(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-19
(45)【発行日】2025-02-28
(54)【発明の名称】天井システム
(51)【国際特許分類】
E04B 9/02 20060101AFI20250220BHJP
E04B 1/70 20060101ALI20250220BHJP
【FI】
E04B9/02
E04B1/70 B
(21)【出願番号】P 2021021557
(22)【出願日】2021-02-15
【審査請求日】2024-01-26
(73)【特許権者】
【識別番号】390037154
【氏名又は名称】大和ハウス工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100162031
【氏名又は名称】長田 豊彦
(74)【代理人】
【識別番号】100175721
【氏名又は名称】高木 秀文
(72)【発明者】
【氏名】夜久 幸希
(72)【発明者】
【氏名】田中 宏典
(72)【発明者】
【氏名】熊埜御堂 令
(72)【発明者】
【氏名】能登谷 美和子
【審査官】土屋 保光
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-279837(JP,A)
【文献】特開2013-257055(JP,A)
【文献】特開2004-076285(JP,A)
【文献】特開平08-094138(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 9/00,9/02
E04B 1/62 - 1/99
E04B 7/18
F24F 7/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上側に小屋裏空間が形成される第一天井と、
前記第一天井の下方に間隔をあけて配置され、前記第一天井との間に空間部が形成されると共に自身の下側に室内空間が形成される第二天井と、
前記室内空間及び前記小屋裏空間を連通した第一状態、又は前記室内空間及び前記空間部を連通した第二状態へ切り替え可能な切替部と、
前記室内空間から、前記切替部により前記室内空間と連通された空間へ向かう空気の流れを発生可能な送風部と、
所定の情報に応じて、前記第一状態又は前記第二状態の切り替えと、前記送風部の動作と、を制御する制御部と、
を具備
し、
前記室内空間には、
冷房装置の冷房運転で内部空間を冷やすことが可能な第一空間が含まれ、
前記制御部は、
前記冷房装置が冷房運転を行う場合に、前記切替部を前記第一状態に切り替えると共に前記送風部を動作させ、前記第一空間から前記小屋裏空間へ空気を供給する、
天井システム。
【請求項2】
上側に小屋裏空間が形成される第一天井と、
前記第一天井の下方に間隔をあけて配置され、前記第一天井との間に空間部が形成されると共に自身の下側に室内空間が形成される第二天井と、
前記室内空間及び前記小屋裏空間を連通した第一状態、又は前記室内空間及び前記空間部を連通した第二状態へ切り替え可能な切替部と、
前記室内空間から、前記切替部により前記室内空間と連通された空間へ向かう空気の流れを発生可能な送風部と、
所定の情報に応じて、前記第一状態又は前記第二状態の切り替えと、前記送風部の動作と、を制御する制御部と、
を具備し、
前記室内空間には、
冷房装置の冷房運転で内部空間を冷やすことが可能な第一空間と、前記第一空間とは異なる第二空間と、が含まれ、
前記制御部は、
前記冷房装置が冷房運転を行う場合に、前記切替部を前記第一状態に切り替えると共に前記送風部を動作させ、前記第二空間から前記小屋裏空間へ空気を供給し、
当該小屋裏空間へ供給される空気は、
前記第二空間から、前記空間部のうち前記第一空間の上方に位置する部分を流通して前記小屋裏空間へ流入する、
天井システム。
【請求項3】
前記室内空間には、
暖房装置の暖房運転で内部空間を暖めることが可能な第三空間が含まれ、
前記制御部は、
前記暖房装置が暖房運転を行う場合に、前記切替部を前記第二状態に切り替えると共に前記送風部を動作させ、前記第三空間から前記空間部へ空気を供給する、
請求項
1又は請求項2に記載の天井システム。
【請求項4】
上側に小屋裏空間が形成される第一天井と、
前記第一天井の下方に間隔をあけて配置され、前記第一天井との間に空間部が形成されると共に自身の下側に室内空間が形成される第二天井と、
前記室内空間及び前記小屋裏空間を連通した第一状態、又は前記室内空間及び前記空間部を連通した第二状態へ切り替え可能な切替部と、
前記室内空間から、前記切替部により前記室内空間と連通された空間へ向かう空気の流れを発生可能な送風部と、
所定の情報に応じて、前記第一状態又は前記第二状態の切り替えと、前記送風部の動作と、を制御する制御部と、
を具備し、
前記室内空間には、
暖房装置の暖房運転で内部空間を暖めることが可能な第三空間が含まれ、
前記制御部は、
前記暖房装置が暖房運転を行う場合に、前記切替部を前記第二状態に切り替えると共に前記送風部を動作させ、前記第三空間から前記空間部へ空気を供給する、
天井システム。
【請求項5】
前記第二天井は、
前記第三空間と前記空間部とを連通し、前記空間部から前記第三空間へ空気を流入させるための第一連通孔を具備する、
請求項
3又は請求項4に記載の天井システム。
【請求項6】
前記室内空間には、
前記第三空間とは異なる第四空間がさらに含まれ、
前記第二天井は、
前記第四空間と前記空間部とを連通する第二連通孔を具備する、
請求項
3から請求項5までのいずれか一項に記載の天井システム。
【請求項7】
前記空間部には、
前記第二天井に設けられた機器の配線を設置可能な設置部が形成される、
請求項
