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▶ 三和シヤッター工業株式会社の特許一覧

<図1>
  • 特許-パネル体およびパネル体の製造方法 図1
  • 特許-パネル体およびパネル体の製造方法 図2
  • 特許-パネル体およびパネル体の製造方法 図3
  • 特許-パネル体およびパネル体の製造方法 図4
  • 特許-パネル体およびパネル体の製造方法 図5
  • 特許-パネル体およびパネル体の製造方法 図6
  • 特許-パネル体およびパネル体の製造方法 図7
  • 特許-パネル体およびパネル体の製造方法 図8
  • 特許-パネル体およびパネル体の製造方法 図9
  • 特許-パネル体およびパネル体の製造方法 図10
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-18
(45)【発行日】2025-02-27
(54)【発明の名称】パネル体およびパネル体の製造方法
(51)【国際特許分類】
   E06B 3/70 20060101AFI20250219BHJP
【FI】
E06B3/70
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021043213
(22)【出願日】2021-03-17
(65)【公開番号】P2022053448
(43)【公開日】2022-04-05
【審査請求日】2024-01-29
(31)【優先権主張番号】P 2020159884
(32)【優先日】2020-09-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】307038540
【氏名又は名称】三和シヤッター工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085394
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 哲夫
(74)【代理人】
【識別番号】100165456
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 佑子
(72)【発明者】
【氏名】小林 祐三
【審査官】亀谷 英樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-188505(JP,A)
【文献】米国特許第04706431(US,A)
【文献】登録実用新案第3156585(JP,U)
【文献】特開2016-085027(JP,A)
【文献】特開2001-241270(JP,A)
【文献】特開2016-166468(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 3/54-3/88
E04H 1/00-1/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表裏面材と該表裏面材間に介装される充填材とを、プレス加工により押圧状態にして接着剤による接着をすることで形成されるパネル体において、
該パネル体には、上下の横桟、左右の縦桟によって四角形状に区画形成された収納部が形成され、
前記プレス加工されたパネル体を、収納部部位の表裏面材のうちの一方の面材と収納部用充填材とを除去することで、収納部の他方の面材の内面が底面部になり、除去された面板部位が開口となった凹溝状の収納部が形成された構成のものとするにあたり、
プレス加工される前のパネル体を、
前記他方の面材の収納部部位の内側面に補助面材が載置され、収納部用充填材が、該補助面材を覆う状態で組み込まれた構成にしたことを特徴とするパネル体。
【請求項2】
収納部の開口は、収納部よりも小さい寸法に設定され、補助面材は、収納部の開口と収納部とのあいだの寸法に設定されていることを特徴とする請求項1記載のパネル体。
【請求項3】
補助面材は、一方の面材と充填材とのあいだにも設けられていることを特徴とする請求項1または2記載のパネル体。
【請求項4】
補助面材は、金属板、若しくは石膏、ケイ酸カルシウム、メラミンから選択された素材を用いて構成されることを特徴とする請求項1記載のパネル体。
【請求項5】
表裏面材と該表裏面材間に介装される充填材とを、プレス加工により押圧状態にして接着剤による接着をすることで形成されるパネル体において、
該パネル体には、上下の横桟、左右の縦桟によって四角形状に区画形成された収納部が形成され、
