(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-19
(45)【発行日】2025-02-28
(54)【発明の名称】衣服及び品質表示部材
(51)【国際特許分類】
A41D 27/00 20060101AFI20250220BHJP
A41D 31/04 20190101ALI20250220BHJP
【FI】
A41D27/00 Z
A41D31/04 E
A41D31/04 Z
(21)【出願番号】P 2024550104
(86)(22)【出願日】2023-09-15
(86)【国際出願番号】 JP2023033774
(87)【国際公開番号】W WO2024070778
(87)【国際公開日】2024-04-04
【審査請求日】2024-09-09
(31)【優先権主張番号】P 2022154006
(32)【優先日】2022-09-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】521320911
【氏名又は名称】HONESTIES株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004222
【氏名又は名称】弁理士法人創光国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】西出 喜代彦
【審査官】須賀 仁美
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2021/107127(WO,A1)
【文献】特開2007-262641(JP,A)
【文献】特開2011-167181(JP,A)
【文献】特開2011-85719(JP,A)
【文献】実開昭60-49117(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A41D27/00-27/28
A41D31/04
D06H1/04
G09F3/14
A41B9/00-9/16
A41B13/00-17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1面と、該第1面の反対側の第2面を有する衣服であって、
前記衣服の品質に関する品質情報を示し、前記第2面に設けられた品質表記部と、
前記品質情報以外の情報を示し、前記品質表記部を覆うように設けられた表記覆い部と、
を備え、
前記品質表記部及び前記表記覆い部の少なくとも一方は、前記品質表記部が前記表記覆い部によって隠れている第1状態と前記品質表記部の少なくとも一部が露出している第2状態との間で遷移できるように、変形可能である、
衣服。
【請求項2】
前記衣服は、前記第1面と前記第2面の両方を使用可能なリバーシブル衣服である、
請求項1に記載の衣服。
【請求項3】
前記表記覆い部は、前記衣服を識別するための識別情報を示す識別表記部である、
請求項1又は2に記載の衣服。
【請求項4】
前記品質表記部に対する前記表記覆い部の位置がずれるように変形することで、前記品質表記部が前記第1状態から前記第2状態へ遷移する、
請求項1又は2に記載の衣服。
【請求項5】
前記表記覆い部の一部が捲れるように変形することで、前記品質表記部が前記第1状態から前記第2状態へ遷移する、
請求項1又は2に記載の衣服。
【請求項6】
前記品質表記部は、前記第2面に取り付けられた第1タグであり、
前記表記覆い部は、前記第1タグの両面を挟むように環状に設けられた伸縮可能な第2タグであり、
前記第2タグが伸びて位置をずらすことで、前記品質表記部が前記第1状態から前記第2状態へ遷移する、
請求項1又は2に記載の衣服。
【請求項7】
前記表記覆い部は、一部が捲れるように前記第2面に平らに固定されており、
前記表記覆い部の前記一部が捲れることで、前記品質表記部が前記第1状態から前記第2状態へ遷移する、
請求項1又は2に記載の衣服。
【請求項8】
前記品質表記部は、前記第2面の縫い目上に印字されており、
前記表記覆い部は、前記品質表記部及び前記縫い目を覆うと共に、一部が捲れるように固定されており、
前記表記覆い部の前記一部が捲れることで、前記品質表記部が前記第1状態から前記第2状態へ遷移する、
請求項1又は2に記載の衣服。
【請求項9】
第1面と、該第1面の反対側の第2面を有する物品に備え付けられた品質表示部材であって、
前記物品の品質に関する品質情報を示し、前記第2面に設けられた品質表記部と、
前記品質情報以外の情報を示し、前記品質表記部を覆うように設けられた表記覆い部と、
を備え、
前記品質表記部及び前記表記覆い部の少なくとも一方は、前記品質表記部が前記表記覆い部によって隠れている第1状態と前記品質表記部の少なくとも一部が露出している第2状態との間で遷移できるように、変形可能である、
