(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-19
(45)【発行日】2025-02-28
(54)【発明の名称】コラム型水中ポンプ、及び、チェーン保持具
(51)【国際特許分類】
F04D 13/08 20060101AFI20250220BHJP
F04D 29/60 20060101ALI20250220BHJP
【FI】
F04D13/08 M
F04D29/60 C
(21)【出願番号】P 2021161633
(22)【出願日】2021-09-30
【審査請求日】2024-04-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000002358
【氏名又は名称】新明和工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】竹内 一喜
(72)【発明者】
【氏名】藤澤 飛祥
(72)【発明者】
【氏名】小寺 恭平
【審査官】岩田 健一
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-309003(JP,A)
【文献】特開2011-106331(JP,A)
【文献】特開平07-317695(JP,A)
【文献】特開2020-197142(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0378397(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04D 13/08
F04D 29/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
垂直に配設された管状の第1コラムと、
前記第1コラム内の下端に設置された水中ポンプと、
前記第1コラムの上端部に着脱可能に接続されて前記第1コラムと共に管路を構成すると共に
、水平方向に開口する吐出口が形成された第2コラムと、
前記管路内において前記水中ポンプに連結された吊り下げチェーンと、
前記第2コラムとは別体の保持具であって、前記第2コラム内に設けられた保持具と、を備え、
前記保持具は、前記第1コラムの上端部に固定される脚部と、前記吊り下げチェーンの上端が係止される係止部が設けられた本体部と、を有し、
前記脚部は、前記第1コラムの上端部から上方へ向かって延びており、
前記本体部は、前記脚部の上端部に連続すると共に、前記第2コラムの径方向に延びており、
前記係止部は、前記第2コラム内において、前記吐出口よりも上方に位置している、コラム型水中ポンプ。
【請求項2】
請求項1に記載のコラム型水中ポンプにおいて、
前記本体部には、前記水中ポンプに接続されているケーブルを支持するケーブル支持部が設けられている、コラム型水中ポンプ。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のコラム型水中ポンプにおいて、
前記保持具は、径方向に延びる前記本体部の両側それぞれに設けられかつ、前記第1コラムの上端部に固定される一対の脚部を有しており、
前記保持具は、前記一対の脚部と前記本体部とによって門形を有している、コラム型水中ポンプ。
【請求項4】
垂直に配設された管状の第1コラムと、
前記第1コラム内の下端に設置された水中ポンプと、
前記第1コラムの上端部に着脱可能に接続されて前記第1コラムと共に管路を構成すると共に
、水平方向に開口する吐出口が形成された第2コラムと、を備えたコラム型水中ポンプにおいて、前記水中ポンプに連結された吊り下げチェーンを前記第2コラム内において保持する保持具であって、
前記第1コラムの上端部に固定される脚部と、
前記吊り下げチェーンの上端が係止される係止部が設けられた本体部と、を有し、
前記脚部は、前記第1コラムの上端部から上方へ向かって延びており、
前記本体部は、前記脚部の上端部に連続すると共に、前記第2コラムの径方向に延びており、
前記係止部は、前記第2コラム内において、前記吐出口よりも上方に位置している、チェーン保持具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
