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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-18
(45)【発行日】2025-02-27
(54)【発明の名称】媒体混濁のレーザ治療
(51)【国際特許分類】
   A61F 9/008 20060101AFI20250219BHJP
【FI】
A61F9/008 140
A61F9/008 120E
A61F9/008 120F
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2022537125
(86)(22)【出願日】2020-12-18
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-20
(86)【国際出願番号】 IB2020062228
(87)【国際公開番号】W WO2021124280
(87)【国際公開日】2021-06-24
【審査請求日】2023-12-08
(31)【優先権主張番号】62/950,560
(32)【優先日】2019-12-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】319008904
【氏名又は名称】アルコン インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100160705
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 健太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100165995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 寿人
(72)【発明者】
【氏名】ムハンマド ケー.アル-カイーシ
(72)【発明者】
【氏名】ポール アール.ハレン
【審査官】松山 雛子
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-081821(JP,A)
【文献】特表2019-513517(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0028354(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0257257(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0159933(US,A1)
【文献】欧州特許出願公開第03459487(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 9/008
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザ治療システム(100)であって、
光コヒーレンストモグラフィ(OCT)画像化システムであって、
複数のプロファイル深度スキャンを生成し、
プロセッサ上で命令を実行して、前記複数のプロファイル深度スキャンに基づいて眼内の媒体混濁の位置、体積、又はそれらの組み合わせを検出する
ように動作可能な光コヒーレンストモグラフィ(OCT)画像化システム(165)と、
3Dアイトラッカであって、
前記プロセッサ上で命令を実行して、前記複数のプロファイル深度スキャンに基づいて前記眼内の前記媒体混濁の位置、体積、又はそれらの組み合わせを追跡する
ように動作可能な3Dアイトラッカ(168)と、
治療用レーザを含むレーザシステムであって、
前記治療用レーザにより生成された複数の超短レーザパルスの狙いを正確に前記眼内の前記媒体混濁に定めて前記媒体混濁を少なくとも部分的に除去する
ように動作可能なレーザシステム(140)
を含み、前記レーザシステムは、
レーザビームの位相を変調して位相変調されたレーザビームを提供するように動作可能な成形システム(348)と、
前記位相変調されたレーザビームを方向付けて変調された及び変位させたレーザビームを提供するように動作可能な掃引光学スキャナ(347)と、
前記変調された及び変位させたレーザビームの集束面を変位させて複数の切除面を提供するように動作可能な集束光学システム(346)と
を更に含む、レーザ治療システム。
【請求項2】
前記複数の超短レーザパルスは、治療体積内に均一に狙いが定められる、請求項1に記載のレーザ治療システム。
【請求項3】
前記OCT画像化システム(165)は、時間領域OCT、周波数領域OCT、スペクトル領域OCT、掃引光源OCT、OCT血管造影、又はそれらの任意の組み合わせを提供するように動作可能である、請求項1に記載のレーザ治療システム。
【請求項4】
前記治療用レーザ(341)は、約1フェムト秒(10-15秒)~約50ピコ秒(50×10-12秒)の持続時間のパルスを生成する、請求項1に記載のレーザ治療システム。
【請求項5】
前記治療用レーザ(341)は、約1,030nm又は約1,050nmの波長の光を発する、請求項1に記載のレーザ治療システム。
【請求項6】
前記複数の切除面は、治療体積を画定する、請求項に記載のレーザ治療システム。
【請求項7】
前記3Dアイトラッカ(168)は、
前記媒体混濁の前記位置及び前記体積に関する少なくとも1つのリアルタイムフィードバック表示を提供し、
前記媒体混濁が少なくとも部分的に除去された場合に知らせるための少なくとも1つのリアルタイムフィードバック表示を提供する、
ようにさらに動作可能である、請求項1に記載のレーザ治療システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、硝子体網膜手術及び手術用器具に関し、より具体的には、硝子体網膜手術での媒体混濁の除去を改善するためのレーザ治療システム及び関連する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
眼科手術は、眼又は眼の任意の部分に対して実行される手術である。眼科手術は、毎年、数万人の患者の視力を保護し且つ改善させる。しかしながら、眼の僅かな変化に対しても視力が敏感であり、多くの眼構造の特性が微細且つ精緻であるため、眼科手術は、実行が困難であり、些細若しくは稀な手術ミスを減らすか、又は手術スキルの精度が僅かに向上するだけで手術後の患者の視力に顕著な差が生じる場合がある。
【0003】
眼科手術の一種である硝子体網膜手術は、硝子体液、網膜、及び硝子体網膜膜など、眼の内部を含む様々な繊細な手術を包含する。硝子体網膜手術などの眼科手術中、眼科医は通常、接眼レンズを備えた非電子の光学的手術用顕微鏡を使用して、手術を受けている眼の拡大画像を観察する。近年では、硝子体網膜外科医は、NGENUITY(登録商標)(Novartis AG Corp.,Switzerland)3D視覚化システムなどの、接眼レンズのないデジタル視覚化システムを使用して、硝子体網膜手術中の視覚化を補助し得る。これらのシステムには、外科医が偏光眼鏡、デジタル接眼レンズ、又はヘッドマウントディスプレイを使用してディスプレイ画面上で網膜を観察することを可能にする、2次元(2D)相補型金属酸化物半導体(CMOS)センサを備えた3次元(3D)高ダイナミックレンジ(「HDR」)カメラシステムが含まれ得る。ディスプレイ画面により、接眼レンズを使用して手術を観察する必要から解放し、手術室内の他の人が外科医とまったく同じように見ることを可能にする。このシステムはまた、従来の光学アナログ手術用顕微鏡と比較して、高倍率下での画像の改善、及び被写界深度の拡大を可能にし、それにより眼の視覚化の改善を可能にする。
【0004】
これらの進歩にもかかわらず、効果的に視覚化し治療することが困難であることが多い一般的な眼疾患は、媒体混濁が存在する疾患である。媒体混濁は、概して、硝子体内の微細なコラーゲン線維により引き起こされ、硝子体シネレシスから生じ得る。媒体混濁は、眼に入る光を散乱させ得るので、視力の質を悪化させ、これにより、患者の視野内を動き回るように見えるスポット、影、クモの巣、又は他の様々な形状として現れる可能性がある。
【0005】
