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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-19
(45)【発行日】2025-02-28
(54)【発明の名称】散水装置
(51)【国際特許分類】
   A47K 3/28 20060101AFI20250220BHJP
   E03C 1/10 20060101ALI20250220BHJP
   A61H 7/00 20060101ALI20250220BHJP
   A61H 39/04 20060101ALI20250220BHJP
【FI】
A47K3/28
E03C1/10
A61H7/00 300G
A61H39/04 H
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2021124370
(22)【出願日】2021-07-29
(65)【公開番号】P2023019565
(43)【公開日】2023-02-09
【審査請求日】2024-04-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000005810
【氏名又は名称】マクセル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100148138
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 聡
(72)【発明者】
【氏名】石橋 和馬
(72)【発明者】
【氏名】森元 学
【審査官】七字 ひろみ
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-088885(JP,A)
【文献】米国特許第9433281(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47K 3/02- 4/00
E03C 1/00- 1/10
A61H 7/00-15/02
A61H 39/00-39/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
散水部(5)を有するヘッド部(2)と、
ヘッド部(2)から伸びて持手を形成するグリップ部(3)と、
ヘッド部(2)および/またはグリップ部(3)に設けられ、電力で駆動される駆動部(7)と、
電池(71)を有し、駆動部(7)に電力を供給する電源体(8)と、
を備え、
電源体(8)が、グリップ部(3)の内部に設けられており、
グリップ部(3)は、中空部(66)を有する中空筒状のグリップケース(55)を備え、
グリップケース(55)の中空部(66)内には、電源体(8)と、該電源体(8)を固定するソケット(98)とが配されており、
電源体(8)とソケット(98)とは、電源体(8)側の給電部(113)と、ソケット(98)側の受電部(122)とにより連結されており、
グリップケース(55)の筒内面と電源体(8)との間に、散水部(5)に連通する通水路(58)が、電源体(8)を囲む周回状に形成されていることを特徴とする散水装置。
【請求項2】
グリップケース(55)の筒内面は円筒面状に形成され、電源体(8)の外周面は円筒面状に形成されており、
電源体(8)の中心軸線(C2)と中空部(66)の中心軸線(C1)とが一致する状態で、電源体(8)がグリップケース(55)内に配されている請求項に記載の散水装置。
【請求項3】
ソケット(98)の外周面は円筒面状に形成され、グリップケース(55)の筒内面とソケット(98)の外周面との間に、散水部(5)に連通する通水路(58)が周回状に形成されており、
ソケット(98)の中心軸線(C3)と中空部(66)の中心軸線(C1)とが一致する状態で、ソケット(98)がグリップケース(55)内に配されている請求項1または2に記載の散水装置。
【請求項4】
電源体(8)が、給電部(113)を備え、電池(71)を密封状に封入してなる電池モジュール(72)と、開口部を備える有底筒状に形成され、電池モジュール(72)を内部に収容するモジュールケース(73)とからなり、
モジュールケース(73)が、ソケット(98)に対して着脱可能に構成されている請求項からのいずれかひとつに記載の散水装置。
【請求項5】
給電部(113)は、電池(71)の電力を出力する給電端子(115)を備え、受電部(122)は、給電端子(115)から出力される電力を受け取る受電端子(124)を備え、
螺合構造によるソケット(98)と電源体(8)との固定により、給電端子(115)と受電端子(124)とが接続されるように構成されている請求項に記載の散水装置。
【請求項6】
グリップケース(55)は、ヘッド部(2)と一体に設けられるベース筒(64)と、ベース筒(64)に着脱可能に連結されるグリップ筒(65)とを備え、ベース筒(64)にソケット(98)が設けられており、
ベース筒(64)および/またはソケット(98)とモジュールケース(73)との間に、ソケット(98)に対するモジュールケース(73)の螺合開始位置を表示する装着指標体(137)が設けられている請求項に記載の散水装置。
【請求項7】
給電端子(115)は、給電部(113)の給電端子設置面(114)に設けられ、受電端子(124)は、受電部(122)の受電端子設置面(123)に設けられ、ソケット(98)に対する電源体(8)の固定時に、受電端子設置面(123)に対して給電端子設置面(114)が接近するように構成されており、
給電端子設置面(114)と受電端子設置面(123)のいずれか一方に、他方に向かって突出する凸部(133)が形成され、残る他方に、凸部(133)を受け入れる凹部(134)が形成されている請求項に記載の散水装置。
【請求項8】
電池モジュール(72)は、電池(71)を収容する有底筒状のモジュール本体(81)と、モジュール本体(81)の開口部を閉塞するモジュール蓋(82)とを含み、
モジュール本体(81)とモジュール蓋(82)とが、両者(81・82)に外嵌装着される密封リング(83)で一体化されている請求項に記載の散水装置。
【請求項9】
電池モジュール(72)とモジュールケース(73)とは、電源体(8)の中心軸線(C2)の方向に相対スライド可能に構成されており、
電池モジュール(72)とモジュールケース(73)との間に、電池モジュール(72)を受電部(122)側へ向かって付勢する付勢手段(74)が設けられている請求項に記載の散水装置。
【請求項10】
受電端子(124)は、受電端子設置面(123)から突出する端子ピン(127)を備えており、
給電端子(115)は、給電端子設置面(114)に形成された凹み(116)の底部を形成する端子座(118)を備えており、
電池モジュール(72)とモジュールケース(73)とは、同行回転可能に構成されており、
ソケット(98)に対するモジュールケース(73)の螺合による固定時に、付勢手段(74)の付勢力により凹み(116)に端子ピン(127)が落ち込み係合することで端子ピン(127)と端子座(118)とが接触するように構成されている請求項に記載の散水装置。
【請求項11】
通水路(58)の下流側にソケット(98)が配され、モジュールケース(73)のケース底壁(144)が通水路(58)の上流側に配されており、
モジュールケース(73)の水路上流端部分における通水路(58)の断面積が、モジュールケース(73)よりも水路上流側の通水路(58)の断面積よりも小さくなるように形成されている請求項に記載の散水装置。
【請求項12】
通水路(58)の下流側にソケット(98)が配され、モジュールケース(73)のケース底壁(144)が通水路(58)の上流側に配されており、
モジュールケース(73)のケース底壁(144)の外面に、該ケース底壁(144)の厚み方向に凹み形成される受水凹部(145)が設けられている請求項に記載の散水装置。
【請求項13】
モジュールケース(73)よりも水路上流側の通水路(58)に、通水路(58)を流れる水に対して機能成分を添加、あるいは通水路(58)を流れる水に含まれる不純物を除去する機能部(159)である機能カートリッジ(160)が設けられている請求項に記載の散水装置。
【請求項14】
モジュールケース(73)よりも水路上流側の通水路(58)に、通水路(58)を流れる水を電気分解する機能部(159)である電極ユニット(161)が設けられている請求項に記載の散水装置。
【請求項15】
グリップケース(55)は、ヘッド部(2)と一体に設けられるベース筒(64)と、ベース筒(64)に着脱可能に連結されるグリップ筒(65)とを備え、ベース筒(64)にソケット(98)が設けられており、
グリップ筒(65)は、機能部(159)を受け止める受止部(165)を備えており、
