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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-19
(45)【発行日】2025-02-28
(54)【発明の名称】小売電気事業者向け顧客管理システム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/06 20240101AFI20250220BHJP
【FI】
G06Q50/06
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2024187964
(22)【出願日】2024-10-25
【審査請求日】2024-10-25
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】517081714
【氏名又は名称】wdm合同会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001461
【氏名又は名称】弁理士法人きさ特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】嶋森 暁広
【審査官】酒井 優一
(56)【参考文献】
【文献】特開2022-029645(JP,A)
【文献】特許第7381585(JP,B2)
【文献】特開2022-070612(JP,A)
【文献】特開2023-005948(JP,A)
【文献】特開2020-087026(JP,A)
【文献】特開2022-125902(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の顧客端末から、顧客情報、供給地点特定番号及び料金プラン情報を取得するとともに、前記顧客情報を含み、顧客を特定する情報を有する顧客データと、前記顧客情報を含み、前記顧客の電気料金の請求先を特定する情報を有する請求先データと、前記料金プラン情報及び前記供給地点特定番号を含み、前記顧客の電気料金の料金体系に関する情報を有する申込プランデータとを記憶部に記憶させる登録処理を行う登録部と、
電力広域的運営推進機関が保有するスイッチング支援システムへ、前記顧客情報及び前記供給地点特定番号を含む廃止取次情報を送信し、前記スイッチング支援システムに小売電気事業者の切替に関する手続処理を行わせるとともに、前記顧客情報及び前記供給地点特定番号を含み、前記小売電気事業者の切替手続に関する情報を有する地点情報データと、前記供給地点特定番号を含み、当該供給地点特定番号に対応する電気設備に関する情報を有する設備情報データとを前記記憶部に記憶させるスイッチング処理を行うスイッチング部と、
送配電事業者が保有する託送システムから、前記供給地点特定番号毎の電力使用量に関する検針データを取得する電力量取得処理を行う電力量取得部と、
前記検針データ及び前記料金プラン情報に基づき、顧客毎の電力料金を計算する料金計算処理を行う料金計算部と、
前記登録処理において、前記顧客データ、前記請求先データ及び前記申込プランデータを構成する各項目のデータの有無又はデータ形式を判定条件とし、前記スイッチング処理において、前記小売電気事業者の切替に関する手続処理が正常に完了したか否かを判定条件とし、前記電力量取得処理において、前記託送システムから取得した前記検針データが正常であるか否かを判定条件とし、前記料金計算処理において、前記電気料金の計算が正常であるか否かを判定条件として、前記登録処理、前記スイッチング処理、前記電力量取得処理及び前記料金計算処理のそれぞれにおいて、前記判定条件を満たすか否かを判定するとともに、少なくとも前記スイッチング処理及び前記料金計算処理において、前記判定条件を満たすか否かの判定結果を小売電気事業者端末へ出力し、前記判定結果が前記判定条件を満たさない場合、前記判定条件を満たすための運用操作を前記小売電気事業者端末から取得する運用監視部と、
前記顧客データ、前記請求先データ、前記申込プランデータ、前記地点情報データ、前記設備情報データ、及び前記運用操作の情報を含む学習データを用いて学習した学習済みモデルを生成するモデル生成部と、
前記顧客データ、前記請求先データ、前記申込プランデータ、前記地点情報データ、及び前記設備情報データのうち、前記運用監視部の判定結果が前記判定条件を満たさないデータ項目を、前記学習済みモデルを用いて推論する推論処理部と、
を備える小売電気事業者向け顧客管理システム。
【請求項2】
決済サービス事業者が保有する決済システムへ、前記料金計算部が計算した顧客毎の電力料金の情報を送信し、前記決済システムに電気料金の決済手続を行わせる請求部と、
前記決済システムから前記決済手続の結果を取得し、顧客毎の電気料金が支払済みか否かの情報を小売電気事業者端末へ出力する収納部と、
を備える請求項1に記載の小売電気事業者向け顧客管理システム。
【請求項3】
前記推論処理部が推論した結果と前記学習データとの類似度を判定し、前記類似度が予め設定した類似度以下のデータ項目の修正指示を小売電気事業者端末へ出力するデータ近似値判定処理部を備え、
前記モデル生成部は、前記小売電気事業者端末から取得した修正後のデータを前記学習データに加えて、前記学習済みモデルの再学習を行う
請求項1又は2に記載の小売電気事業者向け顧客管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力小売を行う小売電気事業者向け顧客管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電力自由化に伴い、新電力と呼ばれる小売電気事業者に登録された事業者から電気を購入することが可能になった。従来、電力小売を行う小売電気事業者が、その顧客へ使用電力量情報の提供を行う技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載の技術は、需要家情報サービス提供装置において、電力会社システムから取得した電力需要家毎の使用電力量データ及び需要家向け料金体系に基づき、電力需要家の使用料金を計算し、電力需要家装置にインターネットを介して使用電力量データと使用料金を提供するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2007-287021号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
小売電気事業者は、新たな顧客から電気の供給に関する申込み手続を受け付けると、顧客が現在契約中の小売電気事業者又は一般電気事業者を、自身の小売電気事業者に切り替える切替手続(スイッチング)を行う。そして、小売電気事業者は、顧客が申し込んだ料金プランと顧客が使用した電力量とに応じた電気料金を計算し、顧客に対して料金の請求を行う。
【0005】
従来、このような小売電気事業者の業務においては、顧客情報の管理、スイッチングの手続、電力使用量の集計、及び電気料金の計算などの一連の業務処理を、従来公知の表計算ソフトウエア等を使用して人手による入力と計算を行う必要があり、業務の時間と手間が掛かり、業務効率が悪いという課題があった。
【0006】
特許文献1に記載の技術は、電力需要家(顧客)へ使用電力量データと使用料金を提供するものではあるが、この技術では、小売電気事業者の一連の業務のうちの1つである料金計算のみを対象とするものであり、業務効率の更なる向上が望まれる。
