(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-17
(45)【発行日】2025-02-26
(54)【発明の名称】緩衝器および減衰バルブ装置
(51)【国際特許分類】
F16F 9/34 20060101AFI20250218BHJP
F16F 9/32 20060101ALI20250218BHJP
【FI】
F16F9/34
F16F9/32 K
(21)【出願番号】P 2024522921
(86)(22)【出願日】2023-03-07
(86)【国際出願番号】 JP2023008526
(87)【国際公開番号】W WO2023228511
(87)【国際公開日】2023-11-30
【審査請求日】2024-06-21
(31)【優先権主張番号】P 2022086551
(32)【優先日】2022-05-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】509186579
【氏名又は名称】日立Astemo株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】弁理士法人志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山下 幹郎
(72)【発明者】
【氏名】小谷 崇将
(72)【発明者】
【氏名】内藤 力
【審査官】杉山 豊博
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-206584(JP,A)
【文献】実開平07-028249(JP,U)
【文献】特開2009-287752(JP,A)
【文献】特開2009-287748(JP,A)
【文献】特許第5443227(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16F 9/34
F16F 9/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
作動流体が封入されるシリンダと、
前記シリンダ内に嵌装され、該シリンダ内を区画するピストンと、
前記ピストンの一方向の移動によって前記作動流体の流れが生じる第1通路と、
前記第1通路の上流側の室から下流側の室への前記作動流体の流れに抵抗力を与える第1減衰バルブと、
前記ピストンの他方向の移動によって前記作動流体の流れが生じる第2通路と、
前記第2通路の上流側の室から下流側の室への前記作動流体の流れに抵抗力を与える第2減衰ディスクバルブと、を有し、
前記第2減衰ディスクバルブが、
上流側の室と下流側の室とを常時連通する第3通路と、
上流側の室と連通する第4通路と、を有し、
前記第4通路と連通し、上流側または下流側の室の圧力変化に応じて可動する区画部材によって区画された可変室が、前記第2減衰ディスクバルブに重ねて配置されている
緩衝器。
【請求項2】
前記第3通路および前記第4通路が、前記第2減衰ディスクバルブのうち、シートに着座するバルブディスクに形成されている請求項1に記載の緩衝器。
【請求項3】
前記区画部材が、サラバネで構成されており、
前記ピストンの伸び行程では前記バルブディスクとの間で形成される前記可変室を大とし、縮み行程では、前記可変室を小とする
請求項2に記載の緩衝器。
【請求項4】
前記区画部材が、上流側および下流側の室の差圧が所定値に達した後、前記可変室内をリリーフするリリーフ機構を備える請求項1乃至3の何れか一項に記載の緩衝器。
【請求項5】
前記第2減衰ディスクバルブが、ボデーバルブに設けられている請求項1に記載の緩衝器。
【請求項6】
前記第2減衰ディスクバルブが、ボデーバルブに設けられている請求項2に記載の緩衝器。
【請求項7】
前記第2減衰ディスクバルブが、ボデーバルブに設けられている請求項3に記載の緩衝器。
【請求項8】
前記第2減衰ディスクバルブが、ボデーバルブに設けられている請求項4に記載の緩衝器。
【請求項9】
作動流体が封入されるシリンダに連通される減衰バルブ装置であって、
前記シリンダ内のピストンの一方向の移動によって前記作動流体の流れが生じる第1通路と、
前記第1通路の上流側の室から下流側の室への前記作動流体の流れに抵抗力を与える第1減衰バルブと、
前記ピストンの他方向の移動によって前記作動流体の流れが生じる第2通路と、
前記第2通路の上流側の室から下流側の室への前記作動流体の流れに抵抗力を与える第2減衰ディスクバルブと、を有し、
前記第2減衰ディスクバルブが、上流側の室と連通する連通路を有し、
前記連通路と連通し、上流側または下流側の室の圧力変化に応じて可動する区画部材によって区画された可変室を有する蓄圧機構が、前記第2減衰ディスクバルブに重ねて配置されている
減衰バルブ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、緩衝器および減衰バルブ装置に関する。
本願は、2022年5月27日に、日本国に出願された特願2022-086551号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
【背景技術】
【0002】
緩衝器において、ボデーバルブを有するものがある(例えば、特許文献1,2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】日本国特開2009-287752号公報
【文献】日本国特許第5443227号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、緩衝器において異音の発生を抑制する要望がある。
【0005】
したがって、本発明は、異音の発生を抑制することが可能となる緩衝器および減衰バルブ装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る緩衝器の一態様は、作動流体が封入されるシリンダと、前記シリンダ内に嵌装され、該シリンダ内を区画するピストンと、前記ピストンの一方向の移動によって前記作動流体の流れが生じる第1通路と、前記第1通路の上流側の室から下流側の室への前記作動流体の流れに抵抗力を与える第1減衰バルブと、前記ピストンの他方向の移動によって前記作動流体の流れが生じる第2通路と、前記第2通路の上流側の室から下流側の室への前記作動流体の流れに抵抗力を与える第2減衰ディスクバルブと、を有し、前記第2減衰ディスクバルブが、上流側の室と下流側の室とを常時連通する第3通路と、上流側の室と連通する第4通路と、を有し、前記第4通路と連通し、上流側または下流側の室の圧力変化に応じて可動する区画部材によって区画された可変室が、前記第2減衰ディスクバルブに重ねて配置されている、構成とした。
【0007】
本発明に係る減衰バルブ装置の一態様は、作動流体が封入されるシリンダに連通される減衰バルブ装置であって、前記シリンダ内のピストンの一方向の移動によって前記作動流体の流れが生じる第1通路と、前記第1通路の上流側の室から下流側の室への前記作動流体の流れに抵抗力を与える第1減衰バルブと、前記ピストンの他方向の移動によって前記作動流体の流れが生じる第2通路と、前記第2通路の上流側の室から下流側の室への前記作動流体の流れに抵抗力を与える第2減衰ディスクバルブと、を有し、前記第2減衰ディスクバルブが、上流側の室と連通する連通路を有し、前記連通路と連通し、上流側または下流側の室の圧力変化に応じて可動する区画部材によって区画された可変室を有する蓄圧機構が、前記第2減衰ディスクバルブに重ねて配置されている、構成とした。
【発明の効果】
【0008】
本発明の上記各態様によれば、異音の発生を抑制することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明に係る第1実施形態の緩衝器を示す断面図である。
【
図2】同第1実施形態の緩衝器のボデーバルブおよびその周辺を示す部分断面図である。
【
図3】同第1実施形態の緩衝器のボデーバルブの
図2のIII部を示す部分断面図である。
【
図4】同第1実施形態の緩衝器のボデーバルブの油圧回路図である。
【
図5】同第1実施形態の緩衝器および比較例の緩衝器における縮み行程から伸び行程への移行時のロッド加速度のシミュレーション結果を示す特性線図である。
【
図6】同第1実施形態の緩衝器および比較例の緩衝器におけるピストン低周波時であってピストン速度が速い場合のピストン速度に対する減衰力の特性を示す特性線図である。
【
図7】同第1実施形態の緩衝器および比較例の緩衝器におけるピストン低周波時であってピストン速度が遅い場合のピストン速度に対する減衰力の特性を示す特性線図である。
【
図8】同第1実施形態の緩衝器および比較例の緩衝器におけるピストン高周波時であってピストン速度が速い場合のピストン速度に対する減衰力の特性を示す特性線図である。
【
図9】同第1実施形態の緩衝器および比較例の緩衝器におけるピストン高周波時であってピストン速度が遅い場合のピストン速度に対する減衰力の特性を示す特性線図である。
【
図10】同第1実施形態の緩衝器および比較例の緩衝器におけるピストン速度が速い場合のピストン周波数に対する減衰力の特性を示す特性線図である。
【
図11】本発明に係る第2実施形態の緩衝器のボデーバルブの要部を示す部分断面図である。
【
図12】本発明に係る第3実施形態の緩衝器のボデーバルブの要部を示す部分断面図である。
【
図13】同第3実施形態の緩衝器の区画部材を示す部分断面図である。
【
図14】同第3実施形態の緩衝器の区画部材を示す下面図である。
【
図15】本発明に係る第4実施形態の緩衝器のボデーバルブの要部を示す部分断面図である。
【
図16】同第4実施形態の緩衝器の区画部材を示す部分断面図である。
【
図17】同第4実施形態の緩衝器の区画部材を示す平面図である。
【
図18】同第4実施形態の緩衝器のボデーバルブの油圧回路図である。
【
図19】本発明に係る第5実施形態の緩衝器の区画部材を示す部分断面図である。
【
図20】同第5実施形態の緩衝器の区画部材を示す平面図である。
【
図21】本発明に係る第6実施形態の緩衝器のボデーバルブの要部を示す部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[第1実施形態]
本発明に係る第1実施形態を、
図1~
図10を参照しつつ以下に説明する。
【0011】
図1は、第1実施形態の緩衝器11を示すものである。この緩衝器11は、自動車や鉄道車両等の車両のサスペンション装置に用いられる緩衝器である。緩衝器11は、具体的には自動車のサスペンション装置に用いられる油圧緩衝器である。緩衝器11は、内筒15と外筒16とを有するシリンダ17を備えている。内筒15は円筒状である。外筒16は有底円筒状である。外筒16の内径は、内筒15の外径よりも大径である。外筒16は内筒15の径方向外側に、内筒15と同軸状に設けられている。外筒16と内筒15との間はリザーバ室18となっている。緩衝器11は、複筒式の緩衝器である。
【0012】
外筒16は、胴部20と底部21とを有している。胴部20は円筒状である。底部21は、胴部20の軸方向の一方側の端部を閉塞している。胴部20の底部21とは反対側の端部は開口部22となっている。外筒16の開口部22は、シリンダ17においても軸方向の一端に設けられている。外筒16の底部21は、シリンダ17においても軸方向の他端に設けられている。言い換えれば、シリンダ17は、軸方向の一端が開口部22となって開口しており、軸方向の他端が底部21となって閉塞されている。
【0013】
緩衝器11は、バルブベース25とロッドガイド26とを備えている。
【0014】
バルブベース25は、円環状であり、内筒15および外筒16の軸方向の一端部に設けられている。バルブベース25は、減衰バルブ装置であるボデーバルブ30を構成するものである。バルブベース25は、外周部の軸方向一側が大径部31となっており、外周部の軸方向他側が小径部32となっている。大径部31の外径は小径部32の外径よりも大径である。よって、バルブベース25は、外周部が段差状をなしている。
【0015】
バルブベース25は、軸方向の大径部31側を小径部32側よりも底部21側に位置させた状態で底部21に載置されている。その際に、バルブベース25は、大径部31において外筒16に対し径方向に位置決めされる。バルブベース25には、軸方向の大径部31の位置にバルブベース25を径方向に貫通する通路溝33が形成されている。ここで、バルブベース25と底部21との間は、バルブベース25に形成された通路溝33を介して内筒15と外筒16との間に連通している。バルブベース25と底部21との間は、内筒15と外筒16との間と同様、リザーバ室18を構成している。
【0016】
ロッドガイド26は、円環状であり、内筒15および外筒16の軸方向の他端部に設けられている。ロッドガイド26は、シリンダ17の開口部22側に設けられている。ロッドガイド26は、外周部の軸方向一側が大径部35となっており、外周部の軸方向の他側が小径部36となっている。大径部35の外径は小径部36の外径よりも大径である。よって、ロッドガイド26は、外周部が段差状をなしている。ロッドガイド26は、大径部35よりも小径部36が底部21側に位置する状態で、大径部35において外筒16の胴部20の開口部22側の内周部に嵌合する。
【0017】
内筒15は、軸方向の一端部が、バルブベース25の外周部の小径部32に嵌合されている。内筒15は、軸方向の一端部が、このバルブベース25を介して外筒16の底部21に載置されている。また、内筒15は、軸方向の他端部が、ロッドガイド26の小径部36に嵌合されている。内筒15は、この他端部が、ロッドガイド26を介して外筒16の胴部20に嵌合している。この状態で、内筒15は、外筒16に対して軸方向および径方向に位置決めされる。
【0018】
緩衝器11は、円環状のロッドシール41を備えている。ロッドシール41は、シリンダ17の軸方向におけるロッドガイド26の底部21とは反対側に設けられている。このロッドシール41も、ロッドガイド26と同様に胴部20の内周部に嵌合されている。外筒16には、胴部20の底部21とは反対の端部に係止部43が形成されている。係止部43は、胴部20をカール加工等の加締め加工によって径方向内方に塑性変形させて形成されている。ロッドシール41は、この係止部43とロッドガイド26とに挟持されている。ロッドシール41は、その際に、ロッドガイド26によって胴部20の内周面に押し付けられる。これにより、ロッドシール41は、外筒16の開口部22を閉塞する。ロッドシール41は、具体的にはオイルシールである。
【0019】
緩衝器11は、ピストン45を備えている。ピストン45は、シリンダ17の内筒15内に摺動可能に嵌装されている。ピストン45は、内筒15内を第1室48と第2室49との二室に区画している。第1室48は、内筒15内のピストン45とロッドガイド26との間に設けられている。第2室49は、内筒15内のピストン45とバルブベース25との間に設けられている。第2室49は、バルブベース25によって、リザーバ室18と区画されている。シリンダ17内には、第1室48および第2室49に作動流体としての油液Lが封入されている。シリンダ17内には、リザーバ室18に作動流体としてのガスGと油液Lとが封入されている。
