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7637324高速道路または一般道路トンネル内における非常用配水本管交換のためのコンクリートシール解体撤去工法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-19
(45)【発行日】2025-02-28
(54)【発明の名称】高速道路または一般道路トンネル内における非常用配水本管交換のためのコンクリートシール解体撤去工法
(51)【国際特許分類】
   E21F 17/00 20060101AFI20250220BHJP
【FI】
E21F17/00
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2024165717
(22)【出願日】2024-09-24
【審査請求日】2024-09-25
(31)【優先権主張番号】P 2024041314
(32)【優先日】2024-03-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】525021489
【氏名又は名称】株式会社ダック技建
(74)【代理人】
【識別番号】100095267
【弁理士】
【氏名又は名称】小島 高城郎
(74)【代理人】
【識別番号】100124176
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 典子
(74)【代理人】
【識別番号】100224269
【弁理士】
【氏名又は名称】小島 佑太
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 芳郎
(72)【発明者】
【氏名】田中 良一
(72)【発明者】
【氏名】池田 修一
(72)【発明者】
【氏名】能勢 勲
【審査官】高橋 雅明
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第113668414(CN,A)
【文献】特開2007-138598(JP,A)
【文献】特開平04-041892(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第106906732(CN,A)
【文献】特開2011-085013(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E21F 17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
高速道路または一般道路トンネル内における非常用配水本管交換のために非常用配水本管を前記高速道路又は一般道路トンネルの延びる方向に沿って布設した上部の監視員通路の監視員が歩く部分のコンクリート板であり、ハンドホールの立壁からハンドホールの立壁の間にあるコンクリートシールを板状を保ったまま静的破砕して解体し撤去する工法であって、
前記コンクリートシールの延びる方向である長手方向の両端のうちの一方の端のハンドホールの立壁の縁である近位端において、前記長手方向に対して直角の方向である短手方向に複数延びるように、コアとなる孔であるコア削孔を複数設ける近位端コアボーリング工程と、
前記近位端コアボーリング工程で設けられた複数の前記コア削孔同士の間を割裂させるようにバースターヘッドを挿入し、当該バースターに加圧して、前記コンクリートシールを前記近位端において破砕する近位端コンクリートシール割裂工程と、
前記コンクリートシールの延びる方向である長手方向の両端のうちの他方の端のハンドホールの立壁の縁である遠位端において、前記長手方向に対して直角の方向である短手方向に複数延びるように、コアとなる孔であるコア削孔を複数設ける遠位端コアボーリング工程と、
前記遠位端コアボーリング工程で設けられた複数の前記コア削孔同士の間を割裂させるようにバースターヘッドを挿入し、当該バースターに加圧して、前記コンクリートシールを前記遠位端において破砕する遠位端コンクリートシール割裂工程と、
前記近位端コアボーリング工程又は前記遠位端コアボーリング工程から前記コンクリートシールの厚さを取得し、解体して撤去すべきコンクリート板の長手方向の長さを決める解体コンクリート板長さ決定工程と、
前記近位端又は前記遠位端のいずれかの位置から前記解体コンクリート長さだけもう一方の端に近づけた位置において、前記短手方向の中央位置に単一の穿孔を設ける中間位置穿孔ボーリング工程と、
前記中間位置穿孔ボーリング工程で設けられた前記穿孔にバースターヘッドを挿入し、前記バースターヘッドの作用方向が前記長手方向と一致するように合わせるとともに、バースターヘッドの中心の位置が前記コンクリートシールの厚みの中心になるようにセットするバースター設定工程と、
前記バースターヘッドを挿入した当該バースターに加圧して、コンクリートシールを前記解体コンクリート板長さの分だけ残りのコンクリートシールから分離させるコンクリートシール分離工程と
