(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-18
(45)【発行日】2025-02-27
(54)【発明の名称】積層体の製造方法および感熱記録材料の製造方法
(51)【国際特許分類】
B41M 5/337 20060101AFI20250219BHJP
B05D 3/00 20060101ALI20250219BHJP
B05D 7/24 20060101ALI20250219BHJP
B41M 5/44 20060101ALI20250219BHJP
C09D 133/24 20060101ALI20250219BHJP
C09D 201/08 20060101ALI20250219BHJP
【FI】
B41M5/337 230
B05D3/00 D
B05D7/24 302F
B05D7/24 302P
B05D7/24 302X
B05D7/24 303A
B41M5/44 220
C09D133/24
C09D201/08
(21)【出願番号】P 2020046982
(22)【出願日】2020-03-17
【審査請求日】2022-12-13
【審判番号】
【審判請求日】2023-11-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000005887
【氏名又は名称】三井化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103517
【氏名又は名称】岡本 寛之
(72)【発明者】
【氏名】小松 晴信
(72)【発明者】
【氏名】李 維
(72)【発明者】
【氏名】吉村 寿洋
【合議体】
【審判長】神谷 健一
【審判官】清水 康司
【審判官】井口 猶二
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第15/178354号(WO,A1)
【文献】特開平10-324062号公報(JP,A)
【文献】特開昭62-60687(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05D3/00,7/24
B41M5/337,5/44
C09D133/24,201/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(メタ)アクリルアミドを含有する第1モノマー成分を重合させることにより得られる第1ポリマーと、カルボキシ基含有ビニルモノマー
、水酸基含有ビニルモノマーおよびN-置換不飽和カルボン酸アミドを含有する第2モノマー成分を重合させることにより得られる第2ポリマーとを含み、前記第2ポリマーにおけるカルボキシ基の少なくとも一部が、中和されている水分散型樹脂組成物、および、架橋剤を含むコーティング組成物を、基材に塗布し塗膜を形成する塗布工程と、
前記塗膜を、湿度70%RH以上80%RH以下の条件で養生する養生工程とを備え
、
前記養生工程において、前記塗膜を、23℃以上60℃以下の条件で養生することを特徴とする、積層体の製造方法。
【請求項2】
支持層、感熱記録層および保護層を備える感熱記録材料の製造方法であって、
(メタ)アクリルアミドを含有する第1モノマー成分を重合させることにより得られる第1ポリマーと、カルボキシ基含有ビニルモノマー
、水酸基含有ビニルモノマーおよびN-置換不飽和カルボン酸アミドを含有する第2モノマー成分を重合させることにより得られる第2ポリマーとを含み、前記第2ポリマーにおけるカルボキシ基の少なくとも一部が、中和されている水分散型樹脂組成物、および、架橋剤を含むコーティング組成物を含む感熱記録層用樹脂組成物を、前記支持層に塗布し、前記感熱記録層を形成する感熱記録層形成工程と、
前記感熱記録層を、湿度70%RH以上80%RH以下の条件で養生する感熱記録層養生工程とを備え
、
前記感熱記録層養生工程において、前記感熱記録層を、23℃以上60℃以下の条件で養生することを特徴とする、感熱記録材料の製造方法。
【請求項3】
支持層、感熱記録層および保護層を備える感熱記録材料の製造方法であって、
(メタ)アクリルアミドを含有する第1モノマー成分を重合させることにより得られる第1ポリマーと、カルボキシ基含有ビニルモノマー
、水酸基含有ビニルモノマーおよびN-置換不飽和カルボン酸アミドを含有する第2モノマー成分を重合させることにより得られる第2ポリマーとを含み、前記第2ポリマーにおけるカルボキシ基の少なくとも一部が、中和されている水分散型樹脂組成物、および、架橋剤を含むコーティング組成物を含む保護層用樹脂組成物を、前記感熱記録層に塗布し、前記保護層を形成する保護層形成工程と、
前記保護層を、湿度70%RH以上80%RH以下の条件で養生する保護層養生工程とを備え
、
前記保護層養生工程において、前記保護層を、23℃以上60℃以下の条件で養生することを特徴とする、感熱記録材料の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層体の製造方法および感熱記録材料の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、水分散型樹脂組成物は、感熱記録紙、熱転写受容紙などの感熱記録材料、農薬、医薬、香料などの多くの分野において用いられている。
【0003】
このような水分散型樹脂組成物として、例えば、(メタ)アクリルアミドを含有する第1モノマー成分を重合させることにより得られる第1ポリマーと、カルボキシ基含有ビニルモノマーを含有する第2モノマー成分を重合させることにより得られる第2ポリマーとを含み、第2ポリマーにおけるカルボキシ基の少なくとも一部が、中和されている水分散型樹脂組成物が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
そして、このような水分散型樹脂組成物は、基材に塗布し、その後、乾燥することにより得られる塗膜として用いられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】国際公開第2015/178354号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一方、このような塗膜には、耐水性が要求される場合がある。
【0007】
また、乾燥後の塗膜を、養生させる場合がある。このような場合には、養生時間が短くても、耐水性に優れる塗膜を形成できることが要求される。
【0008】
本発明は、養生時間が短くても、耐水性に優れる塗膜を備える積層体の製造方法、養生時間が短くても、耐水性に優れる感熱記録層または保護層を備える感熱記録材料の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明[1]は、(メタ)アクリルアミドを含有する第1モノマー成分を重合させることにより得られる第1ポリマーと、カルボキシ基含有ビニルモノマーを含有する第2モノマー成分を重合させることにより得られる第2ポリマーとを含み、前記第2ポリマーにおけるカルボキシ基の少なくとも一部が、中和されている水分散型樹脂組成物、および、架橋剤を含むコーティング組成物を、基材に塗布し塗膜を形成する塗布工程と、前記塗膜を、湿度40%RH以上95%RH以下の条件で養生する養生工程とを備える、積層体の製造方法である。
【0010】
本発明[2]は、前記養生工程において、前記塗膜を、23℃以上60℃以下の条件で養生する、上記[1]に記載の積層体の製造方法を含んでいる。
