(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-19
(45)【発行日】2025-02-28
(54)【発明の名称】配管着脱部材洗浄装置、基板処理システム、基板処理装置、および、配管着脱部材洗浄方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/304 20060101AFI20250220BHJP
【FI】
H01L21/304 643Z
H01L21/304 648F
(21)【出願番号】P 2021078129
(22)【出願日】2021-04-30
【審査請求日】2023-12-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000207551
【氏名又は名称】株式会社SCREENホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】110002310
【氏名又は名称】弁理士法人あい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】脇田 明日香
(72)【発明者】
【氏名】藤原 友則
(72)【発明者】
【氏名】野村 高幸
(72)【発明者】
【氏名】東 克栄
(72)【発明者】
【氏名】小路丸 友則
【審査官】金田 孝之
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-218107(JP,A)
【文献】特開2017-159280(JP,A)
【文献】特開2020-155649(JP,A)
【文献】特開2016-205649(JP,A)
【文献】特開2004-193329(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/304
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を処理する処理ユニットに処理液を供給する処理液配管に対して着脱可能な配管着脱部材であって、当該配管着脱部材を通過する前記処理液に接触する樹脂部分を有する配管着脱部材を洗浄する配管着脱部材洗浄装置であって、
前記配管着脱部材に接続可能であり洗浄流体が流れる洗浄流体配管であって、前記配管着脱部材に洗浄流体を供給し、かつ、前記配管着脱部材から洗浄流体を回収する洗浄流体配管と、
前記洗浄流体配管内の洗浄流体および前記配管着脱部材の少なくとも一方を加熱する加熱ユニットと、
前記洗浄流体配管内の洗浄流体に物理力を付与する物理力付与ユニットとを含
み、
前記加熱ユニットが、前記樹脂部分に対する加熱であって前記樹脂部分を加熱して当該樹脂部分を膨張させる加熱、および前記樹脂部分に対する加熱の停止であって当該樹脂部分を収縮させる加熱の停止を1サイクルとする温調サイクルを複数回実行する、配管着脱部材洗浄装置。
【請求項2】
前記洗浄流体配管に直接的または間接的に接続され、前記洗浄流体配管から洗浄流体を排出する排出配管と、
複数種の洗浄流体を選択的に前記洗浄流体配管に供給する供給ユニットとをさらに含み、
前記供給ユニットが、前記洗浄流体配管に直接的または間接的に接続される複数の供給配管と、各前記供給配管を開閉し、前記洗浄流体配管に追加される洗浄流体の種類を切り替える複数の切替バルブとを含む、請求項
1に記載の配管着脱部材洗浄装置。
【請求項3】
前記物理力付与ユニットが、前記洗浄流体配管に設けられ、前記洗浄流体配管内の前記洗浄流体の流量を変更する流量変更バルブを含む、請求項1
または2に記載の配管着脱部材洗浄装置。
【請求項4】
前記物理力付与ユニットが、前記洗浄流体配管に設けられた超音波発生器を含む、請求項1~
3のいずれか一項に記載の配管着脱部材洗浄装置。
【請求項5】
前記加熱ユニットが、前記洗浄流体配管を介して、前記洗浄流体配管内の洗浄流体を加熱する配管ヒータを含む、請求項1~
4のいずれか一項に記載の配管着脱部材洗浄装置。
【請求項6】
前記加熱ユニットが、前記配管着脱部材を直接的に加熱するか、または、前記配管着脱部材の周囲の雰囲気を介して前記配管着脱部材を加熱するように構成されている着脱部材ヒータを含む、請求項1~
5のいずれか一項に記載の配管着脱部材洗浄装置。
【請求項7】
前記洗浄流体配管が、前記配管着脱部材に洗浄流体を供給する第1配管と、前記配管着脱部材から洗浄流体を回収する第2配管とを含み、
前記第1配管に洗浄流体を供給し、前記第2配管から洗浄流体を回収する洗浄流体タンクをさらに含む、請求項1~
6のいずれか一項に記載の配管着脱部材洗浄装置。
【請求項8】
前記洗浄流体配管が、前記処理液配管に取り付けられていない状態の前記配管着脱部材に接続可能である、請求項1~
7のいずれか一項に記載の配管着脱部材洗浄装置。
【請求項9】
前記配管着脱部材は、フィルタユニット、バルブユニット、または、ミキシングバルブを含む、請求項1~
8のいずれか一項に記載の配管着脱部材洗浄装置。
【請求項10】
基板を処理する処理ユニットに処理液を供給する処理液配管に対して着脱可能な配管着脱部材であって、当該配管着脱部材を通過する前記処理液に接触する樹脂部分を有する配管着脱部材を洗浄する配管着脱部材洗浄装置であって、
前記配管着脱部材に接続可能であり洗浄流体が流れる洗浄流体配管であって、前記配管着脱部材に洗浄流体を供給し、かつ、前記配管着脱部材から洗浄流体を回収する洗浄流体配管と、
前記洗浄流体配管内の洗浄流体および前記配管着脱部材の少なくとも一方を加熱する加熱ユニットとを含み、
前記加熱ユニットが、
前記樹脂部分に対する加熱であって前記樹脂部分を加熱して当該樹脂部分を膨張させる加
熱、および
前記樹脂部分に対する加熱の停止であって当該樹脂部分を収縮させる加熱の停止を1サイクルとする温調サイクルを複数回実行する、配管着脱部材洗浄装置。
【請求項11】
前記洗浄流体配管に直接的または間接的に接続され、前記洗浄流体配管から洗浄流体を排出する排出配管と、
複数種の洗浄流体を選択的に前記洗浄流体配管に供給する供給ユニットとをさらに含み、
前記供給ユニットが、前記洗浄流体配管に直接的または間接的に接続される複数の供給配管と、各前記供給配管を開閉し、前記洗浄流体配管に追加される洗浄流体の種類を切り替える複数の切替バルブとを含む、請求項
10に記載の配管着脱部材洗浄装置。
【請求項12】
前記加熱ユニットが、前記洗浄流体配管を介して、前記洗浄流体配管内の洗浄流体を加熱する配管ヒータを含む、請求項
10または
11に記載の配管着脱部材洗浄装置。
【請求項13】
前記加熱ユニットが、前記配管着脱部材を直接的に、または、前記配管着脱部材の周囲の雰囲気を介して、加熱する着脱部材ヒータを含む、請求項
10~
12のいずれか一項に記載の配管着脱部材洗浄装置。
【請求項14】
前記洗浄流体配管が、前記配管着脱部材に洗浄流体を供給する第1配管と、前記配管着脱部材から洗浄流体を回収する第2配管とを含み、
前記第1配管に洗浄流体を供給し、前記第2配管から洗浄流体を回収する洗浄流体タンクをさらに含む、請求項
10~
13のいずれか一項に記載の配管着脱部材洗浄装置。
【請求項15】
前記洗浄流体配管が、前記処理液配管に取り付けられていない状態の前記配管着脱部材に接続可能である、請求項
10~
14のいずれか一項に記載の配管着脱部材洗浄装置。
【請求項16】
前記配管着脱部材は、フィルタユニット、バルブユニット、または、ミキシングバルブを含む、請求項
10~
15のいずれか一項に記載の配管着脱部材洗浄装置。
【請求項17】
請求項1~
16のいずれか一項に記載の配管着脱部材洗浄装置と、前記処理液配管と、前記処理ユニットとを含む、基板処理システム。
【請求項18】
処理液で基板を処理する処理ユニットと、
前記処理ユニットに向けて第1処理液を供給する第1処理液配管であって、前記第1処理液配管を流れる流体に接触する第1樹脂部分を有する第1処理液配管と、
前記第1処理液配管内の前記第1処理液を加熱する加熱ユニットと、
前記第1処理液に物理力を付与する物理力付与ユニットと
、
前記処理ユニットに向けて第2処理液を供給する第2処理液配管であって、前記第2処理液配管を流れる流体に接触する第2樹脂部分を有する第2処理液配管と、
前記第2処理液配管および前記第1処理液配管を連結する連結供給配管とを含み、
前記第1処理液が、前記第1樹脂部分を洗浄する洗浄流体として機能する、基板処理装置。
【請求項19】
配管着脱部材であって当該配管着脱部材を通過する処理液に接触する樹脂部分を有する配管着脱部材に接続された洗浄流体配管から、前記配管着脱部材に洗浄流体を供給する洗浄流体供給工程と、
ヒータによって、前記洗浄流体配管を通過する洗浄流体および前記配管着脱部材の少なくとも一方を加熱する
工程であって前記樹脂部分を加熱して当該樹脂部分を膨張させる加熱工程と、
前記加熱工程を実行しながら、前記洗浄流体配管を流れる洗浄流体に物理力を付与する物理力付与工程と
、
前記加熱工程の後、前記ヒータによる加熱を停止する工程であって前記樹脂部分に対する加熱を停止して当該樹脂部分を収縮させる加熱停止工程とを含
み、
前記加熱工程および前記加熱停止工程を1サイクルとする温調サイクルを複数回実行する、配管着脱部材洗浄方法。
【請求項20】
配管着脱部材であって当該配管着脱部材を通過する処理液に接触する樹脂部分を有する配管着脱部材に接続された洗浄流体配管から、前記配管着脱部材に洗浄流体を供給する洗浄流体供給工程と、
ヒータによって、前記洗浄流体配管を通過する洗浄流体および前記配管着脱部材の少なくとも一方を加熱する
工程であって前記樹脂部分を加熱して当該樹脂部分を膨張させる加熱工程と、
前記加熱工程の後、前記ヒータによる加熱を停止する
工程であって前記樹脂部分に対する加熱を停止して当該樹脂部分を収縮させる加熱停止工程とを含み、
前記加熱工程および前記加熱停止工程を1サイクルとする温調サイクル
を複数回実行する、配管着脱部材洗浄方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、配管着脱部材洗浄装置、基板処理システム、基板処理装置、および、配管着脱部材洗浄方法に関する。
処理の対象となる基板には、たとえば、半導体ウェハ、液晶表示装置および有機EL(Electroluminescence)表示装置等のFPD(Flat Panel Display)用基板、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、光磁気ディスク用基板、フォトマスク用基板、セラミック基板、太陽電池用基板等が含まれる。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、流路に設けられた弁座と、弁座に接近して流路を閉鎖するとともに弁座から離間して流路を開放するフッ素樹脂製のダイヤフラムとを有するダイヤフラムバルブが用いられている基板処理装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示されているダイヤフラムバルブのように、処理液に接する樹脂部分を有する配管着脱部材を基板処理装置に用いた場合、樹脂部分を構成する樹脂の内部に存在するパーティクル等の不純物によって処理液が汚染されるおそれがある。
そこで、この発明の1つの目的は、樹脂部分を有する部材を良好に洗浄できる配管着脱部材洗浄装置、基板処理システム、基板処理装置、および、配管着脱部材洗浄方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明の一実施形態は、基板を処理する処理ユニットに処理液を供給する処理液配管に対して着脱可能な配管着脱部材であって、当該配管着脱部材を通過する前記処理液に接触する樹脂部分を有する配管着脱部材を洗浄する配管着脱部材洗浄装置を提供する。前記配管着脱部材洗浄装置は、前記配管着脱部材に接続可能であり洗浄流体が流れる洗浄流体配管であって、前記配管着脱部材に洗浄流体を供給し、かつ、前記配管着脱部材から洗浄流体を回収する洗浄流体配管と、前記洗浄流体配管内の洗浄流体および前記配管着脱部材の少なくとも一方を加熱する加熱ユニットと、前記洗浄流体配管内の洗浄流体に物理力を付与する物理力付与ユニットとを含む。
【0006】
この装置によれば、洗浄流体配管が配管着脱部材に洗浄流体を供給し、かつ、配管着脱部材から洗浄流体を回収することができる。そのため、洗浄流体によって、配管着脱部材が洗浄される。
加熱ユニットによって、洗浄流体配管を流れる洗浄流体および配管着脱部材の少なくとも一方を加熱することで、配管着脱部材の樹脂部分が加熱される。樹脂部分を加熱することで、樹脂部分を構成する樹脂が膨張する。これにより、樹脂の膨張により発生した微小な空間に洗浄流体が進入し、洗浄流体によって樹脂部分の内部の不純物を除去できる。
【0007】
さらに、物理力付与ユニットによって、洗浄流体に、振動、衝撃等の物理力を付与することで、樹脂部分の内部の不純物の除去を促進できる。物理力の付与によって、樹脂部分の内部における不純物の位置が変化し、洗浄流体と樹脂部分との接触界面に不純物が現われることがある。特に、配管着脱部材が加熱されている状態で洗浄流体に物理力を付与することで不純物の除去を促進できる。