前記コンクリートシール分離工程にて分離して得た板状のコンクリートをトンネルの外に持ち出すべく車両に積載する板状コンクリート搬出工程と、
前記板状コンクリート搬出工程にて残ったコンクリートシールの端から前記解体コンクリート長さだけもう一方の端に近づけた位置において、前記短手方向の中央位置に単一の穿孔を設ける繰り返し穿孔ボーリング工程と、
前記繰り返し穿孔ボーリング工程で設けられた前記穿孔にバースターヘッドを挿入し、前記バースターヘッドの作用方向が前記長手方向と一致するように合わせるとともに、バースターヘッドの中心の位置が前記コンクリートシールの厚みの中心になるようにセットする繰り返しバースター設定工程と、
前記繰り返しバースター設定工程にてバースターヘッドを挿入した当該バースターに加圧して、コンクリートシールを前記解体コンクリート板長さの分だけ残りのコンクリートシールから分離させる繰り返しコンクリートシール分離工程と
前記繰り返しコンクリートシール分離工程にて分離して得た板状のコンクリートをトンネルの外に持ち出すべく車両に積載する繰り返し板状コンクリート搬出工程と、
を有し、前記繰り返し穿孔ボーリング工程と、前記繰り返しバースター設定工程と、前記繰り返しコンクリートシール分離工程と、前記繰り返し板状コンクリート搬出工程とを必要な回数繰り返すことを特徴とするコンクリートシール解体撤去工法。
【請求項2】
請求項1に記載するコンクリートシール解体撤去工法であって、
前記解体コンクリート板長さ決定工程において、解体して撤去すべきコンクリート板の長手方向の長さを決めるにあたっては、解体したコンクリートを搬出するのに用いる車両の大きさ、積載制限重量、クレーンの能力を考慮することを特徴とするコンクリートシール解体撤去工法。
【請求項3】
請求項1に記載するコンクリートシール解体撤去工法であって、
前記板状コンクリート搬出工程にて外に搬出した板状のコンクリートを石状に破砕してコンクリートガラにするコンクリート破砕工程
をさらに有することを特徴とするコンクリートシール解体撤去工法。
【請求項4】
前記近位端コアボーリング工程、前記遠位端コアボーリング工程において前記コア削孔を複数設ける際に、一つのコア削孔において前記コンクリートシールの厚さを測定し、
前記コンクリートシールの厚さが160ミリメートル以上である場合には、前記解体コンクリート板長さを1メートル以下とし、
前記コンクリートシールの厚さが150ミリメートル以下である場合には、前記解体コンクリート板長さを1メートル以上2メートル以下とする
ことを特徴とする請求項1に記載のコンクリートシール解体撤去工法。
【請求項5】
前記近位端コアボーリング工程、前記遠位端コアボーリング工程、前記中間位置穿孔ボーリング工程、前記繰り返し穿孔ボーリング工程において、
前記コンクリートシールの厚さが160ミリメートル以上である場合には、深さ140ミリメートルからは深さを確認しながら穿孔する
ことを特徴とする請求項1に記載のコンクリートシール解体撤去工法。
【請求項6】
前記板状コンクリート搬出工程において、
前記非常用配水本管の水の流れの下流側より積み込み、搬出する
ことを特徴とする請求項1に記載するコンクリートシール解体撤去工法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高速道路または一般道路トンネル内に布設された非常用配水本管を交換するためにコンクリートを解体撤去する工法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に見られるように、高速道路または一般道路トンネル内には、万一の火災事故に備えて消火栓装置が備えられる。そして、そのための非常用配水本管が設置されている。
【0003】
トンネル内には長手方向に沿ってその脇に監視員通路が設けられる。その監視員通路の監視員が歩く部分はコンクリート板(コンクリートシール)となっているが、そのコンクリートシールの下には砂が詰められており、その中に非常用配水本管が布設されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第6920854号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
布設された非常用配水本管が老朽化すると漏水が発生する。そのため非常用配水本管の取替工事が必要となる。上述のコンクリートシールを壊して非常用配水本管を取替るが、コンクリートシールを壊す作業は「ブレーカー斫り」工事によるものである。ブレーカー斫りは、その場で複数の作業員がブレーカーをもってコンクリートシールを強く振動させて、破砕し、石の大きさにしてしまう作業である。トンネル内でブレーカーを用いて斫ることは、粉塵を発生させるので粉塵対策が必要である。また、作業中に粉砕されてできたコンクリート石が飛散して当該作業員または他の作業員にぶつかり怪我をする可能性がある。さらに、騒音が激しいので作業員同士のコミュニケーションが妨げられる。ブレーカーを持つ作業員の両手には激しい振動が伝わるので重労働である。このように過酷な作業条件で行うものである。