【0011】
本発明[3]は、支持層、感熱記録層および保護層を備える感熱記録材料の製造方法であって、(メタ)アクリルアミドを含有する第1モノマー成分を重合させることにより得られる第1ポリマーと、カルボキシ基含有ビニルモノマーを含有する第2モノマー成分を重合させることにより得られる第2ポリマーとを含み、前記第2ポリマーにおけるカルボキシ基の少なくとも一部が、中和されている水分散型樹脂組成物、および、架橋剤を含むコーティング組成物を含む感熱記録層用樹脂組成物を、前記支持層に塗布し、前記感熱記録層を形成する感熱記録層形成工程と、前記感熱記録層を、湿度40%RH以上95%RH以下の条件で養生する感熱記録層養生工程とを備える、感熱記録材料の製造方法である。
【0012】
本発明[4]は、前記感熱記録層養生工程において、前記感熱記録層を、23℃以上60℃以下の条件で養生する、上記[3]に記載の感熱記録材料の製造方法を含んでいる。
【0013】
本発明[5]は、支持層、感熱記録層および保護層を備える感熱記録材料の製造方法であって、(メタ)アクリルアミドを含有する第1モノマー成分を重合させることにより得られる第1ポリマーと、カルボキシ基含有ビニルモノマーを含有する第2モノマー成分を重合させることにより得られる第2ポリマーとを含み、前記第2ポリマーにおけるカルボキシ基の少なくとも一部が、中和されている水分散型樹脂組成物、および、架橋剤を含むコーティング組成物を含む保護層用樹脂組成物を、前記感熱記録層に塗布し、前記保護層を形成する保護層形成工程と、前記保護層を、湿度40%RH以上95%RH以下の条件で養生する保護層養生工程とを備える、感熱記録材料の製造方法である。
【0014】
本発明[6]は、前記保護層養生工程において、前記保護層を、23℃以上60℃以下の条件で養生する、上記[5]に記載の感熱記録材料の製造方法を含んでいる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の積層体の製造方法は、塗膜を所定の湿度で養生する養生工程を備える。そのため、養生時間が短くても、耐水性に優れる塗膜を備える積層体を得ることができる。
【0016】
本発明の感熱記録材料の製造方法は、感熱記録層を所定の湿度で養生する感熱記録層養生工程または保護層を所定の湿度で養生する保護層養生工程を備える。そのため、養生時間が短くても、耐水性に優れる感熱記録層または保護層を備える感熱記録材料を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】
図1は、本発明の積層体の製造方法の一実施形態を示す概略図であり、
図1Aは、塗布工程において、基材を準備する工程を示し、
図1Bは、塗布工程において、コーティング組成物を、基材に塗布する工程を示す。
【
図2】
図2は、本発明の感熱記録材料の製造方法の一実施形態を示す概略図であり、
図2Aは、感熱記録層形成工程において、支持層を準備する工程を示し、
図2Bは、感熱記録層形成工程において、感熱記録層用樹脂組成物を、支持層に塗布する工程を示し、
図2Cは、保護層用樹脂組成物を、感熱記録層に塗布する工程を示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の積層体の製造方法の一実施形態は、コーティング組成物を、基材2に塗布し塗膜3を形成する塗布工程と、塗膜3を、所定の湿度で養生する養生工程とを備える。
【0019】
以下、この方法について、
図1を参照して、説明する。
【0020】
塗布工程では、まず、コーティング組成物を調製する。
【0021】
コーティング組成物は、水分散型樹脂組成物および架橋剤を含む。
【0022】
水分散型樹脂組成物は、第1モノマー成分を重合させることにより得られる第1ポリマーと、第2モノマー成分を重合させることにより得られる第2ポリマーとを含有している。
【0023】
第1モノマー成分は、必須成分として、(メタ)アクリルアミドを含有している。なお、(メタ)アクリルとは、アクリルおよびメタクリルを含む(以下同様)。
【0024】
第1モノマー成分は、好ましくは、メタクリルアミドを含有している。これにより、耐熱性(耐スティッキング性)、耐可塑剤性、耐溶剤性の向上を図ることができる。
【0025】
また、第1モノマー成分は、任意成分として、(メタ)アクリルアミドと共重合可能な共重合性モノマー(以下、第1共重合性モノマーと称する。)を含有することができる。
【0026】
第1共重合性モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、官能基含有ビニルモノマー、ビニルエステル類、芳香族ビニルモノマー、N-置換不飽和カルボン酸アミド、複素環式ビニル化合物、ハロゲン化ビニリデン化合物、α-オレフィン類、ジエン類などが挙げられる。
【0027】
(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n-ブチル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシルなどの炭素数1~8のアルキル部分を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルが挙げられる。
【0028】
官能基含有ビニルモノマーとしては、例えば、カルボキシ基含有ビニルモノマー、水酸基含有ビニルモノマー、アミノ基含有ビニルモノマー、グリシジル基含有ビニルモノマー、シアノ基含有ビニルモノマー、スルホン酸基含有ビニルモノマーおよびその塩、アセトアセトキシ基含有ビニルモノマー、リン酸基含有化合物などが挙げられる。
【0029】
カルボキシ基含有ビニルモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、無水マレイン酸、フマール酸、イタコン酸、クロトン酸などが挙げられる。
【0030】
水酸基含有ビニルモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシプロピルなどが挙げられる。
【0031】
アミノ基含有ビニルモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸2-アミノエチル、(メタ)アクリル酸2-(N-メチルアミノ)エチル、(メタ)アクリル酸2-(N,N-ジメチルアミノ)エチルなどが挙げられる。
【0032】
グリシジル基含有ビニルモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸グリシジルなどが挙げられる。
【0033】
シアノ基含有ビニルモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリロニトリルなどが挙げられる。
【0034】
スルホン酸基含有ビニルモノマーとしては、例えば、アリルスルホン酸、メタリルスルホン酸などが挙げられる。また、その塩としては、上記スルホン酸基含有ビニルモノマーの、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩などのアルカリ金属塩、例えば、アンモニウム塩などが挙げられる。具体的には、例えば、アリルスルホン酸ナトリウム、メタリルスルホン酸ナトリウム、メタリルスルホン酸アンモニウムなどが挙げられる。
【0035】