品質表示部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衣服及び品質表示部材に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、利便性が高い衣服が提案されている。例えば、下記の特許文献1には、通常状態から反転させた裏返し状態でも通常状態と同様に着ることができる衣服が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
法令(例えば家庭用品品質表示法)上の要請等から衣服に品質表示を付することが求められており、例えば、衣服に品質表示のタグ(以下、品質表記タグとも呼ぶ)が縫い付けられている。しかし、衣服に縫い付けられた品質表示タグによる品質表示は、衣服の意匠性を損なう場合が多い。
【0005】
そこで、本発明はこれらの点に鑑みてなされたものであり、衣服等の物品の意匠性を損なわずに品質表示を付することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様においては、第1面と、該第1面の反対側の第2面を有する衣服であって、前記衣服の品質に関する品質情報を示し、前記第2面に設けられた品質表記部と、前記品質情報以外の情報を示し、前記品質表記部を覆うように設けられた表記覆い部と、を備え、前記品質表記部及び前記表記覆い部の少なくとも一方は、前記品質表記部が前記表記覆い部によって隠れている第1状態と前記品質表記部の少なくとも一部が露出している第2状態との間で遷移できるように、変形可能である、衣服を提供する。
【0007】
また、前記衣服は、前記第1面と前記第2面の両方を使用可能なリバーシブル衣服であることとしてもよい。
【0008】
また、前記表記覆い部は、前記衣服を識別するための識別情報を示す識別表記部であることとしてもよい。
【0009】
また、前記品質表記部に対する前記表記覆い部の位置がずれるように変形することで、前記品質表記部が前記第1状態から前記第2状態へ遷移することとしてもよい。
【0010】
また、前記表記覆い部の一部が捲れるように変形することで、前記品質表記部が前記第1状態から前記第2状態へ遷移することとしてもよい。
【0011】
また、前記品質表記部は、前記第2面に取り付けられた第1タグであり、前記表記覆い部は、前記第1タグの両面を挟むように環状に設けられた伸縮可能な第2タグであり、前記第2タグが伸びて位置をずらすことで、前記品質表記部が前記第1状態から前記第2状態へ遷移することとしてもよい。
【0012】
また、前記表記覆い部は、一部が捲れるように前記第2面に平らに固定されており、前記表記覆い部の前記一部が捲れることで、前記品質表記部が前記第1状態から前記第2状態へ遷移することとしてもよい。
【0013】
また、前記品質表記部は、前記第2面の縫い目上に印字されており、前記表記覆い部は、前記品質表記部及び前記縫い目を覆うと共に、一部が捲れるように固定されており、前記表記覆い部の前記一部が捲れることで、前記品質表記部が前記第1状態から前記第2状態へ遷移することとしてもよい。
【0014】
本発明の第2の態様においては、第1面と、該第1面の反対側の第2面を有する物品に備え付けられた品質表示部材であって、前記物品の品質に関する品質情報を示し、前記第2面に設けられた品質表記部と、前記品質情報以外の情報を示し、前記品質表記部を覆うように設けられた表記覆い部と、を備え、前記品質表記部及び前記表記覆い部の少なくとも一方は、前記品質表記部が前記表記覆い部によって隠れている第1状態と前記品質表記部の少なくとも一部が露出している第2状態との間で遷移できるように、変形可能である、品質表示部材を提供する。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、衣服等の物品の意匠性を損なわずに品質表示を付することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】一の実施形態に係るリバーシブル衣服1の構成を説明するための模式図である。
【
図2】リバーシブル衣服1を裏返した状態が示されている。
【
図4】第1変形例に係る品質表記部120及び表記覆い部130を説明するための模式図である。
【
図5】第2変形例に係る品質表記部220及び表記覆い部230を説明するための模式図である。
【
図6】リバーシブル衣服1の変形例を説明するための模式図である。
【
図7】第3変形例に係る品質表記部320及び表記覆い部330を説明するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