ここに開示する技術は、コラム型水中ポンプ、及び、チェーン保持具に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、コラム型水中ポンプが開示されている。コラム型水中ポンプは、取水槽の上壁に対して垂直に設置された円筒状のコラムと、コラムの下端部に設置された水中ポンプとを備えている。コラムは、管路を構成する。特許文献1に記載されているコラム型水中ポンプでは、コラムが、円筒状の第1コラムと、円筒状の第2コラムと、蓋と、から構成されている。第1コラムは、取水槽の上壁から垂下状に設置されている。第2コラムは、取水槽の上壁の上側に設置されかつ、第1コラムに連通する。第2コラムの周面には、吐出口が、径方向の外方へ突出するように設けられている。吐出口には、排水管が接続される。蓋は、第2コラムの上端開口を塞ぐ。
【0003】
水中ポンプが運転をすると、取水槽内の水が水中ポンプによって取水されると共に、水中ポンプから吐出された揚水は、第1コラムから第2コラムへ垂直方向に流れる。そして、第2コラムにおいて流れ方向が垂直方向から水平方向へ変換されて、揚水は、吐出口に接続された排水管へ排出される。
【0004】
水中ポンプには、水中ポンプの据え付けや引き上げに利用される吊り下げチェーンが連結されている。特許文献1のコラム型水中ポンプにおいて、吊り下げチェーンの上端は、第2コラムと蓋との間に配設されたチェーン支持棒に係止されている。
【0005】
より詳細に、特許文献1のコラム型水中ポンプでは、第2コラムの上端部に設けられたフランジ部の上面に、環状の中間フランジ板を介して蓋が装着されており、中間フランジ板に形成された、径方向に対向する切欠溝間にわたって、チェーン支持棒が配置されている。そして、そのチェーン支持棒の中心部付近に係止部が取り付けられており、吊り下げチェーンの上端は、その係止部に係止されている。
【0006】
この構成によると、チェーン支持棒が、第2コラムの吐出口よりも上方に位置してコラム内の主流から位置がずれていると共に、係止部が、コラム内の径方向の中心部に位置している。このため、吊り下げチェーンが、コラムの中心軸に沿うように略垂直に配設されて、吊り下げチェーンの弛みを極小にすることができる。特許文献1に記載されたコラム型水中ポンプでは、吊り下げチェーンの係止位置を適正な位置にしているため、水中ポンプの運転中に、水流に起因する吊り下げチェーンの振動が抑制でき、水中ポンプのケーブルや第2コラムの内周面が傷ついたり、突発的なテンションによって吊り下げチェーン自体が損傷したりすることを有効に防止できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、こうしたコラム型水中ポンプは、従来、陸上型ポンプが設置されていたポンプ場に、陸上型ポンプに代えて設置される場合がある。このような場合に、もともと、コラム型水中ポンプの設置が想定されていないポンプ場の建屋では、水中ポンプをコラム内に設置する際に、十分な高さが確保できず、設置作業に支障を来す場合がある。
【0009】
図6は、水中ポンプをコラムに設置する状態を例示している。特許文献1に記載されたコラム型水中ポンプ10は、吊り下げチェーンが係止されるチェーン支持棒20が、第2コラム22の上部に固定される。水中ポンプ3を第1コラム21に設置した後、水中ポンプ3に連結されている吊り下げチェーンの上端をチェーン支持棒20に係止させるためには、水中ポンプ3を第1コラム21に設置する際に、第2コラム22を第1コラム21に予め接続させておかなければならない。そのため、
図6に示すように、取水槽9の上壁91の上側に、第2コラム22が上方に突出して設けられた状態で、水中ポンプ3を、第1コラム21内へ設置しなければならない。ここで、
図6の破線は、例えば水中ポンプ3の設置に使用するクレーンの最下端の位置を示している。第2コラム22が、上壁91からH2の高さ分だけ上方に突出しているため、第2コラム22からクレーンの最下端までの距離H1を、水中ポンプ3の全高に対して十分に長く確保することは難しい。
【0010】
つまり、特許文献1に記載されたコラム型水中ポンプ10は、チェーン支持棒20を使って吊り下げチェーンの係止位置を適正にして吊り下げチェーンの振動の抑制等が可能になる一方で、水中ポンプ3の設置性が低いという課題を有している。
【0011】