【0006】
本発明は、このような問題点に対して鑑みなされたものであり、安全であり、衛生的であり、作業員の健康を守り、工期を短縮できるコンクリートシール解体工法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するため、本発明は、次に記載する構成を備える。
【0008】
高速道路または一般道路トンネル内における非常用配水本管交換のために非常用配水本管を前記高速道路又は一般道路トンネルの延びる方向に沿って布設した上部のコンクリートシールを板状を保ったまま静的破砕して解体し撤去する工法であって、
前記コンクリートシールの延びる方向である長手方向の両端のうちの一方の端である近位端において、前記長手方向に対して直角の方向である短手方向に複数延びるように、コアとなる孔であるコア削孔を複数設ける近位端コアボーリング工程と、
前記近位端コアボーリング工程で設けられた複数の前記コア削孔同士の間を割裂させるようにバースターヘッドを挿入し、当該バースターに加圧して、前記コンクリートシールを前記近位端において破砕する近位端コンクリートシール割裂工程と、
前記コンクリートシールの延びる方向である長手方向の両端のうちの他方の端である遠位端において、前記長手方向に対して直角の方向である短手方向に複数延びるように、コアとなる孔であるコア削孔を複数設ける遠位端コアボーリング工程と、
前記遠位端コアボーリング工程で設けられた複数の前記コア削孔同士の間を割裂させるようにバースターヘッドを挿入し、当該バースターに加圧して、前記コンクリートシールを前記遠位端において破砕する遠位端コンクリートシール割裂工程と、
前記近位端コアボーリング工程又は前記遠位端コアボーリング工程から前記コンクリートシールの厚さを取得し、解体して撤去すべきコンクリート板の長手方向の長さを決める解体コンクリート板長さ決定工程と、
前記近位端又は前記遠位端のいずれかの位置から前記解体コンクリート長さだけもう一方の端に近づけた位置において、前記短手方向の中央位置に穿孔を設ける中間位置穿孔ボーリング工程と、
前記中間位置穿孔ボーリング工程で設けられた前記穿孔にバースターヘッドを挿入し、前記バースターヘッドの作用方向が前記長手方向と一致するように合わせるとともに、バースターヘッドの中心の位置が前記コンクリートシールの厚みの中心になるようにセットするバースター設定工程と、
前記バースターヘッドを挿入した当該バースターに加圧して、コンクリートシールを前記解体コンクリート板長さの分だけ残りのコンクリートシールから分離させるコンクリートシール分離工程と
前記コンクリートシール分離工程にて分離して得た板状のコンクリートをトンネルの外に持ち出すべく車両に積載する板状コンクリート搬出工程と、
前記板状コンクリート搬出工程にて残ったコンクリートシールの端から前記解体コンクリート長さだけもう一方の端に近づけた位置において、前記短手方向の中央位置に穿孔を設ける繰り返し穿孔ボーリング工程と、
前記繰り返し穿孔ボーリング工程で設けられた前記穿孔にバースターヘッドを挿入し、前記バースターヘッドの作用方向が前記短手方向と一致するように合わせるとともに、バースターヘッドの中心の位置が前記コンクリートシールの厚みの中心になるようにセットする繰り返しバースター設定工程と、
前記繰り返しバースター設定工程にてバースターヘッドを挿入した当該バースターに加圧して、コンクリートシールを前記解体コンクリート板長さの分だけ残りのコンクリートシールから分離させる繰り返しコンクリートシール分離工程と
前記繰り返しコンクリートシール分離工程にて分離して得た板状のコンクリートをトンネルの外に持ち出すべく車両に積載する繰り返し板状コンクリート搬出工程と、
を有し、前記繰り返し穿孔ボーリング工程と、前記繰り返しバースター設定工程と、前記繰り返しコンクリートシール分離工程と、前記繰り返し板状コンクリート搬出工程とを必要な回数繰り返すことを特徴とする。
これにより、粉塵の発生を最小限に抑えるとともに、作業の安全を確保し、作業員の労働を軽くし、工期の短縮ができる。
【0009】
上述のコンクリートシール解体撤去工法であって、
前記解体コンクリート板長さ決定工程において、解体して撤去すべきコンクリート板の長手方向の長さを決めるにあたっては、解体したコンクリートを搬出するのに用いる車両の大きさ、積載制限重量、クレーンの能力を考慮することを特徴とする。
これにより、トンネル内における粉塵の発生を防ぐとともに、搬出効率を上げることができる。
【0010】
上述のコンクリートシール解体撤去工法であって、
前記板状コンクリート搬出工程にて外に搬出した板状のコンクリートを石状に破砕してコンクリートガラにするコンクリート破砕工程
をさらに有することを特徴とする。
これにより、トンネル外の開放的な空間でコンクリートを破砕できる。
【0011】
前記近位端コアボーリング工程、前記遠位端コアボーリング工程において前記コア削孔を複数設ける際に、一つのコア削孔において前記コンクリートシールの厚さを測定し、
