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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-18
(45)【発行日】2025-02-27
(54)【発明の名称】蒸発器および冷蔵庫
(51)【国際特許分類】
   F25B 41/40 20210101AFI20250219BHJP
   F25D 19/00 20060101ALI20250219BHJP
【FI】
F25B41/40 A
F25B41/40 B
F25D19/00 510D
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2024502483
(86)(22)【出願日】2022-07-11
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-05
(86)【国際出願番号】 CN2022104958
(87)【国際公開番号】W WO2023005652
(87)【国際公開日】2023-02-02
【審査請求日】2024-01-15
(31)【優先権主張番号】202110843945.X
(32)【優先日】2021-07-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】524020135
【氏名又は名称】合肥海爾電氷箱有限公司
【氏名又は名称原語表記】HEFEI HAIER REFRIGERATOR CO., LTD
(73)【特許権者】
【識別番号】522029969
【氏名又は名称】青島海爾電氷箱有限公司
【氏名又は名称原語表記】QINGDAO HAIER REFRIGERATOR CO., LTD
【住所又は居所原語表記】Haier Industrial Park No. 1 Haier Road, Laoshan District Qingdao, Shandong 266101, China
(73)【特許権者】
【識別番号】521161200
【氏名又は名称】海爾智家股分有限公司
【住所又は居所原語表記】Haier Industrial Park, No.1 Haier Road, Laoshan District, Qingdao, Shandong 266101, China
(74)【代理人】
【識別番号】100104226
【弁理士】
【氏名又は名称】須原 誠
(72)【発明者】
【氏名】万 彦斌
(72)【発明者】
【氏名】陳 建全
(72)【発明者】
【氏名】王 海娟
(72)【発明者】
【氏名】薛 文超
(72)【発明者】
【氏名】劉 陽
(72)【発明者】
【氏名】朱 小兵
【審査官】森山 拓哉
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-222457(JP,A)
【文献】実開昭61-038459(JP,U)
【文献】中国実用新案第211372618(CN,U)
【文献】実開昭58-069773(JP,U)
【文献】特開2018-105561(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0159991(US,A1)
【文献】実開昭63-120068(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25B 41/40
F25D 19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
接続管路及び管間固定部材を有する蒸発器であって、前記接続管路は前記蒸発器の冷媒入口に接続されるように配置され、前記蒸発器の冷媒出口には出口管路が接続されており、
前記接続管路は、順次接続された第1管路、第2管路および入口管路からなり、前記入口管路が前記冷媒入口に接続され、前記第1管路の内径が前記第2管路の内径よりも大きく、
前記管間固定部材は、順次接続された固定部、可動部および挿入部を含み、前記固定部上には一方向に沿って延びた少なくとも2つの固定溝が設けられており、前記管間固定部材は、前記少なくとも2つの固定溝を介して前記第1管路、前記第2管路、前記入口管路、前記出口管路中の少なくとも2つの管路に接続されており、
