IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

7636698信号検出装置、信号検出方法、およびプログラム
<>
  • -信号検出装置、信号検出方法、およびプログラム 図1
  • -信号検出装置、信号検出方法、およびプログラム 図2
  • -信号検出装置、信号検出方法、およびプログラム 図3
  • -信号検出装置、信号検出方法、およびプログラム 図4
  • -信号検出装置、信号検出方法、およびプログラム 図5
  • -信号検出装置、信号検出方法、およびプログラム 図6
  • -信号検出装置、信号検出方法、およびプログラム 図7
  • -信号検出装置、信号検出方法、およびプログラム 図8
  • -信号検出装置、信号検出方法、およびプログラム 図9
  • -信号検出装置、信号検出方法、およびプログラム 図10
  • -信号検出装置、信号検出方法、およびプログラム 図11
  • -信号検出装置、信号検出方法、およびプログラム 図12
  • -信号検出装置、信号検出方法、およびプログラム 図13
  • -信号検出装置、信号検出方法、およびプログラム 図14
  • -信号検出装置、信号検出方法、およびプログラム 図15
  • -信号検出装置、信号検出方法、およびプログラム 図16
  • -信号検出装置、信号検出方法、およびプログラム 図17
  • -信号検出装置、信号検出方法、およびプログラム 図18
  • -信号検出装置、信号検出方法、およびプログラム 図19
  • -信号検出装置、信号検出方法、およびプログラム 図20
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-18
(45)【発行日】2025-02-27
(54)【発明の名称】信号検出装置、信号検出方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04B 10/2581 20130101AFI20250219BHJP
   H04B 10/60 20130101ALI20250219BHJP
   H04J 14/04 20060101ALI20250219BHJP
   H04B 7/10 20170101ALI20250219BHJP
【FI】
H04B10/2581
H04B10/60
H04J14/04
H04B7/10 B
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2023548030
(86)(22)【出願日】2021-09-16
(86)【国際出願番号】 JP2021034116
(87)【国際公開番号】W WO2023042340
(87)【国際公開日】2023-03-23
【審査請求日】2024-03-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000004226
【氏名又は名称】日本電信電話株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】弁理士法人志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】芝原 光樹
(72)【発明者】
【氏名】小林 孝行
(72)【発明者】
【氏名】濱岡 福太郎
(72)【発明者】
【氏名】清水 新平
(72)【発明者】
【氏名】宮本 裕
【審査官】鴨川 学
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-081054(JP,A)
【文献】特開2017-038104(JP,A)
【文献】国際公開第2017/145901(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/122667(WO,A1)
【文献】国際公開第2021/166112(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 10/2581
H04B 10/60
H04J 14/04
H04B 7/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
伝送路ファイバにおいて励振されている複数の高次モードを含むN個(Nは自然数)の空間モード信号を、N個の基底モードに変換して出力するモード分波器と、
N個の各光信号それぞれの周波数を互いに異なる周波数に変換する周波数変換部と、
前記周波数が変換されたN個の光信号を合波する合波部と、
合波された光信号を位相および偏波に対する変調情報を保持したまま光電変換し、デジタル信号変換と信号処理を行って元の情報系列へ復調する受信部と、
を備える信号検出装置。
【請求項2】
前記受信部は、光電変換された信号に対して、複数の信号帯域から成る並列信号に分割した後にデジタル信号処理と信号処理を行う、
請求項1に記載の信号検出装置。
【請求項3】
前記周波数変換部は、
入力光に対して偏波処理を行った後、偏波毎に周波数変換を行い、前記周波数変換を行った信号を合波する、
請求項1に記載の信号検出装置。
【請求項4】
前記周波数変換部は、
波数変換を行った後、波長多重信号を分波する、
請求項1に記載の信号検出装置。
【請求項5】
前記周波数変換部は、
波数変換を行った後、再び光信号に対して周波数変換を行い、その後、波長多重信号を分波する、
請求項1に記載の信号検出装置。
【請求項6】
前記周波数変換部は、
低域周波数側と高域周波数側に分離し、それぞれのブランチに対し光パラメトリック過程による周波数変換を行った後、波長多重信号を分波する、
請求項1に記載の信号検出装置。
【請求項7】
信号検出装置が、
伝送路ファイバにおいて励振されている複数の高次モードを含むN個(Nは自然数)の空間モード信号を、N個の基底モードに変換して出力し、
N個の各光信号それぞれを互いに異なる周波数に変換し、
前記周波数が変換されたN個の光信号を合波し、
合波された光信号を位相および偏波に対する変調情報を保持したまま光電変換し、デジタル信号変換と信号処理を行って元の情報系列へ復調する、
信号検出方法。
【請求項8】
請求項1から請求項6のうちのいずれか1項に記載の信号検出装置として、コンピューターを機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、信号検出装置、信号検出方法、およびプログラムの技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の第5世代移動通信システム(5G、5th Generation)サービスの開始、高精細動画サービス配信、IoT(Internet of Things)サービスの発展などに伴って、光ネットワークを流れる通信トラヒックは、年々増加の一途をたどっている。
【0003】
現在の大容量光ネットワークの基盤となっている光ファイバは、LAN(Local Area Network)などの短距離向けの局所的なネットワークを除くと、シングルモードファイバが用いられている。シングルモードファイバは、クラッド内に光信号の通路となる単一のコアを有している。シングルモードファイバは、例えば、大容量長距離光ネットワークで用いられるCバンド(1528~1565nm)帯やLバンド(1570~1605nm)帯などの波長帯で、単一のモード伝搬のみを許容する。これにより、シングルモードファイバでは、毎秒数テラビットに達する情報を長距離にわたり安定的に転送する大容量長距離光ネットワークが実現されている。
【0004】
このような光ネットワークでは、増加する通信トラヒック需要に対する光ネットワークにおける対策として例えば、デジタル信号処理技術と、コヒーレント送受信技術とを用いるデジタルコヒーレント伝送技術が、毎秒100ギガビット級の光伝送装置に導入されている。デジタルコヒーレント伝送技術は、コヒーレント受信方式と、超高速デジタル信号処理とを組み合わせた技術である。コヒーレント受信方式は、受信側における光と局部発振光との干渉光を検波する受信方式である。超高速デジタル信号処理は、信号をデジタル化した後に、信号光を生成する送信側光源及び局部発振光を生成する受信側光源における周波数や位相揺らぎに起因する位相成分の雑音を取り除く処理である。
【0005】
