IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ トヨタ自動車株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-リモート駐車装置 図1
  • 特許-リモート駐車装置 図2
  • 特許-リモート駐車装置 図3
  • 特許-リモート駐車装置 図4
  • 特許-リモート駐車装置 図5
  • 特許-リモート駐車装置 図6
  • 特許-リモート駐車装置 図7
  • 特許-リモート駐車装置 図8
  • 特許-リモート駐車装置 図9
  • 特許-リモート駐車装置 図10
  • 特許-リモート駐車装置 図11
  • 特許-リモート駐車装置 図12
  • 特許-リモート駐車装置 図13
  • 特許-リモート駐車装置 図14
  • 特許-リモート駐車装置 図15
  • 特許-リモート駐車装置 図16
  • 特許-リモート駐車装置 図17
  • 特許-リモート駐車装置 図18
  • 特許-リモート駐車装置 図19
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-18
(45)【発行日】2025-02-27
(54)【発明の名称】リモート駐車装置
(51)【国際特許分類】
   B60W 50/04 20060101AFI20250219BHJP
   B60W 30/06 20060101ALI20250219BHJP
   B60T 7/16 20060101ALI20250219BHJP
【FI】
B60W50/04
B60W30/06
B60T7/16
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2021143247
(22)【出願日】2021-09-02
(65)【公開番号】P2023036278
(43)【公開日】2023-03-14
【審査請求日】2024-02-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000213
【氏名又は名称】弁理士法人プロスペック特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山王堂 真也
【審査官】平井 功
(56)【参考文献】
【文献】独国特許出願公開第102015209976(DE,A1)
【文献】特開2006-16002(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60W 10/00-10/30
B60W 30/00-60/00
B60T 15/00-17/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自車両を走行させるための駆動力を前記自車両に与える駆動装置の作動と、前記自車両を制動するための制動力を前記自車両に与える制動装置の作動と、を制御するリモート駐車装置であって、前記自車両の外部からの指令に応答して前記駆動装置及び前記制動装置の作動を自動で制御して前記自車両を指定駐車場所に駐車させるリモート駐車制御を実行するリモート駐車装置であって
前記リモート駐車制御により前記自車両を走行させる前に前記制動装置から前記自車両に前記制動力を与えつつ前記駆動装置から前記自車両に前記駆動力を与える制動駆動処理を実行し、該制動駆動処理を開始してから所定時間が経過するまでの間、前記自車両が停止状態に維持されている場合、前記リモート駐車制御による前記自車両の走行を実施するように構成されている、
リモート駐車装置において、
前記自車両を停止した状態に保持する停車保持装置の作動を制御するように構成され、
前記制動駆動処理を開始してから前記所定時間が経過するまでの間に前記自車両が停止状態に維持されずに走行した場合、前記停車保持装置により前記自車両を停止した状態に保持するように構成されている、
リモート駐車装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リモート駐車装置に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯端末等の操作端末から無線で発せられた指令に応答して自車両に与えられる駆動力及び制動力を自動で制御して自車両を指定駐車場所に駐車させるリモート駐車制御を実行するリモート駐車装置が知られている。
【0003】
又、自車両に制動力を与える制動装置に異常があると、リモート駐車制御の実行中に、例えば、自車両の進路に障害物を検知したために自車両を制動しようとしても、自車両を十分に制動することができず、不都合であるため、リモート駐車制御による自車両の走行を実施する前に制動装置に異常があるか否かを判定し、制動装置に異常がないと判定した場合にのみ、リモート駐車制御による自車両の走行を実施するようになっているリモート駐車装置も知られている(例えば、特許文献1参照)。こうした従来のリモート駐車装置においては、リモート駐車制御による自車両の走行を実施する前に、制動装置の作動に必要な電力を供給する電気系統等に異常があるか否かを判定している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】独国特許第102015209976号明細書
【発明の概要】
【0005】
上述したように、従来のリモート駐車装置においては、リモート駐車制御による自車両の走行を実施する前に制動装置に異常があるか否かの判定を行っているが、その判定は、自車両に対する制動装置の制動機能の異常を生じさせる原因のうち、電気系統等の異常という一部の原因から生じる制動装置の制動機能の異常を判定するものであるため、その判定により制動装置の制動機能に異常がないと判定されたとしても、別の原因により制動装置の制動機能に異常がある可能性がある。従って、リモート駐車制御による自車両の走行を実施する前においては、より広範な原因から生じる制動装置の制動機能の異常を判定し、制動装置の制動能力に異常がないことを確実に判定することが望まれる。
【0006】
本発明の目的は、リモート駐車制御による自車両の走行を実施する前に制動装置の制動機能に異常がないことを確実に判定することができるリモート駐車装置を提供することにある。
【0007】
本発明に係るリモート駐車装置は、自車両を走行させるための駆動力を前記自車両に与える駆動装置の作動と、前記自車両を制動するための制動力を前記自車両に与える制動装置の作動と、を制御するとともに、前記自車両の外部からの指令に応答して前記駆動装置及び前記制動装置の作動を自動で制御して前記自車両を指定駐車場所に駐車させるリモート駐車制御を実行する。本発明に係るリモート駐車装置は、前記リモート駐車制御により前記自車両を走行させる前に前記制動装置から前記自車両に前記制動力を与えつつ前記駆動装置から前記自車両に前記駆動力を与える制動駆動処理を実行し、該制動駆動処理を開始してから所定時間が経過するまでの間、前記自車両が停止状態に維持されている場合、前記リモート駐車制御による前記自車両の走行を実施するように構成されている。
