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  • 特許-点灯装置及び照明器具 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-18
(45)【発行日】2025-02-27
(54)【発明の名称】点灯装置及び照明器具
(51)【国際特許分類】
   H05B 45/10 20200101AFI20250219BHJP
   H05B 45/38 20200101ALI20250219BHJP
   H05B 45/375 20200101ALI20250219BHJP
   H05B 45/355 20200101ALI20250219BHJP
   H05B 45/345 20200101ALI20250219BHJP
   H05B 47/105 20200101ALI20250219BHJP
【FI】
H05B45/10
H05B45/38
H05B45/375
H05B45/355
H05B45/345
H05B47/105
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021104640
(22)【出願日】2021-06-24
(65)【公開番号】P2023003520
(43)【公開日】2023-01-17
【審査請求日】2024-02-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000003757
【氏名又は名称】東芝ライテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100146592
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 浩
(74)【代理人】
【氏名又は名称】白井 達哲
(74)【代理人】
【識別番号】100176751
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 耕平
(72)【発明者】
【氏名】寺坂 博志
【審査官】松本 泰典
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-98214(JP,A)
【文献】特開2010-67831(JP,A)
【文献】特開2015-170673(JP,A)
【文献】特開2014-165052(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0089845(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 45/00
H05B 47/105
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1直流電力を第2直流電力に変換し、前記第2直流電力を発光素子に供給することにより、前記発光素子を点灯させる電力変換部と、
前記電力変換部による前記第1直流電力から前記第2直流電力への変換を制御する制御回路と、
前記電力変換部に供給される前記第1直流電力の直流入力電圧値を検出する第1電圧検出回路と、
前記電力変換部から前記発光素子に供給される前記第2直流電力の負荷電圧値を検出する第2電圧検出回路と、
を備え、
前記電力変換部は、スイッチング素子と、インダクタと、出力コンデンサと、を有し、前記スイッチング素子のスイッチングにより、前記第1直流電力を前記第2直流電力に変換し、
前記制御回路は、前記第1電圧検出回路によって検出された前記直流入力電圧値と、前記第2電圧検出回路によって検出された前記負荷電圧値と、を基に、負荷電流の演算値を演算し、演算によって求めた前記負荷電流の前記演算値と、基準値と、を比較し、前記負荷電流の前記演算値と前記基準値との比較結果を基に、前記基準値に応じた大きさの前記負荷電流が前記発光素子に流れるように、前記スイッチング素子のスイッチングを制御するフィードバック制御を行う点灯装置。
【請求項2】
前記制御回路は、前記インダクタのインダクタンス値、前記インダクタの巻線電流値、前記スイッチング素子のスイッチング周波数、及び前記スイッチング素子のオン・オフのデューティ比の少なくともいずれかを前記負荷電流の前記演算値の演算にさらに含める請求項1記載の点灯装置。
【請求項3】
