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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-19
(45)【発行日】2025-02-28
(54)【発明の名称】モータ
(51)【国際特許分類】
   H02K 1/18 20060101AFI20250220BHJP
【FI】
H02K1/18 C
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020193734
(22)【出願日】2020-11-20
(65)【公開番号】P2022082267
(43)【公開日】2022-06-01
【審査請求日】2023-11-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000114215
【氏名又は名称】ミネベアミツミ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001771
【氏名又は名称】弁理士法人虎ノ門知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】鴨木 豊
(72)【発明者】
【氏名】幸山 豊
【審査官】津久井 道夫
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2020/039682(WO,A1)
【文献】特開2015-100166(JP,A)
【文献】特開2011-172353(JP,A)
【文献】国際公開第2018/168610(WO,A1)
【文献】特開2014-036508(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 1/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロータおよびステータを備え、
前記ステータは、係合部を介して連結された奇数個のセグメントを備え、
前記セグメントは、連結部を介して連結された複数のピースを備え、
前記複数のピースは円弧状に配置され、
前記奇数個のセグメントは環状に配置され、
前記奇数個のセグメントの係合部はそれぞれ、周方向に突出する2つの凸部と、径方向において前記2つの凸部の間に設けられる凹部とを有し、
隣接配置される2つのセグメントのうち、
一方のセグメントの凸部は、他方のセグメントの凹部に係合し、
前記一方のセグメントの凹部は、前記他方のセグメントの凸部に係合し、
前記一方のセグメント及び前記他方のセグメントの2つの凸部は、頂部を有し、
前記一方のセグメントの凸部と前記他方のセグメントの凹部は、互いに対向し合う第1平面と第3平面とを有し、
前記第1平面と前記第3平面とは、前記ステータの径方向及び周方向に延在し、かつ、前記頂部に向けて互いに交差する方向に延在し、
前記一方のセグメント及び前記他方のセグメントの凸部の頂部が前記ステータの内周側に向けて突出し、
前記一方のセグメントの凹部と前記他方のセグメントの凸部は、互いに対向し合う第2平面と前記第3平面とを有し、
前記第2平面と前記第3平面とは、前記ステータの径方向及び周方向に延在し、かつ、前記頂部に向けて互いに交差する方向に延在し、
前記第1平面と前記第2平面は、前記ステータの径方向に沿う中心線に直交する周方向に沿う線に対して鋭角をなし、前記第3平面は、前記ステータの径方向に沿う中心線に直交する周方向に沿う線に対して正の角度をなし、
前記第2平面の接触可能面積は、前記第1平面の接触可能面積より大きい、
モータ。
【請求項2】
前記第1平面と前記第2平面は、前記ステータの径方向に並んで配置され、前記第1平面に対して前記第2平面が内周側に配置され、前記第2平面の面積と、前記第1平面の面積が異なる、請求項に記載のモータ。
【請求項3】
前記係合部は、内周側に突出する膨出部を有し、前記第2平面は、前記膨出部側に配置される、請求項に記載のモータ。
【請求項4】
前記第1平面および前記第2平面のうち、面積が大きい平面に形成された隙間は、前記第1平面および前記第2平面のうち、面積が小さい平面に形成された隙間より小さい、請求項2又は3に記載のモータ。
【請求項5】
外周側の前記第1平面と、内周側の前記第2平面とは、平行に配置される、請求項1~4のいずれか1つに記載のモータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数のセグメント形状をなす鋼板を板厚方向に積層してセグメントを形成し、複数のセグメントを環状に組み立てることでステータを形成し、このステータとロータが組み合わせて構成されたモータが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2000-152529号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のステータでは、複数のピースが連結されたセグメント形状を鋼板から打ち抜き、打ち抜いた鋼板を積層した後、内側に折り曲げて扇形のセグメントを形成する。そして、扇形のセグメントを環状に組み合わせてステータを構成している。しかしながら、複数のセグメントを環状に組み合わせるとき、係合部同士が単に接触するように係合している。すると、セグメントの係合部同士の係合が不十分となる。そのため、セグメントが係合部を中心にして外側や内側に動いてしまい、複数のセグメントを環状に組付けたときの真円度が悪化するとともに、セグメントの組み付け位置がずれると、ハウジングに組み付けることが困難となる。
