(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-18
(45)【発行日】2025-02-27
(54)【発明の名称】物品収容装置及び物品供給装置
(51)【国際特許分類】
B65H 3/54 20060101AFI20250219BHJP
G07F 11/00 20060101ALI20250219BHJP
【FI】
B65H3/54 310Z
G07F11/00 Z
(21)【出願番号】P 2021127654
(22)【出願日】2021-08-03
【審査請求日】2023-07-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000135748
【氏名又は名称】株式会社バンダイ
(72)【発明者】
【氏名】近藤 創
(72)【発明者】
【氏名】村上 厳洋
(72)【発明者】
【氏名】五十嵐 達志
(72)【発明者】
【氏名】黒川 信夫
【審査官】沖 大樹
(56)【参考文献】
【文献】実開昭60-036941(JP,U)
【文献】特開2005-285148(JP,A)
【文献】実開昭60-043642(JP,U)
【文献】特開平07-275502(JP,A)
【文献】特開昭62-105835(JP,A)
【文献】特開2009-199555(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 3/54
G07F 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品供給装置に装着される物品収容装置であって、
物品を積層状態にて収容可能に構成されている本体部と、
前記本体部内に設けられ、
長手方向の一方側
で第1突起部
と第2突起部
とを含んでいる一方側突起部と、他方側
で第3突起部
と第4突起部と
を含んでいる他方側突起部を含み、積層状態で収容されている前記物品を押圧可能な押圧部と、
前記本体部内に設けられ、前記
一方側突起部に嵌合可能な一方側溝部と、前記
他方側突起部に嵌合可能な他方側溝部とを含み、前記押圧部を保持する保持部と、を備え、
前記押圧部は、前記第1突起部及び前記第2突起部が前記一方側溝部に嵌合している状態、且つ、前記第3突起部及び前記第4突起部が前記他方側溝部に係合している状態において、前記保持部に第1の向きにて保持され、前記本体部内の底面部に保持されている物品を押圧可能であり、前記第1突起部が前記一方側溝部に係合せず、前記第2突起部が前記一方側溝部に係合している状態、且つ、前記第3突起部が前記他方側溝部に係合せず、前記第4突起部が前記他方側溝部に係合している状態において、前記保持部に第2の向きにて保持され、前記物品を押圧不可能であり、
前記保持部は、前記押圧部が
前記第1の向きにて前記保持部に保持されている状態にある場合、前記押圧部をスライド移動可能に保持し、前記押圧部が
前記第2の向きにて前記保持部に保持されている状態にある場合
、前記押圧部をスライド移動不可能に保持している、
物品収容装置。
【請求項2】
請求項1に記載の物品収容装置であって、
前記押圧部は、前記保持部からの取り外しが不可能に設けられている、
物品収容装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の物品収容装置であって、
前記押圧部は、前記本体部内の底面部に対し垂直方向に延びる前記保持部の一方端部から他方端部までの間において、スライド移動可能に保持されている、
物品収容装置。
【請求項4】
請求項3に記載の物品収容装置であって、
前記押圧部は、自重により前記本体部内の前記底面部方向に前記物品を押圧可能に設けられている、
物品収容装置。
【請求項5】
請求項1に記載の物品収容装置であって、
前記押圧部は、前記第1の向きにて前記保持部に保持されている状態から回転させた状態となることで、前記第2の向きにて前記保持部に保持される、
物品収容装置。
【請求項6】
請求項1に記載の物品収容装置であって、
前記第1突起部、及び前記第3突起部は、前記一方側溝部及び前記他方側溝部の最小幅よりも狭い幅に構成され、前記第2突起部、及び前記第4突起部は、その最小径が前記最小幅よりも小さく且つその最大径が前記最小幅よりも大きく構成されている、
物品収容装置。
【請求項7】
