(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-18
(45)【発行日】2025-02-27
(54)【発明の名称】軽量カウルクロスバー及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
B62D 25/08 20060101AFI20250219BHJP
B29C 70/16 20060101ALI20250219BHJP
B29C 70/32 20060101ALI20250219BHJP
B29C 48/09 20190101ALI20250219BHJP
B29C 48/32 20190101ALI20250219BHJP
B29C 48/885 20190101ALI20250219BHJP
B29C 48/151 20190101ALI20250219BHJP
B29K 105/08 20060101ALN20250219BHJP
B29L 9/00 20060101ALN20250219BHJP
B29L 23/00 20060101ALN20250219BHJP
【FI】
B62D25/08 J
B29C70/16
B29C70/32
B29C48/09
B29C48/32
B29C48/885
B29C48/151
B29K105:08
B29L9:00
B29L23:00
(21)【出願番号】P 2020211829
(22)【出願日】2020-12-21
【審査請求日】2023-10-13
(31)【優先権主張番号】10-2020-0084666
(32)【優先日】2020-07-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】591251636
【氏名又は名称】現代自動車株式会社
【氏名又は名称原語表記】HYUNDAI MOTOR COMPANY
【住所又は居所原語表記】12, Heolleung-ro, Seocho-gu, Seoul, Republic of Korea
(73)【特許権者】
【識別番号】500518050
【氏名又は名称】起亞株式会社
【氏名又は名称原語表記】KIA CORPORATION
【住所又は居所原語表記】12, Heolleung-ro, Seocho-gu, Seoul, Republic of Korea
(73)【特許権者】
【識別番号】509286787
【氏名又は名称】エルエックス・ハウシス・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】LX HAUSYS,LTD.
【住所又は居所原語表記】98, Huam-ro, Jung-gu, Seoul, Republic of Korea
(73)【特許権者】
【識別番号】507098483
【氏名又は名称】ヒュンダイ・モービス・カンパニー・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000051
【氏名又は名称】弁理士法人共生国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】安 在 憲
(72)【発明者】
【氏名】韓 寅 守
(72)【発明者】
【氏名】金 熙 錫
(72)【発明者】
【氏名】金 溢 湘
(72)【発明者】
【氏名】鄭 益 ジン
(72)【発明者】
【氏名】張 庚 勳
(72)【発明者】
【氏名】兪 榮 振
(72)【発明者】
【氏名】朴 相 ヒョン
(72)【発明者】
【氏名】李 旭 熙
(72)【発明者】
【氏名】鄭 龍 雨
(72)【発明者】
【氏名】崔 益 根
(72)【発明者】
【氏名】趙 鎔 賛
【審査官】諸星 圭祐
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第00/022334(WO,A1)
【文献】特開2017-178088(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第00585618(EP,A1)
【文献】実開平04-024881(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2008/0087371(US,A1)
【文献】独国特許出願公開第10240395(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 48/00-48/96
B29C 70/00-70/88