【0005】
本発明は、上記課題を一例とするものであり、ステータの真円度を高めることを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係るモータは、ロータおよびステータを備える。前記ステータは、係合部を介して連結された奇数個のセグメントを備える。前記セグメントは、連結部を介して連結された複数のピースを備える。前記複数のピースは円弧状に配置され、前記奇数個のセグメントは環状に配置される。前記奇数個のセグメントの係合部はそれぞれ、周方向に突出する2つの凸部と、径方向において前記2つの凸部の間に設けられる凹部とを有する。隣接配置される2つのセグメントのうち、一方のセグメントの凸部は、他方のセグメントの凹部に係合し、前記一方のセグメントの凹部は、前記他方のセグメントの凸部に係合する。前記一方のセグメント及び前記他方のセグメントの2つの凸部は、頂部を有し、前記一方のセグメントの凸部と前記他方のセグメントの凹部は、互いに対向し合う第1平面と第3平面とを有する。前記第1平面と前記第3平面とは、前記ステータの径方向及び周方向に延在し、かつ、前記頂部に向けて互いに交差する方向に延在する。前記一方のセグメント及び前記他方のセグメントの凸部の頂部が前記ステータの内周側に向けて突出する。前記一方のセグメントの凹部と前記他方のセグメントの凸部は、互いに対向し合う第2平面と前記第3平面とを有する。前記第2平面と前記第3平面とは、前記ステータの径方向及び周方向に延在し、かつ、前記頂部に向けて互いに交差する方向に延在する。前記第1平面と前記第2平面は、前記ステータの径方向に沿う中心線に直交する周方向に沿う線に対して鋭角をなし、前記第3平面は、前記ステータの径方向に沿う中心線に直交する周方向に沿う線に対して正の角度をなす。前記第2平面の接触可能面積は、前記第1平面の接触可能面積より大きい。
【0007】
本発明の一態様によれば、ステータの真円度を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、本実施形態に係るステータの構成例を示す斜視図である。
図2図2は、セグメントの形状の例を示す斜視図である。
図3図3は、セグメントの形状の例を示す平面図である。
図4図4は、折り曲げ前のセグメントの連結部の例を示す平面図である。
図5図5は、セグメントの連結部の形状を設定するための説明図である。
図6図6は、セグメントの連結部の形状を設定するための説明図である。
図7図7は、複数のセグメントが組み立てられたステータの例を示す平面図である。
図8図8は、折り曲げ後のセグメントの連結部の例を示す平面図である。
図9図9は、組み付け後のセグメントの係合部の例を示す平面図である。
図10図10は、セグメントの係合部の形状を設定するための説明図である。
図11図11は、複数のセグメントが組み立てられたステータの例を示す平面図である。
図12図12は、組み付け前の複数のセグメントを示す斜視図である。
図13図13は、組み付け後の複数のセグメントを示す斜視図である。
図14図14は、モータの構成例を示す斜視図である。
図15図15は、モータの構成例を示す分割斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、実施形態に係るモータについて図面を参照して説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、図面における各要素の寸法の関係、各要素の比率などは、現実と異なる場合がある。図面の相互間においても、互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている場合がある。また、1つの実施形態や変形例に記載された内容は、原則として他の実施形態や変形例にも同様に適用される。
【0010】
図1は、本実施形態に係るステータ2の構成例を示す斜視図である。図1において、ステータ21と、ステータ21に設けられた環状の基板(以下、接続板と呼称する)28とが示されている。ステータ21は、複数(たとえば2個)のピースが折り曲げ可能な連結部を介して連結されたセグメント23の各ピースに上側インシュレータ24および下側インシュレータ25が装着された上でコイル26が巻回された後に、連結部が折り曲げられて、複数(たとえば3個)のセグメント23により環状に形成されている。ここで、インシュレータは、上側インシュレータ24および下側インシュレータ25で構成されている。各セグメント23は、それぞれがセグメントとして、ステータ全体としてのコアを形成する。3個のセグメント23が用いられる場合、セグメントの数は3となる。セグメントの数は、2次・4次の円環振動モードに対する剛性を高める上で、3が好ましいが、3以上の奇数でもよい。また、複数のセグメント23が有するピースの数が偶数であり、複数のセグメント23の数が奇数または素数であってもよい。ピースの数が偶数であっても、セグメント23の数を3以上の奇数または素数にすることで、モータの振動や振動に伴う騒音を抑制することができる。
