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特許76376662チャンネルCCT調光のためのバランス制御の改善
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-19
(45)【発行日】2025-02-28
(54)【発明の名称】2チャンネルCCT調光のためのバランス制御の改善
(51)【国際特許分類】
   H05B 45/20 20200101AFI20250220BHJP
   H05B 45/325 20200101ALI20250220BHJP
   H05B 45/345 20200101ALI20250220BHJP
   H05B 45/375 20200101ALI20250220BHJP
   H05B 45/38 20200101ALI20250220BHJP
   H05B 45/382 20200101ALI20250220BHJP
   H05B 45/385 20200101ALI20250220BHJP
   H05B 45/46 20200101ALI20250220BHJP
【FI】
H05B45/20
H05B45/325
H05B45/345
H05B45/375
H05B45/38
H05B45/382
H05B45/385
H05B45/46
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2022502946
(86)(22)【出願日】2020-07-16
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-22
(86)【国際出願番号】 EP2020070104
(87)【国際公開番号】W WO2021013677
(87)【国際公開日】2021-01-28
【審査請求日】2023-07-12
(31)【優先権主張番号】19187326.4
(32)【優先日】2019-07-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】516043960
【氏名又は名称】シグニファイ ホールディング ビー ヴィ
【氏名又は名称原語表記】SIGNIFY HOLDING B.V.
【住所又は居所原語表記】High Tech Campus 48,5656 AE Eindhoven,The Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】100163821
【弁理士】
【氏名又は名称】柴田 沙希子
(72)【発明者】
【氏名】ザイルマン テオ ヘリット
(72)【発明者】
【氏名】デ モル ユージェン ヤコブ
(72)【発明者】
【氏名】カールマン ヘンリクス マリウス ヨセフ マリア
(72)【発明者】
【氏名】メン ツァオミン
(72)【発明者】
【氏名】マリナ ディミトロ ヴィクトロヴィッチ
(72)【発明者】
【氏名】バイ マルセル
(72)【発明者】
【氏名】ヴォッセン フランシスクス ヤコブス
【審査官】松本 泰典
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-526124(JP,A)
【文献】特開2012-204258(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0164403(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 45/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
照明システムが、
負荷であって、
電圧を受けるための入力と、
並列構成であって、
第1順方向電圧を有する第1LED負荷、及び前記第1LED負荷と直列に結合される第1スイッチ、並びに
前記第1順方向電圧と異なる第2順方向電圧を有する第2LED負荷の並列構成とを含む負荷を有し、前記入力が、前記並列構成に結合され、前記照明システムが、
制御された電圧を前記負荷に供給するよう構成されるスイッチモード電源であって、
スイッチング要素、
インダクタ、
ダイオード、
前記負荷に結合するための一組の出力ピン、及び