【0020】
緩衝器11は、ピストンロッド50を備えている。ピストンロッド50は、軸方向の一端部分がシリンダ17の内部に挿入されている。ピストンロッド50は、この一端側の部分がピストン45に連結されている。ピストンロッド50は、軸方向の中間部分がロッドガイド26およびロッドシール41を通っている。ピストンロッド50は、軸方向の他端側の部分がシリンダ17の外部に延出されている。ピストンロッド50は、金属製であって、第1室48内を貫通している。ピストンロッド50は第2室49を貫通していない。よって、第1室48はピストンロッド50が貫通するロッド側室である。第2室49はシリンダ17の底部21側のボトム側室である。ピストンロッド50は、シリンダ17から外部に延出する部分が車両の車体側に連結される。
【0021】
ピストンロッド50は、主軸部51と取付軸部52とを有している。
取付軸部52は、その外径が主軸部51の外径よりも小径である。ピストンロッド50は、取付軸部52側がシリンダ17内に挿入されている。
【0022】
ピストンロッド50は、主軸部51がロッドガイド26およびロッドシール41を通っている。ロッドガイド26およびロッドシール41は、シリンダ17のピストンロッド50が延出する側の部分に設けられている。ロッドガイド26は、ピストンロッド50を摺動可能に支持する。ピストンロッド50は、主軸部51の外周面においてロッドガイド26に案内される。ピストンロッド50は、シリンダ17に対して、ピストン45と一体に軸方向に移動する。ピストンロッド50がシリンダ17からの突出量を増やす緩衝器11の伸び行程において、ピストン45は第1室48側へ移動する。ピストンロッド50がシリンダ17からの突出量を減らす緩衝器11の縮み行程において、ピストン45は第2室49側へ移動する。
【0023】
ロッドシール41は、シリンダ17のピストンロッド50が延出する側、すなわち外筒16の開口部22側に設けられている。ロッドシール41は、ロッドガイド26とによって、外筒16の胴部20とピストンロッド50の主軸部51との間をシールして、内筒15内の油液Lと、リザーバ室18内のガスGおよび油液Lとが外部に漏出するのを規制する。
【0024】
ピストン45には、通路55および通路56が形成されている。通路55および通路56は、いずれもピストン45を軸方向に貫通している。通路55,56は、第1室48と第2室49とを連通可能である。緩衝器11は、ディスクバルブ57とディスクバルブ58とを備えている。ディスクバルブ57は、ピストン45の軸方向における底部21とは反対側に設けられている。ディスクバルブ57は、円環状であり、ピストン45に当接することで通路55を閉塞する。ディスクバルブ58は、ピストン45の軸方向における底部21側に設けられている。ディスクバルブ58は、円環状であり、ピストン45に当接することで通路56を閉塞する。ディスクバルブ57,58は、ピストン45とともにピストンロッド50に取り付けられている。
【0025】
ピストンロッド50が内筒15および外筒16内への進入量を増やす縮み側に移動しピストン45が第2室49を狭める方向に移動すると、第2室49の圧力が第1室48の圧力よりも高くなる。すると、ディスクバルブ57が通路55を開いて第2室49の油液Lを第1室48に流すことになる。その際にディスクバルブ57は減衰力を発生させる。
【0026】
ピストンロッド50が内筒15および外筒16からの突出量を増やす伸び側に移動しピストン45が第1室48を狭める方向に移動すると、第1室48の圧力が第2室49の圧力よりも高くなる。すると、ディスクバルブ58が通路56を開いて第1室48の油液Lを第2室49に流すことになる。その際にディスクバルブ58は減衰力を発生させる。
【0027】
ピストン45およびディスクバルブ57のうちの少なくとも一方には図示略の固定オリフィスが形成されている。この固定オリフィスは、ディスクバルブ57が通路55を最も閉塞した状態でも通路55を介して第1室48と第2室49とを連通させる。
【0028】
ピストン45およびディスクバルブ58のうちの少なくとも一方にも図示略の固定オリフィスが形成されている。この固定オリフィスは、ディスクバルブ58が通路56を最も閉塞した状態でも通路56を介して第1室48と第2室49とを連通させる。
【0029】
ボデーバルブ30は、上記したように第2室49とリザーバ室18とを区画するバルブベース25を有している。バルブベース25は、金属製で継ぎ目なく成形された一体成形品である。バルブベース25は、
図2に示すように、ベース部71と、脚部72とを有している。
【0030】
ベース部71は、有孔円板状である。
脚部72は、円筒状であり、ベース部71の外周部からベース部71の軸方向における一側に延出している。脚部72に大径部31の一部が形成されており、ベース部71に大径部31の残り部分と小径部32とが形成されている。脚部72に、脚部72を径方向に貫通する上記した通路溝33が形成されている。通路溝33は、脚部72の軸方向におけるベース部71とは反対側の端部に開口している。脚部72には、その周方向に間隔をあけて通路溝33が複数形成されている。バルブベース25は、脚部72の軸方向におけるベース部71とは反対側の端部において外筒16の底部21に載置されている。その際に、バルブベース25は、外筒16に対して径方向に位置決めされている。
【0031】
バルブベース25のベース部71には、径方向の中央に貫通孔81が形成されている。ベース部71は、ベース本体部82と、内側シート83と、内側シート84と、を有している。
【0032】
内側シート83は、円環状であり、ベース本体部82の径方向における貫通孔81側の端縁部の全周から、ベース本体部82の軸方向における脚部72とは反対側に突出している。
【0033】
内側シート84は、円環状であり、ベース本体部82の径方向における貫通孔81側の端縁部の全周から、ベース本体部82の軸方向における脚部72側に突出している。
【0034】
ベース部71は、外側シート86と、中間シート87と、を有している。
外側シート86は、円環状であり、ベース本体部82の径方向における内側シート83よりも外側の部分から、ベース本体部82の軸方向における脚部72とは反対側に突出している。
【0035】
中間シート87は、円環状であり、ベース本体部82の径方向における外側シート86と内側シート83との間位置から、ベース本体部82の軸方向における脚部72とは反対側に突出している。
【0036】
また、ベース部71は、外側シート88を有している。外側シート88は、円環状であり、ベース本体部82の径方向における脚部72と内側シート84との間位置から、ベース本体部82の軸方向における脚部72側に突出している。
【0037】
また、ベース部71は、突出部89を有している。突出部89は、ベース本体部82からベース本体部82の軸方向における外側シート88と同側に突出している。突出部89は、外側シート88から外側シート88の径方向における内側に延出している。ベース本体部82の軸方向において、突出部89は、ベース本体部82からの突出高さが、外側シート88のベース本体部82からの突出高さよりも低くなっている。ベース部71には、同形状の突出部89が、ベース部71の周方向に等間隔をあけて複数形成されている。
【0038】
ベース本体部82には、径方向における外側シート86と中間シート87との間に、ベース本体部82を軸方向に貫通する外側通路孔91が形成されている。ベース本体部82には、外側通路孔91が、ベース本体部82の周方向に等間隔をあけて複数設けられている。複数の外側通路孔91は、ベース本体部82の径方向における外側シート88と脚部72との間に配置されている。複数の外側通路孔91によって第2室49とリザーバ室18とが連通可能となっている。
【0039】
ベース本体部82には、径方向における内側シート83と中間シート87との間に、ベース本体部82を軸方向に貫通する内側通路孔92が形成されている。ベース本体部82には、内側通路孔92が、ベース本体部82の周方向に等間隔をあけて複数設けられている。複数の内側通路孔92は、ベース本体部82の径方向における外側シート88と内側シート84との間に配置されている。複数の内側通路孔92によって第2室49とリザーバ室18とが連通可能となっている。
【0040】
ボデーバルブ30は、バルブベース25の貫通孔81に挿通されるピン部材101を有している。ピン部材101は、ボルトであり、頭部102と、外径が頭部102の外径よりも小径の軸部103とを有している。
【0041】
頭部102は、締結工具に係合可能である。
軸部103は、円柱状であり、頭部102の径方向の中央から頭部102の軸方向に沿って一側に延出している。軸部103には軸方向の頭部102とは反対側の外周部にオネジ104が形成されている。
【0042】
ボデーバルブ30は、バルブベース25の軸方向の底部21とは反対側に、軸方向のバルブベース25側から順に、一枚のバルブディスク110と、一枚のバルブディスク111と、一枚のディスク112と、一枚のバネディスク113と、一枚の規制ディスク114とを有している。バルブディスク110,111、ディスク112、バネディスク113および規制ディスク114は、いずれも金属製である。バルブディスク110,111およびディスク112は、いずれも内側にピン部材101の軸部103を嵌合可能な一定厚さの有孔円形平板状である。
【0043】
バルブディスク110は、バルブベース25の外側シート86の外径よりも若干大径の外径となっている。バルブディスク110は、撓み可能であり、内側シート83、外側シート86および中間シート87に当接して外側通路孔91を閉塞する。バルブディスク110には、径方向の内側シート83と中間シート87との間に、バルブディスク110を軸方向に貫通する通路孔121が形成されている。通路孔121は、バルブディスク110の周方向に延びる長穴である。バルブディスク110には、外周側に切欠122が形成されている。切欠122は、外側シート86のバルブディスク110への接触部分を径方向に横断している。切欠122内は、オリフィス123となっている。
【0044】
バルブディスク111は、バルブディスク110の外径と同等の外径となっている。バルブディスク111は、撓み可能であり、バルブディスク110に当接する。バルブディスク111には、径方向の内側シート83と外側シート86との間に、バルブディスク111を軸方向に貫通する通路孔125が形成されている。バルブディスク111には、通路孔125が、バルブディスク111の周方向に等間隔をあけて複数形成されている。バルブディスク110,111の径方向において、通路孔125は、切欠122とは位置をずらしており、通路孔121と一部重なり合っている。通路孔121と通路孔125との連通部分がオリフィス128となっている。
【0045】
ディスク112は、バルブベース25の内側シート83の外径と同等の外径となっており、全体がバルブディスク111の径方向における通路孔125より内側に配置されている。
【0046】
バネディスク113は、基板部131と、バネ板部132とを有している。
基板部131は、一定厚さの有孔円形平板状であり、内側にピン部材101の軸部103を嵌合可能である。基板部131は、ディスク112の外径よりも若干大径の外径となっている。
【0047】
バネ板部132は、基板部131の外周縁部から径方向外方に延出している。バネ板部132は、撓み可能である。バネディスク113には、バネ板部132が、基板部131の周方向に等間隔をあけて複数形成されている。バネ板部132は、基板部131の径方向における外側ほど基板部131の軸方向において基板部131から離れるように基板部131に対して傾斜している。複数のバネ板部132は、いずれも基板部131に対して基板部131の軸方向における同側に延出している。バネディスク113は、基板部131においてディスク112に当接しており、複数のバネ板部132が基板部131から軸方向のバルブディスク111側に延出してバルブディスク111の径方向における通路孔125よりも外側の円環状の部分に当接している。
【0048】
規制ディスク114は、バルブディスク110,111およびバネディスク113よりも厚さが厚く高剛性である。規制ディスク114は、主板部141と、外周段差部142とを有している。
主板部141は、一定厚さの有孔円形平板状であり、内側にピン部材101の軸部103を嵌合可能である。
【0049】
外周段差部142は、円環状であり、主板部141の全外周から径方向外方に突出している。外周段差部142は、主板部141に対し軸方向一側に若干ずれて形成されている。規制ディスク114は、主板部141においてバネディスク113の基板部131に当接しており、外周段差部142が主板部141に対し軸方向のバルブディスク111側に突出している。主板部141には、径方向の中間所定位置に、主板部141を軸方向に貫通する通路孔143が形成されている。主板部141には、通路孔143が、主板部141の周方向に等間隔をあけて複数形成されている。通路孔143は、バネディスク113のバネ板部132間の隙間と、バルブディスク111の通路孔125と、バルブディスク110の通路孔121とを介して、第2室49をバルブベース25の内側通路孔92に常時連通させる。
【0050】
ボデーバルブ30は、
図3に示すように、バルブベース25のベース部71の軸方向の脚部72側に、軸方向のベース部71側から順に、一枚のディスク151と、一枚の開閉ディスク152と、一枚のサラバネ153と、一枚のバルブディスク154と、一枚のバルブディスク155と、一枚のバルブディスク156と、複数枚、具体的には3枚のバルブディスク157と、一枚のディスク158と、一枚のディスク159と、を有している。
【0051】
ディスク151,158、開閉ディスク152、サラバネ153、バルブディスク154~157およびディスク159は、いずれも金属製である。ディスク151,158、バルブディスク154~157およびディスク159は、いずれも内側にピン部材101の軸部103を嵌合可能な一定厚さの有孔円形平板状である。開閉ディスク152およびサラバネ153は、いずれも内側にピン部材101の軸部103を嵌合可能な円環状である。
【0052】
ディスク151は、バルブベース25の内側シート84の外径よりも若干小径の外径となっている。
【0053】
開閉ディスク152は、ボデーバルブ30に組み込まれる前の自然状態では、一定厚さの有孔円形平板状である。開閉ディスク152は、撓み可能である。開閉ディスク152は、ディスク151の外径よりも大径の外径となっている。開閉ディスク152は、バルブベース25の複数の突出部89に接触しない外径となっている。
