
【識別番号】100167461
【氏名又は名称】上木 亮平
(72)【発明者】
【氏名】木村 和峰
(72)【発明者】
【氏名】橋本 俊哉
(72)【発明者】
【氏名】橋本 眞
(72)【発明者】
【氏名】谷 恵亮
(72)【発明者】
【氏名】金▲崎▼ 正樹
(72)【発明者】
【氏名】山口 宜久
(72)【発明者】
【氏名】大林 和良
(72)【発明者】
【氏名】竹村 優一
【審査官】関 博文
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-102696(JP,A)
【文献】特開2014-079077(JP,A)
【文献】特開2016-218648(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
G08G 1/09
H02J 50/10
H02J 7/00
H02J 13/00
B60L 53/12
B60M 7/00
B60L 53/68
G16Y 10/40
G16Y 20/20
G16Y 40/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体と、
前記移動体に対して非接触給電を実施可能に構成された地上給電装置と、
前記移動体及び前記地上給電装置のそれぞれと通信可能に構成されたサーバと、
を備える非接触給電システムであって、
前記サーバは、
前記移動体又は前記地上給電装置の少なくとも一方から受信した情報に基づいて、前記移動体による前記地上給電装置の利用回数を把握し、
前記利用回数に基づいて、前記移動体の非接触給電システムのシステム利用料を算出し、
前記地上給電装置は、
前記移動体に電力を送電すると、送電カウント数を含む前記移動体の利用履歴通知を前記サーバに送信し、
前記サーバは、
前記地上給電装置から受信した前記送電カウント数を積算することにより、前記利用回数を算出し、
前記地上給電装置は、
前記移動体に対して送電を継続した送電時間に基づいて、前記送電カウント数を算出する、
非接触給電システム。
【請求項2】
移動体と、
前記移動体に対して非接触給電を実施可能に構成された地上給電装置と、
前記移動体及び前記地上給電装置のそれぞれと通信可能に構成されたサーバと、
を備える非接触給電システムであって、
前記サーバは、
前記移動体又は前記地上給電装置の少なくとも一方から受信した情報に基づいて、前記移動体による前記地上給電装置の利用回数を把握し、
前記利用回数に基づいて、前記移動体の非接触給電システムのシステム利用料を算出し、
前記移動体は、
前記地上給電装置から電力を受電すると受電カウント数を算出し、
前記受電カウント数を積算することにより算出した前記利用回数を前記サーバに送信
し、
前記地上給電装置から電力を継続して受電した受電時間に基づいて、前記受電カウント数を算出する、
非接触給電システム。
【請求項3】
移動体と、
前記移動体に対して非接触給電を実施可能に構成された地上給電装置と、
前記移動体及び前記地上給電装置のそれぞれと通信可能に構成されたサーバと、
を備える非接触給電システムであって、
前記サーバは、
前記移動体又は前記地上給電装置の少なくとも一方から受信した情報に基づいて、前記移動体による前記地上給電装置の利用回数を把握し、
前記利用回数に基づいて、前記移動体の非接触給電システムのシステム利用料を算出し、
前記地上給電装置は、
前記移動体に送電すると送電カウント数を算出し、
前記移動体は、
前記地上給電装置から受電すると受電カウント数を算出し、
前記サーバは、
前記送電カウント数の積算値と、前記受電カウント数の積算値と、に基づいて、前記利用回数を算出する、
非接触給電システム。
【請求項4】
前記サーバは、
前記送電カウント数の積算値と、前記受電カウント数の積算値と、が異なる場合は、前記受電カウント数に応じて算出された前記利用回数に基づいて、前記システム利用料を算出する、
請求項3に記載の非接触給電システム。
【請求項5】
前記サーバは、
前記送電カウント数の積算値と、前記受電カウント数の積算値と、の平均値に応じて算出された前記利用回数に基づいて、前記システム利用料を算出する、
請求項3に記載の非接触給電システム。
【請求項6】
前記サーバは、
予め設定された単位料金に、前記利用回数を掛け合わせることで前記システム利用料を算出する、
請求項1から
請求項5までのいずれか1項に記載の非接触給電システム。
【請求項7】
前記単位料金は、
前記移動体が前記地上給電装置から電力を受電したときの単位時間当たりの標準的な受電電力量に相当する料金である、
請求項6に記載の非接触給電システム。
【請求項8】
前記サーバは、
前記移動体と関連付けられた非接触給電システムの利用者に対して、前記システム利用料を課金する、
請求項1から
請求項7までのいずれか1項に記載の非接触給電システム。
【請求項9】
処理部と、
非接触給電システムを構成する移動体及び地上給電装置のそれぞれと通信する通信部と、
を備えるサーバであって、
前記処理部は、
前記移動体又は前記地上給電装置の少なくとも一方から受信した情報に基づいて、前記移動体による前記地上給電装置の利用回数を把握し、
前記利用回数に基づいて、前記移動体の非接触給電システムのシステム利用料を算出し、
前記通信部は、
前記地上給電装置が前記移動体に対して送電を継続した送電時間に基づいて、前記地上給電装置において算出された送電カウント数を含む前記移動体の利用履歴通知を、前記地上給電装置から受信し、
前記処理部は、
前記地上給電装置から受信した前記送電カウント数を積算することにより、前記利用回数を算出する、
サーバ。
【請求項10】
移動体及び前記移動体に対して非接触給電を実施する地上給電装置のそれぞれと通信可能なサーバによって実行される、非接触給電システムの利用料金算出方法であって、
前記移動体又は前記地上給電装置の少なくとも一方から受信した情報に基づいて、前記移動体による前記地上給電装置の利用回数を把握する工程と、
前記利用回数に基づいて、前記移動体の非接触給電システムのシステム利用料を算出する工程と、
前記地上給電装置が前記移動体に対して送電を継続した送電時間に基づいて、前記地上給電装置において算出された送電カウント数を含む前記移動体の利用履歴通知を、前記地上給電装置から受信する工程と、
前記地上給電装置から受信した前記送電カウント数を積算することにより、前記利用回数を算出する工程と、
