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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-19
(45)【発行日】2025-02-28
(54)【発明の名称】電池
(51)【国際特許分類】
   H01M 4/131 20100101AFI20250220BHJP
   H01M 4/525 20100101ALI20250220BHJP
   H01M 4/505 20100101ALI20250220BHJP
   H01M 10/052 20100101ALI20250220BHJP
   H01M 10/0585 20100101ALI20250220BHJP
【FI】
H01M4/131
H01M4/525
H01M4/505
H01M10/052
H01M10/0585
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2022580594
(86)(22)【出願日】2022-02-03
(86)【国際出願番号】 JP2022004213
(87)【国際公開番号】W WO2022172851
(87)【国際公開日】2022-08-18
【審査請求日】2023-08-02
(31)【優先権主張番号】P 2021019627
(32)【優先日】2021-02-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】507357232
【氏名又は名称】株式会社AESCジャパン
(74)【代理人】
【識別番号】100110928
【弁理士】
【氏名又は名称】速水 進治
(74)【代理人】
【識別番号】100127236
【弁理士】
【氏名又は名称】天城 聡
(72)【発明者】
【氏名】加世田 学
【審査官】川口 陽己
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-145330(JP,A)
【文献】国際公開第2017/038041(WO,A1)
【文献】特開2015-011969(JP,A)
【文献】国際公開第2015/146024(WO,A1)
【文献】特開2006-173095(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第111129485(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 4/00-4/62
H01M 10/05-10/0587
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
正極電極を備え、
前記正極電極は、一般式LiNiCo1-y-z (1≦x≦1.2)(0.80≦y≦0.93、Mは、Mn及びAlのうちの少なくとも1つの元素を含む金属元素である。)によって示される正極活物質を含む正極活物質層を有し、
前記正極活物質層の長手方向の長さが300mm以上740mm以下であ
16枚以上54枚以下の前記正極電極を備える、電池。
【請求項2】
請求項1に記載の電池において、
23枚以上54枚以下の前記正極電極を備える、電池。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の電池において、
前記正極活物質層の短手方向の長さが70nm以上120nm以下である、電池。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか一項に記載の電池において、
前記正極活物質層は、前記一般式で示される層状結晶構造を有するリチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物を含む、電池。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか一項に記載の電池において、
前記正極活物質層は、前記正極活物質層の総重量100重量%に対して、90重量%以上の前記正極活物質を含む、電池。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか一項に記載の電池において、
前記正極活物質層の目付量が25mg/cm以上50mg/cm以下である、電池。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか一項に記載の電池において、
複数の前記正極電極と、複数の負極電極とが交互に積層されている、電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、リチウムイオン二次電池等の非水電解質電池が開発されている。電池は、正極、負極及びセパレータを備えている。正極は、正極集電体及び正極活物質層を有している。負極は、負極集電体及び負極活物質層を有している。セパレータは、正極及び負極を互いに隔てている。
【0003】