機能部(159)が、モジュールケース(73)と受止部(165)とで挟持保持されている請求項1または1に記載の散水装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力で駆動される駆動部を備えた散水装置に関し、なかでも駆動部へ電力を供給する電源体が内蔵される形態の散水装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の散水装置は、例えば本出願人が先に提案した特許文献1に開示されている。特許文献1の散水装置(発明の名称:シャワーヘッド)は、ホースを介して供給される湯水を吐出するシャワー本体と、電力を蓄える蓄電体(電源体)とを備えており、シャワー本体は、使用者が把持するステム部と、該ステム部の先端に配されるヘッド部とを備えている。ヘッド部は、一端側に湯水が吐出される散水板を有し、散水板と対向するヘッド部の他端側には、蓄電体を装着するための装着部が形成されている。蓄電体の電力は、ステム部に形成される水路に設けられ、該水路を流れる湯水を電気分解する電解部(駆動部)と、ヘッド部の内部に設けられ、光によって電解部の動作状態や蓄電体の電力残量等を報知する光源部(駆動部)とに供給される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2020-103864号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のシャワーヘッドでは、駆動部へ電力を供給するための蓄電体が内蔵されているので、シャワーヘッドから給電用の電源ケーブル等が連出されることがなく、通常のシャワーヘッドと同様に取り扱うことができる。しかし、特許文献1のシャワーヘッドでは、駆動部とともに蓄電体がヘッド部に設けられているため、ヘッド部のサイズが大型化することが避けられない。また、蓄電体の重量で持手とされるステム部の先端に配されたヘッド部に重心が形成されるため、シャワーヘッドの使用時に持ち重りが生じる。そのため、これらヘッド部の大型化やシャワーヘッドの重心位置により、シャワーヘッドの使い勝手の悪化を招いていた。
【0005】
本発明の目的は、駆動部へ電力を供給する電源体が内蔵される散水装置において、コンパクトであり、しかも持ち重りが生じることがなく、より軽快に取り扱うことができるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の散水装置は、散水部5を有するヘッド部2と、ヘッド部2から伸びて持手を形成するグリップ部3と、ヘッド部2および/またはグリップ部3に設けられ、電力で駆動される駆動部7と、電池71を有し、駆動部7に電力を供給する電源体8とを備え、そして、電源体8がグリップ部3の内部に設けられていることを特徴とする。
【0007】
グリップ部3は、中空部66を有する中空筒状のグリップケース55を備え、グリップケース55の中空部66内には、電源体8と、該電源体8を固定するソケット98とが配されている。電源体8とソケット98とは、電源体8側の給電部113と、ソケット98側の受電部122とにより連結されている。グリップケース55の筒内面と電源体8との間に、散水部5に連通する通水路58が、電源体8を囲む周回状に形成されている。
【0008】
グリップケース55の筒内面は円筒面状に形成され、電源体8の外周面は円筒面状に形成されている。電源体8の中心軸線C2と中空部66の中心軸線C1が一致する状態で、電源体8がグリップケース55内に配されている。
【0009】
ソケット98の外周面は円筒面状に形成され、グリップケース55の筒内面とソケット98の外周面との間に、散水部5に連通する通水路58が周回状に形成されている。ソケット98の中心軸線C3と中空部66の中心軸線C1が一致する状態で、ソケット98がグリップケース55内に配されている。
【0010】
電源体8は、給電部113を備え、電池71を密封状に封入してなる電池モジュール72と、開口部を備える有底筒状に形成され、電池モジュール72を内部に収容するモジュールケース73とからなる。モジュールケース73は、ソケット98に対して着脱可能に構成されている。
【0011】
給電部113は、電池71の電力を出力する給電端子115を備え、受電部122は、給電端子115から出力される電力を受け取る受電端子124を備え、螺合構造によるソケット98と電源体8との固定により、給電端子115と受電端子124とが接続されるように構成されている。
【0012】
グリップケース55は、ヘッド部2と一体に設けられるベース筒64と、ベース筒64に着脱可能に連結されるグリップ筒65とを備え、ベース筒64にソケット98が設けられている。ベース筒64および/またはソケット98とモジュールケース73との間に、ソケット98に対するモジュールケース73の螺合開始位置を表示する装着指標体137が設けられている。
【0013】
給電端子115は、給電部113の給電端子設置面114に設けられ、受電端子124は、受電部122の受電端子設置面123に設けられ、ソケット98に対する電源体8の固定時に、受電端子設置面123に対して給電端子設置面114が接近するように構成されている。給電端子設置面114と受電端子設置面123のいずれか一方に、他方に向かって突出する凸部133が形成され、残る他方に、凸部133を受け入れる凹部134が形成されている。
【0014】
電池モジュール72は、電池71を収容する有底筒状のモジュール本体81と、モジュール本体81の開口部を閉塞するモジュール蓋82とを含む。モジュール本体81とモジュール蓋82とは、両者81・82に外嵌装着される密封リング83で一体化されている。
【0015】
電池モジュール72とモジュールケース73とは、電源体8の中心軸線C2の方向に相対スライド可能に構成されている。電池モジュール72とモジュールケース73との間に、電池モジュール72を受電部122側へ向かって付勢する付勢手段74が設けられている。
【0016】
受電端子124は、受電端子設置面123から突出する端子ピン127を備え、給電端子115は、給電端子設置面114に形成された凹み116の底部を形成する端子座118を備えている。電池モジュール72とモジュールケース73とは、同行回転可能に構成されており、ソケット98に対するモジュールケース73の螺合による固定時に、付勢手段74の付勢力により凹み116に端子ピン127が落ち込み係合することで端子ピン127と端子座118とが接触するように構成されている。
【0017】
通水路58の下流側にソケット98が配され、モジュールケース73のケース底壁144が通水路58の上流側に配されている。モジュールケース73の水路上流端部分における通水路58の断面積が、モジュールケース73よりも水路上流側の通水路58の断面積よりも小さくなるように形成されている。
【0018】
通水路58の下流側にソケット98が配され、モジュールケース73のケース底壁144が通水路58の上流側に配されている。モジュールケース73のケース底壁144の外面に、該ケース底壁144の厚み方向に凹み形成される受水凹部145が設けられている。
【0019】
モジュールケース73よりも水路上流側の通水路58に、通水路58を流れる水に対して機能成分を添加、あるいは通水路58を流れる水に含まれる不純物を除去する機能部159である機能カートリッジ160が設けられている。
【0020】
モジュールケース73よりも水路上流側の通水路58に、通水路58を流れる水を電気分解する機能部159である電極ユニット161が設けられている。
【0021】
グリップケース55は、ヘッド部2と一体に設けられるベース筒64と、ベース筒64に着脱可能に連結されるグリップ筒65とを備え、ベース筒64にソケット98が設けられている。グリップ筒65は、機能部159を受け止める受止部165を備え、機能部159は、モジュールケース73と受止部165とで挟持保持されている。
【発明の効果】
【0022】
本発明のように、グリップ部3の内部に駆動部7に電力を供給する電源体8が設けられていると、ヘッド部に蓄電体が装着されている従来の散水装置(シャワーヘッド)に比べて、ヘッド部2が大型化することを防いで、散水装置のコンパクト化を図ることができる。また、散水装置の重心位置を持手となるグリップ部3に配することができるので、持ち重りが生じることを防ぐことができる。以上のように、本発明によれば、散水装置をコンパクト化することができ、さらに重心位置による持ち重りが生じることを防ぐことができるので、軽快に取り扱うことができる使い勝手に優れた散水装置を得ることができる。
【0023】
グリップ部3のグリップケース55の筒内面と電源体8との間に、散水部5に連通する通水路58が、電源体8を囲む周回状に形成されていると、通水路58である間隙を電源体8とグリップケース55との間に設けることができる。これによれば、例えば散水装置を取り落としてグリップケース55に落下衝撃が作用するような場合であっても、当該落下衝撃を通水路58である間隙で吸収して、当該落下衝撃が電源体8に直接作用することを防ぐことができるので、電池71の破損を防いで散水装置の安全性を向上させることができる。
【0024】
グリップケース55の筒内面が円筒面状に形成され、電源体8の外周面が円筒面状に形成され、電源体8の中心軸線C2と中空部66の中心軸線C1とが一致する状態で、電源体8がグリップケース55内に配されていると、中空部66の筒内面と電源体8の外周面との間に形成される通水路58の水路幅を電源体8の全周で等幅化することができるので、電源体8の外周面に作用する水圧を均一化することができる。したがって、電源体8の外周面の一部分に過剰な水圧が作用することで電源体8が破損することを防ぐことができる。
【0025】
