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特許7637066ブレーキシステム及びブレーキシステムの制御方法
<図1>
  • 特許-ブレーキシステム及びブレーキシステムの制御方法 図1
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  • 特許-ブレーキシステム及びブレーキシステムの制御方法 図5a
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-18
(45)【発行日】2025-02-27
(54)【発明の名称】ブレーキシステム及びブレーキシステムの制御方法
(51)【国際特許分類】
   B60T 8/92 20060101AFI20250219BHJP
   B60T 13/138 20060101ALI20250219BHJP
   B60T 13/16 20060101ALI20250219BHJP
   B60T 8/36 20060101ALI20250219BHJP
   B60T 13/122 20060101ALI20250219BHJP
   B60T 17/22 20060101ALI20250219BHJP
   B60T 8/17 20060101ALI20250219BHJP
【FI】
B60T8/92
B60T13/138 A
B60T13/16
B60T8/36
B60T13/122 A
B60T17/22 Z
B60T8/17 C
B60T8/17 B
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2021565134
(86)(22)【出願日】2020-01-28
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-07-06
(86)【国際出願番号】 EP2020051995
(87)【国際公開番号】W WO2020224814
(87)【国際公開日】2020-11-12
【審査請求日】2022-11-25
(31)【優先権主張番号】PCT/EP2019/061365
(32)【優先日】2019-05-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】PCT/EP2019/061371
(32)【優先日】2019-05-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】509159159
【氏名又は名称】アイピーゲート・アクチェンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】IPGATE AG
【住所又は居所原語表記】Churerstrasse 160b, 8808 Pfaeffikon, Switzerland
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】ライバー,ハインツ
(72)【発明者】
【氏名】ライバー,トーマス
【審査官】後藤 健志
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2012/143175(WO,A2)
【文献】国際公開第2018/130393(WO,A1)
【文献】特表2018-507820(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60T 8/00- 8/96
B60T 13/00-13/74
B60T 17/18-17/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブレーキシステム(2)であって、
- 少なくとも1つの第1のブレーキ回路(BK1)及び少なくとも1つの第2のブレーキ回路(BK2)に圧力媒体を供給するように構成された、電動駆動装置(8)を備えた、第1の圧力供給ユニット(6)、
- 前記ブレーキ回路(BK1、BK2)の少なくとも1つに前記圧力媒体を供給するように構成されたモータ-ポンプユニット(12、90)、
- 前記ブレーキ回路(BK1、BK2)の少なくとも1つに前記圧力媒体を供給するように構成された第2の圧力供給ユニット(14)であって、少なくとも1つの第1の油圧ライン(HL1)及び少なくとも1つの第2の油圧ライン(HL2)を介して前記モータ-ポンプユニット(12、90)に接続された第2の圧力供給ユニット(14)、
- 弁ユニットを備え、
前記ブレーキ回路(BK1)の少なくとも1つは、少なくとも1つの第3の油圧ライン(HL3)を介して前記第2の圧力供給ユニット(14)に接続され、
前記弁ユニットは、前記第3の油圧ライン(HL3)を少なくとも部分的に可逆的に遮断することができる少なくとも1つの供給弁(69)を備え、
隔離弁(BP1、BP2、TV1、TV2)が前記油圧ライン(HL1、HL2)の少なくとも1つに配置され、それによって、前記それぞれの油圧ライン(HL1、HL2)を少なくとも部分的に可逆的に遮断することができる、ブレーキシステム(2)であって、
前記第2の圧力供給ユニット(14)は、ちょうど1つのピストン(24)及びちょうど1つのピストンチャンバ(23)を有するメインブレーキシリンダ(22)を備え、
前記メインブレーキシリンダ(22)は、油圧ラインを介してリザーバ(40)に接続されている少なくとも1つの拡張ボア(38)を備え、
前記メインブレーキシリンダ(22)は、2つのリングシール(42a,42b)を備え、前記リングシール(42a,42b)の間に前記少なくとも1つの拡張ボア(38)が配置され、前記リザーバ(40)と前記リングシール(42a,42b)の間に配置された前記拡張ボア(38)との間の前記油圧ラインに、スロットル(DR)が配置され、
前記スロットル(DR)に並列に接続された逆止弁(RVHZ)を備え、前記逆止弁(RVHZ)及び前記第1の圧力供給ユニット(6)を用いて液密性及び/又は漏れに関する診断を実行するように構成される、
ことを特徴とする、
ブレーキシステム(2)。
【請求項2】
少なくとも1つの第1の隔離弁(TV1、BP1)が前記隔離弁(BP1,BP2,TV1,TV2)として前記第1の油圧ライン(HL1)に配置され、前記第3の油圧ライン(HL3)及び前記第1の隔離弁(TV1、BP1)は、前記第2の圧力供給ユニット(14)からの前記圧力媒体が前記第1の隔離弁(TV1、BP1)を介して前記第2のブレーキ回路(BK2)に入るように配置され、及び/又は、
少なくとも1つの第2の隔離弁(TV2、TVBK2)が、前記隔離弁(BP1,BP2,TV1,TV2)として前記第2の油圧ライン(HL2)に配置されている、
ことを特徴とする、請求項1に記載のブレーキシステム(2)。
【請求項3】
前記隔離弁(BP1、BP2、TV1、TV2)としての少なくとも1つの第3の隔離弁(BP2)であって、前記第3の隔離弁(BP2)の閉鎖状態において、前記第1のブレーキ回路(BK1)が前記第1及び第2の圧力供給ユニット(6、14)から油圧的に切り離されるように配置及び構成された少なくとも1つの第3の隔離弁(BP2)、
によって特徴付けられる、請求項1又は2に記載のブレーキシステム(2)。
【請求項4】
前記第1の隔離弁(BP1)は、前記第1の隔離弁(BP1)の弁座接続部が前記第2の隔離弁(TVBK2)に、及び、前記隔離弁(BP1、BP2、TV1、TV2)としての第4の隔離弁(74)を介して、前記第1の圧力供給ユニット(6)に油圧的に接続されるように配置される、
ことを特徴とする、請求項2に記載のブレーキシステム(2)。
【請求項5】
前記第2の圧力供給ユニット(14)に接続された行程シミュレータ(28)が設けられる、
請求項1~4のいずれか一項、特に請求項2に記載のブレーキシステム(2)。
【請求項6】
前記第3の油圧ライン(HL3)が、前記第1の油圧ライン(HL1)に接続され、特に前記第1の隔離弁(TV1、BP1)を介して、前記第2の油圧ライン(HL2)に接続される、
請求項2に記載のブレーキシステム(2)。
【請求項7】
第4の隔離弁(74)によって前記第1及び第2の油圧ラインを前記第1の圧力供給ユニット(6)から可逆的に分離することができ、及び
前記第4の隔離弁(74)は、その閉鎖状態において前記第1及び第2の油圧ライン(HL1、HL2)が前記第1の圧力供給ユニット(6)から切り離されるように配置及び設計される、
ことを特徴とする、請求項4に記載のブレーキシステム(2)。
【請求項8】
前記第1の圧力供給ユニット(6)、特にその作業チャンバに流体的に接続される、少なくとも1つの圧力リリーフ弁(80、UeV)によって特徴付けられる、
請求項1~7のいずれか一項に記載のブレーキシステム(2)。
【請求項9】
前記第1の油圧ライン(HL1)及び/又は前記第2の油圧ライン(HL2)が、各場合において吸引弁(70b、70c)を介して前記リザーバ(40)に接続される、
請求項1~8のいずれか一項に記載のブレーキシステム(2)。
【請求項10】
作動要素(26)、特にブレーキペダルが、前記第2の圧力供給ユニット(14)に配置され、前記ピストン(24)が、前記作動要素(26)によって作動可能である、
請求項1~9のいずれか一項に記載のブレーキシステム(2)。
【請求項11】
前記リザーバ(40)が、レベルセンサ(NST)を備え、前記レベルセンサ(NST)は、前記リザーバ(40)内の前記圧力媒体の充填レベルを検出するように構成される、
請求項1~10のいずれか一項に記載のブレーキシステム(2)。
【請求項12】
前記ブレーキシステム(2)の制御ユニットが、前記レベルセンサ(NST)の信号に基づいて、シール、特に前記第1及び/又は第2の圧力供給ユニット(6、14)のシールの液密性を判定するための、及び/又は、漏れを判定するための診断を実行するように構成されることを特徴とする、
請求項11に記載のブレーキシステム(2)。
【請求項13】
第1のピストン-シリンダユニットを備えた前記第1の圧力供給ユニット(6)、及び第2のピストン-シリンダユニットを備えた前記第2の圧力供給ユニット(14)が、前記第1のピストン-シリンダユニットの長手方向軸(L6)が前記第2のピストン-シリンダユニットの長手方向軸(L14)に対して実質的に垂直になるようにハウジング内に配置されることを特徴とする、
請求項1~12のいずれか一項に記載のブレーキシステム(2)。
【請求項14】
a.前記第1のブレーキ回路(BK1)に接続する第1の油圧ライン(HL1)上の第1の接続点に第1の圧力を提供するステップ、
b.前記第2のブレーキ回路(BK2)に接続する第2の油圧ライン(HL2)上の第2の接続点に第2の圧力を供給するステップ、
c.第1の故障状態、特に前記第1のブレーキ回路(BK1)の前記圧力媒体の損失を検出するステップ、