特許文献1には、正極電極及び負極電極が積層されたリチウムイオン二次電池の一例について記載されている。この電池において、正極活物質層は、ニッケル元素、コバルト元素及びマンガン元素の合計に対するニッケル元素の組成比が0.4であって層状結晶構造を有するリチウムニッケル系複合酸化物を含んでいる。正極の長手方向の長さは250mmとなっている。また、電池の容量に対する出力の比が25W/Wh未満となっている。
【0004】
特許文献2には、正極電極及び負極電極が積層されたリチウムイオン二次電池の一例について記載されている。この電池において、正極活物質は、ニッケル元素、コバルト元素及びマンガン元素の合計に対するニッケル元素の組成比が0.8であって層状結晶構造を有するリチウムニッケル系複合酸化物を含んでいる。
【0005】
特許文献3には、正極、負極及びセパレータが巻回されたリチウムイオン二次電池の一例について記載されている。この電池において、正極活物質は、ニッケル元素、コバルト元素及びアルミニウム元素の合計に対するニッケル元素の組成比が0.8であって層状構造を有するリチウムニッケル系複合酸化物を含んでいる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2017-33827号公報
【文献】国際公開第2015/156399号
【文献】特開2017-63041号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
リチウムイオン二次電池等の電池においては、容量が高く、かつ出力が高いことが望ましい。本発明者が検討したところ、電池の容量及び出力は、正極活物質層の長手方向の長さと関係することが明らかとなった。一方、特許文献1~3には、正極活物質層の長手方向の長さと、電池の容量及び出力と、の関係について記載されていない。
【0008】
本発明の目的の一例は、高容量かつ高出力の電池を提供することにある。本発明の他の目的は、本明細書の記載から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様は、
正極電極を備え、
前記正極電極は、一般式LiNiCo1-y-z(0.80≦y≦0.93、Mは、Mn及びAlのうちの少なくとも1つの元素を含む金属元素である。)によって示される正極活物質を含む正極活物質層を有し、
前記正極活物質層の長手方向の長さが300mm以上740mm以下である、電池である。
【発明の効果】
【0010】
本発明の上記一態様によれば、高容量かつ高出力の電池を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施形態に係る電池の平面図である。
図2図1のA-A´断面図である。
図3】実施形態に係る正極電極の平面図である。
図4】電池が16層の正極電極を有する場合における、正極活物質層の長手方向の長さと、電池の容量と、電池の出力と、の関係の一例を示すグラフである。
図5】電池が23層の正極電極を有する場合における、正極活物質層の長手方向の長さと、電池の容量と、電池の出力と、の関係の一例を示すグラフである。
図6】電池が31層の正極電極を有する場合における、正極活物質層の長手方向の長さと、電池の容量と、電池の出力と、の関係の一例を示すグラフである。
図7】電池が42層の正極電極を有する場合における、正極活物質層の長手方向の長さと、電池の容量と、電池の出力と、の関係の一例を示すグラフである。
図8】電池が50層の正極電極を有する場合における、正極活物質層の長手方向の長さと、電池の容量と、電池の出力と、の関係の一例を示すグラフである。
図9】電池が54層の正極電極を有する場合における、正極活物質層の長手方向の長さと、電池の容量と、電池の出力と、の関係の一例を示すグラフである。
図10】積層体が16層、23層、31層、42層、50層及び54層の正極電極を有する場合における、正極活物質層の長手方向の長さと、電池の容量に対する出力の比と、の関係の一例を示すグラフである。
図11】積層体が16層、23層、31層、42層、50層及び54層の正極電極を有する場合における、正極活物質層の長手方向の長さと、電池のセル温度上昇と、の関係の一例を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。なお、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0013】
図1は、実施形態に係る電池10の平面図である。図2は、図1のA-A´断面図である。図3は、実施形態に係る正極電極100の平面図である。
【0014】
図1図3において、第1方向Xは、電池10の長さ方向を示している。第1方向Xを示す矢印によって示される方向である第1方向Xの正方向は、後述する正極リード130から負極リード230に向かう方向である。第1方向Xを示す矢印によって示される方向の反対方向である第1方向Xの負方向は、負極リード230から正極リード130に向かう方向である。第2方向Yは、第1方向Xに交差、具体的には直交しており、電池10の幅方向を示している。第3方向Zは、第1方向X及び第2方向Yの双方に交差、具体的には直交しており、電池10の厚み方向を示している。また、図1及び図3において、第3方向Zを示す黒点付き白丸は、紙面の奥から手前に向かう方向が第3方向Z正方向であり、紙面の手前から奥に向かう方向が第3方向Zの負方向であることを示している。図2において、第2方向Yの示すX付き白丸は、紙面の手前から奥に向かう方向が第2方向Yの正方向であり、紙面の奥から手前に向かう方向が第2方向Yの負方向であることを示している。
