(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-18
(45)【発行日】2025-02-27
(54)【発明の名称】データ転送システム
(51)【国際特許分類】
G08B 21/02 20060101AFI20250219BHJP
G06T 7/20 20170101ALI20250219BHJP
G06T 7/00 20170101ALI20250219BHJP
【FI】
G08B21/02
G06T7/20 300Z
G06T7/00 300F
(21)【出願番号】P 2023215361
(22)【出願日】2023-12-21
【審査請求日】2024-04-26
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】518126409
【氏名又は名称】株式会社アジラ
(74)【代理人】
【識別番号】100176256
【氏名又は名称】相田 隆敬
(72)【発明者】
【氏名】木村 大介
【審査官】田邉 学
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2023/032477(WO,A1)
【文献】特開2022-153716(JP,A)
【文献】特開2023-070277(JP,A)
【文献】国際公開第2022/269697(WO,A1)
【文献】特開2005-128967(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0198167(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0176218(US,A1)
【文献】特開2020-096331(JP,A)
【文献】国際公開第2020/121947(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08B 21/00
G06T 7/00
G08B 25/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮影手段により撮影されたオリジナル映像を取得する取得部と、
前記オリジナル映像を記憶する映像記憶部と、
要確認の程度の高い第1の注目行動と、要確認の程度の低い第2の注目行動と、を記憶した注目行動記憶部と、
前記オリジナル映像に映った対象行動体の特徴点を検出する検出部と、
前記検出された特徴点に基づき、前記第1の注目行動又は前記第2の注目行動が行われたか否かを判定する判定部と、
前記第1の注目行動が行われたと判定された場合には、前記オリジナル映像のうち前記第1の注目行動に相当する部分をショートクリップ映像として、クラウドを介してユーザ端末に送信し、前記第2の注目行動が行われたと判定された場合には、前記ショートクリップ映像を送信することなく、前記クラウドを介して前記ユーザ端末にプッシュ通知を送信する送信部と、
を備え、
前記映像記憶部は、エッジに設けられており、
前記ユーザ端末は、前記映像記憶部に記憶されたオリジナル映像を、P2P通信方式を用いて確認可能であることを特徴とするデータ転送システム。
【請求項2】
前記第2の注目行動が行われたと判定された場合に、前記オリジナル映像のうち前記第2の注目行動に相当する部分を、前記ユーザ端末がP2P通信方式を用いて確認することを許可する許可部を更に備えたことを特徴とする請求項1に記載のデータ転送システム。
【請求項3】
撮影手段により撮影されたオリジナル映像を取得する取得部と、
前記オリジナル映像を記憶する映像記憶部と、
要確認の程度の高い第1の注目行動と、要確認の程度の低い第2の注目行動と、を記憶した注目行動記憶部と、
前記オリジナル映像に映った対象行動体の特徴点を検出する検出部と、
前記検出された特徴点の変位を疑似行動体に行わせた疑似行動映像を生成可能な疑似映像生成部と、
前記検出された特徴点に基づき、前記第1の注目行動又は前記第2の注目行動が行われたかを判定する判定部と、