【0011】
接続板28は、セグメント23のピースごと(スロットごと)に上側インシュレータ24の上部に設けられた端子27を一括して配線するものであり、プリント基板または所定の基板にプリント基板や相互接線導体(バスパー)を設けたもの等により形成されている。なお、接続板28は、コイル26が巻回され環状に仮組されたセグメント23がモータのハウジングに挿入された後に端子27と接続される場合もある。各スロットのコイル26の電気接続が端子27を介し接続板28により一括に行われることで、渡り線が交差しないようにすることができる。また、インシュレータに渡り線をガイドするガイド部が不要となり、回転軸方向におけるステータの寸法を短縮し、モータのデッドスペースを縮小することができる。図示の例では、接続板28に形成された複数の孔部28aそれぞれに、端子27の端部27-aが挿入され、端子27の端部27-aの一部が接続板28の面から外側に突出している。端子27の端部27-aは、接続板28に形成された配線の一部と電気接続されている。端部27-aには、インシュレータに固定される突出部27-b、27-cが連なっている。
【0012】
図2は、セグメントの形状の例を示す斜視図であり、図3は、セグメントの形状の例を示す平面図である。図2および図3において、鋼板22は、電磁鋼板から金型等により打ち抜かれて形成される。また、鋼板22が複数枚積み重ねられてセグメント23が形成される。
【0013】
セグメント23は、磁性体としての鋼板22が複数枚積み重ねられて形成される。なお、図2においては、電磁鋼板の積み重ねにより表れる端面の表現は、図示が省略されている。図示の例では、2つの略T字状の平面形状を有するピース23aが連結部23bを介して連結されている。各ピース23aにはティース23eが形成されている。このティース23eの一方の端部23e1(径方向においてロータ3に対向する端部)が磁極部となる。連結部23bは、内周側に外周側に凹む第1凹部23b-aが形成されている。また、連結部23bは、外周側に内周側に凹む第2凹部23b-bが形成されている。第1凹部23b-aは、円弧形状をなし、第2凹部23b-bは、矩形状をなす。連結部23bは、第1凹部23b-aと第2凹部23b-bとの間が細く形成されており、第1凹部23b-aが閉じる方向に容易に折り曲げ可能とされている。
【0014】
第1凹部23b-aから内周側に向けて一対の対向面23b-cが設けられる。一対の対向面23b-cは、一対の対向部23b-dに接続する。一対の対向部23b-dは、連結部23bより内周側に位置する。すなわち、セグメント23は、各ピース23aと連結部23bとの間に内周側に突出する一対の突出部23fが設けられる。一対の対向面23b-cと一対の対向部23b-dは、一対の突出部23fに互いに対向して位置している。一対の対向面23b-cは、平面であり、一対の対向部23b-dは、モータ1の回転軸方向に沿った対向線(設計接触線)である。セグメント23が折り曲げられたとき、一対の対向面23b-cが接近して互いの間に隙間が確保される。このとき、一対の対向部23b-dは、互いに接触するか、または、互いの間に微小隙間が設けられる。すなわち、一対の対向部23b-dは、公差や誤差に応じて接触するか、互いの間に微小隙間が形成される。また、一対の面23b-eは、一対の対向部23b-dより内周側に設けられ、一対の対向面23b-cより外側の領域に設定されている。つまり、一対の面23b-eは、一対の突出部23fの先端側に設けられる。
【0015】
セグメント23は、左右の端部に係合部23c、23dが設けられ、環状に折り曲げられた状態で隣のセグメント23の係合部23c、23dと接触し、係合し合うようになっている。一方の係合部23cは、周方向の一方側に突出する2つの凸部23c-a、23c-bと、2つの凸部23c-a、23c-bの間に設けられる凹部23c-cとを有する。他方の係合部23dは、周方向の一方側に突出する2つの凸部23d-a、23d-bと、2つの凸部23d-a、23d-b部の間に設けられる凹部23d-cとを有する。
【0016】
隣接配置される2つのセグメント23のうち、一方のセグメント23の凸部23c-aは、他方のセグメント23の凹部23d-cに係合し、一方のセグメントの凹部23c-cは、他方のセグメントの凸部23d-bに係合する。一方のセグメント23の凸部23c-aは、頂部23c-dを有し、他方のセグメント23の凸部23d-bは、頂部23d-dを有する。
【0017】
一方のセグメント23の凸部23c-aと他方のセグメント23の凹部23d-cは、互いに対向し合う第1平面23c-e、23d-eを有する。第1平面23c-e、23d-eは、ステータ2の径方向及び周方向に延在し、かつ、頂部23c-dに向けて互いに交差する方向に延在する。一方のセグメント23の凹部23c-cと他方のセグメント23の凸部23d-bは、互いに対向し合う2つの第2平面23c-h、23d-hを有する。第2平面23c-h、23d-hは、ステータ2の径方向及び周方向に延在し、かつ、頂部23d-dに向けて互いに交差する方向に延在する。ここで、第1平面23c-fと第2平面23c-gとは、同一の平面である。また、係合部23dにて、第1平面23d-fと第2平面23d-gとは、同一の平面である。一方のセグメント23の凸部23c-aと他方のセグメント23の凹部23d-c及び一方のセグメント23の凹部23c-cと他方のセグメント23の凸部23d-bが共有する第3平面23c-fと第3平面23c-gは、同一の平面である。