d.前記第1の故障状態の検出に応答して、少なくとも第1の隔離弁(BP1)を閉鎖して、前記第1の圧力供給ユニット(6)を前記第1の接続点から油圧的に切り離すステップ、
を含む、請求項2に記載のブレーキシステム(2)を制御するための方法。
【請求項15】
- 前記第1の隔離弁(BP1)及び第2の隔離弁(TVBK2)を閉鎖すること、
- 前記第1の圧力供給ユニット(6)を用いて圧力を増大すること、及び
- 少なくとも所定の時間間隔で圧力を測定すること、
による前記第1の隔離弁(BP1)の液密性の診断によって特徴付けられる、
請求項14に記載の方法。
【請求項16】
第2の故障状態、特にESPユニットの少なくとも部分的な障害の検出であって、前記第2の故障状態の検出に応答して、
- 少なくとも1つのバス、特にCANバス(CAN)を介して、前記ESPユニットから測定信号を読み取るステップ、
- 前記測定信号を考慮して、特に前記ESPユニットの弁の制御戦略を実行するステップ、
が実行される、第2の故障状態の検出によって特徴付けられる、
請求項14又は15に記載の方法。
【請求項17】
- 第3の故障状態、特に前記第1の圧力供給ユニット(6)の障害及び/又は前記第2のブレーキ回路(BK2)の障害の検出であって、前記第3の故障状態の検出に応答して、
- 車両の第1の車軸、特に前車軸(VA)を制動するために、前記第1のブレーキ回路(BK1)に前記第2の圧力供給ユニット(14)から前記圧力媒体を供給することができるように弁を制御するステップ、及び
- 同時に第2の車軸を制動するために前記第2の車軸で車両電気モータ(TM1
)を作動するステップ、
が実行される、第3の故障状態の検出によって特徴付けられる、
請求項14~16のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
自動車の自動運転化の傾向に伴い、ブレーキシステムには、耐故障性のほか、例えばブレーキ圧の発生、電源の供給、及びコンピュータ機能に関して冗長性が強く求められている。
【0002】
いわゆるワンボックス及びツーボックスシステムが一般的に好まれている。後者は、電動ブレーキブースター(BKV)、いわゆるe-ブースター、及びESPシステム(エレクトロニックスタビリティコントロールシステム)から構成されている。
【0003】
既知の解決策は、比較的長い長さ及び/又は高重量を有する。
【0004】
国際公開第2011/098178号(以下、変形例A又は追従型ブースター又はe-ブースターと呼ぶ)には、同軸駆動によるこのような解決策が記載されており、この解決策では、電気モータがトランスミッション及びピストンを介してメインシリンダピストン(HZピストン)に作用する。BKV制御は、いわゆる追従型ブースターとしての電気素子と反応ディスクを介して行われ、ペダル行程は、ブレーキ圧とブレーキシステムの体積吸収の関数であり、これはフェージング又はブレーキ回路の故障時に長いペダル行程を必要とする。
【0005】
国際公開第2009/065709号には、同様に追従型ブースター機能を備えたe-ブースターが示されている(以下、変形例B又は追従型ブースター又はe-ブースターと呼ぶ)。ここでは、BKVの制御は、ペダル行程及び/又はペダル圧力、すなわちペダルが作動される圧力を介して行われる。電気モータとプランジャを備えた別の圧力供給装置が、アンプピストンを介してHZピストンに作用する。
【0006】
国際公開第2012/019802号は、同軸駆動による国際公開第2011/098178号と同様の配置を示し、ここでは電気モータがトランスミッションとピストンを介してHZピストンに作用する(以下、変形例C)。ここでは、追加のピストンシリンダユニットが使用されており、これは行程シミュレータピストン(WS)に作用する。したがって、ペダル行程は、例えば、フェージング及びブレーキ回路の故障の影響を受けない。しかしながら、複雑さと構造長さが増す。
【0007】
独国特許第10 2009 033 499号は、アンプピストンの油圧作動と外部からの圧力供給が可能な追加ESPユニットを備えたブレーキブースターを示している(以下、変形例Dとも呼ぶ)。4つ又は5つのピストンと6つの電磁弁(MV)を有するこの配置は、複雑であり、長さにおいて好ましくない。非油圧式の行程シミュレータ(WS)がメインシリンダの上流のピストン-シリンダユニット内に配置され、これは電磁弁(MV)を介して減衰させることも又は切り替えることもできない。
【0008】
BKVモータが故障した場合、バキュームBKVによるアシスト機能と同様に、ポンプ付きESPユニットが自動運転モードでの制動機能を保証するため、上記の解決策はすべて、冗長ブレーキブースター機能を有する。
【0009】
ESPモータが故障した場合、国際公開第2010/088920号に記載されているように、BKVモータによる圧力変調の可能性によって、ABSは機能を維持することができる。しかしながら、これは4つの車輪すべてに共通の圧力制御しかできず、最適な制動距離を得ることができない。
【0010】
すべてのこれまでに知られているワンボックスシステムには、高度なペダル行程特性を実現するために、いわゆる行程シミュレータが搭載されている(特にブレーキバイワイヤの場合)。
【0011】
e-ブースターとESPを備えた既知のシステムは、圧力供給の冗長性を1つだけ有する、すなわち、e-ブースターが故障した場合、ESPによるブレーキブースターへの冗長な電力供給を伴う冗長な圧力供給がある。より高い安全性の要求は考慮されていない。
【0012】
ブレーキシステムの個々の構成要素を組み立て、すなわち配置して、すぐに取り付けられるユニットを形成すること、及びそのユニットの全体的な体積は非常に重要である。特に、半自動運転、又はさらには完全自動運転向けに設計された自動車に使用されるブレーキシステムでは、例えばタンデム式メイン(ブレーキ)シリンダ又はシングル式メイン(ブレーキ)シリンダ)など、多くの変形を考慮する必要がある。既知のアセンブリの変形の例としては、圧力供給ユニットをメイン(ブレーキ)シリンダの軸に対して垂直に配置する方法(例えば欧州特許第2 744 691号に記載)、又は圧力供給ユニットをメイン(ブレーキ)シリンダの軸に対して平行に配置する方法(例えば独国特許第10 2016 105 232号に記載)がある。後者は、特に、最初に述べたアセンブリの変形と比較して、全体の幅がより小さいことを特徴とする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
発明の目的
先行技術に基づき、本発明の目的は、改良されたブレーキシステムを提供することである。
【0014】
特に、本発明は、自動運転動作(以下、ADともいう)及び/又は電気自動車/ハイブリッド車で使用するためのブレーキシステムであって、次第に強力な再生パワー(発電機/又は発電機運転時の駆動モータを介した制動によるエネルギー回復)を有するブレーキシステムを創出するという課題に基づく。重量は好ましくは低減され、及び/又はシステムの寸法は縮小され、及び/又は信頼性は向上する。
【0015】
好ましくは、自動運転動作のための経済的なブレーキシステムも創出されるべきであり、このシステムは、必要なすべての冗長性と非常に高い安全要件を満たす。
【0016】
さらに、ESPが故障した場合、制動距離及び安定性の点でABSの適切な機能と、再生の適切な機能の両方が本ブレーキシステムで達成される。
【0017】
特に、本発明の目的は、特にブレーキ回路が故障した場合に、冗長な圧力供給、非常に広い機能範囲、及び非常に高い可用性を備え、同時に非常に短い長さと低いコストも伴う、改良型のブレーキシステムを提供することである。さらに、部分的な故障/漏れの場合にも非常に高い可用性を可能にする方法が提供される。
【課題を解決するための手段】
【0018】
発明による解決策
この目的は、本発明によれば、請求項1の特徴を有するブレーキシステムと、請求項17の特徴を有する方法とによって達成される。有利な実施形態、改良、及び変形は、従属項の主題である。
【0019】
この目的は、特に、以下を有するブレーキシステムによって達成される:
- 少なくとも1つのブレーキ回路及び少なくとも1つの第2のブレーキ回路に圧力媒体を供給するように構成された、電動駆動装置を有する第1の圧力供給ユニット、
- ブレーキ回路の少なくとも1つに圧力媒体を供給するように構成されたモータ-ポンプユニット、
- ブレーキ回路の少なくとも1つに圧力媒体を供給するように構成された第2の圧力供給ユニットであって、少なくとも1つの第1の油圧ライン及び少なくとも1つの第2の油圧ラインを介してモータ-ポンプユニットに接続されている第2の圧力供給ユニット、
- 弁ユニット。
【0020】
ブレーキ回路の少なくとも1つは、少なくとも1つの第3の油圧ラインを介して第2の圧力供給ユニットに接続されている。弁ユニットは、第3の油圧ラインを少なくとも部分的に可逆的に遮断することができる少なくとも1つの供給弁を備え、隔離弁が油圧ラインの少なくとも1つに配置され、その油圧ラインを少なくとも部分的に可逆的に遮断することができる。
【0021】
圧力供給ユニットは、ブレーキ圧力を供給するブレーキシステムのユニット、特に構造ユニットであるとおおむね理解することができる。したがって、圧力供給ユニットは、圧力媒体を少なくとも1つのブレーキ回路に供給するために使用される。
【0022】
さらに、ブレーキシステムは弁ユニットを備える。弁ユニットは、このケースでは、油圧弁ユニットとして形成される。特に、弁ユニットは、電磁弁として形成された少なくとも1つの供給弁を有する。電磁弁は、特にその簡単な作動性のために有利であることが分かっている。
【0023】
供給弁は、通常開状態の弁として具現化することができる。通常の運転において、第2の圧力供給ユニットから2つのブレーキ回路の一方に圧力媒体が到達しないように、供給弁は閉じることができる。システムが故障した場合には、必要に応じて緊急制動が可能であるように、第1及び/又は第2のブレーキ回路に圧力をかけることができる。
【0024】
すべてのドライブバイワイヤシステムのように、供給弁は安全性にとって非常に重要であることがこの時点で注記される。故障時には、第1の圧力供給ユニット、又はそれによって第2の圧力供給ユニットのシリンダ内に発生した圧力が、ペダル力に直接対抗するように作用する。第2の圧力供給ユニットのピストンを移動することで、第1の圧力供給ユニットは作動停止になる。ドライバーは必要な制動力をペダルで適用しなければならない。法的要件に単に準拠したシステムでは、これは500N(40~50バールに相当)に相当する。これは、ドライバーを苛立たせ、事故につながる可能性がある。
【0025】
