(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-19
(45)【発行日】2025-02-28
(54)【発明の名称】繊維処理剤および繊維製品
(51)【国際特許分類】
D06M 11/83 20060101AFI20250220BHJP
D06M 13/192 20060101ALI20250220BHJP
D06M 13/207 20060101ALI20250220BHJP
D06M 15/263 20060101ALI20250220BHJP
D06M 15/643 20060101ALI20250220BHJP
【FI】
D06M11/83
D06M13/192
D06M13/207
D06M15/263
D06M15/643
(21)【出願番号】P 2023173521
(22)【出願日】2023-10-05
【審査請求日】2024-10-21
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 令和5年3月4日 日本睡眠環境学会 睡眠環境と近接領域 -原子物理学からのアプローチ-
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】509285045
【氏名又は名称】和田 正幸
(73)【特許権者】
【識別番号】516359012
【氏名又は名称】川尻 大介
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】和田 正幸
(72)【発明者】
【氏名】川尻 大介
【審査官】斎藤 克也
(56)【参考文献】
【文献】特開昭62-215070(JP,A)
【文献】特開平05-195430(JP,A)
【文献】特表2010-510403(JP,A)
【文献】特公平03-010728(JP,B2)
【文献】特開平03-051365(JP,A)
【文献】特開2007-321312(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D06M 10/00 - 16/00
D06M 19/00 - 23/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
純銅および酒石酸カリウムナトリウムから生成された銅錯体、および、
圧電体の粉末
を備える、繊維処理剤。
【請求項2】
前記圧電体は、電気石を含む、
請求項1に記載の繊維処理剤。
【請求項3】
前記圧電体の粉末の粒径は、0.5μm以上3μm以下である、
請求項1に記載の繊維処理剤。
【請求項4】
水をさらに含む、請求項1に記載の繊維処理剤。
【請求項5】
アクリル系ポリマーまたはシリコーン系ポリマーをさらに含む、
請求項4に記載の繊維処理剤。
【請求項6】
乾燥した粉末である、請求項1に記載の繊維処理剤。
【請求項7】
前記水における前記銅錯体に含まれる銅イオンの濃度は、400ppm以上600ppm以下である、
請求項4に記載の繊維処理剤。
【請求項8】
前記水における前記銅錯体に含まれる銅イオンの濃度は、800ppm以上1000ppm以下である、
請求項5に記載の繊維処理剤。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか一つに記載の繊維処理剤によって処理された繊維を含む、繊維製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、繊維処理剤および繊維製品に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、身体が負に帯電した地球の表面に接触することによって地球の表面から身体へ供給される電子が身体の健康状態を改善する技術(アーシング)が提案されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上述した従来技術においては、身体を意図的に地球の表面に直接接触させる必要がある。
【0004】
