(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-18
(45)【発行日】2025-02-27
(54)【発明の名称】光学的情報読取装置
(51)【国際特許分類】
G06K 7/10 20060101AFI20250219BHJP
【FI】
G06K7/10 436
(21)【出願番号】P 2020073549
(22)【出願日】2020-04-16
【審査請求日】2023-03-27
(31)【優先権主張番号】P 2019084902
(32)【優先日】2019-04-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2019222383
(32)【優先日】2019-12-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】501428545
【氏名又は名称】株式会社デンソーウェーブ
(74)【代理人】
【識別番号】100095795
【氏名又は名称】田下 明人
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 誠
(72)【発明者】
【氏名】鴻巣 光司
(72)【発明者】
【氏名】中村 栄竣
(72)【発明者】
【氏名】寺内 嘉一
(72)【発明者】
【氏名】金原 史浩
(72)【発明者】
【氏名】内田 実
(72)【発明者】
【氏名】大脇 雅史
(72)【発明者】
【氏名】森本 敏生
(72)【発明者】
【氏名】矢野 光一
(72)【発明者】
【氏名】牛嶋 隆雄
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 史朗
(72)【発明者】
【氏名】凌 通
(72)【発明者】
【氏名】藤田 亨
(72)【発明者】
【氏名】藤原 信幸
【審査官】高橋 克
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-298699(JP,A)
【文献】特開平07-282180(JP,A)
【文献】特開平08-315062(JP,A)
【文献】特開2016-110611(JP,A)
【文献】特開2008-257462(JP,A)
【文献】特開2009-151446(JP,A)
【文献】特開2013-020409(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06K 7/10
G06K 7/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の表示面に表示される情報コードを撮像する撮像部と、
照明光を照射する照明部と、
前記撮像部及び前記照明部が内部に収容され、前記照明部からの前記照明光を出射して前記情報コードからの光を当該筐体の内部に導入する読取口が設けられる筐体と、
を備え、
前記所定の表示面から前記読取口を離した状態で前記情報コードを前記撮像部にて撮像して読み取る光学的情報読取装置であって、
前記筐体は、
前記読取口が形成された読取部と、
前記読取口を前記情報コードに向ける際に把持される把持部と、
を備え、
前記読取部は、前記把持部の長手方向を水平方向としたとき、前記把持部の長手方向一側の端部から斜め下方に延出して延出端部に前記読取口が位置するように前記把持部に連結され、
前記読取口の周縁のうち前記把持部から離れた一側縁部には、前記斜め下方に沿って突出する壁部が設けられ、
前記読取口には、前記撮像部及び前記照明部を保護する保護部材が設けられ、
前記保護部材には、前記照明光が透過する第1透過部と、前記情報コードからの反射光が透過する第2透過部と、が形成され、
前記筐体には、前記保護部材を外面側から囲うようにして保持する保持部が設けられ、
前記保持部は、前記第1透過部を前記外面側に露出させる露出幅と前記第2透過部を前記外面側に露出させる露出幅とが使用者の指の幅よりも小さくなるように形成されることを特徴とする光学的情報読取装置。
【請求項2】
所定の表示面に表示される情報コードを撮像する撮像部と、
照明光を照射する照明部と、
前記撮像部及び前記照明部が内部に収容され、前記照明部からの前記照明光を出射して前記情報コードからの光を当該筐体の内部に導入する読取口が設けられる筐体と、
を備え、
前記所定の表示面から前記読取口を離した状態で前記情報コードを前記撮像部にて撮像して読み取る光学的情報読取装置であって、
前記筐体は、
前記読取口が形成された読取部と、
前記読取口を前記情報コードに向ける際に把持される把持部と、
を備え、
前記読取部は、前記把持部の長手方向を水平方向としたとき、前記把持部の長手方向一側の端部から斜め下方に延出して延出端部に前記読取口が位置するように前記把持部に連結され、
前記読取口の周縁のうち前記把持部から離れた一側縁部には、前記斜め下方に沿って突出する壁部が設けられ、
前記読取口には、前記撮像部及び前記照明部を保護する保護部材が設けられ、
前記保護部材には、前記照明光が透過する第1透過部と、前記第1透過部を環状に囲うように外方に突出する第1環状部と、前記情報コードからの反射光が透過する第2透過部と、前記第2透過部を環状に囲うように外方に突出する第2環状部と、が形成されることを特徴とする光学的情報読取装置。
【請求項3】
所定の表示面に表示される情報コードを撮像する撮像部と、
照明光を照射する照明部と、
前記撮像部及び前記照明部が内部に収容され、前記照明部からの前記照明光を出射して前記情報コードからの光を当該筐体の内部に導入する読取口が設けられる筐体と、
を備え、
前記所定の表示面から前記読取口を離した状態で前記情報コードを前記撮像部にて撮像して読み取る光学的情報読取装置であって、
前記筐体は、
前記読取口が形成された読取部と、
前記読取口を前記情報コードに向ける際に把持される把持部と、
を備え、
前記読取部は、前記把持部の長手方向を水平方向としたとき、前記把持部の長手方向一側の端部から斜め下方に延出して延出端部に前記読取口が位置するように前記把持部に連結され、
前記読取口の周縁のうち前記把持部から離れた一側縁部には、前記斜め下方に沿って突出する壁部が設けられ、
前記撮像部による撮像視野を示すマーカ光を照射するマーカ光照射部と、
前記撮像部による撮像画像において前記マーカ光が所定の状態で撮像されるマーカ撮像状態であるか否かについて判定するマーカ撮像判定部と、
前記マーカ撮像判定部の判定結果に応じて前記照明部を制御する照明制御部と、
を備えることを特徴とする光学的情報読取装置。
【請求項4】
所定の表示面に表示される情報コードを撮像する撮像部と、
照明光を照射する照明部と、
前記撮像部及び前記照明部が内部に収容され、前記照明部からの前記照明光を出射して前記情報コードからの光を当該筐体の内部に導入する読取口が設けられる筐体と、
を備え、
前記所定の表示面から前記読取口を離した状態で前記情報コードを前記撮像部にて撮像して読み取る光学的情報読取装置であって、
前記筐体は、
前記読取口が形成された読取部と、
前記読取口を前記情報コードに向ける際に把持される把持部と、
を備え、
前記読取部は、前記把持部の長手方向を水平方向としたとき、前記把持部の長手方向一側の端部から斜め下方に延出して延出端部に前記読取口が位置するように前記把持部に連結され、
前記読取口の周縁のうち前記把持部から離れた一側縁部には、前記斜め下方に沿って突出する壁部が設けられ、
前記撮像部により撮像された撮像画像に対して前記情報コードをデコードするためのデコード処理を行うデコード部と、
前記デコード部によるデコード結果を利用した所定の処理を行うための処理部と、
複数の情報コードが同時に撮像されているために前記デコード部により1つの撮像画像から複数のデコード結果が得られる場合に、2以上の同じデコード結果が得られているか否かついて判定するデコード結果同異判定部と、
を備え、
前記処理部は、前記デコード結果同異判定部により2以上の同じデコード結果が得られていると判定される場合に、前記2以上の同じデコード結果の1つについて前記所定の処理を行うことを特徴とする光学的情報読取装置。
【請求項5】
前記処理部によって前記所定の処理が行われたデコード結果が記憶される記憶部を備え、
前記処理部は、前記デコード結果同異判定部により2以上の同じデコード結果が得られていると判定される場合であって、前記記憶部に記憶される情報に基づいて前記同じデコード結果に一致するデコード結果が所定の読取回数以内に前記処理部によって前記所定の処理が行われていない場合に、前記デコード結果について前記所定の処理を行うことを特徴とする請求項
4に記載の光学的情報読取装置。
【請求項6】
前記デコード部によるデコード結果が前記デコード処理を終えたデコード時刻とともに記憶される記憶部を備え、
前記処理部は、前記デコード結果同異判定部により2以上の同じデコード結果が得られていると判定される場合であって、前記同じデコード結果に一致するデコード結果に関連付けられて前記記憶部に記憶される前記デコード時刻からの経過時間が所定時間以上となる場合に、前記デコード結果について前記所定の処理を行うことを特徴とする請求項
4に記載の光学的情報読取装置。
【請求項7】
前記デコード部によるデコードが成功した情報コードが前記撮像部の撮像視野から外されて再び撮像視野内に入り込む回数を撮像回数としてカウントするカウント部と、
前記処理部によって前記所定の処理が行われたデコード結果が、前記カウント部によりカウントされる前記撮像回数に関連付けられて記憶される記憶部と、を備え、
前記処理部は、前記デコード結果同異判定部により2以上の同じデコード結果が得られていると判定される場合であって、前記同じデコード結果に一致するデコード結果に関連付けられて前記記憶部に記憶される前記撮像回数が所定回数以上となる場合に、前記デコード結果について前記所定の処理を行うことを特徴とする請求項
4に記載の光学的情報読取装置。
【請求項8】
前記デコード結果同異判定部により2以上の同じデコード結果が得られていると判定された前記情報コードについて、前記撮像部の撮像視野から外された時刻がコード除外時刻として前記デコード結果に関連付けられて記憶される記憶部を備え、
前記処理部は、前記デコード結果同異判定部により2以上の同じデコード結果が得られていると判定される場合であって、前記同じデコード結果に一致するデコード結果に関連付けられて前記記憶部に記憶される前記コード除外時刻からの経過時間が所定時間以上となる場合に、前記デコード結果について前記所定の処理を行うことを特徴とする請求項
4に記載の光学的情報読取装置。
【請求項9】
前記筐体の姿勢を検出する姿勢検出部を備え、
前記処理部は、前記デコード結果同異判定部により2以上の同じデコード結果が得られていると判定される場合であって、前記姿勢検出部により検出される前記筐体の姿勢が所定の姿勢状態である場合に、前記デコード結果について前記所定の処理を行うことを特徴
とする請求項
4に記載の光学的情報読取装置。
【請求項10】
情報コードを撮像する撮像部と、
前記撮像部による撮像画像から前記情報コードをデコードするためのコード画像を検出するコード画像検出部と、
前記コード画像検出部により検出された前記コード画像に対して前記情報コードをデコードするためのデコード処理を行うデコード部と、
前記デコード部によるデコード結果を利用した所定の処理を行うための処理部と、
前記デコード処理の成功に応じて所定の報知を行うための報知部と、
を備える光学的情報読取装置であって、
前記コード画像検出部は、前記撮像部により連続的に撮像される複数の連続撮像画像において、同じ情報コードの前記コード画像を検出し、
前記コード画像検出部により検出されている前記コード画像が前記撮像画像に占める状態に応じて、当該コード画像が読取対象であるか否かについて判定する読取対象判定部を備え、
前記読取対象判定部により読取対象であると判定された前記コード画像のデコード処理が成功していることでデコード結果が得られていると、前記処理部は、前記デコード結果を利用して前記所定の処理を行い、前記報知部は、前記所定の報知を行うことを特徴とする光学的情報読取装置。
【請求項11】
前記読取対象判定部は、前記コード画像検出部により検出されている前記コード画像の一部に相当する部分が前記撮像部による撮像視野から外れた場合でも、前記撮像視野内の前記コード画像の残部の状態が所定の条件を満たすと、前記コード画像が読取対象であると判定することを特徴とする請求項
10に記載の光学的情報読取装置。
【請求項12】
前記読取対象判定部により読取対象であると判定された際の前記コード画像のデコード処理が成功しておらず、当該判定後に前記コード画像のデコード処理が成功すると、前記処理部は、前記判定後に得られた前記デコード結果を利用して前記所定の処理を行い、前記報知部は、前記所定の報知を行うことを特徴とする請求項
10又は11に記載の光学的情報読取装置。
【請求項13】
所定の表示面に表示される情報コードを撮像する撮像部と、
照明光を照射する照明部と、
前記撮像部及び前記照明部が内部に収容され、前記照明部からの前記照明光を出射して前記情報コードからの光を当該筐体の内部に導入する読取口が設けられる筐体と、
を備え、
前記所定の表示面から前記読取口を離した状態で前記情報コードを前記撮像部にて撮像して読み取る光学的情報読取装置であって、
前記筐体は、
前記読取口が形成された読取部と、
前記読取口を前記情報コードに向ける際に把持される把持部と、
を備え、
前記読取部は、前記把持部の長手方向を水平方向としたとき、前記把持部の長手方向一側の端部から斜め下方に延出して延出端部に前記読取口が位置するように前記把持部に連結され、
前記読取口の周縁のうち前記把持部から離れた一側縁部には、前記斜め下方に沿って突出する壁部が設けられ、
前記撮像部による撮像視野に向けてマーカ光を照射するマーカ光照射部と、
前記撮像部により撮像された撮像画像に対して前記情報コードをデコードするためのデコード処理を行うデコード部と、
前記デコード部によりデコードされたデコード結果を出力するための出力部と、
前記デコード部によりデコードされた前記情報コードが前記撮像画像の一部に相当するデコード対象エリア内に位置しているか否かについて判定するコード位置判定部と、
を備え、
前記出力部は、前記撮像部により前記マーカ光が撮像されない場合には、前記コード位置判定部により前記デコード対象エリア内に位置していると判定された情報コードのデコード結果を出力することを特徴とする光学的情報読取装置。
【請求項14】
所定の表示面に表示される情報コードを撮像する撮像部と、
照明光を照射する照明部と、
前記撮像部及び前記照明部が内部に収容され、前記照明部からの前記照明光を出射して前記情報コードからの光を当該筐体の内部に導入する読取口が設けられる筐体と、
を備え、
前記所定の表示面から前記読取口を離した状態で前記情報コードを前記撮像部にて撮像して読み取る光学的情報読取装置であって、
前記筐体は、
前記読取口が形成された読取部と、
前記読取口を前記情報コードに向ける際に把持される把持部と、
を備え、
前記読取部は、前記把持部の長手方向を水平方向としたとき、前記把持部の長手方向一側の端部から斜め下方に延出して延出端部に前記読取口が位置するように前記把持部に連結され、
前記読取口の周縁のうち前記把持部から離れた一側縁部には、前記斜め下方に沿って突出する壁部が設けられ、
前記撮像部による撮像視野に向けてマーカ光を照射するマーカ光照射部と、
前記撮像部により撮像された撮像画像に対して前記情報コードをデコードするためのデコード処理を行うデコード部と、
デコード結果が得られた前記情報コードに向けて前記マーカ光が照射されている状態であるか否かについて判定するマーカ照射状態判定部と、
前記マーカ照射状態判定部により前記マーカ光が照射されている状態であると判定された前記情報コードのデコード結果を出力するための出力部と、
前記デコード部により得られたデコード結果が前記出力部から前回出力されたデコード結果と一致するデコード結果一致状態であるか否かについて判定するデコード結果判定部と、
前記出力部から前記デコード結果が出力されるごとに、前回出力されたデコード結果に一致するデコード結果が出力されることを防止するための二度読み防止設定を行う二度読み防止設定部と、
を備え、
前記二度読み防止設定部は、前記出力部から前記デコード結果が出力された後に前記マーカ照射状態判定部によりデコード結果が得られた前記情報コードに向けて前記マーカ光が照射されている状態でないと判定されると、前記二度読み防止設定を解除し、
前記出力部は、前記二度読み防止設定部により前記二度読み防止設定が行われていると、前記デコード結果判定部により前記デコード結果一致状態であると判定されたデコード結果を出力対象外とし、前記二度読み防止設定が解除されると、前記デコード結果判定部により前記デコード結果一致状態であると判定されたデコード結果であっても出力対象とすることを特徴とする光学的情報読取装置。
【請求項15】
所定の表示面に表示される情報コードを撮像する撮像部と、
照明光を照射する照明部と、
前記撮像部及び前記照明部が内部に収容され、前記照明部からの前記照明光を出射して前記情報コードからの光を当該筐体の内部に導入する読取口が設けられる筐体と、
を備え、
前記所定の表示面から前記読取口を離した状態で前記情報コードを前記撮像部にて撮像して読み取る光学的情報読取装置であって、
前記筐体は、
前記読取口が形成された読取部と、
前記読取口を前記情報コードに向ける際に把持される把持部と、
を備え、
前記読取部は、前記把持部の長手方向を水平方向としたとき、前記把持部の長手方向一側の端部から斜め下方に延出して延出端部に前記読取口が位置するように前記把持部に連結され、
前記読取口の周縁のうち前記把持部から離れた一側縁部には、前記斜め下方に沿って突出する壁部が設けられ、
前記撮像部により撮像された撮像画像に対して前記情報コードをデコードするためのデコード処理を行うデコード部と、
前記デコード部によりデコードされたデコード結果を出力するための出力部と、
前記撮像部による撮像画像の一部に相当する一部画像について画像が変化していないとみなされる一部画像一致状態であるか否かについて判定する画像状態判定部と、
を備え、
前記デコード部は、前記出力部により前記デコード結果が出力されると、前記画像状態判定部により前記一部画像一致状態と判定される
場合には前記デコード処理を行わないことを特徴とする光学的情報読取装置。
【請求項16】
前記一部画像は、前記撮像画像に占める範囲が、当該撮像画像の中央部分に設定されることを特徴とする請求項
15に記載の光学的情報読取装置。
【請求項17】
前記撮像部による撮像視野の中心に向けてマーカ光を照射するマーカ光照射部を備え、
前記一部画像は、前記撮像画像に占める範囲が、当該撮像画像での前記マーカ光の位置を基準に設定されることを特徴とする請求項
15に記載の光学的情報読取装置。
【請求項18】
前記一部画像は、前記撮像画像に占める範囲が、前回デコードに成功した情報コードを基準に設定されることを特徴とする請求項
15に記載の光学的情報読取装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報コードを光学的に読み取る光学的情報読取装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、小売店やコンビニエンスストアのレジ等では、商品等に表示されているバーコードなどの一次元コードを読み取るため、受光手段としてラインセンサを使用したバーコードスキャナが多く採用されている。バーコードスキャナには、バーコードを読み取りやすくするため一方向に長く形成された読取口が設けられている。このため、読取口の長手方向をバーコードの長手方向にあわせるように読取口をバーコードに接触させることで、バーコードを読取可能な状態となる。
【0003】
近年、QRコード(登録商標)などの二次元コードが普及してきており、小売店やコンビニエンスストアのレジ等でも、受光手段としてエリアセンサを用いた二次元コードを読み取り可能なコードスキャナの導入が増加すると予想される。そうすると、1つの光学的情報読取装置で一次元コードや二次元コードを読み取る必要があり、一次元コードや二次元コードの双方を光学的に読み取り可能な光学的情報読取装置としては、例えば、下記特許文献1に開示される光学的情報読取装置が知られている。
【0004】
この光学的情報読取装置は、主に、垂直面に表示された情報コードに読取口を向ける際に把持部を立てた状態で把持するように形成されたガンタイプの読取装置である。この読取装置の読取口の周囲には延出部が設けられており、この延出部には、把持部側とは異なる部位に、情報コードを視認するための開口が形成されている。これにより、延出部の把持部側となる延出底壁部を上記垂直面に接触させた状態で情報コードを読み取る読取動作を行う場合でも、上方から開口を介して情報コードを視認することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、情報コードを読み取る読取装置では、所定の表示面に表示された情報コードを読み取る際の読取動作として、情報コードを覆うようにして読取口を表示面に接触させて読み取る読取動作(いわゆる、タッチ読み)と、表示面から離した状態で読取口を情報コードに向けて読み取る読取動作とのいずれかが採用される。表示面から離した状態で読取口を情報コードに向けて読み取る読取動作を採用する読取装置では、情報コードを読み取る際に、情報コードと読取口とが離れるため、周囲の照明光や太陽光等の外来光が情報コードや表示面にて反射(鏡面反射)することで、その情報コードを読み取り可能に撮像できない場合がある。また、情報コードと読取口とが離れているため、読取口を介して照射された照明光が情報コードや表示面にて反射することで、読取口を向けている方向にいる人が眩しさを感じてしまう可能性がある。
【0007】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、情報コードを読み取る際に、外来光の影響や周囲の人が感じる眩しさを抑制し得る構成を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、特許請求の範囲の請求項1に記載の発明は、
所定の表示面(R)に表示される情報コード(C,C1,C2)を撮像する撮像部(28,27)と、
照明光(Lf)を照射する照明部(21)と、
前記撮像部及び前記照明部が内部に収容され、前記照明部からの前記照明光を出射して前記情報コードからの光を当該筐体の内部に導入する読取口(50)が設けられる筐体(11)と、
を備え、
前記所定の表示面から前記読取口を離した状態で前記情報コードを前記撮像部にて撮像して読み取る光学的情報読取装置(10)であって、