前記第1の注目行動が行われたと判定された場合には、前記第1の注目行動に相当する部分の前記疑似行動映像をショートクリップ映像として、クラウドを介してユーザ端末に送信し、前記第2の注目行動が行われたと判定された場合には、前記ショートクリップ映像を送信することなく、前記クラウドを介して前記ユーザ端末にプッシュ通知を送信する送信部と、
を備え、
前記映像記憶部は、エッジに設けられており、
前記ユーザ端末は、前記映像記憶部に記憶されたオリジナル映像を、P2P通信方式を用いて確認可能であることを特徴とするデータ転送システム。
【請求項4】
要確認の程度の高い第1の注目行動と、要確認の程度の低い第2の注目行動と、が記憶されたコンピュータで実行されるプログラムであって、
撮影手段により撮影されたオリジナル映像を取得するステップと、
前記オリジナル映像を記憶するステップと、
前記オリジナル映像に映った対象行動体の特徴点を検出するステップと、
前記検出された特徴点に基づき、前記第1の注目行動又は前記第2の注目行動が行われたか否かを判定するステップと、
前記第1の注目行動が行われたと判定された場合には、前記オリジナル映像のうち前記第1の注目行動に相当する部分をショートクリップ映像として、クラウドを介してユーザ端末に送信し、前記第2の注目行動が行われたと判定された場合には、前記ショートクリップ映像を送信することなく、前記クラウドを介して前記ユーザ端末にプッシュ通知を送信するステップと、
を備え、
前記オリジナル映像は、エッジに設けられた映像記憶部に記憶され、
前記ユーザ端末は、前記映像記憶部に記憶されたオリジナル映像を、P2P通信方式を用いて確認可能であることを特徴とするデータ転送プログラム。
【請求項5】
要確認の程度の高い第1の注目行動と、要確認の程度の低い第2の注目行動と、が記憶されたコンピュータで実行される方法であって、
撮影手段により撮影されたオリジナル映像を取得するステップと、
前記オリジナル映像を記憶するステップと、
前記オリジナル映像に映った対象行動体の特徴点を検出するステップと、
前記検出された特徴点に基づき、前記第1の注目行動又は前記第2の注目行動が行われたか否かを判定するステップと、
前記第1の注目行動が行われたと判定された場合には、前記オリジナル映像のうち前記第1の注目行動に相当する部分をショートクリップ映像として、クラウドを介してユーザ端末に送信し、前記第2の注目行動が行われたと判定された場合には、前記ショートクリップ映像を送信することなく、前記クラウドを介して前記ユーザ端末にプッシュ通知を送信するステップと、
を備え、
前記オリジナル映像は、エッジに設けられた映像記憶部に記憶され、
前記ユーザ端末は、前記映像記憶部に記憶されたオリジナル映像を、P2P通信方式を用いて確認可能であることを特徴とするデータ転送方法。
【請求項6】
要確認の程度の高い第1の注目行動と、要確認の程度の低い第2の注目行動と、が記憶されたコンピュータで実行されるプログラムであって、
撮影手段により撮影されたオリジナル映像を取得するステップと、
前記オリジナル映像を記憶するステップと、
前記オリジナル映像に映った対象行動体の特徴点を検出するステップと、
前記検出された特徴点の変位を疑似行動体に行わせた疑似行動映像を生成するステップと、
前記検出された特徴点に基づき、前記第1の注目行動又は前記第2の注目行動が行われたか否かを判定するステップと、
前記第1の注目行動が行われたと判定された場合には、前記第1の注目行動に相当する部分の前記疑似行動映像をショートクリップ映像として、クラウドを介してユーザ端末に送信し、前記第2の注目行動が行われたと判定された場合には、前記ショートクリップ映像を送信することなく、前記クラウドを介して前記ユーザ端末にプッシュ通知を送信するステップと、
を備え、
前記オリジナル映像は、エッジに設けられた映像記憶部に記憶され、
前記ユーザ端末は、前記映像記憶部に記憶されたオリジナル映像を、P2P通信方式を用いて確認可能であることを特徴とするデータ転送プログラム。
【請求項7】
要確認の程度の高い第1の注目行動と、要確認の程度の低い第2の注目行動と、が記憶されたコンピュータで実行される方法であって、