前記コンクリートシールの厚さが160ミリメートル以上である場合には、前記解体コンクリート板長さを1メートル以下とし、
前記コンクリートシールの厚さが150ミリメートル以下である場合には、前記解体コンクリート板長さを1メートル以上2メートル以下とする
ことを特徴とする。
これにより、解体コンクリート板の長さを適切に設けることができ、バースター加圧によるコンクリートシールの割裂を効果的になすことができる。
【0012】
前記近位端コアボーリング工程、前記遠位端コアボーリング工程、前記中間位置穿孔ボーリング工程、前記繰り返し穿孔ボーリング工程において、
前記コンクリートシールの厚さが160ミリメートル以上である場合には、深さ140ミリメートルからは深さを確認しながら穿孔する
ことを特徴とする。
これにより穿孔し過ぎにより、バースターヘッドがうまくコンクリートシールに接しないという事態を回避できる。
【0013】
前記板状コンクリート搬出工程において、
前記非常用配水本管の水の流れの下流側より積み込み、搬出する
ことを特徴とする。
これにより、非常用配水本管の老朽化による水漏れが発生している場合に、その箇所を特定しやすい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、粉塵の発生を最小限に抑えるとともに、作業の安全を確保し、作業員の労働を軽くし、工期の短縮ができるコンクリートシール解体工法を提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】工法のフローチャートの前半を示す図である。
図2】工法のフローチャートの後半を示す図である。
図3】トンネル配水系統図である。
図4】監視員通路断面図(撤去)、監視員通路断面図(更新後)、監視員通路平面図である。
図5】手摺(ハンドレール)撤去を示す図である。
図6】撤去した手摺(ハンドレール)を搬出する図である。
図7】手摺撤去完了後を示す図である。
図8】消火栓部及び非常電話部の立入禁止措置を示す図である。
図9】コア削孔を示す図である。
図10】コア削孔完了後を示す図である。
図11】コア削孔のピッチを示す図である。
図12】油圧ユニット、油圧ジャッキ、空気圧搾機、発電機などコンクリートシールの静的破砕に用いる機械を示す図である。
図13】バースター(油圧ジャッキ)を設置し、加圧し、撤去する様子を示す図である。
図14】破砕した板状のコンクリートシールを撤去する様子を示す図である。
図15】破砕した板状のコンクリートシールを吊込み、搬出する様子を示す図である。
図16】トンネル壁面水切り部の様子を示す図である。
図17】トンネル外の開放された場でコンクリートを小割りするようすを示す図である。
図18】バースター工法参考図 シールコンクリートの厚み確認(試掘)
図19】バースター工法参考図 墨だし(コア削孔用)シールコンクリートとハンドホール立壁の縁切り
図20】バースター工法参考図 コア 削孔 バースター工法破砕機によるコンクリートの破砕 コンクリート破砕ガラの積込み、搬出
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、本発明の実施形態1について、図1から図17までを参照しながら詳細に説明し、本発明の実施形態2について図18図19図20を参照しつつ説明する。
【0017】
≪実施形態1≫
図1は、工法のフローチャートの前半を示す図である。
「光ケーブル等ルート作業前確認」は、作業員全員によるKY(危険予知活動)を実施することから始めて、内装板の下部及び上部よりケーブルの立ち上がりがないか、又はラックより監査路方向へケーブルが分岐していないか確認する作業である。
「近接工事施工前準備」は、作業箇所が順次移動していくにつれて、近接する工事個所の施工前準備をする作業である。具体的には、注意喚起看板(ラバーコーンにて表示)の設置を行う。近接工事に必要な機器、工具の準備をする。
「ハンドレール撤去」は、監査路と車道を隔てる手摺を撤去する作業である。ハンドレール撤去後、消火栓個所については、縦断方向へ人がいけないように通行止め(仮設)処置を施す。
「ハンドホール蓋「開」・「閉」」は、蓋の落下によりハンドホール内のケーブルが損傷しないように行う作業である。ハンドホール鍵穴から手鍵が抜けないようにする。蓋を開ける際は、蓋の移動先を作業員同士で事前に確認して行う。
「静的破砕のためのコアボーリング」は、監査路コンクリート厚(160ミリメートル)をコア削孔する際、穿孔し過ぎないようにするため深さ140ミリメートルくらいからはゆっくり穿孔する。コアボーリングの結果、コアを採取し、厚さを確認し、鉄筋の有無を確認する。その後、コア削孔を実施する。障害があれば監督員と協議する。このとき、シールコンクリートの厚さが150ミリメートル以下であれば、コア削孔のピッチは2メートル以内でよい。シールコンクリートの厚さが160ミリメートル以上であれば、コア削孔ピッチを1メートル以内とする。このコア削孔のピッチがシールコンクリートを破砕した結果の板状コンクリートの長さを決めることになる。
