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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-19
(45)【発行日】2025-02-28
(54)【発明の名称】非接触給電装置
(51)【国際特許分類】
   B60M 7/00 20060101AFI20250220BHJP
   B60L 50/53 20190101ALI20250220BHJP
   H02J 50/40 20160101ALI20250220BHJP
   H02J 50/90 20160101ALI20250220BHJP
   H02J 50/10 20160101ALI20250220BHJP
   H01F 38/14 20060101ALI20250220BHJP
【FI】
B60M7/00 X
B60L50/53
H02J50/40
H02J50/90
H02J50/10
H01F38/14
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2022031340
(22)【出願日】2022-03-01
(65)【公開番号】P2023127507
(43)【公開日】2023-09-13
【審査請求日】2024-04-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000173784
【氏名又は名称】公益財団法人鉄道総合技術研究所
(74)【代理人】
【識別番号】110000958
【氏名又は名称】弁理士法人インテクト国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100120237
【弁理士】
【氏名又は名称】石橋 良規
(72)【発明者】
【氏名】依田 裕史
(72)【発明者】
【氏名】浮田 啓悟
【審査官】橋本 敏行
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-103263(JP,A)
【文献】特開2017-195766(JP,A)
【文献】特開2014-155251(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0187317(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60L 1/00-3/12
7/00-13/00
15/00-58/40
B60M 1/00-7/00
H01F 38/14
38/18
H02J 50/00-50/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
軌道を走行する車両に設けられた集電コイルとの間で非接触給電を行う非接触給電装置において、
前記軌道に沿った第1方向に配列され、且つ、前記集電コイルと対向可能な2Nターン(Nは1以上の整数)の第1ループコイルをそれぞれ形成するためのM個(Mは5以上の整数)のコイルユニットと、
前記M個のコイルユニットよりなるコイルユニット群の前記第1方向における第1の側の第1コイルユニット群端部に接続され、前記M個のコイルユニットのいずれかに電流を通流する電源と、
を備え、
前記M個のコイルユニットの各々は、
前記第1方向に延在する第1線よりも、前記第1方向と交差する第2方向における第2の側に配置され、且つ、前記第1方向にそれぞれ延在する2N本の第1導線と、
前記第1線よりも、前記第2方向における前記第2の側と反対側に、前記2N本の第1導線から離れて配置され、且つ、前記第1方向にそれぞれ延在する2N本の第2導線と、
前記2N本の第1導線及び前記2N本の第2導線の間の接続を切り替える接続切替部と、
を有し、
前記電源は、
第1端子と、
前記第1端子と反対側の第2端子と、
を有し、
前記M個のコイルユニットの各々において、
前記接続切替部は、
前記2N本の第1導線及び前記2N本の第2導線の各々が互いに直列に接続され、各々が互いに直列に接続された前記2N本の第1導線及び前記2N本の第2導線により前記第1ループコイルが形成される第1状態と、
前記2N本の第1導線及び前記2N本の第2導線のうち、N本の第1導線及びN本の第2導線を2N本の第3導線とし、前記2N本の第1導線及び前記2N本の第2導線のうち、前記2N本の第3導線以外のN本の第1導線及びN本の第2導線を2N本の第4導線としたとき、前記2N本の第3導線が互いに並列に接続され、互いに並列に接続された前記2N本の第3導線により第1給電線が形成され、前記2N本の第4導線が互いに並列に接続され、互いに並列に接続された前記2N本の第4導線により第2給電線が形成される第2状態と、
を切り替え、
前記非接触給電装置は、更に、前記M個のコイルユニットの各々がそれぞれ有するM個の前記接続切替部の動作を制御する制御部を備え、
前記集電コイルが、前記M個のコイルユニットのうち、前記第1コイルユニット群端部からL番目(Lは3以上M-2以下の整数)のコイルユニットである第1コイルユニットと対向しているとき、
前記制御部は、
前記第1コイルユニットにおいて、前記接続切替部が前記第1状態に切り替えられることにより前記第1ループコイルが形成されるように、前記接続切替部の動作を制御し、
前記M個のコイルユニットのうち、前記第1コイルユニットよりも前記第1方向における前記第1の側に配置された(L-1)個のコイルユニットである(L-1)個の第2コイルユニットの各々において、前記接続切替部が前記第2状態に切り替えられることにより前記第1給電線及び前記第2給電線が形成されるように、前記接続切替部の動作を制御し、
前記(L-1)個の第2コイルユニットの各々でそれぞれ形成される(L-1)個の前記第1給電線は、前記(L-1)個の第2コイルユニットに亘って互いに直列に接続され、
前記(L-1)個の第2コイルユニットの各々でそれぞれ形成される(L-1)個の前記第2給電線は、前記(L-1)個の第2コイルユニットに亘って互いに直列に接続され、
互いに直列に接続された前記(L-1)個の第1給電線よりなる第1給電線群の前記第1方向における前記第1の側の第1端部は、前記電源の前記第1端子に接続され、
互いに直列に接続された前記(L-1)個の第2給電線よりなる第2給電線群の前記第1方向における前記第1の側の第2端部は、前記電源の前記第2端子に接続され、
前記第1給電線群の前記第1方向における前記第1の側と反対側の第3端部は、前記第1コイルユニットにより形成される前記第1ループコイルの第3端子に接続され、
前記第2給電線群の前記第1方向における前記第1の側と反対側の第4端部は、前記第1コイルユニットにより形成される前記第1ループコイルの前記第3端子と反対側の第4端子に接続される、非接触給電装置。
【請求項2】
請求項1に記載の非接触給電装置において、
前記M個のコイルユニットの各々において、
前記接続切替部は、
前記第1状態と、
前記第2状態と、
前記2N本の第1導線及び前記2N本の第2導線の各々が互いに直列に接続されず、前記2N本の第3導線が互いに並列に接続されず、且つ、前記2N本の第4導線が互いに並列に接続されない第3状態と、
を切り替え、
前記集電コイルが、前記M個のコイルユニットのうち、前記第1コイルユニットと対向しているとき、
前記制御部は、
前記M個のコイルユニットのうち、前記第1コイルユニットよりも前記第1方向における前記第1の側と反対側に配置された(M-L)個のコイルユニットである(M-L)個の第3コイルユニットの各々において、前記接続切替部が前記第3状態に切り替えられることにより、前記(M-L)個の第3コイルユニットの各々に電流が通流されないように、前記接続切替部の動作を制御する、非接触給電装置。
【請求項3】
請求項1に記載の非接触給電装置において、
前記M個のコイルユニットの各々において、Nは1であり、
前記M個のコイルユニットの各々において、
2本の前記第1導線のうちの1本の第1導線であって、且つ、2本の前記第3導線のうちの1本の第3導線である第1導線を、第5導線とし、
2本の前記第1導線のうちの1本の第1導線であって、且つ、2本の前記第4導線のうちの1本の第4導線である第1導線を、第6導線とし、
2本の前記第2導線のうちの1本の第2導線であって、且つ、2本の前記第3導線のうちの1本の第3導線である第2導線を、第7導線とし、
2本の前記第2導線のうちの1本の第2導線であって、且つ、2本の前記第4導線のうちの1本の第4導線である第2導線を、第8導線としたとき、
前記第5導線の前記第1方向における前記第1の側と反対側の第5端部は、前記第7導線の前記第1方向における前記第1の側と反対側の第6端部に接続され、
前記第6導線の前記第1方向における前記第1の側と反対側の第7端部は、前記第8導線の前記第1方向における前記第1の側と反対側の第8端部に接続され、
前記接続切替部は、
前記第6導線の前記第1方向における前記第1の側の第9端部と、前記第7導線の前記第1方向における前記第1の側の第10端部と、を接続するための第1接続導線と、
前記第6導線の前記第9端部と、前記第1接続導線と、の接続を切り替える第1スイッチと、
前記第7導線の前記第10端部と、前記第1接続導線と、の接続を切り替える第2スイッチと、
を含み、
前記M個のコイルユニットの各々がそれぞれ有するM個の前記第5導線は、前記M個のコイルユニットに亘って互いに直列に接続され、
前記M個のコイルユニットの各々がそれぞれ有するM個の前記第8導線は、前記M個のコイルユニットに亘って互いに直列に接続され、
前記M個のコイルユニットのうち、前記コイルユニット群の前記第1コイルユニット群端部に配置されたコイルユニットを第1端部コイルユニットとしたとき、
前記第1端部コイルユニットが有する前記第5導線は、前記電源の前記第1端子に接続され、
前記第1端部コイルユニットが有する前記第8導線は、前記電源の前記第2端子に接続され、
前記M個のコイルユニットのうち、前記第1コイルユニット群端部からK番目(Kは2以上M以下の整数)のコイルユニットを第4コイルユニットとし、前記第1コイルユニット群端部から(K-1)番目のコイルユニットを第5コイルユニットとしたとき、
前記第4コイルユニットが有する前記第1スイッチは、
前記第4コイルユニットが有する前記第6導線の前記第9端部が、前記第4コイルユニットが有する前記第1接続導線に接続された第4状態と、
前記第4コイルユニットが有する前記第6導線の前記第9端部が、前記第5コイルユニットが有する前記第6導線の前記第7端部に接続された第5状態と、
前記第4コイルユニットが有する前記第6導線の前記第9端部が、前記第4コイルユニットが有する前記第1接続導線、及び、前記第5コイルユニットが有する前記第6導線の前記第7端部のいずれからも遮断された第6状態と、
を切り替え、
前記第4コイルユニットが有する前記第2スイッチは、
前記第4コイルユニットが有する前記第7導線の前記第10端部が、前記第4コイルユニットが有する前記第1接続導線に接続された第7状態と、
前記第4コイルユニットが有する前記第7導線の前記第10端部が、前記第5コイルユニットが有する前記第7導線の前記第6端部に接続された第8状態と、
前記第4コイルユニットが有する前記第7導線の前記第10端部が、前記第4コイルユニットが有する前記第1接続導線、及び、前記第5コイルユニットが有する前記第7導線の前記第6端部のいずれからも遮断された第9状態と、
を切り替え、
前記第1端部コイルユニットが有する前記第1スイッチは、
前記第1端部コイルユニットが有する前記第6導線の前記第9端部が、前記第1端部コイルユニットが有する前記第1接続導線に接続された第10状態と、
前記第1端部コイルユニットが有する前記第6導線の前記第9端部が、前記電源の前記第2端子に接続された第11状態と、
を切り替え、
前記第1端部コイルユニットが有する前記第2スイッチは、
前記第1端部コイルユニットが有する前記第7導線の前記第10端部が、前記第1端部コイルユニットが有する前記第1接続導線に接続された第12状態と、
前記第1端部コイルユニットが有する前記第7導線の前記第10端部が、前記電源の前記第1端子に接続された第13状態と、
を切り替え、
前記集電コイルが、前記M個のコイルユニットのうち、前記第4コイルユニットとしての前記第1コイルユニットと対向しているとき、
前記制御部は、
前記第4コイルユニットとしての前記第1コイルユニットにおいて、前記接続切替部が前記第1状態に切り替えられ、前記第1スイッチが前記第4状態に切り替えられ、且つ、前記第2スイッチが前記第7状態に切り替えられることにより、前記第1ループコイルが形成されるように、前記接続切替部の動作を制御し、
(L-1)個の前記第4コイルユニットとしての前記(L-1)個の第2コイルユニットのうち、前記第1端部コイルユニットを除くいずれの第2コイルユニットにおいても、前記接続切替部が前記第2状態に切り替えられ、前記第1スイッチが前記第5状態に切り替えられ、且つ、前記第2スイッチが前記第8状態に切り替えられることにより、前記第5導線及び前記第7導線により前記第1給電線が形成され、前記第6導線及び前記第8導線により前記第2給電線が形成されるように、前記接続切替部の動作を制御し、
前記第1端部コイルユニットにおいて、前記接続切替部が前記第2状態に切り替えられ、前記第1スイッチが前記第11状態に切り替えられ、且つ、前記第2スイッチが前記第13状態に切り替えられることにより、前記第5導線及び前記第7導線により前記第1給電線が形成され、前記第6導線及び前記第8導線により前記第2給電線が形成されるように、前記接続切替部の動作を制御する、非接触給電装置。
【請求項4】
請求項3に記載の非接触給電装置において、
前記M個のコイルユニットの各々において、
前記接続切替部は、
前記第1状態と、
前記第2状態と、
前記2本の第1導線及び前記2本の第2導線の各々が互いに直列に接続されず、前記2本の第3導線が互いに並列に接続されず、且つ、前記2本の第4導線が互いに並列に接続されない第14状態と、
を切り替え、
前記集電コイルが、前記M個のコイルユニットのうち、前記第4コイルユニットとしての前記第1コイルユニットと対向しているとき、
前記制御部は、
前記M個のコイルユニットのうち、前記第1コイルユニットよりも前記第1方向における前記第1の側と反対側に配置され、且つ、前記第4コイルユニットとしてのコイルユニットである、第6コイルユニットにおいて、前記接続切替部が前記第14状態に切り替えられ、且つ、前記第1スイッチが前記第6状態に切り替えられるか又は前記第2スイッチが前記第9状態に切り替えられることにより、前記第6コイルユニットに電流が通流されないように、前記接続切替部の動作を制御する、非接触給電装置。
【請求項5】
請求項1に記載の非接触給電装置において、
前記M個のコイルユニットの各々は、2Nターンの8の字形状を有する前記第1ループコイルを形成するためのものであり、
前記M個のコイルユニットの各々において、前記2N本の第2導線は、前記第1線よりも前記第2方向における前記第2の側と反対側に前記第1線と平行に配置された第2線と前記第1線との間に配置され、
前記M個のコイルユニットの各々は、
前記第2線と前記第1線との間に、前記2N本の第1導線から離れて配置され、且つ、前記第1方向にそれぞれ延在する2N本の第9導線と、
前記第2線よりも、前記第2方向における前記第2の側と反対側に、前記2N本の第2導線及び前記2N本の第9導線から離れて配置され、且つ、前記第1方向にそれぞれ延在する2N本の第10導線と、
を有し、
前記M個のコイルユニットの各々において、
前記接続切替部は、
前記2N本の第1導線、前記2N本の第2導線、前記2N本の第9導線及び前記2N本の第10導線の各々が互いに直列に接続され、各々が互いに直列に接続された前記2N本の第1導線、前記2N本の第2導線、前記2N本の第9導線及び前記2N本の第10導線により前記第1ループコイルが形成される前記第1状態と、
前記2N本の第9導線及び前記2N本の第10導線のうち、N本の第9導線及びN本の第10導線を2N本の第11導線とし、前記2N本の第9導線及び前記2N本の第10導線のうち、前記2N本の第11導線以外のN本の第9導線及びN本の第10導線を2N本の第12導線としたとき、前記2N本の第3導線及び前記2N本の第11導線が互いに並列に接続され、互いに並列に接続された前記2N本の第3導線及び前記2N本の第11導線により前記第1給電線が形成され、前記2N本の第4導線及び前記2N本の第12導線が互いに並列に接続され、互いに並列に接続された前記2N本の第4導線及び前記2N本の第12導線により前記第2給電線が形成される前記第2状態と、
を切り替える、非接触給電装置。