隔離弁及び供給弁として使用される通常開いた状態の電磁弁は、2つのコネクタを備える戻りばねを有する。コネクタの1つはアーマチュアチャンバに通じており、本出願ではアーマチュアチャンバコネクタと呼ばれる。もう一方のコネクタは、弁座の後ろに位置し、以下では弁座コネクタと呼ばれる。閉じた状態では、弁座コネクタの圧力が、弁により加えられる磁力に対抗して作用する。しかしながら、弁は必要な圧力に耐えられるように設計されている。
【0026】
好ましくは、供給弁は、閉状態において、ブレーキシステム、特に第1及び第2のブレーキ回路の高圧に対して確実に閉じられるように設計及び配置されている。
【0027】
この目的のために、一実施形態では、供給弁は、弁座コネクタを介して第1の油圧ラインに間接的に接続される。
【0028】
ここで、「少なくとも部分的に遮断可能」という表現は、例えばスロットルのように、弁が油圧供給ラインを通る(圧力媒体の)体積流れを制限するだけであることを意味すると理解することができる。これに代えて、或いはこれに加えて、弁は体積流れを完全に停止することができる。この文脈では、「可逆的」という用語は、弁が制御可能な方法で閉じたり開いたりできることを意味すると理解することができる。この目的のために、少なくとも1つの弁は、好ましくは電磁弁として設計される。さらなる実施形態では、弁ユニットは、電磁弁として設計された複数の弁を有する。
【0029】
本発明によれば、第1及び/又は第2の油圧ラインに少なくとも1つの隔離弁が設けられ、この隔離弁を介して、それぞれの油圧ラインを少なくとも部分的に可逆的に遮断することができる。少なくとも1つの隔離弁は、第1及び第2のブレーキ回路を互いに油圧的に切り離す機能を有することができる。したがって、故障のシナリオでは、第1の圧力供給ユニットからの圧力媒体を一方のブレーキ回路に、又は両方のブレーキ回路に選択的に導入することが可能である。さらに、第1の圧力供給ユニットが故障した場合には、第2の圧力供給ユニットからの圧力媒体を、一方のブレーキ回路に排他的に導入するか、又は両方のブレーキ回路に導入するかを選択することが可能である。
【0030】
本発明によるブレーキシステムの利点は、先行技術によるブレーキシステムと比較して、ブレーキシステムのよりコンパクトな設計及び形状に見ることができる。特に、この利点は、先行技術によるブレーキシステムと比較して、追加圧力供給ユニット及びタンデムブレーキシリンダを不要にすることができるという事実によって達成される。さらに、機能的な範囲だけでなく、(例えば規格で定められた)故障の安全性も保証される。ブレーキシステムをよりコンパクトにすることで、ブレーキシステムの使用分野が有利に最適化される。使用分野とは、例えば、ブレーキシステムの局所的な配置(例えば自動車内)、及びまた、ブレーキシステムの異なる性能要件を満たすためのブレーキシステムのモジュール設計を意味するとここで理解される。
【0031】
一実施形態では、ブレーキシステムは、2つの油圧モジュールで構成されている。好ましくは、それらモジュールは、空間的に分離された別個のユニットであり、2本の油圧ラインを介して接続されている。この2本の油圧ラインが油圧インターフェースを形成している。しかしながら、両モジュールを1つの構造ユニットに一体化することも可能である。
【0032】
第1のモジュール(以下、「X-ブースト」ともいう)は、電動駆動装置を有する第1の圧力供給ユニット、第2の圧力供給ユニット、及び弁装置を含むことができる。第2の圧力供給ユニットは、作動ユニット、特にブレーキペダルを備えたメインブレーキシリンダとして具現化することができる。
【0033】
一実施形態では、第2のモジュールは、電気的に駆動されるモータ-ポンプユニット(以下、「ESPユニット」ともいう)を備え得る。モータ-ポンプユニットは、圧力供給源として機能し、少なくとも1つのブレーキ回路、好ましくは両方のブレーキ回路に圧力媒体を供給する。
【0034】
本発明によるブレーキシステムのモジュールは、以下の機能を実行するように設計することができる:
第1のモジュール(X-ブースト):
- 作動ユニットのセンサ技術の評価を介した可変制動力増幅を備えるブレーキブースト;
- 発電機又は発電機モードの電気駆動モータによる制動エネルギーの再生の間のブレンディング、任意選択的に、前車軸及び後車軸に複数の駆動モータを使用している場合、車軸固有のブレンディング;
- 第1の圧力供給ユニットによる高度に動的な圧力増大を伴う緊急制動機能(AEB);
- 摩擦のないブレーキの可変空間距離の制御;
- 自動距離制御などの運転者支援機能(DAS);
- 電動パーキングブレーキEPBのロック・アンロック制御のための二次システム又は代替一次システム;
- 標的ブレーキ回路固有ブレーキ圧生成を介したヨーモーメント制御(ESP、トルクベクタリング、ステアリング介入)のための二次又は一次システム;及び/又は
- 電気制動力配分EBVのための二次又は一次システム。
第2のモジュール(ESPユニット):
- アンチロックブレーキシステムABS;
- アンチスリップレギュレーションASR;
- 電気制動力配分EBV;
- 標的ホイール固有ブレーキ圧生成を介したヨーモーメント制御(ESP機能、トルクベクタリング、ステアリング介入);
- 例えばフェージング時、ロック圧よりも高い圧力での一次システムとしての制動力増幅;
- 作動ユニットのセンサ技術の評価を介した運転者要求認識による可変制動力増幅による二次システムとしての制動力増幅;
- 電動パーキングブレーキEPBのロック・アンロック制御のための一次システム又はその代替的な二次システム;
- ESPユニットに実装された他の機能。
【0035】
ブレーキシステムは、特に乗用車用のブレーキシステムとして設計される。圧力媒体は、好ましくはブレーキ液である。
【0036】
電動駆動装置の1つの構成要素は、第1の圧力供給ユニットのピストンの位置を電子的に整流して制御するためのモータセンサであることは知られている。電動駆動装置は、例えば、トランスミッションを介して、特に台形スピンドルを介して、又はボールねじ駆動装置のスピンドルを介して、異なるタイプの駆動装置と組み合わせることができる。
【0037】
本発明によれば、誘導性センサ若しくは磁界感応型センサを備えたセグメントセンサ、又はモータ若しくはトランスミッションシャフトに配置されるセンサなど、様々なタイプのセンサを使用することができる。これらは特にシンプルな設計で、典型的に、ターゲット(2極又は多極磁石)及び磁界感応型センサ素子(ホールセンサ、GMR等)を有する。これらのセンサは、好ましくは電動駆動装置に配置されたモータ制御ユニットに、時に中間ハウジングを介して電気的に接続される。センサは、センサ回路基板上のセンサハウジング内に収容されると好ましい。
【0038】
一実施形態において、第1の隔離弁は、通常は開状態の隔離弁として具現化される。
【0039】
第2の油圧ラインに少なくとも1つの第2の隔離弁を配置することができる。第2の隔離弁は、第1の圧力供給ユニットからの圧力媒体が第1のブレーキ回路のみに入ることができるように、第2の油圧ラインを可逆的に中断することができる。第1の圧力供給ユニットの観点から、第1の圧力供給ユニットからの圧力媒体が、a)排他的に第1のブレーキ回路に到達するか、b)排他的に第2のブレーキ回路に到達するか、又はc)両方のブレーキ回路に到達するかを、第1及び第2の隔離弁によって選択することができる。
【0040】
第2の隔離弁の配置は、第3の隔離弁と組み合わせると特に有利である。この第3の隔離弁は、第3の隔離弁の閉状態において、第2の圧力供給ユニットからの圧力媒体が排他的に第2のブレーキ回路に流れ込むように、第1の油圧ラインに配置及び設計することができる。本発明によれば、第3の隔離弁は、第1のブレーキ回路への供給を完全に閉鎖するように設計及び配置することができるので、第2のブレーキ回路は第1及び/又は第2の圧力供給ユニットを介して圧力を供給されることができる。この時点で、「第1のブレーキ回路」及び「第2のブレーキ回路」という用語は、任意に選択されていることに留意すべきである。第2のブレーキ回路が第1のブレーキ回路の代わりとなり、第1のブレーキ回路が第2のブレーキ回路の代わりとなることができる。
【0041】
一実施形態では、第2の隔離弁の弁座接続部が第2のブレーキ回路に油圧的に接続されるように第2の隔離弁が配置され、及び/又は、
第3の隔離弁(BP2)の弁座接続部が第1のブレーキ回路に油圧的に接続されるように第3の隔離弁が配置され、及び/又は、
第1の隔離弁の弁座接続部が第2の隔離弁に、及び、第4の隔離弁を介して、第1の圧力供給ユニットに油圧的に接続されるように第1の隔離弁が配置される。
【0042】
第1の隔離弁及び/又は第2の隔離弁は、本発明の一態様によれば、通常開かれた弁であることができる。
【0043】
第2の圧力供給ユニットは、メインシリンダと、メインシリンダ内に位置するピストンとを含むことができる。
【0044】
本発明による解決策は、その全体体積及び設置スペースの点で最適化されたブレーキシステムを提供する。同時に、ブレーキシステムのモジュール設計に関する柔軟性が有利に最適化される。一実施形態では、ブレーキシステムのモジュール設計とは、異なる自動車の異なる性能及び設置スペース要件を満たすために、異なる性能の構成要素及び/又はブレーキシステム内の構成要素の配置のバリエーションを用いたブレーキシステムのモジュール設計を意味すると理解される。
【0045】
一実施形態では、第2の圧力供給ユニットに油圧的に接続される行程シミュレータが提供される。
【0046】
この実施形態は、運転者がブレーキペダルを踏んだときに行程シミュレータを用いて触覚フィードバックが運転者に出力されるという考えに基づいている。
【0047】
最も単純な実施形態では、行程シミュレータは、内壁と行程シミュレータピストンとの間に配置されたばね要素によってばね荷重をかけられた行程シミュレータピストンをその中に据えた行程シミュレータシリンダと理解することができる。行程シミュレータシリンダは、好ましくは、油圧ラインによって第2の圧力供給ユニットに接続される。ブレーキペダルが作動する間、行程シミュレータシリンダも圧力媒体を供給されるので、行程シミュレータピストンは、ばね要素のばね力の方向に逆らって移動する。漸進的なばね力により、一実施形態では、運転者がブレーキペダルを作動させる力をばね要素のばね力が間接的に対抗するため、運転者はペダル圧の増加を感じる。
【0048】