本開示は、上記に鑑みてなされたものであって、身体を地球の表面に直接接触させることなく身体の健康状態を改善することができる繊維処理剤および繊維製品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様による繊維処理剤は、純銅および酒石酸カリウムナトリウムから生成された銅錯体、および、圧電体の粉末を備える。
【発明の効果】
【0006】
本開示によれば、身体を地球の表面に直接接触させることなく身体の健康状態を改善することができる。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下に、本開示による繊維処理剤および繊維製品を実施するための形態(以下、「実施形態」と記載する)について詳細に説明する。なお、この実施形態により本開示による繊維処理剤および繊維製品が限定されるものではない。また、各実施形態は、内容を矛盾させない範囲で適宜組み合わせることが可能である。
【0008】
実施形態に係る繊維処理剤は、繊維製品に含まれる繊維を処理する処理剤である。ここで、繊維製品としては、例えば、衣類、寝装具などが挙げられる。繊維としては、例えば、衣類を構成する糸、寝装具を構成する綿などが挙げられる。また、繊維の材料としては、例えば、レーヨン繊維、ポリエステル繊維、ポリエチレン繊維、アクリル繊維などが挙げられる。
【0009】
実施形態に係る繊維処理剤は、純銅および酒石酸カリウムナトリウムから生成された銅錯体、および、圧電体の粉末を備える。
【0010】
圧電体の粉末は、圧電体の分極した結晶を含む。圧電体の分極した結晶は、分極した圧電体の内部に生じる電位差によって、地球の表面から供給される電子を引き寄せると共に、圧電体の分極した結晶の一方の端から他の端まで電子を輸送すると考えられる。
【0011】
純銅および酒石酸カリウムナトリウムから生成された銅錯体は、圧電体の粉末を担持する担持物に均一に担持されると共に担持物の電気抵抗の値を調整すると考えられる。担持物は、例えば、繊維製品に含まれる繊維であってもよい。銅錯体は、圧電体の分極した結晶によって輸送された電子が担持物に移動することができるように、担持物の電気抵抗の値を調整すると考えられる。担持物に移動した電子は、担持物に接触する身体に供給される。なお、より安定して銅錯体を担持物に担持させるために、繊維処理剤は、シリカのような多孔質材をさらに含むものであってもよい。
【0012】
このように、実施形態に係る繊維処理剤で繊維製品に含まれる繊維を処理することで、負に帯電した地球の表面からの電子を繊維製品に含まれる繊維または担持物を介して身体に供給することが可能になる。その結果、身体を地球の表面に直接接触させることなく身体の健康状態を改善することができる。このように、実施形態に係る繊維処理剤によれば、例えば、日常生活において、身体を地球の表面に直接接触させることなく身体の健康状態を改善することができる繊維処理剤を提供することができる。
【0013】
圧電体は、好ましくは、電気石を含む。この場合には、身体の皮膚に対する圧電体を担持する担持物の刺激を低減すると共に繊維処理剤で繊維を処理する工程の安全性を向上させることができる。
【0014】
圧電体の粉末の粒径は、好ましくは、0.5μm以上3μm以下である。この場合には、担持体の表面積に対する圧電体の粉末の数の割合を増加させることができる。それに応じて、圧電体の粉末が地球の表面からの電子を担持体へより有効に移動させることができる。その結果、担持物を介して地球の表面からの電子を身体により有効に供給することが可能になる。
【0015】
繊維処理剤は、水をさらに含むことがある。この場合には、繊維処理剤は、スラリーである。スラリーである繊維処理剤を、例えば、レーヨン繊維に含侵させることができる。
【0016】
水における銅錯体に含まれる銅イオンの濃度は、400ppm以上600ppm以下であることがある。この場合には、レーヨン繊維に含侵させることに好適な繊維処理剤を提供することができる。
【0017】
