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特許7636539複素環部分を含むプロフレグランスシリコーンポリマーを有する処理組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-17
(45)【発行日】2025-02-26
(54)【発明の名称】複素環部分を含むプロフレグランスシリコーンポリマーを有する処理組成物
(51)【国際特許分類】
   C11D 3/50 20060101AFI20250218BHJP
   C11D 3/37 20060101ALI20250218BHJP
   C11B 9/00 20060101ALI20250218BHJP
   C08L 83/08 20060101ALI20250218BHJP
   D06M 15/643 20060101ALI20250218BHJP
【FI】
C11D3/50
C11D3/37
C11B9/00 Z
C08L83/08
D06M15/643
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2023528067
(86)(22)【出願日】2021-12-07
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-22
(86)【国際出願番号】 US2021072770
(87)【国際公開番号】W WO2022126093
(87)【国際公開日】2022-06-16
【審査請求日】2023-05-10
(31)【優先権主張番号】63/122,960
(32)【優先日】2020-12-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/165,841
(32)【優先日】2021-03-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】590005058
【氏名又は名称】ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー
【氏名又は名称原語表記】THE PROCTER & GAMBLE COMPANY
【住所又は居所原語表記】One Procter & Gamble Plaza, Cincinnati, OH 45202,United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【弁理士】
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【弁理士】
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100122437
【弁理士】
【氏名又は名称】大宅 一宏
(74)【代理人】
【識別番号】100209495
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 さおり
(72)【発明者】
【氏名】ナトリ、シーン・ニコラス
(72)【発明者】
【氏名】クリューセナー、バーナード・ウィリアム
(72)【発明者】
【氏名】パナンディケル、ラジャン・ケシャヴ
(72)【発明者】
【氏名】ミラクル、グレゴリー・スコット
【審査官】牟田 博一
(56)【参考文献】
【文献】特表2000-510527(JP,A)
【文献】特表2007-531816(JP,A)
【文献】特表2002-528441(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C11D
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理補助剤及びプロフレグランスシリコーンポリマーを含む処理組成物であって、
前記プロフレグランスシリコーンポリマーが、シリコーン骨格、前記シリコーン骨格のケイ素原子に結合した炭素原子を含む有機リンカー基、及び前記有機リンカー基に結合した複素環部分を含み、
前記プロフレグランスシリコーンポリマーが、式I、式II、及びこれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つのラジカルを含み、
式I及び式IIの前記ラジカルが、以下の構造:
(Si)-X-Z式I
(Si)-X-(Z-X) -(Si)式II
を有し、
式中、「(Si)-」が、Si原子への結合を表し、
式中、各X基が、前記有機リンカー基であり、2~24個の鎖原子を含む独立して選択される二価有機部分基であり、
式中、指数nが、1~2であり、かつ
各Zが、式IIIによる一価又は二価の複素環部分であり、
式IIIが、以下の構造:
【化1】
を有し、
式中、Gが、酸素又は硫黄からなる群から選択され、
式中、指数mが2~4であり、
式中、R が、H、15~495Daの分子量を有する一価部分、又はX基へのZの結合点から選択され、
式中、各Jが、独立して、C(R 、-O-、-N(R )-からなる群から選択され、
式中、各R が、独立して、H、14~990Daの分子量を有する一価部分、又はX基へのZの結合点から選択され、
前記-C(R )(R )-部分が、香料原料(PRM)の残基であり、前記残基が由来する前記香料原料が、アルデヒド部分、ケトン部分、又はこれらの組合せを含む、処理組成物。
【請求項2】
前記残基を形成する前記PRMが、アルデヒド部分を含む、請求項に記載の処理組成物。
【請求項3】
前記残基を形成する前記PRMが、ケトン部分を含む、請求項1又は2に記載の処理組成物。
【請求項4】
各X基が、独立して、2~12個の鎖原子を含む、請求項のいずれか一項に記載の処理組成物。
【請求項5】
前記X基が、非末端のケイ素原子に結合している、請求項のいずれか一項に記載の処理組成物。
【請求項6】
各Zが、式IVによる一価又は二価の5員複素環部分であり、
式IVが、以下の構造:
【化2】
を有し、
式中、G、R、R、及びRが、上記の通りであり、
式中、各Jが、独立して、C(Rであり、式中、Rが、上記の通りである、請求項のいずれか一項に記載の処理組成物。
【請求項7】
、任意のR、又はこれらの組合せのうち2つが、X基へのZの結合点である、請求項1~6のいずれか一項に記載の処理組成物。
【請求項8】
なくとも1個のRが、X基へのZの結合点である、請求項のいずれか一項に記載の処理組成物。
【請求項9】
前記プロフレグランスシリコーンポリマーが、以下の構造:
[RSiO1/2(q+2r+2)[RSiO2/2[R10SiO3/2[SiO4/2式V
を有し、
式中、
qが、0~150の整数であり、
pが、0~1500の整数であり、
rが、0~150の整数であり
式中、q+p+rが、1以上の整数に等しく;
、R、R、R、R、及びR10部分の各々が、独立して、H、OH、一価有機部分、式Iによるラジカル、又は式IIによるラジカルからなる群から選択され、
式中、R~R10部分の少なくとも1つが、式Iによるラジカル又は式IIによるラジカルである、請求項1~のいずれか一項に記載の処理組成物。
【請求項10】
液体プレミックス組成物であって、
(a)請求項1~のいずれか一項に記載のプロフレグランスシリコーンポリマー;又は
(b)前駆体シリコーンポリマー、並びにアルデヒド部分、ケトン部分、及びこれらの組合せからなる群から選択される部分を含む香料原料であって、
前記前駆体シリコーンポリマー及び前記香料原料が、縮合して、請求項1~のいずれか一項に記載のプロフレグランスシリコーンポリマーを形成することができるもの;又は
(c)これらの混合物、
を含む、液体プレミックス組成物。
【請求項11】
前記液体プレミックス組成物が、水中油型エマルジョンの形態である、請求項10に記載の液体プレミックス組成物。
【請求項12】
前記液体プレミックス組成物の重量に対して、
前記前駆体シリコーンポリマーが、1%~99%の濃度で存在し、
前記香料原料が、1%~50%の濃度で存在する、請求項10又は11に記載の液体プレミックス組成物。
【請求項13】
前記前駆体シリコーンポリマーが、式VI、式VII、及びこれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つのラジカルを含み、
式VI及び式VIIの前記ラジカルが、以下の構造:
(Si)-X-Y式VI;
(Si)-X-(Y-X)-(Si)式VII;
を有し、
式中、「(Si)-」が、Si原子への結合であり
式中、指数nが、1~2であり、
式中、各X基が、Si-C結合を介して「(Si)」へと共有結合しており、かつ2~24個の鎖原子を含む独立して選択される二価有機基であり、
式中、各Yが、独立して、式VIIIによる一価又は二価の部分であり、
式VIIIが、以下の構造:
【化3】
を有し、
式中、Gが、酸素又は硫黄からなる群から選択され、
式中、指数mが2~4であり、
式中、各Rが、H、15~500Daの分子量を有する一価部分、又はX基へのYの結合点から選択され、
式中、各Jが、独立して、C(R、-O-、-N(R)-からなる群から選択され、
式中、各Rが、独立して、H、14~990Daの分子量を有する一価部分、又はX基へのYの結合点からなる群から選択される、請求項1012のいずれか一項に記載の液体プレミックス組成物。
【請求項14】
処理組成物を作製する方法であって、前記方法が、
ベース組成物を提供する工程であって、前記ベース組成物が、処理補助剤を含む、提供する工程と、
前記ベース組成物を、以下:
a)請求項1~のいずれか一項に記載のプロフレグランスシリコーンポリマー;
b)請求項1013のいずれか一項に記載の前駆体シリコーンポリマー、並びにアルデヒド部分、ケトン部分、及びこれらの組合せからなる群から選択される部分を含む香料原料;又は
c)これらの混合物、
のうち1つ以上と合わせる工程と、
を含む、方法。
【請求項15】
香剤としての請求項1~のいずれか一項に記載のプロフレグランスシリコーンポリマーの使
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、1つ以上の複素環部分を含むプロフレグランスシリコーンポリマーを含む処理組成物であって、複素環部分が、アルデヒド含有香料原料、ケトン含有香料原料、又はこれらの混合物の残基を含む、処理組成物に関する。本開示はまた、関連するプレミックス組成物、プロフレグランスシリコーンポリマー、及び前駆体シリコーンポリマーに関する。本開示はまた、そのようなシリコーンポリマー、プレミックス組成物、及び処理組成物を、作製及び使用する関連方法に関する。
【背景技術】
【0002】
消費者製品製造業者及び消費者は、同様に、鮮度利益を提供する処理組成物を望む。この必要性に対処するために、未処理香料原料(PRM)は、洗濯処理用途の場合のように消費者製品に鮮度を送達する手段として利用されており、そのような鮮度の送達は、前処理、洗濯サイクル、すすぎサイクル、タンブ環サイクル、又はそれらの組合せの間に達成され得る。そのような用途は香り付き布地をもたらすが、香り付き布地は、高い効率では香りの持続的な送達又は堆積を呈しない。したがって、これらの課題を克服することができる組成物を開発する努力がなされている。
【0003】
プロフレグランス化合物は、液体布地強化剤、洗剤、又は乾燥用シートのような消費者製品などの、様々な処理化合物の製造業者に有用であり得る。「プロフレグランス化合物」は、それ自体が臭気を帯びていても、そうでなくてもよいが、外部刺激(例えば、光、温度、又は水分)を受けて、その放出された芳香材料の1つ以上に特徴的な臭気を製造する化合物である。そのような化合物は、典型的には、化学結合の加水分解の際に芳香材料(すなわち、香料原料)を放出し、これは、例えば芳香材料の放出を遅延させることによって、及び未処理香油のみからは容易に得られない可能性がある組み合わされた香り特性を有する、望ましい放出プロファイルをもたらし得る。
【0004】
様々なケイ素系化合物はプロフレグランス担体として有用であることが当技術分野で公知であるが、典型的には、特定の課題を提示する。例えば、ケイ酸エステルは、プロフレグランス材料のための塩基分子として使用することが知られている。しかしながら、ケイ酸エステル結合はしばしば加水分解的に不安定であり、早期の香料放出をもたらす。アミノ修飾シリコーンはまた、プロフレグランス材料の骨格として有用であることが知られているが、そのような材料は、香料原料とイミン結合を形成し、それによって色及び/又は物理的不安定性をもたらし得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、改善されたシリコーン系プロフレグランス材料、並びにそれらを採用する安定かつ効果的な処理組成物及び関連する方法が、依然として必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、プロフレグランスシリコーンポリマーに関する。ポリマーは、香料原料の残基を含む、1つ以上の複素環部分を含む。例えば、プロフレグランスシリコーンポリマーは、シリコーン骨格と、シリコーン骨格のケイ素原子に結合した炭素原子を含む有機リンカー基と、有機リンカー基に結合した複素環部分とを含むことができ、ここで、複素環部分は、5~7個の環員を含み、環員は、窒素原子である第1の環員と、炭素原子である第2の環員であって、第2の環員が香料原料(「PRM」)の残基の一部であり、残基を形成したPRMが、アルデヒド部分、ケトン部分、及びそれらの組合せから選択される部分を含む、第2の環員と、酸素原子又は硫黄原子からなる群から選択され、好ましくは酸素原子である第3の環員と、を含み、第2の環員が、第1の環員及び第3の環員に直接結合している。本開示はまた、そのようなプロフレグランスシリコーンポリマーを形成することができる、関連した前駆体シリコーンポリマーに関する。
【0007】
本開示はまた、処理補助剤及びプロフレグランスシリコーンポリマーを有する処理組成物に関する。
【0008】
本開示はまた、プレミックス組成物に関し、ここで、プレミックスは、(a)プロフレグランスシリコーンポリマー及び任意に1つ以上の遊離香料原料、並びに/又は(b)前駆体シリコーンポリマー、及びアルデヒド部分、ケトン部分、若しくはそれらの組合せから選択される部分を含む香料原料を含んでもよく、この前駆体シリコーンポリマー及び香料原料は、縮合してプロフレグランスシリコーンポリマーを形成することができる。
【0009】
本開示は更に、そのような処理組成物及び液体プレミックス組成物を作製する方法に関する。
【0010】
本開示は更に、このような処理組成物で表面又は物品を処理する方法、並びにプロフレグランスシリコーンポリマーを含む表面又は物品に関する。
【0011】
本開示はまた、芳香剤としてのそのようなプロフレグランスシリコーンポリマーの使用に関する。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本開示は、プロフレグランスシリコーンポリマー及び特定の前駆体シリコーンポリマー、並びに関連したプレミックス、処理組成物、並びにそのような材料及び組成物を作製及び使用する方法に関する。
【0013】
本開示のプロフレグランスシリコーンポリマーは、香料原料の残基を含む、オキサゾリジンなどの複素環部分を含む。そのようなポリマーは、特定の窒素含有前駆体シリコーンポリマーを、例えばプレミックス中で特定の香料原料と組合せ、次いで、その組合せを含む組成物で物品又は表面を処理することによって形成され得る。
【0014】
理論に束縛されることを望むものではないが、香料原料が特定のシリコーン前駆体と縮合した場合に形成される複素環部分は、既知のアミノ修飾シリコーン又はケイ酸エステルから形成されたプロフレグランス材料と比較して、改善された色及び化学的安定性をもたらす傾向があると考えられる。例えば、そのようなアミノ修飾シリコーンに由来するイミン結合と比較して、本明細書に記載の複素環式プロフレグランス材料は、共役系を形成する可能性が低く、望ましくない色の変化をもたらす。更に、シリコーンポリマーに共有結合的に付加された複素環部分(例えば、Si-CR’)は、例えばケイ酸エステル結合(例えば、Si-OR’)と比較して、貯蔵時の化学的安定性の改善をもたらすことで、より長い放出プロファイル及び後のタッチポイントでより多くの香料を放出すると考えられる。更に、前駆体シリコーンポリマー及び得られたプロフレグランスシリコーンの疎水性が高いと、PRMの会合及び/又は堆積が改善され得る。加えて、香料放出プロファイルは、複素環部分の環上のポリマーサイズ及び/又は置換基を調整することによって、製造業者により調整することができるものと考えられる。加えて、本開示の複素環部分は、酸性条件下において、例えば、液体布地柔軟剤/コンディショナーに典型的なものなどの約2~約4のpHで比較的安定であるものと考えられる。
【0015】
材料、組成物、及び方法は、以下でより詳細に説明される。
【0016】
本明細書で使用するとき、特許請求の範囲で使用される場合の「a」及び「an」という冠詞は、特許請求又は記載されているもののうちの1つ以上を意味すると理解される。本明細書で使用するとき、「含む(include)」、「含む(includes)」、及び「含んでいる(including)」という用語とは、非限定的であることを意味する。本開示の組成物は、本開示の構成要素を含み得る、それらから本質的になり得る、又はそれらからなり得る。
【0017】
本明細書では、「実質的に含まない(substantially free of)」又は「実質的に含まない(substantially free from)」という用語を使用してもよい。これは、指示される材料が最小限の量であり、組成物の一部を形成するように意図的にその組成物に添加されたものでないこと、又は好ましくは、分析的に検出可能なレベルで存在しないことを意味する。それは、指示される材料が、意図的に含まれるその他の材料のうちの1つの中に不純物としてのみ存在する、組成物を含むことを意味する。指示される材料は、存在したとしても、組成物の1重量%未満、又は0.1重量%未満、又は0.01重量%未満、又は更には0重量%のレベルで存在してもよい。
【0018】
本明細書において使用するとき、「消費者製品」は、販売されている形態で使用又は消費されることを意図し、その後に商業的に製造又は改造されることを意図しない、ベビーケア、パーソナルケア、布地及びホームケア、ファミリーケア、女性ケア、ヘルスケア、スナック及び/若しくは飲料製品、又は装置を意味する。このような製品としては、おむつ、よだれ掛け、ワイプ;毛髪(ヒト、イヌ、及び/又はネコ)を処理するための製品及び/又はそれに関連する方法(脱色、着色、染色、コンディショニング、シャンプー、スタイリング用を含む);デオドラント及び制汗剤;パーソナルクレンジング;化粧品;消費者使用のためのクリーム、ローション、及び局所的に適用される他の製品の適用を含むスキンケア;並びにシェービング製品、布地、硬質表面、並びに布地及びホームケア分野の任意の他の表面を処理するための製品及び/又はそれに関連する方法(空気ケア、自動車ケア、食器洗浄、布地コンディショニング(柔軟化を含む)、洗濯洗剤、洗濯及びすすぎ用添加剤及び/又はケア、硬質表面洗浄及び/又は処理、並びに消費者又は事業者使用のための他の洗浄を含む);トイレットペーパー、ティッシュ、紙製ハンカチ、及び/又はペーパータオルに関連する製品及び/又は方法;タンポン、女性用ナプキン;口腔ケアに関連する製品及び/又は方法であって、練り歯磨き、歯磨きジェル、歯すすぎ剤、入れ歯粘着剤、歯ホワイトニング剤を含むもの;市販のヘルスケア剤であって、咳止め及び風邪薬、鎮痛剤、RX医薬、ペットの健康及び栄養剤、並びに浄水剤を含むものが挙げられるが、これらに限定されない。
【0019】
本明細書で使用するとき、「布地ケア組成物」という語句とは、布地を処理するために設計された組成物及び配合物を含む。このような組成物としては、洗濯洗浄組成物及び洗剤、布地軟化組成物、布地増強組成物、布地消臭組成物、洗濯前洗浄剤、洗濯前処理剤、洗濯添加剤、スプレー製品、ドライクリーニング剤又は組成物、洗濯すすぎ添加剤、洗浄添加剤、すすぎ後布地処理剤、アイロン助剤、単位用量配合物、遅延送達配合物、多孔質基材又は不織布シート上又は中に含まれる洗剤、及び本明細書の教示を考慮して当業者に明らかであり得る他の好適な形態が挙げられるが、これらに限定されない。このような組成物は、洗濯前処理剤、洗濯後処理剤として使用することができ、又は洗濯操作のすすぎ若しくは洗浄サイクル中に添加することができる。
【0020】
本明細書で使用するとき、「芳香プレミックス組成物」、「プレミックス組成物」、及び「プレミックス」は、特に指示がない限り互換的に使用される。
【0021】
本明細書で使用するとき、「アミン含有量」、「アミン価」、及び「アミン含有量値」は、特に指示がない限り互換的に使用され、試験方法の章で提供される方法に従って求めることができる。窒素の重量パーセントは、試験方法の章で提供されるように総アミン価から求めることができる。
【0022】
本開示で使用される場合、「ポリマー」という用語は、ホモポリマー、すなわち1種類のモノマーと適切なエンドキャップとの重合によって得られるホモポリマー、及びコポリマー、すなわち2種類以上のモノマーの重合によって得られるコポリマーを含む。本発明において、「ポリマー」という用語は、高次オリゴマー(例えば、三量体、四量体など)を含むことが理解される。別途注記がない限り、全ての構成成分又は組成物のレベルは、その構成成分又は組成物の活性部分に関するものであり、このような構成成分又は組成物の市販の供給源に存在し得る不純物、例えば、残留溶媒又は副生成物は除外される。
【0023】
本明細書における全ての温度は、別途指示がない限り、摂氏(℃)である。別途記載のない限り、本明細書における全ての測定は、20℃及び大気圧下で実施される。
【0024】
本開示の全ての実施形態では、全てのパーセンテージは、特に記載のない限り、全組成物の重量に対するものである。特に記載されない限り、全ての比率は重量比である。
【0025】
本明細書の全体を通して与えられる全ての最大数値制限は、全てのより低い数値制限を、あたかもこのようなより低い数値制限が本明細書に明示的に記載されているかのよう含むことが理解されるべきである。本明細書の全体を通して示されている全ての最小数極限値は、それよりも高い全ての数値限定を、このようなより高い数値限定があたかも本明細書に明示的に記載されているかごとく含む。本明細書の全体を通して与えられる全ての数値範囲は、このような広い数値範囲内に入るあらゆる狭い数値範囲を含み、あたかもこのような狭い数値範囲が全て本明細書に明示的に記載されているかのようである。
【0026】
プロフレグランスシリコーンポリマー
本開示は、プロフレグランスシリコーンポリマーに関する。そのようなポリマーは、例えば標的表面にフレグランスを送達するのに有用である。特に、本開示のプロフレグランスシリコーンポリマーは複素環部分を含み、ここで、複素環部分は香料原料の断片を含む。複素環部分は、例えば、アルデヒド又はケトン含有香料原料と、アルカノールアミン又はチオールアミン部分を含むシリコーン前駆体の一部との間の縮合反応によって形成され得る。香料原料は、次いで、加水分解により放出される。
【0027】
本明細書に記載の様式でシリコーンポリマー前駆体と香料原料を関連付けることによって、色安定性、香料沈着、及び/又は香料放出プロファイルに関連する望ましい利点を達成できることが分かった。
【0028】
本開示は、シリコーン骨格、有機リンカー基、及び有機リンカー基に結合した複素環部分含む、プロフレグランスシリコーンポリマーに関する。有機リンカー基は、シリコーン骨格のケイ素原子に結合した炭素原子を含む。以下により詳細に記載されるように、複素環部分は香料原料の残基を含む。
【0029】