【0007】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、小売電気事業者の業務効率を向上することができる小売電気事業者向け顧客管理システムを得るものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る小売電気事業者向け顧客管理システムは、複数の顧客端末から、顧客情報、供給地点特定番号及び料金プラン情報を取得するとともに、前記顧客情報を含み、顧客を特定する情報を有する顧客データと、前記顧客情報を含み、前記顧客の電気料金の請求先を特定する情報を有する請求先データと、前記料金プラン情報及び前記供給地点特定番号を含み、前記顧客の電気料金の料金体系に関する情報を有する申込プランデータとを記憶部に記憶させる登録処理を行う登録部と、電力広域的運営推進機関が保有するスイッチング支援システムへ、前記顧客情報及び前記供給地点特定番号を含む廃止取次情報を送信し、前記スイッチング支援システムに小売電気事業者の切替に関する手続処理を行わせるとともに、前記顧客情報及び前記供給地点特定番号を含み、前記小売電気事業者の切替手続に関する情報を有する地点情報データと、前記供給地点特定番号を含み、当該供給地点特定番号に対応する電気設備に関する情報を有する設備情報データとを前記記憶部に記憶させるスイッチング処理を行うスイッチング部と、送配電事業者が保有する託送システムから、前記供給地点特定番号毎の電力使用量に関する検針データを取得する電力量取得処理を行う電力量取得部と、前記検針データ及び前記料金プラン情報に基づき、顧客毎の電力料金を計算する料金計算処理を行う料金計算部と、前記登録処理において、前記顧客データ、前記請求先データ及び前記申込プランデータを構成する各項目のデータの有無又はデータ形式を判定条件とし、前記スイッチング処理において、前記小売電気事業者の切替に関する手続処理が正常に完了したか否かを判定条件とし、前記電力量取得処理において、前記託送システムから取得した前記検針データが正常であるか否かを判定条件とし、前記料金計算処理において、前記電気料金の計算が正常であるか否かを判定条件として、前記登録処理、前記スイッチング処理、前記電力量取得処理及び前記料金計算処理のそれぞれにおいて、前記判定条件を満たすか否かを判定するとともに、少なくとも前記スイッチング処理及び前記料金計算処理において、前記判定条件を満たすか否かの判定結果を小売電気事業者端末へ出力し、前記判定結果が前記判定条件を満たさない場合、前記判定条件を満たすための運用操作を前記小売電気事業者端末から取得する運用監視部と、前記顧客データ、前記請求先データ、前記申込プランデータ、前記地点情報データ、前記設備情報データ、及び前記運用操作の情報を含む学習データを用いて学習した学習済みモデルを生成するモデル生成部と、前記顧客データ、前記請求先データ、前記申込プランデータ、前記地点情報データ、及び前記設備情報データのうち、前記運用監視部の判定結果が前記判定条件を満たさないデータ項目を、前記学習済みモデルを用いて推論する推論処理部と、を備えるものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る小売電気事業者向け顧客管理システムは、登録処理とスイッチング処理と電力量取得処理と料金計算処理とを行い、処理結果が予め設定した判定条件を満たすか否かを判定する。このため、小売電気事業者の業務効率を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施の形態1に係る小売電気事業者向け顧客管理システム1の概略構成図である。
図2】実施の形態1に係る顧客管理システム1の制御ブロック図である。
図3】実施の形態1に係る顧客管理システム1の自動処理の動作を示すフローチャートである。
図4】登録処理の動作を示すフローチャートである。
図5】データ記憶部20のデータ構造を示す図である。
図6】データ記憶部20のデータ構造を示す図である。
図7】スイッチング処理の動作を示すフローチャートである。
図8】ログ記録部50のデータ構造を示す図である。
図9】ログ記録部50のデータ構造を示す図である。
図10】ログ記録部50のデータ構造を示す図である。
図11】データ記憶部20のデータ構造を示す図である。
図12】電力量取得処理の動作を示すフローチャートである。
図13】料金計算処理の動作を示すフローチャートである。
図14】実施の形態2に係る小売電気事業者向け顧客管理システム1の概略構成図である。
図15】実施の形態2に係る顧客管理システム1の制御ブロック図である。
図16】実施の形態2に係る顧客管理システム1の自動処理の動作を示すフローチャートである。
図17】請求処理の動作を示すフローチャートである。
図18】収納処理の動作を示すフローチャートである。
図19】実施の形態3に係る顧客管理システム1の制御ブロック図である。
図20】学習済みモデル70の生成に関する制御ブロック図である。
図21】自動補正処理に関する制御ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態の小売電気事業者向け顧客管理システム1について説明する。なお、各図中、同一又は相当する部分には、同一符号を付して、その説明を適宜省略又は簡略化する。また、各図に記載の構成について、その形状、大きさ及び配置等は、本発明の範囲内で適宜変更することができる。
【0012】
実施の形態1.
(システム構成)
図1は、実施の形態1に係る小売電気事業者向け顧客管理システム1の概略構成図である。
本実施の形態の小売電気事業者向け顧客管理システム1は、一般家庭又は企業等の電力の供給を受ける電力需要者である顧客に対して、電力の小売を行う小売電気事業者が使用するシステムである。小売電気事業者には、電力自由化後に新たに電力の小売事業を営む事業者である新電力が含まれる。以下、小売電気事業者向け顧客管理システム1を単に「顧客管理システム1」という。
【0013】
図1に示すように、顧客管理システム1は、インターネットなどのネットワークNを介して、複数の顧客端末2、小売電気事業者端末3、スイッチング支援システム4、及び託送システム5と通信可能に接続されている。
【0014】
顧客管理システム1は、小売電気事業者における各種業務処理を実行する機能を有し、CPUなどのプロセッサと、メモリとを備えたクラウドサーバに構築される。詳細は後述する。なお、顧客管理システム1の構築はクラウドサーバに限らず、小売電気事業者に設置されるサーバ装置にオンプレミスとして構築してもよい。
【0015】
顧客端末2は、複数の顧客のそれぞれが保有するパーソナルコンピュータ、スマートフォン又はタブレット端末等の情報処理端末であり、顧客管理システム1から取得した情報の表示を行い、顧客による入力情報を顧客管理システム1へ送信する。顧客による入力情報には、顧客の氏名等の顧客情報と顧客が申し込む料金プラン等の情報が含まれる。詳細は後述する。
【0016】
小売電気事業者端末3は、小売電気事業者が保有するパーソナルコンピュータ等の情報処理端末であり、顧客管理システム1から取得した情報の表示を行い、小売電気事業者のオペレータ(従業員)による運用操作を顧客管理システム1へ送信する。
【0017】
スイッチング支援システム4は、電力広域的運営推進機関が保有するシステムである。スイッチング支援システム4は、電力需要者が電力の供給を受ける小売電気事業者を切り替えるスイッチングを実現するシステムである。スイッチング支援システム4は、電力需要者が新たに小売契約を結ぶ新小売電気事業者、電力需要者が現在小売契約を結んでいる現小売電気事業者、及び一般送配電事業者の間の各種手続の取り次ぎを行う。例えば、スイッチング支援システム4は、新小売電気事業者と現小売電気事業者との間で、電力需要者と現小売電気事業者との小売契約の廃止取次(以下、単に「廃止取次」という)を行う。
【0018】
託送システム5は、送配電事業者が保有するシステムである。託送システム5は、個々の電力需要者に設置した例えばスマートメータ等の計測器とネットワークを介して通信し、個々の電力需要者の電力使用量を単位時間毎(例えば30分間毎)に逐次収集する。そして、託送システム5は、収集した単位時間毎の電力使用量と、個々の電力需要者の電気の使用場所を識別する供給地点特定番号とを関連付けて検針データとしてデータベースに格納する。託送システム5は、検針データを、例えばXML等の汎用的なデータ形式で生成し、小売電気事業者がアクセス可能なサーバにアップロードする。なお、送配電事業者は、送電線や配電線などの送配電網を管理し、電気を発電所から電力需要者へ送配電する事業者であり、一般送配電事業者、送電事業者、及び特定送配電事業者が含まれる。なお、送配電事業者が保有する託送システム5は、託送業務システム又は託送関連データ提供システムとも称される。