【0018】
なお、セグメント23は、図2および図3に示す直線的な状態において、連結部23bの面23a-1と係合部23cの面23c-1と係合部23dの面23d-1とは、図3の上下方向の位置が同じ位置であり、一直線上に配置される。また、この状態において、係合部23cの面23c-2と係合部23dの面23d-2とは、平行をなし、連結部23bの面23a-1は、面23c-2、23d-2に対して直交をなしている。面23a-1、23c-1、23c-2、23d-1、23d-2は、セグメント23にコイル26を巻回するとき、セグメント23を装置に装着するときの位置決め面となる。
【0019】
以下、連結部23bにおける一対の対向面23b-cと一対の対向部23b-dの形状について詳細に説明する。図4は、折り曲げ前のセグメントの連結部の例を示す平面図であり、図5は、セグメントの連結部の形状を設定するための説明図であり、図6は、セグメントの連結部の形状を設定するための説明図である。図4から図6において、連結部23bは、内周側に第1凹部23b-aが形成され、外周側に第2凹部23b-bが形成されることで、径方向の幅が細くなっている。第1凹部23b-aは、中心O1の円弧であり、円弧形状をなしているが、たとえば、楕円であってもよい。
【0020】
連結部23bは、隣り合う2つのピース23aにおける折り曲げ回転の中心となる設計中心O2が設定される。設計中心O2は、隣り合う2つのピース23aの中間位置で、かつ、第1凹部23b-aと第2凹部23b-bの中間位置であることが好ましい。また、連結部23bは、隣り合う2つのピース23aにおける形状決定のための仮想点O3が設定される。仮想点O3は、設計中心O2より径方向の外周側に設定される。設計中心O2と仮想点O3は、ステータ2の中心を通って径方向に沿う折り曲げ線L1上に配置される。なお、第1凹部23b-aの中心O1も折り曲げ線L1上に配置される。
【0021】
まず、設計中心O2を中心として設計接合点を通る第1仮想円C1が設定される。次に、設計中心O2から設計接合点に向けて左右に所定角度α(たとえば、15度)で広がる一対の直線L2を設定する。なお、本実施形態では、ステータ2が6つのピース23aにより構成されていることから、所定角度αが15度であるが、ステータ2を構成するピース23aの数に応じて所定角度αが設定される。そして、第1仮想円C1と一対の直線L2の交点O4を通る一対の直線L2に対する一対の垂線L3が設定される。中心O5が一対の垂線L3上にあって所定半径を有する一対の第2仮想円C2が設定される。ここで、第2仮想円C2の所定半径は、ステータ2の半径に応じて設定される。第2仮想円C2の所定半径は、たとえば、ステータ2の半径の30%~100%の範囲が好ましい。そして、一対の対向面23b-cは、仮想点O3から一対の第2仮想円C2に接する接線L4上に配置される、すなわち、一対の対向面23b-cは、仮想点O3から一対の第2仮想円C2に接する接線L4上に配置され、一端が第1凹部23b-aに接続して他端が一対の第2仮想円C2に接続し、第2仮想円C2が対向部23b-dより内周側の面23b-eを形成している。
【0022】
図7は、複数のセグメントが組み立てられたステータの例を示す平面図、図8は、折り曲げ後のセグメントの係合部の例を示す平面図である。図7において、ステータ2は、3個のセグメント23が周方向に円弧状に係合されて構成されている。セグメント23は、2個のピース23aを有することから、ステータ2は、6個のピース23aが周方向に円弧状に連結されて構成されている。6個のピース23aが連結されて構成されたステータ2は、各ピース23aの連結部23b及び各セグメント23を構成する各ピース23aの係合部23c、23dを頂点とする六角形(好ましくは、正六角形)Pを形成する。具体的に、各ピース23aの連結部23bにおける頂点は、対向部23b-dである。
【0023】
図8において、各セグメント23が連結部23bで内側に折り曲げられると、一対の対向面23b-cが接近し、理想的には、一対の対向部23b-dが互いに接触するが、互いの間に隙間が確保されるときもある。このとき、一対の対向面23b-cは、第1凹部23b-aから一対の対向部23b-dまで互いの間隔が徐々に狭くなる。言い換えれば、一対の対向面23b-cは、互いの間隔が、第1凹部23b-aから一対の対向部23b-dにかけて減少する。すなわち、連結部23bにおける一対の対向面23b-cの隙間は、外周側から内周側に向けて徐々に小さくなる。たとえば、一対の対向面23b-cにおける外周側の隙間S1は、0.08mmであり、一対の対向面23b-cにおける内周側の隙間S2は、0.02mmである。この隙間S1、S2の大きさは、公差や誤差によって変動する。そして、隙間S1、S2は、組み立てられたモータ1におけるステータ2とロータ3の径方向における隙間よりも小さい(およそ1/10~1/5)。すなわち、各セグメント23が連結部23bで内側に折り曲げられると、理想的には、一対の対向部23b-dが互いに線接触することから、第1凹部23b-aから対向部23b-dまで設けられる一対の対向面23b-cは、径方向の全域で間隔が徐々に狭くなっている。