前記一組の出力ピン間に結合されるコンデンサを含むスイッチモード電源を更に有し、
前記スイッチモード電源が、前記一組の出力ピン間に前記電圧を供給するよう構成され、
前記照明システムが、前記出力ピンのうちの1つと前記負荷の前記入力との間に結合される更なるインダクタを有する照明システム。
【請求項2】
照明システムが、
負荷であって、
電圧を受けるための入力と、
並列構成であって、
第1順方向電圧を有する第1LED負荷、及び前記第1LED負荷と直列に結合される第1スイッチ、並びに
前記第1順方向電圧と異なる第2順方向電圧を有する第2LED負荷の並列構成とを含む負荷を有し、前記入力が、前記並列構成に結合され、前記照明システムが、
スイッチモード電源であって、
スイッチング要素、
インダクタ、
ダイオード、
前記負荷に結合するための一組の出力ピン、
コントローラ、及び
前記一組の出力ピン間に結合されるコンデンサを含むスイッチモード電源を更に有し、
前記スイッチモード電源が、前記一組の出力ピン間に前記電圧を供給するよう構成され、
前記照明システムが、前記出力ピンのうちの1つと前記負荷の前記入力との間に結合される更なるインダクタを有し、
前記スイッチモード電源が、前記更なるインダクタを通る電流が不連続になるように動作するよう構成され、前記コントローラが、
前記第1LED負荷を流れる電流と、前記第2LED負荷を流れる電流を比較し、
前記第1LED負荷を流れる電流と前記第2LED負荷を流れる電流との間の誤差を使用して前記第1スイッチのデューティサイクルを制御するよう構成される照明システム。
【請求項3】
前記負荷が、前記第2LED負荷と直列に結合される第2スイッチを有する請求項1又は2に記載の照明システム。
【請求項4】
前記第1スイッチが、前記第2スイッチと相補的にオンされる請求項に記載の照明システム。
【請求項5】
前記照明システムが、1つのスイッチモード電源しか含まない請求項1乃至のいずれ一項に記載の照明システム。
【請求項6】
前記第1スイッチが、パルス幅変調を使用して制御される請求項1に記載の照明システム。
【請求項7】
前記スイッチモード電源が、定電流を供給するよう構成される請求項1乃至のいずれ一項に記載の照明システム。
【請求項8】
前記スイッチモード電源が、バックコンバータ、ブーストコンバータ、バックブーストコンバータ、フライバックコンバータ、LLCコンバータ、SEPICコンバータ及びCukコンバータのうちのいずれか1つとして構成される請求項1乃至のいずれ一項に記載の照明システム。
【請求項9】
前記負荷が、第3LED負荷、及び前記第3LED負荷と直列に結合される第3スイッチを有し、前記第3LED負荷及び前記第3スイッチが前記負荷と並列に結合される請求項1に記載の照明システム。
【請求項10】
前記第1LED負荷、前記第2LED負荷及び前記第3LED負荷の光色が、互いに異なる請求項に記載の照明システム。
【請求項11】
前記コンデンサが、前記負荷を駆動するためのエネルギを蓄積するためのバッファコンデンサである請求項1乃至10のいずれ一項に記載の照明システム。
【請求項12】
前記第1スイッチが、逆並列ダイオードを有する請求項1乃至11のいずれ一項に記載の照明システム。
【請求項13】
前記並列構成が、
前記第1LED負荷と直列に結合される第1ダイオード、
前記第2LED負荷と直列に結合される第2ダイオード、
前記第1LED負荷と並列に結合される第1コンデンサ、及び
前記第2LED負荷と並列に結合される第2コンデンサを有する請求項1乃至12のいずれ一項に記載の照明システム。
【請求項14】
前記第1LED負荷の順方向電圧が、前記第2LED負荷の順方向電圧より低い請求項1乃至13のいずれ一項に記載の照明システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明システムに関する。
【背景技術】
【0002】
コネクテッドランプ、即ち、ランプが調光又は色の変更などの様々な動作を実施することができるような外部信号を介して制御されることができるランプにおいては、複数のLEDストリングが使用される。各ストリングは、2つ以上のストリングが最適化されたやり方で制御されることができるように、独立したドライバによって駆動される。これは、追加されるストリングごとに追加のドライバを必要とし、コストがかかる。