更に、本発明に係るリモート駐車装置は、前記自車両を停止した状態に保持する停車保持装置の作動を制御するように構成されている。そして、本発明に係るリモート駐車装置は、前記制動駆動処理を開始してから前記所定時間が経過するまでの間に前記自車両が停止状態に維持されずに走行した場合、前記停車保持装置により前記自車両を停止した状態に保持するように構成されている。
【0008】
本発明に係るリモート駐車装置によれば、制動駆動処理が実行されても自車両が所定時間の間、停止状態に維持されている場合、リモート駐車制御による自車両の走行が実施される。即ち、制動駆動処理が実行されても自車両が停止状態に維持されている場合、自車両に対する制動装置の制動機能に異常がないと判断され、リモート駐車制御による自車両の走行が実施される。このように、本発明に係るリモート駐車装置によれば、制動装置の作動に必要な電気系統等の異常に起因する制動装置の制動機能の異常のみならず、例えば、制動装置がブレーキパッド等の部品から構成されている場合において、それ自体の異常を検出することが困難なブレーキパッドの摩耗等に起因する制動装置の制動機能の異常や、自車両の過積載に起因する制動装置の制動機能の異常をも判定することができる。従って、リモート駐車制御による自車両の走行を実施する前に制動装置の制動機能に異常がないことを確実に判定することができる。
【0010】
これによれば、制動駆動処理が実行されたときに所定時間が経過する前に自車両が停止状態に維持されなかった場合、自車両が停止状態に保持される。即ち、制動駆動処理が実行されたときに所定時間が経過する前に自車両が停止状態に維持されなかった場合、自車両に対する制動装置の制動機能に異常があると判断され、自車両が停止状態に保持される。このため、自車両に対する制動装置の制動機能に異常があるときにリモート駐車制御により自車両が走行されることを防止することができる。
【0011】
本発明の構成要素は、図面を参照しつつ後述する本発明の実施形態に限定されるものではない。本発明の他の目的、他の特徴及び付随する利点は、本発明の実施形態についての説明から容易に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、本発明の実施形態に係るリモート駐車装置及びそのリモート駐車装置が搭載された車両(自車両)を示した図である。
図2図2は、本発明の実施形態に係るリモート駐車装置及び操作端末を含むリモート走行システムを示した図である。
図3図3は、本発明の実施形態に係るリモート制御装置及びそのリモート制御装置が搭載された操作端末を示した図である。
図4図4は、駐車区画付近に自車両が停止した場面を示した図である。
図5図5は、リモート駐車制御における目標走行経路を示した図である。
図6図6は、リモート駐車制御により自車両が右旋回しつつ前進する場面を示した図である。
図7図7は、リモート駐車制御により自車両が左旋回しつつ後退する場面を示した図である。
図8図8は、リモート駐車制御により自車両が真っ直ぐに後退する場面を示した図である。
図9図9は、リモート駐車制御による指定駐車場所への自車両の駐車が完了した場面を示した図である。
図10図10は、リモート出庫制御における目標走行経路を示した図である。
図11図11は、リモート出庫制御により自車両が真っ直ぐに前進する場面を示した図である。
図12図12は、リモート出庫制御により自車両が左旋回しつつ前進する場面を示した図である。
図13図13は、リモート出庫制御による指定出庫場所への自車両の出庫が完了したときの様子を示した図である。
図14図14は、本発明の実施形態に係るリモート駐車装置が実行するルーチンを示したフローチャートである。
図15図15は、本発明の実施形態に係るリモート駐車装置が実行するルーチンを示したフローチャートである。
図16図16は、本発明の実施形態に係るリモート駐車装置が実行するルーチンを示したフローチャートである。
図17図17は、本発明の実施形態に係るリモート駐車装置が実行するルーチンを示したフローチャートである。
図18図18は、本発明の実施形態に係るリモート駐車装置が実行するルーチンを示したフローチャートである。
図19図19は、本発明の実施形態に係るリモート駐車装置が実行するルーチンを示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態に係るリモート駐車装置について説明する。図1に示したように、本発明の実施形態に係るリモート駐車装置10は、車両(自車両)100に搭載されている。
【0014】
リモート駐車装置10は、自車両100の外部から無線で発信された指令(指令信号)に応答して自車両100を自動で走行させて指定された場所(指定駐車場所)で自動で停止させることにより自車両100を指定駐車場所に駐車させるリモート駐車制御を含むリモート走行制御を実行する装置である。尚、詳細は後述するが、本例においては、リモート走行制御は、リモート駐車制御(リモート入庫制御)に加え、駐車場所に駐車されている自車両100をその駐車場所からその外に自動で走行させて指定された場所(指定出庫場所)で自動で停止させることにより自車両100を駐車場所から出庫させるリモート出庫制御も含んでいる。
【0015】
又、図2に示したように、本例においては、リモート駐車装置10は、携帯電話等の操作端末200から外部に無線で発信される指令(指令信号)を受信し、その受信した指令に応答してリモート駐車制御を含むリモート走行制御を実行する。
【0016】
図1に示したように、リモート駐車装置10は、車両ECU90を備えている。車両ECU90は、マイクロコンピュータを主要部として備える。車両ECU90は、CPU(車両CPU91)、ROM、RAM、不揮発性メモリ及びインターフェース等を含む。車両CPU91は、ROMに格納されたインストラクション(プログラム、ルーチン)を実行することにより各種機能を実現するようになっている。特に、車両ECU90には、リモート駐車制御及びリモート出庫制御を実行するプログラムが格納されている。
【0017】
<車両走行装置>
自車両100には、車両走行装置20が搭載されている。車両走行装置20は、自車両100の駆動、制動及び操舵を行う装置であり、本例においては、駆動装置21、制動装置22、操舵装置23及びトランスミッション装置24を備えている。
【0018】
<駆動装置>
