(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-18
(45)【発行日】2025-02-27
(54)【発明の名称】冷蔵庫
(51)【国際特許分類】
F25D 17/08 20060101AFI20250219BHJP
F25D 11/02 20060101ALI20250219BHJP
F25D 17/06 20060101ALI20250219BHJP
【FI】
F25D17/08 306
F25D11/02 D
F25D17/06 312
(21)【出願番号】P 2022014825
(22)【出願日】2022-02-02
【審査請求日】2024-06-05
(73)【特許権者】
【識別番号】399048917
【氏名又は名称】日立グローバルライフソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】田口 翔一
(72)【発明者】
【氏名】河井 良二
(72)【発明者】
【氏名】岡留 慎一郎
(72)【発明者】
【氏名】石▲崎▼ 祐理
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 遵自
(72)【発明者】
【氏名】岩渕 真也
【審査官】庭月野 恭
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-036853(JP,A)
【文献】特開2020-180721(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第112984914(CN,A)
【文献】特開2013-167383(JP,A)
【文献】特開2001-059673(JP,A)
【文献】特開2021-179210(JP,A)
【文献】特開2017-110823(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2021/0055032(US,A1)
【文献】独国特許出願公開第102016211438(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25D 17/04-17/08
F25D 11/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
貯蔵室としての冷蔵室及び冷凍室と、
冷却器が収容された冷却器室と、
前記冷却器室で前記冷却器と熱交換した冷気を送風する冷凍室ファンと、
前記冷蔵室に冷気を循環させるのに使用される冷蔵室第一風路と、
前記冷却器室から前記冷蔵室第一風路への冷気の流通を制御する冷蔵室第一ダンパと、
前記冷蔵室の冷気を循環させる冷蔵室ファンと、
前記冷凍室ファン、前記冷蔵室第一ダンパ及び前記冷蔵室ファンを制御する制御装置と、
前記冷蔵室に配置された冷蔵室温度センサと、前記冷蔵室温度センサよりも下方で前記冷蔵室に配置された冷蔵室下部温度センサと、
を備え、
前記冷蔵室第一風路は、前記冷蔵室の内部冷気を取り込む冷蔵室第一戻り口と、冷気を前記冷蔵室へ吹き出す冷蔵室吹き出し口と、を有すると共に、前記冷蔵室第一ダンパを介して前記冷凍室ファンの吹き出し領域と連通するように構成され、
前記冷蔵室第一戻り口は、前記冷蔵室吹き出し口に対して、前記冷蔵室第一ダンパの側に位置し、
前記冷蔵室ファンは、前記冷蔵室の内部冷気が、前記冷蔵室、前記冷蔵室第一戻り口、前記冷蔵室第一風路、及び前記冷蔵室吹き出し口の順で循環するように、前記冷蔵室第一風路に配置され、
前記制御装置は、前記冷蔵室第一ダンパが開状態の場合に、前記冷蔵室ファンを駆動状態に制御
し、前記冷却器室で前記冷却器と熱交換し前記冷蔵室第一ダンパを通過した冷気が、前記冷蔵室第一風路から前記冷蔵室第一戻り口を介して前記冷蔵室に流れる逆流を防止し、
さらに前記制御装置は、第一送風モードと第二送風モードとを備え、
前記第一送風モードでは、前記冷蔵室第一ダンパが開状態の場合に、前記冷蔵室ファンと共に前記冷凍室ファンを駆動して、前記冷却器室で前記冷却器と熱交換した冷気を、前記冷蔵室第一ダンパから前記冷蔵室第一風路に送風して、前記冷蔵室吹き出し口から前記冷蔵室に吹き出した後、前記冷蔵室第一戻り口から前記冷蔵室第一風路に送風して、再び前記冷蔵室吹き出し口から前記冷蔵室に吹き出して循環させ、
前記第二送風モードでは、前記冷蔵室第一ダンパが開状態の場合に、前記冷却器室で前記冷却器と熱交換した冷気を、前記冷蔵室吹き出し口及び前記冷蔵室第一戻り口から前記冷蔵室に送風し、
前記冷蔵室温度センサが検知した温度と前記冷蔵室下部温度センサの検知した温度との差が所定の温度差を上回り、且つ、前記冷蔵室下部温度センサの検知した温度が、前記冷蔵室温度センサが検知した温度よりも高い場合に、前記第二送風モードによる冷却を行い、
前記第一送風モードによる冷却時間を、前記第二送風モードによる冷却時間よりも長くする冷蔵庫。
【請求項2】
貯蔵室としての冷蔵室及び冷凍室と、
冷却器が収容された冷却器室と、
前記冷却器室で前記冷却器と熱交換した冷気を送風する冷凍室ファンと、
前記冷蔵室に冷気を循環させるのに使用される冷蔵室第一風路と、
前記冷却器室から前記冷蔵室第一風路への冷気の流通を制御する冷蔵室第一ダンパと、
前記冷蔵室の冷気を循環させる冷蔵室ファンと、
前記冷凍室ファン、前記冷蔵室第一ダンパ及び前記冷蔵室ファンを制御する制御装置と、
を備え、
前記冷蔵室第一風路は、前記冷蔵室の内部冷気を取り込む冷蔵室第一戻り口と、冷気を前記冷蔵室へ吹き出す冷蔵室吹き出し口と、を有すると共に、前記冷蔵室第一ダンパを介して前記冷凍室ファンの吹き出し領域と連通するように構成され、
前記冷蔵室第一戻り口は、前記冷蔵室の庫内側から前記冷蔵室第一風路に向かうにつれて流路断面積が減少する構造を有する
と共に、前記冷蔵室吹き出し口に対して、前記冷蔵室第一ダンパの側に位置し、
前記冷蔵室ファンは、前記冷蔵室の内部冷気が、前記冷蔵室、前記冷蔵室第一戻り口、前記冷蔵室第一風路、及び前記冷蔵室吹き出し口の順で循環するように、前記冷蔵室第一風路に配置され、
前記制御装置は、前記冷蔵室第一ダンパが開状態の場合に、前記冷蔵室ファンを駆動状態に制御する冷蔵庫。
【請求項3】
貯蔵室としての冷蔵室及び冷凍室と、
冷却器が収容された冷却器室と、
前記冷却器室で前記冷却器と熱交換した冷気を送風する冷凍室ファンと、
前記冷蔵室に冷気を循環させるのに使用される冷蔵室第一風路と、
前記冷却器室から前記冷蔵室第一風路への冷気の流通を制御する冷蔵室第一ダンパと、
前記冷蔵室の冷気を循環させる冷蔵室ファンと、
前記冷凍室ファン、前記冷蔵室第一ダンパ及び前記冷蔵室ファンを制御する制御装置と、
前記冷蔵室第一風路とは独立した風路として設けられ前記冷却器室で前記冷却器と熱交換した冷気を流通させる冷蔵室第二風路と、
前記冷蔵室第二風路へ流入する冷気の風量を調整する冷蔵室第二ダンパと、
を備え
、
前記冷蔵室第一風路は、前記冷蔵室の内部冷気を取り込む冷蔵室第一戻り口と、冷気を前記冷蔵室へ吹き出す冷蔵室吹き出し口と、を有すると共に、前記冷蔵室第一ダンパを介して前記冷凍室ファンの吹き出し領域と連通するように構成され、
前記冷蔵室第一戻り口は、前記冷蔵室吹き出し口に対して、前記冷蔵室第一ダンパの側に位置し、
前記冷蔵室ファンは、前記冷蔵室の内部冷気が、前記冷蔵室、前記冷蔵室第一戻り口、前記冷蔵室第一風路、及び前記冷蔵室吹き出し口の順で循環するように、前記冷蔵室第一風路に配置され、
前記制御装置は、前記冷蔵室第一ダンパが開状態の場合に、前記冷蔵室ファンを駆動状態に制御する冷蔵庫。
【請求項4】
請求項
2又は3に記載の冷蔵庫において、
前記制御装置は、前記冷蔵室第一ダンパが開状態の場合に前記冷蔵室ファンを駆動して、前記冷却器室で前記冷却器と熱交換し前記冷蔵室第一ダンパを通過した冷気が、前記冷蔵室第一風路から前記冷蔵室第一戻り口を介して前記冷蔵室に流れる逆流を防止する冷蔵庫。
【請求項5】
請求項
4に記載の冷蔵庫において、
前記冷凍室ファンの吹き出し領域に連通すると共に、前記冷却器室で前記冷却器と熱交換した冷気を前記冷凍室に吹き出す冷凍室吹き出し口を有する冷凍室風路を備え、
前記冷蔵室第一風路は、前記冷蔵室第一ダンパを介して前記冷凍室風路と連通するように構成される冷蔵庫。
【請求項6】
請求項
5に記載の冷蔵庫において、
前記冷凍室は、冷気が前記冷却器室に戻るための出口となる冷凍室戻り口を備え、
前記冷凍室風路は、前記冷却器室の吐出側と前記冷凍室吹き出し口とを接続し、
前記制御装置は前記冷蔵室第一ダンパを開状態とすると共に、前記冷凍室ファンを駆動して、前記冷却器室で前記冷却器と熱交換した冷気を、前記冷凍室風路、前記冷凍室吹き出し口、前記冷凍室、前記冷凍室戻り口、及び前記冷却器室の順で冷気を循環させる冷蔵庫。
【請求項7】
請求項
