(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-19
(45)【発行日】2025-02-28
(54)【発明の名称】入力装置
(51)【国際特許分類】
G06F 3/0354 20130101AFI20250220BHJP
G06F 3/041 20060101ALI20250220BHJP
H01H 36/00 20060101ALI20250220BHJP
【FI】
G06F3/0354 453
G06F3/041 520
G06F3/041 600
G06F3/041 640
H01H36/00 J
(21)【出願番号】P 2021104090
(22)【出願日】2021-06-23
【審査請求日】2024-01-26
(31)【優先権主張番号】P 2020216018
(32)【優先日】2020-12-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】322003857
【氏名又は名称】パナソニックオートモーティブシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【氏名又は名称】新居 広守
(74)【代理人】
【識別番号】100137235
【氏名又は名称】寺谷 英作
(74)【代理人】
【識別番号】100131417
【氏名又は名称】道坂 伸一
(72)【発明者】
【氏名】園田 祥
(72)【発明者】
【氏名】外川 浩之
(72)【発明者】
【氏名】松井 則文
(72)【発明者】
【氏名】上田 尚弥
【審査官】渡辺 慶人
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-079135(JP,A)
【文献】特開2001-075720(JP,A)
【文献】特開2011-197991(JP,A)
【文献】特開2020-091598(JP,A)
【文献】特表2017-521767(JP,A)
【文献】特開2019-125218(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/03 - 3/047
H01H 36/00 - 36/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作体による操作を行うための第1面と、前記第1面の裏面である第2面とを有する入力部材と、
前記第2面に配置された第1電極と、
前記第1電極と対向し、かつ、前記第1電極と離間して配置された第2電極と、
前記第1電極と前記第2電極との間の静電容量に基づいて、前記操作体の操作による前記入力部材への押圧を検出し、検出した値である感圧値を算出する制御部とを備え、
前記第1電極は、グランドに電気的に接続され
、
さらに、前記グランドと電気的に接続され、前記第1電極と対応する位置に配置されたグランド電極と、
前記第1電極と前記グランド電極とで挟まれた導電性部材と、
前記第2電極が設けられた第1基板と、
前記グランド電極が設けられた第2基板とを備え、
前記第1基板は、前記第2基板と前記入力部材との間に配置されている
入力装置。
【請求項2】
前記導電性部材は、前記入力部材の四隅にそれぞれ設けられる
請求項
1に記載の入力装置。
【請求項3】
前記第1電極は、前記第2面における端縁に沿って配置される
請求項1
又は2に記載の入力装置。
【請求項4】
前記入力部材の前記第2面と対向する位置に配置された第3電極を備え、
前記第3電極は、前記入力部材の前記第2面と対向する方向に沿って見た場合に、前記第1電極よりも前記入力部材の中央部側に配置される
請求項
3に記載の入力装置。
【請求項5】
前記第3電極は、前記操作体が前記入力部材に接触した位置を検出するためのタッチ用電極である
請求項
4に記載の入力装置。
【請求項6】
前記第2電極の幅は、前記第1電極の幅よりも小さい
請求項
5に記載の入力装置。
【請求項7】
前記第1電極は、前記第3電極が前記入力部材の前記第2面と対向する方向に沿って見た場合に、前記第3電極と重ならない
請求項
6に記載の入力装置。
【請求項8】
前記第1電極は、前記第2面における端縁に沿って、連続的に繋がった状態で配置され、
前記導電性部材は、前記第1電極と前記グランド電極との間に少なくとも1つ設けられる
請求項
1に記載の入力装置。
【請求項9】
前記入力部材は、前記操作体の操作による前記入力部材への押圧によって湾曲可能であり、
前記第2電極は、
前記グランド電極よりも、
前記導電性部材から離れた位置に配置されている
請求項
1~8のいずれか1項に記載の入力装置。
【請求項10】
前記第1面は、前記操作体の操作による前記入力部材への押圧がされた位置を検出するために区画された複数の検出領域を有し、
前記第1基板には、前記複数の検出領域ごとに対応するように、複数の前記第2電極が配置され、
前記制御部は、前記第1電極と前記第2電極との間の静電容量に基づいて、前記操作体による操作がされた位置を検出する
請求項
1に記載の入力装置。
【請求項11】
複数の前記第2電極では、2以上の前記第2電極からなるグループが複数形成され、
前記制御部は、前記第2電極と前記第1電極との間の静電容量値を前記グループごとに合算し、合算した値に基づいて重心計算を行うことで、前記操作体による操作がされた位置を検出する
請求項
10に記載の入力装置。
【請求項12】
前記第1基板の表面においてX軸方向と、前記X軸方向と直交する方向であるY軸方向とを規定した場合に、複数の前記第2電極は、前記第1基板における表面の中央部を挟むように、前記X軸方向に沿って複数列設けられ、かつ、前記第1基板における表面の中央部を挟むように、前記Y軸方向に沿って複数列設けられ、
複数の前記第2電極では、前記中央部を挟んで対向する2以上の前記第2電極からなるグループが複数形成され、
前記制御部は、前記第2電極と前記第1電極との間のそれぞれの静電容量値を前記グループごとに合算し、合算した値に基づいて重心計算を行うことで、前記操作体による操作がされた位置を検出する
請求項
11に記載の入力装置。
【請求項13】
前記第1面が予め設定によって分割された複数の領域のそれぞれに割り当てられた複数の補正値を記憶する記憶部を備え、
前記制御部は、
前記操作体の操作によって前記入力部材への押圧を検出した位置に相当する領域を、前記複数の領域から検出し、
前記検出した当該領域に割り当てられた前記補正値を取得し、
取得した前記補正値に基づいて、前記入力部材への押圧を検出した値である前記感圧値を補正する
請求項1~
12のいずれか1項に記載の入力装置。
【請求項14】
前記補正値は、前記操作体によって前記第1面をある一定の荷重で押下したときの、前記入力部材の撓み量に基づいて算出された値である
請求項
13に記載の入力装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、入力装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、外部物体から入力を受信するタッチパッドが開示されている。トラックパッドは、外部物体がタッチした場所を判定する容量性のタッチパッドセンサアレイを有するタッチパッド部材と、外部物体がタッチパッド部材を押下している力の強さを示す力出力信号を生成する複数の力センサと、ユーザによるジェスチャ動作を検出する記憶処理回路とを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、例えば、特許文献1に開示されたタッチパッドなどの入力装置において、タッチパッド部材の押下を精度よく検出することが望まれている。
【0005】
そこで、本開示は、操作体による押圧操作を精度よく検出することができる入力装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る入力装置は、操作体による操作を行うための第1面と、前記第1面の裏面である第2面とを有する入力部材と、前記第2面に配置された第1電極と、前記第1電極と対向し、かつ、前記第1電極と離間して配置された第2電極と、前記第1電極と前記第2電極との間の静電容量に基づいて、前記操作体の操作による前記入力部材への押圧を検出し、検出した値である感圧値を算出する制御部とを備え、前記第1電極は、グランドに電気的に接続され、さらに、前記グランドと電気的に接続され、前記第1電極と対応する位置に配置されたグランド電極と、前記第1電極と前記グランド電極とで挟まれた導電性部材と、前記第2電極が設けられた第1基板と、前記グランド電極が設けられた第2基板とを備え、前記第1基板は、前記第2基板と前記入力部材との間に配置されている。
【0007】