B29K 105/08
B29L 9/00
B29L 23/00
B62D 25/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内側パイプを製作するステップと、
前記内側パイプ上に複合素材が巻取られる複数のワインディングレイヤからなるワインディング層を積層するステップと、
前記ワインディング層の上層に
鋸歯形状の外側パイプを押し出すステップと、を含み、
前記ワインディング層の互いに隣接した複合素材は、互いに異なる方向に巻取られることを特徴とする軽量カウルクロスバーの製造方法。
【請求項2】
前記内側パイプを製作するステップにおいて、
押出金型により前記内側パイプを押し出すステップと、
押し出された前記内側パイプを冷却するステップと、をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の軽量カウルクロスバーの製造方法。
【請求項3】
前記外側パイプを製作するステップにおいて、
押出金型により前記ワインディング層の上面に前記外側パイプを押し出すステップと、
押し出された前記外側パイプを冷却するステップと、をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の軽量カウルクロスバーの製造方法。
【請求項4】
前記ワインディング層は、2つ以上の互いに異なるワインディングレイヤからなることを特徴とする請求項1に記載の軽量カウルクロスバーの製造方法。
【請求項5】
前記ワインディング層は、
前記内側パイプ上に位置し、第1方向に沿って形成される第1ワインディングレイヤを積層するステップと、
前記第1ワインディングレイヤ上に位置し、第1方向と所定の角度を有する第2方向に沿って構成される第2ワインディングレイヤを積層するステップと、をさらに含むことを特徴とする請求項4に記載の軽量カウルクロスバーの製造方法。
【請求項6】
前記ワインディング層は、
前記第2ワインディングレイヤ上に第3ワインディングレイヤを積層するステップと、
前記第3ワインディングレイヤ上に第4ワインディングレイヤを積層するステップと、をさらに含むことを特徴とする請求項5に記載の軽量カウルクロスバーの製造方法。
【請求項7】
前記内側パイプ上に複合素材が巻取られる複数のワインディングレイヤからなるワインディング層を積層するステップにおいて、
前記複数のワインディングレイヤが積層された後に引抜きを行うステップと、をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の軽量カウルクロスバーの製造方法。
【請求項8】
前記内側パイプ上に複合素材が巻取られる複数のワインディングレイヤからなるワインディング層を積層するステップにおいて、
前記ワインディング層を構成する複合素材は、ポリプロピレンおよび単一配向繊維複合素材の組み合わせからなることを特徴とする請求項1に記載の軽量カウルクロスバーの製造方法。
【請求項9】
カウルクロスビームの内側に位置する内側パイプと、
前記内側パイプの外面に沿って形成されるワインディング層と、
前記ワインディング層の上面に位置する外側パイプと、で構成さ
れ、
前記外側パイプは、鋸歯形状を有するように構成されることを特徴とする軽量カウルクロスバー。
【請求項10】
前記ワインディング層は、単一配向繊維複合素材からなることを特徴とする請求項9に記載の軽量カウルクロスバー。
【請求項11】
前記ワインディング層は、互いに異なる角度を有する少なくとも2つ以上の単一配向繊維からなることを特徴とする請求項9に記載の軽量カウルクロスバー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、軽量カウルクロスバー及びその製造方法に関し、より詳しくは、プラスチック素材からなり、重量が低減され、十分な剛性を確保するための結合関係を有する軽量カウルクロスバー及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、自動車の車体は、両側に配置されたサイドフレームと、サイドフレームを横に連結する数個のクロスビームとからなっている。このうち、カウルクロスビームは、カウルパネルの後方の車室側に横方向に設けられて車体前方に剛性を付与する構造物である。カウルクロスビームは、ステアリングカラムを支持し、ステアリングカラムから伝達されるエンジンの振動を十分に吸収できる剛性を有する。カウルクロスビームの中央部下側には、カウルクロスビームを支持する一対のサポートレグ(support leg)が結合する。サポートレグは、ステアリング装置からの振動を車体の下部に分散させる役割を果たす。サポートレグには、サポートレグの横方向の剛性を増大するための連結バーが設けられる。