を備える非接触給電システムの利用料金算出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非接触給電システム、サーバ及び非接触給電システムの利用料金算出方法
に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、磁界結合(電磁誘導)、電界結合、磁界共振結合(磁界共鳴)及び電界共振結合(電界共鳴)のような伝送方式を用いて、地面に設けられた地上給電装置から、走行中の車両に電力を非接触で伝送する非接触給電システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
非接触給電システムでは、地上給電装置側の送電電力量と車両側の受電電力量とが一致するわけではないので、非接触給電システムを利用した際のシステム利用料(電気料金を含む、システム利用者が支払う、金額やポイント数、チケット枚数等のシステム利用に対する対価)を、システム利用者の利用電力量に応じて算出しようとすると、利用電力量を送電電力量とするのか、又は受電電力量とするのか等の問題があると共に、そもそも利用電力量を正確に把握することが難しいという問題もある。したがって、非接触給電システムを利用した際のシステム利用料(電気料金)を如何に算出するかが問題となる。
【0005】
本発明はこのような問題点に着目してなされたものであり、利用電力量を正確に把握しなくても、非接触給電システムを利用した際のシステム利用料を算出できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明のある態様による非接触給電システムは、移動体と、移動体に対して非接触給電を実施可能に構成された地上給電装置と、移動体及び地上給電装置のそれぞれと通信可能に構成されたサーバと、を備える。そしてサーバは、移動体又は地上給電装置の少なくとも一方から受信した情報に基づいて移動体による前記地上給電装置の利用回数を把握し、利用回数に基づいて移動体の非接触給電システムのシステム利用料を算出するように構成される。
【0007】
また、本発明のある態様によるサーバは、処理部と、非接触給電システムを構成する移動体及び地上給電装置のそれぞれと通信する通信部と、を備える。そして処理部は、移動体又は地給電装置の少なくとも一方から受信した情報に基づいて、移動体による地上給電装置の利用回数を把握し、利用回数に基づいて移動体の非接触給電システムのシステム利用料を算出するように構成される。
【0008】
また、本発明のある態様による非接触給電システムの利用料金算出方法は、移動体及び移動体に対して非接触給電を実施する地上給電装置のそれぞれと通信可能なサーバによって実行され、移動体又は地給電装置の少なくとも一方から受信した情報に基づいて移動体による地上給電装置の利用回数を把握する工程と、利用回数に基づいて移動体の非接触給電システムのシステム利用料を算出する工程と、を備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明のこれらの態様によれば、地上給電装置の利用回数に応じてシステム利用料を算出することができるため、システムを利用した際の利用電力量を正確に把握することができなくてもシステム利用料を算出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、非接触給電システムの概略構成図である。
【
図2】
図2は、地上給電装置及び車両の構成の一例を示す図である。
【
図3】
図3は、送電コントローラ及び送電コントローラに接続された機器の概略的な構成図である。
【
図4】
図4は、車両コントローラ及び車両コントローラに接続された機器の概略的な構成図である。
【
図5】
図5は、本発明の第1実施形態によるシステム利用料の算出方法について説明する動作シーケンス図である。
【
図6】
図6は、本発明の第2実施形態によるシステム利用料の算出方法について説明する動作シーケンス図である。
【
図7】
図7は、本発明の第3実施形態によるシステム利用料の算出方法について説明する動作シーケンス図である。
【
図8】
図8は、地上給電装置及の構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して実施形態について詳細に説明する。なお、以下の説明では、同様な構成要素には同一の参照番号を付す。
【0012】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態による非接触給電システム100の概略構成図である。
【0013】
非接触給電システム100は、サーバ1と、地上給電装置2と、移動体の一例である車両3と、を備え、システム利用許可を得た走行中及び駐停車中の車両3に対して、地上給電装置2から磁界共振結合(磁界共鳴)による非接触電力伝送を実施することができるように構成される。なお
図1では、地上給電装置2の設置例の一例として、地上給電装置2が道路に沿って所定間隔で連続的に設定されている例を示している。以下の説明では、地上給電装置2が設置されている道路のことを、必要に応じて「電化道路」という。
【0014】
なお、本明細書において、「走行」という用語は、車両3が走行のために道路上に位置する状態を意味する。したがって、「走行」という用語は、車両3が実際にゼロよりも大きい任意の速度で走っている状態のみならず、例えば信号待ちなどによって道路上で停止している状態も含む。
【0015】
図1に示すように、サーバ1は、サーバ通信部11と、サーバ記憶部12と、サーバ処理部13と、を備える。
【0016】
サーバ通信部11は、サーバ1をネットワーク6と接続するための通信インターフェース回路を有し、ネットワーク6を介して地上給電装置2及び車両3のそれぞれと通信することができるように構成される。
【0017】
サーバ記憶部12は、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State DRIVE)、光記録媒体、半導体メモリ等の記憶媒体を有し、サーバ処理部13での処理に用いられる各種のコンピュータプログラムやデータ等を記憶する。
【0018】
サーバ処理部13は、一又は複数個のCPU(Central Processing Unit)及びその周辺回路を有する。サーバ処理部13は、サーバ記憶部12に格納された各種のコンピュータプログラムを実行し、サーバ1の全体的な動作を統括的に制御するものであり、例えばプロセッサである。