【0054】
サラバネ153は、平板状の一枚の板材からプレス成形によって形成されている。サラバネ153は、基板部161と、外周テーパ板部162とを有している。サラバネ153は、撓み可能である。
【0055】
サラバネ153がボデーバルブ30に組み込まれる前の自然状態にあるとき、基板部161は一定厚さの有孔円形平板状をなしている。基板部161には、ディスク151の外径よりも大径であって開閉ディスク152の外径よりも小径の位置に、基板部161を基板部161の軸方向に貫通する通路孔163が形成されている。基板部161には、通路孔163が、基板部161の周方向に等間隔をあけて複数形成されている。
【0056】
外周テーパ板部162は、基板部161の外周縁部からテーパ状に広がっている。外周テーパ板部162は、平板状をなす基板部161から基板部161の軸方向に離れるほど大径となる。外周テーパ板部162は、円環状であり、基板部161の全周にわたって形成されている。
【0057】
サラバネ153は、基板部161と外周テーパ板部162との境界が角部164となっている。角部164は、サラバネ153の全周にわたって設けられており、円形状である。
【0058】
バルブディスク154は、バルブベース25の外側シート88の外径よりも若干大径の外径となっている。バルブディスク154は、撓み可能であり、サラバネ153および外側シート88に当接している。バルブディスク154には、外周側に切欠171が形成されている。切欠171は、外側シート88のバルブディスク154への接触部分を径方向に横断している。バルブディスク154には、切欠171が、バルブディスク154の周方向に等間隔をあけて複数形成されている。バルブディスク154には、バルブディスク154をバルブディスク154の軸方向に貫通する通路孔172が形成されている。通路孔172は、バルブディスク154の複数の切欠171の内接円よりも径方向内側の位置に設けられている。通路孔172は、バルブディスク154の周方向に延びる円弧状の長穴である。
【0059】
バルブディスク155は、バルブディスク154の外径と同等の外径となっている。バルブディスク155は、撓み可能である。バルブディスク155には、バルブディスク155をバルブディスク155の軸方向に貫通する通路孔181が形成されている。通路孔181は、バルブディスク154,155の径方向においてバルブディスク154の通路孔172と重なる位置に設けられている。通路孔181は、バルブディスク155の周方向に延びる円弧状の長穴である。
【0060】
バルブディスク156は、バルブディスク154,155の外径と同等の外径となっている。バルブディスク156は、撓み可能である。バルブディスク156には、外周側に切欠191が形成されている。バルブディスク156には、バルブディスク156をバルブディスク156の軸方向に貫通する通路孔192が形成されている。通路孔192は、バルブディスク155,156の径方向においてバルブディスク155の通路孔181と重なる位置に設けられている。通路孔192は、バルブディスク154の周方向に延びる円弧状の長穴である。切欠191は、通路孔192に連通している。
【0061】
いずれもバルブディスク154~156の周方向に長い長穴状の通路孔172,181,192が、バルブディスク154~156の径方向における位置を重ね合わせている。これにより、バルブディスク154~156の位相によらず、通路孔172,181,192が重なり合う面積が十分にとれるようになっている。
【0062】
複数枚のバルブディスク157は、バルブディスク154~156の外径と同等の外径となっている。バルブディスク157は、撓み可能である。
ディスク158は、バルブディスク154~157の外径よりも小径の外径となっている。
【0063】
ディスク159は、ディスク158の外径よりも大径であってバルブディスク154~157の外径よりも若干小径の外径となっている。
【0064】
ボデーバルブ30を組み立てる際には、ピン部材101に、ディスク159、ディスク158、複数枚のバルブディスク157、バルブディスク156、バルブディスク155、バルブディスク154、サラバネ153、開閉ディスク152、ディスク151、バルブベース25、
図2に示すバルブディスク110、バルブディスク111、ディスク112、バネディスク113、規制ディスク114が、それぞれの内側にピン部材101の軸部103を嵌合させつつ、この順番で頭部102に積み重ねられる。
【0065】
その際に、
図3に示すサラバネ153は、角部164がバルブディスク154とは反対側に位置する向きとされる。また、その際に、バルブベース25は、内側シート84がディスク151に当接する向きとされる。また、その際に、
図2に示すバネディスク113はバネ板部132がバルブディスク111に当接する向きとされる。また、その際に、規制ディスク114は、その軸方向において主板部141から外周段差部142がバルブディスク111側に突出する向きとされる。
【0066】
この状態で、規制ディスク114の主板部141よりも突出するピン部材101のオネジ104にナット201が螺合される。これにより、
図3に示すディスク159、ディスク158、複数枚のバルブディスク157、バルブディスク156、バルブディスク155、バルブディスク154、サラバネ153、開閉ディスク152、ディスク151、バルブベース25、
図2に示すバルブディスク110、バルブディスク111、ディスク112、バネディスク113、規制ディスク114は、それぞれの少なくとも内周側が、ピン部材101の頭部102とナット201とにクランプされる。
【0067】
ボデーバルブ30に組み込まれた状態で、
図3に示すように、サラバネ153は、基板部161の内周側の部分が平板状となり、基板部161の外周側の部分が、径方向外側ほど軸方向においてバルブディスク154から離れるようにテーパ状に変形する。また、この状態で、サラバネ153は、外周テーパ板部162が径方向外側ほど軸方向においてバルブディスク154に近づくようにテーパ状をなしてその先端部でバルブディスク154に当接する。その際に、サラバネ153の外周テーパ板部162は、バルブディスク154の径方向における切欠171と通路孔172との間の円環状の部分に全周にわたって当接する。よって、サラバネ153は、バルブディスク154の通路孔172を覆うように設けられている。また、この状態で、サラバネ153は、通路孔163の全体がバルブディスク154の通路孔172と径方向の位置を重ね合わせる。
【0068】
ボデーバルブ30に組み込まれた状態で、開閉ディスク152は、内周側の部分が平板状となる。また、この状態で、開閉ディスク152は、外周側の部分が、サラバネ153の基板部161の外周側の部分で押圧されて、径方向外側ほど軸方向においてバルブディスク154から離れるようにテーパ状に変形する。これにより、開閉ディスク152は、その弾性力でサラバネ153の基板部161に面接触する。その結果、開閉ディスク152は、サラバネ153の複数の通路孔163の全体を覆って複数の通路孔163を閉塞させる。
【0069】
このように組み立てられてアッセンブリ化されたボデーバルブ30が、
図2に示すように内筒15の軸方向の一端に小径部32を嵌合させた状態で外筒16の底部21に載置される。その結果、ボデーバルブ30は、シリンダ17に連通される状態となる。
【0070】
ボデーバルブ30は、バルブベース25の中間シート87と外側シート86との間と、複数の外側通路孔91の内側とが、リザーバ室18と第2室49とを連通可能な第1通路211となっている。また、ボデーバルブ30は、バルブディスク110,111とディスク112とバネディスク113とが、第1通路211を開閉する第1減衰バルブ212となっている。第1通路211には、
図1に示すピストン45の一方向である伸び方向の移動によって作動流体である油液Lの流れが生じる。
図2に示す第1減衰バルブ212は、第1通路211の上流側のリザーバ室18から下流側の第2室49への油液Lの流れに抵抗力を与える。第1減衰バルブ212およびオリフィス123が、第1通路211に設けられて、第1通路211内を流れる油液Lの流れを抑制して減衰力を発生させる伸び側の第1減衰力発生機構215を構成している。
【0071】
ボデーバルブ30は、第1減衰バルブ212に設けられたオリフィス128と、バルブベース25のベース本体部82、内側シート83および中間シート87の間と、複数の内側通路孔92の内側とが、第2通路221となっている。第2通路221は、
図3に示すバルブベース25のベース本体部82、内側シート84、外側シート88および複数の突出部89と、ディスク151と、開閉ディスク152と、サラバネ153と、バルブディスク154とで囲まれた可変室220を含んでいる。第2通路221は、
図2に示す第2室49とリザーバ室18とを連通可能である。
【0072】
ボデーバルブ30は、
図3に示すバルブディスク154~157が、外側シート88に対して離間および当接することにより第2通路221を開閉する第2減衰ディスクバルブ222となっている。よって、第2減衰ディスクバルブ222はボデーバルブ30に設けられている。第2通路221には、
図1に示すピストン45の他方向である縮み方向の移動によって作動流体である油液Lの流れが生じる。
図2に示す第2減衰ディスクバルブ222は、第2通路221の上流側の第2室49から下流側のリザーバ室18への油液Lの流れに抵抗力を与える。
【0073】
ボデーバルブ30は、
図3に示す第2減衰ディスクバルブ222のバルブディスク154の切欠171内が第3通路231となっている。第3通路231は、可変室220とリザーバ室18とを常時連通するオリフィスである。第3通路231は、第2通路221に設けられている。第3通路231によって、第2通路221は、リザーバ室18と
図2に示す第2室49とを常時連通する。言い換えれば、第3通路231が、
図1に示すピストン45の伸び方向の移動時の上流側のリザーバ室18と下流側の第2室49とを常時連通すると共に、ピストン45の縮み方向の移動時の上流側の第2室49と下流側のリザーバ室18とを常時連通する。
図3に示す第2減衰ディスクバルブ222とオリフィスである第3通路231とが、第2通路221に設けられて、第2通路221内を流れる油液Lの流れを抑制して減衰力を発生させる縮み側の第2減衰力発生機構225を構成している。
【0074】
ボデーバルブ30は、第2減衰ディスクバルブ222のバルブディスク156の切欠191内および通路孔192内と、バルブディスク155の通路孔181内と、バルブディスク154の通路孔172内とが、
図1に示すピストン45の伸び方向の移動時の上流側のリザーバ室18と常時連通する第4通路241(連通路)となっている。言い換えれば、第2減衰ディスクバルブ222は、第4通路241を有している。なお、第4通路241は、ピン部材101に一部を設けても良い。
【0075】
第4通路241は、バルブディスク156の切欠191内がオリフィス242となっている。第4通路241は、バルブディスク156の通路孔192内と、バルブディスク155の通路孔181内と、バルブディスク154の通路孔172内とが、中間室243となっている。
【0076】
第3通路231および第4通路241は、第2減衰ディスクバルブ222に設けられている。第3通路231と、第4通路241の一部とが、第2減衰ディスクバルブ222のうち、外側シート88に着座するバルブディスク154に形成されている。
【0077】
ボデーバルブ30は、バルブベース25のベース本体部82、内側シート84、外側シート88および複数の突出部89と、ディスク151と、開閉ディスク152と、サラバネ153と、バルブディスク154とが、可変室220を含む蓄圧機構251を構成している。
【0078】
蓄圧機構251は、開閉ディスク152と、サラバネ153と、バルブディスク154とで囲まれた部分が、可変室252となっている。言い換えれば、蓄圧機構251は、可変室252を有している。可変室252は、第2通路221の可変室220に対してサラバネ153と開閉ディスク152とによって区画されている。サラバネ153と開閉ディスク152とが可変室252と可変室220とを区画する区画部材255を構成している。可変室252は第4通路241と連通する。
【0079】
区画部材255は、
図1に示すピストン45の伸び方向の移動時の上流側のリザーバ室18または下流側の第2室49の圧力変化に応じて可動する。
図3に示す区画部材255は、
図1に示すピストン45の縮み方向の移動時の上流側の第2室49または下流側のリザーバ室18の圧力変化に応じて可動する。
図3に示す区画部材255は、サラバネ153で構成されている。区画部材255は、
図1に示すピストン45の伸び行程では
図3に示すバルブディスク154との間で形成される可変室252を大とし且つ可変室220を小とする一方、
図1に示すピストン45の縮み行程では、
図3に示す可変室220を大とし且つ可変室252を小とする。
【0080】
サラバネ153は、可変室252を大とする方向に変形する際に、所定量変形すると、角部164でバルブベース25の突出部89に当接してそれ以上の変形が抑制される。サラバネ153は、可変室220を大とする方向に変形する際に、所定量変形すると、バルブディスク154でそれ以上の変形が抑制される。サラバネ153は、外周テーパ板部162がバルブディスク154に全周にわたって常時当接し、これにより可変室252と可変室220との間をシールする。ここで、バルブベース25の周方向に断続的に突出部89が形成されていることから、サラバネ153が角部164で突出部89に当接しても第2通路221を閉塞しないようになっている。
【0081】
区画部材255は、
図1に示すピストン45の伸び方向の移動時に上流側の
図3に示す可変室252と下流側の可変室220との差圧が所定値に達すると、サラバネ153から開閉ディスク152が離れてサラバネ153の通路孔163を開いて可変室252を可変室220つまり
図2に示す第2室49に連通させる。
図3に示すサラバネ153の通路孔163と、開閉ディスク152とが、
図1に示すピストン45の伸び方向の移動時の上流側の
図3に示す可変室252と下流側の可変室220との差圧が所定値に達した後、可変室252内をリリーフするリリーフ機構258を構成している。言い換えれば、区画部材255がリリーフ機構258を備えている。
【0082】
蓄圧機構251は、第4通路241と連通する可変室252を有する。可変室252は、
図1に示すピストン45の伸び方向の移動時の上流側のリザーバ室18または下流側の第2室49の圧力変化に応じて可動する
図3に示す区画部材255によって第2通路221の可変室220と区画されている。
【0083】