請求項1~
6の何れか一項に記載の物品収容装置であって、
前記押圧部は、その長手方向の中央付近において把持部が形成されている、
物品収容装置。
【請求項8】
請求項1~
7の何れか一項に記載の物品収容装置であって、
前記押圧部は、前記物品収容装置が前記物品供給装置に装着されて、前記物品を供給可能な状態において、前記物品を押圧する方向へスライド移動可能である、
物品収容装置。
【請求項9】
請求項1~
8の何れか一項に記載の物品収容装置を装着可能な供給装置本体を含み、
前記供給装置本体の前面には、少なくとも、前記物品の排出口と、前記物品の代価の投入口と、前記代価の投入後に前記排出口から前記物品を排出すべく操作可能な操作部と、
が設けられている、
物品供給装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品収容装置及び物品供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、積載された用紙を収容する用紙収容部と、用紙束の上部前端部付近に空気を吹き付ける用紙収容部の前方に配置された送風部と、空気の吹き付けにより用紙束から浮上した最上位の用紙を吸着した状態で前方へ搬送する用紙収容部の上方に配置された吸着搬送部と、用紙収容部に設けられた、用紙束の幅方向の少なくとも一方の端部の位置を規制する規制部材と、規制部材に設けられた押圧部材を移動させて、浮上した用紙の側端部を押圧する押圧機構と、送風部と押圧機構の動作を制御する制御部と、を備える、給紙装置及び画像形成装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1は、用紙束の最上位の用紙を上方に確実に湾曲させ、用紙束の最上位の用紙と2枚目の用紙を良好にさばくことを可能にする技術である。シート状の物品を積層収容して1つずつさばくこの種の装置にあっては、物品に所定の外力を作用させるための作用部材が物品収容装置上方に配置される。このため、物品供給を上方側から行なう形態の物品収容装置においては、この作用部材が物品の補充やメンテナンスに際して邪魔になり、装置の取り扱い性の低下の原因になっている。特に、本発明が対象とする、シート状、或いは、ケース状の薄型の物品に対して上方から押圧力を付与する押圧部を備える物品収容装置及び物品供給装置においては、この押圧部の取扱い性を良くすることが、当該装置の取扱い性を向上するための課題であった。
【0005】
本発明は、取扱い性に優れた物品収容装置及び物品供給装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る物品収容装置は、物品供給装置に装着される物品収容装置であって、物品を積層状態にて収容可能に構成されている本体部と、前記本体部内に設けられ、積層状態で収容されている前記物品を押圧可能な押圧部と、
前記本体部内に設けられ、前記押圧部を保持する保持部と、を備え、前記保持部は、前記押圧部が第1状態にある場合、前記押圧部をスライド移動可能に保持し、前記押圧部が第2状態にある場合、前記押圧部をスライド移動不可能に保持する。
【0007】
本発明に係る物品供給装置は、上述に記載の物品収容装置を装着可能な供給装置本体を含み、前記供給装置本体の前面には、少なくとも、前記物品の排出口と、前記物品の代価の投入口と、前記代価の投入後に操作可能になり前記物品を前記排出口から払い出しが可能な操作部と、が設けられている。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、取扱い性に優れた物品収容装置及び物品供給装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の物品供給装置の一例を示す外観斜視図である。
【
図2】
図1に示す物品供給装置に装着する物品収容装置の平面図である。
【
図3】
図2に示す物品収容装置の内部を示す概略斜視図である。
【
図4】
図2に示す物品収容装置のA-A線に沿った部分の断面図、及び要部拡大図である。
【
図5】押圧部による物品の押圧状態(第1状態)を示す部分斜視図である。
【
図8】押圧部の突起部と溝部との係合状態を、
図7のC-C断面線側から見たときの概略図である。
【
図10】保持部と突起部との係合状態を、