【0019】
続いて、
図2から
図4を参照して、本実施形態による地上給電装置2及び車両3の構成について説明する。
図2は、本実施形態による地上給電装置2及び車両3の構成の一例を示す図である。
【0020】
図2に示すように、地上給電装置2は、地上側通信装置71、送電装置4、電源21及び送電コントローラ22を有する。地上側通信装置71、電源21及び送電コントローラ22は、道路内に埋め込まれてもよいし、道路内とは別の場所(地上を含む)に配置されてもよい。
【0021】
地上側通信装置71は、サーバ1及び車両3と通信可能に構成される。
【0022】
本実施形態では地上側通信装置71は、ネットワーク6とゲートウェイ等を介して接続される無線基地局にアクセスすることで、無線基地局を介してネットワーク6と接続することができるように構成される。これにより、地上側通信装置71とサーバ1との間で広域無線通信が行われ、例えば、車両3に対して非接触給電を行うために必要な各種の情報のやり取りが行われる。広域無線通信は、後述する狭域無線通信に比べて通信距離が長い通信であり、具体的には例えば通信距離が10メートルから10キロメートルの通信である。広域無線通信としては、通信距離が長い種々の無線通信を用いることができ、例えば、3GPP、IEEEによって策定された4G、LTE、5G、WiMAX等の任意の通信規格に準拠した通信が用いられる。
【0023】
また本実施形態では、地上側通信装置71は、所定の無線通信回線を利用して、車両3に搭載された車両側通信装置72と直接的に狭域無線通信を行うことができるように構成される。狭域無線通信は、広域無線通信に比べて通信距離が短い通信であり、具体的には例えば通信距離が10メートル未満の通信である。狭域無線通信としては、通信距離が短い種々の近距離無線通信を用いることができ、例えば、IEEE、ISO、IEC等によって策定された任意の通信規格(例えば、Bluetooth(登録商標)、ZigBee(登録商標))に準拠した通信が用いられる。また、狭域無線通信を行うための技術としては、例えば、RFID(Radio Frequency Identification)、DSRC(dedicated Short Range Communication)等が用いられる。
【0024】
電源21は、送電装置4に電力を供給する。電源21は、例えば、単相交流電力を供給する商用交流電源である。なお、電源21は、三相交流電力を供給する他の交流電源であってもよいし、燃料電池のような直流電源であってもよい。
【0025】
送電装置4は、電源21から供給された電力を車両3へ伝送する。送電装置4は、送電側整流回路41、インバータ42及び送電側共振回路43を有する。送電装置4では、電源21から供給される交流電力が送電側整流回路41において整流されて直流電流に変換され、この直流電流がインバータ42において交流電力に変換され、この交流電力が送電側共振回路43に供給される。
【0026】
送電側整流回路41は、電源21及びインバータ42に電気的に接続される。送電側整流回路41は、電源21から供給される交流電力を整流して直流電力に変換し、直流電力をインバータ42に供給する。送電側整流回路41は例えばAC/DCコンバータである。
【0027】
インバータ42は送電側整流回路41及び送電側共振回路43に電気的に接続される。インバータ42は、送電側整流回路41から供給された直流電力を、電源21の交流電力よりも高い周波数の交流電力(高周波電力)に変換し、高周波電力を送電側共振回路43に供給する。
【0028】
送電側共振回路43は、コイル44及びコンデンサ45から構成される共振器を有する。コイル44及びコンデンサ45の各種パラメータ(コイル44の外径及び内径、コイル44の巻数、コンデンサ45の静電容量等)は、送電側共振回路43の共振周波数が所定の設定値になるように定められる。所定の設定値は、例えば10[kHz]~100[GHz]であり、好ましくは、非接触電力伝送用の周波数帯域としてSAE TIR J2954規格によって定められた85[kHz]である。
【0029】
送電側共振回路43は、コイル44の中心が車線の中央に位置するように、車両3が通過する車線の中央に配置される。インバータ42から供給された高周波電力が送電側共振回路43に印加されると、送電側共振回路43は、送電するための交流磁界を発生させる。なお、電源21が直流電源である場合には、送電側整流回路41は省略されてもよい。
【0030】
送電コントローラ22は、地上給電装置2の各種制御を行う。例えば、送電コントローラ22は、送電装置4のインバータ42に電気的に接続され、送電装置4による電力送信を制御すべくインバータ42を制御する。また送電コントローラ22は、地上側通信装置71を介してサーバ1及び車両3と通信を行う。なお車両3とは、地上側通信装置71を介して直接的に通信することもできるし、地上側通信装置71からサーバ1を経由して間接的に通信することもできる。
【0031】
図3は、送電コントローラ22及び送電コントローラ22に接続された機器の概略的な構成図である。
【0032】
送電コントローラ22は、通信インターフェース221、記憶部222及び送電処理部223を備える。通信インターフェース221、記憶部222及び送電処理部223は信号線を介して互いに接続されている。
【0033】
通信インターフェース221は、地上給電装置2を構成する各種機器(例えば、インバータ42、地上側通信装置71及び後述する地上側センサ23など)に送電コントローラ22を接続するためのインターフェース回路を有する。送電コントローラ22は、通信インターフェース221を介して地上給電装置2を構成する各種機器と通信する。
【0034】
記憶部222は、HDDやSSD、光記録媒体、半導体メモリ等の記憶媒体を有し、送電処理部223での処理に用いられる各種のコンピュータプログラムやデータ等を記憶する。
【0035】
送電処理部223は、一又は複数個のCPU(Central Processing Unit)及びその周辺回路を有する。送電処理部223は、記憶部222に格納された各種のコンピュータプログラムを実行し、地上給電装置2の全体的な動作を統括的に制御するものであり、例えばプロセッサである。
【0036】