【請求項6】
請求項5に記載の非接触給電装置において、
前記M個のコイルユニットの各々において、
前記接続切替部は、
前記第1状態と、
前記第2状態と、
前記2N本の第1導線、前記2N本の第2導線、前記2N本の第9導線及び前記2N本の第10導線の各々が互いに直列に接続されず、前記2N本の第3導線及び前記2N本の第11導線が互いに並列に接続されず、且つ、前記2N本の第4導線及び前記2N本の第12導線が互いに並列に接続されない第15状態と、
を切り替え、
前記集電コイルが、前記M個のコイルユニットのうち、前記第1コイルユニットと対向しているとき、
前記制御部は、
前記M個のコイルユニットのうち、前記第1コイルユニットよりも前記第1方向における前記第1の側と反対側に配置された(M-L)個のコイルユニットである(M-L)個の第7コイルユニットの各々において、前記接続切替部が前記第15状態に切り替えられることにより、前記(M-L)個の第7コイルユニットの各々に電流が通流されないように、前記接続切替部の動作を制御する、非接触給電装置。
【請求項7】
請求項1に記載の非接触給電装置において、
前記M個のコイルユニットの各々は、前記第1ループコイル、及び、前記第1ループコイルと直列に接続され且つ前記第1ループコイルの巻回方向と逆方向に巻回された2Nターンの第2ループコイルを形成するためのものであり、
前記M個のコイルユニットの各々において、前記2N本の第2導線は、前記第1線よりも前記第2方向における前記第2の側と反対側に前記第1線と平行に配置された第3線と前記第1線との間に配置され、
前記M個のコイルユニットの各々は、
前記第3線と前記第1線との間に、前記2N本の第1導線から離れて配置され、且つ、前記第1方向にそれぞれ延在する2N本の第13導線と、
前記第3線よりも、前記第2方向における前記第2の側と反対側に、前記2N本の第2導線及び前記2N本の第13導線から離れて配置され、且つ、前記第1方向にそれぞれ延在する2N本の第14導線と、
を有し、
前記M個のコイルユニットの各々において、
前記接続切替部は、
前記2N本の第1導線及び前記2N本の第2導線の各々が互いに直列に接続され、各々が互いに直列に接続された前記2N本の第1導線及び前記2N本の第2導線により前記第1ループコイルが形成され、前記2N本の第13導線及び前記2N本の第14導線の各々が互いに直列に接続され、各々が互いに直列に接続された前記2N本の第13導線及び前記2N本の第14導線により前記第2ループコイルが形成される前記第1状態と、
前記2N本の第13導線及び前記2N本の第14導線のうち、N本の第13導線及びN本の第14導線を2N本の第15導線とし、前記2N本の第13導線及び前記2N本の第14導線のうち、前記2N本の第15導線以外のN本の第13導線及びN本の第14導線を2N本の第16導線としたとき、前記2N本の第3導線及び前記2N本の第15導線が互いに並列に接続され、互いに並列に接続された前記2N本の第3導線及び前記2N本の第15導線により前記第1給電線が形成され、前記2N本の第4導線及び前記2N本の第16導線が互いに並列に接続され、互いに並列に接続された前記2N本の第4導線及び前記2N本の第16導線により前記第2給電線が形成される前記第2状態と、
を切り替える、非接触給電装置。
【請求項8】
請求項7に記載の非接触給電装置において、
前記M個のコイルユニットの各々において、
前記接続切替部は、
前記第1状態と、
前記第2状態と、
前記2N本の第1導線、前記2N本の第2導線、前記2N本の第13導線及び前記2N本の第14導線の各々が互いに直列に接続されず、前記2N本の第3導線及び前記2N本の第15導線が互いに並列に接続されず、且つ、前記2N本の第4導線及び前記2N本の第16導線が互いに並列に接続されない第16状態と、
を切り替え、
前記集電コイルが、前記M個のコイルユニットのうち、前記第1コイルユニットと対向しているとき、
前記制御部は、
前記M個のコイルユニットのうち、前記第1コイルユニットよりも前記第1方向における前記第1の側と反対側に配置された(M-L)個のコイルユニットである(M-L)個の第8コイルユニットの各々において、前記接続切替部が前記第16状態に切り替えられることにより、前記(M-L)個の第8コイルユニットの各々に電流が通流されないように、前記接続切替部の動作を制御する、非接触給電装置。
【請求項9】
請求項1、2、5又は6に記載の非接触給電装置において、
前記M個のコイルユニットの各々により形成される前記第1ループコイルのターン数は、前記M個のコイルユニットのうち前記第1コイルユニット群端部に近い側に配置されたコイルユニットほど大きく、
前記制御部は、前記集電コイルが、前記M個のコイルユニットのうち、前記第1コイルユニットと対向しているとき、前記電源が前記第1コイルユニットに電流を通流するように、前記電源の動作を制御し、
前記制御部は、前記第1コイルユニットに通流される電流の電流量が、前記M個のコイルユニットのうち、前記集電コイルが対向している前記第1コイルユニットのターン数が大きいほど小さくなるように、前記電源の動作を制御する、非接触給電装置。
【請求項10】
請求項1乃至9のいずれか一項に記載の非接触給電装置において、
前記軌道を走行する車両は、前記軌道上に設けられたレール上を走行する鉄道車両であり、
前記M個のコイルユニットは、前記軌道上で、前記レールに沿った前記第1方向に配列されている、非接触給電装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、軌道を走行する車両に設けられた集電コイルとの間で非接触給電を行う非接触給電装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
軌道を走行する車両に設けられた集電コイルとの間で非接触給電を行う非接触給電装置が知られている。
【0003】
特開2010-125974号公報(特許文献1)には、鉄道車両用非接触給電システムにおいて、軌道上に敷設される鉄道レール間に配置され、鉄道レールへの磁気的影響が低減される給電コイルと、給電コイルに給電する高周波電源と、鉄道レールを走行する車両の底部に配置され、走行時に給電コイルに対向し、鉄道レールへの磁気的影響が低減される集電コイルとを備えた技術が開示されている。
【0004】
特開2016-175583号公報(特許文献2)には、非接触給電装置において、第一レール及び第二レールの間の領域のうち第一レールに近い領域に第一レールに並行して配置される第一導線と、第一導線とともに第一レールを挟む位置に第一レールに並行して配置される第二導線と、第一レール及び第二レールの間の領域のうち第二レールに近い領域に第二レールに並行して配置される第三導線と、第三導線とともに第二レールを挟む位置に第二レールに並行して配置される第四導線と、を備える技術が開示されている。
【0005】
特開2015-27149号公報(特許文献3)には、所定の方向に走行する移動体に対して非接触で電力を供給する非接触給電装置において、移動体に設けられた受電コイルに対して、少なくとも磁気的な結合によって非接触で電力を送電する送電コイルと、送電コイルの電力を制御する制御手段とを備える技術が開示されている。上記特許文献3に記載された技術では、制御手段は、移動体の動きに基づいて複数の切替部を制御する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2010-125974号公報
【文献】特開2016-175583号公報
【文献】特開2015-27149号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
軌道を走行する移動体即ち車両に設けられた集電コイルとの間で連続的に非接触給電を行う非接触給電装置において、非接触給電装置に備えられ、走行している移動体に非接触給電を行うための地上コイルとしての給電コイル(送電コイル)は、移動体が移動する領域の全域即ち軌道全体に敷設される必要があり、長尺ループコイルよりなることが望ましい。
【0008】
一方、給電コイルが長尺ループコイルよりなる場合、給電コイルのうち集電コイル(受電コイル)と対向していない部分は、集電コイルとの間で非接触給電を行うという機能上不要な部分であり、損失を増大させ、送電効率を低下させる要因となる。
【0009】
従って、送電効率を向上させる観点からは、軌道全体をそれぞれ一定の長さを有する複数のセクションに分割し、複数のセクションのうち移動体に設けられた集電コイルと対向しているセクションのみに選択的に電流を通電即ち通流する方法が考えられる。しかしながら、このような方法では、給電コイルと並行したフィーダーケーブルを敷設する必要があり、非接触給電装置の設置コストが増大する。
【0010】
即ち、従来の非接触給電装置では、給電コイルの損失を低減できず送電効率を向上できないか、又は、フィーダーケーブルを省略できず設置コストを低減することができない。
【0011】
本発明は、上述のような従来技術の問題点を解決すべくなされたものであって、軌道を走行する車両に設けられた集電コイルとの間で非接触給電を行う非接触給電装置において、給電コイルの損失を低減させ、送電効率を向上させることができ、且つ、フィーダーケーブルを省略し、設置コストを低減することができる非接触給電装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、次のとおりである。
【0013】
本発明の一態様としての非接触給電装置は、軌道を走行する車両に設けられた集電コイルとの間で非接触給電を行う非接触給電装置である。当該非接触給電装置は、軌道に沿った第1方向に配列され、且つ、集電コイルと対向可能な2Nターン(Nは1以上の整数)の第1ループコイルをそれぞれ形成するためのM個(Mは5以上の整数)のコイルユニットと、M個のコイルユニットよりなるコイルユニット群の第1方向における第1の側の第1コイルユニット群端部に接続され、M個のコイルユニットのいずれかに電流を通流する電源と、を備えている。M個のコイルユニットの各々は、第1方向に延在する第1線よりも、第1方向と交差する第2方向における第2の側に配置され、且つ、第1方向にそれぞれ延在する2N本の第1導線と、第1線よりも、第2方向における第2の側と反対側に、2N本の第1導線から離れて配置され、且つ、第1方向にそれぞれ延在する2N本の第2導線と、2N本の第1導線及び2N本の第2導線の間の接続を切り替える接続切替部と、を有する。電源は、第1端子と、第1端子と反対側の第2端子と、を有する。M個のコイルユニットの各々において、接続切替部は、2N本の第1導線及び2N本の第2導線の各々が互いに直列に接続され、各々が互いに直列に接続された2N本の第1導線及び2N本の第2導線により第1ループコイルが形成される第1状態と、2N本の第1導線及び2N本の第2導線のうち、N本の第1導線及びN本の第2導線を2N本の第3導線とし、2N本の第1導線及び2N本の第2導線のうち、2N本の第3導線以外のN本の第1導線及びN本の第2導線を2N本の第4導線としたとき、2N本の第3導線が互いに並列に接続され、互いに並列に接続された2N本の第3導線により第1給電線が形成され、2N本の第4導線が互いに並列に接続され、互いに並列に接続された2N本の第4導線により第2給電線が形成される第2状態と、を切り替える。当該非接触給電装置は、更に、M個のコイルユニットの各々がそれぞれ有するM個の接続切替部の動作を制御する制御部を備えている。集電コイルが、M個のコイルユニットのうち、第1コイルユニット群端部からL番目(Lは3以上M-2以下の整数)のコイルユニットである第1コイルユニットと対向しているとき、制御部は、第1コイルユニットにおいて、接続切替部が第1状態に切り替えられることにより第1ループコイルが形成されるように、接続切替部の動作を制御し、M個のコイルユニットのうち、第1コイルユニットよりも第1方向における第1の側に配置された(L-1)個のコイルユニットである(L-1)個の第2コイルユニットの各々において、接続切替部が第2状態に切り替えられることにより第1給電線及び第2給電線が形成されるように、接続切替部の動作を制御する。(L-1)個の第2コイルユニットの各々でそれぞれ形成される(L-1)個の第1給電線は、(L-1)個の第2コイルユニットに亘って互いに直列に接続され、(L-1)個の第2コイルユニットの各々でそれぞれ形成される(L-1)個の第2給電線は、(L-1)個の第2コイルユニットに亘って互いに直列に接続される。互いに直列に接続された(L-1)個の第1給電線よりなる第1給電線群の第1方向における第1の側の第1端部は、電源の第1端子に接続され、互いに直列に接続された(L-1)個の第2給電線よりなる第2給電線群の第1方向における第1の側の第2端部は、電源の第2端子に接続される。第1給電線群の第1方向における第1の側と反対側の第3端部は、第1コイルユニットにより形成される第1ループコイルの第3端子に接続され、第2給電線群の第1方向における第1の側と反対側の第4端部は、第1コイルユニットにより形成される第1ループコイルの第3端子と反対側の第4端子に接続される。
【0014】
また、他の一態様として、M個のコイルユニットの各々において、接続切替部は、第1状態と、第2状態と、2N本の第1導線及び2N本の第2導線の各々が互いに直列に接続されず、2N本の第3導線が互いに並列に接続されず、且つ、2N本の第4導線が互いに並列に接続されない第3状態と、を切り替えてもよい。集電コイルが、M個のコイルユニットのうち、第1コイルユニットと対向しているとき、制御部は、M個のコイルユニットのうち、第1コイルユニットよりも第1方向における第1の側と反対側に配置された(M-L)個のコイルユニットである(M-L)個の第3コイルユニットの各々において、接続切替部が第3状態に切り替えられることにより、(M-L)個の第3コイルユニットの各々に電流が通流されないように、接続切替部の動作を制御してもよい。
【0015】
また、他の一態様として、M個のコイルユニットの各々において、Nは1であり、M個のコイルユニットの各々において、2本の第1導線のうちの1本の第1導線であって、且つ、2本の第3導線のうちの1本の第3導線である第1導線を、第5導線とし、2本の第1導線のうちの1本の第1導線であって、且つ、2本の第4導線のうちの1本の第4導線である第1導線を、第6導線とし、2本の第2導線のうちの1本の第2導線であって、且つ、2本の第3導線のうちの1本の第3導線である第2導線を、第7導線とし、2本の第2導線のうちの1本の第2導線であって、且つ、2本の第4導線のうちの1本の第4導線である第2導線を、第8導線としたとき、第5導線の第1方向における第1の側と反対側の第5端部は、第7導線の第1方向における第1の側と反対側の第6端部に接続され、第6導線の第1方向における第1の側と反対側の第7端部は、第8導線の第1方向における第1の側と反対側の第8端部に接続されてもよい。接続切替部は、第6導線の第1方向における第1の側の第9端部と、第7導線の第1方向における第1の側の第10端部と、を接続するための第1接続導線と、第6導線の第9端部と、第1接続導線と、の接続を切り替える第1スイッチと、第7導線の第10端部と、第1接続導線と、の接続を切り替える第2スイッチと、を含んでもよい。M個のコイルユニットの各々がそれぞれ有するM個の第5導線は、M個のコイルユニットに亘って互いに直列に接続され、M個のコイルユニットの各々がそれぞれ有するM個の第8導線は、M個のコイルユニットに亘って互いに直列に接続されてもよい。M個のコイルユニットのうち、コイルユニット群の第1コイルユニット群端部に配置されたコイルユニットを第1端部コイルユニットとしたとき、第1端部コイルユニットが有する第5導線は、電源の第1端子に接続され、第1端部コイルユニットが有する第8導線は、電源の第2端子に接続されてもよい。M個のコイルユニットのうち、第1コイルユニット群端部からK番目(Kは2以上M以下の整数)のコイルユニットを第4コイルユニットとし、第1コイルユニット群端部から(K-1)番目のコイルユニットを第5コイルユニットとしたとき、第4コイルユニットが有する第1スイッチは、第4コイルユニットが有する第6導線の第9端部が、第4コイルユニットが有する第1接続導線に接続された第4状態と、第4コイルユニットが有する第6導線の第9端部が、第5コイルユニットが有する第6導線の第7端部に接続された第5状態と、第4コイルユニットが有する第6導線の第9端部が、第4コイルユニットが有する第1接続導線、及び、第5コイルユニットが有する第6導線の第7端部のいずれからも遮断された第6状態と、を切り替え、第4コイルユニットが有する第2スイッチは、第4コイルユニットが有する第7導線の第10端部が、第4コイルユニットが有する第1接続導線に接続された第7状態と、第4コイルユニットが有する第7導線の第10端部が、第5コイルユニットが有する第7導線の第6端部に接続された第8状態と、第4コイルユニットが有する第7導線の第10端部が、第4コイルユニットが有する第1接続導線、及び、第5コイルユニットが有する第7導線の第6端部のいずれからも遮断された第9状態と、を切り替えてもよい。第1端部コイルユニットが有する第1スイッチは、第1端部コイルユニットが有する第6導線の第9端部が、第1端部コイルユニットが有する第1接続導線に接続された第10状態と、第1端部コイルユニットが有する第6導線の第9端部が、電源の第2端子に接続された第11状態と、を切り替え、第1端部コイルユニットが有する第2スイッチは、第1端部コイルユニットが有する第7導線の第10端部が、第1端部コイルユニットが有する第1接続導線に接続された第12状態と、第1端部コイルユニットが有する第7導線の第10端部が、電源の第1端子に接続された第13状態と、を切り替えてもよい。集電コイルが、M個のコイルユニットのうち、第4コイルユニットとしての第1コイルユニットと対向しているとき、制御部は、第4コイルユニットとしての第1コイルユニットにおいて、接続切替部が第1状態に切り替えられ、第1スイッチが第4状態に切り替えられ、且つ、第2スイッチが第7状態に切り替えられることにより、第1ループコイルが形成されるように、接続切替部の動作を制御し、(L-1)個の第4コイルユニットとしての(L-1)個の第2コイルユニットのうち、第1端部コイルユニットを除くいずれの第2コイルユニットにおいても、接続切替部が第2状態に切り替えられ、第1スイッチが第5状態に切り替えられ、且つ、第2スイッチが第8状態に切り替えられることにより、第5導線及び第7導線により第1給電線が形成され、第6導線及び第8導線により第2給電線が形成されるように、接続切替部の動作を制御し、第1端部コイルユニットにおいて、接続切替部が第2状態に切り替えられ、第1スイッチが第11状態に切り替えられ、且つ、第2スイッチが第13状態に切り替えられることにより、第5導線及び第7導線により第1給電線が形成され、第6導線及び第8導線により第2給電線が形成されるように、接続切替部の動作を制御してもよい。