また、さらなる発展形態において、行程シミュレータは、切換え弁によってオフにすることができ、ブレーキペダルが第1の範囲に沿って作動し、ブレーキペダルの力が戻りばねによってのみ決定されるときに有効ではない場合、有利である。この文脈において、第1の範囲とは、例えば、ブレーキ操作中の作動開始後のペダル行程の前半を意味すると理解される。換言すると、第1の範囲は、例えば、踏み込まれていないブレーキペダルと半分踏み込まれているブレーキペダルとの間の(行程)範囲に対応する。第2の範囲では、ブレーキペダルの力は、戻りばねと行程シミュレータピストンによって決定される。第2の範囲は、例えば、ペダル行程の後半、すなわち、半分踏み込まれたブレーキペダルと完全に踏み込まれたブレーキペダルとの間の(行程)範囲であると理解される。特に、戻りばねは、このケースでは、行程シミュレータシリンダ内に配置されたばね要素ではない。むしろ、戻りばねは、一端が行程シミュレータシリンダに、他端が行程シミュレータピストンに配置され、特に固定されていることが好ましい追加のばね要素である。
【0049】
ブレーキシステムの全体体積をさらに低減するために、この点についてここで参照される本出願人の国際公開第2013/072198号にも示されているように、行程シミュレータ内の容積がより小さくなり、特性曲線の累進部分にのみ対応するように、戻りばねをペダル行程特性曲線の平坦な部分、すなわちブレーキペダルに低い戻り力が作用する部分に代替的に使用することができる。
【0050】
さらなる保護のために、行程シミュレータは好ましくは冗長なシールを備え得る。本発明によれば、行程シミュレータ遮断弁を設けることができる。しかしながら、行程シミュレータ遮断弁は省略することもできる。
【0051】
一実施形態では、ブレーキシステムは、第1及び第2の油圧ラインを第1の圧力供給ユニットから(同時に)可逆的に切り離すことができる第4の隔離弁を備える。第4の隔離弁は、故障時にブレーキ回路、特に第1及び第2の油圧ラインを第1の圧力供給ユニットから油圧的に隔離するために使用することができる。これにより、ブレーキ回路の制動に利用できない圧力媒体が第1の圧力供給ユニットに取り込まれるのを防ぐ。第4の隔離弁は、通常閉じているように設計することができる。
【0052】
一実施形態では、第1の圧力供給ユニットは、前記シナリオにおける体積の損失を回避するセルフロック式トランスミッションを有する。
【0053】
さらに、第4の隔離弁は、必要に応じて、貯留容器からブレーキ回路の1つに体積を選択的に供給するために使用することができる。この目的のために、第4の隔離弁が閉じているときに、第1の圧力供給ユニットが体積を引き込む。
【0054】
ブレーキシステムは、構成要素保護のために、少なくとも1つの圧力リリーフ弁を含んでいてもよい。一実施形態では、圧力リリーフ弁は、第1の圧力供給ユニット、特にその作業チャンバと流体接続していてもよい。この過圧保護のために、第1の圧力供給ユニットは、80~100バール用に設計されてもよい。より強力な設計にすると、第1の圧力供給ユニットの寸法を大幅に大きくしなければならなくなる。少なくとも1つの圧力リリーフ弁は、例えば、ABS動作中に第1の圧力供給ユニットが損傷するのを防ぐ。
【0055】
隔離弁は、電磁弁及び/又は2方向弁であってもよい。
【0056】
第1及び/又は第2の油圧ラインは、(それら自身の)吸引弁を介して貯留容器に接続されてもよい。これらの吸引弁は、例えばモータ-ポンプユニットがより多くの体積を必要とする場合に、圧力媒体を素早く補充するために使用される。これは、モータ-ポンプユニットがスタンドアローンで動作している場合、すなわち、第1の圧力供給ユニットが体積の補充に利用できない場合に、特に有利である。
【0057】
冗長性のために、第2の圧力供給ユニットを電気的に作動させることも考えられる。好ましい実施形態では、作動要素が第2の圧力供給ユニットに配置されている。作動要素は、例えば、行程シミュレータの説明で既に上で述べたブレーキペダルであり、自動車の運転者が作動させることができる。特に、作動要素は、第2の圧力供給ユニットの補助ピストン上に配置されている。したがって、補助ピストンは、作動要素によって作動させることができる。換言すると、ブレーキペダルとして設計された作動要素が作動されると、補助ピストンは、圧力媒体がメインブレーキシリンダから押し出され、したがって第2の圧力供給ユニットから押し出されるように、メインブレーキシリンダの奥深くへと変位する。
【0058】
一実施形態では、第2の圧力供給ユニットは、作動要素によって作動することができる単一のピストンを有する(単一の)メインブレーキシリンダ又はシリンダを含む。したがって、第2の圧力供給ユニットは、好ましくは、単一のピストンが保持される単一の作動チャンバのみを有する「単一ピストンシリンダ」を含む。
【0059】
一実施形態では、第2の圧力供給ユニット及び/又は行程シミュレータは、それぞれ、冗長的に設計された2つのシール要素を有する。冗長性」とは、本文脈において、2つのシール要素のそれぞれが、他のシール要素が故障した場合に、その対応する構成要素の液密性を確保し、その結果、その機能を維持することを意味すると理解される。シール要素は、ここでは、リングシールとして設計されていることが好ましい。
【0060】
本発明によれば、機能的に重要なシールをすべて冗長的に設計することができる。例えば、診断の一環として、ブレーキプロセス中に漏れを検出することができる。これにより、「故障運転」に対する高い安全性が達成される。
【0061】
一実施形態では、圧力媒体を保持する貯留容器又はリザーバが設けられる。貯留容器は、油圧ラインによって第1の圧力供給ユニット及び第2の圧力供給ユニットに油圧的に接続されている。一実施形態では、貯留容器は、1つのさらなる油圧ラインを介して、第1の油圧ライン及び第2の油圧ラインに接続されている。貯留容器への油圧ラインのすべて又は一部は、吸引弁を含んでいてもよい。
【0062】
一実施形態では、貯留容器は、貯留容器内の圧力媒体の充填レベルを検出するように設計されたセンサ要素、特にレベルセンサをさらに有する。レベルセンサは、貯蔵容器内で圧力媒体内に配置される、すなわち圧力媒体中で「浮く」フロートを有することができ、圧力媒体の充填レベルに応じてセンサ信号を生成するか、又は圧力媒体の充填レベルが変化した場合に(永久)センサ信号の変化を引き起こす。
【0063】
一実施形態では、フロートの位置を無線で検出することができる。例えば、フロートは磁石を含み、その磁界に基づいてフロートの位置を検出することができる。関連するセンサ手段は、例えば、貯留容器にすぐ隣接する回路基板又は回路基板上に配置された1つ又は複数の磁界センサを備える。一実施形態では、回路基板はPCBである。
【0064】
一実施形態によれば、電動駆動装置は、冗長性のある3相電気接続を有する。これを介して電動駆動装置は制御される。駆動装置は、従来技術から知られている方法の1つに従って制御することができる。
【0065】
第1の圧力供給ユニットのモータの2×3相接続により、モータが部分的に故障した場合でも、50%のトルクで圧力を増大することができる。これにより、最大40~50バールのブレーキ圧を発生させることができ、この部分的な故障の場合でも、車両の安全な制動が確保される。
【0066】
一実施形態では、ホイールブレーキのパッドの戻りのために、ホイールブレーキに弾性要素、特にばね要素が設けられる。好ましくは、ばね要素又は弾性要素は、ブレーキ回路内で圧力がもはや増大されなくなるとすぐにブレーキパッドがブレーキディスクから浮き上がるように作用する(空間距離)。ばね要素は、ホイールブレーキの(強力な)ロールバックシールとすることができる。これには、ブレーキペダルのバックラッシュがないという利点がある。
【0067】
ディスクブレーキに接触するブレーキパッドによる典型的な摩擦損失は、標準的なブレーキシステムでは100~300ワットであり、電気自動車の航続距離又はバッテリ容量に大きな影響を及ぼす。全電気自動車ではバッテリコストが非常に大きなコスト要因となるため、摩擦のない制動は自動車の全体的なコストに非常に大きな影響を及ぼす。摩擦のない、或いは低摩擦のブレーキは、例えばブレーキパッドの強力なロールバックシールによって可能になり得る。この空間距離は、ブレーキパッドの摩耗によって変化し、動作時間が長くなると増加する。
【0068】
説明したように、本発明は、ブレーキシステム、特に全体体積が小さいブレーキブースターのコンパクトな設計を達成し、ブレーキシステムは非常に短くて細く、例えば、圧力発生、電気供給、及びABS/ESPユニットのポンプモータの故障に関して冗長性を備えている。さらに、ESPユニットが故障した場合でも、ABS機能を性能を低下させた状態で有効にすることができる。このように、ESPなしの緊急動作時に、ABS機能は、制動距離を改善するための少なくとも車軸ごとの個別制御を示す(「セレクト・ロー」圧力制御)。
【0069】
一実施形態では、第1の圧力供給ユニットは、第1のピストンシリンダユニットとともに配置され、第2の圧力供給ユニットは、第2のピストンシリンダユニットとともに、第1のピストンシリンダユニットの長手方向軸が第2のピストンシリンダユニットの長手方向軸に対して実質的に垂直になるように、ハウジング内に配置される。長手方向軸は、2つの隣接する平面上に配置することができる。この配置により、非常にコンパクトな第1のモジュールを製造することができる。本発明によれば、実質的に垂直な配置は、軸が90°の角度と比較して最大±15°ずれている配置であってもよい。好ましくは、ピストンシリンダユニットの配置は、それらが油圧的に互いに分離されているような配置である。
【0070】
上述の目的は、ブレーキシステムを制御する方法によっても解決される。ブレーキシステムは、上で既に説明したようなブレーキシステムの1つであり得る。本方法は、以下のステップを含み得る:
a)第1のブレーキ回路に接続するために、第1の接続点に第1の圧力を提供するステップ;
b)第2のブレーキ回路に接続するために、第2の接続点に第2の圧力を提供するステップ;
c)故障状態、特に、圧力媒体の損失及び/又は圧力供給の障害を検出するステップ;
d)故障状態の検出に応答して、少なくとも第1の隔離弁を閉じて、第1の圧力供給ユニットを第1の接続点から油圧的に切り離すステップ。
【0071】
本装置に関連して上述した利点と同様の利点が得られる。
【0072】
本方法は、第1の接続点が第2の圧力供給ユニットと流体的に接続するように、供給弁を開くステップを含み得る。また、供給弁の開放は、故障状態の検出に応答し得る。
【0073】
本発明のいくつかの例示的実施形態を、図を参照して以下でより詳細に説明する。これは、部分的に高度に簡略化された表現で示している。
【図面の簡単な説明】
【0074】
図1】2つの隔離弁と1つの供給弁を備えた本発明によるブレーキシステムの第1の例示的実施形態の概略回路図。
図2】4つの隔離弁と1つの供給弁を備えた本発明によるブレーキシステムの第2の例示的実施形態の概略回路図。
図3】第1の例示的実施形態の変形例の概略回路図。
図4】本発明によるブレーキシステムのさらなる例示的実施形態の概略回路図。