【0008】
以上により、樹脂部分を有する配管着脱部材を良好に洗浄できる。
この発明の一実施形態では、前記加熱ユニットが、加熱の開始および加熱の停止を1サイクルとする温調サイクルを複数回実行する。前記加熱ユニットによる前記加熱が、前記樹脂部分に対する加熱であって前記樹脂部分を加熱して当該樹脂部分を膨張させる加熱であってもよい。前記加熱ユニットによる前記加熱の前記停止が、前記樹脂部分に対する加熱の停止であって当該樹脂部分を収縮させる加熱の停止であってもよい。
この装置によれば、温調サイクルが複数回実行される。そのため、配管着脱部材の樹脂部分に対する加熱と、配管着脱部材の樹脂部分に対する加熱の停止とが繰り返される。そのため、樹脂部分に対する加熱による樹脂の膨張と、樹脂部分に対する加熱の停止による樹脂の収縮とが繰り返される。樹脂の膨張および収縮が繰り返されることによって、樹脂部分の内部における不純物の位置が変化し、洗浄流体と樹脂部分との接触界面に不純物が現われることがある。そのため、洗浄流体によって樹脂部分の内部の不純物の除去を促進できる。
【0009】
この発明の一実施形態では、前記配管着脱部材洗浄装置が、前記洗浄流体配管に直接的または間接的に接続され、前記洗浄流体配管から洗浄流体を排出する排出配管と、複数種の洗浄流体を選択的に前記洗浄流体配管に供給する供給ユニットとをさらに含む。前記供給ユニットが、前記洗浄流体配管に直接的または間接的に接続される複数の供給配管と、各前記供給配管を開閉し、前記洗浄流体配管に追加される洗浄流体の種類を切り替える複数の切替バルブとを含む。
【0010】
この装置によれば、洗浄流体配管内の洗浄流体を排出配管から排出し、その後、切替バルブによって、洗浄流体配管に供給する洗浄流体の種類を変更することで、洗浄流体配管内の洗浄流体の種類を変更できる。そのため、配管着脱部材の洗浄に複数種の洗浄流体を用いることができる。また、洗浄対象となる配管着脱部材に適した洗浄流体を適宜選択することができる。
【0011】
この発明の一実施形態では、前記物理力付与ユニットが、前記洗浄流体配管に設けられ、前記洗浄流体配管内の前記洗浄流体の流量を変更する流量変更バルブを含む。
流量変更バルブで洗浄流体配管内の洗浄流体の流量を変更することによって、配管着脱部材を流れる洗浄流体に、振動またはキャビテーションを発生させることができ、それによって、洗浄流体に物理力を付与できる。そのため、樹脂の膨張により発生した微小な空間に進入した洗浄流体を介して不純物に物理力を付与することができる。これにより、樹脂部分の内部の不純物の除去を促進できる。キャビテーションは、短時間に気泡の発生と消滅とが繰り返されることを意味する。
【0012】
この発明の一実施形態では、前記物理力付与ユニットが、前記洗浄流体配管に設けられた超音波発生器を含む。
そのため、洗浄流体配管に設けられた超音波発生器によって、洗浄流体配管内の洗浄流体および洗浄流体配管に超音波を付与することができる。洗浄流体配管内の洗浄流体および洗浄流体配管を介して、配管着脱部材を流れる洗浄流体に超音波が伝達される。つまり、洗浄流体に物理力を付与できる。そのため、樹脂の膨張により発生した微小な空間に進入した洗浄流体を介して不純物に物理力を付与することができる。これにより、樹脂部分の内部の不純物の除去を促進できる。
【0013】
この発明の一実施形態では、前記加熱ユニットが、前記洗浄流体配管を介して、前記洗浄流体配管内の洗浄流体を加熱する配管ヒータを含む。
この装置によれば、配管ヒータによって洗浄流体配管内の洗浄流体が加熱される。配管ヒータによって加熱された洗浄流体が配管着脱部材を流れる際に配管着脱部材の樹脂部分が加熱される。
【0014】
この発明の一実施形態では、前記加熱ユニットが、前記配管着脱部材を直接的に加熱するか、または、前記配管着脱部材の周囲の雰囲気を介して前記配管着脱部材を加熱するように構成されている着脱部材ヒータを含む。そのため、配管着脱部材を効率良く所望の温度にまで加熱することができる。
この発明の一実施形態では、前記洗浄流体配管が、前記配管着脱部材に洗浄流体を供給する第1配管と、前記配管着脱部材から洗浄流体を回収する第2配管とを含む。前記配管着脱部材洗浄装置は、前記第1配管に洗浄流体を供給し、前記第2配管から洗浄流体を回収する洗浄流体タンクをさらに含む。
【0015】
そのため、第1配管から配管着脱部材に供給された洗浄流体が第2配管を介して洗浄流体タンクに戻る。洗浄流体タンクに戻った洗浄流体は、再び第1配管から配管着脱部材に供給される。したがって、配管着脱部材に供給される洗浄流体を再利用できる。
この発明の一実施形態では、前記洗浄流体配管が、前記処理液配管に取り付けられていない状態の前記配管着脱部材に接続可能である。
【0016】
そのため、処理液配管に取り付けられる前に配管着脱部材を洗浄流体配管に接続し、洗浄流体によって配管着脱部材を洗浄することができる。したがって、樹脂部分の内部の不純物が予め充分に除去された配管着脱部材を処理液配管に取り付けた状態で、処理ユニットで基板を処理することができる。
この発明の一実施形態では、前記配管着脱部材は、フィルタユニット、バルブユニット、または、ミキシングバルブを含んでいてもよい。
【0017】
この発明の一実施形態は、基板を処理する処理ユニットに処理液を供給する処理液配管に対して着脱可能な配管着脱部材であって、当該配管着脱部材を通過する前記処理液に接触する樹脂部分を有する配管着脱部材を洗浄する配管着脱部材洗浄装置を提供する。前記配管着脱部材洗浄装置は、前記配管着脱部材に接続可能であり洗浄流体が流れる洗浄流体配管であって、前記配管着脱部材に洗浄流体を供給し、かつ、前記配管着脱部材から洗浄流体を回収する洗浄流体配管と、前記洗浄流体配管内の洗浄流体および前記配管着脱部材の少なくとも一方を加熱する加熱ユニットとを含む。そして、前記加熱ユニットが、加熱の開始および加熱の停止を1サイクルとする温調サイクルを複数回実行する。前記加熱ユニットによる前記加熱が、前記樹脂部分に対する加熱であって前記樹脂部分を加熱して当該樹脂部分を膨張させる加熱であってもよい。前記加熱ユニットによる前記加熱の前記停止が、前記樹脂部分に対する加熱の停止であって当該樹脂部分を収縮させる加熱の停止であってもよい。
【0018】
この装置によれば、洗浄流体配管が配管着脱部材に洗浄流体を供給し、かつ、配管着脱部材から洗浄流体を回収することができる。そのため、洗浄流体によって、配管着脱部材が洗浄される。
加熱ユニットによって、洗浄流体配管を流れる洗浄流体および配管着脱部材の少なくとも一方を加熱することで、配管着脱部材の樹脂部分が加熱される。樹脂部分を加熱することで、樹脂部分を構成する樹脂が膨張する。これにより、樹脂の膨張により発生した微小な空間に洗浄流体が進入し、洗浄流体によって樹脂部分の内部の不純物を除去できる。
【0019】
さらに、この装置によれば、加熱ユニットによる加熱、および、加熱ユニットによる加熱の停止を1サイクルとする温調サイクルが複数回実行される。そのため、配管着脱部材の樹脂部分に対する加熱と、配管着脱部材の樹脂部分に対する加熱の停止とが繰り返される。そのため、樹脂部分の加熱による樹脂の膨張と、樹脂部分の加熱の停止による樹脂の収縮とが繰り返される。樹脂の膨張および収縮が繰り返されることによって、樹脂部分の内部における不純物の位置が変化し、洗浄流体と樹脂との接触界面に不純物が現われることがある。そのため、洗浄流体によって樹脂部分の内部の不純物の除去を促進できる。
【0020】
以上により、樹脂部分を有する配管着脱部材を良好に洗浄できる。
この発明の一実施形態では、前記配管着脱部材洗浄装置と、前記処理液配管と、前記処理ユニットとを含む基板処理システムが提供される。
この発明の他の実施形態は、処理液で基板を処理する処理ユニットと、前記処理ユニットに向けて第1処理液を供給する第1処理液配管であって、前記第1処理液配管を流れる流体に接触する第1樹脂部分を有する第1処理液配管と、前記第1処理液配管内の前記第1処理液を加熱する加熱ユニットと、前記第1処理液に物理力を付与する物理力付与ユニットとを含む、基板処理装置を提供する。前記第1処理液が、前記第1樹脂部分を洗浄する洗浄流体として機能する。
【0021】
この装置によれば、第1処理液配管の第1樹脂部分を洗浄する洗浄流体として機能する第1処理液が、第1処理液配管を流れる。
加熱ユニットによって、第1処理液配管を流れる第1処理液を加熱することで、第1処理液配管の第1樹脂部分が加熱される。第1樹脂部分を加熱することで、第1樹脂部分を構成する樹脂が膨張する。これにより、樹脂の膨張により発生した微小な空間に第1処理液が進入し、第1処理液によって第1樹脂部分の内部の不純物を除去できる。
【0022】
さらに、物理力付与ユニットによって、第1処理液に物理力を付与することで、第1樹脂部分の内部の不純物の除去を促進できる。物理力の付与によって、樹脂部分の内部における不純物の位置が変化し、処理液と樹脂部分との接触界面に不純物が現われることがある。特に、第1処理液配管が加熱されている状態で第1処理液に物理力を付与することで不純物の除去を促進できる。
【0023】
以上により、樹脂部分を有する第1処理液配管を良好に洗浄できる。
この発明の他の実施形態では、前記基板処理装置が、前記処理ユニットに向けて第2処理液を供給する第2処理液配管であって、前記第2処理液供給配管を流れる流体に接触する第2樹脂部分を有する第2処理液配管と、前記第2処理液配管および前記第1処理液配管を連結する連結供給配管とをさらに含む。
【0024】
連結供給配管を介して第1処理液配管に供給された第1処理液が、第2処理液配管に流入する。加熱ユニットによっての第1処理液を加熱し、物理力付与ユニットによって第1処理液に物理力を付与することで、第1処理液による第2処理液配管の第2樹脂部分の洗浄を促進できる。
この発明の他の実施形態は、配管着脱部材に接続された洗浄流体配管から、前記配管着脱部材に洗浄流体を供給する洗浄流体供給工程と、ヒータによって、前記洗浄流体配管を通過する洗浄流体および前記配管着脱部材の少なくとも一方を加熱する加熱工程と、前記加熱工程を実行しながら、前記洗浄流体配管を流れる洗浄流体に物理力を付与する物理力付与工程とを含む、配管着脱部材洗浄方法を提供する。前記配管着脱部材が、当該配管着脱部材を通過する処理液に接触する樹脂部分を有していてもよい。前記配管着脱部材洗浄方法が、前記加熱工程の後、前記ヒータによる加熱を停止する加熱停止工程をさらに含んでいてもよい。前記加熱工程および前記加熱停止工程を1サイクルとする温調サイクルを複数回実行してもよい。前記加熱工程が、前記樹脂部分を加熱して当該樹脂部分を膨張させる工程を含んでいてもよい。前記加熱停止工程が、前記樹脂部分に対する加熱を停止して当該樹脂部分を収縮させる工程を含んでいてもよい。
【0025】
この発明の他の実施形態は、配管着脱部材に接続された洗浄流体配管から、前記配管着脱部材に洗浄流体を供給する洗浄流体供給工程と、ヒータによって、前記洗浄流体配管を通過する洗浄流体および前記配管着脱部材の少なくとも一方を加熱する加熱工程と、前記加熱工程の後、前記ヒータによる加熱を停止する加熱停止工程とを含み、前記加熱工程および前記加熱停止工程を1サイクルとする温調サイクルを複数回実行する、配管着脱部材洗浄方法を提供する。前記配管着脱部材が、当該配管着脱部材を通過する処理液に接触する樹脂部分を有していてもよい。前記加熱工程が、前記樹脂部分を加熱して当該樹脂部分を膨張させる工程を含んでいてもよい。前記加熱停止工程が、前記樹脂部分に対する加熱を停止して当該樹脂部分を収縮させる工程を含んでいてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】
図1は、この発明の第1実施形態に係る配管着脱部材洗浄装置および基板処理装置を備える基板処理システムの構成例を説明するための平面図である。
【
図2】
図2は、前記基板処理装置に備えられる処理ユニットの構成を説明するための模式図である。
【
図3】
図3は、前記基板処理装置の配管構成を説明するための模式図である。
【
図4】
図4は、前記基板処理装置の電気的構成を説明するためのブロック図である。
【
図5】
図5は、前記配管着脱部材洗浄装置の構成を説明するための模式図である。
【
図6】
図6は、前記配管着脱部材洗浄装置の電気的構成を説明するためのブロック図である。
【
図7】
図7は、前記配管着脱部材洗浄装置による洗浄処理の一例(第1洗浄処理)を説明するためのフローチャートである。
【
図8A】
図8Aは、前記第1洗浄処理を説明するための模式図である。
【
図8B】
図8Bは、前記第1洗浄処理を説明するための模式図である。
【
図8C】
図8Cは、前記第1洗浄処理を説明するための模式図である。
【
図9】
図9は、前記第1洗浄処理における第1薬液供給工程を説明するためのタイムチャートである。
【
図10A】
図10Aは、前記第1薬液供給工程を実行する前の配管着脱部材の樹脂部分の状態を説明するための模式図である。