光伝送システムにおけるデジタルコヒーレント伝送技術を用いた伝送方式は、例えば、単一モードファイバに対して直交偏波の2モードを使った偏波多重光伝送がある。偏波多重光伝送では、直交関係にある偏波にそれぞれ異なる情報を載せることができる。また、デジタルコヒーレント伝送技術を用いた伝送方式の別の例としては、マルチモードの光ファイバにおける複数の空間モード(以下「モード」ともいう)を使ったモード多重光伝送がある。モード多重光伝送では、例えばコア径をシングルモードファイバと比較して広げたファイバを伝送媒体として用いる。これにより、モード多重光伝送では、C帯などの既存波長帯においても、複数モードを励振することができ、各モードにそれぞれ異なる情報を載せ伝送することができる。モード多重光伝送の場合においても、偏波多重光伝送の場合と同様に、モード多重された光信号は、マルチモードの光ファイバを伝搬中に複雑に混合する。モードダイバーシティ構造に対応した受信装置は、混合したモード多重された光信号を受信し、受信したモード多重された光信号をデジタル信号に変換し、励振されるモード数に応じた規模のMIMOデジタル信号処理を用いて分離する。
【0006】
例えば、2つのLP(Linearly Polarized)モードを励振する数モードファイバでは、基底モードとなるLP01モード、および高次モードとなるLP11モードが励振される。さらに、LP11モードの縮退2モード(これらをそれぞれLP11a,LP11bという)、及び各モードの偏波モード(これらをそれぞれ、X偏波、Y偏波という)とを活用することにより、2LPモード用の数モードファイバでは、LP01X、LP01Y、LP11aX、LP11aY、LP11bX、LP11bYの合計6つの空間モードにそれぞれ異なる情報を載せることができる。これにより、光ファイバの非線形光学効果を無視すれば、原理的には2LPモード用の数モードファイバは、既存のシングルモードファイバの3倍の伝送容量を達成することができる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【文献】F. Hamaoka, S. Okamoto, K. Horikoshi, K. Yonenaga, A. Hirano and Y. Miyamoto, "Mode and polarization division multiplexed signal detection with single coherent receiver using mode-selective coherent detection technique,"2016 Optical Fiber Communications Conference and Exhibition (OFC), Th3A.6 (2016)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、従来の空間分割多重伝送技術を適用した伝送システムでは、使用する空間モードの数に応じて送受信機装置内の構成機器が増大するという課題がある。例えば、2LPモード用の数モードファイバにおいては、3つのLPモードを使用するために、光送受信機内におけるデジタル信号をアナログ信号に変換するデジタル・アナログ変換器、アナログ信号をデジタル信号に変換するアナログ・デジタル変換器、ドライバアンプ、光変調器、受信用光フロントエンド、半導体光増幅器、フォトディテクタ、フィードバックモニタなどの所要の構成機器や素子の個数が、既存のシングルモードファイバを伝送媒体のシステムと比較して、少なくとも3倍の数だけ必要となる。このように、空間分割多重伝送技術を適用した伝送システムでは、光トランシーバ内に含まれる光送受信機のフットプリント増大および消費電力増大を招き、集積型構成機器の製造プロセスの変更などにより、装置製造コストが増加する。
【0009】
モード多重伝送システムにおける受信機構成機器や素子を減らす手段として、例えば非特許文献1に記載のモード選択コヒーレント検波技術が提案されている。この非特許文献1に記載の技術では、局発光用のモード合波器や同期光生成用の機構を、波長チャネルごとに追加する形式で設ける必要があり、通信システム全体としての構成機器数や素子数を減らす効果としては限定的となる問題があった。
【0010】
上記事情に鑑み、本発明は、空間分割多重伝送技術を適用した伝送システムにおいて、受信装置内の構成機器数の低減することができる技術の提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一態様は、伝送路ファイバにおいて励振されている複数の高次モードを含むN個(Nは自然数)の空間モード信号を、N個の基底モードに変換して出力するモード分波器と、N個の各光信号それぞれの周波数を互いに異なる周波数に変換する周波数変換部と、前記周波数が変換されたN個の光信号を合波する合波部と、合波された光信号を位相および偏波に対する変調情報を保持したまま光電変換し、デジタル信号変換と信号処理を行って元の情報系列へ復調する受信部と、を備える信号検出装置である。
【0012】
本発明の一態様は、信号検出装置が、伝送路ファイバにおいて励振されている複数の高次モードを含むN個(Nは自然数)の空間モード信号を、N個の基底モードに変換して出力し、N個の各光信号それぞれの周波数を互いに異なる周波数に変換し、前記周波数が変換されたN個の光信号を合波し、合波された光信号を位相および偏波に対する変調情報を保持したまま光電変換し、デジタル信号変換と信号処理を行って元の情報系列へ復調する、信号検出方法である。
【0013】
本発明の一態様は、上記の信号検出装置として、コンピューターを機能させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0014】
本発明により、空間分割多重伝送技術を適用した伝送システムにおいて、受信装置内の構成機器数の低減することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】第1実施形態に係る信号検出装置の構成例を示す図である。
図2】第1実施形態に係るN×1光カプラの光信号の入力部および出力部の光スペクトルを示す図である。
図3】第1実施形態に係る信号検出装置の処理手順例のフローチャートである。
図4】第2実施形態に係る信号検出システムの構成例を示す図である。
図5】第2実施形態に係る信号検出装置の処理手順例のフローチャートである。
図6】第3実施形態に係る信号検出システムの構成例を示す図である。
図7】第3実施形態に係る信号検出装置の処理手順例のフローチャートである。
図8】第4実施形態に係る信号検出システムの構成例を示す図である。
図9】第4実施形態に係る空間周波数変換部のWDM分波器とK個のN×1光カプラとの接続関係を示す図である。
図10】第4実施形態に係る信号検出装置の処理手順例のフローチャートである。
図11】第5実施形態に係る信号検出システムの構成例を示す図である。
図12】第5実施形態に係る空間周波数変換部内の第1周波数変換部から第N周波数変換部における周波数変換前後の光スペクトルの遷移の様子を示した図である。
図13】第5実施形態に係る空間周波数変換部の構成例を示す図である。
図14】第5実施形態に係る信号検出装置の処理手順例のフローチャートである。
図15】第6実施形態に係る信号検出システムの構成例を示す図である。
図16】第6実施形態に係る信号検出装置の処理手順例のフローチャートである。
図17】第7実施形態に係る信号検出システムの構成例を示す図である。
図18】第8実施形態に係る信号検出装置の処理手順例のフローチャートである。
図19】第1実施形態の信号検出装置によって得られたデジタル領域の受信信号のスペクトル例を示す図である。
図20】第1本実施形態によって得られたQPSKのコンスタレーション例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0017】
<第1実施形態>
図1は、本実施形態に係る信号検出システムの構成例を示す図である。図1のように、信号検出システム1は、信号検出装置10と、光伝路ファイバ2を備える。
信号検出装置10は、モード分波器3、空間周波数(Space-Frequency)変換部4(周波数変換部)、N×1光カプラ5(コンバイナ)(合波部)、および受信部6を備える。
空間周波数変換部4は、例えば、N(Nは1以上の整数)個のクロック部41(第1クロック部41-1、第2クロック部41-2、…、第Nクロック部41-N)、N個の周波数シフタ42(第1周波数シフタ42-1、第2周波数シフタ42-2、…、第N周波数シフタ42-N)を備える。
受信部6は、例えば、局受光部61、コヒーレント受信機62、AD変換器64、及び信号処理部65を備える。