プロフレグランスシリコーンポリマーはシリコーン骨格を含む。典型的には、シリコーン骨格はシロキサン骨格である。「骨格」とは、有機リンカー基が結合した足場を提供するシリコーンポリマーを意味する。シリコーン骨格は、典型的には、以下でより詳細に記載される前駆体シリコーンポリマーから形成される。シリコーン骨格は、以下でより詳細に記載されるように、例えばX基及びY又はZ基で官能化されていてもよい。シリコーン骨格は直鎖状又は分枝状であってもよい。
【0030】
有機リンカー基及び複素環部分が、一緒になって、シリコーン骨格に結合したペンダント基を形成することが好ましい場合がある。ペンダント基、具体的にはリンカー基の末端の炭素原子は、シリコーン骨格の末端の位置に位置するケイ素原子に結合していてもよい。そのようなケイ素原子は、本明細書では「末端のケイ素原子」と呼ばれる。ペンダント基、具体的にはリンカー基の末端の炭素原子は、シリコーン骨格の非末端の位置に位置するシリコーン原子に結合していてもよい。そのようなケイ素原子は、本明細書では「非末端のケイ素原子」と呼ばれる。プロフレグランスシリコーンポリマーが、1つ以上の非末端のケイ素原子に結合した1つ以上のペンダント基を含むことが好ましい場合がある。多くのシリコーンポリマーでは、末端のケイ素原子よりも多くの非末端のケイ素原子が存在することを考えると、この構成は、より大きなPRMローディング機会を可能にし得るので好ましい場合がある。プロフレグランスシリコーンポリマーは、末端のケイ素原子に結合したペンダント基、及び非末端のケイ素原子に結合したペンダント基を有し得る。1つのペンダント基が別のペンダント基に結合していてもよい。
【0031】
ペンダント基は、香料原料の1つ以上の残基、例えば少なくとも2つの残基を含み得る。これらの残基の少なくとも1つ、例えば第1のPRM残基は、複素環部分、例えば第1の複素環部分の一部である。第2のPRM残基は、同じペンダント基上の第2の複素環部分の一部であり得る。第2のPRM残基は、同じペンダント基上に位置していてもよいが、第2の複素環部分の一部でなくてもよい。例えば、第2のPRM残基は、イミン結合によってペンダント基に結合していてもよい。第2のPRM残基は、有機リンカー基に結合していてもよい。第2のPRM残基は、第1のPRM残基に対してペンダント基上の比較的末端の位置に位置していてもよい。別の言い方をすれば、第2のPRM残基は、第1のPRM残基及びシリコーン骨格の両方に対して遠位位置に位置し得る。
【0032】
有機リンカー基及び複素環部分は、2つ以上のシリコーン骨格に接続されていてもよい。有機リンカー基及び複素環部分は、2つのシリコーンポリマー断片を効果的に架橋し得る。代替の構成では、有機リンカー基及び複素環部分は、以下の合成例18によって示される場合のように、2つのシリコーンポリマー断片を直鎖状に連結してもよい。
【0033】
複素環部分は、好ましくは、5~7個の環員を含む。複素環部分は、例えば置換基として追加の原子を含み得ることが理解される。5~7個の環員は、複素環部分の「環」を形成する原子のみである。
【0034】
いくつかの環員、すなわち、第1、第2、及び第3の環員は、特定の同一性を有する。例えば、環員は、窒素原子である第1の環員を含む。
【0035】
第2の環員は、炭素原子である。更に、第2の環員(すなわち、炭素原子)は、香料原料(「PRM」、又は親PRM)の残基の一部であり、ここで、残基を形成したPRMは、アルデヒド部分、ケトン部分、及びそれらの組合せからなる群から選択される部分を含む。より具体的には、炭素原子は、親PRMのアルデヒド部分又はケトン部分の炭素である。複素環部分は、縮合反応が、シリコーン前駆体ポリマーのアミン含有部分(例えば、アルカノールアミン又はチオールアミン)と、親PRMとの間で起こる場合に形成される。そのようなPRMについては、以下でより詳細に論じる。少量では一時的であるが、記載された複素環の形成中に、開鎖互変異性体が存在し得る。
【0036】
第3の環員は、酸素原子又は硫黄原子、好ましくは酸素原子である。第3の環員は、より速い速度のPRM加水分解、より高いPRM負荷、改善された粘度プロファイル、及び改善された安定性を有するものと考えられるため、酸素原子であることが好ましい場合がある。
【0037】
第2環員は第1環員に向けて結合されている。第2環員もまた、第3環員に直接結合されている。第3の環員が酸素原子である場合、複素環部分が5つの環員を有する場合、並びに第4の環員及び第5の環員が炭素原子である場合、複素環部分はオキサゾリジン型構造である。第3の環員が硫黄原子である場合、複素環部分が5つの環員を有する場合、並びに第4及び第5の環員が炭素原子である場合、複素環部分はチアゾリジン型構造である。第3の環員が酸素原子である場合、複素環部分が6つの環員を有する場合、並びに第4、第5、及び第6の環員が炭素原子である場合、複素環部分は、オキサジナン又はオキサジン型構造であり得る。第3の環員が硫黄原子である場合、複素環部分が6つの環員を有する場合、並びに第4、第5、及び第6の環員が炭素原子である場合、複素環部分はチアジナン又はチアジン型構造であり得る。
【0038】
オキサゾリジン環の一般構造を以下に示す。構造体は、数字(1~5)で各々標識された5つの環員を有する。本開示では、このような環は、少なくとも第2の環員で置換され、これは上述のように、PRMの残基であることが理解される。更に、そのような環員は、直接的又は間接的に有機リンカー基に結合され、最終的にシリコーン骨格に結合される。
【0039】
【化1】
【0040】
本開示のプロフレグランスシリコーンポリマーは、式I、式II、及びそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つのラジカルを含んでもよく、ここで、式I及び式IIのラジカルは、以下の構造:
(Si)-X-Z 式I;
(Si)-X-(Z-X)-(Si) 式II;
を有し、
式中、「(Si)-」はSi原子への結合を表し、各X基は有機リンカー基であり、かつ2~24個の鎖原子を含む独立して選択された二価有機部分基であり、Z基は複素環部分を含み、式IIの指数nは1又は2、好ましくは1である。
【0041】
プロフレグランスシリコーンポリマーは、式I、式II、及びそれらの混合物からなる群からの、少なくとも1つのラジカル、好ましくは2つ以上のラジカルを有し得る。場合によっては、プロフレグランスシリコーンポリマーは、式I、式II、又はそれらの混合物による1つのラジカルを有し得る。プロフレグランスシリコーンポリマー中のケイ素原子に対するラジカル(例えば、-X-Z基)のモル比は、平均して、約1:1~約1:500、又は約1:2~約1:100、又は約1:2~約1:50、又は約1:2~約1:20、又は約1:2~約1:15、又は約1:2~約1:12、又は約1:5~約1:12であってもよい。単一のプロフレグランスシリコーンポリマーがPRMに関してより高い負荷容量を有し、したがってより高い程度の鮮度利益をより効率的に送達することができるように、比較的より多くのラジカルが好ましい場合がある。しかしながら、比率が高すぎると、安定性及び/又は架橋の課題が生じる場合がある。
【0042】
好ましくは、プロフレグランスシリコーンポリマーの少なくとも1つのラジカルは、式Iの構造を有する。このようなラジカルは、上記のペンダント基に対応していてもよく、末端のケイ素原子、非末端のケイ素原子、又はそれらの組合せに位置していてもよい。式Iによるラジカルは、粘度及び製剤の両方において、商業的な実行可能性及び制御可能な物理的特性のために好ましい場合がある。
【0043】
式IIの構造は、2つのポリマーシリコーン部分の連結を示す。そのような構造は、2つのペンダントシリコーンポリマー断片を、分子内又は分子間様式で効果的に架橋することができる(例えば、1つ以上のX部分は、非末端のケイ素原子に結合している)。追加的又は代替的に、そのような構造は、2つのシリコーンポリマー断片を直鎖状に、効果的に連結してもよい(例えば、ラジカルの末端のX部分は、末端のケイ素原子に結合している)。そのような場合、「-X-(Z-X)-」部分は、実質的にシリコーン骨格の中央のブロックであり得る。加えて、ペンダント又は末端のシリコーンポリマー断片の混合物は、分子内又は分子間様式で架橋されてもよい。好ましくは、一貫した粘度及び製剤特性をもたらす合成の容易さに起因して、nは1に等しい。式IIによるラジカルは、香料送達及び色の利益を改善するために好ましい場合がある。
【0044】
上述したように、「(Si)-」は、ケイ素ポリマーのケイ素原子との共有結合を表す。上でより詳細に論じたように、X部分が結合しているケイ素原子は、末端のケイ素原子又は非末端のケイ素原子であり得る。
【0045】
X部分の炭素原子は、例えば「(Si)-」結合を介して、骨格のケイ素原子に結合している。リンカー基の酸素がケイ素原子に結合した場合よりも、立体配置が安定であると考えられる。好ましくは、X基は、非末端のケイ素原子に結合している。
【0046】
各X基は、独立して、約14~約1000Da、好ましくは約28~約495Da、より好ましくは約42~約98Daの分子量を有する、二価の有機部分であり得る。そのような分子量は、重量%で比較的高い香料充填量を維持するため、PRMとの反応性を改善するため、ポリマーの物理的特性を改善するため、及び/又は製品若しくは処理組成物内の安定性のために、容易に市販及び/又は手頃な価格であるなど、様々な理由で好ましい場合がある。
【0047】
上述したように、各X基は有機リンカー基である。各X基が、2~24個の鎖原子を含む、独立して選択される二価有機部分基である。「鎖原子」とは、ケイ素原子とZ基との間に直接ある原子の数を意味し、直鎖状で数えられる。とはいえ、X基は鎖に沿った置換を含み得る。しかしながら、これらの置換の原子は、鎖原子の数を決定する場合に数えられるべきではない。鎖原子の大部分は炭素原子であってもよいが、ヘテロ原子、好ましくは酸素が鎖中に存在してもよい。
【0048】
各X基は、独立して、2個~24個の鎖原子、好ましくは2個~12個の鎖原子、より好ましくは2個~9個の鎖原子、更により好ましくは2個~6個の鎖原子、更により好ましくは3個~5個の鎖原子を含み得る。更により好ましくは、鎖原子の少なくとも1つは酸素原子であってもよい。X基は、1個以上の酸素原子、好ましくは1個の酸素原子、例えばアルコキシ又はエーテル基を含み得る。酸素原子はX基の非末端の位置にあってもよい。X基は四炭素エーテル基であってもよい。好ましくは、X基は、-CH-CH-CH-O-CHであり、好ましくはここで、アスタリスク()は、Z基に結合しているX基の末端である。
【0049】
有機リンカー基は、独立して、C~C32置換若しくは非置換炭化水素、C~C32置換若しくは非置換アルコキシ、C~C32置換若しくは非置換アリールオキシ、C~C32置換若しくは非置換アセトキシ、C~C32飽和若しくは不飽和カルボニル、C~C32置換若しくは非置換アルキルアミン、C~C32置換若しくは非置換ヒドロキシ、C~C32置換アレーン、C~C32置換若しくは非置換エポキシド、C~C32置換若しくは非置換エピスルフィド、又はC~C32置換若しくは非置換アジリジンからなる群のメンバー;好ましくは、独立して、C~C32置換若しくは非置換炭化水素、又はC~C32置換若しくは非置換アルコキシからなる群から選択されるメンバー;より好ましくは、C~C32置換又は非置換アルコキシ;最も好ましくはC~C32非置換アルコキシから選択され得る。
【0050】
有機リンカー基は、置換又は非置換であってもよい。有機リンカー基は、直鎖状又は分枝状、好ましくは直鎖状であってもよい。上述のように、有機リンカー基は、2~24個の鎖原子を有し得る。そのような場合において、有機リンカー基が、例えば24個を超える炭素を有する場合、これは、有機リンカー基が置換及び/又は分枝していることを示す。
【0051】
式I及び/又は式IIによるラジカルでは、Z基は複素環部分を含む。より具体的には、各Z基は、R、Jの1つ以上の一価置換基、又はそれらの組合せからなる群から選択される部分の式IIIからの除去によって誘導可能な一価又は二価の複素環部分であってもよく、ここで、式IIIは、以下の構造を有し:
【0052】
【化2】
式中、Gは、酸素又は硫黄からなる群から選択され、
式中、指数mは2~4であり、好ましくはmは2~3であり、より好ましくはmは2であり、
式中、Rは、H、又は15~495Daの間の分子量を有する一価部分から選択され、より好ましくはRは、H、又は15~101Daの間の分子量を有する一価部分から選択され、更により好ましくはRは、Hであり、
式中、各Jは、独立して、C(R、-O-、及び-N(R)-からなる群から選択され、
式中、各Rは、独立して、H、及び14~990Daの間の分子量を有する一価部分から選択され、より好ましくはRは、H、及び14~186Daの間の分子量を有する一価部分から選択され、更により好ましくはRは、Hであるが、
但し、第1の単位及び第2の単位は、可能であれば、二価置換基として任意に一緒にすることができ、ここで、第1の単位は第1のR基であり、第2の単位は、第2のR基、R基、及びR基の一価置換基からなる群から選択され、好ましくは、二価置換基は、縮合環、スピロ環、不飽和置換基、=N(R)、=O、及び=Sからなる群から選択され、
式中、-C(R)(R)-部分は、香料原料、好ましくは3~34個の炭素原子を含む香料原料の残基であり、ここで、残基が由来する香料原料は、アルデヒド部分、ケトン部分、又はそれらの組合せを含み、好ましくはRは、一価有機部分から独立して選択され、好ましくはRは、水素及び一価有機部分からなる群から独立して選択され、任意に、R、Rの置換基、Jの1つ以上の一価置換基、又はそれらの組合せから選択される第2の部分は、X基への第2の連結で置き換えられ、好ましくはそれによって第2の環構造を形成する。なお、以下の合成例のセクションにおいて、合成例15は、第2の環構造が形成されたこのような構造の例を示す。
【0053】
上記のように、各Z基は、式IIIからの部分の除去によって誘導可能である。しかしながら、この文脈における「誘導可能」とは、その部分が実際に式IIIによる化合物に由来することを必ずしも意味しないことに留意することが重要である。実際、Z部分は、たとえそのような化合物から誘導されるとしても稀であると予想される。代わりに、Z部分は、典型的には、PRMと、シリコーンポリマー前駆体のアルカノールアミン又はチオールアミン部分との縮合反応から誘導され、複素環部分をもたらす。独立した化合物として式IIIを提示することは、Z基の一般式、並びにZ基がX基に結合し得る様々な方法を例示することのみを意図しており、式IIIからの(仮想的な)部分の除去部位は、Z基がX基に結合し、典型的にはX基の末端部分に結合している場所を示す。
【0054】
言い換えると、式III又は更には式IVの置換基の1つは、X基に対するZ基の結合点(すなわち、共有結合)であり得る。より具体的には、R基、及び/又は以下に記載される任意のR基は、X基へのZの結合点であり得る。更により具体的には、R、任意のR、又はそれらの混合物の少なくとも1つ及び2つ以下が、X基へのZの結合点であることが好ましい場合がある。
【0055】
上記のように、第2の部分、例えば、R、Rの置換基、Jの1つ以上の一価置換基、又はそれらの組合せから選択されるものは、除去され、第2の連結又はX基への結合で置き換えられてもよい。X基は、問題のZ基と同じラジカル又は異なるラジカルの一部であってもよい。X基が同じラジカルの一部である場合、第2の結合は、第2の環構造を(例えば、PRM残基を含む複素環部分に加えて)もたらし得る。以下の合成例のセクションでは、合成例13及び合成例18がそのような構造の例を示す。
【0056】
上記のように、-C(R)(R)-部分は香料原料(PRM)の残基であり、親PRMは、アルデヒド部分、ケトン部分、又はそれらの組合せを含む。-C(R)(R)-部分の「C」は、PRMのアルデヒド部分又はケトン部分、例えば、複素環部分をもたらした縮合反応の一部であったアルデヒド部分又はケトン部分の炭素を表す。したがって、親PRMは、式R-C(O)-Rによって特徴付けることができる。Rが一価有機部分である場合、親PRMは、縮合して複素環部分の一部になるケトンを含む。Rが水素である場合、親PRMは、縮合して複素環部分の一部になるアルデヒドを含む。好適な香料原料については、以下でより詳細に説明する。
【0057】
上記のように、式III中の指数mは2~4であってもよく、好ましくはmは2~3であってもよく、より好ましくはmは2あってもよい。より低い範囲は、5員環及び6員環、好ましくは5員環が比較的安定であるものと考えられるので好ましい。
【0058】
上記のように、各Jは、独立して、C(R、-O-、及び-N(R)-からなる群から選択されてもよい。各Jは、安定性、香料原料との活性、及び/又は香料原料の放出の理由から、C(Rから独立して選択されることが好ましい場合がある。
【0059】
各Zは、好ましくは、R、Jの1つ以上の一価置換基、又はそれらの組合せから選択される部分の式IVからの除去によって誘導可能な一価又は二価の五員複素環部分であってもよく、ここで、式IVは、以下の構造:
【0060】
【化3】
を有し、
式中、G、R、R、及びRは上記の通りであり、好ましくはGは酸素であり、各Jは独立してC(Rであり、Rは上記の通りである。この場合、式IIIの指数mは2であり、それによって5員環を形成する。任意に、R、Rの置換基、Jの1つ以上の一価置換基、又はそれらの組合せから選択される第2の部分は、X基への第2の連結で置き換えられ、好ましくはそれによって第2の環構造を形成し、より好ましくは、この第2の環構造は第2のPRM残基を含み、式中、第2の環構造は、第1のPRM残基及びシリコーン骨格の両方に対して遠位位置にあってもよく、又は複素環部分と二環式構造を形成している。
【0061】
Z基は、好ましくは、Z基が式III又は式IVに示される窒素原子でX基に結合していることを意味する、式III又は式IVからのRの除去によって誘導可能であり得る。
【0062】
Z基は、好ましくは、式III又は式IVからのJの1つ以上の一価置換基の除去によって誘導可能であってもよく、好ましくは、Jは-C(R-であり、R基の1つ以上は除去され、これは、Z基が、除去されたR基があったであろう位置でX基に結合していることを意味する。そのような場合、RはHであることが好ましい場合がある。
【0063】
各Z基は、式IIIによる一価又は二価の複素環部分であってもよく、ここで、式IIIは以下の構造:
【0064】
【化4】
を有し、
式中、Gは、酸素又は硫黄からなる群から選択され、好ましくは酸素であり、式中、指数mは2~4であり、好ましくはmは2~3であり、より好ましくはmは2であり、式中、Rは、H、15~495Daの分子量を有する一価部分、又はX基へのZの結合点から選択され、好ましくは、Rは、H、又はX基へのZの結合点であり、ここで、Rは、一価部分として存在する場合、一価部分は、好ましくは置換又は非置換のC~C35アルキル基、より好ましくは15~101Daの分子量を有する一価部分、更により好ましくは置換又は非置換のC~Cアルキルであり、式中、各Jは、独立して、C(R、-O-、-N(R)-からなる群から選択され、ここで、各Rは、独立して、H、14~990Daの分子量を有する一価部分、又はX基へのZの結合点から選択され、ここで、Rが一価部分として存在する場合、一価部分は、好ましくは置換又は非置換の、飽和又は不飽和C~C70アルキル、より好ましくは14~186Daの分子量を有する一価部分、更により好ましくは置換又は非置換の、飽和又は不飽和C~C12アルキルであり、好ましくはRは、H、又はX基へのZの結合点であり、但し、第1の単位及び第2の単位は、任意に、可能であれば、二価置換基として任意に一緒にすることができ、ここで、第1の単位は第1のR基であり、第2の単位は、第2のR基、R基、及びR基の一価置換基からなる群から選択され、好ましくは、二価置換基は、縮合環、スピロ環、不飽和置換基、=N(R)、=O、及び=Sからなる群から選択され、式中、-C(R)(R)-部分は、香料原料(PRM)、好ましくは3~34個の炭素原子を含むPRMの残基であり、ここで、残基が由来する香料原料は、アルデヒド部分、ケトン部分、又はそれらの組合せを含み、好ましくはRは、一価有機部分から独立して選択され、好ましくはRは、独立して、水素及び一価有機部分からなる群から選択されるが、但し、R、任意のR、又はそれらの混合物の少なくとも1つ及び2つ以下は、X基に対するZの結合点である。
【0065】
各Zは、式IVによる一価又は二価の5員複素環部分であることが好ましい場合があり、ここで、式IVは以下の構造:
【0066】
【化5】
を有し、
式中、G、R、R、及びRは上記の通りであり、好ましくはGは酸素であり、各Jは独立してC(Rであり、Rは上記の通りである。
【0067】
、任意のR、又はそれらの組合せのうち2つが、好ましくは第2の環構造を形成する、X基へのZの結合点であることが好ましい場合がある。
【0068】
各Zは、式III又は式IVによる一価又は二価の複素環部分、好ましくは5員複素環部分であり、式中、少なくとも1個のRは、X基へのZの結合点であり、好ましくは式中、Rは、Hであることが好ましい場合がある。
【0069】
本開示のプロフレグランスシリコーンポリマーは、以下に示す式Vによる構造:
[RSiO1/2(q+2r+2)[RSiO2/2[R10SiO3/2[SiO4/2 式V
を有してもよく、
式中、qは、0~150の整数であり、pは、0~1500の整数であり、rは、0~150の整数であり、式中、q+p+rは、1以上の整数に等しく、式中、R、R、R、R、R、及びR10部分の各々は、独立して、H、OH、一価有機部分、式Iによるラジカル、又は式IIによるラジカルからなる群から選択され、R~R10部分の少なくとも1つは、式Iによるラジカル又は式IIによるラジカル、好ましくは式Iによるラジカルである。
【0070】
、R、又はRのいずれかが式I又は式IIによるラジカルである場合、ラジカルは、末端のケイ素原子に結合している。R、R、又はR10のいずれかが式I又は式IIによるラジカルである場合、ラジカルは、非末端のケイ素原子に結合している。
【0071】
上記のように、R、R、R、R、R、及びR10部分の各々は、独立して、H、OH、一価有機部分、式Iによるラジカル、又は式IIによるラジカルからなる群から選択されてもよい。一価有機部分は、存在する場合、独立して、C~C32アルキル、C~C32アルケニル、C~C32アルキニル、C~C32置換アルキル、C~C32アリール、C~C32置換アリール、C~C32アルキルアリール、C~C32置換アルキルアリール、C~C32アルコキシ、C~C32アリールオキシ、C~C32アセトキシ、C~C32カルボニル、C~C32カルボキサミド、C~C32アルキルアミン、C~C32チオールアミン、又はC~C32アルカノールアミンから選択され得る。
【0072】
香料原料
ある特定の香料原料をシリコーンポリマー前駆体と組合せて、例えば、本開示のプロフレグランスシリコーンポリマーを形成してもよい。上記のように、プロフレグランスシリコーンポリマーは複素環部分を含んでもよく、複素環部分は、とりわけ、香料原料の残基を含む。このセクションは、そのようなプロフレグランスシリコーンポリマーへの組み込みに好適な香料原料(及びその関連残基)を更に記載する。
【0073】
「香料原料」という用語(又は「PRM」)は、本明細書で使用するとき、少なくとも約100g/モルの分子量を有し、かつ匂い、芳香、エッセンス、又は香りを、単独で又はその他の香料原料と共に付与するのに有用な化合物を意味する。典型的なPRMは、特に、アルコール、ケトン、アルデヒド、エステル、エーテル、ナイトライト、及びテルペンなどのアルケンを含む。一般的なPRMのリストは、例えば、「Perfume and Flavor Chemicals」第I巻及び第II巻;Steffen Arctander Allured Pub.Co.(1994)及び「Perfumes:Art,Science and Technology」、Miller,P.M.and Lamparsky,D.,Blackie Academic and Professional(1994)のような様々な参照元に見出され得る。