【
図10B】
図10Bは、前記第1薬液供給工程の実行中の配管着脱部材の樹脂部分の状態を説明するための模式図であり、樹脂部分が加熱されている状態を示す模式図である。
【
図10C】
図10Cは、前記第1薬液供給工程の実行中の配管着脱部材の樹脂部分の状態を説明するための模式図であり、樹脂部分の冷却後の状態を示す模式図である。
【
図11】
図11は、前記配管着脱部材洗浄装置による洗浄処理の別の例(第2洗浄処理)を説明するためのフローチャートである。
【
図13】
図13は、前記第2洗浄処理における第1薬液供給工程および高温リンス液供給工程を説明するためのタイムチャートである。
【
図14A】
図14Aは、前記第2洗浄処理の第1薬液供給工程中の配管着脱部材の樹脂部分の様子を説明するための模式図である。
【
図14B】
図14Bは、前記第2洗浄処理を実行中の加熱リンス工程中の配管着脱部材の樹脂部分の様子を説明するための模式図である。
【
図15】
図15は、前記配管着脱部材洗浄装置の第1変形例を説明するための模式図である。
【
図16】
図16は、前記配管着脱部材洗浄装置の第2変形例を説明するための模式図である。
【
図17】
図17は、前記配管着脱部材洗浄装置の第3変形例を説明するための模式図である。
【
図18】
図18は、前記配管着脱部材洗浄装置の第4変形例を説明するための模式図である。
【
図19】
図19は、配管着脱部材が基板処理装置に取り付けられている状態で洗浄処理を行う場合の前記配管着脱部材洗浄装置の配管構成を説明するための模式図である。
【
図20】
図20は、この発明の第2実施形態に係る基板処理システムにおける配管構成を説明するための模式図である。
【
図21A】
図21Aは、第2実施形態に係る基板処理システムにおける洗浄処理の一例について説明するための模式図である。
【
図21B】
図21Bは、第2実施形態に係る基板処理システムにおける洗浄処理の一例について説明するための模式図である。
【
図21C】
図21Cは、第2実施形態に係る基板処理システムにおける洗浄処理の一例について説明するための模式図である。
【
図21D】
図21Dは、第2実施形態に係る基板処理システムにおける洗浄処理の一例について説明するための模式図である。
【
図21E】
図21Eは、第2実施形態に係る基板処理システムにおける洗浄処理の一例について説明するための模式図である。
【
図21F】
図21Fは、第2実施形態に係る基板処理システムにおける洗浄処理の一例について説明するための模式図である。
【
図22】
図22は、洗浄流体によって除去されたパーティクルの数を測定するパーティクル測定実験の結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下では、この発明の実施の形態を、添付図面を参照して説明する。
<第1実施形態に係る配管着脱部材の構成>
図1は、この発明の第1実施形態に係る基板処理システム1の構成例を説明するための平面図である。
基板処理システム1は、基板Wを処理する基板処理装置2と、基板処理装置2に備えられる処理液配管に対して着脱可能な配管着脱部材(配管用部品)を洗浄する配管着脱部材洗浄装置3とを備える。
【0028】
基板処理装置2は、基板Wを処理する。基板処理装置2は、基板Wに対して、エッチング、表面処理、特性付与、処理膜形成、膜の少なくとも一部の除去、洗浄等の処理を実行する。
基板Wは、たとえば、半導体基板である。基板Wは、ウェハであってもよい。基板Wは、たとえば、略円板状である。この実施形態では、基板処理装置2は、基板Wを一枚ずつ処理する枚葉処理装置である。
【0029】
基板処理装置2は、基板Wを複数種の処理液で処理する複数の処理ユニット4と、処理ユニット4で処理される複数枚の基板Wを収容するキャリヤCAが載置されるロードポートLPと、ロードポートLPと処理ユニット4との間で基板Wを搬送する搬送ロボットIRおよびCRと、基板処理装置2を制御する第1コントローラ5とを含む。
搬送ロボットIRは、キャリヤCAと搬送ロボットCRとの間で基板Wを搬送する。搬送ロボットCRは、搬送ロボットIRと処理ユニット4との間で基板Wを搬送する。複数の処理ユニット4は、たとえば、同様の構成を有している。処理ユニット4内で基板Wに向けて供給される処理液には、薬液、リンス液等が含まれる。
【0030】
複数の処理ユニット4は、水平に離れた4つの位置にそれぞれ配置された4つの処理タワーTWを形成している。各処理タワーTWは、上下方向に積層された複数の処理ユニット4を含む。4つの処理タワーTWは、ロードポートLPから搬送ロボットIR,CRに向かって延びる搬送経路TRの両側に2つずつ配置されている。
基板処理装置2は、バルブや配管等を収容する複数の流体ボックス6と、処理ユニット4で用いられる処理液を貯留するタンクを収容する貯留ボックス7とを含む。処理ユニット4、流体ボックス6、および貯留ボックス7は、平面視略四角形状のフレーム8の内側に配置されている。貯留ボックス7は、
図1の例では、フレーム8の内側に配置されている。貯留ボックス7は、
図1の例とは異なり、フレーム8の外側に配置されていてもよい。
【0031】
貯留ボックス7は、全ての流体ボックス6に処理液を供給するように構成されている。この実施形態とは異なり、貯留ボックス7は、たとえば、複数の流体ボックス6と同数設けられていてもよい。各貯留ボックス7に貯留されている処理液は、その貯留ボックス7に対応する流体ボックス6を介して、この流体ボックス6に対応する処理タワーTWを構成する複数の処理ユニット4に供給される。
【0032】
各処理ユニット4は、チャンバ9と、チャンバ9内に配置された処理カップ10とを備えており、処理カップ10内で基板Wに対する処理を実行する。チャンバ9には、搬送ロボットCRによって、基板Wを搬入したり基板Wを搬出したりするための出入口(図示せず)が形成されている。チャンバ9には、この出入口を開閉するシャッタユニット(図示せず)が備えられている。
【0033】
配管着脱部材洗浄装置3は、基板処理装置2とともにクリーンルーム内において、フレーム8の外側に配置される。配管着脱部材洗浄装置3は、配管着脱部材(詳しくは、後述する。)を洗浄する洗浄ユニット15と、洗浄ユニット15を制御する第2コントローラ16と、洗浄ユニット15および第2コントローラ16を収容する筐体17とを含む。
<処理ユニットの構成>
図2は、処理ユニット4の構成例を説明するための模式的な断面図である。
【0034】
処理ユニット4は、基板Wを所定の保持位置に基板Wを保持しながら、回転軸線A1(鉛直軸線)まわりに基板Wを回転させるスピンチャック20をさらに備える。回転軸線A1は、基板Wの中心部を通る鉛直な直線である。所定の保持位置は、
図2に示す基板Wの位置であり、基板Wが水平な姿勢で保持される位置である。
スピンチャック20は、基板Wを所定の保持位置に保持する基板保持ユニットの一例であり、回転軸線A1まわりに基板Wを回転させる基板回転ユニットの一例でもある。スピンチャック20は、基板回転保持ユニットともいう。
【0035】
スピンチャック20は、水平方向に沿う円板形状を有するスピンベース21と、スピンベース21の上方で基板Wを把持し保持位置に基板Wを保持する複数のチャックピン22と、スピンベース21に上端が連結され鉛直方向に延びる回転軸23と、回転軸23をその中心軸線(回転軸線A1)まわりに回転させるスピンモータ24とを含む。
複数のチャックピン22は、スピンベース21の周方向に間隔を空けてスピンベース21の上面に配置されている。スピンモータ24は、電動モータである。スピンモータ24は、回転軸23を回転させることでスピンベース21および複数のチャックピン22が回転軸線A1まわりに回転する。これにより、スピンベース21および複数のチャックピン22とともに、基板Wが回転軸線A1まわりに回転される。
【0036】
処理ユニット4は、スピンチャック20に保持された基板Wの上面に処理液を供給する第1処理液ノズル25と、スピンチャック20に保持された基板Wの上面に処理液を供給する第2処理液ノズル26とをさらに含む。
処理液は、上述したように、たとえば、薬液またはリンス液である。薬液は、たとえば、フッ酸、アンモニア水、TMAH(テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド)水溶液、過酸化水素水、塩酸、硫酸、オゾン水、有機溶剤、または、これらの混合液である。
【0037】
混合液としては、APM液(ammonia-hydrogen peroxide mixture:アンモニア過酸化水素水混合液)、HPM液(hydrochloric acid-hydrogen peroxide mixture:塩酸過酸化水素水混合液)、SPM液(sulfuric acid/hydrogen peroxide mixture:硫酸過酸化水素水混合液)等が挙げられる。有機溶剤としては、たとえば、イソプロピルアルコール(IPA)が挙げられるが、これに限られない。
【0038】
リンス液は、たとえば、脱イオン水(Deionized Water:DIW)、炭酸水、電解イオン水、還元水、希釈濃度(たとえば、10ppm以上100ppm以下程度)のアンモニア水、および、希釈濃度(たとえば、10ppm以上100ppm以下程度)の塩酸水のうちの少なくとも一種を含有する液体である。
第1処理液ノズル25には、第1処理液ノズル25に処理液を供給する第1処理液配管30の下流端が接続されている。第1処理液ノズル25は、処理液を下方に吐出する吐出口25aを有する。第2処理液ノズル26には、第2処理液ノズル26に処理液を供給する第2処理液配管40の下流端が接続されている。第2処理液ノズル26は、処理液を下方に吐出する吐出口26aを有する。第1処理液配管30は、処理液を処理ユニット4に供給する処理液配管の一例である。第2処理液配管40も、処理液配管の一例である。
【0039】
第1処理液ノズル25から吐出される処理液は、たとえば、フッ酸等の薬液であり、第2処理液ノズル26から吐出される処理液は、たとえば、DIW等のリンス液、および、APM液等の薬液である。詳しくは後述するが、第2処理液ノズル26は、複数種の処理液を選択的に吐出するように構成されている。
第1処理液ノズル25および第2処理液ノズル26は、少なくとも水平方向に移動可能な移動ノズルである。第1処理液ノズル25は、第1ノズル移動機構27Aによって、水平方向に移動される。第1ノズル移動機構27Aは、第1処理液ノズル25に結合され水平に延びるアーム(図示せず)と、アームを水平方向に移動させるアーム移動機構(図示せず)とを含む。アーム移動機構は、電動モータまたはエアシリンダを有していてもよいし、これら以外のアクチュエータを有していてもよい。
【0040】
第1処理液ノズル25は、第1ノズル移動機構27Aによって、基板Wの上面の中央領域に対向する中央位置と、平面視で処理カップ10よりも外側に退避する退避位置との間で移動される。
第2処理液ノズル26は、第1ノズル移動機構27Aと同様の構成を有する第2ノズル移動機構27Bによって、水平方向に移動される。第2処理液ノズル26は、第2ノズル移動機構27Bによって、基板Wの上面の中央領域に対向する中央位置と、平面視で処理カップ10よりも外側に退避する退避位置との間で移動される。
【0041】
処理ユニット4は、平面視で処理カップ10よりも外側に位置し、退避位置に位置する第1処理液ノズル25から吐出される処理液を受ける第1排液受け部材28と、平面視で処理カップ10よりも外側に位置し、退避位置に位置する第2処理液ノズル26から吐出される処理液を受ける第2排液受け部材29とを含む。
図3は、基板処理装置2の配管構成を説明するための模式図である。
【0042】
基板処理装置2は、第1処理液配管30に取り付けられ、複数種の処理液を混合するミキシングバルブ50をさらに含む。
第1処理液配管30は、複数種の処理液をミキシングバルブ50にそれぞれ供給する複数(この実施形態では4つ)の第1上流処理液配管31と、ミキシングバルブ50内の処理液を第1処理液ノズル25に供給する第1下流処理液配管32とを含む。第1下流処理液配管32の下流端は、第1処理液ノズル25に接続されている。
【0043】
この実施形態では、ミキシングバルブ50には、全ての第1上流処理液配管31の下流端と、1つの第1下流処理液配管32の上流端が接続されている。ミキシングバルブ50は、各第1上流処理液配管31に接続される複数の上流分岐配管51と、第1下流処理液配管32に接続される下流分岐配管52と、下流分岐配管52および複数の上流分岐配管51にそれぞれ介装される複数の分岐バルブ53と、下流分岐配管52および複数の上流分岐配管51に接続される共通配管54とを含む。
【0044】
分岐バルブ53は、バルブ本体によって構成されている。バルブ本体は、たとえば、弁座が内部に設けられたバルブボディ(図示せず)と、弁座を開閉する弁体と、弁体を支持するダイヤフラム(図示せず)と、ダイヤフラムとともに開位置および閉位置の間で弁体を移動させるアクチュエータ(図示せず)とを含む。バルブ本体の構造はこれに限られない。