駆動装置21は、自車両100を走行させるために自車両100に与えられる駆動力を出力する装置であり、例えば、内燃機関及び/又はモータ等である。駆動装置21は、車両ECU90に電気的に接続されている。車両ECU90は、駆動装置21の作動を制御することにより駆動装置21から出力される駆動力を制御することができる。
【0019】
<制動装置>
制動装置22は、自車両100を制動するために自車両100に与えられる制動力を出力する装置であり、例えば、油圧ブレーキ装置である。制動装置22は、車両ECU90に電気的に接続されている。車両ECU90は、制動装置22の作動を制御することにより制動装置22から出力される制動力を制御することができる。
【0020】
<操舵装置>
操舵装置23は、自車両100を操舵するために自車両100に与えられる操舵力を出力する装置であり、例えば、パワーステアリング装置である。操舵装置23は、車両ECU90に電気的に接続されている。車両ECU90は、操舵装置23の作動を制御することにより操舵装置23から出力される操舵力を制御することができる。
【0021】
<トランスミッション装置>
トランスミッション装置24は、駆動装置21から出力される駆動力を自車両100の駆動輪に伝達させるか否かを切り替えたり、自車両100を前進させるように駆動力を駆動輪に伝達するか或いは自車両100を後退させるように駆動力を駆動輪に伝達するかを切り替えたりする装置である。更に、トランスミッション装置24は、当該トランスミッション装置24のギアに爪状の部品(パーキングロックポール)を掛けることによりギアを回転しないようにロックすることにより自車両100を停止した状態に保持したりする装置でもある。従って、トランスミッション装置24は、自車両100を停止した状態に保持する停車保持装置としても機能する。
【0022】
トランスミッション装置24は、自車両100を前進させるように駆動力を駆動輪に伝達する状態(ドライブレンジ状態SD)、自車両100を後退させるように駆動力を駆動輪に伝達する状態(リアレンジ状態SR)、駆動力を自車両100の駆動輪に伝達させない状態(ニュートラルレンジ状態SN)及び自車両100を停止した状態に保持する状態(パーキングレンジ状態SP)の何れかの状態で作動する。
【0023】
トランスミッション装置24は、車両ECU90に電気的に接続されている。車両ECU90は、トランスミッション装置24の作動を制御することによりトランスミッション装置24をドライブレンジ状態SD、リアレンジ状態SR、ニュートラルレンジ状態SN及びパーキングレンジ状態SPの何れかの状態に設定することができる。
【0024】
<停車保持装置>
又、自車両100には、停車保持装置30が搭載されている。停車保持装置30は、自車両100を停止した状態に保持する装置であり、本例においては、パーキングブレーキ装置31である。パーキングブレーキ装置31は、電動パーキングブレーキ装置でもよいし、手動パーキングブレーキ装置でもよい。パーキングブレーキ装置31は、停止している自車両100の車輪に制動力を与えることにより自車両100を停止した状態に保持する装置である。特に、パーキングブレーキ装置31は、停止している自車両100の車輪に設けられたブレーキディスクにブレーキパッドを押しつけることにより車輪に制動力を与えることにより自車両100を停止した状態に保持する装置である。本例においては、パーキングブレーキ装置31は、電動パーキングブレーキ装置であり、従って、車両ECU90に電気的に接続されている。車両ECU90は、パーキングブレーキ装置31を作動させることにより自車両100を停止した状態に保持することができる。
【0025】
<センサ等>
更に、自車両100には、アクセルペダル41、アクセルペダル操作量センサ42、ブレーキペダル43、ブレーキペダル操作量センサ44、ハンドル45、ステアリングシャフト46、操舵角センサ47、操舵トルクセンサ48、シフトレバー51、シフトセンサ52、車速検出装置60、周辺情報検出装置70及び車両受発信装置80が搭載されている。
【0026】
<アクセルペダル操作量センサ>
アクセルペダル操作量センサ42は、アクセルペダル41の操作量を検出するセンサである。アクセルペダル操作量センサ42は、車両ECU90に電気的に接続されている。アクセルペダル操作量センサ42は、検出したアクセルペダル41の操作量の情報を車両ECU90に送信する。車両ECU90は、その情報に基づいてアクセルペダル41の操作量をアクセルペダル操作量APとして取得する。
【0027】
車両ECU90は、後述するリモート駐車制御又はリモート出庫制御を実行する場合を除き、アクセルペダル操作量AP及び自車両100の走行速度(自車速)に基づいて要求駆動力(要求駆動トルク)を演算により取得する。車両ECU90は、要求駆動力が出力されるように駆動装置21の作動を制御する。又、車両ECU90は、後述するリモート駐車制御又はリモート出庫制御を実行する場合には、リモート駐車制御又はリモート出庫制御により所望通りに自車両100を走行させるのに必要な駆動力を決定し、その駆動力が出力されるように駆動装置21の作動を制御する。
【0028】
<ブレーキペダル操作量センサ>
ブレーキペダル操作量センサ44は、ブレーキペダル43の操作量を検出するセンサである。ブレーキペダル操作量センサ44は、車両ECU90に電気的に接続されている。ブレーキペダル操作量センサ44は、検出したブレーキペダル43の操作量の情報を車両ECU90に送信する。車両ECU90は、その情報に基づいてブレーキペダル43の操作量をブレーキペダル操作量BPとして取得する。
【0029】
車両ECU90は、後述するリモート駐車制御又はリモート出庫制御を実行する場合を除き、ブレーキペダル操作量BPから要求制動力(要求制動トルク)を演算により取得する。車両ECU90は、要求制動力が出力されるように制動装置22の作動を制御する。又、車両ECU90は、後述するリモート駐車制御又はリモート出庫制御を実行する場合には、リモート駐車制御又はリモート出庫制御により所望通りに自車両100を制動するのに必要な制動力を決定し、その制動力が出力されるように制動装置22の作動を制御する。
【0030】
<操舵角センサ>
操舵角センサ47は、中立位置に対するステアリングシャフト46の回転角度を検出するセンサであり、車両ECU90に電気的に接続されている。操舵角センサ47は、検出したステアリングシャフト46の回転角度の情報を車両ECU90に送信する。車両ECU90は、その情報に基づいてステアリングシャフト46の回転角度を操舵角θとして取得する。
【0031】
<操舵トルクセンサ>
操舵トルクセンサ48は、自車両100の運転者DRがハンドル45を介してステアリングシャフト46に入力したトルクを検出するセンサであり、車両ECU90に電気的に接続されている。操舵トルクセンサ48は、検出したトルクの情報を車両ECU90に送信する。車両ECU90は、その情報に基づいて運転者DRがハンドル45を介してステアリングシャフト46に入力したトルク(ドライバー入力トルク)を取得する。