【0074】
シリコーン前駆体と反応する香料原料は、アルデヒド部分、ケトン部分、又はそれらの組合せから選択される部分を含み得る。これらの部分の1つ以上を有するPRMは、本明細書に記載のシリコーンポリマー前駆体と組合せて複素環部分を効果的に形成することができるものと考えられる。更に、シリコーン前駆体と組合せたそのようなPRMは、有効な放出及び/又は寿命プロファイルをもたらし得る。これは、このような部分を有するPRMが一般的であり、かつ消費者関連の嗅覚体験を定式化する場合に望ましいことを考えると、特に有利である。好ましいPRMは、α,β位に不飽和であるアルデヒド部分又はケトン部分を含み得る。
【0075】
上述したように、プロフレグランスシリコーンポリマー、具体的には複素環部分は、アルデヒド部分を含む香料原料の残基を含み得る。アルデヒド部分を含む香料原料を以下の表Aに示す。表Aに示す材料は、本開示による使用に好適なPRMの例示的な(しかし、非限定的な)例であるものと考えられる。
【0076】
【表1-1】
【0077】
【表1-2】
【0078】
複素環部分のPRM残基を形成した香料原料は、上記の表Aのアルデヒド含有PRMからなる群から選択され得る。複素環部分のPRM残基を形成したPRMは、アルデヒド部分を含んでもよく、好ましくは、メチルノニルアセトアルデヒド:ベンズアルデヒドフロラロゾン;イソシクロシトラール;トリプラール(リグストラール);プレシクレモンB;リリアール;デシルアルデヒド;ウンデシレンアルデヒド;シクラメンホモアルデヒド;シクラメンアルデヒド;デュピカル;オンシダール;アドキザール;メロナール;カリプソン;アニスアルデヒド;ヘリオトロピン;クミンアルデヒド;センテナール;3,6-ジメチルシクロヘキサ-3-エン-1-カルバルデヒド;サチンアルデヒド;カントキザール;バニリン、エチルバニリン、桂皮アルデヒド;及びこれらの混合物からなる群から選択されてもよい。
【0079】
上述したように、プロフレグランスシリコーンポリマー、具体的には複素環部分は、ケトン部分を含む香料原料の残基を含み得る。ケトン部分を含む香料原料を以下の表Bに示す。表Bに示す材料は、本開示による使用に好適なPRMの例示的な(しかし、非限定的な)例であるものと考えられる。
【0080】
【表2-1】
【0081】
【表2-2】
【0082】
複素環部分のPRM残基を形成した香料原料は、上記の表Bのケトン含有PRMからなる群から選択され得る。複素環部分のPRM残基を形成したPRMは、ケトン部分を含んでもよく、好ましくは、ネロリオン;4-(4-メトキシフェニル)ブタン-2-オン;1-ナフタレン-2-イルエタノンネクタリル;トリモフィックスO;フルーラモン;デルタダマスコン;ベータダマスコン;アルファダマスコン;メチルイオノン;2-ヘキシルシクロペンタ-2-エン-1-オン;ガラバスコーン;及びこれらの混合物からなる群から選択されてもよい。
【0083】
本開示のプロフレグランスシリコーンポリマーは、他の香料原料、アルデヒド又はケトン部分を含有しないPRMとさえも組合せて使用されてもよい。疎水性シリコーン液滴は、たとえ縮合反応が起こらなくても、特定のPMRの堆積を促進し得ると考えられるので、アルデヒド部分又はケトン部分を含有しないものなどの他の香料原料もまたシリコーン前駆体と混合され得る。追加的又は代替的に、問題のPRMは、たとえ反応が本明細書に記載の複素環部分をもたらさない場合であっても、シリコーン前駆体の他の部分と反応し得ることが可能である。追加的又は代替的に、PRMは、低分子量アミンなどの他の化合物と反応してもよく、次いでシリコーン前駆体と反応してもよい。材料供給業者は、例えば、包装、輸送、又は貯蔵コストを節約するために、反応PRM及び未反応PRMを同じシリコーンエマルジョン中に提供することを望む場合さえあり得る。追加的又は代替的に、他のPRMは、例えば、より丸みを帯びた嗅覚体験を提供するために、本開示によるプレミックス組成物及び/又は処理組成物に未処理又は遊離油として提供されてもよい。
【0084】
他の香料原料を以下の表Cに提示する。表Cに示す材料は、本開示による使用に好適なPRMの例示的な(しかし、非限定的な)例であるものと考えられる。例えば、これらの「他の」PRMは、例えば未処理香料又はカプセル化香料として添加することによって、本開示のプロフレグランスシリコーンポリマーと共製剤化されてもよい。プロフレグランスシリコーンポリマーは、プロセス中に複素環部分が形成されない場合であっても、1つ以上の他の香料と更に反応/縮合することができる。
【0085】
【表3-1】
【0086】
【表3-2】
【0087】
【表3-3】
【0088】
【表3-4】
【0089】
【表3-5】
【0090】
上記に列挙した香料原料を含む、本明細書における香料原料は、New York,NY USAのInternational Flavors and Fragrances;Vernier SwitzerlandのGivaudan;Geneva,SwitzerlandのFirmenich;Holzminden,GermanyのSymrise;Tokyo,JapanのKao;Tokyo,JapanのTakasago;及びTel-Aviv,IsraelのFlorasynthを含む供給業者から得ることができる。
【0091】
前駆体シリコーンポリマー
本開示はまた、例えば、本開示によるプロフレグランスシリコーンポリマーの前駆体として役立ち得る、特定のシリコーンポリマーに関する。これらの前駆体シリコーンポリマーを、例えば縮合反応によって香料原料と反応させて、本開示のプロフレグランスシリコーンポリマーを形成してもよい。したがって、これらの前駆体は、本明細書に記載のプロフレグランスシリコーンポリマーを形成するのに有用であり得る原料ポリマー又は反応物として作用し得る独立型ポリマーである。
【0092】
典型的には、前駆体シリコーンポリマーは、アルカノールアミン及び/又はチオールアミン部分を含む1つ以上の部分を有し、これらは、特定のアルデヒド又はケトン含有PRMと反応して本明細書に記載の複素環部分を形成することができる。アルカノールアミン及び/又はチオールアミン部分を有する1つ以上の部分は、有機リンカー基を介してシリコーンポリマー骨格に接続されてもよい。
【0093】
前駆体シリコーンポリマーは、式VI、式VII、及びそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つのラジカルを含んでもよく、ここで、式VI及び式VIIのラジカルは、以下の構造:
(Si)-X-Y 式VI;
(Si)-X-(Y-X)-(Si) 式VII;
を有し、及び
式中、「(Si)-」は、ケイ素原子、例えばシリコーン骨格のケイ素原子との結合であり、
式中、指数nは、1~2であり、好ましくは1であり、
式中、各X基は、有機リンカー基であり、2~24個の鎖原子を含む独立して選択された二価有機基であり、シリコーン骨格のケイ素原子に結合した炭素原子を含み(すなわち、各X基は、Si-C結合を介して「(Si)」に共有結合している)、及び
式中、各Y基は、独立して、窒素原子及び第2の原子を含む一価又は二価部分であり、ここで、第2の原子は、酸素原子及び硫黄原子からなる群から選択され、窒素原子は、2個の原子から、第2の原子、3個の原子、又は4個の原子によって分離されている。
【0094】
好適な有機リンカー/X基は、プロフレグランスシリコーンポリマーに関して上記でより詳細に記載されている。上記の関連した開示は、前駆体シリコーンポリマーに関して実質的に等しく適用される。例えば、X部分の炭素原子は、例えば、「(Si)-」結合を介して、骨格のケイ素原子に結合している。リンカー基の酸素がケイ素原子に結合した場合よりも、立体配置が安定であると考えられる。好ましくは、X基は、非末端のケイ素原子に結合している。
【0095】
式VI及び/又は式VIIによるラジカルでは、Y基は、アルカノールアミン部分及び/又はチオールアミン部分を含む。Y基は、上述のように、アルデヒド又はケトン含有香料原料と反応した場合にZ基を形成することができるように選択されてもよい。
【0096】
例えば、Y基は、R、Jからの1つ以上の一価置換基、又はそれらの組合せから選択される部分の式VIIIからの除去によって誘導可能であってもよく、ここで、式VIIIは以下の構造:
【0097】
【化6】
を有し、
式中、Gは、酸素又は硫黄からなる群から選択され、好ましくは酸素であり、
式中、指数mは2~4であり、好ましくはmは2~3であり、より好ましくはmは2であり、
式中、Rは、H、又は15~495Daの間の分子量を有する一価部分から選択され、より好ましくはRは、H、又は15~101Daの間の分子量を有する一価部分から選択され、更により好ましくはRは、Hであり、式中、各Jは、独立して、C(R、-O-、及び-N(R)-からなる群から選択され、式中、各Rは、独立して、H、及び14~990Daの間の分子量を有する一価部分から選択され、より好ましくはRは、H、及び14~186Daの間の分子量を有する一価部分から選択され、更により好ましくはRは、Hであるが、
但し、第1の単位及び第2の単位は、可能であれば、二価置換基として任意に一緒にすることができ、ここで、第1の単位は第1のR基であり、第2の単位は、第2のR基、R基、及びR基の一価置換基からなる群から選択され、好ましくは、二価置換基は、縮合環、スピロ環、不飽和置換基、=N(R)、-C(O)-、及び-C(S)-からなる群から選択され、任意に、R、Rの置換基、Jの1つ以上の一価置換基、又はそれらの組合せから選択される第2の部分は、X基への第2の連結で置き換えられ、好ましくはそれによって環構造を形成する。
【0098】
別の言い方をすれば、各Yは、独立して、式VIIIによる一価又は二価部分であり得、式VIIIは以下の構造:
【0099】
【化7】
を有し、
式中、Gは、酸素又は硫黄からなる群から選択され、好ましくは酸素であり、式中、指数mは2~4であり、好ましくはmは2~3であり、より好ましくはmは2であり、式中、Rは、H、15~500Daの分子量を有する一価部分、又はX基へのYの結合点から選択され、好ましくは、Rは、H、又はX基へのYの結合点であり、ここで、Rは、一価部分として存在する場合、一価部分は、好ましくは置換又は非置換のC~C35アルキル基、より好ましくは15~101Daの分子量を有する一価部分、更により好ましくは置換又は非置換のC~Cアルキルであり、好ましくはR1はHであり、式中、各Jは、独立して、C(R、-O-、-N(R)-からなる群から選択され、ここで、各Rは、独立して、H、14~990Daの分子量を有する一価部分、又はX基へのYの結合点からなる群から選択され、ここで、Rが一価部分として存在する場合、一価部分は、好ましくは置換又は非置換の、飽和又は不飽和C~C70アルキル、より好ましくは14~186Daの分子量を有する一価部分、更により好ましくは置換又は非置換の、飽和又は不飽和C~C12アルキルであり、好ましくは各Rは、Hであるが、但し、第1の単位及び第2の単位は、可能であれば、二価置換基として任意に一緒にすることができ、ここで、第1の単位は第1のR基であり、第2の単位は、第2のR基、R基、及びR基の一価置換基からなる群から選択され、好ましくは、二価置換基は、縮合環、スピロ環、不飽和置換基、=N(R)、=O、及び=Sからなる群から選択され、但し、R、任意のR、又はそれらの組合せの少なくとも1つ及び2つ以下が、X基へのYの結合点である。
【0100】
Gが酸素であり、YがRの除去から誘導可能である場合、そのような化合物は新規であり、かつ本明細書に記載のプレミックス及びプロフレグランスシリコーン化合物を作製するのに有用であるものと考えられるので、mは2又は3ではないことが好ましい場合がある。
【0101】
上記のZ基の議論と同様に、この文脈における「誘導可能」という用語は、その部分が実際に式VIIIの化合物に由来することを必ずしも意味しない。同様に、(仮想的な)「除去」部位は、Y部分がX部分に接続している場所を示す。
【0102】
上記した前駆体シリコーンポリマーのいずれかは、本開示のプロフレグランスシリコーンポリマーの形成における、又は本明細書に記載される関連するプロセス、プレミックス、若しくは処理組成物のいずれかにおける使用に好適であるものと考えられる。しかしながら、前駆体シリコーンポリマー自体の特許性の目的のために、Gが酸素原子である場合、好ましくはY基がR基の除去から誘導可能である場合(例えば、Y基は、R基が示されている式VIIIの窒素基を介してX基に接続している)、mは、2又は3ではないことが好ましい場合がある。
【0103】
本開示の前駆体シリコーンポリマーは、以下に示す式IXによる構造:
[RSiO1/2(q+2r+2)[RSiO2/2[R10SiO3/2[SiO4/2 式IX
を有してもよく、
式中、qは、0~150の整数であり、pは、0~1500の整数であり、rは、0~150の整数であり、式中、q+p+rは、1以上の整数に等しく、式中、R、R、R、R、R、及びR10部分の各々は、独立して、H、OH、一価有機部分、式VIによるラジカル、又は式VIIによるラジカルからなる群から選択され、R~R10部分の少なくとも1つは、式VIによるラジカル又は式VIIによるラジカル、好ましくは式VIによるラジカルである。
【0104】
前駆体シリコーンポリマーは、約450Da~約200000Daの重量平均分子量によって特徴付けられてもよく、及び/又はプロフレグランスシリコーンポリマーは、0.004(Pas)~100(Pas)の範囲に含まれる粘度によって特徴付けられてもよい。シリコーンポリマーの重量平均分子量及び粘度を決定するための方法は、以下の試験方法セクションに提示される。そのような分子量及び/又は粘度は、表面堆積、製剤安定性、及び香料原料との親和性の改善をもたらすものと考えられるので、好ましい場合がある。
【0105】
前駆体シリコーンポリマーは窒素原子を含む。前駆体シリコーンポリマーは、約0.05~約2.2、好ましくは約0.071~約2.14、又は約0.071~約1.78、又は約0.71~約1.43、又は約0.14~約1.07、又は約0.14~約0.71、又は約0.21~約0.71、又は約0.36~約0.71の総アミン含有量を特徴とし得る。前駆体シリコーンポリマーは、官能基当量の重量%として報告される、約0.1%~約3%、又は約0.1%~約2%、又は約0.2%~約1.5%、又は約0.2%~約1.0%、又は約0.3%~約0.8%、又は約0.3%~約0.75%の窒素含有量を特徴とし得る。アミン含有量及び官能基当量の重量パーセントは、試験方法のセクションで提供される方法に従って決定することができる。低すぎる窒素濃度は不十分なPRM負荷をもたらすことがあり、窒素濃度が高すぎると、水溶性の増加及び/又は性能の低下につながる可能性がある。
【0106】
前駆体シリコーンポリマーは、適切に官能化されたホモポリマー、コポリマー、又は高級オリゴマーシリコーンと、適切な対応する小分子添加剤(例えば、アミン、オキシラン、アルカノールアミン、チイランなど)との組合せから、共溶媒触媒(アルコール、ジオール、酸、塩基)の有無にかかわらず、外部刺激(例えば、圧力、熱、機械的撹拌)の有無にかかわらず、触媒の有無にかかわらず、精製の有無にかかわらず、得ることができる。
【0107】
本開示において、シリコーンポリマー前駆体は、適切な組成物及び官能性の式IXに記載されるシリコーンポリマーに到達するための個々のシラン化合物の重合から得られてもよい。
【0108】
プロフレグランスシリコーンポリマー及び関連したプレミックスを作製する方法
本開示はまた、本開示によるプロフレグランスシリコーンポリマーと、関連するプレミックスとを作製する方法に関する。
【0109】
本開示は、プロフレグランスシリコーンポリマーを作製する方法に関する。この方法は、上記の前駆体シリコーンポリマーを好適な香料原料、すなわちアルデヒド部分、ケトン部分、又はそれらの組合せを含むものと組合せる工程を含み得る。
【0110】
組合せ工程は、任意の好適な時点において、例えばプレミックス中において、ベース組成物中において、又は更には水の除去(例えば、乾燥プロセスを介して)を伴う場合がある布地物品などの表面又は物品上において、行われてもよい。
【0111】
前駆体シリコーンポリマー及び1つ以上の香料原料は、例えば、各々を別個の入力としてベース組成物に添加することによって、処理組成物中で組合せることができる。
【0112】
前駆体シリコーンポリマー及び香料原料は、液体プレミックス組成物中で組合せてもよい。したがって、本開示は、このような液体プレミックス組成物及びこのような液体プレミックス組成物を作製する方法に関する。
【0113】
本開示の液体プレミックス組成物(本明細書ではまた、「プレミックス組成物」、又は単に「プレミックス(複数)」若しくは「プレミックス(単数)」とも称される)は、処理組成物の有用な構成成分であってもよく、かつこのようなプレミックスが使用されない製品と比較して、これらの組成物の香料送達及び性能を改善するのに役立ち得る。更に、プレミックスで成分を組合せることにより、成分を別々に(例えば、プレミックスとしてではなく)消費者製品、特に水性消費者製品に添加した場合と比較して、処置においてより効率的な香料送達及び性能が得られると考えられる。加えて、プレミックス組成物は、予め簡便に作製され、所望に応じて場所間で貯蔵及び/又は輸送されてもよく、又は処理組成物に組み込む前に第三者によって作製されてもよい。
【0114】
本開示は、プレミックス組成物、好ましくは本明細書に記載のプレミックス組成物を作製する方法に関する。本方法は、上記でより詳細に記載されるように、式VI、式VII、又はそれらの混合物による1つ以上のラジカルを含み得る、前駆体シリコーンポリマーを提供する工程と、前駆体シリコーンポリマーを、アルデヒド部分、ケトン部分、及びそれらの組合せからなる群から選択される部分を含む香料原料と組合せる工程と、を含む。以下により詳細に記載されるように、前駆体シリコーンポリマーを、乳化剤、好ましくは非イオン性界面活性剤と組合せて、水中油型エマルジョンを形成してもよく、これにPRMを添加してもよい。
【0115】
液体プレミックス組成物は、(a)本明細書に記載されるようなプロフレグランスシリコーンポリマー、例えば、上記でより詳細に記載されるような、式I、式II、及びそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つのラジカルを含み、任意には、1つ以上の遊離香料原料を更に含む、プロフレグランスシリコーンポリマー;又は(b)上記でより詳細に記載されるように、式VI、式VII、又はそれらの組合せによる1つ以上のラジカルを含み得る前駆体シリコーンポリマー、及びアルデヒド部分、ケトン部分、及びそれらの組合せからなる群から選択される部分を含む、香料原料であって、ここで、前駆体シリコーンポリマー及び香料原料が縮合してプロフレグランスシリコーンポリマーを形成することができる、前駆体シリコーンポリマー;又は(c)これらの混合物、
を含み得る。
【0116】
液体プレミックス組成物は、液体プレミックス組成物の、約1重量%~約99重量%、好ましくは約80重量%~約10重量%、又は約75重量%~約20重量%、又は約60重量%~40重量%の濃度で存在する前駆体シリコーンポリマーと、約1重量%~50重量%、好ましくは約5重量%~約50重量%、又は約5重量%~約30重量%、又は約5重量%~約20重量%、又は約5重量%~約15重量%、又は約5重量%~約10重量%の濃度で存在する香料原料と、を含んでもよい。PRMは、液体プレミックス組成物の、約10重量%~約40重量%、又は約15重量%~約30重量%、又は約15重量%~約25重量%で存在してもよい。乳化剤の任意の量は、約0%~約10%、好ましくは約1%~約5%、又は約2%~4%の濃度で存在してもよい。前駆体シリコーンポリマーと香料原料との重量比は、約99:1~約1:1、好ましくは約50:1~約2:1、より好ましくは約10:1~約5:1であり得る。好ましい量及び/又は比率は、便利で効率的なペイロード送達を達成するために望ましい。
【0117】
プレミックス組成物は、典型的には液体である。液体プレミックス組成物は、例えば、0.1rad/s及び25℃で測定された、約10~約10000Pa・s、好ましくは約10~約5000Pa・s、好ましくは約10~約1000Pa・s、好ましくは約10~約500Pa・s、好ましくは約20~約400Pa・s、より好ましくは約25~約300Pa・s、更により好ましくは約100~約300Pa・sの粘度を特徴とし得る。特に非常に高い粘度を有するプレミックスは製品に配合することが困難である場合があるため、加工上の理由から、標的粘度を有する液体プレミックス組成物を得ることが望ましい場合がある。
【0118】
液体プレミックス組成物は、水を実質的に含んでいなくてもよい。プレミックス組成物は、当該プレミックス組成物の10重量%未満、又は5重量%未満、又は2重量%未満、又は1重量%未満、又は0.5重量%未満、又は0.1重量%未満、又は更には0重量%の水を含み得る。このような低水プレミックスは、例えば、プレミックスが固体組成物(特に、水溶性の場合)又は水溶性フィルムによって封入された組成物などの低水消費者製品に製剤化される場合に望ましい場合がある。そのような場合、シリコーンポリマーは、プレミックスの大半である流体であり得る。
【0119】
芳香プレミックス組成物は水を含み得る。芳香プレミックス組成物は、当該組成物の約1重量%~約90重量%、又は約1重量%~約75重量%、又は約1重量%~約60重量%、又は約1重量%~約50重量%、又は約5重量%~約50重量%、又は約5重量%~約25重量%、又は約5重量%~約15重量%、又は約5重量%~約10重量%の水を含み得る。芳香プレミックス組成物は、組成物の約10重量%~約50重量%、又は約25重量%~約50重量%の水を含んでもよい。水の存在は液滴の形成を促進することができ、シリコーンポリマーが比較的疎水性であることに鑑みて、このことにより、処理組成物、特に水性のものにおけるプレミックスのより便利な分散を促進することができる。
【0120】
液体プレミックス組成物は、エマルジョンの形態であってもよい。エマルジョンは、好ましくは、水中油型エマルジョンであり得る。エマルジョンは、好ましくは、約100nm~約100μm、より好ましくは1μm~10μm、更により好ましくは1μm~5μmの体積加重平均粒径を特徴とする液滴を含む、複数の液滴を含み得る。理論に束縛されることを望むものではないが、特定の最小サイズの液滴は標的表面への付着効率にとって望ましいが、特定のサイズを超える液滴は、性能及び/又は安定性の問題、標的表面上におけるそのような斑点形成を引き起こす場合があると考えられる。
【0121】
液体プレミックス組成物は、1種以上の乳化剤を含み得る。本明細書で使用するとき、「乳化剤」及び「エマルジョン剤」は、互換的に使用される。適切な乳化剤を選択すると、所望のサイズの液滴の形成、及び/又はプレミックスの最終製品への安定的な組み込みを促進することができる。乳化剤はまた、例えば粘度を望ましくないレベルまで増加させることによって、エマルジョンの粘度に対して望ましくない影響を及ぼさないように選択してもよい。
【0122】