ソケット98の外周面が円筒面状に形成され、グリップケース55の筒内面とソケット98の外周面との間に、散水部5に連通する通水路58が周回状に形成されていると、通水路58からなる間隙をソケット98とグリップケース55との間に設けることができる。これによれば、散水装置を取り落としてグリップケース55に落下衝撃が作用するような場合であっても、当該落下衝撃を通水路58からなる間隙で吸収して、当該落下衝撃がソケット98およびソケット98に固定される電源体8に直接作用することを防ぐことができる。したがって、電池71、給電部113、および受電部122の破損を効果的に防いで散水装置の安全性をより向上させることができる。
加えて、ソケット98の中心軸線C3と中空部66の中心軸線C1とが一致する状態で、ソケット98がグリップケース55内に配されていると、上記と同様に、中空部66の筒内面とソケット98との間に形成される通水路58の水路幅をソケット98の全周で等幅化して、ソケット98の外周面に作用する水圧を均圧化することができるので、ソケット98の外周面の一部分に過剰な水圧が作用することにより、ソケット98が破損することを防ぐことができる。
【0026】
電源体8が、電池71を密封状に封入してなる電池モジュール72と、電池モジュール72を内部に収容するモジュールケース73とからなり、モジュールケース73が、ソケット98に対して着脱可能に構成されていると、電池モジュール72として封入することに加え、モジュールケース73に収容することによって電池71を2重に保護することができる。これにより、グリップケース55に衝突衝撃や落下衝撃が作用するような場合であっても、電池71が破損することをより確実に防ぐことができる。また、電池71の交換あるいは充電が必要な場合には、モジュールケース73を着脱するだけで、新規の電池モジュール72に交換、あるいは電池71に充電することが可能であり、電池71の交換や充電が容易である。
【0027】
給電部113が、電池71の電力を出力する給電端子115を備え、受電部122が、給電端子115から出力される電力を受け取る受電端子124を備え、螺合構造によるソケット98と電源体8との固定により、給電端子115と受電端子124とが接続されるように構成することができる。これによれば、ソケット98に対してモジュールケース73をねじ込むだけの簡単な操作で両端子115・124を接続することができるので、両端子115・124を接続する操作を省略して、両端子115・124の接続作業をより少ない手間で簡便に行うことができる。
【0028】
グリップケース55がヘッド部2と一体に設けられるベース筒64と、ベース筒64に着脱可能に連結されるグリップ筒65とを備え、ベース筒64にソケット98が設けられており、ベース筒64および/またはソケット98とモジュールケース73との間に、ソケット98に対するモジュールケース73の螺合開始位置を表示する装着指標体137が設けられていると、ソケット98へのモジュールケース73のねじ込み時に、その螺合開始位置を目視で認識することができるので、ソケット98に対する電源体8の固定をより素早く的確に行うことができる。
【0029】
給電端子115が、給電部113の給電端子設置面114に設けられ、受電端子124が、受電部122の受電端子設置面123に設けられ、ソケット98に対する電源体8の固定時に、受電端子設置面123に対して給電端子設置面114が接近するように構成されており、給電端子設置面114と受電端子設置面123のいずれか一方に、他方に向かって突出する凸部133が形成され、残る他方に、凸部133を受け入れる凹部134が形成されている構成を採ることができる。これによれば、ソケット98に対する電源体8の固定時に、凸部133と凹部134とで給電端子設置面114と受電端子設置面123とをねじ込み方向に対して位置決めした状態で近接させることができるので、給電端子設置面114に設けられた給電端子115と、受電端子設置面123に設けられた受電端子124とをより的確に接触させて、より確実に通電状態を確立することができる。
【0030】
電池モジュール72が、電池71を収容する有底筒状のモジュール本体81と、モジュール本体81の開口部を閉塞するモジュール蓋82とを含み、モジュール本体81とモジュール蓋82とが、両者81・82に外嵌装着される密封リング83で一体化されている構成を採ることができる。これによれば、モジュール本体81とモジュール蓋82とに外側から密封リング83を装着することで、3者81・82・83を一体化することができるので、電池モジュール72の組付けを簡便かつ迅速に行うことができる。なお、例えば、モジュール本体81とモジュール蓋82とが熱溶着で一体化されている場合には溶着装置を用意する必要があり、さらに、モジュール本体81の筒部分の厚みが比較的薄いと、これら両者81・82の溶着が適正に行われず、隙間が生じることがある。
【0031】
電池モジュール72とモジュールケース73とが、電源体8の中心軸線C2の方向に相対スライド可能に構成されており、電池モジュール72とモジュールケース73との間に、電池モジュール72を受電部122側へ向かって付勢する付勢手段74が設けられていると、付勢手段74の付勢力で受電端子124に給電端子115を押し付けてより確実に接触状態を確立することができる。したがって、両端子115・124間の接触不良に起因するスパークの発生を防ぐことができる。
【0032】
受電端子124が、受電端子設置面123から突出する端子ピン127を備え、給電端子115が、給電端子設置面114に形成された凹み116の底部を形成する端子座118を備えており、そのうえで、電池モジュール72とモジュールケース73とが、同行回転可能に構成され、ソケット98に対するモジュールケース73の螺合による固定時に、付勢手段74の付勢力により凹み116に端子ピン127が落ち込み係合することで端子ピン127と端子座118とが接触するように構成することができる。これによれば、端子ピン127が凹み116に落ち込み係合する際の音および振動で、両端子115・124が接触したことを認識することができるので、より確実に両端子115・124間の接触状態を確立させて、両端子115・124間の接触不良の発生を抑えることができる。
【0033】
通水路58の下流側にソケット98が配され、モジュールケース73のケース底壁144が通水路58の上流側に配されており、モジュールケース73の水路上流端部分における通水路58の断面積が、モジュールケース73よりも水路上流側の通水路58の断面積よりも小さくなるように形成されていると、通水路58の断面積の縮小部分で流路抵抗を生じさせ、当該流路抵抗で電源体8をソケット98側へと押し付けることができるので、ソケット98に対する電源体8の固定を強固なものとすることができる。以上より、給電部113と受電部122とによる電力の授受を適正に行うことができる。
【0034】
通水路58の下流側にソケット98が配され、モジュールケース73のケース底壁144が通水路58の上流側に配されており、モジュールケース73のケース底壁144の外面に、該ケース底壁144の厚み方向に凹み形成される受水凹部134が設けられていると、通水路58を流れる水の水勢を受水凹部134で受止めて、当該水勢で電源体8をソケット98側へと押し付けることができるので、ソケット98に対する電源体8の固定をより強固なものとすることができる。以上より、給電部113から受電部122への電力の授受をより適正に行うことができる。
【0035】
モジュールケース73よりも水路上流側の通水路58に、通水路58を流れる水に対して機能成分を添加、あるいは通水路58を流れる水に含まれる不純物を除去する機能部159である機能カートリッジ160が設けられていると、不純物を含まない水を散水部5から吐出し、あるいは機能成分を含む水を散水部5から吐出できる。また、モジュールケース73よりも水路上流側の通水路58に機能カートリッジ160が設けられていると、当該カートリッジ160を設けたにも拘らず、ヘッド部2が大型化することや、ヘッド部2寄りに重心が移動することを防ぐことができる。したがって、機能部159を設けたことにより散水装置の使い勝手が悪化することを防ぐことができる。
【0036】
モジュールケース73よりも水路上流側の通水路58に、通水路58を流れる水を電気分解する機能部159である電極ユニット161が設けられていると、水素および酸素が溶存する水を散水部5から吐出できる。また、モジュールケース73よりも水路上流側の通水路58に電極ユニット161が設けられていると、当該ユニット161を設けたにも拘らず、ヘッド部2が大型化することや、ヘッド部2寄りに重心が移動することを防ぐことができる。したがって、機能部159を設けたことにより散水装置の使い勝手が悪化することを防ぐことができる。
【0037】
グリップ筒65を、機能部159を受け止める受止部165を備えるものとし、機能部159が、モジュールケース73と受止部165とで挟持保持されるようにすると、ベース筒64にグリップ筒65を装着するだけで、機能部159を的確にグリップ筒65に保持することができる。これによれば、機能部159を保持するための構造を別途設ける必要がなく、機能部159を設けたことに伴う散水装置のコストアップを抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
図1】本発明の第1実施形態に係る散水装置の全体の縦断側面図である。
図2】散水装置の全体を示す正面図である。
図3】グリップ部を示す縦断側面図である。
図4図2におけるA-A線断面図である。
図5】給電部および受電部を示す縦断側面図である。