【0016】
また、他の一態様として、M個のコイルユニットの各々において、接続切替部は、第1状態と、第2状態と、2本の第1導線及び2本の第2導線の各々が互いに直列に接続されず、2本の第3導線が互いに並列に接続されず、且つ、2本の第4導線が互いに並列に接続されない第14状態と、を切り替えてもよい。集電コイルが、M個のコイルユニットのうち、第4コイルユニットとしての第1コイルユニットと対向しているとき、制御部は、M個のコイルユニットのうち、第1コイルユニットよりも第1方向における第1の側と反対側に配置され、且つ、第4コイルユニットとしてのコイルユニットである、第6コイルユニットにおいて、接続切替部が第14状態に切り替えられ、且つ、第1スイッチが第6状態に切り替えられるか又は第2スイッチが第9状態に切り替えられることにより、第6コイルユニットに電流が通流されないように、接続切替部の動作を制御してもよい。
【0017】
また、他の一態様として、M個のコイルユニットの各々は、2Nターンの8の字形状を有する第1ループコイルを形成するためのものであってもよい。M個のコイルユニットの各々において、2N本の第2導線は、第1線よりも第2方向における第2の側と反対側に第1線と平行に配置された第2線と第1線との間に配置されてもよい。M個のコイルユニットの各々は、第2線と第1線との間に、2N本の第1導線から離れて配置され、且つ、第1方向にそれぞれ延在する2N本の第9導線と、第2線よりも、第2方向における第2の側と反対側に、2N本の第2導線及び2N本の第9導線から離れて配置され、且つ、第1方向にそれぞれ延在する2N本の第10導線と、を有してもよい。M個のコイルユニットの各々において、接続切替部は、2N本の第1導線、2N本の第2導線、2N本の第9導線及び2N本の第10導線の各々が互いに直列に接続され、各々が互いに直列に接続された2N本の第1導線、2N本の第2導線、2N本の第9導線及び2N本の第10導線により第1ループコイルが形成される第1状態と、2N本の第9導線及び2N本の第10導線のうち、N本の第9導線及びN本の第10導線を2N本の第11導線とし、2N本の第9導線及び2N本の第10導線のうち、2N本の第11導線以外のN本の第9導線及びN本の第10導線を2N本の第12導線としたとき、2N本の第3導線及び2N本の第11導線が互いに並列に接続され、互いに並列に接続された2N本の第3導線及び2N本の第11導線により第1給電線が形成され、2N本の第4導線及び2N本の第12導線が互いに並列に接続され、互いに並列に接続された2N本の第4導線及び2N本の第12導線により第2給電線が形成される第2状態と、を切り替えてもよい。
【0018】
また、他の一態様として、M個のコイルユニットの各々において、接続切替部は、第1状態と、第2状態と、2N本の第1導線、2N本の第2導線、2N本の第9導線及び2N本の第10導線の各々が互いに直列に接続されず、2N本の第3導線及び2N本の第11導線が互いに並列に接続されず、且つ、2N本の第4導線及び2N本の第12導線が互いに並列に接続されない第15状態と、を切り替えてもよい。集電コイルが、M個のコイルユニットのうち、第1コイルユニットと対向しているとき、制御部は、M個のコイルユニットのうち、第1コイルユニットよりも第1方向における第1の側と反対側に配置された(M-L)個のコイルユニットである(M-L)個の第7コイルユニットの各々において、接続切替部が第15状態に切り替えられることにより、(M-L)個の第7コイルユニットの各々に電流が通流されないように、接続切替部の動作を制御してもよい。
【0019】
また、他の一態様として、M個のコイルユニットの各々は、第1ループコイル、及び、第1ループコイルと直列に接続され且つ第1ループコイルの巻回方向と逆方向に巻回された2Nターンの第2ループコイルを形成するためのものであってもよい。M個のコイルユニットの各々において、2N本の第2導線は、第1線よりも第2方向における第2の側と反対側に第1線と平行に配置された第3線と第1線との間に配置され、M個のコイルユニットの各々は、第3線と第1線との間に、2N本の第1導線から離れて配置され、且つ、第1方向にそれぞれ延在する2N本の第13導線と、第3線よりも、第2方向における第2の側と反対側に、2N本の第2導線及び2N本の第13導線から離れて配置され、且つ、第1方向にそれぞれ延在する2N本の第14導線と、を有してもよい。M個のコイルユニットの各々において、接続切替部は、2N本の第1導線及び2N本の第2導線の各々が互いに直列に接続され、各々が互いに直列に接続された2N本の第1導線及び2N本の第2導線により第1ループコイルが形成され、2N本の第13導線及び2N本の第14導線の各々が互いに直列に接続され、各々が互いに直列に接続された2N本の第13導線及び2N本の第14導線により第2ループコイルが形成される第1状態と、2N本の第13導線及び2N本の第14導線のうち、N本の第13導線及びN本の第14導線を2N本の第15導線とし、2N本の第13導線及び2N本の第14導線のうち、2N本の第15導線以外のN本の第13導線及びN本の第14導線を2N本の第16導線としたとき、2N本の第3導線及び2N本の第15導線が互いに並列に接続され、互いに並列に接続された2N本の第3導線及び2N本の第15導線により第1給電線が形成され、2N本の第4導線及び2N本の第16導線が互いに並列に接続され、互いに並列に接続された2N本の第4導線及び2N本の第16導線により第2給電線が形成される第2状態と、を切り替えてもよい。
【0020】
また、他の一態様として、M個のコイルユニットの各々において、接続切替部は、第1状態と、第2状態と、2N本の第1導線、2N本の第2導線、2N本の第13導線及び2N本の第14導線の各々が互いに直列に接続されず、2N本の第3導線及び2N本の第15導線が互いに並列に接続されず、且つ、2N本の第4導線及び2N本の第16導線が互いに並列に接続されない第16状態と、を切り替えてもよい。集電コイルが、M個のコイルユニットのうち、第1コイルユニットと対向しているとき、制御部は、M個のコイルユニットのうち、第1コイルユニットよりも第1方向における第1の側と反対側に配置された(M-L)個のコイルユニットである(M-L)個の第8コイルユニットの各々において、接続切替部が第16状態に切り替えられることにより、(M-L)個の第8コイルユニットの各々に電流が通流されないように、接続切替部の動作を制御してもよい。
【0021】
また、他の一態様として、M個のコイルユニットの各々により形成される第1ループコイルのターン数は、M個のコイルユニットのうち第1コイルユニット群端部に近い側に配置されたコイルユニットほど大きくてもよい。制御部は、集電コイルが、M個のコイルユニットのうち、第1コイルユニットと対向しているとき、電源が第1コイルユニットに電流を通流するように、電源の動作を制御してもよい。制御部は、第1コイルユニットに通流される電流の電流量が、M個のコイルユニットのうち、集電コイルが対向している第1コイルユニットのターン数が大きいほど小さくなるように、電源の動作を制御してもよい。
【0022】
また、他の一態様として、軌道を走行する車両は、軌道上に設けられたレール上を走行する鉄道車両であり、M個のコイルユニットは、軌道上で、レールに沿った第1方向に配列されていてもよい。
【発明の効果】
【0023】
本発明の一態様を適用することで、軌道を走行する車両に設けられた集電コイルとの間で非接触給電を行う非接触給電装置において、給電コイルの損失を低減させ、送電効率を向上させることができ、且つ、フィーダーケーブルを省略し、設置コストを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】実施の形態の非接触給電装置を示す回路図である。
図2】実施の形態の非接触給電装置の等価回路を示す回路図である。
図3】コイルユニットの3次元の計算モデルを示す図である。
図4】コイルユニットの各導線に通流される電流密度を計算した結果を示すグラフである。
図5】コイルユニットの各導線に通流される電流により発生する磁束密度を計算した結果を示すグラフである。
図6】実施の形態の第1変形例の非接触給電装置を示す回路図である。
図7】実施の形態の第1変形例の非接触給電装置を示す回路図である。
図8】実施の形態の第1変形例の非接触給電装置の等価回路を示す回路図である。
図9】実施の形態の第2変形例の非接触給電装置を示す回路図である。
図10】実施の形態の第2変形例の非接触給電装置を示す回路図である。
図11】実施の形態の第2変形例の非接触給電装置の等価回路を示す回路図である。
図12】実施の形態の第3変形例の非接触給電装置の等価回路を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下に、本発明の各実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0026】
なお、開示はあくまで一例にすぎず、当業者において、発明の主旨を保っての適宜変更について容易に想到し得るものについては、当然に本発明の範囲に含有されるものである。また、図面は説明をより明確にするため、実施の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。
【0027】
また本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号を付して、詳細な説明を適宜省略することがある。
【0028】
更に、実施の形態で用いる図面においては、構造物を区別するために付したハッチング(網掛け)を図面に応じて省略する場合もある。
【0029】
なお、以下の実施の形態においてA~Bとして範囲を示す場合には、特に明示した場合を除き、A以上B以下を示すものとする。
【0030】
(実施の形態)
<非接触給電装置>
初めに、本発明の一実施形態である実施の形態の非接触給電装置について説明する。本実施の形態の非接触給電装置は、軌道を走行する車両に設けられた集電コイルとの間で非接触給電を行う非接触給電装置である。また、本実施の形態の非接触給電装置は、電車への給配電を行う非接触給電装置、電気的推進車両の集電装置、電気自動車への給電を行う非接触給電装置、又は、搬送機への給電を行う非接触給電装置に適用することができる。
【0031】
図1は、実施の形態の非接触給電装置を示す回路図である。図2は、実施の形態の非接触給電装置の等価回路を示す回路図である。
【0032】
図1及び図2に示すように、本実施の形態の非接触給電装置SD1は、M個(Mは5以上の整数)のコイルユニットUNと、電源PS1と、制御部CT1と、を備えている。なお、図1では、Mが6である場合を示している。また、Mは5以上の整数であることが好ましいものの、本実施の形態の非接触給電装置SD1は、Mが2、3又は4である場合にも適用可能である。
【0033】
M個(Mは5以上の整数)のコイルユニットUNは、軌道TR1に沿った方向DR1に配列され、互いに直列に接続され、且つ、集電コイルRC1と対向可能な巻回数即ちターン数が2Nターン(Nは1以上の整数)の給電コイル(2Nターン巻回された給電コイル)としてのループコイルCL1をそれぞれ形成するためのものである。なお、図1及び図2では、Nが1である場合を示している。また、実施の形態並びに実施の形態の第1変形例及び第2変形例では、M個のコイルユニットUNの各々におけるNが互いに等しい場合を例示して説明するが、実施の形態の第3変形例にて説明するように、M個のコイルユニットUNの各々におけるNが互いに異なってもよい。また、本願明細書では、直列に接続される、とは、電気的に直列に接続されることを意味する。また、軌道TR1が曲線形状を有する場合、方向DR1は、軌道TR1に沿って徐々に変化することになる。
【0034】
電源PS1は、M個のコイルユニットUNよりなるコイルユニット群UGの方向DR1における第1の側のコイルユニット群端部GE1に接続され、M個のコイルユニットUNのいずれかにより形成されるループコイルCL1に電流を通流する。ここで、方向DR1における第1の側とは、方向DR1における電源PS1側を意味する。また、通流される電流は交流電流(高周波電流)であり、電源PS1は交流電源(高周波電源)である。なお、図2では、ある瞬間に導線に流れる電流の向きを矢印により表している(図8図11及び図12においても同様)。
【0035】
M個のコイルユニットUNの各々は、2N本の導線CN1と、2N本の導線CN2と、接続切替部SU1と、を有する。2N本の導線CN1は、方向DR1に延在する第1線LN1よりも、方向DR1と交差する方向DR2における第2の側に配置され、且つ、方向DR1にそれぞれ延在する。2N本の導線CN2は、第1線LN1よりも、方向DR2における第2の側と反対側に、2N本の導線CN1から離れて配置され、且つ、方向DR1にそれぞれ延在する。接続切替部SU1は、2N本の導線CN1及び2N本の導線CN2の間の接続を切り替える。
【0036】
電源PS1は、端子TM1と、端子TM1と反対側の端子TM2と、を有する。
【0037】
M個のコイルユニットUNの各々において、2N本の導線CN1及び2N本の導線CN2のうち、N本の導線CN1及びN本の導線CN2を2N本の導線CN3とし、2N本の導線CN1及び2N本の導線CN2のうち、2N本の導線CN3以外のN本の導線CN1及びN本の導線CN2を2N本の導線CN4とする。このようにしたとき、M個のコイルユニットUNの各々において、接続切替部SU1は、2N本の導線CN1及び2N本の導線CN2の各々が電源PS1に対して(端子TM1と端子TM2との間で)互いに直列に接続され、各々が互いに直列に接続された2N本の導線CN1及び2N本の導線CN2によりループコイルCL1が形成される状態ST1と、2N本の導線CN3が電源PS1に対して互いに並列に接続され、互いに並列に接続された2N本の導線CN3により給電線FD1が形成され、2N本の導線CN4が電源に対して互いに並列に接続され、互いに並列に接続された2N本の導線CN4により給電線FD2が形成される状態ST2と、を切り替える。なお、本願明細書では、並列に接続される、とは、電気的に並列に接続されることを意味する。
【0038】