アセトアセトキシ基含有ビニルモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸アセトアセトキシエチルなどが挙げられる。
【0036】
リン酸基含有化合物としては、例えば、2-メタクロイロキシエチルアシッドフォスフェートなどが挙げられる。
【0037】
ビニルエステル類としては、例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどが挙げられる。
【0038】
芳香族ビニルモノマーとしては、例えば、スチレン、α-メチルスチレン、ジビニルベンゼンなどが挙げられる。
【0039】
N-置換不飽和カルボン酸アミドとしては、例えば、N-メチロール(メタ)アクリルアミドなどが挙げられる。
【0040】
複素環式ビニル化合物としては、例えば、ビニルピロリドンなどが挙げられる。
【0041】
ハロゲン化ビニリデン化合物としては、例えば、塩化ビニリデン、フッ化ビニリデンなどが挙げられる。
【0042】
α-オレフィン類としては、例えば、エチレン、プロピレンなどが挙げられる。
【0043】
ジエン類としては、例えば、ブタジエンなどが挙げられる。
【0044】
さらに、第1共重合性モノマーとして、架橋性ビニルモノマーを挙げることもできる。
【0045】
架橋性ビニルモノマーとしては、例えば、メチレンビス(メタ)アクリルアミド、ジビニルベンゼン、ポリエチレングリコール鎖含有ジ(メタ)アクリレートなど、2つ以上のビニル基を含有する化合物などが挙げられる。
【0046】
これら第1共重合性モノマーは、単独使用または2種類以上併用することができる。
【0047】
第1共重合性モノマーとして、好ましくは、官能基含有ビニルモノマーが挙げられ、好ましくは、官能基含有ビニルモノマーのみを用いる。
【0048】
第1共重合性モノマーとして、官能基含有ビニルモノマーのみを用いれば、耐可塑剤性の向上を図ることができる。
【0049】
また、第1共重合性モノマーとして、さらに好ましくは、カルボキシ基含有ビニルモノマー、水酸基含有ビニルモノマー、スルホン酸基含有ビニルモノマーまたはそれらの併用が挙げられ、さらに好ましくは、カルボキシ基含有ビニルモノマー、水酸基含有ビニルモノマーまたはそれらの併用が挙げられ、とりわけ好ましくは、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチルまたはそれらの併用が挙げられる。
【0050】
第1共重合性モノマーとして、上記のモノマーが用いられていれば、第1ポリマーの水溶性を向上させ、水分散型樹脂組成物の安定化を図ることができる。
【0051】
また、上記したように(メタ)アクリルとは、アクリルおよびメタクリルを含むが、第1モノマー成分においては、耐水性の観点から、好ましくは、メタクリルが挙げられる。
【0052】
第1モノマー成分において、(メタ)アクリルアミドと第1共重合性モノマーとの含有割合は、第1モノマー成分100質量部に対して、(メタ)アクリルアミドが、例えば、50質量部以上、好ましくは、60質量部以上であり、例えば、100質量部以下、好ましくは、85質量部以下である。また、第1共重合性モノマーが、例えば、0質量部以上、好ましくは、15質量部以上であり、例えば、50質量部以下、好ましくは、40質量部以下である。
【0053】
すなわち、第1モノマー成分は、第1共重合性モノマーを含有することなく、(メタ)アクリルアミドのみであってもよく、また、(メタ)アクリルアミドと第1共重合性モノマーとが上記の割合で併用されていてもよい。好ましくは、(メタ)アクリルアミドと第1共重合性モノマーとが上記の割合で併用される。
【0054】
(メタ)アクリルアミドと第1共重合性モノマーとの含有割合が上記範囲であれば、耐久性(とりわけ、耐熱性、耐溶剤性、耐可塑剤性)に優れる塗膜3を得ることができる。
【0055】
第1モノマー成分の重合は、特に制限されず、公知の重合方法が採用される。例えば、水、第1モノマー成分および重合開始剤が配合され、水中において、第1モノマー成分が重合される。
【0056】
重合開始剤としては、特に制限されないが、例えば、過硫酸塩(過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウムなど)、過酸化水素、有機ハイドロパーオキサイド、4,4’-アゾビス(4-シアノ吉草酸)酸などの水溶性開始剤、例えば、過酸化ベンゾイル、アゾビスイソブチロニトリルなどの油溶性開始剤、さらには、レドックス系開始剤などが挙げられる。これら重合開始剤は、単独使用または2種類以上併用することができる。
【0057】
また、重合開始剤の配合割合は、目的および用途に応じて、適宜設定されるが、第1モノマー成分100質量部に対して、例えば、0.1質量部以上であり、例えば、20質量部以下、好ましくは、10質量部以下である。
【0058】
重合条件としては、常圧下において、重合温度が、例えば、30℃以上、好ましくは、50℃以上であり、例えば、95℃以下、好ましくは、85℃以下である。また、重合時間が、例えば、1時間以上、好ましくは、2時間以上であり、例えば、30時間以下、好ましくは、20時間以下である。
【0059】
また、第1ポリマーの製造においては、製造安定性の向上を図る観点から、必要に応じて、後述する乳化剤(界面活性剤)を配合することができる。
【0060】
また、第1ポリマーの製造においては、製造安定性の向上を図る観点から、例えば、pH調整剤、例えば、エチレンジアミン四酢酸およびその塩などの金属イオン封止剤、例えば、メルカプタン類、低分子ハロゲン化合物などの分子量調節剤(連鎖移動剤)など、公知の添加剤を適宜の割合で配合することができる。
【0061】
第1ポリマーの重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)測定による標準ポリスチレン換算で、例えば、0.5万以上、好ましくは、1万以上であり、例えば、100万以下、好ましくは、50万以下である。
【0062】
第2モノマー成分は、必須成分として、カルボキシ基含有ビニルモノマーを含有している。
【0063】
カルボキシ基含有ビニルモノマーとしては、上記した第1共重合性モノマーにおけるカルボキシ基含有ビニルモノマーと同様のものが挙げられ、具体的には、例えば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸などのエチレン性不飽和一塩基性カルボン酸、例えば、イタコン酸、マレイン酸、フマール酸などのエチレン性不飽和二塩基性カルボン酸およびそのアルキルエステルなどが挙げられる。
【0064】
これらカルボキシ基含有ビニルモノマーは、単独使用または2種類以上併用することができる。カルボキシ基含有ビニルモノマーとして、好ましくは、エチレン性不飽和一塩基性カルボン酸が挙げられ、より好ましくは、(メタ)アクリル酸が挙げられ、耐水性の向上を図る観点から、さらに好ましくは、メタクリル酸が挙げられる。
【0065】
また、第2モノマー成分は、任意成分として、カルボキシ基含有ビニルモノマーと共重合可能な共重合性モノマー(以下、第2共重合性モノマーと称する。)を含有することができる。
【0066】
第2共重合性モノマーとしては、例えば、上記した(メタ)アクリル酸アルキルエステル、上記した官能基含有ビニルモノマー(カルボキシ基含有ビニルモノマーを除く)、上記したビニルエステル類、上記した芳香族ビニルモノマー、上記したN-置換不飽和カルボン酸アミド、上記した複素環式ビニル化合物、上記したハロゲン化ビニリデン化合物、上記したα-オレフィン類、上記したジエン類、上記した架橋性ビニルモノマーなどが挙げられる。