可変室220,252は、第2減衰ディスクバルブ222によって形成されている。可変室220,252は、第2減衰ディスクバルブ222に、第2減衰ディスクバルブ222の軸方向に重ねて配置されている。可変室220,252を含む蓄圧機構251は、第2減衰ディスクバルブ222に、第2減衰ディスクバルブ222の軸方向に重ねて配置されている。
【0084】
以上のボデーバルブ30の油圧回路図は
図4に示すようになる。
ボデーバルブ30は、リザーバ室18と第2室49とを連通させる伸び側の第1通路211に第1減衰バルブ212およびオリフィス123を含む伸び側の第1減衰力発生機構215が設けられている。また、ボデーバルブ30は、第2室49とリザーバ室18とを連通させる第2通路221に、オリフィス128と、第2減衰ディスクバルブ222および第3通路231を含む縮み側の第2減衰力発生機構225とが設けられている。また、ボデーバルブ30は、第2通路221のオリフィス128と、第2減衰力発生機構225との間に蓄圧機構251の可変室220が設けられている。また、ボデーバルブ30は、蓄圧機構251の可変室252が、第4通路241の中間室243およびオリフィス242を介してリザーバ室18に連通している。また、ボデーバルブ30は、蓄圧機構251の可変室252と可変室220との間に、可変室220から可変室252への油液Lの流れを規制すると共に、可変室252から可変室220への油液Lの流れを許容するリリーフ機構258が設けられている。
【0085】
次に、ボデーバルブ30の主な作動について説明する。
【0086】
ピストンロッド50が伸び側に移動する伸び行程において、伸び側の第1減衰力発生機構215のみが作用する場合には、ピストン45の移動速度(以下、ピストン速度と称す)が所定値より遅い低速域では、リザーバ室18からの油液Lは、主に伸び側の第1通路211のオリフィス123を介して第2室49に流れる。このため、オリフィス特性(減衰力がピストン速度の2乗にほぼ比例する)の減衰力が発生することになる。ピストン速度が低速域でのピストン速度に対する減衰力の特性は、ピストン速度の上昇に対して比較的減衰力の上昇率が高くなる。
【0087】
また、伸び行程において、ピストン速度が所定値以上の高速域では、リザーバ室18からの油液Lは、伸び側の第1通路211の第1減衰バルブ212を開いて第2室49に流れる。このため、バルブ特性(減衰力がピストン速度にほぼ比例する)の減衰力が発生する。よって、ピストン速度が高速域でのピストン速度に対する減衰力の特性は、ピストン速度の上昇に対する減衰力の上昇率が上記した低速域に比べてやや下がることになる。
【0088】
ピストンロッド50が縮み側に移動する縮み行程において、縮み側の第2減衰力発生機構225のみが作用する場合には、ピストン速度が所定値より遅い低速域では、第2室49からの油液Lは、主に第2通路221のオリフィスである第3通路231を介してリザーバ室18に流れる。このため、オリフィス特性(減衰力がピストン速度の2乗にほぼ比例する)の減衰力が発生する。よって、ピストン速度が低速域でのピストン速度に対する減衰力の特性は、ピストン速度の上昇に対して比較的減衰力の上昇率が高くなる。
【0089】
また、縮み行程において、ピストン速度が所定値以上の高速域では、第2室49からの油液Lは、第2通路221の第2減衰ディスクバルブ222を開いてリザーバ室18に流れる。このため、バルブ特性(減衰力がピストン速度にほぼ比例する)の減衰力が発生する。よって、ピストン速度が高速域でのピストン速度に対する減衰力の特性は、ピストン速度の上昇に対する減衰力の上昇率が上記した低速域に比べてやや下がることになる。
【0090】
以上が、第1減衰力発生機構215および第2減衰力発生機構225のみが作用する場合であるが、第1実施形態では、蓄圧機構251が、上記の伸び行程および縮み行程において、ピストン速度が同じ場合でも、ピストン周波数に応じて減衰力を可変とする。
【0091】
すなわち、伸び行程では、第2室49の圧力がリザーバ室18の圧力よりも低くなって、リザーバ室18の油液Lが、第1通路211に導入されて第1減衰力発生機構215を介して第2室49に流れる。これに加えて、リザーバ室18の油液Lが第4通路241から蓄圧機構251の可変室252に導入され、区画部材255を変形させて可変室252を拡大させる。その際に、縮小される可変室220の油液Lは第2通路221を介して第2室49に排出される。
【0092】
ピストン速度が所定値よりも低い低速時であって、ピストン周波数が所定値よりも低い低周波時の伸び行程では、ピストン45のストロークが大きいことから、リザーバ室18から第4通路241を介して可変室252に油液Lが導入される初期に、区画部材255が大きく撓んで、サラバネ153が角部164でバルブベース25の突出部89に当接して、それ以上の変形が抑制される。これにより、可変室252は、体積の増大が抑制される状態になり、可変室252が、導入される油液Lの増加分を吸収できなくなる。すると、リザーバ室18の油液Lが第1減衰バルブ212を開方向に押す力が高くなる。このため、第1減衰バルブ212が開き、第1通路211を介して油液Lを第2室49に流す。よって、ピストン速度が所定値よりも低い低速時であって、ピストン周波数が所定値よりも低い低周波時の伸び行程では、蓄圧機構251がない場合と同様の減衰力特性となる。
【0093】
他方、ピストン速度が所定値よりも低い低速時であっても、ピストン周波数が所定値以上の高周波時の伸び行程では、ピストン45のストロークが小さいことから、リザーバ室18から第4通路241を介して可変室252に導入される油液Lの体積が小さい。このため、区画部材255は撓み量も小さく、バルブベース25の突出部89に当接しないか、当接しても変形可能である。このため、リザーバ室18から第4通路241を介して可変室252に導入される油液Lの増加分のほとんどを区画部材255が撓むことで吸収する。すると、リザーバ室18の油液Lが第1減衰バルブ212を開方向に押す力が、ピストン周波数が所定値よりも低い低周波時よりも抑えられ、低周波時よりも減衰力が低くソフトになる。
【0094】
よって、伸び行程において、ピストン速度が所定値よりも低い低速時において、ピストン周波数が所定値以上の高周波時の減衰力特性は、ピストン周波数が所定値よりも低い低周波時の減衰力特性と比べて減衰力が下がりソフトな状態になる。これにより、異音が発生し易いピストン速度が所定値よりも低い低速時であってピストン周波数が所定値以上の高周波時の伸び行程において第1減衰バルブ212の開弁時の油圧の急激な変化が抑制され、ピストンロッド50の加速度(以下、ロッド加速度と称す)の低減が可能になり、異音の発生を抑制できる。
【0095】
また、ピストン速度が所定値以上の高速時には、区画部材255が大きく撓み、サラバネ153が角部164でバルブベース25の突出部89に当接して、それ以上の変形が抑制された状態で、開閉ディスク152が変形してサラバネ153から離れる。言い換えれば、リリーフ機構258が開く。これによって、可変室252の油液Lを可変室220を含む第2通路221を介して第2室49に流すことになる。このようなリリーフ機能によって、サラバネ153の圧力負荷を緩和できて耐久性を確保できる。それと共に、伸び行程時の第2室49への油液Lの移動量を増やすことができるため、第2室49の過度な減圧を抑制でき、キャビテーションを抑制できる。
【0096】
縮み行程では、第2室49の圧力がリザーバ室18の圧力よりも高くなって、第2室49の油液Lが、第2通路221に導入されて、第2減衰力発生機構225を介してリザーバ室18に流れる。これに加えて、第2室49の油液Lが蓄圧機構251の可変室220に導入され、区画部材255を変形させて可変室220を拡大させる。その際に、縮小する可変室252の油液Lは第4通路241を介してリザーバ室18に排出される。
【0097】
ピストン周波数が所定値よりも低い縮み行程では、ピストン45のストロークが大きいことから、第2室49から可変室220に油液Lが導入される初期に、区画部材255が大きく撓んでバルブディスク154で変形が抑制される。これにより、可変室220の体積は変化しない状態になり、可変室220が導入される油液Lの増加分を吸収できなくなる。すると、可変室220の圧力が上昇して高圧になり、第2減衰ディスクバルブ222を開方向に押す力が高くなる。このため、第2減衰ディスクバルブ222が開き、外側シート88との隙間を介して油液Lをリザーバ室18に流す。よって、ピストン周波数が所定値よりも低い低周波時の縮み行程では、蓄圧機構251がない場合と同様の減衰力特性となる。
【0098】
他方、ピストン周波数が所定値以上の縮み行程では、ピストン45のストロークが小さいことから、第2室49から可変室220に導入される油液Lの体積が小さいため、区画部材255は撓み量も小さく変形し易い。このため、第2室49から可変室220に導入される油液Lの増加分のほとんどを区画部材255が撓むことで吸収する。そのため、可変室220は低圧であり、第2減衰ディスクバルブ222の開弁圧が上がらない。このため、ピストン周波数が高周波のときは、ピストン周波数が低周波のときよりも減衰力が低くソフトになる。
【0099】
よって、縮み行程において、ピストン周波数が所定値以上の高周波数のときの減衰力特性は、ピストン周波数が所定値よりも低い低周波数のときの減衰力特性と比べて減衰力が下がりソフトな状態になる。これにより、異音が発生し易いピストン周波数が所定値以上の高周波数のときの縮み行程において第2減衰ディスクバルブ222の開弁時の油圧の急激な変化が抑制され、ロッド加速度の低減が可能になり、異音の発生を抑制できる。
【0100】
図5の破線は、蓄圧機構251を有するボデーバルブ30を備えた第1実施形態の緩衝器11のロッド加速度のシミュレーション結果を示している。
図5の実線は、ボデーバルブ30に対して蓄圧機構251および第4通路241がない点が異なる従来構造の比較例のボデーバルブを備えた緩衝器のロッド加速度のシミュレーション結果を示している。
図5の二点鎖線は減衰力のシミュレーション結果を示している。
図5から、第1実施形態の緩衝器11は、上記比較例の緩衝器と比べて、第1減衰バルブ212の開弁に起因するロッド加速度のピーク値が下がることがわかる。
【0101】
図6および
図7の破線は、第1実施形態の緩衝器11の単体でのピストン速度が0.6m/sかつ低周波入力時の減衰力のシミュレーション結果を示している。
図6および
図7の実線は、上記比較例の緩衝器の単体でのピストン速度が0.6m/sかつ低周波入力時の減衰力のシミュレーション結果を示している。
【0102】
図6および
図7から、第1実施形態の緩衝器11は、ピストン周波数が低周波のときは、ほぼ比較例の緩衝器の減衰力波形を維持しており、同等の性能に維持できていることがわかる。
【0103】
図8および
図9の破線は、第1実施形態の緩衝器11の単体でのピストン速度が0.6m/sかつ高周波入力時の減衰力のシミュレーション結果を示している。
図8および
図9の実線は、上記比較例の緩衝器の単体でのピストン速度が0.6m/sかつ高周波入力時の減衰力のシミュレーション結果を示している。
【0104】
図8および
図9から、第1実施形態の緩衝器11は、ピストン周波数が高周波のときは、ボデーバルブ30の第1減衰バルブ212の伸び側の減衰力が、比較例の緩衝器に対してほぼ変化がないことがわかる。これは、ボデーバルブ30の第1減衰バルブ212が、ピストン45の伸び側のディスクバルブ58に比べて差圧が低いためである。また、第1実施形態の緩衝器11は、ピストン周波数が高周波のときは、減衰力の縮み側への寄与が高いボデーバルブ30の第2減衰ディスクバルブ222は、
図8の一点鎖線X1で囲んだ範囲および
図9の一点鎖線X2で囲んだ範囲を示すように、開弁後、減衰力がやや低めになっているが、ピーク値は上記比較例の緩衝器と同等を維持している。
【0105】
図10の破線は、第1実施形態の緩衝器11のピストン速度が0.3m/sのときの減衰力の周波数特性を示している。
図10の実線は、上記比較例の緩衝器のピストン速度が0.3m/sのときの減衰力の周波数特性を示している。
図10から、周波数依存性は、蓄圧機構251のある第1実施形態の緩衝器11では、ピストン周波数が高周波のときの縮み側の減衰力が若干下がるものの、蓄圧機構のない上記比較例の緩衝器とほぼ同性能を維持できていることがわかる。第1実施形態の緩衝器11は、蓄圧機構のない従来の緩衝器の基本性能をしっかり維持しつつ、静粛性(打音および振動)、ハーシュの改善が可能である。緩衝器11は、ピストン周波数の高周波入力の低減により、乗心地の滑らかさも良化する効果がある。
【0106】
上記した特許文献1,2には、ボデーバルブを有する緩衝器が開示されている。ところで、緩衝器において異音の発生を抑制する要望がある。
【0107】
第1実施形態の緩衝器11は、そのボデーバルブ30が、ピストン45の一方向の移動によって油液Lの流れが生じる第1通路211と、第1通路211の上流側のリザーバ室18から下流側の第2室49への油液Lの流れに抵抗力を与える第1減衰バルブ212と、ピストン45の他方向の移動によって油液Lの流れが生じる第2通路221と、第2通路221の上流側の第2室49から下流側のリザーバ室18への油液Lの流れに抵抗力を与える第2減衰ディスクバルブ222と、を有している。そして、ボデーバルブ30は、第2減衰ディスクバルブ222が、上流側のリザーバ室18と下流側の第2室49とを常時連通する第3通路231と、上流側のリザーバ室18と連通する第4通路241と、を有している。よって、緩衝器11は、そのボデーバルブ30が、異音が顕著に表れるピストン周波数が高周波の伸び行程における第1減衰バルブ212の開弁時に、リザーバ室18から可変室252に油液Lを導入することができる。したがって、緩衝器11は、そのボデーバルブ30が、異音が顕著に表れるピストン周波数が高周波の伸び行程において、第1減衰バルブ212の開弁時の油圧の急変を抑制でき、ロッド加速度を低減できるため、異音の発生を抑制することができる。その結果、異音の抑制と、ピストン速度極微低速からの減衰力の確保との両立が図れる。
【0108】
第1実施形態の緩衝器11は、ボデーバルブ30が、第4通路241と連通し、上流側のリザーバ室18または下流側の第2室49の圧力変化に応じて可動する区画部材255によって区画された可変室252が、第2減衰ディスクバルブ222に重ねて配置されている。言い換えれば、可変室252を含む蓄圧機構251が、第2減衰ディスクバルブ222に重ねて配置されている。このため、緩衝器11は、構成のコンパクト化が図れる。
【0109】
第1実施形態の緩衝器11は、第3通路231および第4通路241が、第2減衰ディスクバルブ222のうち、外側シート88に着座するバルブディスク154に形成されている。よって、緩衝器11は、さらなる構成のコンパクト化が図れる。
【0110】
第1実施形態の緩衝器11は、区画部材255が、ピストン45の伸び行程ではバルブディスク154との間で形成される可変室252を大とし、縮み行程では可変室252を小とするサラバネ153で構成されているため、コンパクト化が図れると共にコスト増を抑制することができる。