【0015】
本実施形態において、電池10は、電池10の厚み方向、すなわち第3方向Zが鉛直方向と平行になるように配置されている。また、第3方向Zを示す矢印によって示される方向である第3方向Zの正方向は、鉛直方向の上方向となっている。一方、第3方向Zを示す矢印によって示される方向の反対方向である第3方向Zの負方向は、鉛直方向の下方向となっている。
【0016】
図1を用いて、電池10について説明する。本実施形態において、電池10は、リチウムイオン二次電池である。
【0017】
電池10は、正極リード130、負極リード230及び外装材400を備えている。
【0018】
正極リード130は、後述する図2に示す正極電極100に電気的に接続されている。正極リード130は、例えば、アルミニウム又はアルミニウム合金で形成されている。
【0019】
負極リード230は、後述する図2に示す負極電極200に電気的に接続されている。負極リード230は、例えば、銅若しくは銅合金又はそれらにニッケルメッキを施したもので形成されている。
【0020】
外装材400は、4辺を有する矩形形状を有している。本実施形態において、正極リード130は、外装材400のうち第1方向Xの負方向側に位置する辺に設けられており、負極リード230は、外装材400のうち第1方向Xの正方向側に位置する辺に設けられている。ただし、正極リード130及び負極リード230は、外装材400の共通の辺(例えば、第1方向Xの正方向側又は負方向側に位置する辺)に設けられていてもよい。
【0021】
外装材400は、後述する図2に示す積層体20を電解液(不図示)とともに収容している。
【0022】
外装材400は、例えば、熱融着性樹脂層及びバリア層を含み、例えば、熱融着性樹脂層及びバリア層を含む積層フィルムである。
【0023】
熱融着性樹脂層を形成する樹脂材料は、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン等である。熱融着性樹脂層の厚さは、例えば、20μm以上200μm以下である。
【0024】
バリア層は、例えば、電解液の漏出又は外部からの水分の侵入防止といったバリア性を有しており、例えば、ステンレス(SUS)箔、アルミニウム箔、アルミニウム合金箔、銅箔、チタン箔等の金属により形成されたバリア層である。バリア層の厚さは、例えば、10μm以上100μm以下である。
【0025】
積層フィルムの熱融着性樹脂層は、1層であってもよいし、又は2層以上であってもよい。同様にして、積層フィルムのバリア層は、1層であってもよいし、又は2層以上であってもよい。
【0026】
電解液は、例えば、非水電解液である。この非水電解液は、例えば、リチウム塩及びリチウム塩を溶解する溶媒を含んでいる。
【0027】
リチウム塩は、例えば、LiClO、LiBF、LiBF、LiPF、LiCFSO、LiCFCO、LiAsF、LiSbF、LiB10Cl10、LiAlCl、LiCl、LiBr、LiB(C、CFSOLi、CHSOLi、LiCSO、Li(CFSON、Li(CSON、低級脂肪酸カルボン酸リチウム等である。
【0028】
リチウム塩を溶解する溶媒は、例えば、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ブチレンカーボネート(BC)、ジメチルカーボネート(DMC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、メチルエチルカーボネート(MEC)、ビニレンカーボネート(VC)等のカーボネート類;γ-ブチロラクトン、γ-バレロラクトン等のラクトン類;トリメトキシメタン、1,2-ジメトキシエタン、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、2-メチルテトラヒドロフラン等のエーテル類;ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類;1,3-ジオキソラン、4-メチル-1,3-ジオキソラン等のオキソラン類;アセトニトリル、ニトロメタン、ホルムアミド、ジメチルホルムアミド等の含窒素溶媒;ギ酸メチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル等の有機酸エステル類;リン酸トリエステルやジグライム類;トリグライム類;スルホラン、メチルスルホラン等のスルホラン類;3-メチル-2-オキサゾリジノン等のオキサゾリジノン類;1,3-プロパンスルトン、1,4-ブタンスルトン、ナフタスルトン等のスルトン類等である。これらの物質は、単独で使用されてもよいし、又は組み合わせて使用されてもよい。
【0029】
図2を用いて、積層体20について説明する。
【0030】