なお、この包括的又は具体的な態様は、システム、方法又は集積回路等の任意な組み合わせで実現されてもよい。
【発明の効果】
【0008】
本開示の入力装置は、操作体による押圧操作を精度よく検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、実施の形態1に係る入力装置が配置されている車両の車室の一例を示す模式図である。
【
図2】
図2は、実施の形態1における入力装置の一例を示す分解斜視図である。
【
図3】
図3は、
図2のIII-III線における入力装置の一例を示す断面図である。
【
図4】
図4は、実施の形態1における入力装置の一例を示すブロック図である。
【
図5】
図5は、実施の形態1における入力装置の動作を示すフローチャートである。
【
図6】
図6は、実施の形態1の変形例における入力装置の一例を示す断面図である。
【
図7】
図7は、実施の形態2における入力装置の一例を示す断面図である。
【
図8A】
図8Aは、実施の形態3における入力装置の一例を示すブロック図である。
【
図8B】
図8Bは、実施の形態3における入力装置の第1領域及び第2電極の一例を示す模式図である。
【
図8C】
図8Cは、実施の形態3における重心計算の一例を示す説明図である。
【
図9】
図9は、実施の形態3における入力装置の動作を示すフローチャートである。
【
図10】
図10は、実施の形態4における入力装置の一例を示すブロック図である。
【
図11】
図11は、実施の形態4における入力装置の領域及び補正値の一例を示す説明図である。
【
図12】
図12は、実施の形態4における入力装置の動作を示すフローチャートである。
【
図13】
図13は、その他変形例における入力装置の一例を示す分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示の一態様に係る入力装置は、操作体による操作を行うための第1面と、前記第1面の裏面である第2面とを有する入力部材と、前記第2面に配置された第1電極と、前記第1電極と対向し、かつ、前記第1電極と離間して配置された第2電極と、前記第1電極と前記第2電極との間の静電容量に基づいて、前記操作体の操作による前記入力部材への押圧を検出し、検出した値である感圧値を算出する制御部とを備え、前記第1電極は、グランドに電気的に接続されている。
【0011】
これによれば、操作体によって第1面が押下されると、第2面の第1電極が第2電極に近づく。このとき、第1電極と第2電極との間の静電容量が変化するため、制御部は、操作体の操作による入力部材への押圧を精度よく検出することができる。つまり、入力装置は、操作体の操作による感圧値を精度よく算出することができる。
【0012】
例えば、入力部材が撓みやすい部材で構成される場合であっても、撓みにより第2面の第1電極が第2電極に近づくため入力部材への押圧を検出することが可能である。
【0013】
また、第2面の第1電極はグランドに接続されているため、操作体が第1電極に接近しても、第1電極と第2電極との間の静電容量が変化しない。そのため、ユーザが押圧を意図せずに操作体を第1電極に接近させたとしても、入力部材への押圧として検出されることを抑制することができる。
【0014】
したがって、入力装置は、操作体による押圧操作を精度よく検出することができる。
【0015】
また、本開示の一態様に係る入力装置は、前記グランドと電気的に接続され、前記第1電極と対応する位置に配置されたグランド電極と、前記第1電極と前記グランド電極とで挟まれた導電性部材とを備える。
【0016】
これによれば、押圧として意図せずに操作体が第1面に接触した場合であっても、第1電極は、導電性部材等を介してグランドに接続されており、第1電極と第2電極との間の静電容量が変化しない。このため、操作体による意図しない接触を押圧操作として検出してしまうことを、より抑制することができる。
【0017】
また、本開示の一態様に係る入力装置は、前記第2電極及び前記グランド電極が設けられた第1基板を備える。
【0018】
これによれば、1つの基板に第2電極及びグランド電極を配置することができ、第2電極の基板又はグランド電極の基板を別途用意しなくてもよいため、入力装置における組付け工数の増加を抑制することができる。したがって、入力装置における製品コストの高騰化を抑制することができる。
【0019】
また、本開示の一態様に係る入力装置は、前記第2電極が設けられた第1基板と、前記グランド電極が設けられた第2基板とを備え、前記第1基板は、前記第2基板と前記入力部材との間に配置されている。
【0020】
これによれば、例えば第1基板と第2基板との間にスペースを設ければ、そのスペースにフォースフィードバック用の振動発生部及び制御部等の構造体を配置したりすることができる。このように、第2電極及びグランド電極の配置の自由度を高めることができるため、入力装置における設計の自由度を向上させることができる。
【0021】
また、本開示の一態様に係る入力装置において、前記導電性部材は、前記入力部材の四隅にそれぞれ設けられる。
【0022】
これによれば、導電性部材は入力部材の四隅を支持することができるため、入力部材への押圧時には、入力部材の四隅以外の部分で撓みやすくなる。つまり、入力部材の撓み量を確保することができるため、撓みにより第2面の第1電極が第2電極に近づくため入力部材への押圧を検出することが可能になる。
【0023】
また、本開示の一態様に係る入力装置において、前記第1電極は、前記第2面における端縁に沿って配置される。
【0024】
これによれば、第2面における中央部に、例えば第3電極等の他の電極を配置するための領域を確保することができる。
【0025】
また、本開示の一態様に係る入力装置において、前記入力部材の前記第2面と対向する位置に配置された第3電極を備え、前記第3電極は、前記入力部材の前記第2面と対向する方向に沿って見た場合に、前記第1電極よりも前記入力部材の中央部側に配置される。
【0026】
これによれば、第1電極と干渉しないように、ユーザの操作を検知する第3電極を入力部材の中央部側に配置することができる。
【0027】
また、本開示の一態様に係る入力装置において、前記第3電極は、前記操作体が前記入力部材に接触した位置を検出するためのタッチ用電極である。
【0028】
これによれば、タッチ用電極を入力部材の中央部側に配置することができるため、ユーザが入力装置に対して操作しやすくなる。
【0029】
また、本開示の一態様に係る入力装置において、前記第2電極の幅は、前記第1電極の幅よりも小さい。
【0030】
例えば、第2電極の幅が第1電極の幅よりも大きければ、第1電極は、第2電極で発生した電荷をグランド電極に十分に流すことができない場合がある。しかし、本開示によれば、第1電極は、第2電極で発生した電荷をグランド電極に流すことができる。このため、入力部材への押圧をより精度よく検出することができる。
【0031】
また、本開示の一態様に係る入力装置において、前記第1電極は、前記第3電極が前記入力部材の前記第2面と対向する方向に沿って見た場合に、前記第3電極と重ならない。
【0032】
これによれば、第1電極による検出精度の確保と、第3電極による検出精度の確保との両立を図ることができる。
【0033】
また、本開示の一態様に係る入力装置において、前記第1電極は、前記第2面における端縁に沿って、連続的に繋がった状態で配置され、前記導電性部材は、前記第1電極と前記グランド電極との間に少なくとも1つ設けられる。
【0034】
これによれば、1つの第1電極を第2面に配置するだけで、1つの導電性部材を介してグランド電極と電気的に接続することができる。このため、導電性部材は少なくとも1つのみでよく、第2面に配置する部材の選択肢を増やすことができる。
【0035】
また、本開示の一態様に係る入力装置において、前記入力部材は、前記操作体の操作による前記入力部材への押圧によって湾曲可能であり、前記第2電極は、グランド電極よりも、導電性部材から離れた位置に配置されている。
【0036】
これによれば、第1電極とグランド電極とで導電性部材を挟んだ箇所から離れた位置に第2電極が配置することで、入力部材が撓みやすい位置に第2電極を配置することができる。このため、制御部は、操作体の操作による入力部材への押圧をより精度よく検出することができる。
【0037】
また、第2電極は、グランド電極よりも、導電性部材から離れた位置に配置されている。すなわち、グランド電極は、入力部材が撓みにくい導電性部材の近傍に配置され、第2電極は、入力部材が撓みやすい位置に配置することができる。このため、制御部は、操作体の操作による入力部材への押圧をより精度よく検出することができる。
【0038】
