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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-18
(45)【発行日】2025-02-28
(54)【発明の名称】電池及び電力消費装置
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/591 20210101AFI20250219BHJP
   H01M 50/209 20210101ALI20250219BHJP
   H01M 50/264 20210101ALI20250219BHJP
   H01M 50/289 20210101ALI20250219BHJP
   H01M 50/291 20210101ALI20250219BHJP
   H01M 50/342 20210101ALI20250219BHJP
   H01M 50/367 20210101ALI20250219BHJP
   H01M 50/588 20210101ALI20250219BHJP
【FI】
H01M50/591 101
H01M50/209
H01M50/264
H01M50/289
H01M50/289 101
H01M50/291
H01M50/342 101
H01M50/367
H01M50/588
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2023503469
(86)(22)【出願日】2022-01-30
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-04
(86)【国際出願番号】 CN2022075233
(87)【国際公開番号】W WO2022227774
(87)【国際公開日】2022-11-03
【審査請求日】2023-01-18
(31)【優先権主張番号】202120925863.5
(32)【優先日】2021-04-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】524304976
【氏名又は名称】香港時代新能源科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】CONTEMPORARY AMPEREX TECHNOLOGY (HONG KONG) LIMITED
【住所又は居所原語表記】13/F., LKF29, 29 Wyndham Street, Central, Hong Kong, China
(74)【代理人】
【識別番号】100159329
【弁理士】
【氏名又は名称】三縄 隆
(72)【発明者】
【氏名】梁 昌清
(72)【発明者】
【氏名】▲陳▼ 小波
(72)【発明者】
【氏名】王 学▲輝▼
(72)【発明者】
【氏名】▲陳▼ ▲亮▼美
【審査官】小森 重樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-016501(JP,A)
【文献】特開2020-113458(JP,A)
【文献】国際公開第2016/136248(WO,A1)
【文献】特開2011-134699(JP,A)
【文献】国際公開第2015/125223(WO,A1)
【文献】特開2018-060595(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0171527(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第109004111(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/50-50/598
H01M 50/20-50/298
H01M 50/30-50/392
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池であって、
第一の方向に沿って並んで配置される複数の電池セルであって、交差して設置される第一の壁と、第二の壁とを含み、前記第一の壁は前記電池セルの上壁であり、前記第一の壁には前記電池セルの内部圧力又は温度が閾値に達した時に作動して前記電池セルの内部圧力を逃すための放圧機構が設置される複数の電池セルと、
前記複数の電池セルを収容するための筐体と、
前記電池セルの前記第二の壁と前記筐体の内壁との間に設置され且つ前記筐体の内壁に固定される防護部品であって、前記第二の壁は前記筐体の内壁に面しており、前記放圧機構が作動している時、前記電池セルからの排出物による前記電池セルの第二の壁と前記筐体の内壁との電気的な接続を防止するための防護部品とを含む、電池。
【請求項2】
前記防護部品は、前記電池セルの前記第二の壁に固定される、請求項1に記載の電池。
【請求項3】
前記防護部品は、前記電池セルの前記第二の壁及び/又は前記筐体の内壁に接着して固定される、請求項2に記載の電池。
【請求項4】
前記電池は、固定バンドをさらに含み、前記固定バンドは、前記複数の電池セルの外周を囲んで設置され、且つ前記固定バンドは、前記防護部品を前記電池セルの前記第二の壁に固定するために用いられる、請求項2又は3に記載の電池。
【請求項5】