「静的破砕(バースター工法)」は、本発明における最も特徴的な作業であり、コア削孔の隣接する二つ、つまりコア削孔ピッチだけ隔てた二つの穿孔の間で破砕を行うことにより板状のコンクリートとする作業である。バースターヘッドと呼ぶ圧力を加えるヘッドをコア削孔に挿入するが、このとき、バースターヘッドの作用方向(圧力を加える方向)が破砕方向に向いていることを確認し、ヘッドの中心がコンクリート圧の中心になるようにセットする。加圧はコンクリートの変位状況と加圧状況を確認しながら行い、割裂したら、加圧をストップする。
「ハンドホール蓋(開)」は、ハンドホール開閉のマニュアルに沿い、開け、蓋はコア削孔に影響ない場所に仮置きする。
「近接工事対象物の養生取付」は、ハンドホール内へは原則立ち入り禁止であるので、合板や毛布などでケーブルや配管を養生する作業である。
「ハンドホールたち壁コアボーリング」は、既設たち壁における配水管及び多孔陶管の高さの確認を行いながら、コア削孔を行う作業である。予定の深さ以上に穿孔しすぎないようにするため、ボーリングマシンのケーシングに所定深さにマーキングし監理する。
「ハンドホール蓋(閉)」は、たち壁の撤去を押さえ砂撤去完了後に行うので、一旦、ハンドホールの蓋を閉じる作業である。
「監査路コンクリート撤去」は、水の流れの下流側よりコンクリートガラ(板状のコンクリート)をトラックに積み込み、搬出する作業である。ここで下流側より搬出するのは、配水管が水漏れしている場合に対処し、その場所を特定しやすくするためである。
【0018】
図2は、工法のフローチャートの後半を示す図である。
「押さえ砂撤去工」は、配水管を布設した上を押さえている砂を撤去する作業である。高出力のバキューム車を用いる。吸い込み前に、砂を鋤簾などでほぐしながら、多孔陶管外にケーブルがないことを確認する。吸込みは、配水管真上付近で行い、多孔陶管上部で砂を直接吸込むことがないように行う。高出力のバキューム車で、砂の吸い込み搬出を行う。状況に応じて、手作業にて、砂を積込み搬出する。
「ハンドホールたち壁撤去」は、蓋受アングルを電動サンダー等で切断し、撤去する。ハンドホールの外側より、電動ピック等で四隅を削孔する。この場合、ハンドホールの内側から合板を当て養生を行う。破砕撤去はハンドホールの外側に向け行い、内部にガラ等は入らないように配慮して作業を行う。
「配水本管敷設」は、配水管の吊込みをして敷設する作業である。既設多孔陶管との接触に十分配慮し配管を行う。特にハンドホール内は、養生状態を再点検し細心の注意を払い、配管作業を行う。
「多孔陶管敷設」は、多孔陶管を確実に接続し敷設する作業です。エフレックスを使用するとき、安定しない場合は番線等で固定する。
「ハンドホールたち壁型枠、コンクリート打設・脱枠」では、型枠作業を原則として外側より行い、内部には最小限の仮設を設置して組上げる。コンクリート打設時は、内部を合板等で覆い生コンが入らないように配慮して打設を行う。内部の脱枠は特に注意が必要で、ケーブル等に影響がないように十分気を付けて作業を行う。
「ハンドホール蓋取付」は、脱枠後のモルタル補修を完了後、早めに蓋の取り付けを行う。
「押さえ砂埋戻し」は、二回に分けて行う。一回目の埋戻しは、配水本管の上部まで砂を投入し、管下の充填をしっかり行い、踏み固め等で転圧を行う。二回目は天端まで砂を投入し、水締めを行いプレート式転圧機で転圧する。
「監査路コンクリート打設」は、押さえ仕上げがあるため午前中に終わるように計画を行う(氷点下になる場合は原則として、コンクリート打設は行わない)。養生はマット等で行う。
「ハンドレール取付」は、監査路コンクリート養生後、取付を行う。
「後片付け・退場」では、作業終了後、速やかに後片付けを行い退場する。
【0019】
図3は、トンネル配水系統図である。
図3に示すように、トンネル内には、消火栓が複数設けられていて、それらの消火栓に水を供給するために配水管が設けられる。
【0020】
図4は、監視員通路断面図(撤去)、監視員通路断面図(更新後)、監視員通路平面図である。
監視員通路1は、トンネル躯体側とトンネル車道側との間に設けられ、監視員が歩く部分はシールコンクリートが鉄筋が入っていない状態で設けられており、その厚みは100ミリメートルから150ミリメートルほどである。シールコンクリートの真下には、非常用配水本管が設けられ、その上に砂が投入されている。ハンドホール側壁部は、例外的に砂が投入されていない部分である。
図4の下の図に一定のピッチで描かれている円は、コア削孔2である。このコア削孔にバースター機材(加圧する機材)のヘッド部分(バースターヘッド)を挿入することにより静的破砕がなされる。バースターヘッドには、破砕方向が定められており、その向きを破砕したい向きに合わせてバースター機材に圧力を加えることでシールコンクリートの割避がなされる。