前記筐体は、
前記読取口が形成された読取部(12)と、
前記読取口を前記情報コードに向ける際に把持される把持部(13)と、
を備え、
前記読取部は、前記把持部の長手方向を水平方向としたとき、前記把持部の長手方向一側の端部から斜め下方に延出して延出端部(12a)に前記読取口が位置するように前記把持部に連結され、
前記読取口の周縁(51)のうち前記把持部から離れた一側縁部(52)には、前記斜め下方に沿って突出する壁部(56)が設けられ、
前記読取口には、前記撮像部及び前記照明部を保護する保護部材が設けられ、
前記保護部材には、前記照明光が透過する第1透過部と、前記情報コードからの反射光が透過する第2透過部と、が形成され、
前記筐体には、前記保護部材を外面側から囲うようにして保持する保持部が設けられ、
前記保持部は、前記第1透過部を前記外面側に露出させる露出幅と前記第2透過部を前記外面側に露出させる露出幅とが使用者の指の幅よりも小さくなるように形成されることを特徴とする。
なお、上記各括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【発明の効果】
【0009】
請求項1の発明では、筐体は、照明部からの照明光を出射して情報コードからの光を当該筐体の内部に導入する読取口が形成された読取部と、読取口を情報コードに向ける際に把持される把持部と、を備えている。そして、読取部は、把持部の長手方向を水平方向としたとき、把持部の長手方向一側の端部から斜め下方に延出して延出端部に読取口が位置するように把持部に連結され、読取口の周縁のうち把持部から離れた一側縁部には、上記斜め下方に沿って突出する壁部が設けられる。
【0010】
これにより、所定の表示面から読取口を離した状態で情報コードを撮像部にて撮像する際には、把持部を把持する使用者から見て情報コードの奥側に壁部が位置し、情報コードの手前側には使用者自身が位置するため、情報コードの視認性を損なうことなく、情報コード等にて反射した外来光を撮像され難くすることができる。さらに、読取口を介した照明光による情報コード等での反射光が壁部によって情報コードの奥側に反射され難くなるので、読取口を向けている方向(上記奥側に相当する方向)にいる人が感じる眩しさを抑制することができる。特に、壁部の先端側となる突出端部を所定の表示面に接触させることで、外来光の影響や周囲の人が感じる眩しさをより確実に抑制することができる。したがって、情報コードを読み取る際に、その情報コードの視認性を損なうことなく、外来光の影響や周囲の人が感じる眩しさを抑制し得る光学的情報読取装置を実現することができる。
【0015】
請求項1の発明では、読取口には、撮像部及び照明部を保護する保護部材が設けられ、保護部材には、照明光が透過する第1透過部と、情報コードからの反射光が透過する第2透過部と、が形成され、筐体には、保護部材を外面側から囲うようにして保持する保持部が設けられ、保持部は、第1透過部を外面側に露出させる露出幅と第2透過部を外面側に露出させる露出幅とが使用者の指の幅よりも小さくなるように形成される。
【0016】
これにより、筐体を把持する際に使用者の指が保持部に触れたとしても、その指が第1透過部や第2透過部に誤って触れ難くなり、第1透過部及び第2透過部に皮脂等の汚れが付着し難くなるので、保護部材に付着する汚れに起因する読取性能の低下を抑制することができる。
【0017】
請求項2の発明では、読取口には、撮像部及び照明部を保護する保護部材が設けられ、保護部材には、照明光が透過する第1透過部と、第1透過部を環状に囲うように外方に突出する第1環状部と、情報コードからの反射光が透過する第2透過部と、第2透過部を環状に囲うように外方に突出する第2環状部と、が形成される。
【0018】
これにより、筐体を把持する際に使用者の指が第1環状部や第2環状部に触れたとしても、その指が第1透過部や第2透過部に誤って触れ難くなり、第1透過部及び第2透過部に皮脂等の汚れが付着し難くなるので、保護部材に付着する汚れに起因する読取性能の低下を抑制することができる。
【0019】
請求項3の発明では、撮像部による撮像視野を示すマーカ光を照射するマーカ光照射部と、撮像部による撮像画像においてマーカ光が所定の状態で撮像されるマーカ撮像状態であるか否かについて判定するマーカ撮像判定部と、マーカ撮像判定部の判定結果に応じて照明部を制御する照明制御部と、が設けられる。
【0020】
読取口が情報コードを付した表示面等に向けられていない場合には、照射されたマーカ光が表示面等にて反射されないため、マーカ光が撮像されない状態となる。すなわち、マーカ光が撮像されない状態では、照明光を照射する必要がないので、マーカ撮像判定部の判定結果に応じて照明部を制御することで、不要な照明光の照射を抑制することができる。
【0030】
請求項4の発明では、撮像部により撮像された撮像画像に対して情報コードをデコードするためのデコード処理を行うデコード部と、デコード部によるデコード結果を利用した所定の処理を行うための処理部と、複数の情報コードが同時に撮像されているためにデコード部により1つの撮像画像から複数のデコード結果が得られる場合に、2以上の同じデコード結果が得られているか否かついて判定するデコード結果同異判定部と、が設けられる。処理部は、デコード結果同異判定部により2以上の同じデコード結果が得られていると判定される場合に、2以上の同じデコード結果の1つについて所定の処理を行う。
【0031】
これにより、例えば、同じデータがそれぞれ記録されたコード種別の異なる情報コードが同時に撮像される場合でも、重複して同じ処理が行われることを抑制することができる。
【0032】
請求項5の発明では、処理部によって上記所定の処理が行われたデコード結果が記憶される記憶部が設けられる。そして、処理部は、デコード結果同異判定部により2以上の同じデコード結果が得られていると判定される場合であって、記憶部に記憶される情報に基づいて同じデコード結果に一致するデコード結果が所定の読取回数以内に処理部によって上記所定の処理が行われていない場合に、上記デコード結果について所定の処理を行う。
【0033】
これにより、以前に同じデコード結果を読み取っていたとしても、その以前のデコード結果が上記所定の読取回数以内に処理部によって上記所定の処理が行われていない場合、すなわち、最近、上記所定の処理に用いられたデコード結果でない場合には、使用者が意図して同じデータが記録された2以上の情報コードを読み取っているとして、同じデコード結果を利用して上記所定の処理を行うことができる。
【0034】
請求項6の発明では、デコード部によるデコード結果がデコード処理を終えたデコード時刻とともに記憶される記憶部が設けられる。そして、処理部は、デコード結果同異判定部により2以上の同じデコード結果が得られていると判定される場合であって、上記同じデコード結果に一致するデコード結果に関連付けられて記憶部に記憶されるデコード時刻からの経過時間が所定時間以上となる場合に、上記デコード結果について所定の処理を行う。
【0035】
これにより、以前に同じデコード結果を読み取っていたとしても、その以前のデコード結果のデコード時刻からの経過時間が所定時間以上となる場合、すなわち、最近、上記所定の処理に用いられたデコード結果でない場合には、使用者が意図して同じデータが記録された2以上の情報コードを読み取っているとして、同じデコード結果を利用して上記所定の処理を行うことができる。
【0036】
請求項7の発明では、デコード部によるデコードが成功した情報コードが撮像部の撮像視野から外されて再び撮像視野内に入り込む回数を撮像回数としてカウントするカウント部と、処理部によって上記所定の処理が行われたデコード結果がカウント部によりカウントされる撮像回数に関連付けられて記憶される記憶部とが設けられる。そして、処理部は、デコード結果同異判定部により2以上の同じデコード結果が得られていると判定される場合であって、上記同じデコード結果に一致するデコード結果に関連付けられて記憶部に記憶される撮像回数が所定回数以上となる場合に、上記デコード結果について所定の処理を行う。
【0037】
これにより、使用者が意図して同じデータが記録された2以上の情報コードを読み取るために、その情報コードを撮像視野に入れる撮像状態と撮像視野から外す撮像状態とを繰り返すことで、同じデコード結果のそれぞれについて上記所定の処理を行うことができる。
【0038】
請求項8の発明では、デコード結果同異判定部により2以上の同じデコード結果が得られていると判定された情報コードについて、撮像部の撮像視野から外された時刻がコード除外時刻としてデコード結果に関連付けられて記憶される記憶部が設けられる。そして、処理部は、デコード結果同異判定部により2以上の同じデコード結果が得られていると判定される場合であって、上記同じデコード結果に一致するデコード結果に関連付けられて記憶部に記憶されるコード除外時刻からの経過時間が所定時間以上となる場合に、上記デコード結果について所定の処理を行う。
【0039】
これにより、使用者が意図して同じデータが記録された2以上の情報コードを読み取るために、その情報コードを一定時間撮像視野から外した後に再び撮像視野に入れることで、同じデコード結果のそれぞれについて上記所定の処理を行うことができる。
【0040】
請求項9の発明では、筐体の姿勢を検出する姿勢検出部が設けられる。そして、処理部は、デコード結果同異判定部により2以上の同じデコード結果が得られていると判定される場合であって、姿勢検出部により検出される筐体の姿勢が所定の姿勢状態である場合に、上記デコード結果について所定の処理を行う。
【0041】
これにより、使用者が意図して同じデータが記録された2以上の情報コードを読み取るために、上記所定の姿勢状態となるように筐体を把持することで、同じデコード結果のそれぞれについて上記所定の処理を行うことができる。
【0042】
請求項10の発明では、撮像部による撮像画像から情報コードをデコードするためのコード画像を検出するコード画像検出部により、撮像部により連続的に撮像される複数の連続撮像画像において、同じ情報コードのコード画像が検出され、この検出されているコード画像が撮像画像に占める状態に応じて、当該コード画像が読取対象であるか否かについて読取対象判定部により判定される。そして、読取対象判定部により読取対象であると判定されたコード画像のデコード処理が成功していることでデコード結果が得られていると、このデコード結果を利用して処理部により所定の処理が行われて、報知部により所定の報知が行われる。
【0043】
これにより、デコードタイミングを指示するためのトリガースイッチ等を有しない光学的情報読取装置であっても、使用者が読み取ろうとする情報コードに読取口を向けることで、その情報コードのコード画像が撮像画像に占める状態が所定の条件を満たす場合、例えば、撮像画像に占めるコード画像の範囲が所定範囲以上となる場合に、そのコード画像が読取対象である判定することができる。使用者が狙い読みしようとしている情報コードは、撮像画像に占めるコード画像の範囲が所定範囲以上等となりやすいからである。このため、読取対象と判定されたコード画像から得られたデコード結果を利用して所定の処理を行うとともに、デコード成功に応じた所定の報知を行うことで、トリガースイッチ等を利用することなく常時行われる読取処理において情報コードを狙い読みできる光学的情報読取装置を実現することができる。
【0044】
請求項11の発明では、読取対象判定部は、コード画像検出部により検出されているコード画像の一部に相当する部分が撮像部による撮像視野から外れた場合でも、撮像視野内のコード画像の残部の状態が所定の条件を満たすと、コード画像が読取対象であると判定する。これにより、使用者が狙い読みしようとしている情報コードの一部が撮像視野外となっただけで直ちにそのコード画像が読取対象外と判定されてしまうこともないので、より正確にそのコード画像が読取対象であるか否かについて判定することができる。
【0045】
請求項12の発明では、読取対象判定部により読取対象であると判定された際のコード画像のデコード処理が成功しておらず、当該判定後にそのコード画像のデコード処理が成功すると、その判定後に得られたデコード結果を利用して処理部により所定の処理が行われて、報知部により所定の報知が行われる。これにより、照明等の周囲環境のために、情報コードらしいものが撮像されていると判断できるもののそのデコードが成功しないままそのコード画像が読取対象であると判定された場合でも、その後の周囲環境の変化でそのコード画像のデコードが成功すると、読取対象のコード画像のデコードが成功したとして、その成功タイミングで上記所定の処理及び所定の報知を行うことができる。
【0052】
請求項13の発明では、撮像部による撮像視野に向けてマーカ光を照射するマーカ光照射部と、撮像部により撮像された撮像画像に対して情報コードをデコードするためのデコード処理を行うデコード部と、デコード部によりデコードされたデコード結果を出力するための出力部と、デコード部によりデコードされた情報コードが撮像画像の一部に相当するデコード対象エリア内に位置しているか否かについて判定するコード位置判定部と、が設けられる。そして、出力部は、撮像部によりマーカ光が撮像されない場合には、コード位置判定部によりデコード対象エリア内に位置していると判定された情報コードのデコード結果を出力する。
【0053】
読取対象の情報コードを含めた複数の情報コードが画面表示される場合、照射されたマーカ光は自ら発光する表示画面では反射されないために、読取装置では撮像された複数の情報コードのうちどの情報コードが読取対象であるかわからないという問題がある。このため、撮像部によりマーカ光が撮像されない場合には、画面表示された情報コードを読み取っているとして、デコード対象エリア内に位置していると判定された情報コードのデコード結果を出力することで、デコード対象エリア外の情報コードのデコード結果が出力されなくなる。すなわち、画面表示される複数の情報コードのうち読取対象の情報コードのみがデコード対象エリア内に位置するようにその画面に対して読取装置の読取口をかざすことで、同じ画面に表示される他の情報コードのデコード結果を出力することなく、読取対象の情報コードのデコード結果を出力することができる。
【0058】
請求項14の発明では、撮像部による撮像視野に向けてマーカ光を照射するマーカ光照射部と、撮像部により撮像された撮像画像に対して情報コードをデコードするためのデコード処理を行うデコード部と、デコード結果が得られた情報コードに向けてマーカ光が照射されている状態であるか否かについて判定するマーカ照射状態判定部と、マーカ照射状態判定部によりマーカ光が照射されている状態であると判定された情報コードのデコード結果を出力するための出力部と、デコード部により得られたデコード結果が出力部から前回出力されたデコード結果と一致するデコード結果一致状態であるか否かについて判定するデコード結果判定部と、出力部からデコード結果が出力されるごとに、前回出力されたデコード結果に一致するデコード結果が出力されることを防止するための二度読み防止設定を行う二度読み防止設定部と、が設けられる。そして、二度読み防止設定部は、出力部からデコード結果が出力された後にマーカ照射状態判定部によりデコード結果が得られた情報コードに向けてマーカ光が照射されている状態でないと判定されると、二度読み防止設定を解除する。また、出力部は、二度読み防止設定部により二度読み防止設定が行われていると、デコード結果判定部によりデコード結果一致状態であると判定されたデコード結果を出力対象外とし、二度読み防止設定が解除されると、デコード結果判定部によりデコード結果一致状態であると判定されたデコード結果であっても出力対象とする。
【0059】
従来、同じデコード結果がそれぞれ記録される複数の情報コードを続けて読み取る場合、二度読み防止機能を解除するために、情報コードを撮像視野から外すような解除操作が必要になり、エリアセンサのように撮像視野が大きな撮像部を有する読取装置では、その解除操作に要する使用者の動作が大きくなるという問題がある。このため、デコード結果が出力された後にその情報コードに向けてマーカ光が照射されている状態でないと判定されると二度読み防止設定を解除することで、デコード結果が出力された情報コードからマーカ光を外す操作によって二度読み防止設定が解除されるので、解除操作に要する使用者の動作を小さくすることができる。
【0064】
請求項15の発明では、撮像部により撮像された撮像画像に対して情報コードをデコードするためのデコード処理を行うデコード部と、デコード部によりデコードされたデコード結果を出力するための出力部と、撮像部による撮像画像の一部に相当する一部画像について画像が変化していないとみなされる一部画像一致状態であるか否かについて判定する画像状態判定部と、が設けられる。そして、デコード部は、出力部によりデコード結果が出力されると、画像状態判定部により一部画像一致状態と判定される場合にはデコード処理を行わない。
【0065】
このため、デコード結果が出力されると、一部画像が変化しているとみなされるような状態にならない限りデコード処理がなされることもないので、二度読み防止のために撮像ごとにデコード結果を比較する処理を行う必要もない。これにより、二度読み防止等のための処理負荷の軽減や処理時間の短縮を図ることができる。
【0066】
請求項16の発明のように、一部画像は、撮像画像に占める範囲が、当該撮像画像の中央部分に設定されてもよい。
【0067】
請求項17の発明のように、一部画像は、撮像画像に占める範囲が、当該撮像画像でのマーカ光の位置を基準に設定されてもよい。
【0068】
請求項18の発明では、一部画像は、撮像画像に占める範囲が、前回デコードに成功した情報コードを基準に設定される。これにより、前回デコードに成功した情報コードの位置を基準に撮像画像に占める一部画像の範囲を設定することで、情報コードを構成する各セルの明暗等を基準に上記一部画像が変化しているか判定できるので、判定精度を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【
図1】第1実施形態に係る光学的情報読取装置の構成概要を示す断面図である。
【
図2】把持部を把持した状態を説明する平面図である。
【
図3】把持部を把持した状態を説明する側面図である。
【
図4】
図4(A)は、
図1のX1-X1断面を拡大して示す拡大断面図であり、
図4(B)は、
図1のX2-X2断面を拡大して示す拡大断面図である。
【
図5】
図1の光学的情報読取装置の電気的構成を概略的に例示するブロック図である。
【
図6】
図6(A)は、バーコードに読取口の第1の開口領域を向けた状態を示す説明図であり、
図6(B)は、QRコードに読取口の第2の開口領域を向けた状態を示す説明図である。
【
図7】第1実施形態の第1変形例に係る光学的情報読取装置の読取口近傍の形状を説明する説明図である。
【
図8】
図8(A)は、第1実施形態の第2変形例に係る光学的情報読取装置の読取口近傍の形状を説明する説明図であり、
図8(B)は、第1実施形態の第3変形例に係る光学的情報読取装置の読取口近傍の形状を説明する説明図である。
【
図9】第2実施形態に係る光学的情報読取装置を示す側面図である。
【
図10】
図9の読取口近傍の形状を説明する説明図である。
【
図11】第2実施形態の第1変形例に係る光学的情報読取装置の読取口近傍の形状を説明する説明図である。
【
図12】
図12(A)は、第2実施形態の第2変形例に係る光学的情報読取装置の読取口近傍の形状を説明する説明図であり、
図12(B)は、第2実施形態の第3変形例に係る光学的情報読取装置の読取口近傍の形状を説明する説明図である。
【
図13】
図13(A)は、第2実施形態の第4変形例に係る光学的情報読取装置の読取口近傍の形状を説明する説明図であり、
図13(B)は、第2実施形態の第5変形例に係る光学的情報読取装置の読取口近傍の形状を説明する説明図である。
【
図14】
図14(A)は、第2実施形態の第6変形例に係る光学的情報読取装置の読取口近傍の形状を説明する説明図であり、
図14(B)は、第2実施形態の第7変形例に係る光学的情報読取装置の読取口近傍の形状を説明する説明図である。
【
図15】第3実施形態に係る光学的情報読取装置の構成概要を示す断面図である。
【
図16】第4実施形態に係る光学的情報読取装置におけるマーカ光照射部の構成概要を説明する説明図である。
【
図17】マーカ光と撮像視野と照明光との位置関係を示す説明図である。
【
図18】第5実施形態に係る光学的情報読取装置を示す側面図である。
【
図20】
図20(A)は、第5実施形態の第1変形例に係る光学的情報読取装置の壁部近傍の形状を説明する説明図であり、
図20(B)は、第5実施形態の第2変形例に係る光学的情報読取装置の壁部近傍の形状を説明する説明図である。
【
図21】
図21(A)は、第5実施形態の第3変形例に係る光学的情報読取装置の壁部近傍の形状を説明する説明図であり、
図21(B)は、第5実施形態の第4変形例に係る光学的情報読取装置の壁部近傍の形状を説明する説明図であり、
図21(C)は、第5実施形態の第5変形例に係る光学的情報読取装置の壁部近傍の形状を説明する説明図である。
【
図22】第5実施形態の第6変形例に係る光学的情報読取装置の壁部近傍の形状を説明する説明図である。
【
図23】第7実施形態に係る光学的情報読取装置の要部を示す説明図である。
【
図24】第7実施形態の第1変形例に係る光学的情報読取装置の要部を示す説明図である。
【
図25】第8実施形態に係る光学的情報読取装置を示す斜視図である。
【
図28】保持部により保護プレートが保持されている状態を説明する説明図である。
【
図29】
図29(A)は、露出幅及び露出深さを変化させた際の指の接触度合を示す説明図であり、
図29(B)は、露出幅及び露出深さを説明する説明図である。
【
図30】第8実施形態の第1変形例に係る光学的情報読取装置の要部を示す説明図である。
【
図31】第8実施形態の第2変形例に係る光学的情報読取装置の要部を示す説明図である。
【
図32】
図32(A)は、第8実施形態の第3変形例に係る光学的情報読取装置の要部を示す説明図であり、
図32(B)は、
図32(A)のX3-X3断面を拡大して示す拡大断面図である。
【
図33】第9実施形態における読取処理の流れを例示するフローチャートである。
【
図34】第10実施形態において読み取り時にバーコードとQRコードとが同時に撮像された撮像画像を示す説明図である。
【
図35】第10実施形態における読取処理の流れを例示するフローチャートである。
【
図36】第11実施形態における読取処理の流れを例示するフローチャートである。