1から請求項6までのいずれか一項に記載の天井システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、送風機を用いた天井システムの技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、送風機を用いた天井システムの技術は公知となっている。例えば、特許文献1に記載の如くである。
【0003】
特許文献1に記載の空調システム(天井システム)は、空調機及び双方向送風装置(送風機)等を具備する。空調機は、屋根裏空間に設けられ、廊下から吸気した空気の温度を調整し、当該空気をリビングへ供給可能に構成される。双方向送風装置は、床下空間に設けられ、空調機が冷房運転を行う場合(例えば、夏季)にリビングの空気を吸い込んで床下空間へ排気する。当該空気は床下空間から廊下へ送り込まれる。こうして、空調システムは、空調機及び床下空間を介してリビングと廊下との間で空気を循環させ、廊下の温度を下げることができる。
【0004】
ここで、空調機が冷房運転を行うとリビング等の天井が冷える。当該天井に屋根裏空間の空気(湿気)が触れると当該空気が冷やされて、屋根裏空間で結露が生じる可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、以上の如き状況を鑑みてなされたものであり、その解決しようとする課題は、結露の発生を抑制することが可能な天井システムを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0008】
即ち、請求項1においては、上側に小屋裏空間が形成される第一天井と、前記第一天井の下方に間隔をあけて配置され、前記第一天井との間に空間部が形成されると共に自身の下側に室内空間が形成される第二天井と、前記室内空間及び前記小屋裏空間を連通した第一状態、又は前記室内空間及び前記空間部を連通した第二状態へ切り替え可能な切替部と、前記室内空間から、前記切替部により前記室内空間と連通された空間へ向かう空気の流れを発生可能な送風部と、所定の情報に応じて、前記第一状態又は前記第二状態の切り替えと、前記送風部の動作と、を制御する制御部と、を具備し、前記室内空間には、冷房装置の冷房運転で内部空間を冷やすことが可能な第一空間が含まれ、前記制御部は、前記冷房装置が冷房運転を行う場合に、前記切替部を前記第一状態に切り替えると共に前記送風部を動作させ、前記第一空間から前記小屋裏空間へ空気を供給するものである。
【0009】
請求項2においては、上側に小屋裏空間が形成される第一天井と、前記第一天井の下方に間隔をあけて配置され、前記第一天井との間に空間部が形成されると共に自身の下側に室内空間が形成される第二天井と、前記室内空間及び前記小屋裏空間を連通した第一状態、又は前記室内空間及び前記空間部を連通した第二状態へ切り替え可能な切替部と、前記室内空間から、前記切替部により前記室内空間と連通された空間へ向かう空気の流れを発生可能な送風部と、所定の情報に応じて、前記第一状態又は前記第二状態の切り替えと、前記送風部の動作と、を制御する制御部と、を具備し、前記室内空間には、冷房装置の冷房運転で内部空間を冷やすことが可能な第一空間と、前記第一空間とは異なる第二空間と、が含まれ、前記制御部は、前記冷房装置が冷房運転を行う場合に、前記切替部を前記第一状態に切り替えると共に前記送風部を動作させ、前記第二空間から前記小屋裏空間へ空気を供給し、当該小屋裏空間へ供給される空気は、前記第二空間から、前記空間部のうち前記第一空間の上方に位置する部分を流通して前記小屋裏空間へ流入するものである。
【0010】
請求項3においては、前記室内空間には、暖房装置の暖房運転で内部空間を暖めることが可能な第三空間が含まれ、前記制御部は、前記暖房装置が暖房運転を行う場合に、前記切替部を前記第二状態に切り替えると共に前記送風部を動作させ、前記第三空間から前記空間部へ空気を供給するものである。
【0011】
請求項4においては、上側に小屋裏空間が形成される第一天井と、前記第一天井の下方に間隔をあけて配置され、前記第一天井との間に空間部が形成されると共に自身の下側に室内空間が形成される第二天井と、前記室内空間及び前記小屋裏空間を連通した第一状態、又は前記室内空間及び前記空間部を連通した第二状態へ切り替え可能な切替部と、前記室内空間から、前記切替部により前記室内空間と連通された空間へ向かう空気の流れを発生可能な送風部と、所定の情報に応じて、前記第一状態又は前記第二状態の切り替えと、前記送風部の動作と、を制御する制御部と、を具備し、前記室内空間には、暖房装置の暖房運転で内部空間を暖めることが可能な第三空間が含まれ、前記制御部は、前記暖房装置が暖房運転を行う場合に、前記切替部を前記第二状態に切り替えると共に前記送風部を動作させ、前記第三空間から前記空間部へ空気を供給するものである。
【0012】
請求項5においては、前記第二天井は、前記第三空間と前記空間部とを連通し、前記空間部から前記第三空間へ空気を流入させるための第一連通孔を具備するものである。
【0013】
請求項6においては、前記室内空間には、前記第三空間とは異なる第四空間がさらに含まれ、前記第二天井は、前記第四空間と前記空間部とを連通する第二連通孔を具備するものである。
【0014】
請求項7においては、前記空間部には、前記第二天井に設けられた機器の配線を設置可能な設置部が形成されるものである。
【発明の効果】
【0016】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0017】
請求項1においては、結露の発生を抑制することが可能となる。
【0018】
請求項2においては、結露の発生を抑制することが可能となる。
【0019】
請求項3においては、結露の発生を効果的に抑制することが可能となる。
【0020】