【0045】
弁体の開閉によって、バルブボディを流れる液体の流量を、所定の流量と0L/minとの間で変更することができる。バルブ本体は、弁体の開位置および閉位置の切り替えだけでなく、バルブボディ内の液体の流量を段階的または無段階に調整できるように構成されていてもよい。以下で説明するバルブ本体も、分岐バルブ53のバルブ本体と同様の構成を有する。
【0046】
基板処理装置2は、複数の第1上流処理液配管31をそれぞれ開閉する複数の第1上流処理液バルブ33と、複数の第1上流処理液配管31内の処理液をミキシングバルブ50にそれぞれ送る複数の第1処理液ポンプ34と、複数の第1上流処理液配管31内の処理液をそれぞれ加熱する複数の第1処理液ヒータ35と、複数の第1上流処理液配管31内の処理液中のパーティクル等の不純物をそれぞれ除去する複数の第1処理液フィルタユニット36とを含む。
【0047】
図3では、4つの第1上流処理液配管31のうちの1つの第1上流処理液配管31に設けられている第1上流処理液バルブ33、第1処理液ポンプ34、第1処理液ヒータ35、および、第1処理液フィルタユニット36の図示を省略している。
第1上流処理液バルブ33は、対応する第1上流処理液配管31に設けられている。第1処理液ポンプ34は、第1上流処理液バルブ33よりも下流側で対応する第1上流処理液配管31に設けられている。
【0048】
「部材が配管に設けられる」とは、当該部材が配管に対して着脱可能に取り付けられていること、および、当該部材が配管に一体的に接続されていることのいずれでもよいことを意味する。
第1処理液ポンプ34は、液体を吸い込み、その吸い込んだ液体を吐出する装置である。以下で説明する他のポンプも第1処理液ポンプ34と同様の構成を有する。
【0049】
第1処理液ヒータ35は、第1上流処理液配管31において第1処理液ポンプ34よりも下流側の部分を外部から加熱することによって、第1上流処理液配管31を通過する処理液を加熱する。
第1処理液ヒータ35は、電源等の通電機構(図示せず)によって通電されることで加熱を開始し、第1処理液ヒータ35に対する通電が停止されることによって、加熱を停止させる。以下で説明する他のヒータも、第1処理液ヒータ35と同様に、通電によって加熱を開始し、通電の停止によって加熱を停止するように構成されていてもよい。
【0050】
第1処理液フィルタユニット36は、第1処理液ヒータ35よりも下流側において、第1上流処理液配管31に対して着脱可能に取り付けられている。第1処理液フィルタユニット36は、樹脂製のフィルタを有するフィルタ本体36aと、フィルタ本体36aを第1処理液配管30に接続するための2つの接続配管36bとを含む。接続配管36bの長さは、たとえば、1cm以上100cm以下であってもよく、5cm以上50cm以下であってもよい。
【0051】
図3に示す例では、複数の第1上流処理液配管31のうちの2つは、処理液として、APM液の原料となるアンモニア水および過酸化水素水をそれぞれミキシングバルブ50に供給するように構成されており、複数の第1上流処理液配管31のうちの1つは、処理液として、リンス液をミキシングバルブ50に供給するように構成されている。
基板処理装置2は、2つの第1上流処理液配管31の上流端がそれぞれ接続される2つの第1処理液タンク37を含む。2つの第1処理液タンク37のうちの一方は、アンモニア水が貯留されている第1タンク37Aであり、2つの第1処理液タンク37のうちの他方は、過酸化水素水が貯留されている第2タンク37Bである。
【0052】
図3に示す例では、基板処理装置2は、第1処理液タンク37に接続されている第1上流処理液配管31内の処理液を対応する第1処理液タンク37に戻す第1戻し配管38をさらに含む。第1戻し配管38は、第1上流処理液配管31において第1処理液フィルタユニット36よりも下流側に分岐接続されている。
2つの第1上流処理液配管31からミキシングバルブ50にアンモニア水および過酸化水素水がそれぞれ供給されることで、ミキシングバルブ50内でAPM液が形成される。
【0053】
リンス液をミキシングバルブ50に供給する第1上流処理液配管31の上流端は、タンクに接続されておらず、クリーンルームにリンス液を供給する配管等に接続されている。この実施形態とは異なり、リンス液をミキシングバルブ50に供給する第1上流処理液配管31の上流端が、リンス液を貯留するタンクに接続されていてもよい。
基板処理装置2は、フッ酸等の処理液を貯留し、第2処理液配管40の上流端に接続される第2処理液タンク42と、第2処理液配管40を開閉する第2上流処理液バルブ43と、第2処理液タンク42内の処理液を第2処理液配管40に送る第2処理液ポンプ44と、第2処理液配管40内の処理液を加熱する第2処理液ヒータ45と、第2処理液配管40内の処理液中のパーティクルを除去する第2処理液フィルタユニット46と、第2処理液配管40を開閉する第2下流処理液バルブユニット47とを含む。
【0054】
第2処理液ポンプ44は、第2上流処理液バルブ43よりも下流側で第2処理液配管40に設けられている。第2処理液ヒータ45は、第2処理液配管40において第2処理液ポンプ44よりも下流側の部分を外部から加熱することによって、第2処理液配管40を通過する処理液を加熱する。
第2処理液フィルタユニット46は、第2処理液ヒータ45よりも下流側において、第2処理液配管40に対して着脱可能に取り付けられている。第2処理液フィルタユニット46は、樹脂製のフィルタを有するフィルタ本体46aと、フィルタ本体46aを第2処理液配管40に接続するための2つの接続配管46bとを含む。接続配管46bの長さは、たとえば、1cm以上100cm以下であってもよく、5cm以上50cm以下であってもよい。
【0055】
第2下流処理液バルブユニット47は、第2処理液フィルタユニット46よりも下流側において、第2処理液配管40に対して着脱可能に取り付けられている。第2下流処理液バルブユニット47は、バルブ本体47aと、バルブ本体47aを第2処理液配管40に接続するための2つの接続配管47bとを含む。接続配管47bの長さは、たとえば、1cm以上100cm以下であってもよく、5cm以上50cm以下であってもよい。
【0056】
基板処理装置2は、第2処理液配管40内の処理液を第2処理液タンク42に戻す第2戻し配管48をさらに含む。第2戻し配管48は、第2処理液配管40において第2処理液フィルタユニット46よりも下流側で、かつ、第2処理液配管40において第2下流処理液バルブユニット47よりも上流側で第2処理液配管40に分岐接続されている。
各配管には、配管内の液体の流量を調整する複数の流量コントローラ55がそれぞれ設けられていてもよい。
図3に示す例では、複数の流量コントローラ55は、複数の第1上流処理液配管31、第1戻し配管38、第2戻し配管48および第2処理液配管40にそれぞれ設けられている。各配管には、配管内の液体の流量を測定する複数の流量計56がそれぞれ設けられていてもよい。
図3に示す例では、複数の流量計56は、複数の第1上流処理液配管31、第2戻し配管48および第2処理液配管40にそれぞれ設けられている。
【0057】
ミキシングバルブ50は、第1処理液配管30に対して着脱可能な配管着脱部材100の一例である。配管着脱部材100は、基板処理装置2から取り外して交換可能な部材である。
同様に、第1処理液フィルタユニット36も、第1処理液配管30に対して着脱可能な配管着脱部材100の一例である。第2下流処理液バルブユニット47も、第2処理液配管40に対して着脱可能な配管着脱部材100の一例である。第2処理液フィルタユニット46も、第2処理液配管40に対して着脱可能な配管着脱部材100の一例である。
【0058】
各配管着脱部材100は、配管着脱部材100を通過する処理液に接触する樹脂部分を有する。樹脂部分は、たとえば、フッ素樹脂によって形成されている。
配管着脱部材100がバルブユニット(第2下流処理液バルブユニット47)またはミキシングバルブ50である場合には、樹脂部分は、たとえば、弁体、ダイヤフラム等である。配管着脱部材100がフィルタユニット(第1処理液フィルタユニット36または第2処理液フィルタユニット46)である場合には、たとえば、フィルタである。
【0059】
基板処理装置2は、処理液配管(第1処理液配管30または第2処理液配管40)において、対応する配管着脱部材100よりも上流側にそれぞれ設けられた複数の上流接続部60を含む。基板処理装置2は、処理液配管(第1処理液配管30または第2処理液配管40)において、対応する配管着脱部材100よりも下流側にそれぞれ設けられた複数の下流接続部61を含む。
【0060】
上流接続部60は、3つの開口部を有する。たとえば、上流接続部60は、三方弁またはトグル弁である。あるいは、上流接続部60は、三方管およびバルブであってもよい。
上流接続部60は、3つの開口部のうちの2つの開口部を流れる処理液の流れを切り替えることができる。たとえば、上流接続部60は、3つの開口部のうちの2つの開口部を流れる処理液の流れを別の2つの開口部を流れる処理液の流れに切り替えてもよい。あるいは、上流接続部60は、2つの開口部を流れる処理液の流れを遮断してもよい。
【0061】
下流接続部61は、3つの開口部を有する。下流接続部61は、典型的には、上流接続部60と同様の構成を有する。
上流接続部60の2つの開口部は、それぞれ、対応する処理液配管(第1処理液配管30または第2処理液配管40)および配管着脱部材100に接続されている。下流接続部61の2つの開口部は、それぞれ、対応する処理液配管(第1処理液配管30または第2処理液配管40)および配管着脱部材100に接続されている。上流接続部60の残りの1つの開口部は、開放されており、別の配管(たとえば、後述する
図5に示す洗浄流体配管70)に接続可能である。
【0062】
図5には図示しないが、各処理液供給配管には、別の処理ユニット4および別の処理タワーTWに処理液を供給するは配管が接続されている。
<基板処理装置の電気的構成>
図4は、基板処理装置2の電気的構成を説明するためのブロック図である。第1コントローラ5は、マイクロコンピュータを備え、所定の制御プログラムに従って基板処理装置2に備えられた制御対象を制御する。具体的には、第1コントローラ5は、プロセッサ(CPU)5Aと、制御プログラムが格納されたメモリ5Bとを含む。第1コントローラ5は、プロセッサ5Aが制御プログラムを実行することによって、基板処理のための様々な制御を実行するように構成されている。
【0063】
特に、第1コントローラ5は、搬送ロボットIR,CR、スピンモータ24、第1ノズル移動機構27A、第2ノズル移動機構27B、複数の第1処理液ヒータ35、第2処理液ヒータ45、複数の流量コントローラ55、複数の流量計56、第1処理液ポンプ34、第2処理液ポンプ44、第1上流処理液バルブ33、第2上流処理液バルブ43、第2下流処理液バルブユニット47、複数の分岐バルブ53等を制御するようにプログラムされている。第1コントローラ5がこれらの構成を制御することにより、処理液による基板Wに対する処理が実行される。
【0064】
<配管着脱部材洗浄装置の構成>
図5は、配管着脱部材洗浄装置3の構成を説明するための模式図である。
図5に示す例では、配管着脱部材洗浄装置3は、ミキシングバルブ50を洗浄するための構成を有している。
配管着脱部材洗浄装置3は、配管着脱部材100に接続可能であり、洗浄流体が流れる洗浄流体配管70と、洗浄流体配管70に洗浄流体を供給し洗浄流体配管70から回収した洗浄流体を貯留する洗浄流体タンク73とを含む。
図5に示す例では、洗浄流体配管70は、第1処理液配管30に取り付けられていない状態のミキシングバルブ50に接続されている。
【0065】
洗浄流体として、たとえば、処理ユニット4における基板Wの処理に用いられる処理液を用いることができる。すなわち、洗浄流体は、上述したように、たとえば、薬液またはリンス液である。以下では、洗浄流体が洗浄液である例について説明するが、洗浄流体は、必ずしも洗浄液である必要はなく、水蒸気等の洗浄気体であってもよい。
薬液は、たとえば、フッ酸、アンモニア水、TMAH水溶液、過酸化水素水、塩酸、硫酸、オゾン水、有機溶剤、または、これらの混合液である。洗浄流体は、アンモニア水、TMAH水溶液等のアルカリ液であることが好ましい。混合液としては、APM液、HPM液、SPM液等が挙げられる。有機溶剤としては、たとえば、IPAが挙げられるが、これに限られない。
【0066】
リンス液は、たとえば、DIW、炭酸水、電解イオン水、還元水、希釈濃度(たとえば、10ppm以上100ppm以下程度)のアンモニア水、および、希釈濃度(たとえば、10ppm以上100ppm以下程度)の塩酸水のうちの少なくとも一種を含有する液体である。
洗浄流体配管70は、配管着脱部材100に洗浄流体を供給する第1配管71と、配管着脱部材100から洗浄流体を回収する第2配管72とを含む。洗浄流体タンク73は、第1配管71に洗浄流体を供給し、第2配管72から洗浄流体を回収する。
【0067】