なお、図1に示した構成は一例であり、これに限らない。
【0018】
信号検出装置10は、伝送路ファイバ2を伝搬してきた光信号に対して光電変換を介しデジタル信号へ変換し、その後各種信号処理を施すことにより、送信側から送られてきた信号系列を情報の誤りなく復調する。
【0019】
伝送路ファイバ2は、例えば、マルチモードファイバなどの所定の光通信帯域において複数の空間モードを励振可能な空間多重ファイバである。
【0020】
モード分波器3は、伝送路ファイバ2において励振されている複数の高次モードを含むN個の空間モード信号を、N個の基底モードに変換して出力する。
【0021】
空間周波数変換部4は、各光信号の周波数を変換する。空間周波数変換部4は、N個の各光信号それぞれの周波数を互いに異なる周波数に変換する。本実施形態では、空間周波数変換部4は、各光信号を周波数シフトすることで周波数の変換を行う。
【0022】
N個のクロック部41それぞれは、周波数fのクロック信号を生成して出力する。なお、N個のクロック部は、同期用外部クロックなどの手段で同期されていることが信号処理部の負荷低減の観点から望ましいが、必ずしも同期されていなくても良い。
【0023】
N個の周波数シフタ42は、モード分波器3からの各光信号出力とクロック部41からのクロック信号を入力とする。第n(nは1~Nのうちの1つ)周波数シフタ42-nは、nΔfの周波数シフト量を光信号に付与する。すなわち、第1周波数シフタ42-1はΔf、第2周波数シフタ42-2は2Δfの周波数シフト量を光信号に付与する。なお、周波数シフタ42における周波数シフトは、例えば、電気光学効果を用いたニオブ酸リチウム基盤導波路から成るマッハ・ツェンダー型光変調器によって実現できる(例えば参考文献1)が、所定の周波数シフトの機能を有する構成であれば、これに限定されない。
【0024】
参考文献1;M. Izutsu, S. Shikama, and T. Sueta, “Integrated optical SSB modulator/frequency shifter,” IEEE J. Quantum Electron. 17(11), 2225-2227 (1981).
【0025】
N×1光カプラ5(合波部)は、周波数シフタから出力された光信号を合波して出力する。なお、N×1光カプラは、例えば、複数のレーザ光を1本のファイバに結合するコンバイナ等であってもよい。
【0026】
受信部6は、受信された信号光と局発光を混合することで信号を復号して、例えば外部装置へ出力する。
【0027】
局受光部61は、例えば光源としてレーザダイオードを備え、局受光を発光して出力する。
【0028】
コヒーレント受信機62は、例えば、位相および偏波ダイバーシティ構成を備える。コヒーレント受信機62は、受信され合波された受信信号と局発光入力により、位相および偏波に対する変調情報を保持したまま、光電変換によってアナログ電気信号へ変換する。
【0029】
AD変換器64は、サンプリング処理によってアナログ電気信号からデジタル信号に変換する。
【0030】
信号処理部65は、例えば、波形歪除去、MIMO型信号処理、周波数オフセット補償、位相雑音補償、誤り訂正復号などを含む所定の信号処理を行って、元の正しい情報系列(シンボル系列またはバイナリ系列)へと復調する。
【0031】
次に、N×1光カプラ5の光信号の入力部および出力部の光スペクトルについて説明する。
図2は、本実施形態に係るN×1光カプラの光信号の入力部および出力部の光スペクトルを示す図である。図2のように、N×1光カプラ5に入力される信号は、各周波数シフタ42によって、元の搬送波周波数fと比較してnΔfの周波数シフトを受けている。N×1光カプラ5は、n個の光信号(g11~g13)を合波することにより、光スペクトルg14のように、Δfの間隔で周波数軸上に配置された光信号を得ることができる。
【0032】
次に、信号検出装置10の処理手順例を説明する。
図3は、本実施形態に係る信号検出装置の処理手順例のフローチャートである。
【0033】
(ステップS1)モード分波器3は、伝送路ファイバ2において励振されている複数の高次モードを含むN個の空間モード信号を、N個の基底モードに変換する。
【0034】
(ステップS2)第n周波数シフタ42-nは、nΔfの周波数シフト量を光信号に付与することで光信号の周波数を変換する。
【0035】
(ステップS3)N×1光カプラ5は、各周波数シフタ42から出力された光信号を合波する。
【0036】
(ステップS4)コヒーレント受信機62は、受信信号と局発光入力により、位相および偏波に対する変調情報を保持したまま、光電変換によってアナログ電気信号へ変換する。
【0037】
(ステップS5)AD変換器64は、サンプリング処理によってアナログ電気信号からデジタル信号に変換する。
【0038】
(ステップS6)信号処理部65は、例えば、波形歪除去、MIMO型信号処理、周波数オフセット補償、位相雑音補償、誤り訂正復号などを含む所定の信号処理を行って、元の正しい情報系列へと復調する。
【0039】
このように構成された信号検出装置10では、N×1光カプラ5の出力信号に対して、局発光を混合しフォトディテクタでイントラダインコヒーレント検波またはヘテロダインコヒーレント検波による光電変換を実施することにより、伝送路ファイバでN個の空間モードが単一の受信部6により受信されるため、信号検出装置10内の構成機器数の低減することが可能となる。
【0040】
従来構成では、N個の受信部が必要であったが、本実施形態によれば、1個の受信部6で実現できる。受信信号は、AD変換器64によりデジタル変換されたデジタル領域においても、エイリアスが発生しない標本化定理を満たす条件では周波数軸上にΔfの周波数間隔が保持されたまま配置される。また、本実施形態によれば、得られたn番目の信号に対しデジタル信号処理により-nΔfの周波数シフトを行いベースバンド信号へ変換することにより、AD変換器64のサンプリング速度制限、及び各機器の帯域制限を無視できる条件のもとにおいて、従来構成のN個の受信部により受信した信号と同等の受信信号系列を1個の受信部6で得ることができる。
【0041】
なお、上述した例では、局発光を用いたコヒーレント受信の場合を例に用いて説明したが、受信方法としては、局発光を用いない直接受信の形態でも良い。
また、上述した例では、N個の空間モードを単一の受信機能部で受信する構成を用いて説明したが、本実施形態の効果はこれに限定されるものではない。例えば、信号検出装置10の構成は、N個の空間モードをp個(pは1以上N以下の整数)のグループに分割し、所定の周波数シフトかつ合波後に受信機能部により受信する構成をp個並列に並べても良い。なお、pは受信部6の構成装置の帯域や要求コストにより決定される数であり、このとき受信部6の削減効果は、従来構成と比較して、受信部全体を1/pの個数にすることに相当する。
【0042】
<第2実施形態>
図4は、本実施形態に係る信号検出システムの構成例を示す図である。図4のように、信号検出システム1Aは、信号検出装置10Aと、光伝路ファイバ2を備える。
信号検出装置10Aは、モード分波器3、空間周波数変換部4(周波数変換部)、N×1光カプラ5(合波部)、および受信部6Aを備える。
受信部6Aは、例えば、局受光部61、コヒーレント受信機62、帯域分割部63、AD変換器64、及び信号処理部65を備える。
なお、図4に示した構成は一例であり、これに限らない。
【0043】
空間周波数変換部4は、各光信号の周波数を変換する。本実施形態では、第1実施形態と同様に、空間周波数変換部4は、各光信号を周波数シフトすることで周波数の変換を行う。
【0044】
帯域分割部63は、アナログ電気信号を複数の並列化信号として、AD変換器64に出力する。帯域分割部63の帯域分割の機能とは、例えばアナログ電気信号を高周波と低周波の側波帯に分割しそれぞれの側波帯中心を直流成分に相当する周波数へ変換し出力することを意味し、例えば参考文献2に示されているような広帯域回路実装技術によって実現できる。なお、コヒーレント受信機62により光電変換されたアナログ電気信号は、各周波数シフタによりΔfの周波数間隔を以って周波数軸上に配置されている。
【0045】
参考文献2;F. Hamoaka et al., “Ultra-wideband Optical Receiver Using Electrical
Spectrum Decomposition Technique,” We1C-3, ECOC2020.