媒体混濁のより重篤な症状は、イットリウムアルミニウムガーネット(YAG)レーザを用いたレーザビトレオライシス(vitreolysis)により治療され得る。この処置の間、レーザパルスは、患者の眼組織と相互作用して媒体混濁を除去し得る。しかしながら、YAGレーザを用いたレーザビトレオライシスは、YAGレーザの高いエネルギー及び低い狙い精度のため、媒体混濁を除去する際の効果が限定され得る。これにより、広範囲の組織が影響を受ける場合があり、有害な副作用を回避するためにレーザ治療の焦点及び線量を正確に制御することが極めて困難である場合がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、硝子体網膜手術での媒体混濁の除去を改善するためのレーザ治療システム及び関連する方法を提供する。レーザ治療システムは、複数のプロファイル深度スキャンを生成し、プロセッサ上で命令を実行して、複数のプロファイル深度スキャンに基づいて眼内の媒体混濁の位置、体積、又はそれらの組み合わせを検出する光コヒーレンストモグラフィ(OCT)画像化システムを含む。レーザ治療システムはまた、プロセッサ上で命令を実行して、複数のプロファイル深度スキャンに基づいて眼内の媒体混濁の位置、体積、又はそれらの組み合わせを追跡する3Dアイトラッカを含む。レーザ治療システムはまた、治療用レーザを含むレーザシステムであって、治療用レーザにより生成された複数の超短レーザパルスの狙いを正確に眼内の媒体混濁に定めて媒体混濁を少なくとも部分的に除去するレーザシステムを含む。
【0007】
レーザ治療システム及びその使用方法は、以下の追加の特徴を含み得る。i)複数の超短レーザパルスは、治療体積内に均一に狙いが定められ得る。ii)システムは、デジタルカメラ、HDRカメラ、3Dカメラ、又はそれらの任意の組み合わせである手術用カメラを更に含み得る。iii)OCT画像化システムは、時間領域OCT、周波数領域OCT、スペクトル領域OCT、掃引光源OCT、OCT血管造影、又はそれらの任意の組み合わせを提供するように動作可能であり得る。iv)治療用レーザは、約1フェムト秒(10-15秒)~約50ピコ秒(50×10-12秒)の持続時間のパルスを生成し得る。v)治療用レーザは、約1,030nm又は約1,050nmの波長の光を発し得る。vi)レーザシステムは、LenSx(登録商標)レーザ(LenSx Lasers,Inc.Corp,California)であり得る。vii)レーザシステムは、レーザビームの位相を変調して位相変調されたレーザビームを提供する成形システムと、位相変調されたレーザビームを方向付けて変調された及び変位させたレーザビームを提供する掃引光学スキャナと、変調された及び変位させたレーザビームの集束面を変位させて複数の切除面を提供する集束光学システムとを更に含み得る。viii)複数の切除面は治療体積を画定し得る。ix)レーザ治療システムは、NGENUITY(登録商標)3D視覚化システムの構成要素であり得る。x)3Dアイトラッカは、媒体混濁の位置及び体積に関する少なくとも1つのリアルタイムフィードバック表示を提供し、媒体混濁が少なくとも部分的に除去された場合に知らせるための少なくとも1つのリアルタイムフィードバック表示を提供し得る。
【0008】
本開示は更に、OCT画像化システムを使用して媒体混濁の位置及び体積を特定することと、3Dアイトラッカを使用して媒体混濁の位置及び体積を追跡することと、媒体混濁の位置及び体積に関する信号を使用して、治療体積を決定することと、治療用レーザにより生成された複数の超短レーザパルスの狙いを正確に定めることで治療体積を治療することと、媒体混濁を少なくとも部分的に除去することとにより、媒体混濁を治療するための方法を提供する。
【0009】
本開示は更に、OCT画像化システムを使用して媒体混濁を特定することと、3Dアイトラッカを使用して媒体混濁を追跡することと、レーザシステムを使用して治療計画に従って媒体混濁を治療することと、少なくとも1つのリアルタイムフィードバック表示を使用して、媒体混濁のリアルタイムの状態を提供することと、少なくとも1つのリアルタイムフィードバック表示に応答して、治療計画をリアルタイムで更新することとにより、媒体混濁を治療するための方法を提供する。少なくとも1つのリアルタイムフィードバック表示は、媒体混濁の位置及び体積に関する信号を含み得る。治療計画を更新することは、治療用レーザの出力設定を変更すること、治療の持続時間を変更すること、治療体積を変更すること、治療体積膨張を変更すること、又はそれらの任意の組み合わせを含み得る。治療計画を更新することは、治療を停止することを含み得る。
【0010】
本開示は更に、OCT画像化システムを使用して媒体混濁を特定することと、3Dアイトラッカを使用して媒体混濁を追跡することと、少なくとも1つの算出フィードバック表示を使用して、治療計画を決定することと、レーザシステムを使用して治療計画に従って媒体混濁を治療することとにより、媒体混濁を治療するための方法を提供する。少なくとも1つの算出フィードバック表示は、機械学習アルゴリズムによる予測に基づき得る。
【0011】
本開示は、プロセッサと、プロセッサに結合されたOCT画像化システムと、プロセッサに結合された3Dアイトラッカと、レーザシステムと、プロセッサに結合されたメモリ媒体とを含む医療システムを更に提供する。メモリ媒体は、プロセッサにより実行されたときに、患者の眼内の媒体混濁を特定するように医療システムにOCT画像化システムを利用させる命令を含む。メモリ媒体は、プロセッサにより実行されたときに、媒体混濁の位置及び体積を追跡するように医療システムに3Dアイトラッカを利用させる命令を更に含む。メモリ媒体は、プロセッサにより実行されたときに、患者の眼内の媒体混濁を少なくとも部分的に除去するように医療システムにレーザシステムを利用させる命令を更に含む。レーザシステムは、超短パルスレーザであるレーザを含み得る。
【0012】
レーザ治療システムの態様及びその使用方法は、明らかに相互に排他的でない限り、互いに組み合わせることができる。加えて、レーザ治療システムの追加の特徴及び上述のその関連する方法もまた、明らかに相互に排他的でない限り、互いに組み合わせることができる。
【0013】
本開示並びにその特徴及び利点をより完全に理解するために、ここで、添付図面と併せて、以下の説明に対して参照が行われるが、これらの図面は縮尺通りではなく、同様の数字は同様の特徴を指す。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、レーザシステムと、手術用カメラと、光コヒーレンストモグラフィ(OCT)画像化システムと、3Dアイトラッカと、手術用カメラシステムと、ディスプレイとを含む、レーザ治療システムの概略図である。
図2図2は、治療用レーザと、レーザビームと、レーザ制御デバイスとを含む、レーザシステムの概略図である。
図3図3は、治療用レーザと、レーザビームと、レーザ制御デバイスと、集束光学システムと、掃引光学スキャナと、成形システムとを含む、レーザシステムの概略図である。
図4図4は、患者の眼から媒体混濁を少なくとも部分的に除去するための方法のフロー図である。
図5図5は、少なくとも1つのリアルタイムフィードバック表示を使用して媒体混濁を治療するための方法のフロー図である。
図6図6は、少なくとも1つの算出フィードバック表示を使用して媒体混濁を治療するための方法のフロー図である。
図7図7は、レーザ治療システムを含むコンピュータシステムの概略図である。
図8A図8Aは、レーザ治療システムを含む医療システムの概略図である。
図8B図8Bは、レーザ治療システムを含む医療システムの概略図である。
図8C図8Cは、レーザ治療システムを含む医療システムの概略図である。
図9図9は、レーザ治療システムと、外科医と、患者とを含む、医療システムの図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本開示は、媒体混濁の除去を改善するためのレーザ治療システムを含むシステム及び関連する方法を提供する。
【0016】
硝子体網膜の外科医は、眼の内部を手術する際に、独自の課題に直面する。例えば、特定の眼疾患を視覚化して治療するのに、画像化技術の組み合わせが必要である場合がある。患者の視覚的な質を悪化させる可能性があり且つ現時点では治療が極めて困難である疾患の1つは、媒体混濁が存在する疾患である。硝子体浮遊物として知られることもある、媒体混濁は、概して、硝子体内の微細なコラーゲン線維により引き起こされる。これらのコラーゲン線維は、塊になって網膜に影を落とし、患者には飛蚊症として現れることがある。媒体混濁は、硝子体の収縮、すなわち、硝子体シネレシス又は硝子体液化として知られる過程により引き起こされ得る。健康な眼では、ヒアルロン酸は、硝子体腔内でコラーゲン線維が凝集するのを防止し、硝子体の透明性を維持し得る。しかしながら、眼が老化するにつれて、ヒアルロン酸がコラーゲンから解離することがある。このヒアルロン酸の解離により、コラーゲンの架橋と凝集が起こり、光を散乱させる繊維状構造であって、最終的に媒体混濁になる繊維状構造が形成され得る。
【0017】