前記可動部は前記固定部に対して可動に接続され、前記挿入部は前記可動部に接続され、前記固定部上には前記一方向と直交する方向に前記固定部を貫通する挿入口が設けられており、
前記少なくとも2つの管路が前記少なくとも2つの固定溝を貫通しつつ前記少なくとも2つの固定溝内に位置した状態において、前記可動部が前記固定部に対して回転したことによって、前記可動部に接続された前記挿入部が前記挿入口に挿入されており、これによって前記管間固定部材と前記少なくとも2つの管路との固定が実現されており、
前記挿入部の前記挿入口から突出した部分には、前記固定部に係止する挿入突起が設けられている、蒸発器
【請求項2】
前記第1管路の長さが0.02m~1.25mである、請求項1に記載の蒸発器
【請求項3】
前記第1管路の長さが0.02m~0.9mである、請求項2に記載の蒸発器
【請求項4】
前記第1管路の上流に毛細管が接続され、
前記第1管路の内径が0.5~10mmであり、管壁の厚さが0.2~3mmである、請求項1~3のいずれか1項に記載の蒸発器
【請求項5】
前記第1管路と前記第2管路が溶接されて固定されているか、または一体的に絞り成形されており、
前記第2管路と前記入口管路が溶接されて固定されているか、または一体的に絞り成形されている、請求項1~3のいずれか1項に記載の蒸発器
【請求項6】
前記第2管路と前記第1管路および/または前記入口管路が溶接されて固定されており、
前記第2管路の入口端が前記第1管路内に10~30mmの長さで挿入されており、
前記第2管路の出口端が前記入口管路内に10~30mmの長さで挿入されている、請求項1~3のいずれか1項に記載の蒸発器
【請求項7】
前記管間固定部材は柔軟材質からなり、
記蒸発器の動作中に管路共振によって引き起こされる騒音を低減する、請求項1~3のいずれか1項に記載の蒸発器。
【請求項8】
前記出口管路は冷蔵庫の空気還流管に溶接されて固定されており、前記出口管路が前記管間固定部材の1つの前記固定溝を貫通している、請求項1~3のいずれか1項に記載の蒸発器。
【請求項9】
前記管間固定部材は、前記第1管路と前記第2管路の管径急変位置の前後45~55mmの領域に設けられている、および/または、
前記管間固定部材は、前記第2管路と前記入口管路の管径急変位置の前後45~55mmの領域に設けられている、請求項1~3のいずれか1項に記載の蒸発器。
【請求項10】
請求項1~3のいずれか1項に記載の蒸発器を有する冷蔵庫。
【請求項11】
貯蔵室が画定されるライナーと、
本体部および挟持部を有する固定クリップと、を備え、
前記ライナー上に取付口が開設され、前記本体部が、前記挟持部が前記ライナーの内側に位置するように前記取付口に挿入され、前記挟持部は上部挟持ゾーンおよび下部挟持ゾーンを有し、
それぞれが前記本体部の前側の上下端から前方に屈曲するように形成され、前記上部挟持ゾーンが上方に曲がり、前記下部挟持ゾーンが下方に曲がり、
前記上部挟持ゾーンの前端と前記下部挟持ゾーンの前端との間に隙間があり、前記上部挟持ゾーンと前記下部挟持ゾーンとの間に前記蒸発器の管路を収容するための空間が画定され、前記上部挟持ゾーンの内側面および/または前記下部挟持ゾーンの内側面に可撓性部材が配置されている、請求項10に記載の冷蔵庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷蔵冷凍装置の技術分野に関し、特に、蒸発器および冷蔵庫に関する。
【背景技術】
【0002】
冷蔵庫の冷凍システムサイクルでは、冷媒が蒸発器の入口に進入する前に、管路内の液相冷媒が徐々に気化し始め、フラッシュ現象を生じ、激しい気液の流れが気泡を生成しやすく、気泡の破裂が流体の乱流を引き起こしやすく、周期的な圧縮吸引排気冷凍システムと相まって、脈動性流体、不連続的な乱流の二相流が冷凍管路を衝撃して渦電流騒音、すなわちスパート音が発生する。既存の冷蔵庫の蒸発器での噴出騒音が非常に大きく、ユーザの使用体験に悪影響を与える。
【発明の概要】
【0003】
本発明の1つの目的は、蒸発器の入口前端に接続して騒音を低減することが可能な接続管路を有する蒸発器を提供することである。
【0004】
本発明のさらなる目的は、蒸発器の運転中の振動騒音をさらに低減することである。
【0005】
特に、本発明は蒸発器の接続管路を提供し、接続管路は蒸発器の冷媒入口に接続されるように設けられ、