図6図3におけるB-B線断面図である。
図7図3におけるC-C線断面図である。
図8】電池モジュールの分解側面図である。
図9】ソケットから電源体を分離し、電源体を分解した状態を示す正面図である。
図10】ソケットから電源体を分離した状態を示す縦断側面図である。
図11】ベース筒からグリップ筒を分離した状態を示す正面図である。
図12】ヘッドケースからヘッドカバーおよびヘッドブロックを分離した状態を示す分解平面図である。
図13】ヘッドブロックを分離し、該ヘッドブロックおよびヘッドカバーを反転させた状態を示す正面図である。
図14】本発明の第2実施形態に係る散水装置を示しており、シャワーヘッドに機能カートリッジからなる機能部を搭載した状態を示す縦断正面図である。
図15】本発明の第3実施形態に係る散水装置を示しており、シャワーヘッドに電極ユニットからなる機能部を搭載した状態を示す縦断正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
(第1実施形態) 図1から図13に本発明に係る散水装置をシャワーヘッドに適用した第1実施形態を示す。本実施形態における前後、左右、上下とは、図1および図2に示す交差矢印と、各矢印の近傍に表記した前後、左右、上下の表示に従う。図2において、シャワーヘッド1は、樽型のヘッド部2と、該ヘッド部2から下向きに伸びて持手を形成するグリップ部3とを備え、該グリップ部3の下端に給水ホース4が接続されている。図1および図2に示すように、ヘッド部2の前面には、一群の散水孔(散水部)5およびマッサージ体6が配設されており、ヘッド部2の内部にマッサージ体6を駆動する駆動ユニット(駆動部)7が設けられている。駆動ユニット7は電力で駆動されるものであり、駆動ユニット7に電力を供給する電源体8が、グリップ部3の内部に設けられている。
【0040】
図1および図4に示すようにヘッド部2は、前部開口を有するカップ状のヘッドケース11と、該ヘッドケース11の前部開口部分に配され、散水孔5およびマッサージ体6を備えるヘッドブロック12と、ヘッドケース11に対して着脱可能に装着され、ヘッドブロック12を保持するリング筒状のヘッドカバー13などを備える。駆動ユニット7は、ヘッドケース11とヘッドブロック12とで囲まれる内部空間に設けられており、電源体8から供給される電力で駆動されるモーター16と、該モーター16の回転動力を減速しつつ分岐して出力する減速機構17と、これらモーター16および減速機構17を収容する駆動ケース18などを備える。
【0041】
図12および図13に示すように減速機構17は、モーター16の主軸が連結され、モーター16の回転を減速して出力する減速機19と、減速機19の主軸に連結される原動ギヤ21と、該原動ギヤ21で回転駆動される中間ギヤ22と、該中間ギヤ22の回転動力を2系統に分岐する左右一対の分岐ギヤ23・23と、分岐ギヤ23で回転駆動される4個の従動ギヤ24とを備えている。中間ギヤ22は左側の分岐ギヤ23に一体に設けられ、各分岐ギヤ23はそれぞれ2個の従動ギヤ24を駆動している。従動ギヤ24にはそれぞれ出力軸25が一体に設けられて同行回転可能に構成されており、各出力軸25から減速されたモーター16の回転動力が出力される。図13において原動ギヤ21が時計まわり方向に回転するときには、ヘッド部2の左側に配される上下の出力軸25は時計まわり方向に回転し、ヘッド部2の右側に配される上下の出力軸25は反時計まわり方向に回転する。
【0042】
図4に示すように駆動ケース18は、前後から蓋合わせ状に構成される前ケース28と後ケース29とを備え、モーター16およびギヤ群を含む減速機構17は、これら両ケース28・29の内部に収容されている。モーター16および減速機19は、後ケース29に形成された有底筒状のモーター筒30の内部に収容保持されており、各ギヤ21~24は、前後のケース28・29の間に設けられたギヤフレーム31で回転可能に軸支されている。各出力軸25は、その先端が前ケース28から駆動ケース18の前方へと突出されている。前ケース28と各出力軸25との間には、駆動ケース18の内部へ湯水(水)が侵入することを防止するシールリング32がそれぞれ設けられており、シールリング32は、前ケース28の前面に固定された押え枠33で保持されている。駆動ケース18は、後ケース29がビス34でヘッドケース11に固定されている。
【0043】
図4および図12に示すようにヘッドブロック12は、該ヘッドブロック12の基体となる、前後に扁平な円盤状のブロックベース36と、ブロックベース36の前面および上下左右の周面に被さり、多数の散水孔5が開設され、後面開口を備える有底筒状の散水板37と、該散水板37の前側に固定され、マッサージ体6を支持するリング状の支持プレート38などを備える。これら3者(ブロックベース36、散水板37、支持プレート38)は、ブロックベース36の後側から前向きにねじ込まれる4個のビス39で固定され強固に一体化されている(図13参照)。
【0044】
図4に示すようにマッサージ体6は、後向きに開口するコ字状断面を持つリング部41と、該リング部41の前面に突設される中実円錐柱状の固定マッサージ体42と、有底筒状の可動マッサージ体43とを備えており、マッサージ体6の全体は、可撓性を有するゴム素材で形成されている。固定マッサージ体42および可動マッサージ体43は、正面視においてヘッドブロック12の前後方向の中心軸線を中心とする円上に等角度間隔置きに設けられており、4個の固定マッサージ体42と4個の可動マッサージ体43とが交互に配されている(図2参照)。各可動マッサージ体43の先端には、円柱状に形成された5個の刺激突起44が突設されている。支持プレート38はリング部41の内部に配されて、これら両者(支持プレート38、リング部41)が一体化されており、散水板37の前面に凹み形成された周回状の装着凹部45に支持プレート38およびリング部41が収容される状態で、先の3者(ブロックベース36、散水板37、支持プレート38)が一体化される。
【0045】
図2に示すように一群の散水孔5は、散水板37の前壁に凹み形成された装着凹部45の内側および外側に設けられている。装着凹部45の内側の散水孔5は、二重の同心円上に等間隔置きに配されており、装着凹部45の外側の散水孔5も、二重の同心円上に等間隔置きに配されている。装着凹部45の外側の散水孔5のうち、可動マッサージ体43がマッサージ動作を行った際に、正面視において散水板37と可動マッサージ体43とが重畳する部分に位置する散水孔5は省略されている。これにより、散水孔5から吐出された湯水が可動マッサージ体43に衝突することを回避することができるので、意図しない方向へ湯水が拡散されることを防ぐことができる。図4に示すように、散水孔5が設けられる散水板37の前面と、リング部41の前面とは滑らかに連続しており、これら両者(散水板37、リング部41)で形成されるヘッド部2の前面は、全体として前凸湾曲する部分球殻状に形成されている。
【0046】
可動マッサージ体43は、操作軸48を介して駆動ユニット7の出力軸25で駆動されている。図4に示すように操作軸48は、中空筒状に形成されて出力軸25が差込まれる連結軸49と、く字状に形成される操作アーム50とを備えており、連結軸49と操作アーム50とは、連結ビス51で同行回転可能に一体化されている。操作軸48は、連結軸49がブロックベース36で回転可能に軸支されており、連結軸49の中心軸線に対して傾斜する操作アーム50の先端部分が可動マッサージ体43の内部に挿入される。出力軸25の先端は十字軸状に形成され、連結軸49の中空部は出力軸25の十字軸に対応する十字穴で形成されており、これら十字軸と十字穴が係合することにより、出力軸25の回転動力が、操作軸48へと伝動される。出力軸25により操作軸48が回転駆動されると、連結軸49の中心軸線に対して傾斜する操作アーム50の先端操作はシャワーヘッドの正面視において回転軌跡を描くように駆動され、これにより可動マッサージ体43も回転軌跡を描くように操作アーム50で操作される。
【0047】
図12および図13に示すように、ヘッドケース11の前側外周縁には、等間隔置きに4個のバヨネット溝52が形成されており、ヘッドカバー13の後側内周縁には、バヨネット溝52に対応して、等間隔置きに4個のバヨネット爪53が形成されている。これらバヨネット溝52とバヨネット爪53との係脱により、ヘッドケース11に対してヘッドカバー13が装着され、あるいはヘッドケース11からヘッドカバー13が分離される。
【0048】
図1に示すように、グリップ部3は中空筒状のグリップケース55を備え、グリップケース55が連結されたヘッドケース11の下部周壁には、外部水源から供給される水をヘッド部2の内部へと流入させる給水口56が設けられている。ヘッド部2の内部には、給水口56から散水孔5へと至る給水路57が形成されており、グリップ部3の内部には、給水ホース4から給水口56へと至る通水路58が形成されている。図1および図4に示すように給水路57は、ヘッド部2の前半部において前ケース28およびヘッドブロック12と、ヘッドケース11およびヘッドカバー13との間に区画され、マッサージ体6の外側に配された一群の散水孔5に湯水を送給する主給水路59と、ブロックベース36に区画され、マッサージ体6の内側に配された一群の散水孔5に湯水を送給する副給水路60とを備えている。主給水路59と副給水路60とは、ブロックベース36を左右に貫通するように形成された連絡水路61で連通しており(図13参照)、給水口56からヘッド部2の内部へと送給された水は、給水路57を介して散水孔5へと至り、各散水孔5から前方向へ吐出される。主給水路59の後端側は、ヘッドケース11と駆動ケース18(前ケース28)との間に配した水密パッキン62により水密状に区画されており、ヘッド部2の内部後半部に水が侵入することを阻止している。