請求項4においては、結露の発生を抑制することが可能となる。
【0021】
請求項5においては、結露の発生を効果的に抑制することが可能となる。
【0022】
請求項6においては、結露の発生を効果的に抑制することが可能となる。
【0023】
請求項7においては、第一天井を通じた湿気の流通を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】第一実施形態に係る天井システムが適用された建物を示す模式図。
【
図2】(a)室内空間を示す平面図。(b)給気口及びダクトの位置関係を示す平面図。
【
図3】エアコンが冷房運転を行う場合の天井システムの動作を示す模式図。
【
図4】エアコンが暖房運転を行う場合の天井システムの動作を示す模式図。
【
図5】第二実施形態に係る天井システムが適用された建物を示す模式図。
【
図6】(a)第二実施形態に係る室内空間を示す平面図。(b)給気口及びダクトの位置関係を示す平面図。
【
図7】第二実施形態においてエアコンが冷房運転を行う場合の天井システムの動作を示す模式図。
【
図8】第二実施形態においてエアコンが暖房運転を行う場合の天井システムの動作を示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下の説明においては、図中に記した矢印に従って、上下方向、左右方向及び前後方向をそれぞれ定義する。
【0027】
以下では、
図1及び
図2(a)を参照して第一実施形態に係る天井システム10が設けられる建物1の構成について簡単に説明する。
【0028】
建物1は、例えば、人が居住するための戸建て住宅である。建物1は、外壁部2、屋根部3、床部4、隔壁部5及び天井システム10等を具備する。
【0029】
外壁部2は、建物1の外壁を成す部分である。外壁部2には、後述する小屋裏空間S3と建物1の外部の空間とを連通するガラリ2aが設けられる。屋根部3は、建物1の屋根を成す部分である。床部4は、建物1の床を成す部分である。建物1内の空間は、後述する天井システム10の天井20によって小屋裏空間S3及び室内空間S5に区画される。
【0030】
小屋裏空間S3は、天井20(第一天井21)の上側(裏側)に形成された空間である。室内空間S5は、天井20(第二天井22)の下側に形成された空間である。室内空間S5は、隔壁部5によって複数の空間に区画される。こうして区画された室内空間S5には、人が比較的長時間使用する室(例えば、居室6やリビング等)の内部空間や人が比較的短時間使用する室(例えば、廊下や洗面室等)の内部空間が含まれる。
図2(a)には、室内空間S5の一例として、隔壁部5によって区画された居室6の内部空間S6等を示している。
【0031】
図1及び
図2(a)に示す居室6には、冷房運転及び暖房運転により室温を調節可能なエアコン6aが設けられる。以下では、室内空間S5のうち、エアコン6aにより室温を調節可能な空間(本実施形態では居室6の内部空間S6)を「温調可能空間」と称する。
【0032】
以下では、
図1及び
図2を参照して第一実施形態に係る天井システム10について説明する。
【0033】
天井システム10は、室内空間S5(温調可能空間S6)の空気を利用して結露の発生を抑制するためのものである。天井システム10は、天井20、開閉弁30、ファン40、分岐ダクト50及び制御部60を具備する。
【0034】
天井20は、室内空間S5の天井を成す部分である。天井20(後述する第一天井21及び第二天井22)は、平面視において建物1の全域に亘るように設けられる。こうして天井20は、建物1内を小屋裏空間S3と室内空間S5とに区画する。天井20は、第一天井21及び第二天井22を具備する。
【0035】
第一天井21は、天井20の上部を成す部分である。第一天井21は、屋根部3に対して下方に間隔をあけて配置され、小屋裏空間S3に面するように設けられる。第一天井21は、天井面材21a、防湿シート21b及び断熱材21cを具備する。
【0036】
天井面材21aは、平板状の部材である。天井面材21aは、天井下地(不図示)等に支持されて、板面を上下方向へ向けて配置される。天井面材21aは、例えば、石膏ボード等によって構成される。
【0037】
防湿シート21bは、水分を透過し難いシート状の部材である。防湿シート21bは、例えばポリエチレンシートやプラスチックシート等の適宜の材質により構成される。防湿シート21bは、室内空間S5の気密性を高め、小屋裏空間S3と室内空間S5との間の湿気の流通を防止している。防湿シート21bは、天井面材21aの上面を覆うように設けられる。
【0038】
断熱材21cは、熱を通し難い部材である。断熱材21cは、例えばグラスウール等の適宜の材料により構成される。断熱材21cは、略板状に形成され、防湿シート21bの上面に設けられる。
【0039】
第二天井22は、天井20の下部を成す部分である。第二天井22は、板面を上下方向へ向けた略板状に形成される。第二天井22は、例えば天井面材(石膏ボード等)と、当該天井面材の上面に設けられた断熱材(グラスウール等)と、によって構成される(不図示)。第二天井22は、例えば、金物等により第一天井21に吊り下げられる。こうして第二天井22は、第一天井21に対して下方に間隔をあけて配置され、第一天井21との間に空間(以下、「エアスペースS20」と称する)が形成される。エアスペースS20の高さには、例えば、50~100mmの幅が設定される。第二天井22は、室内空間S5に面するように設けられる。第二天井22は、給気口22aを具備する。
【0040】
給気口22aは、室内空間S5とエアスペースS20とを連通するためのものである。給気口22aは、第二天井22を上下に貫通する孔部によって構成される。
図1及び