撮影手段により撮影されたオリジナル映像を取得するステップと、
前記オリジナル映像を記憶するステップと、
前記オリジナル映像に映った対象行動体の特徴点を検出するステップと、
前記検出された特徴点の変位を疑似行動体に行わせた疑似行動映像を生成するステップと、
前記検出された特徴点に基づき、前記第1の注目行動又は前記第2の注目行動が行われたか否かを判定するステップと、
前記第1の注目行動が行われたと判定された場合には、前記第1の注目行動に相当する部分の前記疑似行動映像をショートクリップ映像として、クラウドを介してユーザ端末に送信し、前記第2の注目行動が行われたと判定された場合には、前記ショートクリップ映像を送信することなく、前記クラウドを介して前記ユーザ端末にプッシュ通知を送信するステップと、
を備え、
前記オリジナル映像は、エッジに設けられた映像記憶部に記憶され、
前記ユーザ端末は、前記映像記憶部に記憶されたオリジナル映像を、P2P通信方式を用いて確認可能であることを特徴とするデータ転送方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、データ転送コスト等を低減させながら、監視映像において検出された注目行動の適切な確認を行うことが可能なデータ転送システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、時系列画像に映った行動体の行動が、予め決定された“通常の行動”と異なる場合、“通常の行動”と異なる行動を行った行動体を時系列画像の中から抽出する技術が知られている。(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記技術を用いることで、監視カメラ等で撮影された映像において異常行動が生じた場合のみ、当該異常行動に関する映像を管理者等のユーザに送信し、確認を促す構成が考えられる。
【0005】
ところで、昨今では、その利便性からクラウド上でデータ管理を行うことが多く、クラウドを用いて上記構成を行う場合、異常行動が検出された全ての映像撮影をクラウドに転送し、ユーザにクラウド上で映像を閲覧可能とさせる構成が考えられる。しかしながら、クラウド上で映像の転送を行うには、その転送量に応じたコストがかかってしまうため、異常行動が検出された全ての映像を転送するとなると多くのコストがかかってしまう。
【0006】
そこで、本発明は、データ転送コスト等を低減させながら、監視映像において検出された注目行動の適切な確認を行うことが可能なデータ転送システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、撮影手段により撮影されたオリジナル映像を取得する取得部と、前記オリジナル映像を記憶する映像記憶部と、要確認の程度の高い第1の注目行動と、要確認の程度の低い第2の注目行動と、を記憶した注目行動記憶部と、前記オリジナル映像に映った対象行動体の特徴点を検出する検出部と、前記検出された特徴点に基づき、前記第1の注目行動又は前記第2の注目行動が行われたか否かを判定する判定部と、前記第1の注目行動が行われたと判定された場合には、前記オリジナル映像のうち前記第1の注目行動に相当する部分をショートクリップ映像として、クラウドを介してユーザ端末に送信し、前記第2の注目行動が行われたと判定された場合には、前記ショートクリップ映像を送信することなく、前記クラウドを介して前記ユーザ端末にプッシュ通知を送信する送信部と、を備えたことを特徴とするデータ転送システムを提供している。
【0008】
このような構成によれば、第1の注目行動が行われたと判定された場合には、オリジナル映像のうち当該第1の注目行動に相当する部分をショートクリップ映像として、クラウドを介してユーザ端末に送信し、第2の注目行動が行われたと判定された場合には、ショートクリップ映像を送信することなく、クラウドを介してユーザ端末にプッシュ通知を送信すると共に、ユーザ端末は、映像記憶部に記憶されたオリジナル映像にP2P通信方式を用いてアクセス可能である。
【0009】