【0003】
LEDストリングを駆動する別のやり方は、後にDC/DC電流源が続くAC/DC変換器を設けるものである。その場合、LEDストリングは、並列に配置され、各ストリングは、カラーポイントなど所望の光設定を達成するために直列スイッチで制御される。これは、追加のLEDストリングが取り付けられる場合のドライバの設計により柔軟性を提供する。色の広がり(color spread)のない最適な駆動のためには、LEDストリングの長さ、又は少なくとも順方向電圧が等しくなければならない。LEDストリング間に電圧の広がり(voltage spread)がある場合、DC/DC変換器は大きなバッファコンデンサによってバッファされる1つの電圧レベルしか生成しないことから、ストリング間に不均衡があることから、カラーポイントはシフトする。この作用は望ましくない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
LEDストリングと並列のコンデンサ間のエネルギ移動に起因する色ずれの作用を低減するための安価なソリューションを提供する改良された照明システムを提供することが、本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この課題を解決するために、本発明の第1態様においては、
- 電圧を受けるための入力を含む負荷であって、前記入力が、
- 第1順方向電圧を有する第1LED負荷、及び前記第1LED負荷と直列に結合される第1スイッチ、並びに
- 前記第1順方向電圧と異なる第2順方向電圧を有する第2LED負荷の並列構成に結合される負荷と、
- スイッチモード電源であって、
- スイッチング要素、
- インダクタ、
- ダイオード、
- 前記負荷に結合するための一組の出力ピン、及び
- 前記一組の出力ピン間に結合されるコンデンサを含むスイッチモード電源とを有する照明システムであって、前記スイッチモード電源が、前記一組の出力ピン間に電圧を供給するよう構成され、前記照明システムが、前記出力ピンのうちの1つと前記負荷の前記入力との間に結合される更なるインダクタを有する照明システムが提供される。
【0006】
LEDストリングは、LED負荷として理解されることができる。
【0007】
LEDストリングのうちの少なくとも1つが直列スイッチに結合される並列の2つのLEDストリングの大きな問題は、前記第1スイッチが開く又は閉じるときに前記スイッチモード電源の出力コンデンサの両端に電圧ステップ(voltage step)が生成されることである。これは、前記出力コンデンサが、前記スイッチモード電源の出力において、異なるストリング電圧を有する前記LEDストリングに接続されるからである。この電圧ステップは、或るストリングから別のストリングへの電流変化を電流ステップ(current step)と共に生じさせ、これは、光出力に悪影響を及ぼし、色の広がりをもたらす。この問題は、スイッチモード電力変換器の出力において、前記出力と前記LED負荷との間にインダクタを配置することによって解決される。このインダクタは、前記スイッチモード電力変換器が実際の電流源の役割を果たすことを可能にすることから、急激な電圧変化に影響されやすくない。前記負荷に対する前記スイッチモード電源の容量性挙動(capacitive behavior)は、低減される、又は打ち消される。負荷電圧における急激な変化は、前記インダクタの定電流挙動に影響を及ぼさない。それ故、前記光出力にマイナスの影響を及ぼす電流ステップは生成されない。
【0008】
本発明の更なる例においては、前記負荷は、前記第2LED負荷と直列に結合される第2スイッチを有する。
【0009】
これは、両方のLEDストリングが独立して制御されることができることから、前記LEDストリングの改善された制御を可能にする。
【0010】
本発明の別の例においては、前記第1スイッチは、前記第2スイッチと相補的にオンされる。
【0011】
前記第1スイッチを前記第2スイッチと相補的にオンにすることは、ドライバから負荷への電流の流れが常に保証されるようにあらゆる時点において少なくとも1つのスイッチがオンであることを意味する。
【0012】