媒体混濁の治療は、硝子体切除術又はレーザビトレオライシスのいずれかに限定される場合がある。硝子体切除術は、重篤な症状の場合に用いられることがあり、合併症、例えば、網膜剥離、前部硝子体剥離及び黄斑浮腫を引き起こす可能性のある侵襲的処置である。レーザビトレオライシスは、概して、イットリウムアルミニウムガーネット(YAG)レーザである眼科用レーザを使用して実行される。しかしながら、この治療のリスク/ベネフィット比は明らかではない。YAGレーザは、概して、眼の前部で使用されるように設計され、硝子体に対する限られた視野しか提供せず、媒体混濁を特定することを困難にし得る。また、YAGレーザの使用は、周囲の眼組織に損傷を与える高いリスクを伴う。特に、YAGレーザの高エネルギー及び低い狙い精度は、焦点及び線量の正確な制御を妨げる場合があり、レーザ治療中に広範囲の組織が影響を受ける。これは、網膜の視細胞、例えば黄斑及び中心窩に損傷を与えるリスクがあり得る。網膜は非常に薄く(概して、厚さは約200~300ミクロン)、硝子体網膜手術中の網膜への損傷を避けることが重要である。
【0018】
本開示のシステム及び方法は、硝子体網膜手術での媒体混濁のより安全且つ効果的な除去を提供し得る。本開示のレーザ処理システム及び方法は、掃引光源光コヒーレンストモグラフィ(OCT)を使用して硝子体浮遊物を特定することにより、現在のシステム及び方法と比較して、媒体混濁の除去を改善し得る。本明細書に記載のレーザ治療システム及び方法は、デジタル視線追跡を使用して治療中に媒体混濁を追跡することにより、現在のシステム及び方法と比較して、媒体混濁の除去を改善し得る。本明細書に記載のレーザ治療システム及び方法は、超短パルスレーザの狙いを正確に定めることを利用して媒体混濁を少なくとも部分的に除去することにより、現在のシステム及び方法と比較して、媒体混濁の除去を改善し得る。狙いを正確に定めることにより、網膜などのデリケートな領域にレーザが当たるリスクが低減され得る。加えて、超短パルスレーザの使用は、標的とする媒体混濁に当たらなかった場合でも、眼の後部への最小限の損傷しかもたらさないか又は損傷を全くもたらさない可能性がある。本明細書に記載のレーザ治療システム及び方法は、レーザ治療の進捗状況をリアルタイムで監視することにより、現在のシステム及び方法と比較して、媒体混濁の除去を改善し得る。これにより、媒体混濁を少なくとも部分的に除去するために必要な最低線量を提供するための線量の調整ができるようになる。本明細書に記載のレーザ治療システム及び方法は、診療室ベースの処置であり得る非侵襲的治療を提供することにより、現在のシステム及び方法と比較して、媒体混濁の除去を改善し得る。本明細書に記載のレーザ治療システム及び方法は、治療変数をカスタマイズすることを伴い且つ少なくとも1つのフィードバック表示に基づく治療計画を提供することにより、現在のシステム及び方法と比較して、媒体混濁の除去を改善し得る。
【0019】
本明細書に記載のシステム及び方法は、媒体混濁を特定、追跡、及び治療し得るレーザ治療システムを提供することにより、媒体混濁の除去を改善し得る。レーザ治療システムは、OCT画像化システムを使用して媒体混濁を特定し得る。媒体混濁が特定された時点で、レーザ治療システムは、次に、3Dアイトラッカを使用して媒体混濁を追跡し得る。媒体混濁が特定及び追跡された後に、レーザ治療システムは、レーザシステムを使用して媒体混濁を治療し得る。レーザシステムは、超短パルスレーザを使用して媒体混濁を少なくとも部分的に除去し得る。レーザ治療システムは、NGENUITY(登録商標)(Novartis AG Corp.,Switzerland)3D視覚化システムなどの接眼レンズのないデジタル視覚化システムの構成要素であり得る。この視覚化システムは、拡張された被写界深度(アナログ顕微鏡と比較して最大5倍の被写界深度)、より高倍率(アナログ顕微鏡と比較して約48%増加した倍率)、より高い軸方向及び横方向分解能(アナログ顕微鏡と比較して約50%高い)、及び3D視覚化機能を容易にするための改善された立体視を提供し得る。これらの視覚化の改善により、レーザ治療システムによる媒体混濁の除去の改善がもたらされ得る。
【0020】
ここで図1を参照すると、レーザ治療システム100は、レーザシステム140と、手術用カメラ160と、OCT画像化システム165と、3Dアイトラッカ168と、手術用カメラシステム185と、ディスプレイ190とを含み得る。
【0021】
図1に示すレーザ治療システム100は、接眼レンズのないデジタル視覚化システムである。レーザ治療システム100は、NGENUITY(登録商標)(Novartis AG Corp.,Switzerland)3D視覚化システムなどの視覚化システムの構成要素として含まれ得る。レーザ治療システム100は、異なる実施態様では、他の様々な電子的及び機械的構成要素を更に含み得る。したがって、図1を参照して述べた特定の光学設計は、手術用カメラ160を含む眼科用視覚化システムに特有のものであるが、当業者であれば、他の眼科用視覚化システムを支援するための代替的な光学配置が本開示の範囲内であることを理解するであろう。
【0022】
手術用カメラ160は、眼10の上方に位置決めされ得る。手術用カメラ160は、デジタルカメラ、HDRカメラ、3Dカメラ、又はそれらの任意の組み合わせであり得る。手術用カメラ160は、少なくとも1つのセンサを含み得、センサ150a及び150bを含み得る。センサ150a及び150bは、相補型金属酸化物半導体(CMOS)センサ又は電荷結合素子(CCD)センサであり得る。手術用カメラ160は、モノクロカメラ又はカラーカメラであり得、センサ150a及び150bは、モノクロ画像センサ又はカラー画像センサであり得る。センサ150a及び150bは、眼10からの反射光を使用してデジタル画像を撮像し得る。センサ150a及び150bは、眼10のデジタル画像を撮像し得る。
【0023】
レーザ治療システム100はまた、手術用カメラ160用の照明源を提供し得る、可視光照明源145を含み得る。可視光照明源145は、内部照明器(図示せず)であり得る。可視光照明源145は、キセノン源、白色LED光源、又は他の任意の適切な可視光源を含み得る。可視光照明源145は、眼10を照明し得る。
【0024】
手術用カメラ160はまた、光学機械的焦点調整システム161と、ズームシステム162と、可変作動距離システム163とを利用し得る。手術用カメラ160は、手術用カメラシステム185及びディスプレイ190と通信可能に結合され得る。手術用カメラシステム185は、画像処理システム170と、プロセッサ180と、メモリ媒体181とを含み得る。センサ150a及び150bにより撮影されたデジタル画像は、画像処理システム170により処理され得る。画像処理システム170は、プロセッサ180を含み得る。センサ150a及び150bは、眼10からの反射光を検出し、検出した光に対応する信号をプロセッサ180に送信し得る。プロセッサ180は、命令を実行して、眼10のデジタル画像を生成し得る。眼10のデジタル画像は、ディスプレイ190上に表示され得る。センサ150a及び150bは、眼10の3D画像を提供するために光を検出し得る。
【0025】
プロセッサ180は、例えば、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、グラフィックス処理ユニット(GPU)、特定用途向け集積回路(ASIC)、又はプログラム命令及び/若しくは処理データを解釈及び/若しくは実行するように構成された他の任意のデジタル若しくはアナログ回路を含み得る。
【0026】
プロセッサ180は、命令を記憶及び/又は実行することができる任意の物理デバイスを含み得る。プロセッサ180は、本明細書に記載の1つ以上のシステム、1つ以上のフローチャート、1つ以上のプロセス、及び/又は1つ以上の方法の少なくとも一部を実施するためのプロセッサ命令を実行し得る。例えば、プロセッサ180は、命令を実行して、眼10のデジタル画像を生成し得る。プロセッサ180は、メモリ媒体181から命令を受信するように構成され得る。一例では、プロセッサ180は、メモリ媒体181を含み得る。別の例では、メモリ媒体181は、プロセッサ180の外部にあり得る。メモリ媒体181は、命令を記憶し得る。メモリ媒体181により記憶された命令は、プロセッサ180により実行可能であり得、且つ本明細書に記載の1つ以上のシステム、1つ以上のフローチャート、1つ以上の方法、及び/又は1つ以上のプロセスの少なくとも一部に従い複数の命令により構成、コーディング、及び/又は符号化され得る。
【0027】
FPGAは、本明細書に記載の1つ以上のシステム、1つ以上のフローチャート、1つ以上のプロセス、及び/又は1つ以上の方法の少なくとも一部を実施するように構成、コーディング、及び/又は符号化され得る。例えば、FPGAは、眼10のデジタル画像を生成するように構成、コーディング、及び/又は符号化され得る。ASICは、本明細書に記載の1つ以上のシステム、1つ以上のフローチャート、1つ以上のプロセス、及び/又は1つ以上の方法の少なくとも一部を実施するように構成され得る。例えば、ASICは、眼10のデジタル画像を生成するように構成、コーディング、及び/又は符号化され得る。DSPは、本明細書に記載の1つ以上のシステム、1つ以上のフローチャート、1つ以上のプロセス、及び/又は1つ以上の方法の少なくとも一部を実施するように構成、コーディング、及び/又は符号化され得る。例えば、DSPは、眼10のデジタル画像を生成するように構成、コーディング、及び/又は符号化され得る。
