(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-18
(45)【発行日】2025-02-27
(54)【発明の名称】独自期限管理装置、独自期限管理方法および独自期限管理プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/04 20120101AFI20250219BHJP
G05B 19/418 20060101ALI20250219BHJP
B65G 61/00 20060101ALI20250219BHJP
【FI】
G06Q50/04
G05B19/418 Z
B65G61/00 424
(21)【出願番号】P 2021213205
(22)【出願日】2021-12-27
【審査請求日】2024-05-17
(31)【優先権主張番号】P 2021047671
(32)【優先日】2021-03-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】398040527
【氏名又は名称】株式会社オービック
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】村田 真一
(72)【発明者】
【氏名】上野 剛光
【審査官】岩橋 龍太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-206329(JP,A)
【文献】特開2001-287811(JP,A)
【文献】特開2016-143266(JP,A)
【文献】特開2021-33352(JP,A)
【文献】特開2019-144769(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
G05B 19/418
B65G 61/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
原料を仕入れて製品を製造する者が定めた前記原料についての独自の使用期限である独自期限に基づく、先入先出法に則った原料の払出を可能とする、制御部および記憶部を備える独自期限管理装置であって、
前記記憶部には、
前記原料を識別するための原料識別データと、前記原料についての前記独自期限を算出するための日数と、を含む期限算出用マスタと、
前記製品を識別するための製品識別データと、前記製品を製造するために必要な前記原料の前記原料識別データおよび量と、を前記製品毎に含む構成マスタと、
が格納されており、
前記制御部は、
前記期限算出用マスタから、前記原料の入荷入力を行うための画面である入荷入力画面または前記原料の仕入入力を行うための画面である仕入入力画面に前記製造する者によって入力された原料識別データと紐付く日数を取得する日数取得手段と、
前記入荷入力画面または前記仕入入力画面に前記製造する者によって入力された前記原料の入荷日または仕入日に、前記日数取得手段で取得した日数を加算することにより、前記原料についての前記独自期限を算出する期限算出手段と、
前記入力された原料識別データと、前記入荷入力画面または前記仕入入力画面に前記製造する者によって入力された前記原料の量と、前記期限算出手段で算出した前記原料についての前記独自期限と、を有するレコードを含む在庫ファイルを生成する在庫ファイル生成手段と、
前記構成マスタから、前記製品の製造を計画するための画面である製造計画画面に前記製造する者によって入力された製造対象となる前記製品の製品識別データおよび製造計画量に基づいて、当該製造計画量分の前記製品を製造するために必要な前記原料の前記原料識別データおよび量を取得する構成取得手段と、
前記構成取得手段で取得した原料識別データを有する前記レコードを前記原料の払出の対象として、前記構成取得手段で取得した量に到達するまで、前記レコード中の前記原料の量を減じることによる前記原料の払出を、前記独自期限が古いものから順に行う原料払出手段と、
前記構成取得手段で取得した原料識別データと、前記払出の対象とした前記レコード毎の前記払出した前記原料の量と、前記払出の対象とした前記レコード中の前記独自期限と、を前記製造計画画面に表示する製造計画時期限表示手段と、
を備えること、
を特徴とする独自期限管理装置。
【請求項2】
前記制御部は、
前記期限算出手段で算出した前記原料についての前記独自期限を、前記入荷入力画面または前記仕入入力画面に表示する入荷・仕入時期限表示手段
を更に備えること、
を特徴とする請求項1に記載の独自期限管理装置。
【請求項3】
前記レコードは、前記原料についての正式な使用期限である正式期限を更に有し、
前記製造計画時期限表示手段は、
前記構成取得手段で取得した原料識別データと、前記払出の対象とした前記レコード毎の前記払出した前記原料の量と、前記払出の対象とした前記レコード中の前記独自期限と、前記払出の対象とした前記レコード中の前記正式期限と、を前記製造計画画面に表示すること、
を特徴とする請求項1または2に記載の独自期限管理装置。
【請求項4】
前記独自期限は、前記正式期限より前の日付であり、
前記制御部は、
前記製造計画時期限表示手段が前記製造計画画面に表示した前記独自期限および前記正式期限の組合せの中に、前記製造計画画面に前記製造する者によって入力された前記製品の製造予定日が、前記独自期限より後ろの日付であり、かつ、前記正式期限以前の日付であるという組合せが存在する場合、前記独自期限が過ぎている前記原料を使用して前記製品を製造してよいのかを前記製造する者に確認するための確認メッセージを表示する確認メッセージ表示手段
を更に備えること、
を特徴とする請求項3に記載の独自期限管理装置。
【請求項5】
原料を仕入れて製品を製造する者が定めた前記原料についての独自の使用期限である独自期限に基づく、先入先出法に則った原料の払出を可能とする、制御部および記憶部を備える情報処理装置で実行される独自期限管理方法であって、
前記記憶部には、
前記原料を識別するための原料識別データと、前記原料についての前記独自期限を算出するための日数と、を含む期限算出用マスタと、
前記製品を識別するための製品識別データと、前記製品を製造するために必要な前記原料の前記原料識別データおよび量と、を前記製品毎に含む構成マスタと、
が格納されており、
前記制御部で実行される、
前記期限算出用マスタから、前記原料の入荷入力を行うための画面である入荷入力画面または前記原料の仕入入力を行うための画面である仕入入力画面に前記製造する者によって入力された原料識別データと紐付く日数を取得する日数取得ステップと、
前記入荷入力画面または前記仕入入力画面に前記製造する者によって入力された前記原料の入荷日または仕入日に、前記日数取得ステップで取得した日数を加算することにより、前記原料についての前記独自期限を算出する期限算出ステップと、
前記入力された原料識別データと、前記入荷入力画面または前記仕入入力画面に前記製造する者によって入力された前記原料の量と、前記期限算出ステップで算出した前記原料についての前記独自期限と、を有するレコードを含む在庫ファイルを生成する在庫ファイル生成ステップと、
前記構成マスタから、前記製品の製造を計画するための画面である製造計画画面に前記製造する者によって入力された製造対象となる前記製品の製品識別データおよび製造計画量に基づいて、当該製造計画量分の前記製品を製造するために必要な前記原料の前記原料識別データおよび量を取得する構成取得ステップと、
前記構成取得ステップで取得した原料識別データを有する前記レコードを前記原料の払出の対象として、前記構成取得ステップで取得した量に到達するまで、前記レコード中の前記原料の量を減じることによる前記原料の払出を、前記独自期限が古いものから順に行う原料払出ステップと、
