IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ フェニックス コンタクト ゲーエムベーハー ウント コムパニー カーゲーの特許一覧

特許7637229電気接続装置を製造する方法および電気接続装置
<>
  • 特許-電気接続装置を製造する方法および電気接続装置 図1
  • 特許-電気接続装置を製造する方法および電気接続装置 図2
  • 特許-電気接続装置を製造する方法および電気接続装置 図3
  • 特許-電気接続装置を製造する方法および電気接続装置 図4
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-18
(45)【発行日】2025-02-27
(54)【発明の名称】電気接続装置を製造する方法および電気接続装置
(51)【国際特許分類】
   H01R 43/00 20060101AFI20250219BHJP
   H01R 13/504 20060101ALI20250219BHJP
【FI】
H01R43/00 B
H01R13/504
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2023512183
(86)(22)【出願日】2021-07-26
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-08
(86)【国際出願番号】 EP2021070832
(87)【国際公開番号】W WO2022037904
(87)【国際公開日】2022-02-24
【審査請求日】2023-04-14
(31)【優先権主張番号】BE2020/5577
(32)【優先日】2020-08-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】BE
(73)【特許権者】
【識別番号】504019733
【氏名又は名称】フェニックス コンタクト ゲーエムベーハー ウント コムパニー カーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】シュテファン・ガッラ
(72)【発明者】
【氏名】フィリップ・パイツ
(72)【発明者】
【氏名】ヴィクター・ブラウン
(72)【発明者】
【氏名】ヘニング・レイ
【審査官】石田 佳久
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0282431(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2020/0203862(US,A1)
【文献】特表2019-503274(JP,A)
【文献】特表2012-516240(JP,A)
【文献】国際公開第2009/069542(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 43/00
H01R 13/504
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気接続装置(100)を製造する方法であって、
- マーキングプレート(111)を部分的に受容するための受容エリア(115)を有する絶縁材料ハウジング(112)を有する少なくとも1つの接続デバイス(110)を用意する方法ステップと、
- 少なくとも1つのマーキングプレート(111)を用意する方法ステップと、
- 前記少なくとも1つのマーキングプレート(111)を、前記少なくとも1つの接続デバイス(110)の前記絶縁材料ハウジング(112)の前記受容エリア(115)に挿入する方法ステップであって、前記少なくとも1つのマーキングプレート(111)の一部が、前記受容エリア(115)内に位置し、前記少なくとも1つのマーキングプレート(111)の一部が、前記受容エリア(115)の外側で前記絶縁材料ハウジング(112)に隣接する、ステップと、
- レーザビーム溶接によって、前記受容エリア(115)の外側で前記少なくとも1つのマーキングプレート(111)と前記少なくとも1つの接続デバイス(110)の前記絶縁材料ハウジング(112)との間に少なくとも1つの一体接合接続部(119)を形成する方法ステップと、
を含む、方法。
【請求項2】