前記制御回路は、前記発光素子の調光度を表す調光信号の入力を受け、入力された前記調光信号に基づいて前記フィードバック制御の前記基準値を変化させることにより、前記調光信号の表す前記調光度に応じた明るさで前記発光素子を点灯させる請求項1又は2に記載の点灯装置。
【請求項4】
前記発光素子に流れる前記負荷電流を検出する電流検出回路をさらに備え、
前記制御回路は、前記調光信号の表す前記調光度が所定値以上の場合には、前記電流検出回路によって検出された前記負荷電流の検出値と、前記基準値と、を比較し、前記負荷電流の前記検出値と前記基準値との比較結果を基に、前記基準値に応じた大きさの前記負荷電流が前記発光素子に流れるように、前記スイッチング素子のスイッチングを制御し、前記調光信号の表す前記調光度が前記所定値未満の場合には、演算によって求めた前記負荷電流の前記演算値と、前記基準値と、を比較し、前記負荷電流の前記演算値と前記基準値との比較結果を基に、前記基準値に応じた大きさの前記負荷電流が前記発光素子に流れるように、前記スイッチング素子のスイッチングを制御する請求項3記載の点灯装置。
【請求項5】
前記制御回路は、ワンチップ化された制御ICである請求項1~4のいずれか1つに記載の点灯装置。
【請求項6】
発光素子と、
請求項1~5のいずれか1つに記載の点灯装置と、
を備えた照明器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、点灯装置及び照明器具に関する。
【背景技術】
【0002】
LEDなどの発光素子と、発光素子に直流電流を供給して発光素子を点灯させる点灯装置と、を備えた照明器具が知られている。点灯装置は、発光素子の平均電流又は平均電圧をモニタし、基準値と比較することにより、基準値に応じた実質的に一定の直流電流が発光素子に流れるように、フィードバック制御を行っている。
【0003】
この際、発光素子の平均電流及び平均電圧が小さい場合においては、平均電流及び平均電圧のモニタが難しくなり、適切なフィードバック制御を行うことが難しくなってしまう可能性がある。
【0004】
このため、点灯装置及び照明器具では、発光素子の平均電流及び平均電圧が小さい場合においても、より適切にフィードバック制御を行えるようにすることが望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2008-310963号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の実施形態は、発光素子の平均電流及び平均電圧が小さい場合においても、より適切にフィードバック制御を行うことができる点灯装置及び照明器具を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態によれば、第1直流電力を第2直流電力に変換し、前記第2直流電力を発光素子に供給することにより、前記発光素子を点灯させる電力変換部と、前記電力変換部による前記第1直流電力から前記第2直流電力への変換を制御する制御回路と、前記電力変換部に供給される前記第1直流電力の直流入力電圧値を検出する第1電圧検出回路と、前記電力変換部から前記発光素子に供給される前記第2直流電力の負荷電圧値を検出する第2電圧検出回路と、を備え、前記電力変換部は、スイッチング素子と、インダクタと、出力コンデンサと、を有し、前記スイッチング素子のスイッチングにより、前記第1直流電力を前記第2直流電力に変換し、前記制御回路は、前記第1電圧検出回路によって検出された前記直流入力電圧値と、前記第2電圧検出回路によって検出された前記負荷電圧値と、を基に、負荷電流の演算値を演算し、演算によって求めた前記負荷電流の前記演算値と、基準値と、を比較し、前記負荷電流の前記演算値と前記基準値との比較結果を基に、前記基準値に応じた大きさの前記負荷電流が前記発光素子に流れるように、前記スイッチング素子のスイッチングを制御するフィードバック制御を行う点灯装置が提供される。
【発明の効果】
【0008】
発光素子の平均電流及び平均電圧が小さい場合においても、より適切にフィードバック制御を行うことができる点灯装置及び照明器具を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施形態に係る点灯装置及び照明器具を模式的に表すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、各実施の形態について図面を参照しつつ説明する。