順次接続された第1管路、第2管路および入口管路からなり、入口管路が冷媒入口に接続され、第1管路の内径が第2管路の内径よりも大きい。
【0006】
選択可能に、第1管路の長さが0.02m~1.25mである。
【0007】
選択可能に、第1管路の長さが0.02m~0.9mである。
【0008】
選択可能に、第1管路の上流に毛細管が接続され、
第1管路の内径が0.5~10mmであり、管壁の厚さが0.2~3mmである。
【0009】
選択可能に、第1管路と第2管路が溶接されて固定されているか、または一体的に絞り成形され、
第2管路と入口管路が溶接されて固定されているか、または一体的に絞り成形されている。
【0010】
選択可能に、第2管路と第1管路および/または入口管路が溶接されて固定されており、
第2管路の入口端が10~30mmの長さで第1管路内に挿入されており、
第2管路の出口端が10~30mmの長さで入口管路内に挿入されている。
【0011】
本発明は、上記の接続管路を有する蒸発器をさらに提供する。
【0012】
選択可能に、蒸発器の冷媒出口に出口管路が接続され、
蒸発器は、柔軟材質の管間固定部材をさらに備え、その上に少なくとも2つの固定溝が形成され、管間固定部材が少なくとも2つの固定溝を介して第1管路、第2管路、入口管路、出口管路中の少なくとも2つに接続されて、蒸発器運転中の管路共振による騒音を低減する。
【0013】
選択可能に、出口管路が冷蔵庫の空気還流管に溶接されて固定されており、出口管路が管間固定部材の1つの固定溝を貫通している。
【0014】
選択可能に、管間固定部材は、第1管路と第2管路の管径急変位置の前後45~55mmの領域に設けられる、および/または、
管間固定部材は、第2管路と入口管路の管径急変位置の前後45~55mmの領域に設けられる。
【0015】
本発明は、上記の蒸発器を有する冷蔵庫をさらに提供する。
【0016】
選択可能に、冷蔵庫は、
貯蔵室が画定されるライナーと、
本体部および挟持部を有する固定クリップと、を備え、ライナー上に取付口が開設され、本体部が、挟持部がライナーの内側に位置するように取付口に挿入され、挟持部は上部挟持ゾーンおよび下部挟持ゾーンを有し、それぞれが本体部の前側の上下端から前方に屈曲して形成され、上部挟持ゾーンが上方に曲がり、下部挟持ゾーンが下方に曲がり、上部挟持ゾーンの前端と下部挟持ゾーンの前端との間に隙間があり、上部挟持ゾーンと下部挟持ゾーンとの間に蒸発器の管路を収容するための空間が画定され、上部挟持ゾーンの内側面および/または下部挟持ゾーンの内側面に可撓性部材が配置されている。
【0017】
本発明の蒸発器の接続管路は、順次接続された第1管路、第2管路および入口管路からなり、入口管路が冷媒入口に接続され、第1管路の内径が第2管路の内径よりも大きいことにより、騒音を効果的に低減することができる。
【0018】
さらに、本発明の蒸発器は、柔軟材質の管間固定部材を設けて、管間固定部材が少なくとも2つの固定溝を介して第1管路、第2管路、入口管路、出口管路中の少なくとも2つに接続されることにより、蒸発器運転中の管路共振による騒音を効果的に低減することができる。
【0019】
以下、添付図面と併せて本発明の具体的な実施例を詳細に説明することにより、当業者は、本発明の上記およびその他の目的、利点および特徴をより良く理解することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
以下、添付図面を参照して、本発明のいくつかの具体的な実施例を例示的かつ非限定的に説明する。添付図面において同一の符号は、同一または類似の構成要素または部分を示す。当業者であれば、これらの添付図面は必ずしも縮尺通りに描かれていないことを理解することができる。
【0021】
図1】本発明の一実施例による接続管路を有する蒸発器の構造概略図である。
図2図1に示す接続管路および蒸発器の構造概略図である。
図3図1に示す接続管路および蒸発器の別の構造概略図である。
図4図1に示す接続管路および蒸発器のさらに別の構造概略図である。
図5図1に示す接続管路および蒸発器のさらに別の構造概略図である。
図6図1に示す接続管路および蒸発器のさらに別の構造概略図である。
図7】乱流強度と第1管路の長さ変化のシミュレーション関係を示す図である。
図8】冷媒乾燥度と第1管路の長さ変化との関係を示す図である。
図9】既存の管路を有する蒸発器と図1の蒸発器の冷蔵庫音圧レベルを比較した図である。