図2(b)に示すように、給気口22aは、第二天井22のうち、温調可能空間S6(居室6)と面する部分に形成される。こうして給気口22aは、温調可能空間S6とエアスペースS20とを連通するように設けられる。当該給気口22aは、居室6の右前端部で開口するように設けられる。
【0041】
上述の如く構成される第二天井22には、所定の機器K(例えば、照明や火災報知機等)が設けられる。機器Kの配線Hは、当該エアスペースS20に設置される。このように、エアスペースS20は機器Kの配線Hを設置可能な設置部となっており、第一実施形態では、当該設置部を利用した配線Hの設置が行われている。なお、
図2以降の図面では、機器K及び配線Hの記載を省略している。
【0042】
開閉弁30は、給気口22aを開閉するためのものである。開閉弁30は、弁体を回動させることにより、給気口22aを開閉することができる。
【0043】
ファン40は、室内空間S5から小屋裏空間S3又はエアスペースS20へ向かう空気の流れを発生させるためのものである。ファン40は、第二天井22の開口部(給気口22aとは異なる貫通孔)に設けられ、温調可能空間S6から下流側(小屋裏空間S3等)へ空気を送風可能に設けられる。ファン40は、平面視で居室6の左後端部に配置される(
図2(b)参照)。こうしてファン40は、給気口22aに対して、平面視で居室6の角を結ぶ対角線上に配置される。
【0044】
分岐ダクト50は、室内空間S5と小屋裏空間S3及びエアスペースS20とを連通するためのものである。分岐ダクト50の左下端部は、ファン40と接続され、当該ファン40を介して温調可能空間S6(室内空間S5)と連通される。分岐ダクト50は、ファン40との接続部分から上方及び右方へ分岐するように形成される。分岐ダクト50の上端部は、小屋裏空間S3で開口するように形成される。分岐ダクト50の右端部(側方へ分岐した端部)は、エアスペースS20で開口するように形成される。分岐ダクト50は、切り替え弁51を具備する。
【0045】
切り替え弁51は、分岐ダクト50内において、温調可能空間S6(室内空間S5)と小屋裏空間S3及びエアスペースS20との連通及び連通の解除を切り替えるためのものである。切り替え弁51は、弁体を回動させることにより、分岐ダクト50を適宜開閉し、温調可能空間S6と小屋裏空間S3との連通等を切り替えることができる。
【0046】
具体的には、切り替え弁51は、弁体を所定方向に(右方への分岐部分を閉じるように)回動させることにより、温調可能空間S6と小屋裏空間S3とを連通すると共に、温調可能空間S6とエアスペースS20との連通を解除することができる。第一実施形態では、このような状態(
図1に示す状態)を「小屋裏連通状態」と称する。
【0047】
また、切り替え弁51は、弁体を所定方向とは反対方向に(上方への分岐部分を閉じるように)回動させることにより、温調可能空間S6と小屋裏空間S3との連通を解除すると共に、温調可能空間S6とエアスペースS20とを連通することができる(
図4参照)。第一実施形態では、このような状態(
図4に示す状態)を「エアスペース連通状態」と称する。
【0048】
制御部60は、開閉弁30、ファン40及び切り替え弁51の動作を制御するためのものである。制御部60は、開閉弁30、ファン40、切り替え弁51及びエアコン6aと接続される。制御部60は、開閉弁30へ信号を送信することで、開閉弁30を動作(弁体を回動)させて給気口22aを開閉することができる。制御部60は、ファン40へ信号を送信することで、ファン40の駆動及び停止を切り替えることができる。制御部60は、切り替え弁51へ信号を送信することで、切り替え弁51を動作(弁体を回動)させて小屋裏連通状態及びエアスペース連通状態を切り替えることができる。制御部60は、エアコン6aから信号を受信することで、エアコン6aの運転状態を取得することができる。
【0049】
次に、天井システム10の動作について説明する。
【0050】
天井システム10は、居室6のエアコン6aが冷房運転を行う場合と暖房運転を行う場合とで異なる動作を行う。以下ではまず
図3を参照し、エアコン6aが冷房運転を行う場合の天井システム10の動作について説明する。
【0051】
まず、冷房運転時のエアコン6aの動作について簡単に説明する。エアコン6aは、冷房運転を行う場合に、温調可能空間S6から空気を吸引し、当該空気を熱交換器(不図示)により冷却する。仮に当該空気が露点温度を下回ると、空気中に含まれる水蒸気が水滴となる。エアコン6aは、当該水滴をホース(不図示)等によって建物1の外部へ排出する。こうしてエアコン6aは、冷房運転を行う場合に除湿された(空気中に含まれる水蒸気量を減らした)空調空気A1を温調可能空間S6へ供給することができる。
【0052】
次に、冷房運転時の天井システム10の動作について説明する。制御部60は、エアコン6aが冷房運転を行う場合に、当該エアコン6aから信号を受信する。制御部60は、当該信号に基づいてエアコン6aが冷房運転を行うことを検知する。この場合、制御部60は、開閉弁30に信号を送信し、給気口22aを閉塞する。また、制御部60は、分岐ダクト50の切り替え弁51に信号を送信し、温調可能空間S6と小屋裏空間S3とを連通した小屋裏連通状態へ切り替える。また、制御部60は、ファン40に信号を送信し、ファン40による送風を行う。
【0053】
これにより、ファン40は、分岐ダクト50を介して空調空気A1を小屋裏空間S3へ供給する。これによって小屋裏空間S3の圧力を上昇させ、小屋裏空間S3に滞留する空気A2、すなわち除湿されていない空気を、ガラリ2aを介して建物1の外部へ排出する。これにより、小屋裏空間S3の湿気を低減することができる。
【0054】