送電コントローラ22には、地上側センサ23が接続されている。地上側センサ23は、例えば、送電装置4の各種機器(特に、送電側共振回路43、インバータ42及び送電側整流回路41)に流れる電流を検出する送電装置電流センサ、送電装置4の各種機器に加わる電圧を検出する送電装置電圧センサ、送電装置4の各種機器の温度を検出する送電装置温度センサ、送電装置4が埋め込まれた道路上の異物を検出する異物センサ、及び送電装置4が埋め込まれた道路上の生体を検出する生体センサを含む。地上側センサ23の出力は、送電コントローラ22に入力される。
【0037】
図2に戻り、車両3は、車両側通信装置72、受電装置5、モータ31、バッテリ32、パワーコントロールユニット(PCU)33及び車両コントローラ34を有する。本実施形態による車両3は、バッテリ32のみを動力源とする電動車(BEV;Battery Electric Vehicle)であるが、バッテリ32以外にも内燃機関等の動力源を備えるいわゆるハイブリッド車(HEV;Hybrid Electric Vehicle、又はPHEV;Plug-in Hybrid Electric Vehicle)であってもよく、特にその種類が限られるものではない。
【0038】
車両側通信装置72は、サーバ1及び地上給電装置2と通信可能に構成される。本実施形態では車両側通信装置72は、ネットワーク6とゲートウェイ等を介して接続される無線基地局にアクセスすることで、無線基地局を介してネットワーク6と接続することができるように構成される。これにより、車両側通信装置72とサーバ1との間で広域無線通信が行われる。
【0039】
また車両側通信装置72は、所定の無線通信回線を利用して、各地上給電装置2の地上側通信装置71との間で直接的に狭域無線通信を行うことができるように構成される。
【0040】
モータ31は、例えば交流同期モータであり、電動機及び発電機として機能する。モータ31は、電動機として機能するとき、バッテリ32に蓄えられた電力を動力源として駆動される。モータ31の出力は減速機及び車軸を介して車輪30に伝達される。一方、車両3の減速時には車輪30の回転によってモータ31が駆動され、モータ31は発電機として機能して回生電力を発電する。
【0041】
バッテリ32は、充電可能な二次電池であり、例えば、リチウムイオン電池、ニッケル水素電池等から構成される。バッテリ32は車両3の走行に必要な電力(例えばモータ31の駆動電力)を蓄える。受電装置5によって受電した電力がバッテリ32に供給されると、バッテリ32が充電される。また、モータ31によって発電された回生電力がバッテリ32に供給されると、バッテリ32が充電される。バッテリ32が充電されると、バッテリ32の充電率(SOC:State Of Charge)が回復する。なお、バッテリ32は、車両3に設けられた充電ポートを介して地上給電装置2以外の外部電源によっても充電可能であってもよい。
【0042】
PCU33は、バッテリ32及びモータ31に電気的に接続される。PCU33は、インバータ、昇圧コンバータ及びDC/DCコンバータを有する。インバータは、バッテリ32から供給された直流電力を交流電力に変換し、交流電力をモータ31に供給する。一方、インバータは、モータ31によって発電された交流電力(回生電力)を直流電力に変換し、直流電力をバッテリ32に供給する。昇圧コンバータは、バッテリ32に蓄えられた電力がモータ31に供給されるときに、必要に応じてバッテリ32の電圧を昇圧する。DC/DCコンバータは、バッテリ32に蓄えられた電力がヘッドライト等の電子機器に供給されるときに、バッテリ32の電圧を降圧する。
【0043】
受電装置5は、送電装置4から受電した電力をバッテリ32に供給する。受電装置5は、受電側共振回路51、受電側整流回路54及び充電回路55を有する。
【0044】
受電側共振回路51は、路面との距離が小さくなるように車両3の底部に配置される。受電側共振回路51は、送電側共振回路43と同様の構成を有し、コイル52及びコンデンサ53から構成される共振器を有する。コイル52及びコンデンサ53の各種パラメータ(コイル52の外径及び内径、コイル52の巻数、コンデンサ53の静電容量等)は、受電側共振回路51の共振周波数が送電側共振回路43の共振周波数と一致するように定められる。なお、受電側共振回路51の共振周波数と送電側共振回路43の共振周波数とのずれ量が小さければ、例えば受電側共振回路51の共振周波数が送電側共振回路43の共振周波数の±20%の範囲内であれば、受電側共振回路51の共振周波数は送電側共振回路43の共振周波数と必ずしも一致している必要はない。
【0045】
受電側共振回路51が送電側共振回路43と対向しているときに、送電側共振回路43によって交流磁界が生成されると、交流磁界の振動が、送電側共振回路43と同一の共振周波数で共鳴する受電側共振回路51に伝達される。この結果、電磁誘導によって受電側共振回路51に誘導電流が流れ、誘導電流によって受電側共振回路51において誘導起電力が発生する。すなわち、送電側共振回路43は受電側共振回路51へ送電し、受電側共振回路51は送電側共振回路43から受電する。
【0046】
受電側整流回路54は、受電側共振回路51及び充電回路55に電気的に接続される。受電側整流回路54は、受電側共振回路51から供給される交流電力を整流して直流電力に変換し、直流電力を充電回路55に供給する。受電側整流回路54は例えばAC/DCコンバータである。
【0047】
充電回路55は受電側整流回路54及びバッテリ32に電気的に接続される。特に、バッテリ32へは、リレー38を介して接続される。充電回路55は、受電側整流回路54から供給された直流電力をバッテリ32の電圧レベルに変換してバッテリ32に供給する。送電装置4から送電された電力が受電装置5によってバッテリ32に供給されると、バッテリ32が充電される。充電回路55は例えばDC/DCコンバータである。
【0048】
車両コントローラ34は、車両3の各種制御を行う。例えば、車両コントローラ34は、受電装置5の充電回路55に電気的に接続され、送電装置4から送信された電力によるバッテリ32の充電を制御すべく充電回路55を制御する。また、車両コントローラ34は、PCU33に電気的に接続され、バッテリ32とモータ31との間の電力の授受を制御すべくPCU33を制御する。さらに、車両コントローラ34は、車両側通信装置72を制御する。
【0049】