制御部CT1は、M個のコイルユニットUNの各々がそれぞれ有するM個の接続切替部SU1の動作を制御する。制御部CT1として、例えば、演算部(Central Processing Unit:CPU)及び記憶部(メモリ)を含み、記憶部に記憶されたプログラムを演算部により実行するコンピュータを用いることができる。
【0039】
集電コイルRC1が、M個のコイルユニットUNのうち、コイルユニット群端部GE1からL番目(Lは3以上M-2以下の整数)のコイルユニットUNであるコイルユニットUN1と対向している場合を考える。このような場合、制御部CT1は、コイルユニットUN1において、接続切替部SU1が状態ST1に切り替えられることによりループコイルCL1が形成されるように、接続切替部SU1の動作を制御する。また、制御部CT1は、M個のコイルユニットUNのうち、コイルユニットUN1よりも方向DR1における第1の側に配置された(L-1)個のコイルユニットUNである(L-1)個のコイルユニットUN2の各々において、接続切替部SU1が状態ST2に切り替えられることにより、互いに並列に接続された2N本の導線CN3により給電線FD1が形成され、互いに並列に接続された2N本の導線CN4により給電線FD2が形成されるように、接続切替部SU1の動作を制御する。例えば、集電コイルRC1の位置を検出する検出部(図示は省略)により集電コイルRC1の位置を検出し、検出された集電コイルRC1の位置に基づいて、集電コイルRC1が、M個のコイルユニットUNのうちいずれのコイルユニットUNと対向しているかを検出することができる。
【0040】
集電コイルRC1が、コイルユニットUN1と対向している場合、(L-1)個のコイルユニットUN2の各々でそれぞれ形成される(L-1)個の給電線FD1は、(L-1)個のコイルユニットUN2に亘って互いに直列に接続され、(L-1)個のコイルユニットUN2の各々でそれぞれ形成される(L-1)個の給電線FD2は、(L-1)個のコイルユニットUN2に亘って互いに直列に接続される。
【0041】
また、集電コイルRC1が、コイルユニットUN1と対向している場合、互いに直列に接続された(L-1)個の給電線FD1よりなる給電線群FG1の方向DR1における第1の側の端部EP1は、電源PS1の端子TM1に接続され、互いに直列に接続された(L-1)個の給電線FD2よりなる給電線群FG2の方向DR1における第1の側の端部EP2は、電源PS1の端子TM2に接続される。
【0042】
また、集電コイルRC1が、コイルユニットUN1と対向している場合、給電線群FG1の方向DR1における第1の側と反対側の端部EP3は、コイルユニットUN1により形成されるループコイルCL1の端子TM3に接続され、給電線群FG2の方向DR1における第1の側と反対側の端部EP4は、コイルユニットUN1により形成されるループコイルCL1の端子TM3と反対側の端子TM4に接続される。
【0043】
ここで、本実施の形態の非接触給電装置が解決しようとする課題について、説明する。
【0044】
軌道を走行する移動体即ち車両に設けられた集電コイルとの間で連続的に非接触給電を行う非接触給電装置において、非接触給電装置に備えられ、走行している移動体に非接触給電を行うための地上コイルとしての給電コイル(送電コイル)は、移動体が移動する領域の全域即ち軌道全体に敷設される必要があり、長尺ループコイルよりなることが望ましい。
【0045】
一方、給電コイルが長尺ループコイルよりなる場合、給電コイルのうち集電コイル(受電コイル)と対向していない部分は、集電コイルとの間で非接触給電を行うという機能上不要な部分であり、損失を増大させ、送電効率を低下させる要因となる。即ち、送電効率を向上させる観点からは、給電コイルが単一の長尺ループコイルよりなる場合、軌道上に給電コイルを連続して敷設する連続敷設距離には、限界がある。
【0046】
従って、送電効率を向上させる観点からは、軌道全体をそれぞれ一定の長さを有する複数のセクションに分割し、複数のセクションのうち移動体に設けられた集電コイルと対向しているセクションのみに選択的に電流を通電即ち通流する方法が考えられる。しかしながら、このような方法では、給電コイルとしてのループコイルに加えて、給電コイルと並行したフィーダーケーブルを敷設する必要があり、非接触給電装置の設置コストが増大する。
【0047】
即ち、従来の非接触給電装置では、給電コイルの損失を低減できず送電効率を向上できないか、又は、フィーダーケーブルを省略できず設置コストを低減することができない。
【0048】
上記特許文献3に記載された技術では、送電コイルは、所定の方向を長手方向とし、受電コイルと対向する送電コイルの対向面で、少なくとも長手方向以外の方向にコイル用の配線を延在させて、コイル面を拡大する複数の拡大部と、複数の拡大部にそれぞれ対応して設けられ、拡大部と基部との間の電気的な導通及び遮断を切り替える複数の切替部とを有する。
【0049】
しかし、上記特許文献3に記載された技術では、長手方向にコイル用の配線を延在させた基部を有する。そのため、フィーダーケーブルを省略できず設置コストを低減することができない。
【0050】
一方、本実施の形態の非接触給電装置SD1は、軌道TR1に沿った方向DR1に配列された2Nターン(Nは1以上の整数)のループコイルCL1をそれぞれ形成するM個(Mは5以上の整数)のコイルユニットUNと、M個のコイルユニットUNよりなるコイルユニット群UGの方向DR1における第1の側のコイルユニット群端部GE1に接続され、M個のコイルユニットUNのいずれかに電流を通流する電源PS1と、を備えている。M個のコイルユニットUNの各々は、2N本の導線CN1と、2N本の導線CN1から離れて配置された2N本の導線CN2と、2N本の導線CN1及び2N本の導線CN2の間の接続を切り替える接続切替部SU1と、を有する。接続切替部SU1は、2N本の導線CN1及び2N本の導線CN2の各々が電源PS1に対して互いに直列に接続され、各々が互いに直列に接続された2N本の導線CN1及び2N本の導線CN2によりループコイルCL1が形成される状態ST1と、N本の導線CN1及びN本の導線CN2により給電線FD1が形成され、N本の導線CN1及びN本の導線CN2により給電線FD2が形成される状態ST2と、を切り替える。
【0051】
本実施の形態の非接触給電装置SD1は、更に、M個のコイルユニットUNの各々がそれぞれ有するM個の接続切替部SU1の動作を制御する制御部CT1を備えている。また、集電コイルRC1が、M個のコイルユニットUNのうち、コイルユニット群端部GE1からL番目(Lは3以上M-2以下の整数)のコイルユニットUNであるコイルユニットUN1と対向しているとき、制御部CT1は、コイルユニットUN1において、接続切替部SU1が状態ST1に切り替えられることによりループコイルCL1が形成されるように、接続切替部SU1の動作を制御する。また、集電コイルRC1がコイルユニットUN1と対向しているとき、制御部CT1は、M個のコイルユニットUNのうち、コイルユニットUN1よりも方向DR1における第1の側に配置された(L-1)個のコイルユニットUNである(L-1)個のコイルユニットUN2の各々において、接続切替部SU1が状態ST2に切り替えられることにより、互いに並列に接続された2N本の導線CN3により給電線FD1が形成され、互いに並列に接続された2N本の導線CN4により給電線FD2が形成されるように、接続切替部SU1の動作を制御する。
【0052】
即ち、本実施の形態の非接触給電装置では、複数のコイルユニットよりなるコイルユニット群を、集電コイルと対向している対向セクションと、対向セクションよりも電源側に配置され集電コイルと対向していない非対向セクションと、に分割し、対向セクションと非対向セクションとの境界即ちセクション同士の境界で、コイルユニットにおける導体の接続方法を切り替える。対向セクションより電源側の非対向セクション、即ち電源側非対向部では、複数の導体を、行き帰り電流がペアとなるように、並列に接続することにより、コイルユニットを、低いインピーダンスを有し、小さい漏洩磁界を有するフィーダーとして使用する。また、対向セクション即ち対向部では、コイルユニットを、コイルとして使用し、磁束を発生させる。即ち、本実施の形態の非接触給電装置では、電源側非対向部と対向部との境界において、コイルユニットにおける導体を接続する結線を変更することで、電源側非対向部では、コイルユニットを、複数の導体が並列に接続された状態で利用し、複数の導体が発生する磁場を相互にキャンセルする。
【0053】
これにより、電源側非対向部におけるコイルユニットを、低いインピーダンスを有する給電線として機能させ、対向部におけるコイルユニットを、大きなターン数を有する給電コイルとして機能させることができる。そのため、フィーダーケーブルを省略し、且つ、給電コイルの損失を低減することができる。即ち、本実施の形態によれば、給電コイルの損失を低減させ、送電効率を向上させることができ、且つ、フィーダーケーブルを省略し、設置コストを低減することができる。
【0054】
なお、本実施の形態によれば、各セクションにおいて、補償コンデンサを集約することができるので、設置コストを更に低減することができ、且つ、設置スペースを低減することができる。
【0055】
好適には、M個のコイルユニットUNの各々において、接続切替部SU1は、状態ST1と、状態ST2と、2N本の導線CN1及び2N本の導線CN2の各々が電源PS1に対して互いに直列に接続されず、2N本の導線CN3が電源PS1に対して互いに並列に接続されず、且つ、2N本の導線CN4が電源PS1に対して互いに並列に接続されない状態ST3と、を切り替える。また、集電コイルRC1が、M個のコイルユニットUNのうち、コイルユニットUN1と対向しているとき、制御部CT1は、M個のコイルユニットUNのうち、コイルユニットUN1よりも方向DR1における第1の側と反対側に配置された(M-L)個のコイルユニットUNである(M-L)個のコイルユニットUN3の各々において、接続切替部SU1が状態ST3に切り替えられることにより、(M-L)個のコイルユニットUN3の各々に電流が通流されないように、接続切替部SU1の動作を制御する。
【0056】
即ち、本実施の形態の非接触給電装置では、好適には、複数のコイルユニットよりなるコイルユニット群を、集電コイルと対向している対向セクションと、対向セクションよりも電源側及び末端側にそれぞれ配置され集電コイルとそれぞれ対向していない2つの非対向セクションと、よりなる3つのセクションに分割し、セクション同士の境界で、コイルユニットにおける導体の接続方法を切り替える。また、対向セクションより末端側の非対向セクション、即ち末端側非対向部では、コイルユニットに電流が通流されないようにする。これにより、給電コイルの損失を更に低減することができる。
【0057】
一般に、高周波通電を前提とした非接触給電において、導体として、高価なリッツ線を使用することが望ましい。一方、前述したように、本実施の形態では、導体使用量を抑制することができる。そのため、導体としてリッツ線を使用する場合には、本実施の形態により設置コストを低減する効果は更に大きくなる。
【0058】
好適には、軌道TR1を走行する車両VC1は、軌道TR1上に設けられたレールR1上を走行する鉄道車両であり、M個のコイルユニットUNは、軌道TR1上で、レールR1に沿った方向DR1に配列されている。即ち、軌道を走行する車両が、鉄道車両であることが好ましい。即ち、本実施の形態の非接触給電装置を、鉄道向け非接触給電装置に適用することが好ましい(実施の形態の第1変形例乃至第3変形例においても同様)。
【0059】
鉄道向け非接触給電装置においては、地上コイル即ち給電コイル辺至近に磁性体且つ導電体であるレールが存在し、給電コイルが発生する交流磁場がレールに鎖交することにより、大きな損失を発生するおそれがある。一方、前述したように、本実施の形態の非接触給電装置では、電源側非対向部において、コイルユニットを、複数の導体が並列に接続された状態で利用し、複数の導体が発生する磁場を相互にキャンセルする。そのため、本実施の形態の非接触給電装置を、鉄道向け非接触給電装置に適用することにより、電源側非対向部において、発生する損失を大幅に抑制することができる。
【0060】
なお、本実施の形態の非接触給電装置を鉄道向け非接触給電装置に適用する場合、集電コイルの幅を1m程度とし、集電コイルの軌道に沿った長さを10m程度とすることができ、コイルユニット即ちセクションの幅を1m程度とし、コイルユニット即ちセクションの軌道に沿った長さを20~200m程度とすることができる(実施の形態の第1変形例乃至第3変形例においても同様)。
【0061】
<実施の形態の非接触給電装置の構成例>
次に、図1及び図2に示す実施の形態の非接触給電装置の構成例について説明する。図1及び図2に示す構成例では、M個のコイルユニットの各々において、Nは1である。即ち、図1及び図2に示す構成例は、本実施の形態の非接触給電装置が、M個のコイルユニットの各々が2つのスイッチを有し且つ2ターンのループコイルが形成される場合、即ち、2つのセクション同士の境界に2つのスイッチが用いられ2ターンの矩形コイルが形成される場合、に適用された例である。
【0062】
図1及び図2に示す構成例では、M個のコイルユニットUNの各々において、2本の導線CN1のうちの1本の導線CN1であって、且つ、2本の導線CN3のうちの1本の導線CN3である導線CN1を、導線CN5とし、2本の導線CN1のうちの1本の導線CN1であって、且つ、2本の導線CN4のうちの1本の導線CN4である導線CN1を、導線CN6とする。また、M個のコイルユニットUNの各々において、2本の導線CN2のうちの1本の導線CN2であって、且つ、2本の導線CN3のうちの1本の導線CN3である導線CN2を、導線CN7とし、2本の導線CN2のうちの1本の導線CN2であって、且つ、2本の導線CN4のうちの1本の導線CN4である導線CN2を、導線CN8とする。このようにしたとき、導線CN5の方向DR1における第1の側と反対側の端部EP5は、導線CN7の方向DR1における第1の側と反対側の端部EP6に接続されており、導線CN6の方向DR1における第1の側と反対側の端部EP7は、導線CN8の方向DR1における第1の側と反対側の端部EP8に接続されている。
【0063】
また、M個のコイルユニットUNの各々において、接続切替部SU1は、接続導線CC1と、スイッチSW1と、スイッチSW2と、を含む。接続導線CC1は、導線CN6の方向DR1における第1の側の端部EP9と、導線CN7の方向DR1における第1の側の端部EP10と、を接続するためのものである。スイッチSW1は、導線CN6の端部EP9と、接続導線CC1と、の接続を切り替える。スイッチSW2は、導線CN7の端部EP10と、接続導線CC1と、の接続を切り替える。
【0064】
M個のコイルユニットUNの各々がそれぞれ有するM個の導線CN5は、M個のコイルユニットUNに亘って互いに直列に接続されており、M個のコイルユニットUNの各々がそれぞれ有するM個の導線CN8は、M個のコイルユニットUNに亘って互いに直列に接続されている。
【0065】
M個のコイルユニットUNのうち、コイルユニット群UGのコイルユニット群端部GE1に配置されたコイルユニットUNを端部コイルユニットEU1とする。このようにしたとき、端部コイルユニットEU1が有する導線CN5は、電源PS1の端子TM1に接続されており、端部コイルユニットEU1が有する導線CN8は、電源PS1の端子TM2に接続されている。
【0066】
M個のコイルユニットUNのうち、コイルユニット群端部GE1からK番目(Kは2以上M以下の整数)のコイルユニットUNをコイルユニットUN4とし、コイルユニット群端部GE1から(K-1)番目のコイルユニットUNをコイルユニットUN5とする。このようにしたとき、コイルユニットUN4が有するスイッチSW1は、コイルユニットUN4が有する導線CN6の端部EP9が、コイルユニットUN4が有する接続導線CC1に接続された状態ST4と、コイルユニットUN4が有する導線CN6の端部EP9が、コイルユニットUN5が有する導線CN6の端部EP7に接続された状態ST5と、コイルユニットUN4が有する導線CN6の端部EP9が、コイルユニットUN4が有する接続導線CC1、及び、コイルユニットUN5が有する導線CN6の端部EP7のいずれからも遮断された状態ST6と、を切り替える。
【0067】