前記構成取得ステップで取得した原料識別データと、前記払出の対象とした前記レコード毎の前記払出した前記原料の量と、前記払出の対象とした前記レコード中の前記独自期限と、を前記製造計画画面に表示する製造計画時期限表示ステップと、
を含むこと、
を特徴とする独自期限管理方法。
【請求項6】
原料を仕入れて製品を製造する者が定めた前記原料についての独自の使用期限である独自期限に基づく、先入先出法に則った原料の払出を可能とする、制御部および記憶部を備える情報処理装置に実行させるための独自期限管理プログラムであって、
前記記憶部には、
前記原料を識別するための原料識別データと、前記原料についての前記独自期限を算出するための日数と、を含む期限算出用マスタと、
前記製品を識別するための製品識別データと、前記製品を製造するために必要な前記原料の前記原料識別データおよび量と、を前記製品毎に含む構成マスタと、
が格納されており、
前記制御部に実行させるための、
前記期限算出用マスタから、前記原料の入荷入力を行うための画面である入荷入力画面または前記原料の仕入入力を行うための画面である仕入入力画面に前記製造する者によって入力された原料識別データと紐付く日数を取得する日数取得ステップと、
前記入荷入力画面または前記仕入入力画面に前記製造する者によって入力された前記原料の入荷日または仕入日に、前記日数取得ステップで取得した日数を加算することにより、前記原料についての前記独自期限を算出する期限算出ステップと、
前記入力された原料識別データと、前記入荷入力画面または前記仕入入力画面に前記製造する者によって入力された前記原料の量と、前記期限算出ステップで算出した前記原料についての前記独自期限と、を有するレコードを含む在庫ファイルを生成する在庫ファイル生成ステップと、
前記構成マスタから、前記製品の製造を計画するための画面である製造計画画面に前記製造する者によって入力された製造対象となる前記製品の製品識別データおよび製造計画量に基づいて、当該製造計画量分の前記製品を製造するために必要な前記原料の前記原料識別データおよび量を取得する構成取得ステップと、
前記構成取得ステップで取得した原料識別データを有する前記レコードを前記原料の払出の対象として、前記構成取得ステップで取得した量に到達するまで、前記レコード中の前記原料の量を減じることによる前記原料の払出を、前記独自期限が古いものから順に行う原料払出ステップと、
前記構成取得ステップで取得した原料識別データと、前記払出の対象とした前記レコード毎の前記払出した前記原料の量と、前記払出の対象とした前記レコード中の前記独自期限と、を前記製造計画画面に表示する製造計画時期限表示ステップと、
を含むこと、
を特徴とする独自期限管理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、独自期限管理装置、独自期限管理方法および独自期限管理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1の0001段落には「本発明は、・・・試薬等の消耗品を外部システムで適切に管理するのを可能ならしめた顧客在庫管理システムに関する。」と記載されており、また、特許文献1の0054段落には「本発明非採用の場合、・・・また、使用期限のある試薬では在庫数の管理に加え、先入れ先出し管理も求められ顧客の負担も大きく、結果、一般に在庫数が過剰になり、また使用期限切れで廃棄する試薬の数が増えるという欠点があるのに対し、・・・本実施例システムによれば、上記欠点をなくし、低コストで効率的な顧客在庫管理を提供することができる。」と記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、原料メーカーから原料を仕入れて化学製品を製造する製造会社は、原料メーカーが定めた正式な期限とは別に、化学製品の製造会社が定めた独自の使用期限を用いて、原料の管理を行うことがある。製造会社独自の使用期限は、製品の品質保証および安全性保証のために用いる期限であり、通常、原料メーカーが定めた正式な期限よりも前の日付である。
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に記載の技術では、製造会社独自の使用期限の自動算出から、算出した当該独自の使用期限に基づく、先入先出法に則った原料の払出までの一連の工程を、自動で行うことができなかった。このため、従来においては、これらの作業を担当者が手作業により行っていたため、作業負荷が高く、また、多大な時間がかかっていた。
【0006】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであって、原料を仕入れて製品を製造する者が定めた前記原料についての独自の使用期限に基づく、先入先出法に則った原料の払出を可能とする独自期限管理装置、独自期限管理方法および独自期限管理プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る独自期限管理装置においては、原料を仕入れて製品を製造する者が定めた前記原料についての独自の使用期限である独自期限に基づく、先入先出法に則った原料の払出を可能とする、制御部および記憶部を備える独自期限管理装置であって、前記記憶部には、前記原料を識別するための原料識別データと、前記原料についての前記独自期限を算出するための日数と、を含む期限算出用マスタと、前記製品を識別するための製品識別データと、前記製品を製造するために必要な前記原料の前記原料識別データおよび量と、を前記製品毎に含む構成マスタと、が格納されており、前記制御部は、前記期限算出用マスタから、前記原料の入荷入力を行うための画面である入荷入力画面または前記原料の仕入入力を行うための画面である仕入入力画面に前記製造する者によって入力された原料識別データと紐付く日数を取得する日数取得手段と、前記入荷入力画面または前記仕入入力画面に前記製造する者によって入力された前記原料の入荷日または仕入日に、前記日数取得手段で取得した日数を加算することにより、前記原料についての前記独自期限を算出する期限算出手段と、前記入力された原料識別データと、前記入荷入力画面または前記仕入入力画面に前記製造する者によって入力された前記原料の量と、前記期限算出手段で算出した前記原料についての前記独自期限と、を有するレコードを含む在庫ファイルを生成する在庫ファイル生成手段と、前記構成マスタから、前記製品の製造を計画するための画面である製造計画画面に前記製造する者によって入力された製造対象となる前記製品の製品識別データおよび製造計画量に基づいて、当該製造計画量分の前記製品を製造するために必要な前記原料の前記原料識別データおよび量を取得する構成取得手段と、前記構成取得手段で取得した原料識別データを有する前記レコードを前記原料の払出の対象として、前記構成取得手段で取得した量に到達するまで、前記レコード中の前記原料の量を減じることによる前記原料の払出を、前記独自期限が古いものから順に行う原料払出手段と、前記構成取得手段で取得した原料識別データと、前記払出の対象とした前記レコード毎の前記払出した前記原料の量と、前記払出の対象とした前記レコード中の前記独自期限と、を前記製造計画画面に表示する製造計画時期限表示手段と、を備えること、を特徴とする。
【0008】
また、本発明に係る独自期限管理装置においては、前記制御部は、前記期限算出手段で算出した前記原料についての前記独自期限を、前記入荷入力画面または前記仕入入力画面に表示する入荷・仕入時期限表示手段を更に備えること、を特徴とする。
【0009】