積層体20は、複数の正極電極100、複数の負極電極200及びセパレータ300を有している。複数の正極電極100及び複数の負極電極200は、第3方向Zに交互に並んでいる。複数の正極電極100の総数は、例えば、16以上54以下にすることができる。また、複数の負極電極200の総数は、例えば、正極電極100の総数より1つだけ多くてもよい。セパレータ300は、第3方向Zに隣り合う正極電極100と負極電極200とを互いに隔てている。一例において、セパレータ300は、第2方向Yに沿って折り返しながら、隣り合う正極電極100と負極電極200との間を通過するように、つづら折りに延伸している。或いは、複数のセパレータ300の各々が隣り合う正極電極100及び負極電極200の間に位置していてもよい。なお、積層体20は、1つのみの正極電極100及び1つのみの負極電極200を有していてもよい。
【0031】
正極電極100の詳細を説明する。正極電極100は、正極集電体110、第1正極活物質層122及び第2正極活物質層124を有している。
【0032】
第1正極活物質層122は、正極集電体110の上面上に位置している。第2正極活物質層124は、正極集電体110の下面上に位置している。
【0033】
正極集電体110の第1方向Xの負方向側の端部は、図1に示した正極リード130に接続されている。
【0034】
正極集電体110は、例えば、アルミニウム、ステンレス鋼、ニッケル、チタン又はこれらの合金で形成されている。正極集電体110の形状は、例えば、箔、平板又はメッシュである。正極集電体110厚さは、例えば、1μm以上50μm以下である。
【0035】
第1正極活物質層122は、正極活物質と、バインダー樹脂と、導電助剤と、を含んでいる。第1正極活物質層122の詳細は以下のとおりである。第1正極活物質層122について説明する以下の詳細は、特に断らない限り、第2正極活物質層124についても同様である。
【0036】
正極活物質は、一般式LiNiCo1-y-z(0.80≦y≦0.93、Mは、Mn及びAlのうちの少なくとも1つの元素を含む金属元素である。)によって示される。組成比yが上記範囲にある場合、安価で重量当たりの容量を高くすることができ、正極活物質の結晶構造を安定させることができる。また、組成比yが上記範囲にある場合、組成比yが上記範囲より大きい場合と比較して、充電状態での熱安定性の低下を抑制することができる。当該一般式において、xは1≦x≦1.2であり、y及びzはy+z<1を満たす正の数である。マンガンの割合が大きくなると単一相の複合酸化物が合成されにくくなるため、1-y-z≦0.4とすることが望ましい。また、コバルトの割合が大きくなると高コストとなり容量も減少するため、z<y、z<1-y-zとすることが望ましい。高容量の電池を得るためには、y>1-y-z、y>zとすることが特に好ましい。正極活物質は、例えば、上記一般式で示される層状結晶構造を有するリチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物等のリチウムニッケル系複合酸化物である。
【0037】
第1正極活物質層122は、第1正極活物質層122の総重量100重量%に対して、例えば、90重量%以上99重量%以下の正極活物質を含んでいる。
【0038】
第1正極活物質層122及び第2正極活物質層124の合計の目付量は、例えば、25mg/cm以上50mg/cm以下である。
【0039】
第1正極活物質層122に含まれるバインダー樹脂は、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエーテルニトリル、ポリアクリロニトリル、ポリイミド、ポリアミド、セルロース、カルボキシメチルセルロース(CMC)、エチレン-酢酸ビニル共重合体、ポリ塩化ビニル、スチレン・ブタジエンゴム(SBR)、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、エチレン・プロピレンゴム、エチレン・プロピレン・ジエン共重合体、スチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体及びその水素添加物、スチレン・イソプレン・スチレンブロック共重合体及びその水素添加物等の熱可塑性高分子;ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、エチレン・テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、エチレン・クロロトリフルオロエチレン共重合体(ECTFE)、ポリフッ化ビニル(PVF)等のフッ素樹脂;ビニリデンフルオライド-ヘキサフルオロプロピレン系フッ素ゴム(VDF-HFP系フッ素ゴム)、ビニリデンフルオライド-ヘキサフルオロプロピレン-テトラフルオロエチレン系フッ素ゴム(VDF-HFP-TFE系フッ素ゴム)、ビニリデンフルオライド-ペンタフルオロプロピレン系フッ素ゴム(VDF-PFP系フッ素ゴム)、ビニリデンフルオライド-ペンタフルオロプロピレン-テトラフルオロエチレン系フッ素ゴム(VDF-PFP-TFE系フッ素ゴム)、ビニリデンフルオライド-パーフルオロメチルビニルエーテル-テトラフルオロエチレン系フッ素ゴム(VDF-PFMVE-TFE系フッ素ゴム)、ビニリデンフルオライド-クロロトリフルオロエチレン系フッ素ゴム(VDF-CTFE系フッ素ゴム)等のビニリデンフルオライド系フッ素ゴム;エポキシ樹脂等である。