本発明の別の例においては、前記照明システムは、1つのスイッチモード電源しか含まない。
【0013】
記載されているような照明システムは、1つのスイッチモード電源のみで動作するように最適化されている。
【0014】
本発明の別の例においては、前記第1スイッチは、パルス幅変調を使用して制御される。
【0015】
前記第1スイッチを制御するためにパルス幅変調を使用することは、前記第1ストリングにおける光出力を制御するための効率的なやり方を提供する。
【0016】
本発明の別の例においては、前記スイッチモード電源は、定電流を供給するよう構成される。
【0017】
本発明の別の例においては、前記スイッチモード電源は、バックコンバータ、ブーストコンバータ、バックブーストコンバータ、フライバックコンバータ、LLCコンバータ、SEPICコンバータ及びCuk(チューク)コンバータのうちのいずれか1つとして構成される。
【0018】
本発明の別の例においては、前記負荷は、第3LED負荷、及び前記第3LED負荷と直列に結合される第3スイッチを有する。
【0019】
第3ストリングを他の負荷と並列に設けることは、色制御が実施される必要がある場合に、より多くの制御を提供する。その場合、LEDの3つのストリングは、赤色、緑色及び青色のLEDを含み得る。
【0020】
本発明の別の例においては、前記第1LED負荷、前記第2LED負荷及び前記第3LED負荷の光色は、互いに異なる。
【0021】
別の例においては、前記コンデンサは、前記負荷を駆動するためのエネルギを蓄積するためのバッファコンデンサである。
【0022】
前記スイッチモード電源の前記出力にあるコンデンサが大きければ大きいほど、前記電流ステップの影響は深刻になる。それ故、静電容量がより大きい場合、並列インダクタは、静電容量が相対的に小さい場合に比べて更により良い結果を提供する。
【0023】
別の例においては、前記第1スイッチは、逆並列ダイオードを有する。
【0024】
逆並列ダイオードを有するスイッチの例は、MOSFETである。MOSFETは、オンにされているときに低抵抗経路を有し、それ故、回路において使用されるのに好ましい。
【0025】
別の例においては、前記並列構成は、
- 前記第1LED負荷と直列に結合される第1ダイオード、
- 前記第2LED負荷と直列に結合される第2ダイオード、
- 前記第1LED負荷と並列に結合される第1コンデンサ、及び
- 前記第2LED負荷と並列に結合される第2コンデンサを有する。
【0026】
前記LED負荷と並列にコンデンサを設けることは、前記LED負荷を流れる電流リップルを低減させる。前記コンデンサ間の望ましくない放電を防止するために、追加のダイオードが前記LED負荷及び前記コンデンサの前記並列構成と直列に配置される必要がある。
【図面の簡単な説明】
【0027】
ここで、添付図面を参照して本発明の例について説明する。
図1】既知の照明システムの例を示す。
図2A】色ずれのグラフ表示を示す。
図2B】色ずれのグラフ表示を示す。
図2C】色ずれのグラフ表示を示す。
図2D】色ずれのグラフ表示を示す。
図3】本発明の実施形態を示す。
図4A】本発明の効果のグラフ表示を示す。
図4B】本発明の効果のグラフ表示を示す。
図4C】本発明の効果のグラフ表示を示す。
図4D】本発明の効果のグラフ表示を示す。
図5】3つのLEDストリングを備える本発明の実施形態を示す。
図6】リップル低減が改善された本発明の実施形態を示す。
図7】不連続モードにおける照明システムの動作の例を示す。
図8】前記不連続モードで動作するための補償が行われる本発明の実施形態の例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0028】
図を参照して本発明について説明する。
【0029】
詳細な説明及び特定の例は、装置、システム及び方法の例示的な実施形態を示しているが、説明の目的のためのものでしかなく、本発明の範囲を限定しようとするものではないことは理解されたい。本発明の装置、システム及び方法のこれら及び他の特徴、態様及び利点は、以下の説明、添付の特許請求の範囲及び添付の図面からよりよく理解されるようになるだろう。図は、単に概略的なものに過ぎず、縮尺通りには描かれていないことは、理解されたい。図の全体を通して、同じ参照符号は、同じ又は同様のパーツを示すために使用されていることも、理解されたい。