【0032】
車両ECU90は、後述するリモート駐車制御又はリモート出庫制御を実行する場合を除き、操舵角θ、ドライバー入力トルク及び自車両100の走行速度(自車速)に基づいて要求操舵力(要求操舵トルク)を取得し、その要求操舵トルクが操舵装置23から出力されるように操舵装置23の作動を制御する。又、車両ECU90は、後述するリモート駐車制御又はリモート出庫制御を実行する場合には、リモート駐車制御又はリモート出庫制御により所望通りに自車両100を走行させるのに必要な操舵力を決定し、その操舵力が出力されるように操舵装置23の作動を制御する。
【0033】
<シフトセンサ>
シフトセンサ52は、シフトレバー51の設定位置を検出する装置である。シフトレバー51は、自車両100の運転者DRにより操作される装置であり、運転者DRが設定可能なシフトレバー51の設定位置は、前進位置(ドライブレンジD)、後退位置(リアレンジR)、中立位置(ニュートラルレンジN)及び駐車位置(パーキングレンジP)である。シフトセンサ52は、車両ECU90に電気的に接続されている。シフトセンサ52は、検出したシフトレバー51の設定位置を示す信号を車両ECU90に送信する。
【0034】
シフトセンサ52は、シフトレバー51がドライブレンジDに設定されると、シフトレバー51の設定位置がドライブレンジDであることを示す信号を車両ECU90に送信する。車両ECU90は、その信号を受信すると、トランスミッション装置24がドライブレンジ状態SDとなるようにトランスミッション装置24の作動を制御する。
【0035】
又、シフトセンサ52は、シフトレバー51がリアレンジRに設定されると、シフトレバー51の設定位置がリアレンジRであることを示す信号を車両ECU90に送信する。車両ECU90は、その信号を受信すると、トランスミッション装置24がリアレンジ状態SRとなるようにトランスミッション装置24の作動を制御する。
【0036】
又、シフトセンサ52は、シフトレバー51がニュートラルレンジNに設定されると、シフトレバー51の設定位置がニュートラルレンジNであることを示す信号を車両ECU90に送信する。車両ECU90は、その信号を受信すると、トランスミッション装置24がニュートラルレンジ状態SNとなるようにトランスミッション装置24の作動を制御する。
【0037】
又、シフトセンサ52は、シフトレバー51がパーキングレンジPに設定されると、シフトレバー51の設定位置がパーキングレンジPであることを示す信号を車両ECU90に送信する。車両ECU90は、その信号を受信すると、トランスミッション装置24がパーキングレンジ状態SPとなるようにトランスミッション装置24の作動を制御する。
【0038】
<車速検出装置>
車速検出装置60は、自車両100の走行速度を検出する装置であり、例えば、車輪速センサである。車速検出装置60は、車両ECU90に電気的に接続されている。車速検出装置60は、検出した自車両100の走行速度の情報を車両ECU90に送信する。車両ECU90は、その情報に基づいて自車両100の走行速度(自車速V)を取得する。
【0039】
<周辺情報検出装置>
周辺情報検出装置70は、自車両100の周辺の情報を検出する装置であり、本例においては、電波センサ71及び画像センサ72を備えている。
【0040】
<電波センサ>
電波センサ71は、電波を用いて自車両100の周辺に存在する物体に関する情報を検出するセンサであり、例えば、レーダセンサ(ミリ波レーダ等)、超音波センサ(クリアランスソナー)等の音波センサ及びレーザーレーダ(LiDAR)等の光センサの少なくとも1つである。電波センサ71は、車両ECU90に電気的に接続されている。電波センサ71は、電波を発信するとともに、物体で反射した電波(反射波)を受信する。電波センサ71は、発信した電波及び受信した電波(反射波)に係る情報を車両ECU90に送信する。別の言い方をすると、電波センサ71は、自車両100の周辺に存在する物体を検知し、その検知した物体に係る情報を車両ECU90に送信する。車両ECU90は、その情報(電波情報IR)に基づいて自車両100の周辺に存在する物体に係る情報(周辺検出情報IS)を取得することができる。電波センサ71を用いて検出される物体は、例えば、車両、壁、自転車及び人等である。
【0041】
<画像センサ>
画像センサ72は、自車両100の周辺を撮像するセンサであり、例えば、カメラである。画像センサ72は、車両ECU90に電気的に接続されている。画像センサ72は、自車両100の周辺を撮像し、撮像した画像に係る情報を車両ECU90に送信する。車両ECU90は、その情報(カメラ画像情報IC)に基づいて自車両100の周辺に関する情報(周辺検出情報IS)を取得することができる。
【0042】
<車両受発信装置>
車両受発信装置80は、自車両100の外部から到来する無線信号を受信したり、無線信号を自車両100の外部に発信したりする装置である。車両受発信装置80は、車両ECU90に電気的に接続されている。車両ECU90は、車両受発信装置80を介して各種信号を自車両100の外部に発信することができる。又、車両ECU90は、後述する端末ECU290が端末受発信装置280を介して操作端末200の外部に無線で発信した各種信号を車両受発信装置80を介して受信することができる。
【0043】
<操作端末>
操作端末200は、本例においては、人が携帯可能な電話機であるいわゆるスマートフォンであるが、自車両100から分離されていて自車両100の利用者が自車両100の外部に持ち出せる端末であればよく、例えば、人が携帯可能ないわゆるスマートキー又はリモート駐車専用の端末等であってもよい。
【0044】
図3に示したように、操作端末200には、リモート制御装置210が搭載されている。リモート制御装置210は、端末ECU290を備えている。
【0045】
ECUは、エレクトロニックコントロールユニットの略である。端末ECU290は、マイクロコンピュータを主要部として備える。端末ECU290は、CPU(端末CPU291)、ROM、RAM、不揮発性メモリ及びインターフェース等を含む。端末CPU291は、ROMに格納されたインストラクション(プログラム、ルーチン)を実行することにより各種機能を実現するようになっている。特に、端末ECU290には、後述するリモート走行制御を自車両100のECU(車両ECU90)に行わせるためのリモート走行アプリケーションソフト(リモート走行アプリ)がインストールされている。
【0046】
又、操作端末200は、ディスプレイ220及び端末受発信装置280を備えている。
【0047】