また、本発明の別の観点では、撮影手段により撮影されたオリジナル映像を取得する取得部と、前記オリジナル映像を記憶する映像記憶部と、要確認の程度の高い第1の注目行動と、要確認の程度の低い第2の注目行動と、を記憶した注目行動記憶部と、前記オリジナル映像に映った対象行動体の特徴点を検出する検出部と、前記検出された特徴点の変位を疑似行動体に行わせた疑似行動映像を生成可能な疑似映像生成部と、前記検出された特徴点に基づき、前記第1の注目行動又は前記第2の注目行動が行われたかを判定する判定部と、前記第1の注目行動が行われたと判定された場合には、前記第1の注目行動に相当する部分の前記疑似行動映像をショートクリップ映像として、クラウドを介してユーザ端末に送信し、前記第2の注目行動が行われたと判定された場合には、前記ショートクリップ映像を送信することなく、前記クラウドを介して前記ユーザ端末にプッシュ通知を送信する送信部と、を備えたことを特徴とするデータ転送システムを提供している。
【0010】
また、本発明の別の観点では、上記データ転送システムに対応するデータ転送プログラム及びデータ転送方法を提供している。
【発明の効果】
【0011】
本発明のデータ転送システムによれば、データ転送コスト等を低減させながら、監視映像において検出された注目行動の適切な確認を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の実施の形態によるデータ転送システムの説明図
【
図2】本発明の実施の形態によるオリジナル映像の説明図
【
図3】本発明の実施の形態によるデータ転送システムのブロック図
【
図4】本発明の実施の形態によるデータ転送システムのフローチャート
【
図5】本発明の変形例によるデータ転送システムのブロック図
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態によるデータ転送システム1について、
図1-
図4を参照して説明する。
【0014】
データ転送システム1は、
図1及び
図2に示すように、撮影手段Xによって撮影されたオリジナル映像Y(
図2では、映像を構成するフレーム)に映った対象行動体Zの行動を推定し、異常行動等の注目行動が行われた場合に、クラウドAを介して、その旨をユーザ端末Bに報知するものである。
【0015】
本実施の形態では、データ転送システム1は、撮影手段Xと一体に設けられているものとする。
【0016】
ユーザ端末Bとしては、スマートフォンやPC等が考えられる。
【0017】
また、本実施の形態では、対象行動体Zとして人間を採用し、理解容易のため、対象行動体Zを骨格だけで簡易的に表示する。
【0018】
データ転送システム1は、
図3に示すように、取得部2と、映像記憶部3と、注目行動記憶部4と、検出部5と、判定部6と、送信部7と、許可部8と、を備えている。
【0019】
取得部2は、撮影手段Xにより撮影されたオリジナル映像Yを取得する。
【0020】
映像記憶部3は、オリジナル映像Yを記憶する。
【0021】
注目行動記憶部4は、要確認の程度の高い第1の注目行動と、要確認の程度の低い第2の注目行動と、を記憶している。
【0022】
本実施の形態では、注目行動記憶部4は、行動体が注目行動を行った場合の行動体の特徴点の変位を記憶している。例えば、特徴点として関節を検出する場合には、複数の関節の変位を記憶しておくことが考えられる。
【0023】
第1の注目行動としては、例えば、「暴力」、「窃盗」、「転倒」のような、“注目行動の程度”や“対象行動体Zの風貌”を迅速に確認する必要があるものが考えられる。
【0024】
一方、第2の注目行動としては、例えば、「車椅子に乗った人物の移動」、「白杖を持った人物の移動」のような、“実際の注目行動の程度”や“対象行動体Zの風貌”を迅速に確認する必要のないものが考えられる。
【0025】
また、「立ち入り禁止区域への侵入」のように、行動自体は通常の行動(歩行)であるが、立ち入り禁止区域との組み合わせ(特徴点が立ち入り禁止区域内に位置するか否か)で異常行動となる場合もあり、このような組み合わせも、本発明の“注目行動”に相当する。
【0026】