図4の下の図に示されるように、コア削孔は、一定の間隔(ピッチ)で設けられるので、破砕された結果のシールコンクリートは、同程度の大きさの板状のコンクリートとなる。その板状のコンクリートはクレーンで吊り上げて、トラックに載せて搬出可能である。
【0021】
図5は、手摺(ハンドレール)撤去を示す図である。図5に上中下の三枚の図があるうち、上図はハンドレールが消火栓の設けられている部分以外に設けられていることを示している。中図と下図は、ハンドレールが監視員通路に取り付けられている状態を示す。
【0022】
図6は、撤去した手摺(ハンドレール)を搬出する図である。取り外したハンドレールはトラックに積み込まれて搬出される。
【0023】
図7は、手摺撤去完了後を示す図である。図7下図に示すように、ボルトを再び使えるように養生しておく。
【0024】
図8は、消火栓部及び非常電話部の立入禁止措置を示す図である。
【0025】
図9は、コア削孔を示す図である。ここでは直径100ミリメートルのコア削孔(ジャッキ孔)を設けている。
【0026】
図10は、コア削孔完了後を示す図である。
【0027】
図11は、コア削孔のピッチを示す図である。ここでは1メートルのピッチ(間隔)でコア削孔が設けられている。
【0028】
図12は、油圧ユニット、油圧ジャッキ、空気圧搾機、発電機などコンクリートシールの静的破砕に用いる機械を示す図である。空気圧搾機が一台の二トン車に積まれており、発電機と油圧ユニットがもう一台の二トン車に積まれている。
【0029】
図13は、バースター(油圧ジャッキ)を設置し、加圧し、割裂してできたコンクリート板を撤去する様子を示す図である。
【0030】
図14は、破砕した板状のコンクリートシールを撤去する様子を示す図である。クレーンは、4トン車に積まれており、板状のコンクリートは4トン車に積まれて搬出される。
【0031】
図15は、破砕した板状のコンクリートシールを吊込み、搬出する様子を示す図である。このとき同程度の大きさのコンクリート板を整然と積み込むので搭載効率もよく、粉塵の発生も少ない。
【0032】
図16は、トンネル壁面水切り部の様子を示す図である。図16下図は、シールコンクリートが撤去された状態を示す。
【0033】
図17は、トンネル外の開放された場でコンクリートを小割りするようすを示す図である。開放された場では粉塵が生じてもトンネル外であるので、問題が少ない。小割されたコンクリートはコンクリートガラとして産業廃棄物となる。
【0034】
≪実施形態2≫
実施形態2では、実施形態1において図9から図15までに示したバースター工法の詳細について、もっと詳しく説明する。
図18は、バースター工法参考図 シールコンクリートの厚み確認(試掘)を示す図である。
図19は、バースター工法参考図 墨だし(コア削孔用)シールコンクリートとハンドホール立壁の縁切りを示す図である。
図20は、バースター工法参考図 コア 削孔 バースター工法破砕機によるコンクリートの破砕 コンクリート破砕ガラの積込み、搬出を示す図である。
【0035】
<近位端コアボーリング工程と遠位端コアボーリング工程、それに続く近位端コンクリートシール割裂工程と遠位端コンクリートシール割裂工程>
図14から図15において示したように、本発明にかかる工法にあっては寸法が同一の長方形の形状の板状の解体コンクリートを、そのもとのコンクリートシールから分離させて、分離した解体コンクリートをクレーンで吊り上げて車両の荷台に載せて搬出する。ここで解体コンクリートをもとのコンクリートシールから分離させるには図20に示すようにコンクリートシールの短手方向の中央部にコア削孔を所定間隔(図20では1メートル間隔)で設けて、当該コア削孔にバースターヘッドを挿入し、バースターヘッドの作用方向(圧力を加える方向)がコンクリートシールの長手方向と一致するようにする。そのことによって解体コンクリートを残りのコンクリートシールから分離させるものである。
この時、圧力をコンクリートシールの長手方向に加えるので、その圧力が逃げるスペースがあるのが望ましい。圧力が逃げるスペースというのは、言い換えると解体コンクリート及び残りのコンクリートシールがわずかに移動するためのスペースである。そのスペースがあることにより、分離させる解体コンクリートをきれいな長方形とすることができる。反対にそのスペースがなければバースターヘッドから加える圧力の逃げ場がないために、解体コンクリートをきれいに分離させることができない。
そこで、一続きのコンクリートシールの両端(近位端と遠位端)においてコア削孔の直径と同程度の幅(コンクリートシールの長手方向の幅)の部分を縁切りする工程(近位端コンクリートシール割裂工程と遠位端コンクリートシール割裂工程)を行う。図19の下に「縁切りを行うことで破砕したコンクリートの塊が動く(スライド)隙間を作る」と記載したのはこの意味である。