図4は、車両コントローラ34及び車両コントローラ34に接続された機器の概略的な構成図である。
【0050】
車両コントローラ34は、通信インターフェース341、記憶部342及び車両処理部343を有する。通信インターフェース341、記憶部342及び車両処理部343は、信号線を介して互いに接続されている。
【0051】
通信インターフェース341は、CAN等の規格に準拠した車内ネットワークに車両コントローラ34を接続するためのインターフェース回路を有する。車両コントローラ34は、通信インターフェース341を介して他の機器と通信する。
【0052】
記憶部342は、HDDやSSD、光記録媒体、半導体メモリ等の記憶媒体を有し、車両処理部343での処理に用いられる各種のコンピュータプログラムやデータ等を記憶する。
【0053】
車両処理部343は、一又は複数個のCPU(Central Processing Unit)及びその周辺回路を有する。車両処理部343は、記憶部342に格納された各種のコンピュータプログラムを実行し、車両3の全体的な動作を統括的に制御するものであり、例えばプロセッサである。
【0054】
また、車両3は、GNSS受信機35、ストレージ装置36、複数の車両側センサ37、リレー38及びHMI装置39を更に備える。GNSS受信機35、ストレージ装置36、車両側センサ37、リレー38及びHMI装置39は車内ネットワークを介して車両コントローラ34に電気的に接続される。
【0055】
GNSS受信機35は、複数(例えば3つ以上)の測位衛星から得られる測位情報に基づいて、車両3の現在位置(例えば車両3の緯度及び経度)を検出する。GNSS受信機35の出力、すなわちGNSS受信機35によって検出された車両3の現在位置は車両コントローラ34に送信される。
【0056】
ストレージ装置36は、データを記憶する。ストレージ装置36は、例えば、HDD、SSD(Solid State Drive)又は光記録媒体を備える。本実施形態では、ストレージ装置36は、地図情報を記憶する。地図情報には、道路に関する情報に加えて、地上給電装置2の設置位置情報等の情報が含まれる。車両コントローラ34はストレージ装置36から地図情報を取得する。なお、ストレージ装置36には地図情報が含まれていなくてもよく、この場合、車両コントローラ34は車両側通信装置72を介して車両3の外部(例えば、サーバ1)から地図情報を取得してもよい。
【0057】
車両側センサ37は、車両3の状態を検出する。本実施形態では、車両側センサ37は、車両3の状態を検出するセンサとして、車両3の速度を検出する速度センサ、バッテリ32の温度を検出するバッテリ温度センサ、受電装置5の各種機器(特に、受電側共振回路51及び受電側整流回路54)の温度を検出する受電装置温度センサ、バッテリ32の充電電流値及び放電電流値を検出するバッテリ電流センサ、受電装置5の各種機器に流れる電流を検出する受電装置電流センサ、及び受電装置5の各種機器に加わる電圧を検出する受電装置電圧センサを含む。車両側センサ37の出力は、車両コントローラ34に入力される。
【0058】
リレー38は、バッテリ32と受電装置5との間に配置されて、バッテリ32と受電装置5とを接続・遮断する。リレー38が接続されているときには受電装置5が受電した電力がバッテリ32に供給される。しかしながら、リレー38が遮断されているときには受電装置5からバッテリ32へ電流が流れず、よって受電装置5は実質的に受電することができなくなる。
【0059】
HMI装置39は、車両乗員との間で情報のやり取りを行うためのインターフェースである。本実施形態によるHMI装置39は、車両乗員に各種の情報を提供するためのディスプレイ及びスピーカと、車両乗員が情報の入力操作を行うためのタッチパネル(又は操作ボタン)と、を備える。HMI装置39は、車両乗員によって入力された入力情報を、車内ネットワークを介して当該入力情報を必要とする各種の装置(例えば車両コントローラ34)に送信すると共に、車内ネットワークを介して受信した情報をディスプレイに表示するなどして車両乗員に提供する。
【0060】
ところで、非接触給電システム100では、地上給電装置側の送電電力量と車両側の受電電力量とが一致するわけではないので、非接触給電システム100を利用した際のシステム利用料(電気料金を含む、システム利用者が支払う、金額やポイント数、チケット枚数等のシステム利用に対する対価)を、システム利用者が利用した利用電力量に応じて算出しようとすると、利用電力量を送電電力量とするのか、又は受電電力量とするのか等の問題があると共に、そもそも送電電力量や受電電力量を正確に把握することが難しいという問題もある。したがって、非接触給電システム100を利用した際のシステム利用料を如何に算出するかが問題となる。
【0061】
そして、仮に車両3に対する送電電力量に応じてシステム利用料を算出した場合には、以下のような問題が生じる。すなわち、車両3の受電電力量は、地上給電装置2から走行中の車両に電力を非接触で伝送する際の伝送効率に応じて送電電力量よりも少なくなる。そのため、車両3に対する送電電力量に応じてシステム利用料を算出した場合には、受電電力量よりも多い電力量に相当する料金をシステム利用者に対して常に請求してしまうことになる。
【0062】
また、仮に車両3の受電電力量に応じてシステム利用料を算出した場合には、以下のような問題が生じる。すなわち、地上給電装置2から走行中の車両に電力を非接触で伝送する際の伝送効率は必ずしも一定ではなく、例えば、車両3に搭載されている受電装置5の状態や車両3の走行ラインなどによって変化する。具体的には、経年劣化により受電装置5の性能が低下していたり、車線中央ではなく車線中央から左右いずれかの方向に偏って走行している場合など、不適切な走行ラインで走行していたりすると、伝送効率が通常よりも低下する。
【0063】
したがって、車両3の受電電力量に応じてシステム利用料を算出した場合には、車両側が原因で伝送効率が通常よりも低下し、その結果として送電電力量に対する受電電力量の割合が通常よりも低下したとしても、受電電力量に応じて算出されたシステム利用料しか請求できないことになる。このように、車両側が原因で伝送効率が通常よりも低下しているにもかかわらず、受電電力量に応じたシステム利用料しか請求できないのは適切ではない。
【0064】