乳化剤は、液体プレミックス組成物の重量の、約0.5%~約40%、好ましくは約1%~約30%、より好ましくは約1%~約20%、より好ましくは約2%~約20%、より好ましくは約2%~約10%の濃度で存在してもよい。乳化剤は、液体プレミックス組成物の重量の、約1重量%~約10重量%、より好ましくは1重量%~約5重量%の量で存在してもよい。前駆体シリコーンポリマーと乳化剤の重量比は、約99:1~約1:1、好ましくは約50:1~約2:1、より好ましくは約15:1~約5:1であり得る。液体プレミックス組成物は、液体プレミックス組成物の、約20重量%~約40重量%の水、及び約1重量%~約5重量%の乳化剤を含み得る。
【0123】
1種以上の乳化剤は、非イオン性界面活性剤を含み得る。好適な非イオン性界面活性剤としては、アルコキシル化脂肪族アルコールを挙げることができる。非イオン性界面活性剤は、式R(OCOHのエトキシル化アルコール及びエトキシル化アルキルフェノールから選択され得、式中、Rは、約8個~約15個の炭素原子を含有する脂肪族炭化水素ラジカル、及びアルキル基が約8個~約12個の炭素原子を含有するアルキルフェニルラジカルからなる群から選択され、nの平均値は、約5~約15である。
【0124】
1種以上の乳化剤は、直鎖状乳化剤、分岐鎖状乳化剤、又はこれらの混合物、好ましくは、直鎖状非イオン性界面活性剤、分岐鎖状非イオン性界面活性剤、又はこれらの混合物を含み得る。特に、直鎖状乳化剤は、香料原料を乳化するために有用であり得、分枝鎖状乳化剤は、シリコーンポリマー、特にアミノ修飾シリコーンポリマーを乳化するために有用であり得る。
【0125】
1種以上の乳化剤は、実質的に疎水性であり得る。1種以上の乳化剤は、約5~約20又は約8~約16のHLB値を特徴とし得る。非イオン性界面活性剤のHLB値は、以下に提供する方法に従って求めることができる。
【0126】
本開示の液体プレミックス組成物は、追加成分としてアミノ官能性材料を更に含んでもよい。アミノ官能性材料は、香料原料、おそらく本明細書に記載のシリコーン材料と会合し、処理組成物の一部として使用される場合に香料の堆積及び放出を促進することができると考えられる。
【0127】
液体プレミックス組成物は、当該芳香プレミックス組成物の約1重量%~約20重量%、又は約2重量%~約15重量%、又は約3重量%~約12重量%、又は約4重量%~約10重量%、又は約5重量%~約10重量%のアミノ官能性材料を含み得る。
【0128】
アミノ官能性材料は、比較的低分子量を特徴とし得る。質量効率上の理由(例えば、アミン基の分子量に対する好ましい/高い比)から、比較的低分子量が好ましい場合がある。例えば、アミノ官能性材料は、約17~約1000ダルトン、より好ましくは約30~約1000ダルトン、約40~約1000ダルトン、好ましくは約50~800ダルトン、より好ましくは約60~約600ダルトン、更により好ましくは約60~約500ダルトンの分子量を特徴とし得る。
【0129】
アミノ官能性材料は、1分子当たり1つ、2つ、又は3つのアミン部分、好ましくは1つ又は2つのアミン部分を含み得る。アミン部分は、第一級アミン部分、第二級アミン部分、又はこれらの組合せからなる群から選択され得る。第一級及び/又は第二級アミン部分は、第三級及び/又は第四級アミン部分と比較して、PRMとより良好に会合し得ると考えられる。更に、2つ又は更には3つのアミン部分は、1つのアミン基しか有しない化合物と比較して、香料原料と組合せて改善された会合/充填を提供し得る。しかしながら、以下により詳細に記載するように、アミン基の数を限定することが望ましい場合もある。
【0130】
特定のアミノ官能性材料は、それらのアミン部分の種類及び/又は構造により、本開示の組成物において他のものよりも良好に機能する可能性が高いと考えられる。例えば、アミノ官能性材料は、以下のうちの1つを特徴とし得る:(a)合計1つの第一級アミン部分を含み、第二級アミン部分を含まない、又は(b)合計2つの第一級アミン部分を含み、第二級アミン部分を含まない、又は(c)1つの第一級アミン部分及び1つの第二級アミン部分を含み、好ましくは、第一級アミン部分及び第二級アミン部分が、2個の炭素原子によって分離されている、又は(d)ヒドロキシル基から2個の炭素原子によって分離されている1つの第一級アミン部分又は第二級アミン部分を含むのうちの1つを特徴とする。
【0131】
アミノ官能性材料は、オクチルアミン、ノニルアミン、及び/又はデシルアミンなどの直鎖脂肪族アミノ官能性材料;2-エチルヘキシルアミン、分枝トリデシルアミン、t-ブチルアミン、2-(ジエチルアミノ)エチルアミン、ネオペンタンジアミン(2,2-ジメチルプロパン-1,3-ジアミン)、3-メトキシエチルアミン、トリメチル-1,6-ヘキサンジアミン、2-アミノヘプタン、及び/又は2-ブチルオクチルアミンなどの分枝脂肪族アミノ官能性材料;2-メチルシクロヘキサン-1,3-ジアミン及び/又は4-メチルシクロヘキサン-1,3-ジアミンなどのメチルシクロヘキサンジアミンを含む脂環式アミン;トリアルコキシ(アミノエチルアミノプロピル)シラン、アルキルジアルコキシ(アミノエチルアミノプロピル)シラン、ジアルキルアルコキシ(アミノエチルアミノプロピル)シラン、トリアルコキシ(アミノプロピル)シラン、アルキルジアルコキシ(アミノプロピル)シラン、及び/又はジアルキルアルコキシ(アミノプロピル)シランなどのアミノ官能性シラン;2-(ブチルアミノ)エタノール、1-(シクロヘキシルアミノ)2-プロパノール、1-(ドデシルオキシ)-3-[(2-ヒドロキシエチル)アミノ]-2-プロパノール、及び/又は3-(ドデシルアミノ)-1,2-プロパンジオールなどのアミノアルコール;1,3-ビス(3-アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン;又はこれらの混合物から選択されてもよい。
【0132】
アミノ官能性材料は、芳香族アミン(例えば、アミノ官能性部分が芳香環に直接結合している)を実質的に含んでいなくてもよく、又は更には全体で芳香族部分を実質的に含んでいなくてもよく、その理由は、そのような部分がアミノ官能性材料の溶解度を増加させる傾向があり、したがって、疎水性シリコーンと会合する可能性を低下させ得るためである。
【0133】
液体プレミックス組成物は、任意の好適なプロセスに従って作製され得る。例えば、本開示は、本明細書に記載されるものなどのプレミックス組成物を作製するプロセスであって、(好ましくはこの順序で)、シリコーンポリマー前駆体を提供する工程と、存在する場合、アミノ官能性材料を添加する工程と、香料原料を添加する工程と、を含み、各々は上記の相対量で提供される。混合は、全体を通して又は断続的に提供され得る。得られた混合物は、材料を組合せるのに十分な混合エネルギーで混合され得る。
【0134】
芳香プレミックス組成物がエマルジョンの形態であることが望ましい場合、プロセスは、(好ましくはこの順序で)、シリコーンポリマー前駆体を提供する工程と、存在する場合、アミノ官能性材料を添加する工程と、乳化剤を添加する工程と、水を添加する工程と、香料原料を添加する工程と、を含んでもよく、各々は上記の相対量で提供される。混合は、全体を通して又は断続的に提供され得る。得られた混合物は、材料を組合せ、乳化して、例えば、上記の液滴を形成するのに十分な混合エネルギーで混合され得る。
【0135】
プロセスは、(好ましくはこの順序で)、シリコーンポリマー前駆体を提供する工程と、乳化剤を添加する工程と、水を添加する工程と、存在する場合、アミノ官能性材料を添加する工程と、香料原料を添加する工程と、を含んでもよく、各々は上記の相対量で提供される。混合は、全体を通して又は断続的に提供され得る。得られた混合物は、材料を組合せ、乳化して、例えば、上記の液滴を形成するのに十分な混合エネルギーで混合され得る。
【0136】
特定の構成成分、例えば、シリコーンポリマー前駆体及び乳化剤、並びに/又は芳香材料及び乳化剤を予め混合しておいてもよい。各材料のための乳化剤は同じであってもよく、又は異なっていてもよい。
【0137】
処理組成物
本開示はまた、上記のようなプロフレグランスシリコーンポリマーを含む処理組成物と、そのような処理組成物を作製及び使用する方法と、に関する。処理組成物は、処理補助剤を更に含んでもよい。
【0138】
処理組成物は、消費者製品組成物であり得る。消費者製品組成物は、例えば、布地、毛髪、又は皮膚などの表面をフレッシュニング及び/又はコンディショニングするために表面を処理するのに有用であり得る。好適な消費者製品組成物は、上述したように説明されている。好ましい消費者製品組成物は、ベビーケア組成物、パーソナルケア組成物、ファブリックケア組成物、ホームケア組成物、ファミリーケア組成物、及び/又は女性用ケア組成物、好ましくはファブリックケア組成物及び/又はホームケア組成物、より好ましくはファブリックケア組成物を含み得る。
【0139】
処理組成物は、本開示による例えばエマルジョン形態の液体プレミックス組成物、及び処理補助剤を含み得る。処理組成物は、本開示によるプレミックス組成物を提供し、プレミックスを処理補助剤と組合せることによって作製され得る。処理補助剤は、ベース組成物の一部であってもよい。
【0140】
処理組成物は、処理組成物の、約0.01重量%~約99.9重量%、好ましくは約0.01重量%~約50重量%、より好ましくは、処理組成物の重量に対して約0.01重量%~約25重量%、より好ましくは約0.1重量%~約10重量%、より好ましくは約0.1重量%~約5重量%、より好ましくは約0.2重量%~約5重量%の濃度の本開示によるプロフレグランスシリコーンポリマーを含み得る。濃度は、処理組成物の意図された最終用途及び形態によって決定され得る。
【0141】
本明細書に記載の処理組成物は、当該処理組成物の約0.1重量%~約20重量%、又は約0.1重量%~約15重量%、又は約0.1重量%~約10重量%、又は約0.1重量%~約5重量%、又は約0.1重量%~約3重量%の本開示による液体プレミックス組成物を含み得る。
【0142】
処理組成物は、以下のレベルのうち1つ以上で以下の成分のうち1種以上を含み得るが、ここでは、成分は液体プレミックスによって提供され、重量パーセントは処理組成物の重量によるものである:約0.1%~約20%のシリコーンポリマー、及び/又は約0%~約10%のアミノ官能性材料(存在する場合)、及び/又は約0.05%~約20%の1種以上の香料原料。
【0143】
本開示はまた、処理補助剤と、複数の液滴と、を含む処理組成物であって、当該液滴が、上記のシリコーンポリマー前駆体と、任意に上記のアミノ官能性材料と、任意に上記の乳化剤と、上述の香料原料と、が含まれ、ここで、構成成分は、上記の相対量で液滴中に存在する。追加的又は代替的に、液滴は、本開示によるプロフレグランスシリコーンポリマーを含んでもよい。液滴は、本明細書に記載の液体プレミックス組成物を処理補助剤と組合せた結果として、処理組成物中に存在し得る。複数の液滴は、約1マイクロメートル~約10マイクロメートル、好ましくは約1マイクロメートル~約5マイクロメートルの体積加重平均直径を有することを特徴とし得る。
【0144】
本開示による処理組成物は、液体組成物、粒状組成物、単一区画パウチ、複数区画パウチ、溶解シート、個々の粒子が約1mg~約1グラム(好ましくは水溶性であり得る、香錠又はビーズなど)の質量を有する粒子形態、繊維物品、錠剤、バー、フレーク、不織シート、又はそれらの混合物の形態であり得る。
【0145】
本開示の処理組成物は、家庭用ケア組成物、好ましくは、布地及びホームケア製品、美容ケア製品、又はこれらの混合物からなる群から選択される家庭用ケア組成物であり得る。
【0146】
処理組成物が布地及びホームケア製品である場合、当該布地及びホームケア製品は、好ましくは、洗濯洗剤組成物、布地コンディショニング組成物、布地前処理組成物、布地リフレッシャー組成物、又はこれらの混合物から選択され得る。布地コンディショニング組成物は、好ましくは、液体布地コンディショニング組成物であってよい。
【0147】
処理組成物が美容ケア製品である場合、当該美容ケア製品は、好ましくは、毛髪処理製品、スキンケア製品、シェービングケア製品、パーソナルクレンジング製品、消臭剤及び/若しくは制汗剤、又はこれらの混合物から選択され得る。好ましくは、毛髪処理組成物は、好ましくは、シャンプー、コンディショナー、又はこれらの組合せであり得る。
【0148】
処理組成物は、芳香プレミックス組成物及び/又は液滴に加えて、処理補助剤を含み得る。処理補助剤は、意図される製品及び/又は製品の意図される最終使用に好適な任意の量の任意の補助剤成分であり得る。処理組成物は、芳香プレミックス組成物を処理補助剤と組合せる工程を含む方法によって作製され得る。
【0149】
処理補助剤は、液体プレミックス組成物と組み合わされるベース組成物の一部であり得る。例えば、本開示は、プレミックス組成物をベース組成物と組合せる工程を含み、当該ベース組成物が処理補助剤を含む、処理組成物を作製する方法に関する。プレミックス組成物をベース組成物に添加してもよい。処理補助剤は、プレミックス組成物をベース組成物に添加する前及び/又は後にベース組成物に添加してもよい。本明細書で使用される場合、「ベース組成物」とは、他の成分を添加して、完成した又は最終的な処理組成物を形成することができる、中間組成物であることが理解される。
【0150】
処理補助剤は、性能助剤、安定性若しくは加工助剤、又はその両方として有用であり得る。例えば、処理補助剤は、アミン、界面活性剤系、水結合剤、亜硫酸塩、脂肪酸及び/又はその塩、酵素、封入有益剤、汚れ放出ポリマー、色調剤、ビルダー、キレート剤、移染阻害剤、分散剤、酵素安定剤、触媒材料、漂白剤、漂白触媒、漂白活性化剤、ポリマー分散剤、汚れ除去/再付着防止剤、ポリマー分散剤、ポリマー脂洗浄剤、増白剤、抑泡剤、染料、色調剤、遊離型香料、構造弾性化剤、コンディショニング剤又は柔軟剤、担体、充填剤、ヒドロトロープ、有機溶媒、抗菌剤及び/又は防腐剤、中和剤及び/又はpH調整剤、加工助剤、充填剤、レオロジー調整剤又は構造化剤、乳白剤、パールエッセンス剤、顔料、防食及び/又は耐変色剤、悪臭剤、並びにこれらの混合物から選択してもよい。当業者は一般にこれらの補助剤に精通しているが、補助剤のうちのいくつかについては以下でより詳細に説明する。
【0151】
処理組成物は、界面活性剤を含み得る。界面活性剤は、例えば、洗浄上の利益を提供するために有用であり得る。組成物は、1種以上の界面活性剤を含有し得る界面活性剤系を含んでもよい。
【0152】
本開示の組成物は、組成物の約1重量%~約70重量%、又は約2重量%~約60重量%、又は約5重量%~約50重量%の界面活性剤系を含んでもよい。液体組成物は、組成物の約5重量%~約40重量%の界面活性剤系を含んでもよい。密な配合物、例えば密な、液体、ゲル、及び/又は単位用量形態に好適な組成物は、組成物の約25重量%~約70重量%、又は約30重量%~約50重量%の界面活性剤系を含んでもよい。
【0153】
界面活性剤系は、アニオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、双性イオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤、又はこれらの組合せを含んでもよい。界面活性剤系は、直鎖アルキルベンゼンスルホネート、アルキルエトキシル化サルフェート、アルキルサルフェート、エトキシル化アルコール等の非イオン性界面活性剤、アミンオキシド、又はこれらの混合物を含んでもよい。界面活性剤は、少なくとも部分的に、天然供給原料アルコール等の天然の資源に由来してもよい。
【0154】
好適なアニオン性界面活性剤は、任意の従来のアニオン性界面活性剤を含んでもよい。これは、例えばアルコキシル化及び/又は非アルコキシル化アルキルサルフェート材料用のサルフェート洗浄性界面活性剤、及び/又はスルホン酸系洗浄性界面活性剤、例えばアルキルベンゼンスルホネートを含んでもよい。アニオン性界面活性剤は、直鎖状、分岐鎖状、又はこれらの組合せであってもよい。好ましい界面活性剤としては、直鎖アルキルベンゼンスルホネート(linear alkyl benzene sulfonate、LAS)、アルキルエトキシル化サルフェート(alkyl ethoxylated sulfate、AES)、アルキルサルフェート(alkyl sulfate、AS)、又はこれらの混合物が挙げられる。他の好適なアニオン性界面活性剤としては、分岐鎖状修飾アルキルベンゼンスルホネート(MLAS)、メチルエステルスルホネート(MES)、ラウリル硫酸ナトリウム(SLS)、ラウリルエーテル硫酸ナトリウム(SLES)、及び/又はアルキルエトキシル化カルボキシレート(AEC)が挙げられる。アニオン性界面活性剤は、酸形態、塩形態、又はこれらの混合物で存在してもよい。アニオン性界面活性剤は、部分的に又は全体的に、例えば、アルカリ金属(例えば、ナトリウム)又はアミン(例えば、モノエタノールアミン)によって中和されてもよい。
【0155】
界面活性剤系は、非イオン性界面活性剤を含んでいてよい。好適な非イオン性界面活性剤としては、エトキシル化脂肪族アルコール等のアルコキシル化脂肪族アルコールが挙げられる。その他の好適な非イオン性界面活性剤としては、アルコキシル化アルキルフェノール、アルキルフェノール縮合体、中鎖分岐鎖状アルコール、中鎖分岐鎖状アルキルアルコキシレート、アルキル多糖類(例えば、アルキルポリグリコシド)、ポリヒドロキシ脂肪酸アミド、エーテルで末端保護されたポリ(オキシアルキル化)アルコール界面活性剤、及びこれらの混合物が挙げられる。アルコキシレート単位は、エチレンオキシ単位、プロピレンオキシ単位、又はこれらの混合物であってもよい。非イオン性界面活性剤は、直鎖状、分岐鎖状(例えば、中鎖分岐状)、又はこれらの組合せであってもよい。特定の非イオン性界面活性剤は、平均約12~約16個の炭素を有し、かつ平均約3~約9個のエトキシ基を有するアルコール、例えばC12~C14のEO7非イオン性界面活性剤を含んでもよい。
【0156】
好適な双性イオン性界面活性剤としては、アルキルジメチルベタイン及びココジメチルアミドプロピルベタインをはじめとするベタイン、C~C18(例えば、C12~C18)アミンオキシド(例えば、C1214ジメチルアミンオキシド)、並びに/又は、N-アルキル-N,N-ジメチルアミノ-1-プロパンスルホネート(ここで、アルキル基は、C~C18又はC10~C14であってもよい)等のスルホ及びヒドロキシベタイン等の、任意の従来の双性イオン性界面活性剤を挙げることができる。双性イオン性界面活性剤は、アミンオキシドを含んでもよい。
【0157】
配合物及び/又は意図される最終用途に応じて、組成物は、特定の界面活性剤を実質的に含まなくてもよい。例えば、布地柔軟剤等の液体布地強化組成物は、アニオン性界面活性剤を実質的に含まなくてもよいが、それは、このような界面活性剤がカチオン性成分と負の相互作用をし得るためである。
【0158】
処理組成物は、コンディショニング活性物質を含み得る。コンディショニング活性物質を含有する組成物は、柔軟性、しわ防止、静電防止、コンディショニング、抗伸張、色、及び/又は外観に関する利益を提供し得る。
【0159】
コンディショニング活性物質は、組成物の約1重量%~約99重量%、又は約1重量%~約35重量%、又は約1重量%~約20重量%、又は約1重量%~約15重量%、又は約1重量%~約10重量%、又は約1重量%~約6重量%のレベルで存在し得る。組成物は、組成物の約1重量%から、又は約2重量%から、又は約3重量%から、約99重量%まで、又は約75重量%まで、又は約50重量%まで、又は約40重量%まで、又は約35重量%まで、又は約30重量%まで、又は約25重量%まで、又は約20重量%まで、又は約15重量%まで、又は約10重量%までのコンディショニング活性物質を含んでもよい。組成物は、組成物の約5重量%~約30重量%のコンディショニング活性物質を含んでよい。
【0160】
本開示の組成物に好適なコンディショニング活性物質としては、第四級アンモニウムエステル化合物、シリコーン、非エステル第四級アンモニウム化合物、アミン、脂肪エステル、スクロースエステル、分散性ポリオレフィン、多糖類、脂肪酸、柔軟化油若しくはコンディショニング油、ポリマーラテックス、又はこれらの組合せ、好ましくは少なくとも第四級アンモニウムエステル化合物を挙げることができ、このような材料はまた、有用なコンディショニング効果を提供する一方で、比較的環境に優しいことが知られている。
【0161】
この組成物は、四級アンモニウムエステル化合物、シリコーン又はこれらの複数組の組合せ、好ましくは一組の組合せを含んでもよい。四級アンモニウムエステル化合物とシリコーンとの合計量は、組成物の約5重量%~約70重量%、又は約6重量%~約50重量%、又は約7重量%~約40重量%、又は約10重量%~約30重量%、又は約15重量%~約25重量%であってもよい。組成物は、四級アンモニウムエステル化合物及びシリコーンを、約1:10~約10:1、又は約1:5~約5:1、又は約1:3~約1:3、又は約1:2~約2:1、又は約1:1.5~約1.5:1、又は約1:1の重量比で含んでもよい。
【0162】
組成物は、異なる種類のコンディショニング活性物質の混合物を含有していてもよい。本開示の組成物は、特定のコンディショニング活性物質を含有してもよいが、他のコンディショニング活性物質を実質的に含まなくてもよい。例えば、組成物は、四級アンモニウムエステル化合物、シリコーン又はその両方を含まなくてもよい。組成物は、四級アンモニウムエステル化合物を含んでもよいが、シリコーンを実質的に含まなくてもよい。組成物はシリコーンを含んでもよいが、四級アンモニウムエステル化合物を実質的に含まなくてもよい。
【0163】
本開示の組成物は、レオロジー調整剤及び/又は構造化剤を含んでもよい。レオロジー調整剤は、液体組成物を所望の粘度に「増粘する」又は「減粘する」ために使用されてもよい。構造化剤は、相安定性を促進するために、及び/又は本明細書に記載のエマルジョンの液滴などの液体組成物中の粒子若しくは液滴の凝集体を懸濁させる若しくは凝集を阻害するために使用され得る。好適なレオロジー調整剤及び/又は構造化剤としては、非ポリマー結晶性ヒドロキシル官能性構造化剤(硬化ヒマシ油に基づくものを含む)、ポリマー構造化剤、セルロース繊維(例えば、木材を含む、細菌、真菌、若しくは植物起源から誘導され得るミクロフィブリル化セルロース)、ジアミドゲル化剤、又はこれらの組合せを挙げることができる。
【0164】
本明細書に記載の方法から作製された処理組成物は、遊離型香料を含み得る。より広くかつより多様な香りプロファイルを提供するために、処理組成物の遊離型香料中に、プロフレグランスシリコーン中には存在しない香料原料を含めることが望ましい場合がある、及び/又は逆も同様である。例えば、プロフレグランスシリコーンポリマーがアルデヒド部分を含む1種以上の香料原料を含む場合、処理組成物の遊離型香料は、アルデヒド部分を含まない1種以上の断片又は残基香料原料を含み得る。同様に、プロフレグランスシリコーンポリマーがケトン部分を含む1種以上の香料原料を含む場合、処理組成物の遊離型香料は、ケトン部分を含まない1種以上の断片又は残基香料原料を含み得る。遊離型香料は、アルデヒド部分を含む香料原料、アルデヒド部分を含まない香料原料、ケトン部分を含む香料原料、ケトン部分を含まない香料原料、又はこれらの混合物を含み得る。
【0165】
処理組成物は、担体材料を含み得る。担体材料は、水、シリカ、ゼオライト、炭酸塩、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、酢酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、塩化ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、ポリプロピレングリコールポリオキソアルキレン、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリエチレングリコールエーテル、硫酸ナトリウム、デンプン、及びこれらの混合物からなる群から選択され得る。担体材料は、消費者製品の所望の最終形態に基づいて選択してよく、例えば、液体製品には、担体として水を使用してよいが、粉末又は粒子の製品には、炭酸塩又はポリエチレングリコール(PEG)を使用してよい。