第1配管71は、洗浄流体タンク73に接続される第1上流配管74と、第1上流配管74と配管着脱部材100とを接続する複数の第2上流配管75とを含む。
第1上流配管74の上流端は、洗浄流体タンク73に接続されている。複数の第2上流配管75の上流端は、第1上流配管74の下流端部付近に接続されている。下流端部は、下流端およびその近傍を意味する。複数の第2上流配管75の下流端は、配管着脱部材100であるミキシングバルブ50の複数の上流分岐配管51にそれぞれ接続可能である。
【0068】
第2配管72の上流端は、配管着脱部材100であるミキシングバルブ50の下流分岐配管52に接続されている。第2配管72の下流端は、洗浄流体タンク73に接続されている。
配管着脱部材洗浄装置3は、洗浄流体配管70を開閉する洗浄流体バルブ80と、洗浄流体配管70内の洗浄流体を配管着脱部材100に送る洗浄流体ポンプ81と、洗浄流体配管70を介して洗浄流体配管70内の洗浄流体を加熱する配管ヒータ82と、洗浄流体配管70内の洗浄流体からパーティクルを除去する洗浄流体フィルタ83とをさらに含む。
【0069】
洗浄流体バルブ80は、第1上流配管74に設けられている。洗浄流体バルブ80の開閉によって、洗浄流体配管70内の洗浄流体の流量を、所定の流量と0L/minとの間で変更することができる。洗浄流体バルブ80は、洗浄流体配管70内の洗浄流体の流量を変更する流量変更バルブの一例である。洗浄流体バルブ80は、洗浄流体配管70の開閉だけでなく、洗浄流体配管70内の洗浄流体の流量を段階的または無段階に調整できるように構成されていてもよい。
【0070】
洗浄流体ポンプ81は、第1上流配管74において、洗浄流体バルブ80よりも下流側に設けられている。配管ヒータ82は、第1上流配管74において洗浄流体ポンプ81よりも下流側の部分を外部から加熱することによって、第1上流配管74を通過する洗浄流体を加熱する。配管ヒータ82は、洗浄流体配管70内の洗浄流体を加熱する加熱ユニットの一例である。
【0071】
洗浄流体バルブ80が開かれている状態で洗浄流体ポンプ81を作動させることで、洗浄流体タンク73から第1配管71に洗浄流体が供給され、第2配管72から洗浄流体タンク73に洗浄流体が供給される。これにより、洗浄流体タンク73内の洗浄流体が第1配管71を介して配管着脱部材100に供給され、配管着脱部材100内の洗浄流体が、第2配管72を介して洗浄流体タンク73に回収される。
【0072】
配管着脱部材洗浄装置3は、洗浄流体タンク73から洗浄流体を排出する排出配管85と、排出配管85に設けられ排出配管85を開閉する排出バルブ86と、複数種の洗浄流体を選択的に洗浄流体配管70に供給する供給ユニット90とをさらに含む。
図5に示す例では、排出配管85は、洗浄流体タンク73に直接的に接続されており、洗浄流体タンク73を介して洗浄流体配管70に間接的に接続されている。
【0073】
供給ユニット90は、洗浄流体タンク73に接続される共通供給配管91と、共通供給配管91に連結される合流供給配管92と、共通供給配管91、合流供給配管92、および、洗浄流体タンク73を介して洗浄流体配管70に間接的に接続される複数の供給配管93とを含む。
複数の供給配管93は、それぞれ、複数の洗浄流体供給源(図示せず)から供給される洗浄流体を合流供給配管92に供給する。合流供給配管92に供給された洗浄流体は、共通供給配管91を通って、洗浄流体タンク73に供給される。
【0074】
供給ユニット90は、複数の供給配管93にそれぞれ設けられ、対応する供給配管93を開閉する複数の供給バルブ94と、共通供給配管91に設けられ共通供給配管91を開閉する共通供給バルブ95とを含む。複数の供給バルブ94は、洗浄流体配管70に供給される洗浄流体の種類を切り替える複数の切替バルブの一例である。
図5に示す例では、供給配管93が3つ設けられており、3つの供給配管93には、第1薬液としてのアンモニア水、リンス液としてのDIW、および、第2薬液としてのオゾン水がそれぞれ供給される。
【0075】
<配管着脱部材洗浄装置の電気的構成>
図6は、配管着脱部材洗浄装置3の電気的構成を説明するためのブロック図である。第2コントローラ16は、マイクロコンピュータを備え、所定の制御プログラムに従って配管着脱部材洗浄装置3に備えられた制御対象を制御する。具体的には、第2コントローラ16は、プロセッサ(CPU)16Aと、制御プログラムが格納されたメモリ16Bとを含む。第2コントローラ16は、プロセッサ16Aが制御プログラムを実行することによって、洗浄処理のための様々な制御を実行するように構成されている。
【0076】
特に、第2コントローラ16は、配管ヒータ82、洗浄流体ポンプ81、洗浄流体バルブ80、排出バルブ86、供給バルブ94、共通供給バルブ95等を制御するようにプログラムされている。
以下の洗浄処理における各工程は、第2コントローラ16がこれらの構成を制御することにより実行される。言い換えると、第2コントローラ16は、以下の各工程を実行するようにプログラムされている。
【0077】
<第1洗浄処理>
図7は、配管着脱部材洗浄装置3による洗浄処理の一例(第1洗浄処理)を説明するためのフローチャートである。
図8A~
図8Cは、第1洗浄処理を説明するための模式図である。
第1洗浄処理では、
図7に示すように、配管着脱部材接続工程(ステップS1)、温調洗浄工程(ステップS2)、第2薬液供給工程(ステップS3)、リンス工程(ステップS4)および配管着脱部材取外工程(ステップS5)がこの順番で実行される。
図9は、温調洗浄工程(ステップS2)を説明するためのタイムチャートである。
【0078】
以下では、配管着脱部材洗浄装置3によって実行される第1洗浄処理について、主に
図5および
図7を参照して説明する。
図8A~
図9については適宜参照する。
まず、基板処理装置2に用いられる前、すなわち、処理液が内部を流通する前のミキシングバルブ50が、
図8Aに示すように、配管着脱部材100として配管着脱部材洗浄装置3の洗浄流体配管70に接続される(配管着脱部材接続工程:ステップS1)。洗浄流体タンク73には、供給ユニット90から供給される第1薬液が予め貯留されていてもよい。
【0079】
そして、配管着脱部材100に第1薬液を供給しながら配管着脱部材100に対する加熱と配管着脱部材100に対する加熱の停止とを繰り返すことで配管着脱部材100を洗浄する温調洗浄工程(ステップS2)が実行される。
具体的には、洗浄流体バルブ80および複数の分岐バルブ53が開かれ、配管着脱部材100に第1薬液が供給される(第1薬液供給工程、洗浄流体供給工程)。配管着脱部材100に第1薬液を供給しながら、
図8Bに示すように、配管ヒータ82によって洗浄流体配管70内の第1薬液が加熱される(加熱工程)。
【0080】
第1薬液は、配管ヒータ82によって、所定の加熱時間T1(
図9を参照)の間加熱され、第1薬液の温度が所定の第1洗浄温度に達する。加熱時間T1は、たとえば、10分以上である。
第1洗浄温度は、処理液の処理温度よりも高温である。処理温度は、配管着脱部材100が第1処理液配管30に接続されている状態で、配管着脱部材100を通過する処理液の温度である。第1洗浄温度は、たとえば、80℃以上である。ただし、第1洗浄温度は、洗浄流体が液体である場合、その沸点よりも低いことが好ましい。洗浄流体配管70には、洗浄流体配管70内の洗浄流体の温度を測定する温度計(図示せず)が設けられていてもよい。
【0081】
配管ヒータ82による第1薬液の加熱が所定の加熱時間T1が行われた後、配管着脱部材100への第1薬液の供給を継続しながら、
図8Cに示すように、配管ヒータ82による第1薬液(洗浄流体)の加熱が停止される(加熱停止工程)。
第1薬液に対する加熱が停止されることによって、第1薬液が冷却される。第1薬液に対する加熱の停止が停止された状態は、所定の加熱停止時間T2(
図9を参照)の間継続される。
【0082】
加熱が停止されることによって、第1薬液の温度は徐々に低下し、第1薬液の温度は、所定の冷却温度に達する。冷却温度は、たとえば、常温(たとえば、25℃)である。常温は、たとえば、配管着脱部材洗浄装置3が基板処理装置2とともに配置されるクリーンルーム内の温度、すなわち、室温である。
その後、
図9に示すように、洗浄流体配管70内の第1薬液の加熱と第1薬液の加熱の停止とが、さらに少なくとも1回ずつ繰り返される。このように、洗浄流体配管70内の第1薬液の加熱と第1薬液の加熱の停止とを1サイクルとする温調サイクルが複数回実行される。温調サイクルの実行中、配管着脱部材100への第1薬液の供給は継続される。
【0083】
温調サイクルが複数回実行された後、オゾン水等の第2薬液を配管着脱部材100に供給する第2薬液供給工程(ステップS3)と、DIW等のリンス液を配管着脱部材100に供給して配管着脱部材100から薬液を除去するリンス工程(ステップS4)とが順次に実行される。第2薬液供給工程およびリンス工程も、洗浄流体供給工程の一例である。
第1薬液供給工程の終了後、第2薬液供給工程が開始される前に、排出配管85を介して、洗浄流体タンク73および洗浄流体配管70から第1薬液が排出され、供給ユニット90から洗浄流体タンク73および洗浄流体配管70に第2薬液が供給される。これにより、洗浄流体配管70内の洗浄流体が、第1薬液から第2薬液に切り替えられ、第2薬液工程が開始される。
【0084】
第2薬液供給工程の終了後、リンス液供給工程が開始される前に、排出配管85を介して、洗浄流体タンク73および洗浄流体配管70から第2薬液が排出され、供給ユニット90から洗浄流体タンク73および洗浄流体配管70にリンス液が供給される。これにより、洗浄流体配管70内の洗浄流体が、第2薬液からリンス液に切り替えられる。
洗浄流体の種類が切り替えられる間、洗浄流体バルブ80は閉じられていてもよいし、開かれていてもよい。
【0085】
第2薬液供給工程(ステップS3)およびリンス工程(ステップS4)が実行された後、洗浄流体配管70から配管着脱部材100としてのミキシングバルブ50が取り外される(配管着脱部材取外工程:ステップS5)。
以上により、配管着脱部材洗浄装置3による第1洗浄処理が終了する。第1洗浄処理では、洗浄流体配管70が配管着脱部材100に洗浄流体を供給し、かつ、配管着脱部材100から洗浄流体を回収することができる。そのため、洗浄流体によって配管着脱部材100が洗浄される。配管着脱部材100であるミキシングバルブ50は、第1洗浄処理が実行された後、基板処理装置2の第1処理液配管30に接続される。
【0086】
配管着脱部材洗浄装置3という専用装置によって洗浄された配管着脱部材100が基板処理装置2に取り付けられる。そのため、基板処理装置2の全体の作業を停止して配管着脱部材100の洗浄を行う場合に発生するダウンタイムを削減できる。
さらに、配管着脱部材洗浄装置3によって事前に充分に洗浄された配管着脱部材100が基板処理装置2に取り付けられる。そのため、配管着脱部材100の交換後の基板処理装置2の立ち上がりに必要な時間を短縮できる。基板処理装置2の立ち上がりとは、たとえば、基板処理の開始を意味する。
【0087】
配管着脱部材洗浄装置3を用いれば、洗浄流体配管70内の第1薬液を排出配管85から排出し、その後、複数の供給バルブ94によって、洗浄流体配管70に供給する洗浄流体の種類を変更することで、洗浄流体配管70内の洗浄流体の種類を変更できる。そのため、配管着脱部材100の洗浄に複数種の洗浄流体を用いることができる。また、洗浄対象となる配管着脱部材100に適した洗浄流体を適宜選択することができる。
【0088】
配管着脱部材洗浄装置3を用いれば、第1配管71から配管着脱部材100に供給された洗浄流体が第2配管72を介して洗浄流体タンク73に戻る。洗浄流体タンク73に戻った洗浄流体は、再び第1配管71から配管着脱部材100に供給される。すなわち、配管着脱部材100に供給される洗浄流体を再利用できる。
配管着脱部材洗浄装置3によって洗浄される配管着脱部材100は、基板処理装置2において有機物に対する洗浄力が比較的低い液体、すなわち、DIW、温水、塩酸、フッ酸等の供給に用いられる部材であることが好ましい。
【0089】
第1洗浄処理では、温調サイクルが第1薬液供給工程においてのみ実行される。しかしながら、第1薬液供給工程に加えて、第2薬液供給工程およびリンス液供給工程の少なくともいずれか一方においても温調サイクルが実行されてもよい。
<第1洗浄処理における配管着脱部材の樹脂部分の状態の変化>
図10A~
図10Cは、配管着脱部材100の樹脂部分101の状態を説明するための模式図である。詳しくは、
図10Aは、第1薬液洗浄工程を実行する前の樹脂部分101の状態を示している。
図10Bは、樹脂部分101が加熱されている状態を示しており、
図10Cは、樹脂部分101に対する加熱が停止されて樹脂部分101が充分に冷却された後の状態を示している。
【0090】
図10Aを参照して、樹脂部分101は、複数の塊状樹脂102によって構成されている。塊状樹脂102は、単一のポリマー分子または複数個のポリマー分子によって構成されている。樹脂部分101の表面には、不純物103が付着している。不純物103は、樹脂部分101の表面だけでなく、樹脂部分101の内部にも存在している。