これらの中でも、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリイミド、スチレン・ブタジエンゴム(SBR)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリアクリロニトリル、ポリアミドであることがより好ましい。これらの好適なバインダー樹脂は、耐熱性に優れ、さらに電位窓が非常に広く正極電位及び負極電位双方に安定であり活物質層に使用が可能となる。これらのバインダー樹脂は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0040】
第1正極活物質層122に含まれるバインダー樹脂の量は、適宜決定することができる。第1正極活物質層122は、第1正極活物質層122の総重量100重量%に対して、例えば、0.1重量%以上10.0重量%以下のバインダー樹脂を含んでいる。
【0041】
第1正極活物質層122に含まれる導電助剤は、例えば、カーボンブラック、ケッチェンブラック、アセチレンブラック、天然黒鉛、人工黒鉛、カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、カーボンナノホーン等の炭素繊維等である。黒鉛は、例えば、鱗片状黒鉛又は球状黒鉛である。これらの物質は、単独で使用されてもよいし、又は組み合わせて使用されてもよい。
【0042】
第1正極活物質層122に含まれる導電助剤の量は、適宜決定することができる。第1正極活物質層122は、第1正極活物質層122の総重量100重量%に対して、例えば、0.1重量%以上8.0重量%以下の導電助剤を含んでいる。
【0043】
第1正極活物質層122は、スラリーのゲル化防止等の理由で正極活物質に含まれるアルカリ成分を中和するためのpH調整剤(例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、フタル酸、フマル酸)を適宜含んでいてもよい。
【0044】
第1正極活物質層122の長手方向の長さLは、後述するように所定の範囲内にある。第1正極活物質層122の長手方向の長さLが当該所定の範囲内にあることで、電池10の高容量及び高出力を実現することができる。
【0045】
第1正極活物質層122の短手方向の長さWは、70mm以上120mm以下である。
【0046】
第1正極活物質層122の厚さは、適宜決定することができる。第1正極活物質層122の厚さは、例えば、35μm以上65μm以下である。
【0047】
負極電極200の詳細を説明する。負極電極200は、負極集電体210、第1負極活物質層222及び第2負極活物質層224を有している。
【0048】
第1負極活物質層222は、負極集電体210の上面上に位置している。第2負極活物質層224は、負極集電体210の下面上に位置している。
【0049】
負極集電体210の第1方向Xの正方向側の端部は、図1に示した負極リード230に接続されている。
【0050】
負極集電体210は、例えば、銅、ステンレス鋼、ニッケル、チタン又はこれらの合金で形成されている。負極集電体210の形状は、例えば、箔、平板又はメッシュである。負極集電体210の第3方向Zにおける厚さ(第3方向Z)は、例えば、1μm以上50μm以下である。
【0051】
第1負極活物質層222は、負極活物質と、バインダー樹脂と、を含んでいる。第1負極活物質層222は、必要に応じて、導電助剤をさらに含んでいてもよい。第1負極活物質層222の詳細は以下のとおりである。第1負極活物質層222について説明する以下の詳細は、特に断らない限り、第2負極活物質層224についても同様である。
【0052】
負極活物質としては、以下に制限されることはないが、例えば、Si、Sn等の金属;TiO、Ti、TiO、SiO、SiO、SnO等の金属酸化物;LiTi12、LiMnN等のリチウムと遷移金属との複合酸化物;Li-Pb系合金、Li-Al系合金、Li;炭素粉末、グラファイト(天然黒鉛、人造黒鉛)、カーボンブラック、活性炭、カーボンファイバー、コークス、ソフトカーボン、ハードカーボン等の炭素材料等が好ましく挙げられる。このうち、リチウムと合金化する元素を用いることにより、従来の炭素系材料に比べて高いエネルギー密度を有する高容量及び優れた出力特性の電池を得ることが可能となる。これらの負極活物質は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。上記のリチウムと合金化する元素としては、以下に制限されることはないが、具体的には、Si、Ge、Sn、Pb、Al、In、Zn、H、Ca、Sr、Ba、Ru、Rh、Ir、Pd、Pt、Ag、Au、Cd、Hg、Ga、Tl、C、N、Sb、Bi、O、S、Se、Te、Cl等が挙げられる。
【0053】
第1負極活物質層222は、第1負極活物質層222の総重量100重量%に対して、例えば、90重量%以上99重量%以下の負極活物質を含んでいる。
【0054】
第1負極活物質層222及び第2負極活物質層224の合計の目付量は、例えば、12mg/cm以上28mg/cm以下である。
