(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-18
(45)【発行日】2025-02-27
(54)【発明の名称】可変軌道角運動量で多重化された信号を逆多重化および復調するための方法およびシステム
(51)【国際特許分類】
H04B 10/66 20130101AFI20250219BHJP
H04B 10/11 20130101ALI20250219BHJP
H04J 14/00 20060101ALI20250219BHJP
G02F 2/00 20060101ALI20250219BHJP
H04B 10/54 20130101ALN20250219BHJP
【FI】
H04B10/66
H04B10/11
H04J14/00
G02F2/00
H04B10/54
(21)【出願番号】P 2021560729
(86)(22)【出願日】2020-04-09
(86)【国際出願番号】 IB2020053395
(87)【国際公開番号】W WO2020208570
(87)【国際公開日】2020-10-15
【審査請求日】2023-03-23
(31)【優先権主張番号】102019000005706
(32)【優先日】2019-04-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】516002716
【氏名又は名称】ウニヴェルシタ デッリ ストゥディ ディ ミラノ
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100135703
【氏名又は名称】岡部 英隆
(72)【発明者】
【氏名】ポテンツァ,マルコ
(72)【発明者】
【氏名】パローリ,ブルーノ
(72)【発明者】
【氏名】シアーノ,ミルコ
【審査官】後澤 瑞征
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-517918(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0353241(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0007137(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第106788745(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 10/60 - 10/69
H04B 10/11 - 10/118
H04J 14/00
G02F 2/00
H04B 10/54
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
軌道角運動量変数で多重化することによってグループ化された振幅変調信号を逆多重化および復調する方法であって、
逆多重化および復調される信号は、基準ビーム(F0)と、第1の変調ビーム(Fm1)および少なくとも1つの第2の変調ビーム(Fm2)の重ね合わせからなるメインビームとの重ね合わせからなる複合電磁放射ビーム(Q1)を備え、
前記第1の変調ビーム(Fm1)は、任意の振幅変調技術によって、第1の電磁放射ビーム(F1)上で、第1の変調関数a(t)によって表される第1の情報を変調することによって得られ、前記少なくとも1つの第2の変調ビーム(Fm2)は、任意の振幅変調技術によって、少なくとも1つのそれぞれの第2の電磁放射ビーム(F2)上で、第2の変調関数b(t)によって表される少なくとも1つの第2の情報を変調することによって得られ、
前記第1の電磁放射ビーム(F1)は、第1の軌道角運動量(L
1)によって特徴付けられ、前記少なくとも1つの第2の電磁放射ビーム(F2)は、少なくとも1つのそれぞれの第2の軌道角運動量(L
2)によって特徴付けられ、第1の電磁放射ビーム(F1)および少なくとも1つの第2の電磁放射ビーム(F2)の両方は、同じ第1の周波数帯域にそれぞれのスペクトルを有し、さらに、第1のビーム曲率半径値と実質的に一致するそれぞれの曲率半径を有し、
前記基
準ビーム(F0)は、第2の軌道角運動量(L
0)、前記第1の周波数帯域とは異なる第2の周波数帯域の第2のスペクトル、および前記第1のビーム曲率半径値と実質的に一致する値を有する第2のビーム曲率半径によって特徴付けられ、
前記方法は、
-前記複合電磁放射ビーム(Q1)を2つの開口部(Z1,Z2)に通して、第1の開口部(Z1)の下流に、第1の複合ビーム部分(Q1(x1))を、および第2の開口部(Z2)の下流に、第2の複合ビーム部分(Q1(x2))を得るステップと、
-干渉計(40)の第1の分岐(A)に沿って前記第1の複合ビーム部分(Q1(x1))を送信し、干渉計の第2の分岐(B)に沿って前記第2の複合ビーム部分(Q1(x2))を送信するステップと、
-干渉計のビームスプリッタ(41)を用いて、干渉計の第3の分岐(D)に沿って第1の複合ビーム部分(Q1(x1))および第2の複合ビーム部分(Q1(x2))を重ね合わせて、それぞれの第3の電磁ビーム(D)を得るとともに、干渉計の第4の分岐(C)に沿って、それぞれの第4の電磁ビーム(C)を得るステップと、
-第1の複合ビーム部分(Q1(x1))および第2の複合ビーム部分(Q1(x2))の基準ビームに由来する寄与がキャンセルされ、それぞれの第1の変調ビーム(Fm1(x1),Fm1(x2))および少なくとも1つの第2の変調ビーム(Fm2(x1),Fm2(x2))に由来する成分が残っている第3のフィルタリングされた電磁ビーム(F)を得るために、前記第1の周波数帯域の周りで第3の電磁ビーム(D)の周波数弁別を実行するステップと、
-第1の複合ビーム部分(Q1(x1))および第2の複合ビーム部分(Q1(x2))にそれぞれ属する2つの基準ビーム(F0(x1),F0(x2))の重ね合わせからなる第4のフィルタリングされた電磁ビーム(E)を得るために、基準ビームの前記第2の周波数帯域の周りで第4の電磁ビーム(C)の周波数弁別を実行するステップと、
-前記第3のフィルタリングされた電磁ビーム(F)を、第1のビーム検出器(1)によって検出して、第3のフィルタリングされた電磁ビーム(F)の電磁放射の強度を表す第1の電気信号(V1)を生成するステップと、
-前記第1の電気信号(V1)に基づいて、第1のビーム検出器(1)において、第1の複合ビームフィルタリング部分(Fm1(x1),Fm2(x1))に由来する第3のフィルタリングされた電磁ビームの成分と、第2の複合ビームフィルタリング部分(Fm1(x2),Fm2(x2))に由来する第3の電磁ビームの成分との間の第1の位相差値(ΔP
ab)を決定するステップであって、前記第1の位相差値(ΔP
ab)は、第1の変調関数a(t)および第2の変調関数b(t)によって取られる値に依存する、ステップと、
-前記第4のフィルタリングされた電磁ビーム(E)を、第2のビーム検出器(2)によって検出して、第4のフィルタリングされた電磁ビーム(E)の電磁放射の強度を表す第2の電気信号(V2)を生成するステップと、
-前記第2の電気信号(V2)に基づいて、第2のビーム検出器(2)において、第1の複合ビーム部分(Q1(x1))および第2の複合ビーム部分(Q1(x2))に属する2つの基準ビーム(F0(x1),F0(x2))の間の第2の位相差値(ΔR)を決定するステップと、
-前記第1の位相差値(ΔP
ab)および第2の位相差値(ΔR)に基づいて、第1の変調ビーム(Fm1)および少なくとも1つの第2の変調ビーム(Fm2)のそれぞれで変調された情報(a(t),b(t))を逆多重化および復調するステップと、
を含む、方法。
【請求項2】
逆多重化および復調の前記ステップは、
-第1の波数kで割った第1の位相差値(ΔP
ab)から、第2の波数k’で割った第2の位相差値(ΔR)を減算し、差値(Q2=ΔP
ab/k-ΔR/k’)を得るステップであって、
ここで、第1の波数(k)は、メインビームに対応する波数であり、k=2π/λとして定義され、λは、メインビームの波長であり、第2の波数(k’)は、基準ビームに対応する波数であり、k’=2π/λ’として定義され、λ’は、基準ビームの波長であり、
前記差値(Q2=ΔP
ab/k-ΔR/k’)は、第1の変調関数a(t)および第2の変調関数b(t)によって取られる値の組み合わせを表し、前記第1の
ビーム検出器と第2の
ビーム検出器との間の位置傾斜条件とは無関係であり、受信前に送信された複合ビームが被る外乱による位相変動とは無関係である、ステップと、
-前記決定された差値(Q2=ΔP
ab/k-ΔR/k’)に基づいて、第1の変調ビーム(Fm1)および少なくとも1つの第2の変調ビーム(Fm2)のそれぞれについて変調情報を逆多重化および復調するステップと、
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
第1の電磁放射ビーム(F1)および少なくとも1つの第2の電磁放射ビーム(F2)は、第1の変調関数a(t)および少なくとも1つの第2の変調関数b(t)の振幅に従ってデジタル振幅変調され、
差値(Q2=ΔP
ab/k-ΔR/k’)は、第1の変調関数a(t)および少なくとも1つの第2の変調関数b(t)が取るデジタル振幅値のそれぞれの組み合わせを表す、複数の期待値を取り得る、請求項
2に記載の方法。
【請求項4】
-第1の電磁放射ビーム(F1)および少なくとも1つの第2の電磁放射ビーム(F2)は、バイナリ方式でデジタル振幅変調され、第1の変調関数a(t)および少なくとも1つの第2の変調関数b(t)の振幅は、論理値0または1を取り得、
-前記方法は、第1のビーム検出器(1)によって検出された第1の電気信号(V1)に対応する、第3のフィルタリングされた電磁ビーム(F)の受信電力または強度を検出し、受信電力または強度を最小閾値と比較するさらなるステップを含み、
-決定された差(Q2=ΔP
ab/k-ΔR/k’)は、第1の軌道角運動量(L
1)に依存する第1の期待値(ΔP
10/k-ΔR/k’)、または第2の軌道角運動量(L
2)に依存する第2の期待値(ΔP
01/k-ΔR/k’)、または第1および第2の軌道角運動量の組み合わせに依存する第3の期待値(ΔP
11/k-ΔR/k’)を取り得、
-変調された情報を逆多重化および復調するステップは、
-決定された差(ΔP
ab/k-ΔR/k’)が前記第1の期待値(ΔP
10/k-ΔR/k’)を取る場合に、第1の変調ビーム(Fm1)が1に対応する情報を伝送し、第2の変調ビーム(Fm2)が0に対応する情報を伝送することを認識するステップと、
-決定された差(ΔP
ab/k-ΔR/k’)が前記第2の期待値(ΔP
01/k-ΔR/k’)を取る場合に、第1の変調ビーム(Fm1)が0に対応する情報を伝送し、第2の変調ビーム(Fm2)が1に対応する情報を伝送することを認識するステップと、
-決定された差(ΔP
ab/k-ΔR/k’)が前記第3の期待値(ΔP
11/k-ΔR/k’)を取る場合に、第1の変調ビーム(Fm1)が1に対応する情報を伝送し、第2の変調ビーム(Fm2)が1に対応する情報を伝送することを認識するステップと、
-第3のフィルタリングされた電磁ビームFの受信電力または強度が前記最小閾値よりも低い場合に、第1の変調ビーム(Fm1)が0に対応する情報を伝送し、第2の変調ビーム(Fm2)が0に対応する情報を伝送することを認識するステップと、
を含む、
請求項3に記載の方法。
【請求項5】
-第1の位相差値(ΔP
ab)は、それぞれの干渉パターンに関連付けられた第3のフィルタリングされた電磁ビーム(F)の平均強度(Im1)に依存し、前記第1の電気信号(V1)は、第1のビーム検出器(1)によって検出される第3のフィルタリングされた電磁ビーム(F)の前記平均強度を表し、
-第2の位相差値(ΔR)は、それぞれの干渉パターンに関連付けられた第4のフィルタリングされた電磁ビーム(E)の平均強度(Im2)に依存し、前記第2の電気信号(V2)は、第2のビーム検出器(2)によって検出される第4のフィルタリングされた電磁ビーム(E)の前記平均強度(Im2)を表し、
前記方法は、
第2の位相差値(ΔR)が事前定義された値に設定されて一定に保たれるように、第2の電気信号(V2)によって制御され、第1の複合ビーム部分(Q1(x1))に作用するフィードバック制御ループによって、
前記第1の複合ビーム部分(Q1(x1))が横断する光路の長さを制御し、第4のフィルタリングされた電磁ビーム(E)の前記平均強度(Im2)を、事前定義された強度値で一定に保つステップ、
をさらに含む、請求項1ないし4のうちいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
第1の電磁放射ビーム(F1)および少なくとも1つの第2の電磁放射ビーム(F2)は、第1の変調関数a(t)および少なくとも1つの第2の変調関数b(t)の振幅に従ってデジタル振幅変調され、
第1の位相差値=ΔP
abは、第1の変調関数a(t)および少なくとも1つの第2の変調関数b(t)が取るデジタル振幅値のそれぞれの組み合わせを表す、複数の期待値を取り得る、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
-第1の電磁放射ビーム(F1)および少なくとも1つの第2の電磁放射ビーム(F2)は、バイナリ方式でデジタル振幅変調され、第1の変調関数a(t)および少なくとも1つの第2の変調関数b(t)の振幅は、論理値0または1を取り得、
-前記方法は、第1のビーム検出器(1)によって検出された第1の電気信号(V1)に対応する、第3のフィルタリングされた電磁ビーム(F)の受信電力または強度を検出し、受信電力または強度を最小閾値と比較するさらなるステップを含み、
-決定された第1の位相差値(ΔP
ab)は、第1の軌道角運動量(L
1)に依存する第1の期待値(ΔP
10)、または第2の軌道角運動量(L
2)に依存する第2の期待値(ΔP
01)、または第1および第2の軌道角運動量の組み合わせに依存する第3の期待値(ΔP
11)を取り得、
-変調された情報を逆多重化および復調するステップは、
-決定された第1の位相差値(ΔP
ab)が前記第1の期待値(ΔP
10)を取る場合に、第1の変調ビーム(Fm1)が1に対応する情報を伝送し、第2の変調ビーム(Fm2)が0に対応する情報を伝送することを認識するステップと、
-決定された第1の位相差値(ΔP
ab)が前記第2の期待値(ΔP
01)を取る場合に、第1の変調ビーム(Fm1)が0に対応する情報を伝送し、第2の変調ビーム(Fm2)が1に対応する情報を伝送することを認識するステップと、
-決定された第1の位相差値(ΔP
ab)が前記第3の期待値(ΔP
11)を取る場合に、第1の変調ビーム(Fm1)が1に対応する情報を伝送し、第2の変調ビーム(Fm2)が1に対応する情報を伝送することを認識するステップと、
-第3のフィルタリングされた電磁ビームFの受信電力または強度が前記最小閾値よりも低い場合に、第1の変調ビーム(Fm1)が0に対応する情報を伝送し、第2の変調ビーム(Fm2)が0に対応する情報を伝送することを認識するステップと、
を含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
軌道角運動量多重化された変調ビームの数は、Nに等しく、2より大きく、
各変調ビームは、それぞれの軌道角運動量(Li)によって特徴付けられ、それぞれの変調関数によって振幅変調され、
N本の変調ビームにおける変調関数の可能な値の組み合わせのそれぞれは、第1の位相差のそれぞれの値(ΔP
a1...aN)および/またはそれぞれの差値(Q2=ΔP
a1...aN/k-ΔR/k’)に対応する、
請求項
2ないし
4のうちいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記方法は、
-干渉計において、第1および第2の複合ビーム部分の重ね合わせの前に、第1の複合ビーム部分(Q1(x1))に対して第1の追加光路(A,G)を配置し、第2の複合ビーム部分(Q1(x2))に対して第2の追加光路(B,B’,B’,G)を配置するステップ、