前記レーザビーム溶接が行われるとき、レーザビーム(210)が、前記一体接合接続部(119)が形成される、前記マーキングプレート(111)の所定の領域および前記絶縁材料ハウジング(112)の所定の領域の方に向けられることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記絶縁材料ハウジング(112)が、少なくとも前記一体接合接続部(119)が形成される領域において、ポリアミドを有するまたはポリアミドからなることを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記マーキングプレート(111)が、ポリアミドを有する、または、前記マーキングプレート(111)が、ポリアミドから作られることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記受容エリア(115)に挿入された前記マーキングプレート(111)のラベリングおよび/またはマーキングが、レーザビーム溶接後に行われることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記マーキングプレート(111)が、ラベリング部(116)と、足部(117)と、を備え、前記マーキングプレート(111)が、レーザビーム溶接によって、前記マーキングプレート(111)のラベリング部(116)の領域内で前記絶縁材料ハウジング(112)に一体接合され、かつ/または、前記マーキングプレート(111)が、レーザビーム溶接によって、前記マーキングプレート(111)の足部(117)の領域内で前記絶縁材料ハウジング(112)に一体接合されることを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記レーザビーム溶接の前に、前記マーキングプレート(111)が、形状嵌めおよび/または圧入により前記受容エリア(115)内に固定されることを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
一列に配置された少なくとも2つの接続デバイス(110)が用意され、マーキングプレート(111)が、前記少なくとも2つの接続デバイス(110)のそれぞれの前記絶縁材料ハウジング(112)の前記受容エリア(115)に挿入され、レーザビーム(210)が、前記レーザビーム溶接をもたらして一体接合によってそれぞれの前記絶縁材料ハウジング(112)に前記マーキングプレート(111)を接続するために、前記少なくとも2つの接続デバイス(110)に沿って動かされることを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
マーキングプレート(111)を部分的に受容するための受容エリア(115)を有する絶縁材料ハウジング(112)を有する少なくとも1つの接続デバイス(110)と、少なくとも1つのマーキングプレート(111)と、を備える電気接続装置(100)であって、前記少なくとも1つのマーキングプレート(111)が、前記少なくとも1つの接続デバイス(110)の前記絶縁材料ハウジング(112)の前記受容エリア(115)に挿入され、前記少なくとも1つのマーキングプレート(111)の一部が、前記受容エリア(115)内に位置し、前記少なくとも1つのマーキングプレート(111)の一部が、前記受容エリア(115)の外側で前記絶縁材料ハウジング(112)に隣接し、前記受容エリア(115)に挿入された前記少なくとも1つのマーキングプレート(111)および前記絶縁材料ハウジング(112)が、前記受容エリア(115)の外側で互いに一体に溶接された溶接部を有する、電気接続装置(100)。
【請求項10】
前記マーキングプレート(111)が、ラベリング部(116)と、足部(117)と、を備え、前記マーキングプレート(111)が、前記マーキングプレート(111)のラベリング部(116)の領域内で前記絶縁材料ハウジング(112)に一体接合され、かつ/または、前記マーキングプレート(111)が、前記マーキングプレート(111)の足部(117)の領域内で前記絶縁材料ハウジング(112)に一体接合されていることを特徴とする、請求項9に記載の電気接続装置(100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気接続装置を製造する方法に関する。本発明は、さらに、そのような電気接続装置に関する。
【背景技術】
【0002】
制御キャビネットでは、以下本明細書では接続デバイスと総称する、例えば接続端子、ターミナルブロック、プラグコネクタなどの接続を示すためにマーキングプレートが使用される。マーキングプレート自体は、例えば、接続デバイス、具体的には接続デバイスの絶縁材料ハウジングに直接取り付けられる。このために、マーキングプレートは通常、接続デバイスの絶縁材料ハウジングの凹所に形状嵌め(form-fitting)および/または圧入により収容されるために、それらの足部の領域内にクランプ幾何形状を有する。
【0003】