【0055】
スラリーを得るための溶媒として有機溶媒を用いた場合、第1負極活物質層222に含まれるバインダー樹脂は、例えば、第1正極活物質層122に含まれるバインダー樹脂で例示したバインダー樹脂にすることができる。また、スラリーを得るための溶媒として水を用いた場合、第1負極活物質層222に含まれるバインダー樹脂は、例えば、スチレン系高分子(スチレン-ブタジエンゴム、スチレン-酢酸ビニル共重合体、スチレン-アクリル共重合体等)、アクリロニトリル-ブタジエンゴム、メタクリル酸メチル-ブタジエンゴム、(メタ)アクリル系高分子(ポリエチルアクリレート、ポリエチルメタクリレート、ポリプロピルアクリレート、ポリメチルメタクリレート(メタクリル酸メチルゴム)、ポリプロピルメタクリレート、ポリイソプロピルアクリレート、ポリイソプロピルメタクリレート、ポリブチルアクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリヘキシルアクリレート、ポリヘキシルメタクリレート、ポリエチルヘキシルアクリレート、ポリエチルヘキシルメタクリレート、ポリラウリルアクリレート、ポリラウリルメタクリレート等)、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-プロピレン共重合体、ポリブタジエン、ブチルゴム、フッ素ゴム、ポリエチレンオキシド、ポリエピクロルヒドリン、ポリフォスファゼン、ポリアクリロニトリル、ポリスチレン、エチレン-プロピレン-ジエン共重合体、ポリビニルピリジン、クロロスルホン化ポリエチレン、ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂;ポリビニルアルコール(平均重合度は、好適には200~4000、より好適には、1000~3000、ケン化度は好適には80モル%以上、より好適には90モル%以上)及びその変性体(エチレン/酢酸ビニル=2/98~30/70モル比の共重合体の酢酸ビニル単位のうちの1~80モル%ケン化物、ポリビニルアルコールの1~50モル%部分アセタール化物等)、デンプン及びその変性体(酸化デンプン、リン酸エステル化デンプン、カチオン化デンプン等)、セルロース誘導体(カルボキシメチルセルロース(CMC)、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、及びこれらの塩等)、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸(塩)、ポリエチレングリコール、(メタ)アクリルアミド及び/又は(メタ)アクリル酸塩の共重合体[(メタ)アクリルアミド重合体、(メタ)アクリルアミド-(メタ)アクリル酸塩共重合体、(メタ)アクリル酸アルキル(炭素数1~4)エステル-(メタ)アクリル酸塩共重合体等]、スチレン-マレイン酸塩共重合体、ポリアクリルアミドのマンニッヒ変性体、ホルマリン縮合型樹脂(尿素-ホルマリン樹脂、メラミン-ホルマリン樹脂等)、ポリアミドポリアミン若しくはジアルキルアミン-エピクロルヒドリン共重合体、ポリエチレンイミン、カゼイン、大豆蛋白、合成蛋白、並びにマンナンガラクタン誘導体等の水溶性高分子等にすることができる。これらの水系バインダー樹脂は、エマルジョン形態にしてもよい。また、これらの水系バインダーは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0056】
第1負極活物質層222に含まれるバインダー樹脂の量は、適宜決定することができる。第1負極活物質層222は、第1負極活物質層222の総重量100重量%に対して、例えば、0.1重量%以上10.0重量%以下のバインダー樹脂を含んでいる。
【0057】
第1負極活物質層222の長手方向の長さは、第1正極活物質層122の長手方向の長さLに応じて適宜決定することができる。
【0058】
第1負極活物質層222の短手方向の長さは、第1正極活物質層122の短手方向の長さWに応じて適宜決定することができる。
【0059】
第1負極活物質層222の厚さは、適宜決定することができる。第1負極活物質層222厚さは、例えば、40μm以上75μm以下である。
【0060】
セパレータ300の詳細を説明する。
【0061】
セパレータ300は、正極電極100及び負極電極200を電気的に絶縁させ、イオン(例えば、リチウムイオン)を透過させる機能を有している。セパレータ300は、例えば、多孔性セパレータにすることができる。
【0062】
セパレータ300の形状は、正極電極100又は負極電極200の形状に応じて適宜決定することができ、例えば、矩形にすることができる。
【0063】
基材310は、ポリオレフィンを主成分として含む多孔性樹脂層を含んでいる。具体的には、多孔性樹脂層は、多孔性樹脂層の総重量100重量%に対して、50重量%以上、好ましくは70重量%以上、より好ましくは90重量%以上のポリオレフィンを含んでおり、多孔性樹脂層の総重量100重量%に対して100重量%のポリオレフィンを含んでいてもよい。多孔性樹脂層は、単層であってもよいし、又は二種以上の層であってもよい。ポリオレフィンとしては、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン等が挙げられる。