【0019】
図2は、実施の形態1に係る顧客管理システム1の制御ブロック図である。
図2に示すように、顧客管理システム1は、業務処理部10と、データ記憶部20と、通信部30と、運用監視部40と、ログ記録部50とを備えている。
【0020】
業務処理部10は、CPUもしくはGPU等のプロセッサ、ASICもしくはFPGAなどの処理回路、又はその両方で構成され、アプリケーションプログラムを実行することにより実現される機能部である。業務処理部10は、登録部101と、スイッチング部102と、電力量取得部103と、料金計算部104とを備える。
【0021】
登録部101は、複数の顧客端末2から、顧客情報、供給地点特定番号及び料金プラン情報を取得する登録処理を行う。スイッチング部102は、スイッチング支援システム4へ、顧客情報及び供給地点特定番号を含む廃止取次情報を送信し、スイッチング支援システム4に小売電気事業者の切替に関する手続処理を行わせるスイッチング処理を行う。電力量取得部103は、託送システム5から検針データを取得する電力量取得処理を行う。料金計算部104と、検針データ及び料金プラン情報に基づき、顧客毎の電力料金を計算する料金計算処理を行う。
【0022】
データ記憶部20は、ROM、フラッシュメモリ、HDD、又はSSDなどの不揮発性のメモリで構成される。データ記憶部20は、顧客データ201と、請求先データ202と、申込プランデータ203と、地点情報データ204と、設備情報データ205とが記憶される。各データの詳細は後述する。
【0023】
通信部30は、ネットワークNを介して、顧客端末2、小売電気事業者端末3、スイッチング支援システム4、及び託送システム5とデータの送受信を行うネットワークインターフェースである。通信部30の通信手段は、有線又は無線の何れであってもよい。
【0024】
運用監視部40は、CPUもしくはGPU等のプロセッサ、ASICもしくはFPGAなどの処理回路、又はその両方で構成され、アプリケーションプログラムを実行することにより実現される機能部である。運用監視部40は、業務処理部10が実行する、登録処理、スイッチング処理、電力量取得処理、及び料金計算処理のそれぞれにおいて、処理結果が予め設定した判定条件を満たすか否かを判定し、通信部30を介して、判定結果を小売電気事業者端末3へ送信する。
【0025】
ログ記録部50は、ROM、フラッシュメモリ、HDD、又はSSDなどの不揮発性のメモリで構成される。ログ記録部50は、運用監視ログ501と、バッチ処理ログ502と、運用操作ログ503とが記録される。詳細は後述する。
【0026】
(動作)
本実施の形態1の顧客管理システム1の動作について説明する。
図3は、実施の形態1に係る顧客管理システム1の自動処理の動作を示すフローチャートである。
図3に示すように、顧客管理システム1の業務処理部10は、登録処理(S1)、スイッチング処理(S2)、電力量取得処理(S3)、及び料金計算処理(S4)の各処理を順次実行する。以下、各処理の動作をそれぞれ説明する。
【0027】
[登録処理]
図4は、登録処理の動作を示すフローチャートである。
顧客は、新たに電力の供給を受ける新規契約の申込み手続を行う場合、又は現在の契約の内容変更の続きを行う場合、顧客端末2を操作し、小売電力事業者のWebサイト等から申込みフォームを表示させ、当該申込みフォームへの入力を行う(S101)。
【0028】
申込みフォームに入力される情報には、顧客情報、供給地点特定番号及び料金プラン情報が含まれる。顧客情報は、顧客を識別するための情報が含まれる。顧客情報は、例えば、氏名もしくは法人名、住所、電話番号、メールアドレス、料金支払い方法、及び銀行口座番号もしくはクレジットカード番号等の情報である。
【0029】
供給地点特定番号は、電気の使用場所(供給地点)を特定するために、全国一律で付番される22桁の番号である。なお、供給地点特定番号の入力に代えて、供給地点特定番号が記載された検針票の画像データを添付しても良い。
【0030】
料金プラン情報は、小売電力事業者と契約する料金計算体系(料金プラン)を選択する情報である。料金プランは、例えば、基本料金、従量料金、地域、及び契約アンペア数などの組み合わせに応じて、複数の料金プランが予め選択肢として小売電気事業者によって設定される。
【0031】
顧客端末2は、顧客による申込みフォームへの入力が完了すると、申込み情報を顧客管理システム1へ送信する(S102)。顧客管理システム1の登録部101は、通信部30を介して、顧客からの申込み情報を取得する(S103)。
【0032】
登録部101は、登録処理を実行し、顧客からの申込み情報に基づき、顧客データ201、請求先データ202、及び申込プランデータ203を生成し、データ記憶部20へ記憶させる(S104)。なお、登録部101による登録処理は、顧客からの申込み情報を取得する度に逐次処理しても良いし、複数の顧客からの申込み情報を定期的に一括処理しても良い。
【0033】
図5及び図6は、データ記憶部20のデータ構造を示す図である。
図5及び図6に示すように、顧客データ201、請求先データ202、及び申込プランデータ203は、各データの属性が定義された構造化データによって構成される。
【0034】
顧客データ201は、顧客名、住所及び電話番号などの顧客を特定する情報(基本情報)に、各顧客固有の顧客IDが付されて登録される。
【0035】
請求先データ202は、顧客ID、氏名、支払い方法及び口座番号等の電気料金の請求先を特定する情報に、各請求先固有の請求先IDが付されて登録される。
【0036】
申込プランデータ203は、供給地点特定番号、顧客ID、プランID、契約アンペア数(kVA)、基本料金及び従量料金等の料金体系を特定する情報に、各供給地点特定番号に固有の設置場所IDが付されて登録される。ここで、プランIDは、例えばマスタテーブル等で小売電気事業者によって予め設定された複数の料金プランを識別するIDである。なお、図6に示すように、申込プランデータ203の基本料金、従量料金、燃料費IDなどのプラン内容に応じて決定される項目は、プランIDをキーとして申込プランマスタテーブルを参照し、当該項目が登録される。
【0037】
再び図4を参照する。
顧客管理システム1の運用監視部40は、登録処理の処理結果が、予め設定した判定条件を満たすか否かを判定する(S105)。
【0038】
判定条件は、顧客データ201、請求先データ202、及び申込プランデータ203を構成する各項目に対して設定される。例えば、顧客データ201において、顧客名又は法人名などの必須の入力項目が空白である場合は、異常と判定する。また例えば、請求先データ202において、口座番号やクレジット番号の桁数などの形式が、所定の桁数の範囲内で無い場合、異常と判定する。また例えば、申込プランデータ203において、プランIDがマスタテーブルには存在しないIDである場合、異常と判定する。
【0039】
また、判定条件は、顧客データ201、請求先データ202、及び申込プランデータ203を構成する各項目の相関関係に応じて設定されても良い。例えば、顧客データ201の法人/個人の項目が法人である顧客IDに対し、申込プランデータ203のプランIDが個人向けの申込プランのIDである場合、異常と判定する。また例えば、請求先データ202の支払方法が口座振替である場合には、振替先口座番号及び口座名義を必須の入力項目として空白であれば異常と判定し、支払方法がクレジットである場合は、振替先口座番号及び口座名義が空白でなければ異常と判定する。
【0040】
次に、顧客管理システム1の業務処理部10は、ステップS105の処理結果判定が正常である場合(S106:YES)、ステップS111へ進む。
【0041】
一方、ステップS105の処理結果判定が正常で無い場合(S106:NO)、正常で無いデータ項目の修正を顧客へ依頼する入力データ修正依頼の情報を、顧客端末2へ送信する(S107)。
【0042】