【0024】
また、係合部23cにおける凸部23c-a、23c-bと凹部23c-c、係合部23dにおける凸部23d-a、23d-bと凹部23d-cの形状について詳細に説明する。図9は、組み付け後のセグメントの係合部の例を示す平面図であり、図10は、セグメントの係合部の形状を設定するための説明図である。図9において、一方の係合部23cは、セグメント23における一方のピース23aの端部に設けられ、他方の係合部23dは、セグメント23における他方のピース23aの端部に設けられる。隣り合う2つのセグメント23は、係合部23cと係合部23dとが接触して係合し合う。一方のセグメント23の凸部23c-aが他方のセグメント23の凹部23d-cに係合し、一方のセグメントの凹部23c-cに他方のセグメントの凸部23d-bが係合する。
【0025】
図10において、ステータ2の中心を通って径方向に沿う係合線L11が設定される。また、ステータ2の中心に中心を持つ図7に示す六角形の外接円(設計接合点を通る円)と係合線L11の交点における接線L12が設定される。ここで、係合線L11と接線L12とが直交する位置が仮想係合点O11に設定される。仮想係合点O11を通り、かつ、接線L12に対して正(反時計回転)の角度βをもって交差する第1傾斜線L13が設定される。本実施形態では、上述した係合部23c、23dの形状から、図10にて、第1傾斜線L13が左下側から右上側に沿う線としたが、係合部23c、23dの形状が逆の場合、第1傾斜線L13は、右下側から左上側に沿う線となる。
【0026】
第1傾斜線L13に対して鋭角θ1、θ2をもって交差する第2傾斜線L14および第3傾斜線L15が設定される。第2傾斜線L14は、第1傾斜線L13の長さ方向の一方側で第1傾斜線L13と交差し、第3傾斜線L15は、第1傾斜線L13の長さ方向の他方側で第1傾斜線L13と交差する。ここで、第2傾斜線L14と第3傾斜線L15とは、平行であるため、鋭角θ1、θ2は、同じ角度である。ただし、鋭角θ1、θ2を異なる角度とし、第2傾斜線L14と第3傾斜線L15とを平行としなくてもよい。また、第2傾斜線L14および第3傾斜線L15は、係合部23cと係合部23dの中間位置で係合線L11と交差することが好ましい。
【0027】
一方の係合部23cにおいて、凸部23c-aは、第2傾斜線L14に沿った第1平面23c-eと、第1傾斜線L13に沿った第3平面23c-fとにより構成される。凹部23c-cは、第1傾斜線L13に沿った第3平面23c-gと、第3傾斜線L15に沿った第2平面23c-hとにより構成される。他方の係合部23dにおいて、凹部23d-cは、第2傾斜線L14に沿った第1平面23d-eと、第1傾斜線L13に沿った第3平面23d-fとにより構成される。凸部23d-bは、第1傾斜線L13に沿った第3平面23d-gと、第3傾斜線L15に沿った第2平面23d-hとにより構成される。
【0028】
係合部23cにおける凸部23c-aは、頂部23c-dがステータ2の周方向で、かつ、内周側に向けて突出している。すなわち、係合部23cにおける凸部23c-aおよび凹部23c-c、係合部23dにおける凸部23d-bおよび凹部23d-cは、第1傾斜線L13と第2傾斜線L14と第3傾斜線L15により形成される。そして、第1傾斜線L13と第2傾斜線L14と第3傾斜線L15は、係合線L11に直交する接線L12に対して、同一方向に傾斜している。
【0029】
凸部23c-aは、凹部23d-cに係合し、凸部23d-bは、凹部23c-cに係合する。凸部23c-aと凹部23d-cとの係合位置と、凸部23d-bと凹部23c-cとの係合位置は、ステータ2の径方向に並んで配置される。すなわち、第1平面23c-e、23c-f、23d-e、23d-fと、第2平面23c-g、23c-h、23d-g、23d-hとは、ステータ2の径方向に並んで配置される。第1平面23c-e、23c-f、23d-e、23d-fに対して、第2平面23c-g、23c-h、23d-g、23d-hが内周側に配置される。そして、第2平面23c-h、23d-hの面積と第1平面23c-e、23d-eの面積は第1平面23c-e、23d-eの面積より大きいが、これに限らず、第1平面23c-e、23d-eの面積が第2平面23c-h、23d-hの面積より大きくてもよい。
【0030】
すなわち、係合部23c、23dは、ステータ2の内周側に突出する膨出部23g、23hが設けられる。第2平面23c-h、23d-hは、膨出部23g、23h側に配置される。係合部23cにおける凹部23c-cの第2平面23c-hと係合部23dにおける凸部23-bの第2平面23d-hとの接触可能面積は、係合部23cにおける凸部23c-aの第1平面23c-eと係合部23dにおける凹部23-cの第1平面23d-eの接触可能面積より大きい。ここで、係合部23cと係合部23dは、第1平面23c-e、23c-f及び第2平面23c-g、23c-hと、第1平面23d-e、23d-f及び第2平面23d-g、23d-hとが必ず接触するものではなく、交差や製造誤差などに応じて面接触、線接触、点接触状態となり、隙間が形成される。接触可能面積とは、設計交差や製造誤差などがなかったときの面積である。つまり、第1平面23c-e、23d-e及び第2平面23c-h、23d-hの面積である。