また、本発明に係る独自期限管理装置においては、前記レコードは、前記原料についての正式な使用期限である正式期限を更に有し、前記製造計画時期限表示手段は、前記構成取得手段で取得した原料識別データと、前記払出の対象とした前記レコード毎の前記払出した前記原料の量と、前記払出の対象とした前記レコード中の前記独自期限と、前記払出の対象とした前記レコード中の前記正式期限と、を前記製造計画画面に表示すること、を特徴とする。
【0010】
また、本発明に係る独自期限管理装置においては、前記独自期限は、前記正式期限より前の日付であり、前記制御部は、前記製造計画時期限表示手段が前記製造計画画面に表示した前記独自期限および前記正式期限の組合せの中に、前記製造計画画面に前記製造する者によって入力された前記製品の製造予定日が、前記独自期限より後ろの日付であり、かつ、前記正式期限以前の日付であるという組合せが存在する場合、前記独自期限が過ぎている前記原料を使用して前記製品を製造してよいのかを前記製造する者に確認するための確認メッセージを表示する確認メッセージ表示手段を更に備えること、を特徴とする。
【0011】
また、本発明に係る独自期限管理方法においては、原料を仕入れて製品を製造する者が定めた前記原料についての独自の使用期限である独自期限に基づく、先入先出法に則った原料の払出を可能とする、制御部および記憶部を備える情報処理装置で実行される独自期限管理方法であって、前記記憶部には、前記原料を識別するための原料識別データと、前記原料についての前記独自期限を算出するための日数と、を含む期限算出用マスタと、前記製品を識別するための製品識別データと、前記製品を製造するために必要な前記原料の前記原料識別データおよび量と、を前記製品毎に含む構成マスタと、が格納されており、前記制御部で実行される、前記期限算出用マスタから、前記原料の入荷入力を行うための画面である入荷入力画面または前記原料の仕入入力を行うための画面である仕入入力画面に前記製造する者によって入力された原料識別データと紐付く日数を取得する日数取得ステップと、前記入荷入力画面または前記仕入入力画面に前記製造する者によって入力された前記原料の入荷日または仕入日に、前記日数取得ステップで取得した日数を加算することにより、前記原料についての前記独自期限を算出する期限算出ステップと、前記入力された原料識別データと、前記入荷入力画面または前記仕入入力画面に前記製造する者によって入力された前記原料の量と、前記期限算出ステップで算出した前記原料についての前記独自期限と、を有するレコードを含む在庫ファイルを生成する在庫ファイル生成ステップと、前記構成マスタから、前記製品の製造を計画するための画面である製造計画画面に前記製造する者によって入力された製造対象となる前記製品の製品識別データおよび製造計画量に基づいて、当該製造計画量分の前記製品を製造するために必要な前記原料の前記原料識別データおよび量を取得する構成取得ステップと、前記構成取得ステップで取得した原料識別データを有する前記レコードを前記原料の払出の対象として、前記構成取得ステップで取得した量に到達するまで、前記レコード中の前記原料の量を減じることによる前記原料の払出を、前記独自期限が古いものから順に行う原料払出ステップと、前記構成取得ステップで取得した原料識別データと、前記払出の対象とした前記レコード毎の前記払出した前記原料の量と、前記払出の対象とした前記レコード中の前記独自期限と、を前記製造計画画面に表示する製造計画時期限表示ステップと、を含むこと、を特徴とする。
【0012】
また、本発明に係る独自期限管理プログラムにおいては、原料を仕入れて製品を製造する者が定めた前記原料についての独自の使用期限である独自期限に基づく、先入先出法に則った原料の払出を可能とする、制御部および記憶部を備える情報処理装置に実行させるための独自期限管理プログラムであって、前記記憶部には、前記原料を識別するための原料識別データと、前記原料についての前記独自期限を算出するための日数と、を含む期限算出用マスタと、前記製品を識別するための製品識別データと、前記製品を製造するために必要な前記原料の前記原料識別データおよび量と、を前記製品毎に含む構成マスタと、が格納されており、前記制御部に実行させるための、前記期限算出用マスタから、前記原料の入荷入力を行うための画面である入荷入力画面または前記原料の仕入入力を行うための画面である仕入入力画面に前記製造する者によって入力された原料識別データと紐付く日数を取得する日数取得ステップと、前記入荷入力画面または前記仕入入力画面に前記製造する者によって入力された前記原料の入荷日または仕入日に、前記日数取得ステップで取得した日数を加算することにより、前記原料についての前記独自期限を算出する期限算出ステップと、前記入力された原料識別データと、前記入荷入力画面または前記仕入入力画面に前記製造する者によって入力された前記原料の量と、前記期限算出ステップで算出した前記原料についての前記独自期限と、を有するレコードを含む在庫ファイルを生成する在庫ファイル生成ステップと、前記構成マスタから、前記製品の製造を計画するための画面である製造計画画面に前記製造する者によって入力された製造対象となる前記製品の製品識別データおよび製造計画量に基づいて、当該製造計画量分の前記製品を製造するために必要な前記原料の前記原料識別データおよび量を取得する構成取得ステップと、前記構成取得ステップで取得した原料識別データを有する前記レコードを前記原料の払出の対象として、前記構成取得ステップで取得した量に到達するまで、前記レコード中の前記原料の量を減じることによる前記原料の払出を、前記独自期限が古いものから順に行う原料払出ステップと、前記構成取得ステップで取得した原料識別データと、前記払出の対象とした前記レコード毎の前記払出した前記原料の量と、前記払出の対象とした前記レコード中の前記独自期限と、を前記製造計画画面に表示する製造計画時期限表示ステップと、を含むこと、を特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、原料を仕入れて製品を製造する者が定めた前記原料についての独自の使用期限に基づく、先入先出法に則った原料の払出を可能とするという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】
図1は、独自期限管理装置の構成の一例を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、在庫ファイルの一例を示す図である。
【
図4】
図4は、原料Aについての入荷入力画面または仕入入力画面の一例を示す図である。
【
図5】
図5は、原料Bについての入荷入力画面または仕入入力画面の一例を示す図である。
【
図6】
図6は、原料Cについての入荷入力画面または仕入入力画面の一例を示す図である。
【
図7】
図7は、原料Dについての入荷入力画面または仕入入力画面の一例を示す図である。
【
図9】
図9は、製品Zを2021/04/20に20個製造する例で用いる在庫ファイルを示す図である。
【
図10】
図10は、製品Zを2021/04/20に20個製造する例で表示される製造計画画面を示す図である。
【
図11】
図11は、製品Zを2021/05/20に30個製造する例で用いる在庫ファイルを示す図である。
【
図12】
図12は、製品Zを2021/05/20に30個製造する例で表示される製造計画画面を示す図である。
【
図13】
図13は、製品Zを2021/05/20に30個製造する例において、再検査後に更新された在庫ファイルを示す図である。
【
図14】
図14は、製品Zを2021/05/28に10個製造する例で用いる在庫ファイルを示す図である。
【
図15】