また、第1の注目行動又は第2の注目行動注目行動として、万引きや自殺等の“予兆行動”を記憶しても良い。
【0027】
更に、注目行動記憶部4に記憶される注目行動は、学習により決定しても良い。この場合、所定範囲を撮影するように設置された撮影手段Xにより撮影されたサンプル映像(複数のサンプル時系列画像)を取得し、サンプル映像内で検出された多数の行動に基づき、所定範囲における一又は複数の“通常の行動”を決定し、オリジナル映像Yから検出された特徴点の変位が“通常の行動”に相当しない場合に、注目行動(“異常行動”や“違和感行動”)が行われたと判定する構成が考えられる。この場合、注目行動記憶部4には、”通常の行動に含まれない行動“が記憶されているものとみなすことができる。
【0028】
”通常の行動に含まれない行動“は、第1の注目行動と第2の注目行動注目行動のいずれに設定しても良いが、「”通常の行動に含まれない行動“がどのような行動であったかを確認したい」場合には、第1の注目行動に設定することが考えられる。但し、例えば、”通常の行動に含まれない行動“も”通常の行動“からの隔たり(検出された特徴点の変位が”通常の行動“の変位とどれだけ隔たっているか等)に応じて、第1の注目行動と第2の注目行動注目行動に分類しても良い。
【0029】
また、同じ分類の注目行動であっても、要確認が必要か否かは、監視場所の条件等によって異なるため、条件等に応じて適宜設定すれば良い。例えば、「立ち入り禁止区域への侵入」であっても、立ち入り禁止区域が悪意なく侵入してしまうことの多い場所の場合、所定時間以上の侵入であれば第1の注目行動、所定時間未満の侵入であれば第2の注目行動のように設定することが考えられる。
【0030】
検出部5は、オリジナル映像に映った対象行動体Zの特徴点を検出する。
【0031】
特徴点としては、様々なものが考えられるが、本実施の形態では、特徴点として関節を検出する例を用いて説明を行う。
【0032】
特徴点として関節を検出する場合には、例えば、以下のような方法が考えられる。
【0033】
まず、記憶部(注目行動記憶部4であっても、他の記憶部であっても良い)に、“関節識別基準”と、“行動体識別基準”と、を記憶しておく。
【0034】
“関節識別基準”は、人間の複数の関節を識別するためのものであり、関節ごとに、それぞれを識別するための形状、方向、サイズ等を示したものである。
【0035】
“行動体識別基準”は、人間の様々なバリエーション(“歩行”、“直立”等)の “基本姿勢“、”各関節の可動域“、一の人間における”各関節間の距離“等を示したものである。
【0036】
上記“関節識別基準”に該当する複数の関節を検出した上で、“行動体識別基準”を参照して、一の対象行動体Zに含まれる複数の関節を特定することで、対象行動体Zそれぞれに含まれる関節を特定することが可能となる。
【0037】
なお、本実施の形態では、特徴点を、オリジナル映像Yを構成する複数のフレームから(時系列の順番を紐付けた上で)まとめて検出するものとするが、フレームごとに個別に検出しても良い。
【0038】
判定部6は、検出された特徴点に基づき、第1の注目行動又は第2の注目行動が行われたか否かを判定する。
【0039】
例えば、検出された特徴点の変位が、注目行動記憶部4に記憶された第1の注目行動又は第2の注目行動の特徴点の変位と所定以上一致している場合に、「当該注目行動が行われた」と判定することが考えられる。
【0040】
送信部7は、第1の注目行動が行われたと判定された場合には、オリジナル映像Yのうち当該第1の注目行動に相当する部分をショートクリップ映像として、クラウドAを介してユーザ端末Bに送信し、第2の注目行動が行われたと判定された場合には、ショートクリップ映像を送信することなく、クラウドAを介してユーザ端末Bにプッシュ通知を送信する。
【0041】
これにより、ユーザ端末Bには、要確認の程度の高い第1の注目行動の場合にだけオリジナル映像Yが送信され、要確認の程度の低い第2の注目行動が行われた場合には、プッシュ通知が送信されるにとどまるので、データ転送システム1からクラウドAへのデータ転送、クラウドAからユーザ端末Bへのデータ転送、及び、クラウドAにおけるデータ保存にかかるコストを大幅に低減させることが可能となる。また、要確認の程度の高い第1の注目行動以外にはオリジナル映像Yが送信されないので、個人情報が漏えいするリスクも低減される。