【0028】
単一のデバイスは、プロセッサ180と画像処理システム170とを含み得るか、又はプロセッサ180は、画像処理システム170とは別体であり得る。一例では、単一のコンピュータシステムは、プロセッサ180と画像処理システム170とを含み得る。別の例では、デバイスは、プロセッサ180と画像処理システム170とを含み得る集積回路を含み得る。代替的に、プロセッサ180及び画像処理システム170は、手術用コンソールに組み込まれ得る。
【0029】
プロセッサ180は、プログラム命令を解釈及び/若しくは実行し、並びに/又はメモリ媒体181に記憶されたデータを処理し得る。メモリ媒体181は、部分的又は全体的に、アプリケーションメモリ、システムメモリ、又はその両方として構成され得る。メモリ媒体181は、1つ以上のメモリデバイスを保持及び/又は収容するように構成された、任意のシステム、デバイス、又は装置を含み得る。各メモリデバイスは、プログラム命令及び/又はデータを一定期間保持するように構成された任意のシステム、任意のモジュール、又は任意の装置(例えば、コンピュータ可読媒体)を含み得る。記載された1つ以上のサーバ、電子デバイス、又は他の機械は、関連する機械の機能を実行するためのプログラム命令を記憶及び実行し得る1つ以上の同様のかかるプロセッサ又はメモリを含み得る。
【0030】
ディスプレイ190は、支持部材198及び基台199に取り付けられたヘッドアップディスプレイであり得る。支持部材198及び基台199は、ディスプレイ190と外科医との間の距離を変更するように調整可能であり得る。ディスプレイ190はまた、天井に取り付けられ得る。ディスプレイ190は、手術用カメラシステム185と通信可能に結合され得る。ディスプレイ190は、ピクチャ・イン・ピクチャ・ディスプレイであり得る。別の例では、手術用カメラ160は、3D HDRカメラであり得、ディスプレイ190は、3D 4K OLED手術用ディスプレイであり得る。ディスプレイ190は、眼10のデジタル画像を表示し得る。ディスプレイ190は、眼10の3D手術画像を表示し得る。プロセッサ180は、リアルタイムで3D HDR画像を最適化し得る、超高速3D画像プロセッサであり得る。
【0031】
手術用カメラ160は、手術用カメラシステム185及びディスプレイ190と通信可能に結合され得る。ディスプレイ190は、手術用カメラシステム185を介して手術用カメラ160から情報を受信し得る。ディスプレイ190は、手術用カメラ160により撮影された眼10のデジタル画像を表示し得る。
【0032】
眼10は、媒体混濁11を含み得る。媒体混濁11は、眼10の硝子体に位置し得る。媒体混濁11は、OCT画像化システム165を使用して視覚化され得る。OCTは、近赤外光を使用して眼構造の高分解能の深さ分解画像化を提供し得る。OCT画像化システム165は、OCTスキャナ166とOCTコントローラ167とを含み得る。OCTコントローラ167は、光源、解析ユニット、又はそれらの組み合わせを含み得る。OCTコントローラ167は、OCT画像化ビーム130を生成し得る。OCTスキャナ166は、手術用カメラ160に光学的に結合され得る。OCTスキャナ166は、眼10の眼組織のプロファイル深度スキャンを提供し得る。プロファイル深度スキャンは、手術用カメラ160を使用して生成されたデジタル画像から容易には視認できない眼10の眼組織に関する情報を提供し得る。プロファイル深度スキャンは、媒体混濁11の位置に関する情報を提供し得る。プロファイル深度スキャンは、媒体混濁11の体積に関する情報を提供し得る。OCT画像化システム165は、プロファイル深度スキャンからOCT画像を生成し得る。OCT画像は、ディスプレイ190上に表示され得る。代替的に、OCT画像は、別のディスプレイ上に表示され得る。
【0033】
OCT画像化システム165は、OCT機器の任意の構成及び眼10を視覚化するために必要な構成を表し得る。OCT画像化システム165は、OCT機器の任意の構成及び媒体混濁11を視覚化するために必要な構成を表示し得る。OCT画像化システム165は、時間領域OCTを提供し得る。OCT画像化システム165は、限定されるものではないが、スペクトル領域OCT、掃引光源OCT、及びOCT血管造影などの、周波数領域OCTを提供し得る。OCTスキャナコントローラ167は、OCTレーザ169を含み得る。OCT画像化システム165は、掃引光源OCT画像化システムであり得る。この例では、OCTレーザ169は、各スキャンで狭帯域の波長を掃引し得る、短キャビティ掃引レーザであり得る。OCTレーザ169は、比較的狭い波長帯域(例えば、830nm~870nm、790nm~900nm、950nm~1150nm、1000~1300nm、又は1200~1400nm)をカバーする赤外又は近赤外光ビームを含むOCT画像化ビーム130を生成し得る。OCTレーザ169は、約1000nmを中心とする波長を有し得る。代替的に、OCTレーザ169は、約1300nmを中心とする波長を有し得る。しかしながら、OCTレーザ169は、任意の適切なスペクトル域の波長を有するOCT画像化ビーム130を生成し得る。OCT画像化システム165は、掃引光源OCT血管造影画像化システムであり得る。代替的に、OCT画像化システム165は、ANTERION(登録商標)(Heidelberg Engineering GmbH,Germany)などの掃引光源OCT画像化システムであり得る。
【0034】
OCT画像化システム165は、眼10の少なくとも1回のプロファイル深度スキャンを提供し得る。レーザ治療システム100は、部分ミラー164において分割される右側光ビームを含み得る。OCTスキャナ166は、OCT画像化ビーム130の出力を制御し得る。部分ミラー164は、OCTスキャナ166からOCT画像化ビーム130を受け取り得る。眼10に達したOCT画像化ビーム130の一部は、OCT測定ビーム131として眼10で反射され得る。OCT測定ビーム131は、OCT画像化ビーム130が移動した光路と実質的に同じ光路に沿ってOCT画像化システム165に戻り得る。部分ミラー164は、OCT測定ビーム131をOCTスキャナ166に出力し得る。OCT測定ビーム131がOCTスキャナコントローラ167に達した時点で、OCTスキャナコントローラ167は、眼10のプロファイル深度スキャンを決定し得る。OCTスキャナコントローラ167はまた、当技術分野で知られているように、OCT測定ビーム131とOCT画像化ビーム130の基準アームとの干渉に基づいてOCT画像を構築し得る。
【0035】
OCT走査コントローラ167は、画像処理システム170を使用して、OCT画像の表示画像をディスプレイ190に出力することができる。OCT走査コントローラ167は、比較的高いリフレッシュレートでリアルタイムに画像処理を実行し得る。このリアルタイムでの画像処理の実行により、OCTスキャナ166により生成されたOCT画像を表示及び制御するためのほぼ瞬時のフィードバックが外科医に提供され得る。
【0036】
本明細書で使用される場合、「リアルタイム」とは、データが受信されるのと同じ速度での情報の更新を指すことがある。本開示のレーザ治療システム及び方法の文脈では、「リアルタイム」とは、データが表示されるときにユーザが容易に気付く激しい振動又は待ち時間なしに物体がよりスムーズに十分に高いデータ速度及び十分に低い遅延で、OCTデータが光センサから取得、処理、及び送信されることを意味し得る。例えば、これは、新たなOCT画像が少なくとも毎秒30フレームの速度で取得、処理、及び送信され、毎秒約60フレームで表示されるときに、且つ信号の複合処理に約1/30秒未満の遅延がある場合に発生し得る。
【0037】
画像処理システム170は、OCTスキャナ166により生成されたプロファイル深度スキャンに基づいて、プロセッサ180上で画像処理アルゴリズム、例えば、分類、特徴抽出、パターン認識、又はそれらの任意の組み合わせを実行し得る。OCTスキャナ166により生成されたプロファイル深度スキャンは、2次元(2D)スキャンデータ及び3Dスキャンデータを含み得る。OCT画像化システム165は、プロセッサ180上で命令を実行して、少なくとも1回のプロファイル深度スキャンに基づいて眼10内の媒体混濁11の位置を検出し得る。OCT画像化システム165は、プロセッサ180上で命令を実行して、少なくとも1回のプロファイル深度スキャンに基づいて眼10内の媒体混濁11の体積を検出し得る。OCT画像化システム165は、代替的に、複数のプロファイル深度スキャンを生成し得る。OCT画像化システム165は、プロセッサ180上で命令を実行して、複数のプロファイル深度スキャンに基づいて眼10内の媒体混濁11の位置、体積、又はそれらの組み合わせを検出し得る。