ディスプレイ220は、各種画像を表示する装置である。又、ディスプレイ220は、当該ディスプレイ220に対する物の接触により特定の物性が変化するように作られている。特に、本例において、ディスプレイ220は、当該ディスプレイ220に対する人の指の接触により特定の物性が変化するように作られている。
【0048】
ディスプレイ220は、端末ECU290に電気的に接続されている。端末ECU290は、ディスプレイ220に各種画像を表示させることができる。又、端末ECU290は、ディスプレイ220に物が接触したときのディスプレイ220の特定の物性の変化を検知し、検知した変化に基づいて物が接触したディスプレイ220の部分(ディスプレイ220上の位置)を特定することができる。
【0049】
尚、端末ECU290は、ディスプレイ220の特定の物性の変化に基づいて物が接触したディスプレイ220の部分を特定することができるので、ディスプレイ220は、物が接触した部分を特定するための情報を提供する装置(接触情報提供装置)である。本例において、接触情報提供装置は、ディスプレイ220であるが、それに限定されず、物が接触した部分を特定するための情報を提供することができる装置であれば、例えば、画像を表示する機能を備えていないが、物が接触した部分を特定するための情報を提供することができる装置でもよい。
【0050】
端末受発信装置280は、操作端末200の外部から到来する無線信号を受信したり、無線信号を操作端末200の外部に発信したりする装置である。端末受発信装置280は、端末ECU290に電気的に接続されている。端末ECU290は、端末受発信装置280を介して各種信号を当該操作端末200の外部に無線で発信することができる。又、端末ECU290は、自車両100のECU(車両ECU90)が車両受発信装置80を介して自車両100の外部に無線で発信した各種信号を端末受発信装置280を介して受信することができる。
【0051】
<リモート駐車装置の作動の概要>
次に、リモート駐車装置10の作動の概要について説明する。先にも述べたように、リモート駐車装置10は、リモート駐車制御及びリモート出庫制御を実行するように構成されている。まず、リモート駐車制御について説明する。
【0052】
リモート走行アプリを起動させるための所定のタッチ操作が操作端末200のディスプレイ220に加えられると、端末ECU290は、リモート走行アプリを起動し、所定の画像をディスプレイ220に表示する。本例において、タッチ操作は、操作端末200の利用者がディスプレイ220を指で触れる操作(接触操作)である。
【0053】
又、端末ECU290は、リモート走行アプリを起動させるための所定のタッチ操作がディスプレイ220に加えられると、アプリ起動信号を無線で外部に発信する。アプリ起動信号は、操作端末200を識別するためのID等の情報を表す信号である。
【0054】
車両ECU90は、アプリ起動信号を受信すると、そのアプリ起動信号が示す操作端末200が登録操作端末であるか否かを判定する端末認証処理を実行する。尚、登録操作端末は、車両ECU90にリモート走行制御を行わせる操作端末として車両ECU90に登録されている操作端末である。
【0055】
操作端末200は、登録操作端末であるので、車両ECU90は、端末認証処理により、操作端末200が登録操作端末であると判定する。この場合、車両ECU90は、以後、操作端末200から外部に無線で発信される各種信号に応答してリモート走行制御を実行する。
【0056】
<リモート駐車制御>
更に、端末ECU290は、リモート走行アプリを起動している状態でリモート駐車制御の実行を要求するための所定のタッチ操作がディスプレイ220に加えられると、リモート駐車要求信号を外部に無線で発信する。リモート駐車要求信号は、リモート駐車制御の実行を車両ECU90に要求する信号である。
【0057】
車両ECU90は、リモート駐車要求信号を受信すると、自車両100に対する制動装置22の制動機能に異常があるか否かを判定するための制動機能確認処理を実行する。車両ECU90は、制動機能確認処理を開始すると、制動装置22から自車両100に制動力が加えられるように制動装置22の作動を制御するとともに、駆動装置21から自車両100に駆動力が加えられるように駆動装置21及びトランスミッション装置24の作動を制御する制動駆動処理を実行する。
【0058】
そして、車両ECU90は、制動駆動処理を開始すると、自車両100が停止状態に維持されているか否かを判定する。本例においては、車両ECU90は、自車両100が停止状態に維持されているか否かを自車速Vに基づいて判定する。自車速Vがゼロである場合、車両ECU90は、自車両100が停止状態に維持されていると判定し、自車速Vがゼロよりも大きくなった場合、車両ECU90は、自車両100が停止状態に維持されていないと判定する。
【0059】
車両ECU90は、制動駆動処理を開始してから経過した時間(経過時間T)が所定時間Tthに達する前に自車両100が停止状態に維持されていないと判定した場合、自車両100に対する制動装置22の制動機能に異常があると判定する。
【0060】
車両ECU90は、自車両100に対する制動装置22の制動機能に異常があると判定した場合、停止状態保持処理を実行したうえで、リモート駐車制御を中止する。本例において、停止状態保持処理は、パーキングブレーキ装置31を作動させて自車両100を停止状態に保持するか、或いは、トランスミッション装置24がパーキングレンジ状態SPとなるようにトランスミッション装置24の作動を制御して自車両100を停止状態に保持する処理である。又、車両ECU90は、リモート駐車制御を中止した場合、リモート駐車制御を中止したことを示す信号を自車両100の外部に無線で発信してもよい。この場合、端末ECU290は、その信号を受信し、その信号に応答してリモート駐車制御が中止されたことを表す画像をディスプレイ220に表示してもよい。
【0061】
一方、車両ECU90は、制動駆動処理を開始してから経過した時間(経過時間T)が所定時間Tthに達するまで自車両100が停止状態に維持されている判定し続けた場合、自車両100に対する制動装置22の制動機能に異常がないと判定する。
【0062】
車両ECU90は、自車両100に対する制動装置22の制動機能に異常がないと判定した場合、目標走行経路設定処理を開始する。リモート駐車制御における目標走行経路設定処理は、以下のように実行される。
【0063】
車両ECU90は、例えば、図4に示したように、自車両100を駐車させようとしている駐車区画301が自車両100の左横にある場合において、目標走行経路設定処理を開始すると、周辺検出情報ISに基づいて自車両100を駐車させる駐車区画301、自車両100の周辺の壁303及び隣接駐車車両300等の物体、並びに、その周辺の地面に設けられている区画線302を認識する。本例において、隣接駐車車両300は、自車両100を駐車させようとしている駐車区画301の右側又は左側の駐車区画に駐車している他の車両である。