以下では、樹脂部分101の表面に付着している不純物103を第1不純物103Aといい、樹脂部分101の内部に存在する不純物103を第2不純物103Bということがある。第2不純物103Bは、主に塊状樹脂102に付着している。第2不純物103Bは、主に塊状樹脂102同士の間に存在している。
【0091】
不純物103は、たとえば、樹脂部分101が射出成形によって形成される際に、樹脂部分101の内部に入り込む。不純物103は、パーティクルとも呼ばれ、たとえば、有機物である。
常温の第1薬液で樹脂部分101を洗浄した場合、第1不純物103Aを除去することはできるが、樹脂部分101の内部に位置する第2不純物103Bを除去しにくい。
【0092】
上述した第1洗浄処理では、洗浄流体配管70を流れる第1薬液を配管ヒータ82によって加熱することで、配管着脱部材100の樹脂部分101を加熱することができる。樹脂部分101を加熱することで、
図10Bに示すように、樹脂部分101を構成する塊状樹脂102が膨張する。これにより、塊状樹脂102の膨張により発生した微小な空間(隙間104)に第1薬液が進入し、第1薬液によって樹脂部分101の内部の不純物103(第2不純物103B)を除去できる。詳しくは、第1薬液に不純物103を溶解させることによって不純物103を除去できる。あるいは、第1薬液の液流によって不純物103を除去できる。
【0093】
さらに、第1洗浄処理では、配管ヒータ82による第1薬液の加熱、および、配管ヒータ82による第1薬液の加熱の停止を1サイクルとする温調サイクルが複数回実行される。そのため、樹脂部分101に対する加熱と、樹脂部分101に対する加熱の停止とが繰り返される。そのため、樹脂部分101に対する加熱による塊状樹脂102の膨張と、樹脂部分101に対する加熱の停止による塊状樹脂102の収縮とが繰り返される。
【0094】
塊状樹脂102の膨張および収縮が繰り返されることによって、
図10Cに示すように、樹脂部分101の内部における第2不純物103Bが押し出される。これにより、第2不純物103Bの位置が変化し、第1薬液と樹脂部分101との接触界面に不純物103が現われることがある。そのため、第1薬液によって樹脂部分101の内部の不純物103(第2不純物103B)の除去を促進できる。以上により、樹脂部分101を有する配管着脱部材100を良好に洗浄できる。
【0095】
また、配管着脱部材洗浄装置3を用いれば、処理液配管(
図3に示す第1処理液配管30または第2処理液配管40)に取り付けられる前に配管着脱部材100を洗浄流体配管70に接続し、洗浄流体によって配管着脱部材100を洗浄することができる。したがって、樹脂部分101の内部の不純物103が予め充分に除去された配管着脱部材100を第1処理液配管30または第2処理液配管40に取り付けて、基板処理を実行することができる。
【0096】
<第2洗浄処理>
配管着脱部材洗浄装置3を用いれば、上述した第1洗浄処理とは異なる洗浄処理を実行することが可能である。
図11は、配管着脱部材洗浄装置3による洗浄処理の別の例(第2洗浄処理)を説明するためのフローチャートである。
図12Aおよび
図12Bは、第2洗浄処理を説明するための模式図である。
【0097】
第2洗浄処理では、
図11に示すように、配管着脱部材接続工程(ステップS1)、物理力洗浄工程(ステップS10)、第2薬液供給工程(ステップS3)、リンス工程(ステップS4)および配管着脱部材取外工程(ステップS5)がこの順番で実行される。
図13は、物理力洗浄工程(ステップS10)を説明するためのタイムチャートである。
以下では、配管着脱部材洗浄装置3によって実行される第2洗浄処理について、第1洗浄処理と異なる部分を中心に、
図5および
図11を参照して説明する。
図12A~
図13については適宜参照する。
【0098】
第2洗浄処理では、配管着脱部材接続工程(ステップS1)の後、第1薬液に物理力を付与しながら、配管着脱部材100を洗浄する物理力洗浄工程(ステップS10)が実行される。
具体的には、洗浄流体バルブ80および複数の分岐バルブ53が開かれ、配管着脱部材100に第1薬液が供給される(第1薬液供給工程、洗浄流体供給工程)。配管着脱部材100に第1薬液を供給しながら、
図12Aに示すように、配管ヒータ82によって洗浄流体配管70内の第1薬液が加熱される(加熱工程)。配管ヒータ82による第1薬液の加熱は、物理力洗浄工程(ステップS10)が終了するまでの間継続される。
【0099】
第1薬液は、配管ヒータ82によって加熱され、第1薬液の温度が所定の第2洗浄温度に達する。第2洗浄温度は、配管着脱部材100が第1処理液配管30に接続されている状態で、処理温度よりも高温である。第2洗浄温度は、たとえば、80℃以上である。ただし、第2洗浄温度は、洗浄流体が液体である場合、その沸点よりも低いことが好ましい。
【0100】
配管着脱部材100へ供給される第1薬液を加熱しながら、第1薬液に物理力が付与される(物理力付与工程)。具体的には、
図12Aおよび
図12Bに示すように、洗浄流体バルブ80の開閉によって第1薬液に物理力が付与される(バルブ開閉工程)。
図12Aは、洗浄流体バルブ80が開かれている状態を示しており、
図12Bは、洗浄流体バルブ80が閉じられている状態を示している。
【0101】
詳しくは、洗浄流体バルブ80を開閉することで、第1薬液に、振動またはキャビテーションを発生させ、それによって、衝撃等の物理力が第1薬液に付与できる。キャビテーションは、短時間に気泡の発生と消滅とが繰り返されることを意味する。洗浄流体バルブ80は、物理力付与ユニットの一例である。
洗浄流体バルブ80の開閉動作は、所定の時間間隔で行われる。たとえば、洗浄流体バルブ80の開閉動作は、たとえば、10秒間隔で行われる。具体的には、洗浄流体バルブ80を閉じた後に、速やかに洗浄流体バルブ80が開かれ、所定の時間間隔が経過した後に再び洗浄流体バルブ80が閉じられる。
【0102】
配管着脱部材100への第1薬液の供給は、所定の薬液供給時間T3(
図13を参照)継続される。薬液供給時間は、たとえば、10分以上である。
薬液供給時間の第1薬液の供給の後、配管ヒータ82による加熱を維持しながら、配管着脱部材100へのリンス液の供給が開始される(加熱リンス工程)。これにより、リンス液は、配管ヒータ82によって加熱され、リンス液の温度が所定の第2洗浄温度に達する。加熱リンス工程においても、配管着脱部材100へ供給されるリンス液を加熱しながら、リンス液に物理力が付与される(物理力付与工程)。具体的には、
図12Aおよび
図12Bに示すように、洗浄流体バルブ80の開閉によって第1薬液に物理力が付与される(バルブ開閉工程)。バルブの開閉動作については上述の通りである。
【0103】
配管着脱部材100へのリンス液の供給は、所定のリンス液供給時間T4(
図13を参照)継続される。リンス液供給時間は、たとえば、10分以上である。第1薬液供給工程の終了後、加熱リンス工程が開始される前に、洗浄流体配管70内の洗浄流体が、第1薬液からリンス液に切り替えられる。
その後、配管着脱部材100を加熱しながら、物理力が付与された第1薬液を配管着脱部材100に供給する第1薬液供給工程と、配管着脱部材100を加熱しながら、物理力が付与されたリンス液を配管着脱部材100に供給する加熱リンス工程とを1サイクルとする物理洗浄サイクルが複数回繰り返される。
【0104】
物理洗浄サイクルが複数回実行された後、第2薬液供給工程(ステップS3)、リンス工程(ステップS4)および配管着脱部材取外工程(ステップS5)が順次に実行される。
<第2洗浄処理における配管着脱部材の樹脂部分の状態の変化>
図14Aおよび
図14Bは、配管着脱部材100の樹脂部分101の状態を説明するための模式図である。
図14Aは、第2洗浄処理の第1薬液供給工程中の樹脂部分101の様子を示しており、
図14Bは、第2洗浄処理を実行中の加熱リンス工程中の樹脂部分101の様子を示している。
【0105】
上述した第2洗浄処理では、洗浄流体配管70を流れる第1薬液を配管ヒータ82によって加熱することで、配管着脱部材100の樹脂部分101を加熱することができる。樹脂部分101を加熱することで、
図14Aに示すように、樹脂部分101を構成する塊状樹脂102が膨張する。これにより、塊状樹脂102の膨張により発生した微小な空間(隙間104)に第1薬液が進入し、第1薬液によって樹脂部分101の内部の不純物103(第2不純物103B)を除去できる。
【0106】
さらに、第2洗浄処理では、洗浄流体バルブ80によって、第1薬液に振動、衝撃等の物理力を付与することで、樹脂部分101の内部の不純物103の除去を促進できる。物理力の付与によって、樹脂部分101の内部における不純物103の位置が変化し、洗浄流体と樹脂部分101との接触界面に不純物103が現われることがある。特に、配管着脱部材100が加熱されている状態で物理力を付与することで不純物103の除去を促進できる。物理力は、配管着脱部材100を流れる洗浄流体、または、洗浄流体配管70を介して、樹脂部分101にも伝達される。
【0107】
その後、
図14Bに示すように、リンス液を配管着脱部材100に供給することで、樹脂部分101の表面に新たに現れた不純物103を充分に除去できる。リンス液による配管着脱部材100の洗浄の際にも、樹脂部分101に対する加熱、および、物理力の付与が継続される。そのため、樹脂部分101の内部の不純物103を一層効果的に除去できる。
【0108】
第1洗浄処理および第2洗浄処理を組み合わせることができる。すなわち、温調サイクルを実行しながら洗浄流体に物理力を付与することも可能である。
図11~
図13に示す第2洗浄処理では、第1薬液供給工程および加熱リンス工程の両方において物理力の付与および洗浄流体の加熱が継続される。しかしながら、上述の洗浄処理とは異なり、第1薬液供給工程および加熱リンス工程のいずれか一方の工程においてのみ物理力の付与が行われてもよい。物理力の付与は、加熱リンス工程よりも第1薬液供給工程において実行されることが好ましい。
【0109】
<配管着脱部材洗浄装置の変形例>
以下では、
図15~
図18を用いて、配管着脱部材洗浄装置3の変形例について説明する。
図15~
図18における各変形例において、前述の
図1~
図14Bに示された構成と同等の構成については、
図1等と同一の参照符号を付してその説明を省略する。
図15は、配管着脱部材洗浄装置3の第1変形例を説明するための模式図である。第1変形例に係る配管着脱部材洗浄装置3は、第1上流配管74において洗浄流体フィルタ83に設けられた超音波発生器110を含む。超音波発生器110は、洗浄流体配管70内の洗浄流体に物理力を付与する物理力付与ユニットの一例である。
【0110】
超音波発生器110は、たとえば、圧電素子を有する。圧電素子に電圧を印加することで超音波を発生させることができる。
第2洗浄処理における物理力洗浄工程(ステップS10)において、超音波発生器110によって、洗浄流体配管70の第1上流配管74内の洗浄流体および洗浄流体配管70に超音波を付与することができる(超音波付与工程)。洗浄流体配管70内の洗浄流体および洗浄流体配管70を介して、配管着脱部材100を流れる洗浄流体または配管着脱部材100に超音波が伝達される。つまり、配管着脱部材100を流れる洗浄流体または配管着脱部材100に物理力を付与できる(物理力付与工程)。そのため、塊状樹脂102の膨張により発生した隙間104(微小な空間)に進入した洗浄流体を介して第2不純物103Bに物理力を付与することができる。これにより、樹脂部分101の内部の不純物103の除去を促進できる。
【0111】
図15に示す第1変形例に係る配管着脱部材洗浄装置3を用いて物理力の付与を行う場合においても、
図11~
図13に示す洗浄処理と同様に、第1薬液供給工程および加熱リンス工程の両方において物理力の付与および洗浄流体の加熱が継続されてもよい。また、第1薬液供給工程および加熱リンス工程のいずれか一方の工程においてのみ物理力の付与が行われてもよい。
【0112】
洗浄流体バルブ80等のバルブの開閉による洗浄流体への衝撃の付与、および、超音波発生器110が発生させる超音波の洗浄流体への付与を組み合わせることも可能である。すなわち、物理力洗浄工程(ステップS10)において、バルブの開閉による物理力、および、超音波発生器110による物理力の両方を、洗浄流体に付与してもよい。これにより、より強力な物理力を洗浄流体に付与して、第2不純物103Bを樹脂部分101の内部から効果的に除去することができる。
【0113】
図16は、配管着脱部材洗浄装置3の第2変形例を説明するための模式図である。第2変形例に係る配管着脱部材洗浄装置3は、配管ヒータ82の代わりに、配管着脱部材100であるミキシングバルブ50を加熱するように構成されている着脱部材ヒータ111をさらに含む。着脱部材ヒータ111は、配管着脱部材100の外面に直接取り付けられ、配管着脱部材100を直接的に加熱する直接加熱ヒータであってもよい。