また、本開示の一態様に係る入力装置において、前記第1面は、前記操作体の操作による前記入力部材への押圧がされた位置を検出するために区画された複数の検出領域を有し、前記第1基板には、前記複数の検出領域ごとに対応するように、複数の前記第2電極が配置され、前記制御部は、前記第1電極と前記第2電極との間の静電容量に基づいて、前記操作体による操作がされた位置を検出する。
【0039】
これによれば、操作体の操作による入力部材への押圧した位置を検出するためのタッチセンサを設けなくても、当該押圧の位置を検出することができる。このため、入力装置における製品コストの高騰化を抑制することができる。
【0040】
また、本開示の一態様に係る入力装置において複数の前記第2電極では、2以上の前記第2電極からなるグループが複数形成され、前記制御部は、前記第2電極と前記第1電極との間の静電容量値を前記グループごとに合算し、合算した値に基づいて重心計算を行うことで、前記操作体による操作がされた位置を検出する。
【0041】
これによれば、操作がされた位置を検出することができる。このため、例えば、タッチパッド等を用いなくても、簡易な構成で中央部に対して押圧した位置を検出することができる。このため、入力装置における構成の複雑化を抑制することができる。
【0042】
また、本開示の一態様に係る入力装置において、前記第1基板の表面においてX軸方向と、前記X軸方向と直交する方向であるY軸方向とを規定した場合に、複数の前記第2電極は、前記第1基板における表面の中央部を挟むように、前記X軸方向に沿って複数列設けられ、かつ、前記第1基板における表面の中央部を挟むように、前記Y軸方向に沿って複数列設けられ、複数の前記第2電極では、前記中央部を挟んで対向する2以上の前記第2電極からなるグループが複数形成され、前記制御部は、前記第2電極と前記第1電極との間のそれぞれの静電容量値を前記グループごとに合算し、合算した値に基づいて重心計算を行うことで、前記操作体による操作がされた位置を検出する。
【0043】
これによれば、操作された位置をより精度よく検出することができる。
【0044】
また、本開示の一態様に係る入力装置において、前記第1面が予め設定によって分割された複数の領域のそれぞれに割り当てられた複数の補正値を記憶する記憶部を備え、前記制御部は、前記操作体の操作によって前記入力部材への押圧を検出した位置に相当する領域を、前記複数の領域から検出し、前記検出した当該領域に割り当てられた前記補正値を取得し、取得した前記補正値に基づいて、前記入力部材への押圧を検出した値である前記感圧値を補正する。
【0045】
これによれば、操作体の操作による入力部材への押圧がされた位置がどの位置であっても、入力部材の位置に依存する撓み量に基づいて感圧値を補正することができる。このため、入力部材への押圧を精度よく検出することができる。
【0046】
また、本開示の一態様に係る入力装置において、前記補正値は、前記操作体によって前記第1面をある一定の荷重で押下したときの、前記入力部材の撓み量に基づいて算出された値である。
【0047】
これによれば、入力部材の性質、入力部材の姿勢に関わる部材等を考慮した補正値を算出することができる。このため、入力部材への押圧を、より精度よく検出することができる。
【0048】
なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的又は具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、ステップ、ステップの順序等は、一例であり、本開示を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0049】
また、各図は、模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。また、各図において、同じ構成部材については同じ符号を付している。また、以下の実施の形態において、略平行又は矩形状等の表現を用いている。例えば、略平行又は矩形状は、完全に平行又は矩形であることを意味するだけでなく、実質的に平行又は矩形である、すなわち、例えば数%程度の誤差を含むことも意味する。また、略平行又は矩形状は、本開示による効果を奏し得る範囲において平行又は矩形という意味である。他の「略」、「状」を用いた表現についても同様である。
【0050】
以下の説明において、第1基板に対する入力部材側の方向をZ軸プラス方向と称す。また、Z軸プラス方向と直交する方向をX軸プラス方向と称す。また、X軸プラス方向及びZ軸プラス方向と直交する方向をY軸プラス方向と称す。
【0051】
以下、実施の形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。
【0052】
(実施の形態1)
<構成:入力装置10>
図1は、実施の形態1に係る入力装置10が配置されている車両1の車室の一例を示す模式図である。
【0053】
図1に示すように、車両1の車室には、車載機器(図示せず)と、入力装置10とが搭載されている。入力装置10は、車両1の車室において、車両1に搭乗しているユーザが車両1のシートに座っている状態で、当該ユーザの手が届く範囲に設けられている。入力装置10は、例えば、車両1の車室におけるセンターコンソール等又はその近傍に配置されている。入力装置10は、例えば、車両1のシフトレバーの後方側に配置されている。入力装置10の配置位置は、本実施の形態に限定されず、車室における他の個所に配置されていてもよい。
【0054】
ユーザは、入力装置10に対して操作(具体的には押圧操作)を行うことで、車両1に搭載された車載機器を操作することができる。入力装置10は、ユーザによる操作が入力されることで、車載機器を制御するために、当該操作に応じた指示をそれぞれの車載機器に出力する。これにより、それぞれの車載機器は、当該操作に応じて動作する。ここで、押圧操作とは、ユーザの操作体によって、ユーザが意図して後述する入力部材20を押し付ける操作である。
【0055】
車載機器は、例えば、表示装置等を搭載したカーナビゲーションシステム、光ディスクを再生するためのオーディオ機器、車両空調装置、車載照明又は映像再生機器等である。
【0056】
この場合、入力装置10は、車載機器の表示装置が表示するUI(User Interface)を操作することができる。また、入力装置10は、UIを操作することで、オーディオ機器、車両空調装置、車載照明又は映像再生機器等を操作することができてもよい。
【0057】
図2は、実施の形態1における入力装置10の一例を示す分解斜視図である。
図3は、
図2のIII-III線における入力装置10の一例を示す断面図である。
図4は、実施の形態1における入力装置10の一例を示すブロック図である。
【0058】
図2~
図4に示すように、入力装置10は、入力部材20と、タッチパッド30と、第1電極61と、導電性部材40と、第1基板50と、グランド電極63と、第2電極62と、制御部70とを備えている。
【0059】
[入力部材20]
入力部材20は、ユーザの操作体による接触によって、直接的に操作することができるように配置され、入力装置10から外部に露出している。入力部材20は、略平行の平板であり、X-Y平面に対して略平行な姿勢で配置されている。本実施の形態では、入力部材20は、平面視で矩形状をなしている。なお、入力部材20を平面視した場合の形状は、矩形状に限定されず、円形状、多角形状、又は、これらを組み合わせた形状であってもよい。入力部材20は、例えば、ガラス、アクリル板等により形成されている。また、入力部材20は、厚みが小さい部材で構成されてもよい。ここで、操作体は、ユーザが操作する指、ペン型の操作ペン等である。
【0060】
入力部材20は、第1面21と、第2面22とを有する。
【0061】
第1面21は、操作体による操作を行うための面であり、入力装置10から外部に露出した入力部材20の表面である。また、第1面21は、X-Y平面に対して略平行な、Z軸プラス方向側の面でもある。本実施の形態では、第1面21は、平面視で入力部材20の形状に応じて矩形状をなしている。
【0062】
第2面22は、入力部材20の第1面21とは反対側の裏面である。また、第2面22は、X-Y平面に対して略平行な、Z軸マイナス方向側の面でもある。本実施の形態では、第2面22も、平面視で入力部材20の形状に応じて矩形状をなしている。
【0063】
[タッチパッド30]