なお、図面は模式的または概念的なものであり、各部分の厚みと幅との関係、部分間の大きさの比率などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。また、同じ部分を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比率が異なって表される場合もある。
なお、本願明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0011】
図1は、実施形態に係る点灯装置及び照明器具を模式的に表すブロック図である。
図1に表したように、照明器具2は、発光素子4と、点灯装置10と、を備える。点灯装置10は、電源PSと電気的に接続される。点灯装置10は、電源PSから供給される電力を発光素子4に対応した直流電力に変換し、変換後の直流電力を発光素子4に供給することにより、発光素子4を点灯させる。
【0012】
点灯装置10には、例えば、電源PSから交流電力が供給される。電源PSは、例えば、商用電源である。電源PSから供給される交流電力の交流電圧は、例えば、100V~242V(実効値)である。電源PSは、例えば、自家発電機などでもよい。点灯装置10は、電源PSから供給される交流電力を発光素子4に対応した直流電力に変換する。なお、点灯装置10に供給される電力は、交流電力に限ることなく、直流電力などでもよい。以下では、点灯装置10に交流電力が供給される場合を例に説明を行う。
【0013】
発光素子4には、例えば、発光ダイオード(Light Emitting Diode:LED)が用いられる。発光素子4は、例えば、有機発光ダイオード(Organic Light Emitting Diode:OLED)、無機エレクトロルミネッセンス(Inorganic ElectroLuminescence)発光素子、有機エレクトロルミネッセンス(Organic ElectroLuminescence)発光素子、または、その他の電界発光型の発光素子などでもよい。以下では、発光素子4をLEDとして説明を行う。なお、発光素子4は、1つの素子に限ることなく、例えば、直列に接続された複数の素子で構成してもよい。
【0014】
点灯装置10は、電力変換部12と、制御回路14と、を備える。電力変換部12は、第1直流電力を第2直流電力に変換し、変換後の第2直流電力を発光素子4に供給する。制御回路14は、電力変換部12による第1直流電力から第2直流電力への変換を制御する。制御回路14は、例えば、チップ化されている。制御回路14は、例えば、ワンチップ化された制御IC(Integrated Circuit)である。但し、制御回路14は、これに限ることなく、複数の素子を組み合わせて構成してもよい。
【0015】
点灯装置10は、例えば、整流回路20、高周波除去コンデンサ22、力率改善回路24、及び平滑コンデンサ26などをさらに備える。整流回路20、高周波除去コンデンサ22、力率改善回路24、及び平滑コンデンサ26は、例えば、電源PSから点灯装置10に直流電力(第1直流電力)が供給される場合には、省略可能である。これらの各部は、点灯装置10に必要に応じて設けられ、省略可能である。
【0016】
整流回路20は、電源PSから入力された交流電力を整流して整流電力に変換する。整流回路20には、例えば、4つの整流素子を組み合わせたダイオードブリッジが用いられる。すなわち、整流回路20は、全波整流器である。整流電力は、例えば、脈流電力である。
【0017】
整流回路20は、一対の入力端子20a、20bと、高電位出力端子20cと、低電位出力端子20dと、を有する。入力端子20a、20bは、電源PSと電気的に接続されている。整流回路20は、入力端子20a、20bを介して入力される交流電力を整流電力に変換し、高電位出力端子20c及び低電位出力端子20dから出力する。低電位出力端子20dの電位は、基準電位(例えば接地電位)に設定される。高電位出力端子20cの電位は、低電位出力端子20dの電位よりも高い電位に設定される。
【0018】
整流回路20は、半波整流器などでもよい。整流電圧は、全波整流された脈流でもよいし、半波整流された脈流でもよい。整流回路20には、例えば、ショットキーバリアダイオードが用いられる。これにより、例えば、良好な応答性を得ることができる。
【0019】