をさらに含み、
前記第1の追加光路(A,G)および第2の追加光路(B,B’,B’,G)は、それぞれの入口開口部と第1のビーム検出器(1)との間の全光路差によって、第2の複合ビーム部分(Q1(x2))の位相と第1の複合ビーム部分(Q1(x1))の位相との間に生じる位相差
【数1】
をキャンセルするように、
および、それぞれの入口開口部と第2のビーム検出器(2)との間の全光路差によって、第2の複合ビーム部分(Q1(x2))の位相と第1の複合ビーム部分(Q1(x1))の位相との間に生じる位相差
【数2】
をキャンセルするように、事前定義され、サイズが決められている、
請求項1ないし8のうちいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
第4のフィルタリングされた電磁ビーム(E)の平均強度(Im2)を一定に保つステップは、
-第2の電気信号(V2)および設定信号(SP)を入力として受信する制御ユニット(61)によって、第1の複合ビーム部分(Q1(x1))が当たる第1のミラー(42)を制御して、第1の複合ビーム部分(Q1(x1))が横断する光路Aの長さを制御された方法で変化させ、その結果、前記第1(Q1(x1))および第2(Q
1(x2))の電磁ビーム部分の位相シフトを変化させ、第2の
ビーム検出器(2)によって検出される平均強度(Im2)を、第2の電気信号(V2)および設定信号(SP)に依存する制御された方法で変更し、第2の位相差値(ΔR)および第4のフィルタリングされた電磁ビーム(E)の平均強度(Im2)を、設定信号(SP)に依存するそれぞれの事前定義された値に設定して一定に保つステップ、
を含む、請求項5に記載の方法。
【請求項11】
第4のフィルタリングされた電磁ビーム(E)の平均強度(Im2)を一定に保つステップは、第2のビーム検出器(2)において、第1の複合ビーム部分に関連付けられた基準ビームの強度(I
R1)の変動と、第2のビーム検出器(2)において、第2の複合ビーム部分に関連付けられた基準ビームの強度(I
R2)の変動とを補償するステップを含み、
補償の前記ステップは、
-干渉計の第1の分岐(A)で第1の複合ビーム部分(Q1(x1))に対応するビームの一部を偏向させるステップと、
-第3のビーム検出器(63)によって、第1の複合ビーム部分(Q1(x1))に対応するビームの偏向部分の強度を検出し、第1のビーム部分の強度を表す第1の補償電気信号(GI
R1)を生成するステップと、
-干渉計の第2の分岐(B)で第2の複合ビーム部分(Q1(x2))に対応するビームの一部を偏向させるステップと、
-第4のビーム検出器(64)によって、第2のビーム部分の強度を検出し、第2のビーム部分の強度を表す第2の補償電気信号(GI
R2)を生成するステップと、
-第1の補償電気信号(GI
R1)および第2の補償電気信号(GI
R2)に基づいて、処理ユニット(65)によって設定信号(SP)を修正するステップと、
を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記すべての電磁ビームは、光ビームおよび/またはレーザビームである、請求項1ないし11のうちいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
基準ビームの軌道角運動量は、常に知られている、請求項1ないし12のうちいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
基準ビームの軌道角運動量は、一定値L
0=0を取る、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
第2の周波数帯域は、実質的に単色である、請求項1ないし14のうちいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
第2の周波数帯域は、第1の周波数帯域に隣接している、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
複合ビームの第1または第2の電気信号の周波数弁別を実行するステップは、周波数フィルタリングを実行するステップを含む、請求項1ないし16のうちいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
軌道角運動量変数で多重化することによってグループ化された振幅変調信号を逆多重化および復調するためのシステム(100)であって、
逆多重化および復調される信号は、基準ビーム(F0)と、第1の変調ビーム(Fm1)および少なくとも1つの第2の変調ビーム(Fm2)の重ね合わせからなるメインビームとの重ね合わせからなる複合電磁放射ビーム(Q1)を備え、
前記第1の変調ビーム(Fm1)は、任意の振幅変調技術によって、第1の電磁放射ビーム(F1)上で、第1の変調関数a(t)によって表される第1の情報を変調することによって得られ、前記少なくとも1つの第2の変調ビーム(Fm2)は、任意の振幅変調技術によって、少なくとも1つのそれぞれの第2の電磁放射ビーム(F2)上で、第2の変調関数b(t)によって表される少なくとも1つの第2の情報を変調することによって得られ、
前記第1の電磁放射ビーム(F1)は、第1の軌道角運動量(L
1)によって特徴付けられ、前記少なくとも1つの第2の電磁放射ビーム(F2)は、少なくとも1つのそれぞれの第2の軌道角運動量(L
2)によって特徴付けられ、第1の電磁放射ビーム(F1)および少なくとも1つの第2の電磁放射ビーム(F2)の両方は、同じ第1の周波数帯域にそれぞれのスペクトルを有し、さらに、第1のビーム曲率半径値と実質的に一致するそれぞれの曲率半径を有し、
前記基
準ビーム(F0)は、第2の軌道角運動量(L
0)、前記第1の周波数帯域とは異なる第2の周波数帯域の第2のスペクトル、および前記第1のビーム曲率半径値と実質的に一致する値を有する第2のビーム曲率半径によって特徴付けられ、
前記システム(100)は、
-2つの開口部(Z1,Z2)を備え、第1の開口部(Z1)の下流に、第1の複合ビーム部分(Q1(x1))を、および第2の開口部(Z2)の下流に、第2の複合ビーム部分(Q1(x2))を得るように、前記複合電磁放射ビーム(Q1)を前記2つの開口部(Z1,Z2)を通過させるように構成されたスクリーンと、
-2つの開口部(Z1,Z2)に対して下流に配置された干渉計(40)と、を備え、
前記干渉計(40)は、
-前記第1の複合ビーム部分(Q1(x1))によって横断されるように構成された第1の干渉計分岐(A)と、
-前記第2の複合ビーム部分(Q1(x2))によって横断されるように構成された第2の干渉計分岐(B)と、
-干渉計の第3の分岐(D)に沿って第1の複合ビーム部分(Q1(x1))および第2の複合ビーム部分(Q1(x2))を重ね合わせてそれぞれの第3の電磁ビーム(D)を得るとともに、干渉計の第4の分岐(C)に沿って、それぞれの第4の電磁ビーム(C)を得るように構成されたビームスプリッタ(41)と、
-第1の複合ビーム部分(Q1(x1))および第2の複合ビーム部分(Q1(x2))の基準ビームに由来する寄与がキャンセルされ、それぞれの第1の変調ビーム(Fm1(x1),Fm1(x2))および少なくとも1つの第2の変調ビーム(Fm2(x1),Fm2(x2))に由来する成分が残っている第3のフィルタリングされた電磁ビーム(F)を得るために、前記第1の周波数帯域の周りで第3の電磁ビーム(D)を周波数で弁別するように構成された第1の周波数弁別手段(45)と、
-第1の複合ビーム部分(Q1(x1))および第2の複合ビーム部分(Q1(x2))にそれぞれ属する2つの基準ビーム(F0(x1),F0(x2))の重ね合わせからなる第4のフィルタリングされた電磁ビーム(E)を得るために、基準ビームの前記第2の周波数帯域の周りで第4の電磁ビーム(C)を周波数で弁別するように構成された第2の周波数弁別手段(44)と、を備え、
前記システム(100)は、
-前記第3のフィルタリングされた電磁ビーム(F)を検出し、第3のフィルタリングされた電磁ビーム(F)の電磁放射の強度を表す第1の電気信号(V1)を生成するように構成された第1のビーム検出器(1)と、
-前記第4のフィルタリングされた電磁ビーム(E)を検出し、第4のフィルタリングされた電磁ビーム(E)の電磁放射の強度を表す第2の電気信号(V2)を生成するように構成された第2のビーム検出器(2)と、
-処理手段(65)と、を備え、
前記処理手段(65)は、
-前記第1の電気信号(V1)に基づいて、第1のビーム検出器(1)において、第1の複合ビームフィルタリング部分(Fm1(x1),Fm2(x1))に由来する第3のフィルタリングされた電磁ビームの成分と、第2の複合ビームフィルタリング部分(Fm1(x2),Fm2(x2))に由来する第3の電磁ビームの成分との間の第1の位相差値(ΔP
ab)を決定することであって、前記第1の位相差値(ΔP
ab)は、第1の変調関数a(t)および第2の変調関数b(t)によって取られる値に依存する、ことと、
-前記第2の電気信号(V2)に基づいて、第2のビーム検出器(2)において、第1の複合ビーム部分(Q1(x1))および第2の複合ビーム部分(Q1(x2))に属する2つの基準ビーム(F0(x1),F0(x2))の間の第2の位相差値(ΔR)を決定することと、
-前記第1の位相差値(ΔP
ab)および第2の位相差値(ΔR)に基づいて、第1の変調ビーム(Fm1)および少なくとも1つの第2の変調ビーム(Fm2)のそれぞれで変調された情報(a(t),b(t))を逆多重化および復調することと、
をするように構成される、システム(100)。
【請求項19】
前記システム(100)は、
-第2の電気信号(V2)および設定信号(SP)を入力として受信するように適合された制御ユニット(61)と、
-制御ユニット(61)によって制御されるアクチュエータ(43)と、
アクチュエータ(43)によって制御され、第1の複合ビーム部分(Q1(x1))がそれに当たるように配置された第1のミラー(42)と、をさらに備え、
前記制御ユニット(61)は、制御された方法で、第1の複合ビーム部分(Q1(x1))が横断する光路(A)の長さを変化させ、その結果、前記第1(Q1(x1)
)および第2(Q
1(x2))の電磁ビーム部分の位相シフトを変化させ、第2の
ビーム検出器(2)によって検出される平均強度(Im2)を、第2の電気信号(V2)および設定信号(SP)に依存する制御された方法で修正し、第2の位相差値(ΔR)および第4のフィルタリングされた電磁ビーム(E)の平均強度(Im2)を、設定信号(SP)に依存するそれぞれの事前定義された値に設定して一定に保つように構成される、
請求項18に記載のシステム(100)。
【請求項20】
前記システム(100)は、
光路(46,47,48,49)のバランスをとるための手段をさらに備え、前記光路(46,47,48,49)のバランスをとるための手段は、
-干渉計において、第1および第2の複合ビーム部分の重ね合わせの前に、第1の複合ビーム部分(Q1(x1))のための第1の追加光路(A,G)を配置し、第2の複合ビーム部分(Q1(x2))のための第2の追加光路(B,B’,B’,G)を配置する、
ように構成され、
前記第1の追加光路(A,G)および第2の追加光路(B,B’,B’,G)を配置する
ことは、それぞれの入口開口部と第1のビーム検出器(1)との間の全光路差によって、第2の複合ビーム部分(Q1(x2))の位相と第1の複合ビーム部分(Q1(x1))の位相との間に生じる位相差
【数3】
をキャンセルするように、
および、それぞれの入口開口部と第2のビーム検出器(2)との間の全光路差によって、第2の複合ビーム部分(Q1(x2))の位相と第1の複合ビーム部分(Q1(x1))の位相との間に生じる位相差
【数4】
をキャンセルするように、前記第1の追加光路(A,G)および第2の追加光路(B,B’,B’,G)を配置する
ことを含む、
請求項19に記載のシステム(100)。
【請求項21】
光路のバランスをとるための前記手段は、
-前記第2の追加光路(B,B’,B’,G)を形成するように、干渉計の第2の分岐(B)に沿って第2の複合ビーム部分(Q1(x2))の経路に沿って配置された第2のミラー(48)、補償板(47)、半反射板(46)および第3のミラー(49)を備え、
前記半反射板(46)は、第1の複合ビーム部分(Q1(x
1))の経路にも沿ってさらに配置され、前記第1の複合ビーム部分(Q1(x1))および前記第2の複合ビーム部分(Q1(x2))をビームスプリッタ(41)に伝送するように構成される、
請求項20に記載のシステム(100)。
【請求項22】
前記システム(100)は、
第2のビーム検出器(2)において、第1の複合ビーム部分に関連付けられた基準ビームの強度(I
R1)の変動と、第2のビーム検出器(2)において、第2の複合ビーム部分に関連付けられた基準ビームの強度(I
R2)の変動とを補償するように構成されたビーム強度補償手段をさらに備え、
前記ビーム強度補償手段は、
-干渉計の第1の分岐(A)で第1の複合ビーム部分(Q1(x1))に対応するビームの一部を偏向するように構成された第1の半反射板(66)と、
-基準ビームの前記第2の周波数帯域の周りで、第1の複合ビーム部分(Q1(x1))に対応するビームの偏向部分をフィルタリングするように構成された第1の狭帯域光帯域通過フィルタ(68)と、
-第1の複合ビーム部分(Q1(x1))に対応するビームの偏向部分の強度を検出し、第1のビーム部分の強度を表す第1の補償電気信号(GI
R1)を生成するように構成された第3のビーム検出器(63)と、
-干渉計の第2の分岐(B)で第2の複合ビーム部分(Q1(x2))に対応するビームの一部を偏向するように構成された第2の半反射板(67)と、
-基準ビームの前記第2の周波数帯域の周りで、第2の複合ビーム部分(Q1(x2))に対応するビームの偏向部分をフィルタリングするように構成された第2の光学帯域通過フィルタ(69)と、
-第2の複合ビーム部分(Q1(x2))に対応するビームの偏向部分の強度を検出し、第2のビーム部分の強度を表す第2の補償電気信号(GI
R2)を生成するように構成された第4のビーム検出器(64)と、
-第1の補償電気信号(GI
R1)および第2の補償電気信号(GI
R2)に基づいて、設定信号(SP)を修正するように構成された処理ユニット(65)と、
を備える、
請求項18ないし21のうちいずれか1項に記載のシステム。
【請求項23】
前記システム(100)は、請求項1ないし17のうちいずれか1項に記載の方法を実行するように構成される、請求項18ないし22のうちいずれか1項に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、電磁ビーム、特に、光/レーザおよびマイクロ波ビームの送受信、そのようなビームの軌道角運動量を検出する技術分野、並びに電磁ビーム、特に、光/レーザおよびマイクロ波ビーム、軌道角運動量変調および/または多重化に基づく電気通信の分野に関する。
【0002】
本発明は、特に、軌道角運動量変数で多重化された信号(すなわち、軌道角運動量多重化信号)の逆多重化および復調に関する。
【背景技術】
【0003】
電磁ビーム、特に、レーザおよびマイクロ波ビームの伝搬の理論は、比較的最近、軌道角運動量(軌道角運動量)の存在を示している。
【0004】
従来の観点から見た軌道角運動量は、ビーム伝搬の様々な横断モードに関連する概念である。
【0005】
これは、軌道角運動量(OAM)波の伝搬フロントが単純に平面ではなく、らせん状の表面で表される進化を有しているという事実を示していると考えることもできる。
【0006】
言い換えると、ポインティングベクトルと波動ベクトルは、伝搬方向に単純に平行ではなく、伝搬方向に対してねじれている。
【0007】
軌道角運動量は、量子の観点から、スピンとは異なるさらなる量子数によって扱われる。