【
図37】第11実施形態の第1変形例における読取処理の流れを例示するフローチャートである。
【
図38】第11実施形態の第2変形例における読取処理の流れを例示するフローチャートである。
【
図39】第11実施形態の第3変形例における読取処理の流れを例示するフローチャートである。
【
図40】第11実施形態の第4変形例における読取処理の流れを例示するフローチャートである。
【
図41】第12実施形態における読取処理の流れを例示するフローチャートである。
【
図42】デコード可能なコード画像が検出された連続撮像画像を説明する説明図であり、
図42(A)は、撮像画像に占めるコード画像の範囲が所定範囲未満である状態を示し、
図42(B)は、撮像画像に占めるコード画像の範囲が
図42(A)よりは大きくても上記所定範囲未満である状態を示し、
図42(C)は、撮像画像に占めるコード画像の範囲が上記所定範囲以上である状態を示す。
【
図43】コード画像が検出された連続撮像画像を説明する説明図であり、
図43(A)は、撮像画像に占めるコード画像の範囲が所定範囲未満である状態を示し、
図43(B)は、撮像画像に占めるコード画像の範囲が
図43(A)よりは大きくても上記所定範囲未満である状態を示し、
図43(C)は、デコード不能な撮像画像内のコード画像の残部が上記所定範囲以上である状態を示す。
【
図44】第12実施形態の第1変形例における読取処理の流れを例示するフローチャートである。
【
図45】コード画像が検出された連続撮像画像を説明する説明図であり、
図45(A)は、撮像画像に占めるコード画像の範囲が所定範囲未満であってデコードに失敗している状態を示し、
図45(B)は、撮像画像に占めるコード画像の範囲が
図45(A)よりは大きくても上記所定範囲未満であってデコードに失敗している状態を示し、
図45(C)は、撮像画像に占めるコード画像の範囲が上記所定範囲以上であってデコードに失敗している状態を示し、
図45(D)は、撮像画像に占めるコード画像の範囲が上記所定範囲未満であってデコードに成功している状態を示す。
【
図46】3つのバーコードが上下に並んで画面表示される状態を説明する説明図である。
【
図47】第13実施形態における読取処理の流れを例示するフローチャートである。
【
図48】撮像画像と読取エリアとの位置関係を説明する説明図である。
【
図49】読取対象の情報コードの画像と読取対象外の情報コードの画像の一部とが読取エリアに含まれる状態を説明する説明図である。
【
図50】読取対象の情報コードの画像のみが読取エリアに含まれる単一コード撮像状態を説明する説明図である。
【
図51】読取対象の情報コードの全ての特定パターンの画像と他の情報コードの一部の特定パターンの画像とが読取エリアに含まれる状態を説明する説明図である。
【
図52】第14実施形態に係る光学的情報読取装置とデコード対象エリアとの位置関係を説明する説明図である。
【
図53】
図52に示す状態で撮像された撮像画像を説明する説明図である。
【
図54】第14実施形態における読取処理の流れを例示するフローチャートである。
【
図55】第15実施形態における読取処理の流れを例示するフローチャートである。
【
図56】
図56(A)は、マーカ光がQRコードCfに照射された状態を示す説明図であり、
図56(B)は、マーカ光がQRコードCfから外れた状態を示す説明図であり、
図56(C)は、マーカ光がQRコードCgに照射された状態を示す説明図である。
【
図57】第16実施形態における読取処理の流れを例示するフローチャートである。
【
図58】
図58(A)は、マーカ光がコード領域に照射された状態を示す説明図であり、
図58(B)は、マーカ光がコード周辺領域に照射された状態を示す説明図であり、
図58(C)は、マーカ光がコード周辺領域から外れた状態を示す説明図である。
【
図59】
図59(A)は、撮像画像に占める情報コードの大きさが大きくなる場合のコード周辺領域を説明する説明図であり、
図59(B)は、撮像画像に占める情報コードの大きさが小さくなる場合のコード周辺領域を説明する説明図である。
【
図60】コード割合と周辺距離とが関係付けられるテーブルを説明する説明図である。
【
図61】従来の読み取りサイクルを説明するタイミングチャートである。
【
図62】第17実施形態において撮像画像に対する一部画像の位置を説明する説明図であり、
図62(A)は撮像画像を示し、
図62(B)は、
図62(A)の撮像画像に対して設定される一部画像を示す。
【
図63】第17実施形態における読取処理の流れを例示するフローチャートである。
【
図64】第17実施形態における読み取りサイクルを説明するタイミングチャートである。
【
図65】撮像画像でのマーカ光の位置を基準に設定された一部画像の位置を説明する説明図である。
【
図66】第18実施形態に係る光学的情報読取装置を示す側面図である。
【
図67】縁部に対する保護部材の組み付けを説明する説明図であり、
図67(A)は、外側保護部と内側保護部との間に縁部が挿入された状態を示し、
図67(B)は、被接着部が突出部を乗り越えた状態を示し、
図67(C)は、被接着部が接着部に接着された状態を示す。
【
図68】第18実施形態の変形例に係る光学的情報読取装置の要部を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0076】
[第1実施形態]
以下、本発明に係る光学的情報読取装置を具現化した第1実施形態について、図面を参照して説明する。
本実施形態に係る光学的情報読取装置10は、所定の表示面に表示された一次元コードや二次元コード等の情報コードを光学的に読み取る情報コードリーダとして構成されている。ここで、一次元コードとしては、例えば、JANコード、EAN、UPC、ITFコード、CODE39、CODE128、NW-7等からなるいわゆるバーコードが想定される。また、二次元コードとしては、例えば、QRコード、データマトリックスコード、マキシコード、Aztecコード等の方形状の情報コードが想定される。
【0077】
図1に示すように、光学的情報読取装置10は、ABS樹脂等の合成樹脂からなる上ケース11aおよび下ケース11bが組み付けられて構成される筐体11によって外郭が形成され、この筐体11内に各種電気部品等からなる回路部20aが回路基板20等に実装されて収容されている。筐体11は、読取口50が形成された読取部12と、読取口50を情報コードに向ける際に把持される把持部13と、を備えている。
【0078】
読取部12は、
図1及び
図3に示すように、把持部13の長手方向を水平方向としたとき、把持部13の長手方向一側の端部から斜め下方に延出してその延出端部12aに読取口50が位置するように把持部13に連結されている。すなわち、筐体11は、読取口50が形成される一端側が、裏面側に大きく前傾する首曲がり形状に形成されている。これにより、
図2及び
図3に示すように、使用者が把持部13を当該上ケース11a側から指先で挟むように把持した状態で、水平面に沿う所定の表示面Rに表示された情報コードCに読取口50を向け易くしている。また、筐体11の他端側(把持部13の長手方向他側)にはケーブル取付部14が形成されている。
【0079】
図4(A)(B)に示すように、読取部12の延出端部12aにおいて、読取口50を構成する周縁51は、把持部13から離れた一側縁部52を下底としこの一側縁部52に対向する縁であって当該一側縁部52よりも長さが短い他側縁部53を上底とするように略台形状に形成されている。より具体的には、周縁51は、脚54及び脚55が対称形状となるように略等脚台形状に形成されている。
【0080】
このように読取口50が開口することで、一側縁部52近くの一方向に長い開口領域(以下、第1の開口領域S1ともいう)を、一方向に長い情報コード、すなわち、一次元コードを読み取るための開口領域として利用することができる。また、一側縁部52の一部と他側縁部53とを対辺とする方形状の開口領域(以下、第2の開口領域S2ともいう)を、方形状の情報コード、すなわち、二次元コードを読み取るための開口領域として利用することができる。
【0081】
特に、本実施形態では、一側縁部52には、上記斜め下方に沿って薄板状に突出する壁部56が設けられている。この壁部56は、周縁51のうち一側縁部52のみをその厚さのまま斜め下方に突出させ、一側縁部52から突出端部56aまでの突出長さHが、突出端部56aを接触させた表示面Rに表示される情報コードCの撮像に適した距離に応じた長さとなるように形成されている。具体的には、壁部56は、例えば、突出長さHが、突出端部56aを接触させた表示面Rに表示される情報コードCの撮像に関してベストフォーカスとなるかベストフォーカスに近づくように、形成されている。
【0082】
このように形成される読取口50は、上ケース11a側から把持部13を把持した状態で、
図1に示すように、壁部56の突出端部56aを、使用者から見て情報コードCの奥側近傍となる表示面Rの位置に接触させることで、情報コードCからの反射光を取り込み可能な状態となる。
【0083】
次に、光学的情報読取装置10の電気的構成について、図面を参照して説明する。
図1および
図5に示すように、上記筐体11に収容される回路部20aは、主に、照明光源21、受光センサ28、結像レンズ27等の光学系と、メモリ35、制御回路40等のマイクロコンピュータ(以下「マイコン」という)系とを備えている。
【0084】
光学系は、投光光学系と、受光光学系とに分かれている。投光光学系を構成する照明光源21は、照明光Lfを発光可能な照明部として機能するもので、例えば、赤色のLED21aとこのLED21aの出射側に設けられるレンズ21bとから構成されている。照明光源21は、
図1に示す照明光軸L1からわかるように、結像光軸L2に対して傾斜するように照明光Lfを照射するように配置されている。照明光Lfを結像光軸L2に対して平行に照射すると鏡面反射してしまうからである。なお、
図5では、情報コードCが表示された表示面Rに向けて、読取口50を介して照明光Lfを照射する例を概念的に示している。
【0085】
受光光学系は、受光センサ28、結像レンズ27、反射鏡(図示略)などによって構成されている。受光センサ28は、例えば、C-MOSやCCD等の固体撮像素子である受光素子を二次元に配列したエリアセンサとして構成されるものであり、方形状の受光領域として受光面28aを有するように構成されている。この受光センサ28は、読取口50、保護プレート26および結像レンズ27を介して入射する入射光を受光可能に回路基板20に実装されている。
【0086】
結像レンズ27は、外部から読取口50を介して入射する入射光を集光して受光センサ28の受光面28aに像を結像可能な結像光学系として機能するものである。本実施形態では、照明光源21から照射された照明光Lfが情報コード等にて反射した後、この反射光Lrを結像レンズ27で集光し、受光センサ28の受光面28aにコード像等を結像させている。本実施形態では、結像レンズ27は、鏡面反射の影響を抑制するため、突出端部56aを表示面Rに接触させた際に結像光軸L2が表示面Rに対して直交することなく傾斜し、想定される表示面Rと結像光軸L2との傾斜角度θが、例えば、45°~70°程度となるように配置されている。特に、結像レンズ27は、
図4(B)に示すように、方形状の受光面28aを有する受光センサ28の
図1のX2-X2断面での撮像視野ARが、周縁51との隙間が5mm程度であって周縁51よりも僅かに狭い台形状となるように配置されている。そして、結像レンズ27は、所定の表示面Rからの結像系の折り返し視野(表示面Rにて反射されるようにして撮像される撮像範囲)内に照明光源21が入らないようにするため、受光センサ28の受光面に対して照明光源21から離れる方向(
図1の左方向)にずれることで偏心するように配置される。なお、受光センサ28及び結像レンズ27等は、「撮像部」の一例に相当し得る。
【0087】
マイコン系は、増幅回路31、A/D変換回路33、メモリ35、アドレス発生回路36、同期信号発生回路38、制御回路40、トリガースイッチ42、ブザー44、バイブレータ45、発光部46、通信インタフェース48等から構成されている。このマイコン系は、その名の通り、マイコン(情報処理装置)として機能し得る制御回路40およびメモリ35を中心に構成されるもので、上述した光学系によって撮像された情報コードの画像信号をハードウェア的およびソフトウェア的に信号処理し得るものである。また制御回路40は、当該光学的情報読取装置10の全体システムに関する制御も行っている。
【0088】
光学系の受光センサ28から出力される画像信号(アナログ信号)は、増幅回路31に入力されることで所定ゲインで増幅された後、A/D変換回路33に入力されると、アナログ信号からディジタル信号に変換される。そして、ディジタル化された画像信号、つまり画像データ(画像情報)は、メモリ35に入力されると、画像データ蓄積領域に蓄積される。なお、同期信号発生回路38は、受光センサ28およびアドレス発生回路36に対する同期信号を発生可能に構成されており、またアドレス発生回路36は、この同期信号発生回路38から供給される同期信号に基づいて、メモリ35に格納される画像データの格納アドレスを発生可能に構成されている。
【0089】
メモリ35は、半導体メモリ装置で、例えばRAM(DRAM、SRAM等)やROM(EPROM、EEPROM等)がこれに相当する。このメモリ35のうちのRAMには、上述した画像データ蓄積領域のほかに、制御回路40が算術演算や論理演算等の各処理時に利用する作業領域や読取条件テーブルも確保可能に構成されている。また、ROMには、照明光源21、受光センサ28等の各ハードウェアを制御可能なシステムプログラム等が予め格納されている。
【0090】
制御回路40は、光学的情報読取装置10全体を制御可能なマイコンで、CPU、システムバス、入出力インタフェース等からなるもので、メモリ35とともに情報処理装置を構成し得るもので情報処理機能を有する。この制御回路40は、内蔵された入出力インタフェースを介して種々の入出力装置(周辺装置)と接続可能に構成されており、本実施形態の場合、トリガースイッチ42、ブザー44、バイブレータ45、発光部46、通信インタフェース48等が接続されている。これにより、例えば、トリガースイッチ42の監視や管理、ビープ音やアラーム音を発生可能なブザー44の鳴動のオンオフ、当該光学的情報読取装置10の使用者に伝達し得る振動を発生可能なバイブレータ45の駆動制御、発光部46の点灯、非点灯や外部装置との通信を可能にする通信インタフェース48の通信制御等が制御回路40によって行われることとなる。
【0091】
次に、上述のように構成される光学的情報読取装置10を用いて情報コードCを読み取る場合について、
図6を参照して説明する。
一次元コードや二次元コード等の情報コードを読み取る場合には、制御回路40により以下のように読取処理が行われる。
【0092】
一方向に長い一次元コードとしてバーコードC1を読み取る場合には、壁部56の突出端部56aをバーコードC1の奥側近傍となる表示面Rの位置に接触させることで、
図6(A)に示すように、第1の開口領域S1を介してバーコードC1を撮像可能な状態になる。また、二次元コードとしてQRコードC2を読み取る場合でも、壁部56の突出端部56aをQRコードC2の奥側近傍となる表示面Rの位置に接触させることで、
図6(B)に示すように、第2の開口領域S2を介してQRコードC2を撮像可能な状態になる。
【0093】
このように、情報コードCの奥側近傍となる表示面Rの位置に壁部56の突出端部56aを接触させた状態で、トリガースイッチ42に対して所定の操作がなされると、照明光源21から照明光Lfが読取口50を介して照射されて、情報コードCにて反射された反射光Lrが読取口50を介して受光センサ28にて受光される。このように照明光Lfが照射される際には、壁部56の突出端部56aが表示面Rに接触しているために光が漏れないので、使用者から見て奥側からの外来光が撮像されることもなく、読取口50を向けている方向(上記奥側に相当する方向)にいる人が照明光Lfによって眩しさを感じることもない。その一方で、読取口50の手前側には壁部56が設けられていないため、情報コードCの視認性を損なうこともない。
【0094】
上記受光に応じて受光センサ28から出力される信号に基づいて、情報コードCが撮像されて画像データが生成されると、この画像データのうち情報コードCに相当するコード画像に対して公知のデコード処理(読取処理)が実施される。この処理により、情報コードCとしてコード化された文字データ等がデコードされる。
【0095】
このデコードが成功すると、このデコード成功を報知するための報知部の処理として、ブザー44の鳴動、バイブレータ45の振動および発光部46の発光等の少なくともいずれか1つがなされる。なお、受光センサ28から出力される一部の信号に基づいて生成された画像データに基づいてデコードが成功した場合には、残りの信号は不要となる。この場合には残りの信号に基づく画像データの生成以降の処理を中断することで、デコード(光学的な読み取り)に関する処理負荷を軽減できるだけでなく、処理時間を短縮することができる。
【0096】
以上説明したように、本実施形態に係る光学的情報読取装置10では、筐体11は、照明光源21からの照明光Lfを出射して情報コードCからの光を当該筐体11の内部に導入する読取口50が形成された読取部12と、読取口50を情報コードCに向ける際に把持される把持部13と、を備えている。そして、読取部12は、把持部13の長手方向を水平方向としたとき、把持部13の長手方向一側の端部から斜め下方に延出して延出端部12aに読取口50が位置するように把持部13に連結され、読取口50の周縁51のうち把持部13から離れた一側縁部52には、上記斜め下方に沿って突出する壁部56が設けられる。
【0097】
これにより、表示面Rから読取口50を離した状態で情報コードCを撮像する際には、把持部13を把持する使用者から見て情報コードCの奥側に壁部56が位置し、情報コードCの手前側には使用者自身が位置するため、情報コードCの視認性を損なうことなく、情報コードC等にて反射した外来光を撮像され難くすることができる。さらに、読取口50を介した照明光Lfによる情報コードC等での反射光が壁部56によって情報コードCの奥側に反射され難くなるので、読取口50を向けている方向(上記奥側に相当する方向)にいる人が感じる眩しさを抑制することができる。特に、壁部56の先端側となる突出端部56aを表示面Rに接触させるため、外来光の影響や周囲の人が感じる眩しさをより確実に抑制することができる。したがって、情報コードCを読み取る際に、その情報コードCの視認性を損なうことなく、外来光の影響や周囲の人が感じる眩しさを抑制し得る光学的情報読取装置10を実現することができる。
【0098】
特に、壁部56は、一側縁部52から突出端部56aまでの突出長さHが、突出端部56aを接触させた表示面Rに表示される情報コードCの撮像に適した距離に応じた長さとなるように形成されている。これにより、突出端部56aを表示面Rに接触させるようにして読取口50を情報コードCに向けることで、読み取りに適した情報コードCを撮像できるので、情報コードCの読取成功率を高めることができる。
【0099】
また、結像レンズ27は、受光センサ28の受光面に対して照明光源21から離れる方向にずれて配置されるため、所定の表示面Rからの折り返し視野内に照明光源21が入り難くなり、この点からしても照明光に起因する鏡面反射を抑制することができる。
【0100】
本第1実施形態の第1変形例として、一側縁部52及び壁部56は、
図7に例示するように、読取口50を平面視したときに、円弧状となるように形成されてもよい。すなわち、周縁51は、読取口50を平面視したときに、少なくとも一部が円弧状となるように形成されてもよい。
【0101】
また、第1実施形態の第2変形例として、結像レンズ27等は、
図1のX2-X2断面に相当する位置での撮像視野ARが、
図8(A)に例示するように、壁部56の内面を撮像範囲とするように、配置されてもよい。また、第1実施形態の第3変形例として、結像レンズ27等は、上述したように壁部56が円弧状に形成される場合でも、
図1のX2-X2断面に相当する位置での撮像視野ARが、
図8(B)に例示するように、円弧状の壁部56の内面の少なくとも一部を撮像範囲とするように、配置されてもよい。
【0102】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態に係る光学的情報読取装置について、
図9及び
図10を用いて説明する。
本第2実施形態では、読取部12の読取口50近傍の形状が主に上記第1実施形態と異なる。このため、第1実施形態と実質的に同様の構成部分には同一符号を付して説明を省略する。
【0103】
図9及び
図10に示すように、本実施形態では、読取口50の周縁51には、当該読取口50を介して対向しそれぞれ壁部56に連なる一対の対向部57a,57bが設けられている。対向部57aは、脚54をその厚さのまま斜め下方に突出させ、一側縁部52に近くなるほど突出長さが長くなり、一側縁部52の近傍部位では突出長さが壁部56の突出長さHに等しくなるように形成されている。また、対向部57bは、脚55をその厚さのまま斜め下方に突出させ、一側縁部52に近くなるほど突出長さが長くなり、一側縁部52の近傍部位では突出長さが壁部56の突出長さHに等しくなるように形成されている。すなわち、本実施形態では、周縁51から断面略コ字状の壁部が斜め下方に突出するように形成される。特に、対向部57a,57bは、
図9に示すように、突出端側ほど幅が狭くなるように対称に形成されている。
【0104】
このように、壁部56及び一対の対向部57a,57bが設けられることで、一対の対向部57a,57bを利用して壁部56を補強しつつ、上記奥側からの外来光の影響だけでなく左右方向からの外来光の影響も抑制することができる。
【0105】
本第2実施形態の第1変形例として、一対の対向部57a,57bは、
図11に例示するように、読取口50が方形状に開口するように形成される場合には、互いに略平行となるように形成されてもよい。
【0106】
また、第2実施形態の第2変形例として、略台形状の読取口50を介して一対の対向部57a,57bが配置される構成において、結像レンズ27等は、
図1のX2-X2断面に相当する位置での撮像視野ARが、
図12(A)に例示するように、壁部56の内面を撮像範囲とするように、配置されてもよい。また、第2実施形態の第3変形例として、方形状の読取口50を介して一対の対向部57a,57bが配置される構成において、結像レンズ27等は、