図7のC-C断面線側から見たときの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の一実施形態である物品収容装置及び物品供給装置について、
図1~
図10を参照して説明する。
なお、以下の説明における向き(方向)の記載については、物品供給装置を正面側から見た場合(
図1に示す矢印の向き)の記載を基準とし、物品供給装置を正面方向から見たときの向きの、上下方向(上方側あるいは下方側)、左右方向(右側あるいは左側)、前後方向(前方側あるいは後方側)の記載である。
【0011】
<物品供給装置の構成>
図1は、物品供給装置の一例を示す外観斜視図である。
物品供給装置100は、代価の投入によって例えばシート状の物品P(
図5参照)を供給(排出)することができる装置である。物品供給装置100は、
図1に示すように、供給装置本体110にて6面が囲まれた形状をなしており、その前面101に、種々の操作部部分が設けられている。例えば、前面101には、物品Pの代価を投入可能な投入口105、回転操作によって排出口50から物品Pを払い出しする操作部104、必要に応じて現金返却をする現金返却口106、現金返却ボタン107、及び表示部108等が設けられている。また、前面101の上部側の領域には、前面側から見て大きな矩形開口109が設けられており、この矩形開口109に物品収容装置1(
図2及び
図3参照)が着脱自在に設けられている。すなわち、物品収容装置1は、物品供給装置100の上部側の大きな領域を占める箱型形状を成し、例えば、装着するときには、前面101側から供給装置本体110の後方に向かってスライド移動させて装着し、手前側に引き出すようにスライド移動させて取外すことができるように構成されている。
【0012】
以下、各部について説明する。
操作部104は、代価の支払いに応じて矢印方向に回転可能に構成された操作部材である。ユーザが代価投入後に操作部を所定方向に回転させることにより、排出口50を閉じているシャッタ15(
図4参照)が開き、後述する物品載置部10b(
図5参照)上に積層されている物品Pのうち、最も下に位置する物品Pが排出口50より排出(供給)される。なお、操作部104は、代価の支払いが確認できない状態ではロック機構により回転が抑制されており、代価の支払いが確認された場合のみロック機構が解除されて回転可能となる。
【0013】
現金の投入口105は、円形の窪みの中に硬貨を投入可能なスリット状の開口が設けられた構成である。この投入口105は、内部の機構を制御することにより現金の投入を受け付ける状態と、受け付けない状態とを切り替えることができる。例えば、収容された物品Pの存在を検知する機構が設けられて、物品Pの存在を検知しない場合には投入口105を閉じて硬貨の投入を受け付けないようにしてもよい。これにより、物品Pが無い場合に誤って硬貨を投入されることが回避される。また、現金返却口106は、現金返却ボタン107の操作に応じて投入した硬貨が返却され、装置から返却された硬貨を取り出し可能に構成されている。なお、代価の支払いについては、硬貨による支払いの他に、電子マネーや二次元コードといった電子決済によりなされても良い。
【0014】
表示部108は、物品Pの有無を表示する部分である。例えば、物品載置部10b上に物品Pの有無を確認できる検出部19が設けられており、この検出部19による物品Pの検出により動作する連動機構(不図示)を介して適宜表示パネル等を移動させて所定の表示を行なうように構成されている。
【0015】
<物品収容装置の構成>
図2は、物品収容装置1の平面図であり、
図3は、
図2に示す物品収容装置1の内部を示す概略斜視図である。
図2及び
図3に示すように、物品収容装置1は、上方から見て、本体部であるケース本体10が前後方向に若干長く構成された長方形の収容空間SPを形成している。すなわち、ケース本体10は、前後側、左右側、及び底側を外壁部10wにより覆われて上側が開口されている。そして、ケース本体10の底側の外壁部10w(
図4参照)から少しスペースを空けた位置に物品Pを収容する底面部である物品載置部10bが設けられて収容空間SPが形成されている。そして、この収容空間SP内に物品Pを積層状態にて収容される。
【0016】