一続きのコンクリートシールというのは、ハンドホールの立壁からハンドホールの立壁の間のことである。トンネル内非常用配水本管に対してところどころ作業員が手を入れて操作可能な部分があり、ハンドホールと呼ばれる。そのハンドホールとコンクリートシールの間に設けられるのが立壁である。したがって近位端コンクリートシール割裂工程と遠位端コンクリートシール割裂工程は、図19にある「3.シールコンクリートとハンドホール立壁の縁切り」に該当する。この縁切りはコンクリートシールの短手方向に延びるように複数コア削孔を設けて、それらのコア削孔同士の間を割裂させるようにバースターヘッドを挿入し、当該バースターに加圧して破砕するものである。したがってここにおけるバースターの加圧方向は、コンクリートシールの短手方向である。
【0036】
ここまで述べたように、この工法にあっては、
前記コンクリートシールの延びる方向である長手方向の両端のうちの一方の端である近位端において、前記長手方向に対して直角の方向である短手方向に複数延びるように、コアとなる孔であるコア削孔を複数設ける近位端コアボーリング工程と、
前記近位端コアボーリング工程で設けられた複数の前記コア削孔同士の間を割裂させるようにバースターヘッドを挿入し、当該バースターに加圧して、前記コンクリートシールを前記近位端において破砕する近位端コンクリートシール割裂工程と、
前記コンクリートシールの延びる方向である長手方向の両端のうちの他方の端である遠位端において、前記長手方向に対して直角の方向である短手方向に複数延びるように、コアとなる孔であるコア削孔を複数設ける遠位端コアボーリング工程と、
前記遠位端コアボーリング工程で設けられた複数の前記コア削孔同士の間を割裂させるようにバースターヘッドを挿入し、当該バースターに加圧して、前記コンクリートシールを前記遠位端において破砕する遠位端コンクリートシール割裂工程と、
をまず実施する。
【0037】
<コンクリートシールの厚み確認(試掘)と墨出し(コア削孔用)>
解体コンクリートの長さ(コンクリートシールの長手方向に沿って測った長さ)をどれだけにするかは、コンクリートシールの厚みがどれだけであるかを確認する作業(試掘)に基づいてなされる。
図18の下に「厚み150mm以下 コア削孔サイズ160φピッチ2メートル」とあるのは、試掘の結果コンクリートシールの厚みが150mm以下であることがわかったら、解体コンクリート板の長さを2メートルとし、解体コンクリート板を分離するためのコア削孔のサイズを160φとするという意味であり、
「厚み160mm以上 コア削孔サイズ110φピッチ1メートル」とあるのは、試掘の結果コンクリートシールの厚みが160mm以上であることがわかったら、解体コンクリート板の長さを1メートルとし、解体コンクリート板を分離するためのコア削孔のサイズを110φとするという意味である。
ここで、図18に描いたように試掘を近位端、遠位端のそれぞれにおいてコンクリートシールの短手方向の中央に一つだけ行うと、図19に示す墨出し(解体コンクリート板を分離するためのコア削孔の位置をマーキングすること)の作業がやりやすい可能性がある。近位端と遠位端との間を行ったり来たりすることを省きたい場合には、近位端、遠位端のそれぞれに複数の削孔をあけてしまうやり方も考えられる。
試掘の結果、適切な解体コンクリート板の長さ及び解体コンクリート板を分離するために設けるコア削孔のサイズを決定したならば、墨出しを行い、図20に示すように、コア削孔、バスター工法破砕機によるコンクリートの破砕、コンクリート破砕ガラの積込み、搬出の工程を進める。
この段階における解体コンクリート板を分離する作業は、バスター工法破砕機によるコンクリートの破砕ではあるが、可能な限り長方形に近い形状で解体コンクリート板を分離する作業であるので、「分離」という言葉を本発明では用いて表現することにする。
【0038】
上述の工程を1回目の解体コンクリート板を分離する作業まで表現すると次のようになる。
前記近位端コアボーリング工程又は前記遠位端コアボーリング工程から前記コンクリートシールの厚さを取得し、解体して撤去すべきコンクリート板の長手方向の長さを決める解体コンクリート板長さ決定工程と、
前記近位端又は前記遠位端のいずれかの位置から前記解体コンクリート長さだけもう一方の端に近づけた位置において、前記短手方向の中央位置に穿孔を設ける中間位置穿孔ボーリング工程と、
前記中間位置穿孔ボーリング工程で設けられた前記穿孔にバースターヘッドを挿入し、前記バースターヘッドの作用方向が前記長手方向と一致するように合わせるとともに、バースターヘッドの中心の位置が前記コンクリートシールの厚みの中心になるようにセットするバースター設定工程と、
前記バースターヘッドを挿入した当該バースターに加圧して、コンクリートシールを前記解体コンクリート板長さの分だけ残りのコンクリートシールから分離させるコンクリートシール分離工程と
前記コンクリートシール分離工程にて分離して得た板状のコンクリートをトンネルの外に持ち出すべく車両に積載する板状コンクリート搬出工程と、
を実施する。
【0039】
図20に描いたやり方では、コア削孔をコンクリートシール全体にわたって全て行ってからバスター工法破砕機によるコンクリートの破砕を行っているが、1回目の解体コンクリート板の分離、車両への積載を終えてから2回目の解体コンクリート板の分離のためのコア削孔を実施してもよい。