図15は、製品Zを2021/05/28に10個製造する例で表示される製造計画画面を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、本発明に係る独自期限管理装置、独自期限管理方法および独自期限管理プログラムの実施形態を、図面に基づいて詳細に説明する。なお、本実施形態により本発明が限定されるものではない。
【0016】
[1.概要]
化学業界において扱う原料の中には、有効期限が定められている場合といない場合がある。いずれの場合においても、原料を仕入れて製品を製造する製造会社は、製品の品質保証および安全性保証のために、自社内での試験結果に基づく独自の使用期限(以下、本項目において「使用期限」という。)を、原料について設定する場合がある。使用期限は、通常、原料メーカーが定めた原料の有効期限(以下、本項目において「有効期限」という。)より短い。
【0017】
従来においては、使用期限を管理できるシステムがなかったため、使用する原料在庫の指定をシステム上で行えず、担当者が手動で原料在庫を指定する必要があった。
【0018】
しかしながら、このような手動による原料在庫の指定を行うことにより、例えば以下のような問題が生じていた。一つ目に、手動による指定では、担当者のミスにより、新旧が逆転して原料在庫が指定されてしまうことがあり、使用期限が過ぎている原料在庫を使用することにより、製品の品質にバラつきが生じるリスクがあった。二つ目に、使用期限を考慮して使用可能な在庫数の管理を行うためには、担当者が実棚を見る必要があるため、見落としや数え間違いが発生しやすく、過剰在庫および廃棄在庫の発生のリスクがあった。
【0019】
そこで、本実施形態においては、例えば、各原料に対して使用期限を設定し、仕入時または入荷時に、使用期限および有効期限を自動表示できるようにした。これにより、例えば、製品の製造会社の担当者は、当該製造会社の社内規定により決めた原料の使用期限と、原料メーカーが定めた原料に記された有効期限と、を比較することができる。なお、本実施形態においては、原料メーカーが有効期限を定めていない原料に対しても荷受時に使用期限を設定してよい運用とするため、製品の品質および安全性を確実に担保することが可能となる。
【0020】
また、本実施形態においては、例えば、製造計画入力時に、使用期限を考慮した原料在庫の払出を自動でできるようにした。これにより、例えば、原料在庫の払出を先入先出法に基づいてミスなく行うことが可能となり、この結果、過剰在庫および廃棄在庫の発生のリスクをなくすことができる。なお、本実施形態においては、仮に、自動で行った原料在庫の払出が適当ではない場合(例えば、製造予定日が、払出した原料在庫の使用期限を過ぎてしまっている場合)、担当者が、払出した原料在庫の再検査をした上で、払出した原料在庫の使用期限を延ばすという柔軟な対応もできるようにした。
【0021】
要するに、本実施形態においては、原材料受入時の使用期限の自動算出、在庫ファイルへの自動算出した使用期限の更新、使用期限と原料メーカー規定の有効期限とを合わせた払出チェック、および、再検査による使用期限延長という一連の処理をできるようにした。これにより、例えば、使用期限内に原料を使い切ることを促進することができる。また、仮に使用期限を過ぎていても、再検査によって使用期限を延長することで、製品の品質を担保すること(言い換えると、不良在庫の発生をなくすこと)ができる。以下、具体的な構成および動作について説明する。
【0022】
[2.構成]
本実施形態に係る独自期限管理装置100の構成の一例について、
図1を参照して説明する。
図1は、独自期限管理装置100の構成の一例を示すブロック図である。
【0023】
独自期限管理装置100は、市販のデスクトップ型パーソナルコンピュータである。なお、独自期限管理装置100は、デスクトップ型パーソナルコンピュータのような据置型情報処理装置に限らず、市販されているノート型パーソナルコンピュータ、PDA(Personal Digital Assistants)、スマートフォン、タブレット型パーソナルコンピュータなどの携帯型情報処理装置であってもよい。
【0024】
独自期限管理装置100は、制御部102と通信インターフェース部104と記憶部106と入出力インターフェース部108と、を備えている。独自期限管理装置100が備えている各部は、任意の通信路を介して通信可能に接続されている。
【0025】
通信インターフェース部104は、ルータ等の通信装置および専用線等の有線または無線の通信回線を介して、独自期限管理装置100をネットワーク300に通信可能に接続する。通信インターフェース部104は、他の装置と通信回線を介してデータを通信する機能を有する。ここで、ネットワーク300は、独自期限管理装置100とサーバ200とを相互に通信可能に接続する機能を有し、例えばインターネットやLAN(Local Area Network)等である。なお、後述する各種マスタ等のデータは、例えばサーバ200に格納されてもよい。
【0026】
入出力インターフェース部108には、入力装置112および出力装置114が接続されている。出力装置114には、モニタ(家庭用テレビを含む)の他、スピーカやプリンタを用いることができる。入力装置112には、キーボード、マウス、及びマイクの他、マウスと協働してポインティングデバイス機能を実現するモニタを用いることができる。なお、以下では、出力装置114をモニタ114とし、入力装置112をキーボード112またはマウス112として記載する場合がある。
【0027】
記憶部106には、各種のデータベース、テーブルおよびファイルなどが格納される。記憶部106には、OS(Operating System)と協働してCPU(Central Processing Unit)に命令を与えて各種処理を行うためのコンピュータプログラムが記録される。記憶部106として、例えば、RAM(Random Access Memory)・ROM(Read Only Memory)等のメモリ装置、ハードディスクのような固定ディスク装置、フレキシブルディスク、および光ディスク等を用いることができる。
【0028】
記憶部106は、例えば、期限算出用マスタとしての商品マスタ106aと、在庫ファイル106bと、構成マスタ106cと、を備えている。
【0029】
ここで、本願明細書および本願図面で用いる用語の定義について説明する。独自期限とは、原料を仕入れて製品を製造する者が定めた前記原料についての独自の使用期限ことである。以下、本願明細書および本願図面において、当該独自期限のことを「使用期限」ということがある。正式期限とは、前記原料についての正式な使用期限であり、例えば前記原料のメーカーが定めたものである。以下、本願明細書および本願図面において、当該正式期限のことを「有効期限」ということがある。通常、使用期限は、有効期限よりも短い、すなわち、有効期限よりも前の日付である。
【0030】
本実施形態においては、有効期限が設定されている原料と設定されていない原料のどちらに対しても、使用期限を設定することが可能である。
【0031】
商品マスタ106aは、
図2に示すように、例えば、前記原料を識別するための原料識別データ(商品コード)と、前記原料についての使用期限を算出するための日数(使用期限日数)と、等を含む。
【0032】
在庫ファイル106bは、後述する在庫ファイル生成部102dにより生成されるファイルである。在庫ファイル106bは、
図3に示すように、例えば、前記原料識別データ(商品コード)と、前記原料の量(数量)と、算出された前記原料についての使用期限と、前記原料についての有効期限と、等を含む。
【0033】