また、コイルユニットUN4が有するスイッチSW2は、コイルユニットUN4が有する導線CN7の端部EP10が、コイルユニットUN4が有する接続導線CC1に接続された状態ST7と、コイルユニットUN4が有する導線CN7の端部EP10が、コイルユニットUN5が有する導線CN7の端部EP6に接続された状態ST8と、コイルユニットUN4が有する導線CN7の端部EP10が、コイルユニットUN4が有する接続導線CC1、及び、コイルユニットUN5が有する導線CN7の端部EP6のいずれからも遮断された状態ST9と、を切り替える。
【0068】
また、端部コイルユニットEU1が有するスイッチSW1は、端部コイルユニットEU1が有する導線CN6の端部EP9が、端部コイルユニットEU1が有する接続導線CC1に接続された状態ST10と、端部コイルユニットEU1が有する導線CN6の端部EP9が、電源PS1の端子TM2に接続された状態ST11と、を切り替える。
【0069】
また、端部コイルユニットEU1が有するスイッチSW2は、端部コイルユニットEU1が有する導線CN7の端部EP10が、端部コイルユニットEU1が有する接続導線CC1に接続された状態ST12と、端部コイルユニットEU1が有する導線CN7の端部EP10が、電源SP1の端子TM1に接続された状態ST13と、を切り替える。
【0070】
集電コイルRC1が、M個のコイルユニットUNのうち、コイルユニットUN4としてのコイルユニットUN1と対向している場合を考える。このような場合、制御部CT1は、コイルユニットUN4としてのコイルユニットUN1において、接続切替部SU1が状態ST1に切り替えられ、スイッチSW1が状態ST4に切り替えられ、且つ、スイッチSW2が状態ST7に切り替えられることにより、ループコイルCL1が形成されるように、接続切替部SU1の動作を制御する。
【0071】
また、集電コイルRC1が、コイルユニットUN1と対向している場合、制御部CT1は、(L-1)個のコイルユニットUN4としての(L-1)個のコイルユニットUN2のうち、端部コイルユニットEU1を除くいずれのコイルユニットUN2においても、接続切替部SU1が状態ST2に切り替えられ、スイッチSW1が状態ST5に切り替えられ、且つ、スイッチSW2が状態ST8に切り替えられることにより、導線CN5及び導線CN7により給電線FD1が形成され、導線CN6及び導線CN8により給電線FD2が形成されるように、接続切替部SU1の動作を制御する。
【0072】
また、集電コイルRC1が、コイルユニットUN1と対向している場合、制御部CT1は、端部コイルユニットEU1において、接続切替部SU1が状態ST2に切り替えられ、スイッチSW1が状態ST11に切り替えられ、且つ、スイッチSW2が状態ST13に切り替えられることにより、導線CN5及び導線CN7により給電線FD1が形成され、導線CN6及び導線CN8により給電線FD2が形成されるように、接続切替部SU1の動作を制御する。
【0073】
このような場合、Nが1である場合でも、具体的に、電源側非対向部におけるコイルユニットを、低いインピーダンスを有する給電線として機能させ、対向部におけるコイルユニットを、矩形形状を有する給電コイルとして機能させることができる。そのため、フィーダーケーブルを省略し、且つ、給電コイルの損失を低減することができる。
【0074】
好適には、M個のコイルユニットUNの各々において、接続切替部SU1は、状態ST1と、状態ST2と、2本の導線CN1及び2本の導線CN2が電源PS1に対して互いに直列に接続されず、2本の導線CN3が電源に対して互いに並列に接続されず、且つ、2本の導線CN4が電源PS1に対して互いに並列に接続されない状態ST14と、を切り替える。
【0075】
また、集電コイルRC1が、M個のコイルユニットUNのうち、コイルユニットUN4としてのコイルユニットUN1と対向している場合を考える。このような場合、制御部CT1は、M個のコイルユニットUNのうち、コイルユニットUN1よりも方向DR1における第1の側と反対側に配置され、且つ、コイルユニットUN4としてのコイルユニットUNである、コイルユニットUN6において、接続切替部SU1が状態ST14に切り替えられ、且つ、スイッチSW1が状態ST6に切り替えられるか又はスイッチSW2が状態ST9に切り替えられることにより、コイルユニットUN6に電流が通流されないように、接続切替部SU1の動作を制御する。
【0076】
このような場合、Nが1である場合でも、具体的に、末端側非対向部では、コイルユニットに電流が通流されないようにする。そのため、給電コイルの損失を更に低減することができる。
【0077】
前述したように、図1に示す構成例は、本実施の形態の非接触給電装置が、Nが1である場合、即ち、2つのセクション同士の境界に2つのスイッチが用いられ2ターンの矩形コイルが形成される場合、に適用された例である。図1に示す構成例では、給電コイルと並行してフィーダーケーブルが配置される場合に比べて、給電線の単位長さ当たりの抵抗を、1/2に低減することができる。
【0078】
一方、2つのセクション同士の境界に4N-2のスイッチが用いられ2Nターンの矩形コイルが形成される場合には、給電コイルと並行してフィーダーケーブルが配置される場合に比べて、給電線の単位長さ当たりの抵抗を、1/(2N)に低減することができる。
【0079】
また、一般に、電源側非対向部と対向部との境界で接続する2本のコイル辺だけを残して切断し、且つ、スイッチを用いて接続を変更することによりループコイルを形成することが可能なので、電源側非対向部と対向部との境界で必要なスイッチの最小数は、コイル辺総数-2(導線CN1及び導線CN2の合計本数-2)となる。
【0080】
また、一般に、電源側非対向部と対向部との境界で必要となる横断辺(同一線上に配置されるものは1本と数える)は、
行き帰り線それぞれを1つにまとめる2本(コイルユニットの末端側横断辺となる)
+(コイル辺総数/2-1)本(コイルユニットの電源側横断辺となる)
=(コイル辺総数/2+1)本
となる。
【0081】
好適には、2本の導線CN1により撚り線が形成され、2本の導線CN2により撚り線が形成される。即ち、2本の導線CN1及び2本の導線CN2のうち、行き帰り電流がペアとなる2本の導線を撚り線とすることが望ましい。これにより、電源側非対向部でのインピーダンスを低減することができ、且つ、給電線から漏洩される磁界を低減することができる。
【0082】
また、損失を最小化するためには、電源側非対向部における給電線が形成される各辺(各導線)に通流される電流を平準化する必要があるが、電源側非対向部となったときに同相となる2本の導線については、対向部となったときに切断の必要のないものについて、横断辺により短絡状態とすることが好ましい。これにより、各辺(各導線)に通流される電流を平準化することができ、且つ、使用するスイッチの数を削減することができる。
【0083】
ある2つのセクション同士の境界において、無通電(末端側非対向部)、ループコイル形成(対向部)、給電線形成(電源側非対向部)の順に変化する一連の変化の間に、2回切り替えるスイッチと、1回のみ切り替えるスイッチが存在する。即ち、一連の変化の間に、一方は2回、他方は1回切り替える必要があり、且つ、切り替え回数の割り当てが任意である2つのスイッチより形成されるペアが存在する。このようなペアについて、一連の変化ごとに、切り替え回数の割り当てを入れ替えることが好ましい。これにより、当該ペアを形成する2つのスイッチの各々を切り替える動作の回数が平準化されるので、取り替え寿命となるまでの期間を延長し、且つ、同時に交換することができ、効率的である。具体的には、2ターンの矩形コイルが形成される場合における2つのスイッチは、無通電時に一方が中立で一方が接続状態であればよいが、無通電か接続状態かを割り当てる割り当てを、一連の変化ごとに入れ替えることが好ましい。
【0084】
<実施の形態の非接触給電装置の構成例が発生する磁界>
ここで、図1及び図2に示した本実施の形態の非接触給電装置の構成例において、コイルユニットの配置及び接続方法の妥当性を示すため、3次元の計算モデルを用いてコイルユニットの各導線に通流される電流の電流密度及び通流される電流により発生する磁束密度を計算した結果を説明する。
【0085】
図3は、コイルユニットの3次元の計算モデルを示す図である。図4は、コイルユニットの各導線に通流される電流密度を計算した結果を示すグラフである。図5は、コイルユニットの各導線に通流される電流により発生する磁束密度を計算した結果を示すグラフである。
【0086】
図3に示す3次元の計算モデルでは、図1及び図2に示した非接触給電装置が有するコイルユニットのうち、末端側非対向部に相当するコイルユニット(コイルユニットUN3)を省略している。また、図3では、電源側の端部を、電源端と表記し、幅方向に導線を接続する導線の周辺を、渡り線部と表記し、電源側非対向部と対向部との境界の周辺を、フィーダー・コイル切替部と表記している。また、図4では、幅方向に導線を接続する導線を、渡り線と表記し、電源側非対向部を、フィーダー部と表記し、対向部をコイル部と表記している。
【0087】
図4に示すように、コイル部では、2ターンの矩形コイルの1辺を形成する2本の導線には互いに同一方向の電流が通流され、フィーダー部では、1本の給電線を形成している2本の導線に互いに反対方向の電流が通流され、渡り線では、略電流は流れないことが分かった。また、図5に示すように、コイル部ではコイルユニットの内部に磁束が形成即ち発生し、フィーダー部では、コイルユニットの内部において磁束は発生しないことが分かった。そのため、セクション同士の境界で導線の接続を切り替えることにより、電源側非対向部では、コイルユニットを、低いインピーダンスを有し、小さい漏洩磁界を有するフィーダーとして使用し、対向部では、コイルユニットを、コイルとして使用することが可能なことが示された。
【0088】
<非接触給電装置の第1変形例>
次に、実施の形態の非接触給電装置の第1変形例について説明する。本第1変形例の非接触給電装置は、コイルユニットにより8の字形状を有するループコイルが形成される点において、実施の形態の非接触給電装置と異なる。以下では、本第1変形例の非接触給電装置のうち、実施の形態の非接触給電装置と異なる部分について説明し、実施の形態の非接触給電装置と同様の部分についての説明を省略する(後述する実施の形態の第2変形例でも同様)。
【0089】
図6及び図7は、実施の形態の第1変形例の非接触給電装置を示す回路図である。図7は、図6のうちコイルユニットUN7付近を拡大して示している。図8は、実施の形態の第1変形例の非接触給電装置の等価回路を示す回路図である。なお、図8では、コイルユニットUN7が発生する磁界の方向を、紙面の裏から表へ向かう方向を表す記号、及び、紙面の表から裏へ向かう方向を表す記号により示している(後述する図11においても同様)。
【0090】
図6乃至図8に示すように、本第1変形例の非接触給電装置SD1では、M個のコイルユニットUNの各々は、2Nターンの8の字形状を有するループコイルCL1を形成するためのものである。なお、図6乃至図8では、Nが1である場合を示している。
【0091】
M個のコイルユニットUNの各々は、2N本の導線CN1と、2N本の導線CN2と、2N本の導線CN9と、2N本の導線CN10と、を有する。M個のコイルユニットUNの各々において、2N本の導線CN2は、第1線LN1よりも方向DR2における第2の側と反対側に第1線LN1と平行に配置された第2線LN2と第1線LN1との間に配置されている。2N本の導線CN9は、第2線LN2と第1線LN1との間に、2N本の導線CN1から離れて配置され、且つ、方向DR1にそれぞれ延在する。2N本の導線CN10は、第2線LN2よりも、方向DR2における第2の側と反対側に、2N本の導線CN2及び2N本の導線CN9から離れて配置され、且つ、方向DR1にそれぞれ延在する。
【0092】
2N本の導線CN9及び2N本の導線CN10のうち、N本の導線CN9及びN本の導線CN10を2N本の導線CN11とし、2N本の導線CN9及び2N本の導線CN10のうち、2N本の導線CN11以外のN本の導線CN9及びN本の導線CN10を2N本の導線CN12とする。このようにしたとき、M個のコイルユニットUNの各々において、接続切替部SU1は、2N本の導線CN1、2N本の導線CN2、2N本の導線CN9及び2N本の導線CN10の各々が電源PS1に対して互いに直列に接続され、各々が互いに直列に接続された2N本の導線CN1、2N本の導線CN2、2N本の導線CN9及び2N本の導線CN10によりループコイルCL1が形成される状態ST1と、2N本の導線CN3及び2N本の導線CN11が互いに並列に接続され、互いに並列に接続された2N本の導線CN3及び2N本の導線CN11により給電線FD1が形成され、2N本の導線CN4及び2N本の導線CN12が互いに並列に接続され、互いに並列に接続された2N本の導線CN4及び2N本の導線CN12により給電線FD2が形成される状態ST2と、を切り替える。
【0093】
このような場合、給電コイルが8の字形状を有し、集電コイルが8の字形状を有することにより、給電コイルが発生する磁界を集電コイルに集中して印加することができるので、集電効率を高めることができる。また、給電コイルと並行してフィーダーケーブルが配置される場合に比べて、給電線の単位長さ当たりの抵抗を、1/(4N)に低減することができる。そのため、本第1変形例によれば、実施の形態に比べて、給電コイルの損失を更に低減させ、送電効率を更に向上させることができ、且つ、フィーダーケーブルを省略し、設置コストを低減することができる。
【0094】
好適には、M個のコイルユニットUNの各々において、接続切替部SU1は、状態ST1と、状態ST2と、2N本の導線CN1、2N本の導線CN2、2N本の導線CN9及び2N本の導線CN10の各々が電源PS1に対して互いに直列に接続されず、2N本の導線CN3及び2N本の導線CN11が電源PS1に対して互いに並列に接続されず、且つ、2N本の導線CN4及び2N本の導線CN12が電源PS1に対して互いに並列に接続されない状態ST3と、を切り替える。
【0095】
また、集電コイルRC1が、M個のコイルユニットUNのうち、コイルユニットUN1と対向している場合を考える。このような場合、制御部CT1は、M個のコイルユニットUNのうち、コイルユニットUN1よりも方向DR1における第1の側と反対側に配置された(M-L)個のコイルユニットUNである(M-L)個のコイルユニットUN3の各々において、接続切替部SU1が状態ST3に切り替えられることにより、(M-L)個のコイルユニットUN3の各々に電流が通流されないように、接続切替部SU1の動作を制御する。
【0096】
これにより、末端側非対向部では、コイルユニットに電流が通流されないようにすることができるので、給電コイルの損失を更に低減することができる。
【0097】
<実施の形態の第1変形例の非接触給電装置の構成例>
次に、図6乃至図8に示す実施の形態の第1変形例の非接触給電装置の構成例について説明する。図6乃至図8に示す構成例では、M個のコイルユニットの各々において、Nは1である。即ち、図6乃至図8に示す構成例は、本第1変形例の非接触給電装置が、M個のコイルユニットの各々が6つのスイッチを有し且つ2ターンの8の字形状を有するループコイルが形成される場合、即ち、2つのセクション同士の境界に6つのスイッチが用いられ2ターンの8の字コイルが形成される場合、に適用された例である。
【0098】
図6乃至図8に示す構成例では、M個のコイルユニットUNの各々において、2本の導線CN1のうちの1本の導線CN1であって、且つ、2本の導線CN3のうちの1本の導線CN3である導線CN1を、導線CN13とし、2本の導線CN1のうちの1本の導線CN1であって、且つ、2本の導線CN4のうちの1本の導線CN4である導線CN1を、導線CN14とする。また、M個のコイルユニットUNの各々において、2本の導線CN2のうちの1本の導線CN2であって、且つ、2本の導線CN3のうちの1本の導線CN3である導線CN2を、導線CN15とし、2本の導線CN2のうちの1本の導線CN2であって、且つ、2本の導線CN4のうちの1本の導線CN4である導線CN2を、導線CN16とする。このようにしたとき、導線CN15及び導線CN16は、第1線LN1よりも方向DR2における第2の側と反対側に第1線LN1と平行に配置された第2線LN2と第1線LN1との間に配置されている。
【0099】
また、M個のコイルユニットUNの各々は、導線CN17乃至導線CN20を有する。導線CN17及び導線CN18は、第2線LN2と第1線LN1との間に、導線CN13及び導線CN14から離れて配置され、且つ、方向DR1にそれぞれ延在する。導線CN19及び導線CN20は、第2線LN2よりも、方向DR2における第2の側と反対側に、導線CN15、導線CN16、導線CN17及び導線CN18から離れて配置され、且つ、方向DR1にそれぞれ延在する。なお、導線CN17は、導線CN9且つ導線CN11であり、導線CN18は、導線CN9且つ導線CN12であり、導線CN19は、導線CN10且つ導線CN11であり、導線CN20は、導線CN10且つ導線CN12である。