ここに開示する技術は、コラム型水中ポンプにおいて、吊り下げチェーンの係止位置を適正にしながら、水中ポンプの設置性を向上させる。
【課題を解決するための手段】
【0012】
ここに開示する技術は、コラム型水中ポンプに係る。このコラム型水中ポンプは、垂直に配設された管状の第1コラムと、前記第1コラム内の下端に設置された水中ポンプと、前記第1コラムの上端部に着脱可能に接続されて前記第1コラムと共に管路を構成すると共に、水平方向に開口する吐出口が形成された第2コラムと、前記管路内において前記水中ポンプに連結された吊り下げチェーンと、前記第2コラムとは別体の保持具であって、前記第2コラム内に設けられた保持具と、を備え、前記保持具は、前記第1コラムの上端部に固定される脚部と、前記吊り下げチェーンの上端が係止される係止部が設けられた本体部と、を有し、前記脚部は、前記第1コラムの上端部から上方へ向かって延びており、前記本体部は、前記脚部の上端部に連続すると共に、前記第2コラムの径方向に延びており、前記係止部は、前記第2コラム内において、前記吐出口よりも上方に位置している。
【0013】
この構成によると、コラム型水中ポンプは、保持具を備えている。保持具は、第1コラムに固定される脚部と、吊り下げチェーンが係止される係止部が設けられた本体部とを有している。脚部が第1コラムの上端部に固定されるため、保持具は、第2コラムとは別体でかつ、第2コラムに固定されない。水中ポンプを、第1コラム内に設置する際に、第1コラムに第2コラムを予め接続させておく必要がない。これにより、ポンプ場の取水槽の上壁から第2コラムが上方に突出しないため、高さ方向のスペースに、第2コラムの高さ分の余裕が生まれる。水中ポンプの全高よりも十分に広いスペースが確保できるようになるから、水中ポンプの設置作業を容易に行うことができる。コラム型水中ポンプにおいて、水中ポンプの設置性が向上する。
【0014】
水中ポンプを第1コラムの下端に設置した後に、第1コラムの上端部に第2コラムが接続される。第2コラムが第1コラムに取り付けられると、保持具は、第2コラムの内部に位置する。また、水中ポンプに連結されている吊り下げチェーンの上端が、保持具に設けられている係止部に、係止される。
【0015】
保持具には、上方に延びる脚部に連続して本体部が設けられており、本体部に設けられた係止部は、第2コラムの吐出口よりも上方に位置している。管路内の主流は、第1コラムから第2コラムへ垂直方向に流れた後、第2コラムにおいて流れ方向が垂直方向から水平方向へ変換されて、吐出口から排水管へ排出される。係止部は、吐出口よりも上方に位置しているため、管路内の主流から外れた位置に位置している。なお、係止部は第2コラムの吐出口よりも上方であれば、脚部に設けられていてもよい。
【0016】
また、係止部は、保持具の本体部であって管路内の径方向の中心部に位置している方が好ましい。係止部が、管路内の径方向の中心部に位置していると、吊り下げチェーンは、管路の中心軸に沿うように略垂直に配設されて、吊り下げチェーンの弛みを極小とすることができる。その結果、水中ポンプの運転中には、水流に起因する吊り下げチェーンの振動が抑制でき、水中ポンプのケーブルや第2コラムの内周面が傷ついたり、突発的なテンションによって吊り下げチェーン自体が損傷したりすることを有効に防止できる。
【0017】
従って、前記の構成は、吊り下げチェーンの係止位置を適正にしながら、水中ポンプの設置性を向上できる。
【0018】
前記本体部には、前記水中ポンプに接続されているケーブルを支持するケーブル支持部が設けられている、としてもよい。
【0019】
こうすることで、吊り下げチェーンと同様にケーブルも、管路内において中心軸に平行に略垂直に配設されて、ケーブルの弛みを極小とすることができるため、水流に起因するケーブルの振動を有効に抑制でき、ケーブルの損傷等を防止できる。
【0020】
前記保持具は、径方向に延びる前記本体部の両側それぞれに設けられかつ、前記第1コラムの上端部に固定される一対の脚部を有しており、前記保持具は、前記一対の脚部と前記本体部とによって門形を有している、としてもよい。
【0021】
門形の保持具は剛性が高いため、保持具は、第2コラム内において安定的に配設される。
【0022】