ケース本体10は、その素材については特に限定するものではないが、例えば、プラスチックにて構成されており、その前面に物品Pを排出可能な排出口50(
図1参照)を備え、排出口50の上側には、例えば、内部に収容されている物品Pを目視可能な光透過性の部材にて構成された情報提供領域60(
図1参照)が設けられている。なお、ここで云う物品Pとは、シート状印刷物、カード、薄型ケース、等の比較的薄い平板、シート状のものであって、後述するローラの回転力により送り出すことができると共に積層収容することができるものを対象としている。
【0017】
ここで、収容空間SPには、
図3に示すように、空間前方寄りの位置に左右一対の左右ガイド11が、空間後方寄りの位置に後方ガイド12が物品載置部10bから立上がるように設けられている。また、左右ガイド11の前方側には、物品Pが収容・積層された状態において、物品Pを下方に押圧可能な押圧部20が設けられている。この押圧部20は、左右方向に長い直方体形状のおもりである。そして、押圧部20は、左右ガイド11の前方側に立設された保持部であるレール30(一方側レール30R、他方側レール30L)によって上下移動可能に保持されている。レール30は、その詳細については後述するが、右側の一方側レール30Rと左側の他方側レール30Lとの一対の構成であり、その向き合った側面の溝部31が押圧部20を上方方向にスライド移動可能に保持する。
【0018】
なお、左右ガイド11は、物品載置部10b上を左右方向に移動可能に設けられ、後方ガイド12は、物品載置部10b上を前後方向に移動可能に設けられている。すなわち、左右ガイド11及び後方ガイド12の移動により、異なったサイズの物品Pを収容できるように構成されている。
【0019】
図4は、
図2に示す物品収容装置1のA-A線に沿った部分の断面図である。
押圧部20の前方側には、物品送り出しに関与する前端ガイド部14が排出口50に沿って設けられている。この前端ガイド部14は、
図4に示すように、排出口50と物品載置部10bとの間に配置され、排出口50を開閉するように揺動可能に設けられたシャッタ15の直ぐ後方に配置されている。前端ガイド部14は、物品Pが排出される際に物品Pを1つずつ排出するようにガイドするもので、物品Pに合わせて物品載置部10bからの高さ調整が可能に構成されている。
【0020】
物品載置部10bの下側で且つ押圧部20に対面する位置には、排出ローラ16が設けられている。この排出ローラ16は、
図4に示すように、側面視において、円孔状の円弧外面16aとこの円弧外面よりも小径の非円弧外面16bを備えている。したがって、回転軸16cを中心にして回転された場合、円弧外面16aが押圧部20にて下方に押圧された物品Pの下面に当接して物品Pを前方に送り出すことができる。すなわち、円弧外面16aは、載置部開口10bhから上方に若干突出して押圧部20の下面に形成された円弧凹部20wc(
図9参照)に倣うように回転したときに、物品Pの下面に当接することができる。なお、この排出ローラ16は、操作部104と図示にないシャフト部材や歯車部材を介して連結されており、前述したように、硬貨投入によって操作可能になった操作部104によって回転駆動される。
【0021】
図5は、押圧部20による物品Pの押圧状態(第1状態(1D))を示す部分斜視図である。
図5に示すように、物品載置部10bの前部において左右両端側に立設(物品載置部10bに対し垂直方向に延びるように配置)された一対のレール30は、押圧部20を上下方向にスライド移動可能に保持している。一対のレール30は、右側の一方側レール30Rの溝を一方側溝部31Rとし、左側の他方側レール30Lの溝を他方側溝部31Lとして互いに向き合う同一形状の溝部31が、上下方向に沿って設けられている。そして、この溝部31に、押圧部20の左右両端側の外面から突出する後述する突起部(第3突起部23等)が嵌まり込むように係合している。したがって、押圧部20は、レール30の一方端部である下端部30dから他方端部である上端部30uまでの間で上下にスライド移動可能に保持されている。なお、押圧部20の溝部31による保持は、押圧部20の左右方向、及び前後方向の位置を規制するだけであって上下方向には自由にスライド移動できる。
【0022】