【0064】
セパレータ300の厚さ(第3方向Z)は、適宜決定することができ、例えば、8.0μm以上45.0μm以下にすることができる。
【実施例
【0065】
図4は、電池が16層の正極電極を有する場合における、正極活物質層の長手方向の長さと、電池の容量と、電池の出力と、の関係の一例を示すグラフである。図5は、電池が23層の正極電極を有する場合における、正極活物質層の長手方向の長さと、電池の容量と、電池の出力と、の関係の一例を示すグラフである。図6は、電池が31層の正極電極を有する場合における、正極活物質層の長手方向の長さと、電池の容量と、電池の出力と、の関係の一例を示すグラフである。図7は、電池が42層の正極電極を有する場合における、正極活物質層の長手方向の長さと、電池の容量と、電池の出力と、の関係の一例を示すグラフである。図8は、電池が50層の正極電極を有する場合における、正極活物質層の長手方向の長さと、電池の容量と、電池の出力と、の関係の一例を示すグラフである。図9は、電池が54層の正極電極を有する場合における、正極活物質層の長手方向の長さと、電池の容量と、電池の出力と、の関係の一例を示すグラフである。
【0066】
図4図9において、グラフの横軸は、正極活物質層の長手方向の長さ(単位:mm)を示している。グラフの左側の縦軸は、電池の容量(単位:Wh)を示している。グラフの右側の縦軸は、電池の出力(単位:W)を示している。
【0067】
図4図9において、以下のようにして電池を製造した。
【0068】
(正極活物質の作製)
硫酸ニッケル、硫酸コバルト及び硫酸マンガンを溶解した水溶液(1.0mol/L)にpH11.0となるように水酸化ナトリウム及びアンモニアを連続的に共有し、共沈法によりニッケルとコバルトとマンガンとのモル比が80:10:10で固溶してなる金属複合水酸化物を作製した。この金属複合酸化物と、水酸化リチウムと、を、Li以外の金属(Ni、Co、Mn)の合計のモル数と、Liのモル数と、の比が1:1となるように秤量した後、充分混合し、昇温速度5℃/minで昇温し、酸素雰囲気で700℃、2時間仮焼成した後、昇温速度3℃/minで昇温し、750℃で10時間本焼成し、室温まで冷却して、リチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物としてNMC複合酸化物を得た。
【0069】
(正極板の作製)
上記のようにして得られた正極活物質を97重量%と、導電助剤であるカーボンナノチューブ1.2重量%と、バインダー樹脂であるポリフッ化ビニリデン(PVdF)1.8重量%と、スラリー粘度調整溶媒であるN-メチル-2ピロリドン(NMP)を適量と、混合して、正極活物質スラリーを作製した。この正極活物質スラリーを正極集電体であるアルミニウム箔の両面に塗布し乾燥させた。その後、プレス処理を行い、正極板を、正極板の両面における正極活物質層の目付量が32.1mg/cmとなるように作製した。
【0070】
(負極板の作製)
負極活物質として、黒鉛粉末と、SiO粉末と、を用いた。これらの粉末と、バインダー樹脂であるスチレンブタジエンラバー(SBR)及びカルボキシメチルセルロース(CMC)と、を、黒鉛:SiO:SBR:CMC=94:3:2:1の割合となるように均一に混合し、溶媒であるNMPに添加して負極活物質スラリーを作製した。この負極活物質スラリーを負極集電体である銅箔の両面に塗布し乾燥させた。その後、プレス処理を行い、負極板を、負極板の負極活物質層の目付量が19.8mg/cmとなるように作製した。
【0071】
(電池の作製)
上記のように作製した正極板の一部を切り出して正極電極を得た。正極電極としては、図4図9の各グラフでプロットされているように、正極活物質層の長手方向が異なる12種類を用意した。これらの正極電極について、正極活物質層の短手方向の長さは、いずれも88mmとした。また、上記のように作製した負極板の一部を切り出して負極電極を得た。負極電極としては、上述した12種類の正極電極の各々に対して、負極活物質層の長手方向が正極活物質層の長手方向の102%となる12種類を用意した。これらの負極電極について、負極活物質層の短手方向の長さは、いずれも90mmとした。セパレータを介して所定の層数の正極電極及び所定の層数の負極電極を交互に積層することで積層体を作製した。図4図5図6図7図8及び図9において、正極電極の総数は、それぞれ、16、23、31、42、50及び54とした。図4図9のいずれにおいても、負極電極の総数は正極電極の総数よりも1つだけ多くした。この積層体を外装材であるラミネートフィルムに格納し、電解液を注入することで電池を作製した。
【0072】
図4図9において、電池10の容量は次のようにして測定した。まず、25℃で定電流-定電圧(CC-CV)の条件下で1/3Cから4.2Vの充電電圧に充電した。その後、定電流の条件下で、1/3Cで2.5Vまで放電して容量を測定した。
【0073】