タッチパッド30は、ユーザの操作を検出するための操作位置検出用のセンサである。入力部材20にユーザの操作が入力され、タッチパッド30で操作位置を検出し、車載機器が制御される。タッチパッド30は、例えば静電容量式のタッチ用電極31、タッチ用電極31と電気的に接続された静電IC(Integrated Circuit)等で構成される。タッチ用電極31は、入力部材20の第2面22と対向するように、第1基板50の表面(Z軸プラス方向側の面)に配置されている。具体的には、タッチ用電極31は、第1面21の中央部と対応し、かつ、Z軸方向に沿って見た場合に、入力部材20で覆われるように配置されている。静電ICは、タッチ用電極31が検出可能な領域における位置であって、ユーザの操作体によりタッチされた位置を検出する。
【0064】
なお、タッチパッド30は、ユーザによる複数のタッチ、つまり、マルチタッチを受け付けるセンサであってもよい。例えば、タッチパッド30は、1本指によるタッチ位置の他にも、同じタイミングにおいて、2本指による2箇所のタッチ位置、3本指による3箇所のタッチ位置を受け付ける構成であってもよい。
【0065】
[第1電極61]
第1電極61は、第2面22に配置されている。具体的には、第1電極61は、第2面22に貼り付けられた状態で、入力部材20に固定されている。第1電極61は、蒸着等によって形成された金属薄膜等で形成してもよい。本実施の形態では、第1電極61は、矩形状の第2面22における端縁に沿って配置された帯状をなしている。第1電極61は、第2面22における4辺の端縁側であり、かつ、Z軸方向に沿って見た場合に、第2面22の中央部を囲むように配置されている。つまり、第1電極61は、タッチ用電極31を避け、かつ、Z軸方向に沿って見た場合に、タッチ用電極31を囲むように第2面22に配置されている。
【0066】
なお、第1電極61のそれぞれは、互いに電気的に接続されていてもよく、互いに電気的に独立していてもよい。
【0067】
なお、第1電極61の配置は、あくまでも一例である。例えば、第1電極61は、第2面22の4辺のうちの一部の辺に配置されているだけでもよく、中央部に配置されていてもよい。また、第1電極61の配置は、タッチ用電極31の配置によって適宜変更することができる。
【0068】
また、第1電極61は、グランドに電気的に接続されている。具体的には、第1電極61は、導電性部材40を介してグランド電極63と電気的に接続されている。
【0069】
[導電性部材40]
導電性部材40は、入力部材20と第1基板50との間に配置され、第1電極61とグランド電極63とで挟まれている。つまり、導電性部材40は、入力部材20と第1基板50との間に隙間を形成するスペーサとしても機能している。導電性部材40は、入力部材20及び第1基板50が略平行な姿勢となるように、第1基板50に対して入力部材20を保持している。
【0070】
また、導電性部材40は、第1電極61と密着することで、第1電極61と電気的に接続されている。導電性部材40は、グランド電極63とも密着することで、グランド電極63とも電気的に接続されている。このため、導電性部材40は、第1電極61とともに接地される(グランドと電気的に接続される)ことになるため、第1電極61の周辺で電荷の移動が発生した際に、その電荷をグランド電極63に流すことができる。このような、導電性部材40は、例えば、導電性を有するシリコン、導電性を有するゴム等により形成されている。
【0071】
本実施の形態では、導電性部材40は、第2面22のコーナ側(角部)である、四隅にそれぞれ配置されている。なお、導電性部材40は、四隅にそれぞれ配置されているが、入力部材20の形状、第1電極61の配置によって、配置位置及び形状を適宜変更してもよい。
【0072】
[第1基板50]
第1基板50は、略平行の平板であり、X-Y平面に対して略平行な姿勢で配置されている。第1基板50は、導電性部材40を介して入力部材20と略平行な姿勢となるように支持されている。
【0073】
本実施の形態では、第1基板50は、平面視で矩形状をなしている。なお、第1基板50を平面視した場合の形状は、矩形状に限定されず、円形状、多角形状、又は、これらを組み合わせた形状であってもよい。
【0074】
第1基板50は、例えば、プリント配線基板、リジッド基板、フレキシブル基板、メタルベース基板、セラミックス基板、又は、樹脂材料をベースとする樹脂基板等が用いられる。
【0075】
本実施の形態では、第1基板50の表面には、複数の第2電極62、複数のグランド電極63、及び、タッチ用電極31が設けられている。第1基板50の表面の中央部には、タッチ用電極31が配置され、タッチ用電極31を囲むように、複数の第2電極62及び複数のグランド電極63が配置されている。
【0076】
[グランド電極63]
グランド電極63は、グランドと電気的に接続され、第1電極61の周辺で電荷の移動が発生した際に、その電荷が導電性部材40を介して流れる。グランド電極63は、第1電極61と対応する位置に設けられている。つまり、グランド電極63は、第1基板50のコーナ側(角部)である、四隅(言い換えれば第2面22の四隅)にそれぞれ配置されている。なお、グランド電極63は、第1基板50の四隅にそれぞれ配置されているが、第1基板50の形状、導電性部材40の配置によって、配置位置及び形状を適宜変更してもよい。
【0077】
[第2電極62]
第2電極62は、第1電極61と対向し、かつ、第1電極61と離間して配置されているセンサ電極である。つまり、第2電極62は、Z軸方向に沿って見た場合に、第1電極61と重なっている。また、第2電極62は、導電性部材40によって形成された入力部材20と第1基板50との間に形成された隙間によって、第1電極61と離間して配置されている。
【0078】
第2電極62は、グランド電極63と同一平面上に形成され、グランド電極63と電気的に独立して、第1基板50の表面に配置されている。また、第2電極62は、第1基板50の四隅に配置されたグランド電極63の間に配置されている。本実施の形態では、第2電極62は、第1基板50の表面における4つの端縁に沿って複数配置されている。なお、第2電極62は、第1基板50の表面における四辺のそれぞれに複数配置されているが、第1基板50の形状、第1電極61の配置によって、配置位置及び形状を適宜変更してもよい。
【0079】
[制御部70]
制御部70は、第1電極61と第2電極62との間の静電容量に基づいて、操作体の操作による入力部材20への押圧を検出する。具体的には、制御部70は、グランド電極63及び第2電極62と電気的に接続されており、操作体による入力部材20への押圧によって、変位した第1電極61と第2電極62との距離に応じた静電容量を示す信号を取得することができる。これにより、制御部70は、取得した信号に基づいて、操作体の操作による入力部材20への押圧を検出し、検出した値から、押圧の力を示す感圧値を算出する。
【0080】
感圧値の算出については、様々な方法がある。例えば、感圧値の算出について、制御部70は、全ての第2電極62が検出したそれぞれの静電容量値のうち、最大の静電容量値を感圧値として採用してもよい。例えば、感圧値の算出について、制御部70は、第2電極62が検出したそれぞれの静電容量値を合計することで、合計した値を感圧値として採用してもよい。例えば、感圧値の算出について、制御部70は、全ての第2電極62が検出したそれぞれの静電容量値の平均値を感圧値として採用してもよい。
【0081】
また、操作体が入力部材20の第1面21に接触しただけで、第1電極61と第2電極62との距離に変化がなく、第1電極61と第2電極62との間の静電容量が実質的に変化しない場合、制御部70は、操作体の操作による入力部材20への押圧を検出しない。
【0082】
また、制御部70は、タッチパッド30と電気的に接続されている。制御部70は、タッチパッド30の静電ICが検出した位置を示す信号を取得する。これにより、制御部70は、位置を示す信号に応じた指示を車載機器に送信する。制御部70は、このような制御を、マイクロコンピュータ等を用いて実現することができる。
【0083】
また、制御部70は、図示しない電源部より電力が給電されることで駆動する。電源部は、車載に搭載される図示しないバッテリ等である。
【0084】
<動作>
入力装置10の動作について、
図5を用いて説明する。
【0085】
図5は、実施の形態1における入力装置10の動作を示すフローチャートである。
【0086】
図5に示すように、ユーザが操作体の操作によって入力部材20の第1面21への押圧を実行すると、入力部材20が撓むことで、第1電極61が第2電極62に近づくことで、第1電極61と第2電極62との距離が短くなる。これにより、第1電極61と第2電極62との間の静電容量が変化する。この静電容量の変化を制御部70にて検出し、静電容量を示す信号として取得する(S11)。
【0087】