図5a】ブレーキシステムの構造ユニットの概略側面図。
図5b】ブレーキシステムの構造ユニットの概略側面図。
図6】ESPユニットの概略回路図。
【発明を実施するための形態】
【0075】
図1は、第1のモジュール(X-ブーストと呼ぶ)と第2のモジュールとを含むブレーキシステム2の概略回路図を示す。第1のモジュールであるX-ブーストは、電動駆動装置8を備えた第1の圧力供給ユニット6の他に、メインブレーキシリンダ22とブレーキペダルを備えた作動要素26とを備えた第2の圧力供給ユニット14を備えている。さらに、様々な電磁弁及び逆止弁を備えた弁装置が設けられている。
【0076】
第2のモジュールは、第3の圧力供給ユニットとも呼ばれる電動駆動装置91付きポンプを有する電気駆動式のモータ-ポンプユニット90(ESPユニットとも呼ばれる)を備えている。モータ-ポンプユニット90は、任意のESPユニットであってよい。適切なESPユニットは、独国特許出願公開第10 2014 205 645 A1号に詳細に記載されている。或いは、ESP機能を持たない標準的なABSユニットを第2のモジュールとして使用することもできる。
【0077】
2つのモジュール(X-ブースト及びESPユニット)は、2つのブレーキ回路BK1及びBK2に圧力媒体を供給するように設定されており、ここでそれらモジュールは好ましくは油圧的に直列に接続されている。1つの例示的な実施形態では、X-ブーストは車両のバルクヘッドに取り付けられ、これに第2のモジュール(ESPユニット)が2つの油圧インターフェース又は接続点(BK1、BK2に関連して図1の太い黒点を参照のこと)で油圧ラインを介して接続されている。
【0078】
第1の圧力供給ユニット6は、第1の油圧ラインHL1を介して、第1のブレーキ回路BK1又は対応するインターフェースに接続される。さらに、第1の圧力供給ユニットを第2のブレーキ回路又は対応するインターフェースに接続するための第2の油圧ラインHL2が設けられている。
【0079】
本発明によれば、X-ブーストの第2の圧力供給ユニット14は、ピストン24及びピストンチャンバ23を有する1つのメインブレーキシリンダ22のみを有する。例示的な実施形態では、第2の圧力供給ユニット14は、単回路設計であり、第3の油圧ラインHL3及び供給弁69を介してブレーキ回路BK1又は対応する油圧インターフェースに接続されている。第2の油圧ラインHL2への流体接続は、第1の隔離弁BP1を介してつながる。欠陥のない(例えば、ブレーキ回路の故障のない)通常のブレーキバイワイヤ動作において、作動ユニット26が行程シミュレータ28にのみ作用するように、供給弁69を閉じることによって、第2の圧力供給ユニット14をブレーキ回路BK1、BK2から切り離すことができる。
【0080】
図1による例示的な実施形態では、ブレーキ回路BK1及びBK2は、第1の隔離弁BP1(好ましくは通常開)を介して隔離することができる。本発明によれば、第1の圧力供給ユニット6の故障時に、第2の圧力供給ユニット14のメインブレーキシリンダ22は、このようにして、第1のブレーキ回路BK1のみに接続するか、又は、第1の隔離弁BP1を開くことによって、第1及び第2のブレーキ回路BK1、BK2に接続することができる。この緊急時の動作のために、供給弁69は、通常開いた弁として設計されている。電流がまだ印加されている場合、第2の圧力供給ユニット14がもはやブレーキ回路BK1、BK2から油圧的に切り離されないように、弁は開かれる。
【0081】
また、第1の圧力供給ユニット6は、任意選択的に、第2のブレーキ回路BK2に作用する(第1の隔離弁BP1は閉)、又は両ブレーキ回路BK1、BK2に作用する(第1の隔離弁BP1は開又は常に開)。通常の動作では、第1の隔離弁BP1が開いているので、第1の圧力供給ユニット6は両ブレーキ回路BK1、BK2に圧力を供給し、第2の圧力供給ユニット14は、閉じた供給弁69によって第1のブレーキ回路BK1から切り離されている。ブレーキ回路BK1、BK2から体積が失われていると判断された場合には、第1の隔離弁BP1によってブレーキ回路BK1を第1の圧力供給ユニット6から切り離すことができるので、第1のブレーキ回路BK1に漏れが生じた場合には、油圧媒体の損失が生じないように第2のブレーキ回路BK2を作動させ続けることができる。
【0082】
例示的な実施形態では、第1の隔離弁BP1は、電磁弁として具現化されており、隔離弁BP1のボール座は、油圧ラインのうちの第1の圧力供給ユニット6につながる部分に接続部(弁座接続部)を介して接続されている。これは、第1の隔離弁BP1が、第1のブレーキ回路BK1が故障した場合でも、通電により確実に閉じることができ、第1の圧力供給ユニット6の動作中に、より高い圧力によって強制的に開かれないことを意味する。
【0083】
第2の圧力供給ユニット14は、作動要素26が作動されると、メインシリンダ22の壁に設けられた拡張孔を介して行程シミュレータ28に供給するので、作動要素26の作動の大きさの関数として、復帰力の形での漸進的な触覚抵抗を感じることができるようになっている。この文脈における作動の大きさとは、運転者がブレーキペダルとして構成されている作動要素26をどれだけ「しっかりと及び/又はどれだけ遠くまで」作動させ、その結果、ピストン24をメインブレーキシリンダ22内に押し込むか、であると理解される。漸進的な触覚抵抗は、ペダル特性とも呼ばれる。
【0084】
行程シミュレータ28(図1に示す)への接続を遮断するために、行程シミュレータ弁29を設けてもよい。
【0085】
第2の圧力供給ユニット14は、少なくとも1つの拡張ボア38を有し、この拡張ボア38は、油圧ラインを介して貯留容器40に接続されている。貯留容器40もブレーキシステム2の一部である。
【0086】
例示的な実施形態では、拡張ボアと貯留容器40との間の油圧ラインに、スロットルDRと同様に逆止弁RVHZを配置することができる。第1の圧力供給ユニット6と同様にこの逆止弁RVHZによって、行程シミュレータ28内と同様に第1の圧力供給ユニット6内に配置されたシール要素の保存状態の診断を実行することが可能である。メインブレーキシリンダ22のシールをテストする際には、行程シミュレータ弁29(存在する場合)を閉じることができる。
【0087】
示されているように、メインブレーキシリンダ22は、リングシールである2つのシール要素42a、42bを有している。拡張ボア38は、2つのシール要素42a、42bの間に配置されている。2つのシール要素42a、42bの間に配置された拡張ボア38と、貯留容器40との間の接続部に、スロットルDRが配置されている。
【0088】
スロットルDRの流量は、シール要素42aが故障してもペダル特性が大きく変化しないように寸法設定されている(10秒で3mmのペダル行程)。また、スロットルDRを介して、圧力媒体の温度に関連する体積補償を行うことができる。
【0089】
モータ-ポンプユニット90のABS動作中、ブレーキ回路BK1及びBK2に高圧ピークが発生し、第1の圧力供給ユニット6にかなりの負荷がかかることがある。図1による変形例では、圧力リリーフ弁UeVがボアを介して第1の圧力供給ユニット6のピストンチャンバに接続されており、これにより高圧ピークが低減され、システムの損傷が回避される。
【0090】
吸引弁NVも、第1の圧力供給ユニット6のピストンチャンバと流体接続されており、貯留容器40からの圧力媒体の補充を可能にする。したがって、第1の圧力供給ユニット6は、独立して、ブレーキ回路BK1、BK2に追加の圧力媒体を導入することができる。また、第1の圧力供給ユニット6のシリンダに設けられた追加の拡張孔により、第1の圧力供給ユニット6のピストンの初期位置における体積補償が可能になる。
【0091】
モータ-ポンプユニット90を図1に概略的にのみ示す。それは最終的に4つのホイールブレーキRB1、RB2、RB3、及びRB4を供給する。概略図では、ホイールブレーキRB1、RB2は車両の前車軸VAのために、ホイールブレーキRB3、RB4は車両の後車軸HAのために働く。車両の後車軸HAには、車両を駆動するための駆動用電気モータが配置されている。車両は、全電気自動車、又はハイブリッド車であり得る。
【0092】
第1のブレーキ回路BK1は、ホイールブレーキRB1及びRB2に接続され、第2のブレーキ回路BK2は、ホイールブレーキRB3及びRB4に接続されている。図1に示す油圧配置の場合、対応する割り当てが有利である。
【0093】
また、モータ-ポンプユニット90は、制御ユニット95(「ECU-ESP」)を有する。
【0094】
同様に、第2の圧力供給ユニット14は、貯留容器40内の磁気フロートNSの位置を感知するレベルセンサNSTを含む回路基板(PCB)を有する。PCBは、ペダル行程、及びピストン24とペダル行程との間の行程差を感知するためのセンサ30a、30bをさらに有する。
【0095】
モータ-ポンプユニットに追加の圧力媒体を供給するために、吸引弁70bが第1のブレーキ回路BK1に設けられ、モータ-ポンプユニット90のポンプを貯留容器40に接続する。
【0096】
モータ-ポンプユニット90のポンプが第2のブレーキ回路BK2用の圧力媒体を必要とする場合、これは貯留容器40から吸引弁70cを介して供給することができる。
【0097】
したがって、2つのブレーキ回路BK1、BK2はそれぞれ、それぞれの油圧ラインHL1、HL2によって、圧力媒体を吸引するための吸引弁70b又は70cそれぞれを介して貯留容器40に接続されている。圧力媒体の最適な吸引を実現するために、吸引弁70cは、好ましくは、30mm~50mmの範囲の直径を有し、特に40mmの直径を有する。
【0098】
任意選択的に、この例示的実施形態では、ブレーキパッドとディスクブレーキとの間の空間距離を制御する。ホイールブレーキRB1、RB2、RB3、RB4(図1参照)は、摩擦のないホイールブレーキRB1、RB2、RB3、RB4として設計することができる。ブレーキバイワイヤシステムでは、ブレーキシステム内で圧力なしに空間距離により離間されたブレーキパッドを備えたディスクブレーキにより、摩擦抵抗を低減することができる。これは、ロールバックシール、戻りばねを使用することによって、又は、負圧を発生させてブレーキパッドを積極的に後退させることで実現することができる。欧州特許出願公開第2225133 A2号は、第1の圧力供給ユニット6によって対応する負圧を発生させる可能性を記載しており、これにより本開示に関して明示的に組み込まれる。
【0099】
第1の圧力供給ユニット6を使用して、圧力曲線を評価することによって、運転中に変化するホイールブレーキRB1、RB2、RB3、RB4の空間距離を、各ホイール又はブレーキ回路について個別に測定することができる。本発明によれば、対応する測定は、保守点検中だけでなく、車両の運転中にも実施することができる。好ましくは、測定は、車両が静止しているとき、又は制動後に実施される。