【0067】
また、第2共重合性モノマーとしては、さらに、官能基含有ビニルモノマーとして、(メタ)アクリルアミドなどのアミド基含有ビニルモノマーが挙げられる。
【0068】
これら第2共重合性モノマーは、単独使用または2種類以上併用することができる。
【0069】
第2共重合性モノマーとして、好ましくは、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、官能基含有ビニルモノマー(好ましくは、水酸基含有ビニルモノマー、シアノ基含有ビニルモノマー)、N-置換不飽和カルボン酸アミドまたはそれらの併用、より好ましくは、(メタ)アクリル酸n-ブチル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル、(メタ)アクリロニトリル、N-メチロール(メタ)アクリルアミドまたはそれらの併用、さらに好ましくは、アクリル酸n-ブチル、メタクリル酸2-ヒドロキシエチル、アクリロニトリル、N-メチロールアクリルアミドまたはそれらの併用が挙げられる。
【0070】
第2モノマー成分において、カルボキシ基含有ビニルモノマーと第2共重合性モノマーとの含有割合は、第2モノマー成分100質量部に対して、カルボキシ基含有ビニルモノマーが、例えば、0.5質量部以上、好ましくは、1質量部以上であり、また、例えば、20質量部以下、好ましくは、10質量部以下である。また、第2共重合性モノマーが、例えば、80質量部以上、好ましくは、90質量部以上であり、また、例えば、99.5質量部以下、好ましくは、99質量部以下である。
【0071】
カルボキシ基含有ビニルモノマーと第2共重合性モノマーとの含有割合が上記範囲であれば、膨潤性に優れ、簡易に成膜化することができるとともに、耐久性(耐水性・耐溶剤性)に優れる塗膜3を得ることができ、曳糸性にも優れる水分散型樹脂組成物を得ることができる。
【0072】
また、第2モノマー成分が、(メタ)アクリロニトリルを含有する場合において、(メタ)アクリロニトリルの含有割合は、第2モノマー成分100質量部に対して、例えば、15質量部以上、好ましくは、30質量部以上、より好ましくは、40質量部以上であり、例えば、90質量部以下、好ましくは、80質量部以下である。
【0073】
第2モノマー成分が上記割合で(メタ)アクリロニトリルを含有していれば、耐久性(とりわけ、耐熱性、耐溶剤性、耐可塑剤性、耐油性)に優れる塗膜3を得ることができる。
【0074】
第2モノマー成分の重合は、特に制限されず、公知の重合方法が採用される。例えば、水、第2モノマー成分および重合開始剤が配合され、水中において、第2モノマー成分が重合される。
【0075】
重合開始剤としては、特に制限されないが、上記した第1モノマー成分の重合に用いられるものと同様の重合開始剤が挙げられる。これら重合開始剤は、単独使用または2種類以上併用することができる。
【0076】
また、重合開始剤の配合割合は、目的および用途に応じて、適宜設定されるが、第2モノマー成分100質量部に対して、例えば、0.1質量部以上、20質量部以下である。
【0077】
重合条件としては、常圧下において、重合温度が、例えば、30℃以上、好ましくは、50℃以上であり、例えば、95℃以下、好ましくは、85℃以下である。また、重合時間が、例えば、1時間以上、好ましくは、2時間以上であり、例えば、30時間以下、好ましくは、20時間以下である。
【0078】
また、第2ポリマーの製造においては、製造安定性の向上を図る観点から、必要に応じて、乳化剤(界面活性剤)を配合することができる。
【0079】
乳化剤としては、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤が挙げられ、好ましくは、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤が挙げられる。具体的には、例えば、高級アルコールの硫酸エステル、アルキルベンゼンスルホン酸塩(ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムなど)、脂肪族スルホン酸塩、アルキルジフェニルエーテルスルホン酸塩などのアニオン性界面活性剤、例えば、ポリエチレングリコールのアルキルエステル型、アルキルフェニルエーテル型、アルキルエーテル型などのノニオン性界面活性剤などが挙げられ、好ましくは、アニオン性界面活性剤、より好ましくは、アルキルベンゼンスルホン酸塩が挙げられる。
【0080】
これら乳化剤は、単独使用または2種類以上併用することができる。
【0081】
乳化剤の配合割合については、目的および用途に応じて、適宜設定される。
【0082】
また、第2ポリマーの製造においては、製造安定性の向上を図る観点から、例えば、pH調整剤、例えば、エチレンジアミン四酢酸およびその塩などの金属イオン封止剤、例えば、メルカプタン類、低分子ハロゲン化合物などの分子量調節剤(連鎖移動剤)など、公知の添加剤を適宜の割合で配合することができる。
【0083】
また、本発明では、第2ポリマーに含まれるカルボキシ基の少なくとも一部が、中和(カルボン酸塩化)される。すなわち、第2ポリマーには、第2モノマー成分のカルボキシ基含有ビニルモノマーに由来するカルボキシ基が含まれており、このカルボキシ基が中和剤により中和され、塩化される。
【0084】
より具体的には、この方法では、例えば、第2モノマー成分が重合された後、中和剤が添加され、所定温度において、30分以上保持される。これにより、第2ポリマーにおけるカルボキシ基が中和される(膨潤軟化処理)。
【0085】
中和剤としては、例えば、アルカリ金属水酸化物(水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなど)、アミン類、アンモニアなどが挙げられる。また、中和剤は、好ましくは、含塩水として用いられ、具体的には、アルカリ金属水酸化物の水溶液、アンモニア水などが挙げられる。これら中和剤は、単独使用または2種類以上併用することができる。
【0086】
中和剤として、好ましくは、アンモニアが挙げられる。
【0087】
中和剤の配合割合は、第2モノマー成分に含まれるカルボキシ基含有ビニルモノマー100モルに対して、例えば、20モル以上、好ましくは、25モル以上、より好ましくは、30モル以上であり、例えば、200モル以下、好ましくは、150モル以下、より好ましくは、120モル以下である。
【0088】
中和剤添加後における保持条件としては、保持温度が、例えば、40℃以上、好ましくは、50℃以上であり、例えば、90℃以下、好ましくは、80℃以下である。また、保持時間が、例えば、30分以上、好ましくは、1時間以上であり、例えば、12時間以下、好ましくは、10時間以下である。
【0089】
上記条件で保持することにより、カルボキシ基が中和され、カルボン酸塩が形成される。例えば、中和剤としてアンモニア水が用いられる場合には、カルボキシ基の中和によって、アンモニウム塩が形成される。
【0090】
このように、カルボキシ基が中和されることにより、耐久性に優れる塗膜3を得ることができ、さらに、曳糸性にも優れる水分散型樹脂組成物を得ることができる。
【0091】