【0046】
次に、信号検出装置10Aの処理手順例を説明する。
図5は、本実施形態に係る信号検出装置の処理手順例のフローチャートである。
【0047】
(ステップS1)モード分波器3は、伝送路ファイバ2において励振されている複数の高次モードを含むN個の空間モード信号を、N個の基底モードに変換する。
【0048】
(ステップS2)第n周波数シフタ42-nは、nΔfの周波数シフト量を光信号に付与することで光信号の周波数を変換する。
【0049】
(ステップS3)N×1光カプラ5は、各周波数シフタ42から出力された光信号を合波する。
【0050】
(ステップS4)コヒーレント受信機62は、受信信号と局発光入力により、位相および偏波に対する変調情報を保持したまま、光電変換によってアナログ電気信号へ変換する。
【0051】
(ステップS11)帯域分割部63は、アナログ電気信号を複数の並列化信号として、AD変換器64に出力する。
【0052】
(ステップS5)AD変換器64は、サンプリング処理によってアナログ電気信号からデジタル信号に変換する。
【0053】
(ステップS6)信号処理部65は、例えば、波形歪除去、MIMO型信号処理、周波数オフセット補償、位相雑音補償、誤り訂正復号などを含む所定の信号処理を行って、元の正しい情報系列へと復調する。
【0054】
以上のように、本実施形態では、受信部6Aが更に帯域分割部63を備えるようにしたので、アナログ電気信号に含まれる最高周波数が低減され、後段の電気回路およびデジタル回路に対する帯域制限および動作周波数制限の要求条件を緩和することが期待できる。
【0055】
なお、本実施形態では帯域分割部において2つの側波帯に分割出力する例を示したが、これに限定されることなく、単一のアナログ電気信号の入力に対し、帯域分割部はq個(qは1以上N以下の整数)の低速出力信号へ変換する機能を有していても良い。すなわち、帯域分割部63は、複数の信号帯域から成る並列信号に分割した後にデジタル信号処理と信号処理を行うようにしてもよい。
【0056】
<第3実施形態>
図6は、本実施形態に係る信号検出システムの構成例を示す図である。図6のように、信号検出システム1Bは、信号検出装置10Bと、光伝路ファイバ2を備える。
信号検出装置10Bは、モード分波器3、空間周波数変換部4B(周波数変換部)、N×1光カプラ5(合波部)、および受信部6を備える。
空間周波数変換部4Bは、例えば、N(個のクロック部41(第1クロック部41-1、第2クロック部41-2、…、第Nクロック部41-N)、2N個の周波数シフタ42(第1周波数シフタ42-1-1、第1周波数シフタ42-1-2、第2周波数シフタ42-2-1、第2周波数シフタ42-2-2、…、第N周波数シフタ42-N-1、第N周波数シフタ42-N-2)、偏光ビームスプリッタ43(43-1、43-2、…、43-N)、および偏光ビームコンバイナ44(44-1、44-2、…、44-N)を備える。
なお、図6に示した構成は一例であり、これに限らない。
【0057】
空間周波数変換部4Bは、各光信号の周波数を変換する。本実施形態では、空間周波数変換部4は、各光信号を変更毎に周波数シフトすることで周波数の変換を行い、変換した信号を出力する。
【0058】
空間周波数変換部4Bは、各光信号系列に対し2つの周波数シフタ42―n-1,2を備える。2つの周波数シフタ42―n-1の入力それぞれには、偏波ビームスプリッタ43が接続され、2つの周波数シフタの出力それぞれには、偏波ビームコンバイナ44が接続されている。
【0059】
周波数シフトを実現する光変調器は、一般に導波路型のために入力光に対して偏波依存性を持つ。このため、本実施形態では、周波数シフタ42の入力前後に偏波ビームスプリッタ43または偏波ビームコンバイナ44を設け、偏波ダイバーシティ化し、偏波多重信号への対応を可能とする。
【0060】
偏波ビームスプリッタ43は、光学素子であり、モード分波器3からの各光信号出力をS偏光とP偏光に分離する。
第n周波数シフタ42-n-1は、nΔfの周波数シフト量をS偏光に付与する。第n周波数シフタ42-n-2は、nΔfの周波数シフト量をP偏光に付与することで光信号の周波数を変換する。
偏波ビームコンバイナ44は、光学素子であり、第n周波数シフタ42-n-1が出力する光信号と、第n周波数シフタ42-n-2が出力する光信号と、を合波してN×1光カプラ5に出力する。
【0061】
次に、信号検出装置10Bの処理手順例を説明する。
図7は、本実施形態に係る信号検出装置の処理手順例のフローチャートである。
【0062】
(ステップS1)モード分波器3は、伝送路ファイバ2において励振されている複数の高次モードを含むN個の空間モード信号を、N個の基底モードに変換する。
【0063】
(ステップS21)偏波ビームスプリッタ43は、モード分波器3からの各光信号出力をS偏光とP偏光に分離する。
【0064】
(ステップS22)周波数シフタ42は、Δfの周波数シフト量をS偏光またはP偏光に付与することで光信号の周波数を変換する。
【0065】
(ステップS23)偏波ビームコンバイナ44は、光学素子であり、第n周波数シフタ42-n-1が出力する光信号と、第n周波数シフタ42-n-2が出力する光信号と、を合波する。
【0066】
(ステップS3)N×1光カプラ5は、各周波数シフタ42から出力された光信号を合波する。
【0067】
(ステップS4)コヒーレント受信機62は、受信信号と局発光入力により、位相および偏波に対する変調情報を保持したまま、光電変換によってアナログ電気信号へ変換する。
【0068】
(ステップS5)AD変換器64は、サンプリング処理によってアナログ電気信号からデジタル信号に変換する。
【0069】
(ステップS6)信号処理部65は、例えば、波形歪除去、MIMO型信号処理、周波数オフセット補償、位相雑音補償、誤り訂正復号などを含む所定の信号処理を行って、元の正しい情報系列へと復調する。
【0070】
以上のように、本実施形態では、周波数シフタ42の入力前後に偏波ビームスプリッタ43または偏波ビームコンバイナ44を設け、偏光毎に周波数シフト量を付与するようにした。
これにより、本実施形態によれば、偏波ダイバーシティ化し、偏波多重信号への対応が可能になる。
【0071】
なお、受信部6は、帯域分割部63を備える第2実施形態の受信部6Bであってもよい。
【0072】
<第4実施形態>
本実施形態では、光伝路ファイバ2を伝搬してきた各空間モードの光信号が、それぞれK個(Kは1以上の整数)の波長多重信号を持つWDM(Wavelength division multiplexing)信号を空間周波数変換部で一括処理する例を説明する。
【0073】
図8は、本実施形態に係る信号検出システムの構成例を示す図である。図8のように、信号検出システム1Cは、信号検出装置10Cと、光伝路ファイバ2を備える。