【0166】
ベース組成物は、液体の形態であってよい。ベース組成物は、水を含み得る。ベース組成物は、当該ベース組成物の約1重量%~約99重量%、好ましくは約5重量%~約98重量%、又は約10重量%~約95重量%、又は約50重量%~約95重量%、又は約60重量%~約95重量%、又は約75重量%~約95重量%の水を含み得る。
【0167】
処理組成物は、液体の形態であってもよい。処理組成物は、水を含み得る。処理組成物は、当該処理組成物の約1重量%~約99重量%、好ましくは約5重量%~約98重量%、又は約10重量%~約95重量%、又は約50重量%~約95重量%、又は約60重量%~約95重量%、又は約75重量%~約95重量%の水を含み得る。特定の単位用量製剤は、水溶性フィルムを溶解しないように、比較的少量の水を有し得、例えば、組成物は、当該組成物の約20重量%以下、又は約15重量%以下、又は約12重量%以下、又は約10重量%以下の水を含み得る。本開示の芳香プレミックスは、比較的多量の水を含む液体組成物において特に有用であり得るが、その理由は、シリコーンの疎水性によって、シリコーン、アミノ官能性材料、乳化剤、及び芳香材料を水から分配し、高水マトリックスに会合させることが可能になると考えられるためである。
【0168】
液体処理組成物は、約20cps~約1000cps(約20~1000mPa・s)、好ましくは約25cps~約500cps(約25~500mPa・s)、より好ましくは約50cps~約300cps(約50mPa・s~約300mPa・s)の粘度を有し得る。粘度は、ブルックフィールド粘度計、2番スピンドルを使用し、60RPM/sで、約22℃にて測定して決定される。
【0169】
処理組成物は、複数の微粒子などの粒子状形態であり得る。個々の微粒子は、約1mg~約1gの質量を有してもよい。エマルジョンは水溶性担体中に分散されてもよい。水溶性担体は、ポリエチレングリコール、酢酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、塩化ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、ポリプロピレングリコールポリオキソアルキレン、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリエチレングリコールエーテル、硫酸ナトリウム、デンプン、及びこれらの混合物からなる群から選択され得る。水溶性担体は、水溶性ポリマーであり得る。処理組成物は、粒子状形態である場合、約25重量%~約99.99重量%の水溶性担体、及び約0.01重量%~約50重量%のシリコーンプレミックスを含み得る。粒子状形態は、ビーズ又は香錠の形態であり得る。
【0170】
処理組成物は、約2~約12、又は約2~約8.5、又は約2~約7、又は約2~約5、好ましくは約2~約4のpH、好ましくは約2~約3.7、より好ましくは約2~約3.5のpHレベルを特徴としてもよく、ここで、pHは、処理組成物を脱イオン水に溶解/分散させて、10%濃度の溶液を約20℃で形成することによって決定される。
【0171】
処理組成物を作製する方法
本開示は、本明細書に記載された処理組成物のいずれかの作製プロセスに関する。
【0172】
本方法は、ベース組成物が処理補助剤を含む、ベース組成物を提供する工程と、ベース組成物を以下のうち1つ以上と組合せる工程と、を含み得る:(a)本明細書中に記載されるようなプロフレグランスシリコーンポリマー、例えば、式I、式II、又はそれらの混合物による1つ以上のラジカルを含むもの;(b)本明細書に記載の前駆体シリコーンポリマー、例えば式VI、式VII、又はそれらの組合せによる1つ以上のラジカルを含むもの、並びにアルデヒド部分、ケトン部分、及びそれらの組合せからなる群から選択される部分を含む香料原料であって、好ましくはここで、前駆体シリコーンポリマー及び香料原料が、液体プレミックス組成物として、好ましくはエマルジョン形態で提供される、香料原料;及び/又は(c)これらの混合物。上記の組成物は、任意にアミノ官能性化合物と組合せてもよい。
【0173】
前駆体シリコーンポリマー及び香料原料は、好ましくはプレミックス組成物として、好ましくは液体プレミックス組成物として、より好ましくはエマルジョン形態の液体プレミックスとして、ベース組成物に提供されてもよい。前駆体シリコーンポリマー及び香料原料は、好ましくは、ベース組成物への別個の添加として提供されてもよい。別個の添加は同時に又は順次に行われ得る。順次に行われる場合、好ましくは乳化され得る前駆体シリコーンポリマーは、香料原料の添加前に添加されることが好ましい。混合物を混合して、得られた組成物を均質化することができる。
【0174】
本開示の処理組成物は、任意の好適な形態に製剤することができ、製剤者によって選択される任意のプロセスによって調剤することができる。材料は、バッチプロセス、循環ループプロセス、及び/又はインライン混合プロセスで合わされてもよい。本明細書に開示されるプロセスでの使用に好適な装置としては、連続撹拌槽型反応器、ホモジナイザー、タービン撹拌機、再循環ポンプ、パドルミキサー、高剪断ミキサー、静的ミキサー、プラウ剪断ミキサー、リボンブレンダー、垂直軸造粒機及びドラムミキサー(いずれもバッチ式であり、利用可能な場合、連続プロセス構成のもの)、噴霧乾燥機、並びに押出成形機を挙げることができる。
【0175】
処理組成物の使用方法
本開示はまた、表面を処理する方法であって、任意選択で水の存在下で、表面を、本明細書に記載の処理組成物と接触させる工程を含む、方法に関する。好ましくは、表面は、布地、毛髪、又は皮膚、より好ましくは布地、更により好ましくは衣服である。
【0176】
本開示のプロセスは、組成物を水で希釈して、処理される表面に接触し得る処理液を形成することを含み得る。組成物は、水によって100倍~1000倍、又は200倍~900倍、又は300倍~800倍に希釈され得る。
【0177】
接触工程は、自動洗濯機のドラム内で行ってよい。接触工程は、洗浄サイクルの一部として、又は洗浄サイクルの直前に行ってよく、例えば、消費者製品は、洗剤組成物であってもよく、又は洗剤組成物と実質的に同時に添加されてもよい。接触工程は、洗浄サイクルに続いて行われる場合があるすすぎサイクルの一部として行ってもよく、例えば、消費者製品は、液体布地強化剤製品などの布地強化剤製品であってよく、洗剤製品によって処理された表面に続いて表面と接触し得る。
【0178】
接触工程は、例えば、洗浄サイクルの前に前処理工程として行ってもよい。
【0179】
使用
本開示は、芳香剤としての本開示によるプロフレグランスシリコーンポリマーの使用に関する。プロフレグランスシリコーンポリマーは、表面、好ましくは布地の芳香剤として使用することができる。そのような使用のために、プロフレグランスシリコーンポリマーは、上記でより詳細に記載されるように、任意に処理組成物中へ配合されてもよい。
【0180】
物品及び/又は表面
本開示は、表面を含む物品、好ましくは布地物品に関し、ここで表面は、本開示によるプロフレグランスシリコーンポリマーを備える。本開示はまた、本開示による処理組成物で、好ましくは本明細書に記載の処理方法に従って処理された、物品、好ましくは布地物品若しくは乾燥用シート、又は吸収性物品(おむつ又は失禁製品など)に関する。
【0181】
本開示はまた、本開示によるプロフレグランスシリコーンポリマーを含む、硬質表面などの表面に関する。本開示はまた、本開示による処理組成物で、好ましくは本明細書に記載の処理方法に従って処理された、表面、好ましくは硬質表面に関する。
【0182】
組合せ
本開示の具体的に企図される組合せを、本明細書において以下のアルファベット付きの項に記載する。これらの組合せは、本質的に例示を目的としたものであり、限定することを意図したものではない。
【0183】
A.処理補助剤及びプロフレグランスシリコーンポリマーを含む処理組成物であって、当該プロフレグランスシリコーンポリマーは、シリコーン骨格と、当該シリコーン骨格のケイ素原子に結合した炭素原子を含む有機リンカー基と、当該有機リンカー基に結合した複素環部分と、を含み、当該複素環部分は、5~7個の環員を含み、当該環員は、窒素原子である第1の環員と、炭素原子である第2の環員であって、当該第2の環員は、香料原料(「PRM」)の残基の一部であり、残基を形成したPRMは、アルデヒド部分、ケトン部分、及びそれらの組合せからなる群から選択される部分を含む、第2の環員と、酸素原子又は硫黄原子からなる群から選択され、好ましくは酸素原子である第3の環員と、を含み、第2の環員が、第1の環員及び第3の環員に直接結合している、処理組成物。
【0184】
B.当該プロフレグランスシリコーンポリマーが、式I、式II、及びそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つのラジカルを含み、式I及び式IIのラジカルが、以下の構造:
(Si)-X-Z 式I
(Si)-X-(Z-X)-(Si) 式II
を有し、
式中、「(Si)-」がSi原子への結合を表し、各X基は有機リンカー基であり、かつ2~24個の鎖原子を含む独立して選択された二価有機部分基であり、当該Z基が複素環部分を含み、当該指数nが1又は2、好ましくは1である、段落Aに記載の処理組成物。
【0185】
C.少なくとも1つのラジカルが、式Iの構造を有する、段落A又はBのいずれか一段落に記載の処理組成物。
【0186】
D.当該残基を形成した当該PRMが、アルデヒド部分を含み、好ましくは当該PRMが:メチルノニルアセトアルデヒド:ベンズアルデヒド;フロラロゾン(floralozone);イソシクロシトラール;トリプラール(リグストラール);プレシクレモンB(precylcemone B);リリアール(lilial);デシルアルデヒド;ウンデシレンアルデヒド;シクラメンホモアルデヒド;シクラメンアルデヒド;デュピカル(dupical);オンシダール(oncidal);アドキザール(adoxal);メロナール(melonal);カリプソン(calypsone);アニスアルデヒド;ヘリオトロピン(heliotropin);クミンアルデヒド;センテナール(scentenal);3,6-ジメチルシクロヘキサ-3-エン-1-カルバルデヒド;サチンアルデヒド(satinaldehyde);カントキザール(canthoxal);バニリン、エチルバニリン、桂皮アルデヒド;及びこれらの混合物からなる群から選択される、段落A~Cのいずれか一段落に記載の処理組成物。
【0187】
E.当該残基を形成した当該PRMが、ケトン部分を含み、好ましくは当該PRMが:ネロリオン(nerolione);4-(4-メトキシフェニル)ブタン-2-オン;1-ナフタレン-2-イルエタノン;ネクタリル(nectaryl);トリモフィックスO(trimofix O);フルーラモン(fleuramone);デルタダマスコン;ベータダマスコン;アルファダマスコン;メチルイオノン;2-ヘキシルシクロペンタ-2-エン-1-オン;ガラバスコーン(galbascone);及びこれらの混合物からなる群から選択される、段落A~Dのいずれか一段落に記載の処理組成物。
【0188】
F.各X基が、独立して、約14~約1000Da、好ましくは約28~約495Da、より好ましくは約42~約98Daの分子量を有する、二価有機基であり得る、段落A~Eのいずれか一段落に記載の処理組成物。
【0189】
G.各X基が、独立して、2~12個の鎖原子、好ましくは2~12個の鎖原子、より好ましくは2~9個の鎖原子、より好ましくは2~6個の鎖原子を含み、更により好ましくは当該鎖原子の少なくとも1つが、酸素原子であり、更により好ましくは当該X基が、四炭素エーテル基であり、最も好ましくは当該X基が、-CH-CH-CH-O-CH-である、段落A~Fのいずれか一段落に記載の処理組成物。
【0190】
H.当該X基が、非末端のケイ素原子に結合している、段落A~Gのいずれか一段落に記載の処理組成物。
【0191】
I.各Z基が、R、Jの1つ以上の一価置換基、又はそれらの組合せからなる群から選択される部分の式IIIからの除去によって誘導可能な一価又は二価の複素環部分であり、式IIIが、以下の構造:
【0192】
【化8】
を有し、
式中、Gが、酸素又は硫黄からなる群から選択され、好ましくは酸素であり、式中、指数mが2~4であり、好ましくはmが2~3であり、より好ましくはmが2であり、式中、Rが、H、又は15~495Daの間の分子量を有する一価部分から選択され、より好ましくはRは、H、又は15~101Daの間の分子量を有する一価部分から選択され、更により好ましくはRは、Hであり、式中、各Jが、独立して、C(R、-O-、及び-N(R)-からなる群から選択され、式中、各Rが、独立して、H、14~990Daの間の分子量を有する一価部分から選択され、より好ましくはRが、H、14~186Daの間の分子量を有する一価部分から選択され、更により好ましくはRが、Hであるが、但し、第1の単位及び第2の単位は、可能であれば、二価置換基として任意に一緒にすることができ、ここで、第1の単位は第1のR基であり、第2の単位は、第2のR基、R基、及びR基の一価置換基からなる群から選択され、好ましくは、二価置換基は、縮合環、スピロ環、不飽和置換基、=N(R)、-C(O)-、及び-C(S)-からなる群から選択され、式中、-C(R)(R)-部分が、香料原料(PRM)、好ましくは3~34個の炭素原子を含むPRMの残基であり、式中、残基が由来する香料原料が、アルデヒド部分、ケトン部分、又はそれらの組合せを含み、好ましくはRが、一価有機部分から独立して選択され、好ましくはR、水素及び一価有機部分からなる群から独立して選択され、任意に、R、Jの1つ以上の一価置換基、又はそれらの組合せからなる群から選択される第2の部分が、X基への第2の連結で置き換えられ、好ましくは第2の環構造を形成する、段落A~Hのいずれか一段落に記載の処理組成物。
【0193】
J.各Z基が、R、Jの1つ以上の一価置換基、又はそれらの組合せから選択される部分の式IVからの除去によって誘導可能な一価又は二価の5員複素環部分であり、式IVが、以下の構造:
【0194】
【化9】
を有し、
式中、G、R、R、及びRが上記の通りであり、式中、好ましくはGが酸素であり、式中、各Jが独立してC(Rであり、式中、Rが上記の通りであり、任意には、式中、R、Jの1つ以上の一価置換基、又はそれらの組合せから選択される第2の部分が、X基への第2の連結で置き換えられ、好ましくは第2の環構造を形成する、段落A~Iのいずれか一段落に記載の処理組成物。
【0195】
K.各が、Jの1つ以上の一価置換基から選択される部分の式III又は式IVからの除去によって誘導可能な、一価又は二価の複素環部分、好ましくは5員複素環部分であり、好ましくは、RがHである、段落I又はJのいずれか一段落に記載の処理組成物。
【0196】
L.当該プロフレグランスシリコーンポリマーが、以下の構造:
[RSiO1/2(q+2r+2)[RSiO2/2[R10SiO3/2[SiO4/2 式V
を有し、
式中、qが0~150の整数であり、pが0~1500の整数であり、rが0~150の整数であり、式中、q+p+rが、1以上の整数に等しく、R、R、R、R、R、及びR10部分の各々が、独立して、H、OH、一価有機部分、式Iによるラジカル、又は式IIによるラジカルからなる群から選択され、R~R10部分の少なくとも1つが、式Iによるラジカル又は式IIによるラジカル、好ましくは式Iによるラジカルである、段落A~Kのいずれか一段落に記載の処理組成物。
【0197】
M.当該プロフレグランスシリコーンポリマーが、当該処理組成物の、約0.01重量%~約99.9重量%、好ましくは約0.01重量%~約50重量%、より好ましくは、当該処理組成物の重量に対して約0.01重量%~約25重量%、より好ましくは約0.1重量%~約10重量%、より好ましくは約0.1重量%~約5重量%、より好ましくは約1重量%~約5重量%の濃度で存在する、段落A~Lのいずれか一段落に記載の処理組成物。
【0198】
N.当該処理補助剤が、アミン、界面活性剤系、水結合剤、亜硫酸塩、脂肪酸及び/又はその塩、酵素、封入有益剤、汚れ放出ポリマー、色調剤、ビルダー、キレート剤、移染阻害剤、分散剤、酵素安定剤、触媒材料、漂白剤、漂白触媒、漂白活性化剤、ポリマー分散剤、汚れ除去/再付着防止剤、ポリマー分散剤、ポリマー脂洗浄剤、増白剤、抑泡剤、染料、遊離型香料、構造弾性化剤、コンディショニング剤若しくは柔軟剤、担体、充填剤、ヒドロトロープ、有機溶媒、防臭剤、抗菌剤及び/又は防腐剤、中和剤及び/又はpH調整剤、加工助剤、充填剤、レオロジー調整剤又は構造化剤、乳白剤、パールエッセンス剤、顔料、防食及び/又は耐変色剤、並びにこれらの混合物からなる群から選択され、好ましくは当該処理補助剤が、界面活性剤系、コンディショニング剤若しくは柔軟剤、又はこれらの混合物を含み、より好ましくは当該界面活性剤系が、存在する場合、アニオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、及び/若しくは双性イオン性界面活性剤を含み、並びに/又はより好ましくは、当該コンディショニング剤若しくは柔軟剤が、存在する場合、第四級アンモニウム化合物、シリコーン化合物、若しくは両方を含む、段落A~Mのいずれか一段落に記載の処理組成物。
【0199】
O.当該処理組成物が、約2~約12、好ましくは約2~約8.5、より好ましくは約2~約7、より好ましくは約2~約5、より好ましくは約2~約4、更により好ましくは約2~約3.5のpHレベルを特徴とし、pHが、10%濃度の溶液を約20℃で形成するために処理組成物を脱イオン水に溶解/分散させることによって決定される、段落A~Nのいずれか一段落に記載の処理組成物。
【0200】
P.当該処理組成物が、水、好ましくは処理組成物の、約1重量%~約99重量%、好ましくは約5重量%~約98重量%、又は約10重量%~約95重量%、又は約50重量%~約95重量%、又は約60重量%~約95重量%、又は約75重量%~約95重量%の水を更に含む、段落A~Oのいずれか一段落に記載の処理組成物。
【0201】
Q.当該処理組成物が、液体組成物、粒状組成物、単一区画パウチ、複数区画パウチ、溶解性シート、個々の粒子が約1mg~約1グラムの質量を有する粒子形態、繊維状物品、錠剤、バー、フレーク、不織シート、又はそれらの混合物の形態であり、好ましくは液体組成物の形態であり、個々の粒子が、約1mg~約1グラムの質量を有する粒子形態、又はそれらの混合物である、段落A~Pのいずれかに記載の処理組成物。
【0202】
R.当該処理組成物が、液体、好ましくは1~1500センチポアズ(1~1500mPas)、100~1000センチポアズ(100~1000mPas)、又は200~500センチポアズ(200~500mPas)の粘度を、20秒-1及び21℃で有する液体の形態である、段落A~Qのいずれか一段落に記載の処理組成物。
【0203】
S.液体プレミックス組成物であって、(a)任意に、1つ以上の遊離香料原料を更に含む、段落A~Lのいずれか一段落に記載のプロフレグランスシリコーンポリマー;又は(b)前駆体シリコーンポリマー、及びアルデヒド部分、ケトン部分、及びそれらの組合せからなる群から選択される部分を含む香料原料であって、前駆体シリコーンポリマー及び香料原料が縮合して、段落A~Lのいずれか一段落に記載されるプロフレグランスシリコーンポリマーを形成することができる、香料原料;又は(c)これらの混合物、を含む、液体プレミックス組成物。
【0204】
T.当該液体プレミックス組成物が、当該組成物の、約1重量%~約90重量%、又は約1重量%~約75重量%、又は約1重量%~約60重量%、又は約1重量%~約50重量%、又は約5重量%~約50重量%、又は約5重量%~約25重量%、又は約5重量%~約15重量%、又は約5重量%~約10重量%の水を更に含む、段落Sに記載の液体プレミックス組成物。
【0205】
U.当該液体プレミックス組成物が、好ましくは、約100nm~約100μm、より好ましくは1μm~10μm、更により好ましくは1μm~5μmの体積加重平均粒径を特徴とする液滴を含む、水中油型エマルジョンの形態である、段落S又はTのいずれか一段落に記載の液体プレミックス組成物。
【0206】
V.当該前駆体シリコーンポリマーが、当該液体プレミックス組成物の、約1重量%~約99重量%、好ましくは約80重量%~約10重量%、又は約75重量%~約20重量%、又は約60重量%~40重量%の濃度で存在し、当該香料原料が、当該液体プレミックス組成物の、約1重量%~50重量%、好ましくは約5重量%~約50重量%、又は約5重量%~約40重量%、又は約5重量%~約30重量%、又は約5重量%~約20重量%、又は約5重量%~約15重量%、又は約5重量%~約10重量%の濃度で存在し、好ましくは当該前駆体シリコーンポリマーと当該香料原料の重量比が、約99:1~約1:1、好ましくは約50:1~約2:1、より好ましくは約10:1~約5:1である、段落S~Uのいずれか一段落に記載の液体プレミックス組成物。
【0207】
W.当該液体プレミックス組成物が、乳化剤、好ましくは直鎖状非イオン性界面活性剤、又は分枝状非イオン性界面活性剤、又はそれらの混合物から選択される乳化剤、より好ましくは当該液体プレミックス組成物の約1重量%~約10重量%の量で存在する乳化剤を更に含む、段落S~Vのいずれか一段落に記載の液体プレミックス組成物。
【0208】
X.当該プロフレグランスシリコーンポリマーが、式VI、式VII、及びそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つのラジカルを含み、式VI及び式VIIのラジカルが、以下の構造:
(Si)-X-Y 式VI;
(Si)-X-(Y-X)-(Si) 式VII;
を有し、
式中、「(Si)-」が、Si原子の結合であり、式中、指数nが、1~2であり、好ましくは1であり、式中、各X基が、Si-C結合を介して「(Si)」に共有結合しかつ2~24個の鎖原子を含む独立して選択される二価有機基であり、式中、各Yは、独立して、R、Jからの1つ以上の一価置換基、又はそれらの組合せから選択される部分の式VIIIからの除去によって誘導可能な一価又は二価部分であり、式VIIIは、以下の構造:
【0209】
【化10】
を有し、
式中、Gが、酸素又は硫黄からなる群から選択され、好ましくは酸素であり、式中、指数mが2~4であり、好ましくはmが2~3であり、より好ましくはmが2であり、式中、Rが、H、又は15~500Daの間の分子量を有する一価部分から選択され、より好ましくはRは、H、又は15~101Daの間の分子量を有する一価部分から選択され、更により好ましくはRは、Hであり、式中、各Jが、独立して、C(R、-O-、-N(R)-からなる群から選択され、式中、各Rが、独立して、H、及び14~990Daの分子量を有する一価部分からなる群から選択され、より好ましくは各Rが、独立して、H、及び14~186Daの間の分子量を有する一価部分からなる群から選択され、更により好ましくは各RがHであるが、但し、可能な場合には、第1の単位及び第2の単位を二価置換基として任意に一緒に取ることができ、ここで、第1の単位は、第1のR基であり、第2の単位は、第2のR基、R基、及びR基の一価置換基からなる群から選択され、好ましくは当該二価置換基は、縮合環、スピロ環、不飽和置換基、=N(R)、-C(O)-、及び-C(S)-からなる群から選択され、任意に、R、Jの1つ以上の一価置換基、それらの組合せから選択される第2の部分が、X基への第2の連結で置き換えられ、好ましくは第2の環構造を形成する、段落S~Wのいずれか一段落に記載の液体プレミックス組成物。