そこで本実施形態では、地上給電装置2が稼働されて車両3に対して送電が行われた回数(以下「送電カウント数」という。)に基づいて、車両3による地上給電装置2、ひいては非接触給電システム100の利用回数(以下「システム利用回数」という。)を算出し、システム利用回数に基づいてシステム利用料を算出することにした。
【0065】
図5は、この本実施形態によるシステム利用料の算出方法について説明する動作シーケンス図である。
【0066】
ステップS1において、車両コントローラ34は、当該車両コントローラ34が搭載された車両3(自車両)が非接触給電を要求しているか否かを判定する。車両コントローラ34は、自車両3が非接触給電を要求していればステップS2の処理に進む。一方で車両コントローラ34は、自車両3が非接触給電を要求していなければ処理を終了する。本実施形態では、車両乗員がHMI装置39を介して非接触給電の要求の有無を手動で切り替えることができるようになっているが、これに限らず、例えばバッテリ32の充電率に応じて非接触給電の要求の有無が自動的に切り替わるようになっていてもよい。
【0067】
ステップS2において、車両コントローラ34は、例えば3ウェイハンドシェイクを行ってサーバ1との通信コネクションを確立した後、サーバ1に対して、非接触給電システム100の利用要求信号を送信する。この利用要求信号には、例えば、非接触給電システム100を利用するために必要な各種の情報(例えば認証情報など)が含まれる。
【0068】
ステップS3において、サーバ1は、認証情報などに基づいて、利用要求信号の送信元の車両3が非接触給電システム100を利用する権限を有しているかの確認を行い、その確認が取れた車両3に対して、暗号化された後述するシステム利用チケットを復号するための暗号鍵を送信する。
【0069】
ステップS4において、車両コントローラ34は、電化道路区間よりも手前の地点に設定されるチェックポイントを通過したか否かを判定する。車両コントローラ34は、チェックポイントを通過していれば、ステップS5の処理に進む。一方で車両コントローラ34は、チェックポイントを通過していなければ、所定時間経過後にチェックポイントを通過したか否かを再度判定する。
【0070】
チェックポイントを通過したか否かは、例えばチェックポイントにゲートが設置されている場合であれば、車両コントローラ34は、ゲートから発生される信号を受信することによって、チェックポイントを通過したことを判断することができる。その際、車両コントローラ34は、チェックポイントの位置情報などを含むチェックポイントに関する情報をゲートから受信することができる。また例えば、チェックポイントに関する情報がストレージ装置36内の地図情報に含まれている場合や、サーバ1からチェックポイントに関する情報を受信できる場合であれば、自車両3の位置情報とチェックポイントの位置情報とに基づいて、チェックポイントを通過したことを判断することもできる。このように、チェックポイントを通過したか否かを判定する方法は、特に限られるものではない。
【0071】
なお本実施形態では、このステップS4において、チェックポイントを通過したか否かを判定しているが、これに限らず、例えばチェックポイントに接近したか否かを判定するようにしてもよい。
【0072】
チェックポイントに接近したか否かは、例えば、チェックポイントを基準とした或る一定範囲内に位置する車両3に対して信号を送信する装置がチェックポイントに設けられている場合であれば、車両コントローラ34は、当該装置から発生される信号を受信することによって判断することができるし、これに限らず、自車両3の位置情報とチェックポイントの位置情報とに基づいて判断することもできる。チェックポイントを基準とした或る一定範囲は、例えば、信号待ちの車両に対して非接触給電を実施できるように信号待ちが発生する所定範囲の道路区間が電化道路区間となっている場合であれば、その電化道路区間に進入する前の一部の道路区間とすることができる。
【0073】
ステップS5において、車両コントローラ34は、サーバ1に対して、非接触給電システム100を利用するための仮想的なチケットであるシステム利用チケットの発行要求を、自車両の識別情報及び通過したチェックポイントに関する情報と併せて送信する。
【0074】
ステップS6において、サーバ1は、システム利用チケットの発行要求を受信すると、識別情報に基づいて発行要求元の車両3を特定し、特定した発行要求元の車両3に対して送信するためのシステム利用チケットであり、かつ非接触給電システム100を利用する権限を有している車両3毎に用意される固有のシステム利用チケットである第1チケットと、第1チケットに対応するシステム利用チケットであり、かつ地上給電装置2に送信するためのシステム利用チケットである第2チケットと、を発行する。
【0075】
ステップS7において、サーバ1は、暗号化した第1チケットをシステム利用チケットの発行要求元の車両3に送信し、第2チケットをチェックポイントに関連付けられた各地上給電装置2に送信する。チェックポイントに関連付けられた地上給電装置2とは、チェックポイントを通過した車両3が走行することになる電化道路区間に設置された地上給電装置2のことであって、本実施形態によるサーバ1のサーバ記憶部12には、チェックポイント毎に、そのチェックポイントに関連付けられた地上給電装置2が予め記憶されている。
【0076】
ステップS8において、車両コントローラ34は、受信した第1チケットを、暗号鍵を使って復号し、復号した第1チケットの地上給電装置2への周期的かつ直接的な送信を、車両側通信装置72を介して狭域無線通信により開始すると共に、自車両3が地上給電装置2の上を走行したときに電力を受電できるように受電装置5を制御する。
【0077】
ステップS9において、地上給電装置2の送電コントローラ22は、所定の通信強度(受信信号強度)以上で第1チケットを受信すると、受信した第1チケットに対応する第2チケットを既にサーバ1から受け取っているか、すなわち受信した第1チケットに対応する第2チケットを所持しているか否かを判定する。送電コントローラ22は、第1チケットに対応する第2チケットを所持していれば、ステップS10の処理に進む。一方で地上給電装置2は、第1チケットに対応する第2チケットを所持していなければ、ステップS11の処理に進む。
【0078】
ステップS10において、地上給電装置2の送電コントローラ22は、これから自装置の上を走行又は駐停車する車両3はシステム利用許可を得ている送電許可車両であると判断し、当該車両3が自装置の上を走行したとき又は駐停車したときに電力を送電することができるように送電装置4を制御する。