前記プレス加工されたパネル体を、収納部部位の表裏面材のうちの一方の面材と収納部用充填材とを除去することで、収納部の他方の面材の内面が底面部になり、除去された面板部位が開口となった凹溝状の収納部が形成された構成のものを製造するための方法であって、
プレス加工する前の工程として、
表裏面材のうちの一方の面材に、収納部を形成するための横桟および縦桟、そして収納部の底面部となる部位に補助面材をそれぞれ載置する工程、
前記載置された補助面材に、収納部用充填材を覆う状態で組み込む工程、
が実行され、プレス加工した後の工程として、
他方の面板の収納部の開口となる部位を除去する工程、
補助面材に接着されていない収納部用充填材を除去する工程、
が実行されることを特徴とするパネル体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トイレブース等を形成すべく室内空間を仕切るため設けられるパネル体およびパネル体の製造方法の技術分野に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、トイレブース等のブース(小部屋)を仕切り形成するための部材として、表裏面材(室内外側面材)間にペーパーコア等の充填材を内装して構成されたパネル体が用いられるが、このようなパネル体に、例えばリモートコントロールシステム用の端末装置や擬音装置等の外部装置を設けた構成にすることが要求される場合があり、これに対応すべく、パネル体の室内側面材に外部装置を取り付けた場合、該外部装置がパネル体から突出した状態で配されることになって外観が損なわれるだけでなく、突出する外部装置に人や荷物がぶつかりやすく、悪戯もされやすいという問題がある。そこでパネル体の室内側面材と充填材とを刳り貫いて凹溝状の収納部を形成し、該収納部に外部装置を組み込むようにすることが提唱される。
ところが収納部を形成するため、室内側面材と充填材とを刳り貫いて除去しようとしたときに、充填材と室外側面材とが接着していて一体になっているため収納部の形成作業が面倒かつ煩雑で作業性に劣るという問題がある。
ところでこのようなパネル体を製造するにあたり、窓を形成するため空間部を有したものとしたい場合、予め空間部を抜いた状態でパネル体を形成するようにしたものが提唱されている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2001-241270号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この従来技術を採用し、収納部が形成される部位について、室外側面材の収納部部位は残したまま、該部位の室内側面材および充填材を予め除去した状態でパネル体を製造することが提唱される。
ところでこのようなパネル体は、一般に、接着剤が塗布された表裏面材間に充填材(桟材も含む)を介装した状態でプレス加工(接着剤の種類によりホットプレス加工、コールドプレス加工等のプレス加工が知られている。)することで製造しているが、このようなプレス加工による製造をしたときに、室外側面材の充填材が無い(除去された)部位は、プレスを受けて充填材に接着されていないため、充填材が有って接着された部位のように張りがある状態にはならず、どうしても区別された状態となって外観性が損なわれるという問題があり、これらに本発明の解決すべき課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記の如き実情に鑑みこれらの課題を解決することを目的として創作されたものであって、請求項1の発明は、表裏面材と該表裏面材間に介装される充填材とを、プレス加工により押圧状態にして接着剤による接着をすることで形成されるパネル体において、該パネル体には、上下の横桟、左右の縦桟によって四角形状に区画形成された収納部が形成され、前記プレス加工されたパネル体を、収納部部位の表裏面材のうちの一方の面材と収納部用充填材とを除去することで、収納部の他方の面材の内面が底面部になり、除去された面板部位が開口となった凹溝状の収納部が形成された構成のものとするにあたり、プレス加工される前のパネル体を、前記他方の面材の収納部部位の内側面に補助面材が載置され、収納部用充填材が、該補助面材を覆う状態で組み込まれた構成にしたことを特徴とするパネル体である。
請求項2の発明は、収納部の開口は、収納部よりも小さい寸法に設定され、補助面材は、収納部の開口と収納部とのあいだの寸法に設定されていることを特徴とする請求項1記載のパネル体である。
請求項3の発明は、補助面材は、一方の面材と充填材とのあいだにも設けられていることを特徴とする請求項1または2記載のパネル体である。