上下移動可能に保持された押圧部20は、物品収容装置1が物品供給装置100に装着された状態において、それ自体の重さによって物品載置部10bに向かってスライド移動可能な状態、すなわち、物品載置部10bに積層・載置された物品Pを、下方に向かって押圧部20の重さで押圧(f)している。このように押圧部20は、上下方向に移動可能な第1の向きを、第1状態(1D)とし、これに対して、この第1状態(1D)とは異なる後述する第2の向きの第2状態(2D)(
図9参照)を取り得るものである。
【0023】
図6は、
図5に示す押圧部20の左右方向から見た斜視図である。
図6に示すように、押圧部20は、横長の直方体形状であって、前掲の突起部は、左右の外面20sから更に左右方向に突出する、
図6(a)に示す右側の第1突起部21、第2突起部22、及び第5突起部25と、
図6(b)に示す左側の第3突起部23、第4突起部24、及び第6突起部26と、の計6個にて構成されている。より詳細に説明すると、押圧部20の長手方向の一方側(右側)の一方側突起部である第1突起部21、第2突起部22は上下に並んだ位置に設けられており、この第1突起部21、第2突起部22が一方側溝部31R(
図5参照)に係合する。また、他方側(左側)の他方側突起部である第3突起部23、第4突起部24も上下に並んだ同じ構成で他方側溝部31L(
図5参照)に係合する。
【0024】
更に、第5突起部25は、第1突起部21及び第2突起部22が設けられている位置とは異なる押圧部20の後面壁20wrから右方向に突出している。また、第6突起部26も第5突起部25と同様に後面壁20wr設けられ、左方向に突出している。したがって、第5突起部25は、レール30に対して溝部31が形成されていない第1側部である後側部30Rr(
図5参照)に対面で接することが可能に構成され、第6突起部26は、第2側部である後側部30Lrに対面で接することが可能に構成されている。
【0025】
また、押圧部20には、その長手方向の中央付近に、押圧部20を手で操作するときの把持する把持部28が設けられている。また、把持部28の下側には、後方に向かって左右壁29aと下面壁29bとを有して突出する突出リブ29が形成されている。この突出リブ29は、物品Pの有無を検出するべく物品載置部10bから突出可能に設けられた検出部19に対応する位置に設けられている。例えば、突出リブ29は、物品Pがある場合には、物品Pを検出部19の真上側から押している。これにより、比較的柔らかい物品Pでも最後の1つまで確実に検出できる。また、突出リブ29は、下面壁29bに円弧状の切り欠き29kが形成されていることで、物品Pが無い場合には、検出部19の先端部分を切り欠き29kにて受容して検出部19の先端部分を囲んで該検出部19を保護する。
【0026】
以下、押圧部20の第1の向き(第1状態(1D))における溝部31と突起部の係合状態を説明する。
図7は、
図5に示すB-Bに沿った断面図である。なお、溝部31と突起部の係合状態は、左右において同じ構成であるので、
図7に示す左側の係合状態を説明し、右側の係合状態については説明を省略する。
【0027】
図7に示すように、他方側レール30Lに設けられた他方側溝部31Lの断面形状は、溝幅が小さく形成された最小幅W1の小幅部31aと溝幅が大きく形成された最大幅W2の大幅部31bとを有する奥広がりの構造となっている。これに対して、第3突起部23は、小幅部31aよりも狭い幅(d1)に構成されている。第4突起部24は、突出基部側の小径部24aと先端側の大径部24bとから構成されており、小径部24aの径(最小径)d2が小幅部31aの最小幅W1よりも小さく、大径部24bの径(最大径)d3が最小幅W1よりも大きく且つ大幅部31bの最大幅W2よりも小さく構成されている。このように押圧部20は、レール30に対して係合していることで上下に移動可能に保持されている。
【0028】
図8は、
図7におけるC-C断面であって、押圧部20の突起部と溝部31との係合状態を押圧部20の中央側から見たときの概略図である。この場合も、右側(第1突起部21、第2突起部22、及び第5突起部25)の係合状態については左側と同様であるので説明を省略する。
【0029】
押圧部20が第1の向き(第1状態(1D))の状態にあるときは、