高周波除去コンデンサ22は、整流後の高周波電力を平滑化することにより、脈流電力に変換する。
【0020】
力率改善回路24は、整流回路20の入力電流において、電源周波数の整数倍の高調波が発生することを抑制する。これにより、力率改善回路24は、入力電力の力率を改善する。
【0021】
力率改善回路24は、例えば、スイッチング素子31と、インダクタ32と、ダイオード33と、を含む。スイッチング素子31は、電極31a~電極31cを有する。インダクタ32の一端は、高電位出力端子20cと電気的に接続されている。インダクタ32の他端は、電極31aと電気的に接続されている。電極31bは、低電位出力端子20dと電気的に接続されている。ダイオード33のアノードは、電極31aと電気的に接続されている。ダイオード33のカソードは、平滑コンデンサ26の一端と電気的に接続されている。平滑コンデンサ26の他端は、低電位出力端子20dと電気的に接続されている。
【0022】
すなわち、この例において、力率改善回路24は、昇圧チョッパ回路である。力率改善回路24は、例えば、100V~242V(実効値)の電源PSの交流電圧を420Vの直流電圧に変換する。力率改善回路24は、これに限ることなく、入力電力の力率を改善することができる任意の回路でよい。
【0023】
電極31cは、制御回路14と電気的に接続されている。電極31cは、いわゆる制御電極である。スイッチング素子31は、制御回路14からの信号に応じてスイッチングする。力率改善回路24は、例えば、スイッチング素子31をスイッチングさせ、入力電流を正弦波の半端波形に近づけることにより、力率を改善する。
【0024】
スイッチング素子31は、例えば、nチャネル形のFETである。例えば、電極31aは、ドレインであり、電極31bは、ソースであり、電極31cは、ゲートである。スイッチング素子31は、例えば、pチャネル形のFETでもよいし、バイポーラトランジスタなどでもよい。
【0025】
平滑コンデンサ26は、力率改善後の出力電圧を平滑化することにより、力率改善後の電力を第1直流電力に変換する。平滑コンデンサ26は、第1直流電力を電力変換部12に供給する。
【0026】
電力変換部12は、第1入力端子12aと、第2入力端子12bと、第1出力端子12cと、第2出力端子12dと、を有する。第1入力端子12aは、平滑コンデンサ26の高電位側の一端と電気的に接続される。第2入力端子12bは、低電位出力端子20dと電気的に接続される。これにより、電力変換部12には、第1直流電力が供給される。
【0027】
電力変換部12は、例えば、スイッチング素子35と、ダイオード36と、インダクタ37と、出力コンデンサ38と、を有する。スイッチング素子35は、電極35a~35cを有する。電極35aは、第1入力端子12aと電気的に接続されている。電極35bは、ダイオード36のカソードと電気的に接続されている。ダイオード36のアノードは、低電位出力端子20dと電気的に接続されている。インダクタ37の一端は、電極35bと電気的に接続されている。インダクタ37の他端は、第1出力端子12cと電気的に接続されている。第2出力端子12dは、低電位出力端子20d(第2入力端子12b)と電気的に接続されている。
【0028】
出力コンデンサ38は、第1電極38aと、第2電極38bと、を有する。第1電極38aは、第1出力端子12cと電気的に接続されている。第2電極38bは、第2出力端子12dと電気的に接続されている。出力コンデンサ38は、第1出力端子12cと第2出力端子12dとの間に並列に接続される。出力コンデンサ38は、スイッチング素子35のスイッチングによって、スイッチング素子35の各電極35a、35b間に流れる電流を平滑化する。これにより、第1出力端子12c及び第2出力端子12dから第2直流電力が出力される。
【0029】
この例において、電力変換部12は、降圧チョッパ回路である。電力変換部12は、入力電力の電圧を降圧することにより、第1直流電力を第2直流電力に変換する。電力変換部12は、例えば、420Vの力率改善回路24の直流電圧を50V~300Vの直流電圧に変換する。電力変換部12は、例えば、定電流回路である。電力変換部12は、例えば、実質的に一定の直流電流を発光素子4に供給する。
【0030】