【0038】
OCTスキャナ166は、外科医により指示されるように、眼10内の位置にOCT画像化ビーム130を誘導し得る。OCTスキャナ166は、媒体混濁11を特定するのに適した眼10内の位置にOCT画像化ビーム130を誘導し得る。OCTスキャナ166は、X-Y平面におけるOCT画像化ビーム130の集束を容易にする任意の適切な光学構成要素又は光学構成要素の組み合わせを含み得る。例えば、OCTスキャナ166は、1対の走査ミラー、マイクロミラーデバイス、微小電気機械システム(MEMS)デバイス、変形可能なプラットフォーム、検流計ベースのスキャナ、ポリゴンスキャナ、共振PZTスキャナ、又はそれらの任意の組み合わせのうちの1つ以上を含み得る。
【0039】
3Dアイトラッカ168は、媒体混濁11を追跡し得る。3Dアイトラッカ168は、OCT画像化システム165が媒体混濁11を特定した後に、媒体混濁11を追跡し得る。3Dアイトラッカ168は、デジタル視線追跡を使用して媒体混濁11を追跡し得る。3Dアイトラッカ168は、画素に基づく視線追跡又は走査レーザに基づく視線追跡を使用して、媒体混濁11を追跡し得る。3Dアイトラッカ168は、媒体混濁11の位置、体積、又はそれらの組み合わせを追跡し得る。3Dアイトラッカ168は、媒体混濁11を追跡するために必要なハードウェアとファームウェアとソフトウェアとの任意の好適な組み合わせを含み得る。代替的に、3Dアイトラッカ168は、画像処理システム170のプロセッサ180及びメモリ媒体181を利用し得る。アイトラッカ168は、プロセッサ180上で命令を実行して、OCT画像化システム165により生成された複数のプロファイル深度スキャンに基づいて媒体混濁の位置、体積、又はそれらの組み合わせを追跡し得る。例えば、プロセッサ180は、OCT画像化システム165により生成されたプロファイル深度スキャンを受信して処理し得る。メモリ媒体181は、前処理されたプロファイル深度スキャン、後処理されたプロファイル深度スキャン、又はそれらの組み合わせを記憶し得る。プロセッサ180は、プロファイル深度スキャンに基づいて、媒体混濁11の位置、体積、又はそれらの組み合わせを検出し得る。プロセッサ180はまた、プロファイル深度スキャンに基づいて、媒体混濁11の位置の変化、体積の変化、又はそれらの組み合わせを検出し得る。アイトラッカ168は、媒体混濁11が手術中に少なくとも部分的に除去されるまで、媒体混濁11を追跡し得る。代替的に、3Dアイトラッカ168は、外科医により指定された持続時間にわたって媒体混濁11を追跡し得る。
【0040】
3Dアイトラッカ168は、眼10内の位置へのOCT画像化ビーム130の方向を自動的に与え得る。例えば、OCTスキャナ166は、3Dアイトラッカ168により生成された信号に基づいて、OCT画像化ビーム130を眼10内の位置に誘導し得る。別の例では、OCTスキャナ166は、各々がモータ駆動部に結合された1対の走査ミラーを含み得る。モータ駆動部は、垂直軸線を中心にミラーを回転させ得る。例えば、3Dアイトラッカ168により生成された信号を使用して、結合されたモータの位置を制御することにより、眼10におけるOCT画像化ビーム130のX-Y位置決めが制御され得る。代替的に、3Dアイトラッカ168は、レーザ治療システム100では無効にされ得る。この場合、媒体混濁11の位置、体積、又はそれらの組み合わせは、OCT画像化システム165を使用して外科医により手作業で監視され得る。
【0041】
レーザシステム140は、媒体混濁11を治療し得る。レーザシステム140は、OCT画像化システム165が媒体混濁11を特定し且つ3Dアイトラッカ168が媒体混濁11を追跡した後に、媒体混濁11を治療し得る。レーザシステム140は、治療用レーザ141とレーザ制御デバイス143とを含み得る。治療用レーザ141は、レーザビーム142を提供し得る。治療用レーザ141は、超短パルスレーザであり得る。一例では、治療用レーザ141は、OCTレーザ169であり得る。治療用レーザ141は、眼10の後部への最小限の損傷しかもたらさずに又は損傷を全くもたらさずに治療中に媒体混濁11を少なくとも部分的に除去し得るレーザビーム142を提供することが可能な任意のレーザであり得る。レーザシステム140は、治療用レーザ141による光破壊レーザ断片化により、媒体混濁11を少なくとも部分的に除去し得る。
【0042】
例えば、治療用レーザ141は、約1ピコ秒(10-12秒)未満の持続時間のパルスを提供し得る。別の例では、治療用レーザ141は、約1フェムト秒(10-15秒)~約1ピコ秒(10-12秒)の持続時間のパルスを提供し得る。更なる例では、治療用レーザ141は、約0.01ピコ秒~50ピコ秒の持続時間のパルスを提供し得る。更に別の例では、治療用レーザ141は、約1フェムト秒(10-15秒)~約50ピコ秒(50×10-12秒)の持続時間のパルスを提供し得る。
【0043】
レーザシステム140は、LenSx(登録商標)レーザ(LenSx Lasers,Inc.Corp,California)であり得る。代替的に、レーザシステム140は、開示全体が参照により本明細書に組み込まれる、2018年10月5日に出願された、米国特許出願公開第2019/0159933号明細書に記載されているように、フェムト秒レーザである治療用レーザ141と、成形システムと、掃引光学スキャナと、集束光学システムとを含み得る。レーザシステム140は、制御デバイス143により制御され得る。例えば、制御デバイス143は、治療用レーザ141の強度、レーザビーム142の焦点、レーザビーム142の位置、又はそれらの任意の組み合わせを制御し得る。
【0044】
レーザシステム140は、レーザビーム142の複数の超短レーザパルスの狙いを正確に媒体混濁11に定めて媒体混濁11を少なくとも部分的に除去することにより、媒体混濁11を治療し得る。連続する各超短レーザパルスは、3Dアイトラッカ168により生成された信号を使用して、媒体混濁11に狙いが正確に定められ得る。NGENUITY(登録商標)3D視覚化システムなどの視覚化システムにおいてアイトラッカ168を手術用カメラシステム185の構成要素と組み合わせて使用することにより、レーザビーム142の狙いを非常に正確に定めることができるようになる。特に、レーザビーム142の集束されたフェムト秒レーザパルスは、媒体混濁11を少なくとも部分的に除去するために、媒体混濁11に狙いが正確に定められ得る。
【0045】
一例では、レーザシステム240は、図2に示すように、媒体混濁11を治療し得る。レーザシステム240は、治療用レーザ241と、レーザビーム242と、レーザ制御デバイス243とを含み得る。治療用レーザ241は、レーザビーム242を提供し得る。アイトラッカ168は、レーザビーム242の焦点を正確に媒体混濁11に合わせるために、信号をレーザシステム240に送信し得る。治療用レーザ241は、フェムト秒レーザ又はピコ秒レーザであり得、約1,050nmの波長の光を発し得る。別の例では、治療用レーザ241は、OCTレーザ169であり得る。レーザシステム240は、レーザビーム242の複数の超短レーザパルスの狙いを正確に媒体混濁11に定めて媒体混濁11を少なくとも部分的に除去することにより、媒体混濁11を治療し得る。レーザビーム242からのレーザパルスは、治療体積205内に均一に狙いが定められ得る。レーザシステム240は、3Dアイトラッカ168により追跡された媒体混濁11の位置及び体積に関する信号を使用して、治療体積205を決定し得る。治療体積205は、媒体混濁11とほぼ同じ体積であり得る。代替的に、治療体積205は、体積膨張206により媒体混濁11よりも大きい場合がある。体積膨張206は、媒体混濁11の体積よりも約5%、10%、15%又は20%大きい治療体積をもたらし得る。代替的に、体積膨張206は、眼10の後部への最小限の損傷しかもたらさずに又は損傷を全くもたらさずに、媒体混濁11を少なくとも部分的に除去するために必要な任意の治療体積をもたらし得る。治療体積205は、媒体混濁11の位置及び体積が変化した場合、治療中に変化し得る。
【0046】
レーザビーム242からの超短レーザパルスは、レーザ201が当たるスポットを治療体積205内にもたらし得る。概して、光破壊レーザ断片化は、気泡の形成をもたらすので、レーザパルスは、気泡の形成による破壊を最小限に抑えるために、狙いが正確に定められ得る。レーザパルスエネルギー、レーザ201が当たるスポットの位置、及び治療体積205は、ガス拡散、レーザ露光、眼10の後部への損傷、及び処置時間の影響を最小限に抑えながら媒体混濁11を分解する最も高い効果を達成するように最適化され得る。
【0047】