【0042】
ところで、プッシュ通知が送信された第2の注目行動やそれ以外の行動に関しても、実際の映像を確認したいケースが想定される。
【0043】
そこで、本実施の形態では、ユーザ端末Bは、映像記憶部3に記憶されたオリジナル映像Yを、P2P通信方式を用いて確認可能とする。
【0044】
ユーザ端末Bが映像記憶部3に記憶されたオリジナル映像Yを、P2P通信方式を用いて確認可能とするためには、予め、データ転送システム1側のIPアドレスをユーザ端末Bが取得しておけば良い。
【0045】
これにより、クラウドAを介することによる個人情報漏えいのリスクを排除しながらも、ユーザがオリジナル映像Yを確認することが可能となる。
【0046】
但し、単純に「ユーザ端末Bが、映像記憶部3に記憶されたオリジナル映像Yを、P2P通信方式を用いて確認可能」にしてしまうと、様々なネットワークからのデータ転送システム1(特に、映像記憶部3)への侵入を許す状態になりかねず、セキュリティリスクが生じ得る。
【0047】
そこで、本実施の形態では、第2の注目行動が行われたと判定された場合に、許可部8が、オリジナル映像Yのうち当該第2の注目行動に相当する部分を、ユーザ端末BがP2P通信方式を用いて確認することを許可する。この許可の方法としては、例えば、以下の2パターンが考えられる。
(1)パターン1
【0048】
まず、第2の注目行動が行われたと判定された場合に、ランダムキー生成部(図示せず)がランダムキーを生成し、データ転送システム1側とユーザ端末Bの双方に送信する。本実施の形態では、ランダムキー生成部は、クラウドA上に配置されており、データ転送システム1側のIPアドレス及びユーザ端末BのIPアドレスを予め取得しているものとする。
【0049】
そして、ユーザ端末Bが、オリジナル映像Yのうち当該第2の注目行動に相当する部分へのアクセスを、データ転送システム1(データ転送システム1のIPアドレス)に対してランダムキーと共にリクエストした場合に、ランダムキーが一致していれば、許可部8は、オリジナル映像Yのうち当該第2の注目行動に相当する部分を、ユーザ端末BがP2P通信方式を用いて確認することを許可する。
【0050】
詳細には、映像記憶部3が許可部8として機能し、ランダムキーが一致している場合に、ユーザ端末Bから映像記憶部3へのアクセスを許可する構成が考えられる。
【0051】
また、送信部7が許可部8として機能し、ランダムキーが一致している場合に、映像記憶部3に記憶されたオリジナル映像Yのうち当該第2の注目行動に相当する部分をユーザ端末Bへ送信する構成も考えられる。
【0052】
なお、P2P通信がいったん解除された場合には、上記許可も解除され、再度のP2P通信を行う場合には、ランダムキーを再度生成し、再度の許可を必要とすることが好ましい。また、上記した通信は全体として暗号化して行うことが好ましい。
(2)パターン2
【0053】
まず、第2の注目行動が行われたと判定された場合に、伝達部(図示せず)がユーザ端末BのIPアドレスをデータ転送システム1側に伝達する。本実施の形態では、伝達部は、クラウドA上に配置されており、データ転送システム1側のIPアドレス及びユーザ端末BのIPアドレスを予め取得しているものとする。
【0054】
そして、ユーザ端末Bが、オリジナル映像Yのうち当該第2の注目行動に相当する部分へのアクセスを、データ転送システム1(データ転送システム1のIPアドレス)に対してリクエストした場合に、アクセスをリクエストしてきたIPアドレスが、先に伝達されていたIPアドレスと一致していれば、許可部8は、オリジナル映像Yのうち当該第2の注目行動に相当する部分を、ユーザ端末BがP2P通信方式を用いて確認することを許可する。
【0055】
詳細には、映像記憶部3が許可部8として機能し、IPアドレスが一致している場合に、ユーザ端末Bから映像記憶部3へのアクセスを許可する構成が考えられる。
