(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-18
(45)【発行日】2025-02-27
(54)【発明の名称】構造体及び建設機械
(51)【国際特許分類】
E02F 9/00 20060101AFI20250219BHJP
【FI】
E02F9/00 F
(21)【出願番号】P 2021184720
(22)【出願日】2021-11-12
【審査請求日】2024-02-20
(73)【特許権者】
【識別番号】720001060
【氏名又は名称】ヤンマーホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111202
【氏名又は名称】北村 周彦
(72)【発明者】
【氏名】竹田 一基
【審査官】高橋 雅明
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-207477(JP,A)
【文献】特開2016-069838(JP,A)
【文献】特開2011-106110(JP,A)
【文献】特開2012-167703(JP,A)
【文献】特開2003-042139(JP,A)
【文献】特開2021-021189(JP,A)
【文献】特開2012-081320(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02F 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下方向に貫通した第1貫通孔を有するブラケットと、
前記ブラケットを挟んで上下方向に対向する1対の取付部を有し、前記1対の取付部の各々に上下方向に貫通した第2貫通孔を有するスイングポストと、
前記第1貫通孔と前記第2貫通孔とに挿入されたピンと、を備え、
上方の前記取付部は、上下方向と交差する方向に貫通し、上方の前記取付部に前記ピンを固定するための第1固定部材が挿入される上部貫通孔を備え、
下方の前記取付部は、上下方向と交差する方向に貫通し、下方の前記取付部に前記ピンを固定するための第2固定部材が挿入される下部貫通孔を備え、
前記上部貫通孔は、上方の前記取付部の前記ピンの左右方向の一方側に形成され、
前記下部貫通孔は、下方の前記取付部の前記ピンの左右方向の一方側と他方側とに、前記第2固定部材が前記ピンを貫通するように、形成されている、構造体。
【請求項2】
前記下部貫通孔の径は、前記上部貫通孔の径より大きい、
請求項1に記載の構造体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、構造体及び構造体を備える建設機械に関する。
【背景技術】
【0002】
上下方向を軸方向とするピンを中心として揺動するスイングポストを備えた建設機械が知られている。例えば、特許文献1には、自走可能な下部走行体と、下部走行体の上側に旋回可能に支持された上部旋回体と、上部旋回体の前部に設けられた作業装置とからなり、上部旋回体は、支持ブラケットが前側に突出して設けられた旋回フレームと、支持ブラケットに揺動可能に取付けられると共に、作業装置が取付けられるスイングポストとを備え、支持ブラケットとスイングポストとが、上,下方向で同一軸線上に配置された上側ピンおよび下側ピンにより回動可能に連結された建設機械が記載されている。ピンは、スイングポストと支持ブラケットとに設けられたピン孔よりも大径な鍔部を備えている。また、スイングポストのピン孔の下端には、ピンよりも小径のストッパが設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、ピンに鍔部が設けられている場合、鍔部の位置によってピンの挿入方向が限定されてしまう。また、ピン孔の下端にストッパが設けられている場合、ピンの挿入方向が上方からに限定されてしまう。
【0005】
本発明は、上記事情を考慮し、スイングポストの上方と下方のどちらからでもピンを挿入することのできる構造体及び建設機械を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明に係る構造体は、上下方向に貫通した第1貫通孔を有するブラケットと、前記ブラケットを挟んで上下方向に対向する1対の取付部を有し、前記1対の取付部の各々に上下方向に貫通した第2貫通孔を有するスイングポストと、前記第1貫通孔と前記第2貫通孔とに挿入されたピンと、棒状の固定部材と、を備え、前記1対の取付部は、それぞれ、上下方向と交差する方向に貫通した、前記固定部材が挿入される第3貫通孔を備え、前記ピンは、前記第3貫通孔に挿入された前記固定部材によって前記1対の取付部に固定される。
【0007】
前記ピンは、前記第3貫通孔に挿入された前記固定部材が挿入される孔を備えていてもよい。
【0008】