<衣服の構成>
本発明の一の実施形態に係る衣服の構成について、
図1~
図3を参照しながら説明する。以下では、衣服として、リバーシブル衣服を例に挙げて説明する。リバーシブル衣服は、第1面と第2面の両方を使用可能な衣服であるが、「使用」とは一般的に「着用」であることを意味し、「両方を使用可能」とは第1面と第2面とのどちらの面が内側(又は外側)になった状態で着用できることを意味する。すなわち、リバーシブル衣服は、意匠性・着用感等の観点から第1面と第2面のいずれの面を内側(又は外側)にして着用しても支障がなく、製品としてそのような使用態様が予定されている衣服である。
【0018】
以下では、衣服として、リバーシブル衣服であるシャツを例に挙げて説明するが、これに限定されない。例えば、本発明に係る衣服としては、パンツ、ズボン、トレーナー、靴下、反物、和服、帽子等であってもよい。なお、本発明に係る衣服が、リバーシブル衣服であることとしたが、これに限定されず、例えば、本発明に係る衣服は、第1面と第2面のうちの片方(ここでは、第1面)が外側になった状態で使用を予定されている衣服(別言すれば、リバーシブルでない衣服)であってもよい。
【0019】
図1は、一の実施形態に係るリバーシブル衣服1の構成を説明するための模式図である。
図2は、
図1のリバーシブル衣服1を裏返した状態が示されている。
図3は、
図2の部分Aを拡大した模式図である。なお、
図3(a)には品質表記部20が表記覆い部30によって隠れている覆い状態が示され、
図3(b)には品質表記部20の少なくとも一部が露出している露出状態が示されている。なお、本実施形態では、覆い状態が、品質表記部20が表記覆い部30によって隠れている第1状態に該当し、露出状態が、品質表記部20の少なくとも一部が露出している第2状態に該当する。
【0020】
リバーシブル衣服1は、表裏両面とも使える衣服である。すなわち、リバーシブル衣服1は、
図1及び
図2に示すように裏返すことで、第1面11と第2面12の両方を使用可能である。ここでは、第1面11が表面であり、第1面11の反対側(すなわち、裏側)の面である第2面12が裏面であるものとする。
【0021】
リバーシブル衣服1は、
図3に示すように、品質表記部20と、表記覆い部30を有する。品質表記部20及び表記覆い部30は、ここではリバーシブル衣服1の第2面12に設けられている。
【0022】
品質表記部20は、リバーシブル衣服1の品質に関する品質情報22を示す。品質情報は、例えば、リバーシブル衣服1の取り扱い絵表示、繊維の組成表示、表示者名等を含む。
図3(b)では、説明の便宜上、品質情報22が「△△△」のように簡略化して示されている。品質表記部20は、リバーシブル衣服1の特徴や扱い方について使用者と製造者との間で誤解が発生しないように、またトラブルから使用者を保護する観点から設けられている。
【0023】
品質表記部20は、ここでは、第2面12に取り付けられた品質表記タグ(第1タグ)である。品質表記部20の長手方向の一端は、リバーシブル衣服1の縫い目12a(例えば、リバーシブル衣服1の前身頃と後身頃の縫い目)に縫い付けられている。品質表記部20の長手方向の他端21aは、第2面12に固定されない自由端となっている。なお、品質表記部20の材質は、一例としてポリエステル、綿、レーヨンのいずれかである。上記では品質表記部20の長手方向の一端が縫い付けられていることとしたが、これに限定されない。例えば、品質表記部20が、2つ折り状態で、リバーシブル衣服1を挟み込むように取り付けられたり、縫い目に付けられたりしてもよい。
【0024】
表記覆い部30は、品質表記部20を覆うように設けられている。表記覆い部30は、品質表記部20よりも大きく、品質表記部20全体を覆っている。表記覆い部30は、品質表記部20と同様に、リバーシブル衣服1の縫い目12aに取り付けられている。具体的には、表記覆い部30の長手方向の一端が、縫い目12aに縫い付けられている。表記覆い部30は、外力によって変形しなければ、品質表記部20を覆う状態を保持する。このため、品質表記部20は、通常は覆い状態となっている。
【0025】
表記覆い部30は、品質情報以外の情報(以下、付加情報とも呼ぶ)を示す。ここでは、表記覆い部30は、付加情報として、リバーシブル衣服1の出所等を識別するための識別情報32を示す識別表記部である。識別情報は、例えば、当該識別情報を付された製品等の出所を表示する情報であり、より具体的な例としては、リバーシブル衣服1のブランド名を示す文字やロゴマークである。