【0064】
車両ECU90は、認識した駐車区画301を指定駐車場所301Dとして設定するとともに、図5に示したように、指定駐車場所301D、物体及び区画線302等に基づいて自車両100を指定駐車場所301Dに駐車させるための自車両100の走行経路を目標走行経路Rtgtとして設定する。
【0065】
車両ECU90は、目標走行経路Rtgtを設定すると、駐車走行処理を開始する。車両ECU90は、駐車走行処理を開始すると、端末ECU290から走行許可信号を受信しているとき、車両走行装置20の作動を制御して目標走行経路Rtgtに沿って自車両100を走行させる。具体的には、車両ECU90は、まず、図6に示したように、自車両100を右旋回させつつ前進させ、所定距離だけ前進した時点で停止させる。次に、車両ECU90は、図7に示したように、自車両100を左旋回させつつ後退させ、徐々に操舵角θを小さくしてゆき、自車両100の前後方向が指定駐車場所301Dの縦方向と平行になったときに操舵角θがゼロになるように自車両100を操舵する。その後、車両ECU90は、図8に示したように、自車両100を真っ直ぐ後退させる。
【0066】
尚、端末ECU290は、利用者がディスプレイ220に対して所定のタッチ操作を加えている間、走行許可信号を外部へ無線で発信する。
【0067】
そして、車両ECU90は、図9に示したように、指定駐車場所301Dへの自車両100の駐車が完了すると、パーキングブレーキ装置31を作動させて自車両100を停止状態に保持し、リモート駐車制御を終了する。
【0068】
尚、端末ECU290は、利用者が操作端末200のディスプレイ220から指を離した場合、走行許可信号の外部への発信を停止する。これにより、車両ECU90は、走行許可信号を受信しなくなる。車両ECU90は、走行許可信号を受信しなくなると、制動装置22の作動を制御して自車両100を一旦停止させる。
【0069】
<リモート出庫制御>
又、端末ECU290は、リモート走行アプリを起動している状態でリモート出庫制御の実行を要求するための所定のタッチ操作がディスプレイ220に加えられると、リモート出庫要求信号を外部に無線で発信する。リモート出庫要求信号は、リモート出庫制御の実行を端末ECU290に要求する信号である。
【0070】
車両ECU90は、リモート出庫要求信号を受信すると、先に述べた制動機能確認処理を実行する。
【0071】
車両ECU90は、制動機能確認処理を実行した結果、自車両100に対する制動装置22の制動機能に異常があると判定した場合、先に述べた停止状態保持処理を実行したうえで、リモート出庫制御を中止する。
【0072】
一方、車両ECU90は、自車両100に対する制動装置22の制動機能に異常がないと判定した場合、目標走行経路設定処理を開始する。リモート出庫制御における目標走行経路設定処理は、以下のように実行される。
【0073】
車両ECU90は、例えば、図10に示したように、自車両100が駐車区画301に駐車されている場合において、目標走行経路設定処理を開始すると、周辺検出情報ISに基づいて自車両100の周辺の壁303及び隣接駐車車両300等の物体を認識する。
【0074】
車両ECU90は、認識した物体等に基づいて自車両100を指定出庫場所305Dに出庫させるための自車両100の走行経路を目標走行経路Rtgtとして設定する。
【0075】
車両ECU90は、目標走行経路Rtgtを設定すると、出庫走行処理を開始する。車両ECU90は、出庫走行処理を開始すると、端末ECU290から走行許可信号を受信しているとき、車両走行装置20の作動を制御して目標走行経路Rtgtに沿って自車両100を走行させる。具体的には、車両ECU90は、まず、図11に示したように、自車両100を真っ直ぐに前進させる。次に、車両ECU90は、図12に示したように、自車両100を左旋回させつつ前進させ、徐々に操舵角θを小さくしてゆき、自車両100の前後方向が駐車区画301の横方向と平行になったときに操舵角θがゼロになるように自車両100を操舵する。
【0076】
そして、車両ECU90は、図13に示したように、指定出庫場所305Dへの自車両100の出庫が完了すると、パーキングブレーキ装置31により自車両100を停止状態に保持し、リモート出庫制御を終了する。
【0077】
以上がリモート駐車装置10の作動の概要である。
【0078】
リモート駐車装置10によれば、制動駆動処理が実行されても自車両100が所定時間Tthの間、停止状態に維持されている場合、リモート駐車制御による自車両100の走行が実施される。即ち、制動駆動処理が実行されても自車両100が停止状態に維持されている場合、自車両100に対する制動装置22の制動機能に異常がないと判断され、リモート駐車制御による自車両100の走行が実施される。このように、リモート駐車装置10によれば、制動装置22の作動に必要な電気系統等の異常に起因する制動装置22の制動機能の異常のみならず、例えば、制動装置22がブレーキパッド等の部品から構成されている場合において、それ自体の異常を検出することが困難なブレーキパッドの摩耗等に起因する制動装置22の制動機能の異常や、自車両100の過積載に起因する制動装置22の制動機能の異常をも判定することができる。従って、リモート駐車制御による自車両100の走行を実施する前に制動装置22の制動機能に異常がないことを確実に判定することができる。
【0079】
同様に、リモート駐車装置10によれば、制動駆動処理が実行されても自車両100が所定時間Tthの間、停止状態に維持されている場合、リモート出庫制御による自車両100の走行が実施される。従って、リモート出庫制御による自車両100の走行を実施する前に制動装置22の制動機能に異常がないことを確実に判定することができる。
【0080】
<リモート駐車装置の具体的な作動>
次に、リモート駐車装置10の具体的な作動について説明する。リモート駐車装置10の車両ECU90の車両CPU91は、図14に示したルーチンを所定演算周期で実行するようになっている。従って、所定のタイミングになると、図14のステップ1400から処理を開始し、その処理をステップ1405に進め、リモート駐車要求フラグXparkの値が「1」であるか否かを判定する。リモート駐車要求フラグXparkは、リモート駐車制御の実行が要求されたか否かを表すフラグであり、リモート駐車制御の実行が要求された場合、その値は「1」に設定され、リモート駐車制御の実行が要求されていない場合、その値は「0」に設定されている。
【0081】