別の例では、レーザシステム340は、図3に示すように、媒体混濁11を治療し得る。レーザシステム340は、治療用レーザ341と、レーザビーム342と、レーザ制御デバイス343と、集束光学システム346と、掃引光学スキャナ347と、成形システム348とを含み得る。治療用レーザ341は、フェムト秒レーザであり得る。治療用レーザ341は、400フェムト秒のパルスの形態で約1,030nmの波長の光を発し得る。治療用レーザ341は、20Wの出力及び500kHzの周波数を有し得る。治療用レーザ341は、レーザビーム342を提供し得る。レーザシステム340は、レーザビーム342の複数の超短レーザパルスの狙いを正確に媒体混濁11に定めて媒体混濁11を少なくとも部分的に除去することにより、媒体混濁11を治療し得る。レーザビーム342は、超短レーザパルスを特定の治療体積305に提供し得る。治療体積305は、媒体混濁11とほぼ同じ体積であり得る。代替的に、治療体積305は、体積膨張306により媒体混濁11よりも大きい場合がある。体積膨張306は、媒体混濁11の体積よりも約5%、10%、15%又は20%大きい治療体積をもたらし得る。代替的に、体積膨張306は、眼10の後部への最小限の損傷しかもたらさずに又は損傷を全くもたらさずに、媒体混濁11を少なくとも部分的に除去するために必要な任意の治療体積をもたらし得る。
【0048】
レーザビーム342は、成形システム348と掃引光学スキャナ347と集束光学システム346とを使用して、超短レーザパルスを治療体積305に提供し得る。レーザ制御デバイス343は、成形システム348、掃引光学スキャナ347、及び集束光学システム346を制御し得る。成形システム348は、治療用レーザ341により発せられたレーザビーム342aの位相を変調し得る。これにより、レーザビームのエネルギーが分配されて、レーザビームの焦点面に複数の衝突点が生成され得る。複数の衝突点は、切除パターンを画定し得る。成形システム348は、位相変調されたレーザビーム342bを発し得る。成形システム348は、空間光変調器を含み得る。成形システム348は、液晶オンシリコン空間光変調器を含み得る。
【0049】
掃引光学スキャナ347は、成形システム348により発せられた位相変調されたレーザビーム342bを方向付けて、集束面310内に位置し得る変位経路に沿って切除パターンを変位させ得る。変位経路は、外科医により予め定められ得る。掃引光学スキャナ347は、変調された及び変位させたレーザビーム342cを発し得る。掃引光学スキャナ347は、少なくとも1つの光学ミラーを含み得る。少なくとも1つの光学ミラーは、位相変調されたレーザビーム342bを誘導するために少なくとも2つの軸線を中心に枢動し得る。
【0050】
集束光学システム346は、変調された及び変位させたレーザビーム342cの集束面310を変位させ得る。これにより、切除面311、312、313、314、又は315が提供され得る。集束光学システム346は、レーザビーム342cの光路内で変位させ得る少なくとも1つの電動レンズを含み得る。
【0051】
したがって、成形システム348は、切除パターンを画定するいくつかの衝突点の同時生成を可能にし得、掃引光学スキャナ347は、集束面310内の切除パターンの変位を可能にし得、集束光学システム346は、連続する平面311、312、313、314、及び315に切除をもたらすように、集束面310の深さ方向の変位を可能にし得る。切除面311、312、313、314及び315は、治療体積305を画定し得る。
【0052】
図4は、媒体混濁を患者の眼から少なくとも部分的に除去する方法のフロー図を提示する。ステップ400において、媒体混濁11などの媒体混濁は、OCT画像化システム165などのOCT画像化システムを使用して特定される。OCT画像化システムは、媒体混濁の位置及び体積を特定し得る。ステップ410において、OCT画像化システムを使用して特定された媒体混濁は、3Dアイトラッカ168などの3Dアイトラッカを使用して追跡される。このステップは、プロセッサ180などの、プロセッサ上で命令を実行して、OCT画像化システムにより生成された複数のプロファイル深度スキャンに基づいて媒体混濁の位置、体積、又はそれらの組み合わせを追跡する3Dアイトラッカを伴い得る。ステップ420において、治療体積205などの、治療体積が決定される。治療体積は、OCT画像化システムにより検出され且つ3Dアイトラッカにより追跡された媒体混濁の位置及び体積に関する信号を使用して決定され得る。ステップ430において、治療体積は、集束されたフェムト秒レーザパルスの狙いを正確に定めることを含み得る、複数の超短レーザパルスの狙いを正確に定めて媒体混濁を少なくとも部分的に除去することにより治療され得る。この方法は、外科医が、患者の眼の後部への最小限の損傷しかもたらさずに又は損傷を全くもたらさずに、少なくとも部分的に媒体混濁を除去できるようにする。加えて、治療は、非侵襲的であるので、診療室ベースの処置であり得る。
【0053】
レーザ治療システム100を用いたレーザ手術中に、OCT画像化システム165などのOCT画像化システム、3Dアイトラッカ168などの3Dアイトラッカ、又はそれらの組み合わせは、治療の進捗状況の少なくとも1つのリアルタイムフィードバック表示を提供し得る。リアルタイムフィードバック表示は、媒体混濁11の状態を提供するためのOCT画像を含み得る。OCT画像は、レーザビーム142、レーザビーム242、又はレーザビーム342などの、レーザビームによる治療中に、レーザビームによる治療が完了した後に、又はそれらの組み合わせで提供され得る。リアルタイムフィードバック表示はまた、OCT画像化システム165により特定され且つ3Dアイトラッカ168により追跡された媒体混濁11の位置及び体積に関する信号を含み得る。リアルタイムフィードバック表示は、媒体混濁11が少なくとも部分的に除去されたことを知らせるために、外科医に提供され得る。
【0054】
レーザ治療システム100を用いたレーザ手術の前又は間に、少なくとも1つの算出フィードバック表示が提供され得る。算出フィードバック表示は、例えば、媒体混濁の特定の寸法及び体積についての以前の患者治療結果に基づく推奨治療体積、治療用レーザの特定のレーザ出力設定についての以前の患者治療結果に基づく治療の推奨持続時間、以前のレーザ手術からの術前OCT画像と術後OCT画像の試験セットから開発された機械学習アルゴリズムからの予測に基づく治療用レーザの推奨レーザ出力設定、又はそれらの任意の組み合わせを含み得る。
【0055】
媒体混濁11は、治療計画に従ってレーザ治療システム100を使用して治療され得る。治療計画は、限定されるものではないが、治療用レーザの出力設定、治療の持続時間、治療体積、体積膨張、又はそれらの任意の組み合わせを含む治療変数をカスタマイズすることを伴い得る。治療変数は、限定されるものではないが、患者の眼の体積、媒体混濁の体積、媒体混濁の寸法、患者の年齢、患者の病歴、任意のフィードバック表示、患者の眼の術前OCT画像、患者の眼の術後OCT画像、患者調査、治療後の媒体混濁の再発率、以前の治療の効果、又はそれらの任意の組み合わせを含む、治療因子を考慮して決定され得る。
【0056】
治療計画は、少なくとも部分的に、少なくとも1つのリアルタイムフィードバック表示、例えば、治療中に提供されるOCT画像、又は媒体混濁11の位置及び体積に関する信号に基づき得る。少なくとも1つのリアルタイムフィードバック表示は、レーザ治療中に、治療用レーザ、例えば治療用レーザ141の出力設定値を増減させるために外科医により使用され得る。少なくとも1つのリアルタイムフィードバック表示はまた、媒体混濁11が少なくとも部分的に除去されたときに、外科医が治療計画を更新できるようにするか、又は治療をリアルタイムに停止できるようにする。これにより、外科医が、最小限のレーザ出力量を使用して、媒体混濁を少なくとも部分的に除去できるようになる。加えて、これは、患者の眼への損傷のリスクを最小限にして所望の治療結果を提供する。
【0057】
図5は、本開示による少なくとも1つのリアルタイムフィードバック表示を使用して媒体混濁を治療するための方法のフロー図を提示する。ステップ500において、媒体混濁が特定及び追跡される。媒体混濁は、OCT画像化システム165などのOCT画像化システムにより特定され得る。媒体混濁は、3Dアイトラッカ168などのアイトラッカにより追跡され得る。ステップ510において、媒体混濁は、治療計画に従って、レーザシステム140、レーザシステム240、又はレーザシステム340などの、レーザシステムを用いて治療される。ステップ520において、レーザ治療中に、少なくとも1つのリアルタイムフィードバック表示が、媒体混濁のリアルタイムの状態を提供し得る。リアルタイムフィードバック表示は、OCT画像化システム165により検出され且つ3Dアイトラッカ168により追跡された媒体混濁の位置及び体積に関する信号を含み得る。ステップ530において、外科医は、少なくとも1つのリアルタイムフィードバック表示に応答して、リアルタイムで治療計画を更新し得る。治療計画は、治療用レーザの出力設定、治療の持続時間、治療体積、体積膨張、又はそれらの任意の組み合わせを変更することにより更新され得る。別の例では、外科医は、少なくとも1つのリアルタイムフィードバック表示が、媒体混濁の体積がほぼゼロであることを示唆し、媒体混濁が少なくとも部分的に除去されていることを示す場合に、治療を停止し得る。これにより、外科医が、最小限のレーザ出力量を使用して、媒体混濁を少なくとも部分的に除去できるようになる。