図3(a)では、説明の便宜上、識別情報32が「h〇〇〇」のように簡略化して示されている。識別情報32としては、デザインを凝らしたロゴマーク等が望ましい。これにより、表記覆い部30がデザインの一部となり、
図2に示すように第2面12が表側になって表記覆い部30が露出しても、リバーシブル衣服1の意匠性を損なうおそれがない。
【0026】
なお、上記では、付加情報が、ロゴマーク等の識別情報32であることとしたが、これに限定されない。付加情報は、紋章や国旗等の図柄であってもよい。このような図柄であればワンポイントデザインとして認識され、リバーシブル衣服1の意匠性を損なうおそれがない。また、表記覆い部30は、例えば柄や模様が無い単色の生地(すなわち、無地)であってもよい。
【0027】
ところで、利用者にとっては、品質表記部20に示される品質情報22を適宜見たいケースがある。例えば、リバーシブル衣服1の繊維の組成を把握したく、利用者が品質表記部20の品質情報22を見る。しかし、品質表記部20が表記覆い部30で覆われたままだと、利用者が品質情報22を確認することが難しい。
【0028】
そこで、本実施形態のリバーシブル衣服1では、詳細は後述するが、品質表記部20及び表記覆い部30の少なくとも一方は、品質表記部20が表記覆い部30によって隠れている覆い状態と品質表記部20の少なくとも一部が露出している露出状態との間で遷移できるように、変形可能である。これにより、品質表記部20を露出状態に遷移させることで、使用者はリバーシブル衣服1の品質情報を容易に把握できる。一方で、品質情報を確認しない場合には、デザインの一部である表記覆い部30が品質表記部20を覆っている覆い状態を維持することで、品質表記部20が露出せず隠れているため、
図2に示すように第2面12を表側にしたリバーシブル衣服1の意匠性が損なわれることがない。
【0029】
本実施形態では、品質表記部20及び表記覆い部30が、第1面と該第1面の反対側第2面とを有する物品に備え付けられる品質表示部材を構成する。品質表示部材は、前述した品質表記部20及び表記覆い部30を有することで、物品の品質情報を容易に把握できる一方で、物品の意匠性が損なわれることを抑制できる。なお、品質表示部材が備え付けられる物品としては、例えば、タオル、ハンカチ、風呂敷、カバン、及び手提げ袋が挙げられる。また、品質表示部材が備え付けられる物品は、リバーシブルであってもよいし、リバーシブルではなくてもよい。例えば、品質表示部材が備え付けられる物品は、第1面及び第2面の用途が互いに固定であってもよく交換可能であってもよい。
【0030】
<品質表記部及び表記覆い部の詳細構成>
品質表記部20及び表記覆い部30の詳細構成の一例について、
図3を参照しながら説明する。
【0031】
以下では、品質表記部20及び表記覆い部30のうちの表記覆い部30が変形する構成を例に挙げて説明する。ここでは、
図2に示すようにリバーシブル衣服1の第2面12が表側に位置した状態で、表記覆い部30を変形させるものとする。
【0032】
品質表記部20は、表記覆い部30の品質表記部20に対する位置がずれるように変形することで、
図3(a)に示す覆い状態と、
図3(b)に示す露出状態との間で遷移可能である。
【0033】
表記覆い部30は、品質表記タグである品質表記部20の両面を挟むように環状に設けられた伸縮可能な伸縮タグ(第2タグ)である。表記覆い部30の長手方向の一端31aは、品質表記部20と同様に、リバーシブル衣服1の縫い目12aに縫い付けられており、長手方向の他端31bは自由端となっている。このため、表記覆い部30の長手方向の他端31b側を引っ張ることで表記覆い部30を伸ばすことができる。
【0034】
例えば、使用者は、
図3(b)に示すように、表記覆い部30の長手方向の他端31b側の内側に指Fを入れて移動させることで、表記覆い部30が伸びる。この際、使用者が、表記覆い部30を斜め下又は斜め上に伸ばすことで、
図3(b)に示すように品質表記部20の一部が露出する。一方で、使用者が表記覆い部30から指Fを抜き出すことで、表記覆い部30が元の形状に復元し、
図3(a)に示す覆い状態に遷移する。
なお、表記覆い部30は、伸縮性を有することが望ましく、表記覆い部30の材質は、一例としてポリエステル、綿、レーヨンのいずれかである。上記では表記覆い部30の長手方向の一端が縫い付けられていることとしたが、これに限定されない。例えば、表記覆い部30が、2つ折り状態で、リバーシブル衣服1を挟み込むように取り付けられたり、縫い目に付けられたりしてもよい。
【0035】
上記のように伸縮タグである表記覆い部30が伸びて品質表記部20に対して位置がずれることで、品質表記部20が覆い状態から露出状態へ遷移する。これにより、使用者は、簡易な操作で、品質表記部20を覆い状態から露出状態へ遷移させることができるので、利便性に優れた構成を実現できる。