マーキングプレートを絶縁材料ハウジングの凹所に単純に押し込むことは、自動生産に限られた程度しか適していないことが示されている。したがって、接続デバイスの自動化された取り扱いの間の振動、衝撃、または他の動的影響により、マーキングプレートが所望位置から緩むまたは滑り出て、次に続くマーキングプレートの自動ラベリング(labeling)が不可能になる場合がある。したがって、今まで、接続デバイスの自動生産にそのようなクランプ可能なマーキングプレートを使用することができなかった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような背景に基づいて、本発明の目的は、信頼性の高い自動生産を可能にする電気接続装置を製造する方法ならびに電気接続装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的は、独立請求項の特徴によって本発明によって達成される。本発明の適切な実施形態および有利な発展例は、従属請求項に明示される。
【0006】
本発明による電気接続装置を製造する方法は、マーキングプレートを受容するための受容エリアを有する絶縁材料ハウジングを有する少なくとも1つの接続デバイスを用意する方法ステップと、少なくとも1つのマーキングプレートを用意する方法ステップと、少なくとも1つのマーキングプレートを、少なくとも1つの接続デバイスの絶縁材料ハウジングの受容エリアに挿入する方法ステップと、レーザビーム溶接によって、少なくとも1つのマーキングプレートと絶縁材料ハウジングとの間に少なくとも1つの一体接合接続部を形成する方法ステップと、を含むことを特徴とする。
【0007】
受容エリアに挿入されたマーキングプレートと絶縁材料ハウジングとの間にレーザビーム溶接によって一体接合接続部を形成することによって、絶縁材料ハウジング上へのマーキングプレートの信頼性の高い固定を達成することができ、それによって自動生産の間における輸送関連の振動または衝撃が原因で緩むこともなくなる。例えば、ターミナルブロックなどの接続デバイスは、自動化された制御キャビネット生産に関連して、最初に支持レール上に取り付けられた1つまたは複数のマーキングプレートをこうして備えることができ、その後、接続デバイスの絶縁材料ハウジングに収容された1つまたは複数のマーキングプレートは、処理全体を通して1つまたは複数のマーキングプレートの損失の危険なくして、ラベリングされる。マーキングプレートと絶縁材料ハウジングとの間の一体接合接続部によって、絶縁材料ハウジング上におけるマーキングプレートの位置的に正しいまたは位置的に安定した配置が確実になり、それによって、特にマーキングプレートの自動ラベリングの場合において、後に続く任意のマーキングプレートのラベリングの間のエラーを防ぐことができる。一体接合接続部は、マーキングプレートと絶縁材料ハウジングとの間の点状または線状の溶接シームによって形成され得る。受容エリアは、絶縁材料ハウジングの外面上に形成されることが好ましい。受容エリアは、例えば、絶縁材料ハウジング内の凹所、ノッチ、開口、溝などの形態をとることができる。受容エリアは、接続デバイスの絶縁材料ハウジング上におけるマーキングプレートの定められた位置決めを可能にする。
【0008】
接続デバイスは、接続端子、ターミナルブロック、プラグコネクタなどとすることができる。接続デバイスは、好ましくは、絶縁材料ハウジング内部に少なくとも1つの接続要素を有し、接続要素を介して例えばケーブルまたは導体または相手側プラグコネクタが接触され得る。接続要素は、ばね力端子接続部、ねじ接続部、絶縁刺通(insulation-piercing)接続部などの形態をとることができる。
【0009】
レーザビーム溶接は、具体的には、レーザビームが、レーザビーム源から始まって、絶縁材料ハウジングの所定の領域およびマーキングプレートの所定の領域の方に向けられるように、行われる。絶縁材料ハウジングのこの領域とマーキングプレートのこの領域とはともに、レーザビームによって溶融され、それによって絶縁材料ハウジングのこの溶融領域内とマーキングプレートのこの溶融領域内とに溶融物が形成され、それらの溶融物が、一体接合接続部を形成するために少なくとも部分的に混ざることができる。レーザビームのエネルギーによって溶融される、絶縁材料ハウジングの領域およびマーキングプレートの領域は、マーキングプレートが受容エリアに挿入されたときに直接隣り合うまたは互いに隣接するように配置されることが好ましい。レーザビームによって溶融される絶縁材料ハウジングの領域は、例えば、受容エリアの境界を定める絶縁材料ハウジングの壁とすることができる。さらに、この領域は、絶縁材料ハウジングの外面の領域内に形成されてもよい。
【0010】