【0114】
着脱部材ヒータ111は、ミキシングバルブ50の周囲の雰囲気を介して配管着脱部材100を加熱するように構成されていてもよい。すなわち、着脱部材ヒータ111は、配管着脱部材100から離間して配置され、配管着脱部材100の周囲の雰囲気を加熱する雰囲気加熱ヒータであってもよい。
第2変形例に係る配管着脱部材洗浄装置3を用いて
図7に示す第1洗浄処理を実行することができる。温調洗浄工程(ステップS2)では、配管着脱部材100は、着脱部材ヒータ111によって、所定の加熱時間の間加熱され、配管着脱部材100の温度が所定の第1洗浄温度に達する。着脱部材ヒータ111による配管着脱部材100の加熱が所定の加熱時間が行われた後、配管着脱部材100への第1薬液の供給を継続しながら、着脱部材ヒータ111による配管着脱部材100の加熱が停止される(加熱停止工程)。
【0115】
着脱部材ヒータ111による配管着脱部材100の加熱が停止されることによって、配管着脱部材100が冷却される。着脱部材ヒータ111の加熱の停止は、所定の加熱停止時間の間継続される。加熱が停止されることによって、配管着脱部材100は、所定の冷却温度に達する。
その後、着脱部材ヒータ111による配管着脱部材100の加熱と着脱部材ヒータ111による配管着脱部材100の加熱の停止とが、さらに少なくとも1回ずつ繰り返される。このように、第2変形例に係る配管着脱部材洗浄装置3では、配管着脱部材100の加熱と配管着脱部材100の加熱の停止とを1サイクルとする温調サイクルが複数回実行される。温調サイクルの実行中、配管着脱部材100への第1薬液の供給は継続される。
【0116】
同様に、第2変形例に係る配管着脱部材洗浄装置3を用いて
図11に示す第2洗浄処理を実行することもできる。
物理力洗浄工程(ステップS10)では、配管着脱部材100に洗浄流体を供給しながら、着脱部材ヒータ111によって、配管着脱部材100が加熱される(加熱工程)。配管着脱部材100に対する加熱は、物理力洗浄工程(ステップS10)が終了するまでの間継続される。配管着脱部材100が着脱部材ヒータ111によって加熱され、配管着脱部材100の温度が所定の第2洗浄温度に達する。
【0117】
物理力洗浄工程(ステップS10)では、配管着脱部材100を加熱しながら、第1薬液に物理力が付与される(物理力付与工程)。所定の薬液供給時間T3(
図13を参照)の第1薬液の供給の後、着脱部材ヒータ111による加熱および物理力の付与を維持しながら、配管着脱部材100へのリンス液の供給が開始される(加熱リンス工程)。これにより、配管着脱部材100が着脱部材ヒータ111によって加熱され、配管着脱部材100の温度が所定の第2洗浄温度に達する。配管着脱部材100へのリンス液の供給は、所定のリンス液供給時間T4(
図13を参照)継続される。
【0118】
その後、配管着脱部材100を加熱しながら、物理力が付与された第1薬液を配管着脱部材100に供給する第1薬液供給工程と、配管着脱部材100を加熱しながら、物理力が付与されたリンス液を配管着脱部材100に供給する加熱リンス工程とを1サイクルとする物理洗浄サイクルが複数回繰り返される。
第2変形例に係る配管着脱部材洗浄装置3を用いれば、配管着脱部材100が、直接的に加熱されるか、または、配管着脱部材100の周囲の雰囲気を介して加熱される。そのため、配管着脱部材100を効率良く所望の温度にまで加熱することができる。
【0119】
図示しないが、配管ヒータ82および着脱部材ヒータ111の両方が設けられていてもよい。すなわち、加熱ユニットとして、配管ヒータ82および着脱部材ヒータ111の少なくとも一方が設けられていればよい。
図17は、配管着脱部材洗浄装置3の第3変形例を説明するための模式図である。配管着脱部材洗浄装置3の配管構成は、
図5に示す配管構成である必要はない。たとえば、
図17に示す第3変形例に係る配管着脱部材洗浄装置3のように、
図5に示す配管着脱部材洗浄装置3とは配管構成が異なっていてもよい。
【0120】
たとえば、排出配管85が、洗浄流体配管70に直接的に接続されていてもよい。
図17に示す第3変形例では、排出配管85の上流端が第2配管72に接続されている。
また、
図5に示す配管構成では、複数の供給配管93が、洗浄流体配管70に間接的に接続されているが、
図17に示す第3変形例のように、複数の供給配管93が、洗浄流体配管70に直接的に接続されていてもよい。
【0121】
図17とは異なり、排出配管85が洗浄流体タンク73に直接的に接続されており、複数の供給配管93が洗浄流体配管70に直接的に接続されていてもよい。あるいは、排出配管85が洗浄流体配管70に直接的に接続されており、複数の供給配管93が洗浄流体タンク73に直接的に接続されていてもよい。
図18は、配管着脱部材洗浄装置3の第4変形例を説明するための模式図である。
図18に示す第4変形例に係る配管着脱部材洗浄装置3のように、洗浄流体配管70は、基板処理装置2に用いられる前、すなわち、処理液が内部を流通する前のバルブユニットおよびフィルタユニットの洗浄に適した構成であってもよい。
【0122】
詳しくは、洗浄流体配管70の第1配管71は、分岐しておらず、単一の上流端と単一の下流端とを有していてもよい。第1配管71の上流端が、洗浄流体タンク73に接続されている。第1配管71の下流端は、バルブユニットに接続可能である。第1配管71の下流端は、フィルタユニットにも接続可能である。
図18には、第2下流処理液バルブユニット47が第1配管71の下流端および第2配管72の上流端が接続されている例が図示されている。
図18には、配管ヒータ82が設けられているが、
図16に示す第2変形例と同様に、バルブユニットまたはフィルタユニットを直接的に加熱するか、あるいは、これらのユニットの周囲の雰囲気を加熱する着脱部材ヒータが設けられていてもよい。
【0123】
<基板処理装置に取り付けられている配管着脱部材の洗浄>
図19は、配管着脱部材100が基板処理装置2に取り付けられている状態で洗浄処理を行う場合の配管着脱部材洗浄装置3の配管構成を説明するための模式図である。
図19に示すように、配管着脱部材洗浄装置3が、基板処理装置2に取り付けられている状態の配管着脱部材100に対して洗浄処理を実行してもよい。その場合、第1配管71の下流端が、上流接続部60の開口部に接続され、第2配管72の上流端が、下流接続部61の開口部に接続される。
図19には、第1処理液フィルタユニット36に対応する上流接続部60および下流接続部61に洗浄流体配管70が接続されている例が図示されている。
【0124】
図19に示すように、第1配管71の下流端を上流接続部60の開口部に接続し、第2配管72の上流端を下流接続部61の開口部に接続する場合、対象の配管着脱部材100のみが洗浄されるため、洗浄による汚染の拡散を抑制できる。
また、第1実施形態とは異なり処理ユニット4に向かって処理液配管を流れる処理液によって配管着脱部材100を洗浄する場合には、洗浄に利用する液体の種類および濃度の変更が容易でないが、専用装置(配管着脱部材洗浄装置3)を用いるため、洗浄流体の液種および濃度の変更が容易である。
【0125】
また、図示しないが、第2配管72を下流接続部61に接続することなく、第1配管71の下流端を上流接続部60の開口部に接続すれば、配管着脱部材100だけでなく、対応する処理液配管(第1処理液配管30または第2処理液配管40)および処理液ノズル(第1処理液ノズル25または第2処理液ノズル26)を洗浄することができる。処理液ノズルを退避位置に配置しておけば、第1排液受け部材28または第2排液受け部材29を洗浄することもできる。
【0126】
<第2実施形態に係る基板処理システム>
第2実施形態に係る基板処理システム1Pが第1実施形態に係る基板処理システム1(
図1を参照)と主に異なる点は、第2実施形態に係る基板処理システム1Pには、配管着脱部材洗浄装置3(
図1を参照)が設けられておらず、基板処理装置2Pにおいて基板Wの処理に用いられる処理液が洗浄流体として機能する点である。
【0127】
図20において、前述の
図1~
図19に示された構成と同等の構成については、
図1等と同一の参照符号を付してその説明を省略する。後述する
図21A~
図21Fについても同様である。
基板処理装置2Pは、複数種(この実施形態では、4種類)の処理液を処理ユニット4に供給できるように構成されている。基板処理装置2Pで用いられる処理液は、APM液、DIW、HPM液およびフッ酸である。
【0128】
基板処理装置2Pにおいて、第1上流処理液配管31は、3つ設けられており、3つの第1上流処理液配管31は、処理液として、APM液、DIWおよびHPM液をミキシングバルブ50に供給するように構成されている。
3つの第1上流処理液配管31の上流端には、それぞれ、APM液供給源121、DIW供給源122およびHPM液供給源123が接続されている。これらの供給源は、タンクを有していてもよいし、タンクを有していなくてもよい。APM液供給源121は、APM液の原料となるアンモニア水を貯留するタンクと、過酸化水素水を貯留するタンクとを有していてもよい。HPM液供給源123は、HPM液の原料となる塩酸を貯留するタンクと、過酸化水素水を貯留するタンクとを有していてもよい。これらのタンクは、貯留ボックス7(
図1を参照)に格納されている。
【0129】
基板処理装置2は、3つの第1上流処理液配管31、および、第2処理液配管40を連結し、少なくともいずれかの第1処理液配管30から第2処理液配管40に洗浄流体としての処理液を供給する連結供給配管120をさらに含む。連結供給配管120は、たとえば、各第1上流処理液配管31において、第1処理液ヒータ35よりも下流側で、かつ、第1処理液フィルタユニット36よりも上流側に分岐接続されている。連結供給配管120は、たとえば、第2処理液配管40において、第2処理液ヒータ45よりも下流側で、かつ、第2処理液フィルタユニット46よりも上流側に分岐接続されている。
【0130】
基板処理装置2は、各処理液の供給先を切り替える切替ユニット125を含む。切替ユニット125は、連結供給配管120に設けられた複数の切替バルブ126を含む。
第1処理液配管30は、第1処理液配管30を流れる液体に接触する第1樹脂部分を有する。第2処理液配管40は、第2処理液配管40を流れる液体に接触する第2樹脂部分を有する。配管の樹脂部分は、たとえば、内壁であり、フッ素樹脂で形成されている。
【0131】
図4を参照して、基板処理装置2Pに備えられる各部材は、第1コントローラ5によって制御される。
<第2実施形態に係る基板処理装置による洗浄処理>
図21A~
図21Fは、基板処理装置2による洗浄処理を説明するための模式図である。
【0132】
リンス液としてのDIWおよび薬液としてのAPM液は、配管、ミキシングバルブ50、バルブユニット、フィルタユニット等の樹脂部分を洗浄する洗浄流体として機能する。基板処理装置2Pでは、APM液およびリンス液の供給先を切り替えて、処理液配管(第1処理液配管30および第2処理液配管40)と配管着脱部材100とを洗浄することができる。
【0133】
具体的には、
図21Aに示すように、全ての切替バルブ126が閉じられている状態で、第1上流処理液バルブ33および分岐バルブ53を開くことで、ミキシングバルブ50にAPM液が流入する。これにより、ミキシングバルブ50がAPM液で洗浄される。さらに、第1下流処理液配管32と、APM液供給源121に対応する第1上流処理液配管31とが洗浄される。
【0134】
その後、
図21Bに示すように、APM液供給源121に対応する第1上流処理液バルブ33および分岐バルブ53を閉じてDIW供給源122に対応する第1上流処理液バルブ33および分岐バルブ53を開くことで、ミキシングバルブ50にDIWが流入する。これにより、ミキシングバルブ50がDIWで洗浄される。
また、
図21Cに示すように、複数の切替バルブ126を開いてAPM液を、全ての第1上流処理液配管31に供給することで、APM液供給源121に対応する第1上流処理液配管31だけでなく、DIW供給源122およびHPM液供給源123に対応する第1上流処理液配管31もAPM液で洗浄することができる。ミキシングバルブ50および第1下流処理液配管32、および複数の第1処理液フィルタユニット36もAPM液で洗浄される。
【0135】
その後、
図21Dに示すように、複数の切替バルブ126の開閉状態を切り替えてDIW供給源122に対応する第1上流処理液配管31内のリンス液を、3つの第1上流処理液配管31に供給することで、3つの第1上流処理液配管31をDIWで洗浄することができる。さらに、ミキシングバルブ50および第1下流処理液配管32、および複数の第1処理液フィルタユニット36もDIWで洗浄される。
【0136】
さらに、同様の操作によって、
図21Eに示すように、APM液で第2処理液配管40を洗浄することも可能であるし、