【0008】
最近、軌道角運動量が0とは異なり、異なる値をとることができるビームも実験的に実証されている。
【0009】
「軌道角運動量」変数は、上記の特徴のために、たとえ特異点から非常に離れていても、検出器が放射線ビームの限られた部分によってのみ照射される場合、検出および特徴付けが特に困難である。実際、特異点から非常に離れていても、検出器に入射したビームの限られた部分だけを利用して、局所測定によって受信された電磁ビーム、例えば、レーザの軌道角運動量を検出することを可能にする信頼できるシステムおよび方法はない。
【0010】
他方、例えば、ビームの特徴付けおよび電気通信目的のための角運動量変数の利用を含む様々な理由で、受信されたビームの軌道角運動量を検出する必要性が感じられる。
【0011】
このようなニーズは、現在、局所測定による既知の技術的解決策では満たされていない。
【0012】
出願人はまた、軌道角運動量変数を追加の自由度として利用する有望な可能性を特定し、信号の変調および信号の多重化の両方に有利に使用できる。
【0013】
しかしながら、考慮された技術分野の背景技術は、軌道角運動量の多重化および/または変調に基づく信頼できる電気通信解決策を提供していない。したがって、そのような解決策の必要性が特に感じられる。
【0014】
さらに、電気通信用途の重要な分野では、2つ以上の振幅変調および角運動量多重化電磁ビームで送信される複数の信号を効果的に復調および逆多重化できる方法およびシステムが必要であると考えられている。
【発明の概要】
【0015】
上記に照らして、本発明の目的は、先行技術を参照して本明細書で述べた欠点を少なくとも部分的に解消し、考慮した技術分野で特に感じられた上述のニーズを満たすことができるような、軌道角運動量変数での多重化によってグループ化された振幅変調信号を逆多重化および復調する方法を提供することである。
【0016】
そのような目的は、請求項1に記載の方法によって達成される。
【0017】
そのような方法のさらなる実施形態は、請求項2~17に定義されている。
【0018】
本発明はさらに、前述の方法を実行できる、軌道角運動量変数における多重化によってグループ化された振幅変調信号を逆多重化および復調するためのシステムに関する。そのようなシステムは、請求項18~23に定義されている。
【図面の簡単な説明】
【0019】
本発明に係る前述の方法およびシステムのさらなる特徴および利点は、添付の図面を参照して、例示的かつ非限定的な例として与えられた好ましい実施形態の以下の説明から明らかになるであろう。
【0020】
【
図1】本発明による電磁放射ビームを送信および受信するためのシステムの実施形態の送信部分の簡略図を示している。このような
図1は、対応する方法のいくつかのステップを同時に示している。
【
図2】本発明による電磁放射ビームを送信および受信するためのシステムの実施形態の受信部分の簡略図を示している。このような
図2は、対応する方法の他のいくつかのステップを同時に示している。
【
図3】本発明による電気通信システムの実施形態の送信部分の簡略図を示している。このような
図3は、対応する方法のいくつかのステップを同時に示している。
【
図4】本発明による電気通信システムの実施形態の受信部分の簡略図を示している。このような
図4は、対応する方法の他のいくつかのステップを同時に示している。
【
図5】相関器を備える本発明によるシステムの実施形態を示している。
【
図6】システムの図で使用されているいくつかの幾何学的量を示している。
【
図7】本発明の実施形態による信号を逆多重化および復調するためのシステムを示している。
【
図8】本発明の2つのそれぞれのさらなる実施形態による信号を逆多重化および復調するためのシステムを示している。
【
図9】本発明の2つのそれぞれのさらなる実施形態による信号を逆多重化および復調するためのシステムを示している。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1から
図6を参照して、電磁放射ビームを送受信するための方法が説明され、受信された電磁放射ビームの軌道角運動量を決定するように適合されている。
【0022】
この方法は、まず第一に、第1の軌道角運動量L1、第1の周波数帯域の第1のスペクトル、および第1のビーム曲率半径によって特徴付けられる少なくとも1つのメイン電磁放射ビームF1を生成するステップと、第2の軌道角運動量L0、前述の第1の周波数帯域とは異なる第2の周波数帯域の第2のスペクトル、および前述の第1のビーム曲率半径と実質的に一致する第2のビーム曲率半径によって特徴付けられる基準電磁放射ビームF0を生成するステップとを含む。
【0023】
第1の軌道角運動量L1および第2の軌道角運動量L0に基づく前述の特徴付けは、角運動量Lおよびトポロジカル電荷lは、以下の関係でリンクされているため、トポロジカル電荷(l1,l0)に関しても対応して説明され得ることに留意されたい。
【0024】
L=(l*h)/2π(ここで、hはプランク定数)。
【0025】
したがって、この方法は、前述の少なくとも1つのメインビームF1と基準ビームF0との重ね合わせからなる複合電磁放射ビームQ1を生成し、こうして生成された複合電磁放射ビームQ1を送信することを含む。
【0026】
この方法は、第1の位置に配置された第1のビーム検出器1によって前述の複合電磁放射ビームQ1を受信して、そのような第1の位置における複合ビームの電磁放射の電界および/または磁界および/または強度を表す第1の複合ビーム電気信号D1を生成するステップと、前述の複合電磁放射ビームQ1を、前述の第1の位置に対して異なる第2の位置に配置された第2のビーム検出器2によって受信して、そのような第2の位置における複合ビームの受信した電磁放射の電界および/または磁界および/または強度を表す第2の複合ビーム電気信号D2を生成するステップと、をさらに含む。
【0027】
この方法は、第1の複合ビーム電気信号D1の周波数弁別を実行して、前記第1の位置におけるメインビームによる電界および/または磁界および/または強度を表す第1のメインビーム電気信号P1、および前記第1の位置における基準ビームによる電界および/または磁界および/または強度を表す第1の基準ビーム電気信号R1を得るステップと、第2の複合ビーム電気信号D2の周波数弁別を実行して、第2の位置におけるメインビームによる電界および/または磁界および/または強度を表す第2のメインビーム電気信号P2、および第2の位置における基準ビームによる電界および/または磁界および/または強度を表す第2の基準ビーム電気信号R2を得るステップと、をさらに含む。
【0028】
この方法は、最終的に、前述の第1のメインビーム電気信号P1、第2のメインビーム電気信号P2、第1の基準ビーム電気信号R1および第2の基準ビーム電気信号R2に基づいて、メイン電磁放射ビームの軌道角運動量L1および/またはメインビーム軌道角運動量L1によるメイン電磁放射ビームの空間位相変動を決定することを含む。
【0029】
この方法の一実施形態によれば、決定するステップは、第1のメインビーム電気信号P1の位相と第2のメインビーム電気信号P2の位相との間の差に対応する第1の位相差値ΔPを決定することを含む。さらに、第1の基準ビーム電気信号R1の位相と第2の基準ビーム電気信号R2の位相との間の差に対応する第2の位相差値ΔRを決定する。次に、第1の波数kで除算された第1の位相差値ΔPから第2の波数k’で除算された第2の位相差値ΔRを減算して、差値(Q2=ΔP/k-ΔR/k’)を得る。これは、前述の第1の検出器と第2の検出器との間の位置傾斜条件に依存せず、ビーム伝搬に対する2つの検出器の相対位置に由来し、前記差値は、受信前に送信された複合ビームが被った外乱による位相変動とは無関係である。次に、前述の得られた差値(Q2=ΔP/k-ΔR/k’)に基づいて、メイン電磁放射ビームの軌道角運動量を決定する。
【0030】
第1の波数kは、メインビームに対応する波数であり、k=2π/λとして定義され、λは、前述の第1の周波数帯域に属する前述のメインビームの波長である。第2の波数k’は、基準ビームに対応する波数であり、k’=2π/λ’として定義され、λ’は、前述の第2の周波数帯域に属する前述の基準ビームの波長である。
【0031】
「位置傾斜」(または「位置チルト」)の定義は、2つの検出器を結ぶ直線と、ビーム伝搬軸に直交する平面上のその(直交)投影との間に形成される角度を示すことを意味する。
【0032】
特定の実施例によれば、メイン電磁放射ビームの軌道角運動量を決定するステップは、以下の式に基づいてメイン電磁放射ビームの軌道角運動量を決定することを含む。
【数1】
ここで、θ
1は、第1の検出器を含む複合ビーム伝搬ベクトルに直交する平面上で測定された第1の検出器の角度位置である。θ
2は、第2の検出器を含む複合ビーム伝搬ベクトルに直交する平面上で測定された第2の検出器の角度位置である。∝は、比例を示す。
【0033】
実施オプションによれば、第1の位相差値ΔPを決定するステップは、第1の位相比較器3によって、第1のメインビーム電気信号P1の位相を第2のメインビーム電気信号P2の位相と比較することを含む。第2の位相差値ΔRを決定するステップは、第2の位相比較器4によって、第1の基準ビーム電気信号R1の位相を第2の基準ビーム電気信号R2の位相と比較することを含む。
【0034】
他の実施オプションによれば、第1の位相差値ΔPを決定するステップは、第1のメインビーム電気信号P1と第2のメインビーム電気信号P2との間の相関演算を実行することを含む。第2の位相差値ΔRを決定するステップは、第1の基準ビーム電気信号R1と第2の基準ビーム電気信号R2との間の相関演算を実行することを含む。
【0035】
この方法の一実施形態によれば、基準ビームの軌道角運動量は、常に知られている。
【0036】
実施オプションに従って、基準ビームの軌道角運動量は、一定値L0=0を取る。
【0037】
この方法の一実施形態によれば、第1の検出器1の第1の位置および第2の検出器2の第2の位置は、固定されて一定であり、ビームの特異点の位置とは異なる。
【0038】
この方法の他の実施形態によれば、第1の検出器1の第1の位置および/または第2の検出器2の第2の位置は、移動可能であり、前述の第1の位置と第2の位置との間の相互関係は、常に知られている。
【0039】
実施オプションによれば、第2の周波数帯域は、実質的に単色である。
【0040】
特定の実施オプションに従って、第2の周波数帯域は、第1の周波数帯域に隣接している。
【0041】
この方法の可能な実施形態によれば、第1または第2の複合ビーム電気信号の周波数弁別を実行するステップは、周波数フィルタリングを実行すること、またはヘテロダイン技術または他の周波数分離方法によって周波数分離を実行することを含む。
【0042】
この方法の一実施形態によれば、少なくとも1つのメイン電磁放射ビームは変調されない。
【0043】
この方法の他の実施形態によれば、少なくとも1つのメイン電磁放射ビームは、振幅変調、および/または位相変調、および/または周波数変調、および/または軌道角運動量変調される。
【0044】
この方法の一実施形態によれば、前述のすべての送信および受信電磁ビームは、光ビームおよび/またはレーザビームである。
【0045】
以下に、方法の実施の詳細な例を、関連する物理数学解析とともに示す。
【0046】
以下の説明、および
図1および
図2において、異なる信号が存在する点(第1の複合ビーム電気信号D1、第2の複合ビーム電気信号D2、第1のメインビーム電気信号P1、第1の基準ビーム電気信号R1、第2のメインビーム電気信号P2、第2の基準ビーム電気信号)は、簡単にするために、それぞれの信号と同じ名前で示されている。
【0047】
すでに観察されたように、複合ビームQ1は、本明細書で基準ビームF0として定義される角運動量L=L0を有するビームに重ね合わされた、本明細書でメインビームF1として定義される軌道角運動量L=L1(0以外)を有する少なくとも1つのビームによって生成される。
【0048】
メインビームは変調されていても変調されていなくてもよい。基準ビームは、メインビームの周波数帯域と重ならない周波数帯域を有している。基準ビームの周波数帯域は、好ましくは準単色であり、メインビームの周波数帯域に隣接している。基準ビームは、メインビームと実質的に同じ曲率と同じ伝搬ベクトルを有している。基準ビームは、トポロジカル電荷l0=0を有することが好ましく、これは、軌道角運動量L0=0も意味する。
【0049】
軌道角運動量L1のメインビームによって生成された空間位相差の認識は、渦の特異点を除いて、空間内の任意の位置にある2つの検出器を使用することによって得られる。
【0050】
知られているように、「渦の特異点」という表現は、電磁界が結果としてゼロに減少し、電磁界の位相を決定できない渦内の点を意味する。
【0051】
メインビームが変調されていない場合、電界E
1または第1の検出器1の関連信号(
図2にD1として示されている)は、次の解析式で表すことができる。
【0052】
【0053】
ここで、tは、時間であり、A
1およびB
1は、非ゼロの任意の振幅であり、l
1は、メインビームのトポロジカル電荷であり、l
0は、基準ビームのトポロジカル電荷であり、θ
1は、第1の検出器1を含む複合ビーム伝搬ベクトルに直交する平面上で測定された検出器の角度位置である。
【数3】
および
【数4】
は、位置傾斜による任意の位相である。
【数5】
および
【数6】
は、伝搬する波面の乱れによる任意の位相である。
【0054】
同様に、電界E
2または第2の検出器2上の関連信号(
図2にD2として示されている)は、以下の解析式によって表し得る。
【0055】
【0056】
ここで、tは、時間であり、A
2およびB
2は、非ゼロの任意の振幅であり、l
1は、メインビームのトポロジカル電荷であり、l
0は、基準ビームのトポロジカル電荷であり、θ
2は、検出器2を含む複合ビーム伝搬ベクトルに直交する平面上で測定された検出器2の角度位置である。
【数8】
および
【数9】
は、位置傾斜による任意の位相である。
【数10】
および
【数11】
は、伝搬する波面の乱れによる任意の位相である。
【0057】
上で定義された幾何学的量のさらなる説明として、
図6は、破線によって、すでに前に説明された複合ビーム生成システムによって生成された複合ビームQ1の伝搬軸zを示している(基準30を参照して
図6に示されている)。
図6はまた、伝搬軸zに直交するxy平面、それぞれ2つの検出器1および2の位置ベクトル
【数12】
および
【数13】
、それぞれ2つの検出器θ1およびθ2の前述の角度位置も示している。
【0058】
場または関連信号は、それ自体が知られている様々な可能な技術によって周波数が分離され、R1およびR2において、場または関連信号が基準ビームの周波数帯域のみに存在し、P1およびP2において場または関連信号がメインビームの周波数帯域のみに存在するようになっている。
【0059】
したがって、次の解析式が得られ得る。
【0060】
【0061】
第2の位相比較器4は、場およびR1とR2との間の関連信号の位相差に比例する量を提供する。
【0062】
【0063】
第1の位相比較器3は、場およびP1とP2との間の関連信号の位相差に比例する量を提供する。
【0064】
【0065】
メインビームは、基準ビームの曲率に実質的に等しい曲率と、基準ビームの伝搬方向と実質的に一致する伝搬方向を有するので、傾斜(チルト)に関連する位相差は、優れた近似で次のようになる。
【0066】
【0067】
伝搬による歪み現象は、メインビームと基準ビーム(複合ビームでの伝送時に重ね合わされる)で非常に類似しているため、歪みに関連する位相差は、優れた近似で次のようになる。
【0068】
【0069】
さらに、2つの位相比較器の比例定数は、それらが一致するように選択され得る。
【0070】
上記に基づいて、信号Q2は、次の差に比例する量を提供することになる。
【0071】
【0072】