制御部70は、取得した信号に示される静電容量つまり静電容量値に基づいて、入力部材20への押圧を検出し、検出した押圧の力を示す感圧値を算出する(S12)。
【0088】
そして、制御部70は、処理を終了する。
【0089】
ここで、第1電極61は、グランドに電気的に接続されているため、第1電極61が配置された箇所の裏面(第1面21)に操作体が接近した場合であっても、第1電極61と第2電極62との間の静電容量が変化せず、押圧として検出されない。
【0090】
すなわち、押圧を意図せずに操作体を第1電極に接近させたとしても、入力部材への押圧として検出されることを抑制することができる。
【0091】
<作用効果>
次に、本実施の形態における入力装置10の作用効果について説明する。
【0092】
上述したように、本実施の形態における入力装置10は、操作体による操作を行うための第1面21と、第1面21の裏面である第2面22とを有する入力部材20と、第2面22に配置された第1電極61と、第1電極61と対向し、かつ、第1電極61と離間して配置された第2電極62と、第1電極61と第2電極62との間の静電容量に基づいて、操作体の操作による入力部材20への押圧を検出し、検出した値である感圧値を算出する制御部70とを備える。そして、第1電極61は、グランドに電気的に接続されている。
【0093】
これによれば、操作体によって第1面21が押下されると、第2面22の第1電極61が第2電極62に近づく。このとき、第1電極61と第2電極62との間の静電容量が変化するため、制御部70は、操作体の操作による入力部材20への押圧を精度よく検出することができる。つまり、入力装置10は、操作体の操作による感圧値を精度よく算出することができる。
【0094】
また、操作体によって第1面21が押下された場合に、入力部材20全体が沈み込む前に押下された位置の入力部材20が撓みやすい構成であっても、撓みにより第2面22の第1電極61が第2電極62に近づくため、入力部材20への押圧を検出することが可能である。
【0095】
また、第2面22の第1電極61はグランドに接続されているため、操作体が第1電極61に接近しても、第1電極61と第2電極62との間の静電容量が変化しない。そのため、ユーザが押圧を意図せずに操作体を第1電極61に接近させたとしても、入力部材20への押圧として検出されることを抑制することができる。
【0096】
したがって、入力装置10は、操作体による押圧操作を精度よく検出することができる。
【0097】
また、本実施の形態における入力装置10は、グランドと電気的に接続され、第1電極61と対応する位置に配置されたグランド電極63と、第1電極61とグランド電極63とで挟まれた導電性部材40とを備える。
【0098】
これによれば、押圧として意図せずに操作体が第1面21に接触した場合であっても、第1電極61は、導電性部材40等を介してグランドに接続されており、第1電極61と第2電極62との間の静電容量が変化しない。このため、操作体による意図しない接触を押圧操作として検出してしまうことを、より抑制することができる。
【0099】
また、本実施の形態における入力装置10は、第2電極62及びグランド電極63が設けられた第1基板50を備える。
【0100】
これによれば、1つの基板に第2電極62及びグランド電極63を配置することができるため、第2電極62の基板又はグランド電極63の基板を別途用意しなくてもよいため、入力装置10における組付け工数の増加を抑制することができる。したがって、入力装置10における製品コストの高騰化を抑制することができる。
【0101】
(実施の形態1の変形例)
本変形例では、入力装置10aが第2基板を有している点等で実施の形態1の入力装置と相違する。本変形例おける他の構成は、特に明記しない場合は、実施の形態1と同様であり、同一の構成については同一の符号を付して構成に関する詳細な説明を省略する。
【0102】
図6は、実施の形態1の変形例における入力装置10aの一例を示す断面図である。
【0103】
図6に示すように、第1基板50の表面には、第2電極62及びタッチ用電極が配置されている。第1基板50とは異なる第2基板80の表面には、グランド電極63が配置されている。つまり、第2電極62とグランド電極63とは別々の基板に配置されている。
【0104】
また、本変形例では、第2電極62は、第1基板50の表面に複数配置されている。また、本変形例では、グランド電極63は、第2基板80の表面に複数配置されている。また、第1基板50と第2基板80とに接地されているグランドは、共通である。
【0105】
本変形例では、第1基板50と入力部材20との間には、導電性部材40が配置されておらず、第1基板50は、導電性部材40を介して入力部材20に支持されているわけではない。第1基板50は、構造体75又は第2基板80に固定されている。
【0106】
第1基板50は、第2基板80と入力部材20との間に配置されている。また、第1基板50と第2基板80との間には、構造体75が配置されている。構造体75は、例えば、制御部70、アクチュエータ、スイッチ素子等で構成されている。構造体75は、第2基板80に実装されていてもよい。第1基板50は、構造体75又は第2基板80に固定されることで、入力部材20と略平行な姿勢となるように設けられている。
【0107】
第2基板80は、略平行の平板であり、X-Y平面に対して略平行な姿勢で配置されている。第2基板80は、導電性部材40を介して入力部材20と略平行な姿勢となるように支持されている。
【0108】
本変形例では、第2基板80は、平面視で矩形状をなしている。なお、第2基板80を平面視した場合の形状は、矩形状に限定されず、円形状、多角形状、又は、これらを組み合わせた形状であってもよい。第2基板80は、例えば、プリント配線基板、リジッド基板、フレキシブル基板、メタルベース基板、セラミックス基板、又は、樹脂材料をベースとする樹脂基板等が用いられる。
【0109】
上述したように、本変形例における入力装置10aは、第2電極62が設けられた第1基板50と、グランド電極63が設けられた第2基板80とを備える。そして、第1基板50は、第2基板80と入力部材20との間に配置されている。
【0110】
これによれば、例えば第1基板50と第2基板80との間にスペースを設ければ、そのスペースにフォースフィードバック用の振動発生部及び制御部70等の構造体75を配置したりすることができる。このように、第2電極62及びグランド電極63の配置の自由度を高めることができるため、入力装置10aにおける設計の自由度を向上させることができる。
【0111】
本変形例においても、上述の実施の形態1と同様の作用効果を奏する。
【0112】
(実施の形態2)
本実施の形態では、入力装置10bが保持部材90を有している点等で実施の形態1の入力装置と相違する。本実施の形態おける他の構成は、特に明記しない場合は、実施の形態1と同様であり、同一の構成については同一の符号を付して構成に関する詳細な説明を省略する。
【0113】
<構成>
図7は、実施の形態2における入力装置10bの一例を示す断面図である。
【0114】
図7に示すように、入力装置10bは、入力部材20、タッチパッド、第1電極61、導電性部材40、第1基板50、グランド電極63、第2電極62、及び、制御部の他に、保持部材90を備えている。
【0115】
保持部材90は、少なくとも入力部材20を保持している。本実施の形態では、保持部材90は、入力部材20、導電性部材40及び第1基板50の積層体を、Z軸プラス方向とZ軸マイナス方向とから挟むように、積層体を一体的に保持している。保持部材90は、積層体を収容する収容体を兼ねている。
【0116】
保持部材90は、枠体91と、筐体92とを有する。
【0117】
枠体91は、入力部材20の第1面21の一部を露出させるように、入力部材20の端縁を支持する。枠体91は、例えば、長尺の帯状をなした支持部材である。なお、枠体91は、入力部材20の形状に応じて構成されていてもよく、例えば略矩形の環状をなしていてもよい。なお、枠体91の形状は、略矩形に限定されず、円形状、多角形状、又は、これらを組み合わせた形状であってもよい。
【0118】
枠体91は、入力部材20の端縁を保持している。具体的には、枠体91は、入力部材20の第1面21における端縁と当接することで、入力部材20を第1基板50側(Z軸マイナス方向側)に押し当てている。
【0119】
筐体92は、X-Y軸方向に広がり、Z軸方向に扁平な、有底の箱である。筐体92は、枠体91側(Z軸プラス方向側)が開口している。筐体92には、枠体91がその開口に取付けられている。筐体92の底部には積層体の第1基板50が配置され、筐体92の底部は、第1基板50を入力部材20側(Z軸プラス方向側)に押し当てている。
【0120】