【0056】
また、送信部7が許可部8として機能し、IPアドレスが一致している場合に、映像記憶部3に記憶されたオリジナル映像Yのうち当該第2の注目行動に相当する部分をユーザ端末Bへ送信する構成も考えられる。
【0057】
なお、P2P通信がいったん解除された場合には、上記許可も解除され、再度のP2P通信を行う場合には、IPアドレスを再度伝達し、再度の許可を必要とすることが好ましい。また、上記した通信は全体として暗号化して行うことが好ましい。
【0058】
これにより、第2の注目行動以外の映像にはP2P通信方式でアクセスすることができず、P2P通信方式によるアクセスが限定的となるので、P2P通信方式を用いたことによるマルウェア感染やネットワーク帯域の圧迫等のリスクが低減される。
【0059】
続いて、
図4のフローチャートを用いて、本実施の形態のデータ転送システム1によるデータ転送の流れについて説明する。
【0060】
まず、オリジナル映像Yが取得されると(S1)、オリジナル映像Yに映った対象行動体Zの特徴点が検出される(S2)。
【0061】
続いて、S2で検出された特徴点に基づき、第1の注目行動又は第2の注目行動が行われたか否かが判定される(S3)。
【0062】
第1の注目行動が行われたと判定された場合には(S3:第1の注目行動)、クラウドAを介してユーザ端末Bにショートクリップ映像が送信される(S4)。
【0063】
一方、第2の注目行動が行われたと判定された場合には(S3:第2の注目行動)、クラウドAを介してユーザ端末Bにプッシュ通知が送信される(S5)。
【0064】
以上説明したように、本実施の形態によるデータ転送システム1では、第1の注目行動が行われたと判定された場合には、オリジナル映像Yのうち当該第1の注目行動に相当する部分をショートクリップ映像として、クラウドAを介してユーザ端末Bに送信し、第2の注目行動が行われたと判定された場合には、ショートクリップ映像を送信することなく、クラウドAを介してユーザ端末Bにプッシュ通知を送信すると共に、ユーザ端末Bは、映像記憶部3に記憶されたオリジナル映像YにP2P通信方式を用いてアクセス可能である。
【0065】
このような構成によれば、ユーザ端末Bには、要確認の程度の高い第1の注目行動の場合にだけオリジナル映像Yが送信され、要確認の程度の低い第2の注目行動が行われた場合には、プッシュ通知が送信されるにとどまるので、データ転送システム1からクラウドAへのデータ転送、クラウドAからユーザ端末Bへのデータ転送、及び、クラウドAにおけるデータ保存にかかるコストを大幅に低減させることが可能となる。また、要確認の程度の高い第1の注目行動以外にはオリジナル映像Yが送信されないので、個人情報が漏えいするリスクが低減される。
【0066】
また、本実施の形態によるデータ転送システム1では、ユーザ端末Bは、映像記憶部3に記憶されたオリジナル映像Yを、P2P通信方式を用いて確認可能である。
【0067】
このような構成によれば、ユーザ端末Bは、映像記憶部3に記憶されたオリジナル映像Yを、P2P通信方式を用いて確認可能であるため、クラウドAを介することによる個人情報漏えいのリスクを排除しながらも、ユーザがオリジナル映像Yを確認することが可能となる。
【0068】
また、本実施の形態によるデータ転送システム1では、第2の注目行動が行われたと判定された場合に、許可部8が、オリジナル映像Yのうち当該第2の注目行動に相当する部分を、ユーザ端末BがP2P通信方式を用いて確認することを許可する。
【0069】
このような構成によれば、第2の注目行動以外の映像にはP2P通信方式でアクセスすることができず、P2P通信方式によるアクセスが限定的となるので、P2P通信方式を用いたことによるマルウェア感染やネットワーク帯域の圧迫等のリスクが低減される。
【0070】
尚、本発明のデータ転送システムは、上述した実施の形態に限定されず、特許請求の範囲に記載した範囲で種々の変形や改良が可能である。
【0071】