このような量は、必要に応じて、位置傾斜や伝搬による外乱とは無関係である。
【0073】
Q2の値(すなわち、ΔP/k-ΔR/k’)が測定されると、θ1、θ2、k、k’であり、l0の値(最初に設定され得る基準ビームのトポロジカル電荷)は、既知である。メインビームのトポロジカル電荷値l1は、前述の式から簡単に取得される。したがって、メインビームの軌道角運動量L1も、次の点に留意されたい。
【0074】
L=(l*h)/2π
【0075】
メインビームが位相変調されている場合、ポイントR1、R2、P1、P2の方程式は次のようになる。
【0076】
【0077】
ここで、δ(t)は、第1検出器と第2検出器で等しく検出された位相変調による時間変化する位相項である。位相項δ(t)は、第2の位相比較器2の出力で補償するため、次のことも得られる。
【0078】
【0079】
メインビームが周波数変調されている場合、ポイントR1、R2、P1、P2の方程式は次のようになる。
【0080】
【0081】
ここで、m(τ)は、時間の経過に伴う変調信号であり、k
fは、定数である。項
【数26】
は、第2の位相比較器の出力で補償するため、次のことが得られる。
【0082】
【0083】
ここで、本発明にも含まれる、任意の既知の変調技術に従って変調され、軌道角運動量可変多重化によってグループ化された信号の電気通信を実行するための方法について説明する。
【0084】
このような方法は、第1の軌道角運動量L1によって特徴付けられる第1の電磁放射ビームF1を生成するステップと、少なくとも1つのそれぞれの第2の軌道角運動量L2によって特徴付けられる少なくとも1つの第2の電磁放射ビームF2を生成するステップと、を含む。第1の電磁放射ビームF1および少なくとも1つの第2の電磁放射ビームF2の両方は、同じ第1の周波数帯域にそれぞれのスペクトルを有し、さらに、第1のビーム曲率半径値と実質的に一致するそれぞれの曲率半径を有する。
【0085】
次に、この方法は、第1の変調ビームFm1を得るために、第1の変調関数a(t)によって表される送信すべき第1の情報を、任意の変調技術によって、第1の電磁放射ビームF1上で変調し、さらに、第2の変調ビームFm2を得るために、任意の変調技術によって、第2の変調関数b(t)によって表される送信すべき少なくとも1つの第2の情報を、少なくとも1つの第2の電磁放射ビームF2上で変調することを含む。次に、第2の軌道角運動量L0と、前述の第1の周波数帯域とは異なる第2の周波数帯域における第2のスペクトルと、前述の第1のビーム曲率半径の値と実質的に一致する値を有する第2のビーム曲率半径によって特徴付けられる基準電磁放射ビームF0を生成することを含む。
【0086】
次に、この方法は、前述の基準ビームF0、第1の変調ビームFm1および第2の変調ビームFm2を重ね合わせおよび/または組み合わせて、基準ビームF0と、前述の第1の変調ビームFm1および少なくとも1つの第2の変調ビームFm2との重ね合わせからなるメインビームとの重ね合わせからなる複合電磁放射ビームQ1を生成するステップを含む。
【0087】
次に、この方法は、生成された複合電磁放射ビームQ1を送信するステップを含む。
【0088】
次に、この方法は、第1の位置に配置された第1のビーム検出器1によって前述の複合電磁放射ビームを受信して、前述の第1の位置における複合ビームの電磁放射の電界および/または磁界および/または強度を表す第1の複合ビーム電気信号D1を生成することを含む。前述の複合電磁放射ビームを、第1の位置に対して異なる第2の位置に配置された第2のビーム検出器2によって受信して、前記第2の位置における複合ビームの受信した電磁放射の電界および/または磁界および/または強度を表す第2の複合ビーム電気信号D2を生成することを含む。
【0089】
この方法は、第1の複合ビーム電気信号D1の周波数弁別を実行して、第1の位置におけるメインビームによる電界および/または磁界および/または強度を表す第1のメインビーム電気信号P1と、第1の位置における基準ビームによる電界および/または磁界および/または強度を表す第1の基準ビーム電気信号R1とを得るステップと、第2の複合ビーム電気信号D2の周波数弁別を実行して、第2の位置におけるメインビームによる電界および/または磁界および/または強度を表す第2のメインビーム電気信号P2と、第2の位置における基準ビームによる電界および/または磁界および/または強度を表す第2の基準ビーム電気信号R2と、を得るステップをさらに含む。
【0090】
この方法はさらに、第1のメインビーム電気信号P1の位相および第2のメインビーム電気信号P2の位相を決定することと、さらに、第1の基準ビーム電気信号R1の位相および第2の基準ビーム電気信号R2の位相を決定することと、を含む。次に、第1のメインビーム電気信号P1の位相と第2のメインビーム電気信号P2の位相との間の差に対応する第1の位相差値ΔPabを決定し、この際、そのような第1の位相差値ΔPabは、第1の変調関数a(t)および第2の変調関数b(t)によって取られる値に依存し、さらに、第1の基準ビーム電気信号R1の位相と第2の基準ビーム電気信号R2の位相との間の差に対応する第2の位相差値ΔRを決定することを含む。
【0091】
次に、この方法は、第1の波数kで除算された第1の位相差値ΔPabから第2の波数k’で除算された第2の位相差値ΔRを減算して、差値(Q2=ΔPab/k-ΔR/k’)を得るステップを含む。第1の波数kは、メインビームに対応する波数であり、k=2π/λとして定義され、λは、前述の第1の周波数帯域に属する前述のメインビームの波長である。第2の波数k’は、基準ビームに対応する波数であり、k’=2π/λ’として定義され、λ’は、前述の第2の周波数帯域に属する前述の基準ビームの波長である。
【0092】
前述の差値Q2は、第1の検出器1と第2の検出器2との間の位置傾斜条件とは無関係であり、また、受信前に送信された複合ビームが被る外乱による位相変動とは無関係であるが、第1の変調関数a(t)および第2の変調関数b(t)によって取られる値の組み合わせを表す。
【0093】
この方法は、最終的に、前述の決定された差値(Q2=ΔPab/k-ΔR/k’)に基づいて、第1の変調ビームFm1および少なくとも1つの第2の変調ビームFm2のそれぞれで変調された情報を逆多重化および復調することを含む。
【0094】
そのような方法の一実施形態によれば、軌道角運動量多重化される変調されたビームの数は、2より多い。
【0095】
そのような方法の一実施形態によれば、第1の電磁放射ビームF1および少なくとも1つの第2の電磁放射ビームF2は、第1の変調関数a(t)および少なくとも1つの第2の変調関数b(t)の振幅に従って、デジタル的に振幅変調される。
【0096】
この場合、差値(Q2=ΔPab/K-ΔR/K’)は、第1の変調関数a(t)および少なくとも1つの第2の変調関数b(t)によって取られるデジタル振幅値のそれぞれの組み合わせを代表する、複数の期待値を取り得る。
【0097】
実施オプションに従って、第1の電磁放射ビームF1および少なくとも1つの第2の電磁放射ビームF2は、バイナリ方式でデジタル振幅変調され、第1の変調関数a(t)および少なくとも第2の変調関数b(t)の振幅は、論理値0または1を取り得る。
【0098】
この場合、この方法は、第1のメインビーム電気信号P1または第2のメインビーム電気信号P2に対応する受信電力または強度Q3を(検出器16によって)検出し、受信した電力または強度を最小閾値と比較するさらなるステップを含む。
【0099】
決定された差(Q2=ΔPab/K-ΔR/K’)は、第1の角運動量(L1)に依存する第1の期待値(ΔP10/k-ΔR/k’)を取り得、または、第2の角運動量(L2)に依存する第2の期待値(ΔP01/k-ΔR/k’)、または、第1の角運動量と第2の角運動量の組み合わせに依存する第3の期待値(ΔP11/k-ΔR/k’)を取り得る。
【0100】
変調された情報を復調、逆多重化、および復調するステップは、決定された差(ΔPab/k-ΔR/k’)が前述の第1の期待値(ΔP10/k-ΔR/k’)を取る場合に、第1の変調ビームFm1が1に対応する情報を伝送し、第2の変調ビームFm2が0に対応する情報を伝送することを認識することと、決定された差(ΔPab/k-ΔR/k’)が前述の第2の期待値(ΔP01/k-ΔR/k’)を取る場合に、第1の変調ビームFm1が0に対応する情報を伝送し、第2の変調ビームFm2が1に対応する情報を伝送することを認識することと、決定された差(ΔPab/k-ΔR/k’)が前述の第3の期待値(ΔP11/k-ΔR/k’)を取る場合に、第1の変調ビームFm1が1に対応する情報を伝送し、第2の変調ビームFm2が1に対応する情報を伝送することを認識することと、受信電力または強度Q3が前述の最小閾値よりも低い場合、第1の変調ビームFm1が0に対応する情報を伝送し、第2の変調ビームFm2が0に対応する情報を伝送することを認識することと、を含む。
【0101】
そのような方法の他の実施形態によれば、第1の電磁放射ビームF1および少なくとも1つの第2の電磁放射ビームF2は、角運動量に基づいてデジタル変調される。この場合、第1のビームF1の角運動量は、第1の変調関数a(t)に基づいて2つの異なる離散値を取り得、少なくとも1つの第2のビームF2の角運動量は、それぞれの少なくとも第2の変調関数b(t)基づいて2つの異なる離散値を取り得る。
【0102】
差値(Q2=ΔPab/k-ΔR/k’)は、複数の期待値をとり得、それぞれが、第1の変調関数a(t)および少なくとも1つの第2の変調関数b(t)によって取られるデジタル振幅値のそれぞれの組み合わせを表す。
【0103】
実施オプションに従って、第1の変調関数a(t)および少なくとも1つの第2の変調関数b(t)の振幅は、論理値0または1を取り得る。
【0104】
決定された差(ΔPab/K-ΔR/K’)は、第1の変調関数(t)が値1を取り、第2の変調関数が値0を取る場合、第1の期待値(ΔP10/K-ΔR/K’)、または第1の変調関数(t)が値0を取り、第2の変調関数が値1を取る場合、第2の期待値(ΔP01/K-ΔR/K’)、または第1の変調関数a(t)が値1を取り、第2の変調関数が値1を取る場合、第3の期待値(ΔP11/K-ΔR/K’)、または第1の変調関数(t)が値0を取り、第2の変調関数が値0を取る場合、第4の期待値(ΔP00/K-ΔR/K’)を取り得る。
【0105】
この場合、変調された情報を復調、逆多重化および復調するステップは、決定された差(ΔPab/k-ΔR/K’)が第1の期待値(ΔP10/k-ΔR/K’)を取る場合に、第1の変調ビームFm1が1に対応する情報を伝送し、第2の変調ビームFm2が0に対応する情報を伝送することを認識することと、決定された差(ΔPab/k-ΔR/K’)が第2の期待値(ΔP01/k-ΔR/k’)を取る場合に、第1の変調ビームFm1が0に対応する情報を伝送し、第2の変調ビームFm2が1に対応する情報を伝送することを認識することと、決定された差(ΔPab/k-ΔR/K’)が第3の期待値(ΔP11/k-ΔR/k’)を取る場合に、第1の変調ビームFm1が1に対応する情報を伝送し、第2の変調ビームFm2が1に対応する情報を伝送することを認識することと、決定された差(ΔPab/k-ΔR/K’)が第4の期待値(ΔP00/k-ΔR/k’)を取る場合に、第1の変調ビームFm1が0に対応する情報を伝送し、第2の変調ビームFm2が0に対応する情報を伝送することを認識することと、を含む。
【0106】
そのような方法の実施形態によれば、上記の送信および受信された電磁ビームは、光ビームおよび/またはレーザビームである。
【0107】
以下に、上記の電気通信方法の詳細な実施例を、関連する物理数学的解析とともに示す。
【0108】
以下の説明および
図3から
図5において、異なる信号が存在する点(第1の複合ビーム電気信号D1、第2の複合ビーム電気信号D2、第1のメインビーム電気信号P1、第1の基準ビーム電気信号R1、第2のメインビーム電気信号P2f、第2の基準ビーム電気信号R2)は、簡単にするために、それぞれの信号と同じ名前で示されている。
【0109】
図3に示されるように、角運動量L
1の第1のビーム(ここでは第1のメインビームF1として定義される)と、角運動量L
2の第2のビーム(ここでは第2のメインビームF2として定義される)は、角運動量L
0の基準ビームに重畳される。2つのメインビームは、一致および/または重なる周波数帯域を有し、(本明細書に詳述される例では)デジタル振幅変調される。さらに、2つのメインビームは、実質的に一致する曲率を有する。
【0110】
電気信号D1での電界は、次の解析式で表し得る。
【0111】
【0112】
ここで、tは、時間であり、A
1(t)およびC
1(t)は時間の経過とともに変化するメインビームの振幅であり、B
1は、基準ビームの非ゼロの任意の振幅であり、l
1は、第1のメインビームのトポロジカル電荷であり、l
2は、第2のメインビームのトポロジカル電荷であり、l
0は、基準ビームのトポロジカル電荷であり、θ
1は、第1の検出器1を含む複合ビーム伝搬ベクトルに直交する平面上で測定された第1の検出器の角度位置である。
【数29】
、
【数30】
および
【数31】
は、位置傾斜による任意の位相である。
【数32】
、
【数33】
および
【数34】
は、伝搬する波面の乱れによる任意の位相である。
【0113】
電気信号D2での電界は、次の解析式で表すことができる。
【0114】
【0115】
ここで、tは、時間であり、A
2(t)およびC
2(t)は時間の経過とともに変化するメインビームの振幅であり、B
2は、基準ビームの非ゼロの任意の振幅であり、l
1は、第1のメインビームのトポロジカル電荷であり、l
2は、第2のメインビームのトポロジカル電荷であり、l
0は、基準ビームのトポロジカル電荷であり、θ
2は、第2の検出器2を含む複合ビーム伝搬ベクトルに直交する平面上で測定された第2の検出器の角度位置である。
【数36】
、
【数37】
および
【数38】
は、位置傾斜による任意の位相である。
【数39】
、
【数40】
および
【数41】
は、伝搬する波面の乱れによる任意の位相である。
【0116】
上ですでに観察したように、信号D1とD2は2つの検出器によって測定され、基準ビームは、メインビームから周波数で識別され、R1、R2、P1、P2の信号は、次の式を使用して取得される。
【0117】
【0118】
R1とR2には基準ビームのみがあり、P1とP2には重ね合わせたメインビームがある。
【0119】
第2の位相比較器4は、次の位相差に比例する量を提供する。
【0120】
【0121】
デジタル変調では、振幅は、A1=A1maxa(t)、A2=A2maxa(t)、C1=C1maxb(t)、C2=C2maxb(t)と書き得る。ここで、関数a(t)とb(t)は、それぞれ第1と第2の変調器でデジタル変調された情報に応じて値0または1を取る。
【0122】
A1max、C1maxは、第1の検出器によって受信されたメインビーム(それぞれ第1と第2)を表す場または信号の最大振幅である。A2max、C2maxは、第2の検出器によって受信されたメインビーム(それぞれ第1と第2)を表す場または信号の最大振幅である。送信機では、メインビームの振幅を次のように等しくなるように設定できる。
【0123】
A1max=C1max,A2max=C2max
【0124】
第1の位相比較器3は、変調関数a(t)、b(t)のデジタル符号化に依存する、P1およびP2の場または信号間の位相差に比例する量を提供する。
【0125】
これで、考えられるすべての組み合わせが検討される。
【0126】
a(t)=0およびb(t)=0の場合、メインビームの振幅は、互いに打ち消し合うため、位相差は決定できない。
【0127】
a(t)=1およびb(t)=0の場合、角運動量L1の第1のメインビームのみが存在するため、単一のメインビームの場合にすでに説明したのと同様の関係が適用される。
【0128】
【0129】