水における銅錯体に含まれる銅イオンの濃度は、800ppm以上1000ppm以下であることがある。この場合には、繊維処理剤が、後述するようなバインド剤をさらに含むことによって、コーティング剤または染浸剤として好適な繊維処理剤を提供することができる。
【0018】
繊維処理剤は、アクリル系ポリマーまたはシリコーン系ポリマーをさらに含むことがある。アクリル系ポリマーまたはシリコーン系ポリマーは、圧電体の粉末を担持する担持物として機能する。また、アクリル系ポリマーまたはシリコーン系ポリマーは、圧電体の粉末を繊維に結合させるためのバインド剤として機能する。この場合には、繊維処理剤を繊維に対するコーティング剤または繊維に対する染浸剤として用いることができる。
【0019】
アクリル系ポリマーまたはシリコーン系ポリマーを含む繊維処理剤は、繊維に塗布された後に加熱される。加熱された繊維処理剤は、溶解させられると共に繊維に固着させられる。繊維を加熱することが適切ではない場合には、アクリル系ポリマーまたはシリコーン系ポリマーの代わりに、紫外線硬化型のシアノアクリレートが用いられることがある。この場合には、紫外線硬化型のシアノアクリレートを含む繊維処理剤が、繊維に塗布された後に紫外線で照射される。これにより、紫外線で照射された繊維処理剤が、硬化させられると共に繊維に固着させられる。
【0020】
繊維処理剤は、乾燥した粉末であることがある。この場合には、乾燥した粉末である繊維処理剤を、例えば、ポリエステル繊維またはポリエチレン繊維に含侵させることができる。乾燥した粉末である繊維処理剤は、例えば、マスターペレットのような形態に成形されたものであることがある。
【0021】
実施形態に係る繊維製品は、実施形態に係る繊維処理剤によって処理された繊維を含む。実施形態に係る繊維製品によれば、例えば、日常生活において、身体を地球の表面に直接接触させることなく身体の健康状態を改善することができる繊維製品を提供することができる。
【0022】
次に、実施形態に係る繊維処理剤および繊維製品の製造方法の一例について説明する。なお、実施形態に係る繊維処理剤および繊維製品の製造方法は、下記の製造方法に限定されるものではない。
【0023】
実施形態に係る繊維処理剤および繊維製品の製造方法は、水中で純銅および酒石酸カリウムナトリウムから銅錯体を含む水溶液を生成することを含む。銅錯体は、中心金属イオンとしての純銅から生成する銅イオンおよび配位子としての酒石酸カリウムナトリウムから生成する酒石酸イオンを含む、酒石酸銅(II)である。純銅としては、純銅の粉体が使用される。純銅の粉末のサイズは、好ましくは、10μm以下である。この場合には、銅イオンを生成するように純銅のイオン化を促進させることができる。水に純銅の粉体および酒石酸カリウムナトリウムを投入すると共に水中で純銅の粉体および酒石酸カリウムナトリウムを一定時間振動させることによって、銅錯体を含む水溶液を生成することができる。それにより、人体により安全な銅錯体を含む水溶液を得ることができる。なお、銅錯体を含む水溶液にシリカのような多孔質材を追加することがある。
【0024】
なお、上述したように、水溶液中における銅錯体に含まれる銅イオンの濃度は、400ppm以上600ppm以下であることがある。また、水溶液中における前記銅錯体に含まれる銅イオンの濃度は、800ppm以上1000ppm以下であることがある。
【0025】
次に、実施形態に係る繊維処理剤および繊維製品の製造方法は、銅錯体を含む水溶液に圧電体の粉末を投入すると共に銅錯体を含む水溶液中で圧電体の粉末を粉砕することでスラリーを生成することを含む。銅錯体を含む水溶液中で圧電体の粉末を粉砕する方法としては、例えば、湿式ビーズミルなどが挙げられる。ここで、銅錯体を含む水溶液中で圧電体の粉末を粉砕する際に、圧電体の粉末が凝集することを予防または低減するために、銅錯体を含む水溶液に分散剤を追加することがある。分散剤としては、例えば、特殊ポリカルボン酸塩型高分子界面活性剤などが挙げられる。水溶液中で圧電体の粉末を粉砕することで圧電体の粉末を構成する結晶を分極させることができる。すなわち、圧電体の分極した結晶を得ることができる。このように、スラリーである繊維処理剤を提供することができる。