【0003】
カウルクロスビームの両側には、サイドフレームに結合するための側面締結部が設けられる。また、カウルクロスビームには、計器盤、エアコンディショニングダクト、音響装置、ヒューズボックス、エアバッグなどを設けるための各種ブラケットが設けられる。カウルクロスビームに結合するサポートレグ、側面締結部および各種ブラケットは、プレス、押出、鋳造などによってそれぞれ生産された後、溶接によりカウルクロスビームに結合する。ただし、自律走行車の供給に基づき、車両の前方スリムコックピットの形状に応じてカウルクロスバーの構造変更が要求され、また、従来の内燃機関車の場合、アルミニウムカウルクロスバーの構成によって重量が増大し、車両の燃費が悪くなる問題点が存在していた。そのため、最近では、軽量カウルクロスバーへの要求が高まっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】韓国公開特許第10-2006-0005787号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記の問題点を解決するためになされたもので、本発明の目的は、軽量プラスチックからなり、安定的な剛性が得られるカウルクロスバーの製造方法と、複数のワインディング層を含むカウルクロスバーの製造方法により軽量化されたカウルクロスバーを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明による軽量カウルクロスバーの製造方法は、内側パイプを製作するステップと、前記内側パイプ上に複合素材が巻取られて複数のワインディング層を積層するステップと、前記ワインディング層の上層に外側パイプを押し出すステップと、を含み、前記複数のワインディング層の互いに隣接した複合素材は、互いに異なる方向に巻取られることを特徴とする。
【0007】
前記内側パイプを製作するステップにおいて、押出金型により前記内側パイプを押し出すステップと、押し出された前記内側パイプを冷却するステップと、をさらに含むことを特徴とする。
【0008】
前記外側パイプを製作するステップにおいて、押出金型により前記ワインディング層の上面に前記外側パイプを押し出すステップと、押し出された前記外側パイプを冷却するステップと、をさらに含むことを特徴とする。
【0009】
前記ワインディング層は、4つの互いに異なるワインディングレイヤからなることを特徴とする。
【0010】
前記ワインディング層は、前記内側パイプ上に位置し、第1方向に沿って形成される第1ワインディングレイヤを積層するステップと、前記第1ワインディングレイヤ上に位置し、第1方向と所定の角度を有する第2方向に沿って構成される第2ワインディングレイヤを積層するステップと、をさらに含むことを特徴とする。
【0011】
前記ワインディング層は、前記第2ワインディングレイヤ上に第1方向と同じ方向を有するように構成される第3ワインディングレイヤを積層するステップと、前記第3ワインディングレイヤ上に第2方向と同じ方向を有するように構成される第4ワインディングレイヤを積層するステップと、をさらに含むことを特徴とする。
【0012】
前記内側パイプ上に複合素材が巻取られて複数のワインディング層を積層するステップにおいて、前記複数のワインディングレイヤが積層された後に引抜きを行うステップと、をさらに含むことを特徴とする。
【0013】
前記内側パイプ上に複合素材が巻取られて複数のワインディング層を積層するステップにおいて、前記ワインディング層を構成する複合素材は、ポリプロピレンおよび単一配向繊維複合素材の組み合わせからなることを特徴とする。
【0014】
本発明による軽量カウルクロスバーは、車体の一側に配置されたサイドフレームに位置する第1カウルクロスビームと、前記第1カウルクロスビームと少なくとも一部が重なるように締結され、車体の他側に配置されたサイドフレームに固定される第2カウルクロスビームと、を含み、前記第1カウルクロスビームまたは第2カウルクロスビームの内側に位置する内側パイプと、前記内側パイプの外面に沿って形成されるワインディング層と、前記ワインディング層の上面に位置する外側パイプと、で構成されることを特徴とする。
【0015】
前記ワインディング層は、単一配向繊維複合素材からなることを特徴とする。