【0100】
ホイールブレーキRB1、RB2、RB3、RB4の既知の空間距離値を用いて、ホイールブレーキRB1、RB2、RB3、RB4が作動したときに、第1の圧力供給ユニット6のピストン行程制御によって、空間距離が最初に迅速に克服される。この点で、第1の圧力供給ユニット6の電動駆動装置8として時定数の小さいブラシレスモータを用いると、ブレーキをかける際に運転者がそのことに気づかずに空間距離の克服を実現できるので好ましい。
【0101】
さらに、車両用電気モータTM1が空間距離の位相で作用するように、ブレーキシステム2を制御することができる。したがって、ブレーキをかけると直ちに制動効果が発生する。
【0102】
本発明の1つの例示的実施形態において、ホイールブレーキRB1、RB2、RB3、RB4の空間距離の違いは、第2のモジュール(ESPユニット)の入口弁を制御することによって、及び/又は、1つ又は複数の車軸の電気モータを使用して、制動を開始するための制動効果を発生させることによって、補償される。この空間距離は、一般に、低速時の新しいブレーキシステムのスティックスリップ効果を低減又は回避するために使用することができる。
【0103】
1つの例示的実施形態において、本発明によるブレーキシステム2は、ESPユニットが故障した場合に、スタッターブレーキ(stutter braking)を実施する。第1の圧力供給ユニット6のピストンを上側圧力範囲と下側圧力範囲との間で前後に移動させることにより、ホイールのロックが回避され、操舵性が維持される。
【0104】
1つの例示的実施形態において、1チャネルのABS動作が追加又は代替的に実施される。このために、ESPユニットの制御ユニット95へのインターフェースを介して、圧力やホイール速度などの測定信号を読み取ることができる。
【0105】
自動化されたスタッターブレーキは、十分な制動距離(完全なホイール固有のABSと比較して、ABSによる制動距離の約200%)と、操舵性を維持することによる許容可能な安定性をもたらす。この緊急機能を提供する従来のブレーキシステム(国際公開第2011/098178号)では、ブレーキペダルを介した作動が、スタッターブレーキ機能中に前後に移動するメインブレーキシリンダのピストンに直接作用するため、ペダルの作動によってホイールがロックする可能性がある。
【0106】
本発明によるブレーキシステムは、本発明の一態様によるブレーキペダルがピストン24にのみ作用し、供給弁69を介してブレーキ回路BK1、BK2から隔離されているので、従来のシステムの欠点を解消してこの緊急機能を提供することができる。したがって、本発明によるブレーキシステムでは、自動化されたスタッターブレーキの機能は運転者によって妨害されない。
【0107】
スタッターブレーキの代わりに、又はスタッターブレーキに加えて、セレクト・ロー制御による単一チャネルABS動作を実施することができる。これにより、制動距離はさらに悪化するが(完全なホイール固有のABSによる制動距離と比較して約400%の制動距離)、車両の安定性は制限されない。本発明によれば、1チャネルABS動作のための測定値、例えば圧力及びホイール速度は、インターフェース、例えばCANインターフェースを介してESPユニット95によって読み取ることができる。
【0108】
図1に示すように、本発明によるブレーキシステム2の可用性をさらに高めるために、第1の圧力供給ユニット6の電動駆動装置8は、冗長化された2つの3相ストリングを介してX-ブーストの制御ユニット9(ECU DV)に接続され、電子機器は(部分的に)冗長化される。例えば、各ストリングに対して2つのB6ブリッジを設けることができる。さらに、少なくとも1つの例示的実施形態では、電子機器は2つの冗長電源に接続されている。このようにして、電動駆動装置8の故障確率を4~10分の1に低減することができ、故障状況(第1の圧力供給ユニット6の故障)をさらに大幅に低減することができる。
【0109】
ESPユニット95の制御ユニットとX-ブースターの制御ユニット9(ECU DV)は、CANバスCANを介して通信可能に接続されている。これにより、モータ-ポンプユニット90に対して、駆動装置91及び/又は設けられた弁の作動を引き起こす制御コマンドを送信することができる(図6も参照のこと)。
【0110】
図1によるブレーキシステム2では、以下の安全に関わる冗長性を実現することができる:
- ブレーキ回路の故障時、a)第2の圧力供給ユニット14、b)第1の圧力供給ユニット6、又はc)第1の圧力供給ユニット6及び第3の圧力供給ユニット(同時)の故障時に、法的要件を満たす十分な制動効果を確保すること、すなわち、二重故障の場合にも法的要件を満たすこと:
o 故障状況1 - 第3の圧力供給ユニット(モータ-ポンプユニット90)の故障:両方のブレーキ回路BK1、BK2における第1の圧力供給ユニット6を介したブレーキブーストによる減速;
o 故障状況2 - 第3の圧力供給ユニット及びブレーキ回路BK1の故障:例えば後車軸における、第1の圧力供給ユニット6を介したブレーキブーストによる減速;
o 故障状況3 - 第3の圧力供給ユニット及び第2のブレーキ回路BK2の故障:例えば前車軸における、第2の圧力供給ユニット14による減速(第1の隔離弁BP1は閉)
o 故障状況4 - 第1の圧力供給ユニット6の故障:第3の圧力供給ユニットを介したブレーキブーストによる減速;
o 故障状況5 - 第1の圧力供給ユニット6及び第1のブレーキ回路BK1又は第2のブレーキ回路BK2の故障:第3の圧力供給ユニットを介したブレーキ回路BK1、BK2の一方におけるブレーキブーストによる減速(場合により、1つの車軸の車両電気モータTM1によって支援される);
o 故障状況6 - 第1の圧力供給ユニット6及び第3の圧力供給ユニットの故障:前車軸VAのメインブレーキシリンダによる制動、及び任意選択的に後車軸HAの駆動電気モータによる制動;
o 故障状況7 - 車両電気システムの故障:必要に応じて前車軸VA及び後車軸HAにおける第2の圧力供給ユニット14による制動;
- ESPユニットが故障した場合の電子制動力配分(EBV)。これは、第1の隔離弁BP1を閉じた状態で、第3の圧力供給ユニットを介して第1のブレーキ回路BK1に圧力を発生させ、第1の圧力供給ユニット6を介して第2のブレーキ回路BK2に圧力を発生させ、第2の圧力供給ユニット14のセンサを介して第1の圧力供給ユニット6を制御することにより行われる。このためには、S/Wブレーキ回路の分割が必要であり、すなわち、前車軸VAのホイールは第1のブレーキ回路BK1に接続され、後車軸HAのホイールは第2のブレーキ回路BK2に接続される;
- ブレーキパッドとディスクブレーキの間の空間距離の制御;
- 1チャネルABSの作動、又は自動スタッターブレーキの実現。
【0111】
図2は、図1によるXブースターの代替実施形態を示す。図1による例示的実施形態とは対照的に、図2では、第2の隔離弁TVBK2が第2の油圧ラインHL2に設けられている。この第2の隔離弁TVBK2により、第2のブレーキ回路BK2を第1の圧力供給ユニット6から油圧的に切り離すことが可能となる。したがって、第1の圧力供給ユニット6は、第1のブレーキ回路BK1に圧力媒体を供給するか、又は第2のブレーキ回路BK2に圧力媒体を供給するか、或いは両方のブレーキ回路に圧力媒体を供給するかを選択的に行うことができる。第2のブレーキ回路BK2において体積損失が検出されると、これを切り離すことができる。
【0112】
さらに、図2による例示的実施形態は、第1の隔離弁BP1と第1のブレーキ回路BK1の接続点との間の第1の油圧ラインに、第3の隔離弁BP2が設けられている点が異なる。好ましくは、この第3の隔離弁BP2は、第1の隔離弁BP1と第3の隔離弁BP2との間の油圧接続部において、第3の油圧ラインが第1の油圧ラインHL1に開口するように配置される。第3の隔離弁BP2により、第1のブレーキ回路BK1を第1の圧力供給ユニット6及び第2の圧力供給ユニット14の両方から油圧的に切り離すことが可能になる。したがって、第1の圧力供給ユニット6が故障したときには、供給弁69、第1の隔離弁BP1及び第2の隔離弁TVBK2を介して、第2の圧力供給ユニット14から第2のブレーキ回路に圧力媒体を供給することが可能となる。第3の隔離弁BP2が閉じられている場合、第1のブレーキ回路に圧力媒体は供給されない。
【0113】
図2によるブレーキシステム2では、以下のような安全に関わる冗長性を実現することができる:
- 1つ又は複数の圧力供給ユニットの故障時に、十分な制動効果を確保すること、
o 故障状況1~7:実施形態1を参照;
o 故障状況8 - 供給弁69の故障(例えば漏れ)又は電気制御の故障:隔離弁BP1及びBP2によって第3の油圧ラインHL3を閉鎖し、行程シミュレータが完全に有効になるようにする;第1の圧力供給ユニット6及びESPユニットがホイールブレーキの圧力を設定する;
o さらなる自由度:ブレーキ回路の故障時、メインブレーキシリンダの圧力をブレーキ回路BK1又はBK2に任意選択的に供給する。
- ESPユニットが故障した場合の電子ブレーキブースト(EBV)。これは第2の圧力供給ユニット14を介してブレーキ回路BK1に圧力を発生させることによって、第1の隔離弁BP1が閉じているときに第1の圧力供給ユニット6を介してブレーキ回路BK2に圧力を発生させることによって、及び第2の圧力供給ユニット14のセンサシステムを介して圧力供給を制御することによって行われる。このためにはS/Wブレーキ回路の分割が必要であり、ブレーキ回路への制動力の分配は、隔離弁BP1、BP2、及びTVBK2を介して制御される。本発明によれば、第1の圧力供給ユニット6のピストンは、適切な圧力を加えるために、前進ストローク及び戻りストロークの動きを制御することができる。任意選択的に、弁、特に隔離弁のPWM制御を介して圧力調整を行うことができる;
- 路面状況に応じて、「セレクト・ロー」制御(ブレーキ回路ごとに付着状態が悪い方のホイールのホイールロック圧が設定圧力を決定する)と、「セレクト・ハイ」制御(ブレーキ回路ごとに付着状態が良い方のホイールのホイールロック圧が設定圧力を決定する)との間でシステムが切り替わる、2チャネルABSの動作。