【0049】
図1に示すように、グリップケース55の中空部66に給水口56および給水路57を介して散水孔5へと連通する通水路58が形成されている。グリップケース55は、ヘッドケース11(ヘッド部2)と一体に形成されるベース筒64と、ベース筒64に対して着脱可能に連結されるグリップ筒65とを備えており、有底筒状に形成されたグリップ筒65の下端に給水ホース4の終端が螺合構造により連結されている。グリップケース55の内径断面は円形に形成され、外径断面も円形に形成されている。図11に示すように、グリップ筒65の上側外周縁には、等間隔置きに4個のバヨネット溝67が形成されており、ベース筒64の下側内周縁には、バヨネット溝67に対応して等間隔置きに4個のバヨネット爪68が形成されている。これらバヨネット溝67とバヨネット爪68との係脱により、ベース筒64に対してグリップ筒65が装着され、あるいはベース筒64からグリップ筒65が分離される。ベース筒64からグリップ筒65を分離すると、グリップケース55の中空部66に設けた電源体8を露出させることができる。図5等において符号69は、ベース筒64とグリップ筒65の連結部分を水密状に封止するパッキンである。
【0050】
図3および図9に示すように電源体8は、電池71を密封状に封入してなる電池モジュール72と、上方に開口部を備える有底筒状に形成され、電池モジュール72を内部に収容するモジュールケース73とからなり、モジュールケース73は、ソケット98に対して着脱可能に構成されている。電池モジュール72とモジュールケース73とは、電源体8の中心軸線C2の方向に相対スライドでき、これら両者(電池モジュール72、モジュールケース73)の間に、電池モジュール72を開口部側に向かって押上げ付勢する付勢手段74が設けられている。付勢手段74は、電池モジュール72に接当する接当体75と、接当体75に押上げ付勢力を付与するコイルばね76からなる。接当体75は、該接当体75の下端部に外向きに突出形成された引掛爪77がモジュールケース73の内面下部に内向きに張り出し形成された規制段部78に引っ掛かることで、モジュールケース73から分離しないよう抜け止め保持されている。
【0051】
図8に示すように電池モジュール72は、充電回路を一体に備える二次電池からなる電池71と、上方開口(開口部)を有する有底筒状に形成され、電池71を内部に収容するモジュール本体81と、モジュール本体81の上方開口を閉塞するモジュール蓋82と、これら両者(モジュール本体81、モジュール蓋82)を一体化する密封リング83などで構成される。密封リング83は、モジュール本体81に外嵌する円環状に形成されるリング本体86と、リング本体86から上方に向かって延設される4個の係止爪87とを備えている。
【0052】
モジュール本体81の開口縁(上縁)には、モジュール本体81よりも大径の係止筒88が一体に設けられており、先の係止爪87に対応する部分の係止筒88は部分的に切欠かれて係止スリット89が形成されている。また、モジュール蓋82は、係止筒88の上部に被さる大径蓋部90と、大径蓋部90の下側に一体に形成され係止筒88の内部に進入する小径蓋部91と、小径蓋部91の下側に一体に形成されモジュール本体81に進入するプラグ部92とを備えており、小径蓋部91の周面には、係止スリット89に対応して、係止爪87が係止される4個の係止段部93が外向きに張り出し形成されている。
【0053】
電池モジュール72の組付けは、モジュール本体81の内部に電池71を挿入し、プラグ部92をモジュール本体81の内部に挿入するように、モジュール本体81の上方開口にモジュール蓋82を嵌め込む。次いで、モジュール本体81に外嵌するように、モジュール本体81の下方から密封リング83を差込み、係止スリット89と係止爪87とを位置合わせしたうえで、係止爪87を係止段部93に係止させる。この状態では、大径蓋部90とリング本体86とで係止筒88を上下から挟持しており、これにて、モジュール蓋82および密封リング83は、モジュール本体81に対して不動状に一体化される。なお、電池71の正極と負極とはリード線で後述する給電部113と予め接続しておく。図8において符号94は、モジュール本体81とプラグ部92との間を水密状に封止するパッキンであり、電池71は、プラグ部92とモジュール本体81の底壁とで上下方向に挟持されている。
【0054】
図9および図10に示すように、ベース筒64の内方には、筒状のソケット固定筒97が設けられており、ベース筒64部分のグリップ部3は2重筒状に構成されている。ソケット固定筒97の下端には、電源体8のモジュールケース73が固定されるソケット98が設けられている。ソケット98は、円盤状のソケットベース99と、該ソケットベース99の周縁から下向きに延設されるソケット筒100と、ソケットベース99の上面から上向きに設けられる筒軸状の固定軸101とを備えている。ソケット98は、固定軸101がソケット固定筒97に挿入されソケットベース99の上面周縁部がソケット固定筒97の下端面と接当した状態で、ソケット固定筒97の内部に形成されたねじボス102にビス103がねじ込まれて、ソケット固定筒97に固定される。電源体8は、ソケット98に対して螺合構造により着脱可能に構成される。
【0055】
ソケット筒100は、ソケットベース99の周縁から下向きに連続する小径の基端筒部106と、該基端筒部106から下向きに連続する大径の先端筒部107とで段付き筒状に形成されており、基端筒部106の内面上部に、螺合構造を構成する1条ねじからなる雌ねじ部108が刻設されている。モジュールケース73の外側上部には、雌ねじ部108とともに螺合構造を構成する1条ねじからなる雄ねじ部109が刻設されており、雌ねじ部108に雄ねじ部109をねじ込むことにより、ソケット98に対してモジュールケース73が固定される。このとき、基端筒部106と先端筒部107との段部にモジュールケース73の筒上端が接当することにより、ソケット98に対するモジュールケース73のねじ込み限界が規定される。図3および図10において符号110は、ソケット98とモジュールケース73との間を水密状に封止するパッキンである。
【0056】
図3図6および図7に示すように、グリップケース55の中空部66は、その筒内面が円筒面状に形成されており、電源体8を構成するモジュールケース73の外周面およびソケット98の外周面は円筒面状に形成されている。また、グリップケース55の中空部66の中心軸線C1、電源体8の中心軸線C2、およびソケット98の中心軸線C3は、グリップ部3の伸び方向に沿うよう配されており、それぞれの中心軸線C1・C2・C3は、一致する状態で各部材(グリップケース55、電源体8、ソケット98)が配されている。これにより、グリップケース55と電源体8との間、およびグリップケース55と電源体8との間の通水路58は周回状に形成され、さらにその放射方向の水路幅は電源体8およびソケット98の全周において等幅となっている。また、ベース筒64とソケット固定筒97との間も周回状の通水路58とされている。
【0057】
図3および図10に示すように、電池モジュール72(電源体8)のモジュール蓋82には、給電部113が設けられている。給電部113は、通水路58の流れ方向に直交する面で構成される給電端子設置面114を備え、該給電端子設置面114に電池71の電力を出力する一対の給電端子115が設けられている。モジュール蓋82の上面が給電端子設置面114とされており、給電端子設置面114には、電源体8の中心軸線C2を対称中心にして点対称となる位置にそれぞれ凹み116が形成されており、該凹み116部分のそれぞれに給電端子115が配されている。
【0058】
給電端子115は、一部がねじ軸とされた軸部117と、該軸部117の上端に一体に形成される、断面太鼓型の端子座118とを備えており、該端子座118の上面は、凹み116の底部を形成している。給電端子115は、端子座118と軸部117のねじ軸部分に螺合されたナット119とでモジュール蓋82を上下方向から挟む状態でモジュール蓋82に固定されている。図示していないが、一方の給電端子115に電池71の正極がリード線で接続され、他方の給電端子115に電池71の負極がリード線で接続されている。
【0059】
図3および図10に示すように、ソケット98のソケットベース99には、先の給電部113と対向するように、受電部122が設けられている。受電部122は、ソケット98にモジュールケース73が螺合装着された状態において給電端子設置面114と正対する受電端子設置面123を備え、該受電端子設置面123に給電端子115から出力される電力を受け取る一対の受電端子124が設けられている。ソケットベース99の下面が受電端子設置面123とされており、一対の受電端子124は、ソケット98の中心軸線C3を対称中心にして点対称となる位置にそれぞれ配されている。
【0060】