図21Fに示すように、リンス液で第2処理液配管40を洗浄することも可能である。複数の切替バルブ126を開閉させて、第2処理液配管40にAPM液またはリンス液を流入させることができる。これにより、第2処理液配管40、第2処理液フィルタユニット46および第2下流処理液バルブユニット47を洗浄することができる。
【0137】
第1処理液(APM液またはDIW)による洗浄を行う際、第1処理液ヒータ35による第1処理液に対する加熱と第1処理液ヒータ35による第1処理液に対する加熱の停止とを繰り返すことで、ミキシングバルブ50等を洗浄する温調洗浄工程が実行されてもよい。
同様に、第1処理液による洗浄を行う際、第1処理液ヒータ35によって第1処理液を加熱しながら、第1処理液に物理力を付与する物理力付与工程が実行されてもよい。具体的には、第1上流処理液バルブ33の開閉によってAPM液に物理力(衝撃)が付与される(バルブ開閉工程)。APM液による洗浄およびリンス液による洗浄の両方において、物理力の付与が実行されてもよいし、いずれか一方の第1処理液の供給中にのみ、物理力の付与が実行されてもよい。
【0138】
第2実施形態によれば、第1処理液配管30の第1樹脂部分を洗浄する洗浄流体として機能するAPM液およびDIW(第1処理液)が、第1処理液配管30を流れる。第1処理液ヒータ35によって、第1処理液配管30を流れるAPM液およびリンス液を加熱することで、第1処理液配管30の第1樹脂部分が加熱される。
さらに、第1上流処理液バルブ33等の物理力付与ユニットによって、APM液またはDIWに、物理力を付与することで、第1樹脂部分の内部の不純物の除去を促進できる。特に、第1処理液配管30が加熱されている状態でAPM液またはDIWに物理力を付与することで不純物の除去を促進できる。
【0139】
以上により、樹脂部分を有する第1処理液配管30を良好に洗浄できる。
また第2実施形態によれば、連結供給配管120を介して第1処理液配管30に供給されたDIWまたはAPM液(第1処理液)が、第2処理液配管40に流入する。第2処理液配管40から処理ユニット4へ向けて供給されるフッ酸は、第2処理液の一例である。第1処理液ヒータ35によってDIWまたはAPM液を加熱し、物理力付与ユニットによってDIWおよびAPM液の少なくともいずれか一方に物理力を付与することで、DIWおよびAPM液による第2処理液配管40の第2樹脂部分の洗浄を促進できる。
【0140】
第2実施形態によれば、処理液によって基板処理装置2の配管のほぼ全体を洗浄することができる。そのため、基板処理装置2の立ち上がりに必要な時間を短縮できる。また、複数の切替バルブ126の開閉によって、所望の処理液による処理液配管の洗浄が実現する。
また、
図20には図示しないが、各処理液供給配管には、別の処理ユニット4および別の処理タワーTWに処理液を供給する配管が接続されている。各処理液供給配管における連結供給配管120の接続位置を、処理液供給源から各処理タワーTWに分岐する前の位置(図示せず)とすれば、洗浄対象となる処理タワーTW以外の処理タワーTWを構成する処理ユニット4では、基板処理を継続できる。
【0141】
図20に示すように、二点鎖線で示すように、洗浄流体としての第1処理液(APM液およびDIW)を供給する2つの第1上流処理液配管31には、超音波発生器127が設けられていてもよい。超音波発生器127は、2つの第1上流処理液配管31のうちのいずれか一方に設けられていてもよい。
第2実施形態とは異なり、第2処理液配管40に供給される処理液が、洗浄流体として機能してもよい。すなわち、ミキシングバルブ50が取り付けられていない配管に供給される処理液(ここでは、フッ酸)を用いて、第1処理液配管30、第2処理液配管40および配管着脱部材100を洗浄してもよい。この場合、フッ酸が洗浄流体(第1処理液)として機能する。第2処理液ヒータ45によるフッ酸の加熱と、第2処理液ヒータ45によるフッ酸の加熱の停止とを1サイクルとする温調サイクルを複数回実行してもよい。
【0142】
また、
図20では、複数の第1上流処理液配管31および第2処理液配管40を連結する連結供給配管120が設けられているとしたが、処理液配管同士を連結する連結供給配管が複数設けられていてもよい。
また、図示を省略しているが、
図20に示す基板処理装置2Pにも、流量コントローラ55、流量計56、複数の第1戻し配管38および第2戻し配管48が設けられていてもよい。
【0143】
<パーティクル測定実験>
図22は、パーティクル測定実験の結果を示すグラフである。パーティクル測定実験は、洗浄流体によって除去されたパーティクルの数を測定する実験である。
パーティクル測定実験は、以下の手順で実行された。
(1)ノズルが先端に接続された配管に、フッ素樹脂で形成された部分を有するミキシングバルブ(配管着脱部材)を配管に取り付けた。
(2)80℃に加熱されたアンモニア水を配管に15分間供給し、その後、常温(25℃程度)のアンモニア水を配管に15分間供給することを1サイクルとする温調サイクルを6時間行った。
(3)6時間の温調サイクルの後、さらに、6時間の温調サイクルを2セット行った。
(4)その後、配管内にDIWを供給して配管からアンモニア水を除去した。
(5)さらにその後、配管内にオゾン水を供給して、配管内からアンモニア水を除去した。
(6)(2)~(5)が終了した後の、基板の主面上のパーティクル数をそれぞれ測定した。
【0144】
図22に示すサンプルAは、配管内に室温のアンモニア水を供給した後の、基板の主面上のパーティクル数を測定した結果を示している。
図22に示すサンプルB~サンプルEは、上記手順の(2)~(5)がそれぞれ終了した後のパーティクル数を測定した結果を示している。各測定結果は、上記手順の(2)が終了した後のパーティクル数に対する比率で示されている。
【0145】
図22に示すように、温調サイクルを実行したサンプルBのパーティクル数が、常温のアンモニア水で充分に洗浄した後のサンプルAのパーティクル数よりも多いという結果が得られた。この結果から、サンプルBでは、温調サイクルを実行することによってミキシングバルブの樹脂部分内のパーティクルがアンモニア水に流入し、それによって、基板の主面に所持るパーティクル数が増加したものと考えられる。
【0146】
また、
図22に示すように、サンプルC~サンプルEのパーティクル数が、サンプルBのパーティクル数よりも少ないという結果が得られた。この結果から、温調サイクルによって、配管着脱部材の樹脂部分の内部からパーティクルが除去できることが推察される。
また、サンプルEのパーティクル数がサンプルAのパーティクル数よりも少ないという結果が得られた。この結果から、温調サイクルを繰り返すことによって、ミキシングバルブの樹脂部分の内部からパーティクルが充分に除去されたことが推察される。さらに、サンプルEでは、温調サイクルの後、DIWおよびオゾン水でアンモニア水を除去することで、パーティクルを含むアンモニア水がミキシングバルブの樹脂部分から充分に除去されたため、基板の主面上に生じるパーティクル数が減少したものと推察される。
【0147】
<その他の実施形態>
この発明は、以上に説明した実施形態に限定されるものではなく、さらに他の形態で実施することができる。
たとえば、
図11~
図14Bに示す第2洗浄処理の物理力付与工程において、配管着脱部材100に備えられたバルブを開閉することによって洗浄流体に物理力を付与してもよい。たとえば、ミキシングバルブ50に設けられている複数の分岐バルブ53、および、第2下流処理液バルブユニット47の少なくとも1つを開閉させるによって洗浄流体に物理力を付与してもよい。また、流量コントローラ55によって流量を調整することによって、洗浄流体に物理力を付与してもよい。
【0148】
配管着脱部材洗浄装置3によって洗浄可能な配管着脱部材100は、フィルタユニット、バルブユニット、およびミキシングバルブには限られず、たとえば、配管であってもよい。具体的には、第1処理液配管30または第2処理液配管40の一部を構成する配管等が挙げられる。
図5に示す配管着脱部材洗浄装置3において、配管ヒータ82の代わりに、洗浄流体タンク73内の洗浄流体を加熱するタンクヒータが設けられていてもよい。
【0149】
配管着脱部材洗浄装置3には、洗浄流体配管70内の洗浄流体、または、配管着脱部材100を冷却するクーラが設けられていてもよい。温調サイクルにおいて、洗浄流体の加熱が停止されている間、クーラによる冷却が行われてもよい。
図5に示す配管着脱部材洗浄装置3において、配管着脱部材100に供給された洗浄流体は洗浄流体タンク73に戻るように構成されていなくてもよく、再利用されずに洗浄流体配管70から排出されてもよい。また、洗浄流体タンク73が設けられていなくてもよい。すなわち、洗浄流体配管70には、クリーンルームに洗浄流体を供給する供給源に接続された配管が接続されていてもよい。
【0150】
上述第1実施形態に係る基板処理システム1では、配管着脱部材100が基板処理装置2の配管(処理液配管)に接続される前に、配管着脱部材洗浄装置3を用いて配管着脱部材100を洗浄できる。そのため、配管着脱部材洗浄装置3は、基板処理装置2の側方に配置されている必要はなく、基板処理装置2と同じクリーンルーム内に配置されている必要もない。
【0151】
また、
図5に示す第1洗浄処理とは異なり、第2薬液供給工程(ステップS3)は省略されてもよい。また、第2薬液供給工程(ステップS3)およびリンス工程(ステップS4)において、配管ヒータ82による洗浄流体(第2薬液およびリンス液)の加熱が、すなわち、配管着脱部材100の樹脂部分の加熱が継続されてもよい(加熱継続工程)。配管ヒータ82の代わりに着脱部材ヒータ111が用いられる場合には、第2薬液供給工程(ステップS3)およびリンス工程(ステップS4)において配管着脱部材100の加熱が継続される。
【0152】
ただし、リンス工程(ステップS4)においてリンス液の加熱を継続する場合には、配管着脱部材100へのリンス液の供給中にリンス液の加熱を停止し、その後、充分に冷却された(たとえば、常温に達した)リンス液が配管着脱部材100に供給されるようになるまで配管着脱部材100へのリンス液の供給を継続することが好ましい。すなわち、高温リンス工程の後、常温リンス工程が実行されることが好ましい。
【0153】
また、
図11に示す第2洗浄処理とは異なり、第2薬液供給工程(ステップS3)は省略されてもよい。また、物理力洗浄工程(ステップS10)において、リンス液の代わりに、オゾン水等の第2薬液が用いられてもよい。その場合、配管着脱部材100を加熱しながら、物理力が付与された第1薬液を配管着脱部材100に供給する第1薬液供給工程と、配管着脱部材100を加熱しながら、物理力が付与された第2薬液を配管着脱部材100に供給する第2薬液供給工程とが繰り返される。第1薬液供給工程を実行し、その後、第2薬液供給工程を実行することを1サイクルとする物理洗浄サイクルが複数回繰り返される。
【0154】
また、第2実施形態に係る基板処理装置2Pとは異なり、たとえば、APM液等の処理液を、処理液供給源から処理ユニット4に供給する単一の処理液配管が設けられた基板処理装置であってもよい。この基板処理装置において、処理液配管の樹脂部分を洗浄する洗浄流体として処理液を利用することもできる。
また、上述の各実施形態において、配管、ポンプ、バルブ、アクチュエータ等についての図示を一部省略しているが、これらの部材が存在しないことを意味するものではなく、実際にはこれらの部材は適切な位置に設けられている。
【0155】
なお、上述の実施形態では、「水平」、「鉛直」といった表現を用いたが、厳密に「沿う」、「水平」、「鉛直」であることを要しない。すなわち、これらの各表現は、製造精度、設置精度等のずれを許容するものである。
また、各構成を模式的にブロックで示している場合があるが、各ブロックの形状、大きさおよび位置関係は、各構成の形状、大きさおよび位置関係を示すものではない。
【0156】
その他、特許請求の範囲に記載した範囲で種々の変更を行うことができる。
【符号の説明】
【0157】
1 :基板処理システム
1P :基板処理システム
2 :基板処理装置
2P :基板処理装置
3 :配管着脱部材洗浄装置
33 :第1上流処理液バルブ(物理力付与ユニット)
43 :第2上流処理液バルブ(物理力付与ユニット)
35 :第1処理液ヒータ(加熱ユニット)
36 :第1処理液フィルタユニット
45 :第2処理液ヒータ
46 :第2処理液フィルタユニット
47 :第2下流処理液バルブユニット
50 :ミキシングバルブ
55 :流量コントローラ(物理力付与ユニット)
70 :洗浄流体配管
71 :第1配管
72 :第2配管
73 :洗浄流体タンク
80 :洗浄流体バルブ(物理力付与ユニット)
81 :洗浄流体ポンプ(物理力付与ユニット)
82 :配管ヒータ(加熱ユニット)
85 :排出配管
90 :供給ユニット
93 :供給配管
94 :供給バルブ
100 :配管着脱部材
101 :樹脂部分
110 :超音波発生器(物理力付与ユニット)
111 :着脱部材ヒータ(加熱ユニット)
127 :超音波発生器(物理力付与ユニット)
W :基板