請求項4の発明は、補助面材は、金属板、若しくは石膏、ケイ酸カルシウム、メラミンから選択された素材を用いて構成されることを特徴とする請求項1記載のパネル体である。
請求項5の発明は、表裏面材と該表裏面材間に介装される充填材とを、プレス加工により押圧状態にして接着剤による接着をすることで形成されるパネル体において、該パネル体には、上下の横桟、左右の縦桟によって四角形状に区画形成された収納部が形成され、前記プレス加工されたパネル体を、収納部部位の表裏面材のうちの一方の面材と収納部用充填材とを除去することで、収納部の他方の面材の内面が底面部になり、除去された面板部位が開口となった凹溝状の収納部が形成された構成のものを製造するための方法であって、プレス加工する前の工程として、表裏面材のうちの一方の面材に、収納部を形成するための横桟および縦桟、そして収納部の底面部となる部位に補助面材をそれぞれ載置する工程、前記載置された補助面材に、収納部用充填材を覆う状態で組み込む工程、が実行され、プレス加工した後の工程として、他方の面板の収納部の開口となる部位を除去する工程、補助面材に接着されていない収納部用充填材を除去する工程、が実行されることを特徴とするパネル体の製造方法である。
【発明の効果】
【0006】
請求項1または5の発明とすることにより、パネル体を、一方の面材の一部と、該一部の面材部位の充填材とが除去された空間部が形成されたものに構成する場合に、凹溝状の空間部が形成される部位の他方の面材に補助面材が設けられることになって補強され、他方の面材が水分を吸収する等して変形してしまうことから保護されることになる。
しかもパネル体を、一方の面材の一部と、該一部の面材部位の充填材とが除去された空間部が形成されたものにできながら、該パネル体を、空間部が形成される部位についても充填材が存在する状態で製造できる結果、表裏面材は、全体がプレスされた均一なものとなって外観が損なわれることがないうえ、空間部を形成するべく充填材を除去する際に、他方の面材に塗布した接着材は補助面材に接着していて充填材には接着しないため、充填材の除去作業が容易になって作業性が向上する。
請求項の発明とすることにより、充填材を除去する場合に、該除去される充填材より補助面材が大きい結果、充填材の除去がより簡単になり作業性が向上する。
請求項の発明とすることにより、補助面材が、除去される一方の面材側にも設けられている結果、空間部を形成する際に、一方の面材を充填材とは切り離した状態で除去できることになって作業性が向上する。
請求項4の発明とすることにより、補助面材が金属板、若しくは石膏、ケイ酸カルシウム、メラミンから選択された素材で形成されているため、空間部部位の他方の面材を防水状態で補強できることになる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】トイレブースの平面図である。
図2】(A)(B)(C)はパネル体の背面図、側面図、縦断面図である。
図3】(A)(B)は外部装置を組み込む前のパネル体の背面図、縦断面図である。
図4】(A)(B)(C)は充填材が組込まれた表面材の背面図、縦断面図、収納部用充填材が組込まれる前の状態の表面材の縦断面図である。
図5】プレス加工されるパネル体の分解端面側面図である。
図6】(A)(B)(C)はプレス加工された状態、裏面材と充填材を除去した状態、収納部が形成された状態のパネル体の収納部部位の拡大断面図である。
図7】(A)(B)は第二の実施の形態、(C)(D)は第三の実施の形態のシート材配設状態を示す収納部部位の背面図、縦断面図である。
図8】(A)(B)(C)は第四の実施の形態を示すパネル体のプレス加工された状態、裏面材と充填材を除去した状態、収納部が形成された状態のパネル体の収納部部位の拡大断面図である。
図9】(A)(B)(C)は第五の実施の形態を示すパネル体のプレス加工された状態、裏面材と充填材を除去した状態、収納部が形成された状態のパネル体の収納部部位の拡大断面図である。
図10】(A)(B)(C)は第六、第七、第八の実施の形態を示すパネル体の収納部部位の拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態について、図面に基づいて説明する。図面において、1はトイレブース(トイレ用個室)であって、該トイレブース1は、出入り口部Eを形成する左右の正面(前面)パネル体2、壁部Wと正面パネル体2とのあいだに設けられる奥行きパネル体3、出入り口部Eの開閉をするドア体4等の各種の部材装置によって構成されていること等は何れも従来通りである。