図10図1に示す蒸発器に管間固定部材が取り付けられた構造を示す概略図である。
図11図10に示す蒸発器の断面概略図である。
図12】管間固定部材の構造概略図である。
図13】管間固定部材の断面概略図である。
図14図1に示す蒸発器を有する冷蔵庫の構造概略図である。
図15図14に示す冷蔵庫に蒸発器が取り付けられない場合の拡大概略図である。
図16図14に示す冷蔵庫に蒸発器が取り付けられた場合の部分断面概略図である。
図17】固定クリップの構造概略図である。
図18】固定クリップの別の構造概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1は、本発明の一実施例による接続管路300を有する蒸発器200の構造概略図である。図2は、図1に示す接続管路300および蒸発器200の構造概略図である。本発明の実施例は蒸発器200の接続管路300を提供し、接続管路300は蒸発器200の冷媒入口に接続されるように設けられ、順次接続された第1管路301、第2管路302および入口管路203からなり、入口管路203が冷媒入口に接続され、第1管路301の内径が第2管路302の内径よりも大きい。本発明の実施例の蒸発器200の接続管路300は、順次接続された第1管路301、第2管路302および入口管路203からなり、入口管路203が冷媒入口に接続され、第1管路301の内径が第2管路302の内径よりも大きいことにより、騒音を効果的に低減することができる。
【0023】
流体状態が異なると、騒音結果も異なり、一般的に3つの状況がある。第1は、冷媒が蒸発器200の冷媒入口に進入する前に完全に気体に変換される状況であり、このとき、蒸発器200の効率が比較的低く、管路騒音が比較的大きい。第2は、冷媒が蒸発器200の冷媒入口に進入する前に二相流体である状況であり、このとき、蒸発効率がまだ比較的低く、二相の乱流流体によりスパート音の増加につながる。第3は、絞られた後の冷媒は末端が純粋な液体状態で蒸発器200に進入して蒸発する状況であり、これは理想的な状態であり、冷凍効率が最も高く、騒音影響が最も小さい。本発明者は、理論とシミュレーション分析を組み合わせて、管路の構造および長さなどを改良することで、蒸発器200の冷媒入口前端の噴出量が大きいという問題を解決し、液相から気相への高効率および低騒音を実現する。
【0024】
いくつかの実施例では、本発明の実施例の接続管路300の第1管路301の長さが0.02m~1.25mであり、好ましくは、第1管路301の長さが0.02m~0.9mである。
【0025】
N-S方程式に基づいて、k-ε乱流モデルを用いてシミュレーションを行う。ここで、N-S方程式を制御方程式として使用し、標準k-ε2方程式乱流モデルを用いて閉じた制御方程式系を確立する。
【数1】
この式において、iおよびjは座標方向であり、kは気相または液相であり、α、ρ、uはそれぞれk相体積分率、密度および速度であり、φはk相の任意の物理量であり、Γφ およびSφ はそれぞれk相の拡散係数とソース相である。
【0026】
図7は、乱流強度と第1管路301の長さ変化のシミュレーション関係を示す図である。シミュレーション結果の乱流強度から分かるように、第1管路301の長さが0.02m未満である場合、乱流強度が高く、流れの安定化の役割を果たすことができず、大きな流体騒音や振動をもたらし、騒音低減に役立たない。第1管路301の長さが0.02mよりも大きいと、乱流が管路によって整合されて徐々に静まり、安定した乱流となり、振動が減少し、騒音低減に寄与する。
【0027】
第1管路301の長さ変化と蒸発器200の入口管路203での冷媒乾燥度とは一定の関係がある。第1管路301の長さは、管路乾燥度値の変化に影響を与える。図8は冷媒乾燥度と第1管路301の長さ変化との関係を示す図であり、シミュレーションから分かるように、第1管路301の長さ<0.9m範囲内で、冷凍システムが低乾燥度で運転し、第1管路301の長さが0.9mで、曲線傾きが変曲し、乾燥度曲線の傾きが徐々に上昇し、乾燥度値が大幅に増加し、第1管路301の長さが1.25mで、乾燥度曲線の傾きが平坦になり始める。すなわち、所定のサイズを超えると、冷凍システムの気相が支配され、システム効率の向上に役立たない。ここで、乾燥度計算式は、湿潤蒸気の比エンタルピーをhとすると、乾燥度x=(hx-hf)/(hs-hf)である。ここで、hxは湿潤蒸気のエンタルピーであり、hfは飽和液相のエンタルピーであり、hsは飽和蒸気のエンタルピーである。