【0030】
図1は、当技術分野においては知られているような照明システムを示している。照明システムは、AC入力電圧を整流出力電圧に整流するための整流回路を有する。この出力電圧は、制御された出力電圧及び/又は電流を供給するスイッチモード電源に供給される。スイッチモード電源の出力は、LED負荷に接続される。LED負荷は、LEDの第1ストリングを有し、第1スイッチと直列に結合される。別のLED負荷は、第2スイッチと直列に接続され、この直列構成は、第1LED負荷及び第1スイッチと並列に接続される。この場合には、両LEDストリングの順方向電圧は互いに異なる。第1スイッチしか閉じられない場合には、電流は第1スイッチ及び対応するLED負荷を流れる。第2スイッチが閉じ、第1スイッチが開けられる場合には、電流は第2LED負荷を流れる。しかしながら、ストリング電圧の違いのため、負荷への電流は急速に変化する。第1LEDストリングの順方向電圧が第2ストリングの順方向電圧より高い場合には、第2LEDストリングにとっては大きすぎる電圧が、LEDの第2ストリングに供給される。このことは、第2LEDストリングを通る望ましくない過電流をもたらす。第1LEDストリングの第1順方向電圧が第2LEDストリングの順方向電圧より低い場合には、第2LEDが電流を引き出し始める前に、スイッチモード電源の出力における電圧が増大する必要がある。このことは、第2LEDストリングが電流を引き出しているべきである期間であって、第2LEDストリングがオフのままである期間をもたらす。
【0031】
電流の増加と、電流が引き出されない期間との両方が、色の広がり又は所望の出力色の変化をもたらす。
【0032】
図2Aは、本発明が実施されない状況において第1LEDストリング及び第2LEDストリングを流れる所望の電流のグラフを示している。図2Bにおいては、第1LEDストリングの順方向電圧が第2LEDストリングの順方向電圧と等しい状況におけるLED電流が示されている。第1及び第2LEDストリングを通る電流は、所望の電流に非常によく従う。
【0033】
図2C及び2Dは、順方向電圧が互いに等しくない場合の第1及び第2LEDストリング電流の例を示している。第1及び第2LEDストリングを通る電流が所望の電流に対して変化することが観察され得る。この作用は、光出力の調光が適用される場合に特に顕著である。この電流の変化は、ユーザによって知覚される色ずれをもたらし、これは望ましくない。
【0034】
図3は、本発明による照明システムの例を示している。照明システムは、ダイオードD1、D2、D3及びD4を備える整流器ブリッジの形態のAC/DC変換器1を有する。ラインワイヤL及びニュートラルワイヤNを介して、AC電圧がAC/DC変換器に供給される。AC/DC変換器は、その出力において整流電圧を供給する。整流電圧は、スイッチモード電源に供給される。この例においては、スイッチモード電源は、ブーストコンバータ2として設計されている。ブーストコンバータ2は、インダクタL1、ダイオードD5、コンデンサC1及びスイッチM1を有する。この例においては、ブーストコンバータ2が使用されているが、他のトポロジも使用され得ることに留意されたい。一般に知られている他のトポロジは、バックコンバータ、バックブーストコンバータ、フライバックコンバータ、LLC(共振)コンバータ、SEPICコンバータ及びチュークコンバータである。
【0035】
ブーストコンバータ2は、制御された出力電圧又は出力電流を供給することができる。図1において示されている例においては、ブーストコンバータ2は、その出力に定電圧を供給する。コンデンサC1は、ブーストコンバータ2の出力における電圧の安定性を向上させるためにブーストコンバータ2の出力においてエネルギバッファを設けるために使用される。
【0036】