このように、積層体が枠体91と筐体92とで両側から挟まれることで、枠体91及び筐体92によって積層体として一体的に固定される。このため、入力部材20と第2電極62との並び方向(Z軸方向)に沿って入力部材20及び第2電極62を平面視した場合、保持部材90は、導電性部材40によって第1電極61と第2電極62との間に隙間を形成した状態で、第1電極61と第2電極62とが重なるように入力部材20を保持している。
【0121】
なお、保持部材90が入力部材20だけを保持する場合、単に接着部材等で入力部材20が保持部材90に取付けられることで、保持部材90が入力部材20を保持してもよい。
【0122】
入力部材20は、操作体の操作による入力部材20への押圧によって湾曲可能である。つまり、入力部材20は、操作体が入力部材20を押圧することによって、押圧された部分が湾曲し、第1電極61と第2電極62との距離を容易に縮めることができる。これにより、第1電極61と第2電極62との間の静電容量が変化する。
【0123】
第2電極62は、グランド電極63よりも、導電性部材40から離れた位置に配置されている。また、第2電極62は、保持部材90によって入力部材20が保持された箇所と、グランド電極63とから離れた位置に配置されている。具体的には、入力部材20の端縁は枠体91と筐体92とで挟まれているため、枠体91と当接している入力部材20における第1面21の端縁近傍では、操作体の操作による押圧がされても、撓み難くなる。このため、第2電極62は、第1面21の端縁に配置された枠体91からできるだけ離れた位置に配置する。
図7に示すように、複数の第2電極62は、隣り合う2つのグランド電極63の間に配置されることで、枠体91から離れた位置に配置される。
【0124】
これにより、第2電極62は、操作体の操作によって生じた入力部材20の撓みを容易に検出することができるようになる。
【0125】
また、入力部材20と第1基板50との間に隙間がある入力部材20の箇所の方が、入力部材20と第1基板50との間に導電性部材40が配置されている入力部材20の箇所(
図2の例では、四隅)よりも入力部材20が撓みやすい。
【0126】
そのため、第2電極62は、グランド電極63よりも、導電性部材40から離れた位置に配置されている。具体的には、
図2の例では、導電性部材40は、第2面22の四隅にそれぞれ配置されており、グランド電極63は、第1基板50の四隅にそれぞれ配置されている。そして、第2電極62は、第1基板50の表面における4つの端縁に沿って複数配置されている。
【0127】
<作用効果>
次に、本実施の形態における入力装置10bの作用効果について説明する。
【0128】
上述したように、本実施の形態の入力装置10bにおいて、入力部材20は、操作体の操作による入力部材20への押圧によって湾曲可能である。そして、第2電極62は、グランド電極63よりも、導電性部材40から離れた位置に配置されている。
【0129】
これによれば、第1電極61とグランド電極63とで導電性部材40を挟んだ箇所から離れた位置に第2電極62が配置することで、入力部材20が撓みやすい位置に第2電極62を配置することができる。このため、制御部は、操作体の操作による入力部材20への押圧をより精度よく検出することができる。
【0130】
また、第2電極62は、グランド電極63よりも、導電性部材40から離れた位置に配置されている。すなわち、グランド電極63は、入力部材20が撓みにくい導電性部材40の近傍に配置され、第2電極62は、入力部材20が撓みやすい位置に配置することができる。このため、制御部は、操作体の操作による入力部材20への押圧をより精度よく検出することができる。
【0131】
本実施の形態においても、上述の実施の形態1等と同様の作用効果を奏する。
【0132】
(実施の形態3)
本実施の形態では、入力装置10cがタッチパッドを有しておらず、タッチパッドを用いずに複数の第2電極62を用いて操作体による操作の位置を検出する点等で実施の形態1等の入力装置と相違する。本実施の形態おける他の構成は、特に明記しない場合は、実施の形態1等と同様であり、同一の構成については同一の符号を付して構成に関する詳細な説明を省略する。
【0133】
図8Aは、実施の形態3における入力装置10cの一例を示すブロック図である。
図8Bは、実施の形態3における入力装置10cの第1領域R1及び第2電極62の一例を示す模式図である。
【0134】
<構成>
本実施の形態では、
図8A~
図8Cに示すように、第1基板50の表面には、複数の第2電極62が配置されている。なお、グランド電極63も配置されているが、
図8Bでは省略している。
【0135】
複数の第2電極62は、第1基板50の端縁に沿って配列されている。
【0136】
入力部材20の第1面21は、操作体による操作がされた位置を検出するために区画(分割)された複数の第1領域R1を有している。具体的には、入力部材20の第1面21は、操作体による操作を検出する第1領域R1を有する。第1領域R1には、第2領域が含まれている。入力部材20及び第1電極61が重なる方向に沿って入力部材20を平面視した場合に、第2領域は、少なくとも第1面21と第1電極61とが重なる領域である。第2領域では、第1面21の押下の感度に優れている。このため、第2領域では、第1領域R1と異なる領域として個別に操作体による操作がされた位置を検出してもよい。操作がされた位置は、操作体の操作によって入力部材20に押圧された位置である。第1領域R1は検出領域の一例である。
【0137】
本実施の形態では、第1面21は、9つの第1領域R1に区画されている。なお、第1面21を9つの第1領域R1に区画することに限定されない。第1領域R1は、8以下の第1領域R1に区画されていてもよく、10以上の第1領域R1に区画されていてもよい。第1面21が区画される第1領域R1の数は、第2電極62の数に応じて変更することができる。
【0138】
第1基板50には、複数の第1領域R1ごとに対応するように、複数の第2電極62が配置されている。具体的には、第1基板50の表面には、1つの第1領域R1につき1以上(好ましくは2以上)の第2電極62が変化した静電容量を検出できるように配置されている。
【0139】
ユーザが操作体により入力部材20の第1面21を押下すると、制御部70は、複数の第2電極62のうち、第1電極61と第2電極62との間で変化した静電容量を検出した1以上の第2電極62から、静電容量を示す信号を取得する。制御部70は、取得した当該信号に示される第1電極61と第2電極62との間の静電容量に基づいて、操作体による操作がされた位置が複数の第1領域R1のうちのいずれかの第1領域R1を抽出(検出)する。
【0140】
<動作>
複数の第1領域R1a・・・から、操作体によって押下された位置に対応する第1領域R1aを抽出する動作について、
図8B、
図8C及び
図9を用いて説明する。第1領域R1a・・・は、第1領域R1に含まれる。なお、第1領域R1aの位置はあくまでも一例であり、
図8Bで示される位置に限定されない。
【0141】
図8Cは、実施の形態3における重心計算の一例を示す説明図である。
図9は、実施の形態3における入力装置10cの動作を示すフローチャートである。
【0142】
図8B及び
図9に示すように、第1基板50の表面においてX軸方向と、X軸方向と直交する方向であるY軸方向とを規定した場合に、複数の第2電極62は、第1基板50における表面の中央部を挟むように、X軸方向に沿って複数列設けられ、かつ、第1基板50における表面の中央部を挟むように、Y軸方向に沿って複数列設けられている。
【0143】
具体的には、第1基板50の表面の4つの端縁には、X軸マイナス方向側かつY軸プラス方向側の角部からX軸プラス方向に沿って第2電極a1、a2、a3(第2電極62の一例)が順番に並べられ、当該角部からY軸マイナス方向に沿って第2電極b1、b2、b3(第2電極62の一例)が順番に並べられ、X軸プラス方向側かつY軸マイナス方向側の角部からX軸マイナス方向に沿って第2電極A3、A2、A1(第2電極62の一例)が順番に並べられ、当該角部からY軸プラス方向に沿って第2電極B3、B2、B1(第2電極62の一例)が順番に並べられている。第2電極62は、第2電極a1、a2、a3、b1、b2、b3、A1、A2、A3、B1、B2、B3を含む。
【0144】
図8Bの第1領域R1a・・・の第1面21を、ユーザが操作体によって押下すると、押下した位置に近しい第2電極a1、b1、a2、b2が特に反応する。つまり、第1電極61と第2電極a1、b1、a2、b2とのそれぞれの間の静電容量が変化するため、第2電極a1、b1、a2、b2が変化した静電容量を示す信号を制御部70に出力する。また、制御部70は、第2電極a1、b1、a2、b2だけでなく、全ての第2電極62から静電容量を示す信号を取得する(S11)。