図8に示すように、第1突起部23及び第4突起部24は、溝部31L内に位置している。そして、押圧部20を上方に押上げたときは、第3突起部23は、レール30の上端面30tよりも上側に出て溝部31から外れるが、第4突起部24は、溝部31から外れることはない。詳細には、溝部31の大幅部31bは、上端面30tに開口しないように溝上端壁31wが設けられている。すなわち、溝部31の最上端部位が小幅部31aの開口となっていることで、第3突起部23は溝部31から外れるが第4突起部24は溝部31から外れない。この結果、押圧部20は、レール30からの取り外しができない構造となっている。
【0030】
ここで、押圧部20をレール30に取り付ける場合について説明する。押圧部20の取付けについては、特に特定するものではないが、例えば、
図8に示すような構造では、上端面30t側から取付けることができないが、例えば、上端面30tに、予め大幅部31bの部分まで開口した溝部31を形成しておく。そして、上端面30t側から両突起部23,24を挿入・組み込みを行なう。その後、溝上端壁31wを構成する填め込み部材を嵌め込んで、溶着、接着あるいはビス留め等によって固定する。これにより、押圧部20がレール30からの取り外しができなくなるようにする。この場合、レール30は、その上端の取付け面30jがビス80等(
図2及び
図8参照)によってケース本体10に取り付けられた状態で組み込むようにしても良い。
【0031】
また、押圧部20の組み込み方については、その他に、溝上端壁31wに相当する部分が最初から設けられた(一体成形された)溝部31の場合には、例えば、押圧部20をレール30の下端部30d側から装着可能な構成とする。この場合、押圧部20とレール30とを予め組み立てた状態のユニットとし、このユニットをケース本体10に取り付けることで、物品載置部10bによって溝部31の下端側が閉じられ、押圧部20がレール30からの取り外せなくなる。
【0032】
図9は、押圧部20の第2の向き(第2状態(2D))を示す斜視図である。
図9に示すように、押圧部20は、第1状態(1D)において後方を向いていた後面壁20wrが斜め上方に向いた状態で保持されている。すなわち、押圧部20は、レール30の上端側において第2の向き(第2状態(2D))となっており、スライド移動ができず物品Pを押圧することができない状態で保持されている。この第2状態(2D)の状態は、物品Pを補充するときや、装置のメンテナンス等を行なうときに、押圧部20を動かないようにレール30上に固定する。
【0033】
図10は、レール30と各突起部との第2の向き(第2状態(2D))での係合状態を、
図7のC-C断面の方向から見た場合概略図である。この場合においても、右側(第1突起部21、第2突起部22、及び第5突起部25)の係合状態については左側と同様であるので説明を省略する。
【0034】
図10に示すように、第4突起部24は、溝部31(他方側側溝部31L)の最上端の部位に位置している一方、第3突起部23は、前側部30Lfに当接している。この第2状態(2D)にするには、押圧部20の把持部28を把持して上方にスライド移動した後に、第3突起部23が溝部31から外れた後に、前方(
図10において反時計回りの方向)へ回転する。これによって、押圧部20は、第3突起部23が前側部30Lfに接した状態で係止され、第2の向き(第2状態(2D))にてレール30に保持される。なお、図示では、第6突起部26が上端面30tから離れた状態で係止されているが、他の係止状態としては、例えば、第6突起部26が上端面30tの上に乗るような状態であっても良い。
【0035】
以上述べたように、本実施形態の物品収容装置1は、レール30は、押圧部20をスライド移動可能に保持する第1状態(1D)(第1の向き)と、押圧部20をスライド移動不可能に保持する第2状態(2D)(第2の向き)と、を取り得るので、物品Pを所定位置に挿入(装填)する場合において、押圧部20を取り外さなくても良く、物品Pの装填作業を改善することができ、物品収容装置1の取扱い性を良くすることができる。
【0036】
また、本実施形態の物品収容装置1では、押圧部20は、レール30からの取り外しができないように設けられているので、物品Pの装填時やメンテナンス時に取り外されることがなく、紛失が回避される。
【0037】
また、本実施形態の物品収容装置1では、押圧部20は、ケース本体10内の物品載置部10bから垂直に延びるレール30に垂直方向にスライド移動可能に保持されているので、押圧部20はその自重によって物品Pを押圧し、物品載置部10bに保持されている物品Pの高さが変動しても物品Pを常時押圧することができる。