信号検出装置10Cは、モード分波器3、空間周波数変換部4C(周波数変換部)、K個のN×1光カプラ5(合波部)(N×1光カプラ5-1、…、N×1光カプラ5-K)、およびK個の受信部6(受信部6-1、…、受信部6-K)を備える。
空間周波数変換部4Cは、例えば、N(Nは1以上の整数)個のクロック部41(第1クロック部41-1、第2クロック部41-2、…、第Nクロック部41-N)、N個の周波数シフタ42(第1周波数シフタ42-1、第2周波数シフタ42-2、…、第N周波数シフタ42-N)、およびWDM分波器45(WDM分波器45-1、WDM分波器45-2、…、WDM分波器45-N)を備える。
なお、図8に示した構成は一例であり、これに限らない。
【0074】
空間周波数変換部4Cは、各光信号の周波数を変換する。本実施形態では、空間周波数変換部4Cが各光信号を周波数シフトして光信号の周波数を変換し、さらにWDM分波器45がチャネル毎に分波する。
【0075】
第n周波数シフタ42-nは、K個のWDM波長チャネルに対して、nΔfの周波数シフト量を一括で付与することで光信号の周波数を変換する。
WDM分波器45は、K個のWDM波長チャネルをチャネル毎に分波する。
N×1光カプラ5は、各波長チャネルに対する出力信号を合波して出力する。
K個の受信部6は、各波長チャネルを、第1実施形態と同様の手段によって受信処理、復調処理を行う。
【0076】
図9は、本実施形態に係る空間周波数変換部のWDM分波器とK個のN×1光カプラとの接続関係を示す図である。図9のように、N×1光カプラ5-1にはWDM分波器45-1~45-Nそれぞれの第1のチャネル信号が入力され、N×1光カプラ5-2にはWDM分波器45-1~45-Nそれぞれの第2のチャネル信号が入力され、…、N×1光カプラ5-KにはWDM分波器45-1~45-Nそれぞれの第Kのチャネル信号が入力さる。
【0077】
次に、信号検出装置10Cの処理手順例を説明する。
図10は、本実施形態に係る信号検出装置の処理手順例のフローチャートである。
【0078】
(ステップS1)モード分波器3は、伝送路ファイバ2において励振されている複数の高次モードを含むN個の空間モード信号を、N個の基底モードに変換する。
【0079】
(ステップS31)第n周波数シフタ42-nは、K個のWDM波長チャネルに対して、nΔfの周波数シフト量を一括で付与することで光信号の周波数を変換する。
【0080】
(ステップS32)WDM分波器45は、K個のWDM波長チャネルをチャネル毎に分波する。
【0081】
(ステップS33)N×1光カプラ5は、周波数シフト量が付与された光信号において、各波長チャネルに対する出力信号を合波する。
【0082】
(ステップS4)コヒーレント受信機62は、受信信号と局発光入力により、位相および偏波に対する変調情報を保持したまま、光電変換によってアナログ電気信号へ変換する。
【0083】
(ステップS5)AD変換器64は、サンプリング処理によってアナログ電気信号からデジタル信号に変換する。
【0084】
(ステップS6)信号処理部65は、例えば、波形歪除去、MIMO型信号処理、周波数オフセット補償、位相雑音補償、誤り訂正復号などを含む所定の信号処理を行って、元の正しい情報系列へと復調する。
【0085】
以上のように、本実施形態では、空間周波数変換部4Cが各周波数シフタ42の後段にWDM分波器45を備え、その各波長チャネルに対する出力信号を後段のN×1光カプラ5で合波するようにした。そして、本実施形態では、各波長チャネルを、K個の受信部6によって、第1実施形態と同様の手段によって受信処理、復調処理を行うようにした。
【0086】
これにより、本実施形態によれば、K個のWDM波長チャネルを一括で周波数シフトすることができ、伝送路ファイバを伝搬してきた各空間モードの光信号が、それぞれK個の波長多重信号を持つWDM構成に対応することができる。
なお、第1~第3実施形態の構成でK個の波長多重信号を持つWDM信号を扱う場合は、空間周波数変換部4(または4A、4B)をK個備える必要がある。
これに対して、本実施形態によれば、各WDM波長チャネルを周波数シフトする第1~第3実施形態と比較して、空間周波数変換部の個数を1/K倍にできる効果がある。
【0087】
なお、各受信部6は、帯域分割部63を備える第2実施形態の受信部6Bであってもよい。
【0088】
<第5実施形態>
本実施形態は、第4実施形態の空間周波数変換部4Cにおける周波数シフタ42を周波数変換部46として置換した構成例である。
【0089】
図11は、本実施形態に係る信号検出システムの構成例を示す図である。図11のように、信号検出システム1Dは、信号検出装置10Dと、光伝路ファイバ2を備える。
信号検出装置10Dは、モード分波器3、空間周波数変換部4D(周波数変換部)、K個のN×1光カプラ5(合波部)、およびK個の受信部6(受信部6-1、受信部6-2、…、受信部6-K)を備える。
空間周波数変換部4Dは、例えば、N(Nは1以上の整数)個の周波数変換部46(第1周波数変換部46-1、第2周波数変換部46-2、…、第N周波数変換部46-N)、およびWDM分波器45(WDM分波器45-1、WDM分波器45-2、…、WDM分波器45-N)を備える。
なお、図11に示した構成は一例であり、これに限らない。
【0090】
空間周波数変換部4Dは、各光信号の周波数を変換する。本実施形態では、周波数変換部46が各光信号を波長変換することで光信号の周波数を変換し、さらにWDM分波器45がチャネル毎に分波する。
【0091】
周波数変換部46は、K個のWDM波長チャネルに対して波長変換を行うことで光信号の周波数を変換する。なお、第n周波数変換部46-nには、例えば2f+nΔfの励起光が併せて入力される。波長変換を可能にする形態としては、例えば、高非線形ファイバ、周期的分極反転ニオブ酸リチウム(PPLN)、半導体光増幅器、シリコン導波路などを用いた非線形光学効果を用いることができる。
【0092】
以下に、PPLN波長変換素子を用いた周波数変換例を説明する。
図12は、本実施形態に係る空間周波数変換部内の第1周波数変換部から第N周波数変換部における周波数変換前後の光スペクトルの遷移の様子を示した図である。光スペクトルの遷移図g201~g203において、横軸は周波数である。なお、空間周波数変換部4Dへは、K個のWDM信号が入力光として入力される。
【0093】
第n周波数変換部46-nに2f+nΔfの励起光が併せて入力される場合、励起光と入力光との非縮退光パラメトリック過程により、元のK個のWDM信号は、図12の光スペクトルの遷移図g201~g203のように、f+nΔ/2の周波数(これを以下、中心周波数と呼称する)を対象軸として折り返されたような出力光(アイドラ光)を生ずる。
各周波数変換部46への励起光の周波数をΔfずつずらすことにより、空間周波数変換部4Dにおいて生成されるWDM信号は、Δfずつずれた出力光を得ることができる。