とりわけ、中和剤としてアンモニア水が用いられる場合には、作業性に優れ、また、カルボン酸塩としてアンモニウム塩が形成されると、耐水性の向上を図ることができ、さらに、発色性に優れる塗膜3を得ることができる。
【0092】
なお、上記のように保持しない場合、カルボキシ基を中和することができないため、曳糸性、走行安定性および耐久性に劣るという不具合がある。
【0093】
また、例えば、FT-IR装置、熱分解GC-MS装置、ヘッドスペースGC-MS装置、元素分析装置などの各種分析装置により、水分散型樹脂組成物中の中和剤(カウンターカチオン)を分析することによって、カルボキシ基が中和されていることを確認することができる。
【0094】
第2ポリマーの重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)測定による標準ポリスチレン換算で、例えば、1万以上、好ましくは、5万以上であり、例えば、200万以下、好ましくは、100万以下である。
【0095】
また、第2ポリマーの溶解パラメータ(SP値)は、例えば、9.5(cal/cm3)1/2以上であり、例えば、13(cal/cm3)1/2以下である。(メタ)アクリロニトリルが用いられる場合には、好ましくは、10.8(cal/cm3)1/2以上である。
【0096】
第2ポリマーの溶解パラメータ(SP値)が上記範囲であれば、耐ブロッキング性および接着性の向上を図ることができる。
【0097】
また、第2ポリマーのガラス転移温度は、例えば、20℃以上、好ましくは、25℃以上であり、例えば、130℃以下、好ましくは、125℃以下である。(メタ)アクリロニトリルが用いられる場合には、好ましくは、30℃以上、130℃以下である。
【0098】
第2ポリマーのガラス転移温度が上記範囲であれば、成膜性および耐久性(耐熱性)の向上を図ることができる。
【0099】
なお、溶解パラメータおよびガラス転移温度としては、Million Zillion Software社の計算ソフトCHEOPS(version4.0)にて算出された値が採用される。なお、この計算ソフトで用いられる計算手法は、Computational Materials Science of Polymers(A.A.Askadskii, Cambridge Intl Science Pub (2005/12/30))Chapter XIIに記載の方法である(以下同様)。
【0100】
水分散型樹脂組成物は、上記の第1ポリマーと上記の第2ポリマーとを含有していれば、特に制限されず、例えば、上記した方法によって、第1ポリマーと第2ポリマーとを別々に製造した後、それらを混合することにより得ることができる。
【0101】
水分散型樹脂組成物において、第1ポリマーと第2ポリマーとの配合割合は、例えば、第2ポリマー100質量部に対して、第1ポリマーの含有割合が、例えば、5質量部以上、好ましくは、10質量部以上であり、例えば、500質量部以下、好ましくは、200質量部以下である。
【0102】
第1ポリマーと第2ポリマーとの配合割合が上記範囲であれば、作業性よく水分散型樹脂組成物を得ることができ、また、走行安定性および耐久性の向上を図ることができる。
【0103】
また、水分散型樹脂組成物の固形分濃度は、例えば、10質量%以上、好ましくは、15質量%以上であり、例えば、60質量%以下、好ましくは、50質量%以下である。
【0104】
また、水分散型樹脂組成物のpHは、例えば、5.5以上、好ましくは、6.0以上であり、例えば、11以下、好ましくは、10以下である。
【0105】
また、その他の方法として、例えば、まず、第1ポリマーを製造し、得られる第1ポリマーの存在下において第2ポリマーを製造することができる。さらに、例えば、まず、第2ポリマーを製造し、得られる第2ポリマーの存在下において、第1ポリマーを製造することができる。
【0106】
好ましくは、まず、第1ポリマーを製造し、得られる第1ポリマーの存在下において、第2ポリマーを製造するか、または、まず、第2ポリマーを製造し、得られる第2ポリマーの存在下において、第1ポリマーを製造する。
【0107】
とりわけ好ましくは、まず、第2ポリマーを製造し、得られる第2ポリマーの存在下において、第1ポリマーを製造する。
【0108】
これにより、好ましくは、第2ポリマーが第1ポリマーに被覆されている粒子(コアシェル粒子)として、水分散型樹脂組成物を得ることができる。
【0109】
架橋剤としては、例えば、ジルコニウム化合物、ポリアミドエピクロロヒドリン、ポリアミンエピクロロヒドリン、カルボジイミド化合物、および、これらの変性体などが挙げられる。
【0110】
ジルコニウム化合物としては、例えば、塩化ジルコニウム、硫酸ジルコニウム、硝酸ジルコニウム、酢酸ジルコニウム、炭酸ジルコニウム、ステアリン酸ジルコニウム、オクチル酸ジルコニウム、珪酸ジルコニウム、オキシ硝酸ジルコニウム、炭酸ジルコニウムカリウム、炭酸ジルコニウムアンモニウムが挙げられ、好ましくは、炭酸ジルコニウムアンモニウムが挙げられる。
【0111】
カルボジイミド化合物としては、例えば、公知のジイソシアネート(例えば、脂環族ジイソシアネート(4,4’-メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート))の脱炭酸縮合反応により生成するカルボジイミド変性体などが挙げられる。
【0112】
架橋剤としては、好ましくは、ジルコニウム化合物、ポリアミドエピクロロヒドリン変性体、カルボジイミド化合物、より好ましくは、ポリアミドエピクロロヒドリン変性体が挙げられる。
【0113】
そして、コーティング組成物を調製するには、水分散型樹脂組成物および架橋剤を混合する。
【0114】
架橋剤の配合割合は、水分散型樹脂組成物の固形分100質量部に対して、例えば、1質量部以上であり、また、例えば、20質量部以下である。
【0115】
また、コーティング組成物は、さらに、非架橋性尿素化合物を含有することができる。
【0116】
非架橋性尿素化合物は、分子量1000以下であって、上記第1ポリマーおよび上記第2ポリマーと架橋構造を形成しない尿素化合物として定義される。
【0117】
非架橋性尿素化合物としては、例えば、分子中に有するメチロール基が1個以下である、尿素または尿素誘導体が挙げられる。
【0118】
また、非架橋性尿素化合物としては、例えば、下記式(1)または下記式(2)で表される化合物が挙げられる。
【0119】
【0120】
(上記式(1)中、R1~R4は、それぞれ独立して、水素原子、または、水酸基を有してもよい炭素数1~12のアルキル基を表し、R1~R4の2つ以上が水酸基を有することはない。)
【0121】
【0122】
(上記式(2)中、R1~R4は、それぞれ独立して、水素原子、または、水酸基を有してもよい炭素数1~12のアルキル基を表し、R1~R4の2つ以上が水酸基を有することはない。)
R1~R4は、それぞれ独立して、水素原子、または、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、n-ブチル基、n-ヘキシルなどの直鎖アルキル基、例えば、i-プロピル基、i-ブチル基、t-ブチル基などの分枝鎖アルキル基、2-ヒドロキシエチル基、3-ヒドロキシプロピル基などのモノヒドロキシアルキル基などの、水酸基を有していてもよい炭素数1~12のアルキル基を表す。
【0123】
R1~R4として、好ましくは、水素原子、炭素数1~9のアルキル基が挙げられ、さらに好ましくは、水素原子、メチル基、エチル基が挙げられる。