【0040】
2回目の解体コンクリート板の分離から、最後の解体コンクリート板の分離までを表現すると次のようになる。
前記板状コンクリート搬出工程にて残ったコンクリートシールの端から前記解体コンクリート長さだけもう一方の端に近づけた位置において、前記短手方向の中央位置に穿孔を設ける繰り返し穿孔ボーリング工程と、
前記繰り返し穿孔ボーリング工程で設けられた前記穿孔にバースターヘッドを挿入し、前記バースターヘッドの作用方向が前記短手方向と一致するように合わせるとともに、バースターヘッドの中心の位置が前記コンクリートシールの厚みの中心になるようにセットする繰り返しバースター設定工程と、
前記繰り返しバースター設定工程にてバースターヘッドを挿入した当該バースターに加圧して、コンクリートシールを前記解体コンクリート板長さの分だけ残りのコンクリートシールから分離させる繰り返しコンクリートシール分離工程と
前記繰り返しコンクリートシール分離工程にて分離して得た板状のコンクリートをトンネルの外に持ち出すべく車両に積載する繰り返し板状コンクリート搬出工程と、
を有し、前記繰り返し穿孔ボーリング工程と、前記繰り返しバースター設定工程と、前記繰り返しコンクリートシール分離工程と、前記繰り返し板状コンクリート搬出工程とを必要な回数繰り返す。
【0041】
前述のコンクリートシール解体撤去工法では、
前記解体コンクリート板長さ決定工程において、解体して撤去すべきコンクリート板の長手方向の長さを決めるにあたっては、解体したコンクリートを搬出するのに用いる車両の大きさ、積載制限重量、クレーンの能力を考慮することが望ましい。
わが国における自動車用トンネルの大きさを考慮すると、トンネル内に4トン車を入れたのでは、作業中の他の車の交通が妨げられる可能性が高い。となると3.5トン車が限界であるかと思われる。3.5トン車の積載制限重量、荷台の大きさ、クレーンの能力がおのずと決まってくる。それにより解体したコンクリート板の長さが決まる。
【0042】
前述のコンクリートシール解体撤去工法では、
前記板状コンクリート搬出工程にてトンネルの外に搬出した板状のコンクリートを石状に破砕してコンクリートガラにするコンクリート破砕工程
をさらに有する。
産業廃棄物を処理するために、処理場に運搬することになるが、クレーンの付いた車両を処理場まで用いるのは得策ではない。適切な場所で解体したコンクリート板をより細かなコンクリートガラに砕いて、ダンプカーに載せ替えて処理場まで運搬するのが望ましい。
【0043】
前記近位端コアボーリング工程、前記遠位端コアボーリング工程において前記コア削孔を複数設ける際に、一つのコア削孔において前記コンクリートシールの厚さを測定し、
前記コンクリートシールの厚さが160ミリメートル以上である場合には、前記解体コンクリート板長さを1メートル以下とし、
前記コンクリートシールの厚さが150ミリメートル以下である場合には、前記解体コンクリート板長さを1メートル以上2メートル以下とする
ことを特徴とする。
【0044】
前記近位端コアボーリング工程、前記遠位端コアボーリング工程、前記中間位置穿孔ボーリング工程、前記繰り返し穿孔ボーリング工程において、
前記コンクリートシールの厚さが160ミリメートル以上である場合には、深さ140ミリメートルからは深さを確認しながら穿孔する
ことを特徴とする。
バースターヘッドを挿入するのに適切な孔とすべきであり、大きさが大きすぎるとバースターヘッドの接触が悪くて圧力がうまく伝達できない場合があるからである。
【0045】
前記板状コンクリート搬出工程において、
前記非常用配水本管の水の流れの下流側より積み込み、搬出する
ことを特徴とする。
漏水している場合にその箇所を見出しやすくするためである。
【0046】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の実施形態は上述した実施形態に限るものではない。
【符号の説明】
【0047】
1 監視員通路
2 コア削孔
【要約】
【課題】清潔、安全、短時間、作業者に負担の少ないコンクリートシール解体撤去工法を提供するを提供する。
【解決手段】高速道路または一般道路トンネル内における非常用配水本管交換のために非常用配水本管を布設した上部のコンクリートシールを解体し撤去する工法であって、 前記コンクリートシールを板状を保ったまま静的破砕して解体すべく、隣接する複数の孔の間の距離であるコア削孔ピッチを経て、コアとなる孔であるコア削孔を複数設けるコアボーリング工程と、バースターヘッドの作用方向が隣接するコア削孔を向くことにより破砕方向と一致するように合わせるとともに、バースターヘッドの中心の位置が前記コンクリートシールの厚みの中心になるようにセットするバースター設定工程と、バースターに加圧して、コンクリートシールを割裂させ、破砕するコンクリートシール割裂工程とを有する。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20