図1のX2-X2断面に相当する位置での撮像視野ARが、
図12(B)に例示するように、壁部56の内面を撮像範囲とするように、配置されてもよい。
【0107】
また、第2実施形態の第4変形例として、一側縁部52及び壁部56は、
図13(A)に例示するように、読取口50を平面視したときに、円弧状となるように形成されてもよい。すなわち、周縁51は、読取口50を平面視したときに、少なくとも一部が円弧状となるように形成されてもよい。また、第2実施形態の第5変形例として、一対の対向部57a,57bは、
図13(B)に例示するように、上述したように壁部56が円弧状に形成される場合に、互いに略平行となるように形成されてもよい。
【0108】
また、第2実施形態の第6変形例として、結像レンズ27等は、上述したように一側縁部52及び壁部56が円弧状に形成される場合でも、
図1のX2-X2断面に相当する位置での撮像視野ARが、
図14(A)に例示するように、円弧状の壁部56の内面を撮像範囲とするように、配置されてもよい。また、第2実施形態の第7変形例として、結像レンズ27等は、上述したように一側縁部52及び壁部56が円弧状に形成されるとともに一対の対向部57a,57bが互いに略平行となるように形成される場合でも、
図1のX2-X2断面に相当する位置での撮像視野ARが、
図14(B)に例示するように、円弧状の壁部56の内面を撮像範囲とするように、配置されてもよい。
【0109】
[第3実施形態]
次に、本発明の第3実施形態に係る光学的情報読取装置について、以下に説明する。
本第3実施形態では、照明光源21から照射される照明光Lfの照射方向が主に上記第1実施形態と異なる。このため、第1実施形態と実質的に同様の構成部分には同一符号を付して説明を省略する。
【0110】
表示面Rに対する照明光Lfの照射方向の角度、すなわち、表示面Rと照明光軸L1との傾斜角度の角度を90°に近づけると、照明光Lfに起因する鏡面反射が読み取りに影響しやすくなる。その一方で、上記照射方向の角度を単に小さくすると、読取口50を向けた情報コードCに照明光Lfが照射され難くなる。
【0111】
そこで、本実施形態では、
図15に例示するように、照明光源21は、照明光Lfを壁部56の内面56bに向けて照射するように配置される。
【0112】
これにより、突出端部56aを情報コードCの奥側近傍となる表示面Rの位置に接触させた状態で、照明光源21から照射された照明光Lfは、読取口50を通過した後に壁部56の内面56bにて反射することで、情報コードCに照射される。
【0113】
このように、照明光Lfが読取口50を介して壁部56の内面56bに向けて照射されるように照明光源21を配置することで、壁部56を近づけた情報コードCが当該壁部56にて反射された反射光によって照らされるため、必要な照度を確保しつつ、情報コードCの読み取りに関して照明光Lfに起因する鏡面反射の影響を抑制することができる。
【0114】
なお、照明光Lfを壁部56の内面56bに向けて照射する本実施形態の特徴的構成は、他の実施形態等にも適用することができる。
【0115】
[第4実施形態]
次に、本発明の第4実施形態に係る光学的情報読取装置について、以下に説明する。
本第4実施形態では、撮像視野ARの中心を示すためのマーカ光を照射するマーカ光照射部が設けられる点が主に上記第1実施形態と異なる。このため、第1実施形態と実質的に同様の構成部分には同一符号を付して説明を省略する。
【0116】
本実施形態では、
図16に示すように、撮像視野ARの中心(結像光軸L2)を示すための円状のマーカ光Lmを、読取口50を介して照射するマーカ光照射部29が、筐体11内に設けられている。このマーカ光照射部29は、マーカ光源29a、絞り29b、マーカレンズ29c等を備えており、マーカ光Lmのマーカ光軸L3と結像光軸L2との角度差を小さくしつつ、マーカ光源29aが受光センサ28に近接するように配置されている。
【0117】
特に、本実施形態では、情報コードCを読み取り可能な状態では、照明光Lfとマーカ光Lmとが交互に照射されるように構成されており、使用者は、照明光Lfとマーカ光Lmとが同時に照射されているように視認する。このため、本実施形態では、照明光Lfの色として赤色が採用されており、カラーユニバーサルデザインを意識して、マーカ光Lmの色として、視感度最大の555nmに近い波長となる緑色が採用されている。なお、上述した照明光Lf及びマーカ光Lmの色はあくまで一例であり、例えば、照明光Lfが白色で照射される場合にマーカ光Lmが赤色で照射されてもよいし、照明光Lfが赤色で照射される場合にマーカ光Lmが橙色で照射されてもよいし、照明光Lfが白色で照射される場合にマーカ光Lmが緑色で照射されてもよい。
【0118】
上述のようにマーカ光照射部29が設けられることで、情報コードCを読み取るために照明光Lfが照射されている場合には、
図17に例示するように、撮像視野ARの中心を示すマーカ光Lmが視認される。これにより、使用者は、マーカ光Lmの位置によって撮像視野ARを容易に視認することができ、情報コードCに対して適切に読取口50を向けることができる。
【0119】
なお、撮像視野ARの中心を示すためのマーカ光Lmを照射する本実施形態の特徴的構成は、他の実施形態等にも適用することができる。
【0120】
[第5実施形態]
次に、本発明の第5実施形態に係る光学的情報読取装置について、以下に説明する。
本第5実施形態では、二次元コードの読み取りを容易にするためのガイド部が壁部に設けられる点が主に上記第1実施形態と異なる。このため、第1実施形態と実質的に同様の構成部分には同一符号を付して説明を省略する。
【0121】
上述したように、第1実施形態における読取口50は、一方向に長い一次元コードと方形状の二次元コードとの双方を読取対象とするために略台形状に開口しており、把持部13から離れた一側縁部52を下底としこの一側縁部52に壁部56が設けられている。このため、壁部56の外面56cを見ながら読取口50を二次元コードに向ける際には、壁部56によって二次元コードが隠されてしまい、正確に第2の開口領域S2を二次元コードに向けることができない場合がある。
【0122】
そこで、本実施形態では、
図18及び
図19に示すように、壁部56の突出端部56a近傍となる外面56cに、二次元コードを読み取る際にガイドとして機能するガイド部60が設けられている。ガイド部60は、一対のガイド61,62を備えている。
図19に示すように、ガイド61は、他側縁部53の一端部を一側縁部52に対して垂直に投影した位置にて突起状に形成されており、ガイド62は、他側縁部53の他端部を一側縁部52に対して垂直に投影した位置にて突起状に形成されている。
【0123】
これにより、壁部56の外面56cを見ながら読取口50を二次元コードに向ける場合でも、ガイド61とガイド62との間に二次元コードが位置していることで、第2の開口領域S2を二次元コードに向けることができるので、二次元コードの読取動作を容易に行うことができる。
【0124】
本実施形態の変形例として、一対のガイド61,62は、薄板状に突出する壁部56に設けられることに限らず、
図20(A)に示す第5実施形態の第1変形例のように、
図10に示す壁部56に設けられてもよいし、
図20(B)に示す第5実施形態の第2変形例のように、
図11に示す壁部56に設けられてもよい。また、一対のガイド61,62は、
図21(A)に示す第5実施形態の第3変形例のように、
図7に示す壁部56に設けられてもよいし、
図21(B)に示す第5実施形態の第4変形例のように、
図13(A)に示す壁部56に設けられてもよいし、
図21(C)に示す第5実施形態の第5変形例のように、
図13(B)に示す壁部56に設けられてもよい。その際、結像レンズ27等は、
図1のX2-X2断面に相当する位置での撮像視野ARが、上述したように、壁部56の内面を撮像範囲とするように配置されてもよい。
【0125】
また、一対のガイド61,62は、二次元コードを読み取るための第2の開口領域S2の位置を想像しやすくするため、
図22に示す第5実施形態の第6変形例のように、突出端部56aに近くなるほど、ガイド61とガイド62とが離れるように配置されてもよい。
【0126】
なお、一対のガイド61,62は、壁部56の外面56cに対して一体となるように突起状に形成されることに限らず、切欠き等を利用して、視認しやすい形状にて形成されればよい。また、一対のガイド61,62は、外面56cに対して印刷等を利用して表示されてもよいし、LED等の発光部を利用して表示されてもよい。また、ガイド部60として液晶表示器等の表示部を採用することで、その表示部の表示状態を利用して一対のガイド61,62を表示してもよい。また、壁部56の外面56cに着脱可能に組み付けられるアタッチメントに上述した各種のガイド61,62を設けるようにしてもよい。
【0127】
なお、二次元コードの読み取りを容易にするためのガイド部を壁部に設ける本実施形態の特徴的構成は、他の実施形態等にも適用することができる。
【0128】
[第6実施形態]
次に、本発明の第6実施形態に係る光学的情報読取装置について、以下に説明する。
本第6実施形態では、読取対象に応じて受光センサ28から取り込んでデコード処理に用いる信号を選別する点が主に上記第1実施形態と異なる。このため、第1実施形態と実質的に同様の構成部分には同一符号を付して説明を省略する。
【0129】
本実施形態では、制御回路40にて実施される読取処理において、第1の開口領域S1および第2の開口領域S2を介して取り込まれる情報コードCからの反射光の受光に応じて受光センサ28から出力される信号に基づいて当該情報コードをデコードする(読み取る)状態(情報コード読取モード)と、第1の開口領域S1を介して取り込まれる一次元コードからの反射光の受光に応じて受光センサ28から出力される信号に基づいて当該一次元コードをデコードする(読み取る)状態(一次元コード読取モード)と、が用意されている。
【0130】
初期設定では情報コード読取モードに設定されており、制御回路40にて実施される読取処理では、一次元コードおよび二次元コードの双方を含めた情報コードを読み取ることができる。
【0131】
そして、読取対象が一次元コードのみである場合には、所定の操作またはモード切替用の情報コードの読み取り等に応じて、制御回路40にて実施される読取処理において、切替部として機能する制御回路40により、上記一次元コード読取モードに切り替えられる。
【0132】
このように一次元コード読取モードに切り替えた状態で、一次元コードが表示された表示面Rに突出端部56aを接触させるようにして読取口50を第1の開口領域S1にて一次元コードに向けることで、一次元コードを読取る位置に対して読取口50を容易に向けやすくできるだけでなく、読取対象が明確になることからデコード処理(読取処理)の負荷軽減および時間短縮を図ることができる。
【0133】
本実施形態の変形例として、さらに、第2の開口領域S2を介して取り込まれる二次元コードからの反射光の受光に応じて受光センサ28から出力される信号に基づいて当該二次元コードをデコードする(読み取る)状態(二次元コード読取モード)を用意することができる。
【0134】
このため、読取対象が二次元コードのみである場合には、所定の操作またはモード切替用の情報コードの読み取り等に応じて、制御回路40にて実施される読取処理において、上記二次元コード読取モードに切り替えた状態で、二次元コードが表示された表示面Rに突出端部56aを接触させるようにして読取口50を第2の開口領域S2にて二次元コードに向ければよい。これにより、二次元コードを読取る位置に対して読取口50を容易に向けやすくできるだけでなく、読取対象が明確になることからデコード処理(読取処理)の負荷軽減および時間短縮を図ることができる。
【0135】
なお、読取対象に応じて受光センサ28から取り込んでデコード処理に用いる信号を選別する本実施形態の特徴的構成は、他の実施形態等にも適用することができる。
【0136】
[第7実施形態]
次に、本発明の第7実施形態に係る光学的情報読取装置について、
図23を用いて説明する。
本第7実施形態では、結像中心(光学中心)Pが第1の開口領域S1の中央に位置するように配置される点が主に上記第1実施形態と異なる。このため、第1実施形態と実質的に同様の構成部分には同一符号を付して説明を省略する。
【0137】
本実施形態では、一次元コードの読み取りを二次元コードの読み取りよりも重視することから、受光センサ28に対して情報コードからの反射光を結像させる結像レンズ27は、
図23に示すように結像中心Pが第1の開口領域S1の中央に位置するように結像光軸L2の傾きを調整して配置されている。
【0138】
これにより、第1の開口領域S1に相当する受光領域での受光が確実になされるので、一次元コードの読取精度を向上させることができる。
【0139】
特に、本実施形態では、
図23に示すように、照明光源21は、帯状の光(略ライン状の光)を照明光Lfとして第1の開口領域S1に向けて照射するように構成されている。
【0140】
このため、読取対象の一次元コードに対して照明光Lfを照射しやすくなるだけでなく、照明光Lfがガイド光として機能することで、読取口50を第1の開口領域S1にて一次元コードに向けやすくなる。これにより、第1の開口領域S1を向けた一次元コードからの反射光Lrをより一層受光しやすくなるので、一次元コードの読取精度をさらに向上させることができる。
【0141】
なお、二次元コードの読み取りを一次元コードの読み取りよりも重視する場合には、
図24に示す第7実施形態の第1変形例のように、照明光源21から断面方形状の照明光Lfが第2の開口領域S2を介して照射されるように構成されてもよい。
【0142】
この場合には、第2の開口領域S2を向けた二次元コードからの反射光Lrを受光センサ28にて受光しやすくなるので、二次元コードの読取精度を向上させることができる。特に、断面方形状の照明光Lfがガイド光として機能することで、読取口50を第2の開口領域S2にて二次元コードに向けやすくなる。
【0143】
なお、上記第7実施形態およびその変形例において、照明光源21は、所定の入力操作に応じてその発光状態が制御されてもよい。例えば、帯状の照明光Lfが第1の開口領域S1を介して照射されている状態において、二次元コードを読み取る場合に、照明光Lfを消灯してもよいし、断面方形状の照明光Lfを第2の開口領域S2を介して照射してもよい。また、断面方形状の照明光Lfが第2の開口領域S2を介して照射されている状態において、一次元コードを読み取る場合に、照明光Lfを消灯してもよいし、帯状の照明光Lfを第1の開口領域S1を介して照射してもよい。
【0144】
[第8実施形態]
次に、本発明の第8実施形態に係る光学的情報読取装置について、以下に説明する。
本第8実施形態では、撮像部や照明部を保護するために読取口に設けられる保護プレートの形状等が主に上記第1実施形態と異なる。
【0145】
二次元コードを読み取り可能な光学的情報読取装置は、一次元コードを読み取り可能な装置に対して、読取口の開口形状が大きくなっている。このため、撮像部や照明部を保護するために読取口に設けた保護プレートに対して筐体を把持する使用者の指が誤って触れる場合がある。このような場合、その保護プレートに皮脂等の汚れが付着することで、読取性能が低下してしまうという問題がある。
【0146】
そこで、本実施形態では、
図25~
図27に示す光学的情報読取装置200のように、読取口250が大きく開口した筐体211において、筐体211内に収容された撮像部や照明部を保護する保護部材として、保護プレート226が読取口250に設けられる。この保護プレート226は、筐体211の読取口250近傍に設けられる保持部215によって、外面側から囲うようにして保持されている。
【0147】
保護プレート226は、所定の厚さの板状部材として構成され、筐体211外からの光や筐体211内からの光が透過可能となる透光性(光透過性)のプレート(例えば、透明なアクリル樹脂や透明ガラス等)によって構成されている。この保護プレート226は、
図28に示すように、照明光が透過するそれぞれの部位が第1透過部226a,226bとして機能し、情報コードからの反射光が透過する部位が第2透過部226cとして機能し、マーカ光が透過する部位が第3透過部226dとして機能する。
【0148】
保持部215は、両第1透過部226a,226b、第2透過部226c、第3透過部226dを露出させるための露出幅Xa,Xbが使用者の指の幅よりも小さくなるように形成される。ここで、露出幅及び保護プレート226までの深さ(露出深さ:保持部215の厚さ)と保護プレート226への指の接触度合との関係を
図29(A)(B)に示す。この
図29(A)では、指幅14.1mmと指幅11.1mmとで、露出幅及び露出深さを変化させた際の指の接触度合を示しており、「2」は、指腹全体で触れる程度に相当し、「1」は、少し触れる程度に相当し、「0」は、全く触れられない程度に相当する。この
図29(A)からわかるように、露出深さを小さくする必要がある場合には露出幅を小さく設定し、露出幅を大きくする必要がある場合には露出深さを大きく設定することで、保護プレート226に対して指を触れ難くすることができる。このため、保持部215は、上述した露出幅Xa,Xb及び露出深さが、
図29(A)において接触度合「0」に近づくように設定される。
【0149】
このように構成される保持部215に保護プレート226が保持されることで、筐体211を把持する際に使用者の指が保持部215に触れたとしても、その指が両第1透過部226a,226bや第2透過部226c、第3透過部226dに誤って触れ難くなる。このため、両第1透過部226a,226b、第2透過部226c、第3透過部226dに皮脂等の汚れが付着し難くなるので、保護プレート226に付着する汚れに起因する読取性能の低下を抑制することができる。
【0150】
なお、保持部215は、
図30に示す本実施形態の第1変形例のように、両第1透過部226a,226b、第2透過部226c、第3透過部226dがそれぞれ露出口215a~215dを介して個別に露出するように形成されてもよい。その場合、保護プレート226は、
図31に示す本実施形態の第2変形例のように、一対の第1透過部226a,226b、第2透過部226c、第3透過部226dがそれぞれ個別に分離されるように構成されて、保持部215によってそれぞれ個別に保持されてもよい。
【0151】
図32(A)は、第8実施形態の第3変形例に係る光学的情報読取装置の要部を示す説明図であり、
図32(B)は、
図32(A)のX3-X3断面を拡大して示す拡大断面図である。また、保護プレート226には、
図32(A)(B)に示すように、第1透過部226aを環状に囲うように外方に突出する第1環状部226eと、第1透過部226bを環状に囲うように外方に突出する第1環状部226fと、第2透過部226cを環状に囲うように外方に突出する第2環状部226gと、第3透過部226dを環状に囲うように外方に突出する第3環状部226hと、がそれぞれ形成されてもよい。
【0152】
これにより、筐体211を把持する際に使用者の指が第1環状部226e,226f、第2環状部226g、第3環状部226hに触れたとしても、その指が第1透過部226a,226bや第2透過部226c、第3透過部226dに誤って触れ難くなる。このため、第1透過部226a,226b、第2透過部226c、第3透過部226dに皮脂等の汚れが付着し難くなるので、保護プレート226に付着する汚れに起因する読取性能の低下を抑制することができる。
【0153】
[第9実施形態]
次に、本発明の第9実施形態に係る光学的情報読取装置について、以下に説明する。
本第9実施形態では、トリガースイッチ42を廃止するとともにマーカ光照射部29を採用して、マーカ光Lmの撮像状態に応じて照明光の照射条件を変更する点が主に上記第1実施形態と異なる。
【0154】
光学的情報読取装置を利用した情報コードの読取作業では、その作業性を高めるために、読取口を介して照明光を常時照射させた状態で読取作業がなされることが多い。そのため、光学的情報読取装置を持ったまま別の作業を行った際に、照明光が誤って周囲の人の目に入ってしまう可能性がある。特に、近年、二次元コードを読取対象とするニーズが高まっており、二次元コードを読み取るために照明光の照射エリアが広い光学的情報読取装置を採用した場合には、上記問題がより顕著となる。これに対して、トリガースイッチ等を使用し、都度照明光を点灯し読み取る方法もあるが、読取り頻度が高い現場では、オペレーションが遅れることやスイッチ部の耐久性、オペレータの疲労などの問題がある。
【0155】
そこで、本実施形態では、トリガースイッチ42を廃止するとともにマーカ光照射部29を採用し、制御回路40にて実施される読取処理において、マーカ光Lmの撮像状態に応じて照明光の照射条件を変更する。マーカ光Lmが撮像されれば、読取口50が向けられた情報コード等にてマーカ光Lmが反射されていると推定できるからである。
【0156】
以下、本実施形態において、制御回路40にてなされる読取処理について、
図33に示すフローチャートを参照して詳述する。
所定の操作等に応じて読取処理が開始されると、
図33に示すステップS101の判定処理がなされ、受光センサ28及び結像レンズ27等を撮像部として機能させることで、この撮像部により撮像される撮像画像が変化しているか否かについて判定される。ここで、光学的情報読取装置10が机上等に置かれている状態等では、撮像部より撮像される画像が変化しないために、ステップS101にてNoとの判定が繰り返されて、マーカ光Lmや照明光が照射されない状態が継続される。なお、上記ステップS101の判定処理を行う制御回路40等は、「画像変化判定部」の一例に相当し得る。
【0157】
そして、使用者が光学的情報読取装置10を把持することで、撮像部により撮像される撮像画像が変化すると(S101でYes)、制御回路40により制御されて、マーカ光照射部29からマーカ光Lmが照射される(S103)。
【0158】
次に、ステップS105のマーカ光検出用画像取得処理がなされ、撮像部によりマーカ光Lmを検出するための撮像画像が取得される。続いて、ステップS107の判定処理にて、撮像部による撮像画像においてマーカ光Lmが所定の状態で撮像されるマーカ撮像状態であるか否かについて判定される。本実施形態では、上記所定の状態として、例えば、マーカ光Lmが円形である場合に、撮像されたマーカ光Lmの径が所定値以上となる撮像状態が採用されている。なお、上記ステップS107の判定処理を行う制御回路40等は、「マーカ撮像判定部」の一例に相当し得る。