【0058】
更なる例では、治療計画は、少なくとも部分的に、少なくとも1つの算出フィードバック表示に基づいて決定され得る。少なくとも1つの算出フィードバック表示は、試験データセットから開発された機械学習アルゴリズムによる予測に基づく治療変数の推奨値を含み得る。試験データセットは、少なくとも1つの治療因子を含み得る。例えば、治療変数の推奨値は、術前OCT画像と術後OCT画像の試験セットから開発された機械学習アルゴリズムによる予測に基づき得る。別の例では、機械学習アルゴリズムは、特定の体積の媒体混濁を除去するために、治療用レーザの最適な出力設定に関する予測を提供し得る。治療計画はまた、リアルタイムフィードバック表示と算出フィードバック表示との組み合わせに、少なくとも部分的に、基づき得る。
【0059】
図6は、本開示に従って少なくとも1つの算出フィードバック表示を使用して媒体混濁を治療するための方法についてのフローチャートを提示する。ステップ600において、媒体混濁が特定及び追跡される。媒体混濁は、OCT画像化システム165などのOCT画像化システムにより特定され得る。媒体混濁は、3Dアイトラッカ168などのアイトラッカにより追跡され得る。ステップ610において、治療計画が、少なくとも1つの算出フィードバック表示に基づいて決定される。算出フィードバック表示の例としては、試験データセットから開発された機械学習アルゴリズムによる予測に基づく治療変数の推奨値が挙げられ得る。ステップ620において、媒体混濁は、少なくとも1つの算出フィードバック表示に基づいて決定された治療計画に従って、レーザシステム140、レーザシステム240、又はレーザシステム340などの、レーザシステムを用いて治療される。
【0060】
レーザ治療システム100は、図7に示すように、コンピュータシステム700と組み合わせて使用され得る。コンピュータシステム700は、プロセッサ710、揮発性メモリ媒体720、不揮発性メモリ媒体730、及び入力/出力(I/O)デバイス740を含み得る。揮発性メモリ媒体720、不揮発性メモリ媒体730、及びI/Oデバイス740は、プロセッサ710に通信可能に結合され得る。
【0061】
用語「メモリ媒体」は、「メモリ」、「記憶デバイス」、「メモリデバイス」、「コンピュータ可読媒体」、及び/又は「有形計算機可読記憶媒体」を意味する場合がある。例えば、メモリ媒体は、ハードディスクドライブを含む直接アクセス記憶装置、テープディスクドライブなどのシーケンシャルアクセス記憶装置、コンパクトディスク(CD)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み出し専用メモリ(ROM)、CD-ROM、デジタル多用途ディスク(DVD)、電気的消去可能なプログラマブル読み出し専用メモリ(EEPROM)、フラッシュメモリ、非一時的媒体、又はそれらの任意の組み合わせなどの記憶媒体を限定なしに含み得る。図7に示すように、不揮発性メモリ媒体730は、プロセッサ命令732を含み得る。プロセッサ命令732は、プロセッサ710により実行され得る。一例では、プロセッサ命令732の1つ以上の部分は、不揮発性メモリ媒体730を介して実行され得る。別の例では、プロセッサ命令732の1つ以上の部分は、揮発性メモリ媒体720を介して実行され得る。プロセッサ命令732の1つ以上の部分は、揮発性メモリ媒体720に転送され得る。
【0062】
プロセッサ710は、本明細書に記載の1つ以上のシステム、1つ以上のフローチャート、1つ以上の処理、及び/又は1つ以上の方法の少なくとも一部を実施する際にプロセッサ命令732を実行し得る。例えば、プロセッサ命令732は、本明細書に記載の1つ以上のシステム、1つ以上のフローチャート、1つ以上の方法、及び/又は1つ以上の処理の少なくとも一部に従い複数の命令により構成、コーディング、及び/又は符号化され得る。プロセッサ710が単一のプロセッサとして示されているが、プロセッサ710は、複数のプロセッサであり得るか、又は複数のプロセッサを含み得る。記憶媒体及びメモリ媒体のうち1つ以上は、ソフトウェア製品、プログラム製品、及び/又は製造品であり得る。例えば、ソフトウェア製品、プログラム製品、及び/又は製造品は、本明細書に記載の1つ以上のシステム、1つ以上のフローチャート、1つ以上の方法、及び/又は1つ以上の処理の少なくとも一部に従い、プロセッサにより実行可能な命令により構成、コーディング、及び/又は符号化され得る。
【0063】
プロセッサ710は、メモリ媒体に記憶された及び/又はネットワークを介して受信されたプログラム命令、処理データ、又はその両方を解釈及び実行するように動作可能な任意の適切なシステム、デバイス、又は装置を含み得る。プロセッサ710は更に、1つ以上のマイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、DSP、ASIC、又はプログラム命令、処理データ、或いはその両方を解釈及び実行するように構成された他の回路を含み得る。
【0064】
I/Oデバイス740は、ユーザからの入力及びユーザへの出力を容易にすることにより、ユーザがコンピュータシステム700及び関連する構成要素と対話することを可能にし、許可し、且つ/又は有効にする任意の手段又は複数の手段を含み得る。ユーザからの入力を容易にすることにより、ユーザがコンピュータシステム700を操作及び/又は制御できるようになり、ユーザへの出力を容易にすることにより、コンピュータシステム700がユーザの操作及び/又は制御の効果を表示できるようになる。例えば、I/Oデバイス740は、ユーザがデータ、命令、又はその両方をコンピュータシステム700に入力できるように、及び別途コンピュータシステム700及びその関連する構成要素を操作及び/又は制御できるようにする。I/Oデバイスは、ユーザインターフェースデバイス、例えばキーボード、マウス、タッチスクリーン、ジョイスティック、手持ちレンズ、ツール追跡デバイス、座標入力デバイス、又はシステムでの使用に適した他の任意のI/Oデバイスなどを含み得る。
【0065】
I/Oデバイス740は、プロセッサ710が本明細書に記載の1つ以上のシステム、プロセス、及び/又は方法の少なくとも一部を実施することを容易にし、及び/又は許可し得る、特に、1つ以上のバス、1つ以上のシリアルデバイス、及び/又は1つ以上のネットワークインターフェースを含み得る。一例では、I/Oデバイス740は、プロセッサ710が外部記憶装置と通信することを容易にし、及び/又は許可し得る記憶装置インターフェースを含み得る。記憶装置インターフェースは、特に、ユニバーサルシリアルバス(USB)インターフェース、SATA(シリアルATA)インターフェース、PATA(パラレルATA)インターフェース、及び小型計算機システムインターフェース(SCSI)の1つ以上を含み得る。第2の例では、I/Oデバイス740は、プロセッサ710がネットワークと通信することを促進及び/又は許可し得るネットワークインターフェースを含み得る。I/Oデバイス740は、無線ネットワークインターフェース及び有線ネットワークインターフェースのうちの1つ以上を含み得る。第3の例では、I/Oデバイス740は、特に、ペリフェラルコンポーネントインタコネクト(PCI)インターフェース、PCIエクスプレス(PCIe)インターフェース、シリアルペリフェラルインタコネクト(SPI)インターフェース、及び集積回路間(I2C)インターフェースのうちの1つ以上を含み得る。第4の例では、I/Oデバイス740は、プロセッサ710が、1つ以上のセンサとデータを通信することを許可し得る回路を含み得る。第5の例では、I/Oデバイス740は、プロセッサ710が、特に、ディスプレイ750及びレーザ治療システム100の1つ以上とデータを通信することを容易にし、及び/又は許可し得る。図7に示すように、I/Oデバイス740は、ネットワーク770に結合され得る。例えば、I/Oデバイス740は、ネットワークインターフェースを含み得る。
【0066】
ネットワーク770は、有線ネットワーク、無線ネットワーク、光ネットワーク、又はそれらの任意の組み合わせを含み得る。ネットワーク770は、様々なタイプの通信ネットワークを含み得、及び/又はそれに結合され得る。例えば、ネットワーク770は、ローカルエリアネットワーク(LAN)、ワイドエリアネットワーク(WAN)、インターネット、公衆交換電話網(PSTN)、セルラ電話ネットワーク、衛星電話ネットワーク、又はそれらの任意の組み合わせを含み得、及び/又はそれに結合され得る。WANは、プライベートWAN、コーポレートWAN、パブリックWAN、又はそれらの任意の組み合わせを含み得る。