この定電圧は負荷に供給される。負荷は、スイッチM2及び抵抗器R1と直列の第1LEDストリングLED1を有する。この第1LEDストリングLED1、抵抗器R1及びスイッチM2の直列接続に並列に、第2スイッチM3及び抵抗器R2と直列の第2LEDストリングLED2が接続される。第1LEDストリングLED1の順方向電圧は、第2LEDストリングLED2の順方向電圧と異なる。コントローラ3は、第1スイッチM2及び第2スイッチM3に制御信号を供給する。この例においては、 第1スイッチM2及び第2スイッチM3は、相補的なやり方で制御される。これは、第1スイッチM2がオンにされるときは、第2スイッチM3はオフにされ、その逆も同じであること意味する。コントローラ3は、スイッチが重複しないやり方で制御される限り、即ち、両方のスイッチが同時にオンにされることができない限り、第1スイッチM2を第2スイッチM3から独立して制御することもできる。
【0037】
最も単純な制御方法を提供するために、第2スイッチM3は省略されることができる。負荷を正しく動作させるために、第1LEDストリングLED1が第2LEDストリングLED2よりも低い電圧を有することが要求される。第1スイッチM2が閉じられるとき、最も低い順方向電圧を備えるLEDストリングが導通を開始する。この場合には、第1LEDストリングLED1が導通する。前記スイッチが開いているときは、第2LEDストリングLED2だけが導通することができ、故に、その場合、最も高いストリング電圧を備えるLEDストリングが導通する。1つのスイッチで両方のLEDストリングをオフにすることは可能ではない。これは、ブーストコンバータ2をオフにすることによってしか行われることができない。
【0038】
コントローラ3は、スイッチM1に制御信号を供給することもできる。
【0039】
ブーストコンバータ2によって生成される電圧は、LEDストリングに電力を供給することができるように、少なくとも、2つのLEDストリングの最も大きい順方向電圧と同じ大きさである必要がある。その場合、最も低い順方向電圧を備えるストリングは、少なくとも短い期間にわたって、より高い順方向電圧を備えるストリングを駆動するために使用される電圧と同じ高電圧で駆動される。これは、LEDストリングを流れる電流の短期間の増加をもたらし、望ましくない色の広がりをもたらす。
【0040】
この問題は、スイッチモード電源の出力と負荷との間に直列にインダクタL2を導入することによって解決される。
【0041】
インダクタL2は、20μHという好ましい値を持ち得るが、設計上の選択及び電力要件に基づいて、他の値も可能である。
【0042】
インダクタの電流は、第1スイッチM2がオン又はオフにされる場合に生じる瞬時電圧変化により迅速に変化することができないことから、インダクタL2は、電流安定化を提供する。その代わり、インダクタにわたる電圧変化は、インダクタンス値と、インダクタL2にわたる電圧降下量とに依存する電流スロープを生じさせる。
【0043】
スイッチM2又はM3のいずれかのスイッチングのために負荷側で急激な電圧変化があっても、スイッチモード電源2はこの電圧変化を見ない。その代わり、出力電流の急激な変化ではなく、出力電流の相対的に緩やかな傾斜のみが観測され得る。スイッチモード電源が定出力電流源である場合、インダクタL2によってもたらされる緩やかな電流変動のため、電流は、容易に一定の量の電流に調整されることができる。
【0044】
インダクタL2の導入は、出力電圧又は電流の制御を非常に簡単にするので、第1LEDストリングLED1及び第2LEDストリングLED2に電力を供給するのに1つのスイッチモード電源2しか使用しないことが好ましい。
【0045】
記載されているような本発明は、2つのLED負荷を有する。より多くのLED負荷が、追加のスイッチと一緒に、他のLED負荷と並列に接続されてもよい。
【0046】
抵抗器R1及びR2は、LED負荷LED1及びLED2を通る電流を制限するために使用される。スイッチモード電源2が定電流源である場合、電流はスイッチモード電源2によって制限されるので、抵抗器は省略されることができる。
【0047】
第1スイッチM2及び第2スイッチM3は、コントローラ3によって制御されることができる。第1LEDストリングLED1と第2LEDストリングLED2とは、異なる色温度を有することができる。第1スイッチM2及び第2スイッチM3の制御は、照明システムによって生成される全体の色温度の制御を可能にする。遠隔制御装置、モバイルデバイス又は制御ボタンなどのユーザインターフェースを介して外部信号が供給されることができる。それにより、ユーザは、コントローラ3によって使用される所望の照明効果を選択することができる。この例においては、照明効果を生成するために第1スイッチM2しか使用されないこともできる。