顧客端末2は、入力データ修正依頼の情報をディスプレイ等に表示させる。これにより、顧客は、申込みフォームの入力データに修正が必要である旨を把握する。そして、顧客は、顧客端末2を操作して申込みフォームの入力データの修正を行う(S108)。顧客端末2は、顧客による申込みフォームの入力データの修正が完了すると、申込み情報を顧客管理システム1へ再度送信する(S109)。
【0043】
業務処理部10の登録部101は、ステップS109の申込み情報を取得すると、当該申込み情報に基づき、顧客データ201、請求先データ202、及び申込プランデータ203を更新する(S110)。
【0044】
上記ステップS106において、処理結果が正常である場合(S106:YES)、及びステップS110の後、業務処理部10の登録部101は、登録処理を完了し(S111)、次工程へ進む。
【0045】
このように、顧客が申込フォームに入力した情報が、業務処理部10の登録処理によってデータ記憶部20に登録される。このため、小売電気事業者のオペレータによる情報入力の手間が削減される。また、顧客が申込フォームに入力した情報が判定条件を満たさない場合には、入力データ修正依頼の情報が顧客端末2に表示される。このため、顧客は、申込みフォームの入力データに修正が必要である旨を把握することができ、正常でないデータを更新又は削除等の修正を行うことができる。
【0046】
[スイッチング処理]
図7は、スイッチング処理の動作を示すフローチャートである。
業務処理部10のスイッチング部102は、上述した登録処理において、新たに電力の供給を受ける新規契約の申込み手続が行われ、顧客データ201に新規の顧客情報が追加された場合、当該顧客が電力の供給を受ける小売電気事業者を切り替えるスイッチング処理を行う。なお、スイッチング部102によるスイッチング処理は、顧客データ201に新規の顧客情報が追加される度に逐次処理しても良いし、複数の新規の顧客情報を定期的に一括処理しても良い。
【0047】
業務処理部10のスイッチング部102は、顧客データ201と申込プランデータ203を参照し、新規顧客の顧客情報及び供給地点特定番号を含む廃止取次情報を、スイッチング支援システム4へ送信する(S201)。
【0048】
スイッチング支援システム4は、廃止取次情報に基づき、小売電気事業者の切替に関する手続処理を行う(S202)。具体的には、スイッチング支援システム4は、当該顧客が現在契約している小売電気事業者(以下「現小売電気事業者」)に対して、当該顧客との契約を廃止する旨の通知を行う。現小売電気事業者は、現在の契約の廃止を許可するか否かを判定し、判定結果をスイッチング支援システム4に通知する。スイッチング支援システム4は、通知された判定結果を、当該顧客が新たに契約する小売電気事業者(以下「新小売電気事業者」)に通知する。
【0049】
スイッチング支援システム4は、通知された判定結果が、現小売電気事業者が小売契約の廃止を許可するものである場合、送配電事業者(一般送配電事業者)にスイッチング開始の申し込みを行う。また、現小売電気事業者は、小売契約の廃止を許可する場合、スイッチング支援システム4に、スイッチング廃止の申し込みを行う。
【0050】
送配電事業者は、スイッチング開始の申し込み、又はスイッチング廃止の申し込みを受けると、マッチングを行う。具体的に、送配電事業者は、スイッチング開始の申し込みの際に指定されたスイッチングの開始日から所定期間経過するまでにスイッチング廃止の申し込みがあった場合、マッチングが成立したと判定する。また、送配電事業者は、スイッチング廃止の申し込みの際に指定されたスイッチングの廃止日から所定期間経過するまでにスイッチング開始の申し込みがあった場合、マッチングが成立したと判定する。このマッチングが成立した場合に、スイッチングが行われることとなる。すなわち、当該顧客と現小売電気事業者との小売契約が廃止され、当該顧客と新小売電気事業者の小売契約が成立する。
【0051】
スイッチング支援システム4は、スイッチング(マッチング)の結果である切替手続結果の情報を顧客管理システム1へ送信する(S203)。切替手続結果の情報には、供給地点特定番号に関連付けられている設備情報を有する。この設備情報には、供給地点特定番号に対応する住所データ、契約内容などが含まれる。
【0052】
顧客管理システム1の運用監視部40は、スイッチング処理の処理結果が、予め設定した判定条件を満たすか否かを判定する(S204)。判定条件は、例えば、現小売電気事業者から契約の廃止不可の通知、スイッチング開始日と廃止日との不適合、供給地点特定番号の不適合など、スイッチング支援システム4から通知された切替手続結果が、正常に切替手続が完了したか否かを条件とする。
【0053】
次に、運用監視部40は、運用監視ログ501、及びバッチ処理ログ502を、ログ記録部50に記録する(S205)。運用監視ログ501は、運用監視部40による判定結果を記録するログである。バッチ処理ログ502は、業務処理部10が実行したプログラム単位でその実行結果を記録するログである。
【0054】
図8及び図9は、ログ記録部50のデータ構造を示す図である。
図8及び図9に示すように、運用監視ログ501及びバッチ処理ログ502は、各データの属性が定義された構造化データによって構成される。
【0055】
運用監視ログ501は、ログID、ログ区分、判定結果の内容、及び発生日などのデータが記録される。なお、ログ区分は、例えば、運用監視部40が異常と判定した項目とその判定条件に応じて区分される。例えば、処理に必要な項目のデータは存在するがそのデータの範囲が条件に合わない場合はエラーに区分し、処理に必要な項目のデータが存在しない場合は警告に区分する。
【0056】
バッチ処理ログ502は、業務処理部10が実行したプログラムの実行開始時刻、ログレベル、実行プログラム名、実行結果、エラー内容などのデータが記録される。なお、ログレベルは、プログラムの実行結果に応じて区分される。例えば「INFO」は、プログラムの状況や変数の内容、処理するデータ数など、後から挙動を把握しやすくするために残す情報である。また例えば「ERROR」は、プログラム上の処理が中断又は停止した場合の情報である。
【0057】
再び図7を参照する。
顧客管理システム1の業務処理部10は、通信部30を介し、運用監視ログ501及びバッチ処理ログ502の情報を小売電気事業者端末3へ送信する(S206)。
【0058】
小売電気事業者端末3は、顧客管理システム1からの運用監視ログ501及びバッチ処理ログ502の情報を運用監視結果としてディスプレイ等に表示させる(S207)。これにより、小売電気事業者のオペレータは、スイッチング処理の動作が正常に実行されたか否かを把握する。
【0059】
次に、小売電気事業者のオペレータは、運用監視結果が正常で無い場合、これを解消するための運用操作を、小売電気事業者端末3から入力する(S208)。例えば、運用監視ログ501にて、あるデータの項目がエラーであると判定された場合、当該データを正常のデータに更新する操作入力を手動で行う。小売電気事業者端末3は、オペレータが入力した運用操作の情報を顧客管理システム1へ送信する(S209)。
【0060】
上記ステップS206の後、顧客管理システム1の業務処理部10は、ステップS204の処理結果判定が正常である場合(S210:YES)、ステップS215へ進む。
【0061】
一方、ステップS204の処理結果判定が正常で無い場合、業務処理部10は、小売電気事業者端末3からの運用操作送信を待つ(S210:NO)。
【0062】
業務処理部10のスイッチング部102は、ステップS209の運用操作を取得すると、当該運用操作の情報に基づき、廃止取次情報を再度送信する(S211)。即ち、ステップS201で送信した廃止取次情報には、スイッチングを正常に行う事ができない何らかの不備があり、これを小売電気事業者のオペレータの運用操作によって正しい情報に更新した後に、再度のスイッチング手続をスイッチング支援システム4へ行わせる。
【0063】
業務処理部10のスイッチング部102は、小売電気事業者端末3から取得した運用操作の情報を運用操作ログ503として、ログ記録部50に記録する(S212)。