【0067】
図7は、レーザ治療システム100の外部としてコンピュータシステム700を示しているが、レーザ治療システム100は、コンピュータシステム700を含み得る。例えば、プロセッサ710は、プロセッサ180であり得るか、又はプロセッサ180を含み得る。
【0068】
図8A図8Cは、医療システム800の例を示している。図8Aに示すように、医療システム800は、レーザ治療システム100を含み得る。図8Bに示すように、医療システム800は、レーザ治療システム100とコンピュータシステム700とを含み得る。レーザ治療システム100は、コンピュータシステム700と通信可能に結合され得る。図8Cに示すように、医療システム800は、コンピュータシステム700を含み得る、レーザ治療システム100を含み得る。
【0069】
レーザ治療システム100は、図9に示すように、医療システム900の構成要素として使用され得る。医療システム900は、手術用コンソール985に含まれ得る、レーザ治療システム100を含み得る。医療システム900は、コンピュータシステム700を含み得る。レーザ治療システム100は、コンピュータシステム700と通信可能に結合され得る。外科医910は、手術用カメラ160を用いたディスプレイ990、OCT画像化システム165、又はそれらの組み合わせ上で、患者920の眼10のデジタル画像を観察し得る。外科医910は、OCT画像化システム165を使用して、眼10内の媒体混濁を特定し得る。外科医910は、3Dアイトラッカ168を使用して、眼10内の媒体混濁を追跡し得る。外科医910は、レーザシステム140を使用して、眼10内の媒体混濁を治療し得る。
【0070】
医療システム900にレーザ治療システム100を含めることにより、外科医910が眼10内の媒体混濁を特定、追跡、及び治療できるようになり、これにより、レーザ治療システム100なしの除去と比較して、硝子体網膜手術での媒体混濁の除去が改善され得る。医療システム900は、レーザ治療システム100のものなどの、レーザシステム140と、OCT画像化システム165と、3Dアイトラッカ168と、画像処理システム170と、プロセッサ180と、メモリ媒体181とを含み得る。メモリ媒体181は、プロセッサ180に結合され得、プロセッサにより実行されたときに、患者920の眼10内の媒体混濁を少なくとも部分的に除去するように、外科医910の監督下で、医療システムにレーザ治療システム100を利用させる命令を含み得る。図9は、レーザ治療システム100に含まれるコンピュータシステム700を示しているが、コンピュータシステム700は、レーザ治療システム100の外部にあり得る。例えば、プロセッサ710は、プロセッサ180であり得る若しくはプロセッサ180を含み得るか、又はプロセッサ710は、プロセッサ180とは別体であり得る。
【0071】
レーザ治療システム100、コンピュータシステム700、医療システム800、医療システム900、及びそれらの構成要素は、明らかに相互に排他的でない限り、本明細書に記載の治療ツール及びシステムの他の要素と組み合わせることができる。例えば、レーザ治療システム100は、医療システム800と組み合わせることができ、本明細書に記載の他の視覚化システム、コンピュータシステム、及び医療システムと共に使用することができる。
【0072】
上記の開示された主題は、例示的と見なされるべきであり、限定的と見なされるべきではなく、添付の特許請求の範囲は、本開示の真の趣旨及び範囲内にあるそのような全ての修正、強化、及び他の実施形態を包含することが意図されている。例えば、硝子体網膜手術での媒体混濁の除去を改善するためにレーザ治療システムが最も一般的に必要とされるが、他の方法では手術とは見なされない純粋な診断処置などの別の処置で有用である場合に、本明細書に記載のシステム及び方法を用いることができる。
なお、本開示には以下の態様も含まれる。
〔態様1〕
レーザ治療システムであって、
光コヒーレンストモグラフィ(OCT)画像化システムであって、
複数のプロファイル深度スキャンを生成し、
プロセッサ上で命令を実行して、前記複数のプロファイル深度スキャンに基づいて眼内の媒体混濁の位置、体積、又はそれらの組み合わせを検出する
ように動作可能な光コヒーレンストモグラフィ(OCT)画像化システムと、
3Dアイトラッカであって、
前記プロセッサ上で命令を実行して、前記複数のプロファイル深度スキャンに基づいて前記眼内の前記媒体混濁の位置、体積、又はそれらの組み合わせを追跡する
ように動作可能な3Dアイトラッカと、
治療用レーザを含むレーザシステムであって、
前記治療用レーザにより生成された複数の超短レーザパルスの狙いを正確に前記眼内の前記媒体混濁に定めて前記媒体混濁を少なくとも部分的に除去する
ように動作可能なレーザシステムと
を含む、レーザ治療システム。
〔態様2〕
前記複数の超短レーザパルスは、治療体積内に均一に狙いが定められる、態様1に記載のレーザ治療システム。
〔態様3〕
前記OCT画像化システムは、時間領域OCT、周波数領域OCT、スペクトル領域OCT、掃引光源OCT、OCT血管造影、又はそれらの任意の組み合わせを提供するように動作可能である、態様1に記載のレーザ治療システム。
〔態様4〕
前記治療用レーザは、約1フェムト秒(10 -15 秒)~約50ピコ秒(50×10 -12 秒)の持続時間のパルスを生成する、態様1に記載のレーザ治療システム。
〔態様5〕
前記治療用レーザは、約1,030nm又は約1,050nmの波長の光を発する、態様1に記載のレーザ治療システム。
〔態様6〕
前記レーザシステムは、
レーザビームの位相を変調して位相変調されたレーザビームを提供するように動作可能な成形システムと、
前記位相変調されたレーザビームを方向付けて変調された及び変位させたレーザビームを提供するように動作可能な掃引光学スキャナと、
前記変調された及び変位させたレーザビームの集束面を変位させて複数の切除面を提供するように動作可能な集束光学システムと
を更に含む、態様1に記載のレーザ治療システム。
〔態様7〕
前記複数の切除面は、治療体積を画定する、態様6に記載のレーザ治療システム。
〔態様8〕
前記3Dアイトラッカは、
前記媒体混濁の前記位置及び前記体積に関する少なくとも1つのリアルタイムフィードバック表示を提供し、
前記媒体混濁が少なくとも部分的に除去された場合に知らせるための少なくとも1つのリアルタイムフィードバック表示を提供する、
ようにさらに動作可能である、態様1に記載のレーザ治療システム。
〔態様9〕
媒体混濁を治療するための方法であって、
OCT画像化システムを使用して媒体混濁の位置及び体積を特定することと、
3Dアイトラッカを使用して前記媒体混濁の前記位置及び前記体積を追跡することと、
前記媒体混濁の前記位置及び前記体積に関する信号を使用して、治療体積を決定することと、
治療用レーザにより生成された複数の超短レーザパルスの狙いを正確に定めることで前記治療体積を治療することと、
前記媒体混濁を少なくとも部分的に除去することと
を含む、方法。
〔態様10〕
媒体混濁を治療するための方法であって、
OCT画像化システムを使用して媒体混濁を特定することと、
3Dアイトラッカを使用して前記媒体混濁を追跡することと、
レーザシステムを使用して治療計画に従って前記媒体混濁を治療することと、
少なくとも1つのリアルタイムフィードバック表示を使用して、前記媒体混濁のリアルタイムの状態を提供することと、
前記少なくとも1つのリアルタイムフィードバック表示に応答して、前記治療計画をリアルタイムで更新することと
を含む、方法。
〔態様11〕
前記少なくとも1つのリアルタイムフィードバック表示は、前記媒体混濁の位置及び体積に関する信号を含む、態様10に記載の方法。
〔態様12〕
前記治療計画を更新することは、治療用レーザの出力設定を変更すること、治療の持続時間を変更すること、治療体積の変更すること、治療体積膨張を変更すること、又はそれらの任意の組み合わせを含む、態様10に記載の方法。
〔態様13〕
前記治療計画を更新することは、治療を停止することを含む、態様10に記載の方法。
〔態様14〕
媒体混濁を治療するための方法であって、
OCT画像化システムを使用して媒体混濁を特定することと、
3Dアイトラッカを使用して前記媒体混濁を追跡することと、
少なくとも1つの算出フィードバック表示を使用して治療計画を決定することと、
レーザシステムを使用して前記治療計画に従って前記媒体混濁を治療することと
を含む、方法。
〔態様15〕
前記少なくとも1つの算出フィードバック表示は、機械学習アルゴリズムによる予測に基づく、態様14に記載の方法。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8