【0048】
3つ以上の並列LEDストリングが使用される場合、所望の色効果が生成されることができる。その場合、コントローラ3は、3つのLEDストリング全てを制御することができる。
【0049】
図4Aは、本発明が実施されない状況においてLEDの第1ストリング及びLEDの第2ストリングを流れる所望の電流のグラフを示している。図4Bにおいては、LEDの第1ストリングの順方向電圧がLEDの第2ストリングの順方向電圧と等しい状況におけるLED電流が示されている。LEDの第1及び第2ストリングを通る電流は、所望の電流に非常によく従う。
【0050】
図4C及び4Dは、順方向電圧が互いに等しくない場合の第1及び第2LEDストリング電流の例を示している。LEDの第1及び第2ストリングを通る電流が所望の電流レベルに非常に近いままであることが観察され得る。それ故、実質的に色ずれがない。
【0051】
図5は、改良された色混合をもたらすために3つのLEDストリングが使用される照明回路の例を示している。追加のLEDストリングLED3は、追加のスイッチM3と直列に結合される。アプリケーションによって電流の制限が必要とされる場合には、直列抵抗器R3が電流を制限するために追加されることができる。
【0052】
図6は、更なるリップル低減が達成される本発明による照明回路の例を示している。
【0053】
図6の主な特徴は、図3の主な特徴と同様である。第1LEDトリングLED1と並列に、コンデンサC2が配置される。第2LEDトリングLED2と並列に、コンデンサC3が配置される。これらのコンデンサは、スイッチトモード電源2から供給される電流内に存在する高周波成分を除去する。2つのLEDストリングのストリング電圧が等しくないことから、或るコンデンサが別のコンデンサに放電することがある。高い順方向電圧を持つLEDストリングから低い順方向電圧を持つLEDストリングへの切り替え時、最も高いストリング電圧を持つLEDストリングに接続されるコンデンサは、より低いストリング電圧を持つLEDストリングに接続されるコンデンサに放電する。これが生じるのを防止するために、LED負荷及び対応するコンデンサの並列構成と直列にダイオードが配置される。第1ダイオードD6は、第1LED負荷LED1及び第1コンデンサC2の並列組み合わせと直列に結合される。第2ダイオードD7は、第2LED負荷LED2及び第2コンデンサC3の並列組み合わせと直列に結合される。
【0054】
図7は、インダクタL2を通る電流が連続的に流れていない例示的な動作モードを示している。これは、ブーストコンバータが、インダクタL2を通る電流が不連続になるように動作されることから、ブーストコンバータによって引き起こされる。これは、非常に低い電力が必要とされるように負荷が減光されるときに行われ得る。他の例においては、インダクタL2のインダクタンスが、インダクタL2を通る電流が不連続になるように、より小さく選ばれ得る。スイッチM2の制御信号Vbypassは、図7の一番上のグラフに示されている。この制御信号は、反転され、スイッチM3に供給される。この例においては、第1LEDストリングLED1は、第2LEDストリングLED2の順方向電圧より低い順方向電圧を持つと仮定されている。LEDストリングの電圧は、インダクタL2の右側に存在する。左側の電圧は、スイッチモード電源2によって供給される電力の総量に基づいている。スイッチモード電源2は定電流を供給するので、インダクタL2の左側の電圧は、総供給電力をスイッチモード電源2によって供給される電流で割ったものに等しい。この電圧レベルは、第1LEDストリングの順方向電圧レベルと第2LEDストリングの順方向電圧レベルとの間に位置する。第1LEDストリングLED1がオンにされるとき、インダクタL2にわたって正の電圧が存在し、インダクタL2を通る電流の増加、即ち、正のdi/dtをもたらす。第2LEDストリングLED2がオンにされるとき、負の電圧がインダクタL2の両端に存在し、インダクタL2を通る電流の減少、即ち、負のdi/dtをもたらす。インダクタL2を通る電流は、電流IL2を示している中央のグラフに示されている。図7において示されている例においては、第1LEDストリングLED1の光出力と第2LEDストリングLED2の光出力との間の50/50の関係(fifty/fifty relation)が望ましい。しかしながら、インダクタL2を通る不連続な電流のため、第1LEDストリングLED1は第2LEDストリングLED2よりも多くの光を発することから、この関係は乱れる。一番下のグラフにおいて、連続線は、電流ILED1を表しており、電流ILED1は第1ストリングLED1を流れる電流である。破線は、電流ILED2を表しており、電流ILED2は第2ストリングLED2を流れる電流である。