第1出力端子12cは、高電位側の出力端子であり、第2出力端子12dは、低電位側の出力端子である。第1出力端子12cの電位は、第2出力端子12dの電位よりも高い。第1電極38aの電位は、第2電極38bの電位よりも高く設定される。第1電極38aは、例えば、陽極であり、第2電極38bは、例えば、陰極である。これとは反対に、第2出力端子12dの電位を第1出力端子12cの電位より高くしてもよい。
【0031】
スイッチング素子35は、例えば、nチャネル形のFETである。例えば、電極35aは、ドレインであり、電極35bは、ソースであり、電極35cは、ゲートである。スイッチング素子35は、例えば、pチャネル形のFETでもよいし、バイポーラトランジスタなどでもよい。
【0032】
電力変換部12の構成は、上記の回路に限定されるものではない。電力変換部12は、少なくとも1つのスイッチング素子と、インダクタと、出力コンデンサと、を有し、スイッチング素子のスイッチングにより、第1直流電力を第2直流電力に変換可能な任意の回路でよい。
【0033】
制御回路14は、スイッチング素子31の電極31cと電気的に接続されている。電極31cは、いわゆる制御電極である。制御回路14は、スイッチング素子31のスイッチングを制御する。すなわち、制御回路14は、スイッチング素子31のオン・オフを切り替える。制御回路14は、電極31cに入力する電圧(制御信号)によって、スイッチング素子31のオン・オフを切り替える。制御回路14は、例えば、スイッチング素子31をスイッチングさせることにより、力率改善回路24による入力電力の力率の改善を制御する。
【0034】
制御回路14は、スイッチング素子35の電極35cと電気的に接続されている。電極35cは、いわゆる制御電極である。制御回路14は、スイッチング素子35のスイッチングを制御する。すなわち、制御回路14は、スイッチング素子35のオン・オフを切り替える。制御回路14は、電極35cに入力する電圧(制御信号)によって、スイッチング素子35のオン・オフを切り替える。制御回路14は、例えば、スイッチング素子35をスイッチングさせることにより、直流電圧を出力コンデンサ38の各電極38a、38b間に生じさせる。これにより、電力変換部12から発光素子4に第2直流電力が供給される。
【0035】
制御回路14は、例えば、スイッチング素子35をオフ状態にすることにより、電力変換部12から発光素子4への第2直流電力の供給を停止させる。また、制御回路14は、例えば、スイッチング素子35のオン・オフの周期(デューティ比)を変化させることにより、発光素子4に供給する第2直流電力の電圧値や電流値を変化させる。
【0036】
ここで、スイッチング素子31のオフ状態とは、例えば、主電極である電極31a、31bの間に実質的に電流が流れない状態である。オフ状態では、例えば、力率改善回路24の動作に影響を与えない程度の微弱な電流が電極31a、31bの間に流れてもよい。すなわち、スイッチング素子31のオン状態とは、換言すれば、電極31a、31bの間に電流が流れる第1状態であり、オフ状態とは、電極31a、31bの間に流れる電流が、第1状態よりも小さい第2状態である。スイッチング素子35のオン状態及びオフ状態についても、スイッチング素子31のオン状態及びオフ状態と同様である。
【0037】
点灯装置10は、電流検出回路40と、第1電圧検出回路42と、第2電圧検出回路44と、をさらに備える。電流検出回路40は、第2入力端子12bと出力コンデンサ38の第2電極38bとの間に電気的に接続されている。換言すれば、電流検出回路40は、ダイオード36のアノードと出力コンデンサ38の第2電極38bとの間に電気的に接続されている。第2出力端子13dは、電流検出回路40を介して低電位出力端子20dと電気的に接続される。
【0038】
電流検出回路40は、インダクタ37に流れる巻線電流を検出する。電流検出回路40は、換言すれば、スイッチング素子35及びインダクタ37に流れる平滑前の電流を検出する。電流検出回路40は、制御回路14と接続されている。電流検出回路40は、インダクタ37に流れる巻線電流の検出結果を制御回路14に入力する。これにより、制御回路14は、電流検出回路40の検出結果を基に、インダクタ37に流れる巻線電流を検出する。また、制御回路14は、インダクタ37に流れる巻線電流の平均電流により、発光素子4に流れる負荷電流を検出する。電流検出回路40は、換言すれば、インダクタ37に流れる巻線電流、及び発光素子4に流れる負荷電流を検出する。
【0039】