前記防護部品は、別体に設置される第一の防護部品と、第二の防護部品とを含み、前記第一の防護部品は、前記電池セルの前記第二の壁に固定的に接続されるために用いられ、前記第二の防護部品は、前記筐体の内壁に固定的に接続されるために用いられる、請求項2から4のいずれか1項に記載の電池。
【請求項6】
前記防護部品は、前記電池セルの前記第二の壁及び/又は前記筐体の内壁に塗覆される絶縁コーティングである、請求項1から5のいずれか1項に記載の電池。
【請求項7】
前記筐体内には、前記筐体の内部空間を複数の収容キャビティに仕切るための構造梁が設置され、各前記収容キャビティは、少なくとも一つの前記電池セルを収容するために用いられ、前記防護部品は、前記電池セルの前記第二の壁と前記収容キャビティのキャビティ壁との間に設置される、請求項1から6のいずれか1項に記載の電池。
【請求項8】
前記防護部品の厚さは、0.1ミリメートル以上であり、且つ1ミリメートル以下である、請求項1から7のいずれか1項に記載の電池。
【請求項9】
前記防護部品の融点は、摂氏100度よりも大きい、請求項1から8のいずれか1項に記載の電池。
【請求項10】
前記防護部品の第二の方向に沿う寸法は、2ミリメートル以上であり、且つ前記電池の前記第二の方向での寸法以下であり、前記第二の方向は、前記第一の方向に垂直である、請求項1から9のいずれか1項に記載の電池。
【請求項11】
前記電池セルの前記第二の壁と前記筐体の内壁との間隔は、3ミリメートルよりも大きい、請求項1から10のいずれか1項に記載の電池。
【請求項12】
前記電池は、
前記複数の電池セルを前記筐体に固定するための接着剤をさらに含み、前記接着剤の少なくとも一部は、前記電池セルの排出物による前記電池セルの第二の壁と前記筐体の内壁との電気的な接続を防止するように、前記電池セルの前記第二の壁と前記筐体の内壁との間に位置する、請求項1から11のいずれか1項に記載の電池。
【請求項13】
前記電池セルの前記第二の壁と前記筐体の内壁との間に位置する前記少なくとも一部の接着剤の厚さは、2ミリメートルよりも大きい、請求項12に記載の電池。
【請求項14】
請求項1から13のいずれか1項に記載の電池を含み、前記電池は、電気エネルギーを提供するために用いられる、電力消費装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年4月30日に中国特許局に提出され、出願番号が202120925863.5であり、発明名称が「電池及び電力消費装置」である中国特許出願の優先権を主張しており、その内容のすべては、援用により本出願に取り込まれる。
【0002】
本出願の実施例は、動力電池安全技術分野に関し、特に、電池及び電力消費装置に関する。
【背景技術】
【0003】
省エネと汚染物質の排出削減は、自動車産業の持続可能な発展の鍵である。このような場合に、電動車両は、その省エネと環境保護の優位性により、自動車産業の持続可能な発展の重要な構成部分となっている。また、電動車両にとって、電池技術は、その発展に関わる重要な要素である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電池技術の発展において、電池の性能を向上させるほか、安全問題も、無視できない問題である。電池の安全問題が確保できなければ、この電池は、使用できない。そのため、どのように電池の安全性を強めるかは、電池技術における早急に解決すべき技術的問題の一つである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記問題に鑑み、本出願の実施例は、電池及び電力消費装置を提供し、電池の安全性を効果的に強めることができる。
【0006】
本出願の実施例の一つの態様によれば、複数の電池セルと、筐体と、防護部品とを含む電池を提供した。複数の電池セルは、第一の方向に沿って並んで配置され、電池セルは、交差して設置される第一の壁と、第二の壁とを含み、第一の壁には、電池セルの内部圧力又は温度が閾値に達した時に作動して電池セルの内部圧力を逃すための放圧機構が設置される。筐体は、複数の電池セルを収容するために用いられる。防護部品は、電池セルの第二の壁と筐体の内壁との間に設置されており、防護部品は、放圧機構が作動している時、電池セルからの排出物による電池セルの第二の壁と筐体の内壁との電気的な接続を防止するために用いられる。
【0007】
本出願の実施例では、放圧機構と防護部品は、電池セルの二つの異なる壁にそれぞれ設置される。電池の熱暴走による排出物が第一の壁に設置される放圧機構から排出された時に、電池セルの第二の壁と筐体の内壁との間に落下した排出物がある場合、防護部品の防護作用で、電池セルの第二の壁と筐体の内壁との電気的な接続を効果的に回避し、短絡リスクを低減させ、電池の使用安全性を向上させることができる。
【0008】
選択的に、防護部品は、電池セルの第二の壁及び/又は筐体の内壁に固定される。
【0009】
本出願の実施例では、電池セルの第二の壁のみに防護部品を設置してもよく、筐体の内壁のみに防護部品を設置してもよく、電池セルの第二の壁に防護部品を設置するとともに、筐体の内壁に防護部品を設置してもよい。防護部品の設置方式が多様であり、且つ電池セルの第二の壁と筐体の内壁に防護部品をともに設置する場合、防護効果は、より良い。