また、エアスペースS20は、開閉弁30及び切り替え弁51により、温調可能空間S6と連通されていない状態となっている。したがって、第一天井21の天井面材21aは、エアコン6aが冷房運転を行った場合に、空調空気A1により直接的に(温調可能空間S6からエアスペースS20へ空気が供給されて)冷やされることはない。こうして、エアスペースS20を断熱のための空気層として用いることができるため、冷房運転による天井面材21aへの影響(温度低下)を緩和することができる。
【0055】
このように、制御部60は、エアコン6aが冷房運転を行う場合に小屋裏空間S3の湿気を低減すると共に天井面材21aの温度低下を緩和している。これにより、小屋裏空間S3の空気(湿気)が断熱材21cを通って防湿シート21bに触れたとしても、当該空気が露点温度を下回るのを抑制可能となる。これによって、冷房運転を行う場合、例えば夏季に天井20(防湿シート21b)で結露が発生するのを抑制することができる。
【0056】
次に、
図4を参照し、エアコン6aが暖房運転を行う場合の天井システム10の動作について説明する。
【0057】
制御部60は、エアコン6aが暖房運転を行う場合に、当該エアコン6aから信号を受信する。制御部60は、当該信号に基づいてエアコン6aが暖房運転を行うことを検知する。この場合、制御部60は、開閉弁30に信号を送信し、給気口22aを開放する。また、制御部60は、分岐ダクト50の切り替え弁51に信号を送信し、温調可能空間S6とエアスペースS20とを連通したエアスペース連通状態へ切り替える。また、制御部60は、ファン40に信号を送信し、ファン40による送風を行う。
【0058】
これにより、ファン40は、分岐ダクト50を介して空調空気A1(暖かい空気)をエアスペースS20へ供給する。これによってエアスペースS20の圧力が上昇し、給気口22aを介してエアスペースS20から温調可能空間S6へ空気が流入する。こうして居室6(温調可能空間S6)とエアスペースS20との間で空気を循環させ、エアスペースS20を効率的に暖めることができる。
【0059】
これによれば、第一天井21及び第二天井22の温度低下を抑制し、当該第一天井21等の温度を温調可能空間S6に近づけることができる。これにより、暖房運転を行う場合、例えば冬季に天井20で結露が発生するのを抑制することができる。
【0060】
また、給気口22aは、分岐ダクト50に対して遠い位置(居室6の角を結ぶ対角線上、
図2(b)参照)に設けられている。これにより、エアスペースS20の広い範囲に温調可能空間S6からの暖かい空気を供給し易くし、エアスペースS20をより効率的に暖めることができる。
【0061】
このように、天井システム10は、小屋裏連通状態及びエアスペース連通状態の切り替えと、給気口22aの開閉と、ファン40の動作と、を適宜制御することで、空調空気A1を小屋裏空間S3及びエアスペースS20に適宜供給し、結露の発生を抑制することができる。
【0062】
また、上述の如く、エアスペースS20(設置部)を利用して第二天井22に設けられる機器Kの配線Hが設置されている。これにより、第一天井21に形成される貫通部(例えば、配線Hを通すための孔部等)の数を減らして、第一天井21を通じた湿気の流通を抑制することができる。
【0063】
以上の如く、第一実施形態に係る天井システム10は、上側に小屋裏空間S3が形成される第一天井21と、前記第一天井21の下方に間隔をあけて配置され、前記第一天井21との間にエアスペースS20(空間部)が形成されると共に自身の下側に室内空間S5が形成される第二天井22と、前記室内空間S5及び前記小屋裏空間S3を連通した小屋裏連通状態(第一状態)、又は前記室内空間S5及び前記エアスペースS20を連通したエアスペース連通状態(第二状態)へ切り替え可能な切り替え弁51(切替部)と、前記室内空間S5から、前記切り替え弁51により前記室内空間S5と連通された空間へ向かう空気の流れを発生可能なファン40(送風部)と、を具備するものである。
【0064】
このように構成することにより、小屋裏連通状態及びエアスペース連通状態を切り替えて小屋裏空間S3及びエアスペースS20の温度調節や小屋裏空間S3の湿度の低減が可能となって、結露の発生を抑制することが可能となる。
【0065】
また、天井システム10は、所定の情報(例えば、エアコン6aの運転状態等)に応じて、前記小屋裏連通状態又は前記エアスペース連通状態の切り替えと、前記ファン40の動作と、を制御する制御部60をさらに具備するものである。
【0066】
このように構成することにより、所定の情報を考慮して、小屋裏連通状態及びエアスペース連通状態の切り替えと、ファン40の動作とを制御して、結露の発生を効果的に抑制可能となる。
【0067】
また、前記室内空間S5には、エアコン6a(冷房装置)の冷房運転で内部空間を冷やすことが可能な温調可能空間S6(第一空間)が含まれ、前記制御部60は、前記エアコン6aが冷房運転を行う場合に、前記切り替え弁51を前記小屋裏連通状態に切り替えると共に前記ファン40を動作させ、前記温調可能空間S6から前記小屋裏空間S3へ空気を供給するものである(
図3)。
【0068】
このように構成することにより、結露の発生を効果的に抑制することが可能となる。
【0069】
また、前記室内空間S5には、エアコン6a(暖房装置)の暖房運転で内部空間を暖めることが可能な温調可能空間S6(第三空間)が含まれ、前記制御部60は、前記エアコン6aが暖房運転を行う場合に、前記切り替え弁51を前記エアスペース連通状態に切り替えると共に前記ファン40を動作させ、前記温調可能空間S6から前記エアスペースS20へ空気を供給するものである(
図4)。
【0070】
このように構成することにより、結露の発生を効果的に抑制することが可能となる。
【0071】