- 空間距離制御は、図1による例示的実施形態で既に実施されている。図2による例示的実施形態は、隔離弁BP1、TVBK2の順次開弁によるブレーキブースター動作の前に適切な予備制御を行うことで、ブレーキ回路BK1、BK2のホイールブレーキRB1、RB2、RB3、RB4の不均等な空間距離を補正する追加の可能性を提供する。代替的に、ブレーキ回路BK1、BK2への異なる流れ断面を設定して、不均等な空間距離を同時に補正できるように、PWM操作を使用することも可能である。ここでは、S/Wブレーキ回路の分割が適している。この方法は、ブレーキ回路隔離弁がX-ブーストモジュールの一部であり、時間的な遅れ又はエラーの影響を受けずに実装できるため、容易に実装可能である(例えば、X-ブーストとESPユニットの間のインターフェースの使用)。例えば、ブレーキシステムは、前車軸のブレーキパッドには空間距離が設けられず、後車軸には空間距離が設けられるように設計することができる。このように、第1の圧力供給ユニット6が故障しても、本発明に従って作動ユニットによって圧力が発生して前車軸VAのホイールブレーキRB1、RB2、RB3、RB4に作用する際に、制動の遅れを生じない。さらに、より大きな制動効果を前車軸VAで発生させることができる。
【0114】
図3は、図1による例示的実施形態の変形例を示す。ここでは、ブレーキ回路が交換されている。図1及び図2の例示的実施形態に関連して既に説明したものと同様の利点が、本発明の対応する修正形態で達成できることは、当業者には明らかであろう。
【0115】
図4は、電動駆動装置8及びトランスミッションを有する第1の圧力供給ユニット6と、図4では矩形によって概略的にのみ示されているモータ-ポンプユニット90とを備えた本発明のブレーキシステム2のさらなる例示的実施形態の概略回路図を示す。
【0116】
ブレーキシステム2は、第2の圧力供給ユニット14をさらに備える。第2の圧力供給ユニット14は、本出願人の出願番号PCT/EP2018/072363号による出願に詳細に記載されており、この時点でそれは参照される。
【0117】
図1による例示的実施形態と同様に、第2の圧力供給ユニット14は、メインブレーキシリンダ22及びピストン24を有する。ピストン24には作動要素26が配置されており、この作動要素は図4に部分的にしか示されておらず、例えばブレーキペダルとして設計されている。
【0118】
さらに、図4に示されるブレーキシステム2は、第2の圧力供給ユニット14に油圧的に接続された行程シミュレータ28を有している。
【0119】
センサ30a、30bは、ブレーキペダルの行程と、作動要素26及びピストン24の間の行程の差とを検出する。作動要素26は、ばね要素を介してピストン24に作用する。センサ30a、30bは、好ましくは、第2の圧力供給ユニット14に統合され、ここではより詳細に記載しないそこのペダルインターフェースの一部である。
【0120】
センサ30a、30bによって生成された信号は、差動行程に関する情報を含み、したがって、第1の圧力供給ユニット6のための制御信号を含み、後者は、センサ30a、30bによって生成された信号の関数として、第1のブレーキ回路BK1及び第2のブレーキ回路BK2に圧力媒体を適用するようになっている。代替的又は追加的に、2つのブレーキ回路BK1、BK2は、メインブレーキシリンダ22の内部に配置された圧力媒体を供給される。このように、この例示的実施形態では、2つのブレーキ回路BK1、BK2が少なくとも間接的に圧力媒体を供給されるように、第2の圧力供給ユニット14が設定される。
【0121】
さらに、作動要素26が作動されると、第2の圧力供給ユニット14は、メインブレーキシリンダ22の壁に設けられた拡張孔を介して行程シミュレータ28に供給し、作動要素26の作動の大きさの関数として、復元力の形の漸進的な触覚抵抗を感じることができるようになっている。作動の大きさとは、この文脈では、運転者がブレーキペダルの形態の作動要素26をどれだけ「しっかりと及び/又はどれだけ遠くまで」作動させ、その結果、ピストン24をメインブレーキシリンダ22内に押し込むかということであると理解される。漸進的な触覚抵抗は、ペダル特性とも呼ばれる。
【0122】
さらに、第2の圧力供給ユニット14は、一端がピストン24上に配置され、他端がメインブレーキシリンダ22上に配置されたばね36を備えている。ばね36も、行程シミュレータ28のばね特性の一部であり得、したがって、ペダル特性の一部であり得る。
【0123】
第2の圧力供給ユニット14は、少なくとも1つ、この例示的実施形態では2つの拡張ボア38を有し、この拡張ボア38は、油圧ラインを介して貯留容器40に接続されている。貯留容器40はまた、図4による例示的実施形態において、ブレーキシステム2の一部である。
【0124】
一実施形態では、拡張ボア38と貯留容器40との間の油圧ラインに、逆止弁RV(図示せず)を配置してもよい。さらに、このような逆止弁RV(図示せず)は、第1の圧力供給ユニット6と貯留容器40との間の油圧ラインにも配置されてもよい。この逆止弁RV及び第1の圧力供給ユニット6によって、第1の圧力供給ユニット6内及び行程シミュレータ28内に配置されたシール要素の保存状態に関する診断を行うことが可能である。
【0125】
さらに、メインブレーキシリンダ22は、互いに冗長であり且つリングシールとして設計された2つのシール要素42a、42bを有する。2つの拡張ボア38の一方は、2つのシール要素42a、42bの間に配置されている。2つのシール要素42a、42bの間に配置された拡張ボア38と貯留容器40との間の接続部には、スロットルDRが配置されている。
【0126】
スロットルDRは、2つのシール要素42a、42bの一方が故障した場合にペダル特性が大きく変化しないように、その流量に関して寸法が決められている(10秒間で3mmのペダル行程)。さらに、スロットルDRを介して、圧力媒体の温度に関連した体積補償を行うことができる。
【0127】
図4による例示的実施形態では、図1及び2による場合と同様に、ブレーキシステム2は、第1の圧力供給ユニット6の故障に関して冗長的に設計されている。このため、制動プロセスに関する第1の圧力供給ユニット6の故障時には、ABS/ESPユニット90が引き継ぎ、ポンプPによって貯留容器40から圧力媒体を吸引し、それをブレーキ回路BK1及びBK2に供給する。換言すると、ABS/ESPユニット90のポンプPは、第1の圧力供給ユニット6が故障した場合に、少なくとも代替として、ブレーキブースターの機能を引き受ける。このため、油圧ラインHL1及びHL2はそれぞれ、油圧ラインを介して貯留容器40に油圧的に接続されている。
【0128】
第1の圧力供給ユニット6はピストン44を有し、このピストンは拡張孔46を有している。圧力媒体は、第1の圧力供給ユニット6が貯留容器40に接続されている油圧ライン(図4では部分的にしか示されていない)を介して引き込まれる。
【0129】
第1の圧力供給ユニット6の寸法は、ピストン44の1回のフルストロークが2つのブレーキ回路BK1、BK2のうちの1つの体積取得量に対応するように、交互交替的にすることができる。
【0130】
また、第1の圧力供給ユニット6は容積(ピストン及びストローク)において対応して作る、又は小さくすることも可能である。
【0131】
第1のブレーキ回路BK1及び第2のブレーキ回路BK2における圧力増大及び/又は圧力低減は、制御ユニット9を介して行われ、この制御ユニット9には、ペダル行程センサ30a、30bの信号が伝達され、次いで、伝達された信号に応じて、電動駆動装置8が制御ユニット9によって制御される。また、制御ユニットは、ペダル行程センサ30a、30bの信号を受信するために、信号入力部(図示せず)を有している。さらに、制御ユニットは、自動車の車両電気システムへの接続部に電気を供給するための2つの接続部(これも図示せず)を有している。
【0132】
通常、第1の圧力供給ユニット6は、80バール~120バールの範囲の圧力を有する体積をブレーキ回路BK1及びBK2に送達する。この圧力範囲は、実質的にホイールロック限界に対応する。つまり、より高い圧力ではホイールがロックされる。それにもかかわらず、より高い圧力が必要な場合は、ABS/ESPユニット90のポンプPがオンになり、約200バールまで増大した圧力が発生する。しかしながら、この上昇した圧力増大は、第1の圧力供給ユニット6による圧力増大よりも、それに応じて低いパワーで、したがってよりゆっくりと行われる。これは、200バールまでの圧力増大は、フェージングケースにのみ関係し、(例えば、緊急制動機能を実行するための)ロック限界までの圧力増大ほど迅速に行われる必要がないため、許容される。したがって、ABS/ESPユニット90のポンプPは、好ましくは200バール用に設計され、第1の圧力供給ユニット6は、好ましくは80~120バール用に設計される。
【0133】
制動プロセス中に第1の圧力供給ユニット6が故障した場合、ピストン44は圧力下に押し戻され、それにより制動圧力を完全に低下させることができる。ピストン44にセルフロック用トランスミッションが使用されている場合(例えば、プラスチックナットを備えた台形スピンドルの形態で)、このような圧力低下は不可能である。この場合、第1のブレーキ回路BK1には、貯留容器に接続する常閉型電磁弁が設けられる(図示せず)。
【0134】
さらに、ブレーキシステム2は、弁ユニット50を有し、この弁ユニット50は、第2の圧力供給ユニット14と、モータ-ポンプユニット90に対するABS/ESPユニットとの間に配置され、特に、油圧ラインによって接続されている。さらに、第1の圧力供給ユニット6は、弁ユニット50に接続されている。このように、弁ユニット50は、分配器の役割を果たし、既に上述した圧力媒体の流路を可能にする。また、弁ユニット50は、逆止弁(ここでは簡略化のために図示せず)及び圧力センサを有する。
【0135】
第2の圧力供給ユニット14の補助ピストンチャンバ23は、弁69を介して油圧供給ラインHL3により、モータ-ポンプユニット90に接続されている。具体的には、弁69の下流側には、互いに並列に接続された第1の油圧ラインHL1と第2の油圧ラインHL2とが設けられており、これらはモータ-ポンプユニット12に接続されている。換言すると、弁69の下流側の油圧供給ラインHL3は、第1の油圧ラインHL1(第1のブレーキ回路BK1の一部を構成する)と第2の油圧ラインHL2(第2のブレーキ回路BK2の一部を構成する)とに分岐している。さらに、第1の油圧ラインHL1及び第2の油圧ラインHL2のそれぞれには、弁TV1、TV2が配置されており、この弁によって、第1の油圧ラインHL1及び第2の油圧ラインHL2を少なくとも部分的に可逆的に遮断することができる。
【0136】
モータ-ポンプユニット90のブレーキ回路BK1のポンプPの吸引力を高めるために、モータ-ポンプユニット90のブレーキ回路BK1のポンプPを貯留容器40に接続する吸引弁70bが設けられている。モータ-ポンプユニット90は、第1の油圧ラインHL1、弁69、油圧供給ラインHL3、補助ピストンチャンバ23及び拡張ボア38を介して、貯留容器40から圧力媒体を引き込むこともできる。モータ-ポンプユニット90のブレーキ回路BK1のポンプPの吸引力はまた、弁TV1又は弁の組み合わせTV1/TV11の油圧流れ抵抗によって低下しない。