【0010】
選択的に、防護部品は、電池セルの第二の壁及び/又は筐体の内壁に接着して固定される。
【0011】
選択的に、電池は、固定バンドをさらに含み、固定バンドは、複数の電池セルの外周を囲んで設置され、且つ固定バンドは、防護部品を電池セルの第二の壁に固定するために用いられる。
【0012】
本出願の実施例では、防護部品は、接着の方式で筐体の内壁に固定されてもよい。しかし、防護部品を電池セルの第二の壁に固定する場合、接着の方式だけでなく、固定バンドがこれらの複数の電池セルの外周を囲むようにし、固定バンドによって防護部品を電池セルの第二の壁に固定することができ、固定方式は簡単であり、操作が容易である。
【0013】
選択的に、防護部品は、別体に設置される第一の防護部品と、第二の防護部品とを含み、第一の防護部品は、電池セルの第二の壁に固定的に接続されるために用いられ、第二の防護部品は、筐体の内壁に固定的に接続されるために用いられる。
【0014】
本出願の実施例では、電池セルの第二の壁に防護部品を設置するとともに、筐体の内壁に防護部品を設置してもよい。これに基づき、電池セルの第二の壁に第一の防護部品を設置し、筐体の内壁に第二の防護部品を設置してもよい。第一の防護部品と第二の防護部品の防護作用で、電池セルの第二の壁と筐体の内壁との電気的な接続を効果的に回避し、短絡リスクを低減させ、電池の使用安全性を向上させることができる。それとともに、別体に設置される第一の防護部品と第二の防護部品により、両方の配置方式は、より柔軟で多様である。
【0015】
選択的に、防護部品は、電池セルの第二の壁及び/又は筐体内壁に塗覆される絶縁コーティングである。
【0016】
本出願の実施例では、本出願の防護部品が、放圧機構の位置する第一の壁のではなく、電池セルの第二の壁と筐体の内壁との間に設置され、排出物が防護部品に直接衝撃を与えないため、防護部品は、比較的に薄く設置されてもよく、且つ電池セルの第二の壁に塗覆される絶縁コーティング、又は筐体内壁に塗覆される絶縁コーティングであってもよい。塗覆方式が簡単であるため、本出願は、防護部品を設置する操作可能性を向上させることができる。
【0017】
選択的に、筐体内には、筐体の内部空間を複数の収容キャビティに仕切るための構造梁が設置され、各収容キャビティは、少なくとも一つの電池セルを収容するために用いられ、防護部品は、電池セルの第二の壁と収容キャビティのキャビティ壁との間に設置される。
【0018】
本出願の実施例では、防護部品は、電池セルの第二の壁と収容キャビティのキャビティ壁との間に設置されてもよく、電池セルの第二の壁と収容キャビティのキャビティ壁との電気的な接続を効果的に回避し、短絡リスクを低減させ、電池の使用安全性を向上させることができる。
【0019】
選択的に、防護部品の厚さは、0.1ミリメートル以上であり、且つ1ミリメートル以下である。
【0020】
選択的に、防護部品の融点は、摂氏100度よりも大きい。
【0021】
本出願の実施例では、防護部品の融点が摂氏100度よりも大きい場合、電池セルの第二の壁と筐体の内壁との電気的な接続を効果的に回避し、短絡リスクを低減させ、電池の使用安全性を向上させることができる。
【0022】
選択的に、防護部品の第二の方向に沿う寸法は、2ミリメートル以上であり、且つ電池の第二の方向での寸法以下であり、第二の方向は、第一の方向に垂直である。
【0023】
本出願の実施例では、防護部品の第二の方向に沿う寸法は、必要に応じて設置されてもよく、寸法設計は多様である。
【0024】
選択的に、電池セルの第二の壁と筐体の内壁との間隔は、3ミリメートルよりも大きい。
【0025】
本出願の実施例では、電池セルの第二の壁と筐体の内壁との間隔は、3ミリメートルよりも大きく、電池セルを筐体内に固定することを容易にすることができる一方で、熱暴走による排出物のために比較的大きい収容空間を提供することができ、排出物は、電池セルの第二の壁と筐体の内壁に接触しにくくなり、排出物による電池セルの第二の壁と筐体の内壁との電気的な接続の可能性を低減させ、短絡リスクを低減させた。
【0026】
選択的に、電池は、複数の電池セルを筐体に固定するための接着剤をさらに含み、接着剤の少なくとも一部は、電池セルの排出物による電池セルの第二の壁と筐体の内壁との電気的な接続を防止するように、電池セルの第二の壁と筐体の内壁との間に位置する。
【0027】
選択的に、電池セルの第二の壁と筐体の内壁との間に位置する少なくとも一部の接着剤の厚さは、2ミリメートルよりも大きい。
【0028】
本出願の実施例では、接着剤は、電池セルを筐体内に固定することができるだけでなく、電池セルの第二の壁と筐体の内壁との間にはみ出した接着剤の厚さが適切である場合、この部分の接着剤は、電池セルの第二の壁と筐体の内壁との電気的な接続を防止する役割を果たすことができる。
【0029】
本出願の実施例の別の方面によれば、第一の態様の電池を含む電力消費装置を提供した。この電池は、電気エネルギーを提供するために用いられる。
【0030】