【0016】
前記ワインディング層は、互いに異なる角度を有する少なくとも2つ以上の単一配向繊維からなることを特徴とする。
【0017】
前記第2カウルクロスビームの外側パイプは、鋸歯形状を有するように構成され、前記第1カウルクロスビームの内周面は、前記鋸歯形状に対応する形状を含むことを特徴とする。
【0018】
前記第1カウルクロスビームの外側面の少なくとも一部は、平らな領域を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、実施例から次の効果を得ることができる。プラスチック素材からなるので、より軽量のカウルクロスバーにできる。また、プラスチック素材からなるカウルクロスバーの剛性を増大させるために、複数のレイヤからなるワインディング層を備えるので、十分な剛性性能を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明による軽量カウルクロスバーの構成図である。
【
図2】本発明による第1カウルクロスビームの断面図である。
【
図3】本発明による第1カウルクロスビームのワインディング層を形成する方法を示す説明図である。
【
図4】本発明による第2カウルクロスビームの側断面図である。
【
図5】本発明による引抜きブロック部の側断面図である。
【
図6】本発明による軽量カウルクロスバーの製造装置の構成図である。
【
図7】本発明による軽量カウルクロスバーの製造方法のフローチャートである。
【
図8】本発明による4つのレイヤからなるワインディング層の製造方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施例を、添付の図面を参照して詳しく説明する。実施例は様々な形態に変形することができ、以下の実施例に限定されるものではない。また、明細書に記載された「...部」、「...ビーム」などの用語は、1つの機能や動作を処理する単位を示す。構成要素を「第1」、「第2」などと区分したのは、その構成が同一の関係で車両の前方を基準として区分したもので、必ずしもその順序に限るものではない。また、この実施例は、カウルクロスビームの個数を限定するものではない。
【0022】
本発明のカウルクロスバー100は、ポリプロピレンおよびガラス繊維(glass fiber:GF)が組み合わされて構成され、少なくとも2つ以上の金型枠を含み、プラスチック射出成形によりカウルクロスバー100が一体に構成される。内側パイプ111の外側を取り囲むワインディング層112は、ポリプロピレン(Polypropylene:PP)と単一配向繊維複合素材(ガラス繊維)との組み合わせからなり、少なくとも2つ以上の層を形成するように構成され、外側パイプ113により取り囲まれるように構成される。以下、複合素材は、ワインディング層のワインディングレイヤを構成する連続繊維を意味する。
【0023】
図1にて、カウルクロスバー100は、車体の両側を横切り、両末端がサイドフレーム300に連結される第1カウルクロスビーム110a、第2カウルクロスビーム110bを含み、第1カウルクロスビーム110a、第2カウルクロスビーム110bおよびサイドフレーム300と結合されるように構成される側面締結部150を含む。第1カウルクロスビーム110a、第2カウルクロスビーム110bの中央部には、車両の車体に支持されるように構成されるサポートレグ120を含む。より好ましくは、第2カウルクロスビーム110bにサポートレグ120が位置し、サポートレグ120は、第2カウルクロスビーム110bと一体に第1カウルクロスビーム110aと締結されるように構成される。サポートレグ120は、車両のコックピットの形状によってその形状が変化可能である。
【0024】
本発明の一実施例において、スリムコックピットを用いる車両に適用されるカウルクロスバー100として、カウルクロスビームの中央部に位置するサポートレグ120は、一定の曲率を含み、車両の車体に固定されるように構成される。曲率を含むサポートレグ120の形状は、車両に適用されるコックピットまたは運転席と助手席のウォークスルー(walk through)形状を含む車両に適用可能である。本発明のカウルクロスバー100の場合、プラスチック素材で一体射出成形されて構成されるが、第1カウルクロスビーム110aと第2カウルクロスビーム110bとに分割されて製作され、第2カウルクロスビーム110bが第1カウルクロスビーム110aの少なくとも一部と重なるように締結されて固定される。より好ましくは、カウルクロスバー100は、ポリプロピレンとガラス繊維とが混合された樹脂の成形により構成される。