【0159】
ここで、読取口50が近くの情報コードやその情報コードを付した表示面等に向けられているために照射されたマーカ光Lmが情報コードや表示面等にて反射されていることで、マーカ撮像状態であると判定されると(S107でYes)、ステップS109の照明光照射処理がなされる。この処理では、制御回路40により照明部が制御されて第1照明部21及び第2照明部22の少なくともいずれか一方から照明光が照射される。このため、ステップS111にてなされるデコード用画像取得処理では、照明光が照射された状態で撮像部により撮像画像が撮像されて取得される。そして、ステップS113のデコード処理にて、上記撮像画像に含まれる情報コードをデコードするための処理がなされ、このデコード処理が成功すると(S115でYes)、本読取処理が終了し、上述のように得られたデコード結果を利用した処理等がなされる。一方、デコード処理が失敗すると(S115でNo)、上記ステップS101からの処理がなされる。なお、制御回路40は、「照明制御部」の一例に相当し得る。
【0160】
一方、読取口50が情報コードやその情報コードを付した表示面等に向けられておらず、マーカ光が遠方の空間に向けて照射されている状態では、マーカ光Lmの反射光を撮像できないため、マーカ撮像状態でないと判定される(S107でNo)。この場合には、照明光が照射されない照明光照射停止状態となり(S117)、照明光が照射されることなく撮像部により撮像画像が撮像されて(S111)、この撮像画像に対してデコード処理がなされる(S113)。
【0161】
例えば、情報コードが表示される画面等に読取口50を向けている場合には、画面そのものが発光していることから、マーカ光Lmの反射光を認識容易に撮像できないために、マーカ撮像状態でないと判定される(S107でNo)。このように、画面表示された情報コードを読み取る場合には、照明光照射停止状態となるが(S117)、画面そのものが発光しているので、上記情報コードをデコード可能に撮像することができる。
【0162】
以上説明したように、本実施形態に係る光学的情報読取装置10では、撮像部による撮像視野を示すマーカ光Lmを照射するマーカ光照射部29が設けられ、上記読取処理にて、撮像部による撮像画像においてマーカ光Lmが所定の状態で撮像されるマーカ撮像状態であるか否かについて判定され、この判定結果に応じて照明部が制御される。
【0163】
読取口50が情報コードを付した表示面等に向けられていない場合には、照射されたマーカ光Lmが表示面等にて反射されないため、マーカ光Lmが撮像されない状態となる。すなわち、マーカ光Lmが撮像されない状態では、照明光を照射する必要がないので、上記判定結果に応じて照明部を制御することで、不要な照明光の照射を抑制することができる。
【0164】
特に、上記ステップS107の判定処理にて、マーカ撮像状態であると判定されると(S107でYes)、照明光が照射されるように照明部が制御され、マーカ撮像状態でないと判定されると(S107でNo)、照明光の照射を停止するように照明部が制御される。これにより、情報コードが表示される画面等では、画面そのものが発光しているために、マーカ光Lmの反射光を認識容易に撮像できず、そもそも照明光の照射が不要であるため、照明光のON/OFFを適切に切り替えることができる。
【0165】
さらに、マーカ光照射部29は、撮像部より撮像される画像が変化していると判定される場合に(S101でYes)、マーカ光Lmを照射する。これにより、光学的情報読取装置10が机上等に置かれている状態、すなわち、未使用時には、撮像部より撮像される画像が変化しないためにマーカ光Lmが照射されないので、不要な照明光の照射をより確実に抑制することができる。
【0166】
なお、マーカ撮像状態であると判定されると(S107でYes)、照明光が照射されるように照明部を制御し、マーカ撮像状態でないと判定されると(S107でNo)、マーカ撮像状態であると判定される場合よりも暗くなる状態で照明光が照射されるように照明部を制御してもよい。このようにしても、不要に明るい照明光の照射を抑制することができる。
【0167】
また、撮像画像においてマーカ光Lmが撮像される範囲は予め決まっているので、上記ステップS101の判定処理では、撮像画像のうちマーカ光Lmが撮像される可能性のある範囲について、マーカ光Lmが所定の状態で撮像されるマーカ撮像状態であるか否かについて判定してもよい。例えば、マーカ光Lmが撮像視野の中心を示す場合には、撮像画像の中央の範囲についてのみマーカ撮像状態であるか否かについて判定してもよい。これにより、撮像画像においてマーカ撮像状態であるか否かについて判定する範囲を限定でき、判定処理等に要する処理負荷の軽減や処理速度の向上を図ることができる。また、マーカ光Lmを撮像した撮像画像をメモリ35に逐次記憶する場合には、記憶される情報量を軽減することができる。
【0168】
なお、マーカ光Lmは、撮像部による撮像視野の中心を示すように円形状で照射されることに限らず、例えば、撮像部による撮像視野の四隅と中心との双方を示すように照射されてもよい。
【0169】
[第10実施形態]
次に、本発明の第10実施形態に係る光学的情報読取装置について、以下に説明する。
本第10実施形態では、1つの撮像画像から複数のデコード結果が得られる場合に、複数のデコード結果の中から出力すべきデコード結果を選択する点が主に上記第1実施形態と異なる。
【0170】
近年、二次元コードを読取対象とするニーズが高まっており、小売店等で一次元コードと二次元コードの双方を読み取ることができる光学的情報読取装置の導入が増加している。また、商品には、POS用の一次元コードに加えて、その商品情報を提供等するための二次元コードが表示される場合がある。一次元スキャナのラインセンサによる読み取りとは異なり、二次元コードをエリアセンサ等を用いて読み取る光学的情報読取装置は、平面状の読取視野(撮像視野)を持つ。そのため、会計の際に複数の情報コードが読取視野内に含まれる場合、意図せず会計に無関係な情報コードを読み取ってしまうことがある。
【0171】
例えば、会計時に、商品に付された会計用のバーコードCaを読み取る際に、
図34に示すように、その商品に付された商品情報提供用のQRコードCbも同時に撮像されると、1つの撮像画像からバーコードCaのデコード結果とQRコードCbのデコード結果とが取得されてしまう。また、例えば、会計前に読み取るべきクーポン用の情報コードが会計用の情報コードとともに撮像されることで1つの撮像画像から2つのデコード結果が取得されてしまう場合もある。このため、同時に複数の情報コードを読み取る場合には、選択的に読み取り情報の出力可否を判断する必要がある。
【0172】
そこで、本実施形態にてなされる読取処理では、1つの撮像画像から複数のデコード結果が得られる場合に、予め登録される選択判定用情報がデコード結果に含まれているか否かに基づいて、複数のデコード結果の中から出力すべきデコード結果を選択する。
【0173】
以下、本実施形態において、制御回路40にてなされる読取処理について、
図35に示すフローチャートを参照して詳述する。なお、本実施形態では、上記選択判定用情報として、所定のURL(Uniform Resource Locator)に含まれる特徴的文字列が採用され、この特徴的文字列を含まないデコード結果が、出力すべきデコード結果として選択される。上記特徴的文字列としては、例えば、「http:」や「https:」などのスキーム名及びその末尾に付随するデリミタのコロン(以下、単に、スキーム名等ともいう)が想定され、予めメモリ35に記憶されている。
【0174】
所定の操作等に応じて読取処理が開始されると、
図35に示すステップS201の撮像処理がなされ、受光センサ28及び結像レンズ27等を撮像部として機能させることで、この撮像部により情報コードをデコードするための画像が撮像される。続いて、ステップS203に示すデコード処理にて、上記撮像画像に含まれる情報コードをデコードするための処理がなされる。そして、上記撮像画像から1つのデコード結果が得られた場合には(S205でNo)、そのデコード結果が通信インタフェース48を介して外部に出力される(S209)。なお、上記デコード処理を実行する制御回路40は、「デコード部」の一例に相当し得る。
【0175】
一方、上記撮像画像から複数のデコード結果が得られた場合には(S205でYes)、ステップS207の選択処理がなされる。この処理では、上記選択判定用情報(例えば、所定のURLに含まれる特徴的文字列)を含まないデコード結果が、出力すべきデコード結果として選択される。このため、
図34に例示するように、商品価格情報等が記録された会計用のバーコードCaと、商品を紹介するサイトのURLが記録された商品情報提供用のQRコードCbとが同時に撮像されることで、2つのデコード結果が得られた場合には、バーコードCaのデコード結果が出力すべきデコード結果として選択される。そして、このように選択されたデコード結果が通信インタフェース48を介して外部に出力される(S209)。なお、上記選択処理を実行する制御回路40は、「選択部」の一例に相当し得る。
【0176】
以上説明したように、本実施形態に係る光学的情報読取装置10では、読取処理において、撮像部により撮像された撮像画像に対して情報コードをデコードするためのデコード処理がなされ、複数の情報コードが同時に撮像されているために1つの撮像画像から複数のデコード結果が得られる場合に、出力するデコード結果が選択処理により選択される。そして、上記選択処理では、予め登録される選択判定用情報がデコード結果に含まれているか否かに基づいて、出力するデコード結果を選択する。
【0177】
これにより、例えば、読取対象となる情報コードに上記選択判定用情報が含まれる場合には、複数のデコード結果のうち上記選択判定用情報が含まれるデコード結果を選択することで、上記選択判定用情報が含まれない読取対象外の情報コードのデコード結果が出力されることを防止することができる。また、例えば、読取対象外とすべき情報コードに上記選択判定用情報が含まれる場合には、複数のデコード結果のうち上記選択判定用情報が含まれないデコード結果を選択することで、上記選択判定用情報が含まれる読取対象外の情報コードのデコード結果が出力されることを防止することができる。すなわち、複数の情報コードが同時に撮像されていることから複数のデコード結果が得られる場合であっても、出力すべきデコード結果を適切に選択でき、意図せずに読み取った情報コードのデコード結果の出力を制限することができる。
【0178】
特に、本実施形態では、上記選択判定用情報は、所定のURLに含まれる特徴的文字列として登録される。このため、読取対象外とすべき情報コードにURLが記録される場合には、その情報コードのデコード結果が出力されることを防止することができる。これに対して、読取対象とすべき情報コードにURLが記録される場合には、URLが含まれないデコード結果が出力されることを防止することもできる。
【0179】
なお、上記選択判定用情報は、「http:」や「https:」などのスキーム名等の所定のURLに含まれる特徴的文字列に設定されることに限らず、例えば、「file:」や「mailto:」等の他のスキーム名等に設定されてもよい。また、上記選択判定用情報は、例えば、「http:」及び「https:」と「file:」及び「mailto:」等とで区別してもよい。この場合、「file:」等のプロトコルは業務用の二次元コードに用いられる可能性があるため、「http:」または「https:」プロトコルによるウェブサイトへの誘導用の二次元コードのみを読み取り出力制限対象とすることで、業務効率の低下を避けることができる。
【0180】
また、上記選択判定用情報は、IPアドレスなどの所定のアドレスに含まれる特徴的文字列に設定されてもよい。この場合には、読取対象外とすべき情報コードに上記アドレスの特徴的文字列が記録される場合に、その情報コードのデコード結果が出力されることを防止でき、読取対象とすべき情報コードに上記アドレスの特徴的文字列が記録される場合に、上記アドレスの特徴的文字列が含まれないデコード結果が出力されることを防止できる。
【0181】
また、上記選択判定用情報は、例えば、「.com」や「.jp」等のトップレベルドメイン及びその直前に付随するデリミタのドットに設定されてもよい。近年のウェブアドレスのURLは、「http:」スキームを省略し、アプリケーションにスキームの解釈を任せることも多いため、選択判定用情報としてドメインを設定することでスキームによる制限よりも広範にウェブアドレスの読み取り出力を制限することができる。
【0182】
また、上記選択判定用情報は、例えば、1又は2以上の所定の数字列の組み合わせに応じて設定されてもよいし、1又は2以上の所定の文字列の組み合わせに応じて設定されてもよい。
【0183】
なお、上記ステップS207の選択処理では、デコードに成功した情報コードのコード種別に基づいて、出力するデコード結果を選択してもよい。例えば、バーコードのデコード結果が選択され、バーコード以外のコード種別の情報コードのデコード結果が選択されないようにすることができる。
【0184】
これにより、読取対象となる情報コードが所定のコード種別であれば、複数のデコード結果のうち上記所定のコード種別の情報コードからデコードされたデコード結果を選択することで、上記所定のコード種別ではない読取対象外の情報コードのデコード結果が出力されることを防止することができる。このようにしても、複数の情報コードが同時に撮像されていることから複数のデコード結果が得られる場合であっても、出力すべきデコード結果を適切に選択することができ、意図せずに読み取った情報コードのデコード結果の出力を制限することができる。
【0185】
[第11実施形態]
次に、本発明の第11実施形態に係る光学的情報読取装置について、以下に説明する。
本第11実施形態では、1つの撮像画像から2以上の同じデコード結果が得られる場合に、重複した処理を抑制する点が主に上記第10実施形態と異なる。
【0186】
従来、同じ情報コードの二度読みを防止するため、情報コードを読み取ることで得たデコード結果と直近にデコードされたデコード結果とを比較して、一致したデコード結果の出力を制限する技術が知られている。近年、QRコードなどの二次元コードが普及してきており、一次元コードと二次元コードとが隣接して表示される場合もある(
図34参照)。特に、用途によっては、隣接して表示される一次元コードと二次元コードとのそれぞれに同じデータが記録される場合があり、コード種別が異なることから従来の二度読み技術が適用できないために、同じデコード結果に基づく処理が重複してなされる可能性がある。例えば、決済時において、スマートフォンの表示画面に同じデータが記録された一次元コードと二次元コードとが隣接して表示される場合に、それぞれ読み取られたデコード結果に基づいて二重に決済処理される可能性がある。
【0187】
そこで、本実施形態にてなされる読取処理では、複数の情報コードが同時に撮像されているために1つの撮像画像から複数のデコード結果が得られる場合に、2以上の同じデコード結果が得られているか否かついて判定することで、同じデコード結果に基づく重複した処理を抑制する。なお、デコード結果には、読み取った情報コードのコード種別も含めることができる。
【0188】
以下、本実施形態において、制御回路40にてなされる読取処理について、
図36に示すフローチャートを参照して詳述する。
所定の操作等に応じて読取処理が開始されると、
図36に示すステップS301の撮像処理がなされ、受光センサ28及び結像レンズ27等を撮像部として機能させることで、この撮像部により情報コードをデコードするための画像が撮像される。続いて、ステップS303に示す判定処理にて、上記撮像画像に情報コードと認識されうるコード画像が有るか否かについて判定される。そして、1又は2以上のコード画像が有る場合には(S303でYes)、ステップS305にてコード画像取得処理がなされ、上記撮像画像から1つのコード画像が抽出されて取得される。
【0189】
次に、ステップS307に示すデコード処理にて、上述のように取得されたコード画像に対してデコード処理がなされて、そのデコード処理が成功した場合にはデコード結果が得られる。続いて、ステップS309に示すデータ参照処理がなされ、後述するように蓄積されたデコード結果に関してメモリ35が参照される。
【0190】
そして、ステップS311の判定処理にて、上記デコード処理で得られたデコード結果に一致するデータがメモリ35に記憶されているか否かについて判定される。ここで、一致するデコード結果が記憶されていない場合には(S311でNo)、所定の処理として、そのデコード結果が上位機器等に出力されて(S315)、そのデコード結果がメモリ35に記憶される(S317)。なお、上記ステップS311の判定処理を行う制御回路40は、以上の同じデコード結果が得られているか否かついて判定する「デコード結果同異判定部」の一例に相当し得る。また、上記デコード結果を出力する処理(S315)を行う制御回路40は、デコード結果を利用した所定の処理を行うための「処理部」の一例に相当し得る。
【0191】
続いて、ステップS319の判定処理にて、上記撮像画像に2以上のコード画像があるためにデコードされていない他のコード画像があるか否かについて判定される。ここで、上記撮像画像に2以上のコード画像があるためにデコードされていない他のコード画像がある場合には(S319でYes)、次のコード画像が取得される(S321)。そして、その取得されたコード画像に対してデコード処理がなされて(S307)、デコード結果に関してメモリ35が参照される(S309)。
【0192】
そして、上記デコード処理で得られたデコード結果に一致するデータがメモリ35に記憶されている場合には(S311でYes)、ステップS313の判定処理にて、その一致するデコード結果が所定の読取回数以内に出力されていないか否かについて判定される。ここで、上記読取回数は、1つの撮像画像について1回カウントされる回数であり、本実施形態では、上記所定の読取回数は、例えば、今回撮像された撮像画像でデコードされたデコード結果や前回撮像された撮像画像でデコードされたデコード結果が当該所定の読取回数以内に出力されていると判定され、前々回撮像された撮像画像でデコードされたデコード結果が当該所定の読取回数以内に出力されていないと判定されるように設定されている。
【0193】
ここで、同じデータがそれぞれ記録された2つの情報コードが1つの撮像画像に含まれているために直前にデコードされてメモリ35に記憶されたデコード結果と同じデコード結果が得られた場合には、一致するデコード結果が所定の読取回数以内に出力されていると判定されて(S313でNo)、上記ステップS319以降の処理がなされる。
【0194】
一方、前々回又は前々回よりも前に撮像された撮像画像でデコードされたデコード結果と同じデコード結果が得られた場合には、一致するデコード結果が所定の読取回数以内に出力されていないと判定されて(S313でYes)、そのデコード結果が上位機器等に出力される(S315)。
【0195】
そして、1つの撮像画像に含まれる全てのコード画像についてデコードがなされると(S319でNo)、所定の終了操作などがなされていない場合には(S323でNo)、新たな撮像画像が撮像されて(S301)、この撮像画像について上記ステップS303以降の処理がなされる。
【0196】
以上説明したように、本実施形態に係る光学的情報読取装置10では、読取処理において、撮像部により撮像された撮像画像に対して情報コードをデコードするためのデコード処理がなされ、複数の情報コードが同時に撮像されているために1つの撮像画像から複数のデコード結果が得られる場合に、2以上の同じデコード結果が得られているか否かついて判定される。そして、2以上の同じデコード結果が得られていると判定される場合に、2以上の同じデコード結果の1つについて所定の処理としてデコード結果の出力処理を行う。
【0197】
これにより、例えば、同じデータがそれぞれ記録されたコード種別の異なる情報コードが同時に撮像される場合でも、重複して同じ処理が行われることを抑制することができる。
【0198】
特に、本実施形態では、2以上の同じデコード結果が得られていると判定される場合であって(S311でYes)、メモリ35に記憶される情報に基づいて同じデコード結果に一致するデコード結果が所定の読取回数以内に上記所定の処理が行われていない場合に(S313でYes)このデコード結果について所定の処理(デコード結果の出力処理)を行う。
【0199】
これにより、以前に同じデコード結果を読み取っていたとしても、その以前のデコード結果が上記所定の読取回数以内に上記所定の処理が行われていない場合、すなわち、最近、上記所定の処理に用いられたデコード結果でない場合には、使用者が意図して同じデータが記録された2以上の情報コードを読み取っているとして、同じデコード結果を利用して上記所定の処理を行うことができる。
【0200】
次に、本実施形態の第1変形例について、
図37に示すフローチャートを参照して説明する。
本実施形態の第1変形例における読取処理では、上述のようにデコード結果が上位機器等に出力された後(
図37のS315)、そのデコード結果がデコード処理を終えたデコード時刻とともに記憶部として機能するメモリ35に記憶される(S317a)。その後、新たに取得されたコード画像に対するデコード処理が成功し(S307)、そのデコード結果に一致するデータがメモリ35に記憶されていると判定されると(S311でYes)、ステップS313aに示す判定処理にて、同じデコード結果に一致するデコード結果に関連付けられて記憶されるデコード時刻からの経過時間が所定時間以上であるか否かについて判定される。そして、一致したデコード結果のデコード時刻からの経過時間が上記所定時間以上となる場合には(S313aでYes)、デコード結果が上位機器等に出力され(S315)、上記所定時間未満となる場合には(S313aでNo)、そのデコード結果が出力されることなく上記ステップS319以降の処理がなされる。
【0201】
これにより、以前に同じデコード結果を読み取っていたとしても、その以前のデコード結果のデコード時刻からの経過時間が所定時間以上となる場合、すなわち、最近、上記所定の処理に用いられたデコード結果でない場合には、使用者が意図して同じデータが記録された2以上の情報コードを読み取っているとして、同じデコード結果を利用して上記所定の処理を行うことができる。
【0202】
次に、本実施形態の第2変形例について、
図38に示すフローチャートを参照して説明する。