第1電圧検出回路42は、平滑コンデンサ26の一端と電気的に接続されている。これにより、第1電圧検出回路42は、電力変換部12に供給される第1直流電力の直流入力電圧値を検出する。第1電圧検出回路42は、制御回路14と接続されている。第1電圧検出回路42は、直流入力電圧値の検出結果を制御回路14に入力する。
【0040】
第2電圧検出回路44は、出力コンデンサ38の第1電極38aと電気的に接続されている。これにより、第2電圧検出回路44は、電力変換部12から発光素子4に供給される第2直流電力の負荷電圧値を検出する。第2電圧検出回路44は、制御回路14と接続されている。第2電圧検出回路44は、負荷電圧値の検出結果を制御回路14に入力する。
【0041】
制御回路14は、電流検出回路40によって検出された負荷電流の検出値と、基準値と、を比較する。制御回路14は、負荷電流の検出値と基準値との比較結果を基に、基準値に応じた大きさの負荷電流が発光素子4に流れるように、スイッチング素子35のスイッチングを制御するための制御信号を生成し、制御信号をスイッチング素子35の電極35cに入力する。
【0042】
このように、制御回路14は、電流検出回路40によって検出された負荷電流の検出値を基に、電力変換部12の動作をフィードバック制御する。これにより、制御回路14は、発光素子4に流れる負荷電流の大きさが基準値に応じた実質的に一定の大きさとなるように、電力変換部12の動作を制御する。
【0043】
また、制御回路14には、例えば、外部の壁スイッチなどから発光素子4の調光度を表す調光信号が入力される。制御回路14は、発光素子4の調光度を表す調光信号の入力を受ける。調光度を表す調光信号は、例えば、調光度に応じたデューティ比のPWM信号である。調光信号は、例えば、調光器などによって導通角制御された交流電圧などでもよい。調光信号は、例えば、点灯装置10に設けられた操作部の操作に応じて、制御回路14に入力されるようにしてもよい。
【0044】
制御回路14は、入力された調光信号に基づいてフィードバック制御の基準値を変化させる。制御回路14は、例えば、調光度に対応する係数を100%の調光度の基準値に乗算することにより、調光度に対応する基準値を設定する。例えば、調光信号において70%の調光度が設定されている場合には、制御回路14は、100%の調光度の基準値に0.7を乗算することにより、70%の調光度に対応する基準値を設定する。これにより、調光信号に応じた調光度で発光素子4が調光される。発光素子4の明るさが、調光信号に応じて制御される。このように、制御回路14は、電力変換部12から発光素子4に供給する第2直流電力の負荷電流値を、外部から入力される調光信号に応じて変化させる。
【0045】
制御回路14は、調光信号の表す調光度が所定値以上の場合には、上記のように、電流検出回路40によって検出された負荷電流の検出値と、基準値と、を比較し、負荷電流の検出値と基準値との比較結果を基に、基準値に応じた大きさの負荷電流が発光素子4に流れるように、スイッチング素子35のスイッチングを制御するための制御信号を生成し、制御信号をスイッチング素子35の電極35cに入力する。
【0046】
一方、制御回路14は、調光信号の表す調光度が所定値未満の場合には、発光素子4に流れる負荷電流を演算によって求める。そして、制御回路14は、演算によって求めた負荷電流の演算値と、基準値と、を比較し、負荷電流の演算値と基準値との比較結果を基に、基準値に応じた大きさの負荷電流が発光素子4に流れるように、スイッチング素子35のスイッチングを制御するための制御信号を生成し、制御信号をスイッチング素子35の電極35cに入力する。
【0047】
制御回路14は、例えば、調光信号の表す調光度が5%以上の場合には、負荷電流の検出値と基準値との比較結果を基に、スイッチング素子35のスイッチングを制御し、調光信号の表す調光度が5%未満の場合には、負荷電流の演算値と基準値との比較結果を基に、スイッチング素子35のスイッチングを制御する。但し、所定値は、5%に限ることなく、任意の調光度でよい。
【0048】
制御回路14は、例えば、第1電圧検出回路42によって検出された直流入力電圧値と、第2電圧検出回路44によって検出された負荷電圧値と、を基に、負荷電流の演算値を演算する。
【0049】
制御回路14は、例えば、インダクタ37のインダクタンス値、電流検出回路40によって検出されたインダクタ37の巻線電流値、スイッチング素子35のスイッチング周波数、及びスイッチング素子35のオン・オフのデューティ比の少なくともいずれかを負荷電流の演算値の演算にさらに含めてもよい。なお、インダクタ37のインダクタンス値の情報は、制御回路14に予め記憶させておけばよい。