【0210】
Y.前駆体シリコーンポリマーが、以下:(a)0.004(Pas)~100(Pas)の範囲からなる粘度;及び/又は(b)約450Da~約200000Daの重量平均分子量の少なくとも1つを特徴とする、段落S~Xのいずれか一段落に記載の液体プレミックス組成物。
【0211】
Z.当該液体プレミックス組成物がアミノ官能性材料を更に含み、当該しくは当該アミノ官能性材料が、約40~約1000ダルトン、より好ましくは約50~800ダルトン、更により好ましくは約60~約600ダルトン、更により好ましくは約60~約500ダルトンの分子量を特徴とする、段落S~Yのいずれか一段落に記載の液体プレミックス組成物。
【0212】
AA.処理組成物を作製する方法であって、当該方法が、ベース組成物を提供する工程であって、当該ベース組成物が処理補助剤を含む、提供する工程と、以下:a)段落A~Lのいずれか一段落に記載されるプロフレグランスシリコーンポリマー;b)段落S~Zのいずれかに記載の前駆体シリコーンポリマー、並びにアルデヒド部分、ケトン部分、及びそれらの組合せからなる群から選択される部分を含む香料原料であって、好ましくは、当該前駆体シリコーンポリマー及び当該香料原料が、液体プレミックス組成物、好ましくはエマルジョンの形態の液体プレミックス組成物として一緒に提供される、香料原料;又は(c)これらの混合物、の1つ以上を有するベース組成物を合わせる工程と、を含む、方法。
【0213】
BB.表面又は物品を処理する方法であって、任意に水の存在下において、当該表面又は物品を、段落A~Rのいずれか一段落に記載の処理組成物と接触させることを含む、方法。
【0214】
CC.表面を含む物品、好ましくは布地物品であって、当該表面が、段落A~Lのいずれか一段落に記載のプロフレグランスシリコーンポリマーを含む、物品。
【0215】
DD.段落A~Lのいずれか一段落に記載のプロフレグランスシリコーン。
【0216】
EE.任意には表面上、好ましくは布地上における、任意には処理組成物中に配合される、芳香剤としての段落DDに記載のプロフレグランスシリコーンポリマーの使用であって、当該処理組成物が、請求項A~Rのいずれか一項に記載の処理組成物であり得る、使用。
【0217】
FF.好ましくはGが酸素である場合、及びYがRの除去から誘導可能である場合、mが、2又は3ではない、請求項S~Zのいずれか一項に記載の前駆体シリコーンポリマー。
【0218】
試験方法
プロフレグランスシリコーンポリマープレミックスエマルジョンの調製
プロフレグランスシリコーンポリマープレミックスエマルジョンは、以下のように調製することができる。
【0219】
シロキサン前駆体化合物60.0重量部から出発、Surfonic L24-9(2.0重量部;例えば、Huntsman Holland BV)及びTergitol(商標)15-S-40(2.5部;例えば、The Dow Chemical Company)を添加。混合物を、1分間IKA RW 20により800rpmで混合する。水(合計35.5部)を、2回に分けて別々に添加し、各水添加後、混合物を、IKA RW 20とおよそ10~15分間混合した。
【0220】
前駆体シリコーンポリマー中の式VI及び/又はVIIに従って存在するラジカルのモル量とほぼ等しいモル当量で添加された香料原料を、エマルジョンに添加し、15分間IKA RW 20により275rpmで撹拌する。
【0221】
具体例としては、上記のように乳化させた、下記の合成例1に開示のシリコーン流体93.5重量部を、香料原料(例えば、桂皮アルデヒド)6.5部と合わせる。
【0222】
試験布地強化剤/柔軟剤組成物の準備
水混合物中の7.5重量%のN,Nジ(タロウイルオキシエチル)-N,Nジメチルアンモニウムクロリドに、プロフレグランスシリコーンポリマープレミックスエマルジョン(又は未処理香料油)を、布地柔軟剤中の香料原料又は香料原料断片の濃度が布地柔軟剤調製後に約0.3重量%になるような量で添加する。混合物を、IKA RW 20 D Slミキサー、モデルRW20DS1、及びIKA Rl 342インペラーブレードを使用して350rpmで5分間撹拌する。構造化剤及び付着助剤を添加し、混合物を10分間撹拌する。必要に応じて水を加えて、試験レッグ間のN,Nジ(タローオイルオキシエチル)-N,Nジメチルアンモニウムクロリドの濃度を7.3重量%に標準化し、混合物を5分間撹拌する。必要であれば、pHをHClで2~3に調整する。
【0223】
試験用香錠組成物の調製
スピードミキサーカップ内の93.88重量%溶融PEG-8000材料に、合成例6の6.12%のプロフレグランスシリコーンプレミックスエマルジョンを添加する。スピードミキサーカップを、Flacktek DA150.FVZ-Kスピードミキサーに1分間3,500rpmで素早く入れる。4℃に予備平衡化し、10インチのプラスチックテーピングナイフで広げた青色シリコン処理ゴム型に注入することによって、サンプル香錠を混合物から直ちに作製した。香錠を室温でおよそ30分間冷却し、次いで、香錠を金型から取り出し、周囲条件下において保存した。
【0224】
布地の準備方法
ヘッドスペース分析テスト用の布地を準備するために、布地サンプル(綿100%テリークロス、アイテム番号ITL 1022-15PGP、CalderonTextiles、Inc.6131 W.80tA St.、Indianapolis、Ind.46278、洗剤と布地柔軟剤の3回の洗浄サイクルで糊抜きし、調整する)を、衣類のミニ洗濯機、フルスケール機、及び衣類乾燥機を介して、北米の消費者に一致する方法で布地柔軟剤処方で処理する。ヘッドスペースGCMS分析の前に、布地を21.1℃及び50%相対湿度で24時間平衡化する(以下の方法を参照されたい)。バラスト負荷は、およそ20×20インチ(50×50cm)のサイズで綿及びポリコットンニットの見本からなる。
【0225】
洗浄処理条件
以下の香錠組成物性能試験では、以下の洗浄処理条件で布地を処理する:North America Kenmore 600シリーズのトップローディング洗濯機を使用する。各機械を、12分間の洗浄撹拌期間及び1回の3分間のすすぎを含む通常の単一サイクルを実行するように設定する。使用した水は、137ppmの硬度を有し、各洗浄に関して30.6℃であり、すすぎに関しては15.5℃である。各工程における水の体積は、64リットルである。布地負荷重総量は3.6kgである(これには、32枚の試験布地ハンドタオルテリークロス、9枚の100%綿バラスト、及び約5枚の50/50ポリコットンバラストが含まれた)。使用した洗剤は、(The Procter & Gamble Companyにより製造されている)無香料液体TIDE Original Scentである。洗浄水を充填しながら、81gの洗剤を洗浄水に投入した。また、洗剤を添加した後、評価する香錠25gをまた加え、続いて布地を入れる。水の充填が完了した後、機械を浸漬期間にする。これに続いて、洗浄撹拌(通常設定)、及びすすぎ工程(対応するスピンサイクルで)を行う。洗浄プロセスが完了した後、布地を取り出す。試験布地を、Kenmore乾燥機でコットン/高の設定で50分間機械乾燥させる。次に試験布地を、21.1℃/50%相対湿度に制御した室内で24時間、平衡した。
【0226】
以下の布地強化剤/柔軟剤組成物性能試験では、布地を以下の洗浄処理条件で処理する:洗浄:12分間の撹拌、30.6℃。すすぎ:2分間の撹拌、15.5℃。水の硬度:137ppm。水:7.6pH。布地ロード重量:290g。タンブル乾燥設定:高50分、綿。洗剤用量:9.65g。布地柔軟剤用量:5.71g。
【0227】
布地のヘッドスペース分析
次の手順で、布地上のヘッドスペースにある香料原料のレベルを決定する。
【0228】
質量選択検出器(5977B)(MSD)とケムステーション定量パッケージを備えたガスクロマトグラフ7890B、固相マイクロ抽出(SPME)プローブ又は同様のシステムを備えたGerstel多目的サンプラ、Supleco部品#57298-Uからのジビニルベンゼン/カルボキセン/ポリジメチルシロキサンSPME繊維(又は同様の繊維)、公称直径30m×0.25mm、膜厚0.25m、J&W 122-5532UI DB-5、20mLのヘッドスペースバイアル。
【0229】
分析用の布地を準備するために、上記方法で準備及び処理された綿テリーから、2.54cm×5.08cmの綿スワッチを3つ切り取る。各ピースを20mLのヘッドスペースバイアルとキャップに入れる。
【0230】
Gerstelオートサンプラのパラメータは、以下の通りである:SPME-インキュベータ由来、インキュベーション温度:65℃.、インキュベーション時間:10.00分 サンプルパラメータ、バイアル浸透量:22.00mm、抽出時間:5. 00分、初期浸透量:54.00mm、脱離時間:300秒。GCオーブンのパラメータは以下の通りである:フロントSSインレットHeの場合、モード-スプリットレス、ヒータ:270℃.、GCランタイム:14.28分。オーブンの場合、初期温度:40℃.、保持時間:0.5分、加熱プログラム:速度17℃/分、温度270℃、保持時間0.25分。MSDパラメータは以下の通りである:35~350m/zの最小範囲によるスキャンモードで実行。
【0231】
標準香料材料から較正曲線を作成する。ケムステーションソフトウェア(又は同様の定量ソフトウェア)で、各香料成分の較正曲線を使用して、ヘッドスペースの質量を計算する。
【0232】
組成物の色変化
プレミックス(例えば、プレミックスエマルジョン)又は処理組成物を、以下の手順に従って、色の変化について試験することができる。L、a、及びbを含む反射率スペクトル及び色測定は、LabScan XE反射率分光光度計を用いて作製した(HunterLabs、バージニア州レストン、;D65光源、10度視野、紫外光を除外)。プレミックスエマルジョン及び処理組成物のL、a、及びb値は、PRMでの混合後、時間t=0及び14日目に測定される。プレミックスエマルジョン又は処理組成物の総色変化(ΔE)は、以下の式を用いて、各時点tで収集されたデータに基づいて計算される:
ΔE=[(Lc-Ls)+(ac-as)+(bc-bs)1/2
式中、下付き文字c及びsは、それぞれ、対照、すなわちゼロPRMを有するプレミックスエマルジョン又は処理組成物と、サンプル、すなわち、それぞれのアルデヒド/ケトンPRMを有するプレミックスエマルジョン又は処理組成物とを指し、ここで、ΔEを計算するために使用される値は、対応する時点t(0日、14日)における値である。所望のPRMを、4ブレードのIKA RW 20インペラでオーバーヘッド混合するジャー中の、記載した官能化シリコーンのサンプルへ(例えば、シリコーン中のアミン基と、香料のアルデヒド又はケトン基との1:1モル当量を提供するのに十分な相対量で)ゆっくりと加え、15分間穏やかに混合する。プレミックスエマルジョン混合物又は処理組成物を、標準的なスクリューキャップ付きの50mL(25cm)CELLSTAR(登録商標)細胞培養フラスコに入れる。室温でt=0及び14日後、各プレミックスエマルジョン又は処理組成物サンプルの色の外観を、LabScan XE 10反射率分光光度計(HunterLabs、バージニア州レストン、;D65光源、10度視野、紫外光を除外)。
【0233】
アミン含有量及び窒素%の決定
以下の方法に従って、アミノ官能性シリコーンの総アミン含有量、第一級アミン含有量、及び/又は窒素%を求める。より具体的には、この方法を使用して、1グラムのサンプル中に存在するアミン官能基(第一級、第二級、及び第三級)のミリ当量として定義される第一級、第二級、及び第三級アミン価(meq/g)を求める。
【0234】
この方法は公定法ASTMD2074-07に基づき、これは、必要に応じてこの方法を補足するために使用すべきである。広いストークで、サンプルをイソプロピルアルコールに溶解させ、標準化HCl溶液を使用してブロモフェノールブルー終点まで滴定する。
【0235】
以下の材料を使用する:イソプロピルアルコール中0.1N塩酸(CAS7647-01-1、67-63-0;99.5%;ex Fisher Scientific製);イソプロピルアルコール(CAS#67-63-0;99%;ex EMD製);フェニルイソチオシアネート(CAS#103-72-0;98%;ex Sigma Aldrich製);サリチルアルデヒド(CAS#90-02-8;98%;ex Sigma Aldrich製);ブロモフェノールブルー指示薬(エタノール又はイソプロピルアルコール中0.1重量%溶液;ex.Fisher Scientific)。
【0236】
以下の滴定は各々、合計3回繰り返さなければならない。更に、滴定体積は実験的に決定しなければならない。滴定体積は、1~20mLでなければならない。滴定体積が1mL未満である場合、より多くのサンプルを計量する。サンプルが20mLを超える場合、より少ないサンプルを計量する。Metrohm Dosimat 775などのビュレット又は等価物を滴定に使用することができる。滴定の黄色の終点に関して、黄色が緑色に退色することがあるが、明るく澄んだ黄色である場合、0.1NのHClを追加しても元の色が変化しない場合は無視すべきである。
【0237】
A.総アミン含有量の滴定
予め液体になっていない場合、サンプル(典型的には100%活性)を水浴中で溶融させる。完全に混合し、0.5グラム~1.0グラムを正確に量り、250mLの三角フラスコ(広口;アルカリ耐性)に入れる。重量を小数第四位まで記録する。
フラスコに、50mLのイソプロピルアルコールを添加する。0.5mLのブロモフェノールブルー指示薬を添加する。黄色の終点に達するまで、旋回させながら0.1NのHCl溶液で滴定する。使用したHClの体積をV1,2,3として記録する。
【0238】
B.第二級及び第三級アミン含有量の滴定
予め液体になっていない場合、サンプル(典型的には100%活性)を水浴中で溶融させる。十分に混合し、2つの250三角フラスコに1.0グラムを正確に量りとる。重量を小数第四位まで記録する。フラスコにそれぞれS及びTとマークする。各フラスコに、50mLのイソプロピルアルコールを添加する。
フラスコSに、1mLのサリチルアルデヒドを添加する。(磁気撹拌棒を用いて)30分間溶液を撹拌する。0.5mLのブロモフェノールブルー指示薬溶液を添加し、撹拌しながら0.1NのHClで黄色の終点まで滴定する。使用したHClの体積をV2及び3として記録する。
フラスコTに、1mLのフェニルイソチオシアネートを添加する。(磁気撹拌棒を用いて)30分間溶液を撹拌する。0.5mLのブロモフェノールブルー指示薬溶液を添加し、撹拌しながら0.1NのHClで黄色の終点まで滴定する。使用したHClの体積をVとして記録する。
【0239】
C.アミン含有量の計算
下記の計算の変数は、以下に対応する:
V:試料の滴定に必要なHCl(mL)
N:HCl溶液の規定度
S:試料の重量(g)
meq/g:ミリ当量/グラム
総:総アミン価
AS:第二級及び第三級アミン基のアミン価
TA:第三級アミン価
上記の滴定に関連して得られた測定値に基づいて、以下の計算を使用して様々なアミン含有量を求める。
【0240】
【数1】
【0241】
D.窒素重量%の計算
アミン含有量に基づくアミノ官能性シリコーン中の窒素の重量%を求めるために、以下の計算を使用する。
化合物中の窒素の重量パーセントは、以下のようにアミン価(meq/g)から計算することができる。
(アミン価/1000)×(窒素のMW)×100=窒素重量%
一例として、ジメチルエタノールアミンは、11.2(meq/g)のアミン価を有する。その窒素の重量パーセント(15.7重量%)は、以下の通りである:
(11.2/1000)×(14.01)×100=15.7窒素重量%
以下の表(表D)は、窒素の重量%及び等価なアミン価を示す。
【0242】
【表4】
アミノ官能性材料が第一級、第二級、及び/又は第三級のアミンの形態ではない窒素原子を含有する場合、窒素含有量(重量パーセントとして)は、当業者に既知の方法に従って求めることができる。
【0243】
E.標準物質
方法の品質管理を確認するために、好適な標準物質、例えば、ジメチルエタノールアミン(第三級アミン、99.5%;Sigma-Aldrichから入手可能)で試験してもよい。この特定のアミンの場合、総アミン及び第三級アミン含有量は、11.2±0.2meq/gでなければならない。第一級及び第二級アミン含有量は、<0.1meq/gでなければならない。
【0244】
粒子/液滴サイズ
静的石英セルを備え、製造業者の指示書に従って操作したHoriba、Partica、Laser Scattering、Particle Size Distribution Analyzer LA-950V2を利用して、プレミックスエマルジョンとして、及び布地柔軟剤中でシロキサン化合物の液滴サイズを分析する。
【0245】
非イオン性界面活性剤のHLB値
非イオン性界面活性剤は、界面活性剤分子中の親水性部分と親油性部分との間のバランスによって分類することができる。1949年にGriffinによって考案された親水性-親油性バランス(HLB)スケールは、界面活性剤の性質を特徴付けるために使用される0~20(20が親水性である)のスケールである。界面活性剤のHLBは、以下のように計算することができる:
HLB=20Mh/M
式中、Mhは、分子の親水性部分の分子であり、Mは、分子全体の分子量であり、結果は0~20のスケールで与えられる。HLB値0は完全に親油性/疎水性の分子に対応し、20の値は完全に親水性/疎油性の分子に対応する。Griffin,W.C.Calculation of HLB values of Nonionic Surfactants,J.Soc.Cosmet.Chem.1954,5,249-256を参照。一般に使用される界面活性剤のHLB値は、文献から容易に入手可能である(例えば、McCutcheon’s Emulsifiers and Detergents,MC Publishing Co.,2004におけるHLB指数)。界面活性剤の混合物のHLB値は、界面活性剤のHLB値の加重平均として計算することができる。
【0246】
シリコーンの粘度試験方法
25℃におけるサンプル粘度の予備推定値を用いて、モデルAR-G2レオメータ(TA Instrument Corp.製(New Castle,Delaware,USA))で行われる最終的な粘度測定分析において使用する適当な器具の構成を選択する。サンプル粘度の予備推定値は、ブルックフィールド粘度計(Brookfield Engineering Laboratories Inc.(Middleboro,Massachusetts,USA))を用いて得ることもできる。AR-G2レオメータで使用するための構成の選択は、下記表Eに基づいて決定される。
【0247】
【表5】
【0248】
この構成を器具に取り付け、器具をマッピングし、隙間距離を0とし、器具温度を25℃に設定する。平行プレートを使用する場合は測定モードとして硬質モードを選択し、クエットカップ及びボブの構成を使用する場合は軟質モードを選択する。サンプル材料は、例えばベースプレートのようなサンプル保持機構内に装着される。ベースプレートと選択される構成との間の許容される最小隙間距離は、サンプル中に存在する最大の共通粒子の直径の10倍である。サンプル中に直径が100μmより大きい共通の粒子がある場合(顕微鏡により測定される)、隙間の値は最大の共通粒子の直径の10倍に設定されるが、そうでない場合には隙間距離は1000μm(すなわち、1mm)の初期値に設定される。選択された構成を適当な隙間にまで下げ、プラスチック工具を用いていずれの余分なサンプル材料を取り除く。サンプル材料を器具の温度にまで平衡化させる。以下の選択及び設定値を用いて、流れ曲線、応力掃引、及び周波数掃引の3つのレオロジー測定分析を行う。
【0249】
流れ曲線:段階的流量を0.01~100に選択する;10倍ごとのポイント数(points/decade)=10;剪断応力;一定時間20;最後の10個の平均をとる。
【0250】
応力掃引:応力範囲を0.01~100Paに設定する;周波数を1rad/sに設定する。
【0251】
周波数掃引:角周波数範囲を0.1~100に設定する。
【0252】
分析が線形粘弾性領域内で行われるように、応力値を、事前の応力掃引分析中においてG’が低下し始めた時点で存在していた応力値の1/3に設定する。
【0253】
シリコーンサンプルの分子量
シリコーンサンプルの分子量は、以下に提示すように、多角度光散乱検出(SEC-MALS)を用いたサイズ排除クロマトグラフィーによって決定することができる。
【0254】
以下の機器が使用される:Wyattを備えたWaters Alliance 2695 Separations Module(ポンプ及びオートサンプラ)SN C055M791M;rEX屈折率検出器SN 874-REX、Waters外カラムヒータ、及びWyatt Technology DAWN;Heleos IIレーザー光度計SN 286-H2。
【0255】
以下のクロマトグラフィー条件に従う:1mL/分の流速での、トルエン溶液中0.025Mテトラブチルアンモニウムベンゾアート(TBAB);カラム:Waters Styragelガードカラム及び2つのWaters Styragel HR5直鎖カラム;屈折率検出器は25℃;他の全ての構成要素は周囲室温である。
【0256】
サンプルを調製するために、ポリシールキャップバイアルにサンプルを正確に秤量する。次いで、サンプルを、3mLの溶離液(トルエン中TBAB)で希釈して、8.0mg/mLの濃度を達成する。サンプルを手で旋回させ、穏やかに混合し、一晩放置して、サンプルを確実に完全に溶解させる。次いで、それらを、シリンジフィルタ(0.2mmナイロン膜を有する、PALL Acrodisc 13mmシリンジフィルタ)を介してオートサンプラバイアルに濾過する。ポリ(ジメチル)シロキサン(PDMS)参照材料を同じ様式で調製する。
【0257】
データ収集及び後処理は、Astra 5.3.4.19ソフトウェア(Wyatt Technology、Santa Barbara、CA)を用いて行う。シリコーンサンプルのdn/dc値は、Astraソフトウェアを使用してピークデータから計算される。
【実施例
【0258】
以下に提供される実施例は、事実上例示を意図するものであり、限定することを意図するものではない。
【0259】
合成例
以下の合成例1~合成例20は、本開示による例示的なプロフレグランスシリコーンポリマー、及びそれらのシリコーン前駆体の合成を示す。比較合成例Aは、本開示で提供される複素環部分を含まない、比較シリコーンポリマーを示す。
【0260】
一貫性及び例示/比較の目的のために、各実施例は、未処理のシリコーン前駆体を、以下の構造を有する同じ香料原料、桂皮アルデヒド、又はイソシクロシトラールと反応させる。
【0261】
【化11】
【0262】
しかしながら、本開示による他のアルデヒド又はケトン含有PRMもまた、好適なプロフレグランスシリコーンポリマーの形成をもたらすことができ、これらのいくつかは、以下の実施例性能実施例において例示され、試験されることが理解される。合成例は処理組成物に直接配合されてもよいが、しかしながら、以下で報告される性能及び安定性例の場合、全ての合成例は、上記のように液体プレミックスエマルジョンとして処理組成物に配合されることもまた理解される。
【0263】
各合成例について、シリコーン前駆体(例えば、報告されたX-Y基を有する)及び得られたプロフレグランス複素環部分(例えば、報告されたX-Z基を有する)を、以下の表Fに提供する。比較合成例Aもまた示すが、これは本開示による-Y部分を含まず、得られた材料もまた本開示による-Z部分を含まない。
【0264】
比較合成例A.