【0064】
図10は、ログ記録部50のデータ構造を示す図である。
図10に示すように、運用操作ログ503は、各データの属性が定義された構造化データによって構成される。運用操作ログ503は、操作テーブル、操作種別、操作日、操作実施前データなどのデータが記録される。操作テーブルは、データ記憶部20に記憶されている各種データのうち運用操作の対象としたデータテーブルの名称が記録される。操作種別は、運用操作がデータの更新であるか、データ(レコード)の削除であるかの種別が記録される。操作実施前データは、運用操作を行う前の当該データの内容である。例えば、データ項目毎にコンマ区切りなどの形式で表される。
【0065】
再び図7を参照する。
スイッチング支援システム4は、ステップS211で送信された廃止取次情報に基づき、上述と同様に、小売電気事業者の切替に関する手続処理を行う(S213)。スイッチング支援システム4は、スイッチング(マッチング)の結果である切替手続結果の情報を顧客管理システム1へ送信する(S214)。
【0066】
上記ステップS210において、処理結果が正常である場合(S210:YES)、及びステップS214の後、スイッチング部102は、切替手続結果の情報に基づき、地点情報データ204、及び設備情報データ205を生成し、データ記憶部20へ記憶させる(S215)。
【0067】
図11は、データ記憶部20のデータ構造を示す図である。
図11に示すように、地点情報データ204、及び設備情報データ205は、各データの属性が定義された構造化データによって構成される。
【0068】
地点情報データ204は、供給地点特定番号、顧客ID、氏名、住所などの顧客と当該顧客が電力の供給を受ける場所(設置場所)とを対応付ける情報と、切替手続における契約締結日や電気の供給開始日、スイッチング支援システム4における切替手続の進捗のステータスなどの情報とに、各設置場所固有の設置場所IDが付されて登録される。
【0069】
設備情報データ205は、供給地点特定番号に対応する設備情報として、契約形態や契約電流などの契約内容と、供給する電力の供給方法、力率など電気設備に関する内容と、検針データを取得する検針日に関する内容とが登録される。
【0070】
再び図7を参照する。
ステップS215の後、業務処理部10のスイッチング部102は、スイッチング処理を完了し(S216)、次工程へ進む。
【0071】
このように、上述した登録処理において、新たに電力の供給を受ける新規契約の申込み手続が行われた場合、スイッチング部102によって、スイッチング処理が実行される。そして、スイッチング部102は、データ記憶部20に登録された顧客情報及び供給地点特定番号などの情報に基づいて、スイッチング支援システム4に切替手続を行わせる。このため、小売電気事業者のオペレータによる情報入力の手間が削減される。また、スイッチング支援システム4による切替手続が正常に完了しない場合には、運用監視結果が小売電気事業者端末3に表示される。このため、小売電気事業者のオペレータは、運用監視結果を把握することができ、正常でないデータを更新又は削除等の運用操作を行うことができる。
【0072】
なお、本スイッチング処理において、上述した登録処理で生成した顧客データ201、請求先データ202、及び申込プランデータ203が正常であるか否かを判定し、この判定結果を含む運用監視ログ501及びバッチ処理ログ502の情報を小売電気事業者端末3へ送信しても良い。
【0073】
具体的には、顧客管理システム1の運用監視部40は、顧客データ201、請求先データ202、及び申込プランデータ203が、予め設定した判定条件を満たすか否かを判定する。次に、顧客管理システム1の業務処理部10は、通信部30を介し、運用監視ログ501及びバッチ処理ログ502の情報を小売電気事業者端末3へ送信する。
【0074】
小売電気事業者端末3は、顧客管理システム1からの運用監視ログ501及びバッチ処理ログ502の情報を運用監視結果としてディスプレイ等に表示させる。これにより、小売電気事業者のオペレータは、顧客データ201、請求先データ202、及び申込プランデータ203が正常であるか否かを把握する。
【0075】
次に、小売電気事業者のオペレータは、運用監視結果が正常で無い場合、これを解消するための運用操作を、小売電気事業者端末3から入力する。例えば、運用監視ログ501にて、あるデータの項目がエラーであると判定された場合、当該データを正常のデータに更新する操作入力を手動で行う。小売電気事業者端末3は、オペレータが入力した運用操作の情報を顧客管理システム1へ送信する。業務処理部10の登録部101は、運用操作を取得すると、当該運用操作に基づき、顧客データ201、請求先データ202、及び申込プランデータ203を更新する。
【0076】
このように、顧客データ201、請求先データ202、及び申込プランデータ203が判定条件を満たさない場合には、運用監視結果が小売電気事業者端末3に表示される。このため、小売電気事業者のオペレータは、運用監視結果を把握することができ、正常でないデータを更新又は削除等の運用操作を行うことができる。
【0077】
[電力量取得処理]
図12は、電力量取得処理の動作を示すフローチャートである。
業務処理部10の電力量取得部103は、所定のタイミングで、託送システム5から、供給地点特定番号毎の電力使用量に関する検針データを取得する電力量取得処理を行う。
【0078】
電力量取得部103は、託送システム5に対し、検針データのダウンロードを要求する検針データ要求を送信する(S301)。検針データ要求には、例えば、当該小売電気事業者を識別する小売電気事業者コードを含める。なお、通信エラーが生じた場合、電力量取得部103は自動でリトライする。
【0079】
託送システム5は、検針データ要求を受けると、小売電気事業者コードに基づき認証を行い、当該小売電気事業者が契約する顧客の供給地点特定番号に対応する検針データを、顧客管理システム1にダウンロードさせる(S302)。検針データは、託送システム5が収集した単位時間毎の電力使用量と、個々の顧客の供給地点特定番号とを関連付けたデータであり、例えばXML等の汎用的なデータ形式で生成されている。
【0080】
顧客管理システム1の運用監視部40は、電力量取得の処理結果が、予め設定した判定条件を満たすか否かを判定する(S303)。判定条件は、例えば、ダウンロードした検針データが、所定のデータ形式に適合しているか否か、検針データに欠落がないか否か、当該小売電気事業者の現契約のすべての顧客の検針データが網羅されているか否かなど、取得した検針データが正常であるか否かを条件とする。
【0081】
次に、運用監視部40は、運用監視ログ501、及びバッチ処理ログ502を、ログ記録部50に記録する(S304)。運用監視ログ501、及びバッチ処理ログ502のデータ構造は、上述の通りである。
【0082】
顧客管理システム1の業務処理部10は、通信部30を介し、運用監視ログ501及びバッチ処理ログ502の情報を小売電気事業者端末3へ送信する(S305)。
【0083】
小売電気事業者端末3は、顧客管理システム1からの運用監視ログ501及びバッチ処理ログ502の情報を運用監視結果としてディスプレイ等に表示させる(S306)。これにより、小売電気事業者のオペレータは、電力量取得処理の動作が正常に実行されたか否かを把握する。
【0084】
次に、小売電気事業者のオペレータは、運用監視結果が正常で無い場合、これを解消するため、送配電事業者に対して検針データの訂正を依頼する(S307)。送配電事業者に対する検針データの訂正依頼は、小売電気事業者のオペレータが送配電事業者の託送システム連絡先窓口に、例えば電子メール又は電話により連絡をすることにより行う。
【0085】
電子メールを用いる場合、小売電気事業者端末3は、オペレータによる所定の操作入力がされると、電子メールの自動送信機能により検針データの訂正依頼の情報を託送システム5の連絡先窓口へ送信する(S308)。例えば、この電子メールの内容は、顧客管理システム1から取得した運用監視結果の情報のうち検針データの異常箇所を示す情報と、定型文とを合成して生成してもよい。