a(t)=0およびb(t)=1の場合、角運動量L2の第2のメインビームのみが存在するため、単一のメインビームの場合にすでに説明したのと同様の関係が適用される。
【0130】
【0131】
a(t)=1およびb(t)=1の場合、両方のメインビームが存在するため、次の関係が成り立つ。
【0132】
【0133】
上記の関係に基づいて、単一のメインビームの場合にすでに説明したのと同様に、伝搬に関連する位置傾斜と波面の歪みによる位相の恣意性を排除するために、変調信号のすべての可能な組み合わせを計算することが可能である。
【0134】
したがって、結論として、以下の関係が得られる。
【0135】
a(t)=0およびb(t)=0の場合、メインビームの振幅は互いに打ち消し合うため、位相差は決定できない。
【0136】
a(t)=1およびb(t)=0の場合、次のようになる。
【0137】
【0138】
a(t)=0およびb(t)=1の場合、次のようになる。
【0139】
【0140】
a(t)=1およびb(t)=1の場合、メインビームも実質的に一致する曲率を有していることを考慮すると、次のようになる。
【0141】
【0142】
前述の量(ΔP10/k-ΔR/k’)、(ΔP01/k-ΔR/k’)、(ΔP11/k-ΔR/k’)は簡単に区別し得る。すなわち、基準ビームおよび2つのメインビームのトポロジカル電荷l0、l1、l2(すなわち、それぞれの軌道角運動量)を適切に選択することによって、3つの異なる事前定義された既知の値に設定される。したがって、受信時に測定されるそのような量は認識可能であり、2つのメインビームのそれぞれに適用される変調値0または1を示す。したがって、そこに符号化された情報は、復号、すなわち、復調および認識され得る。
【0143】
さらに、有利には、そのような量は、位置傾斜による位相差とは無関係になり、(すでに上で気づいたように)基準ビームの存在によってキャンセルされ得る伝搬波面の歪みとは無関係になる。
【0144】
トポロジカル電荷の値の選択の可能な例は次の通りである。
【0145】
l0=0、l1=0、l2=2
【0146】
他の組み合わせは、明らかに検出可能である。
【0147】
ステータスa(t)=0、b(t)=0は、まだ認識されておらず、その位相は、未定である(上記のとおり)。これは、両方のメインビームで受信された場または信号の振幅がキャンセルされる唯一の組み合わせであるため、このステータスは、簡単に識別できる。したがって、ステータスa(t)=0、b(t)=0は、点Q3で(
図4に示される検出器16によって)検出された信号の強度またはパワーが所定の閾値を下回るときに決定論的に識別される。あるいは、両方の信号がそれぞれの事前定義された閾値を下回っている状況を認識するために、第1の複合ビーム電気信号D1および第2の複合ビーム電気信号D2の両方を監視し得る。
【0148】
以下に、軌道角運動量変調に基づいて、関連する物理数学解析とともに、上記の電気通信方法の詳細な実施例を示す。
【0149】
角運動量変調は、デジタル振幅変調の場合にすでに開発されているものと同様の引数を使用して説明され得る。
【0150】
変調関数a(t)、b(t)は、それぞれ第1と第2の変調器でデジタル変調された情報に応じて値0または1を取る。そのような変調関数は、取られたバイナリ値に応じて、それぞれ、第1の電磁放射ビームおよび少なくとも1つの第2の電磁放射ビームの角運動量の離散的変化を決定する。すなわち、L1およびL2は、a(t)とb(t)が取る値に依存する関数である。
【0151】
L1=L1(a(t))、L2=L2(b(t))
すなわち、トポロジカル電荷を同等に参照する:l1=l1(a(t))、l2=l2(b(t))。
【0152】
その結果、R1、R2、P1、P2に存在する信号は次のように表される。
【0153】
【0154】
R1とR2には、基準ビームのみがある。P1とP2には、重ね合わされたメインビームがある。
【0155】
第2の位相比較器4は、(一般的な場合のように)位相差に比例する量を提供する。
【0156】
【0157】
第1の位相比較器3は、変調関数a(t)、b(t)のデジタル符号化に依存する、P1およびP2の場または信号間の位相差に比例する量を提供する。
【0158】
考えられるすべての組み合わせを考慮すると、次のようになる。
【0159】
【0160】
ここで、組み合わせは、インデックスa、bおよび関数a(t)、b(t)によって取得される対応する値によって決定される。
【0161】
次に、位置傾斜と伝搬に関連する波面の歪みによる位相の恣意性を排除するために、変調信号のすべての可能な組み合わせについて、差ΔPab/k-ΔR/k’が次の式によって計算される。
【0162】
【0163】
トポロジカル電荷値l0、l1(0)、l1(1)、l2(0)、l2(1)、またはそれぞれの対応する軌道角運動量は、対応する量(ΔP00/k-ΔR/k’)、(ΔP01/k-ΔR/k’)、(ΔP10/k-ΔR/k’)、(ΔP11/k-ΔR/k’)は、互いに異なり、したがって認識可能であり、符号化された(変調された)情報を復号(復調)することを可能にするように選択され得る。
【0164】
さらに、前述の量は、伝搬する波面の位置傾斜および歪みによる位相差とは無関係であり、これは、基準ビームの存在によって排除され得る。
【0165】
トポロジカル電荷値の選択の例は、l0=0、l1(0)=0、l1(1)=1、l2(0)=0、l2(1)=2であり、次のようになる。
【0166】
【0167】
このように、前述の4つの量は異なるため、認識され得る。
【0168】
上記の例と同様に、他の値の割り当ても明らかに可能である。
【0169】
角運動量変調は、多くの点で振幅変調に類似しており、
図3および
図4に示されるブロック図は、角運動量変調にも適用されるが、唯一の明らかな違いは、変調器は、振幅ではなく角運動量を変調するとういことに留意すべきである。さらに、この場合、
図4および
図5の閾値検出器は、必要ない。
【0170】
図1および
図2を参照して、電磁放射ビームを送信および受信するためのシステムがここで説明され、受信された電磁放射ビームの軌道角運動量を決定するように適合されている。
【0171】
このようなシステムは、メイン電磁放射ビームF1を生成するための手段5、基準電磁放射ビームF0を生成するための手段6、複合電磁放射ビームQ1(
図1に示される)を生成(7)および送信(14)するための手段、複合電磁放射ビームを受信するための手段、第1のビーム検出手段1、第2のビーム検出手段2、第1の周波数弁別手段8、第2の周波数弁別手段9、および軌道角運動量を決定するための手段10(
図2に示される)を備える。
【0172】
メイン電磁放射のビームを生成するための手段5は、第1の軌道角運動量L1、第1の周波数帯域における第1のスペクトル、および第1のビーム曲率半径によって特徴付けられるメイン電磁放射ビームF1を生成するように構成される。
【0173】
基準電磁放射ビームを生成するための手段6は、第2の軌道角運動量L0、前記第1の周波数帯域とは異なる第2の周波数帯域の第2のスペクトル、および前記第1のビーム曲率半径と実質的に一致する第2のビーム曲率半径によって特徴付けられる基準電磁放射ビームF0を生成するように構成される。
【0174】
複合電磁放射ビームを生成し(7)、送信する(14)ための手段は、前述のメインビームF1と基準ビームF0の重ね合わせからなる複合電磁放射ビームQ1を生成し、そのような生成された複合電磁放射ビームQ1を送信するように構成される。
【0175】
複合電磁放射ビームを受信するための手段は、第1の位置に配置され、第1の位置における複合ビームの電磁放射の電界および/または磁界および/または強度を表す第1の複合ビーム電気信号D1を生成するように構成された第1のビーム検出手段1と、前述の第1の位置に関して異なる第2の位置に配置され、第2の位置における複合ビームの電磁放射の電界および/または磁界および/または強度を表す第2の複合ビーム電気信号D2を生成するように構成された第2のビーム検出手段2と、を備える。
【0176】
第1の周波数弁別手段8は、第1の複合ビーム電気信号D1の周波数弁別を実行して、第1の位置におけるメインビームによる電界および/または磁界および/または強度を表す第1のメインビーム電気信号P1と、第1の位置における基準ビームによる電界および/または磁界および/または強度を表す第1の基準ビーム電気信号R1と、を取得するように構成される。
【0177】
第2の周波数弁別手段9は、第2の複合ビーム電気信号の周波数弁別を実行して、第2の位置におけるメインビームによる電界および/または磁界および/または強度を表す第2のメインビーム電気信号P2と、第2の位置における基準ビームによる電界および/または磁界および/または強度を表す第2の基準ビーム電気信号R2と、を取得するように構成される。
【0178】
軌道角運動量を決定するための手段10は、前述のメインビーム第1の電気信号P1、第2のメインビーム電気信号P2、第1の基準ビーム電気信号R1および第2の基準ビーム電気信号R2に基づいて、メイン電磁放射ビームの軌道角運動量L1および/またはメインビーム軌道角運動量L1に起因するメイン電磁放射ビームの空間位相変動を決定するように構成される。
【0179】
異なる実施オプションに従って、システムは、上記の実施形態のいずれかによる電磁放射ビームを送信および受信するための方法を実行するように構成される。
【0180】
システムの実施形態によれば、メイン電磁放射ビームを生成するための手段5および基準電磁放射ビームを生成するための手段6は、それ自体が知られている電磁ビームの1つまたは複数のソースまたは送信機を備える(例えば、実施オプションでは、レーザ)。
【0181】
実施オプションによれば、メイン電磁放射ビームを生成するための手段5は、振幅および/または周波数および/または位相変調器50および/または1つまたは複数の角運動量変調器50をさらに備える(そのような角運動量変調器50は、例えば、空間光変調器であり得る)。
【0182】
システムの実施形態によれば、複合電磁放射ビームを生成するための手段7は、それ自体が知られている2つ以上の入力および出力を備えた電磁ビームコンバイナ(例えば、ビームコンバイナ)を備える。
【0183】
システムの実施形態によれば、第1のビーム検出手段1は、1つまたは複数のダイアフラム(光学開口部)、またはアンテナまたはアンテナのグループ、またはそれ自体が知られている、第1および第2のビームの周波数で動作するように適合された任意の他の電磁ビーム受信機を備える。電磁ビーム14を送信するための手段は、例えば、1つまたは複数の送信アンテナを備える。
【0184】
システムの実施形態によれば、第2のビーム検出手段2は、1つまたは複数のダイアフラム(光学開口部)、またはアンテナまたはアンテナのグループ、またはそれ自体が知られている、第1および第2のビームの周波数で動作するように適合された任意の他の電磁ビーム受信機を備える。
【0185】
異なる実施形態によれば、第1の周波数弁別手段8および第2の周波数弁別手段9は、それ自体が知られている周波数フィルタを備え得る。
【0186】
システムの実施形態によれば、軌道角運動量を決定するための手段10は、位相比較器からの出力信号に基づいて、処理によって(例えば、前に示された式に従って)軌道角運動量を導出するように構成された少なくとも2つの位相比較器3、4および少なくとも1つのプロセッサ15を備える。
【0187】
システムの実施形態によれば、軌道角運動量を決定するための手段10は、相関器からの出力信号に基づいて、処理によって(例えば、前に示された式に従って)軌道角運動量を導出するように構成された少なくとも2つの相関器11、12および少なくとも1つのプロセッサ15を備える。
【0188】
相関器の使用を含む実施オプションに関して、
図5を参照して、本明細書にさらなる詳細が提供される。
【0189】
この場合、位相差ΔPまたはΔRに比例する値を提供する位相比較器を使用する代わりに、位相差cos(ΔP)またはcos(ΔR)の余弦に比例する値を提供する相関器が使用される。次に、位相差は、次の逆関数によって決定される。
【0190】
ΔP=arccos[cos(ΔP)]
【0191】
ΔR=arccos[cos(ΔR)]
【0192】
相関は、P1とP2、またはR1とR2を表す場または信号の直接積によって決定され得る。
【0193】
あるいは、相関は、干渉によって、それぞれ強度IP1およびIP2を有するP1およびP2、またはそれぞれ強度IR1およびIR2を有するR1およびR2での場間の干渉の平均強度<I>を測定することによって、以下のことを承知の上で決定され得る。
【0194】
cos(ΔP)=(<I>-IP1-IP2)/(2(IP1IP2)1/2)
【0195】
cos(ΔR)=(<I>-IR1-IR2)/(2(IR1IR2)1/2)
【0196】
前述のシステムの実施形態によれば、上記の送信および受信された電磁ビームは、光ビームおよび/またはレーザビームである。
【0197】
図3および
図4を参照して、任意の既知の変調技術に従って変調信号の電気通信を実行し、軌道角運動量変数で多重化することによってグループ化するためのシステムについて説明する。
【0198】
このようなシステムは、電磁ビームを生成するための手段5、6、変調手段50、ビームの組み合わせおよび/または重ね合わせ手段7、送信手段14、ビーム受信手段1、2、8、9、位相決定手段20および処理手段15を備える。
【0199】
電磁ビームを生成するための手段5、6は、第1の軌道角運動量L1によって特徴付けられる第1の電磁放射を生成し、少なくとも1つのそれぞれの第2の軌道角運動量L2によって特徴付けられる少なくとも1つの第2の電磁放射のビームF2を生成するように構成される。
【0200】
第1の電磁放射ビームF1および少なくとも1つの第2の電磁放射ビームF2の両方は、同じ第1の周波数帯域にそれぞれのスペクトルを有し、さらに、第1のビームの曲率半径値と実質的に一致するそれぞれの曲率半径を有する。
【0201】
電磁ビームを生成するための手段5、6は、第2の軌道角運動量L0、前述の第1の周波数帯域とは異なる第2の周波数帯域の第2のスペクトル、および前述の第1のビーム曲率半径値と実質的に一致する値を有する第2のビーム曲率半径によって特徴付けられる基準電磁放射ビームF0を生成するようにさらに構成される。
【0202】
変調手段50は、任意の振幅および/または位相および/または周波数変調技術によって、第1の変調関数a(t)によって表される送信すべき第1の情報を第1の電磁放射ビームF1上で変調して、第1の変調ビームFm1を得、任意の振幅および/または位相および/または周波数変調技術によって、第2の変調関数b(t)によって表される送信すべき少なくとも1つの第2の情報を少なくとも1つの第2の電磁放射ビームF2上で変調して、第2の変調ビームFm2を得るように構成される。
【0203】
ビームの組み合わせおよび/または重ね合わせ手段7は、前述の基準ビームF0、第1の変調ビームFm1および第2の変調ビームFm2を重ね合わせおよび/または組み合わせて、基準ビームと、前述の第1の変調ビームFm1および少なくとも1つの第2の変調ビームFm2との重ね合わせからなるメインビームとの重ね合わせからなる複合電磁放射ビームQ1を生成するように構成される。
【0204】
送信手段14は、前述の生成された複合電磁放射ビームを送信するように構成される。
【0205】
複合電磁放射ビームを受信するための手段は、第1のビーム検出手段1、第2のビーム検出手段2、第1の周波数弁別手段8、第2の周波数弁別手段9を備える。
【0206】
第1のビーム検出手段1は、第1の位置に配置され、第1の位置における電界および/または磁界および/または複合ビームの電磁放射の強度を表す第1の複合ビーム電気信号D1を生成するように構成される。
【0207】
第2のビーム検出手段2は、第1の位置に関して異なる第2の位置に配置され、第2の位置における複合ビームの電磁放射の電界および/または磁界および/または強度を表す第2の複合ビーム電気信号D2を生成するように構成される。