例えば、上記実施の形態では、第1の注目行動が行われたと判定された場合には、オリジナル映像Y(ショートクリップ映像)を、ユーザ端末Bに送信したが、オリジナル映像Yの替わりに疑似映像を送信する構成としても良い。
【0072】
この場合、データ転送システム1は、
図5に示すように、検出された特徴点の変位を疑似行動体に行わせた疑似行動映像を生成可能な疑似映像生成部9を更に備え、送信部7は、第1の注目行動が行われたと判定された場合には、当該第1の注目行動に相当する部分の疑似映像をショートクリップ映像として、クラウドAを介してユーザ端末Bに送信し、第2の注目行動が行われたと判定された場合には、ショートクリップ映像を送信することなく、クラウドAを介してユーザ端末Bにプッシュ通知を送信する構成が考えられる。
【0073】
疑似行動体としては、個人情報を特定できないもの(特定が困難なもの)、例えば、行動体Zを骨だけで示したものや、人形等に置き換えたものが考えられる。
【0074】
このような構成によれば、ユーザ端末Bには、オリジナル映像Yでなく疑似映像がクラウドAを介して送信されるので、個人情報(顔を含む映像等)が漏えいするリスクを低減させながら、疑似映像により「どのような(どの程度の)問題が生じたか」をユーザが迅速に把握することが可能となる。
【0075】
また、上記実施の形態では、撮影手段Xは、データ転送システム1と一体に設けられていたが、別体であることを除外するものではない。
【0076】
また、上記実施の形態では、各部材は一体に設けられていたが、例えば、一部の部材が異なる場所(クラウドA等)に設けられていることを除外するものではない。
【0077】
例えば、注目行動記憶部4及び判定部6をクラウドA上に、その他の部材はエッジに設け、検出部5により検出された特徴点を送信部7がクラウドA上に送信し、注目行動が行われたか否かの判定を判定部6がクラウドA上で行う構成が考えられる。
【0078】
そして、第1の注目行動行われたと判定された場合には、クラウドAからエッジにその旨が送信され、その後、ショートクリップ映像が送信部7からクラウドAを介してユーザ端末Bに送信されることとなる。
【0079】
また、上記実施の形態では、一の撮影手段Xで撮影された映像に関して一のユーザ端末Bにデータ転送する例を用いて説明したが、複数の撮影手段Xで撮影された映像に関して複数のユーザ端末Bにデータ転送しても良いことはもちろんである。
【0080】
但し、複数のユーザに対してデータ転送システム1を用いる場合、ショートクリップ映像の送信や、P2P通信方式を用いたオリジナル映像へのアクセス許可を、別のユーザ(別の組織に属するユーザ)に対して行わないよう、撮影手段Xとユーザ端末Bを紐づけておく必要がある。
【0081】
また、本発明は、コントローラとしての各部材が行う処理に相当するプログラム及び方法や、当該プログラムを記憶した記録媒体にも応用可能である。記録媒体の場合、コンピュータ等に当該プログラムがインストールされることとなる。ここで、当該プログラムを記憶した記録媒体は、非一過性の記録媒体であってもよい。非一過性の記録媒体としては、CD-ROM等が考えられるが、それに限定されるものではない。
【符号の説明】
【0082】
1 データ転送システム
2 取得部
3 映像記憶部
4 注目行動記憶部
5 検出部
6 判定部
7 送信部
8 許可部
9 疑似映像生成部
A クラウド
B ユーザ端末
X 撮影手段
Y オリジナル映像
Z 対象行動体
【要約】
【課題】データ転送コスト等を低減させながら、監視映像において検出された注目行動の適切な確認を行うことが可能なデータ転送システムを提供する。
【解決手段】データ転送システム1では、オリジナル映像Yに映った対象行動体Zの特徴点を検出し、検出された特徴点に基づき、第1の注目行動又は前記第2の注目行動が行われたか否かを判定する。第1の注目行動が行われたと判定された場合には、オリジナル映像Yのうち第1の注目行動に相当する部分をショートクリップ映像として、クラウドAを介してユーザ端末Bに送信し、第2の注目行動が行われたと判定された場合には、ショートクリップ映像を送信することなく、クラウドAを介してユーザ端末Bにプッシュ通知を送信する。
【選択図】
図4