【0038】
本実施形態の物品収容装置1は、左右両側の突起部は、共に2つの突起部(右側の第1及び第2突起部21,22と左側の第3及び第4突起部23,24)にて構成されているので、この2つの突起部が上下に並んで溝部31に同時に係合していることで、押圧部20の向きを所定の向きに規制することができ、また、押圧部20が向きを規制された状態でレール30に保持されていることで、安定したスライド移動を行なうことができ、この状態で物品Pを安定して押圧することができる。
【0039】
本実施形態の物品収容装置1によれば、溝部31に係合した突起部のうち上側の第1突起部21、及び第3突起部23は、溝部31の最小幅W1よりも狭い幅に構成されているので、溝部31の上端面30tの開口部分から溝部外に外れることができる一方、下側の第2突起部22、及び第4突起部24は、その最大径d3の部分が溝部31の上端面30tの開口部分の最小幅W1よりも大きく構成されていることから、溝部31から外れることなく移動する。この結果、押圧部20は、第1突起部21が一方側溝部31Rに嵌合せず、第2突起部22が一方側溝部31Rに嵌合している状態、且つ、第3突起部23が他方側溝部31Lに嵌合せず、第4突起部24が他方側溝部31Lに嵌合している状態で回動できるので、押圧部20はレール30に対して、外れていない突起部(第2突起部22,第4突起部24)を支点にして、第1状態(1D)から向きを変更(第2の向き(2D)に変更)することができる。
【0040】
本実施形態の物品収容装置1の押圧部20は、第2状態(2D)においては、第1突起部21と第3突起部23が溝部31から外れてレール30の両前側部30Rf、30Lfに、接するようにして保持されるので、安定して保持される。
【0041】
本実施形態の物品収容装置1では、第1状態(1D)の状態において、溝部31に係合する第1乃至第4突起部21,22,23,24の他に、レール30の後側部30Rr,30Lrに近接(略接するように位置している)する第5及び第6突起部25,26が設けられているので、押圧部20の第1状態(1D)の状態をより安定保持することができる。また、第5及び第6突起部25,26は、レール30に対する係合力を補強できるので、各突起部21,22,23,24の保護機能を有する。
【0042】
本実施形態の物品収容装置1によれば、把持部28が押圧部20の長手方向の中央に設けられているので、押圧部20を把持し易くでき、移動させるときに長手方向の重量バランスが良くスムースに移動することができる。
【0043】
本実施形態の物品収容装置1によれば、物品Pの代価の投入によって物品供給装置100にて物品Pを提供することができる。
【0044】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はその技術思想の範囲で適宜変更することができる。例えば、上記実施形態においては、押圧部20の形状は、断面が矩形の直方体としたが、必ずしもこのような形状に限るものではなく、物品Pを押圧できるものであれば種々の形状を採用することができる。
【0045】
また、突起部は、その形成形態は特に限定するものではなく、例えば、押圧部20の本外部分に一体的に成形した樹脂製のものであっても良いし、金属製でネジ止めするなどして別部材を取付ける形態であっても良い。
【符号の説明】
【0046】
1 物品収容装置
10 ケース本体(本体部)
20 押圧部
10b 物品載置部(底面部)
10b 物品載置部(底面部)
21 第1突起部(突起部)
22 第2突起部(突起部)
23 第3突起部(突起部)
24 第4突起部(突起部)
25 第5突起部(突起部)
26 第6突起部(突起部)
28 把持部
30 レール(保持部)
30Rf 右側の前側部(第1側部)
30Rr 右側の後側部(第1側部)
30Lf 左側の前側部(第2側部)
30Lr 左側の後側部(第2側部)
30d 下端部(一方端部)
30u 上端部(他方端部)
31 溝部
31R 一方側溝部(溝部)
31L 他方側溝部(溝部)
100 物品供給装置
101 前面
102 排出口
104 操作部
105 投入口
110 供給装置本体
P 物品