絶縁材料ハウジングは、形成されるべき少なくとも一体接合接続部の領域内に、以下のプラスチック:アクリロニトリルブタジエンスチレンコポリマー(ABS)、ポリスチレン(PS)、ポリカーボネート(PC)、スチレンアクリロニトリルコポリマー(SAN)またはポリメタクリル酸メチル(PMMA)、例えばポリプロピレン(PP)、ポリアミド(PA)、ポリイミド(PI)ポリオキシメチレン(POM)もしくはポリエチレン(PE)、ポリアリールスルホン(PSU、PPSU)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエステル(PES)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、シリコーンのうちの1つを含むようにすることができる。受容エリアの一領域は、一体接合接続部を形成するために、レーザビームのエネルギーによって絶縁材料ハウジングが溶融される領域であることが好ましい。絶縁材料ハウジングが、少なくとも、形成される一体接合接続部の領域内において、ポリアミド、具体的にはポリアミド6.6を有する、または、ポリアミド、具体的にはポリアミド6.6からなる場合、特に有利であることが分かった。
【0011】
マーキングプレートは、以下のプラスチック:アクリロニトリルブタジエンスチレンコポリマー(ABS)、ポリスチレン(PS)、ポリカーボネート(PC)、スチレンアクリロニトリルコポリマー(SAN)またはポリメタクリル酸メチル(PMMA)、例えばポリプロピレン(PP)、ポリアミド(PA)、ポリイミド(PI)、ポリオキシメチレン(POM)またはポリエチレン(PE)、ポリアリールスルホン(PSU、PPSU)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエステル(PES)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、シリコーンのうちの1つを含む、またはそれからなるようにすることができる。マーキングプレートが、ポリアミド、具体的にはポリアミド6.6を含む、または、ポリアミド、具体的にはポリアミド6.6からなる場合、特に有利であることが分かった。
【0012】
マーキングプレートのプラスチック材料および絶縁材料ハウジングのプラスチック材料は、レーザビーム溶接によって一緒に溶接され得る、または溶融可能である、または少なくとも部分領域内で溶融可能であるように選択される。良好な溶接性および/または溶融性を達成することができるようにするために、マーキングプレートのプラスチック材料と絶縁材料ハウジングのプラスチック材料とは、類似の融点、特に同一の融点を有するように選択することが好ましい。マーキングプレートおよび絶縁材料ハウジングについて、プラスチック材料は、少なくとも非常に類似した特性、具体的には非常に類似した溶融挙動を有するように、類似のタイプのものを選択することが好ましい。
【0013】
レーザビーム溶接の後、したがって絶縁材料ハウジングとマーキングプレートとの間に一体接合接続部が形成された後に、マーキングプレートのラベリングおよび/またはマーキングが行われ得る。ラベリングおよび/またはマーキングは、例えば、UVレーザまたはCO2レーザを用いてレーザラベリング(laser labeling)によって行われ得る。マーキングプレートのラベリングおよび/またはマーキングは、自動で行うことができ、したがって、絶縁材料ハウジングに対するマーキングプレートの固定も、固定されたマーキングプレートのラベリングおよび/またはマーキングも自動で行うことができる。
【0014】
しかし、別法として、マーキングプレートのラベリングを、レーザビーム溶接前、したがって絶縁材料ハウジングとの一体接合接続部が形成される前に行うことも可能である。こうして、すでにラベリングされたマーキングプレートが絶縁材料ハウジングに接続されてもよい。
【0015】
レーザによるマーキングの代わりに、インクジェット印刷、パッド印刷など、マーキングプレートのラベリングおよび/またはマーキングについて別のラベリングまたはマーキング方法を使用することもできる。
【0016】
マーキングプレートは、好ましくは、ラベリング部と、足部と、を有し、マーキングプレートが、レーザビーム溶接によって、マーキングプレートのラベリング部の領域内で絶縁材料ハウジングに一体接合され得る、かつ/または、マーキングプレートが、レーザビーム溶接によって、マーキングプレートの足部の領域内で絶縁材料ハウジングに一体接合により接続され得る。足部は、マーキングプレートが受容エリアに挿入される部分である。受容エリア内にマーキングプレートが挿入された状態では、マーキングプレートのラベリング部は、特に受容エリアが凹所の形態をとるとき、少なくとも部分的に受容エリアから突出することができる。足部は、2つのタブ、具体的には2つの突出タブを有することができ、それによって、これらのタブ領域内に、絶縁材料ハウジングとの一体接合接続部、したがって溶接部が形成され得る。
【0017】