【0026】
なお、上述したように、圧電体としては、好ましくは、電気石を使用する。また、スラリーを生成することは、好ましくは、圧電体の粉末の粒径が0.5μm以上3μm以下であるように、水溶液中で圧電体の粉末を粉砕することを含む。
【0027】
実施形態に係る繊維処理剤および繊維製品の製造方法は、スラリーを乾燥することで乾燥した物質を生成すること、および、乾燥した物質を粉砕することをさらに含むことがある。スラリーを乾燥する方法としては、例えば、連続瞬間気流乾燥機などが挙げられる。乾燥した物質を粉砕する方法としては、例えば、乾式ビーズミルなどが挙げられる。このように、乾燥した粉末である繊維処理剤を提供することができる。
【0028】
実施形態に係る繊維処理剤および繊維製品の製造方法は、乾燥した粉末である繊維処理剤を、例えば、マスターペレットのような形態に成形することを含むことがある。乾燥した粉末である繊維処理剤を成形する方法としては、例えば、樹脂ペレット製造機などが挙げられる。このように、成形された繊維処理剤を提供することができる。
【0029】
実施形態に係る繊維処理剤および繊維製品の製造方法は、スラリーにバインド剤としてのアクリル系ポリマーまたはシリコーン系ポリマーを添加することをさらに含むことがある。このように、アクリル系ポリマーまたはシリコーン系ポリマーを含む繊維処理剤を提供することができる。
【0030】
あるいは、実施形態に係る繊維処理剤および繊維製品の製造方法は、スラリーにバインド剤として紫外線硬化型のシアノアクリレートを添加することをさらに含むことがある。このように、紫外線硬化型のシアノアクリレートを含む繊維処理剤を提供することができる。
【0031】
次に、実施形態に係る繊維処理剤および繊維製品の製造方法は、繊維製品に含まれる繊維を繊維処理剤によって処理することを含む。
【0032】
例えば、繊維製品に含まれる繊維をスラリーである繊維処理剤で処理することがある。例えば、繊維製品に含まれる繊維にスラリーである繊維処理剤に含浸させることがある。ここで、繊維製品に含まれる繊維をスラリーである繊維処理剤で処理する前に、スラリーである繊維処理剤を適宜水で希釈すると共に水で希釈された繊維処理剤で繊維を処理することもある。
【0033】
例えば、繊維製品に含まれる繊維を乾燥した粉末である繊維処理剤で処理することがある。例えば、繊維製品に含まれる繊維に乾燥した粉末である繊維処理剤を混入させることがある。例えば、繊維製品に含まれる繊維にマスターペレットのような形態に成形された繊維処理剤を混入させることがある。
【0034】
例えば、繊維製品に含まれる繊維をアクリル系ポリマーまたはシリコーン系ポリマーを含む繊維処理剤で処理することがある。例えば、繊維製品に含まれる繊維をアクリル系ポリマーまたはシリコーン系ポリマーを含む繊維処理剤でコーティングすることがある。例えば、繊維製品に含まれる繊維をアクリル系ポリマーまたはシリコーン系ポリマーを含む繊維処理剤で染浸させることがある。続いて、アクリル系ポリマーまたはシリコーン系ポリマーを含む繊維処理剤が塗布された繊維を含む繊維製品を、例えば、120℃程度の温度で、加熱することにより、繊維処理剤を溶解させると共に繊維に固着させる。
【0035】
あるいは、繊維製品に含まれる繊維を紫外線硬化型のシアノアクリレートを含む繊維処理剤で処理することがある。例えば、繊維製品に含まれる繊維を紫外線硬化型のシアノアクリレートを含む繊維処理剤でコーティングすることがある。例えば、繊維製品に含まれる繊維を紫外線硬化型のシアノアクリレートを含む繊維処理剤で染浸させることがある。続いて、紫外線硬化型のシアノアクリレートを含む繊維処理剤が塗布された繊維に紫外線を照射することにより、繊維処理剤を硬化させると共に繊維に固着させる。
【0036】
実施形態に係る繊維処理剤および繊維製品の製造方法によれば、低いコストで身体の健康状態を改善することができる繊維製品を提供することができる。