構成マスタ106cは、前記製品の構成を管理するためのマスタである。構成マスタ106cは、例えば、前記製品を識別するための製品識別データと、前記製品を製造するために必要な前記原料の前記原料識別データおよび量と、を前記製品毎に含む。
図8に示す構成マスタ106cでは、製品Zを1個製造するためには、原料Aが1個、原料Dが1個必要であるという設定がされている。
【0034】
制御部102は、独自期限管理装置100を統括的に制御するCPU等である。制御部102は、OS等の制御プログラム・各種の処理手順等を規定したプログラム・所要データなどを格納するための内部メモリを有し、格納されているこれらのプログラムに基づいて種々の情報処理を実行する。
【0035】
制御部102は、機能概念的に、例えば、(1)前記期限算出用マスタから、前記原料の入荷入力を行うための画面である入荷入力画面または前記原料の仕入入力を行うための画面である仕入入力画面に前記製造する者によって入力された原料識別データと紐付く日数を取得する日数取得手段としての日数取得部102aと、(2)前記入荷入力画面または前記仕入入力画面に前記製造する者によって入力された前記原料の入荷日または仕入日に、前記日数取得手段で取得した日数を加算することにより、前記原料についての前記独自期限を算出する期限算出手段としての期限算出部102bと、(3)前記期限算出手段で算出した前記原料についての前記独自期限を、前記入荷入力画面または前記仕入入力画面に表示する入荷・仕入時期限表示手段としての入荷・仕入時期限表示部102cと、(4)前記入力された原料識別データと、前記入荷入力画面または前記仕入入力画面に前記製造する者によって入力された前記原料の量と、前記期限算出手段で算出した前記原料についての前記独自期限と、を有するレコードを含む在庫ファイルを生成する在庫ファイル生成手段としての在庫ファイル生成部102dと、(5)前記構成マスタから、前記製品の製造を計画するための画面である製造計画画面に前記製造する者によって入力された製造対象となる前記製品の製品識別データおよび製造計画量に基づいて、当該製造計画量分の前記製品を製造するために必要な前記原料の前記原料識別データおよび量を取得する構成取得手段としての構成取得部102eと、(6)前記構成取得手段で取得した原料識別データを有する前記レコードを前記原料の払出の対象として、前記構成取得手段で取得した量に到達するまで、前記レコード中の前記原料の量を減じることによる前記原料の払出を、前記独自期限が古いものから順に行う原料払出手段としての原料払出部102fと、(7)前記構成取得手段で取得した原料識別データと、前記払出の対象とした前記レコード毎の前記払出した前記原料の量と、前記払出の対象とした前記レコード中の前記独自期限と、を前記製造計画画面に表示する製造計画時期限表示手段としての製造計画時期限表示部102gと、(8)前記製造計画時期限表示手段が前記製造計画画面に表示した前記独自期限および前記正式期限の組合せの中に、前記製造計画画面に前記製造する者によって入力された前記製品の製造予定日が、前記独自期限より後ろの日付であり、かつ、前記正式期限以前の日付であるという組合せが存在する場合、前記独自期限が過ぎている前記原料を使用して前記製品を製造してよいのかを前記製造する者に確認するための確認メッセージを表示する確認メッセージ表示手段としての確認メッセージ表示部102hと、を備えている。
【0036】
日数取得部102aは、原料の商品コードと使用期限日数とを含む商品マスタ106a(
図2参照)から、前記原料の入荷入力を行うための画面である入荷入力画面(
図4~
図7参照)または前記原料の仕入入力を行うための画面である仕入入力画面(
図4~
図7参照)に前記製造する者によって入力された原料の商品コードと紐付く使用期限日数を取得する。
【0037】
期限算出部102bは、前記入荷入力画面または前記仕入入力画面に製品を製造する者によって入力された原料の入荷日または仕入日に、日数取得部102aで取得した使用期限日数を加算することにより、原料についての使用期限を算出する。
【0038】
入荷・仕入時期限表示部102cは、期限算出部102bで算出した原料についての使用期限を、前記入荷入力画面または前記仕入入力画面に表示する。
【0039】
在庫ファイル生成部102dは、前記入力された原料の商品コードと、前記入荷入力画面または前記仕入入力画面に製品を製造する者によって入力された原料の量と、期限算出部102bで算出した原料についての使用期限と、を有するレコードを含む在庫ファイル106b(
図3参照)を生成する。
【0040】
構成取得部102eは、製品識別データと、製品を製造するために必要な原料の商品コードおよび量と、を製品毎に含む構成マスタ106c(
図8参照)から、製品の製造を計画するための画面である製造計画画面に製品を製造する者によって入力された製造対象となる製品の製品識別データおよび製造計画量に基づいて、当該製造計画量分の製品を製造するために必要な原料の商品コードおよび量を取得する。
【0041】
原料払出部102fは、構成取得部102eで取得した原料の商品コードを含むレコードを原料の払出の対象として、構成取得部102eで取得した量に到達するまで、前記レコード中の原料の量を減じることによる原料の払出を、使用期限が古いものから順に行う(
図9、
図11および
図14参照)。
【0042】
製造計画時期限表示部102gは、構成取得部102eで取得した原料の商品コードと、払出の対象としたレコード毎の払出した原料の量と、払出の対象としたレコード中の使用期限と、を前記製造計画画面に表示する(
図10、
図12および
図15参照)。製造計画時期限表示部102gは、払出の対象としたレコードが有効期限を有する場合には、有効期限も併せて表示してよい(
図10、
図12および
図15参照)。
【0043】
確認メッセージ表示部102hは、製造計画時期限表示部102gが前記製造計画画面に表示した使用期限および有効期限の組合せの中に、前記製造計画画面に製品を製造する者によって入力された製品の製造予定日が、使用期限より後ろの日付であり、かつ、有効期限以前の日付であるという組合せが存在する場合、使用期限が過ぎている原料を使用して製品を製造してよいのかを、製品を製造する者に確認するための確認メッセージを、例えば前記製造計画画面または画面外に表示する。
【0044】
[3.処理の具体例]
本項目では、本実施形態に係る処理の具体例について説明する。以下の[3-1]では、入荷時または仕入時における使用期限の管理について説明し、以下の[3-2]では、製造計画入力における使用期限の管理について説明する。
【0045】
[3-1.入荷時または仕入時における使用期限の管理]
本項目では、入荷時または仕入時における使用期限の管理について、
図2~
図7を用いて説明する。本項目では、商品マスタ106aが、
図2に示す内容で予め設定されているという前提で説明を進める。また、本項目では、原料Dのみ、原料自体の有効期限として、2021/05/31が設定されているものとする。
【0046】
(1)入荷入力画面または仕入入力画面からの必要情報の入力
まず、原料A~Dが、製造会社の担当者によって2021/01/15にメーカーに対して発注され、2021/01/18に入荷したとする。この場合、製造会社の担当者は、入荷入力画面または仕入入力画面から、原料A~Dのそれぞれについて、発注日2021/01/15、入荷日2021/01/18、各原料を表す商品コードおよび入荷数量を入力する。
図4~
図7は、それぞれ、原料A~Dに対応する画面である。商品コードとしては、それぞれ、原料A~Dが入力されるものとする。入荷数量としては、原料Aについては10個、原料Bについては80個、原料Cについては60個、原料Dについては40個が入力されるものとする。