【0031】
そして、第2平面23c-h、23d-hに形成された隙間の大きさは、第1平面23c-e、23d-eに形成された隙間の大きさより小さい。具体的には、第3傾斜線L15の位置で接触可能な凸部23d-bと凹部23c-cとの面積は、第2傾斜線L14の位置で接触可能な凸部23c-aと凹部23d-cとの面積より大きい。そして、第3傾斜線L15の位置での設計上での凸部23d-bと凹部23c-cとの寸法公差は、第2傾斜線L14の位置で設計上での凸部23c-aと凹部23d-cとの寸法公差より小さい。すなわち、隣り合うセグメント23は、係合部23c、23dにおける第3傾斜線L15に接触可能な凸部23c-bと凹部23d-bとの位置が磁束の通り道(磁路)となる。ただし、第1平面と第2平面の大小関係を逆にして第1平面を磁束の通り道(磁路)としてもよい。
【0032】
図11は、複数のセグメントが組み立てられたステータの例を示す平面図である。図11において、上述したように、ステータ2は、3個のセグメント23が周方向に円弧状に係合されて構成されている。セグメント23は、2個のピース23aを有することから、ステータ2は、6個のピース23aが周方向に円弧状に連結されて構成されている。6個のピース23aが連結されて構成されたステータ2は、各ピース23aの連結部23b及び各セグメント23を構成する各ピース23aの係合部23c、23dを頂点とする六角形Pを形成する。具体的に、各ピース23aの係合部23c、23dにおける頂点は、仮想係合点O11である。
【0033】
図12は、組み付け前の複数のセグメントを示す斜視図であり、図13は、組み付け後の複数のセグメントを示す斜視図である。なお、環状のコアの形成を概念的に示すものであり、実際には前述したようにセグメント23の各ピース23aに上側インシュレータ24および下側インシュレータ25が装着され、コイルが巻回された後に折り曲げが行われる。図12において、3つのセグメント23がそれぞれ円弧状に曲げられた後に合体されることにより、図13に示されるような環状のコアが形成される。
【0034】
従来の一続きの帯状のコアが環状に曲げられるタイプのステータでは、1周360°の範囲に対して1回の作業で環状に曲げが行われるため、一部の連結部に過剰な力が働いて真円度が悪化し、マグネットの磁極数に応じた半径方向への加振力による振動が発生する場合があった。これに対し、本実施形態では、複数(たとえば、3個)のセグメント23がそれぞれにおいて円弧状に曲げられた後に、複数のセグメント23の合体が行われるため、真円度が向上する。その結果、マグネットの磁極数に応じた半径方向への加振力による振動や騒音の低下が期待できる。
【0035】
また、従来の一続きの帯状のコアが環状に曲げられるタイプのステータでは、1周の中の1箇所で端部の接続が行われるため、2次および4次の円環振動モードに対して剛性が低く、この点からも振動や騒音が発生する場合があった。これに対し、本実施形態では、たとえば3個といった、セグメントの数が奇数となっているため、セグメントの接続部が円の中心を介して対向することがなく、2次および4次の円環振動モードに対して剛性が高い。その結果、振動や騒音の低下が期待できる。
【0036】
そして、従来のステータでは、セグメントを連結部の設計位置で内側に折り曲げることで、一対の対向面を面接触させている。この場合、セグメントの折り曲げ起点が設計位置からずれると、一対の対向面が線接触状態となり、一対の対向面の間に隙間が生じる。すると、複数のセグメントを環状に組み合わせたとき、ステータの真円度が低下する。これに対し、本実施形態のステータ2では、セグメント23を連結部23bの設計位置で内側に折り曲げたとき、一対の対向面23b-cの間に意図的に隙間が生じるようにし、理想的には、一対の対向部23b-dが互いに線接触するようにしている。そして、セグメント23を折り曲げた後に環状に組み合わせたとき、6個の頂点を有する六角形Pを形成する。この場合、セグメント23の折り曲げ起点が設計位置からずれても、六角形Pの形状が規制されて大きく動かない構成となっている。そのため、複数のセグメント23を環状に組み合わせたときに、ステータ2の高い真円度が確保される。なお、六角形Pの6個の頂点は、3つの対向部23b-dと3つの仮想係合点O11である。
【0037】
また、従来のステータでは、複数のセグメントを環状に組み合わせるとき、係合部同士を単に接触するように係合させている。この場合、セグメント同士の組み付けが容易であるものの、セグメントの係合部同士の係合が不十分であったため、セグメントが係合部を中心にして外側や内側に動いてしまい、真円度を悪化させる原因となっていた。これに対し、本実施形態のステータ2では、係合部23c、23dの凸部23c-a、23d-b及び凹部23c-c、23d-cが鋭角形状をなして互いに嵌合している。そのため、セグメント23は、係合部23c、23dで外側や内側に開くことが防止され、真円度を悪化させることが抑制される。