【0036】
なお、上記では、使用者が、伸縮可能な表記覆い部30を品質表記部20に対してずらすことで、品質表記部20が露出することとしたが、これに限定されない。例えば、使用者が、伸縮可能に構成された品質表記部20を表記覆い部30に対してずらすことで、品質表記部20が露出してもよい。また、品質表記部20及び表記覆い部30の両方が伸縮可能な場合には、使用者は、品質表記部20及び表記覆い部30の両方の位置をずらすことで、品質表記部20を覆い状態から露出状態へ遷移させてもよい。
【0037】
図4は、第1変形例に係る品質表記部120及び表記覆い部130を説明するための模式図である。
図4(a)には品質表記部120が表記覆い部130によって隠れている覆い状態が示され、
図4(b)には品質表記部120の少なくとも一部が露出している露出状態が示されている。
【0038】
前述した実施形態では、
図3(b)に示すように表記覆い部30が伸びて位置をずらすことで、品質表記部20が覆い状態から露出状態へ遷移させるが、第1変形例においては、表記覆い部130の一部が捲れるように変形することで、品質表記部120が覆い状態から露出状態へ遷移する。
【0039】
表記覆い部130は、ここでは矩形のワッペンであり、矩形の品質表記部120よりも大きい。そして、表記覆い部130は、
図4(a)に示すように品質表記部120の全体を覆っており、通常時は、品質表記部120が露出していない(
図4(a))。
また、表記覆い部130は、一部が捲れるように第2面12(
図3参照)に平らに固定されている。具体的には、表記覆い部130の4辺131a、131b、131c、131dのうちの3辺131a、131b、131cが第2面12に縫い付けられており、残りの1辺131dは第2面12に縫い付けられていない。辺131aは、縫い目110を跨ぐように縫い付けられている。使用者は、縫い付けられていない1辺131dを捲ることが可能となっている。
【0040】
使用者は、品質表記部120の品質情報22を見たい場合には、
図4(b)に示すように表記覆い部130の一部(辺131a側)を捲る。これにより、品質表記部120の品質情報22の少なくとも一部が露出する。このように、第1変形例においては、表記覆い部130の一部(辺131a側)が捲れることで、品質表記部120が覆い状態から露出状態へ遷移する。また、表記覆い部130には識別情報32が示されているので、表記覆い部130が露出していてもリバーシブル衣服1の意匠性を損なわない。
【0041】
なお、第1変形例では表記覆い部130が矩形のワッペンであることとしたが、これに限定されない。例えば、表記覆い部130は楕円形状のワッペンや、矩形以外の多角形状のワッペンであってもよい。
【0042】
図5は、第2変形例に係る品質表記部220及び表記覆い部230を説明するための模式図である。
図5(a)には品質表記部220が表記覆い部230によって隠れている覆い状態が示され、
図5(b)には品質表記部220の少なくとも一部が露出している露出状態が示されている。
【0043】
第2変形例における品質表記部220は、
図5(b)に示すように、第2面12(
図2)の縫い目210上に印字されている。表記覆い部230は、品質表記部220及び縫い目210を覆うように設けられている。また、品質表記部220は、一部が捲れるように第2面12に固定されている。具体的には、表記覆い部230の長手方向の両端231a、231bが第2面12に縫い付けられており、
図5(b)に示すように長手方向の中央側を捲ることができる。表記覆い部230は、例えばテープで形成されている。
【0044】
使用者は、品質表記部220の品質情報22を見たい場合には、
図5(b)に示すように表記覆い部230の中央側を捲る。これにより、品質表記部220の品質情報22の少なくとも一部が露出する。このように、第2変形例においては、表記覆い部230の一部が捲れることで、品質表記部220が覆い状態から露出状態へ遷移する。また、表記覆い部230には識別情報32が示されているので、表記覆い部230が露出していてもリバーシブル衣服1の意匠性を損なわない。
【0045】
図6は、リバーシブル衣服2の変形例を説明するための模式図である。
図1及び
図2に示すリバーシブル衣服1は、表裏両面とも使える衣服であった。これに対して、
図6に示すリバーシブル衣服2は、表裏だけでなく前後を逆にしても利用できる衣服である。別言すれば、リバーシブル衣服2は、前後裏表のない衣服である。このリバーシブル衣服2においても、リバーシブル衣服1と同様に品質表記部20及び表記覆い部30が設けられており、意匠性を損なわずに品質情報22を確認することができる。