また、前記第二天井22は、前記温調可能空間S6と前記エアスペースS20とを連通し、前記エアスペースS20から前記温調可能空間S6へ空気を流入させるための給気口22a(第一連通孔)を具備するものである。
【0072】
このように構成することにより、エアコン6aが暖房運転を行う場合に、エアスペースS20と温調可能空間S6との間で暖かい空気を循環させてエアスペースS20を効率的に暖めることができる。これにより、結露の発生を効果的に抑制することが可能となる。
【0073】
また、前記エアスペースS20には、前記第二天井22に設けられた機器Kの配線Hを設置可能な設置部が形成されるものである。
【0074】
このように構成することにより、第一天井21に形成される貫通部の数を減らして、第一天井21を通じた湿気の流通を抑制することができる。
【0075】
なお、第一実施形態に係るエアスペースS20は、本発明に係る空間部の実施の一形態である。
また、第一実施形態に係る切り替え弁51は、本発明に係る切替部の実施の一形態である。
また、第一実施形態に係るファン40は、本発明に係る送風部の実施の一形態である。
また、第一実施形態に係るエアコン6aは、本発明に係る冷房装置及び暖房装置の実施の一形態である。
また、第一実施形態に係る温調可能空間S6は、本発明に係る第一空間及び第三空間の実施の一形態である。
また、第一実施形態に係る給気口22aは、本発明に係る第一連通孔の実施の一形態である。
【0076】
以上、本発明の第一実施形態を説明したが、本発明は上記構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で種々の変更が可能である。
【0077】
例えば、天井システム10は、人が居住するための建物1に適用されたが、天井システム10の適用対象は特に限定されるものではなく、例えば、オフィス等であってもよい。
【0078】
また、冷房装置は、エアコン6aであるものとしたが、冷房装置は、室温を下げることが可能な装置であれば、エアコン6aに限定されるものではない。また、暖房装置は、エアコン6aであるものとしたが、暖房装置は、室温を上げることが可能な装置であれば、エアコン6aに限定されるものではない。
【0079】
また、第一実施形態では、弁体の回動によって給気口22a及び分岐ダクト50の開閉を行ったが、給気口22a等を開閉するための手法は特に限定されるものではない。
【0080】
また、小屋裏連通状態(
図3)及びエアスペース連通状態(
図4)を切り替える切替部として、分岐ダクト50に設けられた弁体(切り替え弁51)を用いたが、この構成に限定されない。例えば、切替部(弁体)は、分岐ダクト50に設けることなく、天井20や他の部材等の任意の箇所に設けることができる。このように、分岐ダクト50は、必ずしも設ける必要がない。また、切替部としては、弁体に限定されず、小屋裏連通状態等を切り替え可能な任意の構成を採用することができる。
【0081】
また、ファン40は、第二天井22に設けられるものとしたが、小屋裏連通状態(
図3)及びエアスペース連通状態(
図4)に応じて下流側(小屋裏空間S3又はエアスペースS20)へ空気を送風可能であれば、ファン40の配置や個数は特に限定されるものではない。
【0082】
また、小屋裏連通状態(
図3)では、少なくとも温調可能空間S6と小屋裏空間S3とが連通していれば、その他の空間の連通状態は特に限定されるものではない。例えば、第一実施形態では、小屋裏連通状態において温調可能空間S6とエアスペースS20との連通を解除したが、これに限定されるものではなく、温調可能空間S6とエアスペースS20とが連通していてもよい。
【0083】
また、エアスペース連通状態(
図4)では、少なくとも温調可能空間S6とエアスペースS20とが連通していれば、その他の空間の連通状態は特に限定されるものではない。例えば、第一実施形態では、エアスペース連通状態において温調可能空間S6と小屋裏空間S3との連通を解除したが、これに限定されるものではなく、温調可能空間S6と小屋裏空間S3とが連通していてもよい。
【0084】
また、制御部60は、エアコン6aの運転状態に基づいて開閉弁30等を制御したが、開閉弁30等を制御するか否かを判断する情報は、特に限定されるものではない。制御部60は、例えば、小屋裏空間S3及び温調可能空間S6の温度及び湿度や現在の日付等の情報に基づいて開閉弁30等を制御してもよい。
【0085】
例えば、温度及び湿度に基づいて制御する場合、制御部60は、温調可能空間S6の温度及び湿度が小屋裏空間S3の温度及び湿度よりも所定の値以上低い場合等に
図3と同様の制御を行うことができる。また、制御部60は、温調可能空間S6の温度及び湿度が小屋裏空間S3の温度及び湿度よりも所定の値以上高い場合等に
図4と同様の制御を行うことができる。
【0086】
また、例えば、現在の日付に基づいて制御する場合、制御部60は、現在の日付から季節を判断し、季節の判断結果が夏季であった場合等に
図3と同様の制御を行うことができる。また、制御部60は、季節の判断結果が冬季であった場合等に
図4と同様の制御を行うことができる。
【0087】
また、天井システム10は、制御部60により開閉弁30等を自動的に制御するものとしたが、これに限定されるものではなく、例えば、建物1の居住者等が任意のタイミングで開閉弁30等を制御してもよい。
【0088】
また、エアスペースS20は、50~100mmの高さを有するものとしたが、エアスペースS20の高さは特に限定されるものではない。
【0089】
次に、第二実施形態に係る天井システム110について説明する。
【0090】
第二実施形態に係る天井システム110は、温調可能空間S6だけではなく、後述する温調不能空間S7の空気も利用して結露の発生を抑制する点で、第一実施形態に係る天井システム10と大きく相違する。以下、具体的に説明する。