桂皮アルデヒド(0.35g;Symrise(Holzminden、Germany)から入手可能)を、アミノ修飾シリコーン(A)KF-8003(5g、Shin-Etsu Silicones of America Inc.(Akron、OH)から入手可能)へと加える。混合物を12時間撹拌する。得られた透明な流体(A’)を、H NMRによって分析する。
【0265】
以下の表Fに示すように、比較合成例A’の得られた材料は、本開示による複素環部分を含まない。
【0266】
合成例1.
方法A:エポキシ官能化シリコーン、EMS-622流体(60g;Gelest、Morrisville、PAから入手可能)を、三首丸底フラスコ中でイソプロピルアルコール(3g、Sigma-Aldrich、St.Louis、MO)と撹拌する。この流体に、ブチルアミン(28g;Sigma-Aldrich、St.Louis、MO)を加える。フラスコを密封し、N雰囲気下に48時間置く。過剰なアミンを減圧下において除去して、透明な流体を得た。独立したシリコーン流体1は、H NMRによって数ヶ月間安定であるように見えた。
方法B:エポキシ官能化シリコーン、EMS-622流体(5g;Gelest、Morrisville、PAより入手可能)を、2-メチル-2,4-ペンタンジオール(0.25g、Sigma-Aldrich、St.Louis、MO)及びブチルアミン(2.3g;Sigma-Aldrich、St.Louis、MO)と合わせ、24時間撹拌した。過剰なアミンを減圧下において除去して、1を透明な流体として得た。
方法C:エポキシ官能化シリコーン、EMS-622流体(5g;Gelest、Morrisville、PAから入手可能)を、ブチルアミン(2.3g;Sigma-Aldrich、St.Louis、MO)と合わせ、48時間撹拌した。過剰なアミンを減圧下において除去して、1を透明な流体として得た。
方法にかかわらず、独立した流体1の5gの画分に、桂皮アルデヒド(0.5g;Symrise、Holzminden、Germanyから入手可能)を加え、これを12時間撹拌する。得られた透明な流体1’を、H NMRによって分析する。
【0267】
合成例2.
エポキシ官能化シリコーン、EMS-622流体(60g;Gelest、Morrisville、PAから入手可能)を、イソプロピルアルコール(3g、Sigma-Aldrich、St.Louis、MO)及びイソプロピルアミン(23g;Sigma-Aldrich、St.Louis、MO)と合わせ、24時間撹拌した。過剰なアミンを減圧下において除去して、透明な流体を得た。独立したシリコーン流体2は、H NMRによって数ヶ月間安定であるように見えた。
2(5g)の撹拌流体に、桂皮アルデヒド(0.5g;Symrise、Holzminden、Germanyから入手可能)を加える。12時間後、得られた透明な流体2’を、H NMRによって分析する。
【0268】
合成例3.
エポキシ官能化シリコーン、EMS-622流体(60g;Gelest、Morrisville、PAから入手可能)を、イソプロピルアルコール(3g、Sigma-Aldrich、St.Louis、MO)及びシクロプロピルアミン(38g;Sigma-Aldrich、St.Louis、MO)と合わせ、24時間撹拌した。過剰なアミンを減圧下において除去して、淡黄色の流体を得た。独立したシリコーン流体3は、H NMRによって数ヶ月間安定であるように見えた。
3(5g)の撹拌流体に、桂皮アルデヒド(0.5g;Symrise、Holzminden、Germanyから入手可能)を加える。12時間後、得られた透明な流体3’を、H NMRによって分析する。
【0269】
合成例4.
C:エポキシ官能化シリコーン、EMS-622流体(10g;Gelest、Morrisville、PAから入手可能)を、イソプロピルアルコール(0.5g、Sigma-Aldrich、St.Louis、MO)及びシtert-ブチルアミン(4.6g;Sigma-Aldrich、St.Louis、MO)と合わせ、24時間撹拌した。過剰なアミンを減圧下において除去して、透明な流体を得た。独立したシリコーン流体4は、H NMRによって数ヶ月間安定であるように見えた。
4(5g)の撹拌流体に、桂皮アルデヒド(0.5g;Symrise、Holzminden、Germanyから入手可能)を加える。12時間後、得られた透明な流体4’を、H NMRによって分析する。
【0270】
合成例5.
エポキシ官能化シリコーン、EMS-622流体(10g;Gelest、Morrisville、PAから入手可能)を、イソプロピルアルコール(0.5g、Sigma-Aldrich、St.Louis、MO)及びメチルアミン(2.0g;Sigma-Aldrich、St.Louis、MO)と合わせ、フラスコを密封し、24時間撹拌する。過剰なアミンを減圧下において除去して、5を透明な流体として得た。
5(5g)の撹拌流体に、桂皮アルデヒド(0.5g;Symrise、Holzminden、Germanyから入手可能)を加える。12時間後、得られた透明な流体5’を、H-NMRによって分析する。
【0271】
合成例6.
方法A:エポキシ官能化シリコーン、EMS-622流体(45g;Gelest、Morrisville、PAから入手可能)を、丸底フラスコ中でNH(50mL、2M IPA溶液、Sigma-Aldrich、St.Louis、MO)と合わせる。フラスコを密封し、室温で72時間撹拌する。過剰なアミンを減圧下において除去して、透明な流体を得た。独立したシリコーン流体6は、H NMRによって数ヶ月間安定であるように見えた。
方法B:エポキシ官能化シリコーン、EMS-622流体(10g;Gelest、Morrisville、PAから入手可能)を、イソプロピルアルコール(0.5g、Sigma-Aldrich、St.Louis、MO)と合わせ、これに、NHを流体に12時間吹き込み(2.0g;Sigma-Aldrich、St.Louis、MO)、フラスコを密封し、追加で24時間撹拌する。過剰なアミンを減圧下において除去して、6を透明な流体として得た。
6(5g)の撹拌流体に、桂皮アルデヒド(0.55g;Symrise、Holzminden、Germanyから入手可能)を加える。12時間後、得られた透明な流体6’を、1H NMRによって分析する。
【0272】
合成例7.
エポキシ官能化シリコーン、X-22-343(15g;Shin-Etsu Silicones of America Inc.、Akron、OHから入手可能)を、2-メチル-2,4-ペンタンジオール(0.95g、Sigma-Aldrich、St.Louis、MO)及びオクチルアミン(4.0g;Sigma-Aldrich、St.Louis、MO)と合わせ、オーバーヘッドスターラーを介して800rpmで16時間撹拌した。独立したシリコーン流体7は、H NMRによって数ヶ月間安定であるように見えた。
7(5g)の撹拌流体に、桂皮アルデヒド(0.5g;Symrise、Holzminden、Germanyから入手可能)を加える。12時間後、得られた透明な流体7’を、H NMRによって分析する。
【0273】
合成例8.
アミノ修飾シリコーン、KF-8003(500g;Shin-Etsu Silicones of America Inc.、Akron、OHから入手可能)を、三首丸底フラスコ中で、2-メチル-2,4-ペンタンジオール(26g、Sigma-Aldrich、St.Louis、MO)と合わせる。溶液を均質になるまで撹拌し、N雰囲気下に置く。この溶液に、1,2-プロピレンオキシド(18.15g;Sigma-Aldrich、St.Louis、MO)を加え、混合物を80℃で48時間撹拌する。独立した流体8は、H NMRによると、数ヶ月間安定であるように見える。
独立した流体8の5gの画分に、桂皮アルデヒド(0.32g;Symrise、Holzminden、Germanyから入手可能)を加え、これを12時間撹拌する。得られた透明な流体8’を、H NMRによって分析する。
【0274】
合成例9.
アミノ修飾シリコーン、KF-8003(500g;Shin-Etsu Silicones of America Inc.、Akron、OHから入手可能)を、三首丸底フラスコ中で、2-メチル-2,4-ペンタンジオール(27g、Sigma-Aldrich、St.Louis、MO)と合わせる。溶液を均質になるまで撹拌し、N雰囲気下に置く。この溶液に、ブチルグリシジルエーテル(40.7g;Sigma-Aldrich、St.Louis、MO)を加え、混合物を80℃で48時間撹拌する。独立した流体9は、H NMRによると、数ヶ月間安定であるように見える。
独立した流体9の5gの画分に、2,4,6-トリメチルシクロヘキサ-3-エン-1-カルバルデヒド(0.35g;IFF、New York、NYから入手可能)を加え、これを12時間撹拌する。得られた透明な流体9’を、H NMRによって分析する。
【0275】
合成例10.
アミノ修飾シリコーン、KF-8003(100g;Shin-Etsu Silicones of America Inc.、Akron、OHから入手可能)を、三首丸底フラスコ中で、2-メチル-2,4-ペンタンジオール(5.5g、Sigma-Aldrich、St.Louis、MO)と合わせる。溶液を均質になるまで撹拌し、N雰囲気下に置く。この溶液に、シクロヘキセンスルフィド(8.9g;Sigma-Aldrich、St.Louis、MO)を加え、混合物を80℃で48時間撹拌する。独立した流体10は、H NMRによると、密封容器内で数ヶ月間安定しているように見える。
上記した独立した流体10の5gの画分に、桂皮アルデヒド(0.31g;Symrise、Holzminden、Germanyから入手可能)を加え、これを12時間撹拌する。得られた淡黄色流体10’を、H NMRによって分析する。
【0276】
合成例11.
アミノ修飾シリコーン、AMS-152(100g;Shin-Etsu Silicones of America Inc.、Akron、OHから入手可能)を、三首丸底フラスコ中で、2-メチル-2,4-ペンタンジオール(10.5g、Sigma-Aldrich、St.Louis、MO)と合わせる。溶液を均質になるまで撹拌し、N雰囲気下に置く。この溶液に、エチレンスルフィド(4.25g;Sigma-Aldrich、St.Louis、MO)を加え、混合物を50℃で48時間撹拌する。独立した流体11は、H NMRによると、密封容器内で数ヶ月間安定しているように見える。
独立した流体11の5gの画分に、桂皮アルデヒド(0.35g;Symrise、Holzminden、Germanyから入手可能)を加え、これを12時間撹拌する。得られた淡黄色流体11’を、H NMRによって分析する。
【0277】
合成例12.
エポキシ官能化シリコーン、XF-22-343(50g;Shin-Etsu Silicones of America Inc.、Akron、OHから入手可能)を、三首丸底フラスコ中で、1,2-ヘキサンジオール(7g、Sigma-Aldrich、St.Louis、MO)と共に撹拌する。この流体に、環状ジアミンBaxxodur(登録商標)(98g;BASF、Ludwigshafen、Germany)の異性体混合物を加える。フラスコを密封し、N雰囲気下に24時間置く。過剰なアミンを減圧下において除去して、淡黄色の流体を得た。独立したシリコーン流体12は、数ヶ月にわたって放置すると暗くなった。
新鮮に調製した独立した流体12の5gの画分に、桂皮アルデヒド(2.15g;Symrise、Holzminden、Germanyから入手可能)を加え、これを12時間撹拌する。得られた淡黄色流体12’を、H NMRによって分析する。
【0278】
合成例13.
エポキシ官能化シリコーン、XF-22-343(50g;Shin-Etsu Silicones of America Inc.、Akron、OHから入手可能)を、三首丸底フラスコ中で、1,2-ヘキサンジオール(2.8g、Sigma-Aldrich、St.Louis、MO)と共に撹拌する。この流体に、環状ジアミンBaxxodur(登録商標)(6.7g;BASF、Ludwigshafen、Germany)の異性体混合物を加える。フラスコを密封し、N雰囲気下に24時間置く。独立した流体13は、H NMRによると、密封容器内で数ヶ月間安定しているように見える。
新鮮に調製した独立した流体13の5gの画分に、桂皮アルデヒド(2.15g;Symrise、Holzminden、Germanyから入手可能)を加え、これを12時間撹拌する。得られた流体13’を、H NMRによって分析する。
【0279】
合成例14.
エポキシ官能化シリコーン、XF-22-343(100g;Shin-Etsu Silicones of America Inc.、Akron、OHから入手可能)を、三首丸底フラスコ中で、1,2-ヘキサンジオール(8.5g;Sigma-Aldrich、St.Louis、MO)と共に撹拌する。この流体に、エチレンジアミン(71g;Sigma-Aldrich、St.Louis、MO)を加える。フラスコをN雰囲気下に置き、30℃まで24時間加熱する。過剰なアミンを減圧下において除去して、14を淡黄色の流体として得た。架橋はエチレンジアミンでは容易であり、したがって、過剰なアミンは14の調製において重要である。
独立した流体14の5gの画分に、2,4,6-トリメチルシクロヘキサ-3-エン-1-カルバルデヒド(0.35g;IFF、New York、NYから入手可能)を加え、これを12時間撹拌する。得られた透明な流体14’を、H NMRによって分析する。主な構造モチーフはオキサゾリジンであるが、しかしながら、微量のイミンが観察された。
【0280】
合成例15.
エポキシ官能化シリコーン、KF-102(50g;Shin-Etsu Silicones of America Inc.、Akron、OHから入手可能)を、イソプロピルアルコール(5g、Sigma-Aldrich、St.Louis、MO)及びブチルアミン(5g;Sigma-Aldrich、St.Louis、MO)と合わせ、次いで、フラスコをN雰囲気下に置く。均質になったら、フラスコを30℃に加熱し、72時間撹拌する。反応の経過をH NMRによってモニタする。過剰なアミンを減圧下において除去して、透明な流体を得た。独立したシリコーン流体15は、H NMRによって数ヶ月間安定であるように見えた。
15(5g)の撹拌流体に、桂皮アルデヒド(0.2g;Symrise、Holzminden、Germanyから入手可能)を加える。12時間後、得られた透明な流体15’を、H NMRによって分析する。
【0281】
合成例16.
アミノ修飾シリコーン、KF-8003(10g;Shin-Etsu Silicones of America Inc.、Akron、OHから入手可能)を、三首丸底フラスコ中で、2-メチル-2,4-ペンタンジオール(0.5g、Sigma-Aldrich、St.Louis、MO)と合わせる。溶液を均質になるまで撹拌し、N雰囲気下に置く。この溶液に、メチルグリコレート(0.6g;Sigma-Aldrich、St.Louis、MO)を加え、混合物を120℃で48時間撹拌する。得られた流体16は、H NMRによると、数ヶ月間安定であるように見える。
流体16の5gの画分に、桂皮アルデヒド(0.34g;Symrise、Holzminden、Germanyから入手可能)を加え、これを50℃まで12時間撹拌する。得られた流体16’を、H NMRによって分析する。
【0282】
合成例17.
アクリレート官能化シリコーン、UMS-182流体(50g;Gelest、Morrisville、PAから入手可能)を、エタノールアミン(6.25g;Sigma-Aldrich、St.Louis、MO)と合わせ、をN雰囲気下に置く。混合物を、反応が完了するまで室温で撹拌し、H NMRによってモニタする。独立した流体17は、H NMRによると、密封容器内で数ヶ月間安定しているように見える。
独立した流体17の5gの画分に、桂皮アルデヒド(1.25g;Symrise、Holzminden、Germanyから入手可能)を加え、これを12時間撹拌する。得られた透明な流体17’を、H NMRによって分析した。
【0283】
合成例18.
アミノ修飾シリコーン、DMS-A15(10g;Gelest、Morrisville、PAから入手可能)を、イソプロピルアルコール(5g、Sigma-Aldrich、St.Louis、MO)及び1,4-ブタンジオールジグリシジルエーテル(10g;Sigma-Aldrich、St.Louis、MO)と合わせ、次いで、フラスコをN雰囲気下に置く。均質になったら、フラスコを30℃に加熱し、72時間撹拌する。反応の経過をH NMRによってモニタする。過剰なオキシランを減圧下において除去して、透明な流体を得た。独立したシリコーン流体18は、H NMRによって数ヶ月間安定であるように見えた。
18(5g)の撹拌流体に、桂皮アルデヒド(0.4g;Symrise、Holzminden、Germanyから入手可能)を加える。12時間後、得られた透明な流体18’を、H NMRによって分析する。
【0284】
合成例19.
ハロゲン化修飾シリコーン、LMS-152流体(10g;Gelest、Morrisville、PAから入手可能)を、エタノールアミン(6.25g;Sigma-Aldrich、St.Louis、MO)と合わせ、をN雰囲気下に置く。混合物を、反応が完了するまで30℃で撹拌し、H NMRでモニタする。独立した流体19は、H NMRによると、密封容器内で数ヶ月間安定しているように見える。
独立した流体19の5gの画分に、桂皮アルデヒド(1.25g;Symrise、Holzminden、Germanyから入手可能)を加え、これを12時間撹拌する。得られた流体19’を、H NMRによって分析する。
【0285】
合成例20.