【0028】
異なる区間の第1管路301の長さの機器全体音響パワーレベルについて試験した。その結果が以下の表1に示される。
【表1】
【0029】
上記の表1から分かるように、第1管路301の長さ<0.02mまたは>1.25mの場合、音響パワーレベルが大きく、第1管路301の長さが0.02~0.9mの範囲内である場合騒音低減が最適であり、第1管路301の長さが0.9~1.25mの範囲である場合騒音が比較的小さい。
【0030】
同時に、既存の管路を有する蒸発器200と本発明の実施例の接続管路300を採用する蒸発器200の周波数変化を比較する。図9は、既存の管路を有する蒸発器200と図1の蒸発器200の冷蔵庫100の音圧レベルを比較した図である。図9から分かるように、本発明の実施例の接続管路300を採用した蒸発器200は、その主な周波数において全体的に低減し、特に1000Hz周波数の振幅低減が顕著である。
【0031】
いくつかの実施例では、本発明の実施例の接続管路300の第1管路301の上流に毛細管が接続され(図示せず)、第1管路301の内径が0.5~10mmであり、管壁の厚さが0.2~3mmである。第1管路301の内径が毛細管の内径よりも大きい。第1管路301の管壁が薄すぎると、騒音低減効果が悪く、管壁が厚すぎると、コストが高くなり、第1管路301の内径が小さすぎると、他の種類の騒音問題が発生する可能性がある。したがって、第1管路301の内径を0.5~10mmに限定し、管壁の厚さを0.2~3mmに限定することが好ましい。
【0032】
本発明の実施例の接続管路300は、スパート音を解決する過程中、第1管路301、第2管路302および入口管路203間の固定工程が騒音効果に強く関連するため、設計が良くないと、低周波数異音問題が発生する。工程の一致性を確保するために、本発明の実施例の接続管路300は各管路間の接続方法を最適化する。いくつかの実施例では、第1管路301と第2管路302は溶接されて固定されているか、または一体的に絞り成形され、第2管路302と入口管路203は溶接されて固定されているか、または一体的に絞り成形されている。
【0033】
図3は、図1に示す接続管路300および蒸発器200の別の構造概略図である。図3において、第2管路302は第1管路301、入口管路203に溶接されて固定されている。一定の溶接端強度を確保するために、第2管路302の入口端が第1管路301内に挿入され、第2管路302の出口端が入口管路203内に挿入されている。いくつかの実施例では、第2管路302の入口端が10~30mmの長さで第1管路301内に挿入され、第2管路302の出口端が10~30mmの長さで入口管路203内に挿入されている。図3では挿入部分320が示されている。図4は、図1に示す接続管路300および蒸発器200のさらに別の構造概略図である。図5は、図1に示す接続管路300および蒸発器200のさらに別の構造概略図である。図6図1に示す接続管路300および蒸発器200のさらに別の構造概略図である。
【0034】
図4において、第2管路302と第1管路301とは一体的に絞り成形され、第2管路302と入口管路203とは溶接されて固定されている。第2管路302と第1管路301とは一体的に絞り成形されることにより、冷媒が接続管路300内を太管から細管へ移動するときの流体抵抗が低減され、騒音をさらに低減することができる。図5において、第2管路302と第1管路301とは溶接されて固定されており、第2管路302と入口管路203とは一体的に絞り成形されている。第2管路302と入口管路203とは一体的に絞り成形されることにより、冷媒が管路内を細管から太管へ噴出するときの流体速度が低減され、流れ状態が急変から緩慢に変化し、騒音をさらに低減することができる。図6において、第2管路302と第1管路301、入口管路203とは一体的に絞り成形されている。
【0035】