図4図9において、電池10の出力は次のようにして測定した。まず、25℃で定電流-定電圧(CC-CV)の条件下で1/3Cから4.2Vの充電電圧に充電した。その後、定電流の条件下で、1Cで30分間放電して、充電深度50%に調整した。その後、1Cで10秒間放電した。充電深度50%に調整した後1Cで10秒間放電する直前の電圧をV1(単位:V)とする。1Cで10秒間放電した後の電圧をV2(単位:V)とする。電圧V1と電圧V2との差をΔV(単位:V1)とする。この差ΔVを放電した電流値で除して、直流抵抗DCR(単位:Ω)を算出した。(V1-3.0)/DCR=Iとして最大電流値(単位:A)を算出し、この最大電流値Iと電圧3.0Vの積を出力とした。
【0074】
図4図9から明らかなように、電池の容量は、正極活物質層の長手方向の長さに比例して高くなっている。また、その比例定数は、正極電極の数によらずに一定となっている。
【0075】
図4図9から明らかなように、電池の出力は、正極活物質層の長手方向の長さが400mm~600mmのいずれかにおいて極大値をとるように、正極活物質層の長手方向の長さが約200mm~1000mmの範囲において凹関数となっている。電池の出力の極大値と、電池の出力が極大値をとる正極活物質層の長手方向の長さとは、正極電極の数に依存して変動している。
【0076】
図4図9の各々のグラフにおいて、正極活物質層の長手方向の長さが300mm以上740mm以下における電池の出力は、電池の出力の極大値のおおよそ80%以上となっている。また、正極活物質層の長手方向の長さが390mm以上640mm以下における電池の出力は、電池の出力の極大値のおおよそ90%以上となっている。したがって、電池の高容量かつ高出力の観点からすると、正極活物質層の長手方向の長さは、300mm以上740mm以下、好ましくは390mm以上640mm以下にすることができる。
【0077】
図10は、積層体が16層、23層、31層、42層、50層及び54層の正極電極を有する場合における、正極活物質層の長手方向の長さと、電池の容量に対する出力の比と、の関係の一例を示すグラフである。
【0078】
図10において、グラフの横軸は、正極活物質層の長手方向の長さ(単位:mm)を示している。グラフの縦軸は、電池の容量(単位:Wh)に対する出力(単位:W)の比(単位:W/Wh)を示している。
【0079】
図10に示すように、正極電極の数が23以上54以下であるとき、正極活物質層の長手方向の長さが300mm以上740mm以下において、電池の容量に対する出力の比は、おおよそ、3W/Wh以上17W/Wh以下となる。電池の容量に対する出力の比が3W/Wh未満であるとき、電池の抵抗が高すぎるため、電池を車両用電池として用いる際に負荷特性に追従することができない。電池の抵抗の観点からは、正極電極の数は、23以上、好ましくは31以上にすることができる。また、電池の容量に対する出力の比が17W/Whより大きいとき、電池の面積当たりの容量が不足し得る。電池の面積当たりの容量の観点からは、正極電極の数は、54以下、好ましくは50以下にすることができる。
【0080】
図11は、積層体が16層、23層、31層、42層、50層及び54層の正極電極を有する場合における、正極活物質層の長手方向の長さと、電池のセル温度上昇と、の関係の一例を示すグラフである。
【0081】
図11において、グラフの横軸は、正極活物質層の長手方向の長さ(単位:mm)を示している。グラフの縦軸は、電池のセル温度上昇(単位:K)を示している。
【0082】
図11において、電池のセル温度上昇は次のようにして測定した。まず、25℃で定電流-定電圧(CC-CV)の条件下で1/3Cから4.2Vの充電電圧に充電した。その後、定電流の条件下で、6Cで2.5Vまで連続放電した際のセル最大温度を測定した。このセル最大温度と、充電後かつ連続放電前のセル温度と、の差をセル温度上昇とした。
【0083】
図11に示すように、正極電極の数が23以上54以下であるとき、正極活物質層の長手方向の長さが300mm以上740mm以下において、電池のセル温度上昇は、約230K以下となる。セル温度上昇が230Kを超えると、電池の発火リスクが急激に上昇する。電池の発火リスクを低減する観点からすると、正極電極100の数は23以上、好ましくは31以上にすることができる。
【0084】
以上、図面を参照して本発明の実施形態及び実施例について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
【0085】
この出願は、2021年2月10日に出願された日本出願特願2021-019627号を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。
【符号の説明】
【0086】
10 電池
20 積層体
100 正極電極
110 正極集電体
122 第1正極活物質層
124 第2正極活物質層
130 正極リード
200 負極電極
210 負極集電体
222 第1負極活物質層
224 第2負極活物質層
230 負極リード
300 セパレータ
310 基材
400 外装材
X 第1方向
Y 第2方向
Z 第3方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11