本出願の実施例では、複数の電池セルの第一の壁には、放圧機構が設置され、複数の電池セルの第二の壁と筐体の内壁との間に防護部品が設置され、複数の電池セルの第一の壁は、第二の壁と交差して設置され、つまり、本出願の実施例における放圧機構と防護部品は、電池セルの二つの異なる壁にそれぞれ設置される。このように、電池の熱暴走による排出物が第一の壁に設置される放圧機構から排出された時に、電池セルの第二の壁と筐体の内壁との間に落下した排出物がある場合、防護部品の防護作用で、電池セルの第二の壁と筐体の内壁との電気的な接続を効果的に回避し、短絡リスクを低減させ、電池の使用安全性を向上させることができる。
【0031】
上記説明は、ただ本出願の実施例の技術案の概要に過ぎず、本出願の実施例の技術手段をより明瞭に理解できるように、明細書の内容に従って実施することができ、且つ本出願の実施例の上記と他の目的、特徴と利点をより明確に理解できるようにするために、以下は、特に本出願の具体的な実施の形態を挙げて説明する。
【図面の簡単な説明】
【0032】
本出願の実施例の技術案をより明瞭に説明するために、以下は、実施例の記述において使用される必要のある図面を簡単に紹介し、自明なことに、以下の記述における図面は、本出願のいくつかの実施例であり、当業者にとって、創造的な労力を払わない前提で、これらの図面に基づいて他の図面を得ることもできる。
【0033】
図1】本出願の実施例による電池の構造概略図である。
図2】本出願の実施例による別の電池の構造概略図である。
図3】本出願の実施例によるまた別の電池の構造概略図である。
図4】本出願の実施例による電池セルの構造概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
本出願の実施例の目的、技術案と利点をより明確にするために、以下は、本出願の実施例における図面を結び付けながら、本出願の実施例における技術案を明瞭且つ完全に記述し、明らかに、記述された実施例は、本出願の一部の実施例であり、すべての実施例ではない。本出願における実施例に基づき、当業者が創造的な労力を払わない前提で得られたすべての他の実施例は、いずれも本出願の保護範囲に属する。
【0035】
特に定義されない限り、本明細書に使用されるすべての技術的と科学的用語は、本出願の技術分野に属する当業者によって一般的に理解される意味と同じであり、本明細書において、出願の明細書に使用される用語は、具体的な実施例を記述するためのものに過ぎず、本出願を限定することを意図していない。
【0036】
本出願の明細書と特許請求の範囲及び図面の説明における用語である「含む」と「有する」及びそれらの任意の変形は、他の内容を排除せずにカバーすることを意図している。単語である「一」又は「一つの」は、複数あることを排除するものではない。
【0037】
本明細書に言及された「実施例」は、実施例を結び付けて記述された特定の特徴、構造又は特性が本出願の少なくとも一つの実施例に含まれ得ることを意味している。明細書における各位置でのこのフレーズである「実施例」の出現は、必ずしも全てが同じ実施例を指すものではなく、他の実施例と相互排他する独立した又は代替的な実施例でもない。当業者は、本明細書に記述された実施例が他の実施例と組み合わされることが可能であることを明示的かつ非明示的に理解することができる。
【0038】
本明細書における用語である「及び/又は」は、ただ関連対象の関連関係を記述するものに過ぎず、三つの関係が存在し得ることを表し、例えばA及び/又はBは、単独のA、AとBとの組み合わせ、単独のBの3つのケースを表してもよい。また、本明細書における文字である「/」は、一般的には前後関連対象が「又は」の関係であることを表す。
【0039】
下述記述に出現される方位詞は、いずれも図に示す方向であり、本出願の電池及び電力消費装置の具体的な構造を限定するものではない。例えば、本出願の記述において、用語である「中心」、「縦方向」、「横方向」、「長さ」、「幅」、「厚さ」、「上」、「下」、「前」、「後」、「左」、「右」、「鉛直」、「水平」、「頂」、「底」、「内」、「外」、「時計回り」、「反時計回り」、「軸方向」、「径方向」、「周方向」などにより指示される方位又は位置関係は、図面に基づいて示される方位又は位置関係であり、本出願の記述の便宜上及び記述の簡略化のためのものに過ぎず、言及された装置又は素子が特定の方位を有し、特定の方位で構成して動作しなければならないことを指示又は暗示するものではないため、本出願に対する制限と理解されるべきではない。
【0040】
なお、X方向、Y方向及びZ方向などのような、本実施例の電池及び電力消費装置の各部品の操作と構造の指示方向を説明するための表現は、絶対的なものではなく、相対的なものであり、且つ電池の各部品が図に示す位置にある時、これらの指示が適宜であるが、これらの位置が変わると、これらの方向は、前記変更に対応するために異なる解釈がなされるべきである。
【0041】
なお、本出願の明細書と特許請求の範囲又は上記図面における用語である「第一」、「第二」などは、特定の順序を記述するためのものではなく、異なる対象を区別するためのものであり、一つ又は複数のこの特徴を明示又は暗示的に含んでもよい。
【0042】
本出願の記述において、特に断りのない限り、「複数の」は、二つ以上(二つを含む)を指し、同様に、「複数組」は、二組以上(二組を含む)を指す。
【0043】