【0091】
図5及び
図6(a)に示すように、第二実施形態に係る建物101は、隔壁部5により居室6と廊下7とが左右に区画されている。当該廊下7は、居室6の右方に配置される。廊下7は、エアコンが設けられておらず、温度を調節不能な空間となっている。以下では、このような温度を調節不能な空間(本実施形態では廊下7の内部空間S7)を「温調不能空間」と称する。このように、第二実施形態に係る室内空間S5には、温調可能空間S6及び温調不能空間S7が含まれる。
【0092】
第二実施形態に係る天井システム110は、天井120、開閉弁130、ファン140、分岐ダクト150及び制御部160を具備する。
【0093】
天井120は、第一天井121及び第二天井122を具備する。第一天井121は、第一実施形態に係る天井面材21aと同様に構成される天井面材121aと、第一実施形態に係る防湿シート21bと同様に構成される防湿シート121bと、第一実施形態に係る断熱材21cと同様に構成される断熱材121cと、を具備する(
図1及び
図5参照)。
【0094】
第二天井122は、給気口122aの配置を除いて第一実施形態に係る第二天井122と同様に構成される。給気口122aは、第二天井122のうち、温調不能空間S7(廊下7)と面する部分に形成される。こうして給気口122aは、温調不能空間S7とエアスペースS120とを連通するように設けられる。
【0095】
開閉弁130は、第一実施形態に係る開閉弁30と同様に構成される。
【0096】
ファン140は、後述する分岐ダクト150の右端部(側方に分岐した端部)に接続される。ファン140は、エアスペースS120内に設けられ、温調可能空間S6の上方に配置される。また、ファン140は、給気口122aの左方に配置される(
図6(b)参照)。ファン140は、羽根を一方向へ回転させることで、廊下7側から分岐ダクト150側(右側から左側)へと空気を送風することができる。また、ファン140は、羽根を前記一方向とは反対方向へ回転させることで、分岐ダクト150側から廊下7側(左側から右側)へと空気を送風することができる。
【0097】
分岐ダクト150は、天井120の左端部に設けられる。また、分岐ダクト150は、小屋裏空間S3から温調可能空間S6(居室6)までに亘るように設けられる。分岐ダクト150の上端部は、小屋裏空間S3で開口するように形成される。分岐ダクト150の下端部は、温調可能空間S6で開口するように形成される。分岐ダクト150は、上下中途部において右方へ分岐するように形成される。当該分岐した端部(右端部)は、エアスペースS120で開口するように形成されると共に、ファン140と接続される。分岐ダクト150は、切り替え弁151を具備する。
【0098】
切り替え弁151は、分岐ダクト150内において、室内空間S5と小屋裏空間S3及びエアスペースS20との連通及び連通の解除を切り替えるためのものである。切り替え弁51は、分岐ダクト50内に設けられた弁体を回動させることにより、室内空間S5と小屋裏空間S3との連通等を切り替えることができる。
【0099】
具体的には、切り替え弁151は、所定方向に(下部を閉じるように)弁体を回動させることにより、エアスペースS120を介して温調不能空間S7と小屋裏空間S3とを連通すると共に、温調可能空間S6と他の空間(小屋裏空間S3及びエアスペースS120)との連通を解除することができる。第二実施形態では、このような状態(
図5に示す状態)を「小屋裏連通状態」と称する。
【0100】
また、切り替え弁151は、所定方向とは反対方向に(上部を閉じるように)弁体を回動させることにより、エアスペースS120と室内空間S5(温調可能空間S6及び温調不能空間S7)とを連通すると共に、小屋裏空間S3と室内空間S5との連通を解除することができる(
図8参照)。第二実施形態では、このような状態(
図8に示す状態)を「エアスペース連通状態」と称する。
【0101】
制御部160は、第一実施形態に係る制御部60と同様に構成される。すなわち制御部160は、エアコン6aからの信号に基づいてエアコン6aの運転状態を検知し、当該検知結果に応じて開閉弁130等を制御することができる。
【0102】
次に、天井システム110の動作について説明する。
【0103】
天井システム110は、居室6のエアコン6aが冷房運転を行う場合と暖房運転を行う場合とで異なる動作を行う。以下ではまず、
図7を参照し、エアコン6aが冷房運転を行う場合の天井システム110の動作について説明する。
【0104】
制御部160は、エアコン6aが冷房運転を行う場合に開閉弁130に信号を送信し、給気口122aを開放する。また、制御部160は、分岐ダクト150の切り替え弁151に信号を送信し、温調不能空間S7と小屋裏空間S3とを連通した小屋裏連通状態へ切り替える。また、制御部160は、ファン140に信号を送信し、ファン140による送風を行う。この際ファン140は、廊下7側から分岐ダクト150側(右側から左側)へ空気を送風する。
【0105】
これにより、ファン140は、分岐ダクト150を介して温調不能空間S7から小屋裏空間S3へ向かう空気の流れを発生させる。こうして給気口122aを介して温調不能空間S7からエアスペースS120へ空気が流入し、当該空気は、エアスペースS120を左方へ流通する。この際、空気は、温調可能空間S6の上方を通過する。そして、当該空気は、分岐ダクト150を介して小屋裏空間S3へ供給される。
【0106】