そして本実施の形態では、奥行きパネル体3に、本発明の外部装置5を内装するため凹溝状の収納部6が形成されたものとなっており、以降、必要な場合を除いて、収納部6が形成される「奥行きパネル体」について、「奥行きパネル体」として表現する必要がある場合を除いて単純に「パネル体」3と称するものとする。
尚、本実施の形態において、奥行きパネル体3は、壁部W側のパネル体3と正面パネル体2側のパネル体3との二枚を一連状に連結したものとして構成されるが、外部装置5は、そのうちの壁部W側のパネル体3に設けられたものとなっている。
【0009】
前記パネル体3は、四周の框材7と、該框材7に囲繞される空間に介装されるペーパーコア材等からなる充填材8と、表裏面材9、10とを備え、表裏面材9、10と、框材7および充填材8とが接着剤(図示せず)を介して一体的に接着されることでパネル体3を構成している。
【0010】
そしてこのようにして構成されるパネル体3には、上下方向中央部位よりは下側部位で、かつ左右方向中央部位(中間部位)に、ブース室内側が開口するよう裏面材10および充填材8が除去された凹溝状の収納部(本発明の「空間部」に相当する。)6が形成されたものになっているが、該収納部6の上下両端縁部には、左右の框材7に至る状態で上下の横桟11が設けられ、収納部6の左右両端縁部には、上下横桟11に至る状態で左右の縦桟12が設けられることで収納部6が四角形状に区画形成されたものとなっており、充填材8は、収納部6を除いた充填部、具体的には、上側横桟11の上側に形成される上側充填部S1、下側横桟11の下側に形成される下側充填部S2だけでなく、収納部6の左右に位置する側部充填部S4にも充填材8が側部充填材8bとなって充填された構造になっている。この場合に、側部充填材8bのうちの一方のものは、外部装置5に対する配線を考慮した配線用筒材8cが設けられたものとなっている。
【0011】
このように構成されたパネル体2の収納部(本発明の「空間部」に相当する。)6において、該収納部6の底面板となる表面材9の内側面(ブース室内側面)には、防湿性素材により構成されたシート材13が中間面材(本発明の「補助面材」に相当する。)として接着されたものになっている。
本実施の形態の収納部6は、四周を桟材11、12によって囲繞形成されたものとなっており、収納部6の裏面材10に形成される開口6aは、図6に示すように、収納部6の大きさ(面積)よりも狭いものになっていて、裏面材10が桟材11、12からフランジ状に延出したものとなっている。
そしてパネル体3は、後述するように、収納部6にも充填材(収納部用充填材)8aが充填された状態でプレス加工により形成され、該形成後、収納部開口6aに相当する裏面板10の開口部相当部10aと収納部用充填材8aの相当部とが切除する等して除去され、さらに桟材11、12側に残った収納部用充填材8aを剥ぎ取る等して除去することで、開口6aよりも内部空間が大きくなった収納部6が形成されることになる。この場合にシート材13としては、開口部相当部10aと共に除去される収納部用充填材8aよりも大きい、換言すると、最初に除去される収納部用充填材8aの表面板9に対する対向面よりも大きい(対向面からはみ出す)寸法に設定されている。
因みに、本実施の形態では、最初に除去される収納部用充填材8aの大きさに対して収納部6の大きさの方が大きいものとなっているが、これに限定されるものでなく、同じ大きさにしても本発明を実施することができる。
【0012】
次に、このように構成されるパネル体3の製造工程について説明する。この場合に、表裏面材9、10の内面に接着剤(図示せず)が塗布されたものとし、該接着剤が塗布された表裏面板9、10のあいだに充填材8を介装した状態でプレス加工(接着剤の種類によりホットプレス加工、コールドプレス加工等のプレス加工がある。)して表裏面材9、10と充填材8とを押圧状態にして接着せしめることで、表裏面板9、10と充填材8とが一体に接着されたパネル体3を形成できるものであって、このような工程は、従来公知の手法を採用しているものであるためその詳細の説明については省略する。
因みに接着剤について、本実施の形態では表裏面材9、10に塗布されたものについて説明したが、充填材8に塗布したもの、さらには表裏面材9、10と充填材8との両者に塗布したものであってもよいことは言うまでもなく、このようなことは必要において適宜実施できるものである。
【0013】