本出願の記述において、説明すべきこととして、特に明確に規定、限定されていない限り、用語である「取り付け」、「繋がり」、「接続」は、広義に理解されるべきであり、例えば機械構造の「繋がり」又は「接続」は、物理的接続であってもよく、例えば物理的接続は、固定接続、例えば固定具による固定接続、例えばねじ、ボルト又は他の固定具による固定接続であってもよく、物理的接続は、着脱可能な接続、例えば相互係止又は係合接続であってもよく、物理的接続は、一体的な接続であってもよく、例えば溶接、接着又は一体成形により接続を形成して接続してもよい。回路構造の「繋がり」又は「接続」は、物理的接続のほか、電気的な接続又は信号接続を指してもよく、例えば直接的な繋がり、即ち物理的な接続であってもよく、少なくとも一つの素子を介して間接的に繋がってもよく、回路が導通さていればよく、二つの素子内部が導通していてもよく、信号接続は、回路による信号接続のほか、電波のような媒体による信号接続であってもよい。当業者にとって、具体的な状況に応じて上記用語の本出願における具体的な意味を理解することができる。
【0044】
電池全体の重量を軽くするために、また電池セル1をグループで束ねるために、側板のない構造設計を採用することが多く、電池セル1の外側壁に絶縁膜を包み、固定バンド4で複数の電池セル1とエンドプレートアセンブリを束ね、電池モジュールを形成する。最後に複数の電池モジュールを筐体2内に固定的に接続し、電池を形成して、電気自動車などのために動力を提供する。
【0045】
しかしながら、筐体2内のある電池コアが熱暴走すると、高温の粒子が噴出する。噴出された高温の粒子が電池セル1の側壁と筐体2の内壁との間に落下する際に、電池セル1に被覆される絶縁膜が溶融することによって、電池セル1の側壁を筐体2の内壁に電気的に接続し、短絡を引き起こし、さらに高圧発火ひいては爆発を引き起こす。
【0046】
これに鑑み、本出願の実施例は、電池を提供した。この電池は、第一の方向Xに沿って並んで配置される複数の電池セル1であって、交差して設置される第一の壁11と、第二の壁12とを含み、第一の壁11には電池セル1の内部圧力又は温度が閾値に達した時に作動して電池セル1の内部圧力を逃すための放圧機構111が設置される電池セル1と、複数の電池セル1を収容するための筐体2と、電池セル1の第二の壁12と筐体2の内壁との間に設置される防護部品3であって、放圧機構111が作動している時に電池セル1からの排出物による電池セル1の第二の壁12と筐体2の内壁との電気的な接続を防止するための防護部品3とを含む。
【0047】
本出願の実施例では、放圧機構111と防護部品3は、電池セル1の二つの異なる壁にそれぞれ設置される。電池の熱暴走による排出物が第一の壁11に設置される放圧機構111から排出された時に、電池セル1の第二の壁12と筐体2の内壁との間に落下した排出物がある場合、防護部品3の防護作用で、電池セル1の第二の壁12と筐体2の内壁との電気的な接続を効果的に回避し、短絡リスクを低減させ、電池の使用安全性を向上させることができる。
【0048】
放圧機構111とは、電池セル1の内部圧力又は温度が所定閾値に達した時に作動して内部圧力又は温度を逃す素子又は部材である。この閾値設計は、設計需要の違いによって異なる。前記閾値は、電池セル1における正極極板、負極極板、電解液とセパレータのうちの一つ又は複数の材料に依存する可能性がある。放圧機構111は、防爆弁、エアバルブ、放圧弁又は安全弁などのような形式を採用してもよく、具体的に感圧又は感温の素子又は構造を採用してもよく、即ち、電池セル1の内部圧力又は温度が所定閾値に達した時に、放圧機構111が動作を実行し、又は放圧機構111に設けられる脆弱構造が破壊されることによって、内部圧力又は温度を逃すことができる開口又は通路を形成する。
【0049】
本出願に言及された「作動」とは、放圧機構111に動作が発生し、又は一定の状態までアクティブ化されることによって、電池セル1の内部圧力及び温度が逃されることである。放圧機構111に発生した動作は、放圧機構111のうちの少なくとも一部が破裂したり、破砕したり、引き裂かれたり、開かれたりすることなどを含んでもよいが、それらに限らない。放圧機構111が作動している時、電池セル1の内部の高温高圧物質が排出物として作動した部位から外に排出される。この方式により、圧力又は温度を制御できる場合に電池セル1に圧力及び温度の逃しを発生させることによって、潜在的なより深刻な事故の発生を回避することができる。
【0050】
本出願に言及された電池セル1からの排出物は、電解液、溶解され又は分裂した正負極極板、セパレータの破片、反応により発生した高温高圧ガス、火炎などを含むが、それらに限らない。
【0051】
本出願の実施例は、電力消費装置をさらに提供した。この電力消費装置は、本体と、電池とを含み、電池は、この本体内に設置され、電源としてこの電力消費装置のために電気エネルギーを提供する。
【0052】
この電力消費装置は、車両、例えば新エネルギー自動車であってもよく、新エネルギー自動車は、純電気自動車、ハイブリッド自動車又はレンジエクステンダー自動車などであってもよい。車両の本体には駆動モータが設置され、駆動モータが電池に電気的に接続され、電池が電気エネルギーを提供し、駆動モータが伝動機構によって車両の本体上の車輪に接続されることによって、自動車を走行させるように駆動する。又は、この電力消費装置は、ドローン又は汽船などであってもよい。
【0053】