【0137】
モータ-ポンプユニット90のブレーキ回路BK2のポンプPが、弁TV2、油圧ラインHL2、弁69及び補助ピストンチャンバ23を介して貯留容器40から圧力媒体を吸引する際の吸引力は、主に弁TV2の油圧流れ抵抗によって決定される。モータ-ポンプユニット90のブレーキ回路BK2のポンプPの吸引力を高めるために、第2の油圧ラインHL2を貯留容器40に接続する吸引弁70cが設けられている。モータ-ポンプユニット90のブレーキ回路BK1のポンプPは、第2の油圧ラインHL2及び吸引弁70cを介して、貯留容器40から圧力媒体を引き込むこともできる。
【0138】
さらに、第1の油圧ラインHL1から、第4の油圧ラインHL4が分岐している。第4の油圧ラインHL4は、第1のブレーキ回路BK1と第1の圧力供給ユニット6とを油圧的に接続している。第4の油圧ラインHL4内には、第4の隔離弁74が配置されており、これにより、第1のブレーキ回路BK1と第1の圧力供給ユニット6との間の油圧接続を少なくとも部分的に可逆的に切り離すことができる。圧力リリーフ弁80の漏れが発生した場合には、ブレーキ回路BK1が故障しないように、第4の隔離弁74を閉じることができる。
【0139】
図4によるブレーキシステム2の本質的な特徴は、さらなる圧力供給ユニットが不要になることである。したがって、ブレーキシステム2は、2つのブレーキ回路BK1、BK2に圧力媒体を供給する第1の圧力供給ユニット6及び第2の圧力供給ユニット14のみを有している。
【0140】
フォールバックのオプションにおいては、第1の圧力供給ユニット6の故障時に、弁TV1及びTV2を介して第2の圧力供給ユニット14を一方又は両方のブレーキ回路BK1、BK2に切り替えることができ、それにより、第2の圧力供給ユニット14によって一方又は両方のブレーキ回路BK1、BK2に圧力媒体が供給される。制御ユニット9の故障時には、両方のブレーキ回路BK1、BK2が有効となる。
【0141】
図5a及び図5bは、X-ブースターの個々の構成要素、特に第1の及び第2の圧力供給ユニット6、14と、関連する弁、特に隔離弁74、PD1、BP1、TV1、BP2、TVBK2、TV2とをハウジング内に配置することができる1つの方法を示している。
【0142】
図5a及び図5bは、電動駆動装置8、第2の圧力供給ユニット14、特にメインブレーキシリンダ22を備えたHCUブロック114、第1の圧力供給ユニット(ECU)、貯留容器40及びその他の構成要素(SH2、モータセンサ及びモータセンサハウジング)を備えたアセンブリの基本要素を簡略化して示している。
【0143】
第1の圧力供給ユニット6は、図1に示すように、電動駆動装置8、例えば、スピンドル駆動装置と、ピストンハウジング108とを有する。ピストンハウジング108は、ねじ接続部101を介してHCUブロック114に取り付けられている。
【0144】
ピストン24を備えたスピンドル駆動装置は、HCUブロック114内に配置されている。本発明によれば、第1の圧力供給ユニット6のピストンストロークは非常に小さくすることができる。これは、電動駆動装置8の寸法が低い圧力レベル、例えば120バールと、それに対応して小さい容積の両方のために設計されているからである。より高い圧力レベルと追加の容積は、ESPユニットによって提供することができる。上記の機能に必要な弁もHCUブロック114に一体化されている。
【0145】
さらに、HCUブロック114には、作動要素26に接続されたSH2が一体化されている。HCUブロック114は、取付フランジ102に接続されており、この取付フランジ102は、取付ボルト103でブレーキブースターの端壁104にボルト留めされている。
【0146】
HCUブロック114には、ハウジング113を備えた制御ユニット9(ECU)が取り付けられている。
【0147】
制御ユニット9(ECU)のプラグコネクタSTは、PCBに接続されている。また、PCBには、レベルセンサNSが搭載されている。レベルセンサNSは、微小な漏れ流量も検出するように線形に測定するように設計されている。このセンサは、磁気フロートNS又は貯留容器40内のその位置を検出する。最高の安全性が求められる場合は、レベルセンサNSを冗長化して設計することもできる。記載されている例示的な実施形態(プラグコネクタなし)の前提条件は、(図5bの画像面に関して)PCBの背後にある貯留容器40の対応する配置である。この配置により、全長を極めて短くすることができ、これは正面衝突の際に有利である。
【0148】
ブレーキ回路BK1、BK2 2のためのESPユニットへの油圧接続ライン105は、モータ側に、又はフロント側に、好ましくは約45°の角度で実装することができる。これにより組み立てが容易になる。
【0149】
プラグコネクタSTは、HCUブロック114の上方に配置されている。示された例示的な実施形態では、行程シミュレータハウジング117が別個に形成され、HCUブロック114に一体化されない。代わりに、行程シミュレータ28の位置を調整できるように、ねじ接続が設けられる。これにより、HCUブロック114の体積を節約する。
【0150】
本発明の一態様では、第1及び第2の圧力供給ユニット6、14は、記載されたハウジング内で互いに実質的に垂直に配置されている。圧力供給ユニット6、14のピストンの向きにより、これらは、図5a及び5bにおいてL6(=第1の圧力供給ユニット6の長手方向軸)及びL14(=第2の圧力供給ユニット14の長手方向軸)として指定される延びの方向を有する。これらの2つの軸L6、L14は、図示の例示的な実施形態において互いに直交しており、それによって、ピストンの非常にコンパクトな配置を実現することができる。図5a、5bから分かるように、長手方向軸L6及びL14は同一平面上には存在せず、2つの平行な-オフセットされた-平面上に配置されている。長手方向軸L6とL14を共通の平面にマッピングすると、垂直なコースが得られる。オフセットは1~15cmの範囲であり得る。
【0151】
図6は、本発明によるブレーキシステム2で使用するための、モータ-ポンプユニット90を備えたESPユニットの概略回路図である。ABS/ESPユニットは、モータ91を備えたメインコンポーネントポンプP、弁HSV1及びHSV2、USV1及びUSV2、ホイールブレーキRB1、RB2、RB3、RB4に関連する入口弁EV及び出口弁AV、並びに貯留室(SpK)を備えていることが知られている。このシステムは、多くの出版物や特許出願に記載されている。このシステムは、既にe-ブースターとして市場に出ており、主に電気自動車及びハイブリッド車で使用されている。それというのも、ここでは、ブレーキシステムの制御が、発電機の制動トルクと協力して行われる、すなわち再生だからである。
【0152】
本発明の1つの例示的実施形態では、ESPユニットは、双方向弁HSV1を有することができ、故障時に、ポンプPをバイパスしてこの弁HSV1を介してホイールブレーキRB3、RB4から圧力を逃がすことができるようになっている。この設計は、ブレーキ回路BK1、BK2における選択的な圧力制御と組み合わせて使用すると特に有利である。
【0153】
特に、本実施形態における本発明の一態様は、制御ユニット9がESPユニットの制御ユニット95(「ECU-ESP」)と通信可能に接続されており、既に記載した安全面を実現するために、少なくとも取得弁及び出口弁AVが制御ユニット9によって制御可能であることであり得る。
【0154】
圧力供給ユニットを節約することにより、例えば、従来技術で記載したブレーキシステム2の実施形態と比較して、さらなるコスト削減が達成される。
【0155】
この時点で、以下のことが指摘されるべきである、すなわち、上に記載したすべての部品は、個々に、-特徴が特定の文脈において追加的に記載されなくても、これらが、例えば以下の言葉:特に、好ましくは、例えば(for example)、例えば(e.g.)、場合により、丸括弧等の使用により、特定の文脈で任意選択の特徴として個々に明示的に特定されていない場合でさえ-、及び組み合わせ又は任意の副次的組み合わせにおいて、特に導入部から説明において、並びに特許請求の範囲において定義されているような本発明の独立した実施形態又はさらなる発展形態とみなされることが指摘されるべきである。そこからの逸脱は可能である。具体的には、「特に」という言葉又は丸括弧は、特定の文脈で必須となる特徴を示すものではないことに留意すべきである。
【符号の説明】
【0156】
参照符号の一覧
2 ブレーキシステム
6、DV1 第1の圧力供給ユニット
8 電動駆動装置
9 制御ユニット(ECU)
10 トランスミッション
14、BE 第2の圧力供給ユニット
22 メインブレーキシリンダ
23 ピストンチャンバ
24 ピストン
26 作動要素
28、WS 行程シミュレータ
28a、28b 行程シミュレータのシール要素
29 行程シミュレータ弁
30a、30b ペダル行程センサ
32 行程シミュレータピストン
34 行程シミュレータのばね要素
36 ばね
38 第2の圧力供給ユニットの拡張孔
40、VB 貯留容器
42a、42b 補助ピストンシール要素
44 第1の圧力供給ユニットのピストン
46 第1の圧力供給ユニットのピストンの拡張孔
48 制御ユニット
50 弁ユニット
62 センサ要素
69、FV 供給弁
70b、70c、80d、RV1、RV2、NV 吸引弁
74、PD1 第4の隔離弁
80、UeV 圧力リリーフ弁
90、DV2 モータ-ポンプユニット
91 駆動装置
95 ESPユニット制御ユニット
101 ねじ接続部
102 取付フランジ
103 取付ボルト
104 端壁
105 接続ライン
108 ピストンハウジング
110 センサ要素
113 制御ユニットハウジング
114 HCUブロック
117 行程シミュレータハウジング
B1、B2 電気接続(3相)
P ポンプ
M モータ
BP1、TV1 第1の隔離弁
TVBK2、TV2 第2の隔離弁
BP2 第3の隔離弁
RB1、RB2、RB3、RB4 ホイールブレーキ
DR スロットル
BK1 第1のブレーキ回路
BK2 第2のブレーキ回路
HL1 第1の油圧ライン
HL2 第2の油圧ライン
HL3 第3の油圧ライン
HL4 第4の油圧ライン
L6 第1の圧力供給ユニットの長手方向軸
L14 第2の圧力供給ユニットの長手方向軸
VA 前車軸
HA 後車軸
TM1 車両電気モータ
RVHZ 逆止弁
CAN CANバス
ST プラグコネクタ
NS フロート
NST レベルセンサ
HSV1、HSV2、USV1、USV2 ESPユニット弁
AV 出口弁
EV 入口弁
SpK 貯留室
図1
図2
図3
図4
図5a
図5b
図6