【実施例】
【0037】
以下、本開示の実施例を具体的に説明する。なお、本開示は以下に示す実施例に限定されるものではない。
【0038】
(繊維処理剤Aの製造)
水に純銅の粉体および酒石酸カリウムナトリウムを投入すると共に水中で純銅の粉体および酒石酸カリウムナトリウムを振動させることによって、銅錯体を含む水溶液を生成した。水溶液中における銅イオンの濃度は、300ppm±50ppmであった。次に、銅錯体を含む水溶液に電気石の粉末を投入すると共に、湿式ビーズミルを使用することによって、電気石の粉末の粒径が、概ね0.5μm以上3μm以下であるように、銅錯体を含む水溶液中で電気石の粉末を粉砕した。これにより、スラリーである繊維処理剤Aを得た。スラリーの濃度は、15%であった。ここで、スラリーの濃度は、電気石の粉末の質量/銅錯体を含む水溶液の質量×100%であった。
【0039】
(繊維処理剤Bの製造)
水に純銅の粉体および酒石酸カリウムナトリウムを投入すると共に水中で純銅の粉体および酒石酸カリウムナトリウムを振動させることによって、銅錯体を含む水溶液を生成した。水溶液中における銅イオンの濃度は、1000ppm±50ppmであった。次に、銅錯体を含む水溶液に電気石の粉末を投入すると共に、湿式ビーズミルを使用することによって、電気石の粉末の粒径が、概ね0.5μm以上3μm以下であるように、銅錯体を含む水溶液中で電気石の粉末を粉砕した。これにより、スラリーを得た。上述したように定義されたスラリーの濃度は、20%であった。次に、連続瞬間気流乾燥機および乾式ビーズミルを使用することによって、スラリーを乾燥させると共に電気石の粉末を粉砕することで乾燥した粉末を得た。次に、樹脂ペレット製造機を使用することによって、乾燥した粉末をマスターペレットの形態に成形した。これにより、マスターペレットの形態における繊維処理剤Bを得た。
【0040】
(繊維処理剤Cの製造)
水に純銅の粉体および酒石酸カリウムナトリウムを投入すると共に水中で純銅の粉体および酒石酸カリウムナトリウムを振動させることによって、銅錯体を含む水溶液を生成した。水溶液中における銅イオンの濃度は、1000ppm±50ppmであった。次に、銅錯体を含む水溶液に電気石の粉末を投入すると共に、湿式ビーズミルを使用することによって、電気石の粉末の粒径が、概ね0.5μm以上3μm以下であるように、銅錯体を含む水溶液中で電気石の粉末を粉砕した。これにより、スラリーを得た。上述したように定義されたスラリーの濃度は、15%であった。次に、スラリーにアクリル系ポリマーおよびシリコーン系ポリマーを添加した。これにより、コーティング剤または染浸剤である繊維処理剤Cを得た。
【0041】
(繊維製品Xの製造)
寝具のレーヨン繊維に繊維処理剤Aを含侵させた。また、寝具のポリエステル繊維およびポリエチレン繊維に繊維処理剤Bを混入させた。このようにして、寝具である繊維製品Xを製造した。
【0042】
(繊維製品Yの製造)
腹巻の天然繊維に繊維処理剤Cを塗布した後に、天然繊維に塗布された繊維処理剤Cを120℃で加熱することで、繊維処理剤Cを溶解させると共に天然繊維に固着させた。このようにして、腹巻である繊維製品Yを製造した。
【0043】
(繊維製品Xの評価)
30代~60代の健康な男女の被験者10名が繊維製品Xの寝具を使用する前および被験者10名が繊維製品Xの寝具を15分間使用した後に、被験者10名の体内の活性酸素、コルチゾール、およびセロトニンの量を測定した。被験者10名の体内の活性酸素、コルチゾール、およびセロトニンの量の測定には生体電流インピーダンス測定器(LD Technology社製ES-TECK)を使用した。
【0044】
被験者10名について繊維製品Xの寝具の利用前後において体内の活性酸素の測定値が大きく減少した。具体的には、繊維製品Xの寝具の利用前には体内の活性酸素が測定されたが、繊維製品Xの寝具の利用後には体内の活性酸素が測定されなくなった。地球の表面から繊維製品Xを通じて被験者の体内に供給された電子が被験者の体内の活性酸素を失活させたと考えられる。体内の活性酸素は、健康な細胞を損傷させることで細胞に炎症を引き起こす可能性があるため、体内の活性酸素の減少は、身体の健康状態を改善すると考えられる。