車両CPU91は、ステップ1405にて「Yes」と判定した場合、処理をステップ1410に進め、図15に示したルーチンを実行する。従って、車両CPU91は、処理をステップ1410に進めると、図15のステップ1500から処理を開始し、その処理をステップ1505に進め、端末認証完了フラグXid_comの値が「0」であるか否かを判定する。端末認証完了フラグXid_comは、リモート駐車制御の実行を要求する信号を発信した操作端末が登録操作端末であるか否かの判定(即ち、操作端末の認証)が完了しているか否かを表すフラグであり、操作端末の認証が完了している場合、その値は「1」に設定されており、操作端末の認証が完了していない場合、その値は「0」に設定されている。
【0082】
車両CPU91は、ステップ1505にて「Yes」と判定した場合、処理をステップ1510に進め、端末認証処理を実行する。次いで、車両CPU91は、処理をステップ1515に進め、端末認証完了フラグXid_comの値を「1」に設定する。その後、車両CPU91は、ステップ1595を経由して図14のステップ1415に処理を進める。
【0083】
一方、車両CPU91は、ステップ1505にて「No」と判定した場合、ステップ1595を経由して図14のステップ1415に処理を直接進める。
【0084】
車両CPU91は、処理を図14のステップ1415に進めると、リモート駐車制御の実行を要求する信号を発信した操作端末が登録操作端末であるか否かを判定する。
【0085】
車両CPU91は、ステップ1415にて「Yes」と判定した場合、処理をステップ1420に進め、図16に示したルーチンを実行する。従って、車両CPU91は、処理をステップ1420に進めると、図16のステップ1600から処理を開始し、その処理をステップ1605に進め、制動機能確認完了フラグXmal_comの値が「0」であるか否かを判定する。制動機能確認完了フラグXmal_comは、自車両100に対する制動装置22の制動機能に異常があるか否かの判定(制動機能確認)が完了しているか否かを表すフラグであり、制動機能確認が完了している場合、その値は「1」に設定されており、制動機能確認が完了していない場合、その値は「0」に設定されている。
【0086】
車両CPU91は、ステップ1605にて「Yes」と判定した場合、処理をステップ1610に進め、制動駆動処理を実行する。次いで、車両CPU91は、処理をステップ1615に進め、自車両100の停止状態が維持されているか否かを判定する。
【0087】
車両CPU91は、ステップ1615にて「Yes」と判定した場合、処理をステップ1620に進め、制動駆動処理を開始してから経過した時間(経過時間T)が所定時間Tth以上であるか否かを判定する。
【0088】
車両CPU91は、ステップ1620にて「Yes」と判定した場合、処理をステップ1625に進め、制動機能異常フラグXmalの値を「0」に設定する。制動機能異常フラグXmalは、自車両100に対する制動装置22の制動機能に異常があるか否かを表すフラグであり、自車両100に対する制動装置22の制動機能に異常がある場合、その値は「1」に設定され、自車両100に対する制動装置22の制動機能に異常がない場合、その値は「0」に設定される。
【0089】
次いで、車両CPU91は、処理をステップ1630に進め、制動機能確認完了フラグXmal_comの値を「1」に設定する。次いで、車両CPU91は、ステップ1695を経由して図14のステップ1425に処理を進める。
【0090】
一方、車両CPU91は、ステップ1620にて「No」と判定した場合、ステップ1695を経由して図14のステップ1425に処理を直接進める。
【0091】
又、車両CPU91は、ステップ1615にて「No」と判定した場合、処理をステップ1635に進め、制動機能異常フラグXmalの値を「1」に設定する。次いで、車両CPU91は、処理をステップ1640に進め、制動機能確認完了フラグXmal_comの値を「1」に設定する。次いで、車両CPU91は、ステップ1695を経由して図14のステップ1425に処理を進める。
【0092】
又、車両CPU91は、ステップ1605にて「No」と判定した場合、ステップ1695を経由して図14のステップ1425に処理を直接進める。
【0093】
車両CPU91は、処理を図14のステップ1425に進めると、制動機能確認完了フラグXmal_comの値が「1」であるか否かを判定する。
【0094】
車両CPU91は、ステップ1425にて「Yes」と判定した場合、処理をステップ1430に進め、制動機能異常フラグXmalの値が「0」であるか否かを判定する。
【0095】
車両CPU91は、ステップ1430にて「Yes」と判定した場合、処理をステップ1435に進め、図17に示したルーチンを実行する。従って、車両CPU91は、処理をステップ1435に進めると、図17のステップ1700から処理を開始し、その処理をステップ1705に進め、目標走行経路設定完了フラグXroute_comの値が「0」であるか否かを判定する。目標走行経路設定完了フラグXroute_comは、リモート駐車制御における目標走行経路Rtgtの設定が完了しているか否かを表すフラグであり、リモート駐車制御における目標走行経路Rtgtの設定が完了している場合、その値は「1」に設定されており、リモート駐車制御における目標走行経路Rtgtの設定が完了していない場合、その値は「0」に設定されている。
【0096】
車両CPU91は、ステップ1705にて「Yes」と判定した場合、処理をステップ1710に進め、目標走行経路設定処理を実行して目標走行経路Rtgtを設定する。次いで、車両CPU91は、処理をステップ1715に進める。
【0097】
一方、車両CPU91は、ステップ1705にて「No」と判定した場合、処理をステップ1715に直接進める。
【0098】
車両CPU91は、処理をステップ1715に進めると、駐車走行処理を実行する。次いで、車両CPU91は、処理をステップ1720に進め、指定駐車場所301Dへの自車両100の駐車が完了したか否かを判定する。
【0099】
車両CPU91は、ステップ1720にて「Yes」と判定した場合、処理をステップ1725に進め、リモート駐車制御を終了する。次いで、車両CPU91は、処理をステップ1730に進め、リモート駐車要求フラグXpark、制動機能確認完了フラグXmal_com、制動機能異常フラグXmal、目標走行経路設定完了フラグXroute_com及び端末認証完了フラグXid_comの値を「0」に設定する。次いで、車両CPU91は、ステップ1795を経由して図14のステップ1495に処理を進め、本ルーチンを一旦終了する。
【0100】
一方、車両CPU91は、ステップ1720にて「No」と判定した場合、ステップ1795を経由して図14のステップ1495に処理を直接進め、本ルーチンを一旦終了する。この場合、駐車走行処理が継続される。