【0086】
このように、ステップS302で取得した検針データには何らかの不備がある場合には、これを小売電気事業者のオペレータが把握した上で、送配電事業者に対して当該不備のある検針データの訂正を要求する。
【0087】
送配電事業者は、小売電気事業者から検針データの訂正依頼を受けると、当該検針データの訂正依頼に従い、検針データの訂正を実施する。託送システム5は、訂正された検針データを、小売電気事業者がアクセス可能なサーバにアップロードする。そして、託送システム5は、顧客管理システム1から再度の検針データ要求を受けると、当該検針データ要求に従い、検針データを顧客管理システム1にダウンロードさせる(S309)。なお、通信エラーが生じた場合、電力量取得部103は自動でリトライする。
【0088】
上記ステップS305の後、顧客管理システム1の業務処理部10は、ステップS303の処理結果判定が正常である場合(S310:YES)、ステップS311へ進む。
【0089】
一方、ステップS303の処理結果判定が正常で無い場合、業務処理部10は、訂正された検針データのダウンロードの完了を待つ(S310:NO)。
【0090】
上記ステップS310において、処理結果が正常である場合(S310:YES)、及びステップS309の後、業務処理部10の電力量取得部103は、電力量取得処理を完了し(S311)、次工程へ進む。
【0091】
このように電力量取得処理において電力量取得部103は、託送システム5から、供給地点特定番号毎の電力使用量に関する検針データを取得する。このため、小売電気事業者のオペレータが手動で検針データをダウンロードする手間が削減される。また、託送システム5から取得した検針データが正常で無い場合には、運用監視結果が小売電気事業者端末3に表示される。このため、小売電気事業者のオペレータは、運用監視結果を把握することができ、正常でない検針データの訂正を送配電事業者に依頼し、訂正された検針データを託送システム5から取得することができる。
【0092】
[料金計算処理]
図13は、料金計算処理の動作を示すフローチャートである。
業務処理部10の料金計算部104は、月に一回など所定のタイミングで、検針データ及び料金プラン情報に基づき、顧客毎の電力料金を計算する料金計算処理を行う。
【0093】
料金計算部104は、上述した電力量取得処理で取得した検針データを参照し、各顧客の供給地点特定番号に対応する電力使用量を抽出する。また、料金計算部104は、申込プランデータ203を参照し、各顧客に対応する料金プラン情報(基本料金、従量料金等)を抽出する。そして、料金計算部104は、電力使用量と料金プラン情報とに基づき、顧客毎の電気料金を計算する(S401)。
【0094】
例えば、料金計算部104は、一ヶ月分の従量料金を計算する場合、一ヶ月分の電力使用量を集計し、従量料金の単価に一ヶ月分の電力使用量を乗算して従量料金等を計算する。また例えば、料金プランが時間帯に応じて料金単価が異なる場合(夜間料金等)、検針データの電気使用量を時間帯に応じて区分し、時間帯の区分ごとの使用電力量を集計した後、当該時間帯の料金単価に乗算する。その他、料金計算部104は、料金プランに応じて、各種の割引適用や追加料金の加算などの計算を行う。
【0095】
次に、料金計算部104は、上記ステップS401の計算結果に基づき、売上伝票データを生成する(S402)。売上伝票データは、顧客情報と、顧客毎の電気料金の内訳の情報とから構成される。例えば売上伝票データは、顧客の氏名、住所などの顧客情報と、料金計算の対象期間(一ヶ月など)の情報と、基本料金、従量料金、各種追加料金などの料金内訳の情報と、によって構成される。
【0096】
顧客管理システム1の運用監視部40は、料金計算の処理結果が、予め設定した判定条件を満たすか否かを判定する(S403)。判定条件は、例えば、料金プランに応じた各料金項目について料金を算出できたか否かなど、電気料金の計算が正常であるか否かを条件とする。
【0097】
次に、運用監視部40は、運用監視ログ501、及びバッチ処理ログ502を、ログ記録部50に記録する(S404)。運用監視ログ501、及びバッチ処理ログ502のデータ構造は、上述の通りである。
【0098】
顧客管理システム1の料金計算部104は、通信部30を介し、運用監視ログ501及びバッチ処理ログ502の情報を小売電気事業者端末3へ送信する(S405)。
【0099】
小売電気事業者端末3は、顧客管理システム1からの運用監視ログ501及びバッチ処理ログ502の情報を運用監視結果としてディスプレイ等に表示させる(S406)。これにより、小売電気事業者のオペレータは、料金計算処理の動作が正常に実行されたか否かを把握する。
【0100】
次に、小売電気事業者のオペレータは、運用監視結果が正常で無い場合、これを解消するための運用操作を、小売電気事業者端末3から入力する(S407)。例えば、運用監視ログ501にて、従量料金の単価が設定されておらず従量料金が計算できないエラーであると判定された場合、申込プランデータ203の従量料金の単価情報を追加する操作入力を手動で行う。小売電気事業者端末3は、オペレータが入力した運用操作の情報を顧客管理システム1へ送信する(S408)。
【0101】
上記ステップS405の後、顧客管理システム1の料金計算部104は、ステップS403の処理結果判定が正常である場合(S409:YES)、ステップS413へ進む。
【0102】
一方、ステップS403の処理結果判定が正常で無い場合、料金計算部104は、小売電気事業者端末3からの運用操作送信を待つ(S409:NO)。
【0103】
業務処理部10の料金計算部104は、ステップS408の運用操作を取得すると、当該運用操作の情報に基づき、料金計算を再度行う(S410)。また、料金計算部104は、再度の計算結果に基づき、売上伝票データを更新する(S411)。
【0104】
業務処理部10の料金計算部104は、小売電気事業者端末3から取得した運用操作の情報を運用操作ログ503として、ログ記録部50に記録する(S412)。運用操作ログ503のデータ構造は、上述の通りである。
【0105】
上記ステップS409において、処理結果が正常である場合(S409:YES)、及びステップS412の後、料金計算部104は、売上伝票データを請求情報として、顧客端末2へ送信する(S413)。顧客端末2は、顧客管理システム1からの請求情報をディスプレイ等に表示させる(S414)。これにより顧客は、自身に請求される電気料金を把握する。
【0106】
業務処理部10の料金計算部104は、上記ステップS413の後、料金計算処理を完了する(S415)。
【0107】
このように料金計算処理において料金計算部104は、検針データ及び料金プラン情報に基づき、顧客毎の電力料金を計算する。このため、小売電気事業者のオペレータが手動で料金計算する手間が削減される。また、料金計算部104による料金計算の結果が正常で無い場合には、運用監視結果が小売電気事業者端末3に表示される。このため、小売電気事業者のオペレータは、運用監視結果を把握することができ、正常でない料金計算について、その原因を特定して申込プランデータ203等のデータを運用操作によって修正することで、再度、料金計算を行わせることができる。
【0108】
以上のように本実施の形態1においては、顧客管理システム1の業務処理部10は、登録処理、スイッチング処理、電力量取得処理、及び料金計算処理の各処理を順次実行する。このため、小売電気事業者における一連の業務処理を、顧客管理システム1によって実行することができ、小売電気事業者の業務効率を向上することができる。
【0109】
また、スイッチング処理、電力量取得処理、及び料金計算処理のそれぞれにおいて、運用監視部40による運用監視結果を小売電気事業者端末3へ出力する。このため、小売電気事業者のオペレータは、各処理のそれぞれにおいて運用監視結果を把握することができる。また、オペレータは、運用監視結果の判定結果が正常で無い場合、これを修正するための運用操作を行うことができる。
【0110】
実施の形態2.