ここに開示する技術は、垂直に配設された管状の第1コラムと、前記第1コラム内の下端に設置された水中ポンプと、前記第1コラムの上端部に着脱可能に接続されて前記第1コラムと共に管路を構成すると共に、水平方向に開口する吐出口が形成された第2コラムと、を備えたコラム型水中ポンプにおいて、前記水中ポンプに連結された吊り下げチェーンを前記第2コラム内において保持する保持具に係る。
【0023】
このチェーン保持具は、前記第1コラムの上端部に固定される脚部と、前記吊り下げチェーンの上端が係止される係止部が設けられた本体部と、を有し、前記脚部は、前記第1コラムの上端部から上方へ向かって延びており、前記本体部は、前記脚部の上端部に連続すると共に、前記第2コラムの径方向に延びており、前記係止部は、前記第2コラム内において、前記吐出口よりも上方に位置している。さらに、係止部は、管路内の径方向の中心部に位置している方が好ましい。
【0024】
この保持具を用いることによって、前述したように、水流に起因する吊り下げチェーンの振動を抑制できかつ、水中ポンプの第1コラムへの設置性も良好になる。
【発明の効果】
【0025】
前記のコラム型水中ポンプ及びチェーン保持具は、吊り下げチェーンの係止位置を適正にしながら、水中ポンプの設置性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】
図1は、コラム型水中ポンプを例示している。
【
図2】
図2は、第2コラムと保持具とを例示する分解斜視図である。
【
図3】
図3は、水中ポンプの設置手順の一部を例示している。
【
図4】
図4は、水中ポンプの設置手順の一部を例示している。
【
図5】
図5は、保持具の変形例を示す斜視図である。
【
図6】
図6は、従来のコラム型水中ポンプにおいて、水中ポンプを設置している状態を例示している。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、コラム型水中ポンプ及びチェーン保持具の実施形態が、図面を参照しながら説明される。ここで説明されるコラム型水中ポンプ及びチェーン保持具は例示である。
【0028】
図1は、コラム型水中ポンプ1を例示している。コラム型水中ポンプ1は、取水槽9の水を吸い上げて排出管から排出するよう構成されている。コラム型水中ポンプ1は、コラム2と、水中ポンプ3とを備えている。
【0029】
コラム2は、取水槽9の上壁91に対して垂直に設置されている。コラム2は円筒状であって、水が流れる管路を構成する。コラム2は、第1コラム21と、第2コラム22と、蓋23から構成されている。第1コラム21は、上壁91から垂下している。第1コラム21は、取水槽9内に配設されている。第2コラム22は、第1コラム21の上端部に接続されている。第2コラム22は、第1コラム21に対して、着脱可能に取り付けられる。第2コラム22は、取水槽9の上壁91から上方へ突出している。蓋23は、第2コラム22の上端に取り付けられかつ、第2コラム22の上端開口を塞ぐ。
【0030】
第2コラム22は、吐出口24を有している。吐出口24は、第2コラム22の周面に設けられている。吐出口24は、第2コラム22の周面から径方向の外方へ、水平方向に突出している。吐出口24には、図示を省略する排出管が接続される。
【0031】
水中ポンプ3は、第1コラムの下端部に設置されている。水中ポンプ3は、第1コラム21の下端開口から、取水槽9内の水を取水すると共に、上向きに吐出する。水中ポンプから吐出された揚水は、第1コラム21から第2コラム22へと垂直方向に流れる。そして、第2コラム22において流れ方向が垂直方向から水平方向へ変換されて、揚水は、吐出口24に接続された排水管へ排出される(
図1の矢印参照)。
【0032】
水中ポンプ3の上部には、吊金具31が装着されている。この吊金具31に吊り下げチェーン4の下端部が連結されている。吊り下げチェーン4は、コラム2内を鉛直方向に沿って配設されている。
【0033】
また、水中ポンプ3には、第1ケーブル32及び第2ケーブル33が接続されている。これらのケーブル32、33は、水中ポンプ3の給電用のケーブル及び制御用のケーブルである。
【0034】
そして、このコラム型水中ポンプ1は、保持具5を備えている。保持具5は、第2コラム22内に配設されている。保持具5は、吊り下げチェーン4の上端が係止されると共に、吊り下げチェーン4を保持する。保持具5は、