なお、受信部6への各波長チャネルは、送信側から元々送られた光信号と比較して位相共役の関係にある。位相共役光を元の信号に戻すためには、例えば、コヒーレント受信機内部の位相ダイバーシティ構成における光路長による調整、またはデジタル信号処理部における位相共役反転処理を用いることができる。
【0094】
図13は、本実施形態に係る空間周波数変換部の構成例を示す図である。図13のように、空間周波数変換部4Dは、例えば、光源401、周波数コム生成部402、1×N光スプリッタ403、N個の光フィルタ404(404-1、404-2、…、404-N)、N個の光増幅器405(405-1、405-2、…、405-N)、N個の光フィルタ406(406-1、406-2、…、406-N)、N個のPPLN407(407-1、407-2、…、407-N)、およびN個の周波数変換部46(第1周波数変換部46-1、…、第N周波数変換部46-N)を備える。
【0095】
光源401は、励起光の種光となる連続光を周波数コム生成部402に出力する。
【0096】
周波数コム生成部402は、連続光を用いてΔfずつの周波数間隔で配置された周波数コムを生成し、生成した周波数コムを1×N光スプリッタ403に出力する。周波数コムの生成方法としては、例えば複数の強度変調器を用いる構成やモードロックレーザを用いる構成があるが、これに限らない。
【0097】
次に、1×N光スプリッタ403は、周波数コムをN個に分岐しそれぞれを光フィルタ404(404-1、404-2、…、404-N)に出力する。
【0098】
光フィルタ404(404-1、404-2、…、404-N)は、入力された光信号に対してフィルタ処理を行って、光フィルタ404に対応する光増幅器405(405-1、405-2、…、405-N)へ出力する。
【0099】
光増幅器405(405-1、405-2、…、405-N)は、フィルタ処理された光信号に対して増幅処理を行って、光増幅器405に対応する個の光フィルタ406(406-1、406-2、…、406-N)へ出力する。
【0100】
光フィルタ406(406-1、406-2、…、406-N)は、入力された光信号に対してフィルタ処理を行って、光フィルタ406に対応するPPLN407(407-1、407-2、…、407-N)へ出力する。
【0101】
PPLN407(407-1、407-2、…、407-N)は、入力された光信号に対して第二高調波を発生させ、PPLN407に対応する周波数変換部46(第1周波数変換部46-1、…、第N周波数変換部46-N)へ出力する。例えば、PPLN407-1は、2f+Δfの光信号を第1周波数変換部46-1へ出力し、…、PPLN407-Nは、2fc+NΔfの光信号を第N周波数変換部46-Nへ出力する。
これにより、空間周波数変換部4Dは、2f+Δfから2f+NΔfまでΔfずつの周波数間隔で配置されたN個の励起光を得る。
【0102】
空間周波数変換部4Dは、これらを差周波発生用の周波数変換部46にそれぞれ励起光として入力することにより、中心周波数を軸として折り返されたような出力光を得ることができる。なお、図13に示した構成は一例であり、これに限らない。例えば、図13では構成の簡易性のため、N個の励起光の生成方法として、周波数コム生成を介して一括生成する方式を例示したがこれに限らない。例えば、N個の励起光は、N個の個別光源を用いて独立に生成しても良い。
【0103】
次に、信号検出装置10Dの処理手順例を説明する。
図14は、本実施形態に係る信号検出装置の処理手順例のフローチャートである。
【0104】
(ステップS1)モード分波器3は、伝送路ファイバ2において励振されている複数の高次モードを含むN個の空間モード信号を、N個の基底モードに変換する。
【0105】
(ステップS41)周波数変換部46は、K個のWDM波長チャネルに対して波長変換を行うことで光信号の周波数を変換する。
【0106】
(ステップS42)WDM分波器45は、K個のWDM波長チャネルをチャネル毎に分波する。
【0107】
(ステップS43)N×1光カプラ5は、周波数変換され分波された光信号において、各波長チャネルに対する出力信号を合波する。
【0108】
(ステップS4)コヒーレント受信機62は、受信信号と局発光入力により、位相および偏波に対する変調情報を保持したまま、光電変換によってアナログ電気信号へ変換する。
【0109】
(ステップS5)AD変換器64は、サンプリング処理によってアナログ電気信号からデジタル信号に変換する。
【0110】
(ステップS6)信号処理部65は、例えば、波形歪除去、MIMO型信号処理、周波数オフセット補償、位相雑音補償、誤り訂正復号などを含む所定の信号処理を行って、元の正しい情報系列へと復調する。
【0111】
以上のように、本実施形態では、第4の実施形態の空間周波数変換部における周波数シフタを周波数変換部46として置換するようにした。
これにより、本実施形態によれば、周波数シフタ部における周波数シフト量の電気帯域制限の回避やシフト変換効率(消光比)の高効率化を行うことができる。
【0112】
なお、各受信部6は、帯域分割部63を備える第2実施形態の受信部6Bであってもよい。
【0113】
<第6実施形態>
本実施形態は、第5実施形態とは異なり、伝送帯域におけるデバイスの動作帯域を変更しない例である。
【0114】
図15は、本実施形態に係る信号検出システムの構成例を示す図である。図15のように、信号検出システム1Eは、信号検出装置10Eと、光伝路ファイバ2を備える。
信号検出装置10Eは、モード分波器3、空間周波数変換部4E(周波数変換部)、K個のN×1光カプラ5(合波部)、およびK個の受信部6(受信部6-1、受信部6-2、…、受信部6-K)を備える。
空間周波数変換部4Eは、例えば、N(Nは1以上の整数)個の周波数変換部46(第1周波数変換部46-1-1、第2周波数変換部46-2-1、…、第N周波数変換部46-N-1)、N個の周波数変換部47(第1周波数変換部47-1-1、第2周波数変換部47-2-1、…、第N周波数変換部47-N-1)、およびWDM分波器45(WDM分波器45-1、WDM分波器45-2、…、WDM分波器45-N)を備える。
なお、図15に示した構成は一例であり、これに限らない。
【0115】
本実施形態では、第n周波数変換部46-n-1の後に、直列に第n周波数変換部47-n-1が接続され、第n周波数変換部47-n-1の出力がWDM分波器45-nの入力に接続されている。
【0116】
空間周波数変換部4Eは、各光信号の周波数を変換する。本実施形態では、周波数変換部46が各光信号を周波数変換した後、周波数変換部47が再度周波数変換し、さらにWDM分波器45がチャネル毎に分波する。
【0117】
周波数変換部46は、K個のWDM波長チャネルに対して波長変換を行うことで光信号の周波数の変換を行い、変換した光信号を周波数変換部46に直列に接続されている周波数変換部47へ出力する。
周波数変換部47は、入力された光信号に対して波長変換を行うことで光信号の周波数の変換を行い、変換した光信号を周波数変換部47に接続されているWDM分波器45へ出力する。