【0079】
ステップS11において、地上給電装置2の送電コントローラ22は、これから自装置の上を走行又は駐停車する車両3はシステム利用許可が得られていない送電不許可車両であると判断し、当該車両3が自装置の上を走行又は駐停車しても電力を送電しないように送電装置4を制御する。
【0080】
ステップS12において、地上給電装置2の送電コントローラ22は、自装置の上を走行した車両3に電力を送電すると、自装置が車両3に利用されたこと知らせる利用履歴通知をサーバに送信する。利用履歴通知には、自装置を利用した車両3の識別情報と、車両3による地上給電装置2の利用回数、ひいては当該車両3のシステム利用料を算出するための送電カウント数と、が含まれる。
【0081】
送電カウント数は、例えば、単純に1としてもよいし、また例えば、車両3に対して送電を継続した送電時間(換言すれば車両3が自装置上に滞在した滞在時間)に応じて1から増加させてもよい。これは送電時間(滞在時間)が長くなるほど、車両3の受電電力量も多くなるためである。
【0082】
なお、車両3から受信した第1チケットは、車両3毎に用意された固有のシステム利用チケットであるので、本実施形態では、自装置を利用した車両3の識別情報として、自装置を利用した車両3から受信した第1チケットに関する情報を送信している。
【0083】
ステップS13において、車両コントローラ34は、例えば自車両のスタートスイッチがオフにされて自車両が停止されると、サーバ1との通信コネクションを切断する。
【0084】
ステップS14において、サーバ1は、車両3との通信コネクションが切断されると、通信コネクションが確立されてから切断されるまでの間に当該車両3(コネクション切断車両)が利用した地上給電装置2から受信した、当該車両3の利用履歴通知に含まれる送電カウント数を積算して、当該車両3のシステム利用回数を算出する。そしてサーバ1は、システム利用回数に基づいて当該車両3のシステム利用料を算出する。またサーバ1は、算出したシステム利用料を、別途、システム利用回数の送信元の車両3と関連付けられた非接触給電システム100の利用者(システム利用者)に対して請求する。
【0085】
本実施形態では、利用回数1回ごとの単位料金が予め設定されており、サーバ1は、その単位料金にシステム利用回数を掛け合わせることでシステム利用料を算出する。単位料金は、例えば、地上給電装置2から車両3が電力を受電したときの単位時間当たりの標準的な受電電力量に相当する電気料金とされるが、これに限られるものではない。
【0086】
以上説明した本実施形態による非接触給電システム100は、車両3(移動体)と、車両3に対して非接触給電を実施可能に構成された地上給電装置2と、車両3及び地上給電装置2のそれぞれと通信可能に構成されたサーバ1と、を備える。そしてサーバ1は、
車両3による地上給電装置2の利用回数に基づいて、車両3の非接触給電システム100のシステム利用料を算出するように構成されている。
【0087】
前述した通り、非接触給電システム100では、システムを利用した際の利用電力量を正確に把握することが難しいが、本実施形態によれば、地上給電装置2の利用回数に応じてシステム利用料を算出することができる。そのため、システムを利用した際の利用電力量を正確に把握することができなくても、システム利用料を簡便な方法で算出することができる。
【0088】
また本実施形態では、サーバ1は、予め設定された単位料金に利用回数を掛け合わせることでシステム利用料を算出するように構成されており、単位料金は、車両3が地上給電装置2から電力を受電したときの単位時間当たりの標準的な受電電力量に相当する料金とされる。
【0089】
これにより、車両側が原因で伝送効率が通常よりも低下し、その結果として送電電力量に対する受電電力量の割合が通常よりも低下したとしても、標準的な受電電力量に相当する料金を請求することができるので、システム利用料として適切な料金を請求することができる。また、常に受電電力量よりも多い電力量に相当する料金をシステム利用者に対して請求することもなくなる。
【0090】
また本実施形態では、地上給電装置2は、車両3に電力を送電すると、送電カウント数を含む車両3の利用履歴通知をサーバ1に送信するように構成されると共に、車両3に対して送電を継続した送電時間に基づいて、送電カウント数を算出するように構成され、サーバは、地上給電装置から受信した送電カウント数を積算することにより、利用回数を算出するように構成されている。
【0091】
これにより、例えば、渋滞や信号待ちなどによって地上給電装置上に長く滞在した場合であっても、滞在時間(送電時間)に応じて送電カウント数が適切に調節されるため、車両3の走行速度(地上給電装置の通過速度)にかかわらず、適切なシステム利用料を算出することができる。
【0092】
なお本実施形態は、見方を変えれば、車両3(移動体)及び車両3に対して非接触給電を実施する地上給電装置2のそれぞれと通信可能なサーバ1によって実行される、非接触給電システムの利用料金算出方法であって、車両3又は地上給電装置2の少なくとも一方から受信した情報に基づいて車両3による地上給電装置2の利用回数を把握する工程と、利用回数に基づいて車両3の非接触給電システム100のシステム利用料を算出する工程と、を備える非接触給電システムの利用料金算出方法と捉えることもできる。
【0093】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について説明する。本実施形態は、システム利用回数を、送電カウント数ではなく、車両3が受電装置5によって地上給電装置2から受電した回数(以下「受電カウント数」という。)に基づいて算出する点で、第1実施形態と相違する。以下、その相違点を中心に説明する。
【0094】
図6は、本実施形態によるシステム利用料の算出方法について説明する動作シーケンス図である。なお
図6において、ステップS1からステップS11までの処理の内容は、第1実施形態と同様なので、ここでは説明を省略する。
【0095】
ステップS21において、車両コントローラ34は、地上給電装置2から電力を受電すると、自車両3のシステム利用回数を算出するための受電カウント数を算出する。受電カウント数は、例えば、単純に1としてもよいし、また例えば、自車両3が地上給電装置2から継続して電力を受電した時間(自車両3が地上給電装置上に滞在した滞在時間)に応じて1から増加させてもよい。