図2に示すように、一対の脚部51と、本体部52とを備えている。保持具5は、全体として門形を有している。
【0035】
一対の脚部51はそれぞれ、上下方向に延びると共に、それらの下端は、第1コラム21の上端部に固定されている。より詳細に、
図1に拡大して示すように、脚部51の下端には、径方向の外方へ屈曲した固定部511が一体に設けられている。L字状に形成された固定部511の下面は、第1コラム21の上端に設けられたフランジ211の上面に当たっている。固定部51は、例えば締結部材(図示省略)によって、フランジ211に対し固定されている。
【0036】
一対の脚部51は、第1コラム21の径方向に対向するように配設されている。本体部52は、水平方向に延びる棒状に構成されている。本体部52は、一対の脚部51それぞれの上端部を架け渡すように、配設されている。本体部52の高さ位置は、第2コラム22が第1コラム21の上端に取り付けられた状態において、第2コラム22の上端部に対応する高さ位置に設定されている(
図1の拡大図参照)。
【0037】
本体部52には、係止部53が設けられている。係止部53は、本体部52において、長さ方向の中央部に位置している。係止部53は、コラム2内において、コラム2の中心軸上に位置している。係止部53には、吊り下げチェーン4の上端が係止される。係止部53がコラム2の中心軸上に位置しているため、吊り下げチェーン4は、コラム2の中心軸に沿うように略垂直に配設されている。この際、吊り下げチェーン4の長さは、第1コラム21の下端部に水中ポンプ3が配置された状態で、係止部53と水中ポンプ3の吊金具31との間で吊り下げチェーン4が張った状態となる長さに設定されている。尚、
図1等においては、吊り下げチェーン4の中間部分の図示を省略している。
【0038】
また、本体部52には、係止部53を挟んだ両側のそれぞれに、第1ケーブル32を支持する第1ケーブル支持部521、及び、第2ケーブル33を支持する第2ケーブル支持部522が設けられている。吊り下げチェーン4と同様に第1ケーブル32及び第2ケーブル33も、コラム2内において中心軸に平行に略垂直に配設されて、第1ケーブル32及び第2ケーブル33の弛みが極小になる。
【0039】
第1コラム21の上端のフランジ211と、第2コラム22の下端のフランジ221との間には、中間フランジ25が介設している。第2コラム22のフランジ221は、中間フランジ25を介して、第1コラム21のフランジ211に固定される。
【0040】
中間フランジ25は、
図2に示すように、円環状である。中間フランジ25は、第1コラム21と第2コラム22との間で、スペーサーとして機能する。つまり、中間フランジ25は、脚部51の固定部511の厚みと対応する厚みを有していると共に、径方向に対向する2箇所に、凹部251を有している(
図1の拡大図も参照)。この凹部251内に、脚部51の固定部511が位置している。
【0041】
この中間フランジ25によって、保持具5の脚部51を、第1コラム21のフランジ211の上面に固定した状態で、第1コラム21と第2コラム22との接続箇所の水密性を確保することができる。
【0042】
この構成のコラム型水中ポンプ1によると、保持具5に設けた係止部53が、第2コラム22内における吐出口24よりも上方でかつ、コラム2の径方向の中心部に位置している。このことにより、コラム2内の吊り下げチェーン4は、コラム2の中心軸に沿うように、真っ直ぐにかつ、弛みなく配設される。また、係止部53が、コラム2内の主流よりも上側の位置に位置している。これにより、水中ポンプ3の運転中に、水流に起因して吊り下げチェーン4が振動してしまうことが抑制される。各所が損傷等してしまうことが抑制される。また、第1ケーブル32及び第2ケーブル33も同様に、吊り下げチェーン4と同様にコラム2内において真っ直ぐに配設されるから、水中ポンプ3の運転中に、第1ケーブル32及び第2ケーブル33の振動も同様に抑制され、各所が損傷等してしまうことが抑制される。
【0043】
次に、
図3及び
図4を参照しながら、コラム型水中ポンプ1の設置手順を説明する。尚、
図3及び
図4では、図を見やすくするために、吊り下げチェーン4、第1ケーブル32及び第2ケーブル33の図示を省略する場合がある。
【0044】
先ず、