【0046】
なお、上述した実施形態では、表記覆い部30、130、230の位置をずらしたり捲ったりすることで、品質表記部20、120、220を露出状態に遷移させることとしたが、これに限定されない。例えば、表記覆い部(ここでは、表記覆い部30を例に説明する)に開閉可能なジッパーを設け、ジッパーが閉じている際には品質表記部20が覆い状態になり、ジッパーが開いている際には品質表記部20が露出状態になることとしてもよい。
【0047】
また、上述した実施形態では、品質表記部20、120、220及び表記覆い部30、130、230が第2面12のみに設けられていることとしたが、これに限定されない。例えば、品質表記部20、120、220及び表記覆い部30、130、230が、第2面12と第1面11に跨るように(
図7参照)、設けられていてもよい。
【0048】
図7は、第3変形例に係る品質表記部320及び表記覆い部330を説明するための模式図である。第3変形例に係る品質表記部320及び表記覆い部330は、
図7(a)に示すようにリバーシブル衣服1の脇の下部(具体的には、前身頃と後身頃の縫い目310の下部)に、設けられている。また、品質表記部320及び表記覆い部330は、
図7(b)に示すように、リバーシブル衣服1の裾13で折り返されており、第1面11と第2面12に跨るように取り付けられている。
【0049】
表記覆い部330の識別情報32は、
図7(a)に示すようにリバーシブル衣服1の第1面11側に露出しているだけでなく、第2面12側にも露出するように設けられている。品質表記部320は、
図7(a)及び
図7(b)に示すように、表記覆い部330に覆われている。品質表記部320の品質情報(
図3(b)の品質情報22)も、リバーシブル衣服1の第1面11及び第2面12側に位置している。
【0050】
表記覆い部330は、
図7(c)に示すように伸縮可能な構成となっており、例えば使用者が表記覆い部330の折り返し部331に指を入れて引っ張ることで、表記覆い部330の位置をずらしたり表記覆い部330を捲ったりすることができる。このように表記覆い部330が変形することで、品質表記部320の品質情報が露出することになり、使用者が品質情報を確認できる。
【0051】
<本実施形態における効果>
上述した衣服(具体的には、リバーシブル衣服1)において、品質表記部20及び表記覆い部30の少なくとも一方が、品質表記部20が表記覆い部30によって隠れている覆い状態(第1状態)と品質表記部20の少なくとも一部が露出している露出状態(第2状態)との間で遷移できるように、変形可能である。
これにより、例えば
図2に示すように第2面12を表側にしてリバーシブル衣服1を利用する際に、品質表記部20を露出状態に遷移させることで、使用者はリバーシブル衣服1の品質情報を容易に把握できる。一方で、品質情報を確認しない場合には、デザインの一部である表記覆い部30が品質表記部20を覆っている覆い状態を維持することで、品質表記部20が露出せず隠れているため、第2面12を表側にしたリバーシブル衣服1の意匠性が損なわれることがない。
【0052】
なお、本発明に係る衣服は、リバーシブル衣服1に適用した場合に特に意義が大きい。従来のリバーシブル衣服では、衣服の内側に品質表示を付けることで品質表示を目立たなくする方策を採用し難かった。これに対して、本実施形態に係る衣服は、リバーシブル衣服1とした場合でも、品質表示を付けることに伴う意匠性の低下を回避できる。
また、本発明に係る衣服は、識別表記部としての機能を有する表記覆い部30で品質表記部20を覆う構成にすることなどにより、意匠性を高めることも期待できる。
【0053】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。例えば、装置の全部又は一部は、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。また、複数の実施の形態の任意の組み合わせによって生じる新たな実施の形態も、本発明の実施の形態に含まれる。組み合わせによって生じる新たな実施の形態の効果は、もとの実施の形態の効果を併せ持つ。
例えば、品質情報の一部が表記覆い部に表記されていても、本発明から逸脱しない。一例として、表記覆い部に「ポリエステル〇〇%」や「天然素材」等が記載されても、本発明から逸脱しない。
【符号の説明】
【0054】
1 リバーシブル衣服
11 第1面
12 第2面
20 品質表記部
22 品質情報
30 表記覆い部
32 識別情報
120 品質表記部
130 表記覆い部
220 品質表記部
230 表記覆い部
320 品質表記部
330 表記覆い部