【0124】
ただし、R1~R4の2つ以上が水酸基を有することはない。つまり、R1~R4のうち1つが水酸基を有する炭素数1~12のアルキル基である場合には、残り3つが、水素原子、または、水酸基を有しない炭素数1~12のアルキル基である。
【0125】
また、上記式(1)および上記式(2)の好ましい形態としては、R1~R4のうち2つが水酸基を有しない炭素数1~12のアルキル基で、残り2つが水素原子、R1~R4のうち1つが水酸基を有する炭素数1~12のアルキル基で、残り3つが水素原子、または、R1~R4の全てが水素原子である。
【0126】
より好ましい形態としては、R1~R4のうち2つが水酸基を有しない炭素数1~12のアルキル基で、残り2つが水素原子、または、R1~R4の全てが水素原子である。さらに好ましい形態としては、R1~R4のうち2つが水酸基を有しない炭素数1~12のアルキル基で、残り2つが水素原子である。
【0127】
また、非架橋性尿素化合物として、例えば、尿素、例えば、1-アルキル尿素などのモノアルキル尿素、例えば、1,1-ジアルキル尿素、1,3-ジアルキル尿素などのジアルキル尿素、例えば、1-ヒドロキシアルキル尿素などのヒドロキシアルキル尿素、例えば、上記モノアルキル尿素、上記ジアルキル尿素および上記ヒドロキシアルキル尿素のビウレット体などの尿素誘導体が挙げられる。
【0128】
1-モノアルキル尿素としては、例えば、1-メチル尿素、1-エチル尿素などが挙げられ、好ましくは、1-メチル尿素が挙げられる。
【0129】
1,1-ジアルキル尿素としては、例えば、1,1-ジメチル尿素、1,1-ジエチル尿素などが挙げられ、好ましくは、1,1-ジメチル尿素が挙げられる。
【0130】
1,3-ジアルキル尿素としては、例えば、1,3-ジメチル尿素、1,3-ジエチル尿素などが挙げられ、好ましくは、1,3-ジメチル尿素が挙げられる。
【0131】
1-ヒドロキシアルキル尿素としては、例えば、1-(2-ヒドロキシエチル)尿素、1-(3-ヒドロキシプロピル)尿素などが挙げられる。
【0132】
尿素、上記モノアルキル尿素、上記ジアルキル尿素および上記ヒドロキシアルキル尿素のビウレット体としては、例えば、ビウレット(尿素の二量体、C2H5N3O2)、N,N-ジメチルビウレットなどが挙げられ、好ましくは、ビウレット(尿素の二量体、C2H5N3O2)が挙げられる。
【0133】
また、非架橋性尿素化合物として、好ましくは、尿素、1-アルキル尿素、1,1-ジアルキル尿素、1,3-ジアルキル尿素、1-ヒドロキシアルキル尿素およびビウレット(尿素の二量体、C2H5N3O2)が挙げられ、より好ましくは、尿素、1,1-ジアルキル尿素、1,3-ジアルキル尿素が挙げられる。さらに好ましくは、尿素または1,1-ジメチル尿素または1,3-ジメチル尿素が挙げられる。
【0134】
コーティング組成物が非架橋性尿素化合物を含有することで、耐水性、耐可塑剤性の向上を図ることができる。
【0135】
非架橋性尿素化合物の配合割合は、第1ポリマーおよび第2ポリマーの総量(固形分)100質量部に対して、例えば、0.1質量部以上、好ましくは、1質量部以上、より好ましくは、2質量部以上、さらに好ましくは、5質量部以上であり、また、例えば、50質量部以下、好ましくは、40質量部以下、より好ましくは、30質量部以下、さらに好ましくは、20質量部以下である。
【0136】
非架橋性尿素化合物の配合割合が上記範囲内であると、耐水性、耐可塑剤性の向上を図ることができる。
【0137】
また、コーティング組成物は、さらに、その他のポリマー(第1ポリマーおよび第2ポリマーを除くポリマー)、充填剤などを含むことができる。
【0138】
その他のポリマーとしては、例えば、ポリオレフィン樹脂などが挙げられ、具体的には、例えば、炭素数2~16のα-オレフィン(例えば、エチレン、プロピレン、1-ブテン、3-メチル-1-ブテン、4-メチル-1-ペンテン、3-メチル-1-ペンテン、1-ヘプテン、1-ヘキセン、1-オクテン、1-デセン、1-ドデセンなど)の単独重合体および共重合体が挙げられる。好ましくは、エチレン、プロピレン、1-ブテンの単独重合体および共重合体が挙げられる。
【0139】
その他のポリマーが配合される場合、その配合割合は、目的および用途に応じて、適宜設定される。
【0140】
より具体的には、例えば、ポリオレフィン樹脂が滑剤として配合される場合、その配合割合は、第1ポリマーおよび第2ポリマーの総量100質量部に対して、例えば、0.5質量部以上、好ましくは、2質量部以上、より好ましくは、3質量部以上、さらに好ましくは、5質量部以上であり、例えば、50質量部以下、好ましくは、40質量部以下、より好ましくは、35質量部以下、さらに好ましくは、30質量部以下である。
【0141】
充填剤としては、例えば、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、カオリン、タルク、クレー、水酸化アルミニウム、硫酸バリウム、酸化ケイ素、酸化チタン、酸化亜鉛、コロイダルシリカなどの無機充填剤、例えば、尿素-ホルマリン樹脂、ポリスチレン微粉末などの有機微粒子などが挙げられる。これら充填剤は、単独使用または2種類以上併用することができる。
【0142】
充填剤の配合割合は、目的および用途に応じて、適宜設定される。
【0143】
さらに、コーティング組成物は、本発明の優れた効果を阻害しない範囲において、例えば、高級脂肪酸金属塩、高級脂肪酸アミドなどの滑剤(ポリオレフィン樹脂を除く滑剤)、造膜助剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、消泡剤、濡れ剤、粘度調整剤、その他の助剤などの公知の添加剤を含有することができる。添加剤の含有割合は、目的および用途に応じて、適宜設定される。
【0144】
これにより、コーティング組成物を調製する。
【0145】
【0146】
基材2としては、特に限定されず、例えば、紙、プラスチックシート、金属フィルムなどが挙げられる。
【0147】
次いで、
図1Bに示すように、コーティング組成物を、基材2の一方面に塗布し、塗膜3を形成する。
【0148】
コーティング組成物を、基材2の一方面に塗布し、塗膜3を形成するには、基材2の一方面の全面に、コーティング組成物を塗布し、乾燥させる。
【0149】
塗布方法としては、例えば、カーテンコート法、ロールコート法、ブレードコート法、バーコート法などの公知のコート法などが挙げられる。
【0150】
乾燥条件として、乾燥温度は、例えば、20℃以上、好ましくは、40℃以上であり、また、例えば、70℃以下、好ましくは、60℃以下であり、また、乾燥時間は、例えば、10秒以上、好ましくは、30秒以上であり、また、例えば、120秒以下、好ましくは、90秒以下である。
【0151】
このとき、コーティング組成物における水分散型樹脂組成物中の第2ポリマーが含有するカルボン酸塩(例えば、アンモニウム塩)の少なくとも一部が、カルボキシル基に戻る。
【0152】
これにより、基材2の一方面に、塗膜3が形成される。
【0153】
塗膜3の単位面積当たりの質量は、例えば、1g/m2以上であり、また、例えば、10g/m2以下、好ましくは、5g/m2以下である。
【0154】
塗膜3の厚みは、例えば、1μm以上であり、また、例えば、5μm以下である。
【0155】
次に、養生工程では、塗膜3を、所定の湿度で養生する。