4に記載の冷蔵庫において、
前記冷蔵室第一ダンパが開状態の場合に、前記冷蔵室ファンと共に前記冷凍室ファンを駆動して、前記冷却器室で前記冷却器と熱交換した冷気を、前記冷蔵室第一ダンパから前記冷蔵室第一風路に送風して、前記冷蔵室吹き出し口から前記冷蔵室に吹き出した後、前記冷蔵室第一戻り口から前記冷蔵室第一風路に送風して、再び前記冷蔵室吹き出し口から前記冷蔵室に吹き出して循環させる第一送風モードを備えた冷蔵庫。
【請求項8】
請求項
7に記載の冷蔵庫において、
前記制御装置は、前記冷却器室で前記冷却器と熱交換した冷気が、前記冷蔵室第一ダンパから前記冷蔵室第一風路に送風され、前記冷蔵室吹き出し口から前記冷蔵室に吹き出した後、前記冷蔵室第一戻り口から前記冷蔵室第一風路に送風され、再び前記冷蔵室吹き出し口から前記冷蔵室に吹き出して循環するように、前記冷凍室ファン及び前記冷蔵室ファンの回転数を設定する冷蔵庫。
【請求項9】
請求項
7に記載の冷蔵庫において、
前記冷蔵室第一ダンパが開状態の場合に、前記冷却器室で前記冷却器と熱交換した冷気を、前記冷蔵室吹き出し口及び前記冷蔵室第一戻り口から前記冷蔵室に送風する第二送風モードを備え、
前記第一送風モードによる冷却時間を
前記第二送風モードによる冷却時間より長くする冷蔵庫。
【請求項10】
請求項
2又は3に記載の冷蔵庫において、
前記冷蔵室第一ダンパが開状態の場合に、前記冷蔵室ファンと共に前記冷凍室ファンを駆動して、前記冷却器室で前記冷却器と熱交換した冷気を、前記冷蔵室第一ダンパから前記冷蔵室第一風路に送風して、前記冷蔵室吹き出し口から前記冷蔵室に吹き出した後、前記冷蔵室第一戻り口から前記冷蔵室第一風路に送風して、再び前記冷蔵室吹き出し口から前記冷蔵室に吹き出して循環させる第一送風モードと、
前記冷蔵室第一ダンパが開状態の場合に、前記冷却器室で前記冷却器と熱交換した冷気を、前記冷蔵室吹き出し口及び前記冷蔵室第一戻り口から前記冷蔵室に送風する第二送風モードと、
前記冷蔵室に配置された冷蔵室温度センサと、
前記冷蔵室温度センサよりも下方で前記冷蔵室に配置された冷蔵室下部温度センサと、を備え、
前記冷蔵室温度センサが検知した温度と前記冷蔵室下部温度センサの検知した温度との差が所定の温度差を上回り、且つ、前記冷蔵室下部温度センサの検知した温度が、前記冷蔵室温度センサが検知した温度よりも高い場合に、前記第二送風モードによる冷却を行う冷蔵庫。
【請求項11】
請求項1乃至
3のいずれか1項に記載の冷蔵庫において、
前記制御装置は、前記冷蔵室第一ダンパが開状態の場合に、前記冷凍室ファンの回転数が増加するにつれて前記冷蔵室ファンの回転数が増加するように、前記冷凍室ファン及び前記冷蔵室ファンを制御する冷蔵庫。
【請求項12】
請求項1乃至
3のいずれか1項に記載の冷蔵庫において、
前記制御装置は、前記冷蔵室第一ダンパが開状態の場合に、前記冷蔵室ファンの回転数が増加するにつれて前記冷凍室ファンの回転数が増加するように、前記冷蔵室ファン及び前記冷凍室ファンを制御する冷蔵庫。
【請求項13】
請求項1乃至
3のいずれか1項に記載の冷蔵庫において、
前記冷蔵室第一戻り口の近傍に冷蔵室第一戻り口温度センサを備え、
前記制御装置は、前記冷蔵室第一ダンパが開状態で、且つ、前記冷蔵室第一戻り口温度センサの検知温度が所定値より低くなった場合に、前記冷蔵室ファンの回転数を増加させる冷蔵庫。
【請求項14】
請求項
6に記載の冷蔵庫において、
前記制御装置は、前記冷却器室で前記冷却器と熱交換した冷気を、前記冷凍室風路、前記冷凍室吹き出し口、前記冷凍室、前記冷凍室戻り口、及び前記冷却器室の順で循環するように、前記冷凍室ファン及び前記冷蔵室ファンの回転数を設定する冷蔵庫。
【請求項15】
請求項
6に記載の冷蔵庫において、
前記冷凍室戻り口の近傍に冷凍室戻り口温度センサを備え、
前記制御装置は、前記冷蔵室第一ダンパが開状態で、且つ、前記冷凍室戻り口温度センサの検知温度が所定値よりも高くなった場合に、前記冷凍室ファンの回転数を増加させる冷蔵庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷蔵庫に関する。
【背景技術】
【0002】
冷蔵庫における冷蔵室の高湿化を実現する技術として、例えば、特許文献1に記載された冷蔵庫がある。
【0003】
特許文献1の冷蔵庫は、冷凍室用蒸発器(第1冷却器)と、冷蔵室用蒸発器(第2冷却器)と、冷蔵室と、冷凍室とを備える。冷凍室は冷凍室用蒸発器と熱交換された冷気のみを用いて冷却される(段落0035)。冷蔵室は、冷蔵室用蒸発器、具体的には冷蔵室の背面に配置された冷却板を用いて収容空間を冷やす直接冷却方式で冷却されると共に、冷凍室用蒸発器と熱交換された冷気を冷蔵室の収容空間内へ送出して冷やす間接冷却方式で冷却される(段落0032-0034)。この冷蔵庫は冷凍室用蒸発器と熱交換された冷気を冷蔵室へ送出するために、冷蔵室の背面に冷気送出流路が設けられ、冷気送出流路は冷凍室用蒸発器が配置された冷却室に連通している(段落0035)。冷却室と冷気送出流路との間には冷蔵室送りダンパが設けられ、冷蔵室送りダンパを開状態とすることで、冷凍室用冷却器と熱交換された冷気が冷気送出流路を通過して冷蔵室内へ流入する(段落0033)。特許文献1の
図1では、冷却板は冷気送出流路の内側に設けられることで、冷蔵室の背面に配置されており、冷蔵室内部の空気を冷却板に戻す戻り口が冷気送出流路に設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の構成では、
直接冷却方式で使用する流路と間接冷却方式で使用する流路とが1つの流路を供用する構成であり、間接冷却方式による冷蔵室の冷却の際に、冷凍室用冷却器と熱交換された冷気が戻り口から冷蔵室に流入する可能性がある。この場合、冷蔵室の上部が十分冷えない、あるいは、冷蔵室の下部が過度に冷えるといった課題が発生する。
【0006】
本発明の目的は、間接冷却方式による冷却の際に冷蔵室の上部が十分に冷えない、あるいは、冷蔵室の下部が過度に冷えるといった課題に有効な冷蔵庫を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、例えば特許請求の範囲に記載の構成を採用する。
【0008】
本願は上記課題を解決する手段を複数含んでいるが、その一例を挙げるならば、
貯蔵室としての冷蔵室及び冷凍室と、
冷却器が収容された冷却器室と、
前記冷却器室で前記冷却器と熱交換した冷気を送風する冷凍室ファンと、
前記冷蔵室に冷気を循環させる冷蔵室第一風路と、
前記冷却器室から前記冷蔵室第一風路への冷気の流通を制御する冷蔵室第一ダンパと、
前記冷蔵室の冷気を循環させる冷蔵室ファンと、
前記冷凍室ファン、前記冷蔵室第一ダンパ及び前記冷蔵室ファンを制御する制御装置と、
前記冷蔵室に配置された冷蔵室温度センサと、前記冷蔵室温度センサよりも下方で前記冷蔵室に配置された冷蔵室下部温度センサと、
を備え、
前記冷蔵室第一風路は、前記冷蔵室の内部冷気を取り込む冷蔵室第一戻り口と、取り込んだ内部冷気を前記冷蔵室へ吹き出す冷蔵室吹き出し口と、を有すると共に、前記冷蔵室第一ダンパを介して前記冷凍室ファンの吹き出し領域と連通するように構成され、
冷蔵室第一戻り口は、前記冷蔵室吹き出し口に対して、前記冷蔵室第一ダンパの側に位置し、
前記冷蔵室ファンは、前記冷蔵室の内部冷気が、前記冷蔵室、前記冷蔵室第一戻り口、前記冷蔵室第一風路、及び前記冷蔵室吹き出し口の順で循環するように、前記冷蔵室第一風路に配置され、
前記制御装置は、前記冷蔵室第一ダンパが開状態の場合に、前記冷蔵室ファンを駆動状態に制御し、前記冷却器室で前記冷却器と熱交換し前記冷蔵室第一ダンパを通過した冷気が、前記冷蔵室第一風路から前記冷蔵室第一戻り口を介して前記冷蔵室に流れる逆流を防止し、
さらに前記制御装置は、第一送風モードと第二送風モードとを備え、
前記第一送風モードでは、前記冷蔵室第一ダンパが開状態の場合に、前記冷蔵室ファンと共に前記冷凍室ファンを駆動して、前記冷却器室で前記冷却器と熱交換した冷気を、前記冷蔵室第一ダンパから前記冷蔵室第一風路に送風して、前記冷蔵室吹き出し口から前記冷蔵室に吹き出した後、前記冷蔵室第一戻り口から前記冷蔵室第一風路に送風して、再び前記冷蔵室吹き出し口から前記冷蔵室に吹き出して循環させ、
前記第二送風モードでは、前記冷蔵室第一ダンパが開状態の場合に、前記冷却器室で前記冷却器と熱交換した冷気を、前記冷蔵室吹き出し口及び前記冷蔵室第一戻り口から前記冷蔵室に送風し、
前記冷蔵室温度センサが検知した温度と前記冷蔵室下部温度センサの検知した温度との差が所定の温度差を上回り、且つ、前記冷蔵室下部温度センサの検知した温度が、前記冷蔵室温度センサが検知した温度よりも高い場合に、前記第二送風モードによる冷却を行い、
前記第一送風モードによる冷却時間は、第二送風モードによる冷却時間よりも長くする。