【0047】
(2)日数取得処理
日数取得部102aは、
図2の商品マスタ106aから、(1)において入力された各原料の商品コードである原料A~Dそれぞれと紐付く使用期限日数を取得する。具体的には、日数取得部102aは、原料Aについては100日を取得し、原料Bについては0日を取得し、原料Cについては使用期限日数が設定されていないため日数を取得せず、原料Dについては100日を取得する。
【0048】
(3)期限算出処理
次に、期限算出部102bは、(1)において入力された入荷日2021/01/18に、(2)において日数取得部102aで各原料について取得した使用期限日数を加算することにより、各原料についての使用期限を算出する。具体的には、期限算出部102bは、原料Aについては、入荷日2021/01/18に前記取得した100日を加算することにより2021/04/28を算出し、原料Bについては、入荷日2021/01/18に前記取得した0日を加算することにより2021/01/18を算出し、原料Cについては、使用期限日数を取得していないため使用期限を算出せず、原料Dについては、入荷日2021/01/18に前記取得した100日を加算することにより2021/04/28を算出する。
【0049】
(4)入荷・仕入時期限表示処理
そして、入荷・仕入時期限表示部102cは、(3)において期限算出部102bで算出した各原料についての使用期限を、
図4~
図7に示す入荷入力画面または仕入入力画面に表示する。この際、入荷・仕入時期限表示部102cは、事前設定された有効期限がある場合には、有効期限も併せて表示する。
【0050】
入荷・仕入時期限表示部102cは、原料Aおよび原料Bについては、
図4および
図5にそれぞれ示すように、期限算出部102bで算出した使用期限を表示するが、有効期限は設定されていないため有効期限は表示しない。
【0051】
入荷・仕入時期限表示部102cは、原料Cについては、
図6に示すように、使用期限が算出されていないため使用期限を表示せず、また、有効期限が設定されていないため有効期限も表示しない。
【0052】
入荷・仕入時期限表示部102cは、原料Dについては、
図7に示すように、期限算出部102bで算出した使用期限を表示し、また、本項目[3―1]の冒頭で説明したように有効期限が設定されているため有効期限も表示する。
【0053】
このように、製造会社の担当者は、入荷入力画面または仕入入力画面において、自社独自の期限である使用期限を確認することができる。また、本例における原料Dのように、有効期限も併せて表示すれば、使用期限と有効期限を比較して確認することができる。
【0054】
(5)在庫ファイル生成処理
最後に、在庫ファイル生成部102dは、(1)において入力された各原料を表す商品コードと、(1)において入力された各原料の入荷数量と、(3)において算出された使用期限がある場合には使用期限と、事前設定された有効期限がある場合には有効期限と、を含む在庫ファイル106bを生成する。生成された在庫ファイル106bを、
図3に示す。
【0055】
なお、(4)で説明した入荷・仕入時期限表示処理と(5)で説明した在庫ファイル生成処理については、処理の順序は特に制限されない。すなわち、処理の順序が、本例とは逆の(5)→(4)という順序であってもよいし、あるいは、(4)の処理と(5)の処理が同時に行われてもよい。
【0056】
[3-2.製造計画入力における使用期限の管理]
本項目では、製造計画入力における使用期限の管理について、
図8~
図15を用いて説明する。本項目では、構成マスタ106cが、
図8に示す内容で予め設定されているという前提で説明を進める。
【0057】
以下、原料Aおよび原料Dを使用して製品Zの製造を計画する場合における処理の具体例を、3パターンの製造計画に分けて説明する。
【0058】
[3-2-1.製品Zを2021/04/20に20個製造する製造計画の場合]
本項目では、製品Zを2021/04/20に20個製造する製造計画の場合における必要情報入力、構成取得処理、原料払出処理および製造計画時期限表示処理について、
図8、
図9および
図10を用いて説明する。なお、本項目[3-2-1]では、在庫ファイル106bは、(
図3に示す内容ではなく)
図9に示す内容で予め生成されているという前提で説明を進める。
【0059】
(1)製造計画画面からの必要情報の入力
まず、製造会社の担当者は、
図10の製造計画画面から、製造日として2021/04/20を入力し、製造対象となる製品として製品Zを入力し、製品Zの製造計画量として20個を入力したとする。
【0060】
(2)構成取得処理
構成取得部102eは、(1)において入力された20個分の製品Zを製造するために必要な原料として、
図8の構成マスタ106cから、原料Aおよび原料Dをそれぞれ20個ずつ取得する。
【0061】
(3)原料払出処理
原料払出部102fは、
図9の在庫ファイル106b中の商品コード「原料A」を含むレコードを原料払出の対象として、20個に到達するまで、当該レコード中の原料を減じることによる原料Aの払出を、使用期限が古いものから順に行う。具体的には、原料払出部102fは、一番古い使用期限2021/04/28を有するレコードから、当該レコードが有する数量10個分のうち10個すべての払出を行う。次に、原料払出部102fは、次に古い使用期限2021/06/30を有するレコードから、当該レコードが有する数量80個分のうち10個分の払出を行う。これにより、原料Aを20個分払出したこととなる。
【0062】
同様に、原料払出部102fは、
図9の在庫ファイル106b中の商品コード「原料D」を含むレコードを原料払出の対象として、20個に到達するまで、当該レコード中の原料を減じることによる原料Dの払出を、使用期限が古いものから順に行う。具体的には、原料払出部102fは、一番古い使用期限2021/04/28を有するレコードから、当該レコードが有する数量60個分のうち20個分の払出を行う。これにより、原料Dを20個分払出したこととなる。
【0063】
原料Aおよび原料Dについての払出の結果を、
図9にまとめて示す。
【0064】
(4)製造計画時期限表示処理
最後に、製造計画時期限表示部102gは、(2)において取得された原料と、(3)において払出の対象としたレコード毎の払出した原料の個数と、(3)において払出の対象としたレコード中の使用期限と、(3)において払出の対象としたレコード中の有効期限がある場合には有効期限と、を
図10の製造計画画面に表示する。具体的には、製造計画時期限表示部102gは、
図10の製造計画画面の下半分に示すように、「使用品:原料A、数量:10、使用期限:2021/04/28」、「使用品:原料A、数量:10、使用期限:2021/06/30」および「使用品:原料D、数量:20、使用期限:2021/04/28、有効期限:2021/05/31」という3つの行を表示する。
【0065】
[3-2-2.製品Zを2021/05/20に30個製造する製造計画の場合]
本項目では、製品Zを2021/05/20に30個製造する製造計画の場合における必要情報入力、構成取得処理、原料払出処理、製造計画時期限表示処理および確認メッセージ表示処理について、
図8、
図11、
図12および
図13を用いて説明する。なお、本項目[3-2-2]では、在庫ファイル106bは、[3-2-1]における原料払出後の内容、すなわち、
図11に示す内容に更新されているという前提で説明を進める。
【0066】
(1)製造計画画面からの必要情報の入力
まず、製造会社の担当者は、