【0025】
第1カウルクロスビーム110aは、内側パイプ111と、ワインディング層112と、外側パイプ113と、で構成され、内側パイプ111の上部に単一配向繊維複合素材が少なくとも1つ以上の層を形成するように構成される。外側パイプ113の少なくとも一部の面は平らな状態で構成されるが、ポリプロピレン(Polypropylene:PP)素材からなる第1カウルクロスビーム110aに締結される側面締結部150、ステアリングカラム締結部140がボルト締結されて固定できるように構成される。
【0026】
第1カウルクロスビーム110aは、車体のサイドフレーム300と締結されるように側面締結部150を含む。側面締結部150は、第1カウルクロスビーム110aの一端に締結されるように構成されるが、第1カウルクロスビーム110aの押出時、中空内側に形成されるインサートキャップと締結されて固定される。第1カウルクロスビーム110aの平らな面に締結されるステアリングカラム締結部140を含む。ステアリングカラム締結部140は、第1カウルクロスビーム110aの上面に位置する平らな面に固定され、最外角はスチールブラケット141で構成される。第2カウルクロスビーム110bは、第1カウルクロスビーム110aの内側パイプ111の外径より小さい外径を有するように構成され、引抜きブロック部130を基準として第1カウルクロスビーム110aの内側に第2カウルクロスビーム110bの少なくとも一部が引込まれて固定できるように構成される。
【0027】
より好ましくは、第2カウルクロスビーム110bの一端に位置するサポートレグ120の少なくとも一部は、第2カウルクロスビーム110bと同時に第1カウルクロスビーム110aに引込まれて固定できるように構成される。第1カウルクロスビーム110aの内側に引込まれる第2カウルクロスビーム110bの一端には歯車構造114で構成され、第1カウルクロスビーム110aの内側に挿入可能であり、より好ましくは、サポートレグ120の少なくとも一部が第2カウルクロスビーム110bの歯車構造114で形成され、第1カウルクロスビーム110aの内側に引込まれるように構成される。
【0028】
サポートレグ120の一面には中空部121を含むが、車両に発生する衝撃によって中空部121に搭乗者が接触した場合、中空部121で衝撃を吸収できるように構成される。さらに、サポートレグ120に隣接して位置する引抜きブロック部130は、衝撃を吸収可能な吸収部材131を含むが、吸収部材131は、フォーム(Expanded Polypropylene:EPP)からなり、カウルクロスバー100に印加される衝撃を吸収できるように構成される。サポートレグ120は、第2カウルクロスビーム110bと締結される上端部と、車体の下面に締結される下端部とを含んで構成される。下端部は、上端部に位置する少なくとも1つ以上の締結溝を介して固定される。
【0029】
本発明の一実施例において、締結溝は、上端締結溝および下端締結溝で構成され、上下方向の衝撃に対応して、下端締結溝の支持剛性が上端締結溝の支持剛性より低いように構成される。したがって、カウルクロスバー100およびサポートレグ120に印加される上下方向の衝撃に対応して、下端締結溝が先行して破断し、この後、上端締結溝が破断して上端部と下端部との締結が解除されるように構成される。これによって、カウルクロスバー100の上下方向に印加される衝撃を吸収するようにサポートレグ120が構成される。
【0030】
それだけでなく、本発明の一実施例では、外側パイプ113にインサート射出成形で構成できるサポートレグ120、ステアリングカラム締結部140および側面締結部150を形成することができる。また、サポートレグ120、ステアリングカラム締結部140および側面締結部150などに補強部材としてスチールブラケットを含むことができるが、これは衝撃吸収および破断を防止する機能を行うように構成される。すなわち、本発明の一実施例として、外側パイプ113に少なくとも一部にインサート射出成形によりカウルクロスバーの下位構成を成形できるように構成される。
【0031】
図2は、本発明の一実施例として、第1カウルクロスビーム110aの断面図を示しており、