図1から図3は、本出願の実施例による電池の構造概略図であり、図4は、本出願の実施例による電池セル1の構造概略図であり、図1から図4に示すように、この電池は、第一の方向Xに沿って並んで配置される複数の電池セル1であって、交差して設置される第一の壁11と、第二の壁12とを含み、第一の壁11には、電池セル1の内部圧力又は温度が閾値に達した時に作動して電池セル1の内部圧力を逃すための放圧機構111が設置される複数の電池セル1と、複数の電池セル1を収容するための筐体2と、電池セル1の第二の壁12と筐体2の内壁との間に設置される防護部品3であって、放圧機構111が作動している時に電池セル1からの排出物による電池セル1の第二の壁12と筐体2の内壁との電気的な接続を防止するための防護部品3とを含む。
【0054】
説明すべきこととして、図1から図3は、各方向を区別するように、デカルト座標系を示した。ここで、座標軸Xは、第一の方向Xを表すために用いられ、複数の電池セル1の配列方向を指す。座標軸Zは、第二の方向Zを表すために用いられる。座標軸Yは、第三の方向Yを表すために用いられ、それは、第一の方向Xと第二の方向Zに垂直である。この実施例の配置方式で、第一の方向Xは、第一の水平方向であるとともに、電池の幅方向である。第二の方向Zは、鉛直方向に沿うとともに、電池の高さ方向であり、又は、本出願による電力消費装置の高さ方向である。第三の方向Yは、第二の水平方向であるとともに、電池の長手方向である。
【0055】
電池における複数の電池セル1は、第一の方向Xに沿って並んで配置され、且つ上下方向に沿って(即ち、第二の方向Zに沿って)電池の筐体2内に収容される。これらの複数の電池セル1は、繰り返し充放電が可能な二次電池であってもよく、好ましくは、電池セル1は、リチウムイオン電池である。図4に示すように、電池セル1は、電極アセンブリと、ハウジングと、トップカバーアセンブリ13とを含む。
【0056】
電極アセンブリは、電池セル1が充放電機能を実現するコア部品である。電極アセンブリは、正極板と、負極板と、正極板と負極板との間に設置されるセパレータとを含む。電極アセンブリは、正極タブと、負極タブとを含み、ここで、正極タブは、正極板の塗覆領域から延出するが、負極タブは、負極板の塗覆領域から延出する。電極アセンブリは、ハウジング内に位置する。
【0057】
ハウジングは、金属材料又は複合材料で作られてもよい。図4に示すように、ハウジングのいずれか一つの外側壁は、電池セル1の第二の壁12に相当する。いくつかの実施例において、ハウジングは、全体としてアルミニウム、アルミニウム合金又はニッケルメッキ鋼などの金属材料で作られてもよい。別のいくつかの実施例において、ハウジングは、基体と、絶縁層とを含んでもよく、ここで、基体は、アルミニウム、アルミニウム合金又はニッケルメッキ鋼などの金属材料で作られ、絶縁層は、塗覆又は接着などの方式で基体の外表面に設置されてもよい。このような場合に、金属材質の基体は、ハウジングの強度を確保することができ、絶縁層は、ハウジングの絶縁性能を改善することができる。また、ハウジングは、六面体形状、四角形、円柱形又は他の形状であってもよい。ハウジングは、一つの開口を有し、ハウジング内部に収容キャビティが形成され、電極アセンブリは、この開口を介してこの収容キャビティ内に置かれ、電解液もこの開口を介してこの収容キャビティ内に注入される。
【0058】
図4に示すように、トップカバーアセンブリ13は、電池セル1の第一の壁11に相当し、第一の壁11と第二の壁12は、交差して設置される。トップカバーアセンブリ13は、トップカバープレートと、トップカバープレートに設置される二つの電極端子とを含む。トップカバープレートは、アルミニウム、アルミニウム合金などの金属材料で作られてもよく、トップカバープレートの寸法は、ハウジングの開口の寸法に合う。トップカバープレートは、ハウジングに溶接され、ハウジングの開口を覆うことによって、電極アセンブリをハウジング内に密閉することができる。
【0059】
電池セル1が不意に熱暴走を起こす場合、電極アセンブリは、大量のガスをリリースし、ガスを電池セル1の外部にタイムリーに排出しないと爆発を起こしやすい。そのため、電池セル1の安全性能を向上させるために、いくつかの実施例において、トップカバーアセンブリ13には、放圧機構111が設置されてもよく、つまり、電池セル1の第一の壁11には、放圧機構111が設置され、この放圧機構111は、防爆弁を含んでもよい。防爆弁は、トップカバープレートに密閉接続され、トップカバープレートに設置される排気穴を覆う。防爆弁は、切り込みを設置することで脆弱領域を形成する。電池セル1が正常な作動状態にある場合、防爆弁は、電解液が漏れないように、排気穴を密閉する。電池セル1が短絡などの理由で急激にガスを発生することによって、電池セル1の内部気圧がある程度まで高くなると、排出物が脆弱領域で防爆弁を破って、トップカバープレートの排気穴によって電池セル1の外部に排出されることによって、電池セル1の内部圧力を逃す目的を達成し、爆発リスクを低減させる。
【0060】