【0101】
又、車両CPU91は、図14のステップ1430にて「No」と判定した場合、処理をステップ1440に進め、停止状態保持処理を実行する。次いで、車両CPU91は、処理をステップ1445に進め、リモート駐車制御を中止する。次いで、車両CPU91は、処理をステップ1450に進め、リモート駐車要求フラグXpark、制動機能確認完了フラグXmal_com、制動機能異常フラグXmal、目標走行経路設定完了フラグXroute_com及び端末認証完了フラグXid_comの値を「0」に設定する。次いで、車両CPU91は、処理をステップ1495に進め、本ルーチンを一旦終了する。
【0102】
又、車両CPU91は、ステップ1405、ステップ1415又はステップ1425にて「No」と判定した場合、処理をステップ1495に進め、本ルーチンを一旦終了する。
【0103】
更に、車両CPU91は、図18に示したルーチンを所定演算周期で実行するようになっている。従って、所定のタイミングになると、図18のステップ1800から処理を開始し、その処理をステップ1805に進め、リモート出庫要求フラグXoutの値が「1」であるか否かを判定する。リモート出庫要求フラグXoutは、リモート出庫制御の実行が要求されたか否かを表すフラグであり、リモート出庫制御の実行が要求された場合、その値は「1」に設定され、リモート出庫制御の実行が要求されていない場合、その値は「0」に設定されている。
【0104】
車両CPU91は、ステップ1805にて「Yes」と判定した場合、処理をステップ1810に進め、先に述べた図15に示したルーチンを実行する。尚、この場合、車両CPU91は、ステップ1505において、端末認証完了フラグXid_comの値が「0」であるか否かを判定するが、この場合、端末認証完了フラグXid_comは、リモート出庫制御の実行を要求する信号を発信した操作端末が登録操作端末であるか否かの判定(即ち、操作端末の認証)が完了しているか否かを表すフラグであり、操作端末の認証が完了している場合、その値は「1」に設定されており、操作端末の認証が完了していない場合、その値は「0」に設定されている。
【0105】
車両CPU91は、ステップ1810の処理を実行した後、処理をステップ1815に進め、リモート出庫制御の実行を要求する信号を発信した操作端末が登録操作端末であるか否かを判定する。
【0106】
車両CPU91は、ステップ1815にて「Yes」と判定した場合、処理をステップ1820に進め、先に述べた図16に示したルーチンを実行する。
【0107】
車両CPU91は、ステップ1820の処理を実行した後、処理をステップ1825に進め、制動機能確認完了フラグXmal_comの値が「1」であるか否かを判定する。
【0108】
車両CPU91は、ステップ1825にて「Yes」と判定した場合、処理をステップ1830に進め、制動機能異常フラグXmalの値が「0」であるか否かを判定する。
【0109】
車両CPU91は、ステップ1830にて「Yes」と判定した場合、処理をステップ1835に進め、図19に示したルーチンを実行する。従って、車両CPU91は、処理をステップ1835に進めると、図19のステップ1900から処理を開始し、その処理をステップ1905に進め、目標走行経路設定完了フラグXroute_comの値が「0」であるか否かを判定する。この場合、目標走行経路設定完了フラグXroute_comは、リモート出庫制御における目標走行経路Rtgtの設定が完了しているか否かを表すフラグであり、リモート出庫制御における目標走行経路Rtgtの設定が完了している場合、その値は「1」に設定されており、リモート出庫制御における目標走行経路Rtgtの設定が完了していない場合、その値は「0」に設定されている。
【0110】
車両CPU91は、ステップ1905にて「Yes」と判定した場合、処理をステップ1910に進め、目標走行経路設定処理を実行して目標走行経路Rtgtを設定する。次いで、車両CPU91は、処理をステップ1915に進める。
【0111】
一方、車両CPU91は、ステップ1905にて「No」と判定した場合、処理をステップ1915に直接進める。
【0112】
車両CPU91は、処理をステップ1915に進めると、出庫走行処理を実行する。次いで、車両CPU91は、処理をステップ1920に進め、指定出庫場所305Dへの自車両100の出庫が完了したか否かを判定する。
【0113】
車両CPU91は、ステップ1920にて「Yes」と判定した場合、処理をステップ1925に進め、リモート出庫制御を終了する。次いで、車両CPU91は、処理をステップ1930に進め、リモート出庫要求フラグXout、制動機能確認完了フラグXmal_com、制動機能異常フラグXmal、目標走行経路設定完了フラグXroute_com及び端末認証完了フラグXid_comの値を「0」に設定する。次いで、車両CPU91は、ステップ1995を経由して図18のステップ1895に処理を進め、本ルーチンを一旦終了する。
【0114】
一方、車両CPU91は、ステップ1920にて「No」と判定した場合、ステップ1995を経由して図18のステップ1895に処理を直接進め、本ルーチンを一旦終了する。この場合、出庫走行処理が継続される。
【0115】
又、車両CPU91は、図18のステップ1830にて「No」と判定した場合、処理をステップ1840に進め、停止状態保持処理を実行する。次いで、車両CPU91は、処理をステップ1845に進め、リモート出庫制御を中止する。次いで、車両CPU91は、処理をステップ1850に進め、リモート出庫要求フラグXout、制動機能確認完了フラグXmal_com、制動機能異常フラグXmal、目標走行経路設定完了フラグXroute_com及び端末認証完了フラグXid_comの値を「0」に設定する。次いで、車両CPU91は、処理をステップ1895に進め、本ルーチンを一旦終了する。
【0116】
又、車両CPU91は、ステップ1805、ステップ1815又はステップ1825にて「No」と判定した場合、処理をステップ1895に進め、本ルーチンを一旦終了する。
【0117】
以上がリモート駐車装置10の具体的な作動である。
【0118】
尚、本発明は、上記実施形態に限定されることはなく、本発明の範囲内において種々の変形例を採用することができる。
【符号の説明】
【0119】
10…リモート駐車装置、20…車両走行装置、21…駆動装置、22…制動装置、23…操舵装置、24…トランスミッション装置、30…停車保持装置、31…パーキングブレーキ装置、70…周辺情報検出装置、80…車両受発信装置、90…車両ECU、200…操作端末、301D…指定駐車場所

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19