【0100】
また、導線CN13の方向DR1における第1の側と反対側の端部EP11は、導線CN15の方向DR1における第1の側と反対側の端部EP12に接続されており、導線CN14の方向DR1における第1の側と反対側の端部EP13は、導線CN16の方向DR1における第1の側と反対側の端部EP14に接続されている。また、導線CN15の方向DR1における第1の側の端部EP15は、導線CN19の方向DR1における第1の側の端部EP16に接続されており、導線CN16の方向DR1における第1の側の端部EP17は、導線CN20の方向DR1における第1の側の端部EP18に接続されている。また、導線CN17の方向DR1における第1の側と反対側の端部EP19は、導線CN19の方向DR1における第1の側と反対側の端部EP20に接続されており、導線CN18の方向DR1における第1の側と反対側の端部EP21は、導線CN20の方向DR1における第1の側と反対側の端部EP22に接続されている。
【0101】
また、M個のコイルユニットUNの各々において、接続切替部SU1は、接続導線CC2と、スイッチSW3乃至スイッチSW8と、を含む。接続導線CC2は、導線CN14の方向DR1における第1の側の端部EP23と、導線CN17の方向DR1における第1の側の端部EP24と、を接続するためのものである。スイッチSW3は、導線CN14の端部EP23と、接続導線CC2と、の接続を切り替える。スイッチSW4は、導線CN17の端部EP24と、接続導線CC2と、の接続を切り替える。スイッチSW5は、導線CN15の端部EP12と、導線CN17の端部EP19と、の接続を切り替える。スイッチSW6は、導線CN16の端部EP14と、導線CN18の端部EP21と、の接続を切り替える。スイッチSW7は、導線CN19の端部EP16の接続先を切り替える。スイッチSW8は、導線CN20の端部EP18の接続先を切り替える。
【0102】
M個のコイルユニットUNの各々がそれぞれ有するM個の導線CN13は、M個のコイルユニットUNに亘って互いに直列に接続されており、M個のコイルユニットUNの各々がそれぞれ有するM個の導線CN18は、M個のコイルユニットUNに亘って互いに直列に接続されている。
【0103】
M個のコイルユニットUNのうち、コイルユニット群UGのコイルユニット群端部GE1に配置されたコイルユニットUNを端部コイルユニットEU2とする。このようにしたとき、端部コイルユニットEU2が有する導線CN13は、電源PS1の端子TM1に接続されており、端部コイルユニットEU2が有する導線CN18は、電源PS1の端子TM2に接続されている。
【0104】
M個のコイルユニットUNのうち、コイルユニット群端部GE1からJ番目(Jは2以上M-1以下の整数)のコイルユニットUNをコイルユニットUN7とし、コイルユニット群端部GE1から(J-1)番目のコイルユニットUNをコイルユニットUN8とし、コイルユニット群端部GE1から(J+1)番目のコイルユニットUNをコイルユニットUN9とする。このようにしたとき、コイルユニットUN7が有するスイッチSW3は、コイルユニットUN7が有する導線CN14の端部EP23が、コイルユニットUN7が有する接続導線CC2に接続された状態ST15と、コイルユニットUN7が有する導線CN14の端部EP23が、コイルユニットUN8が有する導線CN14の端部EP13に接続された状態ST16と、コイルユニットUN7が有する導線CN14の端部EP23が、コイルユニットUN7が有する接続導線CC2、及び、コイルユニットUN8が有する導線CN14の端部EP13のいずれからも遮断された状態ST17と、を切り替える。
【0105】
また、コイルユニットUN7が有するスイッチSW4は、コイルユニットUN7が有する導線CN17の端部EP24が、コイルユニットUN7が有する接続導線CC2に接続された状態ST18と、コイルユニットUN7が有する導線CN17の端部EP24が、コイルユニットUN8が有する導線CN17の端部EP19に接続された状態ST19と、コイルユニットUN7が有する導線CN17の端部EP24が、コイルユニットUN7が有する接続導線CC2、及び、コイルユニットUN8が有する導線CN17の端部EP19のいずれからも遮断された状態ST20と、を切り替える。
【0106】
また、コイルユニットUN7が有するスイッチSW5は、コイルユニットUN7が有する導線CN15の端部EP12が、コイルユニットUN7が有する導線CN17の端部EP19に接続された状態ST21と、コイルユニットUN7が有する導線CN15の端部EP12が、コイルユニットUN9が有する導線CN15の端部EP15に接続された状態ST22と、コイルユニットUN7が有する導線CN15の端部EP12が、コイルユニットUN7が有する導線CN17の端部EP19、及び、コイルユニットUN9が有する導線CN15の端部EP15のいずれからも遮断された状態ST23と、を切り替える。
【0107】
また、コイルユニットUN7が有するスイッチSW6は、コイルユニットUN7が有する導線CN16の端部EP14が、コイルユニットUN7が有する導線CN18の端部EP21に接続された状態ST24と、コイルユニットUN7が有する導線CN16の端部EP14が、コイルユニットUN9が有する導線CN16の端部EP17に接続された状態ST25と、コイルユニットUN7が有する導線CN16の端部EP14が、コイルユニットUN7が有する導線CN18の端部EP21、及び、コイルユニットUN9が有する導線CN16の端部EP17のいずれからも遮断された状態ST26と、を切り替える。
【0108】
また、コイルユニットUN7が有するスイッチSW7は、コイルユニットUN7が有する導線CN19の端部EP16が、コイルユニットUN8が有する導線CN19の端部EP20に接続された状態ST27と、コイルユニットUN7が有する導線CN19の端部EP16が、コイルユニットUN8が有する導線CN19の端部EP20から遮断された状態ST28と、を切り替える。
【0109】
また、コイルユニットUN7が有するスイッチSW8は、コイルユニットUN7が有する導線CN20の端部EP18が、コイルユニットUN8が有する導線CN20の端部EP22に接続された状態ST29と、コイルユニットUN7が有する導線CN20の端部EP18が、コイルユニットUN8が有する導線CN20の端部EP22から遮断された状態ST30と、を切り替える。
【0110】
M個のコイルユニットUNのうち、コイルユニット群端部GE1から2番目のコイルユニットUNをコイルユニットUN10とする。このようにしたとき、端部コイルユニットEU2が有するスイッチSW3は、端部コイルユニットEU2が有する導線CN14の端部EP23が、端部コイルユニットEU2が有する接続導線CC2に接続された状態ST31と、端部コイルユニットEU2が有する導線CN14の端部EP23が、電源PS1の端子TM2に接続された状態ST32と、を切り替える。
【0111】
また、端部コイルユニットEU2が有するスイッチSW4は、端部コイルユニットEU2が有する導線CN17の端部EP24が、端部コイルユニットEU2が有する接続導線CC2に接続された状態ST33と、端部コイルユニットEU2が有する導線CN17の端部EP24が、電源PS1の端子TM1に接続された状態ST34と、を切り替える。
【0112】
また、端部コイルユニットEU2が有するスイッチSW5は、端部コイルユニットEU2が有する導線CN15の端部EP12が、端部コイルユニットEU2が有する導線CN17の端部EP19に接続された状態ST35と、端部コイルユニットEU2が有する導線CN15の端部EP12が、コイルユニットUN10が有する導線CN15の端部EP15に接続された状態ST36と、端部コイルユニットEU2が有する導線CN15の端部EP12が、端部コイルユニットEU2が有する導線CN17の端部EP19、及び、コイルユニットUN10が有する導線CN15の端部EP15のいずれからも遮断された状態ST37(図7参照)と、を切り替える。
【0113】
また、端部コイルユニットEU2が有するスイッチSW6は、端部コイルユニットEU2が有する導線CN16の端部EP14が、端部コイルユニットEU2が有する導線CN18の端部EP21に接続された状態ST38と、端部コイルユニットEU2が有する導線CN16の端部EP14が、コイルユニットUN10が有する導線CN16の端部EP17に接続された状態ST39と、端部コイルユニットEU2が有する導線CN16の端部EP14が、端部コイルユニットEU2が有する導線CN18の端部EP21、及び、コイルユニットUN10が有する導線CN16の端部EP17のいずれからも遮断された状態ST40(図7参照)と、を切り替える。
【0114】
また、端部コイルユニットEU2が有するスイッチSW7は、端部コイルユニットEU2が有する導線CN19の端部EP16が、電源PS1の端子TM1に接続された状態ST41と、端部コイルユニットEU2が有する導線CN19の端部EP16が、電源PS1の端子TM1から遮断された状態ST42と、を切り替える。
【0115】
また、端部コイルユニットEU2が有するスイッチSW8は、端部コイルユニットEU2が有する導線CN20の端部EP18が、電源PS1の端子TM2に接続された状態ST43と、端部コイルユニットEU2が有する導線CN20の端部EP18が、電源PS1の端子TM2から遮断された状態ST44と、を切り替える。
【0116】
集電コイルRC1が、M個のコイルユニットUNのうち、コイルユニットUN7としてのコイルユニットUN1と対向している場合を考える。このような場合、制御部CT1は、コイルユニットUN7としてのコイルユニットUN1において、接続切替部SU1が状態ST1に切り替えられ、スイッチSW3が状態ST15に切り替えられ、スイッチSW4が状態ST18に切り替えられ、スイッチSW5が状態ST23に切り替えられ、スイッチSW6が状態ST26に切り替えられ、スイッチSW7が状態ST28に切り替えられ、且つ、スイッチSW8が状態ST30に切り替えられることにより、ループコイルCL1が形成されるように、接続切替部SU1の動作を制御する。
【0117】
また、集電コイルRC1が、コイルユニットUN1と対向している場合、制御部CT1は、(L-1)個のコイルユニットUN7としての(L-1)個のコイルユニットUN2のうち、コイルユニット群端部GE1から(L-1)番目のコイルユニットUNであるコイルユニットUN2において、接続切替部SU1が状態ST2に切り替えられ、スイッチSW3が状態ST16に切り替えられ、スイッチSW4が状態ST19に切り替えられ、スイッチSW5が状態ST21に切り替えられ、スイッチSW6が状態ST24に切り替えられ、スイッチSW7が状態ST27に切り替えられ、且つ、スイッチSW8が状態ST29に切り替えられることにより、導線CN13、導線CN15、導線CN17及び導線CN19により給電線FD1が形成され、導線CN14、導線CN16、導線CN18及び導線CN20により給電線FD2が形成されるように、接続切替部SU1の動作を制御する。
【0118】
また、集電コイルRC1が、コイルユニットUN1と対向している場合、制御部CT1は、(L-1)個のコイルユニットUN7としての(L-1)個のコイルユニットUN2のうち、コイルユニット群端部GE1から(L-1)番目のコイルユニットUN及び端部コイルユニットEU2を除くいずれのコイルユニットUN2においても、接続切替部SU1が状態ST2に切り替えられ、スイッチSW3が状態ST16に切り替えられ、スイッチSW4が状態ST19に切り替えられ、スイッチSW5が状態ST22に切り替えられ、スイッチSW6が状態ST25に切り替えられ、スイッチSW7が状態ST27に切り替えられ、且つ、スイッチSW8が状態ST29に切り替えられることにより、導線CN13、導線CN15、導線CN17及び導線CN19により給電線FD1が形成され、導線CN14、導線CN16、導線CN18及び導線CN20により給電線FD2が形成されるように、接続切替部SU1の動作を制御する。
【0119】
また、集電コイルRC1が、コイルユニットUN1と対向している場合、制御部CT1は、端部コイルユニットEU2において、接続切替部SU1が状態ST2に切り替えられ、スイッチSW3が状態ST32に切り替えられ、スイッチSW4が状態ST34に切り替えられ、スイッチSW5が状態ST36に切り替えられ、スイッチSW6が状態ST39に切り替えられ、スイッチSW7が状態ST41に切り替えられ、且つ、スイッチSW8が状態ST43に切り替えられることにより、導線CN13、導線CN15、導線CN17及び導線CN19により給電線FD1が形成され、導線CN14、導線CN16、導線CN18及び導線CN20により給電線FD2が形成されるように、接続切替部SU1の動作を制御する。
【0120】
また、端部コイルユニットEU2が有する導線CN15の端部EP15は、電源PS1の端子TM1に接続され、端部コイルユニットEU2が有する導線CN16の端部EP17は、電源PS1の端子TM2に接続される。
【0121】
このような場合、Nが1である場合でも、具体的に、電源側非対向部におけるコイルユニットを、低いインピーダンスを有する給電線として機能させ、対向部におけるコイルユニットを、8の字形状を有する給電コイルとして機能させることができる。そのため、フィーダーケーブルを省略し、且つ、給電コイルの損失を低減することができる。また、給電コイルが8の字形状を有し、集電コイルが8の字形状を有することにより、給電コイルが発生する磁界を集電コイルに集中して印加することができるので、集電効率を高めることができる。
【0122】
好適には、M個のコイルユニットUNの各々において、接続切替部SU1は、状態ST1と、状態ST2と、2本の導線CN1及び2本の導線CN2の各々が電源PS1に対して互いに直列に接続されず、2本の導線CN3が電源PS1に対して互いに並列に接続されず、且つ、2本の導線CN4が電源PS1に対して互いに並列に接続されない状態ST45と、を切り替える。
【0123】
また、M個のコイルユニットUNのうち、コイルユニット群UGの方向DR1における第1の側と反対側のコイルユニット群端部GE2に配置されたコイルユニットUNを端部コイルユニットEU3とし、集電コイルRC1が、M個のコイルユニットUNのうち、コイルユニットUN7としてのコイルユニットUN1と対向している場合を考える。このような場合、制御部CT1は、M個のコイルユニットUNのうち、コイルユニットUN1よりも方向DR1における第1の側と反対側に配置され、端部コイルユニットEU3ではなく、且つ、コイルユニットUN7としてのコイルユニットUNである、コイルユニットUN11において、接続切替部SU1が状態ST45に切り替えられ、スイッチSW3が状態ST17に切り替えられるか又はスイッチSW4が状態ST20に切り替えられ、スイッチSW5が状態ST23に切り替えられ、スイッチSW6が状態ST26に切り替えられ、スイッチSW7が状態ST28に切り替えられ、且つ、スイッチSW8が状態ST30に切り替えられることにより、コイルユニットUN11に電流が通流されないように、接続切替部SU1の動作を制御する。
【0124】
このような場合、Nが1である場合でも、具体的に、末端側非対向部では、コイルユニットに電流が通流されないようにする。そのため、給電コイルの損失を更に低減することができる。
【0125】
前述したように、本第1変形例は、非接触給電装置が、Nが1である場合、即ち、2つのセクション同士の境界に6つのスイッチが用いられ2ターンの8の字コイルが形成される場合、に適用された例である。また、本第1変形例では、給電コイルと並行してフィーダーケーブルが配置される場合に比べて、給電線の単位長さ当たりの抵抗を、1/4に低減することができる。
【0126】
一方、2つのセクション同士の境界に8N-2のスイッチが用いられ2Nターンの8の字コイルが形成される場合には、給電コイルと並行してフィーダーケーブルが配置される場合に比べて、給電線の単位長さ当たりの抵抗を、1/(4N)に低減することができる。
【0127】