いくつかの実施例では、電池セル1の第二の壁12と筐体2の内壁との間には一定の間隔が設置され、この間隔は、3mm(ミリメートル)よりも大きくてもよい。電池セル1からの排出物は、ほとんど排出通路に沿って排出されるが、電池セル1の第二の壁12と筐体2の内壁との間に落下した一部のものがある。電池セル1の第二の壁12と筐体2の内壁との間の距離が適切に設置される場合、熱暴走による排出物のために比較的に大きい収容空間を提供することができ、排出物は、電池セル1の第二の壁12と筐体2の内壁に接触しにくくなり、排出物による電池セル1の第二の壁12と筐体2の内壁との電気的な接続の可能性を低減させ、短絡リスクを低減させた。
【0061】
説明すべきこととして、本出願では、防護部品3は、放圧機構111が作動している時に電池セル1からの排出物による電池セル1の第二の壁12と筐体2の内壁との電気的な接続を防止するために用いられるため、防護部品3は、耐高温且つ絶縁の材料で作られてもよく、それによって防護部品3は、電池セル1の第二の壁12と筐体2の内壁との間の絶縁を確保し、短絡リスクを回避することができ、且つ防護部品3に高温耐火性を持たせ、熱暴走排出物を防護するプロセスで溶融が発生することなく、防火作用を果たすことができる。
【0062】
防護部品3の防護作用を確保するために、防護部品3は、一定の厚さと耐高温性を有してもよく、本出願の防護部品3は、放圧機構111の位置する第一の壁11に設置されるではなく、電池セル1の第二の壁12と筐体2の内壁との間に設置され、排出物は、防護部品3に直接衝撃を与えないため、いくつかの実施例において、防護部品3の厚さは、0.1mm以上、且つ1mm以下であってもよい。いくつかの実施例において、防護部品3は、電池セル1の第二の壁12に塗覆される絶縁コーティング、又は筐体2内壁に塗覆される絶縁コーティングであってもよく、本出願の実施例は、これに対して限定しない。
【0063】
いくつかの実施例では、防護部品3の融点は、100℃(摂氏度)よりも大きくてもよい。本出願の実施例において、防護部品3は、雲母板部材(例えば、雲母紙)などであってもよく、即ち、防護部品3は、耐高温及び絶縁要求を満たすために、雲母板材料で作られてもよい。セラミック複合バンドなどであってもよく、本出願の実施例は、これに対して限定しない。
【0064】
いくつかの実施例では、防護部品3の第二の方向Zに沿う寸法は、2mm以上、且つ電池の第二の方向Zでの寸法以下であってもよい。このように防護効果を確保するとともに、材料を節約し、コストを低減することができる。
【0065】
具体的に実施する時、電池セル1の第二の壁12と筐体2の内壁との間に落下した排出物が多くない場合、防護部品3の第二の方向Zに沿う寸法を比較的に小さく設置してもよい。例えば、防護部品3の第二の方向Zに沿う寸法は、3mmに等しい。しかし、防護部品3の防護作用を確保し、短絡リスクを効果的に低減するために、防護部品3の第二の方向Zに沿う寸法を相対的に比較的に大きく設置してもよい。例えば、防護部品3の第二の方向Zに沿う寸法は、電池の第二の方向Zでの寸法に等しくてもよい。このように、電池セル1の第二の壁12と筐体2の内壁との間の排出物の堆積高さにかかわらず、防護部品3は、電池セル1の第二の壁12と筐体2の内壁との間の電気的な接続を回避する役割を果たすことができる。
【0066】
防護部品3の設置位置に対し、いくつかの実施例では、図2に示すように、電池セル1の第二の壁12のみに防護部品3を設置してもよい。
【0067】
いくつかの実施例では、図3に示すように、筐体2の内壁のみに防護部品3を設置してもよい。
【0068】
いくつかの実施例では、電池セル1の第二の壁12に防護部品3を設置するとともに、筐体2の内壁に防護部品3を設置してもよい。
【0069】
いくつかの実施例では、防護部品3は、別体に設置される第一の防護部品と、第二の防護部品とを含んでもよく、第一の防護部品は、電池セル1の第二の壁12に固定され、第二の防護部品は、筐体2の内壁に固定される。ここで、第一の防護部品と第二の防護部品は、同じであってもよく、異なってもよく、本出願の実施例は、これに対して限定しない。
【0070】
いくつかの実施例では、防護部品3は、接着方式、例えば構造接着剤又は絶縁接着剤を使用する方式で筐体2の内壁に固定されてもよい。しかし、防護部品3を電池セル1の第二の壁12に固定する際に、接着の方式だけでなく、図2に示すように、固定バンド4がこれらの複数の電池セル1の外周を囲むようにし、固定バンド4によって防護部品3を電池セル1の第二の壁12に固定してもよい。
【0071】
いくつかの実施例では、電池は、接着剤、例えば構造接着剤又は絶縁接着剤を含んでもよい。接着剤は、複数の電池セル1を筐体2内に固定するために用いられる。例えば、複数の電池セル1の底部に接着剤を塗布し、及び/又は、下部筐体2に接着剤を塗布してもよく、電池セル1を下部筐体2内の適切の位置に置くことで、電池セル1の筐体2内での固定を実現することができる。
【0072】
複数の電池セル1を下部筐体2内に置く場合、電池セル1は、下部筐体2を押し下げる。この押圧の過程において、電池セル1の底部と下部筐体2との間の余分な接着剤は、押圧されて電池セル1の第二の壁12と筐体2の内壁との間にはみ出される。接着剤が絶縁されるため、電池セル1の第二の壁12と筐体2の内壁との間にはみ出した接着剤も電池セル1の第二の壁12と筐体2の内壁との電気的な接続を防止する役割を果たすことができる。
【0073】