【0208】
第1の周波数弁別手段8は、第1の複合ビーム電気信号D1の周波数弁別を実行して、第1の位置におけるメインビームによる電界および/または磁界および/または強度を表す第1のメインビーム電気信号P1を取得し、第1の位置における基準ビームによる電界および/または磁界および/または強度を表す第1の基準ビーム電気信号R1を取得するように構成される。
【0209】
第2の周波数弁別手段9は、第2の複合ビーム電気信号の周波数弁別を実行して、第2の位置におけるメインビームによる電界および/または磁界および/または強度を表す第2のメインビーム電気信号P2を取得し、第2の位置における基準ビームによる電界および/または磁界および/または強度を表す第2の基準ビーム電気信号R2を取得するように構成される。
【0210】
位相決定手段20は、第1のメインビーム電気信号P1の位相および第2のメインビーム電気信号P2の位相を決定し、また第1の基準ビーム電気信号R1の位相および第2の基準ビーム電気信号R2の位相を決定するように構成される。
【0211】
位相決定手段20は、第1のメインビーム電気信号P1の位相と第2のメインビーム電気信号P2の位相との間の差に対応する第1の位相差値ΔPabを決定するようにさらに構成されており、その際、そのような第1の位相差値ΔPabは、第1の変調関数a(t)および第2の変調関数b(t)が取る値に依存する。さらに、第1の基準ビーム電気信号R1の位相と第2の基準ビーム電気信号R2の位相との間の差に対応する第2の位相差値ΔRを決定し、さらに、波数kで割った第1の位相差値ΔPabから、波数k’で割った第2の位相差値ΔRを減算して、差値Q2=ΔPab/K-ΔR/k’を得る。第1の波数kは、メインビームに対応する波数であり、k=2π/λとして定義され、λは、前述の第1の周波数帯域に属する前述のメインビームの波長である。第2の波数k’は、基準ビームに対応する波数であり、k’=2π/λ’として定義され、λ’は、前述の第2の周波数帯域に属する前述の基準ビームの波長である。
【0212】
上記差値Q2=ΔPab/K-ΔR/k’は、第1の変調関数a(t)と第2の変調関数b(t)が取る値の組み合わせを表し、第1の検出器1と第2の検出器2との間の位置傾斜状態とは無関係であり、受信前に送信された複合ビームが受ける外乱による位相変動とも無関係である。
【0213】
処理手段15は、前述の決定された差値Q2=ΔPab/k-ΔR/k’に基づいて、第1の変調ビームFm1および少なくとも1つの第2の変調ビームFm2のそれぞれの変調情報を逆多重化および復調するように構成される。
【0214】
異なる実施形態によれば、システムは、上記の実施形態のいずれかによる電磁放射ビーム電気通信方法を実行するように構成される。
【0215】
システムの実施形態によれば、電磁ビームを生成するための手段5、6は、それ自体が知られている電磁ビームの1つまたは複数のソースまたは送信機(例えば、実施オプションでは、レーザ)を備える。
【0216】
システムの実施形態によれば、変調手段50は、それ自体が知られている振幅および/または周波数および/または位相および/または角運動量変調器を備える。
【0217】
システムの実施形態によれば、第1および第2のビーム検出手段1、2は、1つまたは複数のダイアフラム(光学開口部)、またはアンテナまたはアンテナのグループ、またはそれ自体が知られている、それぞれ第1および第2のビームの周波数で動作するように適合された任意の他の電磁ビーム受信機を備える。
【0218】
システムの実施形態によれば、第1および第2の周波数弁別手段8、9は、それ自体が知られている周波数フィルタを備える。
【0219】
システムの実施形態によれば、位相決定手段20は、それ自体が知られている少なくとも2つの位相比較器3、4を備える。
【0220】
システムの実施形態によれば、第1および第2の周波数弁別手段は、それ自体が知られている相関器11、12を備える。そのような相関器に関しては、電磁ビームを送受信するためのシステムに関して上に示したのと同じ考慮事項が適用される。
【0221】
システムの実施形態によれば、処理手段15は、それ自体が知られている1つまたは複数のプロセッサ、および関連するソフトウェアを備える。
【0222】
前述のシステムの実施形態によれば、上記の送信および受信された電磁ビームは、光ビームおよび/またはレーザビームである。
【0223】
図7~
図9を参照して、軌道角運動量変数における多重化によってグループ化された振幅変調信号を逆多重化および復調するための方法を以下に説明する。
【0224】
この方法は、逆多重化および復調される信号が、基準ビームF0と、第1の変調ビームFm1および少なくとも1つの第2の変調ビームFm2の重ね合わせからなるメインビームとの重ね合わせからなる複合電磁放射ビームQ1を構成する場合に適用される。
【0225】
第1の変調ビームFm1は、任意の振幅変調技術によって、第1の電磁放射ビームF1上で、第1の変調関数a(t)によって表される第1の情報を変調することによって得られる。
【0226】
前述の少なくとも1つの第2の変調ビームFm2は、任意の振幅変調技術によって、少なくとも1つのそれぞれの第2の電磁放射ビーム(F2)上で、第2の変調関数b(t)によって表される少なくとも1つの第2の情報を変調することによって得られる。
【0227】
前述の第1の電磁放射ビームF1は、第1の軌道角運動量L1によって特徴付けられる。前述の少なくとも1つの第2の電磁放射ビームF2は、それぞれの少なくとも1つの第2の軌道角運動量L2によって特徴付けられ、その際、第1の電磁放射ビームF1および少なくとも1つの第2の電磁放射ビームF2の両方が、同じ第1の周波数帯域でそれぞれのスペクトルを有し、さらに、第1のビーム曲率半径値と実質的に一致するそれぞれの曲率半径を有する。
【0228】
前述の基準電磁放射ビームF0は、第2の軌道角運動量L0、第1の周波数帯域とは異なる第2の周波数帯域の第2のスペクトル、および第1のビーム曲率半径値と実質的に一致する値を有する第2のビーム曲率半径によって特徴付けられる。
【0229】
この方法は、まず、前述の複合電磁放射ビームQ1を2つの開口部Z1、Z2に通して、第1の開口部Z1の下流に、第1の複合ビーム部分Q1(x1)を得、第2の開口部Z2の下流に、第2の複合ビーム部分Q1(x2)を得るステップを含む。
【0230】
この方法はさらに、干渉計40の第1の分岐Aに沿って第1の複合ビーム部分Q1(x1)を送信し、干渉計40の第2の分岐Bに沿って第2の複合ビーム部分Q1(x2)を送信することを含む。
【0231】
次に、この方法は、干渉計のビームスプリッタ41によって、干渉計の第3の分岐Dに沿って、第1の複合ビーム部分Q1(x1)および第2の複合ビーム部分Q1(x2)を重ね合わせて、それぞれの第3の電磁ビームDを取得するとともに、干渉計の第4の分岐Cに沿って、それぞれの第4の電磁ビームCを取得する。
【0232】
この方法は、第1の複合ビーム部分Q1(x1)および第2の複合ビーム部分Q1(x2)の基準ビームに由来する寄与がキャンセルされ、それぞれの第1の変調ビームFm1(x1)、Fm1(x2)および少なくとも1つの第2の変調ビームFm2(x1)、Fm2(x2)に由来する成分が残っている第3のフィルタリングされた電磁ビームFを得るために、第1の周波数帯域の周りで第3の電磁ビームDの周波数弁別を実行するステップをさらに含む。
【0233】
次に、第4の電磁ビームCの周波数弁別が、基準ビームの第2の周波数帯域の周りで実行され、第1の複合ビーム部分Q1(x1)および第2の複合ビーム部分Q1(x2)にそれぞれ属する2つの基準ビームF0(x1)、F0(x2)の重ね合わせからなる第4のフィルタリングされた電磁ビームEが得られる。
【0234】
この方法は、第1のビーム検出器1によって第3のフィルタリングされた電磁ビームFを検出して、第3のフィルタリングされた電磁ビームFの電磁放射の強度を表す第1の電気信号V1を生成することと、前述の第1の位相差値ΔPabが、第1の変調関数a(t)および第2の変調関数b(t)が取る値に依存する第1のビーム検出器1において、前記第1の電気信号V1に基づいて、第1の複合ビームフィルタリング部分Fm1(x1)、Fm2(x1)に由来する第3のフィルタリングされた電磁ビームの成分と第2の複合ビームフィルタリング部分Fm1(x2)、Fm2(x2)に由来する第3の電磁ビームの成分との間の第1の位相差値ΔPabを決定することと、をさらに含む。
【0235】
この方法はさらに、第2のビーム検出器2によって前述の第4のフィルタリングされた電磁ビームEを検出して、第4のフィルタリングされた電磁ビームEの電磁放射の強度を表す第2の電気信号V2を生成することと、前述の第2の電気信号V2に基づいて、第2のビーム検出器2において、第1の複合ビーム部分Q1(x1)および第2の複合ビーム部分Q1(x2)に属する2つの基準ビームF0(x1)、F0(x2)間の第2の位相差値ΔRを決定することと、を含む。
【0236】
この方法は、最終的に、前記第1の位相差値ΔPabおよび第2の位相差値ΔRに基づいて、第1の変調ビームFm1および少なくとも1つの第2の変調ビームFm2のそれぞれで変調された情報a(t)、b(t)を逆多重化および復調するステップを提供する。
【0237】
この方法で実行される復調および変調は、有利には、ビームの波面全体の検出を必要とせずに、電磁ビームの限られた、すなわち「局所的な」部分のみの検出に基づくという意味で、「局所的な」変調および逆多重化であることに留意されたい。
【0238】
この方法の実施形態によれば、逆多重化および復調の前述のステップは、第1の位相差値ΔPabを第1の波数kで割ったものから、第2の位相差値ΔRを第2の波数k’で割った値を減算して、差値Q2=ΔPab/k-ΔR/k’を取得し、次に、そのような決定された差値値Q2=ΔPab/k-ΔR/k’に基づいて、第1の変調ビームFm1および少なくとも1つの第2の変調ビームFm2のそれぞれについて、変調情報を逆多重化および復調することを含む。
【0239】
第1の波数kは、k=2π/λとして定義されるメインビームに対応する波数であり、λは、メインビームの波長であり、第2の波数k’は、k’=2π/λ’として定義される基準ビームに対応する波数であり、λ’は、基準ビームの波長である。
【0240】
上記差値Q2=ΔPab/k-ΔR/k’は、第1変調関数a(t)および第2変調関数b(t)が取る値の組み合わせを表し、第1の検出器と第2の検出器との間の位置傾斜状態とは無関係であり、また、受信前に送信された複合ビームが受ける外乱による位相変動とは無関係である。
【0241】
この方法の実施オプションによれば、第1の電磁放射ビームF1および少なくとも1つの第2の電磁放射ビームF2は、第1の変調関数a(t)および少なくとも1つの第2の変調関数b(t)の振幅に従って、デジタル振幅変調される。
【0242】
差値Q2=ΔPab/k-ΔR/k’は、第1の変調関数a(t)および少なくとも1つの第2の変調関数b(t)によって取られるデジタル振幅値のそれぞれの組み合わせを表す、複数の期待値を取り得る。
【0243】
この方法の実施オプションによれば、第1の電磁放射ビームF1および少なくとも1つの第2の電磁放射ビームF2は、バイナリ方式でデジタル振幅変調され、第1の変調関数a(t)および少なくとも第2の変調関数b(t)は、論理値0または1を取り得る。
【0244】
この場合、この方法は、第1のビーム検出器1によって検出された第1の電気信号V1に対応する、第3のフィルタリングされた電磁ビームFの受信電力または強度を検出し、受信電力または強度を最小閾値と比較するさらなるステップを含む。
【0245】
決定された差(Q2=ΔPab/k-ΔR/k’)は、第1の軌道角運動量(L1)に依存する第1の期待値(ΔP10/k-ΔR/k’)、または第2の軌道角運動量(L2)に依存する第2の期待値(ΔP01/k-ΔR/k’)、または第1および第2の角運動量の組み合わせに依存する第3の期待値(ΔP11/k-ΔR/k’)を取り得る。
【0246】
この場合、変調された情報を逆多重化および復調するステップは、
-決定された差(ΔPab/k-ΔR/k’)が前述の第1の期待値(ΔP10/k-ΔR/k’)を取る場合に、第1の変調ビームFm1が1に対応する情報を伝送し、第2の変調ビームFm2が0に対応する情報を伝送することを認識することと、
-決定された差(ΔPab/k-ΔR/k’)が前述の第2の期待値(ΔP01/k-ΔR/k’)を取る場合に、第1の変調ビームFm1が0に対応する情報を伝送し、第2の変調ビームFm2が1に対応する情報を伝送することを認識することと、
-決定された差(ΔPab/k-ΔR/k’)が前述の第3の期待値(ΔP11/k-ΔR/k’)を取る場合に、第1の変調ビームFm1が1に対応する情報を伝送し、第2の変調ビームFm2が1に対応する情報を伝送することを認識することと、
-第3のフィルタリングされた電磁ビームFの受信電力または強度が前述の最小閾値よりも低い場合に、第1の変調ビームFm1が0に対応する情報を伝送し、第2の変調ビームFm2が0に対応する情報を伝送することを認識することと、を含む。
【0247】
この方法の他の実施形態によれば、第1の位相差値ΔPabは、それぞれの干渉パターンに関連付けられた第3のフィルタリングされた電磁ビームFの平均強度Im1に依存し、前述の第1の電気信号V1は、第1のビーム検出器1によって検出される第3のフィルタリングされた電磁ビームFのそのような平均強度を表す。第2の位相差値ΔRは、それぞれの干渉パターンに関連付けられた第4のフィルタリングされた電磁ビームEの平均強度Im2に依存し、前述の第2の電気信号V2は、第2のビーム検出器2によって検出される第4のフィルタリングされた電磁ビームEの平均強度Im2を表す。
【0248】
この場合、この方法は、第2の電気信号V2によって制御され、第1の複合ビーム部分Q1(x1)に作用するフィードバック制御ループによって、第4のフィルタリングされた電磁ビームEの平均強度Im2を所定の強度値で一定に保ち、第2の位相差値ΔRが所定の値に設定されて一定に保たれるようにするステップをさらに含む。
【0249】
実施オプションに従って、第1の電磁放射ビームF1および少なくとも1つの第2の電磁放射ビームF2は、第1の変調関数a(t)および少なくとも1つの第2の変調関数b(t)の振幅に従って、デジタル振幅変調される。
【0250】
この場合、第1の位相差値=ΔPabは、第1の変調関数a(t)および少なくとも1つの第2の変調関数b(t)によって取られるデジタル振幅値のそれぞれの組み合わせを表す、複数の期待値を取り得る。
【0251】
実施オプションによれば、第1の電磁放射ビームF1および少なくとも1つの第2の電磁放射ビームF2は、バイナリ方式でデジタル振幅変調され(例えば、オンオフキーイング-OOK-変調、またはそれ自体が知られている他の変調方式によって)、第1の変調関数a(t)および少なくとも1つの第2の変調関数b(t)の振幅は、論理値0または1を取り得る。
【0252】
この場合、この方法は、第1のビーム検出器1によって検出された第1の電気信号V1に対応する、第3のフィルタリングされた電磁ビームFの受信電力または強度を検出し、受信電力または強度を最小閾値と比較するさらなるステップを含む。
【0253】
決定された第1の位相差値ΔPabは、第1の軌道角運動量L1に依存する第1の期待値ΔP10、または第2の軌道角運動量L2に依存する第2の期待値ΔP01、または第1および第2の軌道角運動量の組み合わせに依存する第3の期待値ΔP11を取り得る。
【0254】
変調された情報を逆多重化および復調するステップは、
-決定された第1の位相差値ΔPabが前述の第1の期待値ΔP10を取る場合に、第1の変調ビームFm1が1に対応する情報を伝送し、第2の変調ビームFm2が0に対応する情報を伝送することを認識することと、