また、貯蔵室としての冷蔵室及び冷凍室と、
冷却器が収容された冷却器室と、
前記冷却器室で前記冷却器と熱交換した冷気を送風する冷凍室ファンと、
前記冷蔵室に冷気を循環させるのに使用される冷蔵室第一風路と、
前記冷却器室から前記冷蔵室第一風路への冷気の流通を制御する冷蔵室第一ダンパと、
前記冷蔵室の冷気を循環させる冷蔵室ファンと、
前記冷凍室ファン、前記冷蔵室第一ダンパ及び前記冷蔵室ファンを制御する制御装置と、
を備え、
前記冷蔵室第一風路は、前記冷蔵室の内部冷気を取り込む冷蔵室第一戻り口と、冷気を前記冷蔵室へ吹き出す冷蔵室吹き出し口と、を有すると共に、前記冷蔵室第一ダンパを介して前記冷凍室ファンの吹き出し領域と連通するように構成され、
冷蔵室第一戻り口は、前記冷蔵室の庫内側から前記冷蔵室第一風路に向かうにつれて流路断面積が減少する構造を有すると共に、前記冷蔵室吹き出し口に対して、前記冷蔵室第一ダンパの側に位置し、
前記冷蔵室ファンは、前記冷蔵室の内部冷気が、前記冷蔵室、前記冷蔵室第一戻り口、前記冷蔵室第一風路、及び前記冷蔵室吹き出し口の順で循環するように、前記冷蔵室第一風路に配置され、
前記制御装置は、前記冷蔵室第一ダンパが開状態の場合に、前記冷蔵室ファンを駆動状態に制御する。
また、貯蔵室としての冷蔵室及び冷凍室と、
冷却器が収容された冷却器室と、
前記冷却器室で前記冷却器と熱交換した冷気を送風する冷凍室ファンと、
前記冷蔵室に冷気を循環させるのに使用される冷蔵室第一風路と、
前記冷却器室から前記冷蔵室第一風路への冷気の流通を制御する冷蔵室第一ダンパと、
前記冷蔵室の冷気を循環させる冷蔵室ファンと、
前記冷凍室ファン、前記冷蔵室第一ダンパ及び前記冷蔵室ファンを制御する制御装置と、
前記冷蔵室第一風路とは独立した風路として設けられ前記冷却器室で前記冷却器と熱交換した冷気を流通させる冷蔵室第二風路と、
前記冷蔵室第二風路へ流入する冷気の風量を調整する冷蔵室第二ダンパと、
を備え、
前記冷蔵室第一風路は、前記冷蔵室の内部冷気を取り込む冷蔵室第一戻り口と、冷気を前記冷蔵室へ吹き出す冷蔵室吹き出し口と、を有すると共に、前記冷蔵室第一ダンパを介して前記冷凍室ファンの吹き出し領域と連通するように構成され、
冷蔵室第一戻り口は、前記冷蔵室吹き出し口に対して、前記冷蔵室第一ダンパの側に位置し、
前記冷蔵室ファンは、前記冷蔵室の内部冷気が、前記冷蔵室、前記冷蔵室第一戻り口、前記冷蔵室第一風路、及び前記冷蔵室吹き出し口の順で循環するように、前記冷蔵室第一風路に配置され、
前記制御装置は、前記冷蔵室第一ダンパが開状態の場合に、前記冷蔵室ファンを駆動状態に制御する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、冷蔵室の上部が十分に冷えない、あるいは、冷蔵室の下部が過度に冷えるといった課題に有効な冷蔵庫を提供することができる。
【0010】
上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図4】第一実施例に係る冷蔵庫の冷蔵室風路を示す分解斜視図。
【
図6】
図2のV部について、第一変形例を示す拡大図。
【
図7】
図2のV部について、第二変形例を示す拡大図。
【
図8】第一実施例に係る冷蔵庫の冷気の流れ(風路構成)を示す概略図。
【
図9】第一実施例に係る冷蔵庫の冷凍サイクルの構成の概略を示す構成概略図。
【
図10】第一比較例に係る冷蔵庫の冷気の流れ(風路構成)を示す模式図。
【
図11】第一実施例に係る冷蔵庫の冷蔵室ファンの回転数と、冷蔵室第一戻り口の通過風量と、の関係を示す図。
【
図12】第二比較例に係る冷蔵庫の冷気の流れ(風路構成)を示す模式図。
【
図13】第一実施例に係る冷蔵庫の冷凍室ファンの回転数と、冷凍室戻り口の通過風量と、の関係を示す図。
【
図14】本発明の実施例に係る冷凍室ファンの回転数と、冷蔵室ファンの回転数と、の関係を示す図。
【
図15】本発明の第三実施例に係る冷蔵庫の縦断面図。
【
図16】本発明の第四実施例に係る冷蔵庫の縦断面図。
【
図17】本発明に係る冷蔵庫1で用いられる制御装置の構成を示すブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施例について、
図1乃至
図16を用いて説明する。なお、以下の説明では、冷蔵庫1を正面から見た場合に右側に見える方を右側、左側に見える方を左側として説明する。
【0013】
[実施例1]
本発明の第1実施例に係る冷蔵庫1の実施形態について、
図1を用いて説明する。
図1は本発明の第一実施例に係る冷蔵庫1の正面図である。
【0014】
図1に示すように、冷蔵庫1の断熱箱体10は、上方から、冷蔵室2、左右に併設された製氷室3及び上段冷凍室4、下段冷凍室5、野菜室6の順に貯蔵室を有している。
【0015】
冷蔵庫1はそれぞれの貯蔵室の開口を開閉する扉を備えている。これらの扉は、冷蔵室2の開口を開閉する、左右に分割された回転式の冷蔵室扉2a、2bと、製氷室3、上段冷凍室4、下段冷凍室5及び野菜室6の各開口をそれぞれ開閉する引き出し式の製氷室扉3a、上段冷凍室扉4a、下段冷凍室扉5a及び野菜室扉6aである。これら複数の扉の内部材料は主に発泡ウレタンで構成されている。また、各扉は図示しないシール部材を内面外周部に備えている。
【0016】
冷蔵室2と製氷室3及び上段冷凍室4との間は断熱仕切壁27によって隔てられ、下段冷凍室5と野菜室6との間は断熱仕切壁28によって隔てられている。また、製氷室3と、上段冷凍室4との間の前縁部には、製氷室扉3a及び上段冷凍室扉4aを閉じた状態において、製氷室扉3aの右端内面のシール部材と、上段冷凍室扉4aの左端内面のシール部材と当接する位置に仕切部29を備えている。製氷室3及び上段冷凍室4と、下段冷凍室5との間の前縁部には、製氷室扉3a、上段冷凍室扉4a及び下段冷凍室扉5aを閉じた状態において、製氷室扉3a及び上段冷凍室扉4aの下端内面の各シール部材と、下段冷凍室扉5aの上端内面のシール部材と当接する位置に、仕切部30を備えている。
【0017】
断熱箱体10の天面庫外側の前方と、断熱仕切壁27の前縁とには、冷蔵庫1と扉2a、2bとを固定するための扉ヒンジ(図示せず)が配設されており、天面庫外側に設けられた上部の扉ヒンジは扉ヒンジカバー16で覆われている。
【0018】
製氷室3、上段冷凍室4及び下段冷凍室5は、基本的に庫内を冷凍温度(0℃未満)の例えば平均的に-18℃程度にした貯蔵室であり、冷蔵室2は庫内を冷蔵温度(0℃以上)の例えば平均的に4℃程度にした貯蔵室、野菜室6は庫内を冷蔵温度(0℃以上)の例えば平均的に7℃程度にした貯蔵室である。
【0019】
図2は
図1の冷蔵庫1の縦断面図であり、
図1のII-II断面図である。
図3は
図1の冷蔵庫1の庫内の構成を示す正面図であり、
図1の冷蔵庫1から扉及び容器を外した状態の正面図である。
図2及び
図3を参照しながら、冷蔵庫1の構成を説明する。
【0020】
図2に示すように、冷蔵庫1は、鋼板製の外箱10aと合成樹脂製(例えばABS樹脂)の内箱10bとの間に発泡断熱材(本実施形態の冷蔵庫では発泡ウレタン)を充填して形成される断熱箱体10により、庫外と庫内とが隔てられている。断熱箱体10には発泡断熱材に加えて、発泡断熱材より熱伝導率が低い真空断熱材25を外箱10aと内箱10bとの間に実装することで、内容積の低下を抑えて断熱性能を高めている。本実施形態では、断熱箱体10の背面、下面及び両側面に真空断熱材25を実装している。
【0021】
また、断熱仕切壁27の内部の断熱材は発泡ポリスチレンであり、断熱仕切壁28の内部には断熱材として発泡ウレタンが充填されている。なお、断熱仕切壁28の内部の発泡ウレタンは、断熱箱体10の外箱10aと内箱10bとの間にウレタンを発泡充填する工程において、断熱箱体10の発泡ウレタンとともに充填される。
【0022】
冷蔵室扉2a、2bは、庫内側に複数の扉ポケット33a、33b、33cを備えている。また、冷蔵室2内は、棚34a、34b、34c、34dによって複数の貯蔵スペースに区画されている。製氷室扉3a、上段冷凍室扉4a、下段冷凍室扉5a及び野菜室扉6aは、それぞれ一体に引き出される製氷室容器3b、上段冷凍室容器4b、下段冷凍室容器5b及び野菜室容器6bを備えている。
【0023】
図2及び
図3に示すように、冷蔵庫1は、下段冷凍室5の背部に、冷却器14が収納された冷却器室8を備え、冷却器室8の上部には、冷凍室ファン9aを備えている。冷凍室ファン9aの吹き出し領域(吐き出し領域)には冷凍室風路100を備えている。冷凍室風路100には、前方の製氷室3、上段冷凍室4及び下段冷凍室5に冷気を吹き出す製氷室吹き出し口(製氷室吐き出し口)101、上段冷凍室吹き出し口(上段冷凍室吐き出し口)102及び下段冷凍室吹き出し口(下段冷凍室吐き出し口)103をそれぞれ備えている。