以下、実施の形態2に係る顧客管理システム1の構成及び動作を、実施の形態1との相違点を中心に説明する。なお、実施の形態1と同一の構成には同一の符号を付し説明を省略する。
【0111】
(システム構成)
図14は、実施の形態2に係る小売電気事業者向け顧客管理システム1の概略構成図である。
図14に示すように、顧客管理システム1は、インターネットなどのネットワークNを介して、決済システム6と通信可能に接続されている。決済システム6は、例えば、銀行等の金融機関、クレジットカード会社、又は電子マネー会社などの決済サービス事業者が保有するシステムである。決済システム6は、例えば、決済サービス事業者が銀行であれば銀行の銀行システムであってもよいし、決済サービス事業者がクレジットカード会社であればこの会社のクレジットカードシステムであってもよい。銀行システムは、例えば、銀行口座の口座情報を管理し、この銀行口座に対する振込処理や参照処理を行う。なお、決済システム6は、金融機関等の決済機関と小売電気事業者との間を仲介する決済代行会社のシステムであっても良い。
【0112】
図15は、実施の形態2に係る顧客管理システム1の制御ブロック図である。
図15に示すように、顧客管理システム1の業務処理部10は、請求部105と、収納部106とを備えている。請求部105は、決済システム6へ、料金計算部104が計算した顧客毎の電力料金の情報を送信し、決済システム6に電気料金の決済手続を行わせる請求処理を行う。収納部106は、決済システム6から決済手続の結果を取得し、顧客毎の電気料金が支払済みか否かの情報を小売電気事業者端末3へ出力する収納処理を行う。
【0113】
(動作)
本実施の形態2の顧客管理システム1の動作について説明する。
図16は、実施の形態2に係る顧客管理システム1の自動処理の動作を示すフローチャートである。
図16に示すように、顧客管理システム1の業務処理部10は、登録処理(S1)、スイッチング処理(S2)、電力量取得処理(S3)、料金計算処理(S4)、請求処理(S5)、及び収納処理(S6)の各処理を順次実行する。ステップS1~S4は、上記実施の形態1と同様である。以下、請求処理(S5)、及び収納処理(S6)の動作をそれぞれ説明する。
【0114】
[請求処理]
図17は、請求処理の動作を示すフローチャートである。
顧客管理システム1の請求部105は、料金計算部104が生成した売上伝票データと、データ記憶部20に記憶された顧客データ201及び請求先データ202とを参照し、決済を行う金額の情報、顧客情報、支払方法や口座番号等の請求先の情報、及び当該小売電気事業者を識別するID情報など、決済手続に必要な情報を含む決済要求データを生成する。そして、請求部105は、決済システム6に対し、決済要求データを送信する(S501)。
【0115】
決済システム6は、決済要求データを受けると、決済要求データを構成する情報に不足や不備が無いか判定し、その結果をデータ受付情報として顧客管理システム1へ通知する(S502)。
【0116】
顧客管理システム1の運用監視部40は、決済要求データ送信の処理結果が、予め設定した判定条件を満たすか否かを判定する(S503)。判定条件は、例えば、決済システム6から通知されたデータ受付情報が正常であるか否かを条件とする。
【0117】
次に、運用監視部40は、運用監視ログ501、及びバッチ処理ログ502を、ログ記録部50に記録する(S504)。運用監視ログ501、及びバッチ処理ログ502のデータ構造は、上述の通りである。
【0118】
顧客管理システム1の請求部105は、通信部30を介し、運用監視ログ501及びバッチ処理ログ502の情報を小売電気事業者端末3へ送信する(S505)。
【0119】
小売電気事業者端末3は、顧客管理システム1からの運用監視ログ501及びバッチ処理ログ502の情報を運用監視結果としてディスプレイ等に表示させる(S506)。これにより、小売電気事業者のオペレータは、決済要求データ送信処理の動作が正常に実行されたか否かを把握する。
【0120】
次に、小売電気事業者のオペレータは、運用監視結果が正常で無い場合、これを解消するための運用操作を、小売電気事業者端末3から入力する(S507)。例えば、運用監視ログ501にて、決済要求データの口座番号に不備があると判定された場合、当該口座番号を修正するための操作入力を手動で行う。小売電気事業者端末3は、オペレータが入力した運用操作の情報を顧客管理システム1へ送信する(S508)。
【0121】
上記ステップS505の後、顧客管理システム1の業務処理部10は、ステップS503の処理結果判定が正常である場合(S509:YES)、ステップS513へ進む。
【0122】
一方、ステップS503の処理結果判定が正常で無い場合、業務処理部10は、小売電気事業者端末3からの運用操作送信を待つ(S509:NO)。
【0123】
業務処理部10の請求部105は、ステップS508の運用操作を取得すると、当該運用操作の情報に基づき、決済要求データを再送信する(S510)。即ち、ステップS501で送信した決済要求データには何らかの不備があり、決済要求データ送信処理の動作が正常で無い場合、これを小売電気事業者のオペレータが把握した上で、当該不備のある決済要求データを修正し、再度、決済要求データを送信する。
【0124】
業務処理部10の請求部105は、小売電気事業者端末3から取得した運用操作の情報を運用操作ログ503として、ログ記録部50に記録する(S511)。運用操作ログ503のデータ構造は、上述の通りである。
【0125】
決済システム6は、顧客管理システム1からの決済要求データを受け付けると、決済要求データに基づき、口座振替やクレジットカード決済などの決済手続を実行する(S512)。決済システム6は、決済手続を受け付けた旨の通知を顧客管理システム1へ送信する(S513)。
【0126】
業務処理部10の請求部105は、決済システム6から決済手続を受け付けた旨の通知を受けると、請求処理を完了し(S514)、次工程へ進む。
【0127】
このように請求処理において請求部105は、顧客毎の電気料金の情報を含む決済要求データを決済システム6へ送信し、決済システム6に電気料金の決済手続を行わせる。このため、小売電気事業者のオペレータが手動で決済手続を行う手間が削減される。また、決済システム6へ送信した決済要求データが正常で無い場合には、運用監視結果が小売電気事業者端末3に表示される。このため、小売電気事業者のオペレータは、運用監視結果を把握することができ、正常でない決済要求データを修正する運用操作を行い、再度、決済要求データを決済システム6へ送信し直すことができる。
【0128】
[収納処理]
図18は、収納処理の動作を示すフローチャートである。
決済システム6は、決済手続が完了するとその結果を顧客管理システム1へ通知する(S601)。ここで、決済システム6による決済手続結果の通知には、例えば、顧客情報、当該顧客の電気料金が小売電気事業者の口座に入金されたか否かの情報、及び入金日の情報が含まれる。
【0129】
顧客管理システム1の収納部106は、決済システム6から決済手続結果の通知を受けると、当該決済手続結果の取込を行う(S602)。収納部106は、取り込んだ決済手続結果に基づき、顧客毎の売上伝票データに対し、電気料金が支払済みである売上伝票については入金済みである旨のフラグを付すことで入金消込を行う(S603)。そして、収納部106は、顧客毎の電気料金が支払済みか否かの情報を小売電気事業者端末3へ送信する(S604)。これにより、小売電気事業者は、顧客毎の電気料金が支払済みか否かを把握する。
【0130】
顧客管理システム1の収納部106は、電気料金が支払済みで無い売上伝票について、督促処理を行う(S605)。例えば、収納部106は、売上伝票ごとに設定した入金期日から所定期間内に電気料金の支払がない場合、督促処理を行う。収納部106は、督促を要求する売上伝票に対応する、金額の情報、顧客情報、支払方法や口座番号等の請求先の情報、及び当該小売電気事業者を識別するID情報など、督促手続に必要な情報を含む督促要求データを生成し、決済システム6へ送信する(S606)。
【0131】
決済システム6は、督促要求データを受けると、督促要求データを構成する情報に不足や不備が無いか判定し、その結果をデータ受付情報として顧客管理システム1へ通知する(S607)。
【0132】
顧客管理システム1の運用監視部40は、督促要求データ送信の処理結果が、予め設定した判定条件を満たすか否かを判定する(S608)。判定条件は、例えば、決済システム6から通知されたデータ受付情報が正常であるか否かを条件とする。
【0133】
次に、運用監視部40は、運用監視ログ501、及びバッチ処理ログ502を、ログ記録部50に記録する(S609)。運用監視ログ501、及びバッチ処理ログ502のデータ構造は、上述の通りである。
【0134】
顧客管理システム1の収納部106は、通信部30を介し、運用監視ログ501及びバッチ処理ログ502の情報を小売電気事業者端末3へ送信する(S610)。
【0135】
小売電気事業者端末3は、顧客管理システム1からの運用監視ログ501及びバッチ処理ログ502の情報を運用監視結果としてディスプレイ等に表示させる(S611)。これにより、小売電気事業者のオペレータは、督促要求データ送信処理の動作が正常に実行されたか否かを把握する。
【0136】
次に、小売電気事業者のオペレータは、運用監視結果が正常で無い場合、これを解消するための運用操作を、小売電気事業者端末3から入力する(S612)。例えば、運用監視ログ501にて、督促要求データの口座番号に不備があると判定された場合、当該口座番号を修正するための操作入力を手動で行う。小売電気事業者端末3は、オペレータが入力した運用操作の情報を顧客管理システム1へ送信する(S613)。
【0137】
上記ステップS610の後、顧客管理システム1の業務処理部10は、ステップS608の処理結果判定が正常である場合(S614:YES)、ステップS618へ進む。
【0138】
一方、ステップS608の処理結果判定が正常で無い場合、業務処理部10は、小売電気事業者端末3からの運用操作送信を待つ(S614:NO)。
【0139】
業務処理部10の収納部106は、ステップS613の運用操作を取得すると、当該運用操作の情報に基づき、督促要求データを再送信する(S615)。即ち、ステップS606で送信した督促要求データには何らかの不備があり、督促要求データ送信処理の動作が正常で無い場合、これを小売電気事業者のオペレータが把握した上で、当該不備のある督促要求データを修正し、再度、督促要求データを送信する。
【0140】
業務処理部10の収納部106は、小売電気事業者端末3から取得した運用操作の情報を運用操作ログ503として、ログ記録部50に記録する(S616)。運用操作ログ503のデータ構造は、上述の通りである。
【0141】
決済システム6は、顧客管理システム1からの督促要求データを受け付けると、督促要求データに基づき、顧客に対して電気料金の支払を督促する通知、及び延滞料金の加算処理などの督促手続を実行する(S617)。決済システム6は、督促手続を受け付けた旨の通知を顧客管理システム1へ送信する(S618)。
【0142】
業務処理部10の収納部106は、決済システム6から督促手続を受け付けた旨の通知を受けると、収納処理を完了する(S619)。
【0143】
このように収納処理において収納部106は、決済システム6から決済手続の結果を取得し、顧客毎の電気料金が支払済みの売上伝票について入金消込を行う。また、収納部106は、電気料金の支払いが無い場合、督促要求データを決済システム6へ送信し、決済システム6に電気料金の督促手続を行わせる。このため、小売電気事業者のオペレータが手動で入金消込と督促手続とを行う手間が削減される。
【0144】
また、決済システム6へ送信した督促要求データが正常で無い場合には、運用監視結果が小売電気事業者端末3に表示される。このため、小売電気事業者のオペレータは、運用監視結果を把握することができ、正常でない督促要求データを修正する運用操作を行い、再度、督促要求データを決済システム6へ送信し直すことができる。
【0145】
以上のように本実施の形態2においては、顧客管理システム1の業務処理部10は、登録処理、スイッチング処理、電力量取得処理、料金計算処理、請求処理、及び収納処理の各処理を順次実行する。このため、小売電気事業者における一連の業務処理を、顧客管理システム1によって実行することができ、小売電気事業者の業務効率を向上することができる。
【0146】
また、スイッチング処理、電力量取得処理、料金計算処理、請求処理、及び収納処理のそれぞれにおいて、運用監視部40による運用監視結果を小売電気事業者端末3へ出力する。このため、小売電気事業者のオペレータは、各処理のそれぞれにおいて運用監視結果を把握することができる。また、運用監視結果の判定結果が正常で無い場合、これを修正するための運用操作を行うことができる。
【0147】
実施の形態3.