好適には、本第1変形例の非接触給電装置SD1は、更に、端部スイッチES1と、端部スイッチES2と、を備えている。端部スイッチES1は、端部コイルユニットEU2が有する導線CN15の端部EP15が、電源PS1の端子TM1に接続された第1端部状態SE1と、端部コイルユニットEU2が有する導線CN15の端部EP15が、電源PS1の端子TM1から遮断された第2端部状態(図示は省略)と、を切り替える。端部スイッチES2は、端部コイルユニットEU2が有する導線CN16の端部EP17が、電源PS1の端子TM2に接続された第3端部状態SE3と、端部コイルユニットEU2が有する導線CN16の端部EP17が、電源PS1の端子TM2から遮断された第4端部状態(図示は省略)と、を切り替える。制御部CT1は、端部スイッチES1及び端部スイッチES2の動作を制御する。
【0128】
また、集電コイルRC1が、コイルユニットUN1と対向している場合、制御部CT1は、端部スイッチES1が第1端部状態SE1に切り替えられるように、端部スイッチES1の動作を制御し、端部スイッチES2が第3端部状態SE3に切り替えられるように、端部スイッチES2の動作を制御する。
【0129】
このような場合、端部コイルユニットEU2が有する導線CN15の端部EP15が、電源PS1の端子TM1に確実に接続されることができ、端部コイルユニットEU2が有する導線CN16の端部EP17が、電源PS1の端子TM2に確実に接続されることができる。
【0130】
<非接触給電装置の第2変形例>
次に、実施の形態の非接触給電装置の第2変形例について説明する。本第2変形例の非接触給電装置は、コイルユニットにより互いに直列に接続された2つの矩形コイルが形成される点において、実施の形態の非接触給電装置と異なる。
【0131】
図9及び図10は、実施の形態の第2変形例の非接触給電装置を示す回路図である。図10は、図9のうちコイルユニットUN12付近を拡大して示している。図11は、実施の形態の第2変形例の非接触給電装置の等価回路を示す回路図である。
【0132】
図9乃至図11に示すように、本第2変形例の非接触給電装置SD1では、M個のコイルユニットUNの各々は、2NターンのループコイルCL1、及び、ループコイルCL1と直列に接続されループコイルCL1の巻回方向と逆方向に巻回された2NターンのループコイルCL2を形成するためのものである。また、M個のコイルユニットUNの各々は、ループコイルCL1及びループコイルCL2により、8の字形状を有するループコイルCL3を形成するためのものである。なお、図9乃至図11では、Nが1である場合を示している。
【0133】
M個のコイルユニットUNの各々は、2N本の導線CN1と、2N本の導線CN2と、2N本の導線CN21と、2N本の導線CN22と、を有する。M個のコイルユニットUNの各々において、2N本の導線CN2は、第1線LN1よりも方向DR2における第2の側と反対側に第1線LN1と平行に配置された第3線LN3と第1線LN1との間に配置されている。2N本の導線CN21は、第3線LN3と第1線LN1との間に、2N本の導線CN1から離れて配置され、且つ、方向DR1にそれぞれ延在する。2N本の導線CN22は、第3線LN3よりも、方向DR2における第2の側と反対側に、2N本の導線CN2及び2N本の導線CN21から離れて配置され、且つ、方向DR1にそれぞれ延在する。
【0134】
2N本の導線CN21及び2N本の導線CN22のうち、N本の導線CN21及びN本の導線CN22を2N本の導線CN23とし、2N本の導線CN21及び2N本の導線CN22のうち、2N本の導線CN23以外のN本の導線CN21及びN本の導線CN22を2N本の導線CN24とする。このようにしたとき、M個のコイルユニットUNの各々において、接続切替部SU1は、2N本の導線CN1及び2N本の導線CN2の各々が互いに直列に接続され、各々が互いに直列に接続された2N本の導線CN1及び2N本の導線CN2によりループコイルCL1が形成され、2N本の導線CN21及び2N本の導線CN22の各々が互いに直列に接続され、各々が互いに直列に接続された2N本の導線CN21及び2N本の導線CN22によりループコイルCL2が形成される状態ST1と、2N本の導線CN3及び2N本の導線CN23が互いに並列に接続され、互いに並列に接続された2N本の導線CN3及び2N本の導線CN23により給電線FD1が形成され、2N本の導線CN4及び2N本の導線CN24が互いに並列に接続され、互いに並列に接続された2N本の導線CN4及び2N本の導線CN24により給電線FD2が形成される状態ST2と、を切り替える。
【0135】
このような場合、給電コイルが8の字形状を有し、集電コイルが8の字形状を有することにより、給電コイルが発生する磁界を集電コイルに集中して印加することができるので、集電効率を高めることができる。また、給電コイルと並行してフィーダーケーブルが配置される場合に比べて、給電線の単位長さ当たりの抵抗を、1/(4N)に低減することができる。そのため、本第2変形例によれば、実施の形態に比べて、給電コイルの損失を更に低減させ、送電効率を更に向上させることができ、且つ、フィーダーケーブルを省略し、設置コストを低減することができる。
【0136】
好適には、M個のコイルユニットUNの各々において、接続切替部SU1は、状態ST1と、状態ST2と、2N本の導線CN1、2N本の導線CN2、2N本の導線CN21及び2N本の導線CN22の各々が互いに直列に接続されず、2N本の導線CN3及び2N本の導線CN23が互いに並列に接続されず、且つ、2N本の導線CN4及び2N本の導線CN24が互いに並列に接続されない第3状態と、を切り替える。
【0137】
また、集電コイルRC1が、M個のコイルユニットUNのうち、コイルユニットUN1と対向している場合を考える。このような場合、制御部CT1は、M個のコイルユニットUNのうち、コイルユニットUN1よりも方向DR1における第1の側と反対側に配置された(M-L)個のコイルユニットUNである(M-L)個のコイルユニットUN3の各々において、接続切替部SU1が状態ST3に切り替えられることにより、(M-L)個のコイルユニットUN3の各々に電流が通流されないように、接続切替部SU1の動作を制御する。
【0138】
これにより、末端側非対向部では、コイルユニットに電流が通流されないようにすることができるので、給電コイルの損失を更に低減することができる。
【0139】
<実施の形態の第2変形例の非接触給電装置の構成例>
次に、図9乃至図11に示す実施の形態の第2変形例の非接触給電装置の構成例について説明する。図9乃至図11に示す構成例では、M個のコイルユニットの各々において、Nは1である。即ち、図9乃至図11に示す構成例は、本第2変形例の非接触給電装置が、M個のコイルユニットの各々が6つのスイッチを有し且つ2ターンの8の字形状を有するループコイルが形成される場合、即ち、2つのセクション同士の境界に6つのスイッチが用いられ2ターンの8の字コイルが形成される場合、に適用された例である。
【0140】
図9乃至図11に示す構成例では、M個のコイルユニットUNの各々において、2本の導線CN1のうちの1本の導線CN1であって、且つ、2本の導線CN3のうちの1本の導線CN3である導線CN1を、導線CN25とし、2本の導線CN1のうちの1本の導線CN1であって、且つ、2本の導線CN4のうちの1本の導線CN4である導線CN1を、導線CN26とする。また、M個のコイルユニットUNの各々において、2本の導線CN2のうちの1本の導線CN2であって、且つ、2本の導線CN3のうちの1本の導線CN3である導線CN2を、導線CN27とし、2本の導線CN2のうちの1本の導線CN2であって、且つ、2本の導線CN4のうちの1本の導線CN4である導線CN2を、導線CN28とする。このようにしたとき、導線CN27及び導線CN28は、第1線LN1よりも方向DR2における第2の側と反対側に第1線LN1と平行に配置された第3線LN3と第1線LN1との間に配置されている。
【0141】
また、M個のコイルユニットUNの各々は、導線CN29乃至導線CN32を有する。導線CN29及び導線CN30は、第3線LN3と第1線LN1との間に、導線CN25及び導線CN26から離れて配置され、且つ、方向DR1にそれぞれ延在する。導線CN31及び導線CN32は、第3線LN3よりも、方向DR2における第2の側と反対側に、導線CN27、導線CN28、導線CN29及び導線CN30から離れて配置され、且つ、方向DR1にそれぞれ延在する。なお、導線CN29は、導線CN21且つ導線CN23であり、導線CN30は、導線CN21且つ導線CN24であり、導線CN31は、導線CN22且つ導線CN23であり、導線CN32は、導線CN22且つ導線CN24である。
【0142】
また、導線CN25の方向DR1における第1の側と反対側の端部EP25は、導線CN27の方向DR1における第1の側と反対側の端部EP26に接続されており、導線CN26の方向DR1における第1の側と反対側の端部EP27は、導線CN28の方向DR1における第1の側と反対側の端部EP28に接続されている。また、導線CN29の方向DR1における第1の側と反対側の端部EP29は、導線CN31の方向DR1における第1の側と反対側の端部EP30に接続されており、導線CN30の方向DR1における第1の側と反対側の端部EP31は、導線CN32の方向DR1における第1の側と反対側の端部EP32に接続されている。
【0143】
また、M個のコイルユニットUNの各々において、接続切替部SU1は、スイッチSW9乃至スイッチSW14を含む。スイッチSW9は、導線CN26の方向DR1における第1の側の端部EP33と、導線CN27の方向DR1における第1の側の端部EP34と、の接続を切り替える。スイッチSW10は、導線CN29の方向DR1における第1の側の端部EP35と、導線CN32の方向DR1における第1の側の端部EP36と、の接続を切り替える。スイッチSW11は、導線CN27の端部EP26と、導線CN29の端部EP29と、の接続を切り替える。スイッチSW12は、導線CN28の端部EP28と、導線CN30の端部EP31と、の接続を切り替える。スイッチSW13は、導線CN31の方向DR1における第1の側の端部EP37と、導線CN28の方向DR1における第1の側の端部EP38と、の接続を切り替える。スイッチSW14は、導線CN32の端部EP36の接続先を切り替える。
【0144】
M個のコイルユニットUNの各々がそれぞれ有するM個の導線CN25は、M個のコイルユニットUNに亘って互いに直列に接続されており、M個のコイルユニットUNの各々がそれぞれ有するM個の導線CN30は、M個のコイルユニットUNに亘って互いに直列に接続されている。
【0145】
M個のコイルユニットUNのうち、コイルユニット群UGのコイルユニット群端部GE1に配置されたコイルユニットUNを端部コイルユニットEU4とする。このようにしたとき、端部コイルユニットEU4が有する導線CN25は、電源PS1の端子TM1に接続されており、端部コイルユニットEU4が有する導線CN30は、電源PS1の端子TM2に接続されている。
【0146】
M個のコイルユニットUNのうち、コイルユニット群端部GE1からI番目(Iは2以上M-1以下の整数)のコイルユニットUNをコイルユニットUN12とし、コイルユニット群端部GE1から(I-1)番目のコイルユニットをコイルユニットUN13とし、コイルユニット群端部GE1から(I+1)番目のコイルユニットをコイルユニットUN14とする。このようにしたとき、コイルユニットUN12が有するスイッチSW9は、コイルユニットUN12が有する導線CN26の端部EP33が、コイルユニットUN12が有する導線CN27の端部EP34に接続された状態ST46と、コイルユニットUN12が有する導線CN26の端部EP33が、コイルユニットUN13が有する導線CN26の端部EP27に接続された状態ST47と、コイルユニットUN12が有する導線CN26の端部EP33が、コイルユニットUN12が有する導線CN27の端部EP34、及び、コイルユニットUN13が有する導線CN26の端部EP27のいずれからも遮断された状態ST48と、を切り替える。
【0147】
また、コイルユニットUN12が有するスイッチSW10は、コイルユニットUN12が有する導線CN29の端部EP35が、コイルユニットUN12が有する導線CN32の端部EP36に接続された状態ST49と、コイルユニットUN12が有する導線CN29の端部EP35が、コイルユニットUN13が有する導線CN29の端部EP29に接続された状態ST50と、コイルユニットUN12が有する導線CN29の端部EP35が、コイルユニットUN12が有する導線CN32の端部EP36、及び、コイルユニットUN13が有する導線CN29の端部EP29のいずれからも遮断された状態ST51と、を切り替える。
【0148】
また、コイルユニットUN12が有するスイッチSW11は、コイルユニットUN12が有する導線CN27の端部EP26が、コイルユニットUN12が有する導線CN29の端部EP29に接続された状態ST52と、コイルユニットUN12が有する導線CN27の端部EP26が、コイルユニットUN14が有する導線CN27の端部EP34に接続された状態ST53と、コイルユニットUN12が有する導線CN27の端部EP26が、コイルユニットUN12が有する導線CN29の端部EP29、及び、コイルユニットUN14が有する導線CN27の端部EP34のいずれからも遮断された状態ST54と、を切り替える。
【0149】
また、コイルユニットUN12が有するスイッチSW12は、コイルユニットUN12が有する導線CN28の端部EP28が、コイルユニットUN12が有する導線CN30の端部EP31に接続された状態ST55と、コイルユニットUN12が有する導線CN28の端部EP28が、コイルユニットUN14が有する導線CN28の端部EP38に接続された状態ST56と、コイルユニットUN12が有する導線CN28の端部EP28が、コイルユニットUN12が有する導線CN30の端部EP31、及び、コイルユニットUN14が有する導線CN28の端部EP38のいずれからも遮断された状態ST57と、を切り替える。
【0150】
また、コイルユニットUN12が有するスイッチSW13は、コイルユニットUN12が有する導線CN31の端部EP37が、コイルユニットUN12が有する導線CN28の端部EP38に接続された状態ST58と、コイルユニットUN12が有する導線CN31の端部EP37が、コイルユニットUN13が有する導線CN31の端部EP30に接続された状態ST59と、コイルユニットUN12が有する導線CN31の端部EP37が、コイルユニットUN12が有する導線CN28の端部EP38、及び、コイルユニットUN13が有する導線CN31の端部EP30のいずれからも遮断された状態ST60と、を切り替える。
【0151】
また、コイルユニットUN12が有するスイッチSW14は、コイルユニットUN12が有する導線CN32の端部EP36が、コイルユニットUN13が有する導線CN32の端部EP32に接続された状態ST61と、コイルユニットUN12が有する導線CN32の端部EP36が、コイルユニットUN13が有する導線CN32の端部EP32から遮断された状態ST62と、を切り替える。
【0152】
M個のコイルユニットUNのうち、コイルユニット群端部GE1から2番目のコイルユニットをコイルユニットUN15とする。このようにしたとき、端部コイルユニットEU4が有するスイッチSW9は、端部コイルユニットEU4が有する導線CN26の端部EP33が、端部コイルユニットEU4が有する導線CN27の端部EP34に接続された状態ST63と、端部コイルユニットEU4が有する導線CN26の端部EP33が、電源PS1の端子TM2に接続された状態ST64と、を切り替える。
【0153】
また、端部コイルユニットEU4が有するスイッチSW10は、端部コイルユニットEU4が有する導線CN29の端部EP35が、端部コイルユニットEU4が有する導線CN32の端部EP36に接続された状態ST65と、端部コイルユニットEU4が有する導線CN29の端部EP35が、電源PS1の端子TM1に接続された状態ST66と、を切り替える。
【0154】
また、端部コイルユニットEU4が有するスイッチSW11は、端部コイルユニットEU4が有する導線CN27の端部EP26が、端部コイルユニットEU4が有する導線CN29の端部EP29に接続された状態ST67と、端部コイルユニットEU4が有する導線CN27の端部EP26が、コイルユニットUN15が有する導線CN27の端部EP34に接続された状態ST68と、端部コイルユニットEU4が有する導線CN27の端部EP26が、端部コイルユニットEU4が有する導線CN29の端部EP29、及び、コイルユニットUN15が有する導線CN27の端部EP34のいずれからも遮断された状態ST69(図10参照)と、を切り替える。