前記第3貫通孔の一方と前記第3貫通孔の他方は径の大きさが異なっていてもよい。
【0009】
前記孔の一方と前記第3貫通孔の一方は径の大きさが異なっていてもよい。
【0010】
前記孔の一方と前記孔の他方は径の大きさが異なっていてもよい。
【0011】
前記第3貫通孔の少なくとも一方は、ねじ溝を備えていてもよい。
【0012】
前記孔は、前記ピンを貫通しており、前記固定部材は、前記孔を貫通していてもよい。
【0013】
前記ピンは、上端部又は下端部から上下方向に切り欠かれた第1溝部を備えていてもよい。
【0014】
前記第1溝部は、前記ピンの周方向における前記孔に対応する位置に設けられていてもよい。
【0015】
前記ピンは、上下方向における前記孔に対応する位置に設けられた周方向に広がる第2溝部を備えていてもよい。
【0016】
前記取付部は、前記固定部材の挿入方向における前記ピンの手前側と奥側とに前記第3貫通孔を有し、手前側の前記第3貫通孔の形状は、奥側の前記第3貫通孔の形状と異なっていてもよい。
【0017】
また、本発明に係る建設機械は、自走する下部走行体と、前記下部走行体の上方に旋回可能に設けられた上部旋回体と、作業を行う作業機と、いずれかの前記構造体と、を備え、前記ブラケットは、前記上部旋回体に設けられ、前記作業機は、前記スイングポストに取り付けられている。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、スイングポストの上方と下方のどちらからでもピンを挿入することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の一実施形態に係る建設機械の斜視図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る構造体の斜視図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係る構造体の斜視図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係る構造体の断面図である。
【
図5】本発明の一実施形態に係る構造体の断面図である。
【
図6】本発明の一実施形態に係る構造体の断面図である。
【
図7】本発明の一実施形態に係る溝部が設けられたピンの斜視図である。
【
図8】本発明の一実施形態に係る溝部が設けられたピンの斜視図である。
【
図9】本発明の一実施形態に係る溝部が設けられたピンの斜視図である。
【
図10】本発明の一実施形態の変形例に係るスイングポストの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の一実施形態に係る建設機械1について説明する。
図1は、建設機械1の斜視図である。
【0021】
建設機械1は、例えば、建設現場、解体現場、鉱山等で用いられ、作業者の操作に応じて作業を行う。本実施形態における建設機械1は、土砂の掘削作業などを行う油圧ショベルである。建設機械1は、下部走行体2と、上部旋回体3と、作業機4とを備え、下部走行体2の上方に上部旋回体3が旋回可能に設けられ、上部旋回体3の前部に作業機4が設けられている。
【0022】
下部走行体2は、左右一対のクローラ21と、トラックフレーム22と、を備えている。一対のクローラ21は、上部旋回体3に設けられたエンジン31から動力を伝達され、建設機械1の走行等を行う。トラックフレーム22は、一対のクローラ21の間に設けられ、上部旋回体3を旋回可能に支持する。
【0023】
上部旋回体3は、エンジン31と、カウンターウェイト32と、キャビン33と、を備えている。キャビン33の内部には、作業者が着座するための運転席や、各種情報を表示するための表示装置や、作業者が操作するための操作装置等が設けられている。
【0024】
作業機4は、作業者の操作に応じて土砂の掘削作業、破砕作業、排土作業等の各種作業を行う。作業機4は、上部旋回体3に設けられ、ブーム41と、アーム42と、アタッチメント43と、を備えている。本実施形態では、アタッチメント43として、掘削作業用のバケットが設けられている。建設機械1は、作業機4を作動油の油圧動力によって駆動するもので、ブーム41、アーム42及びアタッチメント43を駆動する油圧アクチュエータ41A、42A、43Aを備えている。建設機械1は、エンジン31で生じた動力を利用して、油圧タンク(図示せず)から作動油を油圧ポンプ(図示せず)によって油圧アクチュエータ41A、42A、43Aへ供給し、油圧ポンプによって加圧された作動油を動力伝達媒体として油圧アクチュエータ41A、42A、43Aを駆動する。
【0025】
ブーム41は、上部旋回体3にスイングポスト60を介して旋回可能に設けられている。アーム42は、ブーム41の先端に取り付けられ、水平方向を軸方向として揺動可能である。アタッチメント43は、アーム42の先端に設けられ、水平方向を軸方向として揺動可能である。