本実施形態の第2変形例における読取処理では、デコードされたデコード結果に一致するデータがメモリ35に記憶されている情報コードについて、その情報コードが撮像部の撮像視野から外されて再び撮像視野内に入り込む回数を撮像回数Nとしてカウントし、2以上の同じデコード結果が得られていると判定される場合であって、上記同じデコード結果に一致するデコード結果の撮像回数Nが所定回数Nth以上となる場合に、上記デコード結果について所定の処理を行う。
【0203】
具体的には、デコード結果に一致するデータがメモリ35に記憶されている場合に(
図38のS311でYes)、そのデコード結果の撮像回数Nがカウント対象として設定されていないと、撮像回数Nが所定回数Nth未満であるとして(S325でNo)、ステップS327にてNoと判定されて、そのデコード結果がカウント対象に設定される(S329)。そして、ステップS319以降の処理がなされ、上記ステップS303の判定処理にて、上記撮像画像に情報コードと認識されうるコード画像がないと判定されるごとに(S303でNo)、カウント対象とされたデコード結果に関してその撮像回数Nがインクリメント(N=N+1)されるようにカウントされる(S331)。なお、撮像回数Nをカウントする制御回路40は、「カウント部」の一例に相当し得る。
【0204】
そして、カウント対象とされているデコード結果が再び読み取られた際に(S311でYes)、その撮像回数Nが所定回数Nth以上になると(S325でYes)、そのデコード結果が上位機器等に出力されて(S315)、メモリ35に記憶された後(S317)、カウント対象の設定がクリアされる(S333)。
【0205】
これにより、使用者が意図して同じデータが記録された2以上の情報コードを読み取るために、その情報コードを撮像視野に入れる撮像状態と撮像視野から外す撮像状態とを繰り返すことで、同じデコード結果のそれぞれについて上記所定の処理を行うことができる。特に、デコードが成功した情報コードの撮像中に、周囲の影響等によって一瞬その情報コードが撮像されなくなるような場合でも、撮像回数Nがある程度増えるだけであり、一瞬撮像されなくなることだけで、同じデコード結果のそれぞれについて上記所定の処理が行われることを防止できる。
【0206】
次に、本実施形態の第3変形例について、
図39に示すフローチャートを参照して説明する。
本実施形態の第3変形例における読取処理では、デコードされたデコード結果に一致するデータがメモリ35に記憶されている情報コードについて、撮像部の撮像視野から外された時刻がコード除外時刻としてデコード結果に関連付けられてメモリ35に記憶され、2以上の同じデコード結果が得られていると判定される場合であって、上記同じデコード結果に一致するデコード結果のコード除外時刻からの経過時間が所定時間以上となる場合に、上記デコード結果について所定の処理を行う。
【0207】
具体的には、デコード結果に一致するデータがメモリ35に記憶されている場合に(
図39のS311でYes)、そのデコード結果が計時対象として設定されていないと(S335でNo)、撮像処理がなされ(S337)、この撮像画像から情報コードと認識されうるコード画像がなくなるまで、ステップS339の判定処理にてNoとの判定が繰り返される。そして、撮像画像にコード画像が含まれなくなると(S339でYes)、計時対象とされた情報コードが撮像部の撮像視野から外された時刻が、コード除外時刻として設定されて、そのデコード結果に関連付けられてメモリ35に記憶される(S341)。
【0208】
そして、計時対象とされているデコード結果が再び読み取られた際に(S311,S335でYes)、そのコード除外時刻からの経過時間が所定時間以上となると(S343でYes)、そのデコード結果が上位機器等に出力されて(S315)、メモリ35に記憶された後(S317)、計時対象の設定がクリアされる(S345)。
【0209】
これにより、使用者が意図して同じデータが記録された2以上の情報コードを読み取るために、その情報コードを一定時間撮像視野から外した後に再び撮像視野に入れることで、同じデコード結果のそれぞれについて上記所定の処理を行うことができる。
【0210】
次に、本実施形態の第4変形例について、
図40に示すフローチャートを参照して説明する。
本実施形態の第4変形例における読取処理では、2以上の同じデコード結果が得られていると判定される場合に、検出される筐体11の姿勢が所定の姿勢状態である場合に、上記デコード結果について所定の処理を行う。このため、本第4変形例では、光学的情報読取装置10は、ジャイロセンサや加速度センサなどからなる筐体11の姿勢を検出する姿勢検出部として姿勢センサを備え、この姿勢センサからの検出信号に応じて制御回路40では、筐体11の姿勢状態を把握する。
【0211】
具体的には、デコード結果に一致するデータがメモリ35に記憶されている場合に(
図40のS311でYes)、ステップS313bの判定処理にて、一定時間姿勢センサから出力される検出信号に基づいて、筐体11の姿勢が所定の姿勢状態であるか否かについて判定される。本第4変形例では、上記所定の姿勢状態は、例えば、デコードが成功したときの姿勢から大きく変化している状態に設定されている。
【0212】
ここで、使用者が読取口50の向きを変えるように筐体11を動かしたことから、筐体11の姿勢が上記所定の姿勢状態であると判定されると(S313bでYes)、デコード結果が上位機器等に出力される(S315)。一方、読取口50がその情報コードに向けられたままであることから、筐体11の姿勢が所定の姿勢状態でないと判定されると(S313bでNo)、そのデコード結果が出力されることなく上記ステップS319以降の処理がなされる。
【0213】
これにより、使用者が意図して同じデータが記録された2以上の情報コードを読み取るために、上記所定の姿勢状態となるように筐体11を把持することで、同じデコード結果のそれぞれについて上記所定の処理を行うことができる。
【0214】
[第12実施形態]
次に、本発明の第12実施形態に係る光学的情報読取装置について、以下に説明する。
本第12実施形態では、トリガースイッチを廃止することで常時行われる読取処理において情報コードを容易に狙い読み可能とする点が主に上記第1実施形態と異なる。
【0215】
近年、QRコードなどの二次元コードが普及してきており、小売店やコンビニエンスストアのレジ等でも、受光手段としてエリアセンサを用いた二次元コードを読み取り可能な光学的情報読取装置の導入が増加すると予想される。このため、従来のラインセンサを使用した光学的情報読取装置に比べて、読み取りエリアが広く、情報コードの向きに関係なく、エリア内に情報コードを合わせることで簡単に読み取る事が可能となる。しかし、意図せずにエリア内に複数の情報コードが入る場合や、読取操作中に読取対象外の情報コードを読み取る場合があり、読取対象の情報コードを読み取ったことが判断し難くなる場合もある。
【0216】
ところで、小売店やコンビニエでは、店舗業務において情報コードを読み取る回数が多く、トリガースイッチを操作しないで読み取れる光学的情報読取装置が採用されており、読取口を情報コードの向きに合わせ、情報コードに直接当てて読み取ることで、読取誤操作を防止し、読取対象の情報コードを読み取ることができる。また、コンビニ業界を取り巻く環境においては、店舗の省人化によるセルフレジ導入や、外国労働者の増加が進み、読取操作の経験値が浅い操作者においても、だれでも簡単にかざす操作だけで、読取対象の情報コードを確実に狙い読みすることが求められている。このため、エリアセンサを用いた光学的情報読取装置においてトリガースイッチを操作することなく狙い読みを行なう場合、読み取りエリア中心のポイントマーカと情報コードの位置を合わせて、狙い読みをする操作方法となる。しかしながら、エリアの中心位置に合わせる操作が必要となり、広い読み取りエリアを活かした、狙い読みが実現できないという問題がある。
【0217】
そこで、本実施形態にてなされる読取処理では、撮像部により連続的に撮像される複数の連続撮像画像において、同じ情報コードのコード画像が検出され、この検出されているコード画像が撮像画像に占める状態に応じて、当該コード画像が読取対象であるか否かについて判定する。具体的には、コード画像が撮像画像に占める状態が所定の状態であるか、より具体的には、本実施形態では、撮像画像に占めるコード画像の範囲が所定範囲以上となる場合に、そのコード画像が読取対象である判定する。使用者が狙い読みしようとしている情報コードは、撮像画像に占めるコード画像の範囲が所定範囲以上等となりやすいからである。
【0218】
以下、本実施形態において、制御回路40にてなされる読取処理について、
図41に示すフローチャートを参照して詳述する。
制御回路40により読取処理が開始されると、
図41に示すステップS401の撮像処理がなされ、受光センサ28及び結像レンズ27等を撮像部として機能させることで、この撮像部により情報コードをデコードするための画像が撮像される。続いて、ステップS403に示すコード画像検出処理がなされ、撮像部により撮像された撮像画像から情報コードをデコードするためのコード画像を検出する処理がなされる。例えば、撮像した情報コードがQRコードであれば、コード領域の三隅にそれぞれ配置されるファインダパターン(位置検出パターン)を基準にコード画像を検出する処理がなされる。なお、上記コード画像検出処理を実行する制御回路40は、「コード画像検出部」の一例に相当し得る。
【0219】
そして、コード画像の検出が成功すると(S405でYes)、その検出結果がメモリ35に記憶された後(S407)、ステップS409に示すデコード処理にて、上述のように検出されたコード画像に対して情報コードをデコードするための処理がなされる。このデコード処理が失敗した場合や(S411でNo)、上述したコード画像の検出が失敗した場合には(S405でNo)、上記ステップS401からの処理がなされる。なお、上記デコード処理を実行する制御回路40は、「デコード部」の一例に相当し得る。
【0220】
上記デコード処理が成功すると(S411でYes)、そのデコード処理により得られたデコード結果がメモリ35に記憶される(S413)。続いて、ステップS415の判定処理にて、コード画像が撮像画像に占める状態が所定の状態であるか否か、具体的には、上述したように、撮像画像に占めるコード画像の範囲が所定範囲以上であるか否かについて判定される。
【0221】
ここで、読取対象の情報コードCに読取口50を向けた直後であることから、例えば、
図42(A)に示すように、デコード可能に撮像された情報コードCのコード画像であっても、撮像画像に占めるコード画像の範囲が上記所定範囲未満であると、上記ステップS415にてNoと判定される。この場合には、上記ステップS401からの処理がなされて、情報コードをデコードするための撮像処理が継続される。その後に、撮像された情報コードのコード画像についてデコード処理が成功したとしても(S411でYes)、読取対象の情報コードCに読取口50を近づけている途中であることから、例えば、
図42(B)に示すように、前回のコード画像より大きくなっても、撮像画像に占めるコード画像の範囲が上記所定範囲未満であると、上記ステップS415にてNoと判定される。この場合も、上記ステップS401からの処理がなされて、情報コードをデコードするための撮像処理が継続される。すなわち、撮像部により連続的に撮像される複数の連続撮像画像において、同じ情報コードのコード画像が検出され、この検出されているコード画像が撮像画像に占める状態に応じて、当該コード画像が読取対象であるか否かについて判定される。
【0222】
そして、読取対象の情報コードに読取口50を接近させたことから、例えば、
図42(C)に示すように、撮像画像に占めるコード画像の範囲が上記所定範囲以上になると、上記ステップS415にてYesと判定される。この場合には、ステップS417に示すデコード結果出力処理がなされて、デコード結果を利用した所定の処理として、そのデコード結果が上位機器等に出力される。続いて、ステップS419の報知処理がなされ、デコード処理の成功に応じた所定の報知として、報知部として機能する発光部46が所定の点灯状態となる。なお、上記デコード結果を出力する処理(S417)を行う制御回路40は、デコード結果を利用した所定の処理を行うための「処理部」の一例に相当し得る。また、デコード処理の成功に応じた所定の報知は、ブザー44の鳴動やバイブレータ45の振動を利用して行ってもよく、この場合には、ブザー44やバイブレータ45は、「報知部」の一例に相当し得る。
【0223】
以上説明したように、本実施形態に係る光学的情報読取装置10では、撮像部により連続的に撮像される複数の連続撮像画像において、同じ情報コードのコード画像が検出され、この検出されているコード画像が撮像画像に占める状態に応じて、当該コード画像が読取対象であるか否かについて読取対象判定部により判定される。そして、読取対象であると判定されたコード画像のデコード処理が成功していることでデコード結果が得られていると(S411,S415でYes)、このデコード結果を利用して処理部により所定の処理が行われて、報知部により所定の報知が行われる。
【0224】
これにより、デコードタイミングを指示するためのトリガースイッチ等を有しない光学的情報読取装置であっても、使用者が読み取ろうとする情報コードに読取口50を向けることで、その情報コードのコード画像が撮像画像に占める状態が所定の条件を満たす場合(本実施形態では、撮像画像に占めるコード画像の範囲が所定範囲以上となる場合)に、そのコード画像が読取対象である判定することができる。このため、読取対象と判定されたコード画像から得られたデコード結果を利用して所定の処理を行うとともに、デコード成功に応じた所定の報知を行うことで、トリガースイッチ等を利用することなく常時行われる読取処理において情報コードを狙い読みできる光学的情報読取装置を実現することができる。
【0225】
なお、上記ステップS415の判定処理では、撮像画像に占めるコード画像の範囲が所定範囲以上となる場合に、コード画像が撮像画像に占める状態が所定の状態であるとして肯定判定されることに限らず、例えば、検出されたコード画像がほぼ移動することなく所定時間連続して検出される場合に、コード画像が撮像画像に占める状態が所定の状態であるとして肯定判定されてもよい。また、上記ステップS415の判定処理では、検出されたコード画像の一辺の長さが所定値以上となる場合に、コード画像が撮像画像に占める状態が所定の状態であるとして肯定判定されてもよい。
【0226】
すなわち、検出されているコード画像の一部に相当する部分が撮像部による撮像視野から外れた場合でも、撮像視野内のコード画像の残部の状態が所定の条件を満たすと、コード画像が読取対象であると判定することができる。例えば、
図43(A)及び
図43(B)に示すように、デコード可能に撮像された情報コードCのコード画像であっても、撮像画像に占めるコード画像の範囲が上記所定範囲未満であるために(S415でNo)、デコード結果が出力されない場合を想定する。この場合、その後に、
図43(C)に示すように、検出されているコード画像の一部に相当する部分が撮像部による撮像視野から外れた場合でも、撮像視野内のコード画像の残部に関してコード画像の一辺の長さが所定値以上となると、コード画像が撮像画像に占める状態が所定の状態であるとして(S415でYes)、デコード結果を出力することができる。
【0227】
これにより、使用者が狙い読みしようとしている情報コードの一部が撮像視野外となっただけで直ちにそのコード画像が読取対象外と判定されてしまうこともないので、より正確にそのコード画像が読取対象であるか否かについて判定することができる。
【0228】
次に、本実施形態の第1変形例について、
図44に示すフローチャートを参照して説明する。
本実施形態の第1変形例における読取処理では、デコードが成功していない状態でも検出されたコード画像が読取対象であるか否かについて判定する。具体的には、
図44に示すフローチャートのように、コード画像の検出に成功しても(
図44のS405でYes)、そのコード画像についてデコードが失敗すると(S411でNo)、ステップS421の判定処理にて、コード画像が撮像画像に占める状態が所定の状態であるか否かについて判定する。そのデコードに失敗したコード画像が上記所定の状態である場合には(S421でYes)、そのコード画像について1度もデコードが成功していないと(S423でNo)、そのコード画像が上記所定の状態になったことを示すフラグFcが「1」に設定されて(S425)、上記ステップS401からの処理がなされる。一方、デコードに失敗したコード画像が上記所定の状態となった場合に(S421でYes)、そのコード画像について1度でもデコードが成功していると(S423でYes)、デコード結果が出力されるとともに(S417)、発光部46などの報知部が所定の報知状態となる(S419)。
【0229】
上述のようにフラグFcが「1」に設定された後、新たに撮像された同じ情報コードのコード画像についてデコードが成功すると(S411でYes)、そのコード画像のフラグFcが「1」に設定されているため、ステップS427の判定処理にてYesと判定されて、デコード結果が出力されるとともに(S417)、発光部46などの報知部が所定の報知状態となる(S419)。
【0230】
例えば、
図45(A)及び
図45(B)に示すように、デコード不能であるがファインダパターン等が認識できることで検出できたコード画像であっても、撮像画像に占めるコード画像の範囲が上記所定範囲未満であるために(S421でNo)、デコード結果が出力されない場合を想定する。この場合、その後に、
図45(C)に示すように、デコード不能であるがファインダパターン等が認識できることで検出できたコード画像が撮像画像において上記所定範囲以上となると(S421でYes,S423でNo)、フラグFcが「1」に設定されて(S425)、その後も、連続的に撮像された撮像画像からコード画像を検出するための処理が継続される。そして、
図45(D)に示すように、フラグFcが「1」に設定されているものの撮像画像に占めるコード画像の範囲が上記所定範囲未満に変わったコード画像のデコードに成功すると(S411でYes,S427でYes)、デコード結果が出力されるとともに(S417)、発光部46などの報知部が所定の報知状態となる(S419)。
【0231】
すなわち、読取対象であると判定された際のコード画像のデコード処理が成功しておらず、当該判定後にそのコード画像のデコード処理が成功すると、その判定後に得られたデコード結果を利用して処理部により所定の処理が行われて、報知部により所定の報知が行われる。これにより、照明等の周囲環境のために、情報コードらしいものが撮像されていると判断できるもののそのデコードが成功しないままそのコード画像が読取対象であると判定された場合でも、その後の周囲環境の変化でそのコード画像のデコードが成功すると、読取対象のコード画像のデコードが成功したとして、その成功タイミングで上記所定の処理及び所定の報知を行うことができる。
【0232】
なお、本実施形態及び変形例において、
図34からわかるように、撮像画像から2つ以上のコード画像が連続して検出される場合には、使用者の狙いが定まっていないとして、デコード結果を出力しないようにしてもよい。
【0233】
[第13実施形態]
次に、本発明の第13実施形態に係る光学的情報読取装置について、以下に説明する。
本第13実施形態では、複数の情報コードがデコード可能に同時に撮像されたとしても、読取対象とすべき情報コードのデコード結果を出力しやすくする点が主に上記第1実施形態と異なる。
【0234】
読取対象とすべき情報コードの周囲に1又は2以上の他の情報コードが配置されるために複数の情報コードがデコード可能に同時に撮像された場合には、読取対象とすべき情報コードのデコード結果を出力し、他の情報コードのデコード結果を出力しないようにする必要がある。
【0235】
そのため、従来では、撮像視野の中心を示すマーカ光を照射することで、読取対象とすべき情報コードのみを撮像視野に入れやすくして、その情報コードのデコード結果のみを出力するようにしている。しかしながら、使用者がマーカ光を視認できない場合、例えば、その情報コードが反射面や液晶画面等に表示される場合には、読取対象とすべき情報コードのみを撮像視野に入れ難くなるという問題がある。具体的には、例えば、複数の情報コードCとして、
図46に例示するように、バーコードCc,Cd,Ceが画面表示されていると、その表示画面に照射されるマーカ光を視認し難いために、読取対象とすべきバーコードCdのみを撮像視野に入れ難くなる場合がある。
【0236】
そこで、本実施形態にてなされる読取処理では、受光センサ28及び結像レンズ27等を撮像部として機能させることでこの撮像部により撮像される撮像画像Pから複数のデコード結果が得られる場合に、その撮像状態によっては、デコード結果の出力を制限する。具体的には、撮像画像Pの一部(例えば、中央部分)を占めるように設けられる所定の読取エリア(以下、読取エリアPsともいう)に対して、デコード結果が得られた1つの情報コードの画像が含まれ、かつ、他の情報コードの画像が含まれない場合に、上記1つの情報コードのデコード結果を出力する。
【0237】
以下、本実施形態において、
図46に示すバーコードCdを読み取る場合を例に、制御回路40にてなされる読取処理について、
図47に示すフローチャートを参照して詳述する。なお、本実施形態では、
図48に例示するように、上記撮像部により撮像される撮像画像Pが640画素×480画素であり、読取エリアPsは、320画素×240画素であって、撮像画像Pと中心が一致するように設定される。
【0238】
所定の操作等に応じて読取処理が開始されると、
図47に示すステップS501の撮像処理がなされ、上記撮像部により情報コードをデコードするための撮像画像Pが撮像される。続いて、ステップS503に示すデコード処理にて、上記撮像画像Pに含まれる情報コードをデコードするための処理がなされ、デコードが成功するまで(S505でNo)、上記ステップS501からの処理が繰り返される。なお、上記ステップS503のデコード処理を実行する制御回路40は、「デコード部」の一例に相当し得る。
【0239】
そして、デコードが成功してデコード結果が得られると(S505でYes)、ステップS507の判定処理にて、デコード結果が得られた情報コードの画像が読取エリアPsに含まれるか否かについて判定される。本実施形態では、具体的には、デコード結果が得られた情報コードの画像の全てが読取エリアPsに含まれているか否かについて判定しており、デコード結果が得られた情報コードの画像の一部のみが読取エリアPsに含まれるような場合には、ステップS507にてNoと判定されて、デコード結果が出力されることなく、上記ステップS501からの処理がなされる。