【0045】
被験者10名について繊維製品Xの寝具の利用前後においてコルチゾールの測定値が大きく減少した。具体的には、繊維製品Xの寝具の利用前にはコルチゾールが測定されたが、繊維製品Xの寝具の利用後にはコルチゾールが測定されなくなった。コルチゾールは、心身に対するストレスの増加に依存して増加する脳内伝達物質であるため、コルチゾールの減少は、身体の健康状態を改善すると考えられる。
【0046】
被験者10名について繊維製品Xの寝具の利用前後においてセロトニンの測定値が増加した。具体的には、繊維製品Xの寝具の利用後におけるセロトニンの測定値は、繊維製品Xの寝具の利用前におけるセロトニンの測定値の約2.5倍であった。セロトニンは、睡眠状態および精神状態を安定化する働きを有する脳内伝達物質であるため、セロトニンの増加は、身体の健康状態を改善すると考えられる。
【0047】
(繊維製品Yの評価)
平均年齢36歳の女性13人が繊維製品Yの腹巻を使用する前および女性13人が繊維製品Yの腹巻を3か月間利用した後に、女性13人に対して月経前症候群および生理痛に関するアンケート調査を行った。アンケート調査の結果、繊維製品Yの腹巻を3か月間利用した後に、
1.イライラする、怒りっぽい
2.だるい、全身の倦怠感
3.日常生活に意欲がわかない
4.お腹の張り・痛み
5.集中力がない
の症状について改善が見られた。
【0048】
女性13人の54%について、月経前症候群および生理痛の症状が生活に支障をきたす時間が減少した。月経前症候群および生理痛の症状が生活に支障をきたす時間は、最大で240時間/月から60時間/月まで180時間/月だけ減少した。
【0049】
このように、純銅および酒石酸カリウムナトリウムから生成された銅錯体、および、圧電体の粉末を備える、繊維処理剤およびそのような繊維処理剤によって処理された繊維を含む、繊維製品が、身体を地球の表面に直接接触させることなく身体の健康状態を改善することができることを確認することができた。
【0050】
<付記>
付記(1):
純銅および酒石酸カリウムナトリウムから生成された銅錯体、および、
圧電体の粉末
を備える、繊維処理剤。
付記(2):
前記圧電体は、電気石を含む、
付記(1)に記載の繊維処理剤。
付記(3):
前記圧電体の粉末の粒径は、0.5μm以上3μm以下である、
付記(1)または(2)に記載の繊維処理剤。
付記(4):
水をさらに含む、付記(1)~(3)のいずれか一つに記載の繊維処理剤。
付記(5):
アクリル系ポリマーまたはシリコーン系ポリマーをさらに含む、
付記(4)に記載の繊維処理剤。
付記(6):
乾燥した粉末である、付記(1)~(3)のいずれか一つに記載の繊維処理剤。
付記(7):
前記水における前記銅錯体に含まれる銅イオンの濃度は、400ppm以上600ppm以下である、
付記(4)に記載の繊維処理剤。
付記(8):
前記水における前記銅錯体に含まれる銅イオンの濃度は、800ppm以上1000ppm以下である、
付記(5)に記載の繊維処理剤。
付記(9):
付記(1)~(8)のいずれか一つに記載の繊維処理剤によって処理された繊維を含む、繊維製品。
【0051】
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。
【要約】 (修正有)
【課題】身体を地球の表面に直接接触させるアーシングを実施することなく、身体の健康状態を改善するための繊維処理剤および繊維製品を提供する。
【解決手段】繊維処理剤は、純銅および酒石酸カリウムナトリウムから生成された銅錯体、および、圧電体の粉末を備え、好ましくは、前記圧電体は、電気石を含み、前記圧電体の粉末の粒径は、0.5μm以上3μm以下であり、水をさらに含み、アクリル系ポリマーまたはシリコーン系ポリマーをさらに含み、前記水における前記銅錯体に含まれる銅イオンの濃度は、400ppm以上600ppm以下である。
【選択図】なし