【0026】
次に、構造体5について説明する。
図2、3は、構造体5の斜視図である。
図4乃至6は、構造体5の断面図である。このうち、
図5は、分解図である。
【0027】
構造体5は、上下方向に貫通した第1貫通孔521を有するブラケット52と、ブラケット52を挟んで上下方向に対向する1対の取付部62を有し、1対の取付部62の各々に上下方向に貫通した第2貫通孔622を有するスイングポスト60と、第1貫通孔521と第2貫通孔622とに挿入されたピン70と、棒状の固定部材81、82と、を備える。1対の取付部62は、それぞれ、上下方向と交差する方向に貫通した、固定部材81、82が挿入される第3貫通孔623、624を備える。ピン70は、第3貫通孔623、624に挿入された固定部材81、82によって1対の取付部62に固定される。なお、本実施形態において、ブラケット52とスイングポスト60とを2組設けられている。
【0028】
構造体5は、旋回フレーム50を備える(
図2、3参照)。旋回フレーム50は、底板部51と、ブラケット52と、補強部53と、を備える。底板部51は、概ね円形の板状の部材であり、図示しないスイベルジョイントを介して旋回可能にトラックフレーム22に支持されている。底板部51は、油圧モータ等(図示省略)によって旋回駆動される。ブラケット52は、底板部51の前部から前方に突出して設けられ、ブラケット52の先端は、スイングポスト60の取付部62を支持する支持部を構成する。
図2,3の例では、ブラケット52の先端に2つの支持部が上下方向に対向して配置されているが、支持部は1つでもよい。ブラケット52は、上下方向に貫通した円形の第1貫通孔521を有する。補強部53は、底板部51の上面のブラケット52の後方に設けられ、底板部51の剛性を高めるとともに、底板部51とブラケット52との結合部の剛性を高める。
【0029】
スイングポスト60は、ブラケット52の前方に設けられている(
図2乃至4参照)。スイングポスト60は、ブラケット52の支持部を挟んで上下方向に対向する1対の取付部62を有する。前述のとおり、本実施形態では、ブラケット52が上下方向に対向する2つの支持部を有するため、2つの支持部の各々に1対の取付部62が設けられている。取付部62の剛性を高めるため、1対の取付部62のブラケット52よりも前方の部分はつながっていることが望ましい(
図4参照)。1対の取付部62は、それぞれ、上下方向に貫通した円形の第2貫通孔622を有する。第2貫通孔622の径は、第1貫通孔521の径と等しい。
【0030】
本体部61の上端部には、ブーム41の基部が結合されるブーム結合孔611が設けられている。本体部61の前端部には、油圧アクチュエータ41Aの基部が結合されるアクチュエータ結合孔612が設けられている。
【0031】
1対の取付部62は、上下方向と交差する方向(例えば、水平方向)に貫通した第3貫通孔623、624を有する(
図3、5、6参照)。上側の取付部62には第3貫通孔623が設けられ、下側の取付部62には第3貫通孔624が設けられている。第3貫通孔623、624は、上下方向と交差する方向ならばいずれの方向に貫通していてもよいが、作業の容易性を考慮すると、左右方向又はそれに近い方向に貫通していることが望ましい。第3貫通孔623、624には、それぞれ棒状の固定部材81,82が挿入される。棒状の固定部材81、82は、例えば、ボルトであり、第3貫通孔623、624には、ボルトを締結するためのねじ溝623G、624Gが設けられている。
【0032】
固定部材81は、ブラケット52にスイングポスト60を取り付ける際に主としてピン70を支持する部材である。また、固定部材82は、例えば、固定部材81が折損等した場合に、ピン70の脱落を防止するために、一時的にピン70を支持する部材である。固定部材81の径は、ピン70を安定的に支持することができる程度の大きさを有する。他方、固定部材82の径は、固定部材81が折損等した場合に一時的にピン70を支持することができる程度の大きさを有する。そのため、固定部材82の径は、固定部材81の径よりも小さくすることができる。これにより、部材の軽量化が可能となり、組付け作業やメンテナンス作業が容易になる。
【0033】
ピン70は、第1貫通孔521と第2貫通孔622に挿入される円柱形の部材である(