受電端子124は、一部がねじ軸とされた軸部125と、該軸部125の下端に一体に形成される、断面太鼓型のフランジ部126と、フランジ部126から下向きに伸びる端子ピン127とを備えている。受電端子124は、フランジ部126と軸部125のねじ軸部分に螺合されたナット128とでソケットベース99を上下方向から挟む状態でソケット98に固定されており、端子ピン127の先端(下端)は、受電端子設置面123よりも下方に突出している。図示していないが、各受電端子124にはリード線が接続されており、当該リード線はヘッド部2の内部へと配線され、モーター16などへ電力を供給する。
【0061】
図7および図9に示すように、モジュールケース73の内面後側には、電源体8の中心軸線C2と平行に伸びる二条のレール131が内向きに突出形成されている。また、電池モジュール72の外面後側には、レール131を案内するガイド溝132が凹み形成されている。電池モジュール72は、そのガイド溝132をモジュールケース73のレール131に位置合わせした状態で、モジュールケース73の内部に収容できるようになっており、電池モジュール72とモジュールケース73とは、相対スライドできることに加え、レール131とガイド溝132との係止により同行回転可能とされている。
【0062】
電池モジュール72とソケット98との間には、モジュールケース73のねじ込み操作時に、これら両者(電池モジュール72(電源体8)、ソケット98)の中心軸線C2・C3が位置ずれすることを防ぐ位置決め構造が設けられている。該位置決め構造は、給電端子設置面114と受電端子設置面123のいずれか一方に設けられ、他方に向かって突出する凸部133と、残る他方に設けられ、凸部133を受け入れる凹部134とで構成される。凸部133は前後一対の部分円環状の突起からなり、凹部134は円環状の凹みからなる。本実施形態では、図6に示すように、受電端子設置面123に凸部133が設けられ、給電端子設置面114に凹部134が設けられている。ソケット98にモジュールケース73をねじ込むときには、凸部133が凹部134に進入することにより、中心軸線C2が同軸線C2に直交する方向へ位置ずれすることを規制する。
【0063】
ソケット98とモジュールケース73の間に設けられた雌ねじ体108および雄ねじ体109は1条ねじで構成されているため、雌雄のねじ体108・109の螺合開始位置は1ヶ所となる。この螺合開始位置を明確化するために、装着指標体137が設けられている。装着指標体137は、ベース筒64の外面前部に突出形成された基準マーク138と、モジュールケース73の外面前部に突出形成された始端マーク139とからなる。電源体8がソケット98から分離された状態において、基準マーク138に対して始端マーク139が合致するように位置合わせし、ソケット筒100にモジュールケース73の上端を差し込むと、雌ねじ体108の始端部と雄ねじ体109の始端部とが隣り合うように配される。この状態で、モジュールケース73を右まわりに回転させると、モジュールケース73を不必要に回転させることもなく、すぐに雌雄のねじ体108・109の螺合が開始される。なお、基準マーク138はソケット98に形成することもできる。
【0064】
装着指標体137の基準マーク138は、ベース筒64に設けられたバヨネット溝67とグリップ筒65に設けられたバヨネット爪68との係脱状態を示すグリップ指標体を兼ねており、該グリップ指標体は、基準マーク138と、グリップ筒65の外面前部に突出形成された解除マーク140およびロックマーク141とで構成されている。グリップ筒65の前面のマークのうち右側が解除マーク140であり、解除マーク140が基準マーク138と合致しているときには、バヨネット溝67からバヨネット爪68が抜け出しており、ベース筒64に対してグリップ筒65を上下方向に抜き差しできる。また、左側がロックマーク141であり、ロックマーク141が基準マーク138と合致しているときには、バヨネット溝67とバヨネット爪68とが係合しており、ベース筒64に対してグリップ筒65が固定されている。
【0065】
図3に示すように、通水路58の上流側に配されるモジュールケース73のケース底壁144部分においては、周回状に形成される通水路58の断面積が、モジュールケース73よりも水路上流側における円柱状の通水路58の断面積よりも小さくなるように形成されている。また、ケース底壁144の外面には、ケース底壁144の厚み方向に凹み形成される受水凹部145が形成されている。これら構造により、グリップケース55の中空部66に電源体8が固定された状態で通水路58に湯水が供給されると、前記断面積の縮小部分では流路抵抗が生じ、受水凹部145では通水路58を流れる湯水の水勢をモジュールケース73が受け止める。そのため、湯水の供給によって生じるこれら流路抵抗の発生および湯水の水勢の受け止めにより、電源体8にはソケット98側に作用する押付力が発生する。
【0066】
電源体8よりも上流側の通水路58、すなわちグリップ筒65の底壁とモジュールケース73のケース底壁144との領域における通水路58は円柱状の水路とされており、当該水路の筒内面には、等間隔置きに4個のリブ壁146が内向きに突出形成されている。ベース筒64にグリップ筒65を装着したとき、リブ壁146の上端がケース底壁144に接当して、電源体8の下方への移動を規制している。
【0067】
ヘッド部2の後面には、駆動ユニット7の作動状態を操作する電源スイッチ148が設けられている。電源スイッチ148は、タクト式のスイッチ本体149と、スイッチ本体149を押込み操作する操作ボタン150とを備えており、スイッチ本体149は駆動ユニット7の動作を制御する制御基板151に実装されている。駆動ユニット7が停止している状態で操作ボタン150を押込み操作すると、制御基板151はモーター16に通電し、マッサージ体6の可動マッサージ体43が操作されマッサージ動作が行われる。モーター16はまず弱いマッサージ刺激を付与するための弱モード(低回転数)で駆動され、再度操作ボタン150を押込み操作すると、モーター16は強いマッサージ刺激を付与するための強モード(高回転数)で駆動される。強モードにおいて操作ボタン150を押込み操作すると、制御基板151はモーター16を停止させる。以後は、操作ボタン150を押込み操作する毎に、制御基板151はモーター16の弱モード、強モード、停止を繰り返し制御する。
【0068】
外部水源からシャワーヘッド1へと湯水が供給されると、通水路58、給水口56、給水路57を経て多数の散水孔5から湯水が吐出される。上記のマッサージ動作は、湯水の吐出如何に関わらず行うことができ、外部水源から湯水が供給されない状態では、マッサージ体6にマッサージ動作を行わせた状態で、固定マッサージ体42および可動マッサージ体43を頭部にあてがうことにより、頭皮等にマッサージ刺激を付与することができる。また、外部水源から湯水が供給される状態では、頭髪に付着の洗剤等を洗い流しつつ頭皮等にマッサージ刺激を付与することができる。なお、可動マッサージ体43の動作により、頭髪に付着の洗剤等の洗い流しを補助することができる。
【0069】
駆動ユニット7で電力が消費された電池71は、シャワーヘッド1から分離して充電を行う。図2の状態のシャワーヘッド1から電源体8を取り外す場合、まず、ヘッドケース11を支持した状態のままグリップ筒65を左まわりに回転させ、基準マーク138に解除マーク140を合致させることで、バヨネット溝67とバヨネット爪68との係合を解除する。この状態で、グリップ筒65を下方にスライドさせると、ベース筒64からグリップ筒65が分離できる。次いで、ヘッドケース11を固定した状態のままモジュールケース73を左まわりに回転させ、雌ねじ体108と雄ねじ体109との螺合状態を解除することで、電源体8をソケット98から分離でき、さらにモジュールケース73から電池モジュール72を引き出すことで、電池モジュール72を取り出すことができる。取り出された電池モジュール72は充電器(図示していない)に装着することにより、電池71を充電することができる。
【0070】
電池モジュール72の充電後、電源体8を取り付けるには、まず、レール131とガイド溝132とを位置合わせしたうえで、モジュールケース73の筒内部に電池モジュール72を挿入する。次いで、基準マーク138と始端マーク139とを位置合わせしたうえで、モジュールケース73の雄ねじ体109側の筒端をソケット筒100の筒内に差し込む(図9図10参照)。このとき、電池モジュール72の下端は接当体75に接当しコイルばね76の付勢力で持ち上げられているので、ソケット98の凸部133は電池モジュール72の凹部134に僅かに侵入する。この状態から、モジュールケース73を右まわりに回転させると、雌雄のねじ体108・109の螺合が開始される。つまり、基準マーク138と始端マーク139とを合致させることで、雌ねじ体108の始端と雄ねじ体109の始端とが隣り合うように配することができるので、モジュールケース73を回転させた時点で雌雄のねじ体108・109の螺合を開始させることができる。
【0071】