さらに、はみ出しされたこの部分の接着剤が電池セル1の第二の壁12と筐体2の内壁との電気的な接続を効果的に防止できるように、この部分の接着剤がはみ出した高さは、予め設定される数値以上であってもよい。言い換えると、電池セル1の第二の壁12と筐体2の内壁との間にはみ出した接着剤の厚さは、小さすぎてはならない。例示的には、予め設定される数値は、2mmよりも大きい任意の数値であってもよい。いくつかの実施例において、この部分の接着剤がはみ出した高さは、電池セル1の第二の壁12と筐体2の内壁との間の距離に応じて設置されてもよい。電池セル1の第二の壁12と筐体2の内壁との間の距離が比較的大きい場合、この部分の接着剤がはみ出した高さは、比較的に小さく設置されてもよい。電池セル1の第二の壁12と筐体2の内壁との間の距離が比較的小さい場合、この部分の接着剤がはみ出した高さは、比較的に大きく設置されてもよい。はみ出された接着剤が電池セル1の第二の壁12と筐体2内壁との間の電気的な接続を防止できることを確保すればよく、本出願の実施例は、これに対して限定しない。
【0074】
いくつかの実施例では、図3に示すように、電池の筐体2内には、筐体2の内部空間を複数の収容キャビティに仕切るための構造梁21が設置されてもよく、各収容キャビティは、少なくとも一つの電池セル1を収容するために用いられ、防護部品3は、電池セル1の第二の壁12と収容キャビティのキャビティ壁との間に設置される。
【0075】
説明すべきこととして、電池の筐体2は、上部筐体蓋と、下部筐体2とを含み、上部筐体蓋と下部筐体2は、アルミニウム、アルミニウム合金又は他の金属材料で作られてもよい。構造梁21は、下部筐体2内に設置されてもよく、且つ構造梁21は、鋳込み成形、押し出し成形又は型材溶接などの方式で成形されてもよい。
【0076】
構造梁21の数は、一つ又は複数であってもよい。図3に示すように、筐体2内に第三の方向Yに沿って三つの構造梁21が設置され、第一の方向Xに沿って一つの構造梁21が設置され、これらの四つの構造梁21は、筐体2の内部空間を八つの収容キャビティに仕切り、これらの八つの収容キャビティのうちの各収容キャビティは、少なくとも一つの電池セル1を収容することができる。
【0077】
筐体2の内壁が、筐体2の側壁と、筐体2内の構造梁21の側壁(即ち、収容キャビティのキャビティ壁)とを含むため、電池セル1が収容キャビティ内に収容される場合、防護部品3は、電池セル1の第二の壁12と筐体2の側壁との間に設置されてもよく、電池セル1の第二の壁12と収容キャビティのキャビティ壁との間に設置されてもよい。
【0078】
防護部品3が電池セル1の第二の壁12と収容キャビティのキャビティ壁に設置される実施の形態は、いずれも上記の関連記述に適用され、ここでこれ以上説明しない。
【0079】
指摘すべきこととして、ある収容キャビティが一つの電池セル1を収容する場合、防護部品3は、この電池セル1の第二の壁12と筐体2の内壁との間に設置されてもよい。
【0080】
ある収容キャビティが複数の電池セル1を収容する場合、この複数の電池セル1を一体とみなし、この一体の外側壁は、この複数の電池セル1の共通の第二の壁12であり、防護部品3は、この複数の電池セル1の共通の第二の壁12と筐体2の内壁との間に設置されてもよい。このような場合に、電池セル1の第二の壁12と筐体2の内壁との間隔とは、この複数の電池セル1の共通の第二の壁12と筐体2の内壁との間隔である。
【0081】
以上をまとめ、本出願の実施例では、複数の電池セル1の第一の壁11には、放圧機構111が設置され、複数の電池セル1の第二の壁12と筐体2の内壁との間に防護部品3が設置され、複数の電池セル1の第一の壁11と第二の壁12は、交差して設置され、つまり、本出願の実施例における放圧機構111と防護部品3は、電池セル1の二つの異なる壁にそれぞれ設置される。このように、電池の熱暴走による排出物が第一の壁11に設置される放圧機構111から排出された時に、排出物が電池セル1の第二の壁12と筐体2の内壁との間に落下し、防護部品3の防護作用で、電池セル1の第二の壁12と筐体2の内壁との電気的な接続を効果的に回避し、短絡リスクを低減させ、電池の使用安全性を向上させることができる。
【0082】
当業者であれば理解できるように、ここでのいくつかの実施例は、他の実施例に含まれるいくつかの特徴を含み、他の特徴を含まないが、異なる実施例の特徴の組み合わせは、本出願の範囲内にあり、且つ異なる実施例を構成することを意味する。例えば、特許請求の範囲において、請求される実施例のうちのいずれか一つも、任意の組み合わせ形態で使用される可能である。
【0083】
上述したように、以上の実施例は、本出願の技術案を説明するためのものに過ぎず、それを限定するものではない。前述実施例を参照しながら、本出願について詳細に説明したが、当業者は、依然として前述各実施例に記載された技術案に対して修正したり、そのうちの一部の技術的特徴に対して同等置き換えを行ったりすることができることを理解するであろう。これらの修正又は置き換えは、該当する技術案の本質を本出願の各実施例の技術案の精神と範囲から逸脱するものではない。
【符号の説明】
【0084】
1:電池セル
2:筐体
3:防護部品
4:固定バンド
11:第一の壁
12:第二の壁
13:トップカバーアセンブリ
21:構造梁
111:放圧機構
X:第一の方向
Y:第三の方向
Z:第二の方向
図1
図2
図3
図4