本発明の実施例は、上記の接続管路300を有する蒸発器200をさらに提供する。図10は、図1に示す蒸発器200に管間固定部材400が取り付けられた場合の構造概略図である。図11は、図10に示す蒸発器200の断面概略図である。いくつかの実施例では、蒸発器200の冷媒出口に出口管路204が接続されている。本発明の実施例の蒸発器200は、柔軟材質の管間固定部材400を含み、その上に少なくとも2つの固定溝411が形成され、管間固定部材400は少なくとも2つの固定溝411を介して第1管路301、第2管路302、入口管路203、出口管路204中の少なくとも2つに接続され、蒸発器200の運転時に管路共振による騒音を効果的に低減することができる。本発明の実施例の蒸発器200は管間固定部材400を設けることで、管間固定部材400が柔軟材質であるので、管間固定部材400は少なくとも2つの固定溝411を介して第1管路301、第2管路302、入口管路203、出口管路204中の少なくとも2つに接続され、蒸発器200の運転時に管路共振による騒音を効果的に低減することができる。管路が長く、1つの管路のみを巻き付けるとモーダル周波数が高く共振しやすいので、管間固定部材400は片持ち状態の複数の管路を結束して騒音低減効果をより高めることができると考えられる。
【0036】
具体的に、蒸発器200の運転時に蒸発器200の管間の冷媒の流れにより蒸発器200の管路に強い振動が発生し、大きな騒音が発生し、管路が衝突すると、騒音を悪化させるとともに蒸発器200の性能に影響を与え、安全上のリスクをきたす恐れがある。管間固定部材400は蒸発器200の関連管路間に固定されたクランプである。管間固定部材400を設けることで、接触して衝突しないように蒸発器200の各管路の相対位置を確保することができ、蒸発器200の運転時の騒音低減および安全性能の向上を実現することができる。図1に示すように、本発明の実施例の蒸発器200は蒸発器本体、接続管路300および管間固定部材400を含む。蒸発器本体は複数のフィン201および複数のフィン201を貫通して曲げられて設けられたコイル管路202を含む。コイル管路202は冷媒入口と冷媒出口を有し、接続管路300は毛細管と冷媒入口との間に設けられている。
【0037】
いくつかの実施例では、本発明の実施例の蒸発器200の出口管路204と冷蔵庫100の空気還流管(図示せず)とは溶接されて固定されており、出口管路204は管間固定部材400の1つの固定溝411を貫通している。図10に示すように、各管間固定部材400は、それぞれ「S」字形の管路の上、中、下の3部分をモーダル拘束する。出口管路204が冷蔵庫100の空気還流管に溶接された後、出口管路204が固定的に拘束されたと見なされ、出口管路204が管間固定部材400の1つの固定溝411を貫通していることで、管間固定部材400は固定された出口管路204の外力によって細い第1管路301、第2管路302を固定し、S字形の接続管路300の垂直方向の振動を抑制することができる。
【0038】
いくつかの実施例では、本発明の実施例の管間固定部材400は、第1管路301と第2管路302の管径急変位置の前後45~55mmの領域に配置される、および/または管間固定部材400は、第2管路302と入口管路203の管径急変位置の前後45~55mmの領域に配置される。図3および図4では、管間固定部材400の取付位置がボックスで示される。管間固定部材400の位置選択は非常に重要であり、適切な位置により管路振動を効果的に抑制し、管路モーダルを変化させて共振を回避することができる。管間固定部材400がモーダルノード位置に配置されると効果がなく、別のいくつかの位置に配置されると振動が増幅される可能性がある。蒸発器200の管路内の冷媒が第1管路301から第2管路302に流れるとき、管径急変位置で絞り効果が発生し、抵抗の急激な増加に起因して、流体が強く振動し、このような位置に管間固定部材400を追加すると良好な振動減衰効果がある。冷媒が第2管路302から入口管路203に流れると、管径急変位置で噴出現象が発生し、振動が最も急激になり、このような位置に管間固定部材400を追加すると良好な振動減衰効果がある。
【0039】
図12は、管間固定部材400の構造概略図である。図13は管間固定部材400の断面概略図である。本発明の実施例の管間固定部材400は、順次接続された固定部401、可動部402および挿入部403からなり、固定部401上に左右方向に沿った少なくとも2つの固定溝411が開設され、固定溝411は管路が貫通するために使用される。可動部402は固定部401に可動に接続される。挿入部403は可動部402に接続され、固定部401上に前後方向に沿った挿入口412がさらに開設され、管路が固定溝411に挿入された後、可動部402を回転させることで、挿入部403が挿入口412内に挿入されて管間固定部材400と管路の固定を実現し、管路共振による騒音を低減する。管間固定部材400自身はタイ式固定方法を採用し、施行完了後脱落しにくく、固定性と安定性を確保している。