【0156】
具体的には、養生湿度は、40%RH以上、好ましくは、60%RH以上、より好ましくは、70%RH以上であり、また、例えば、95%RH以下、好ましくは、80%RH以下である。
【0157】
養生湿度が、上記上限以下であれば、養生時間が短くても、耐水性に優れる塗膜3を得ることができる。
【0158】
一方、上記上限を超過すると、耐水性に優れる塗膜3を得ることができない。または、養生時間が短いと、耐水性に優れる塗膜3を得ることができない。
【0159】
また、養生湿度が、上記下限以上であれば、後述する架橋反応が促進され、養生時間が短くても、耐水性に優れる塗膜3を得ることができる。
【0160】
一方、上記下限未満であれば、耐水性に優れる塗膜3を得ることができない。または、養生時間が短いと、耐水性に優れる塗膜3を得ることができない。
【0161】
養生温度は、例えば、23℃以上、好ましくは、35℃以上であり、また、例えば、60℃以下、好ましくは、50℃以下である。
【0162】
養生温度が、上記下限以上であれば、養生時間がより一層短くても、耐水性に優れる塗膜3を得ることができる。
【0163】
また、養生温度が、上記上限以下であれば、養生時間が短くても、より一層耐水性に優れる塗膜3を得ることができる。
【0164】
養生時間は、例えば、90時間以下、好ましくは、60時間以下、より好ましくは、40時間以下、さらに好ましくは、20時間以下、とりわけ好ましくは、16時間以下、最も好ましくは、10時間以下、さらには、6時間以下であり、また、例えば、1時間以上である。
【0165】
このとき、水分散型樹脂組成物中の第1ポリマーまたは第2ポリマーが含有するカルボン酸塩のカルボキシル基(上記した乾燥により、カルボン酸塩から戻ったカルボキシル基)と、架橋剤とが架橋反応する。
【0166】
これにより、基材2と、塗膜3とを順に備えた積層体1(詳しくは、基材2と、基材2の一方面に配置された塗膜3とを備える積層体1)が得られる。
【0167】
なお、上記した説明では、積層体1は、基材2および塗膜3からなるが、例えば、基材2および塗膜3の間に中間層(図示せず)が介在されていてもよい。好ましくは、積層体1は、基材2および塗膜3からなる。
【0168】
このような積層体の製造方法によれば、養生時間が短くても、耐水性に優れる塗膜3を備える積層体1を得ることができるため、この積層体の製造方法は、積層体1の一例としての、感熱記録材料の製造に好適に用いることができる。
【0169】
以下、感熱記録材料の製造方法について、
図2を参照して、説明する。
【0170】
感熱記録材料の製造方法の一実施形態は、感熱記録層用樹脂組成物を、支持層12に塗布し、感熱記録層13を形成する感熱記録層形成工程と、感熱記録層13を所定の湿度で養生する感熱記録層養生工程と、保護層用樹脂組成物を、感熱記録層13に塗布し、保護層14を形成する保護層形成工程と、保護層14を所定の湿度で養生する保護層養生工程とを備える。
【0171】
感熱記録層形成工程では、まず、感熱記録層用樹脂組成物を調製する。
【0172】
感熱記録層用樹脂組成物は、上記したコーティング組成物、染料および顕色剤を含む。
【0173】
染料としては、例えば、フロオラン系有機染料、トリアリルメタン系有機染料、フェノキシアジン系有機染料など、公知の塩基性有機染料が挙げられる。
【0174】
顕色剤としては、特に制限されず、例えば、フェノール性化合物、芳香族カルボン酸など、公知の顕色剤が挙げられる。
【0175】
染料と顕色剤との配合割合は、染料100質量部に対して、顕色剤が、例えば、100質量部以上であり、例えば、3000質量部以下である。
【0176】
これら染料および顕色剤が、上記のコーティング組成物の存在下において湿式粉砕され、混合されることにより、感熱記録層用樹脂組成物が得られる。また、例えば、染料および顕色剤が、上記のコーティング組成物の他の水性樹脂組成物(例えば、ポリビニルアルコールなど)の存在下において分散され、得られた分散液と上記のコーティング組成物とが混合されることによっても、感熱記録層用樹脂組成物が得られる。
【0177】
感熱記録層用樹脂組成物における配合割合は、特に制限されないが、染料および顕色剤の総量100質量部に対して、コーティング組成物の固形分が、例えば、5質量部以上、好ましくは、10質量部以上であり、例えば、30質量部以下、好ましくは、20質量部以下である。
【0178】
また、感熱記録層用樹脂組成物は、必要により、例えば、炭酸カルシウム、タルク、カオリンなどの無機顔料、例えば、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、トリアゾール系紫外線吸収剤、ワックス、脂肪酸アミドなどの増感剤などを、目的および用途に応じて、適宜の割合で含有することができる。
【0179】
次いで、
図2Aに示すように、支持層12を準備する。
【0180】
支持層12としては、例えば、紙、プラスチックシートなどが挙げられる。
【0181】
次いで、
図2Bに示すように、感熱記録層用樹脂組成物を、支持層12の一方面に塗布し、感熱記録層13を形成する。
【0182】
感熱記録層用樹脂組成物を、支持層12の一方面に塗布し、感熱記録層13を形成するには、支持層12の一方面の全面に、感熱記録層用樹脂組成物を塗布し、乾燥させる。
【0183】
塗布方法としては、上記したコーティング組成物を基材2に塗布する方法と同様の塗布方法が挙げられる。
【0184】
乾燥条件としては、上記したコーティング組成物を基材2に塗布し、乾燥させるときの乾燥条件と同様である。
【0185】
このとき、感熱記録層用樹脂組成物における水分散型樹脂組成物中の第2ポリマーが含有するカルボン酸塩(例えば、アンモニウム塩)の少なくとも一部が、カルボキシル基に戻る。
【0186】
これにより、支持層12の一方面に、感熱記録層13が形成される。
【0187】
感熱記録層13の単位面積当たりの質量は、上記した塗膜3の単位面積当たりの質量と同様である。
【0188】
感熱記録層13の厚みは、例えば、1μm以上であり、また、例えば、5μm以下である。
【0189】
次に、感熱記録層養生工程では、感熱記録層13を、所定の湿度で養生する。
【0190】
養生湿度は、上記した塗膜3の養生湿度と同様である。これにより、養生時間が短くても、耐水性に優れる感熱記録層13を得ることができる。
【0191】
また、養生温度および養生時間も、上記した塗膜3の養生温度および養生時間と同様である。
【0192】
このとき、水分散型樹脂組成物中の第1ポリマーまたは第2ポリマーが含有するカルボン酸塩のカルボキシル基(上記した乾燥により、カルボン酸塩から戻ったカルボキシル基)と、架橋剤とが架橋反応する。
【0193】
次いで、保護層形成工程では、まず、保護層用樹脂組成物を調製する。
【0194】
保護層用樹脂組成物は、上記したコーティング組成物を含み、好ましくは、保護層用樹脂組成物として、上記したコーティング組成物をそのまま用いる。
【0195】
次いで、
図2Cに示すように、保護層用樹脂組成物を、感熱記録層13の一方面に塗布し、保護層14を形成する。
【0196】
保護層用樹脂組成物を、感熱記録層13の一方面に塗布し、保護層14を形成するには、感熱記録層13の一方面の全面に、保護層用樹脂組成物を塗布し、乾燥させる。
【0197】
塗布方法としては、上記したコーティング組成物を基材2に塗布する方法と同様の塗布方法が挙げられる。