図3のP1に例示するように、取水槽9の上壁91に、第1コラム21を設置する。このときに、第2コラム22は、第1コラム21に接続されない。そのため、上壁91の上側に第2コラム22が突出せず、第2コラム22の高さH2の分、上壁91の上側のスペースに余裕が生まれる。ポンプ場内部の高さが低い場合であっても、水中ポンプ3の全高よりも広いスペース(H1+H2)を使って、水中ポンプ3をクレーンによって吊り下げて、当該水中ポンプ3を、第1コラム21の上端開口から内部に挿入し、水中ポンプ3を、第1コラム21の下端に設置することができる。
【0045】
次いで、
図3のP2に示すように、第1コラム21の上端部に保持具5を固定する。保持具5は、例えば締結手段によって、その固定部511が第1コラム21の上端のフランジ211に固定される。そして、水中ポンプ3の吊金具31に連結されている吊り下げチェーン4の上端が、保持具5の係止部53に係止される。また、中間フランジ25が、第1コラム21の上端のフランジ211の上に置かれる。
【0046】
次いで、
図4のP3に示すように、第2コラム22が、第1コラム21に接続される。より詳細に、第2コラム22の下端開口から保持具5が挿入されるように、クレーンに吊り下げられた第2コラム22を、保持具5の上から挿入し、第2コラム22の下端のフランジ221を、中間フランジ25の上に載置する。ここで、第1ケーブル32、第2ケーブル33を保持具5の第1ケーブル支持部521、第2ケーブル支持部522に支持させるのは、第2コラム22を載置する前後どちらでも良い。
【0047】
尚、
図4では、理解を容易にするために、保持具5の脚部51と、第2コラム22の吐出口24とが重なるような向きで、保持具5を描いているが、保持具5の脚部51と、第2コラム22の吐出口24とは、
図2に示すように、周方向にずれる。これにより、吐出口24に脚部51が横切って配設されることが避けられる。
【0048】
第2コラム22の下端のフランジ221が、中間フランジ25を介して、第1コラム21の上端のフランジ211に、締結部材によって固定される。また、第1ケーブル32及び第2ケーブル33はそれぞれ、保持具5の第1ケーブル支持部521及び第2ケーブル支持部522に支持されて、第2コラム22の上端開口から外に引き出される。
【0049】
最後に、
図4のP4に示すように、第2コラム22の上端開口に、蓋23が取り付けられる。この際に、第1ケーブル32及び第2ケーブル33は、蓋23を貫通して配設される(
図1参照)。
【0050】
このように、保持具5が第1コラム21に固定される構成であるため、水中ポンプ1を第1コラム21に設置する際に、第2コラム22を第1コラム21に接続しておく必要がない。その結果、前述したように、上壁91の上側のスペースを広く活用することができて、水中ポンプ3の設置性が向上する。
【0051】
保持具5が、第1コラム21に固定される構成であるものの、上下方向に延びる脚部51が、係止部53の位置を、第1コラム21の上端よりも上方に位置づける。正確には、係止部53は、第2コラム22の吐出口24よりも上方に位置している。このため、係止部53は、前述したように、コラム2内の主流よりも上方でかつ、コラム2の径方向の中心部に位置する。こうして、吊り下げチェーン4の係止位置を適正にしながら、水中ポンプ3の設置性を向上できる。
【0052】
(変形例)
尚、保持具5は、
図2に示す形状に限定されない。例えば
図5の(a)に例示するように、保持具50は、一つの脚部51を有しかつ、本体部52が、その脚部51に片持ちで支持されるよう構成してもよい。また、例えば
図5の(b)に例示するように、保持具500は、四つの脚部51を有しかつ、平面視で十字状の本体部52を、四つの脚部51が支持するように構成してもよい。尚、図示は省略するが、保持具500は、三つの脚部51を有するよう構成してもよい。
【0053】
また、保持具5、50、500は、中間フランジ25と一体に構成してもよい。
【符号の説明】
【0054】
1 コラム型水中ポンプ
2 コラム(管路)
21 第1コラム
22 第2コラム
24 吐出口
3 水中ポンプ
32 第1ケーブル
33 第2ケーブル
4 吊り下げチェーン
5 保持具
50 保持具
500 保持具
51 脚部
52 本体部
521 第1ケーブル支持部
522 第2ケーブル支持部
53 係止部