【0096】
ステップS22において、車両コントローラ34は、例えば自車両3のスタートスイッチがオフにされて自車両3が停止されると、サーバ1との通信コネクションが確立されてからの受電カウント数を積算して、自車両3のシステム利用回数を算出する。そして車両コントローラ34は、自車両3のシステム利用回数をサーバ1に送信して、サーバ1との通信コネクションを切断する。
【0097】
ステップS23において、サーバ1は、システム利用回数を受信すると、受信したシステム利用回数に基づいて、システム利用回数の送信元の車両3のシステム利用料を算出する。そしてサーバ1は、算出したシステム利用料を、別途、システム利用回数の送信元の車両3と関連付けられた非接触給電システム100の利用者(システム利用者)に対して請求する。
【0098】
以上説明した本実施形態によれば、車両3は、地上給電装置2から電力を受電すると受電カウント数を算出し、受電カウント数を積算することによりシステム利用回数を算出してサーバ1に送信するように構成される。また車両3は、地上給電装置2から電力を受電した受電時間に基づいて、受電カウント数を算出するように構成される。
【0099】
このように、システム利用回数を、送電カウント数ではなく受電カウント数に基づいて算出するようにしても、第1実施形態と同様の効果が得ることができる。また、車両側を基準にしてカウント数を算出しているので、実際に受電していないにもかかわらず、カウント数がカウントされてしまうのを抑制できる。
【0100】
(第3実施形態)
次に本発明の第3実施形態について説明する。本実施形態は、送電カウント数及び受電カウント数に基づいて、システム利用回数を算出する点で、上記の各実施形態と相違する。以下、その相違点を中心に説明する。
【0101】
図7は、本実施形態によるシステム利用料の算出方法について説明する動作シーケンス図である。なお
図7において、ステップS1からステップS12までの処理の内容、及びステップS21の処理の内容は、第1実施形態及び第2実施形態と同様なので、ここでは説明を省略する。
【0102】
ステップS31において、車両コントローラ34は、例えば自車両3のスタートスイッチがオフにされて自車両が停止されると、サーバ1との通信コネクションが確立されてからの受電カウント数の積算値を算出する。そして車両コントローラ34は、自車両3の受電カウント数の積算値をサーバ1に送信して、サーバ1との通信コネクションを切断する。
【0103】
ステップS32において、サーバ1は、車両3との通信コネクションが切断されると、通信コネクションが確立されてから切断されるまでの間に当該車両3(コネクション切断車両)が利用した地上給電装置2から受信した、当該車両3の利用履歴通知に含まれる送電カウント数の積算値を算出する。
【0104】
ステップS33において、サーバ1は、送電カウント数の積算値と、受電カウント数の積算値と、に基づいて、車両3のシステム利用回数を算出してシステム利用料を算出する。
【0105】
本実施形態ではサーバ1は、送電カウント数及び受電カウント数の各積算値が同じであれば、いずれか一方の積算値に基づいてシステム利用回数を算出し、送電カウント数及び受電カウント数の各積算値が相違する場合は、車両側の受電カウント数に基づいてシステム利用料を算出するべく、受電カウント数の積算値に基づいてシステム利用回数を算出する。
【0106】
なおシステム利用回数の算出方法はこのような方法に限られるものではなく、例えば、送電カウント数及び受電カウント数の各積算値が相違する場合において、送電カウント数の積算値に基づいてシステム利用回数を算出してもよいし、また例えば、送電カウント数及び受電カウント数の各積算値の平均値に基づいてシステム利用回数を算出してもよい。
【0107】
このように、システム利用回数を、送電カウント数の積算値と受電カウント数の積算値とに基づいて算出するようにしても、第1実施形態と同様の効果が得ることができる。また本実施形態のように、受電カウント数の積算値を優先してシステム利用回数を算出した場合には、以下のような効果も得ることができる。すなわち、送電カウント数の積算値を優先してシステム利用回数を算出した場合、例えば車両3が何らかの理由によって実際に受電できなかったとしても送電カウント数としてカウントされることも考えられるため、このように受電カウント数の積算値を優先してシステム利用回数を算出することで、実際に受電していないにもかかわらず、カウント数がカウントされてしまうのを抑制できる。
【0108】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例の一部を示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。
【0109】
例えば上記の各実施形態において、
図8に示すように、地上給電装置2が、例えば1つの送電コントローラ22によって制御される複数の送電装置4を備えていてもよい。
図8では、地上給電装置2が3つの送電装置4を備えている場合を示している。このような場合であれば、送電装置4毎に個別に送電カウント数をカウントし、それらを加算してまとめたものを地上給電装置2の送電カウント数とすればよい。
【0110】
また第1実施形態では、サーバ1は、車両3との通信コネクションが切断されると、通信コネクションが確立されてから切断されるまでの間に当該車両3が利用した地上給電装置2から受信した、当該車両3の利用履歴通知に含まれる送電カウント数を積算して、当該車両3のシステム利用回数を算出していた。
【0111】
しかしながら、例えば、電化道路区間の出口にもチェックポイントが設定されている場合であれば、そのチェックポイントを通過したことを知らせる通知を車両3から受信したときに、入口側のチェックポイントを通過してから出口側のチェックポイントを通過するまでの間に当該車両3が利用した地上給電装置2から受信した、当該車両3の利用履歴通知に含まれる送電カウント数を積算して、当該車両3のシステム利用回数を算出するようにしてもよい。
【0112】
1 サーバ
2 地上給電装置
3 車両(移動体)
11 サーバ通信部(通信部)
13 サーバ処理部(処理部)
100 非接触給電システム