エポキシ官能化シリコーン、EMS-622流体(10g;Gelest、Morrisville、PAから入手可能)を、イソプロピルアルコール(0.5g、Sigma-Aldrich、St.Louis、MO)、ブチルアミン(2.5g;Sigma-Aldrich、St.Louis、MO)、プロピルアミン(2.2g);Sigma-Aldrich、St.Louis、MO)と合わせ、48時間撹拌した。過剰なアミンを減圧下において除去して、透明な流体を得た。独立したシリコーン流体20は、H NMRによって数ヶ月間安定であるように見えた。
20(5g)の撹拌流体に、桂皮アルデヒド(0.5g;Symrise、Holzminden、Germanyから入手可能)を加える。12時間後、得られた透明な流体20’を、H NMRによって分析する。
【0286】
合成例の構造。
下記の表Fは、上記の合成例のX-Y構造及びX-Z構造を示す。X-Yカラムは、例えば、前駆体シリコーンポリマーの(Si)-X-Y部分など、例えば、式VI又は式VIIによるラジカルを示し、上記の例では、番号、例えば1で標識されている。X-Zカラムは、例えば、プロフレグランスシリコーンポリマーの(Si)-X-Z部分など、例えば、式I又は式IIによるラジカルを示し、上記の合成例では、これらは「プライム」表記を有する数字、例えば1’で標識されている。
【0287】
表Fはまた、本開示に記載の(Si)-X-Y又は(Si)-X-Zラジカルを含まない(例えば、複素環式環が形成されていない)比較合成例A(及びA’)を含むが、これらは便宜上/比較目的のために表に含まれる。この比較例にはアスタリスク()を付す。
【0288】
【表6-1】
【0289】
【表6-2】
【0290】
【表6-3】
【0291】
【表6-4】
【0292】
【表6-5】
【0293】
上記の合成例では、前駆体シリコーンポリマー(又はKF-8003などの比較用シリコーン)及び示された香料原料を、組合せて/反応させて、本開示によるプロフレグランスシリコーンポリマーを含む流体を形成する。
【0294】
以下の性能実施例及び安定性例において、前駆体シリコーンポリマー(又はKF-8003などの比較用シリコーン)及び示された香料原料は、上記の試験方法のセクションに見られる方法(「プロフレグランスシリコーンポリマープレミックスエマルジョンの調製」)と同様の手順に従って、実質的にエマルジョンにされる。合成例と性能実施例と安定性例との間では調製方法が異なるにもかかわらず、プロフレグランスシリコーンポリマーに関する入力及び出力は、実質的に同じである。
【0295】
性能実施例
以下の性能実施例1~性能実施例5では、未処理香料油、本開示による前駆体シリコーンポリマーを含む液体プレミックスエマルジョン(例えば、上記のアルカノールアミン又はチオールアミンシリコーン前駆体に基づく)、及び示されるようなPRMを含む処理組成物、又は比較シリコーンポリマーを含むプレミックスエマルジョンを、上記で提示される布地処理方法による自動洗濯機での処理サイクルによって比較する。処理後、上記で提示した試験方法に従って、ヘッドスペース分析のために布地を試験する。以下のデータは、有益剤の送達において、オキサゾリジン及びチアゾリジンモチーフなどの複素環部分によって得られる利点を示す。
【0296】
性能実施例1.プロフレグランスシリコーンポリマーの利点
最初に、2つのシリコーン足場を選択して、香料の利点を調べる。第1の利点は、伝統的なアミノ修飾シリコーンに由来し、したがってこれをオキシランと反応させて、アルカノールアミンを得ることができる(合成例8)。第2の利点は、アミンからの求核攻撃後にアルカノールアミンを形成する、エポキシシリコーンから由来する(合成例1)。これらの材料を評価するために、広範な香料原料が検討されている。
【0297】
以下の実施例では、等しいモル濃度の4つのアルデヒド香料原料を、それぞれの試験レッグのプレミックスエマルジョンに提供し、次いで、上記の試験方法で提供されるように調製された試験布地強化剤/柔軟剤組成物に配合する。上記の試験方法に従って、布地を調製し、洗浄処理し、布地のヘッドスペース分析のために試験する。
【0298】
表1及び後続の表の両方において、「合成例1」などを参照する行について、サンプルは、列挙された合成例で提供される方法及びシリコーン前駆体に実質的にしたがって調製されたが、しかし、桂皮アルデヒド又はイソシクロシトラールだけではなく、例に列挙された香料原料(等しいモル濃度)を用いて調製され、上記で詳述したようにプレミックスエマルジョンとして配合されたことが理解される。
【0299】
布地のヘッドスペース分析試験の結果を以下の表1に提示する。
【0300】
【表7】
全てのアルデヒド原料を等モル濃度で合わせた。
比較合成例A(KF-8003)で使用されるシリコーンは、Shin-Etsu Silicones of America Inc.、Akron、OHの製品である。比較用のシリコーンプレミックスエマルジョン溶液。合成サンプルAは、合成例1及び合成例8のプレミックスエマルジョンと実質的に同じ方法を用いて調製される。
【0301】
表1に示すように、アルカノールアミンシリコーン1、アルカノールアミンシリコーン8、及び比較アミノ修飾比較合成例Aは、未処理原料よりも総ヘッドスペースの改善を示した。更に、アルカノールアミンシリコーン1及びアルカノールアミンシリコーン8は、アミノ修飾比較合成例Aよりも総ヘッドスペースの増加を示した。KF-8003から合成的に誘導された実施例流体8は、親KF-8003シリコーンに対して、立体的に妨げられていない未処理原料ついての親和性を有した(比較合成例Aを参照されたい)。流体1は、最も高い総ヘッドスペースを有し、非アリルアルデヒドに対するよりバランスのとれた反応性を有していた。
【0302】
性能実施例2.立体障害の影響
この実施例は、プロフレグランスシリコーンポリマーの複素環部分の窒素原子における、ステアリン酸障害(stearic hinderance)の効果を示す。試験は、以下の表2に提供されるPRM及び合成例を用いて、性能実施例1と実質的に同じように行われる。性能実施例1と同様に、プロフレグランスシリコーンポリマーは、桂皮アルデヒド又はイソシクロシトラールのみではなく、列挙されたPRMを用いて作製され、上記のようにプレミックスエマルジョンの形態で反応することが理解される。
【0303】
布地のヘッドスペース分析の結果を表2に提示する。
【0304】
【表8】
一致する配合物は、以下の通りである:10重量%のメチルノニルアセトアルデヒド、40重量%のP.T.ブシナール、20重量%のプレシクレモンB、及び30重量%のフロラロゾン。
【0305】
表2に示すように、例示的なプロフレグランスシリコーンの各々は、未処理原料よりも高い総ヘッドスペースを送達した。合成例シリコーンの総ヘッドスペース濃度は、1>3>2>4である。理論に束縛されることを望むものではないが、この傾向は立体に基づいて合理化されると考えられ、ここで、窒素での立体バルクが少ないと、総ヘッドスペースが改善される(例えば、n-ブチルアミン>シクロヘキシルアミン>iso-プロピルアミン>tert-ブチルアミン)。立体的影響は、合成例2及び合成例3を検討すると強調される。合成例2及び合成例3の両方におけるα-炭素から窒素原子は、炭素原子に関して二次置換であるが、しかしながら、合成例3では、α-炭素は環構造であり、立体的影響はより小さくなる。この微妙な違いは、送達される香料原料の総量に顕著な違いをもたらした。
【0306】
実施例3.アミン置換の効果
この実施例は、プロフレグランスシリコーンポリマーの複素環部分の窒素原子における一次置換対二次置換の効果を示す。試験は、以下の表3に提供されるPRM及び合成例を用いて、性能実施例1と実質的に同じように行われる。先の実施例と同様に、プロフレグランスシリコーンポリマーは、桂皮アルデヒド又はイソシクロシトラールのみではなく、列挙されたPRMを用いて作製され、上記のようにプレミックスエマルジョンの形態で反応することが理解される。
【0307】
布地のヘッドスペース分析の結果を表3に提示する。
【0308】
【表9】
一致する配合物は、以下の通りである:10重量%のメチルノニルアセトアルデヒド、40重量%のP.T.ブシナール、20重量%のプレシクレモンB、及び30重量%のフロラロゾン。
【0309】
表3に示すように、合成例1及び合成例6のアルカノールアミンシリコーンは、未処理原料よりも増加した総ヘッドスペースを有していた。更に、第二級アミンを有する合成例1は、合成例6の第一級アミンよりも高い総ヘッドスペースをもたらした。したがって、アミンのアルキル置換は、特定の用途においてより好ましい場合がある。
【0310】
実施例4.プロフレグランスシリコーンポリマーの追加的な実施例
この実施例は、プロフレグランスシリコーンポリマーの追加的な例を示す。合成例11は、前駆体にチオールアミンを含有し、香料原料と反応する場合にチアゾリジン環を形成する。合成例12はオキサゾリジン環を形成するが、前駆体はまた、香料原料と反応することもできる環状アミンをペンダント基に含むので、ペンダント基は、最終的に2つのPRM残基を担持することができる。
【0311】
試験は、以下の表4に提供されるPRM及び合成例を用いて、性能実施例1と実質的に同じように行われる。先の実施例と同様に、プロフレグランスシリコーンポリマーは、桂皮アルデヒド又はイソシクロシトラールのみではなく、列挙されたPRMを用いて作製され、上記のようにプレミックスエマルジョンの形態で反応することが理解される。
【0312】
布地のヘッドスペース分析の結果を表4に提示する。
【0313】
【表10】
全てのアルデヒド原料を等モル濃度で合わせた。
【0314】
原料の存在下においてチアゾリジン環を形成する合成例11は、洗浄を通して未処理原材料よりも総ヘッドスペースが増加した(表4を参照のこと)。流体11は、立体障害アルデヒド及びケトンとの強い相互作用を有していた。オキサゾリジン形成シリコーン12は、各原料と強く反応した。
【0315】
実施例5.微粒子洗濯添加剤における使用
この例では、材料の配合物は、乾燥成形粒子塗布で調製される。(例えば、担体としてポリエチレングリコールを含む香錠;サイズ及び形状が、The Procter&Gamble CompanyによってDOWNY UNSTOPABLES(商標)として販売されているものと同様)。合成例6を上記のようにプレミックスエマルジョンとして導入する、各レッグの粒子の製剤を表5Aに提示する。量は組成物の重量%として示す。
【0316】
【表11】
累積原料は、両レッグで0.66重量%に相当した。
【0317】
以下の実施例では、等モル濃度の香料原料を、上記の試験方法で提供されるように調製された試験布地の香錠組成物に提供する。上記の試験方法に従って、布地を調製し、洗浄処理し、布地上のヘッドスペース分析のために試験する。性能試験結果を表5Bに提示する。
【0318】
【表12】
全てのアルデヒド原料を等モル濃度で合わせた。
【0319】
表5Bに示すように、乾燥粒子製剤中の合成例6は、洗浄を通して未処理原料を超える利点を示した。
【0320】
安定性例
安定性例1では、シリコーンプレミックスエマルジョン及び処理組成物を、貯蔵の際の色安定性について試験する。
【0321】
安定性例1.シリコーンプレミックス中の色安定性
後香料シリコーンプレミックス、特にエマルジョンの形態のプレミックス、及びそのようなプレミックスエマルジョンから形成された関連する布地柔軟剤製品を調製する。合成例1及び合成例8のシリコーンプレミックスエマルジョンの色測定値を提示し、上記の試験方法に記載のように測定する。アルデヒド含有香料原料(サイマール、イソシクロシトラール、桂皮アルデヒド、及びフロラロゾン)を、等モル濃度でシリコーンと合わせる。先の実施例と同様に、プロフレグランスシリコーンポリマーは、桂皮アルデヒド又はイソシクロシトラールのみではなく、列挙されたPRMを用いて作製され、上記のようにプレミックスエマルジョンの形態でPRMと反応することが理解される。比較組成物は、KF-8003シリコーンプレミックスエマルジョン及び同じPRMを用いて作製される。
【0322】
2週間の貯蔵の際のプレミックスエマルジョン及び布地柔軟剤製品の色安定性を、上記の組成物試験方法の色変化によって評価する。結果を下の表6に提示する。
【0323】
【表13】
ΔEは、試験方法で定義されるように計算される。
KF-8003製、Shin-Etsu Silicones of America Inc.、Akron、OHの製品。比較用のシリコーンプレミックスエマルジョン溶液。合成サンプルAは、合成例1及び合成例8のプレミックスエマルジョンと実質的に同じ方法を用いて調製される。
【0324】
表6に示すように、各々がPRM残基と組合せて複素環部分を形成する合成例1及び合成例8は、イミン形成シリコーンKF-8003から形成された溶液と比較して、プレミックスエマルジョン及び処理組成物の両方においてより低いΔEをもたらす。理論に束縛されることを望むものではないが、π結合は、比較合成例Aで表されるイミンの着色強度の起源である可能性が高いものと考えられる。π結合コンジュゲーションの影響は、桂皮アルデヒドを用いて更に強調され、イミン形成時の拡張されたコンジュゲーションは著しい着色をもたらす。追加的又は代替的に、複素環における結合の性質は、静的π結合を排除し、その結果、コンジュゲーションの減少及びゲル化の減少に起因して経時的な色安定性の改善を有する合成例1及び合成例8をもたらすと考えられる。
【0325】
例示的な製剤
このセクションは、プレミックス及び処理組成物の例示的な非限定的な製剤を提供する。
【0326】
配合例1.例示的なプレミックス
表7は、消費者製品に配合し得る例示的な芳香プレミックス製剤を提供する。量は、プレミックスの重量による重量%として提供する。
【0327】
【表14】
合成例1の前駆体シリコーンポリマー
メチルシクロヘキサンジアミン(Baxxodur EC210、BASF製)
各PRMが等モルのアルデヒド部分を提供する量で存在するように各々選択された、エチルバニリン、バニリン、ヘリオトロピン、及びリリアールを含有する。
【0328】
配合例2.布地処理組成物
粒子状処理組成物は、以下の手順に従って作製することができ、そのような組成物は、洗濯用添加剤消費者製品として有用であり得る。
【0329】
等モル量である以下のPRM:サイマール、桂皮アルデヒド、アセトフェノン、及びベンズアルデヒド、(113.3グラム)で作製された、試験方法セクションで提供される方法に従って作製され、合成例1に従って作製されたプロフレグランスシリコーンポリマープレミックスエマルジョンを、1756.6グラムの溶融ポリエチレングリコール(BASF Corporationによって供給されたPluriol E 8000 Prill)及び119.8グラムの遊離芳香剤と合わせる。ブレンドを混合し、固化させて、約0.3cm~約1.5cmの平均直径及び/又は約1mg~約1gの平均質量を有する消費者製品粒子にする。
【0330】
得られる消費者製品は、任意選択で洗濯洗剤と組合せて、自動布地洗浄機の洗浄サイクルに添加するのに好適な複数の粒子である。
【0331】
配合例3.液体布地強化剤
表8は、本開示による組成物の例示的な配合物を示す。具体的には、以下の組成物が、液体布地強化剤製品である。
【0332】
【表15】
Ester Quat 1:ビス-(2-ヒドロキシプロピル)-ジメチルアンモニウムメチルサルフェート脂肪酸エステルと、(2-ヒドロキシプロピル)-(1-メチル-2-ヒドロキシエチル)-ジメチルアンモニウムメチルサルフェート脂肪酸エステルと、ビス-(1-メチル-2-ヒドロキシエチル)-ジメチルアンモニウムメチルサルフェート脂肪酸エステルとの混合物であって、脂肪酸エステルが、C12~C18脂肪酸混合物から製造される混合物(REWOQUAT DIP V 20 M Conc、例えば、Evonik)
Ester Quat 2:C12~C18脂肪酸混合物から製造される、N,N-ビス(ヒドロキシエチル)-N,N-ジメチルアンモニウムクロリド脂肪酸エステル(REWOQUAT CI-DEEDMAC、例えば、Evonik)
Ester Quat 3:硫酸ジメチルで四級化された、トリエタノールアミンを有する(C16~18及びC18不飽和)脂肪酸のエステル化生成物(REWOQUAT WE 18、例えば、Evonik)
合成例1によるプロフレグランスシリコーンポリマープレミックスエマルジョンは、等量である以下のPRM:サイマール、桂皮アルデヒド、アセトフェノン、及びベンズアルデヒドを用いて作製された
【0333】
配合例4.液体洗濯洗剤
表9は、本開示に従って作製することができるヘビーデューティー液体洗濯洗剤組成物の例示的な処方を示す。提供される量は、特に指示がない限り、活性物質の重量%である。
【0334】
【表16】
・ AE1.85は、C1215アルキルエトキシ(1.8)サルフェートである
・ AE3Sは、C1215アルキルエトキシ(3)サルフェートである
・ AE7は、平均エトキシル化度7のC1213アルコールエトキシレートである
・ AE8は、平均エトキシル化度8のC1213アルコールエトキシレートである
・ AE9は、平均エトキシル化度9のC1213アルコールエトキシレートである
・ アルコキシル化ポリアリールは、例えば、EMULSOGEN(登録商標)T5160、HOSTAPAL(登録商標)BV濃度、SAPOGENAT(登録商標)T11O、及び/又はSAPOGENAT(登録商標)T139であり、全てClariantからのものである。
・ アミラーゼ1は、STAINZYME(登録商標)、15mg活性/gである
・ アミラーゼ2は、NATALASE(登録商標)、29mg活性/gである
・ アミラーゼ3は、STAINZYME PLUS(登録商標)、20mg活性/gである
・ イソアミラーゼは、グリコーゲン脱分枝活性を有する
・ ASは、C1214アルキルサルフェートである
・ セルラーゼ2は、CELLUCLEAN(商標)、15.6mg活性/gである
・ キシログルカナーゼは、WHITEZYME(登録商標)、20mg活性/gである
・ キレート剤1は、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)である
・ キレート剤2は、l-ヒドロキシエタン1,1-ジホスホン酸(HEDP)である
・ キレート剤3は、エチレンジアミン-N,N’-二コハク酸、(S,S)異性体のナトリウム塩(EDDS)である
・ ディスパーシンBは、グリコシドヒドロラーゼであり、1000mg活性/gとして報告されている
・ DTI1は、ポリ(4-ビニルピリジン-l-オキシド)、例えば、CHROMABOND S-403E(登録商標)などである
・ DTI2は、ポリ(1-ビニルピロリドン-コ-1-ビニルイミダゾール)(SOKALAN HP56(登録商標)など)である。
・ 染料制御剤は、例えば、SUPAREX(登録商標)O.IN(M1)、NYLOFIXAN(登録商標)P(M2)、NYLOFIXAN(登録商標)PM(M3)、又はNYLOFIXAN(登録商標)HF(M4)である
・ HSASは、米国特許第6,020,303号及び同第6,060,443号に開示されるような、中分枝状アルキルサルフェートである
・ LASは、C9~C15の平均脂肪族炭素鎖長を有する直鎖アルキルベンゼンスルホネートである(HLASは酸形態である)。
・ リパーゼは、LIPEX(登録商標)、18mg活性/gである
・ マンナナーゼは、MANNAWAY(登録商標)、25mg活性/gである
・ 蛍光増白剤1は、二ナトリウム4,4’-ビス{[4-アニリノ-6-モルホリノ-s-トリアジン-2-イル]-アミノ}-2,-2’-スチルベンジスルホネートである
・ 光学増白剤2は、二ナトリウム4,4’-ビス-(2-スルホスチリル)ビフェニル(ナトリウム塩)である
・ 光学増白剤3は、3V Sigma製のOPTIBLANC SPL1O(登録商標)である
・ 光漂白剤は、スルホン化亜鉛フタロシアニンである
・ 研磨酵素は、パラ-ニトロベンジルエステラーゼであり、1000mg活性/gとして報告されている
・ ポリマー1は、ビス((C2H5O)(C2H4O)n)(CH3)-N-CH----N’----(CH3)-ビス((C2H50)(C2H40)n)であり、式中、n=20~30、x=3~8、又はこれらの硫化変異型若しくはスルホン化変異型である
・ ポリマー2は、エトキシル化(EO15)テトラエチレンペンタアミンである
・ ポリマー3は、エトキシル化ポリエチレンイミン(PEI600 EO20)である
・ ポリマー4は、エトキシル化ヘキサメチレンジアミンである
・ ポリマー5は、Rohm&Haasよって提供されるACUSOL(登録商標)305である
・ ポリマー6は、BASFによって提供される、酢酸ビニル側鎖でグラフト化されたポリエチレングリコールポリマーである
・ プロフレグランスシリコーンポリマープレミックスエマルジョンは、等量の以下のPRM:サイマール、桂皮アルデヒド、アセトフェノン、及びベンズアルデヒドを用いて作製された、合成例6である
・ プロテアーゼは、PURAFECT PRIME(登録商標)、40.6mg活性/gである
・ プロテアーゼ2は、SAVINASE(登録商標)、32.89mg活性/gである
・ プロテアーゼ3は、PURAFECT(登録商標)、84mg活性/gである
・ 四級アンモニウムは、C1214ジメチルヒドロキシエチル塩化アンモニウムである
・ S-ACMCは、Megazymeよって提供されるReactive Blue 19 Azo-CM-Celluloseである
・ 汚れ放出剤は、REPEL-O-TEX(登録商標)SF2である
・ 構造化剤は、水素添加ヒマシ油である
・ バイオレットDDは、Millikenよって提供されるチオフェンアゾ染料である
・ 水不溶性植物材料は、例えば、Herbafood Ingredients GmbH、Werder、Germanyによって供給されるHerbacel AQ+型Nである
【0335】
配合例5.単位用量物品
表10は、パウチの形態の様々な単位用量洗剤物品の処方を示す。多区画パウチは複数の有益剤を収容することができる。非限定的な例として、2成分又は3成分パウチは、表10に提示する製剤を別々の封入物に収容させてもよく、その場合、用量はそれぞれの封入物内の製剤の量である。パウチは、MonoSol,LLC(Indiana,USA)から入手可能なポリビニルアルコールフィルムなどの水溶性フィルムから形成され得る。
【0336】
【表17】
米国特許第7169744号に記載されるような硫酸モノ-[2-(3,4-ジヒドロ-イソキノリン-2-イル)-1-(2-エチル-ヘキシルオキシメチル)-エチル]エステル
PAP=フタロイル-アミノ-ペルオキシカプロン酸、70%活性湿潤ケーキとして
-NH1個当たり20個のエトキシレート基を有するポリエチレンイミン(MW=600)。
エトキシル化チオフェン、EO(R+R)=5
RA=予備アルカリ度(NaOHのg/用量)
本開示によるシリコーン/PRMプレミックスエマルジョン。表に提供される重量%は、プレミックスによって送達される香料の量ではなく、提供される芳香プレミックスの量であり、プレミックスは水を実質的に含まない。プレミックスは、プレミックスの重量基準で約20重量%の香料原料を用いて作製される。
【0337】
本明細書に開示される寸法及び値は、列挙された正確な数値に厳密に限定されるものとして理解されるべきではない。その代わりに、特に指示がない限り、そのような寸法は各々、列挙された値とその値を囲む機能的に同等な範囲の両方を意味することが意図される。例えば「40mm」として開示される寸法は、「約40mm」を意味するものとする。
【0338】
相互参照される又は関連するあらゆる特許又は特許出願、及び本出願が優先権又はその利益を主張する任意の特許出願又は特許を含む、本明細書に引用される全ての文書は、除外又は限定することを明言しない限りにおいて、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。いかなる文献の引用も、本明細書中で開示又は特許請求されるいかなる発明に対する先行技術であるとはみなされず、あるいはそれを単独で又は他の任意の参考文献(単数又は複数)と組合せたときに、そのようないかなる発明も教示、示唆又は開示するとはみなされない。更に、本文書における用語の任意の意味又は定義が、参照により組み込まれた文書内の同じ用語の任意の意味又は定義と矛盾する場合、本文書においてその用語に与えられた意味又は定義が適用されるものとする。
【0339】
本発明の特定の実施形態を例示及び説明してきたが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく様々な他の変更及び修正を行うことができる点は当業者には明白であろう。したがって、本発明の範囲内にある全てのそのような変更及び修正を添付の特許請求の範囲に網羅することが意図される。