【0198】
乾燥条件としては、上記したコーティング組成物を基材2に塗布し、乾燥させるときの乾燥条件と同様である。
【0199】
このとき、保護層用樹脂組成物における水分散型樹脂組成物中の第2ポリマーが含有するカルボン酸塩(例えば、アンモニウム塩)の少なくとも一部が、カルボキシル基に戻る。
【0200】
これにより、感熱記録層13の一方面に、保護層14が形成される。
【0201】
保護層14の単位面積当たりの質量は、上記した塗膜3の単位面積当たりの質量と同様である。
【0202】
保護層14の厚みは、例えば、1μm以上であり、また、例えば、5μm以下である。
【0203】
次に、保護層養生工程では、保護層14を、所定の湿度で養生する。
【0204】
養生湿度は、上記した塗膜3の養生湿度と同様である。これにより、養生時間が短くても、耐水性に優れる保護層14を得ることができる。
【0205】
また、養生温度および養生時間も、上記した塗膜3の養生温度および養生時間と同様である。
【0206】
このとき、水分散型樹脂組成物中の第1ポリマーまたは第2ポリマーが含有するカルボン酸塩のカルボキシル基(上記した乾燥により、カルボン酸塩から戻ったカルボキシル基)と、架橋剤とが架橋反応する。
【0207】
これにより、支持層12と感熱記録層13と保護層14とを順に備えた感熱記録材料11(詳しくは、支持層12と、支持層12の一方面に配置された感熱記録層13と、感熱記録層13の一方面に配置された保護層14とを備える感熱記録材料11)が得られる。
【0208】
このような感熱記録材料の製造方法によれば、養生時間が短くても、耐水性に優れる感熱記録層13および保護層14を備える感熱記録材料11を得ることができる。
【0209】
なお、上記した説明では、感熱記録材料11において、感熱記録層13および保護層14の両方が、上記のコーティング組成物を含む組成物(具体的には、感熱記録層用組成物または保護層用組成物)によって形成されているが、例えば、感熱記録層13または保護層14のいずれか一方のみが、上記のコーティング組成物を含む組成物によって形成されていてもよい。そのような場合、上記のコーティング組成物を含む組成物によって形成されない感熱記録層13または保護層14は、公知の方法によって形成される。
【0210】
また、上記した説明では、感熱記録材料11は、支持層12、感熱記録層13および保護層14からなるが、例えば、支持層12と感熱記録層13との間や、感熱記録層13と保護層14との間に、中間層(図示せず)が介在されていてもよい。好ましくは、感熱記録材料11は、支持層12、感熱記録層13および保護層14からなる。
【実施例】
【0211】
次に、本発明を、実施例および比較例に基づいて説明するが、本発明は、下記の実施例によって限定されるものではない。なお、「部」および「%」は、特に言及がない限り、質量基準である。また、以下の記載において用いられる配合割合(含有割合)、物性値、パラメータなどの具体的数値は、上記の「発明を実施するための形態」において記載されている、それらに対応する配合割合(含有割合)、物性値、パラメータなど該当記載の上限値(「以下」、「未満」として定義されている数値)または下限値(「以上」、「超過」として定義されている数値)に代替することができる。
1.水分散型樹脂組成物の調製
合成例1
攪拌機、還流冷却機付きのセパラブルフラスコに、脱イオン水60部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.1部、および、過硫酸カリウム1.0部を仕込み、窒素ガスで置換した後、75℃に昇温した。次いで、下記組成の混合物(第2モノマー成分と水および乳化剤との混合物)を、約4時間で連続添加した後、75℃において約4時間保持することで重合を完結させ、固形分約25%のシードエマルションを得た。
アクリロニトリル 45部
アクリル酸n-ブチル 45部
メタクリル酸 3部
メタクリル酸2-ヒドロキシエチル 5部
N-メチロールアクリルアミド 2部
ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.3部
脱イオン水 40部
次いで、同様のセパラブルフラスコに、上記で得られたシードエマルション1000部、および、脱イオン水1000部を仕込み、75℃に昇温した。次いで、過硫酸アンモニウム2.0部を添加し、下記組成の混合物(第1モノマー成分と水との混合物)を、攪拌しながら2時間かけて連続的に添加した。その後、2時間保持し、重合を完結させた。
メタクリルアミド 70部
メタクリル酸 20部
メタクリル酸2-ヒドロキシエチル 10部
脱イオン水 300部
その後、引き続きアンモニア水を添加してアルカリ性とし、さらに。3時間その温度(75℃)を保持して、膨潤軟化処理した。その後、室温まで冷却し、pHが約7.4に調製された固形分約25%の水分散型樹脂組成物を得た。
2.コーティング組成物の調製
調製例1
合成例1の水分散型樹脂組成物(固形分約25%)100部に、脱イオン水86部を加えて希釈し、次いで、架橋剤として、ポリアミドエピクロロヒドリン変性体25%水溶液(星光PMC製、WS4027)を、固形分換算で、水分散型樹脂組成物中の固形分に対して15質量%を均一に混合し、コーティング組成物を得た。
【0212】
調製例2
合成例1の水分散型樹脂組成物(固形分約25%)100部に、脱イオン水86部を加えて希釈し、次いで、架橋剤として、炭酸ジルコニウムアンモニウム17%水溶液(サンノプコ製、AZ-coat 5800MT)を、固形分換算で、水分散型樹脂組成物中の固形分に対して5質量%を均一に混合し、コーティング組成物を得た。
【0213】
調製例3
合成例1の水分散型樹脂組成物(固形分約25%)100部に、脱イオン水86部を加えて希釈し、次いで、架橋剤として、カルボジイミド40%水溶液(日清紡ケミカル製、カルボジライト SV-02)を、固形分換算で、水分散型樹脂組成物中の固形分に対して5質量%を均一に混合し、コーティング組成物を得た。
3.積層体の製造
比較例4
調製例1のコーティング組成物を、市販の表面無処理感熱ワードプロセッサ用紙に、乾燥質量で3g/m2になるようにバーコーターにて塗布した後、50℃で60秒強制乾燥させ、塗膜を形成した。その後、その塗膜を、養生温度40℃、養生湿度95%RH、養生時間4時間、8時間、16時間の条件下で、養生させた。これにより、積層体を製造した。
【0214】
実施例2、実施例5、実施例8、比較例1~比較例9
表1の記載に従って、コーティング組成物、養生湿度、養生温度および養生時間を変更した以外は、比較例4と同様の手順で、積層体を製造した。
4.評価
各実施例および各比較例の積層体の塗膜面に水を20μl垂らし、塗膜面同士が重なるように積層体を重ね合わせた。その後、5g/cm2の荷重をかけ、23℃にて30分間放置した後、重ねた面を剥がしてブロッキング状態を判定した。
◎:ブロッキングが全く無く、容易に剥がれた。
○:剥がす際に多少抵抗があるが、問題なく剥がれ、塗膜面の一部に欠陥らしき傷がみられた。
△:剥がす際に抵抗が強く、剥がすと塗膜面の半分程度に渡って欠陥らしき傷がみられた。
▲:剥がす際に抵抗が強く、剥がすと塗膜面の至るところに欠陥らしき傷がみられた。
×:抵抗が強いため剥がしづらく、塗膜面の損傷が激しかった。
【0215】
【符号の説明】
【0216】
1 積層体
2 基材
3 塗膜
11 感熱記録材料
12 支持層
13 感熱記録層
14 保護層