まず、接着剤が塗布された表面材9(または裏面材10)に、框材7、縦横桟11、12、そして対応する充填部S1~S4の形状に切断加工した充填材8、8a、8bを組み込むことになるが、収納部用充填部S3には、収納部用充填材8aが組み込まれる前に、前記シート材13を表面材9の裏面に載置し、しかる後、シート材13を上から覆う状態で収納部用充填材8aを組み込むことになり、このようにしてシート材13が表面材9と収納部用充填材8aとのあいだに介装される。この場合にシート材13が位置ずれしないよう両面粘着テープ等の支持手段を介して表面材9に支持しておくことができる。
このように充填材8、8a、8bが充填された表面材9に裏面材10を被せて組み込んだ後、プレス加工することでパネル体3が形成されることになる。
【0014】
このように形成されたパネル体3を、トイレブース1の奥行きパネル体3として用いる場合に、該パネル体3に収納部6を形成することになり、このため、裏面板10の開口相当部10aと該相当部10aに対応した収納部充填材8a部位とを切除する等して除去することになるが、この場合に、該除去される収納部充填材8a部位については、表面材9とのあいだに介装したシート材13が、該表面材9に塗布した接着材により表面材9の裏面に接着されたものとなっていて収納部充填材8aは表面材9には接着しておらず、この結果、該接着していない収納部充填材8aを、該収納部充填材8aに接着している裏面材10の開口部相当部10aと共に除去することで、シート材13は表面材9に接着して残ったままの状態で簡単に除去することができるよう構成されている。
【0015】
叙述の如く構成された本実施の形態において、外部装置5を収容する収納部6が表面材9を残す状態で凹溝状に形成されたパネル体3でありながら、該パネル体3は、表面板9の前記収納部6に相当する部位には、シート材13が、表面材9に塗布した接着剤を介して接着されたものになっている。この結果、パネル体3は、収納部6が形成される収納部用充填部S3についても収納部用充填材8aが存在する状態でプレス加工して製造したとして、該収納部用充填材8aは、表面材9には接着されていないものとなって除去することが容易になって作業性が向上する一方で、表面材9は、全体に充填材8、8a、8bが充填された状態でプレス加工されたものとなって一様になり、外観が損なわれることがないものとなる。
【0016】
しかもこの場合に、シート材13は、裏面材10の開口部相当部10aと共に除去される収納部用充填材8aよりも大きい寸法になっている結果、収納部用充填材8aの除去作業が一段と容易になって作業性が向上する。
このようにシート材13を前記大きい寸法とする場合に、最終的に除去される収納部用充填材8aの大きさを、本実施の形態では図7(A)(B)に示す第二の実施の形態のように収納部用充填部(このものでは四周を横桟11、縦桟12で囲繞される空間部)S3と同じ大きさにすることで、収納部用充填材8aの除去作業がより容易になるという利点がある。
さらにこの場合に、図7(C)(D)に示す第三の実施の形態のように、収納部6の大きさと開口6aの大きさとを同じ大きさ(四周を横桟11、縦桟12で囲繞される収納部充填部S3の大きさ)とすることができる。
このように収納部6の大きさと開口6aの大きさとを同じ大きさにする場合として、例えば図6(B)に示すように、収納部6を、収納部用充填材8aが周囲に残ったままの大きさとすることもできる。
【0017】
さらにこのものでは、表面材9に接着される中間面材(補助面材)を可撓性があるシート材13としているため取り扱いが簡単かつ容易で、プレス加工においても支障をきたすことがなく、作業性が良いものとなる。
しかもシート材13として防湿機能を有するものとしているため、収納部用充填材8aが除去された後の収納部6部位の表面材9の湿気の変化による影響を抑えることができる。
このような中間面材(補助面材)としては、シート材13に限定されず、鉄板、ステンレス板、銅板、アルミニウム板、真鍮板等の金属板や、石膏、ケイ酸カルシウム、炭酸カルシウム、メラミン等の防湿性のある硬質素材で形成された硬質板(該硬質板は、シート材等の表面材により被覆されたり、表面に化粧処理が施される等した化粧板であってもよい。)であってもよく、さらには前述したように中間面材がシート材である場合に、その素材としてメラミン、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等の各種の柔軟性のある防湿性を備えた素材のものを採用することができ、これらの選択は、必要において適宜できるものである。
【0018】