【0145】
次に制御部70は、それぞれの第2電極62が検出した当該信号に示される静電容量値に基づいて、感圧値を算出する(S12)。
【0146】
次に制御部70は、全ての第2電極62から取得した静電容量値を用いて、重心計算を行う。重心計算では、例えば以下の式(1)~式(4)を用いる。
【0147】
【0148】
RESx、RESyは任意で設定したX軸方向及びY軸方向の解像度である。
【0149】
dkは、左端を0%、右端を100%としたときの、K列目のセンサ位置の割合[%]を示す。
【0150】
XkはK列目のグループにおけるセンサ(上記式では例えばak,Akとする)それぞれの静電容量値(上記式ではたとえばXak,XAk)の合計値である。
【0151】
YkはK列目のグループにおけるセンサ(上記式では例えばbk,Bkとする)それぞ
れの静電容量値(上記式ではたとえばYbk,YBk)の合計値である。
【0152】
Nは、第2電極62の列数である。
【0153】
X、Yはそれぞれ解像度RESx、RESxにおける位置座標である。
【0154】
具体的には、制御部70は、重心計算の式を用いることで、X軸方向に沿って対応する第2電極62の静電容量値を合算した合算値を用いて操作位置を算出する。
【0155】
ここで、複数の第2電極62では、中央部を挟んで対向する2以上の第2電極62からなるグループが複数形成されている。制御部70は、第2電極62と第1電極61との間のそれぞれの静電容量値をグループごとに合算する。例えば、制御部70は、中央部を挟んで対応する2以上の第2電極62と第1電極61との間の静電容量値を合算する。
【0156】
具体的には、制御部70は、
図8Bの第2電極a1及びA1のグループにおけるそれぞれの静電容量値を合算した第1合算値X1、第2電極a2及びA2のグループにおけるそれぞれの静電容量値を合算した第2合算値X2、第2電極a3及びA3のグループにおけるそれぞれの静電容量値を合算した第3合算値X3を算出する。
【0157】
制御部70は、X軸方向に対応する3つの合算値X1、X2、X3と対応する第2電極62の位置情報から、重心計算を行い、重心点を求める(S21)。重心点Xが解像度RESxにおけるX座標として計算された位置座標である。
【0158】
次に制御部70は、全ての第2電極62から取得した静電容量値を用いて、重心計算を行う。重心計算では上述の式(1)~式(4)を用いる。
【0159】
制御部70は、重心計算の式を用いることで、Y軸方向に沿って対応する第2電極62の静電容量値を合算した合算値を算出する。例えば、制御部70は、第2電極b1及びB1のグループにおけるそれぞれの静電容量値を合算した第1合算値Y1、第2電極b2及びB2のグループにおけるそれぞれの静電容量値を合算した第2合算値Y2、第2電極b3及びB3のグループにおけるそれぞれの静電容量値を合算した第3合算値Y3をそれぞれ算出する。
【0160】
制御部70は、Y軸方向に対応する3つの合算値Y1、Y2、Y3と対応する第2電極62の位置情報から、重心計算を行い、重心点を求める(S22)。重心点YがY方向の解像度におけるY座標として計算された位置座標である。
【0161】
これにより、制御部70は、X、Yを、押下された位置座標(X、Y)として判定する。つまり、制御部70は、合算した値に基づいて重心計算を行うことで、操作体による押圧操作がされた位置を検出する(S23)。
【0162】
なお、
図8Bに記載される第2電極62の配置は、あくまでも一例であり、本実施の形態に限定されない。例えば、
図8Bでは、X軸方向又はY軸方向に沿って第2電極62が複数並べられているだけでもよい。また、グループについても、複数の第2電極62のうち、任意の第2電極62を選択してグループ化してもよい。
【0163】
<作用効果>
次に、本実施の形態における入力装置10cの作用効果について説明する。
【0164】
上述したように、本実施の形態の入力装置10cにおいて、第1面21は、操作体の操作による入力部材20への押圧がされた位置を検出するために区画された複数の第1領域R1を有する。第1基板50には、複数の第1領域R1ごとに対応するように、複数の第2電極62が配置されている。そして、制御部70は、第1電極61と第2電極62との間の静電容量に基づいて、操作体による操作がされた位置を検出する。
【0165】
これによれば、操作体の操作による入力部材20への押圧した位置を検出するためのタッチセンサを設けなくても、当該押圧の位置を検出することができる。このため、入力装置10cにおける製品コストの高騰化を抑制することができる。
【0166】
また、本開示の一態様に係る入力装置10cにおいて、複数の第2電極62では、2以上の第2電極62からなるグループが複数形成され、制御部70は、第2電極62と第1電極61との間の静電容量値をグループごとに合算し、合算した値に基づいて重心計算を行うことで、操作体による操作がされた位置を検出する。
【0167】
これによれば、操作がされた位置を検出することができる。このため、例えば、タッチパッド等を用いなくても、簡易な構成で中央部に対して押圧した位置を検出することができる。このため、入力装置10cにおける構成の複雑化を抑制することができる。
【0168】
また、本実施の形態の入力装置10cにおいて、第1基板50の表面においてX軸方向と、X軸方向と直交する方向であるY軸方向とを規定した場合に、複数の第2電極62は、第1基板50における表面の中央部を挟むように、X軸方向に沿って複数列設けられ、かつ、第1基板50における表面の中央部を挟むように、Y軸方向に沿って複数列設けられ、複数の第2電極62では、中央部を挟んで対向する2以上の第2電極62からなるグループが複数形成され、制御部70は、第2電極62と第1電極61との間のそれぞれの静電容量値をグループごとに合算し、合算した値に基づいて重心計算を行うことで、操作体による操作がされた位置を検出する。
【0169】
これによれば、操作された位置をより精度よく検出することができる。
【0170】
本実施の形態においても、上述の実施の形態1等と同様の作用効果を奏する。
【0171】
(実施の形態4)
本実施の形態では、入力部材20への押圧を検出した値である感圧値を補正する点等で実施の形態1等の入力装置と相違する。本実施の形態おける他の構成は、特に明記しない場合は、実施の形態1等と同様であり、同一の構成については同一の符号を付して構成に関する詳細な説明を省略する。
【0172】
図10は、実施の形態4における入力装置10dの一例を示すブロック図である。
図11は、実施の形態4における入力装置10dの領域E及び補正値の一例を示す説明図である。
【0173】
<構成>
図10及び
図11に示すように、入力装置10dは、入力部材20、タッチパッド30、第1電極61、導電性部材40、第1基板50、グランド電極63、第2電極62、及び、制御部70の他に、記憶部71を備えている。
【0174】
記憶部71は、制御部70と電気的に接続されている。記憶部71は、第1面21が予め設定によって仮想的に分割された複数の領域Eのそれぞれに割り当てられた複数の補正値を記憶している。この補正値は、例えば、操作体によって第1面21をある一定の荷重で押下したときの、入力部材20の撓み量に基づいて算出された値である。具体的には、実施の形態1の変形例の
図7に示すように、例えば、入力部材20の端縁が枠体91と筐体92とで挟まれている場合、枠体91と当接している入力部材20における第1面21の端縁近傍の第1面21では、操作体による押圧がされても、撓みがたくなる。また、枠体91と筐体92とで挟まれていなくても、何らかの部材で入力部材20の端縁が支持される場合、端縁近傍の第1面21では、撓みがたくなる。このため、
図10及び
図11に示すように、入力部材20の撓み量を予め測定して、測定したこの撓み量に応じた補正値を記憶部71に記憶させておく。
【0175】
本実施の形態では、複数の領域Eは、仮想的に9つに分割されている。9つに分割された領域Eにおいて、それぞれ撓み量に応じた補正値が割り当てられている。記憶部71には、補正値と、補正値に紐付けられた領域Eを特定する位置とが紐付けられて記憶されている。
【0176】
制御部70は、操作体の操作によって入力部材20への押圧を検出した位置に相当する領域Eを、複数の領域Eから検出する。押圧の位置は、上述した実施の形態1等のタッチ用電極31によって検出することができる。入力部材20への押圧を検出した位置の精度は、タッチパッド30の分解能に依存する。
【0177】