【0038】
すなわち、ステータ2にて、3個のセグメント23を組み合わせるとき、まず、図12に示すように、3個のセグメント23を周方向に間隔を空けて配置する。次に、3個のセグメント23を中心に向けて内側に移動し、各係合部23c、23d同士を係合させる。すると、図13に示すように、3個のセグメント23が環状に組み合わされてステータ2が構成される。3個のセグメント23が組み合わされたステータ2は、係合部23c、23dの形状により、1個のセグメント23または2個のセグメント23が径方向に移動することが阻止されている。そのため、真円度が維持されると共に、ステータ2の取り扱いが容易となる。但し、3個のセグメント23を組み合わせるとき、3個のセグメント23を軸方向に移動し、各係合部23c、23d同士を係合させてステータ2を構成してもよい。
【0039】
図14は、モータの構成例を示す斜視図であり、図15は、モータの構成例を示す分割斜視図である。図14において、モータ1は、筒部11と、蓋部12、13と、シャフト32とを備えている。筒部11、蓋部12、13はハウジングを形成する。図15において、円筒状の筒部11には、ステータ2が挿入(圧入)され、ステータ2内の空間にロータ3が配置され、ベアリングを保持する上下の蓋部12、13によりロータ3のシャフト32が回動可能に支持される。ロータ3の長手方向において、ステータ2に対向する蓋部12の面12aには複数の孔部12bが設けられ、蓋部12の外周部12cには複数の孔部12dが設けられている。同様に、ロータ3の長手方向において、ステータ2に対向する蓋部13の面13aには複数の孔部13bが設けられ、蓋部13の外周部13cには複数の孔部13dが設けられている。蓋部12、13の外周部12c、13cに設けられた孔部12d、13dと、筒部11の外周部に設けられた孔部11a、11bにネジ等の部材を挿入して固定しても良い。(ロータ3について、図示の例では、シャフト32に磁性体としてのロータヨーク3aが設けられ、ロータヨーク3aの外周面に環状のマグネット3bが設けられている。
【0040】
なお、ロータ3は、磁性部材としての電磁鋼板が積層されて環状に形成されたロータヨーク3aを備え、ロータヨーク3aの中央部にはロータヨーク3aを貫通して設けられたシャフト32が設けられていても構わない。たとえば、ロータヨーク3aは、連結部により連結された4個の略扇形のピースが棒状のシャフト32を挟み込むように折り曲げられて環状に形成され、セグメントの端部の接続部は、軸方向に沿ったレーザ溶接等により接続されている。また、ロータヨーク3aには、リラクタンストルクを生じさせる孔部が設けられ、その孔部には必要に応じてマグネットが配置される。なお、ステータ2の端子27および接続板28は図示が省略されている。
【0041】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
【0042】
以上のように、本実施形態に係るモータは、ステータを備え、ステータは、係合部を介して連結された複数のセグメントを備え、セグメントは、連結部を介して連結された複数のピースを備える。複数のピースは円弧状に配置され、複数のセグメントは環状に配置される。そして、係合部は、周方向側に突出する2つの凸部と、2つの凸部の間に設けられる凹部とを有する。隣接配置される2つのセグメントのうち、一方のセグメントの凸部は、他方のセグメントの凹部に係合し、一方のセグメントの凹部は、他方のセグメントの凸部に係合する。一方及び他方のセグメントの2つの凸部は、頂部を有し、一方のセグメントの凸部と他方のセグメントの凹部は、互いに対向し合う第1平面と第3平面とを有する。第1平面と第3平面とは、ステータの径方向及び周方向に延在し、かつ、頂部に向けて互いに交差する方向に延在する。そのため、真円度を向上させることでステータの振動を低下させるとともに生産性を向上させることができる。
【0043】
また、一方及び他方のセグメントの凸部は、頂部がステータの内周側に向けて突出する。そのため、係合部における凸部と凹部が適切に係合することとなり、簡単な工法で組み付けが可能であり、ステータを高い真円度で適切に組み付けることができる。
【0044】
また、一方のセグメントの凹部と他方のセグメントの凸部は、互いに対向し合う第2平面と第3平面とを有し、第2平面と第3平面とは、ステータの径方向及び周方向に延在し、かつ、頂部に向けて互いに交差する方向に延在する。そのため、ステータの真円度をさらに向上させることができる。
【0045】
また、第1平面及び第2平面は、ステータの径方向に沿う中心線に直交する周方向に沿う線に対して鋭角をなし、第3平面は、ステータの径方向に沿う中心線に直行する周方向に沿う線に対して正の角度をなす。そのため、隣り合うセグメントが係合部で組み合わされたとき、係合部でセグメントが外周側及び内周側に開くことを抑制することができる。
【0046】