図3乃至5参照)。ピン70の外周面には、第3貫通孔623、624に挿入された固定部材81、82が挿入される孔71、72が設けられている。本実施形態では、孔71は、ピン70を貫通しているが、孔71はピン70を貫通していなくてもよい。また、本実施形態では、孔72はピン70を貫通していないが、孔72はピン70を貫通していてもよい。孔71、72には、ねじ溝が設けられていなくてもよいが、第3貫通孔623、624と共通のねじ溝71G、72Gが設けられていてもよい。ピン70の上下方向の長さは、1対の取付部62のうちの上側の取付部62の上端部と下側の取付部62の下端部との距離以下である。そのため、ピン70を第2貫通孔622に挿入した場合に、上側の取付部62の上端部と下側の取付部62の下端部との間にピン70が収容され、ピン70の上端部と下端部は取付部62から突出しない。孔71、72は、ピン70を第2貫通孔622に挿入した場合に第3貫通孔623、624に対向する位置に設けられている。
【0034】
上述のとおり、第3貫通孔623は固定部材81を挿入可能な貫通孔であり、第3貫通孔624は固定部材82を挿入可能な貫通孔であるため、第3貫通孔623の径は第3貫通孔624の径よりも大きく形成されている。
【0035】
孔71は、第3貫通孔623とともに、固定部材81を挿入可能に構成されており、固定部材81の径は、ピン70を安定的に支持可能な大きさを有する。具体的には、孔71の径は、第3貫通孔623の径と等しい径を有する。このように、孔71と第3貫通孔623の径の大きさを同様の大きさとすることで、孔71および第3貫通孔623の内部で固定部材81が振動することが抑制され、ピン70を安定的に支持することが可能となる。
【0036】
孔72は、第3貫通孔623とともに、固定部材82を挿入可能に構成されており、固定部材82の径は、固定部材81が折損等した場合に一時的にピン70を支持することができる程度の大きさを有する。換言すると、固定部材81がピン70を支持している場合には、孔72は固定部材82と接触しない構成となっている。具体的には、孔72の径は、第3貫通孔624よりも大きく形成されており、第3貫通孔624に挿通された固定部材82は、孔72の内部で浮いた状態になっている。これにより、固定部材81がピン70を支持している期間は、固定部材82にはピン70による負荷がかからないため、固定部材82の必要以上の劣化が防止される。
【0037】
また、固定部材82の劣化を抑制するためには、固定部材81がピン70を支持している場合に固定部材82が孔72の内面に接触しなければよい。従って、固定部材82が孔72の内面に接触しない限りにおいて、孔72の径は、孔71よりも小さくてもよい。この構成によれば、孔72の径が孔71と等しい又は大きい場合と比べて、ピン70の変形が抑制される。
【0038】
以上説明した本実施形態に係る構造体5によれば、上下方向に貫通した第1貫通孔521を有するブラケット52と、ブラケット52を挟んで上下方向に対向する1対の取付部62を有し、1対の取付部62の各々に上下方向に貫通した第2貫通孔622を有するスイングポスト60と、第1貫通孔521と第2貫通孔622とに挿入されたピン70と、を備え、1対の取付部62は、それぞれ、上下方向と交差する方向に貫通した、棒状の固定部材81、82が挿入される第3貫通孔623、624を備え、ピン70は、第3貫通孔623、624に挿入された固定部材81、82によって1対の取付部62に固定されるから、スイングポスト60の上方と下方のどちらからでもピン70を挿入することができる。
【0039】
また、本実施形態に係る構造体5によれば、ピン70の上下方向の長さは、1対の取付部62のうちの上側の取付部62の上端部から下側の取付部62の下端部までの距離以下であるから、スイングポスト60からピン70が突出しないようにすることができる。
【0040】
また、本実施形態に係る構造体5によれば、ピン70は、上下方向の全長にわたってスイングポスト60及びブラケット52に収容されるから、スイングポスト60からピン70が突出しないようにすることができる。
【0041】
また、本実施形態に係る構造体5によれば、ピン70は、第3貫通孔623、624に挿入された固定部材81、82が挿入される孔71、72を備えるから、仮に、一方が破損した場合でも、他方が支持することでピン70の脱落を防止することができる。
【0042】
また、本実施形態に係る構造体5によれば、孔72の径は、第3貫通孔624の径と異なっている。例えば、孔72の径は、第3貫通孔624の径よりも大きい。この構成によれば、固定部材81がピン70を支持している場合には、固定部材82への負荷を抑制できる。
【0043】
また、本実施形態に係る構造体5によれば、孔71、72の一方と孔71、72の他方は径の大きさが異なっている。例えば、上述のように、孔72の径を孔71よりも小さくすることで、ピン70の変形を抑制することができる。
【0044】
また、本実施形態に係る構造体5によれば、第3貫通孔623、624の一方と第3貫通孔623、624の他方は径の大きさが異なっている。例えば、上述のように、第3貫通孔624の径を第3貫通孔623よりも小さくすることで、固定部材82の径を固定部材81の径よりも小さくすることができる。これにより、部材の軽量化が可能となり、組付け作業やメンテナンス作業が容易になる。