絶縁材料ハウジング上にマーキングプレートを事前固定するには、レーザビーム溶接前に、マーキングプレートが、絶縁材料ハウジングの受容エリアに形状嵌めおよび/または圧入により固定されるようにすることができる。具体的には、マーキングプレートの足部、例えばマーキングプレートの足部のタブは、絶縁材料ハウジングに対するマーキングプレートの形状嵌めおよび/または圧入による接続のために、絶縁材料ハウジングの受容エリアのアンダーカットもしくはラッチ溝内に係合することができる、かつ/または、絶縁材料ハウジングの受容エリア内にクランプされ得るようにすることができる。レーザビーム溶接による一体接合接続に加えて、マーキングプレートは、接続デバイスの絶縁材料ハウジングに対して形状嵌めおよび/または圧入によりこうして接続され得る。タブの代わりに、足部は、絶縁材料ハウジング上への形状嵌めおよび/または圧入による事前固定を形成するための例えば1つまたは複数のラッチラグまたはラッチフックを有してもよい。
【0018】
一代替実施形態によれば、マーキングプレートの足部は、平面状の表面の形態をとるようにすることができる。その場合、マーキングプレートの足部はタブまたは同様のものを含まず、したがって、絶縁材料ハウジングに対するマーキングプレートの形状嵌めまたは圧入による接続部が受容領域の領域内に形成されなくてよい。その場合、マーキングプレートは、レーザビーム溶接による一体接合のみにより絶縁材料ハウジングに接続され得る。
【0019】
特に、絶縁材料ハウジングに対するマーキングプレートの接合は、接着剤を用いないで行われるようになっている。したがって、追加の接着剤が完全に省かれることが好ましい。
【0020】
特に、レーザビーム溶接の間、マーキングプレートと絶縁材料ハウジングとの近接したプラスチック材料が一緒に均質に溶融される。
【0021】
マーキングプレートと絶縁材料ハウジングとの間に形成された一体接合接続部の強度は、レーザビーム溶接の溶接パラメータにより設定され得る。例えば、溶接接続部の強度は、マーキングプレートの交換を迅速かつ簡単なやり方で可能にするために、マーキングプレートと絶縁材料ハウジングとの間の一体接合接続部の機械的な破断が工具なしで実施され得るように、設定され得る。別法として、溶接接続部の強度は、マーキングプレートの交換を可能にするために、マーキングプレートと絶縁材料ハウジングとの間の一体接合接続部の機械的な破断が、例えばねじ回しなどの工具を活用して実施され得るように、設定され得る。
【0022】
さらに、一列に配置された少なくとも2つの接続デバイスが用意され、マーキングプレートが、少なくとも2つの接続デバイスのそれぞれの絶縁材料ハウジングの受容エリアにそれぞれ挿入され得、レーザビームが、レーザビーム溶接部を形成して一体接合によってそれぞれの絶縁材料ハウジングにマーキングプレートを接続するために、少なくとも2つの接続デバイスに沿って動かされ得るようにすることができる。2つ以上の接続デバイスのそれぞれの絶縁材料ハウジングに対するマーキングプレートの溶接は、こうして、次々に直接行われ、したがってほぼ同時に行われ得る。レーザビームが一列に配置された接続デバイスに沿って動かされ得るか、一列に配置された接続デバイスが、静止したレーザビームを通過することができるキャリア上に配置され得る。
【0023】
本発明による目的はさらに、マーキングプレートを受容するための受容エリアを有する絶縁材料ハウジングを有する少なくとも1つの接続デバイスと、少なくとも1つのマーキングプレートと、を有する電気接続装置であって、マーキングプレートが、少なくとも1つの接続デバイスの絶縁材料ハウジングの受容エリアに挿入され、受容エリアに挿入された少なくとも1つのマーキングプレートおよび絶縁材料ハウジングが、レーザビーム溶接によって互いに一体に接続された、電気接続装置によって達成される。
【0024】
結果として、自動組立方法に対して最適化された費用効果の高い電気接続装置が示され、マーキングプレートと絶縁材料ハウジングとの間の一体接合接続部によって、輸送関連の衝撃または振動が原因のマーキングプレートの損失が確実に回避され得る。
【0025】
マーキングプレートは、ラベリング部と、足部と、を有することができ、マーキングプレートが、レーザビーム溶接によって、マーキングプレートのラベリング部の領域内で絶縁材料ハウジングに接合され得る、かつ/または、マーキングプレートが、レーザビーム溶接によって、マーキングプレートの足部の領域内で絶縁材料ハウジングに一体接合により接続され得る。ラベリング部は、平坦または平面状の表面の形態をとることが好ましい。マーキングプレートの銘刻が適用される、またはラベリング部上に適用され得る。足部は、ラベリング部に直接的に隣り合うことが好ましい。足部およびラベリング部は、互いに一体に形成されることが好ましい。絶縁材料ハウジングの受容エリア内のマーキングプレートの配置は、足部により行われることが好ましい。足部は、例えば、2つのタブ、具体的には2つの突出するタブを有することができる。これらのタブの領域内、具体的にはタブの自由端に、絶縁材料ハウジングに対するマーキングプレートの一体接合接続部が形成され得る。
【0026】