実施の形態3に係る顧客管理システム1は、運用監視による判定結果が正常で無い場合に、自動補正処理によってデータの補正を行う。以下、実施の形態3に係る顧客管理システム1の構成及び動作を、実施の形態1及び2との相違点を中心に説明する。なお、実施の形態1及び2と同一の構成には同一の符号を付し説明を省略する。
【0148】
図19は、実施の形態3に係る顧客管理システム1の制御ブロック図である。
図19に示すように、実施の形態3に係る顧客管理システム1は、自動補正処理部60と学習済みモデル70とを備える。自動補正処理部60は、CPUもしくはGPU等のプロセッサ、ASICもしくはFPGAなどの処理回路、又はその両方で構成され、アプリケーションプログラムを実行することにより実現される機能部である。自動補正処理部60は、モデル生成部601と、推論処理部602と、データ近似値判定処理部603とを備える。
【0149】
図20は、学習済みモデル70の生成に関する制御ブロック図である。
図20に示すように、モデル生成部601は、顧客データ201、請求先データ202、申込プランデータ203、地点情報データ204、設備情報データ205、及び運用操作ログ503を含む学習データLを用いて学習した学習済みモデル70を生成する。
【0150】
モデル生成部601は、例えば、学習データLを構成する各データ項目の内、任意のデータ項目を目的変数とし、他のデータ項目を説明変数として、教師あり学習を行う。また教師あり学習において、学習データLを構成する各データ項目のうち、目的変数とするデータ項目を順次変更して学習を行うことで、複数の学習済みモデル70を生成し、各データ項目をそれぞれ推論可能とする。
【0151】
図21は、自動補正処理に関する制御ブロック図である。
自動補正処理部60は、上述した、登録処理、スイッチング処理、電力量取得処理、及び料金計算処理の各処理を実行した結果、ログ記録部50に記録された運用監視ログ501及びバッチ処理ログ502に基づき、運用監視部40の判定結果が判定条件を満たさないデータ項目を、自動補正の対象データ項目とする。図21に示すように、推論処理部602は、各処理実行結果に基づき自動補正の対象データ項目を取得し、当該自動補正の対象データ項目を、学習済みモデル70を用いて推論する。
【0152】
データ近似値判定処理部603は、推論処理部602が推論した結果と学習データLとの類似度を判定する。ここで、類似度の判定は、例えばクラスタリングによるk平均(k-means)法や最短距離法など、任意の手法を用いる。
【0153】
データ近似値判定処理部603は、類似度が予め設定した類似度を超える場合、推論処理部602が推論した推論結果を用いて、データ記憶部20のデータを自動補正する。
【0154】
一方、類似度が予め設定した類似度以下の場合、データ近似値判定処理部603は、データ項目の修正指示を小売電気事業者端末3へ出力する。小売電気事業者端末3は、データ項目の修正指示を受けると、小売電気事業者のオペレータによって当該データ項目の修正後のデータを手動で入力し、顧客管理システム1へ送信する。データ近似値判定処理部603は、小売電気事業者端末3から取得した修正後のデータを用いて、データ記憶部20のデータを更新する。
【0155】
更に、モデル生成部601は、小売電気事業者端末3から取得した修正後のデータを学習データLに加えて、学習済みモデル70の再学習を行う。
【0156】
以上のように本実施の形態3においては、推論処理部602は、各処理実行結果に基づき自動補正の対象データ項目を取得し、当該自動補正の対象データ項目を、学習済みモデル70を用いて推論する。このため、運用監視結果の判定結果が正常で無い場合、小売電気事業者のオペレータによる操作入力を省略することができ、小売電気事業者の業務効率を向上することができる。
【0157】
また、データ近似値判定処理部603は、推論処理部602が推論した結果と学習データLとの類似度を判定し、類似度が予め設定した類似度以下のデータ項目の修正指示を小売電気事業者端末3へ出力する。このため、推論処理部602の推論精度が低い場合には、小売電気事業者のオペレータによる操作入力に基づき、データ更新を行うことができる。
【0158】
また、モデル生成部601は、小売電気事業者端末3から取得した修正後のデータを学習データLに加えて、学習済みモデル70の再学習を行う。このため、推論処理部602の推論精度が低いデータ項目について、小売電気事業者のオペレータによる操作入力を教師データとして、学習済みモデル70の再学習を行うことができ、推論処理部602の推論精度を向上させることができる。
【符号の説明】
【0159】
1 顧客管理システム、2 顧客端末、3 小売電気事業者端末、4 スイッチング支援システム、5 託送システム、6 決済システム、10 業務処理部、20 データ記憶部、30 通信部、40 運用監視部、50 ログ記録部、60 自動補正処理部、70 学習済みモデル、101 登録部、102 スイッチング部、103 電力量取得部、104 料金計算部、105 請求部、106 収納部、201 顧客データ、202 請求先データ、203 申込プランデータ、204 地点情報データ、205 設備情報データ、501 運用監視ログ、502 バッチ処理ログ、503 運用操作ログ、601 モデル生成部、602 推論処理部、603 データ近似値判定処理部、L 学習データ、N ネットワーク。
【要約】
【課題】小売電気事業者の業務効率を向上することができる小売電気事業者向け顧客管理システムを得る。
【解決手段】小売電気事業者向け顧客管理システムは、登録処理と、スイッチング処理と、電力量取得処理と、料金計算処理とを行い、登録処理、スイッチング処理、電力量取得処理及び料金計算処理のそれぞれにおいて、処理結果が予め設定した判定条件を満たすか否かを判定する。
【選択図】図1
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