【0111】
第1実施形態の緩衝器11は、区画部材255が、ピストン45の伸び行程での上流側の可変室252と下流側の可変室220との差圧が所定値に達した後、可変室252内をリリーフするリリーフ機構258を備えるため、サラバネ153の過剰な変形を抑制でき、サラバネ153の耐久性を向上させることができる。また、緩衝器11は、伸び行程時にリリーフ機構258でリザーバ室18から第2室49への油液Lの移動量を増やすことができるため、ピストン速度の高速域での第1減衰バルブ212による流量不足を補うことができる。したがって、緩衝器11は、第2室49の過度な減圧を抑制でき、キャビテーションを抑制できる。また、緩衝器11は、区画部材255にリリーフ機構258が設けられるため、さらなる構成のコンパクト化が図れる。
【0112】
第1実施形態の緩衝器11は、第2減衰ディスクバルブ222が、ボデーバルブ30に設けられるため、ボデーバルブ30の作動に起因する異音を効果的に抑制することができる。また、蓄圧機構251をボデーバルブ30に設けてもコンパクトに構成できるため、ピストンロッド50のストローク長さを犠牲にすることがない。
【0113】
第1実施形態の緩衝器11は、ボデーバルブ30の外側シート88を有するバルブベース25と、外側シート88を開閉する第2減衰ディスクバルブ222との間に蓄圧機構251を設けているため、ボデーバルブ30の軸方向の長さの増大をさらに抑制することができる。
【0114】
[第2実施形態]
次に、第2実施形態を主に
図11に基づいて第1実施形態との相違部分を中心に説明する。なお、第1実施形態と共通する部位については、同一称呼、同一の符号で表す。
【0115】
図11に示すように、第2実施形態の緩衝器11Aにおいては、ボデーバルブ30とは一部異なるボデーバルブ30Aをボデーバルブ30にかえて有している。
【0116】
ボデーバルブ30Aは、蓄圧機構251とは一部異なる蓄圧機構251Aを蓄圧機構251にかえて有している。蓄圧機構251Aは、区画部材255とは一部異なる区画部材255Aを区画部材255にかえて有している。区画部材255Aは、サラバネ153とは一部異なるサラバネ153Aをサラバネ153にかえて有している。
【0117】
サラバネ153Aも、平板状の一枚の板材からプレス成形によって形成されている。サラバネ153Aは、サラバネ153と同様の基板部161および外周テーパ板部162に加えて、最外周板部271を有している。最外周板部271は、外周テーパ板部162の外周縁部から径方向外側に広がっている。最外周板部271は、円環状であり、外周テーパ板部162の全周にわたって形成されている。
【0118】
サラバネ153Aは、外周テーパ板部162と最外周板部271と間に曲部272を有している。曲部272は、サラバネ153Aの全周にわたって設けられており、円形状である。
【0119】
ボデーバルブ30Aに組み込まれた状態で、サラバネ153Aは、基板部161の内周側の部分が平板状となり、基板部161の外周側の部分が、径方向外側ほど軸方向においてバルブディスク154から離れるようにテーパ状に変形する。また、この状態で、サラバネ153Aは、外周テーパ板部162が径方向外側ほど軸方向においてバルブディスク154に近づくようにテーパ状をなしてバルブディスク154側に延出する。また、この状態で、サラバネ153Aは、曲部272が、バルブディスク154の径方向における切欠171と通路孔172との間の円環状の部分に全周にわたって当接する。また、この状態で、サラバネ153Aは、最外周板部271が径方向外側ほど軸方向においてバルブディスク154から離れるようにテーパ状をなして延出する。
【0120】
ボデーバルブ30Aは、第2通路221とは一部異なる第2通路221Aを第2通路221にかえて有している。第2通路221Aは、可変室220とは一部異なる可変室220Aを可変室220にかえて有している。可変室220Aは、バルブベース25のベース本体部82、内側シート84、外側シート88および複数の突出部89と、ディスク151と、区画部材255Aと、バルブディスク154とで囲まれて形成されている。
【0121】
ボデーバルブ30Aの油圧回路図は、ボデーバルブ30と同様になる。
【0122】
第2実施形態の緩衝器11Aは、そのボデーバルブ30Aがボデーバルブ30と同様に作動する。
【0123】
第2実施形態の緩衝器11Aおよびそのボデーバルブ30Aは、第1実施形態と同様の効果を奏する。加えて、緩衝器11Aは、そのボデーバルブ30Aのサラバネ153Aが曲部272の曲げ加工で形成された湾曲面において、バルブディスク154の径方向における切欠171と通路孔172との間の円環状の部分に全周にわたって常時当接する。このように、サラバネ153Aが曲部272の湾曲面においてバルブディスク154に当接するため、外周テーパ板部162の先端のエッジ部でバルブディスク154に当接するサラバネ153よりも、バルブディスク154との当接部分のシール性を高めることができる。
【0124】
[第3実施形態]
次に、第3実施形態を主に
図12~
図14に基づいて第1実施形態との相違部分を中心に説明する。なお、第1実施形態と共通する部位については、同一称呼、同一の符号で表す。
【0125】
図12に示すように、第3実施形態の緩衝器11Bにおいては、ボデーバルブ30とは一部異なるボデーバルブ30Bをボデーバルブ30にかえて有している。ボデーバルブ30Bは、蓄圧機構251とは一部異なる蓄圧機構251Bを蓄圧機構251にかえて有している。蓄圧機構251Bは、区画部材255とは異なる区画部材255Bを区画部材255にかえて有している。蓄圧機構251Bは、ディスク151と同様のディスク280を有している。
【0126】
区画部材255Bは、内側にピン部材101の軸部103を嵌合可能である。区画部材255Bは、基板ディスク281と、外周ディスク282とを有している。
基板ディスク281および外周ディスク282は、いずれも金属製である。
区画部材255Bは、ボデーバルブ30Bに組み込まれる前の自然状態では、
図13および
図14に示すように、基板ディスク281が、一定厚さの有孔円形平板状をなす。また、区画部材255Bは、ボデーバルブ30に組み込まれる前の自然状態では、外周ディスク282が、一定厚さの有孔円形平板状をなす。区画部材255Bは、ボデーバルブ30に組み込まれる前の自然状態では、外周ディスク282の外径が基板ディスク281の外径と同径であって、外周ディスク282の内径が基板ディスク281の内径よりも大径となっている。外周ディスク282は、基板ディスク281と同軸状をなして、基板ディスク281の軸方向の一側に溶接により固定されている。
【0127】
ボデーバルブ30Bを組み立てる際には、
図12に示すピン部材101に、ディスク159、ディスク158、複数枚のバルブディスク157、バルブディスク156、バルブディスク155、バルブディスク154、ディスク280、区画部材255B、ディスク151、バルブベース25が、それぞれの内側にピン部材101の軸部103を嵌合させつつ、この順番で頭部102に積み重ねられる。その際に、区画部材255Bは、外周ディスク282がバルブディスク154側に位置する向きとされる。ここで、外周ディスク282の厚さは、ディスク280の厚さよりも厚くなっている。
【0128】
区画部材255Bは、基板ディスク281の内周側がピン部材101の頭部102とナット201との締め付けによってディスク151,280間にクランプされる。このようにボデーバルブ30Bに組み込まれた状態で、区画部材255Bは、基板ディスク281の内周側の部分が平板状となり、基板ディスク281の外周側の部分が、径方向外側ほど軸方向においてバルブディスク154から離れるようにテーパ状に変形する。また、この状態で、区画部材255Bは、外周ディスク282がバルブディスク154に当接して、径方向外側ほど軸方向においてバルブディスク154から離れるようにテーパ状をなす。その際に、外周ディスク282は、バルブディスク154の径方向における切欠171と通路孔172との間の円環状の部分に全周にわたって当接する。よって、区画部材255Bは、バルブディスク154の通路孔172を覆うように設けられる。
【0129】
ボデーバルブ30Bは、第2通路221とは一部異なる第2通路221Bを第2通路221にかえて有している。第2通路221Bは、可変室220とは一部異なる可変室220Bを可変室220にかえて有している。可変室220Bは、バルブベース25のベース本体部82、内側シート84、外側シート88および複数の突出部89と、ディスク151と、区画部材255Bと、バルブディスク154とで囲まれて形成されている。
【0130】
ボデーバルブ30Bは、バルブベース25のベース本体部82、内側シート84、外側シート88および複数の突出部89と、区画部材255Bと、バルブディスク154と、ディスク151,280とが、可変室220Bを含む蓄圧機構251Bを構成している。蓄圧機構251Bは、区画部材255Bと、ディスク280と、バルブディスク154とで囲まれた部分が、可変室252Bとなっている。可変室252Bは、第2通路221Bの可変室220Bに対して区画部材255Bによって区画されている。可変室252Bは、第4通路241に連通している。区画部材255Bは、外周ディスク282がバルブディスク154に全周にわたって当接した状態では可変室252Bと可変室220Bとの間をシールする。
【0131】
区画部材255Bは、ピストン45(
図1参照)の伸び方向の移動時の上流側のリザーバ室18または下流側の第2室49(
図2参照)の圧力変化に応じて可動する。区画部材255Bは、ピストン45(
図1参照)の縮み方向の移動時の上流側の第2室49(
図2参照)または下流側のリザーバ室18の圧力変化に応じて可動する。区画部材255Bは、ピストン45(
図1参照)の伸び行程では可変室252Bを大とし且つ可変室220Bを小とする一方、ピストン45(
図1参照)の縮み行程では、可変室220Bを大とし且つ可変室252Bを小とする。
【0132】
可変室220B,252Bは、第2減衰ディスクバルブ222Bによって形成されている。可変室220B,252Bは、第2減衰ディスクバルブ222Bに、第2減衰ディスクバルブ222Bの軸方向に重ねて配置されている。可変室220B,252Bを含む蓄圧機構251Bは、第2減衰ディスクバルブ222Bに、第2減衰ディスクバルブ222Bの軸方向に重ねて配置されている。
【0133】
区画部材255Bは、ピストン速度が低速域の伸び行程においては、外周ディスク282がバルブディスク154に全周にわたって当接したまま、可変室252Bを大とする。また、区画部材255Bは、縮み行程においては、可変室220Bを大とする。ここで、区画部材255Bは、ピストン速度が高速域の伸び行程では、バルブディスク154から外周ディスク282が離れて可変室252Bを可変室220Bに連通させる。その際に、区画部材255Bは、基板ディスク281でバルブベース25の突出部89に当接してそれ以上の変形が抑制される。
【0134】
第3実施形態の緩衝器11Bおよびそのボデーバルブ30Bは、第1実施形態とほぼ同様の効果を奏する。
【0135】
[第4実施形態]
次に、第4実施形態を主に
図15~
図18に基づいて第1実施形態との相違部分を中心に説明する。なお、第1実施形態と共通する部位については、同一称呼、同一の符号で表す。
【0136】
図15に示すように、第4実施形態の緩衝器11Cにおいては、ボデーバルブ30とは一部異なるボデーバルブ30Cをボデーバルブ30にかえて有している。ボデーバルブ30Cは、バルブベース25とは一部異なるバルブベース25Cをバルブベース25にかえて有している。
【0137】
バルブベース25Cは、ベース部71とは一部異なるベース部71Cをベース部71にかえて有している。ベース部71Cは、突出部89が設けられていない点がベース部71とは異なっている。
【0138】
ボデーバルブ30Cは、ベース部71Cの軸方向の脚部72側に、軸方向のベース部71C側から順に、一枚の上記と同様のディスク151と、一枚の上記と同様のバルブディスク154と、一枚の上記と同様のバルブディスク155と、一枚のディスク291と、一枚の区画部材255Cと、一枚のディスク292と、一枚のバルブディスク156Cと、複数枚、具体的には3枚の上記と同様のバルブディスク157と、一枚の上記と同様のディスク158と、一枚の上記と同様のディスク159と、が設けられている。
【0139】
バルブディスク156Cおよびディスク291,292は、いずれも金属製である。バルブディスク156Cおよびディスク291,292は、いずれも内側にピン部材101の軸部103を嵌合可能な一定厚さの有孔円形平板状である。区画部材255Cは、内側にピン部材101の軸部103を嵌合可能な円環状である。
【0140】
ディスク291,292は、同形状の共通部品である。ディスク291,292は、外径が、バルブディスク155の通路孔181よりも小径である。
【0141】
区画部材255Cは、
図16および
図17にも示すように、基板ディスク301と、一対の同形状の外周ディスク302,303とを有している。
基板ディスク301および一対の外周ディスク302,303は、いずれも金属製である。
【0142】
区画部材255Cは、基板ディスク301が、
図15に示すように、内側にピン部材101の軸部103を嵌合可能な一定厚さの有孔円形平板状をなす。基板ディスク301は、撓み可能である。また、区画部材255Cは、一対の外周ディスク302,303が、一定厚さの有孔円形平板状をなす。区画部材255Cの一対の外周ディスク302,303は、外径が基板ディスク301の外径と同径であって、内径が基板ディスク301の内径よりも大径となっている。
【0143】
外周ディスク302は、
図17に示すように、基板ディスク301と同軸状をなして、基板ディスク301の軸方向の一側に溶接により固定されている。
図16に示す外周ディスク303は、基板ディスク301と同軸状をなして、基板ディスク301の軸方向の、外周ディスク302とは反対の他側に溶接により固定されている。
図15に示すように、区画部材255Cの外径、すなわち基板ディスク301および一対の外周ディスク302,303の外径は、バルブディスク154,155,157の外径と同等である。外周ディスク302の厚さは、ディスク291の厚さと同等であり、外周ディスク303の厚さは、ディスク292の厚さと同等である。
【0144】
バルブディスク156Cは、バルブディスク154,155,157の外径と同等の外径となっている。バルブディスク156Cは、撓み可能である。バルブディスク156Cには、外周側に切欠191Cが形成されている。
【0145】