マーキングプレートと絶縁材料ハウジングとの間における特にしっかりとした接続部を形成することができるようにするため、マーキングプレートは、一体接合接続部に加えて、絶縁材料ハウジングに対して形状嵌めおよび/または圧入により接続されるようにすることができる。これは、例えば、受容エリアに設けられたアンダーカットもしくは溝内に係合する、かつ/または受容エリア自体内にクランプされる、具体的には弾力的に弾性的にクランプされる、マーキングプレートの足部、例えば足部のタブによって形成され得る。
【0027】
さらに、一列に配置された少なくとも2つの接続デバイスが用意され、少なくとも2つの接続デバイスのそれぞれの絶縁材料ハウジングの受容エリアにそれぞれ1つのマーキングプレートが挿入され得、各マーキングプレートが、レーザビーム溶接によってそれぞれの絶縁材料ハウジングにそれぞれ接続され得るようにすることができる。
【0028】
例えば、2つ以上の接続デバイスがターミナルブロックの形態で設けられ、したがって電気接続装置は、一列に配置された複数のターミナルブロックを有し、各ターミナルブロックには、関連のマーキングプレートが取り付けられ、それらマーキングプレートは、それぞれの接続デバイスの絶縁材料ハウジングへの一体接合接続後に自動的にラベリングされ得るようにすることができる。
【0029】
好ましい実施形態に基づいて添付の図面を参照して本発明を以下により詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】接続デバイス、および接続デバイスの絶縁材料ハウジングの凹所に挿入されたマーキングプレートを含む、電気接続装置の概略図であり、ここでは、絶縁材料ハウジングとの一体接合接続部は、マーキングプレートのラベリング部の領域内に形成されている。
図2】一列に配置された、図1に示される複数の接続デバイスからなる接続装置の概略図である。
図3】接続デバイス、および接続デバイスの絶縁材料ハウジングの凹所に挿入されたマーキングプレートを含む、電気接続装置の概略図であり、ここでは、絶縁材料ハウジングとの一体接合接続部は、マーキングプレートの足部の領域内に形成されている。
図4】レーザビーム溶接の間の、図3に示される接続装置の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
図1は、接続デバイス110と、接続デバイス110上に配置された、接続デバイス110のラベリングまたはマーキングのためのマーキングプレート111と、を含む、接続装置100を示す。
【0032】
接続デバイス110は、ここでは、ターミナルブロックの形態をとる。接続デバイス110は、絶縁材料ハウジング112をさらに備える。絶縁材料ハウジング112は、ここでは、2つの開口113を有し、導電体は、導電体を接続するためにそれら開口113を通して絶縁材料ハウジング112内に挿入され得る。ばね力端子接続部などの接続要素は、開口113を通って挿入される導体と電気的に接触するために、絶縁材料ハウジング112内に配置される。
【0033】
マーキングプレート111を絶縁材料ハウジング112に固定するために、絶縁材料ハウジング112の外面114上に受容エリア115が形成されており、受容エリア115の内部または上にマーキングプレート111が受容される。受容エリア115は、ここでは、絶縁材料ハウジング112の凹所の形態をとる。マーキングプレート111は、マーキングプレート111の少なくとも一部が凹所、したがって受容エリア115に入るように、この凹所に挿入される。
【0034】
マーキングプレート111は、ラベリング部116と、足部117と、を有する。
【0035】
ラベリングまたはマーキングは、マーキングプレート111上に適用される、またはマーキングプレート111上のラベリング部116に適用される。ラベリング部116は、平坦または平面状の表面の形態をとる。
【0036】
足部117は、ラベリング部116に直接連結されている。足部117は、マーキングプレート111全体が一片に形成されるように、ラベリング部116と一体形成される。足部117により、マーキングプレート111は、凹所、したがって受容エリア115に入る。ここに示される実施形態では、足部117は、ラベリング部116から遠ざかるように延びる2つのタブ118a、118bを有する。タブ118a、118bは、V字形を形成するように互いにある角度に配置される。タブ118a、118bを用いることによって、マーキングプレート111は、足部117を介して受容エリア115内にクランプされる、またはしっかり留められ(braced)、その結果、絶縁材料ハウジング112上におけるマーキングプレート111の一種の事前組み付けが行われ得る。
【0037】