さらにモジュールケース73を右まわりに回転させると、雌雄のねじ体108・109の螺合が進行するとともに電池モジュール72はモジュールケース73と同行回転しながら上昇し、給電端子設置面114と受電端子設置面123とが近づく。雌雄のねじ体108・109の螺合がある程度進行した時点で給電端子設置面114あるいは給電端子115の端子座118の上面が端子ピン127の先端で受止められ電池モジュール72はコイルばね76の付勢力で端子ピン127に押し付けられる。続けてモジュールケース73を右まわりに回転させ、基端筒部106と先端筒部107との段部にモジュールケース73の筒上端が接当すると、ソケット98に対するモジュールケース73の螺合が完了し、ソケット98に電源体8が固定される。このとき、電池モジュール72は、その回転によって端子ピン127の凹み116への落ち込みと給電端子設置面114への乗り上がりとを数回繰り返し、電源体8の固定が完了した時点では、端子ピン127は凹み116へと落ち込んで、両端子115・124が接続される。ソケット98に電源体8が固定されたとき、端子ピン127は凹み116へと落ち込むので、その際の音と振動で、両端子115・124が接続されたことを認識できる。また、凹み116に端子ピン127が落ち込み係合することで、電池モジュール72を介してモジュールケース73の回転が規制される。
【0072】
ソケット98に対する電源体8の固定が完了したら、電源体8がグリップ筒65の内部に収容されるように、基準マーク138と解除マーク140とを位置合わせしたうえで、下方からグリップ筒65をベース筒64に差し込む(図11参照)。さらに、ヘッドケース11を固定した状態のままグリップ筒65を右まわりに回転させ、基準マーク138にロックマーク141を合致させることで、バヨネット溝67とバヨネット爪68とが係合され、ベース筒64に対するグリップ筒65の装着が完了する。
【0073】
シャワーヘッド1の使用により給水路57を含む湯水の水路に水垢等が付着し散水孔5からの湯水の出方が悪化することがあるため、湯水の水路は定期的に清掃することが好ましい。図2の状態のシャワーヘッド1からヘッドブロック12を取り外す場合には、まず、ヘッドケース11に装着されているヘッドカバー13を左まわり(正面視で反時計まわり)方向へ回転操作する。これにより、バヨネット爪53とバヨネット溝52との係合が解除されるので、ヘッドケース11からヘッドカバー13を手前側に分離することができる。また、ヘッドカバー13の分離により、ヘッドケース11に対するヘッドブロック12の保持が解除されるので、ヘッドケース11からヘッドブロック12を前方へと取り外すことができる。ヘッドブロック12を取り外したのち、ヘッドブロック12、ヘッドカバー13、およびヘッドケース11の内部を清掃することで、これらに付着の水垢等を除去することができる。清掃後は、出力軸25と操作軸48とを位置合わせしたうえで、ヘッドケース11に対してヘッドブロック12を前方から後方に差し込み、さらにヘッドカバー13をヘッドケース11の前面に被せつけたうえで右まわり(正面視で時計まわり)方向へ回転操作することで、バヨネット爪53とバヨネット溝52とが係合されるので、ヘッドケース11に対してヘッドカバー13を装着することができる。ヘッドカバー13の装着により、ヘッドケース11に対するヘッドブロック12の保持が確立される。
【0074】
上記のヘッドカバー13の着脱操作を容易化するために、グリップ部3と同様にヘッド部2には、ヘッドケース11に設けられたバヨネット溝52とヘッドカバー13に設けられたバヨネット爪53との係脱状態を示すヘッド指標体が設けられている。図2および図12に示すようにヘッド指標体は、ヘッドケース11の外側上部に突出形成された基準マーク154と、ヘッドカバー13の外面上部に突出形成された解除マーク155とロックマーク156とで構成されている。ヘッドカバー13の上面のマークのうち右側が解除マーク155であり、解除マーク155が基準マーク154と合致しているときには、ヘッドケース11に対してヘッドカバー13を前後方向に抜き差しできる。また、左側がロックマーク156であり、ロックマーク156が基準マーク154と合致しているときには、バヨネット溝52とバヨネット爪53とが係合してヘッドケース11に対してヘッドカバー13が固定される。
【0075】
以上のように、本実施形態のシャワーヘッド1では、グリップ部3の内部に駆動ユニット7に電力を供給する電源体8を設けたので、ヘッド部に蓄電体が装着されている従来のシャワーヘッドに比べて、ヘッド部2のサイズが大型化することを防いで、シャワーヘッド1のコンパクト化を図ることができる。また、シャワーヘッド1の重心位置を持手となるグリップ部3に配することができるので、持ち重りが生じることを防ぐことができる。以上より、本実施形態によれば、シャワーヘッド1をコンパクト化でき、さらに重心位置による持ち重りが生じることを防ぐことができるので、軽快に取り扱うことができる使い勝手に優れたシャワーヘッド1を得ることができる。
【0076】
グリップ部3のグリップケース55の筒内面と電源体8との間に、散水孔5に連通する通水路58を電源体8を囲む周回状に形成したので、通水路58である間隙を電源体8とグリップケース55との間に設けることができる。これにより、例えば散水装置を取り落としてグリップケース55に落下衝撃が作用するような場合であっても、当該落下衝撃が電源体8に直接作用することを防ぐことができるので、電池71の破損を防いで散水装置の安全性を向上させることができる。
【0077】
電源体8の中心軸線C2と中空部66の中心軸線C1とが一致する状態で、外周面を円筒面状に形成した電源体8を筒内面を円筒面状に形成したグリップケース55内に配したので、中空部66の筒内面と電源体8の外周面との間に形成される通水路58の水路幅を電源体8の全周で等幅化して、電源体8の外周面に作用する水圧を均一化することができる。これにより、電源体8の外周面の一部分に過剰な水圧が作用することによる電源体8の破損を防ぐことができる。
【0078】
グリップケース55の筒内面とソケット98の外周面との間に、散水孔5に連通する通水路58を周回状に形成したので、通水路58からなる間隙をソケット98とグリップケース55との間に設けることができる。これによれば、散水装置を取り落とした際にグリップケース55に作用する落下衝撃がソケット98およびソケット98に固定される電源体8に直接作用することを回避することができるので、電池71や給電部113および受電部122の破損を効果的に防いで散水装置の安全性をより向上させることができる。加えて、ソケット98の中心軸線C3と中空部66の中心軸線C1が一致する状態で、外周面を円筒面状に形成したソケット98をグリップケース55内に配したので、上記と同様に、中空部66の筒内面とソケット98との間に形成される通水路58の水路幅をソケット98の全周で等幅化して、ソケット98の外周面に作用する水圧を均圧化することができる。これにより、ソケット98の外周面の一部分に過剰な水圧が作用することにより、ソケット98が破損することを防ぐことができる。
【0079】
電源体8を、電池71を密封状に封入してなる電池モジュール72と電池モジュール72を内部に収容するモジュールケース73とで構成し、モジュールケース73を、ソケット98に対して着脱可能に構成したので、電池モジュール72として封入することに加えて、モジュールケース73に収容することによって電池71を2重に保護することができ、電池71の破損を可及的に防ぐことができる。また、電池71の交換あるいは充電が必要な場合には、モジュールケース73を着脱するだけで、新規の電池モジュール72に交換、あるいは電池71に充電することが可能であり、電池71の交換や充電が容易である。
【0080】
螺合構造によるソケット98と電源体8との固定により、給電端子115と受電端子124とを接続するように構成したので、ソケット98に対してモジュールケース73をねじ込むだけの簡単な操作で両端子115・124を接続することができる。したがって、別途両端子115・124を接続する操作を省略して、両端子115・124の接続作業を少ない手間で簡便に行うことができる。
【0081】
ベース筒64および/またはソケット98とモジュールケース73との間に、ソケット98に対するモジュールケース73の螺合開始位置を表示する装着指標体137を設けたので、ソケット98へのモジュールケース73のねじ込み時に、その螺合開始位置を目視で認識することができ、ソケット98に対する電源体8の固定を素早く的確に行うことができる。
【0082】
給電端子115を給電部113の給電端子設置面114に設け、受電端子124を受電部122の受電端子設置面123に設け、ソケット98に対する電源体8の固定時に、受電端子設置面123に対して給電端子設置面114が接近するように構成した。また、受電端子設置面123に他方に向かって突出する凸部133を形成し、給電端子設置面114に凸部133を受け入れる凹部134を形成した。これによれば、ソケット98に対する電源体8の固定時に、凸部133と凹部134とで給電端子設置面114と受電端子設置面123とをねじ込み方向に対して位置決めした状態で近接させることができるので、給電端子設置面114に設けられた給電端子115と、受電端子設置面123に設けられた受電端子124とを的確に接触させて、より確実に通電状態を確立することができる。
【0083】
電池モジュール72を、電池71を収容する有底筒状のモジュール本体81と、モジュール本体81の開口部を閉塞するモジュール蓋82とを含むものとし、モジュール本体81とモジュール蓋82とを、両者81・82に外嵌装着される密封リング83で一体化したので、モジュール本体81とモジュール蓋82とに外側から密封リング83を装着することで、3者81・82・83を一体化でき、電池モジュール72の組付けを簡便かつ迅速に行うことができる。