【0240】
その後、読取対象のバーコードCdに読取口50を近づける際に、デコード結果が得られた情報コードの画像の全てが読取エリアPsに含まれるようになると(S507でYes)、ステップS509の判定処理にて、読取エリアPsに対して、デコード結果が得られた1つの情報コードの画像が含まれ、かつ、他の情報コードの画像が含まれない状態(以下、単一コード撮像状態ともいう)であるか否かについて判定される。
【0241】
本実施形態では、具体的には、読取エリアPsに対して、デコード結果が得られた1つの情報コードの画像の全てが含まれ、かつ、他の情報コードの画像の少なくとも一部が含まれない状態である場合に、単一コード撮像状態であると判定する。ここで、読取対象のバーコードCdに読取口50を近づけている途中であることから、
図49に例示するように、読取対象のバーコードCdの画像の全てが読取エリアPsに含まれ、かつ、読取対象外のバーコードCcの画像の一部やバーコードCeの画像の一部が読取エリアPsに含まれるような場合には、単一コード撮像状態でないとして、ステップS509にてNoと判定されて、デコード結果が出力されることなく、上記ステップS501からの処理がなされる。
【0242】
一方、読取対象のバーコードCdに読取口50を近づけ終えたことで、
図50に例示するように、読取対象のバーコードCdの画像の全てが読取エリアPsに含まれ、かつ、他の情報コードの画像の少なくとも一部が読取エリアPsに含まれない場合、すなわち、読取対象のバーコードCdの画像のみが読取エリアPsに含まれる場合には、単一コード撮像状態であるとして、ステップS509にてYesと判定される。
【0243】
この場合には、ステップS511のデコード結果出力処理にて、読取エリアPsに含まれるバーコードCdのデコード結果が上位機器等に出力される。なお、上記ステップS511のデコード結果出力処理を実行する制御回路40は、「出力部」の一例に相当し得る。
【0244】
以上説明したように、本実施形態に係る光学的情報読取装置10では、撮像画像Pの一部を占めるように設けられる所定の読取エリアPsに対して、デコード結果が得られた1つの情報コードの画像が含まれ、かつ、他の情報コードの画像が含まれない場合に(S509でYes)、上記1つの情報コードのデコード結果が出力される(S511)。
【0245】
これにより、複数の情報コードが同時に撮像されているためにそれぞれデコード結果が得られるような場合でも、読取エリアPsに含まれない情報コードのデコード結果が出力されないだけでなく、2以上の情報コードが所定の読取エリアPsに含まれてしまう場合にもデコード結果が出力されなくなる。すなわち、複数の情報コードがデコード可能に撮像されたとしても、読取対象とすべき情報コードの画像のみが読取エリアPsに含まれる場合に限ってその情報コードのデコード結果が出力されるので、読取対象とすべき情報コードに読取口50を向けている途中で撮像された別の情報コードのデコード結果など、意図せずに読み取った情報コードのデコード結果の出力を制限することができる。
【0246】
特に、所定の読取エリアPsに対して、デコード結果が得られた1つの情報コードの画像の全てが含まれ、かつ、他の情報コードの画像の少なくとも一部が含まれない場合に、上記1つの情報コードのデコード結果が出力する。
【0247】
これにより、上述のように、読取対象とすべき情報コードに読取口50を向けている途中で、読取対象外の情報コードの一部の画像のみが読取エリアPsに含まれたとしても、その読取対象外の情報コードのデコード結果が出力されることもない。また、読取対象外の情報コードの全ての画像が読取エリアPsに含まれてしまったとしても、読取対象とすべき情報コードの少なくとも一部の画像が読取エリアPsに含まれていれば、それぞれのデコード結果が出力されることもない。このため、読取対象とすべき情報コードの近くに他の情報コードが配置されるような場合であっても、読取対象とすべき情報コードのデコード結果を出力しやすくすることができる。
【0248】
なお、作業環境等によっては、上記ステップS509の判定処理では、読取エリアPsに対して、デコード結果が得られた1つの情報コードの画像の全てが含まれ、かつ、他の情報コードの画像の全てが含まれない状態である場合に、単一コード撮像状態であると判定してもよい。また、読取エリアPsに対して、デコード結果が得られた1つの情報コードの画像の少なくとも一部が含まれ、かつ、他の情報コードの画像の少なくとも一部が含まれない状態である場合に、単一コード撮像状態であると判定してもよい。
【0249】
本実施形態の変形例として、QRコードのFPパターンのように、各種のセルが配置されるコード領域において特定の位置に配置される特定パターンを有する情報コードを読取対象とする場合には、上記ステップS509の判定処理では、特定パターンの画像を利用して単一コード撮像状態であるか否かについて判定してもよい。すなわち、読取エリアPsに対して、デコード結果が得られた1つの情報コードの特定パターンの画像が含まれ、かつ、他の情報コードの特定パターンの画像が含まれない場合に、上記1つの情報コードのデコード結果を出力するようにしてもよい。
【0250】
具体的には、例えば、読取エリアPsに対して、デコード結果が得られた情報コードの全ての特定パターンの画像が含まれ、かつ、他の情報コードの特定パターンの画像が1つも含まれない状態である場合に、単一コード撮像状態であると判定してもよい。この場合には、例えば、
図51に例示するように、読取エリアPsに対して、QRコードCfの全ての特定パターンFP1~FP3の画像が含まれ、QRコードCgの特定パターンFP1,FP2の画像が含まれる状態では、単一コード撮像状態でないと判定される。
【0251】
これにより、上記ステップS509の判定処理では、認識しやすい情報コードの特定パターンを基準にその情報コードの画像が所定の読取エリアに含まれているか否かについて判定できるので、容易かつ精度良く判定することができる。
【0252】
[第14実施形態]
次に、本発明の第14実施形態に係る光学的情報読取装置について、以下に説明する。
本第14実施形態では、マーカ光が撮像されない場合には、撮像画像においてデコード対象エリア内に位置する情報コードのデコード結果を出力する点が主に上記第4実施形態と異なる。
【0253】
読取対象とすべき情報コードの周囲に1又は2以上の他の情報コードが配置されるために複数の情報コードがデコード可能に同時に撮像された場合には、読取対象とすべき情報コードのデコード結果を出力し、他の情報コードのデコード結果を出力しないようにする場合がある。
【0254】
このような場合、従来では、撮像視野の中心に向けてマーカ光Lmを照射するマーカ光照射部29を設けることで、読取対象とすべき情報コードのみを撮像視野に入れやすくして、その情報コードのデコード結果のみを出力するようにしている。しかしながら、読取対象の情報コードを含めた複数の情報コードが画面表示される場合、照射されたマーカ光は自ら発光する表示画面では反射されないために、読取装置では撮像された複数の情報コードのうちどの情報コードが読取対象であるかわからないという問題がある。具体的には、例えば、配信されたクーポン用の情報コードが他の情報コードに隣接するようにスマートフォン等にて画面表示される場合、マーカ光が撮像されないために、クーポン用の情報コードのデコード結果のみを得ることができない場合がある。
【0255】
そこで、本実施形態にてなされる読取処理では、受光センサ28及び結像レンズ27等を撮像部として機能させることでこの撮像部により撮像される撮像画像Pからマーカ光Lmが検出されない場合に、撮像画像Pの一部に相当するデコード対象エリアPd内に位置していると判定された情報コードであり、かつ、予め設定されたコード種別(指定コード種別)となる情報コードのデコード結果を出力する。本実施形態では、上記デコード対象エリアPdは、
図52及び
図53に例示するように、撮像画像Pの全体のうち使用者から見て奥側となるエリアに予め設定されている。筐体11を把持する使用者は、読取口50の周縁51のうち遠くに位置する一側縁部52を基準にしてその読取口50を読取対象の情報コードにかざそうとするからである。また、上記指定コード種別は、例えば、EAN-13に設定することができる。
【0256】
以下、本実施形態において、制御回路40にてなされる読取処理について、
図54に示すフローチャートを参照して詳述する。
所定の操作等に応じて読取処理が開始されると、
図54に示すステップS601の撮像処理がなされ、上記撮像部により情報コードをデコードするための撮像画像Pが撮像される。続いて、ステップS603のマーカ光検出処理にて、撮像画像Pからマーカ光Lmを検出するための処理がなされた後、ステップS605のデコード処理にて、上記撮像画像Pに含まれる情報コードをデコードするための処理がなされ、デコードが成功するまで(S607でNo)、上記ステップS601からの処理が繰り返される。なお、上記ステップS605のデコード処理を実行する制御回路40は、「デコード部」の一例に相当し得る。
【0257】
そして、デコードが成功してデコード結果が得られると(S607でYes)、ステップS609の判定処理にて、上記デコード処理に応じて複数のデコード結果が得られているか否かについて判定される。ここで、1つのデコード結果が得られている場合には、ステップS609の判定処理にてNoと判定されて、ステップS617の第1デコード結果出力処理がなされ、デコード処理により得られた全てのデコード結果が上位機器等に出力される。上述のように1つのデコード結果が得られている場合には、第1デコード結果出力処理にてその1つのデコード結果が上位機器等に出力される。なお、上記第1デコード結果出力処理及び第2デコード結果出力処理を実行する制御回路40は、「出力部」の一例に相当し得る。
【0258】
一方、複数のデコード結果が得られている場合には(S609でYes)、ステップS611の判定処理にて、上述したマーカ光検出処理にて撮像画像Pからマーカ光Lmが検出されているか否かについて判定される。ここで、撮像画像Pからマーカ光Lmが検出されている場合には(S611でYes)、画面表示された情報コードではなく、紙媒体に印刷等されている情報コードを読み取っているとして、上記デコード処理にて得られた全てのデコード結果が上位機器等に出力される(S617)。
【0259】
これに対して、複数のデコード結果が得られている場合であっても(S609でYes)、撮像画像Pからマーカ光Lmが検出されない場合には(S611でNo)、ステップS613の判定処理にて、デコード対象エリアPd内にデコード結果が得られた情報コードが1つ位置しているか否かについて判定される。なお、ステップS613の判定処理を実行する制御回路40は、デコードされた情報コードがデコード対象エリアPd内に位置しているか否かについて判定する「コード位置判定部」の一例に相当し得る。
【0260】
ここで、
図52及び
図53に例示するように、デコード対象エリアPd内にデコード結果が得られた情報コードが1つ位置している場合には、ステップS613にてYesと判定される。この場合には、ステップS615の判定処理にて、デコード対象エリアPd内に位置する情報コードのコード種別が予め設定されたコード種別(指定コード種別)であるか否かについて判定される。ここで、デコード対象エリアPd内に位置する情報コードのコード種別が指定コード種別(例えば、EAN-13)である場合には、ステップS615にてYesと判定されて、ステップS619の第2デコード結果出力処理がなされる。この処理では、ステップS605のデコード処理により得られた複数のデコード結果のうち、デコード対象エリアPd内に位置するとともに指定コード種別の情報コードのデコード結果が、上位機器等に出力される。
図52及び
図53の例では、バーコードCc,Cd,Ceのデコードが成功している場合でも、デコード対象エリアPd内に位置するコードCcのデコード結果のみが上位機器等に出力される。
【0261】
一方、デコード対象エリアPd内に位置する情報コードのコード種別が指定コード種別でない場合(S615でNo)、又は、デコード対象エリアPd内にデコード結果が得られた情報コードが1つも位置していない場合には(S613でNo)、上記デコード処理にて得られた全てのデコード結果が上位機器等に出力される(S617)。
【0262】
以上説明したように、本実施形態に係る光学的情報読取装置10では、撮像部によりマーカ光Lmが撮像されない場合には(S611でNo)、ステップS613の判定処理にてデコード対象エリアPd内に位置していると判定された情報コードであって、ステップS615の判定処理にて指定コード種別と判定された情報コードのデコード結果が出力される(S619)。
【0263】
このように、撮像部によりマーカ光Lmが撮像されない場合には、画面表示された情報コードを読み取っているとして、デコード対象エリアPd内に位置していると判定された情報コードのデコード結果を出力することで、デコード対象エリアPd外の情報コードのデコード結果が出力されなくなる。すなわち、画面表示される複数の情報コードのうち読取対象の情報コードのみがデコード対象エリアPd内に位置するようにその画面に対して読取口50をかざすことで、同じ画面に表示される他の情報コードのデコード結果を出力することなく、読取対象の情報コードのデコード結果を出力することができる。そして、読取対象の情報コードに読取口50をかざす際に撮像画像において読取対象外の情報コードのみがデコード対象エリアPd内に位置したとしても、その読取対象外の情報コードのコード種別が予め設定されたコード種別と異なることで、読取対象外の情報コードのデコード結果が出力されてしまうことを防止することができる。
【0264】
さらに、デコード処理により1つの撮像画像から1つのデコード結果が得られた場合には(S609でNo)、その情報コードが読取対象であるか否かについて判断する必要がないので、マーカ光Lmが撮像されているか否かにかかわらず、その1つのデコード結果が出力される。これにより、撮像画像からマーカ光Lmが検出されているか否かについて判定するための処理等が不要となり、デコード結果の出力に関して処理負荷を軽減することができる。
【0265】
[第15実施形態]
次に、本発明の第15実施形態に係る光学的情報読取装置について、以下に説明する。
本第15実施形態では、二度読み防止設定解除条件を変更する点が主に上記第4実施形態と異なる。
【0266】
従来、同じデコード結果がそれぞれ記録される複数の情報コードを続けて読み取る場合、二度読み防止機能を解除するために、情報コードを撮像視野から外すような解除操作が必要になる。そうすると、エリアセンサのように撮像視野が大きな撮像部を有する読取装置では、その解除操作に要する使用者の動作が大きくなるという問題がある。例えば、コンビニエンスストア等の店舗でのレジ決済において、複数の同一商品購入時にその1つの商品に付されたバーコードを商品購入数に応じて繰り返し読み取る場合では、二度読み防止機能を解除するために、情報コードが撮像されない無地背景等に読取口を向ける操作と商品のバーコードに読取口を向ける操作とを店員が繰り返す必要があり、本来のオペレーションでは期待されていない操作を実施しなければならない課題があった。
【0267】
そこで、本実施形態にてなされる読取処理では、マーカ光が情報コードに向けて照射された状態(以下、コード照射状態ともいう)でその情報コードから読み取られたデコード結果を出力することを前提に、デコード結果が出力された後にコード照射状態でないと判定されると二度読み防止設定を解除する。これにより、デコード結果が出力された情報コードからマーカ光を外す操作によって二度読み防止設定が解除されるので、解除操作に要する使用者の動作を小さくすることができる。
【0268】
以下、本実施形態において、制御回路40にてなされる読取処理について、
図55に示すフローチャートを参照して詳述する。
所定の操作等に応じて読取処理が開始されると、
図55に示すステップS701の撮像処理がなされ、受光センサ28及び結像レンズ27等により構成される撮像部により情報コードをデコードするための撮像画像Pが撮像される。続いて、ステップS703のデコード処理にて、上記撮像画像Pに含まれる情報コードをデコードするための処理がなされ、デコードが成功するまで(S705でNo)、上記ステップS701からの処理が繰り返される。なお、上記ステップS703のデコード処理を実行する制御回路40は、「デコード部」の一例に相当し得る。
【0269】
そして、デコードが成功してデコード結果が得られると(S705でYes)、ステップS707の判定処理にて、上記デコード処理にて得られたデコード結果が前回出力されたデコード結果に一致する状態(以下、デコード結果一致状態ともいう)であるか否かについて判定される。ここで、読取処理開始後に初めてデコード成功しているか、前回出力されたデコード結果に一致しない場合には、ステップS707の判定処理にてNoと判定される。なお、上記ステップS707の判定処理を実行する制御回路40は、「デコード結果判定部」の一例に相当し得る。
【0270】
この場合には、ステップS709の判定処理にて、マーカ光Lmが情報コードに向けて照射されたコード照射状態であるか否かについて判定され、撮像画像Pにおいて情報コードが占めるコード領域内にマーカ光Lmの少なくとも一部が入っていることで、コード照射状態であるとしてYesと判定される。そして、ステップS711のデコード結果出力処理がなされて、デコード処理により得られたデコード結果が上位機器等に出力される。なお、上記デコード結果出力処理を実行する制御回路40は、「出力部」の一例に相当し得る。
【0271】
このようにデコード結果が出力されると、ステップS713にて二度読み防止設定処理がなされた後、上記ステップS701からの処理がなされる。一方、撮像画像Pにおいて情報コードが占めるコード領域内にマーカ光Lmが入っていない場合には、コード照射状態でないとして(S709でNo)、デコード結果が出力されることなく、上記ステップS701からの処理がなされる。なお、上記二度読み防止設定処理を実行する制御回路40は、「二度読み防止設定部」の一例に相当し得る。
【0272】
一方、上記デコード処理にて得られたデコード結果が前回出力されたデコード結果に一致するデコード結果一致状態であると(S707でYes)、ステップS715の判定処理にて、マーカ光Lmが情報コードに向けて照射されたコード照射状態であるか否かについて判定される。ここで、デコード結果を出力した情報コードからマーカ光Lmが外れていない場合には、コード照射状態であるとしてステップS715にてYesと判定される。この場合には、ステップS717の判定処理にて、二度読み防止設定中であるか否かについて判定され、二度読み防止が設定されていることからYesと判定されると、デコード結果が出力されることなく、上記ステップS701からの処理がなされる。なお、上記ステップS715の判定処理を実行する制御回路40は、「マーカ照射状態判定部」の一例に相当し得る。
【0273】
このように、デコード結果が前回出力されたデコード結果に一致するデコード結果一致状態であり、その情報コードに向けてマーカ光Lmが照射されたコード照射状態が継続する間(S707,S715でYes)、二度読み防止が解除されない限り、デコード結果が出力されることはない。
【0274】
これに対して、デコード結果が前回出力されたデコード結果に一致するデコード結果一致状態であっても(S707でYes)、情報コードからマーカ光Lmが外されると(S715でNo)、ステップS719にて二度読み防止設定解除処理がなされて、二度読み防止設定が解除される。このように、二度読み防止設定が解除された後に、上記ステップS701からの処理がなされ、デコード結果が出力された情報コードに再度マーカ光Lmが照射されると(S715でYes)、二度読み防止設定が解除されているため(S717でNo)、そのデコード結果が出力される(S711)。
【0275】
このように二度読み防止設定が解除される具体例について、
図56(A)~(C)を参照して説明する。なお、読取対象となるQRコードCf,Cgは、隣接するように配置されて同じ情報が記録されているものとする。
【0276】
図56(A)に示す撮像画像Pに対してデコード処理がなされることで、マーカ光Lmが照射されたQRコードCfのデコード結果が出力されると、二度読み防止設定がなされて(S713)、そのQRコードCfにマーカ光Lmが照射されるコード照射状態が継続する間、QRコードCfのデコード結果が再度出力されることはない。その後、
図56(B)に示す撮像画像Pのように、読取口50をQRコードCgに向けるように光学的情報読取装置10を移動させることで、QRコードCfからマーカ光Lmが外れると(S715でNo)、二度読み防止設定が解除される(S719)。そして、
図56(C)に示す撮像画像Pのように、マーカ光LmがQRコードCgに照射されてそのデコードが成功すると、デコード結果一致状態であっても(S707でYes)、二度読み防止設定が解除されているため(S717でNo)、そのデコード結果が出力される(S711)。
【0277】
以上説明したように、本実施形態に係る光学的情報読取装置10では、デコード結果が出力された後にコード照射状態でないと判定されると(S715でNo)、二度読み防止設定が解除される(S719)。そして、二度読み防止設定が行われていると(S717でYes)、デコード結果一致状態であると判定されたデコード結果が出力対象外とされ、二度読み防止設定が解除されると(S717でNo)、デコード結果一致状態であると判定されたデコード結果であっても出力対象とされる(S711)。
【0278】
このように、デコード結果が出力された後にコード照射状態でないと判定されると二度読み防止設定を解除することで、デコード結果が出力された情報コードからマーカ光Lmを外す操作によって二度読み防止設定が解除されるので、解除操作に要する使用者の動作を小さくすることができる。
【0279】
[第16実施形態]
次に、本発明の第16実施形態に係る光学的情報読取装置について、以下に説明する。
本第16実施形態では、二度読み防止設定解除条件を不要に解除されなくするように変更する点が主に上記第15実施形態と異なる。
【0280】
上記第15実施形態のように、デコード結果が出力された情報コードからマーカ光Lmが外れただけで二度読み防止設定を解除すると、手振れ等によってマーカ光Lmが一度外れた情報コードに再度照射されたために、使用者が意図しない二度読みが生じてしまう場合がある。