【0040】
本発明の実施例の管間固定部材400は一体成形された柔軟構造であってもよい。管間固定部材400の材質はTPE、ゴムまたはシリコーンであってもよい。例えば、管間固定部材400はTPE材料からなり、HS(A)35~65の硬度を有し、各蒸発器200は2つの管間固定部材400が備えられる。
【0041】
本発明の実施例の管間固定部材400の固定部401は第1固定ゾーン441と第2固定ゾーン442を含み、第2固定ゾーン442は第1固定ゾーン441の下部後側から前方に延伸して形成され、固定溝411は第1固定ゾーン441上、第2固定ゾーン442上または第1固定ゾーン441と第2固定ゾーン442間の交差部に開設される。具体的に、本発明の実施例の管間固定部材400の第1固定ゾーン441の上部に挿入口412が開設され、可動部402は第2固定ゾーン442の前端に接続され、管路が固定溝411に挿入された後、可動部402を上方に回転させて挿入部403を挿入口412内に挿入させる。また、挿入部403の挿入口412に挿入された位置に挿入突起430がさらに設けられ、管間固定部材400と管路の確実な固定を確保する。
【0042】
図13に示すように、第1固定ゾーン441の前壁面に上下方向に沿って間隔を開けて上方に開口する2つの固定溝411が開設され、第2固定ゾーン442の上壁面に後方上向きに開口する固定溝411が開設され、第1固定ゾーン441と第2固定ゾーン442の交差部に前方上向きに開口する固定溝411が開設されている。異なる位置の固定溝411の方向を限定することにより、固定溝411内の管路の固定を保証し、管路が固定溝411内から脱落しない。可動部402上における第1固定ゾーン441の前壁面の固定溝411に対応する位置にドッキング突起420が形成され、可動部402を上方に回転して固定部401に嵌合させると、ドッキング突起420が固定溝411内に嵌合し、固定溝411内の管路位置をさらに確実にする。同時に、固定溝411の寸法は、管路と固定溝411が干渉嵌合することを満たす。例えば、固定溝411の内径の半径を管路の外径の半径よりも0.1mm小さくすることによって、固定が確実で管路が固定溝411内で移動しないことを実現する。
【0043】
上記のような革新的な設計により、構造上、管間固定部材400は各管路と連動して固定することができ、冷蔵庫100の搬送、使用過程中緩みや変位が発生せず、堅牢度の要求を満たすことができ、材質上、管間固定部材400は、高温や低温、腐食や経年劣化に強く、靭性が良好で、断裂されにくく、設置上、管間固定部材400は設置が容易で、設置時間や人件費を節約することができ、製造上、管間固定部材400は成形加工が容易であり、固定溝411の位置が安定し、管路が脱落しにくいため、管路の隙間の安定性を確保することができる。また、本発明の実施例の管間固定部材400の各部分は滑らかであり、平坦で特別な突起や溝がない構造であるため、設置がスムーズで便利である。同時に、管間固定部材400の外郭全体を、複数の滑らかな円弧からなる三角形構造として設計し、管間固定部材400全体が丸みを帯びた外観を有し、設置が容易である。
【0044】
図14は、図1に示す蒸発器200を有する冷蔵庫100の構造概略図である。図15は、図14に示す冷蔵庫100に蒸発器200が取り付けられていない場合の拡大概略図である。本発明の実施例は、上記の蒸発器200を有する冷蔵庫100をさらに提供する。本発明の実施例の冷蔵庫100は、庫体、扉体(図示せず)および圧縮冷凍システムを備える。ここで、庫体のライナー101内に貯蔵室が画定されている。貯蔵室は、異なる貯蔵温度に応じて、冷蔵室、冷凍室および温度可変室などに分けられる。圧縮冷凍システムは圧縮機、蒸発器200、凝縮器および毛細管などを含む。蒸発器200は、貯蔵室に冷気を供給するために使用される。
【0045】