図3は、ワインディング層112を形成する3つの複合素材からなるワインディングレイヤで構成される製造方法を示している。第1カウルクロスビーム110aは、内側パイプ111、ワインディング層112および外側パイプ113が順次に積層されて中空状に構成される。すなわち、内側パイプ111は、中空状の円形断面を有するように構成され、内側パイプ111の外側に巻取られる少なくとも1つ以上の単一配向繊維複合素材からなるワインディング層112を含む。より好ましくは、本発明の単一配向繊維複合素材は、熱可塑性複合材料(Continuous fiber thermoplastic、CFT)からなる。
【0032】
本発明の一実施例において、ワインディング層112は、3つの複合素材からなるが、最初の内側パイプ111を基準として45度の傾きを有するように第1ワインディングレイヤ112aが巻取られる。第1ワインディングレイヤ112aは、2重の単一配向繊維からなる。この後、最初に巻取られた第1ワインディングレイヤと90度の角度をなすように第2ワインディングレイヤ112bが位置するように構成され、第2ワインディングレイヤ112bは、2重の単一配向繊維からなる。第3ワインディングレイヤ112cは、第1ワインディングレイヤ112aと同じ角度を有するように第2ワインディングレイヤ112bの上面に巻取られる。複合素材は、それぞれ0.25Tの厚さを有するように構成される。本発明の他の実施例では、6つの複合素材層を含むワインディング層112を構成することができる。
【0033】
それぞれの複合素材が巻取られた後には、巻取られたワインディングレイヤ112の加熱平坦化作業を行うように構成されるが、より好ましくは、少なくとも2つの複合素材が巻取られた後に加熱平坦化作業を行うように構成される。
ワインディング層112が形成された後に外側パイプ113が押し出されるように構成されるが、外側パイプ113は、ポリプロピレンとガラス繊維との複合材からなる。より好ましくは、内側パイプ111と外側パイプ113は、同じ素材からなって押し出される。
【0034】
図2に示すように、外側パイプ113の少なくとも一部の領域は、平らな面を含むように構成され、より好ましくは、外側パイプ113の断面積は、互いに異なる厚さの頂点を有するように突出した領域を含んで位置することができる。したがって、互いに異なる頂点の間に位置する第1カウルクロスビーム110aの平らな面にサポートレグ120、ステアリングカラム締結部140および側面締結部150などがボルト締結される。
【0035】
図4は、本発明の一実施例として、第2カウルクロスビーム110bの断面を示しているが、内側パイプ111の上面に4つのワインディングレイヤを含み、ワインディング層112の上面に外側パイプ113を射出成形して形成される。さらに、外側パイプ113の成形を行うために押出金型610により外被素材が注入される場合、外側パイプ113の形状は、押出金型610により決定される。本発明の一実施例において、第2カウルクロスビーム110bの外側は、複数の突出部を含む歯車構造を形成するように外側パイプ113が押し出され、これは、第1カウルクロスビーム110aの内側に引込まれて固定されるように、第1カウルクロスビーム110aの内側パイプ111の内周面が押し出される。すなわち、押出金型の形状に応じて第1カウルクロスビーム110aの内側パイプ111の内周面の形状が決定され、第2カウルクロスビーム110bの外側パイプ113の外周面の形状が決定されるが、第1カウルクロスビーム110aと第2カウルクロスビーム110bとが締結されて相互回転しないように固定可能である。
【0036】
図5では、第1カウルクロスビーム110aと第2カウルクロスビーム110bは、少なくとも一部が重なって位置するように構成される。より好ましくは、第2カウルクロスビーム110bの最外角に位置する歯車構造114は、サポートレグ120と一体に構成され、歯車構造114を含む第2カウルクロスビーム110bとサポートレグ120の一部は、第1カウルクロスビーム110aの内側に挿入されて固定されるように構成される。
【0037】
より好ましくは、第2カウルクロスビーム110bの外側パイプは、鋸歯形状を有するように構成され、第1カウルクロスビーム110aの内周面は、鋸歯形状に対応する形状を含むように構成されるが、第2カウルクロスビーム110bの外側パイプが第1カウルクロスビーム110aの内周面上に挿入されて固定されるように構成される。さらに、カウルクロスビームの外側パイプが鋸歯形状を有するように構成されるが、インサート射出成形により外側パイプの外表面に締結される構成は、鋸歯形状に位置する。したがって、インサート射出成形によりカウルクロスビームと締結される構成は、衝撃による回転が防止できる。
【0038】