【0024】
冷却器室8の下部前方には、製氷室3、上段冷凍室4及び下段冷凍室5からの戻り冷気が流れる冷凍室戻り風路104が形成されている。冷凍室戻り風路104は、冷却器14の幅と略等しい幅に形成されており、製氷室3、上段冷凍室4及び下段冷凍室5からの戻り冷気が冷却器14に効率よく流入するようにしている。
【0025】
冷蔵室2の背面には、冷蔵室循環風路110を備えている。冷蔵室循環風路110には、最上段の棚34aの上方の空間に空気を吹き出す冷蔵室吹き出し口(冷蔵室吐き出し口)111aと、最上段の棚34aと上から2段目の棚34bとの間の空間に空気を吹き出す冷蔵室吹き出し口(冷蔵室吐き出し口)111bと、を備えている。冷蔵庫1は、冷蔵室循環風路110の後方に、隔壁を隔てて冷蔵室循環風路110と隣接する冷蔵室第二風路120を備えている。冷蔵室第一風路と、冷蔵室第二風路120との間の隔壁には、伝熱面200が形成されており、冷蔵室第一風路110及び冷蔵室第二風路120は、冷蔵室第一風路110内の空気と、冷蔵室第二風路120内の空気との間で熱交換が行われるように構成されている。冷蔵室第一風路110及び冷蔵室第二風路120の詳細は後で詳細に説明する。なお、冷蔵室吹き出し口111aの開口面積は1000mm2、冷蔵室吹き出し口111bの開口面積は500mm2であり、最上段の吹き出し口111aの開口面積を下段の吹き出し口111bの開口面積よりも大きくしている。
【0026】
冷蔵室第一風路110の下部中央には、冷蔵室2の内部の空気(冷気)を取り込む冷蔵室第一戻り口115が形成される。また、冷蔵室2の背面下部右側には冷蔵室第二戻り口131が形成される。上段冷凍室4と下段冷凍室5の後方右端には、一端部が冷蔵室第二戻り口131に連通する冷蔵室戻り風路130が形成される。冷蔵室戻り風路130の他端部は冷却器室8の右下部に接続される。
【0027】
製氷室3、上段冷凍室4及び下段冷凍室5の背部の冷凍室風路100の左下部から下方に向けて野菜室風路132が形成され、野菜室風路132の出口には野菜室吹き出し口(野菜室吐き出し口)102aが形成される。下段冷凍室5と野菜室6との間の断熱仕切壁28の下面には野菜室戻り口136が開口しており、冷却器室8の下部前方に接続される野菜室戻り風路135が断熱仕切壁28内に形成される。
【0028】
冷却器室8の下部前方には、製氷室3、上段冷凍室4及び下段冷凍室5からの戻り冷気が流れる冷凍室戻り口105が形成されている。冷凍室戻り口105は、冷却器14の幅と略等しい幅に形成されており、製氷室3、上段冷凍室4及び下段冷凍室5からの戻り冷気が冷却器14に効率よく流入するようにしている。
【0029】
冷蔵室2、上段冷凍室4及び野菜室6の庫内背面側には、それぞれ冷蔵室温度センサ41、冷凍室温度センサ43及び野菜室温度センサ44が設けられ、冷却器14の上部には冷却器温度センサ40が設けられている。本実施例では冷凍室温度センサ43は上段冷凍室4に設けられているが、下段冷凍室5に設けられてもよい。これらのセンサにより、冷蔵室2、製氷室3、上段冷凍室4、下段冷凍室5、野菜室6、冷却器室8、及び冷却器14の温度が検知される。また、冷蔵庫1の天井部の扉ヒンジカバー16の内部には、外気温度センサ37と外気湿度センサ38とが設けられ、外気(庫外空気)の温度と湿度とが検知される。その他にも、扉センサ(図示せず)が設けられることで、扉2a、2b、3a、4a、5a、6aの開閉状態がそれぞれ検知される。
【0030】
冷蔵室第一風路110の下部には、冷蔵室ファン9aが設置されている。また、冷蔵室第一風路110の入口部には冷気遮断手段として冷蔵室第一ダンパ151が設けられる。
【0031】
冷蔵室第二風路120の入口部には冷気遮断手段として冷蔵室第二ダンパ152が設けられている。なお冷蔵室第二風路120は、冷蔵室第一風路110とは独立した風路として設けられる。すなわち本実施例の冷蔵庫1は、冷蔵室第一風路110とは独立した風路として設けられ冷却器室8で冷却器14と熱交換した冷気を流通させる冷蔵室第二風路120と、冷蔵室第二風路120へ流入する冷気の風量を調整する冷蔵室第二ダンパ152と、を備える。
【0032】
冷蔵室第一ダンパ151及び冷蔵室第二ダンパ152は単一のモータで駆動され一体に形成されており、以下では、冷蔵室第一ダンパ151及び冷蔵室第二ダンパ152の機能を合わせた部品を冷蔵室ダンパ150と呼ぶ。また、野菜室風路132には冷気遮断手段として野菜室ダンパ160が設けられる。
【0033】
冷却器室8内の冷却器14下方には、除霜ヒータ21が備えられており、冷却器室8の下面には樋23が形成されている。樋23の下端部からは、機械室39と連通する排水管22が下方に向けて設けられている。また、機械室39には、圧縮機24と、圧縮機24の上部に配置された蒸発皿32とが設置されている。
【0034】
除霜ヒータ21は、例えば50W~200Wの電気ヒータを採用すれば良く、本実施形態では120Wのラジアントヒータとしている。冷却器14の除霜時に発生した除霜水は、樋23から排水管22を介して圧縮機24の上部の蒸発皿32に排出され、圧縮機24からの放熱や、図示しない機械室ファンによる通風等の作用により蒸発する。
【0035】
冷蔵室2内の、断熱仕切壁27の上部には、内部が-1℃程度に維持される容器36が備えられており、容器36の前方は蓋体36aにより開閉可能となっている。蓋体36aの外周にはパッキン(図示せず)が備えられており、蓋体36aを閉鎖状態とした場合、パッキンにより蓋体36aと容器36とが隙間なく接触し、容器36はその内部空間が密閉される構造となっている。また、容器36の背部には、容器36内の空気を吸引するポンプ(図示せず)が備えられており、蓋体36aが閉鎖された状態でポンプを駆動することで、容器36内の気圧が約0.8気圧に減圧されるようになっている。これにより容器36内は、蓋体36aにより冷気が直接送風されなくなるとともに、減圧環境となるので、食品の乾燥と酸化を抑制する収納スペースとなる。
【0036】
図4は第一実施例に係る冷蔵庫1の冷蔵室風路を示す分解斜視図であり、冷蔵室第1風路110と冷蔵室第2風路120との構成を表している。
【0037】
図4に示すように、冷蔵室2の背部に設置される冷蔵室第一風路110の前面には冷蔵室吹き出し口111a、111bが備えられ、冷蔵室第一風路110の背面には冷蔵室第2風路120との間に伝熱面200が設置される。冷蔵室第二風路120の内部には、仕切部材121が配置されており、冷蔵室第二ダンパ152が開放状態の場合には、図中に矢印で示すように、冷蔵室第二風路120の左側120aを上方に向けて流れた流れが、冷蔵室第二風路120上部において反転し、冷蔵室第二風路120の右側120bを下方に流れるようにしている。
【0038】
本実施形態の冷蔵庫においては、伝熱面200の材質をアルミニウムとしている。熱伝導率が高いアルミニウムを採用することで、冷蔵室第二風路120側の冷熱を冷蔵室第一風路110の空気に伝えやすくしている。伝熱面200としては、樹脂(一例としてポリプロピレン)を採用して、よりコストを抑える構成とするといった実施形態も考えられる。すなわち伝熱面は、冷蔵室第二風路120側の冷熱を冷蔵室第一風路110の空気に伝える機能を果たすものであればよく、材質や形状は限定されない。
【0039】
図5は
図2のV部拡大図である。
図5を参照しながら、冷蔵室第一戻り口115の構成を説明する。
【0040】
冷蔵室第一戻り口115には、冷蔵室2の庫内側から冷蔵室第一風路110に向かうにつれて前記冷蔵室第一戻り口115の断面積が減少する断面積減少部115aが設けられている。すなわち本実施例の冷蔵庫1では、冷蔵室第一戻り口115は、冷蔵室2の庫内側から庫外側(冷蔵室第一風路110)に向かうにつれて流路断面積が減少する構造を有する。
【0041】
これにより、冷蔵室第一風路110から冷蔵室2庫内側に空気が流れ難くなる一方、冷蔵室2庫内側から冷蔵室第一風路110には空気がながれ易くなり、冷気の逆流を抑制することができる。
【0042】
断面積減少部115aは、冷蔵室第一戻り口115の一部に含まれていればよい。また、断面積減少部115aは、円弧状の断面でもよく、
図5に示す直線形状に限定されない。
【0043】
図6は、
図2のV部について、第一変形例を示す拡大図であり、冷蔵室第一戻り口115の第一変形例を示す断面図である。
【0044】
本例の冷蔵室第一戻り口115は、冷蔵室2の貯蔵スペース側から冷蔵室第一風路110に向かうにつれて冷蔵室第一戻り口115の断面積が減少する断面積減少部115aと、断面積が一定で変化しない直線部115bとを備えており、断面積減少部115aと断面積が減少しない直線部115bとは滑らかに接続されている。本例によれば、冷蔵室第一風路110から冷蔵室2の貯蔵スペース側に空気が流れ難く、冷蔵室2の貯蔵スペース側から冷蔵室第一風路110には空気が流れ易くなり、冷気の逆流を抑制することができる。