【0084】
電池モジュール72とモジュールケース73とを、電源体8の中心軸線C2の方向に相対スライド可能に構成し、電池モジュール72とモジュールケース73との間に、電池モジュール72を受電部122側へ向かって付勢する付勢手段74を設けたので、付勢手段74の付勢力で受電端子124に給電端子115を押し付けてより確実に接触状態を確立することができる。したがって、両端子115・124間の接触不良に起因するスパークの発生を防ぐことができる。
【0085】
電池モジュール72とモジュールケース73とを同行回転可能に構成して、ソケット98に対するモジュールケース73の螺合による固定時に、付勢手段74の付勢力により凹み116に端子ピン127が落ち込み係合することで端子ピン127と端子座118とが接触するように構成したので、端子ピン127が凹み116に落ち込み係合する際の音および振動で、両端子115・124が接触したことを認識することができ、より確実に両端子115・124間の接触状態を確立させて、両端子115・124間の接触不良の発生を抑えることができる。
【0086】
通水路58の下流側にソケット98を配し、モジュールケース73のケース底壁144を通水路58の上流側に配し、モジュールケース73の水路上流端部分における通水路58の断面積を、モジュールケース73よりも水路上流側の通水路58の断面積よりも小さくなるように形成したので、通水路58の断面積の縮小部分で流路抵抗を生じさせ、当該流路抵抗で電源体8をソケット98側へと押し付けることができ、ソケット98に対する電源体8の固定をより強固なものとすることができる。また、このように電源体8の固定をより強固なものとすることで、給電部113と受電部122とによる電力の授受をより適正化することができる。
【0087】
通水路58の下流側にソケット98を配し、モジュールケース73のケース底壁144を通水路58の上流側に配し、モジュールケース73のケース底壁144の外面に、該ケース底壁144の厚み方向に凹み形成される受水凹部134を設けたので、通水路58を流れる水の水勢を受水凹部134で受止めて、当該水勢で電源体8をソケット98側へと押し付けることができ、ソケット98に対する電源体8の固定を強固なものとすることができる。また、このように電源体8の固定を強固なものとすることで、給電部113と受電部122とによる電力の授受をより適正化することができる。
【0088】
(第2実施形態) 図14は、本発明に係る散水装置をシャワーヘッドに適用した第2実施形態を示す。この第2実施形態のシャワーヘッド1では、電源体8よりも上流側の通水路58に機能部159が設けられている。図14に、機能部159として不純物を除去する機能カートリッジ160を設けた状態を示す。この機能カートリッジ160は、基体となる中空筒状のカートリッジ本体162と、カートリッジ本体162の中空筒内部に設けられる除去フィルター163とを備える。カートリッジ本体162の中空筒部分に流入し除去フィルター163を通過して不純物が除去された湯水は、カートリッジ本体162の上部周壁に開口された放出口164から通水路58へと放出される。グリップ筒65の底壁は、機能部159を受け止める受止壁(受止部)165とされており、機能カートリッジ160は、モジュールケース73のケース底壁144と受止壁165とでカートリッジ本体162が上下方向に挟持保持されている。また、リブ壁146でカートリッジ本体162の周囲が支持されている。これにより、グリップ筒65の内部に機能カートリッジ160を挿入した状態で、ベース筒64にグリップ筒65を装着することで、グリップケース55の内部に機能カートリッジ160を不動状に設けることができる。
【0089】
以上のように、モジュールケース73よりも水路上流側の通水路58に、通水路58を流れる水に含まれる不純物を除去する機能部159である機能カートリッジ160を設けたので、不純物を含まない水を散水孔5から吐出することができる。また、モジュールケース73よりも水路上流側の通水路58に機能カートリッジ160を設けたので、ヘッド部2が大型化することや、ヘッド部2寄りに重心が移動することを防ぐことができる。したがって、機能部159を設けたことによるシャワーヘッド1の使い勝手が悪化することを防ぐことができる。
【0090】
機能部159を、モジュールケース73と受止壁165とで挟持保持したので、ベース筒64にグリップ筒65を装着するだけで機能部159を的確にグリップ筒65に保持することができる。これによれば、機能部159を保持するための専用の構造は不要となるので、機能部159を設けたことによるシャワーヘッド1のコストアップを抑えることができる。他は、第1実施形態と同じ構成、構造、および部材には同じ符号を付してその説明を省略する。以下の各実施形態においても同じとする。
【0091】
上記の除去フィルター163は、活性炭、中空糸膜、セラミックボール、亜硫酸カルシウムなどの素材で構成することができる。また、機能カートリッジ160は、通水路58を流れる水に対して機能成分を添加するものであってもよく、添加する機能成分として、ビタミンC、保湿機能を発揮する成分などを挙げることができる。
【0092】
(第3実施形態) 図15に、本発明に係る散水装置をシャワーヘッドに適用した第3実施形態を示す。この第3実施形態のシャワーヘッド1では、機能部159が、通水路58を流れる水を電気分解して水素と酸素の気体を生成する電極ユニット161で構成されている点が、先の第2実施形態と相違する。図15に示すように電極ユニット161は、基体となる中空筒状の電極ケース168と、電極ケース168の中空筒内部に設けられる電極体169と、電極ケース168の上下の端部からそれぞれ上下方向に伸びる支持脚170とを備えており、電極体169は電源体8の電池71から供給される電力で駆動される。電極ケース168の中空筒部分に下側開口から流入し電極体169を通過する湯水の一部は電気分解により水素と酸素の気体とされ、上側開口から湯水とともに放出される。水素と酸素の気体の一部は、湯水中に溶け込み湯水に溶存する状態で散水孔5へと送給される。このとき、電源体8に起因する通水路58の流路抵抗増加部分で湯水への水素および酸素の溶け込みを促進させることができる。
【0093】
以上のように、モジュールケース73よりも水路上流側の通水路58に、通水路58を流れる水を電気分解する機能部159である電極ユニット161を設けると、水素および酸素が溶存する水を散水孔5から吐出することができる。また、モジュールケース73よりも水路上流側の通水路58に電極ユニット161を設けたので、ヘッド部2が大型化することや、ヘッド部2寄りに重心が移動することを防ぐことができる。したがって、機能部159を設けたことによるシャワーヘッド1の使い勝手が悪化することを防ぐことができる。
【0094】
上記以外に、モジュールケース73は省略することができ、この場合には、電池モジュール72の上側周面に雄ねじ部109を形成する。グリップケース55の外径断面は円形に形成したが、楕円形状あるいは多角形状に形成することができ、内径断面も楕円形状あるいは多角形状に形成することができる。電池71は電源体8を分離して充電する以外に、無接点充電方式を採用してもよく、この場合には、電源体8の内部に無接点充電装置の受電部を配し、シャワーヘッド1を壁面に保持するシャワーフックに無接点充電装置の給電部を配する。また、電池71は一次電池として、都度交換する形態であってもよい。湯水の流路に流量センサを設け、該流量センサが湯水の流れを検知したとき、自動的に駆動ユニット7を駆動する形態を採ることができる。この場合には電源スイッチ148を省略することができる。シャワーヘッド1の駆動部7は、マッサージ体6を駆動するものに限らず、湯水を吐出する方向に光を照射する照明装置で構成することもできる。この場合には、シャワー時において照明装置から照射される光によるイルミネーションを楽しむことができる。本発明の散水装置は、シャワーヘッド以外に床面に水を散布する散水器としても利用することができる。散水装置を散水器とする場合、駆動部7を塩が添加された水を電気分解して次亜塩素酸を含む水を生成する次亜水生成装置として、床面等を次亜水で洗い流すための散水器などに適用できる。
【符号の説明】
【0095】
1 シャワーヘッド
2 ヘッド部
3 グリップ部
5 散水部(散水孔)
7 駆動部(駆動ユニット)
8 電源体
55 グリップケース
58 通水路
64 ベース筒
65 グリップ筒
66 中空部
71 電池
72 電池モジュール
73 モジュールケース
74 付勢手段
81 モジュール本体
82 モジュール蓋
83 密封リング
98 ソケット
113 給電部
114 給電端子設置面
115 給電端子
116 凹み
118 端子座
122 受電部
123 受電端子設置面
124 受電端子
127 端子ピン
133 凸部
134 凹部
137 装着指標体
144 ケース底壁
145 受水凹部
159 機能部
160 機能カートリッジ
161 電極ユニット
165 受止部
C1 中空部の中心軸線
C2 電源体の中心軸線
C3 ソケットの中心軸線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15