このような構成によって、第一天井121の天井面材121aのうち、温調可能空間S6の上方に位置する部分P101、すなわち冷房運転の影響で温度が下がり易い部分を、温調不能空間S7からの空気で暖めることができる。これにより、小屋裏空間S3の空気が断熱材121cを通って防湿シート121bに触れたとしても、当該空気が露点温度を下回るのを抑制可能となる。これによって、冷房運転を行う場合、例えば夏季に天井120で結露が発生するのを抑制することができる。
【0107】
次に、
図8を参照し、エアコン6aが暖房運転を行う場合の天井システム110の動作について説明する。
【0108】
制御部160は、エアコン6aが暖房運転を行う場合に開閉弁30に信号を送信し、給気口122aを開放する。また、制御部160は、分岐ダクト150の切り替え弁151に信号を送信し、室内空間S5とエアスペースS20とを連通したエアスペース連通状態へ切り替える。また、制御部160は、ファン140に信号を送信し、ファン140による送風を行う。この際ファン140は、分岐ダクト150側から廊下7側(左側から右側)へと空気を送風する。
【0109】
これにより、ファン140は、温調可能空間S6からエアスペースS20へ向かう空気の流れを発生させ、分岐ダクト150を介して空調空気A1(暖かい空気)をエアスペースS20へ供給する。これによってエアスペースS120の圧力が上昇し、給気口122aを介してエアスペースS120から温調不能空間S7へ空気が流入する。この際、温調可能空間S6からの空調空気A1は、エアスペースS120を右方へ流通し、温調不能空間S7の上方を通過する。
【0110】
このような構成によって、第一天井121の天井面材121aのうち、温調不能空間S7の上方に位置する部分P102、すなわち気温が低い場合(例えば、冬期)等に温度が下がり易い部分を、温調可能空間S6からの空調空気A1で暖めることができる。これにより、前記部分P102に触れた空気が露点温度を下回るのを抑制可能となる。これによって、暖房運転を行う場合、例えば冬季に、空調空気A1を利用して天井120で結露が発生するのを抑制することができる。
【0111】
以上の如く、第二実施形態に係る天井システム110は、前記室内空間S5には、エアコン6a(冷房装置)の冷房運転で内部空間を冷やすことが可能な温調可能空間S6(第一空間)と、前記温調可能空間S6とは異なる温調不能空間S7(第二空間)と、が含まれ、前記制御部160は、前記エアコン6aが冷房運転を行う場合に、前記切り替え弁51を前記小屋裏連通状態(第一状態)に切り替えると共に前記ファン140を動作させ、前記温調不能空間S7から前記小屋裏空間S3へ空気を供給し、当該小屋裏空間S3へ供給される空気は、前記温調不能空間S7から、前記エアスペースS120のうち前記温調可能空間S6の上方に位置する部分P101を流通して前記小屋裏空間S3へ流入するものである(
図7)。
【0112】
このように構成することにより、結露の発生を効果的に抑制することが可能となる。
【0113】
また、前記室内空間S5には、エアコン6aの暖房運転で内部空間を暖めることが可能な温調可能空間S6(第三空間)とは異なる温調不能空間S7(第四空間)がさらに含まれ、前記第二天井122は、前記温調不能空間S7と前記エアスペースS120とを連通する給気口122a(第二連通孔)を具備するものである。
【0114】
このように構成することにより、暖房運転を行った場合に、エアスペースS120において、温調可能空間S6側から温調不能空間S7側へと向かう空気の流れを作ることができる。これにより、温調可能空間S6からの暖かい空気で第一天井121(温調不能空間S7の上方)を暖めて、結露の発生を効果的に抑制することが可能となる。
【0115】
なお、第二実施形態に係る温調不能空間S7は、本発明に係る第二空間及び第四空間の実施の一形態である。
また、第二実施形態に係る給気口122aは、本発明に係る第二連通孔の実施の一形態である。
【0116】
以上、本発明の第二実施形態を説明したが、本発明は上記構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で種々の変更が可能である。
【0117】
例えば、開閉弁130は、暖房運転を行う場合に給気口122aを開放するものとしたが、暖房運転時の開閉状態は特に限定されるものではなく、例えば、給気口122aを閉塞してもよい。
【0118】
また、切り替え弁151は、エアコン6aが冷房運転を行う場合に温調可能空間S6と小屋裏空間S3との連通を解除したが(
図7)、冷房運転時に温調可能空間S6と小屋裏空間S3とを連通させるか否かは特に限定されるものではない。
【0119】
また、切り替え弁51は、エアコン6aが暖房運転を行う場合に温調可能空間S6と小屋裏空間S3との連通を解除したが(
図8)、暖房運転時に温調可能空間S6と小屋裏空間S3とを連通させるか否かは特に限定されるものではない。
【0120】
また、第二実施形態では、温調可能空間S6及び温調不能空間S7は、互いに隣接するように配置されたが、温調可能空間S6及び温調不能空間S7の配置は特に限定されるものではない。温調可能空間S6及び温調不能空間S7は、例えば、他の室の内部空間を挟んで配置されていてもよい。このような配置で暖房運転時の制御(
図8)を行うと、温調可能空間S6と温調不能空間S7との間の室の上方を効果的に暖めることができる。これによって、天井120のうち、温調可能空間S6と温調不能空間S7との間の室の上方に結露が発生するのを効果的に抑制することができる。また、仮に前記室の天井が給気口(エアスペースS120と連通する孔部)を有しない場合であっても、当該室の上方を空調空気A1が流通するように促されるため、当該室の上方に結露が発生するのを効果的に抑制することができる。
【符号の説明】
【0121】
10 天井システム
21 第一天井
22 第二天井
40 ファン(送風部)
51 切り替え弁(切替部)
S3 小屋裏空間
S5 室内空間
S20 エアスペース