マーキングプレート111が受容エリア115に挿入されたら、マーキングプレート111を絶縁材料ハウジング112に固定するためにレーザビーム溶接が行われ、その結果、マーキングプレート111と絶縁材料ハウジング112との間に一体接合接続部119が形成される。レーザビーム溶接は、レーザ源200によって発せられるレーザビーム210によって実施される。レーザビーム210は、マーキングプレート111の領域と絶縁材料ハウジング112の領域とに直接衝突し、これらの領域において、一体接合接続部119が形成される。レーザビーム210を用いて、マーキングプレート111の所定の領域と絶縁材料ハウジング112の所定の領域とが、それぞれ溶融してこれらの領域内に一体接合接続部119が形成される。冷却された状態では、一体接合接続部119は、溶接シームの形態をとる。この溶接シームは、点状または線状の模様であり得る。
【0038】
図1に示される実施形態では、絶縁材料ハウジング112との一体接合接続部119は、マーキングプレート111のラベリング部116の領域内に作られる。一体接合接続部119は、マーキングプレート111のラベリング部116の2つの反対端面120a、120b上に形成される。絶縁材料ハウジング112の、一体接合接続部119が形成される領域は、絶縁材料ハウジング112の外面114の領域内にある。
【0039】
図2は、図1に示されるように一列に配置され、それぞれにマーキングプレート111が一体接合された複数の接続デバイス110を含む接続装置100を示す。一体接合接続部119は、接続デバイス110に沿って直線的に、マーキングプレート111のラベリング部116の領域内に延在する。ここで、接続デバイス110がすでに一列に配置されているとき、個々の接続デバイス110のそれぞれの絶縁材料ハウジング112に対する個々のマーキングプレート111の同時溶接が行われ得るように、レーザビーム210が接続デバイス110に沿って動かされてもよい。これは、特に、複数の接続デバイス110に対するマーキングプレート111の迅速かつ確実な固定を可能にする。
【0040】
図3および図4はそれぞれ、接続デバイス110およびマーキングプレート111が図1に示されるものと同一の設計である、接続装置110を示す。
【0041】
図3および図4に示される実施形態では、マーキングプレート111と絶縁材料ハウジング112との間の一体接合接続部119は、マーキングプレート111の足部117と絶縁材料ハウジング112との間に形成される。マーキングプレート111の、レーザビーム210によって溶融される領域は、それぞれマーキングプレート111の足部117の2つのタブ118a、118bの自由端である。絶縁材料ハウジング112の、レーザビーム210によって溶融される領域は、絶縁材料ハウジング112の受容エリア115内にある。この実施形態では、一体接合接続部119は、各接続デバイス110上に個別に形成される。
【0042】
図1から図4に示される実施形態では、絶縁材料ハウジング112およびマーキングプレート111は、少なくとも一体接合接続部119の形成領域内において同じ種類の材料から作られる。例えば、絶縁材料ハウジング112およびマーキングプレート111はともに、ポリアミド、具体的にはポリアミド6.6から作られ得る。
【0043】
図1から図4に示される実施形態では、電気接続装置100を製造するために、まず、接続デバイス110が1つの方法ステップで用意される。マーキングプレート111は、接続デバイス110の絶縁材料ハウジング112の受容エリア115に挿入される。この状態では、マーキングプレート111が足部117のタブ118a、118bによって形状嵌めおよび圧入により受容エリア115内で保持されるので、マーキングプレート111は、受容エリア115に事前固定されている。
【0044】
絶縁材料ハウジング112へのマーキングプレート111の溶接は、レーザ源200から始まって、レーザビーム210がマーキングプレート111および絶縁材料ハウジング112の方に向けられる。図1および図2に示される実施形態では、レーザビーム210は、マーキングプレート111の固定部116の一領域の方に向けられる。図3および図4に示される実施形態では、レーザビーム210は、マーキングプレート111の足部117の所定の領域の方に向けられる。レーザビーム210は、局所的な溶融を引き起こし、それによってマーキングプレート111のプラスチック材料と絶縁材料ハウジング112のプラスチック材料とが融着し、絶縁材料ハウジング112とマーキングプレート111との間に一体接合接続部119が形成される。
【0045】
絶縁材料ハウジング112に対するマーキングプレート111の一体接合接続の前または後に、マーキングプレート111のラベリング部116に刻印またはマーキングすることができる。
【符号の説明】
【0046】
100 接続装置
110 接続デバイス
111 マーキングプレート
112 絶縁材料ハウジング
113 開口
114 外面
115 受容エリア
116 固定部
117 足部
118a、118b タブ
119 一体接合接続部
120a、120b 端面
200 レーザ源
210 レーザビーム
図1
図2
図3
図4