【0118】
図12を用いて説明したように、周波数変換部46からの出力光は、中心周波数を軸として折り返された位相共役光となる。このことは、出力光が中心周波数から周波数軸上で離れているほど、またWDM信号チャネル数の数Kが大きいほど、入力光と比較して出力光が周波数軸上で離れた位置に生成されることを定性的に意味する。そのため、出力光が位置する新たな伝送帯域は、受信部内部の各素子の動作帯域外となる懸念がある。
【0119】
このため、本実施形態では、周波数変換による受信素子の動作帯域外となる事象を避けるため、周波数変換部を直列に配置し連続的に周波数変換を行うことにより、周波数変換部の入力光と出力光とを同一の伝送帯域にて取り扱うことが可能となる。
各周波数変換部46、47における励起光の周波数の設定の仕方は任意性が存在する。設定方法は、例えば、fの周波数に位置する入力光に対し、n番目の後段の周波数変換部47(第1周波数変換部47-1-1、第2周波数変換部47-2-1、…、第N周波数変換部47-N-1)により出力光がf+nΔfの周波数を満たす条件において、各励起光の周波数が設定される。
【0120】
次に、信号検出装置10Eの処理手順例を説明する。
図16は、本実施形態に係る信号検出装置の処理手順例のフローチャートである。
【0121】
(ステップS1)モード分波器3は、伝送路ファイバ2において励振されている複数の高次モードを含むN個の空間モード信号を、N個の基底モードに変換する。
【0122】
(ステップS41)周波数変換部46は、K個のWDM波長チャネルに対して波長変換を行う。
【0123】
(ステップS51)周波数変換部47は、波長変換された光信号に対して、波長変換を行うことで光信号の周波数の変換を行う。
【0124】
(ステップS42)WDM分波器45は、K個のWDM波長チャネルをチャネル毎に分波する。
【0125】
(ステップS43)N×1光カプラ5は、周波数変換され分波された光信号において、各波長チャネルに対する出力信号を合波する。
【0126】
(ステップS4)コヒーレント受信機62は、受信信号と局発光入力により、位相および偏波に対する変調情報を保持したまま、光電変換によってアナログ電気信号へ変換する。
【0127】
(ステップS5)AD変換器64は、サンプリング処理によってアナログ電気信号からデジタル信号に変換する。
【0128】
(ステップS6)信号処理部65は、例えば、波形歪除去、MIMO型信号処理、周波数オフセット補償、位相雑音補償、誤り訂正復号などを含む所定の信号処理を行って、元の正しい情報系列へと復調する。
【0129】
以上のように、本実施形態では、空間周波数変換部4E内部の各周波数変換部において、2つの周波数変換部を直列に配置するようにした。
これにより、本実施形態によれば、伝送帯域におけるデバイスの動作帯域を変更せずに処理を行うことができる。
【0130】
なお、各受信部6は、帯域分割部63を備える第2実施形態の受信部6Bであってもよい。
【0131】
<第7実施形態>
本実施形態は、伝送帯域におけるデバイスの動作帯域を変更しない例である。
【0132】
図17は、本実施形態に係る信号検出システムの構成例を示す図である。図17のように、信号検出システム1Fは、信号検出装置10Fと、光伝路ファイバ2を備える。
信号検出装置10Fは、モード分波器3、空間周波数変換部4F(周波数変換部)、K個のN×1光カプラ5(合波部)、およびK個の受信部6(受信部6-1、受信部6-2、…、受信部6-K)を備える。
空間周波数変換部4Fは、例えば、N(Nは1以上の整数)個の相補周波数変換部48(第1相補周波数変換部48-1-1、第2相補周波数変換部48-2-1、…、第N相補周波数変換部48-N-1)、およびWDM分波器45(WDM分波器45-1、WDM分波器45-2、…、WDM分波器45-N)を備える。
なお、図17に示した構成は一例であり、これに限らない。
【0133】
相補周波数変換部48は、光フィルタなどの手段によりWDM信号を低域周波数側と高域周波数側に分離し、それぞれのブランチに対し光パラメトリック過程による周波数変換を施し再度合波する(例えば参考文献3参照)。
【0134】
参考文献3;特許第6096831号公報
【0135】
次に、信号検出装置10Fの処理手順例を説明する。
図18は、本実施形態に係る信号検出装置の処理手順例のフローチャートである。
【0136】
(ステップS1)モード分波器3は、伝送路ファイバ2において励振されている複数の高次モードを含むN個の空間モード信号を、N個の基底モードに変換する。
【0137】
(ステップS61)相補周波数変換部48は、低域周波数側と高域周波数側に分離し、それぞれのブランチに対し光パラメトリック過程による周波数変換を施すことで光信号の周波数の変換を行い、変換後に再度合波する。
【0138】
(ステップS62)WDM分波器45は、チャネル毎に分波する。
【0139】
(ステップS63)N×1光カプラ5は、各波長チャネルに対する出力信号を合波する。
【0140】
(ステップS4)コヒーレント受信機62は、受信信号と局発光入力により、位相および偏波に対する変調情報を保持したまま、光電変換によってアナログ電気信号へ変換する。
【0141】
(ステップS5)AD変換器64は、サンプリング処理によってアナログ電気信号からデジタル信号に変換する。
【0142】
(ステップS6)信号処理部65は、例えば、波形歪除去、MIMO型信号処理、周波数オフセット補償、位相雑音補償、誤り訂正復号などを含む所定の信号処理を行って、元の正しい情報系列へと復調する。
【0143】
以上のように、本実施形態では、空間周波数変換部4Fが相補周波数変換部48を備えるようにした。
これにより、本実施形態によれば、波長変換部の入力光と出力光とを同一の伝送帯域にて取り扱うことが可能となる。
【0144】
なお、各受信部6は、帯域分割部63を備える第2実施形態の受信部6Bであってもよい。
【0145】
なお、上述した各実施形態において、空間周波数変換部(周波数変換部)、受信部の機能の各機能の全て又は一部は、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサーとメモリーとを用いて構成されていてもよい。空間周波数変換部、受信部の機能の各機能の全て又は一部は、プロセッサーがプログラムを実行することによって、例えば、周波数シフタ部、コヒーレント受信機、AD変換器、及び信号処理部として機能する。なお、空間周波数変換部、受信部の機能の各機能の全て又は一部は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やPLD(Programmable Logic Device)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェアを用いて実現されても良い。上記のプログラムは、コンピューター読み取り可能な記録媒体に記録されても良い。コンピューター読み取り可能な記録媒体とは、例えばフレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM、半導体記憶装置(例えばSSD:Solid State Drive)等の可搬媒体、コンピューターシステムに内蔵されるハードディスクや半導体記憶装置等の記憶装置である。上記のプログラムは、電気通信回線や光通信回線を介して送信されてもよく、クラウドから供給されてもよい。