なお、タッチ用電極31を用いずに上述の実施の形態3の構成を用いて、押圧を検出した位置を検出してもよい。このため、本実施の形態を実施の形態3に組み合わせてもよい。
【0178】
制御部70は、検出した当該領域Eに割り当てられた補正値を取得する。具体的には、制御部70は、入力部材20への押圧の位置に対応する領域Eに割り当てられた補正値を記憶部71から読み出す。制御部70は、読み出すことで取得した補正値に基づいて、入力部材20への押圧に応じた感圧値を補正する。
【0179】
<動作>
補正値に基づいて、感圧値を補正する場合について、
図12を用いて説明する。
【0180】
図12は、実施の形態4における入力装置10dの動作を示すフローチャートである。
【0181】
本実施の形態において、
図11及び
図12に示すように、タッチ用電極31は、X軸方向及びY軸方向の分解能(解像度)が1024×1024であり、X軸方向において仮想的に3つに分割し、Y軸方向においても仮想的に3つに分割することで、入力部材20の撓み量に基づいて仮想的に9つの領域Eに分割している。
【0182】
9つの領域Eにおいて、入力部材20の端縁側は撓みがたいため、補正値を1.2とし、角部側はさらに撓みがたいため、補正値を1.5とし、中央部が一番撓みやすいため、補正値を1.0とした。なお、補正値は、入力部材20の材料にも依存するため、あくまでも一例であり、本実施の形態に限定されない。
【0183】
制御部70が静電容量を示す信号を取得した後(S11)、タッチ用電極31が操作体の操作によって入力部材20への押圧がされた位置を検出すると(S31)、制御部70は、複数の領域Eからタッチ用電極31が検出した位置に対応する領域Eを特定し、特定した領域Eに紐付けられている補正値を、記憶部71から読み出す。制御部70は、それぞれの第2電極62が検出した静電容量値に基づいて、感圧値を算出する(S12)。
【0184】
制御部70は、記憶部71から読み出した補正値を感圧値に適用することで、感圧値を補正する(S32)。具体的には、制御部70は、感圧値に補正値を乗算する。こうして、制御部70は、補正された感圧値を得ることができる。
【0185】
<作用効果>
次に、本実施の形態における入力装置10dの作用効果について説明する。
【0186】
上述したように、本実施の形態の入力装置10dにおいて、第1面21が予め設定によって分割された複数の領域Eのそれぞれに割り当てられた複数の補正値を記憶する記憶部71を備え、制御部70は、操作体の操作によって入力部材20への押圧を検出した位置に相当する領域Eを、複数の領域Eから検出し、検出した当該領域Eに割り当てられた補正値を取得し、取得した補正値に基づいて、入力部材20への押圧を検出した値である感圧値を補正する。
【0187】
これによれば、操作体の操作による入力部材20への押圧がされた位置がどの位置であっても、入力部材20の位置に依存する撓み量に基づいて感圧値を補正することができる。このため、入力部材20への押圧を精度よく検出することができる。
【0188】
また、本実施の形態の入力装置10dにおいて、補正値は、操作体によって第1面21をある一定の荷重で押下したときの、入力部材20の撓み量に基づいて算出された値である。
【0189】
これによれば、入力部材20の性質、入力部材20の姿勢に関わる部材等を考慮した補正値を算出することができる。このため、入力部材20への押圧を、より精度よく検出することができる。
【0190】
本実施の形態においても、上述の実施の形態1等と同様の作用効果を奏する。
【0191】
(その他変形例等)
以上、本開示について、実施の形態1~4に基づいて説明したが、本開示は、これら実施の形態1~4等に限定されるものではない。
【0192】
例えば、上記各実施の形態1~4に係る入力装置において、
図2の例では、導電性部材40は、入力部材20の第2面22の四隅にそれぞれ設けられている例を記載したが、これには限定されない。例えば、導電性部材40は、
図13に示される構成であってもよい。
図13は、その他変形例における入力装置10eの一例を示す分解斜視図である。
図13に示すように、入力装置10eは、第2面22の四隅のうちの少なくとも1箇所以上に、導電性部材40が配置される構成であってもよい。つまり、導電性部材40は、第1電極61とグランド電極63との間に少なくとも1つ設けられていてもよい。なお、
図13の例では、第1電極61は、導電性部材40を介して全てのグランド電極63と電気的に接続されるように、連続的に繋がった状態で配置されている。つまり、第1電極61は、第2面22の端縁に沿って環状となるように配置された1つの電極であってもよい。
【0193】
なお、
図13の例では、第2面22の四隅の内、導電性部材40が配置される第2面22の隅以外の隅には、支持体41が配置されている。支持体41は、例えば、導電性を有しない部材で構成されてもよい。この場合、導電性部材40か支持体41かを選択することができるため、第2面22の四隅に配置する部材の選択肢を増やすことができる。
【0194】
また、上記各実施の形態1~4に係る入力装置において、
図13に示すように、1つの導電性部材40に対応する位置にはグランド電極63が配置されており、支持体41に対応する位置にはグランド電極63は配置しない構成であってもよい。
【0195】
また、上記各実施の形態1~4に係る入力装置において、
図13に示すように、第2電極62の幅B(第2電極62の短辺方向の長さ)は、第1電極61の幅A(第1電極61の短辺方向の長さ)よりも小さくなるように構成されてもよい。
【0196】
なお、
図2及び
図13に示されるように、タッチ用電極31は、入力部材20の第2面22と対向する方向(Z軸方向)に沿って見た場合に、第1電極61よりも入力部材20の中央部側に配置されていてもよい。また、タッチ用電極31が入力部材20の第2面22と対向する方向(Z軸方向)に沿って見た場合に、第1電極61は、タッチ用電極31と重ならないように配置されている。
【0197】
また、上記各実施の形態1~4に係る入力装置に含まれる制御部等は、典型的に集積回路であるLSIとして実現される。これらは個別に1チップ化されてもよいし、一部又は全てを含むように1チップ化されてもよい。
【0198】
また、集積回路化はLSIに限るものではなく、専用回路又は汎用プロセッサで実現してもよい。LSI製造後にプログラムすることが可能なFPGA(Field Programmable Gate Array)、又はLSI内部の回路セルの接続や設定を再構成可能なリコンフィギュラブル・プロセッサを利用してもよい。
【0199】
なお、上記各実施の形態1~4において、各構成要素は、専用のハードウェアで構成されるか、各構成要素に適したソフトウェアプログラムを実行することによって実現されてもよい。各構成要素は、CPU又はプロセッサ等のプログラム実行部が、ハードディスク又は半導体メモリ等の記録媒体に記録されたソフトウェアプログラムを読み出して実行することによって実現されてもよい。
【0200】
また、上記で用いた数字は、全て本開示を具体的に説明するために例示するものであり、本開示の実施の形態1~4は例示された数字に制限されない。
【0201】
また、ブロック図における機能ブロックの分割は一例であり、複数の機能ブロックを一つの機能ブロックとして実現したり、一つの機能ブロックを複数に分割したり、一部の機能を他の機能ブロックに移してもよい。また、類似する機能を有する複数の機能ブロックの機能を単一のハードウェア又はソフトウェアが並列又は時分割に処理してもよい。
【0202】
また、フローチャートにおける各ステップが実行される順序は、本開示を具体的に説明するために例示するためであり、上記以外の順序であってもよい。また、上記ステップの一部が、他のステップと同時(並列)に実行されてもよい。
【0203】
その他、実施の形態1~4に対して当業者が思いつく各種変形を施して得られる形態、本開示の趣旨を逸脱しない範囲で実施の形態1~4における構成要素及び機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本開示に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0204】
本開示は、例えば車両に搭載される入力装置に利用可能である。
【符号の説明】
【0205】
10、10a、10b、10c、10d、10e 入力装置
20 入力部材
21 第1面
22 第2面
40 導電性部材
50 第1基板
61 第1電極
62、a1、a2、a3、b1、b2、b3、A1、A2、A3、B1、B2、B3 第2電極
63 グランド電極
70 制御部
71 記憶部
80 第2基板
90 保持部材
E 領域
R1、Ra1 第1領域(検出領域)