図12の製造計画画面から、製造日として2021/05/20を入力し、製造対象となる製品として製品Zを入力し、製品Zの製造計画量として30個を入力したとする。
【0067】
(2)構成取得処理
構成取得部102eは、(1)において入力された30個分の製品Zを製造するために必要な原料として、
図8の構成マスタ106cから、原料Aおよび原料Dをそれぞれ30個ずつ取得する。
【0068】
(3)原料払出処理
原料払出部102fは、
図11の在庫ファイル106b中の商品コード「原料A」を含むレコードを原料払出の対象として、30個に到達するまで、当該レコード中の原料を減じることによる原料Aの払出を、使用期限が古いものから順に行う。具体的には、原料払出部102fは、一番古い使用期限2021/06/30を有するレコードから、当該レコードが有する数量70個分のうち30個分の払出を行う。これにより、原料Aを30個分払出したこととなる。
【0069】
同様に、原料払出部102fは、
図11の在庫ファイル106b中の商品コード「原料D」を含むレコードを原料払出の対象として、30個に到達するまで、当該レコード中の原料を減じることによる原料Dの払出を、使用期限が古いものから順に行う。具体的には、原料払出部102fは、一番古い使用期限2021/04/28を有するレコードから、当該レコードが有する数量40個分のうち30個分の払出を行う。これにより、原料Dを30個分払出したこととなる。
【0070】
原料Aおよび原料Dについての払出の結果を、
図11にまとめて示す。
【0071】
(4)製造計画時期限表示処理
次に、製造計画時期限表示部102gは、(2)において取得された原料と、(3)において払出の対象としたレコード毎の払出した原料の個数と、(3)において払出の対象としたレコード中の使用期限と、(3)において払出の対象としたレコード中の有効期限がある場合には有効期限と、を
図12の製造計画画面に表示する。具体的には、製造計画時期限表示部102gは、
図12の製造計画画面の下半分に示すように、「使用品:原料A、数量:30、使用期限:2021/06/30」および「使用品:原料D、数量:30、使用期限:2021/04/28、有効期限:2021/05/31」という2つの行を表示する。
【0072】
(5)確認メッセージ表示処理
ここで、
図12の製造計画画面に表示された「使用品:原料D、数量:30、使用期限:2021/04/28、有効期限:2021/05/31」に注目すると、(1)において入力された製造日2021/05/20は、使用期限2021/04/28より後ろの日付であり、かつ、有効期限2021/05/31以前の日付である。つまり、製造日2021/05/20は、有効期限範囲内であるものの、使用期限(社内規定の期限)は過ぎているということとなる。
【0073】
この場合、確認メッセージ表示部102hは、使用期限が切れている原料Dを使用して製品Zを製造してよいのかを製造会社の担当者に確認するための確認メッセージを、
図12の製造計画画面または画面外に表示する。
【0074】
ここで、製造日2021/05/20から有効期限2021/05/31までは、ある程度の期間がある。つまり、使用期限の問題のみである。この場合、製造会社の担当者は、使用期限が切れている原料Dの再検査を実施し、原料Dの品質に問題がなければ、在庫ファイル106b中の原料Dについての使用期限を延長することができる。本例においては、製造会社の担当者は、原料Dの使用期限を、「2021/04/28」から「2021/05/24」に延長するものとする。これにより、在庫ファイル106bは、
図13に示すように更新される。
【0075】
[3-2-3.製品Zを2021/05/28に10個製造する製造計画の場合]
本項目では、製品Zを2021/05/28に10個製造する製造計画の場合における必要情報入力、構成取得処理、原料払出処理、製造計画時期限表示処理および確認メッセージ表示処理について、
図8、
図14および
図15を用いて説明する。なお、本項目[3-2-3]では、在庫ファイル106bは、[3-2-2]における再検査による更新後の内容、すなわち、
図14に示す内容に更新されているという前提で説明を進める。
【0076】
(1)製造計画画面からの必要情報の入力
まず、製造会社の担当者は、
図15の製造計画画面から、製造日として2021/05/28を入力し、製造対象となる製品として製品Zを入力し、製品Zの製造計画量として10個を入力したとする。
【0077】
(2)構成取得処理
構成取得部102eは、(1)において入力された10個分の製品Zを製造するために必要な原料として、
図8の構成マスタ106cから、原料Aおよび原料Dをそれぞれ10個ずつ取得する。
【0078】
(3)原料払出処理
原料払出部102fは、
図14の在庫ファイル106b中の商品コード「原料A」を含むレコードを原料払出の対象として、10個に到達するまで、当該レコード中の原料を減じることによる原料Aの払出を、使用期限が古いものから順に行う。具体的には、原料払出部102fは、一番古い使用期限2021/06/30を有するレコードから、当該レコードが有する数量40個分のうち10個分の払出を行う。これにより、原料Aを10個分払出したこととなる。
【0079】
同様に、原料払出部102fは、
図14の在庫ファイル106b中の商品コード「原料D」を含むレコードを原料払出の対象として、10個に到達するまで、当該レコード中の原料を減じることによる原料Dの払出を、使用期限が古いものから順に行う。具体的には、原料払出部102fは、一番古い使用期限2021/05/24を有するレコードから、当該レコードが有する数量10個分のうち10個分の払出を行う。これにより、原料Dを10個分払出したこととなる。
【0080】
原料Aおよび原料Dについての払出の結果を、
図14にまとめて示す。
【0081】
(4)製造計画時期限表示処理
次に、製造計画時期限表示部102gは、(2)において取得された原料と、(3)において払出の対象としたレコード毎の払出した原料の個数と、(3)において払出の対象としたレコード中の使用期限と、(3)において払出の対象としたレコード中の有効期限がある場合には有効期限と、を
図15の製造計画画面に表示する。具体的には、製造計画時期限表示部102gは、
図15の製造計画画面の下半分に示すように、「使用品:原料A、数量:10、使用期限:2021/06/30」および「使用品:原料D、数量:10、使用期限:2021/05/24、有効期限:2021/05/31」という2つの行を表示する。
【0082】
(5)確認メッセージ表示処理
ここで、
図15の製造計画画面に表示された「使用品:原料D、数量:10、使用期限:2021/05/24、有効期限:2021/05/31」に注目すると、(1)において入力された製造日2021/05/28は、使用期限2021/05/24より後ろの日付であり、かつ、有効期限2021/05/31以前の日付である。つまり、製造日2021/05/28は、有効期限範囲内であるものの、使用期限(社内規定の期限)は過ぎているということとなる。
【0083】
この場合、確認メッセージ表示部102hは、使用期限が切れている原料Dを使用して製品Zを製造してよいのかを製造会社の担当者に確認するための確認メッセージを、
図15の製造計画画面または画面外に表示する。
【0084】
ここで、製造日2021/05/28から有効期限2021/05/31までは、期間が僅かしかない。この場合、製造会社の担当者は、払出の対象とする原料Dを、使用期限および有効期限にまだ余裕があるものへと変更することができる。本例においては、製造会社の担当者は、原料Dの払出の対象とするレコードを、