第1カウルクロスビーム110aと第2カウルクロスビーム110bとが重なる領域に第1カウルクロスビーム110aの外側パイプ113を取り囲むように構成される引抜きブロック部130を含む。引抜きブロック部130は、第1カウルクロスビーム110a、第2カウルクロスビーム110bを取り囲むように構成され、第2カウルクロスビーム110bに位置するサポートレグ120の少なくとも一部を同時に取り囲むように構成される。サポートレグ120の一側には中空部121を含み、中空部121に対応する引抜きブロック部130に位置する中空形状を含むことができ、引抜きブロック部130の一側には、衝撃が緩衝するように構成される吸収部材131を含む。
【0039】
吸収部材131は、引抜きブロック部130と車両の内側が向かい合う一端に位置することができ、中空部121および衝撃吸収のために、中空部121に対応する中空形状とともに、吸収部材131を介して車両の室内で印加される衝撃を吸収する機能を行う。より好ましくは、サポートレグ120の上端の少なくとも一部を取り囲むように構成される引抜きブロック部130を提供し、引抜きブロック部130と向かい合うサポートレグ120の下端には射出破断部を含むことができるが、最初に印加される衝撃は中空部121を介して吸収し、所定の衝撃量以上がカウルクロスバー100に印加された場合、サポートレグ120の射出破断部が破断するように構成される。このように、本発明は、第1カウルクロスビーム110aおよび第2カウルクロスビーム110bが向かい合う位置に印加される衝撃が吸収できるように複数の衝撃吸収構造および構成を含む。
【0040】
図6では、本発明の一実施例として、軽量カウルクロスバー100を形成するための製造装置の模式図を示している。図示のように、最初の内側パイプ111を射出成形するための内側パイプ押出金型410を含む。内側パイプ111を構成する物性として、ポリプロピレンとガラス繊維50%とが混合された樹脂が内側パイプ押出金型410の一端に注入される。押し出された内側パイプ111は、冷却金型420により冷却するステップを行った後、ガラス繊維が内側パイプ111に巻取られるように引取機510に移動する。
【0041】
引取機510では、内側パイプ111上に最初の内側パイプ111を基準として(第1方向)45度の傾きを有するように第1ワインディングレイヤ112aが巻取られる。第1ワインディングレイヤ112aは、2重の単一配向繊維からなる。この後、最初に巻取られた第1ワインディングレイヤ112aと90度の角度(第2方向)をなすように第2ワインディングレイヤ112bが位置するように構成され、第2ワインディングレイヤ112bは、2重の単一配向繊維からなる。第3ワインディングレイヤ112cは、第1ワインディングレイヤ112aと同じ角度を有するように第2ワインディングレイヤ112bの上面に巻取られる。追加的に、第4ワインディングレイヤ112dは、第2ワインディングレイヤ112aと同じ角度を有するように巻取られる。
【0042】
前記のように、本発明の一実施例では、引取機510により4つの層からなる複合素材が積層されたワインディング層112を形成するが、それぞれのワインディングレイヤ(それぞれの複合素材が積層された層)が形成された後には、引抜機520により当該ワインディング層112の凹凸区間を平坦化し、接着力を増大させるように構成される。より好ましくは、引取機510は、それぞれの層に対応する方向(第1方向または第2方向)に複合素材が積層されるように少なくとも1つ以上で構成される。このように、本発明は、引取機510の位置および角度に応じてそれぞれのワインディングレイヤが形成される角度が設定可能である。
【0043】
ワインディング層112が内側パイプ111の上面に積層された後には、外側パイプ113の押出金型610に移動して外側パイプ113がワインディング層112の上面に押し出されるように構成されるが、押し出された外側パイプ113を冷却するための外側パイプ113の冷却金型620に移動するように構成される。
【0044】
このように、本発明の第1カウルクロスビーム110aおよび第2カウルクロスビーム110bは、内側パイプ111、ワインディング層112および外側パイプ113により構成されるが、外側パイプ113の押出金型610の形状が可変することにより、押し出される外側パイプ113の外周面が変更されるように構成される。より好ましくは、本発明の一実施例において、第2カウルクロスビーム110bの外周面は、歯車構造114を有するように外側パイプ113が押し出されるように構成される。
【0045】