【0281】
そこで、本実施形態では、情報コードを構成するコード領域が含まれるコード周辺領域Acを基準として、このコード周辺領域Acに向けてマーカ光Lmが照射されている状態でない場合に、二度読み防止設定を解除することで、不要な二度読み防止設定の解除を抑制する。
【0282】
以下、本実施形態において、制御回路40にてなされる読取処理について、
図57に示すフローチャートを参照して詳述する。なお、本実施形態では、コード周辺領域Acは、その外縁が、情報コードを構成するコード領域の外縁から予め設定されたセル数分に相当する距離(以下、周辺距離Adともいう)だけ離れるようにして設定されているが、これに限らず、例えば、コード領域の外縁から予め設定された画素分に相当する距離だけ離れるようにして設定されてもよい。
【0283】
上記第15実施形態と同様にして読取処理が開始されて、デコードが成功し(
図57のS705でYes)、デコード処理にて得られたデコード結果が前回出力されたデコード結果に一致するデコード結果一致状態であると(S707でYes)、ステップS715aの判定処理にて、マーカ光Lmがコード周辺領域Acに向けて照射された状態(以下、コード周辺照射状態ともいう)であるか否かについて判定される。
【0284】
ここで、デコード結果を出力した情報コードについて設定されるコード周辺領域Acからマーカ光Lmの少なくとも一部が外れていない場合には、コード周辺照射状態であるとしてステップS715aにてYesと判定されて、上記ステップS717以降の処理がなされる。
【0285】
一方、デコード結果を出力した情報コードについて設定されるコード周辺領域Acからマーカ光Lmが外れていると、コード周辺照射状態でないとしてステップS715aにてNoと判定されて、二度読み防止設定が解除される(S719)。
【0286】
このように二度読み防止設定が解除される具体例について、
図58(A)~(C)を参照して説明する。
図58(A)に示す撮像画像Pのように、マーカ光Lmが照射されたQRコードCfのデコード結果が出力されると、二度読み防止設定がなされて(S713)、そのQRコードCfにマーカ光Lmが照射されるコード照射状態が継続する間、QRコードCfのデコード結果が再度出力されることはない。その際、
図58(B)に示す撮像画像Pのように、手振れ等によってマーカ光LmがQRコードCfから外れてもコード周辺領域Acに少なくとも一部が入っている場合には、コード周辺照射状態であるとして(S715aでYes)、二度読み防止設定が解除されることはない。そして、
図58(C)に示す撮像画像Pのように、マーカ光Lmがコード周辺領域Acから外れることで、コード周辺照射状態でないとして(S715aでNo)、二度読み防止設定が解除される(S719)。
【0287】
以上説明したように、本実施形態に係る光学的情報読取装置10では、デコード結果が出力された後に、その情報コードを構成するコード領域を含めたコード周辺領域Acに向けてマーカ光Lmが照射されている状態でないと判定されると(S715aでNo)、二度読み防止設定が解除される(S719)。
【0288】
これにより、手振れ等に起因して誤って二度読み防止設定が解除されることを抑制でき、手振れ等に対するロバスト性を高めることができる。
【0289】
なお、本実施形態の変形例として、コード周辺領域Acは、撮像画像Pに占める情報コードの大きさに応じて、情報コードに対する大きさが変化するように設定されてもよい。
【0290】
撮像画像に占める情報コード及びコード周辺領域Acの大きさが大きくなると、そのコード周辺領域Acからマーカ光Lmを外す操作に要する使用者の動作が大きくなってしまう場合がある。このため、例えば、情報コードが比較的大きく撮像される場合には、上記コード周辺領域Acの大きさを比較的小さく設定する等、撮像画像Pに占める情報コードの大きさに応じてコード周辺領域Acの大きさを変化させることで、解除操作に要する使用者の動作が大きくなることを抑制することができる。
【0291】
例えば、
図59(A)に例示する撮像画像Pのように、撮像画像Pに占める情報コードの大きさが大きくなる場合には、周辺距離Adを短くするようにして情報コードに対するコード周辺領域Acを小さくすることができる。また、例えば、
図59(B)に例示する撮像画像Pのように、撮像画像Pに占める情報コードの大きさが小さくなる場合には、周辺距離Adを長くするようにして情報コードに対するコード周辺領域Acを大きくすることができる。
【0292】
より具体的には、例えば、デコードが成功するごとに、そのデコードに成功した情報コードを構成するコード領域が撮像画像Pに占める割合(以下、コード割合Apともいう)を求めて、
図60に例示するように予め設定されるテーブルを参照して、求めたコード割合Apに応じた周辺距離Adとなるようにコード周辺領域Acを設定することができる。
図60の例では、コード割合Apが7%であれば、周辺距離Adが「15」セル数となるようにコード周辺領域Acが設定され、コード割合Apが18%であれば、周辺距離Adが「5」セル数となるようにコード周辺領域Acが設定される。
【0293】
[第17実施形態]
次に、本発明の第17実施形態に係る光学的情報読取装置について、以下に説明する。
本第17実施形態では、一部画像での画像変化の有無に応じてデコード処理の要否を判断する点が主に上記第1実施形態と異なる。
【0294】
従来、二度読み防止のため、撮像画像に対するデコード処理に応じてデコード結果が得られると、そのデコード結果と前回出力されたデコード結果とを比較する処理がなされていた。このようにデコード結果が得られるごとにデコード結果の比較を行うような処理では、読取口を速く移動させていると、情報コードの読みこぼしが生じる場合がある。特に、エリアセンサのように撮像視野が大きな撮像部を有する読取装置では、
図61に例示するように、撮像画像にデコード可能な情報コードが含まれているか確認等するための画像解析処理に要する処理時間が長くなり、デコード処理まで行うために読み取りサイクルが長くなる結果、上記問題がより一層顕著になる。
【0295】
なお、
図61では、2回目の撮像(
図61の時刻t11)での撮像画像にデコード可能な情報コードが含まれており、デコード結果出力後の3回目の撮像(
図61の時刻t12)での撮像画像から同じデコード結果が得られたためにそのデコード結果が出力されず、4回目の撮像(
図61の時刻t13)での撮像画像から異なるデコード結果が得られて出力される例を図示している。
【0296】
そこで、本実施形態にてなされる読取処理では、デコード結果が出力された後、撮像部による撮像画像Pの一部(予め設定された所定の範囲)に相当する一部画像Pbについて画像が変化していないとみなされる状態(以下、一部画像一致状態ともいう)であるか否かについて判定し、一部画像一致状態である場合には、デコード処理を行わないようにする。一部画像一致状態である場合、すなわち、画像がほぼ変化していないことから、デコード結果を得た情報コードから読取口50を外すような光学的情報読取装置10の移動が想定されないような場合には、上記画像解析処理やデコード処理を行わないことで、読み取りサイクルが短縮されるので、情報コードの読みこぼしを抑制することができる。
【0297】
具体的には、本実施形態では、今回撮像処理にて取り込まれた一部画像Pbと、前回の撮像処理にて取り込まれた一部画像Pbとに関して、明色系が占める範囲と暗色系が占める範囲との比率をそれぞれ算出して比較し、それぞれの算出値の差が所定値以内となる場合に、一部画像一致状態であると判定する。なお、一部画像一致状態に関する判定では、明色系が占める範囲と暗色系が占める範囲との比率に基づいて判定することに限らず、他の画像的特徴点に基づいて判定してもよい。
【0298】
特に、本実施形態では、一部画像Pbは、撮像画像Pに占める範囲が、当該撮像画像Pの中央部分に相当するように設定されている。このため、
図62(A)に例示する撮像画像PのようにQRコードCfが撮像される場合、一部画像Pbは、例えば、
図62(B)に示すように設定される。
【0299】
以下、本実施形態において、制御回路40にてなされる読取処理について、
図63に示すフローチャートを参照して詳述する。
所定の操作等に応じて読取処理が開始されると、
図63に示すステップS801の一部画像撮像処理がなされ、受光センサ28及び結像レンズ27等により構成される撮像部により、上述のように設定された範囲での取り込みに応じて一部画像Pbが撮像される。
【0300】
続いて、ステップS803に示す一部画像解析処理にて、撮像された一部画像Pbが解析されると、ステップS805の判定処理にて、一部画像Pbが前回の一部画像Pbから変化していないとみなされる一部画像一致状態であるか否かについて判定される。なお、上記ステップS805の判定処理を実行する制御回路40は、「画像状態判定部」の一例に相当し得る。
【0301】
ここで、最初の撮像であり、デコード結果が出力されていない状態では、一部画像一致状態でないとしてステップS805にてNoと判定されて、二度読み防止設定が解除されると(S807)、ステップS809の全画像撮像処理がなされて、撮像画像Pが撮像される。続いて、ステップS811の全画像解析処理がなされ、撮像画像Pにデコード可能な情報コードが含まれているか確認等される。
【0302】
そして、撮像画像Pにデコード可能な情報コードが含まれていない場合には、情報コードを撮像していないとしてステップS813の判定処理にてNoと判定されて、上記ステップS801からの処理がなされる。一方、撮像画像Pにデコード可能な情報コードが含まれている場合には、情報コードを撮像しているとしてステップS813の判定処理にてYesと判定されて、ステップS815のデコード処理にて、上記撮像画像Pに含まれる情報コードをデコードするための処理がなされる。なお、上記ステップS815のデコード処理を実行する制御回路40は、「デコード部」の一例に相当し得る。
【0303】
続いて、ステップS817の判定処理にて、上記デコード処理により得られたデコード結果が前回出力されたデコード結果と一致するデコード結果一致状態であるか否かについて判定される。ここで、読取処理を開始してから最初にデコード結果が得られているか前回と異なるデコード結果が得られている場合には、デコード結果一致状態でないとして(S817でNo)、ステップS819のデコード結果出力処理がなされて、デコード処理により得られたデコード結果が上位機器等に出力される。なお、上記デコード結果出力処理を実行する制御回路40は、「出力部」の一例に相当し得る。
【0304】
このようにデコード結果が出力されると、ステップS821にて二度読み防止設定処理がなされた後、読み取り終了操作等がなされていない場合には(S823でNo)、上記ステップS801からの処理がなされる。
【0305】
そして、デコード結果が出力された直後では、デコード結果が出力された情報コードに読取口50が向けられた状態が維持されているので、撮像された一部画像Pbが前回の一部画像Pbから変化していないとみなされる一部画像一致状態であるとしてステップS805の判定処理にてYesと判定される。この場合には、二度読み防止設定が解除されることなく、上記ステップS801からの処理がなされる。すなわち、一部画像Pbの画像変化が小さい場合には、デコード結果が出力された情報コードに読取口50が向けられたままであるとして、ステップS805にてYesとの判定が繰り返されて、デコード処理が行われなくなる。このように、撮像画像Pの全体の画像解析処理が行われることなく一部画像Pbの画像解析処理が継続されることで、読み取りサイクルが短縮される。
【0306】
その後、次の情報コードに読取口50を向けようとしたことから、撮像された一部画像Pbが前回の一部画像Pbから変化しているとみなされる結果が得られると、ステップS805にてNoと判定されて、二度読み防止設定が解除された後(S807)、ステップS809の全画像撮像処理がなされる。
【0307】
以下、
図64に示すタイムチャートを参照して、読み取りサイクルが短縮される具体例を説明する。
図61と同様に、2回目の撮像(
図64の時刻t21)での撮像画像にデコード可能な情報コードが含まれており、デコード結果出力後に3回目の撮像がなされると(
図64の時刻t22)、その一部画像Pbについて一部画像一致状態であるか否かについて判定される。そして、一部画像一致状態であると判定されたために(S805でYes)、4回目の撮像がなされ(
図64の時刻t23)、その一部画像Pbでも一部画像一致状態であると判定されると(S805でYes)、5回目の撮像がなされる(
図64の時刻t24)。この一部画像Pbにて一部画像一致状態でないと判定されると(S805でNo)、6回目で撮像画像Pが撮像されて(S809:
図64の時刻t25)、その撮像画像Pの全体を解析対象とするように全画像解析処理がなされる(S811)。このように、3回目の撮像から5回目の撮像まで、一部画像Pbについて画像解析が行われて全画像解析処理が行われないことで、
図61の例と比較して、読み取りサイクルを短縮することができる。
【0308】
以上説明したように、本実施形態に係る光学的情報読取装置10では、デコード結果が出力されると、撮像部による撮像画像Pの一部に相当する一部画像Pbについて画像が変化していないとみなされる一部画像一致状態であると判定されるまで全画像解析処理やデコード処理が行われない。
【0309】
このため、デコード結果が出力されると、一部画像Pbが変化しているとみなされるような状態にならない限り、撮像画像全体の画像解析処理やデコード処理がなされることもないので、二度読み防止のために撮像ごとにデコード結果を比較する処理を行う必要もない。これにより、二度読み防止等のための処理負荷の軽減が図られるだけでなく処理時間の短縮が図られるため、読み取りサイクルを短縮することができる。
【0310】
なお、一部画像Pbは、撮像画像Pに占める範囲が、当該撮像画像Pの中央部分に設定されることに限らず、当該撮像画像Pの他の範囲に設定されてもよい。また、一部画像Pbは、
図65に例示するように、撮像画像Pに占める範囲が、当該撮像画像Pでのマーカ光Lmの位置を基準に設定されてもよい。
【0311】
また、一部画像Pbは、撮像画像Pに占める範囲が、前回デコードに成功した情報コードを基準に設定されてもよい。例えば、前回デコードに成功した情報コードのコード領域に一致するように一部画像Pbが設定されてもよい。これにより、前回デコードに成功した情報コードの位置を基準に撮像画像Pに占める一部画像Pbの範囲を設定することで、情報コードを構成する各セルの明暗等を基準に上記一部画像Pbが変化しているか判定できるので、判定精度を高めることができる。
【0312】
[第18実施形態]
次に、本発明の第18実施形態に係る光学的情報読取装置について、以下に説明する。
本第18実施形態では、読取口を構成する縁部の保護構造に関して組み付け性を向上させる点が主に上記第4実施形態と異なる。
【0313】
従来、携帯型の光学的情報読取装置では、落下等に対する保護や読み取るべき情報コードが表示される表示画面の保護等を目的に、読取口を構成する縁部にゴム等の保護部材が組み付けられる。この保護部材は、通常、縁部に組み付けた後に簡単に外れないようにするため、縁部に設けた係合部位等にて引っ掛けるようにして組み付けられる。その一方で、上述のように係合部位を利用して組み付ける構成では、大型化を招くことなく強固な組み付けを実現することが困難であるため、小型化や強固な組み付けが求められる場合には、両面テープのような接着部材を用いることで保護部材が縁部に組み付けられる。
【0314】
しかしながら、保護部材を縁部に押し込むようにして接着する組付作業が必要となる保護構造では、組み付け途中で被接着部と異なる部位が両面テープ等と接着されないようにする必要があり、組付作業が煩雑になるという問題がある。
【0315】
そこで、本実施形態に係る光学的情報読取装置では、縁部の接着部が配置される部位よりも先端側を突出させて、この突出部を乗り越えた保護部材の被接着部が縁部の接着部に接着する保護構造を採用する。
【0316】
具体的には、
図66に示す光学的情報読取装置200のように、読取口250を構成する縁部251には、外側及び内側の双方から弾性的に挟持するようにして保護する保護部材260が組み付けられる。なお、
図66では、保護部材260が組み付けられる縁部251の近傍(
図66の一点鎖線の枠内参照)を、拡大した断面にて図示している。
【0317】
保護部材260は、縁部251の外側を覆う外側保護部270と、縁部251の内側を覆う内側保護部280と、外側保護部270と内側保護部280とを弾性的に連結する連結部290と、を有するように構成される。
【0318】
また、縁部251の外側には、外側保護部270が接着される接着部252と接着部252よりも先端側に位置して当該接着部252よりも外側に突出する突出部253とが設けられる。突出部253は、接着部252に近づくほど外側への突出高さが高くなるように形成されている。また、突出部253は、接着部252側の端面253aが、保護部材260を縁部251に組み付ける組付方向(後述する
図67(A)の矢印α参照)に対して垂直に近くなるように形成されている。本実施形態では、接着部252として両面テープが採用されており、突出部253の端面253a近傍に設けられる溝部に配置されている。なお、接着部252として、両面テープが採用されることに限らず、例えば、接着剤等が採用されてもよい。
【0319】
そして、外側保護部270は、接着部252に接着される被接着部271と、この被接着部271と接着部252との接着時に突出部253に僅かな隙間を介して対向する薄肉状の対向部272と、を有するように形成される。
【0320】
このように構成される縁部251に対する保護部材260の組み付けについて、
図67(A)~(C)を参照して詳述する。
保護部材260を縁部251に組み付ける場合には、まず、
図67(A)に示すように、被接着部271と突出部253とが接触するように、外側保護部270と内側保護部280との間に縁部251を挿入する。このように縁部251が挿入された保護部材260を、
図67(A)の組付方向αに沿うように押し込むことで、被接着部271が接着部252に接着されることなく突出部253と摺接する状態が維持される。
【0321】
そして、保護部材260をさらに押し込むことで、
図67(B)に示すように、被接着部271が突出部253を乗り越えると、連結部290による弾性力等に応じて外側保護部270が内側保護部280に近づこうとするため、被接着部271が接着部252に接着される(
図67(C)参照)。
【0322】
このように、被接着部271は、突出部253を乗り越えるまでは接着部252に接着されないため、保護部材260を縁部251に押し込むようにして接着する組付作業であっても、押し込む途中で接着されてしまうこともないので、容易に組付作業を実施することができる。
【0323】
特に、突出部253は、接着部252に近づくほど外側への突出高さが高くなるように形成されるので、被接着部271が突出部253を乗り越えやすくなり、組付作業の更なる容易化を図ることができる。
【0324】
さらに、突出部253は、接着部252側の端面253aが、保護部材260を縁部251に組み付ける組付方向α(
図67(A)参照)に対して垂直に近くなるように形成される。これにより、保護部材260が接着された縁部251から外れようとしても、被接着部271が突出部253の端面253aに当たって外れ難くなるので、保護部材260を縁部251に対して強固に組み付けることができる。
【0325】
本実施形態の変形例として、
図68に例示する保護部材260a及び縁部251aのように、接着箇所をさらに内側保護部280aにも設けてもよい。具体的には、縁部251aの内側には、内側保護部280aが接着される第2接着部254とこの第2接着部254よりも先端側に位置して当該第2接着部254よりも内側に突出する第2突出部255とが設けられ、内側保護部280aは、第2接着部254に接着される第2被接着部281と、この第2被接着部281と第2接着部254との接着時に第2突出部255に僅かな隙間を介して対向する薄肉状の第2対向部282と、を有するように形成される。
【0326】
そして、第2被接着部281は、被接着部271が突出部253を乗り越える際に、第2突出部255を乗り越えるように配置される。
【0327】
これにより、接着力等を高めるために縁部の外側だけでなく内側でも接着する保護部材260aであっても、容易に組付作業を実施することができる。
【0328】
なお、読取口の縁部を保護する本実施形態及び変形例の特徴的構成は、他の実施形態にも適用することができる。
【0329】
[他の実施形態]
なお、本発明は上記各実施形態および変形例に限定されるものではなく、例えば、以下のように具体化してもよい。
(1)情報コードからの反射光を取り込む読取口50は、上述したように略台形状に開口するように形成されることに限らず、他の開口形状、例えば、一側縁部52が他側縁部53よりも長くなるT字状に開口するように形成されてもよい。このように読取口50が構成される場合であっても、周縁51のうち把持部13から離れた一側縁部52に斜め下方に沿って突出する壁部56が設けられることで、上記効果を奏する。
【0330】
(2)表示面Rに表示される情報コードCを読み取る際、突出端部56aを表示面Rに接触させて情報コードCを読み取ることに限らず、使用環境等によっては、突出端部56aを表示面Rから僅かに浮かせるようにして情報コードCを読み取ってもよい。
【0331】
(3)本発明は、一次元コードや二次元コード等の情報コードを光学的に読み取る光学的情報読取装置に適用されることに限らず、例えば、情報コードだけでなく文字情報等を光学的に読み取り可能な光学的情報読取装置に適用されてもよい。
【0332】
(4)本発明は、トリガースイッチ42に対する所定の操作に応じて読取処理が行なわれる光学的情報読取装置10に採用されることに限らず、一定時間読取処理が常時行われる光学的情報読取装置に採用されてもよい。
【符号の説明】
【0333】
10…光学的情報読取装置
11…筐体
12…読取部
12a…延出端部
13…把持部
21…照明光源(照明部)
27…結像レンズ(撮像部)
28…受光センサ(撮像部)
50…読取口
51…周縁
52…一側縁部
56…壁部
57a,57b…対向部
C…情報コード
C1…バーコード(一次元コード)
C2…QRコード(二次元コード)
Lf…照明光
R…所定の表示面