ボデーバルブ30Cを組み立てる際には、ピン部材101に、ディスク159、ディスク158、複数枚のバルブディスク157、バルブディスク156C、ディスク292、区画部材255C、ディスク291、バルブディスク155、バルブディスク154、ディスク151、バルブベース25Cが、それぞれの内側にピン部材101の軸部103を嵌合させつつ、この順番で頭部102に積み重ねられる。
【0146】
ディスク159、ディスク158、複数枚のバルブディスク157、バルブディスク156C、ディスク292、区画部材255C、ディスク291、バルブディスク155、バルブディスク154およびディスク151は、それぞれの少なくとも内周側が、ピン部材101の頭部102とバルブベース25Cの内側シート84とにクランプされる。区画部材255Cは、基板ディスク301の内周側が、ディスク291,292にクランプされる。
【0147】
ボデーバルブ30Cは、第2通路221とは一部異なる第2通路221Cを第2通路221にかえて有している。第2通路221Cは、可変室220とは一部異なる可変室220Cを可変室220にかえて有している。可変室220Cは、バルブベース25Cのベース本体部82、内側シート84および外側シート88と、ディスク151と、バルブディスク154とで囲まれた部分と、バルブディスク154,155の通路孔172,181と、区画部材255C、バルブディスク155およびディスク291で囲まれた部分とで、形成されている。
【0148】
ボデーバルブ30Cは、バルブディスク154,155,156C,157および区画部材255Cが、外側シート88に対して離間および当接することにより第2通路221Cを開閉する第2減衰ディスクバルブ222Cとなっている。第2通路221Cには、ピストン45(
図1参照)の縮み方向への移動によって作動流体である油液Lの流れが生じる。第2減衰ディスクバルブ222Cは、第2通路221Cの上流側の第2室49(
図2参照)から下流側のリザーバ室18への油液Lの流れに抵抗力を与える。第2減衰ディスクバルブ222Cとオリフィスである第3通路231とが、第2通路221Cに設けられて、第2通路221C内を流れる油液Lの流れを抑制して減衰力を発生させる縮み側の第2減衰力発生機構225Cを構成している。
【0149】
ボデーバルブ30Cは、バルブディスク156Cの切欠191C内が、ピストン45(
図1参照)の伸び方向の移動時の上流側のリザーバ室18と常時連通する第4通路241C(連通路)となっている。言い換えれば、第2減衰ディスクバルブ222Cは、第4通路241Cを有している。第4通路241Cはオリフィスである。
【0150】
第2通路221Cの可変室220Cの一部および第3通路231が、第2減衰ディスクバルブ222Cのうち、外側シート88に着座するバルブディスク154に形成されている。
【0151】
ボデーバルブ30Cは、バルブベース25Cのベース本体部82、内側シート84および外側シート88と、バルブディスク154,155,156Cと、区画部材255Cと、ディスク151,291,292とが、可変室220Cを含む蓄圧機構251Cを構成している。
【0152】
蓄圧機構251Cは、バルブディスク156Cと、区画部材255Cと、ディスク292とで囲まれた部分が、可変室252Cとなっている。可変室252Cは、第2通路221Cの可変室220Cに対して区画部材255Cによって区画されている。可変室252Cは第4通路241Cと連通する。
【0153】
区画部材255Cは、ピストン45(
図1参照)の伸び方向の移動時の上流側のリザーバ室18または下流側の第2室49(
図2参照)の圧力変化に応じて可動する。区画部材255Cは、ピストン45(
図1参照)の縮み方向の移動時の上流側の第2室49(
図2参照)または下流側のリザーバ室18の圧力変化に応じて可動する。区画部材255Cは、ピストン45(
図1参照)の伸び行程では可変室252Cを大とし且つ可変室220Cを小とする一方、ピストン45(
図1参照)の縮み行程では可変室220Cを大とし且つ可変室252Cを小とする。
【0154】
区画部材255Cは、可変室252Cを大とする方向に変形する際に、所定量変形すると、基板ディスク301がバルブディスク155に当接してそれ以上の変形が抑制される。区画部材255Cは、可変室220Cを大とする方向に変形する際に、所定量変形すると、基板ディスク301がバルブディスク156Cに当接してそれ以上の変形が抑制される。区画部材255Cは、外周ディスク302がバルブディスク155に全周にわたって常時当接する。
【0155】
蓄圧機構251Cは、第4通路241Cと連通する可変室252Cを有する。可変室252Cは、ピストン45(
図1参照)の伸び方向の移動時の上流側のリザーバ室18または下流側の第2室49(
図2参照)の圧力変化に応じて可動する区画部材255Cによって第2通路221Cと区画されている。
【0156】
可変室220C,252Cは、第2減衰ディスクバルブ222Cによって形成されている。可変室252Cは、第2減衰ディスクバルブ222Cの内部に配置されている。可変室220C,252Cは、第2減衰ディスクバルブ222Cに、第2減衰ディスクバルブ222Cの軸方向に重ねて配置されている。可変室220C,252Cを含む蓄圧機構251Cは、第2減衰ディスクバルブ222Cに、第2減衰ディスクバルブ222Cの軸方向に重ねて配置されている。
【0157】
以上のボデーバルブ30Cの油圧回路図は
図18に示すようになる。
ボデーバルブ30Cは、第2室49とリザーバ室18とを連通させる第2通路221Cに、オリフィス128と、第2減衰ディスクバルブ222Cおよび第3通路231を含む縮み側の第2減衰力発生機構225Cとが設けられている。また、ボデーバルブ30Cは、第2通路221Cのオリフィス128と第2減衰力発生機構225Cとの間に可変室220Cが設けられている。また、ボデーバルブ30Cは、蓄圧機構251Cの可変室252Cが、オリフィスである第4通路241Cを介してリザーバ室18に連通している。ボデーバルブ30Cには、リリーフ機構が設けられていない。
【0158】
次に、ボデーバルブ30Cの主な作動について説明する。
【0159】
伸び行程では、第2室49(
図2参照)の圧力が
図15に示すリザーバ室18の圧力よりも低くなって、リザーバ室18の油液Lが、第1通路211に導入されて第1減衰力発生機構215(
図2参照)を介して第2室49(
図2参照)に流れる。これに加えて、リザーバ室18の油液Lが第4通路241Cから蓄圧機構251Cの可変室252Cに導入され、区画部材255Cを変形させて可変室252Cを拡大させる。その際に、縮小される可変室220Cの油液Lは第2通路221Cを介して第2室49(
図2参照)に排出される。
【0160】
ピストン周波数が所定値よりも低い低周波時の伸び行程では、ピストン45(
図1参照)のストロークが大きいことから、リザーバ室18から第4通路241Cを介して可変室252Cに油液Lが導入される初期に、区画部材255Cが大きく撓んで、基板ディスク301がバルブディスク155に当接して、それ以上の変形が抑制される。これにより、可変室252Cは、体積の増大が抑制される状態になり、可変室252Cが、導入される油液Lの増加分を吸収できなくなる。すると、リザーバ室18の油液Lが第1減衰バルブ212(
図2参照)を開方向に押す力が高くなる。このため、第1減衰バルブ212(
図2参照)が開き、第1通路211を介して油液Lを第2室49(
図2参照)に流す。よって、ピストン周波数が所定値よりも低い低周波時の伸び行程では、蓄圧機構251Cがない場合と同様の減衰力特性となる。
【0161】
他方、ピストン周波数が所定値以上の高周波時の伸び行程では、ピストン45(
図1参照)のストロークが小さいことから、リザーバ室18から第4通路241Cを介して可変室252Cに導入される油液Lの体積が小さい。このため、区画部材255Cは撓み量も小さく、バルブディスク155に当接しないか、当接しても変形可能である。このため、リザーバ室18から第4通路241Cを介して可変室252Cに導入される油液Lの増加分のほとんどを区画部材255Cが撓むことで吸収する。すると、リザーバ室18の油液Lが第1減衰バルブ212(
図2参照)を開方向に押す力が、ピストン周波数が所定値よりも低い低周波時よりも抑えられ、低周波時よりも減衰力が低くソフトになる。
【0162】
縮み行程では、第2室49(
図2参照)の圧力がリザーバ室18の圧力よりも高くなって、第2室49(
図2参照)の油液Lが、第2通路221Cに導入されて第2減衰力発生機構225Cを介してリザーバ室18に流れる。これに加えて、第2室49(
図2参照)の油液Lが蓄圧機構251Cの可変室220Cに導入され、区画部材255Cを変形させて可変室220Cを拡大させる。その際に、縮小する可変室252Cの油液Lは第4通路241Cを介してリザーバ室18に排出される。
【0163】
ピストン周波数が所定値よりも低い縮み行程では、ピストン45(
図1参照)のストロークが大きいことから、第2室49(
図2参照)から可変室220Cに油液Lが導入される初期に、区画部材255Cが大きく撓んでバルブディスク156Cに当接して、それ以上の変形が抑制される。これにより、可変室220Cの体積は変化しない状態になり、可変室220Cが導入される油液Lの増加分を吸収できなくなる。すると、可変室220Cの圧力が上昇して高圧になり、第2減衰ディスクバルブ222Cを開方向に押す力が高くなる。このため、第2減衰ディスクバルブ222Cが開き、外側シート88との隙間を介して油液Lをリザーバ室18に流す。よって、ピストン周波数が所定値よりも低い低周波時の縮み行程では、蓄圧機構251Cがない場合と同様の減衰力特性となる。
【0164】
他方、ピストン周波数が所定値以上の縮み行程では、ピストン45(
図1参照)のストロークが小さいことから、第2室49(
図2参照)から可変室220Cに導入される油液Lの体積が小さいため、区画部材255Cは撓み量も小さく変形し易い。このため、第2室49(
図2参照)から可変室220Cに導入される油液Lの増加分のほとんどを区画部材255Cが撓むことで吸収する。そのため、可変室220Cは低圧であり、第2減衰ディスクバルブ222Cの開弁圧が上がらない。このため、縮み行程において、ピストン周波数が高周波のときは、ピストン周波数が低周波のときよりも減衰力が低くソフトになる。
【0165】
第4実施形態の緩衝器11Cおよびそのボデーバルブ30Cは、第1実施形態とほぼ同様の効果を奏する。
【0166】
なお、第4実施形態の緩衝器11Cはリリーフ機構がないが、可変室220C,252C間の差圧で変形する区画部材255Cは、バルブディスク155とバルブディスク156Cとに挟まれており、高速域でも、バルブディスク155あるいはバルブディスク156とで変形が制限され過度な応力上昇が抑制される。
【0167】
[第5実施形態]
次に、第5実施形態を主に
図19および
図20に基づいて第4実施形態との相違部分を中心に説明する。なお、第4実施形態と共通する部位については、同一称呼、同一の符号で表す。
【0168】
図19に示すように、第5実施形態の緩衝器11Dにおいては、ボデーバルブ30Cとは一部異なるボデーバルブ30Dをボデーバルブ30Cにかえて有している。ボデーバルブ30Dは、区画部材255Cにかえて、区画部材255Dを有している。
【0169】
区画部材255Dは、区画部材本体153Dと、開閉ディスク152Dとを有している。区画部材本体153Dおよび開閉ディスク152Dは、いずれも内側にピン部材101の軸部103を嵌合可能である。
【0170】
区画部材本体153Dは、基板ディスク301Dと、一対の同形状の外周ディスク302D,303Dとを有している。
基板ディスク301Dおよび一対の外周ディスク302D,303Dは、いずれも金属製である。
区画部材本体153Dは、ボデーバルブ30Dに組み込まれる前の自然状態では、基板ディスク301Dが、一定厚さの有孔円形平板状をなす。基板ディスク301Dは、撓み可能である。基板ディスク301Dには、径方向の中間位置に、基板ディスク301Dを軸方向に貫通する通路孔163Dが形成されている。基板ディスク301Dには、
図20に示すように、その周方向に等間隔で複数の、具体的には13箇所の通路孔163Dが形成されている。
【0171】
また、区画部材本体153Dは、
図19に示す一対の外周ディスク302D,303Dが、一定厚さの有孔円形平板状をなす。区画部材本体153Dは、一対の外周ディスク302D,303Dの外径が基板ディスク301Dの外径と同径である。一対の外周ディスク302D,303Dの内径が基板ディスク301Dの内径よりも大径となっている。
【0172】
図20に示すように、外周ディスク302Dは、基板ディスク301Dと同軸状をなして、基板ディスク301Dの軸方向の一側に溶接により固定されている。
図19に示す外周ディスク303Dは、基板ディスク301Dと同軸状をなして、基板ディスク301Dの軸方向の外周ディスク302Dとは反対側の他側に溶接により固定されている。区画部材本体153Dの外径、すなわち基板ディスク301Dおよび一対の同形状の外周ディスク302D,303Dの外径は、バルブディスク154,155,156C,157の外径と同等である。基板ディスク301Dには、その径方向における一対の外周ディスク302D,303Dよりも内側に複数の通路孔163Dが形成されている。
【0173】
開閉ディスク152Dは、ボデーバルブ30Dに組み込まれる前の自然状態では、一定厚さの有孔円形平板状である。開閉ディスク152Dは、撓み可能である。開閉ディスク152Dは、区画部材本体153Dの基板ディスク301Dに面接触することで複数の通路孔163Dを閉塞可能となっている。
【0174】
ボデーバルブ30Dは、ディスク291とは厚さが異なるディスク291Dと、ディスク292とは厚さが異なるディスク292Dと、を有している。ディスク291D,292Dは同外径である。外周ディスク302Dの厚さは、ディスク291Dの厚さよりも薄い。外周ディスク303Dの厚さは、ディスク292Dの厚さよりも厚い。
【0175】
ボデーバルブ30Dを組み立てる際には、ピン部材101に、ディスク159、ディスク158、複数枚(具体的には2枚)のバルブディスク157、バルブディスク156C、ディスク292D、区画部材本体153D、開閉ディスク152D、ディスク291D、バルブディスク155、バルブディスク154、ディスク151およびバルブベース25Cが、それぞれの内側にピン部材101の軸部103を嵌合させつつ、この順番で頭部102に積み重ねられる。
【0176】
ディスク159、ディスク158、複数枚のバルブディスク157、バルブディスク156C、ディスク292C、区画部材本体153D、開閉ディスク152D、ディスク291D、バルブディスク155、バルブディスク154およびディスク151は、それぞれの少なくとも内周側が、ピン部材101の頭部102とバルブベース25Dの内側シート84とにクランプされる。区画部材本体153Dは、基板ディスク301Dの内周側がディスク291D,292Dにクランプされる。
【0177】