【0045】
図7は、冷蔵室第一戻り口115の第二変形例であり、実施例1の冷蔵庫のC部に相当する位置の図である。
【0046】
図7は、
図2のV部について、第二変形例を示す拡大図であり、冷蔵室第一戻り口115の第二変形例を示す断面図である。
【0047】
本例では、冷蔵室2の貯蔵スペース側から冷蔵室第一風路110に向かうにつれて冷蔵室第一戻り口115の断面積が減少する断面積減少部115aが曲面状に形成されている。本例によれば、冷蔵室第一風路110から冷蔵室2の貯蔵スペース側に空気が流れ難く、冷蔵室2の貯蔵スペース側から冷蔵室第一風路110には空気が流れ易くなり、冷気の逆流を抑制することができる。
【0048】
図8は、第一実施例に係る冷蔵庫1の冷気の流れ(風路構成)を示す概略図である。
図8、
図2及び
図3を用いて、庫内の冷気の流れを説明する。
【0049】
冷凍室ファン9aを駆動することによって、
図8に示すように冷却器室8において冷却器14と熱交換した冷気は、冷凍室風路100に送られる。冷凍室風路100に送られた冷気は、冷蔵室第一ダンパ151、冷蔵室第二ダンパ152及び野菜室ダンパ160の開閉状態によらず、製氷室吹き出し口101、上段冷凍室吹き出し口102及び下段冷凍室吹き出し口103から、それぞれ製氷室3、上段冷凍室4及び下段冷凍室5に吹き出す。製氷室3、上段冷凍室4及び下段冷凍室5を冷却した冷気は、それぞれの貯蔵室を冷却して、下段冷凍室5から冷凍室戻り風路104を介して冷却器室8に戻る。
【0050】
冷蔵室第二ダンパ152が開放状態で、冷凍室ファン9aを駆動した場合、冷凍室ファン9aによって昇圧された冷気は、製氷室3、上段冷凍室4及び下段冷凍室5に送られるとともに、冷蔵室第二風路120を流れ、伝熱面200において冷蔵室第一風路110内の空気と熱交換して、冷蔵室戻り風路130を流れ、冷却器室8に戻る。
【0051】
野菜室ダンパ160が開放状態で、冷凍室ファン9aを駆動した場合、冷凍室ファン9aによって昇圧された冷気は、製氷室3、上段冷凍室4及び下段冷凍室5に送られるとともに、冷凍室風路100の下流部において冷凍室風路100から分岐した野菜室風路132を流れ、野菜室吹き出し口131から野菜室6に吹き出す。野菜室6においては、野菜室容器6bの外側を指向して冷気が吹き出すようにしてあり、野菜室容器6bに収納される野菜等の食品が乾燥したり、低温になりすぎたりすることが抑制される。野菜室6を冷却した冷気は、断熱仕切壁28下面に備えられた野菜室戻り口136(
図2参照)を介して、断熱仕切壁28内に設けられた野菜室戻り風路135(
図2参照)を流れ、冷却器室8に戻る。
【0052】
冷蔵室第一ダンパ151が閉鎖状態、冷蔵室第二ダンパ152が開放状態で、冷凍室ファン9a及び冷蔵室ファン9bを駆動した場合、冷蔵室2内の空気が、冷蔵室第一戻り口115から、冷蔵室第一風路110に入り、冷蔵室第一風路110を流れて冷蔵室吹き出し口111(111a、111b)から再び冷蔵室2に入り冷蔵室2内を循環する空気流が形成される。一方で、冷蔵室第二ダンパ152を開放しているので、冷凍室ファン9aによって昇圧された冷気は、冷蔵室第二風路120を流れ、伝熱面200において冷蔵室第一風路110内の空気と熱交換する。冷蔵室第一風路110内の空気と熱交換した冷蔵室第二風路120内の空気は、冷蔵室戻り風路130を流れ、冷却器室8に戻る。
【0053】
冷蔵室第一ダンパ151及び冷蔵室第二ダンパ152が閉鎖状態で、冷蔵室ファン9bを駆動することで、冷蔵室2内の空気が、冷蔵室第一戻り口115から、冷蔵室第一風路110に入り、冷蔵室第一風路110を流れて冷蔵室吹き出し口111から再び冷蔵室2に入り冷蔵室2内を循環する空気流が形成される。一方で、冷蔵室第二ダンパ152を閉鎖しているので、冷蔵室第二風路120内に冷却器14と熱交換した低温冷気は流れず、伝熱面200を介した冷蔵室第一風路110内空気の冷却は行われない状態となる。
【0054】
冷蔵室第一ダンパ151が開放状態で、冷凍室ファン9a及び冷蔵室ファン9bをそれぞれ駆動した場合、冷凍室ファン9aによって昇圧された冷気は、製氷室3、上段冷凍室4及び下段冷凍室5に送られるとともに、冷蔵室第一ダンパ151を通過し、冷蔵室ファン9bにより再度昇圧されて冷蔵室第一風路110に流れ、冷蔵室吹き出し口111から冷蔵室2に送られる。このために本実施例の冷蔵庫1は、冷凍室ファン9aの吹き出し領域に連通すると共に、冷却器室8で冷却器14と熱交換した冷気を冷凍室3、4、5に吹き出す冷凍室吹き出し口101、102、103を有する冷凍室風路100を備え、冷蔵室第一風路110は、冷蔵室第一ダンパ151を介して冷凍室風路100と連通するように構成される。
【0055】
製氷室3、上段冷凍室4及び下段冷凍室5を冷却した冷気は、冷凍室戻り口105から冷凍室戻り風路104を流れて冷却器室8に戻る。冷蔵室2を冷却した冷気は、冷蔵室第二戻り口131を介して冷蔵室戻り風路130を流れ、冷却器室8に戻る。
【0056】
冷凍室ファン9aの回転数は冷蔵庫1の熱的負荷等に応じて変更することができる。例えば、扉の開閉時における外気の下段冷凍室5内への流入により負荷が増大した場合は、冷凍室ファン9aを1500rpmから2000rpmに増加させる。この時、冷凍室ファン9aの回転数の増加と同時に、冷蔵室ファン9bの回転数も1000rpmから1800rpmに増加させる。
【0057】
冷蔵室ファン9bの回転数は冷蔵室2内の温度分布等に応じて変更することができる。例えば、時間の経過により温度の偏りができた場合は、冷蔵室ファン9bを1000rpmから1800rpmに増加させる。この時、冷凍室ファン9aの回転数は冷蔵室ファン9bの回転数の増加とともに1500rpmから2000rpmに増加させる。
【0058】
冷凍室ファン9a及び冷蔵室ファン9bの回転数は上記のもの以外の回転数も選択することができる。回転数を選択する際には、事前に作成したテーブルの中の回転数の組み合わせを選択する。
【0059】
テーブルは、事前に行う温度測定により作成される。温度測定は測定用に用意された冷凍室戻り口105及び冷蔵室第一戻り口115付近の空気温度を測定可能な温度センサにより、冷凍室ファン9a及び冷蔵室ファン9bの回転数と冷凍室戻り口105及び冷蔵室第一戻り口115における逆流の発生有無との関係を測定するものである。逆流についての詳細な説明は後述する。この測定の結果を用い、テーブルを作成することで、逆流の発生を制御することができる。
【0060】
以上で説明したように、本実施例の冷蔵庫1は、
貯蔵室としての冷蔵室2及び冷凍室3、4、5と、
冷却器14が収容された冷却器室8と、
冷却器室8で冷却器14と熱交換した冷気を送風する冷凍室ファン9aと、
冷蔵室2に冷気を循環させるのに使用される冷蔵室第一風路110と、
冷却器室8から冷蔵室第一風路110への冷気の流通を制御する冷蔵室第一ダンパ151と、
冷蔵室2の冷気を循環させる冷蔵室ファン9bと、
冷凍室ファン9a、冷蔵室第一ダンパ151及び冷蔵室ファン9bを制御する制御装置70Aと、
を備え、
冷蔵室第一風路110は、冷蔵室2の内部冷気を取り込む冷蔵室第一戻り口115と、冷気を冷蔵室2へ吹き出す冷蔵室吹き出し口111と、を有すると共に、冷蔵室第一ダンパ151を介して冷凍室ファン9aの吹き出し領域と連通するように構成され、
冷蔵室第一戻り口115は、冷蔵室吹き出し口111に対して、冷蔵室第一ダンパ151の側に位置し、
冷蔵室ファン9bは、冷蔵室2の内部冷気が、冷蔵室2、冷蔵室第一戻り口115、冷蔵室第一風路110、及び冷蔵室吹き出し口111の順で循環するように、冷蔵室第一風路110に配置され、
制御装置70Aは、冷蔵室第一ダンパ151が開状態の場合に、冷蔵室ファン9bを駆動状態に制御する。
【0061】
図9は、第一実施例に係る冷蔵庫の冷凍サイクルの構成の概略を示す構成概略図である。
本実施例の冷蔵庫1は、圧縮機24、冷媒の放熱を行う放熱手段としての庫外放熱器50a、断熱箱体10の両側面に配置された壁面放熱配管50b、断熱仕切壁27、28と仕切部29、30の前面部とに配置されて結露を抑制する結露防止配管50c、冷媒を減圧する減圧手段であるキャピラリチューブ53、及び冷媒と庫内の空気を熱交換することで庫内の熱を吸熱する冷却器14を備えている。なお、壁面放熱配管50bは外箱10aと内箱10bとの間の領域の外箱10aの内面に配置される。また、結露防止配管50cは断熱仕切壁27、28及び仕切部29、30の内面に配置される。
【0062】