前記実施の形態のものは、中間面材となるシート材13を、表面材9と収納部用充填材8aとのあいだに介装したが、さらにシート材14を、図8に示す第四の実施の形態のように、表裏面材9、10と収納部用充填材8aの両者の間に介装したものとしてもよく、このようにした場合には、パネル体3が表裏どちら側からも収納部6を形成できることになって利便性が向上するだけでなく、収容部6を形成する場合に、開口部相当部10aをシート材14と共に除去した後、収納部用充填材8aを除去する作業ができることになって作業の個別化が図れることになる。
また本発明としては、図9に示す第五の実施の形態のように、収納部用充填材8aの大きさを、収納部用充填部(このものでは四周を横桟11、縦桟12で囲繞される空間部であって、本実施の形態では収納部6となるもの)S3よりも小さいものとすることができ、この場合、収納部用空隙部S3の内面と収納部用充填材8aの外面とのあいだに、僅かではあるが隙間S5が形成されたものとなるが、この隙間S5は僅かであるため、プレス加工によるパネル体3の接着成形に影響を与えることはない。
【0019】
そしてこのようなパネル体3をプレス加工により製造する方法として、
・接着剤が塗布された表裏面材9、10のあいだに充填材8を介装する工程の前に、表面材9の収納部6が形成される部位と充填材8とのあいだにシート材13を介装する工程、
・充填材8を表裏面材9、10に接着剤を介して接着する工程の後に、裏面材10の開口部相当部10aとこれに対応する部位の収納部用充填材8aとを、シート材13は表面材9に接着して残したままの状態で除去する工程、
が設けられたものとなっているため、パネル体3の製造をするにあたり、シート材を介装するだけで良いことになって複雑化することがなく、しかも前述したように収納部6の形成も簡単になる、という利点がある。
さらにパネル体3をプレス加工により製造する方法としては、
・接着剤が塗布された表裏面材9、10のあいだに充填材8を介装する工程、
・充填材を表裏面材9、10に接着剤を介して接着する工程、
・前記充填材8が接着された一方の面材9の空間部が形成される部位と該空間部対応部位の他方の面材10に接着された充填材8aとを除去する工程、
・該充填材8aが除去された空間部部位の底面部に補助面材13を接着する工程、
が設けられたものとしても実施することができ、このようにした場合にも、前述したようにパネル体3の製造をするにあたって補助面材13が設けられた収納部6を複雑化することなく簡単に形成できるという利点がある。
【0020】
尚、本発明は前記実施の形態に限定されないことは勿論であって、前記実施の形態のものは、中間面材である補助面材を、空間部である収納部6の底面部となる表面板9の内側面に設けたものであるが、これに限定されないものであって、図10(A)に示す第六の実施の形態のもののように、補助面材14として表面板9の外側面に貼付したものであってもよい。この場合に補助面材14としては、収納部6に相当する部位だけでなく該相当部位よりも大きいものとすることで、空間部の周辺部位も含めての補強を図ることができ、この場合に必要において補助面材14を表面板9の外側面全面に貼付したものであってもよい。
さらには図10(B)に示す第七の実施の形態のように、表裏面材9、10の両外側面に補助面材14を貼付したもの、図10(C)に示す第八の実施の形態のように、表面板9の内側面にさらに補助面材13を貼付すると共に、表裏面材9、10の両外側面にさらに補助面材14を貼付したものとしても実施することができる。
特に表面板9が繊維板(例えば中密度繊維板(MDF(medium-density fiberboad)、ファイバーボード)のように吸湿性がある素材で成形されたものである場合、収納部6を形成することにより、該収納部6部位の表面板9が事後(爾後、継時)的に吸湿して変形してしまうことを、前述したように表面板9(および/または裏面材10)に補助面材14を設けることで未然に防止できるという利点がある。そして表面板9の外側面に補助面材14を貼付する場合に、該補助面材14を化粧板とすることができ、このようにすることで、表面板9について意匠的に優れた外観を呈するものにすることになり、前記収納部6部位の補強を果たしながら、外観も優れたものにできることになるという利点がある。
【産業上の利用可能性】
【0021】
本発明は、トイレブース等を形成すべく室内空間を仕切るため設けられるパネル体およびパネル体の製造方法として利用することができる。
【符号の説明】
【0022】
1 トイレブース
3 奥行きパネル体
5 外部装置
6 収納部
6a 開口
8 充填材
8a 収納部用充填材
9 表面材
10 裏面材
10a 開口部相当部
13 シート材
S3 収納部用充填部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10