【0155】
また、端部コイルユニットEU4が有するスイッチSW12は、端部コイルユニットEU4が有する導線CN28の端部EP28が、端部コイルユニットEU4が有する導線CN30の端部EP31に接続された状態ST70と、端部コイルユニットEU4が有する導線CN28の端部EP28が、コイルユニットUN15が有する導線CN28の端部EP38に接続された状態ST71と、端部コイルユニットEU4が有する導線CN28の端部EP28が、端部コイルユニットEU4が有する導線CN30の端部EP31、及び、コイルユニットUN15が有する導線CN28の端部EP38のいずれからも遮断された状態ST72(図10参照)と、を切り替える。
【0156】
また、端部コイルユニットEU4が有するスイッチSW13は、端部コイルユニットEU4が有する導線CN31の端部EP37が、端部コイルユニットEU4が有する導線CN28の端部EP38に接続された状態ST73と、端部コイルユニットEU4が有する導線CN31の端部EP37が、電源PS1の端子TM1に接続された状態ST74と、を切り替える。
【0157】
また、端部コイルユニットEU4が有するスイッチSW14は、端部コイルユニットEU4が有する導線CN32の端部EP36が、電源PS1の端子TM2に接続された状態ST75と、端部コイルユニットEU4が有する導線CN32の端部EP36が、電源PS1の端子TM2から遮断された状態ST76(図10参照)と、を切り替える。
【0158】
集電コイルRC1が、M個のコイルユニットUNのうち、コイルユニットUN12としてのコイルユニットUN1と対向している場合を考える。このような場合、制御部CT1は、コイルユニットUN12としてのコイルユニットUN1において、接続切替部SU1が状態ST1に切り替えられ、スイッチSW9が状態ST46に切り替えられ、スイッチSW10が状態ST49に切り替えられ、スイッチSW11が状態ST54に切り替えられ、スイッチSW12が状態ST57に切り替えられ、スイッチSW13が状態ST58に切り替えられ、且つ、スイッチSW14が状態ST62に切り替えられることにより、ループコイルCL1及びループコイルCL2が形成されるように、接続切替部SU1の動作を制御する。
【0159】
また、集電コイルRC1が、コイルユニットUN1と対向している場合、制御部CT1は、(L-1)個のコイルユニットUN12としての(L-1)個のコイルユニットUN2のうち、コイルユニット群端部GE1から(L-1)番目のコイルユニットUNであるコイルユニットUN2において、接続切替部SU1が状態ST2に切り替えられ、スイッチSW9が状態ST47に切り替えられ、スイッチSW10が状態ST50に切り替えられ、スイッチSW11が状態ST52に切り替えられ、スイッチSW12が状態ST55に切り替えられ、スイッチSW13が状態ST59に切り替えられ、且つ、スイッチSW14が状態ST61に切り替えられることにより、導線CN25、導線CN27、導線CN29及び導線CN31により給電線FD1が形成され、導線CN26、導線CN28、導線CN30及び導線CN32により給電線FD2が形成されるように、接続切替部SU1の動作を制御する。
【0160】
また、集電コイルRC1が、コイルユニットUN1と対向している場合、制御部CT1は、(L-1)個のコイルユニットUN12としての(L-1)個のコイルユニットUN2のうち、コイルユニット群端部GE1から(L-1)番目のコイルユニットUN及び端部コイルユニットEU4を除くいずれのコイルユニットUN2においても、接続切替部SU1が状態ST2に切り替えられ、スイッチSW9が状態ST47に切り替えられ、スイッチSW10が状態ST50に切り替えられ、スイッチSW11が状態ST53に切り替えられ、スイッチSW12が状態ST56に切り替えられ、スイッチSW13が状態ST59に切り替えられ、且つ、スイッチSW14が状態ST61に切り替えられることにより、導線CN25、導線CN27、導線CN29及び導線CN31により給電線FD1が形成され、導線CN26、導線CN28、導線CN30及び導線CN32により給電線FD2が形成されるように、接続切替部SU1の動作を制御する。
【0161】
また、集電コイルRC1が、コイルユニットUN1と対向している場合、制御部CT1は、端部コイルユニットEU4において、スイッチSW9が状態ST64に切り替えられ、スイッチSW10が状態ST66に切り替えられ、スイッチSW11が状態ST68に切り替えられ、スイッチSW12が状態ST71に切り替えられ、スイッチSW13が状態ST74に切り替えられ、且つ、スイッチSW14が状態ST75に切り替えられることにより、導線CN25、導線CN27、導線CN29及び導線CN31により給電線FD1が形成され、導線CN26、導線CN28、導線CN30及び導線CN32により給電線FD2が形成されるように、接続切替部SU1の動作を制御する。
【0162】
また、端部コイルユニットEU4が有する導線CN27の端部EP34は、電源PS1の端子TM1に接続され、端部コイルユニットEU4が有する導線CN28の端部EP38は、電源PS1の端子TM2に接続される。
【0163】
このような場合、Nが1である場合でも、具体的に、電源側非対向部におけるコイルユニットを、低いインピーダンスを有する給電線として機能させ、対向部におけるコイルユニットを、8の字形状を有する給電コイルとして機能させることができる。そのため、フィーダーケーブルを省略し、且つ、給電コイルの損失を低減することができる。また、給電コイルが8の字形状を有し、集電コイルが8の字形状を有することにより、給電コイルが発生する磁界を集電コイルに集中して印加することができるので、集電効率を高めることができる。
【0164】
好適には、M個のコイルユニットUNの各々において、接続切替部SU1は、状態ST1と、状態ST2と、2本の導線CN1及び2本の導線CN2が電源PS1に対して互いに直列に接続されず、2本の導線CN3が電源PS1に対して互いに並列に接続されず、且つ、2本の導線CN4が電源PS1に対して互いに並列に接続されない状態ST77と、を切り替える。
【0165】
また、M個のコイルユニットUNのうち、コイルユニット群UGの方向DR1における第1の側と反対側のコイルユニット群端部GE3に配置されたコイルユニットUNを端部コイルユニットEU5とし、集電コイルRC1が、M個のコイルユニットUNのうち、コイルユニットUN12としてのコイルユニットUN1と対向している場合を考える。このような場合、制御部CT1は、M個のコイルユニットUNのうち、コイルユニットUN1よりも方向DR1における第1の側と反対側に配置され、端部コイルユニットEU5ではなく、且つ、コイルユニットUN12としてのコイルユニットUNである、コイルユニットUN16において、接続切替部SU1が状態ST77に切り替えられ、スイッチSW9が状態ST48に切り替えられるかスイッチSW10が状態ST51に切り替えられるか又はスイッチSW13が状態ST60に切り替えられ、スイッチSW11が状態ST54に切り替えられ、スイッチSW12が状態ST57に切り替えられ、且つ、スイッチSW14が状態ST62に切り替えられることにより、コイルユニットUN16に電流が通流されないように、接続切替部SU1の動作を制御する。
【0166】
このような場合、Nが1である場合でも、具体的に、末端側非対向部では、コイルユニットに電流が通流されないようにする。そのため、給電コイルの損失を更に低減することができる。
【0167】
前述したように、本第2変形例は、実施の形態の第1変形例の非接触給電装置と同様に、非接触給電装置が、Nが1である場合、即ち、2つのセクション同士の境界に6つのスイッチが用いられ2ターンの8の字コイルが形成される場合、に適用された例である。また、本第2変形例では、実施の形態の第1変形例と同様に、給電コイルと並行してフィーダーケーブルが配置される場合に比べて、給電線の単位長さ当たりの抵抗を、1/4に低減することができる。
【0168】
一方、2つのセクション同士の境界に8N-2のスイッチが用いられ2Nターンの8の字コイルが形成される場合には、実施の形態の第1変形例と同様に、給電コイルと並行してフィーダーケーブルが配置される場合に比べて、給電線の単位長さ当たりの抵抗を、1/(4N)に低減することができる。
【0169】
好適には、本第2変形例の非接触給電装置SD1は、更に、端部スイッチES3と、端部スイッチES4と、を備えている。端部スイッチES3は、端部コイルユニットEU4が有する導線CN27の端部EP34が、電源PS1の端子TM1に接続された第5端部状態SE5と、端部コイルユニットEU4が有する導線CN27の端部EP34が、電源PS1の端子TM1から遮断された第6端部状態(図示は省略)と、を切り替える。端部スイッチES4は、端部コイルユニットEU4が有する導線CN28の端部EP38が、電源PS1の端子TM2に接続された第7端部状態SE7と、端部コイルユニットEU4が有する導線CN28の端部EP38が、電源PS1の端子TM2から遮断された第8端部状態(図示は省略)と、を切り替える。制御部CT1は、端部スイッチES3及び端部スイッチES4の動作を制御する。
【0170】
また、集電コイルRC1が、コイルユニットUN1と対向している場合、制御部CT1は、端部スイッチES3が第5端部状態SE5に切り替えられるように、端部スイッチES3の動作を制御し、端部スイッチES4が第7端部状態SE7に切り替えられるように、端部スイッチES4の動作を制御する。
【0171】
このような場合、端部コイルユニットEU4が有する導線CN27の端部EP34は、電源PS1の端子TM1に接続されることができ、端部コイルユニットEU4が有する導線CN28の端部EP38は、電源PS1の端子TM2に接続されることができる。
【0172】
なお、図示及び詳細な説明は省略するものの、実施の形態の第1変形例及び本第2変形例に代えて、実施の形態において、例えば互いに隣り合う2つのコイルユニットにより、8の字コイルを形成することもできる。このような場合、給電コイルと並行してフィーダーケーブルが配置される場合に比べて、給電線の単位長さ当たりの抵抗を、1/(2N)にしか低減することができない。しかし、スイッチの最小数は、実施の形態と同様に、コイル辺総数-2(導線CN1及び導線CN2の合計本数-2)となるので、実施の形態の第1変形例及び本第2変形例に比べて、スイッチの最小数を削減することが可能である。
【0173】
<非接触給電装置の第3変形例>
次に、実施の形態の非接触給電装置の第3変形例について説明する。本第3変形例の非接触給電装置は、実施の形態の非接触給電装置と異なり、ループコイルのターン数が、電源に近い側に配置されたコイルユニットほど大きい。
【0174】
図12は、実施の形態の第3変形例の非接触給電装置の等価回路を示す回路図である。なお、図12では、電源側非対向部において、並列に接続される導体の数が、給電線の太さにより表示されており、導体の数が大きいほど給電線の太さが太くなるように表示されている。
【0175】
図12に示すように、本第3変形例では、M個のコイルユニットUNの各々により形成されるループコイルCL1のターン数は、M個のコイルユニットUNのうちコイルユニット群端部GE1に近い側に配置されたコイルユニットUNほど大きい。即ち、M個のコイルユニットUNの各々におけるNの値はそれぞれ異なり、M個のコイルユニットUNの各々におけるNの値は、M個のコイルユニットUNのうちコイルユニット群端部GE1に近い側に配置されたコイルユニットUNほど大きい。また、集電コイルRC1が、M個のコイルユニットUNのうち、コイルユニットUN1と対向しているとき、制御部CT1は、電源PS1がコイルユニットUN1に電流を通流するように、電源PS1の動作を制御する。また、集電コイルRC1が、M個のコイルユニットUNのうち、コイルユニットUN1と対向しているとき、制御部CT1は、コイルユニットUN1に通流される電流の電流量が、M個のコイルユニットUNのうち、集電コイルRC1が対向しているコイルユニットUN1のターン数が大きいほど小さくなるように、電源PS1の動作を制御する。
【0176】
実施の形態の非接触給電装置では、電源側非対向部において、並列に接続される導体の数を可能な限り大きく設定するほど、フィーダー(電源側非対向部)での損失を低減する効果を大きくすることが可能である。即ち、電源側非対向部における給電線が形成される各辺(各導線)に電流が通流されることにより発生する熱量を平準化する観点からターン数を設定することにより、使用する導体量を削減することができる。
【0177】
例えば、電源側のセクション(コイルユニット)ほど、通電時間が長いため、ターン数を大きくし、抵抗値を低減する。また、各セクション(コイルユニット)において同等の給電性能(発生磁場)とするため、集電コイルと対向するコイルユニット(在線セクション)に応じ、コイルユニットに通電(通流)する電流の電流量を変化させる(ターン数に反比例した電流を通電する)。
【0178】
総セクション数をnとし、移動体の移動速度vが一定であるとする。また、電源端からk番目のセクション(コイルユニット)において、セクション(コイルユニット)のターン数をtとし、セクション長(コイルユニット長)をLとする。このようにしたとき、電源端からk番目のセクション(コイルユニット)における総発熱量Wは、以下の数式(1)で表される。
【0179】
【数1】
【0180】
ここで、上記数式(1)の右辺の第1項は、フィーダーとして機能した際の発熱量を表し、上記数式(1)の右辺の第2項は、コイルとして機能した際の発熱量を表す。これが各kに対し一定になるようにt及びLを定めると、コイル熱設計の面からは最も効率的な導体配置となる。例えば、上記数式(1)の右辺の第2項を無視した場合、即ちフィーダーとして機能する時間が支配的な場合、t、Lともにn-kに比例させれば良い。
【0181】
なお、本第3変形例の非接触給電装置を、コイルユニットにおいて矩形コイルが形成される実施の形態の非接触給電装置のみならず、コイルユニットにおいて8の字コイルが形成される実施の形態の第1変形例及び第2変形例の非接触給電装置にも適用することができる。
【0182】
以上、本発明者によってなされた発明をその実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。
【0183】
本発明の思想の範疇において、当業者であれば、各種の変更例及び修正例に想到し得るものであり、それら変更例及び修正例についても本発明の範囲に属するものと了解される。
【0184】
例えば、前述の各実施の形態に対して、当業者が適宜、構成要素の追加、削除若しくは設計変更を行ったもの、又は、工程の追加、省略若しくは条件変更を行ったものも、本発明の要旨を備えている限り、本発明の範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0185】
本発明は、軌道を走行する車両に設けられた集電コイルとの間で非接触給電を行う非接触給電装置に適用して有効である。
【符号の説明】
【0186】
CC1、CC2 接続導線
CL1~CL3 ループコイル
CN1、CN10~CN19、CN2、CN20~CN29 導線
CN3、CN30~CN32、CN4~CN9 導線
CT1 制御部
DR1、DR2 方向
EP1、EP10~EP19、EP2、EP20~EP29 端部
EP3、EP30~EP38、EP4~EP9 端部
ES1~ES4 端部スイッチ
EU1~EU5 端部コイルユニット
FD1、FD2 給電線
FG1、FG2 給電線群
GE1~GE3 コイルユニット群端部
LN1 第1線
LN2 第2線
LN3 第3線
PS1 電源
R1 レール
RC1 集電コイル
SD1 非接触給電装置
SP1 電源
ST1、ST10~ST19、ST2、ST20~ST29 状態
ST3、ST30~ST39、ST4、ST40~ST49 状態
ST5、ST50~ST59、ST6、ST60~ST69 状態
ST7、ST70~ST77、ST8、ST9 状態
SU1 接続切替部
SW1、SW10~SW14、SW2~SW9 スイッチ
TM1~TM4 端子
TR1 軌道
UG コイルユニット群
UN、UN1、UN10~UN16、UN2~UN9 コイルユニット
VC1 車両

図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図8
図9
図10
図11
図12