-決定された第1の位相差値ΔPabが前述の第2の期待値ΔP01を取る場合に、第1の変調ビームFm1は0に対応する情報を伝送し、第2の変調ビームFm2は1に対応する情報を伝送することを認識することと、
-決定された第1の位相差値ΔPabが前述の第3の期待値ΔP11を取る場合に、第1の変調ビームFm1が1に対応する情報を伝送し、第2の変調ビームFm2が1に対応する情報を伝送することを認識することと、
-第3のフィルタリングされた電磁ビームFの受信電力または強度が前記最小閾値よりも低い場合に、第1の変調ビームFm1が0に対応する情報を伝送し、第2の変調ビームFm2が0に対応する情報を伝送することを認識することと、を含む。
【0255】
この方法の一実施形態によれば、軌道角運動量多重化された変調ビームの数は、Nに等しく、2より大きい。
【0256】
各変調ビームは、それぞれの軌道角運動量Liによって特徴付けられ、それぞれの変調関数によって振幅変調され、N本の変調ビームおける変調関数の可能な値の組み合わせのそれぞれが、第1の位相差ΔPa1...aNのそれぞれの値、および/または、それぞれの差値(Q2=ΔPa1...aNb/k-ΔR/k’)に対応する。
【0257】
図8に示される方法の実施形態によれば、この方法は、干渉計において、第1の複合ビーム部分と第2の複合ビーム部分の重ね合わせの前に、第1の複合ビーム部分Q1(x1)のために第1の追加光路(
図8にAおよびGとして示される分岐に沿ったもの)を配置するステップと、第2の複合ビーム部分Q1(x2)のために第2の追加光路(
図8にB、B’、Gとして示される分岐に沿ったもので、B’は2回通過する)を配置するステップと、をさらに含む。
【0258】
前述の第1の追加光路および第2の追加光路は、それぞれの入口開口部と第1のビーム検出器1との間の全光路差によって、第2の複合ビーム部分Q1(x2)の位相と第1の複合ビーム部分Q1(x1)の位相との間に生じる位相差
【数55】
をキャンセルするように、および、それぞれの入口開口部と第2のビーム検出器2との間の全光路差によって、第2の複合ビーム部分Q1(x2)の位相と第1の複合ビーム部分Q1(x1)の位相との間に生じる位相差
【数56】
をキャンセルするように、事前定義され、サイズが決められている。
【0259】
この方法の他の実施形態によれば、第4のフィルタリングされた電磁ビームEの平均強度Im2を一定に保つステップは、第2の電気信号V2および設定信号SPを入力として受信する制御ユニット61によって、第1の複合ビーム部分Q1(x1)が当たる第1のミラー42を制御して、第1の複合ビーム部分(Q1(x1))が通過する光路Aの長さを制御された方法で変化させ、その結果、前記第1および第2の電磁ビーム部分、Q1(x1)およびQ2(x2)の位相シフトをそれぞれ変化させ、第2の位相差値ΔR、および第4のフィルタリングされた電磁ビームEの平均強度Im2を一定に保つように、第2の電気信号V2および設定信号SPに依存する制御された方法で、第2の検出器2によって検出された平均強度(Im2)を変更し、設定信号SPに依存するそれぞれの事前定義された値に設定すること、を含む。
【0260】
実施オプションによれば、光路Aの変動は、制御ユニット61によって制御されるアクチュエータ43によって、制御された方法で第1のミラー42を平行移動することによって得られる(これは、例えば、「PID制御」、比例-積分-微分を行うことによって構成され得る)。
【0261】
図9に示された方法のさらなる実施形態によれば、第4のフィルタリングされた電磁ビームEの平均強度Im2を一定に保つステップは、第2のビーム検出器2において、第1の複合ビーム部分に関連付けられた基準ビームの強度I
R1の変動を補償することと、第2のビーム検出器2において、第2の複合ビーム部分に関連付けられた基準ビームの強度I
R2の変動を補償することと、を含む。
【0262】
補償することの前述のステップは、
-干渉計の第1の分岐Aで第1の複合ビーム部分Q1(x1)に対応するビームの一部を偏向させることと、
-第3のビーム検出器63が、第1の複合ビーム部分Q1(x1)に対応するビームの偏向部分の強度を検出し、第1のビーム部分の強度を表す第1の補償電気信号GIR1を生成することと、
-干渉計の第2の分岐Bで第2の複合ビーム部分Q1(x2)に対応するビームの一部を偏向させることと、
-第4のビーム検出器64が、第2のビーム部分の強度を検出し、第2のビーム部分の強度を表す第2の補償電気信号GIR2を生成することと、
-第1の補償電気信号GIR1および第2の補償電気信号GIR2に基づいて、処理ユニット65が設定信号SPを修正することと、を含む。
【0263】
この方法の実施オプションによれば、前述のすべての電磁ビームは、光ビームおよび/またはレーザビームである。
【0264】
この方法の実施形態によれば、基準ビームの軌道角運動量は、常に知られている。
【0265】
特定の実施オプションによれば、基準ビームの軌道角運動量は、一定値L0=0を取る。
【0266】
この方法の実施形態によれば、第2の周波数帯域は、実質的に単色である。
【0267】
特定の実施オプションによれば、第2の周波数帯域は、第1の周波数帯域に隣接している。
【0268】
実施オプションによれば、複合ビームの第1または第2の電気信号の周波数弁別を実行するステップは、周波数フィルタリングを実行することを含む。
【0269】
図7~
図9を参照して、軌道角運動量変数に多重化することによってグループ化された振幅変調信号を逆多重化および復調するためのシステム100を以下に説明する。
【0270】
逆多重化および復調される信号のタイプは、基準ビームF0と、第1の変調ビームFm1と少なくとも1つの第2の変調ビームFm2との重ね合わせからなるメインビームとの重ね合わせからなる複合電磁放射ビームQ1を含み、本発明による方法を参照して既に以前に説明されたものに従っている。
【0271】
システム100は、2つの開口部Z1、Z2を備えたスクリーンを備えており、第1の開口部Z1の下流では第1の複合ビーム部分Q1(x1)が得られ、第2の開口部Z2の下流では第2の複合ビーム部分Q1(x2)が得られるように、複合電磁放射ビームQ1を前述の2つの開口部Z1、Z2を通過させるように構成される。
【0272】
システム100は、2つの開口部Z1、Z2に対して下流に配置された干渉計40をさらに備えており、第1の複合ビーム部分Q1(x1)によって横断されるように構成された第1の干渉計分岐Aと、第2の複合ビーム部分Q1(x2)によって横断されるように構成された第2の干渉計分岐Bと、干渉計の第3の分岐Dに沿って第1の複合ビーム部分Q1(x1)と第2の複合ビーム部分Q1(x2)を重ね合わせてそれぞれの第3の電磁ビームDを得、干渉計の第4の分岐Cに沿ってそれぞれの第4の電磁ビームCを得るように構成されたビームスプリッタ41と、を備える。
【0273】
干渉計40は、第1の周波数弁別手段45および第2の周波数弁別手段44をさらに備える。
【0274】
第1の周波数弁別手段45は、第1の複合ビーム部分Q1(x1)および第2の複合ビーム部分Q1(x2)の基準ビームに由来する成分がキャンセルされ、それぞれの第1の変調ビームFm1(x1)、Fm1(x2)および少なくとも1つの第2の変調ビームFm2(x1)、Fm2(x2)に由来する成分が残る第3のフィルタリングされた電磁ビームFを得るために、第1の周波数帯域の周りで第3の電磁ビームDを周波数で弁別するように構成される。
【0275】
第2の周波数弁別手段44は、第1の複合ビーム部分Q1(x1)および第2の複合ビーム部分Q1(x2)にそれぞれ属する2つの基準ビームF0(x1)、F0(x2)の重ね合わせからなる第4のフィルタリングされた電磁ビームEを得るために、基準ビームの第2の周波数帯域の周りで第4の電磁ビームCを周波数で弁別するように構成される。
【0276】
システム100は、前述の第3のフィルタリングされた電磁ビームFを検出して、第3のフィルタリングされた電磁ビームFの電磁放射の強度を表す第1の電気信号V1を生成するように構成された第1のビーム検出器1をさらに備える。
【0277】
システム100は、前述の第4のフィルタリングされた電磁ビームEを検出して、第4のフィルタリングされた電磁ビームEの電磁放射の強度を表す第2の電気信号V2を生成するように構成された第2のビーム検出器2をさらに備える。
【0278】
システム100は、最終的に、処理手段65を備え、処理手段65は、
-第1の電気信号V1に基づいて、第1のビーム検出器1において、1の複合ビームフィルタリング部分Fm1(x1)、Fm2(x1)に由来する第3のフィルタリングされた電磁ビームの成分と、第2の複合ビームフィルタリング部分Fm1(x2)、Fm2(x2)に由来する第3の電磁ビームの成分との間の第1の位相差値ΔPabを決定することであって、このような第1の位相差値ΔPabは、第1の変調関数a(t)および第2の変調関数b(t)によって取られる値に依存する、ことと、
-前述の第2の電気信号V2に基づいて、第2のビーム検出器2において、第1の複合ビーム部分Q1(x1)および第2の複合ビーム部分Q1(x2)に属する2つの基準ビームF0(x1)、F0(x2)間の第2の位相差値ΔRを決定することと、
-前述の第1の位相差値ΔPabおよび第2の位相差値ΔRに基づいて、第1の変調ビームFm1および少なくとも1つの第2の変調ビームFm2のそれぞれで変調された情報a(t)、b(t)を逆多重化および復調するように構成される。
【0279】
システムの実施オプションによれば、第1の周波数弁別手段45は、通過帯域が前記第1の帯域周波数に対応する光帯域通過フィルタを備える。
【0280】
システムの実施オプションによれば、第2の周波数弁別手段44は、通過帯域が基準ビームの前記第2の帯域周波数に対応する狭帯域光帯域通過フィルタ(レーザライン)を備える。
【0281】
システムの実施オプションによれば、第1および第2のビーム検出器1、2は、それぞれ、第1のフォトダイオードおよび第2のフォトダイオードを備える。
【0282】
システムの実施オプションによれば、処理手段65は、1つまたは複数の電子プロセッサ65を備える。
【0283】
一実施形態によれば、システム100は、入力として第2の電気信号V2および設定信号SPを受信するように適合された制御ユニット61をさらに備え、制御ユニット61によって制御されるアクチュエータ43と、アクチュエータ43によって制御され、第1の複合ビーム部分Q1(x1)がそれに当たるように配置された第1のミラー42とをさらに備える。
【0284】
制御ユニット61は、第1の複合ビーム部分Q1(x1)が横断する光路Aの長さを制御された方法で変化させるように構成されており、その結果、前述の第1のQ1(x1)および第2のQ2(x2)電磁ビーム部分の位相シフトを変化させ、第2の検出器2によって検出される平均強度Im2を、第2の電気信号V2および設定信号SPに依存する制御された方法で変更し、第2の位相差値ΔRおよび第4のフィルタリングされた電磁ビームEの平均強度Im2を、設定信号SPに依存するそれぞれの事前定義された値に設定して一定に保つように構成される。
【0285】
一実施形態によれば、システム100は、光路46、47、48、49のバランスをとるための手段をさらに備えており、干渉計において、第1および第2の複合ビーム部分の重ね合わせの前に、第1の複合ビーム部分Q1(x1)のために第1の追加の光路(A,G)を配置し、第2の複合ビーム部分Q1(x2)のために第2の追加の光路(B,B’,B’,G)を配置するように構成される。
【0286】
このような配置のステップは、それぞれの入口開口部と第1のビーム検出器1との間の全光路差によって、第2の複合ビーム部分Q1(x2)の位相と第1の複合ビーム部分Q1(x1)の位相との間に生じる位相差
【数57】
をキャンセルするように、また、それぞれの入口開口部と第2のビーム検出器2との間の全光路差によって、第2の複合ビーム部分Q1(x2)の位相と第1の複合ビーム部分Q1(x1)の位相との間に生じる位相差
【数58】
をキャンセルするように、第1の追加の光路(A、G)および第2の追加の光路(B,B’,B’,G)を配置することを含む。
【0287】
実施オプションによれば、光路のバランスをとるための前述の手段は、前述の第2の追加の光路(B,B’,B’,G)を形成するように、干渉計の第2の分岐Bに沿って第2の複合ビーム部分Q1(x2)の経路に沿って配置された第2のミラー48、補償板47、半反射板46、および第3のミラー49を備える。
【0288】
前述の半反射板46は、第1の複合ビーム部分Q1(x2)の経路に沿ってさらに配置され、第1の複合ビーム部分Q1(x1)および第2の複合ビーム部分Q1(x2)をビームスプリッタ41に送信するように構成される。
【0289】
一実施形態によれば、システム100は、第2のビーム検出器2における、第1の複合ビーム部分に関連付けられた基準ビームの強度(IR1)の変動と、第2のビーム検出器2における、第2の複合ビーム部分に関連付けられた基準ビームの強度(IR2)の変動とを補償するように構成されたビーム強度補償手段とをさらに備える。
【0290】
ビーム強度補償手段は、第1の半反射板66、第1の狭帯域光帯域通過フィルタ68、第3のビーム検出器63、第2の半反射板67、第2の光帯域通過フィルタ69、第4のビーム検出器64、処理ユニット65を備える。
【0291】
第1の半反射板66は、干渉計の第1の分岐Aで第1の複合ビーム部分Q1(x1)に対応するビームの一部を偏向させるように構成される。
【0292】
第1の狭帯域光帯域通過フィルタ68は、基準ビームの第2の周波数帯域の周りで、第1の複合ビーム部分Q1(x1)に対応するビームの偏向部分をフィルタリングするように構成される。
【0293】
第3のビーム検出器63は、第1の複合ビーム部分Q1(x1)に対応するビームの偏向部分の強度を検出し、第1のビーム部分の強度を表す第1の補償電気信号GIR1を生成するように構成される。
【0294】
第2の半反射板67は、干渉計の第2の分岐Bで第2の複合ビーム部分Q1(x2)に対応するビームの一部を偏向させるように構成される。
【0295】
第2の光帯域通過フィルタ69は、基準ビームの第2の周波数帯域の周りで、第2の複合ビーム部分Q1(x2)に対応するビームの偏向部分をフィルタリングするように構成される。
【0296】
第4のビーム検出器64は、第2の複合ビーム部分Q1(x2)に対応するビームの偏向部分の強度を検出し、第2のビーム部分の強度を表す第2の補償電気信号GIR2を生成するように構成される。
【0297】
処理ユニット65は、第1の補償電気信号GIR1および第2の補償電気信号GIR2に基づいて、設定信号SPを変更するように構成される。
【0298】
システムの実施オプションによれば、異なるビーム検出器によって生成された前述の電気信号は、それぞれの電子増幅器(
図7~
図9に参照番号71、72、73、74で示されている)によって、それ自体が自明で既知の方法で適切に増幅される。
【0299】
可能な実施形態によれば、前述のシステム100は、上記の方法の実施形態のいずれかによる方法を実行するように構成される。
【0300】
非限定的な例として、本発明に係る方法およびシステムの実施形態の詳細な説明が以下に提供される。ここで、干渉技術およびそのいくつかの変形は、複合ビームを使用して、OOK(オンオフキーイング)振幅変調および軌道角運動量多重化された信号の通信を可能にする。
【0301】
この例では、光ビームが考慮されており、ビーム検出器は、フォトダイオードである。
【0302】
図7に示されるように、上記のように生成され、変調され、多重化された複合ビームQ1(例えば、
図3を参照)は、2つの開口部Z1およびZ2を通って干渉計の2つの分岐AおよびBに入る。
【0303】
分岐Aのビームは、ビームスプリッタ41によって、分岐CおよびDに沿って2つのビームに分割される。
【0304】
分岐Bのビームもまた、ビームスプリッタ41によって、分岐CおよびDに沿って2つのビームに分割される。