また冷蔵庫1は、冷凍サイクル中の水分を除去するドライヤ51と、液冷媒の圧縮機24への流入を抑制する気液分離器54とを備えており、これらを冷媒配管により接続することで冷凍サイクルを構成している。キャピラリチューブ53と冷却器14と圧縮機24とを接続する冷媒配管は、冷媒の熱交換を行う熱交換部57を備えている。
【0063】
本実施例の冷蔵庫1において、圧縮機24が駆動すると冷媒が圧縮されて、高温高圧のガス冷媒となって、庫外放熱器50aに入る。庫外放熱器50aにおいては、図示しない庫外ファンによる通風によって冷媒から熱が奪われてエンタルピが減少し、二相状態となって壁面放熱配管50bに流入する。断熱箱体10の両側面に配置された壁面放熱配管50bでは、断熱箱体10の外壁を介して主に庫外の空気に冷媒から放熱が行われる。
【0064】
続いて、断熱仕切壁27、28、仕切部29、30の前面部に配置された、結露防止配管50cに冷媒が入る。断熱仕切壁27、28及び仕切部29、30の前方には断熱性を有する扉が備えられているために、結露防止配管50cにおいては、主に庫内の空気に冷媒から放熱されて、液冷媒となり、ドライヤ51を流れて水分が除去された後に、キャピラリチューブ53に至る。冷媒はキャピラリチューブ53を流れることで減圧されて、低温低圧の二相冷媒になって冷却器14の入口に至る。
【0065】
庫内の各貯蔵室から戻った空気は、冷凍室ファン9aの駆動によって冷却器14を通過することで、冷却されて低温になり、再び庫内の各貯蔵室の冷却を行う。このとき冷媒は庫内の空気から吸熱してエンタルピが上昇し、渇き度が上がり、略飽和ガス冷媒となって冷却器14の出口に至る。
【0066】
冷却器14の出口から圧縮機24に戻る配管の一部は、キャピラリチューブ53と熱交換するように近接して設けられており、キャピラリチューブ53内の冷媒によって加熱されてエンタルピが上昇して(温度が上がって)、再び圧縮機24に吸い込まれる。このように熱交換部57を備えることで、圧縮機に吸い込まれる冷媒の温度が上昇して、冷媒配管への結露や着霜が防止できるとともに、熱交換によって冷却器14に流入する冷媒のエンタルピが低下して、蒸発器における冷却能力が向上するようになる。なお、冷凍サイクルに用いる冷媒は可燃性冷媒のイソブタンである。
【0067】
以上で、本実施例の冷蔵庫の構成を説明したが、次に、本実施例の冷蔵庫1の奏する効果について説明する。
【0068】
本実施例の冷蔵庫1では、冷凍室風路100と冷蔵室第一風路110とは連通している。また、この連通した風路100、110上に昇圧手段である2つのファン(冷凍室ファン9a及び冷蔵室ファン9b)が配置され、冷凍室ファン9aの下流に製氷室吹き出し口101、上段冷凍室吹き出し口102及び下段冷凍室吹き出し口103が配置される。またファン9bの下流に冷蔵室吹き出し口111が配置される。冷蔵庫1には、冷凍室3、4、5に流入した空気が冷却器室8に戻るための経路である冷凍室戻り風路104が設けられ、また冷蔵室2に流入した空気が冷却器室8に戻るための経路である冷蔵室戻り風路130が設けられており、冷蔵室ファン9bが冷気を冷蔵室吹き出し口111、冷蔵室2、冷蔵室第一戻り口115、冷蔵室第一風路110、及び冷蔵室吹き出し口111の順で循環させる逆流防止運転を行う。
【0069】
すなわち制御装置70Aは、冷蔵室第一ダンパ151が開状態の場合に冷蔵室ファン9bを駆動して、冷却器室8で冷却器14と熱交換し冷蔵室第一ダンパ151を通過した冷気が、冷蔵室第一風路110から冷蔵室第一戻り口115を介して冷蔵室2に流れる逆流を防止する。
【0070】
これにより、冷蔵室2の上部が十分に冷えない、あるいは、冷蔵室2の下部が過度に冷えるといった事態が生じ難くなり、本実施例の冷蔵庫1は信頼性の高い冷蔵庫となる。
【0071】
【0072】
図10は、第一比較例に係る冷蔵庫1の冷気の流れ(風路構成)を示す概略図である。
図10に示す第一比較例では、冷蔵室ファン9bが駆動していない点が第一実施例と異なっている。
【0073】
第一比較例では、冷凍室ファン9aにより製氷室3、上段冷凍室4、下段冷凍室5、及び冷蔵室第一ダンパ151に冷気を送風する。ここで、冷蔵室ファン9bの回転数が小さい状態では、冷蔵室2内の圧力よりも冷蔵室第一ダンパ151下流の圧力が高い状態となり、逆流S2が生じる。その結果、冷却器14と熱交換した冷気が冷蔵室第一戻り口115から冷蔵室2に流入するため、この状態で冷却を続けると、冷蔵室吹き出し口111から冷蔵室2に流入する冷気の風量が低下し、冷凍室2上部が十分に冷えない。
【0074】
図11は、第一実施例に係る冷蔵庫の冷蔵室ファン9bの回転数と、冷蔵室第一戻り口115の通過風量と、の関係を示す図である。なお、
図11の横軸は、冷蔵室ファン9bの回転数である。
図11の縦軸は冷蔵室第一戻り口115に流入する空気の風量であり、冷蔵室2から冷蔵室第二風路110に流れる風量を正とする。また、
図11に示す逆流S2発生範囲では、冷蔵室第二風路110から冷蔵室2に流れる逆流S2が生じる。
【0075】
本実施例の冷蔵庫1では、冷蔵室第一ダンパ151が開放し、冷凍室ファン9aが駆動している状態で、冷蔵室ファン9bを冷蔵室吹き出し口111、冷蔵室2、冷蔵室第一戻り口115、冷蔵室第一風路110、及び冷蔵室吹き出し口111の順で冷気を循環させるよう駆動する。
【0076】
より具体的には、本実施例の冷蔵庫1は、冷蔵室第一ダンパ151が開状態の場合に、冷蔵室ファン9bと共に冷凍室ファン9aを駆動して、冷却器室8で冷却器14と熱交換した冷気を、冷蔵室第一ダンパ151から冷蔵室第一風路110に送風して、冷蔵室吹き出し口111から冷蔵室2に吹き出した後、冷蔵室第一戻り口115から冷蔵室第一風路110に送風して、再び冷蔵室吹き出し口111から冷蔵室2に吹き出して循環させる送風モード(第一送風モード)を備える。
【0077】
これにより、冷蔵室第一戻り口115に逆流S2が発生しなくなり、冷蔵室2上部が十分に冷えない、あるいは、冷蔵室2下部が過度に冷えるといった事態が生じ難くなり、冷蔵庫1は信頼性が高い冷蔵庫となる。
【0078】
また本実施例の冷蔵庫1では、冷凍室風路100上に昇圧手段である冷凍室ファン9aが配置され、冷凍室ファン9aの下流に製氷室吹き出し口101、上段冷凍室吹き出し口102及び下段冷凍室吹き出し口103が配置される。冷蔵庫1には、冷凍室3、4、5に流入した空気が冷却器室8に戻るための経路である冷凍室戻り風路104が設けられ、冷凍室ファン9aは、冷気が冷凍室吹き出し口101、102、103、冷凍室3、4、5、冷凍室戻り口105、及び冷凍室戻り風路104の順で循環するように、駆動される。
【0079】
これにより下段冷凍室5をはじめとする冷凍温度帯の貯蔵室が温められるといった事態が生じ難くなり、冷蔵庫1は信頼性が高い冷蔵庫となる。
【0080】
理由を
図12、
図13を参照しながら説明する。
図12は、第二比較例に係る冷蔵庫の冷気の流れ(風路構成)を示す模式図である。
図12に示す第二比較例では、冷凍室ファン9aを駆動していない点が第一実施例と異なっている。
【0081】
第二比較例では、冷凍室ファン9aにより昇圧された空気は冷凍室3、4、5に流れ、冷凍室戻り風路104を介して、冷却器室8に流入する。ここで、冷凍室ファン9aの回転数が小さい状態では、冷却器14の上流の圧力よりも冷凍室ファン9aの吐出領域である冷凍室戻り風路104、ひいては冷凍室3、4、5の圧力が低い状態となり、逆流S1が生じる。その結果、冷蔵室2の比較的高温な空気が製氷室3、上段冷凍室4及び下段冷凍室5に流入するため温度が上昇する。
【0082】
図13は、第一実施例に係る冷蔵庫1の冷凍室ファン9aの回転数と、冷凍室戻り口105の通過風量と、の関係を示す図である。
図13の横軸は、冷凍室ファン9aの回転数である。
図13の縦軸は冷凍室戻り口105を通過する空気の風量であり、冷凍室2から冷却器室8に流れる風量を正とする。また、
図13に示す逆流S1発生範囲では、冷却器室8から冷凍室戻り口105への逆流が生じる。
【0083】
本実施例の冷蔵庫1では、冷蔵室第一ダンパ151が開放し、冷蔵室ファン9bが駆動している状態で、冷却器室8で冷却器14と熱交換した冷気が冷凍室吹き出し口101、102、103、冷凍室3、4、5、冷凍室戻り口105、及び冷凍室戻り風路104の順で循環するように、冷凍室ファン9aが駆動される。
【0084】
すなわち本実施例の冷蔵庫1では、冷凍室3、4、5は、冷気が冷却器室8に戻るための出口となる冷凍室戻り口105を備え、冷凍室風路100は冷却器室8の吐出側と冷凍室吹き出し口101、102、103とを接続し、制御装置70Aは冷蔵室第一ダンパ151を開状態とすると共に、冷凍室ファン9aを駆動して、冷却器室8で冷却器14と熱交換した冷気を、冷凍室風路100、冷凍室吹き出し口101、102、103、冷凍室3、4、5、冷凍室戻り口105、及び冷却器室8の順で冷気を循環させる。