図7は、本発明の一実施例として、軽量カウルクロスバー100の製造方法のフローチャートを示している。本発明の一実施例として、軽量カウルクロスバー100の製造方法によれば、内側パイプを押し出すように内側パイプ押出金型410に樹脂を注入するステップを含む(S100)。このように押し出された内側パイプ111は、冷却金型420により冷却するステップを行う(S200)。冷却された内側パイプ111上にワインディング層112を構成するために、引取機510により複合素材としてガラス繊維が巻取られるように構成される(S300)。本発明の一実施例では、4つのワインディングレイヤを構成するが、構成されたワインディング層112は、第1~第4ワインディングレイヤを含む。
【0046】
さらに、それぞれのワインディングレイヤが積層された後、引抜機520によりレイヤの表面の平坦化を行うように構成される(S400)。ワインディング層112が積層された後、外側パイプ113の押出金型610により外側パイプ113がワインディング層112の上面を取り囲むように構成される(S500)。この後、外側パイプを冷却するステップを行い(S600)、サポートレグ120、引抜きブロック部130およびステアリングカラム締結部140などがカウルクロスビームに締結されるように外側パイプ113の後加工を行うように構成される(S700)。
【0047】
より好ましくは、外側パイプ113は、サポートレグ120、引抜きブロック部130およびステアリングカラム締結部140と向かい合う一面が平行な面を形成するように加工可能であり、サポートレグ120、引抜きブロック部130およびステアリングカラム締結部140がカウルクロスビームに固定されるようにボルトホールなどを含んで構成される。
【0048】
図8では、本発明の一実施例として、ワインディング層112を形成するステップをフローチャートに示している。本発明の一実施例として、4層からなるワインディングレイヤを積層するに際して、第1ワインディングレイヤは、カウルクロスバー100の幅を基準として第1方向に所定の角度を有するように内側パイプ111上に巻取られるように構成される(S310)。より好ましくは、本発明の一実施例において、第1方向は、カウルクロスバー100の幅方向を基準として45度の角度で構成される。第1ワインディングレイヤが巻取られた後、引抜機520により第1ワインディングレイヤの平坦化を行い、平坦化された第1ワインディングレイヤ上に第2方向にワインディングレイヤが積層されるように巻取られる。より好ましくは、第2方向は、第1方向を基準として-90度の角度に設定可能である(S320)。
【0049】
第2ワインディングレイヤが積層された後、引抜機520により第2ワインディングレイヤの上面が平坦化され、第2ワインディングレイヤの上面に第1方向と同じ方向に第3ワインディングレイヤが積層される(S330)。第3ワインディングレイヤが積層された後に引抜き作業を行い、第4ワインディングレイヤが第3ワインディングレイヤの上面に積層されるように構成される(S340)。
【0050】
本発明の他の実施例では、第1ワインディングレイヤ~第4ワインディングレイヤをそれぞれ形成する複合素材がなす方向がすべて異なっていてもよいし、本発明のさらに他の実施例では、少なくとも2つのワインディングレイヤは同じ方向に巻取られてもよい。
【0051】
以上の詳細な説明は、本発明を例示するものである。また、上述した内容は、本発明の好ましい実施形態を説明するものであり、本発明は多様な他の組み合わせ、変更および環境で使用可能である。この実施例は、本発明の技術的思想を実現するための最善の態様を説明するものであり、具体的な適用分野および用途で要求される多様な変更も可能である。したがって、本発明の詳細な説明は、本発明を制限するものではない。
【符号の説明】
【0052】
100 カウルクロスバー
110a 第1カウルクロスビーム
111 内側パイプ
112 ワインディング層
112a 第1ワインディングレイヤ
112b 第2ワインディングレイヤ
112c 第3ワインディングレイヤ
113 外側パイプ
114 歯車構造
110b 第2カウルクロスビーム
120 サポートレグ
121 中空部
130 引抜きブロック部
131 吸収部材
140 ステアリングカラム締結部
141 スチールブラケット
150 側面締結部
300 サイドフレーム
410 内側パイプ押出金型
420 内側パイプ冷却金型
510 引取機
520 引抜機
610 外側パイプ押出金型
620 外側パイプ冷却金型