図14の在庫ファイル106b中の「原料D、数量10、使用期限:20201/05/24、有効期限2021/05/31」から、
図14の在庫ファイル106b中の「原料D、数量40、使用期限:20201/06/30、有効期限2021/07/31」に変更するものとする。
【0085】
なお、[3-2-1]~[3-2-3]においては、
図15の製造計画画面に入力された製造日に、所定日数(例えば、別途マスタで設定された日数)を加算することにより、製品自体の使用期限を算出してもよい。
【0086】
[4.本実施形態のまとめ]
以上説明してきたように、本実施形態に係る独自期限管理装置100によれば、原料を仕入れて製品を製造する者が定めた前記原料についての独自の使用期限に基づく、先入先出法に則った原料の払出を可能とする。このように、製造会社独自の使用期限に基づいて原料管理を行うことで、例えば、製品の品質保証および安全性保証をより確実に行うことができる。また、先入先出法に則った原料の払出を行うことで、例えば、過剰在庫および廃棄在庫の発生のリスクをなくすことができる。
【0087】
[5.国連が主導する持続可能な開発目標(SDGs)への貢献]
本実施形態により、業務効率化や企業の適切な経営判断を推進することに寄与することができるので、SDGsの目標8及び9に貢献することが可能となる。
【0088】
また、本実施形態により、廃棄ロス削減や、ペーパレス・電子化を推進することに寄与することができるので、SDGsの目標12、13及び15に貢献することが可能となる。
【0089】
また、本実施形態により、統制、ガバナンス強化に寄与することができるので、SDGsの目標16に貢献することが可能となる。
【0090】
[6.他の実施形態]
本発明は、上述した実施形態以外にも、特許請求の範囲に記載した技術的思想の範囲内において種々の異なる実施形態にて実施されてよいものである。
【0091】
例えば、実施形態において説明した各処理のうち、自動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を手動的に行うこともでき、あるいは、手動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を公知の方法で自動的に行うこともできる。
【0092】
また、本明細書中や図面中で示した処理手順、制御手順、具体的名称、各処理の登録データや検索条件等のパラメータを含む情報、画面例、データベース構成については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。
【0093】
また、独自期限管理装置100に関して、図示の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。
【0094】
例えば、独自期限管理装置100が備える処理機能、特に制御部にて行われる各処理機能については、その全部または任意の一部を、CPUおよび当該CPUにて解釈実行されるプログラムにて実現してもよく、また、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現してもよい。尚、プログラムは、本実施形態で説明した処理を情報処理装置に実行させるためのプログラム化された命令を含む一時的でないコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されており、必要に応じて独自期限管理装置100に機械的に読み取られる。すなわち、ROMまたはHDD(Hard Disk Drive)などの記憶部などには、OSと協働してCPUに命令を与え、各種処理を行うためのコンピュータプログラムが記録されている。このコンピュータプログラムは、RAMにロードされることによって実行され、CPUと協働して制御部を構成する。
【0095】
また、このコンピュータプログラムは、独自期限管理装置100に対して任意のネットワークを介して接続されたアプリケーションプログラムサーバに記憶されていてもよく、必要に応じてその全部または一部をダウンロードすることも可能である。
【0096】
また、本実施形態で説明した処理を実行するためのプログラムを、一時的でないコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納してもよく、また、プログラム製品として構成することもできる。ここで、この「記録媒体」とは、メモリーカード、USB(Universal Serial Bus)メモリ、SD(Secure Digital)カード、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(登録商標)(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)、CD-ROM(Compact Disk Read Only Memory)、MO(Magneto-Optical disk)、DVD(Digital Versatile Disk)、および、Blu-ray(登録商標) Disc等の任意の「可搬用の物理媒体」を含むものとする。
【0097】
また、「プログラム」とは、任意の言語または記述方法にて記述されたデータ処理方法であり、ソースコードまたはバイナリコード等の形式を問わない。なお、「プログラム」は必ずしも単一的に構成されるものに限られず、複数のモジュールやライブラリとして分散構成されるものや、OSに代表される別個のプログラムと協働してその機能を達成するものをも含む。なお、実施形態に示した各装置において記録媒体を読み取るための具体的な構成および読み取り手順ならびに読み取り後のインストール手順等については、周知の構成や手順を用いることができる。
【0098】
記憶部に格納される各種のデータベース等は、RAM、ROM等のメモリ装置、ハードディスク等の固定ディスク装置、フレキシブルディスク、および、光ディスク等のストレージ手段であり、各種処理やウェブサイト提供に用いる各種のプログラム、テーブル、データベース、および、ウェブページ用ファイル等を格納する。
【0099】
また、独自期限管理装置100は、既知のパーソナルコンピュータまたはワークステーション等の情報処理装置として構成してもよく、また、任意の周辺装置が接続された当該情報処理装置として構成してもよい。また、独自期限管理装置100は、当該装置に本実施形態で説明した処理を実現させるソフトウェア(プログラムまたはデータ等を含む)を実装することにより実現してもよい。
【0100】
更に、装置の分散・統合の具体的形態は図示するものに限られず、その全部または一部を、各種の付加等に応じてまたは機能負荷に応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。すなわち、上述した実施形態を任意に組み合わせて実施してもよく、実施形態を選択的に実施してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0101】
本発明は、例えば、メーカーから原料および資材等を仕入れて製品の製造を行う業界において有用である。
【符号の説明】
【0102】
100 独自期限管理装置
102 制御部
102a 日数取得部
102b 期限算出部
102c 入荷・仕入時期限表示部
102d 在庫ファイル生成部
102e 構成取得部
102f 原料払出部
102g 製造計画時期限表示部
102h 確認メッセージ表示部
104 通信インターフェース部
106 記憶部
106a 商品マスタ
106b 在庫ファイル
106c 構成マスタ
108 入出力インターフェース部
112 入力装置
114 出力装置
200 サーバ
300 ネットワーク