【0050】
制御回路14は、直流入力電圧値及び負荷電圧値を用いるとともに、インダクタ37のインダクタンス値、インダクタ37の巻線電流値、スイッチング素子35のスイッチング周波数、及びスイッチング素子35のデューティ比の少なくともいずれかをさらに用いることにより、負荷電流を演算する。これにより、負荷電流をより適切に演算することができる。
【0051】
例えば、直流入力電圧値、負荷電圧値、インダクタ37のインダクタンス値、インダクタ37の巻線電流値、スイッチング素子35のスイッチング周波数、及びスイッチング素子35のデューティ比のそれぞれを用いて負荷電流を演算する。これにより、負荷電流をさらに適切に演算することができる。
【0052】
以上、説明したように、本実施形態に係る点灯装置10では、制御回路14が、発光素子4に流れる負荷電流を演算によって求めた負荷電流の演算値と、基準値と、を比較し、負荷電流の演算値と基準値との比較結果を基に、基準値に応じた大きさの負荷電流が発光素子4に流れるように、スイッチング素子35のスイッチングを制御するフィードバック制御を行うとともに、発光素子4の調光度を表す調光信号の入力を受け、入力された調光信号に基づいてフィードバック制御の基準値を変化させることにより、調光信号の表す調光度に応じた明るさで発光素子4を点灯させる。
【0053】
これにより、発光素子4の平均電流及び平均電圧が小さくなり、発光素子4に流れる負荷電流を電流検出回路40で検出することが難しくなってしまった場合にも、より適切にフィードバック制御を行うことができる。例えば、調光下限側においても、より適切にフィードバック制御を行うことができる。このように、演算により制御することで、微小電流領域でもより適切にフィードバック制御を行うことができる。
【0054】
また、点灯装置10では、制御回路14が、調光信号の表す調光度が所定値以上の場合には、負荷電流の検出値と基準値との比較結果を基に、スイッチング素子35のスイッチングを制御し、調光信号の表す調光度が所定値未満の場合には、負荷電流の演算値と基準値との比較結果を基に、スイッチング素子35のスイッチングを制御する。
【0055】
このように、負荷電流量が比較的多く、負荷電流の大きさを電流検出回路40で適切に検出できる部分においては、電流検出回路40で検出された負荷電流の検出値を基にフィードバック制御を行うことにより、実際に発光素子4に流れる負荷電流の大きさとの誤差をより小さくし、より適切にフィードバック制御を行うことができる。
【0056】
また、例えば、負荷電流量の比較的多い部分においては、電流検出回路40で検出された負荷電流の検出値を基にフィードバック制御を行うことにより、制御回路14の演算負荷を軽くすることもできる。例えば、負荷電流量の比較的多い部分において、消費電力の増加を抑制することができる。
【0057】
なお、制御回路14は、例えば、0%から100%までの全ての調光度の範囲において、負荷電流の演算値を基に、フィードバック制御を行ってもよい。この場合、電流検出回路40は、省略してもよい。また、点灯装置10は、必ずしも調光制御を行うものでなくてもよい。例えば、発光素子4に実質的に一定の電流を供給し、実質的に一定の明るさで発光素子4を点灯させる際に、発光素子4の平均電流及び平均電圧が小さく、適切なフィードバック制御を行うことが難しい場合に、負荷電流の演算値によるフィードバック制御を行ってもよい。
【0058】
また、点灯装置10では、制御回路14が、ワンチップ化された制御ICである。このように、複雑な演算を行う制御回路14をチップ化することにより、点灯装置10の大型化を抑制することができる。
【0059】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0060】
2…照明器具、4…発光素子、10…点灯装置、12…電力変換部、14…制御回路、20…整流回路、22…高周波除去コンデンサ、24…力率改善回路、26…平滑コンデンサ、31…スイッチング素子、32…インダクタ、33…ダイオード、35…スイッチング素子、36…ダイオード、37…インダクタ、38…出力コンデンサ、40…電流検出回路、42…第1電圧検出回路、44…第2電圧検出回路、PS…電源
図1