【0085】
これにより、冷凍室戻り口105で逆流S1が発生しなくなり、下段冷凍室5をはじめとする冷凍温度帯の貯蔵室が温められるといった事態が生じ難くなり、冷蔵庫1は信頼性が高い冷蔵庫となる。
【0086】
本実施例では、冷凍室ファン9aの回転数は冷蔵室ファン9bの回転数の増加と同時に増加させる。また、冷蔵室ファン9bの回転数は冷凍室ファン9aの回転数の増加と同時に増加させる。このような構成によれば、逆流が比較的発生し難い制御が可能になる。
【0087】
この場合の冷凍室ファン9a及び冷蔵室ファン9bの制御は、制御装置70Aが行う。すなわち本実施例の冷蔵庫1では、制御装置70Aは、冷蔵室第一ダンパ151が開状態の場合に、冷凍室ファン9aの回転数が増加するにつれて冷蔵室ファン9bの回転数が増加するように、冷凍室ファン9a及び冷蔵室ファン9bを制御する。また制御装置70Aは、冷蔵室第一ダンパ151が開状態の場合に、冷蔵室ファン9bの回転数が増加するにつれて冷凍室ファン9aの回転数が増加するように、冷蔵室ファン9b及び冷凍室ファン9aを制御する。
【0088】
本実施例の冷蔵庫1は、冷凍室ファン9a及び冷蔵室ファン9bを逆流が発生しない範囲の回転数で駆動する。これにより下段冷凍室5をはじめとする冷凍温度帯の貯蔵室が温められるといった事態、及び冷蔵室吹き出し口111から冷蔵室2に流入する冷気の風量が低下し、冷凍室2上部が十分に冷えなくなったり、冷蔵室第一戻り口115近傍が過度に冷えたりするといった事態が生じ難くなり、冷蔵庫1は信頼性が高い冷蔵庫となる。
【0089】
理由を、
図14を参照しながら説明する。
図14は、本発明の実施例に係る冷凍室ファン9aの回転数と、冷蔵室ファン9bの回転数と、の関係を示す図である。なお
図14では、冷凍室ファン9a及び冷蔵室ファン9bの回転数と逆流との関係が示される。
【0090】
図14の横軸は、冷凍室ファン9aの回転数であり、縦軸は冷蔵室ファン9bの回転数である。破線は逆流S1発生範囲と逆流が発生しない範囲との境界、実線は逆流S2発生範囲と逆流が発生しない範囲との境界を示す。
【0091】
逆流S1が発生するのは冷凍室ファン9aの回転数が小さく冷蔵室ファン9bの回転数が大きい状態である。一方、逆流S2が発生するのは冷凍室ファン9aの回転数が大きく冷蔵室ファン9bの回転数が小さい状態である。
【0092】
本実施形態では、冷凍室ファン9a及び冷蔵室ファン9bを逆流S1、S2が発生しない範囲の回転数で駆動する。
【0093】
このような構成によれば、冷蔵室ファン9bの昇圧による冷却器14の上流の圧力よりも、冷凍室ファン9aの昇圧による冷凍室ファン9aの吐出領域の圧力が高い状態となり、逆流S1が発生しない。
【0094】
この場合、制御装置70Aは、冷却器室8で冷却器14と熱交換した冷気を、冷凍室風路100、冷凍室吹き出し口101、102、103、冷凍室3、4、5、冷凍室戻り口105、及び冷却器室8の順で冷気が循環するように、冷凍室ファン9a及び冷蔵室ファン9bの回転数を設定する。
【0095】
また、冷蔵室ファン9bの昇圧による冷蔵室2内の圧力よりも冷凍室ファン9aの昇圧による冷蔵室第一ダンパ151下流の圧力が低い状態となり、逆流S2が発生しない。この場合、制御装置70Aは、冷却器室8で冷却器14と熱交換した冷気が、冷蔵室第一ダンパ151から冷蔵室第一風路110に送風され、冷蔵室吹き出し口111から冷蔵室2に吹き出した後、冷蔵室第一戻り口115から冷蔵室第一風路110に送風され、再び冷蔵室吹き出し口111から冷蔵室2に吹き出して循環するように、冷凍室ファン9a及び冷蔵室ファン9bの回転数を設定する。
【0096】
さらに、本実施例の冷蔵庫1は
図5乃至
図7に示すように冷蔵室第一戻り口115に、冷蔵室2庫内側から冷蔵室第一風路110に向かうにつれて冷蔵室第一戻り口115の断面積が減少する断面積減少部115aが設けられている。このような構成によれば、冷蔵室第一風路110から冷蔵室2庫内側に空気が流れやすく、冷蔵室2庫内側から冷蔵室第一風路110には空気がながれにくくなり、冷気の逆流を抑制することができる。これにより、
図12に示す逆流が発生しない範囲が拡大する。したがって、冷凍室ファン9a及び冷蔵室ファン9bの選択可能な回転数の範囲が広くなり、制御設計自由度が向上する。
【0097】
[実施例2]
次に、第二実施形態(実施例2)について説明する。尚、実施例1と同様の構成については説明を省略する。
【0098】
実施例2の冷蔵庫1では、冷蔵室第一ダンパ151が開放状態において、2つの送風モードを使用して冷蔵室2を冷却する点が実施例1の冷蔵庫1と異なっている。2つの送風モードは、第一送風モード及び第二送風モードと呼んで説明する。
【0099】
第一送風モード及び第二送風モードにおける冷凍室ファン9a及び冷蔵室ファン9bの回転数と、冷気の流れを説明する。
【0100】
第一送風モードでは、冷凍室ファン9a及び冷蔵室ファン9bを駆動し、冷凍室ファン9aによって昇圧された冷気は、製氷室3、上段冷凍室4及び下段冷凍室5に送られるとともに、冷蔵室第一ダンパ151を通過し、冷蔵室ファン9bによって再度昇圧されて冷蔵室第一風路110に流れ、冷蔵室吹き出し口111から冷蔵室2に送られる。製氷室3、上段冷凍室4及び下段冷凍室5を冷却した冷気は、冷凍室戻り口105を介して冷凍室戻り風路104を流れ、冷却器室8に戻る。冷蔵室2を冷却した冷気は、冷蔵室第二戻り口131を介して冷蔵室戻り風路130を流れ、冷却器室8に戻る。
【0101】
第二送風モードでは、冷凍室ファン9aを駆動し、冷蔵室ファン9bを非駆動とする。冷凍室ファン9aによって昇圧された冷気は、製氷室3、上段冷凍室4及び下段冷凍室5に送られるとともに、冷蔵室第一ダンパ151を通過し、冷蔵室第一風路110に流れ、冷蔵室第一戻り口115及び冷蔵室吹き出し口111から冷蔵室2に送られる。製氷室3、上段冷凍室4及び下段冷凍室5を冷却した冷気は、冷凍室戻り口105を介して冷凍室戻り風路104を流れ、冷却器室8に戻る。冷蔵室2を冷却した冷気は、冷蔵室第二戻り口131を介して冷蔵室戻り風路130を流れ、冷却器室8に戻る。
【0102】
第二送風モードは、冷蔵室第一戻り口115から冷蔵室2に流れる逆流S2を利用する送風モードである。
図14に示すように、冷蔵室ファン9bを駆動しても、冷蔵室ファン9bの回転数が小さい範囲では、逆流S2を発生させることができる。このため、冷蔵室ファン9bは非駆動とせず、逆流S2が発生する回転数の小さい範囲で駆動してもよい。
【0103】
すなわち本実施例では、冷凍室ファン9a及び冷蔵室ファン9bの回転数は上記のもの以外の回転数も選択することができる。実施例1と同様の方法で作成したテーブルの中から、第一送風モードでは、
図14に示す逆流S2が発生しない範囲の回転数を選択し、第二送風モードでは、
図14に示す逆流S2の発生範囲に収まる回転数を選択することができる。
【0104】
また、冷蔵室第一戻り口115近傍に冷蔵室第一戻り口温度センサ47を設けることにより着霜等で各風路の抵抗が変わってもより正確に第一送風モードと第二送風モードを選択することができる。
各送風モードの選択及び各ファン9a、9bの回転数の制御は、制御装置70Aが行う。
【0105】
なお第二送風モードにおいて冷蔵室ファン9bを非駆動とすることで、冷蔵室ファン9bで消費される電力を低減して逆流S2を発生させることができる。
【0106】
冷蔵室第一ダンパ151が開放している時間の内、第一送風モードを使用した冷却時間T1と第二送風モードを使用した冷却時間T2の比が、T1:T2=8:2となるように制御する。
【0107】
すなわち本実施例の冷蔵庫1は、第一送風モードの他に、冷蔵室第一ダンパ151が開状態の場合に、冷却器室8で冷却器14と熱交換した冷気を、冷蔵室吹き出し口111及び冷蔵室第一戻り口115から冷蔵室2に送風する第二送風モードを備え、第一送風モードによる冷却時間T1を第二送風モードによる冷却時間T2より長くする。
【0108】
本実施例の冷蔵庫1の奏する効果について説明する。
本実施例の冷蔵庫1では、冷蔵室第一ダンパ151が開放状態において、第一送風モードと第二送風モードとを切り替えて、冷蔵室2を冷却する。このような構成によれば、冷気が冷蔵室吹き出し口111に集中する第一送風モードと、冷気が冷蔵室吹き出し口111及び冷蔵室第一戻り口115の両方から送出する第二送風モードとを、冷蔵室2の温度偏りの発生状況に応じて切り替えることにより、冷蔵室2の温度偏りの小さい冷蔵庫1を提供することができる。
【0109】
また、本実施例の冷蔵庫1では、冷蔵室第一ダンパ151が開放している時間の内、第一送風モードを使用した冷却時間T1が第二送風モードを使用した冷却時間T2に比べて長くなる(T1>T2)よう制御する。このような構成によれば、自然対流の影響で比較的冷え難い冷蔵室2上部の冷却量が大きくなり、冷蔵室2の温度偏りの小さい冷蔵庫1を提供することができる。