図16は、図14に示す冷蔵庫100に蒸発器200が取り付けられた場合の部分断面概略図である。図17は、固定クリップ500の構造概略図である。図18は、固定クリップ500の別の構造概略図である。本発明の実施例の冷蔵庫100は固定クリップ500をさらに備える。固定クリップ500は、本体部503と挟持部504を含む。ライナー101上に取付口113が開設され、挟持部504がライナー101の内側に位置するように本体部503が取付口113に挿入されている。挟持部504は上部挟持ゾーン541および下部挟持ゾーン542を有し、それぞれが本体部503の前側の上下端から前方に屈曲して形成され、上部挟持ゾーン541が上方に曲がり、下部挟持ゾーン542が下方に曲がり、上部挟持ゾーン541の前端と下部挟持ゾーン542の前端との間に隙間がある。上部挟持ゾーン541と下部挟持ゾーン542との間に蒸発器200の管路を収容するための空間が画定され、上部挟持ゾーン541の内側面および/または下部挟持ゾーン542の内側面に可撓性部材507が配置されている。
【0046】
既存の蒸発器200は、硬質材料からなるクランプで冷蔵庫100内に固定され、固定性が悪く、クランプと蒸発器200の管路の締め付けが不十分であり、冷蔵庫100の搬送、使用過程中、変位、脱落しやすい問題がある。本発明の実施例の蒸発器200の固定クリップ500は、上部挟持ゾーン541の内側面および/または下部挟持ゾーン542の内側面に可撓性部材507が配置されていることで、可撓性部材507の弾性が比較的良好であり、固定クリップ500と蒸発器200の管路間がより強固に固定され、蒸発器200は庫体内でより強固に固定され、同時に該固定クリップ500の使用により、蒸発器200の運転時の振動や騒音を低減することができる。図14に示すように、蒸発器200の上部の左右両側に1つの固定クリップ500がそれぞれ設けられ、各固定クリップ500の挟持部504がコイル管路202に固定されている。
【0047】
本体部503の後側にリミットタブ501が形成され、本体部503は、リミットタブ501がライナー101の外側に貼り付ける程度に取付口113に挿入される。また、リミットタブ501の後側にハンドル502がさらに形成される。図15では、ライナー101の後壁111上に取付口113が開設される。なお、ライナー101の側壁112に蒸発器200を取り付ける場合、ライナー101の側壁112上に取付口113を開設してもよいことを理解されたい。
【0048】
図17および図18に示すように、本発明の実施例の固定クリップ500の上部挟持ゾーン541の内側面、下部挟持ゾーン542の内側面にそれぞれ複数の係合溝(図面では符号を付していない)が形成され、各係合溝に1つの可撓性部材507が配置され、可撓性部材507の内側面は係合溝を越えて延びている。挟持部504はABS材質であり、可撓性部材507はシリコーン材質である。固定クリップ500は一体成形構造であってもよい。
【0049】
本発明の実施例の固定クリップ500は、挟持部504の前部に形成され、管路が挟持部504に挿入された後に管路を遮蔽するための遮蔽部505をさらに含む。遮蔽部505は、上側遮蔽部および下側遮蔽部を含み、上側遮蔽部は上部挟持ゾーン541の前端から前方上向きに傾斜して延伸する第1ゾーン551、および第1ゾーン551から後方下向きに傾斜して延伸する第2ゾーン552を有し、下側遮蔽部は、下部挟持ゾーン542の前端から前方下向きに傾斜して延伸する第3ゾーン553、および第3ゾーン553から後方上向きに傾斜して延伸する第4ゾーン554を有し、第2ゾーン552と第4ゾーン554の端部との間に隙間506がある。遮蔽部505を設けることにより、蒸発器200の管路が固定クリップ500から脱落することを効果的に防止することができる。さらに、固定クリップ500の全体的な設計は丸みを帯び、平坦で特別な突起や溝がないため、スムーズで便利に設置することが可能である。
【0050】
以上のように、当業者であれば、本明細書で本発明の複数の例示的な実施例を網羅的かつ詳細に説明したが、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、本発明の開示内容に基づいて本発明の原理に適合する他の多くの変形または修正を依然として直接的に決定または推論することができることを理解されたい。したがって、本発明の範囲は、そのような他のすべての変形または修正をカバーするものと理解され、認識されるべきである。
図1
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