【0055】
図8は、第1LEDストリングLED1と第2LEDストリングLED2との間の光出力の関係がどのように補正され得るかを示している。図7と同様に、スイッチM2の制御信号Vbypassは、一番上のグラフに示されている。スイッチM2のデューティサイクルは下げられている。これは、インダクタL2において電流が増大することができる期間が短くなることをもたらす。これは、電流が時点的により早くゼロに戻ることから、インダクタL2を通る電流がゼロである期間が長くなることももたらす。これは、スイッチモード電源から供給される電流が、インダクタL2を流れる代わりに、コンデンサC1のみを流れることから、インダクタL2の左側の電圧がコンデンサC1にわたって増大することを可能にする。この電圧の増大のため、
【数1】
という式により、正のdi/dtもより高くなり、ここで、Vは、インダクタにわたる電圧であり、Lは、インダクタのインダクタンスであり、di/dtは経時的な電流の変化である。スイッチM2のデューティサイクルの低減は、第1LEDストリングLED1を流れる平均電流の低減をもたらす。示されている例においては、スイッチM3のデューティサイクルは、スイッチM2のデューティサイクルの逆である。図7と同様に、中央のグラフは、インダクタL2を通る電流を表している。一番下のグラフにおいて、連続線は、電流ILED1を表しており、電流ILED1は第1ストリングLED1を流れる電流である。破線は、電流ILED2を表しており、電流ILED2は第2ストリングLED2を流れる電流である。それ故、スイッチM2のデューティサイクルの制御は、第2LEDストリングLED2を流れる電流も制御する。補正は、インダクタL2を流れる電流の総量又は第1及び第2LEDストリングの各個別電流を検出することにより、第1LEDストリングLED1及び第2LEDストリングLED2を流れる電流を測定することによって、行われることができる。第1LEDストリングLED1を流れる電流は、第2LEDストリングLED2を流れる電流と比較されることができる。これらの電流の間の誤差は、コントローラ3によって、誤差が低減されるようにスイッチM2のデューティサイクルを制御するために使用されることができる。
【0056】
この例においては、50/50の関係が望ましい。しかしながら、30/70又は20/80の関係などであるが、これらに限定されない他の関係も使用され得ることは明らかである。
【0057】
示されている例においては、第1LEDストリングLED1と第2LEDストリングLED2とが、各々、直列に結合されるスイッチを有する。本発明が機能するためには、LEDストリングのうちの1つだけが、直列に結合されるスイッチを有していれば十分である。色の可制御性を更に向上させるために、他のLEDストリングに追加のスイッチが導入されてもよい。
【0058】
示されている例においては、第1LEDストリングLED1は、第2LEDストリングLED2よりも低い総順方向電圧を有し得る。
【0059】
LEDの各ストリングが直列に結合されるスイッチを有する状況における制御を単純化するために、スイッチは、相補的なやり方で制御されることができる。これは、一方のスイッチがオンにされるときは、他方のスイッチはオフにされ、その逆も同じであること意味する。
【0060】
これは、スイッチモード電源2が、定電流を供給するよう構成される状況においては、更に有益であり得る。この制御方法では、スイッチのうちの1つが常にオンにされることから、電流が常に電流経路を有する。
図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図3
図4A
図4B
図4C
図4D
図5
図6
図7
図8