【0045】
また、本実施形態に係る構造体5によれば、孔71、72の一方と第3貫通孔623、624の一方は径の大きさが異なっている。例えば、上述のように、孔72の径を第3貫通孔624よりも大きくすることで、固定部材82の劣化を抑制することができる。
【0046】
また、本実施形態に係る構造体5によれば、第3貫通孔623、624の少なくとも一方は、ねじ溝623G、624Gを備えるから、一対の取付部62の両方でピン70を支持することができることから、ピン70を強固に固定することができる。
【0047】
また、本実施形態に係る構造体5によれば、孔71は、ピン70を貫通しており、固定部材81は、孔71を貫通しているから、ピン70を強固に固定することができる。
【0048】
上記実施形態が以下のように変形されてもよい。
【0049】
上記実施形態では、孔72の径が第3貫通孔624の径と異なっている例が示されたが、孔72の径は、第3貫通孔624の径と等しくてもよい。この構成によれば、ピン70を強固に固定することができる。また、孔71と孔72の径を等しくしてもよい。
【0050】
上記実施形態の構成に加えて、ピン70は、上端部又は下端部から上下方向に切り欠かれた第1溝部75を備えていてもよい。
図7、8は、第1溝部75が設けられたピン70の斜視図である。このうち、
図7は、上端部に第1溝部75が設けられた例であり、
図8は、下端部に第1溝部75が設けられた例である。第1溝部75は、ピン70の周方向における孔71、72に対応する位置に設けられている。換言すれば、第1溝部75は、孔71、72に上下方向に対向する位置に設けられている。この構成によれば、固定部材81、82の先端部を第2貫通孔622の内部に若干突出させた状態でピン70を挿入し、ピン70を回転させながら固定部材81、82の先端部に第1溝部75が当たるようにすることで、周方向のピン70の位置合わせを容易に行うことができる。なお、本実施形態では、第1溝部75を孔71、72と離間して設けるようにしたが、これには限定されず、例えば、第1溝部75をピン70の挿入方向の先端部から軸方向に孔71,72の位置まで設けてもよい。
【0051】
上記実施形態の構成に加えて、ピン70は、上下方向における孔71に対応する位置に設けられた周方向に広がる第2溝部76を備えていてもよい。
図9は、第2溝部76が設けられたピン70の斜視図である。この構成によれば、孔71が第3貫通孔623に対して周方向にずれた状態でピン70が第2貫通孔622に挿入された場合であっても、第2溝部76に固定部材81の先端部が挿入された状態でピン70を回転させることによって、周方向のピン70の位置合わせを容易に行うことができる。
【0052】
なお、第2溝部76に代えて、ピン70の外周面から所定深さまで、ピン70の内部に向かって径が縮小するテーパー状の孔が設けられ、所定深さ以深に孔71が設けられていてもよい。この構成によれば、上下方向と周方向のピン70の位置合わせが容易になる。
【0053】
上記実施形態の構成に加えて、取付部62は、固定部材81の挿入方向におけるピン70の手前側と奥側とに第3貫通孔623を有し、手前側の第3貫通孔623の形状は、奥側の第3貫通孔623の形状と異なっていてもよい。例えば、
図10は、本変形例に係るスイングポスト60の斜視図である。同図は、第2貫通孔622の中心の位置でスイングポスト60を左右に分割した様子を示している。同図に示すように、手前側の第3貫通孔623を横長の形状とし、奥側の第3貫通孔623を円形とし、手前側の第3貫通孔623からピン70の孔71に固定部材81を挿入し、ピン70を回転させながら奥側の第3貫通孔623に固定部材81の先端部を合わせることで、周方向のピン70の位置合わせを容易に行うことができる。孔72がピン70を貫通している場合には、第3貫通孔624についても本変形例を適用してもよい。
【0054】
上記実施形態では、ピン70に孔71、72が設けられている例が示されたが、孔71、72は設けられていなくてもよい。
【0055】
上記実施形態では、上側の取付部62に第3貫通孔623が設けられ、下側の取付部62に第3貫通孔624が設けられている例が示されたが、上側の取付部62に第3貫通孔624が設けられ、下側の取付部62に第3貫通孔623が設けられていてもよい。この場合、孔71と孔72、固定部材81と固定部材82の位置関係も上下が逆になる。
【符号の説明】
【0056】
1 建設機械
2 下部走行体
3 上部旋回体
4 作業機
5 構造体
52 ブラケット
521 第1貫通孔
60 スイングポスト
62 取付部
622 第2貫通孔
623、624 第3貫通孔
70 ピン
71、72 孔
75、76 溝部
81、82 固定部材