ボデーバルブ30Dに組み込まれた状態で、区画部材本体153Dの基板ディスク301Dは、その内周側の部分およびその外周側の部分がいずれも平板状となり、これらの間の中間部分が径方向外側ほど軸方向においてバルブディスク155に近づくようにテーパ状に変形する。
【0178】
ボデーバルブ30Dに組み込まれた状態で、開閉ディスク152Dは、その内周側の部分が平板状となり、その外周側の部分が、基板ディスク301Dに倣って径方向外側ほど軸方向においてバルブディスク155に近づくようにテーパ状に変形する。よって、開閉ディスク152Dは、その弾性力で基板ディスク301Dに面接触して、複数の通路孔163Dを閉塞する。
【0179】
ボデーバルブ30Dは、第2通路221Cとは一部異なる第2通路221Dを第2通路221Cにかえて有している。第2通路221Dは、可変室220Cとは一部異なる可変室220Dを可変室220Cにかえて有している。可変室220Dは、バルブベース25Cのベース本体部82、内側シート84および外側シート88と、ディスク151と、バルブディスク154とで囲まれた部分と、バルブディスク154,155の通路孔172,181と、区画部材255D、バルブディスク155およびディスク291Dで囲まれた部分とで、形成されている。
【0180】
ボデーバルブ30Dは、バルブディスク154,155,156C,157および区画部材255Dが、外側シート88に対して離間および当接することにより第2通路221Dを開閉する第2減衰ディスクバルブ222Dとなっている。第2通路221Dには、ピストン45(
図1参照)の縮み方向への移動によって作動流体である油液Lの流れが生じる。第2減衰ディスクバルブ222Dは、第2通路221Dの上流側の第2室49(
図1参照)から下流側のリザーバ室18への油液Lの流れに抵抗力を与える。第2減衰ディスクバルブ222Dとオリフィスである第3通路231とが、第2通路221Dに設けられて、第2通路221D内を流れる油液Lの流れを抑制して減衰力を発生させる縮み側の第2減衰力発生機構225Dを構成している。
【0181】
第2通路221Dの可変室220Dの一部および第3通路231が、第2減衰ディスクバルブ222Dのうち、外側シート88に着座するバルブディスク154に形成されている。
【0182】
ボデーバルブ30Dは、バルブベース25Cのベース本体部82、内側シート84および外側シート88と、バルブディスク154,155,156Cと、区画部材255Dと、ディスク151,291D,292Dとが、可変室220Dを含む蓄圧機構251Dを構成している。
【0183】
蓄圧機構251Dは、バルブディスク156Cと、区画部材255Dと、ディスク292Dとで囲まれた部分が、可変室252Dとなっている。可変室252Dは、第2通路221Dの可変室220Dに対して区画部材255Dによって区画されている。可変室252Dは第4通路241Cと連通している。
【0184】
区画部材255Dは、ピストン45(
図1参照)の伸び方向の移動時の上流側のリザーバ室18または下流側の第2室49(
図2参照)の圧力変化に応じて可動する。区画部材255Dは、ピストン45(
図1参照)の縮み方向の移動時の上流側の第2室49(
図2参照)または下流側のリザーバ室18の圧力変化に応じて可動する。区画部材255Dは、ピストン45(
図1参照)の伸び行程では可変室252Dを大とし且つ可変室220Dを小とする一方、ピストン45(
図1参照)の縮み行程では可変室220Dを大とし且つ可変室252Dを小とする。
【0185】
区画部材255Dは、可変室220Dを大とする方向に変形する際に、所定量変形すると、区画部材本体153Dの基板ディスク301Dがバルブディスク156Cに当接してそれ以上の変形が抑制される。区画部材255Dは、外周ディスク302Dがバルブディスク155に全周にわたって常時当接する。
【0186】
蓄圧機構251Dは、第4通路241Cと連通する可変室252Dを有する。可変室252Dは、ピストン45(
図1参照)の伸び方向の移動時の上流側のリザーバ室18または下流側の第2室49(
図2参照)の圧力変化に応じて可動する区画部材255Dによって第2通路221Dの可変室220Dと区画されている。
【0187】
可変室220D,252Dは、第2減衰ディスクバルブ222Dによって形成されている。可変室252Dは、第2減衰ディスクバルブ222Dの内部に配置されている。可変室220D,252Dは、第2減衰ディスクバルブ222Dに、第2減衰ディスクバルブ222Dの軸方向に重ねて配置されている。可変室220D,252Dを含む蓄圧機構251Dは、第2減衰ディスクバルブ222Dに、第2減衰ディスクバルブ222Dの軸方向に重ねて配置されている。
【0188】
区画部材本体153Dの通路孔163Dと、開閉ディスク152Dとが、ピストン45(
図1参照)の伸び方向の移動時の上流側の可変室252Dと下流側の可変室220Dとの差圧が所定値に達した後、可変室252D内をリリーフするリリーフ機構258Dを構成している。
【0189】
ボデーバルブ30Dの油圧回路図は、ボデーバルブ30と同様になる。
【0190】
次に、ボデーバルブ30Dの主な作動について説明する。
【0191】
伸び行程では、第2室49(
図2参照)の圧力がリザーバ室18の圧力よりも低くなって、リザーバ室18の油液Lが、第1通路211に導入されて第1減衰力発生機構215(
図2参照)を介して第2室49(
図2参照)に流れる。これに加えて、リザーバ室18の油液Lが第4通路241Cから蓄圧機構251Dの可変室252Dに導入され、区画部材255Dを変形させて可変室252Dを拡大させる。その際に、縮小される可変室220Dの油液Lは第2通路221Dを介して第2室49(
図2参照)に排出される。
【0192】
ピストン速度が所定値よりも低い低速時であって、ピストン周波数が所定値よりも低い低周波時の伸び行程では、ピストン45(
図1参照)のストロークが大きいことから、リザーバ室18から第4通路241Cを介して可変室252Dに油液Lが導入される初期に、区画部材255Dが大きく撓み、それ以上の変形が抑制される。これにより、可変室252Dは、体積の増大が抑制される状態になり、可変室252Dが、導入される油液Lの増加分を吸収できなくなる。すると、リザーバ室18の油液Lが第1減衰バルブ212(
図2参照)を開方向に押す力が高くなる。このため、第1減衰バルブ212(
図2参照)が開き、第1通路211を介して油液Lを第2室49(
図2参照)に流す。よって、ピストン速度が所定値よりも低い低速時であって、ピストン周波数が所定値よりも低い低周波時の伸び行程では、蓄圧機構251Dがない場合と同様の減衰力特性となる。
【0193】
他方、ピストン速度が所定値よりも低い低速時であっても、ピストン周波数が所定値以上の高周波時の伸び行程では、ピストン45(
図1参照)のストロークが小さいことから、リザーバ室18から第4通路241Cを介して可変室252Dに導入される油液Lの体積が小さい。このため、区画部材255Dは撓み量も小さい。このため、リザーバ室18から第4通路241Cを介して可変室252Dに導入される油液Lの増加分のほとんどを区画部材255Dが撓むことで吸収する。すると、リザーバ室18の油液Lが第1減衰バルブ212(
図2参照)を開方向に押す力が、ピストン周波数が所定値よりも低い低周波時よりも抑えられ、低周波時よりも減衰力が低くソフトになる。
【0194】
また、ピストン速度が所定値以上の高速時の伸び行程では、開閉ディスク152Dが変形して区画部材本体153Dから離れる。言い換えれば、リリーフ機構258Dが開く。これによって、可変室252Dの油液Lを可変室220Dを含む第2通路221Dを介して第2室49(
図2参照)に流すことになる。
【0195】
縮み行程では、第2室49(
図2参照)の圧力がリザーバ室18の圧力よりも高くなって、第2室49(
図2参照)の油液Lが、第2通路221Dに導入されて第2減衰力発生機構225Dを介してリザーバ室18に流れる。これに加えて、第2室49(
図2参照)の油液Lが蓄圧機構251Dの可変室220Dに導入され、区画部材255Dを変形させて可変室220Dを拡大させる。その際に、縮小する可変室252Dの油液Lは第4通路241Cを介してリザーバ室18に排出される。
【0196】
ピストン周波数が所定値よりも低い縮み行程では、ピストン45(
図1参照)のストロークが大きいことから、第2室49(
図2参照)から可変室220Dに油液Lが導入される初期に、区画部材255Dが大きく撓んでバルブディスク156Cに当接して、それ以上の変形が抑制される。これにより、可変室220Dの体積は変化しない状態になり、可変室220Dが導入される油液Lの増加分を吸収できなくなる。すると、可変室220Dの圧力が上昇して高圧になり、第2減衰ディスクバルブ222Dを開方向に押す力が高くなる。このため、第2減衰ディスクバルブ222Dが開き、外側シート88との隙間を介して油液Lをリザーバ室18に流す。よって、ピストン周波数が所定値よりも低い低周波時の縮み行程では、蓄圧機構251Dがない場合と同様の減衰力特性となる。
【0197】
他方、ピストン周波数が所定値以上の縮み行程では、ピストン45(
図1参照)のストロークが小さいことから、第2室49(
図2参照)から可変室220Dに導入される油液Lの体積が小さいため、区画部材255Dは撓み量も小さく変形し易い。このため、第2室49(
図2参照)から可変室220Dに導入される油液Lの増加分のほとんどを区画部材255Dが撓むことで吸収する。そのため、可変室220Dは低圧であり、第2減衰ディスクバルブ222Dの開弁圧が上がらない。このため、縮み行程において、ピストン周波数が高周波のときは、ピストン周波数が低周波のときよりも減衰力が低くソフトになる。
【0198】
第5実施形態の緩衝器11Dおよびそのボデーバルブ30Dは、第1実施形態と同様の効果を奏する。
【0199】
[第6実施形態]
次に、第6実施形態を主に
図21に基づいて第1実施形態との相違部分を中心に説明する。なお、第1実施形態と共通する部位については、同一称呼、同一の符号で表す。
【0200】
図21に示すように、第6実施形態の緩衝器11Eにおいては、ボデーバルブ30とは一部異なるボデーバルブ30Eをボデーバルブ30にかえて有している。
【0201】
ボデーバルブ30Eは、ベース部71の軸方向の脚部72側に、軸方向のベース部71側から順に、一枚のディスク311と、一枚のディスク312と、一枚の開閉ディスク152Eと、一枚の区画ディスク314と、一枚のディスク315と、一枚のサラバネ153Eと、一枚のバルブディスク154Eと、一枚の上記と同様のバルブディスク155と、一枚の上記と同様のバルブディスク156と、複数枚、具体的には3枚の上記と同様のバルブディスク157と、一枚の上記と同様のディスク158と、一枚の上記と同様のディスク159とが設けられている。
【0202】
バルブディスク154Eは、バルブディスク154に対して、通路孔172とは位置が異なり通路孔172よりも小さい通路孔172Eを有している点が相違している。
【0203】
ディスク311,312,315、開閉ディスク152E、区画ディスク314およびサラバネ153Eは、いずれも金属製である。ディスク311,312,315は、いずれも内側にピン部材101の軸部103を嵌合可能な一定厚さの有孔円形平板状である。開閉ディスク152E、サラバネ153Eおよび区画ディスク314は、いずれも内側にピン部材101の軸部103を嵌合可能な円環状である。
【0204】
ディスク311は、バルブベース25の内側シート84の外径よりも大径であって複数の突出部89に接触しない外径となっている。
ディスク312は、バルブベース25の内側シート84の外径と同等であって、ディスク311の外径よりも小径の外径となっている。
【0205】
開閉ディスク152Eは、ボデーバルブ30Eに組み込まれる前の自然状態では、一定厚さの有孔円形平板状である。開閉ディスク152Eは、撓み可能である。開閉ディスク152Eは、ディスク311の外径よりも大径であって、バルブベース25の複数の突出部89に接触しない外径となっている。
【0206】
区画ディスク314は、ボデーバルブ30Eに組み込まれる前の自然状態では、一定厚さの有孔円形平板状である。区画ディスク314は、開閉ディスク152Eの外径よりも大径であって複数の突出部89に当接可能な外径となっている。区画ディスク314は、撓み可能である。区画ディスク314には、開閉ディスク152Eで開閉される位置に通路孔321が、区画ディスク314の周方向に等間隔で複数形成されている。
ディスク315は、ディスク312の外径と同等の外径となっている。
【0207】
サラバネ153Eは、平板状の一枚の板材からプレス成形によって形成されている。サラバネ153Eは、基板部161Eと、外周テーパ板部162Eとを有している。サラバネ153Eは、撓み可能である。
【0208】
基板部161Eは一定厚さの有孔円形平板状をなしている。基板部161Eには、基板部161Eを基板部161Eの軸方向に貫通する通路孔163Eが形成されている。基板部161Eには、通路孔163Eが、基板部161Eの周方向に等間隔をあけて複数形成されている。
【0209】
外周テーパ板部162Eは、基板部161Eの外周縁部からテーパ状に広がっている。外周テーパ板部162Eは、基板部161Eから基板部161Eの軸方向に離れるほど大径となる。外周テーパ板部162Eは、円環状であり、基板部161Eの全周にわたって形成されている。
【0210】
ボデーバルブ30Eを組み立てる際には、ピン部材101に、ディスク159、ディスク158、複数枚のバルブディスク157、バルブディスク156、バルブディスク155、バルブディスク154E、サラバネ153E、ディスク315、区画ディスク314、開閉ディスク152E、ディスク312、ディスク311、バルブベース25が、それぞれの内側にピン部材101の軸部103を嵌合させつつ、この順番で頭部102に積み重ねられる。
【0211】
その際に、サラバネ153Eは、外周テーパ板部162Eが、軸方向においてバルブディスク154Eとは反対側に延出する向きとされる。また、その際に、バルブベース25は、内側シート84がディスク311に当接する向きとされる。
【0212】
ボデーバルブ30Eに組み込まれた状態で、ディスク159、ディスク158、複数枚のバルブディスク157、バルブディスク156、バルブディスク155、バルブディスク154E、サラバネ153E、ディスク315、区画ディスク314、開閉ディスク152E、ディスク312、ディスク311が、ピン部材101の頭部102とバルブベース25の内側シート84とに、少なくとも内周側がクランプされる。その際に、サラバネ153Eは、基板部161Eの内周側がディスク315とバルブディスク154Eとにクランプされる。
【0213】
ボデーバルブ30Eに組み込まれた状態で、サラバネ153Eは、基板部161Eがバルブディスク154Eに面接触すると共に、通路孔163Eを通路孔172Eに連通させる。