また、第1平面と第2平面は、ステータの径方向に並んで配置され、第1平面に対して第2平面が内周側に配置され、第2平面の面積と、第1平面の面積が異なる。そのため、第2平面で係合する凸部と凹部の位置が磁路となり、ステータ巻線と鎖交する磁束の流路の断面積が大きくなり、磁気抵抗を小さくすることができることから、モータ性能の低下を抑制することができる。
【0047】
また、係合部は、内周側に突出する膨出部を有し、第2平面は、膨出部側に配置される。そのため、明豪部における巻線可能な面積を減らすことなくステータ巻線と鎖交する磁束の流路の断面積を確保し、モータの外径の増大を抑制することができる。
【0048】
また、第1平面および第2平面のうち、面積が大きい平面に形成された隙間は、第1平面および第2平面のうち、面積が小さい平面に形成された隙間より小さい。そのため、第1平面および第2平面で係合する凸部と凹部の位置を磁路とすることができ、モータの外径の増大を抑制することができる。
【0049】
また、外周側の第1平面と、内周側の第2平面とは、平行に配置される。そのため、隣り合うセグメントが係合部で組み合わされたとき、セグメントの外周側及び内周側への移動を効果的に抑制することができる。また、折り曲げ前のセグメントのけ各係合部にティースの中心線と平行な面が形成されるため、この面を使用して巻線機にセグメントを精度良く保持することができるため、巻線の占積率の改善やセグメントの着脱時間を短縮することができる。
【0050】
以上のように、本実施形態に係るモータは、ステータを備え、ステータは、複数のセグメントを備え、セグメントは、連結部を介して連結された複数のピースを備える。複数のピースは円弧状に配置され、複数のセグメントは環状に配置される。そして、連結部は、第1凹部と、一端が前記第1凹部の両側に連続する一対の対向面と、一対の対向面の他端に設けられる一対の対向部とを有する。一対の対向面は、互いの間隔が、第1凹部から一対の対向部にかけて減少する。そのため、真円度を向上させることでステータの振動を低下させるとともに生産性を向上させることができる。
【0051】
また、一対の対向面は、平面である。そのため、一対の対向面の間に所定量の隙間を確保することができる。
【0052】
また、一対の対向部は、モータの回転軸方向に平行な一対の対向線である。そのため、一対の対向面の間に所定量の隙間を確保したうえで、対向線で線接触させることができる。
【0053】
また、一対の対向部は、互いに接触または微小隙間を介して対向する。そのため、セグメントの折り曲げ位置がずれても、真円度の低下を抑制することができる。
【0054】
また、連結部に、複数のピースにおける折り曲げ回転の中心となる設計中心が設定されると共に、設計中心より径方向の外側に仮想点が設定され、一対の対向面は、仮想点と一対の対向部とを結ぶ一対の直線上に配置される。そのため、一対の対向面の間に微小隙間を確保することができる。
【0055】
また、設計中心と仮想点とは、モータの中心を通って径方向に沿う直線上に配置される。そのため、セグメントの折り曲げ位置がずれても、真円度の低下を抑制することができる。
【0056】
また、設計中心を中心として設計接合点を通る第1仮想円が設定され、第1仮想円の接線上を中心として所定半径を有する一対の第2仮想円が設定され、一対の対向面は、仮想点から一対の第2仮想円に接する接線上に配置される。そのため、一対の対向面を高精度に設定することができる。
【0057】
また、一対の対向面より内周側の領域は、一対の第2仮想円上に配置される。そのため、第2仮想円を高精度に描画し、一対の対向面の設計精度を向上することができる。この場合、第2仮想円を公差や誤差を考慮したわずかな隙間を残して配置すると、後工程で真円度の矯正加工もできるようになり、さらに真円度を向上することができる。
【0058】
また、連結部は、モータの径方向の内側に第1凹部が設けられ、径方向の外側に第1凹部に対向して第2凹部が設けられる。そのため、セグメントを所定の位置で折り曲げることができる。
【0059】
なお、上記実施の形態では、セグメントが2個のピースを有し、3個のセグメントを組み合わせてステータを構成したが、セグメントにおけるピースの数や組み合わせるセグメントの数は、これらに限定されるものではない。たとえば、セグメントが4個のピースを有し、3個のセグメントを組み合わせてステータを構成してもよい。
【0060】
また、上記実施の形態により本発明が限定されるものではない。上述した各構成要素を適宜組み合わせて構成したものも本発明に含まれる。また、さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。よって、本発明のより広範な態様は、上記の実施の形態に限定されるものではなく、様々な変更が可能である。
【符号の説明】
【0061】
1 モータ,11 筒部,2、21 ステータ,23 セグメント,23a ピース,23b 連結部,26 コイル,28 接続板,3 ロータ,32 シャフト
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
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図9
図10
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図15