【0110】
[実施例3]
次に、第三実施例(実施例3)について説明する。
【0111】
図15は、本発明の第三実施例に係る冷蔵庫の縦断面図である。尚、実施例1又は実施例2と同様の構成には実施例1又は実施例2と同様の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0112】
本実施例の冷蔵庫1は、実施例1の冷蔵室温度センサ41に加えて、容器36の背面に冷蔵室下部温度センサ49を設けており、第一送風モードと第二送風モードとを冷蔵室温度センサ41及び冷蔵室下部温度センサ49の検知した温度に基づいて切り替える。冷蔵室下部温度センサ49は冷蔵室温度センサ41に対して下部に配置されており、冷蔵室2の下部に配置される。
【0113】
冷蔵室第一ダンパ151が開放状態で、冷蔵室下部温度センサ49の検知した温度t2と冷蔵室温度センサ41が検知した温度t1の差t2-t1が所定の値Δtを上回った場合(t2-t1>Δt)に第二送風モードを使用し、それ以外の場合は第一送風モードを使用する。このために必要な判定及び送風モードの制御は、制御装置70Aが行う。
【0114】
すなわち本実施例の冷蔵庫1は、冷蔵室2に配置された冷蔵室温度センサ41と、冷蔵室温度センサ41よりも下方で冷蔵室2に配置された冷蔵室下部温度センサ49と、を備え、冷蔵室温度センサ41が検知した温度t1と冷蔵室下部温度センサ49の検知した温度t2との差(t2-t1)が所定の温度差Δtを上回り、且つ、冷蔵室下部温度センサ49の検知した温度t2が、冷蔵室温度センサ41が検知した温度よりも高い場合に、第二送風モードによる冷却を行う。
【0115】
このような構成によれば、冷蔵室温度の偏りを検知することができ、この偏りに応じて送風モードを切り替えることが可能になり、温度偏りの小さい冷蔵庫を提供することができる。
【0116】
[実施例4]
次に、
図16を用いて第四実施形態(実施例4)について説明する。
【0117】
図16は、本発明の第四実施例に係る冷蔵庫の縦断面図である。尚、実施例1、実施例2又は実施例3と同様の構成については実施例1、実施例2又は実施例3と同様の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0118】
本実施例の冷蔵庫1は、冷蔵室第一戻り口115近傍に冷蔵室第一戻り口温度センサ47が設けられ、冷凍室戻り口105近傍に冷凍室戻り口温度センサ45が設けられている。これらのセンサ47、45により、冷蔵室第一戻り口115及び冷凍室戻り口105近傍の温度を検知し、逆流S1及び逆流S2を検知することができる。
【0119】
これにより、着霜等により冷蔵庫運転中に各風路の抵抗が変化した場合においても、冷凍室ファン9a及び冷蔵室ファン9bの回転数を逆流が発生しない範囲で制御することが可能になる。
【0120】
本実施例では、冷蔵室第一ダンパ151が開放状態で、冷凍室戻り口温度センサ45の検知する温度が所定の温度より高くなった場合、逆流S1が発生しているものと判定として、冷凍室ファン9aの回転数を増加させる。この判定及び回転数の制御は、制御装置70Aが行う。
【0121】
すなわち本実施例の冷蔵庫1は、冷凍室戻り口105の近傍に冷凍室戻り口温度センサ45を備え、制御装置70Aは、冷蔵室第一ダンパ151が開状態で、且つ、冷凍室戻り口温度センサ45の検知温度が所定値よりも高くなった場合に、冷凍室ファン9aの回転数を増加させる。
【0122】
このような構成によれば、冷凍室ファン9aの吐出側が比較的高圧になり、逆流S1を軽減もしくは防止することができる。
【0123】
また、冷蔵室第一ダンパ151が開放状態で、冷蔵室第一戻り口温度センサ47の検知する温度が所定の温度より低くなった場合、逆流S2が発生していると判定する。第一送風モードによる冷却時に、逆流S2が発生したと判定した場合は冷蔵室ファン9bの回転数を増加させる。この判定及び回転数の制御は、制御装置70Aが行う。
【0124】
すなわち本実施例の冷蔵庫1は、冷蔵室第一戻り口115の近傍に冷蔵室第一戻り口温度センサ47を備え、制御装置70Aは、冷蔵室第一ダンパ151が開状態で、且つ、冷蔵室第一戻り口温度センサ47の検知温度が所定値より低くなった場合に、冷蔵室ファン9bの回転数を増加させる。
【0125】
このような構成によれば、冷蔵室ファン9bの吐出側である冷蔵室2内の圧力が比較的高圧となり、第一送風モードにおける逆流S2を軽減もしくは防止することができる。
【0126】
ここで、上述した各実施例の冷蔵庫1で用いられる制御装置70Aについて、
図17を参照して説明する。
図17では、実施例1乃至実施例4に共通して使用できるように、温度センサについて、実施例1乃至実施例4で用いられる全ての温度センサを記載している。各実施例において、用いられない温度センサは
図17の構成から省略することができる。
【0127】
図17は、本発明に係る冷蔵庫1で用いられる制御装置70Aの構成を示すブロック図である。ここで、冷蔵庫1の制御装置70Aについて、
図10を用いて説明する。
【0128】
冷蔵庫1の背面下部の機械室39には、制御装置70A(
図2参照)が配設される。制御装置70Aは、CPU71、ROMやRAM等のメモリ72、タイマー73、入力インターフェース74及び出力インターフェース75を含むインターフェース回路等を搭載した制御基板を有する。制御装置70Aの制御基板は、外気温度センサ37、外気湿度センサ38、冷蔵室温度センサ41、冷凍室温度センサ43、野菜室温度センサ44、冷却器温度センサ40、冷蔵室第一戻り口温度センサ47、冷凍室戻り口温度センサ45、及び冷蔵室下部温度センサ49等と電気配線76で接続されている。制御装置70Aでは、各センサの出力値や操作部26の設定、メモリ72のROMに予め記録されたプログラム等を基に、圧縮機24や冷凍室ファン9a、9bのON/OFFや回転速度制御を行うほか、冷蔵室第二ダンパ151、冷蔵室第一ダンパ152及び野菜室ダンパ160の開閉制御や、除霜ヒータ21の制御を行っている。このために、除霜ヒータ21、圧縮機24、冷凍室ファン9a、9b、野菜室ダンパ160、冷蔵室第二ダンパ151及び冷蔵室第一ダンパ152は、電気配線77で制御装置70Aに接続されている。
【0129】
図8で説明した冷気の流れの制御は、冷凍室ファン9a、冷蔵室ファン9b、冷蔵室第一ダンパ151、冷蔵室第二ダンパ152、及び野菜室ダンパ160を制御装置70Aで制御することにより実行される。また制御装置70Aは、冷凍室ファン9a、冷蔵室ファン9b、除霜ヒータ21及び圧縮機24の駆動時間を、タイマー73を参照して制御することができる。なお、駆動時間を計測する手段はタイマー73に限定されない。
【0130】
上述した各実施例によれば、冷蔵室第一戻り口115から冷蔵室2への冷気の流れを抑制し、冷蔵室上部が十分に冷えない、あるいは、冷蔵室下部が過度に冷えるといった不具合の発生を抑える冷蔵庫1を提供することができる。
【0131】
以上の実施形態は本発明を分かりやすく説明するために詳細に記載したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されない。また、各実施形態の構成の一部を、他の実施形態の構成に置き換えることも可能である。また、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を適宜に加えることも可能である。本実施形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることも可能である。また、前記した機構や構成は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての機構や構成を示しているとは限らない。
【符号の説明】
【0132】
1…冷蔵庫、2…冷蔵室、3…製氷室、4…上段冷凍室、5…下段冷凍室、6…野菜室、8…冷却器室、9a…冷凍室ファン、9b…冷蔵室ファン、10…断熱箱体、10a…外箱、10b…内箱、14…冷却器、24…圧縮機、25…真空断熱材、27、28…断熱仕切壁、29、30…仕切部、39…機械室、41…冷蔵室温度センサ、43…冷凍室温度センサ、44…野菜室温度センサ、45…冷凍室戻り口温度センサ、47…冷蔵室第一戻り口温度センサ、49…冷蔵室下部温度センサ、100…冷凍室風路、104…冷凍室戻り風路、105…冷凍室戻り口、110…冷蔵室第一風路、111…冷蔵室吐出し口、115…冷蔵室第一戻り口、120…冷蔵室第二風路、130…冷蔵室戻り風路、131…冷蔵室第二戻り口、151…冷蔵室第一ダンパ、152…冷蔵室第二ダンパ、160…野菜室ダンパ、200…伝熱面。