【0214】
ボデーバルブ30Eに組み込まれた状態で、区画ディスク314は、内周側の部分が平板状となり、外周側の部分が、サラバネ153Eの外周テーパ板部162Eの外周縁部に当接して、径方向外側ほど軸方向においてバルブディスク154Eから離れるようにテーパ状に変形する。
【0215】
ボデーバルブ30Eに組み込まれた状態で、開閉ディスク152Eは、内周側の部分が平板状となり、外周側の部分が、区画ディスク314に倣って変形して区画ディスク314にその弾性力で面接触する。その際に、開閉ディスク152Eは、区画ディスク314の複数の通路孔321の全体を覆って複数の通路孔321を閉塞させる。
【0216】
ボデーバルブ30Eは、第2通路221とは一部異なる第2通路221Eを第2通路221にかえて有している。第2通路221Eは、バルブベース25のベース本体部82、内側シート84、外側シート88および複数の突出部89と、ディスク311,312と、開閉ディスク152Eと、区画ディスク314と、サラバネ153Eと、バルブディスク154Eとで囲まれた可変室220Eを含んでいる。第2通路221Eは、バルブディスク154Eの切欠171内のオリフィスである第3通路231を含んでいる。第3通路231は、可変室220Eとリザーバ室18とを常時連通する。
【0217】
ボデーバルブ30Eは、バルブディスク154E,155~157が、外側シート88に対して離間および当接することにより第2通路221Eを開閉する第2減衰ディスクバルブ222Eとなっている。第2通路221Eには、ピストン45(
図1参照)の縮み方向の移動によって作動流体である油液Lの流れが生じる。第2減衰ディスクバルブ222Eは、第2通路221Eの上流側の第2室49(
図2参照)から下流側のリザーバ室18への油液Lの流れに抵抗力を与える。
【0218】
第2減衰ディスクバルブ222Eとオリフィスである第3通路231とが、第2通路221Eに設けられて、第2通路221E内を流れる油液Lの流れを抑制して減衰力を発生させる縮み側の第2減衰力発生機構225Eを構成している。
【0219】
ボデーバルブ30Eは、第2減衰ディスクバルブ222Eのバルブディスク156の切欠191内および通路孔192内と、バルブディスク155の通路孔181内と、バルブディスク154Eの通路孔172E内とが、ピストン45(
図1参照)の伸び方向の移動時の上流側のリザーバ室18と常時連通する第4通路241E(連通路)となっている。
【0220】
第4通路241Eは、バルブディスク156の切欠191内がオリフィス242となっている。第4通路241Eは、バルブディスク156の通路孔192内と、バルブディスク155の通路孔181内と、バルブディスク154Eの通路孔172E内とが、中間室243Eとなっている。
【0221】
第3通路231および第4通路241Eの一部は、第2減衰ディスクバルブ222Eのうち、外側シート88に着座するバルブディスク154Eに形成されている。
【0222】
ボデーバルブ30Eは、バルブベース25のベース本体部82、内側シート84、外側シート88および複数の突出部89と、ディスク311,312,315と、開閉ディスク152Eと、区画ディスク314と、サラバネ153Eと、バルブディスク154Eとが、可変室220Eを含む蓄圧機構251Eを構成している。
【0223】
蓄圧機構251Eは、開閉ディスク152Eと、区画ディスク314と、サラバネ153Eと、ディスク315とで囲まれた部分が、可変室252Eとなっている。可変室252Eは、第2通路221Eの可変室220Eに対してサラバネ153Eと区画ディスク314と開閉ディスク152Eとによって区画されている。サラバネ153Eと区画ディスク314と開閉ディスク152Eとが、可変室252Eと可変室220Eとを区画する区画部材255Eを構成している。可変室252Eは第4通路241Eと連通する。
【0224】
区画部材255Eは、ピストン45(
図1参照)の伸び方向の移動時の上流側のリザーバ室18または下流側の第2室49(
図2参照)の圧力変化に応じて可動する。区画部材255Eは、ピストン45(
図1参照)の縮み方向の移動時の上流側の第2室49(
図2参照)または下流側のリザーバ室18の圧力変化に応じて可動する。区画部材255Eは、サラバネ153Eで構成されている。区画部材255Eは、ピストン45(
図1参照)の伸び行程では、可変室252Eを大とし且つ可変室220Eを小とする一方、ピストン45(
図1参照)の縮み行程では、可変室220Eを大とし且つ可変室252Eを小とする。
【0225】
区画部材255Eは、可変室252Eを大とする方向に変形する際に、所定量変形すると、区画ディスク314がバルブベース25の突出部89に当接してそれ以上の変形が抑制される。その際に、サラバネ153Eは、外周テーパ板部162Eが区画ディスク314に全周にわたって当接し、これにより可変室252Eと可変室220Eとの間をシールする。区画部材255Eは、可変室220Eを大とする方向に変形する際に、所定量変形すると、バルブディスク154Eでそれ以上の変形が抑制される。その際にも、サラバネ153Eは、外周テーパ板部162Eがバルブディスク154Eに全周にわたって当接し、これにより可変室252Eと可変室220Eとの間をシールする。
【0226】
区画部材255Eは、ピストン45(
図1参照)の伸び方向の移動時に上流側の可変室252Eと下流側の可変室220Eとの差圧が所定値に達すると、区画ディスク314から開閉ディスク152Eが離れて区画ディスク314の通路孔321を開いて可変室252Eを可変室220Eに連通させる。区画ディスク314の通路孔321と、開閉ディスク152Eとが、ピストン45(
図1参照)の伸び方向の移動時の上流側の可変室252Eと下流側の可変室220Eとの差圧が所定値に達した後、可変室252E内をリリーフするリリーフ機構258Eを構成している。
【0227】
サラバネ153Eは、ピストン45(
図1参照)の伸び方向の移動時に上流側の可変室252Eと下流側の可変室220Eとの差圧が所定値に達すると、外周テーパ板部162Eが開閉ディスク152Eから離れて可変室252Eを可変室220Eに連通させる。サラバネ153Eの外周テーパ板部162Eと、区画ディスク314とが、ピストン45(
図1参照)の伸び方向の移動時の上流側の可変室252Eと下流側の可変室220Eとの差圧が所定値に達した後、可変室252E内をリリーフするリリーフ機構331を構成している。言い換えれば、区画部材255Eがリリーフ機構258E,331を備える。
【0228】
蓄圧機構251Eは、第4通路241Eと連通する可変室252Eを有する。可変室252Eは、ピストン45(
図1参照)の伸び方向の移動時の上流側のリザーバ室18または下流側の第2室49(
図2参照)の圧力変化に応じて可動する区画部材255Eによって第2通路221Eの可変室220Eと区画されている。
【0229】
可変室220E,252Eは、第2減衰ディスクバルブ222Eに、第2減衰ディスクバルブ222Eの軸方向に重ねて配置されている。可変室220E,252Eを含む蓄圧機構251Eは、第2減衰ディスクバルブ222Eに、第2減衰ディスクバルブ222Eの軸方向に重ねて配置されている。
【0230】
以上のボデーバルブ30Eの油圧回路図はボデーバルブ30と同様になる。
【0231】
次に、ボデーバルブ30Eの主な作動について説明する。
【0232】
伸び行程では、第2室49(
図2参照)の圧力がリザーバ室18の圧力よりも低くなって、リザーバ室18の油液Lが、第1通路211に導入されて第1減衰力発生機構215(
図2参照)を介して第2室49(
図2参照)に流れる。これに加えて、リザーバ室18の油液Lが第4通路241Eから蓄圧機構251Eの可変室252Eに導入され、区画部材255Eを変形させて可変室252Eを拡大させる。その際に、縮小される可変室220Eの油液Lは第2通路221Eを介して第2室49(
図2参照)に排出される。
【0233】
ピストン速度が所定値よりも低い低速時であって、ピストン周波数が所定値よりも低い低周波時の伸び行程では、ピストン45(
図1参照)のストロークが大きいことから、リザーバ室18から第4通路241Eを介して可変室252Eに油液Lが導入される初期に、区画部材255Eが大きく撓んで、区画ディスク314がバルブベース25の突出部89に当接して、それ以上の変形が抑制される。その際に、サラバネ153Eは外周テーパ板部162Eとの当接状態を維持する。これにより、可変室252Eは、体積の増大が抑制される状態になり、可変室252Eが、導入される油液Lの増加分を吸収できなくなる。すると、リザーバ室18の油液Lが第1減衰バルブ212を開方向に押す力が高くなる。このため、第1減衰バルブ212が開き、第1通路211を介して油液Lを第2室49(
図2参照)に流す。よって、ピストン速度が所定値よりも低い低速時であって、ピストン周波数が所定値よりも低い低周波時の伸び行程では、蓄圧機構251Eがない場合と同様の減衰力特性となる。
【0234】
他方、ピストン速度が所定値よりも低い低速時であっても、ピストン周波数が所定値以上の高周波時の伸び行程では、ピストン45(
図1参照)のストロークが小さいことから、リザーバ室18から第4通路241Eを介して可変室252Eに導入される油液Lの体積が小さい。このため、区画ディスク314は撓み量も小さく、バルブベース25の突出部89に当接しないか、当接しても変形可能である。その際も、サラバネ153Eは外周テーパ板部162Eとの当接状態を維持する。このため、リザーバ室18から第4通路241Eを介して可変室252Eに導入される油液Lの増加分のほとんどを区画ディスク314が撓むことで吸収する。すると、リザーバ室18の油液Lが第1減衰バルブ212を開方向に押す力が、ピストン周波数が所定値よりも低い低周波時よりも抑えられ、低周波時よりも減衰力が低くソフトになる。
【0235】
また、ピストン速度が所定値以上の高速時には、区画ディスク314が大きく撓み、バルブベース25の突出部89に当接して、それ以上の変形が抑制された状態で、開閉ディスク152Eが変形して区画ディスク314から離れる。言い換えれば、リリーフ機構258Eが開く。それと共にサラバネ153Eの外周テーパ板部162Eが変形して区画ディスク314から離れる。言い換えれば、リリーフ機構331が開く。これらによって、可変室252Eの油液Lを可変室220Eを含む第2通路221Eを介して第2室49(
図2参照)に流すことになる。なお、開閉ディスク152Eは、上記変形時に、ディスク311に当接することで、それ以上の変形が抑制されることになる。
【0236】
縮み行程では、第2室49(
図2参照)の圧力がリザーバ室18の圧力よりも高くなって、第2室49(
図2参照)の油液Lが、第2通路221Eに導入されて、第2減衰力発生機構225を介してリザーバ室18に流れる。これに加えて、第2室49(
図2参照)の油液Lが蓄圧機構251Eの可変室220Eに導入され、区画部材255Eを変形させて可変室220Eを拡大させる。その際に、縮小する可変室252Eの油液Lは第4通路241Eを介してリザーバ室18に排出される。
【0237】
ピストン周波数が所定値よりも低い縮み行程では、ピストン45(
図1参照)のストロークが大きいことから、第2室49(
図2参照)から可変室220Eに油液Lが導入される初期に、区画部材255Eが大きく撓んで、サラバネ153Eの外周テーパ板部162Eをバルブディスク154Eに当接させて、それ以上の変形が抑制される。これにより、可変室220Eの体積は変化しない状態になり、可変室220Eが導入される油液Lの増加分を吸収できなくなる。すると、可変室220Eの圧力が上昇して高圧になり、第2減衰ディスクバルブ222Eを開方向に押す力が高くなる。このため、第2減衰ディスクバルブ222Eが開き、外側シート88との隙間を介して油液Lをリザーバ室18に流す。よって、ピストン周波数が所定値よりも低い低周波時の縮み行程では、蓄圧機構251Eがない場合と同様の減衰力特性となる。
【0238】
他方、ピストン周波数が所定値以上の縮み行程では、ピストン45(
図1参照)のストロークが小さいことから、第2室49(
図2参照)から可変室220Eに導入される油液Lの体積が小さいため、区画ディスク314は撓み量も小さく変形し易い。このため、第2室49(
図2参照)から可変室220Eに導入される油液Lの増加分のほとんどを区画部材255Eが撓むことで吸収する。そのため、可変室220Eは低圧であり、第2減衰ディスクバルブ222Eの開弁圧が上がらない。このため、ピストン周波数が高周波のときは、ピストン周波数が低周波のときよりも低い時よりも減衰力が低くソフトになる。
【0239】
第6実施形態の緩衝器11Eおよびそのボデーバルブ30Eは、第1実施形態と同様の効果を奏する。
【0240】
第1~第6実施形態の構造は、ピストンの一方向の移動によって作動流体の流れが生じる第1通路、ピストンの他方向の移動によって作動流体の流れが生じる第2通路、第1通路を開閉する第1減衰バルブ、および第2通路を開閉する第2減衰ディスクバルブを有するものであれば、種々の構造に適用することができる。すなわち、第1~第6実施形態では、ボデーバルブ30,30A~30Eのリザーバ室18側に、第2減衰ディスクバルブ222,222A~222Eおよび蓄圧機構251,251A~251Eを重ねて配置する場合を例にとり説明したが、例えば、ボデーバルブの第2室49側に第2減衰ディスクバルブ222,222A~222Eおよび蓄圧機構251,251A~251E等を重ねて配置する構造としても良い。また、第1~第6実施形態の構造は、ピストン45(
図1参照)に適用することも可能である。その場合、ピストン45の第1室48側に第2減衰ディスクバルブ222,222A~222Eおよび蓄圧機構251,251A~251Eを重ねて配置する構造としても良く、ピストン45の第2室49側に第2減衰ディスクバルブ222,222A~222Eおよび蓄圧機構251,251A~251Eを重ねて配置する構造としても良い。
【産業上の利用可能性】
【0241】
本発明の上記態様によれば、異音の発生を抑制することが可能となる緩衝器および減衰バルブ装置を提供できる。よって、産業上の利用可能性は大である。
【符号の説明】
【0242】
11,11A~11E…緩衝器、17…シリンダ、18…リザーバ室、30,30A~30E…ボデーバルブ(減衰バルブ装置)、45…ピストン、49…第2室、88…外側シート(シート)、153,153E…サラバネ、154,154E…バルブディスク、211…第1通路、212…第1減衰バルブ、220,220A~220E…可変室、221,221A~221E…第2通路、222,222C~222E…第2減衰ディスクバルブ、231…第3通路、241,241C,241E…第4通路(連通路)、251,251A~251E…蓄圧機構、252,252A~252E…可変室、255,55A~255E…区画部材、258,258B,258D,258E,331…リリーフ機構。