【0146】
<効果の説明>
以下に、上述した実施形態の効果を確認するために行った評価結果例を説明する。
第1実施形態の効果を確認するために、3モードの数モードファイバを用いた伝送実験を行った。
まず6GBaudのQPSK(Quadrature Phase Shift Keying (4位相偏移変調))信号を光変調器により生成し、遅延系による3系統の入力信号をモード合波器に入力することにより3モードのモード多重光信号を得た。次に数モードファイバのパッチコードで接続された対のモード分波器に当該光信号を入力し再度3系統の基底モード(LP01)に変換した。このとき、3系統の基底モード信号は互いに混合している。これは、伝送評価系における伝送路は短距離であるものの、合分波器の不完全性により3つのモード間には無視できないレベルの結合が生じるためである。3系統の基底モード信号のうち、元々LP11aモードであった信号に対し周波数シフタによって+12(GHz)の周波数シフトを付与し、他方元々11bモードであった信号に対し周波数シフタ42によって-12(GHz)の周波数シフトを付与した。なお、LP11aモード、11bモードは、伝搬モードである。その後、3つの基底モード信号を3x1カプラによって合波し、単一の受信部6によって受信した。
【0147】
図19は、第1実施形態の信号検出装置10によって得られたデジタル領域の受信信号のスペクトル例を示す図である。図19において、横軸は周波数(GHz)、縦軸は強度(10dB/div)である。図19のように、評価結果では、低周波側から12(GHz)置きにモード3(LP11b)(g301)、モード1(LP01)(g302)、モード2(LP11a)(g303)の信号が周波数多重されている様子が見て取れる。
【0148】
次に、信号処理部65は、本信号のモード2とモード3の信号に対しデジタル信号処理による周波数シフトを施してベースバンド信号に変換し、その後MIMO等化処理によって元の3つのQPSK信号系列への復調を行った。
図20は、第1本実施形態によって得られたQPSKのコンスタレーション例を示す図である。図20のように、評価では、第1実施形態の信号検出装置10で、3モードの信号が単一の受信部6によって高品質に受信されていることを確認できた。
【0149】
上述したように、各実施形態の信号検出装置10(または10A、10B、10C、10D、10E、10F)は、伝送路ファイバ2において励振されている複数の高次モードを含むN個の空間モード信号を、N個の基底モードに変換して出力するモード分波器3と、各光信号の周波数を変換する空間周波数変換部4(または4B、4C、4D、4E、4F)(周波数変換部)と、N個の光信号を合波するN×1光カプラ5(コンバイナ)と、合波された光信号を位相および偏波に対する変調情報を保持したまま光電変換し、デジタル信号変換、信号処理を行い元の情報系列へ復調する受信部6(または6A)を備えるようにした。
【0150】
これにより、各実施形態によれば、空間分割多重伝送技術を適用した伝送システムにおいて、複数モードの信号をモード数よりも少ない数の受信部により受信可能となるため、受信装置における構成が低減され、装置サイズ・消費電力の低減、製造コストの削減が可能となる。
【0151】
近年、デジタルコヒーレント伝送技術により、複雑な位相同期回路等を用いることなく、小型、安価、かつ低消費電力な特性を持つ光送受信モジュール及びそれを用いた光トランシーバが実現されている。デジタルコヒーレント伝送技術の登場により、大容量光ネットワークを構成する光伝送時における受信感度の改善のみならず、光搬送波の振幅や位相や偏波に情報を載せることで情報伝送効率を飛躍的に向上させることが可能になっている。
各実施形態をデジタルコヒーレント伝送に適用することで、受信装置における構成を低減することができる。
【0152】
(変形例)
上述した各実施形態において、信号検出装置10(または10A、10B、10C、10D、10E、10F)は、上述した構成以外の機能部を備えていてもよい。
また、上述した評価では、QPSK信号を用いた例を説明したが、これに限らない。信号検出装置10(または10A、10B、10C、10D、10E、10F)に入力される信号は、例えば、BPSK(Binary Phase Shift Keying(二位相偏移変調))、DPSK(差動位相偏移変調)等であってもよい。
【0153】
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0154】
本発明は、伝送システムに適用可能である。
【符号の説明】
【0155】
1,1A,1B,1C…信号検出システム、10,10A,10B,10C…信号検出装置、2…光伝路ファイバ、3…モード分波器、4,4B,4C,4D,4E、4F…空間周波数変換部、5,5-1,…,5-K…N×1光カプラ、6,6-1,…,6-K,6A…受信部、41…クロック部(第1クロック部41-1,第2クロック部41-2,…,第Nクロック部41-N)、42…周波数シフタ(第1周波数シフタ42-1,第2周波数シフタ42-2,…,第N周波数シフタ42-N,第1周波数シフタ42-1-1,第1周波数シフタ42-1-2,第2周波数シフタ42-2-1,第2周波数シフタ42-2-2,…,第N周波数シフタ42-N-1,第N周波数シフタ42-N-2)、43,43-1,43-2,…,43-N…偏光ビームスプリッタ、44,44-1,44-2、…,44-N…偏光ビームコンバイナ、45,45-1,45-2,…,45-N…WDM分波器、46…周波数変換部(第1周波数変換部46-1,第2周波数変換部46-2,…,第N周波数変換部46-N)、47…周波数変換部(第1周波数変換部47-1,第2周波数変換部47-2,…,第N周波数変換部47-N)、61…局受光部、62…コヒーレント受信機、63…帯域分割部、64…AD変換器、65…信号処理部、401…光源、402…周波数コム生成部、403…1×N光スプリッタ、404,404-1,404-2,…,404-N…光フィルタ、405,405-1,405-2,…,405-N…光増幅器、406,406-1,406-2,…,406-N…光フィルタ、407,407-1,407-2,…,407-N…PPLN
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20