【0305】
分岐Cに沿って伝搬するビームは、基準ビームのみを送信できるレーザライン帯域通過フィルタ44によってフィルタリングされる(周波数弁別)。
【0306】
レーザラインフィルタ44の中心帯域波長は、送信において基準ビームとして使用されるレーザの波長と等しくなければならない。
【0307】
セクションEにおいて、フォトダイオード2を含む平面上で、光軸に沿って、分岐AおよびBから発生する基準ビームのみの場は、それぞれ、次のように表し得る。
【0308】
【0309】
ここで、
【数61】
は、
【数62】
からフォトダイオード2への放射の伝搬による位相項である。
【数63】
は、
【数64】
からフォトダイオード2への放射の伝搬による位相項である。
【0310】
位相項
【数65】
【数66】
は、干渉計の2つのアームの光路によるものであることに留意されたい。
図7のような不平衡構成では、ΔL<c/Δυである限り制限はない。ここで、ΔLは、干渉計アームの光路の差、Δυは、情報の帯域幅、cは、真空中の光速である。
【0311】
この観点から生じる制限の場合、例えば、高い情報帯域幅(GHzまたは数十GHz)の場合、または2つの開口部Z1とZ2の間の距離が広い場合、
図8を参照して後述する平衡干渉計を用いた実施形態を使用し得る。
【0312】
とにかく、不平衡干渉計は、構造が非常に単純であるため、依然として大きな関心を集めており、ΔL<c/Δυの関係が十分に検証されれば、実用的に使用され得る。
【0313】
場
【数67】
【数68】
は、次のように定義される。
【0314】
【0315】
ここで、様々な量は、すでに上で説明した意味を有している。
【0316】
場
【数70】
【数71】
は、互いに干渉し、干渉パターンを生成し、その平均強度Im2(本明細書では記号<I>でも定義される)は、フォトダイオード2を含む平面上の干渉パターンの中心(光軸に沿って)で測定すると、次の関係[1]に従って、場自体の位相差ΔRの余弦に関連している。
【0317】
【0318】
ここで、IR1とIR2はそれぞれ場
【数73】
【数74】
の強度である。
【0319】
干渉パターンの強度<I>は、フォトダイオード2によって電気信号に変換される。電気信号は、制御ユニット61の入力で適切に増幅され、調整され、適用される。
【0320】
実施オプションによれば、そのような制御ユニット61は、それ自体よく知られているPIDタイプ(比例-積分-微分)の制御を実行する。PID制御は、フォトダイオード2で測定され増幅された強度<I>が設定信号SPの値と実質的に等しくなるように、第1のミラー42のアクチュエータ43に作用する。
【0321】
様々な可能な実施形態によれば、第1のミラー43の前述のアクチュエータは、圧電性、磁気性、または容量性、またはそれ自体が知られている他のタイプのものである。
【0322】
干渉計を照らす波面の位置傾斜が変化しても、強度<I>は、PID制御によってさらにほぼ一定に保たれる。傾斜は、波面と干渉計との間の相対的な変位、または伝搬する波面の振動または摂動によって引き起こされ得る。
【0323】
強度IR1およびIR2が測定中にも実質的に一定であるので、関係[1]に示されるように、量ΔRは、また、実質的に一定である。
【0324】
強度I
R1およびI
R2が一定でない場合、
図9を参照して後述される補償された設定信号を有する実施形態が使用される。
【0325】
干渉計の「ロック」が(周波数弁別によって)複合ビームの基準ビームによって実行され、複合ビームのメインビームが干渉計の他の分岐に沿って周波数で弁別されるため、干渉計(「ロック干渉計」とも呼ばれる)のこのフィードバック解決策は、ここでは新しく独特な方法で拒否されていることに留意されたい。
【0326】
分岐Dに沿ったビームは、メインビームのみを送信できる帯域通過フィルタ45によってフィルタリングされる。
【0327】
帯域通過フィルタ45の中心帯域波長は、送信時にメインビームを生成するために使用されるレーザの波長と等しくなければならず、一方、フィルタ帯域は、転送される情報帯域以上でなければならない。
【0328】
セクションFでは、フォトダイオード1を含む平面上で、光軸に沿って、分岐AとBから発生するメインビームの場は、それぞれ次のように表し得る。
【0329】
【0330】
ここで、
【数77】
は、
【数78】
からフォトダイオード1への放射の伝搬による位相項である。
【数79】
は、
【数80】
からフォトダイオード1への放射の伝搬による位相項である。
【0331】
場
【数81】
【数82】
は、次の式で表される。
【数83】
【0332】
場
【数84】
【数85】
は、互いに干渉し、干渉パターンを生成し、その平均強度Im1(本明細書では記号<I>でも定義される)は、フォトダイオード1を含む平面上の干渉パターンの中心(光軸に沿って)で測定すると、次の関係[2]に従って、場自体の位相差ΔPの余弦に関連している。
【0333】
【0334】
ここで、I
P1とI
P2は、それぞれ場
【数87】
【数88】
の強度である。
【0335】
フォトダイオード2の干渉計のセクションEの場の位相差ΔRは、次の式で表される。
【数89】
【0336】
デジタル変調関数a(t)b(t)の様々な組み合わせに対する、フォトダイオード1の干渉計のセクションFの場の位相差ΔPは、次の通りである。
【0337】
a(t)=0、b(t)=0の場合:
メインビームの振幅は、キャンセルされるため、位相差は、決定できない。
【0338】
a(t)=1、b(t)=0の場合:
角運動量L1の第1のメインビームのみがある。
【数90】
【0339】
a(t)=0、b(t)=1の場合:
角運動量L2の第2のメインビームのみがある。
【数91】
【0340】
a(t)=1、b(t)=1の場合:
両方のメインビームがあり、次が得られる。
【数92】
【0341】
変調信号のすべての可能な組み合わせについて位相差ΔP/k-ΔR/k’を計算することにより、以下が得られる。
【0342】
a(t)=0、b(t)=0の場合:
メインビームの振幅は、キャンセルされるため、位相差は、決定できない。
【0343】
a(t)=1、b(t)=0の場合:
次の式[3]が成り立つ。
【数93】
【0344】
a(t)=0、b(t)=1の場合:
次の式[4]が成り立つ。
【数94】
【0345】
a(t)=1、b(t)=1の場合:
次の式[5]が成り立つ。
【数95】
【0346】
すでに上に示したように、有利には、関係は、伝搬する波面の位置傾斜および歪みによる位相差とは無関係であり、これは、基準ビームの存在によって排除され得る。
【0347】
ここで、式[3]、[4]および[5]から、変調関数a(t)、b(t)の様々な組み合わせに対する位相差ΔPの値が得られる。
【0348】
a(t)=0、b(t)=0の場合:
メインビームの振幅は、キャンセルされるため、位相差は、決定できない。
【0349】
a(t)=1、b(t)=0の場合:
次の式が成り立つ。
【数96】
【0350】
a(t)=0、b(t)=1の場合:
次の式が成り立つ。
【数97】
【0351】
a(t)=1、b(t)=1の場合:
次の式が成り立つ。
【数98】
ここで、「cost」は、次の式で表される定数である。
【数99】
【0352】
量ΔRは、様々な組み合わせにおいて、PID制御の設定信号SPの値を変更することによって選択され得る一定の量である。
【0353】
このような量ΔRも、位置チルト、位置傾斜による位相差、および伝搬する波面の歪みがPID制御の負のフィードバックによって変化しても、一定のままである。
【0354】
さらに、量(k/k’)
【数100】
および
【数101】
も、干渉計の分岐に沿った光路に依存し、したがって、純粋に幾何学的および構造的パラメータに依存するため、一定である。
【0355】
結果として、量ΔP10、ΔP01、ΔP11は、基準ビームおよび2つのメインビームのトポロジカル電荷l0、l1、l2(すなわち、それぞれの軌道角運動量L0、L1、L2)を適切に選択するだけで、3つの異なる値に設定し得る。
【0356】
値ΔP10、ΔP01、ΔP11はまた、式[2]で示されるように、できるだけ多くの異なる既知の事前定義された非ゼロ値<I>10、<I>01、<I>11を有するフォトダイオード1で検出される平均強度を生成するように選択されなければならない。
【0357】
その結果、受信時に測定されたそれぞれの平均強度は認識可能であり、2つのメインビームのそれぞれに適用された変調値0または1を示す。したがって、そこに符号化された情報は、復号、すなわち、復調および認識され得る。
【0358】
実際、予備較正操作に続いてフォトダイオード1の強度を測定することにより、送信された情報を復調することが可能である。
【0359】
較正は、各組み合わせa(t)、b(t)に、フォトダイオード1で検出された対応する平均強度値を関連付けるために必要であり、すべての組み合わせの既知のシーケンスを送信し、フォトダイオード1で測定された対応する平均強度を処理ユニットによって記録することで構成される。
【0360】
復調は、前の較正で定義されているように、それぞれの組み合わせをフォトダイオード1で測定された各強度に関連付けることで構成される。そのような関連付けは、較正ステップ中に使用されるのと同じ処理ユニットによって行われ得る。
【0361】
明らかに、システムは、量IP1、IP2、およびΔPが、様々な使用条件で、変調関数a(t)b(t)の組み合わせとフォトダイオード1で測定される平均強度との間に1対1の依存関係を生成するように設計されている。
【0362】
定常アプリケーションの場合、ドリフトを補償するために、較正を1回だけまたは定期的に実行し得る。非定常アプリケーションの場合、特定の通信プロトコルを使用して定期的に較正を実行する必要がある。
【0363】
ステータスa(t)=0、b(t)=0は、まだ認識されておらず、その位相は、未決定である(上記のとおり)。この組み合わせは、フォトダイオード1の強度がキャンセルされたときに決定論的に識別され、<I>00=0となる。
【0364】
この例の説明では、2つの変調機能を有する2つのメインビームが使用されていることに留意されたい。
【0365】
しかしながら、他の可能な実施では、メインビームおよびそれぞれの変調機能はより多くなり得る。
【0366】
実際、メインビームの軌道角運動量を適切に選択することにより、変調関数の様々な組み合わせにおける位相差ΔPが異なることを保証できる。
【0367】
干渉計の場合、式[2]の各ΔPを置き換えて計算された相対平均強度<I>が互いに異なり、したがって、認識可能であることを確認する必要もある。
【0368】
図8に示される他の実施形態によれば、平衡干渉計が使用される。
【0369】
平衡干渉計の機能は、ビームスプリッタの後に発生することに関して、不平衡干渉計の機能に対応する(
図7)。
【0370】
この構成では、分岐Aのビームは、分岐CおよびDに沿って2つのビームに分割される前に(不平衡干渉計を用いた構成のように)、半反射板46によって反射され、セクションGに沿って移動し、一方、ビームBは、分岐CおよびDに沿って2つのビームに分割される前に(不平衡干渉計を用いた構成のように)、第2のミラー48に当たり、補償板47を横切り、半反射板46によって第3のミラー49に向かって反射され、ミラー49によって半反射板46に向かって反射され、セクションGに沿って移動する。
【0371】
この構成の利点は、ミラー42、48、49を適切に配置することにより、
【数102】
からGへの光路が
【数103】
からGへの光路とセクションB’の2倍の光路との間の合計に等しいことを保証することが可能である。
【0372】
これは、位相差
【数104】
および
【数105】
が有利に、互いにキャンセルされることを意味しており、したがって、すでに以前に報告された関係、ΔL<c/Δυを満たす必要はなくなっている。
【0373】
補償板47は、半反射板46内の光路を補償するために使用される(例えば、他のタイプの干渉計、例えば、マイケルソン干渉計で行われるように)。
【0374】
図9に示される他の実施形態によれば、設定信号SPの補償が使用される。
【0375】
関係[1]によれば、一定の平均強度<I>は、一定の位相ΔRに対応するが、これは、2つの量IR1とIR2が実質的に一定である場合にのみ発生する。
【0376】
しかしながら、非定常アプリケーションでは、このような量が大幅に変化する可能性があり、基準ビームの位相差ΔRを一定に保つために補償される必要がある。
【0377】
これを行うために、PID制御の設定信号SPに作用することが可能である。
【0378】
図9に示されるように、2つの半反射板66、67、送信に用いる基準ビームの波長と一致する波長を有する2つのレーザラインフィルタ68、69、2つのフォトダイオード63、64および2つの増幅器73、74を使用して、開口部Z1およびZ2に当たるビームの一部を取るだけで十分である。
【0379】
補償のためにPIDコントローラに印加される設定信号SPの電圧値は、次の関係に従って決定される。
【数106】
【0380】
GIR1およびGIR2は、それぞれ、強度IR1およびIR2に比例する増幅器の出力における信号の電圧値である。ここで、Gは、比例定数である。
【0381】
G<I>は、第1の電気信号V1および強度<I>に比例する(または対応する)増幅器71(
図7を参照)の出力で測定される電圧値であり、Gは、比例定数であり、ΔRは、一定に保たれるべき位相差の値である。計算は、処理ユニット65(復調された関数a(t)およびb(t)を取得するように構成された処理ユニットに対応し得るか、または追加のプロセッサを使用して実行され得る)によって実行され得る。
【0382】
気づいたかもしれないが、本発明の目的は、その機能的および構造的特徴のおかげで、上に示したシステムおよび方法によって完全に達成される。
【0383】
実際、上に示した電磁ビームを送受信するためのシステムおよび方法は、受信機の位置傾斜に依存せず、伝搬中のビームが受ける歪みに依存しない方法で、受信ビームの軌道角運動量を正確かつ確実に検出できる。
【0384】
これは、調査対象のビームに加えて、追加の基準ビームも含む複合ビームの2つの異なる点での二重空間検出によって実現される。
【0385】
次に、受信ビームの軌道角運動量を正確かつ確実に検出する可能性は、例えば、ビームの特性評価および電気通信目的のための角運動量変数の利用を含む、複数の異なる用途に有利に適用可能である。
【0386】
電気通信用途に関して、本発明の方法およびシステムは、追加の自由度として軌道角運動量変数を利用することを可能にし、信号の変調および信号の多重化の両方に有利に使用可能である。
【0387】
特に、軌道角運動量は、追加レベルの多重化を提供し(結果として、明らかな利点を伴う)、他の多重化変数(例えば、時間または周波数)の観点から同一であり、異なる軌道角運動量に基づいて識別可能な信号をグループ化することができる。
【0388】
さらに、本発明は、軌道角運動量変数における多重化によってグループ化された振幅変調信号を局所的に逆多重化および復調するための効果的な方法を提供する。
【0389】
そのような逆多重化および復調は、局所的な検出に基づいて、ビームの波面のごく一部でさえ検出することによって実行され得るので、有利には、局所的である。
【0390】
このような逆多重化および復調の方法、ならびに関連システムのおかげで、軌道角運動量多重化に基づく前述の電気通信方法およびシステムを実現し、単一の伝送チャネル上で複数の情報を同時に転送することを管理することが可能である(軌道角運動量多重化を用いて)。
【0391】
当業者は、偶発的なニーズを満たすために、以下の請求項の範囲から逸脱することなく、上記のシステムおよび方法の実施形態を修正および適合させ、機能的に均等である他の要素に置き換えることができる。可能な実施形態に属すると記載された特徴のそれぞれは、記載された他の実施形態に関係なく達成され得る。