(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-19
(45)【発行日】2025-02-28
(54)【発明の名称】分解性担体を収容する容器
(51)【国際特許分類】
C12M 1/26 20060101AFI20250220BHJP
C12N 5/0786 20100101ALI20250220BHJP
C12N 5/0775 20100101ALI20250220BHJP
C12N 5/0783 20100101ALI20250220BHJP
C12N 5/0789 20100101ALI20250220BHJP
C12N 11/08 20200101ALN20250220BHJP
C12M 3/00 20060101ALN20250220BHJP
C12N 15/115 20100101ALN20250220BHJP
【FI】
C12M1/26
C12N5/0786
C12N5/0775
C12N5/0783
C12N5/0789
C12N11/08
C12M3/00 Z
C12N15/115 Z
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023060386
(22)【出願日】2023-04-03
(62)【分割の表示】P 2021538428の分割
【原出願日】2019-12-30
【審査請求日】2023-05-02
(32)【優先日】2018-12-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500149223
【氏名又は名称】サン-ゴバン パフォーマンス プラスティックス コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】Saint-Gobain Performance Plastics, Corporation
【住所又は居所原語表記】31500 Solon Road Solon, 44139 OH USA
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】キャンベル、ケイティー
(72)【発明者】
【氏名】ボゴーシアン、ナターシャ、アンナ
(72)【発明者】
【氏名】フェケーテ、ナタリー
(72)【発明者】
【氏名】ピテル、レイチェル、ゼット.
【審査官】松井 一泰
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2016/0178491(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0287512(US,A1)
【文献】国際公開第2004/058936(WO,A1)
【文献】特表2010-524494(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12M 1/00- 3/10
C12N 1/00- 7/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のタイプの細胞を培養する方法であって、
前記第1のタイプの細胞を含む容器を提供するステップであって、前記容器が外面および内面を有
し、前記内面がフルオロポリマーを含み、前記容器に分解性担体が収容されており、
前記分解性担体が
0.5μm~
1000μmの範囲の平均直径を有する複数の分解性微小担体
であり、各分解性微小担体が加水分解性ポリマーで形成された本体を含み、前記本体が、表面と、前記本体の前記表面に結合された複数の細胞捕捉部分と、を有するか、または
前記分解性担体が前記容器の前記内面
に隣接して配置されたコーティングであり、前記コーティングが、加水分解性ポリマーで形成された本体を含み、前記本体が、表面と、前記本体の前記表面に結合された複数の細胞捕捉部分と、を有し、
前記細胞捕捉部分の各々が、第1のタイプの細胞と選択的に
結合可能であり、前記第1のタイプの細胞が前記細胞捕捉部分を介して前記分解性担体に選択的に結合され、
前記加水分解性ポリマーが、デンプン、ポリガラクツロン酸、ポリ(乳酸-co-グリコール酸)(PLGA)、ポリ乳酸(PLA)、およびポリカプロラクトンから選択される1つまたは複数のポリマーである、
容器を提供するステップと、
前記第1のタイプの前記細胞が前記細胞捕捉部分を介して前記分解性担体に選択的に結合するように、前記容器に収容された第1の細胞培養培地中で、前記第1のタイプの前記細胞と、前記分解性担体と、を混合するステップと、
前記容器内の前記分解性担体を保持している間に前記第1の細胞培養培地を前記容器から除去するステップと、
第2の細胞培養培地を前記容器に添加するステップと、
加水分解性ポリマーの前記本体の加水分解によって前記分解性担体を分解するステップであって、前記分解性担体の前記分解はそこから第1のタイプの前記細胞を放出する前記分解性担体を分解するステップと、を含む方法。
【請求項2】
前記分解性担体が、
0.5μm~
1000μmの範囲の平均直径を有する複数の分解性微小担体
であり、各分解性微小担体が加水分解性ポリマーで形成された本体を含み、前記本体が、表面と、前記本体の前記表面に結合された複数の細胞捕捉部分と、を含む、請求項1に記載の
方法。
【請求項3】
前記分解性担体が、前記容器の前記内面
に隣接して配置されたコーティングであり、前記コーティングが、加水分解性ポリマーで形成された本体を含み、前記本体が、表面と、前記本体の前記表面に結合された複数の細胞捕捉部分と、を有する、請求項1に記載の
方法。
【請求項4】
前記細胞捕捉部分の各々が1つまたは複数のアプタマーを含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の
方法。
【請求項5】
前記細胞が、血液細胞または免疫細胞である、請求項1から4のいずれか一項に記載の
方法。
【請求項6】
前記細胞が、単球、幹細胞もしくは前駆細胞
、T細胞
、内皮前駆細胞またはナチュラルキラー細胞である、請求項5に記載の
方法。
【請求項7】
前記
分解性担体が、6未満のpHまたは8を超えるpHで水中で分解
される、請求項1から6のいずれか一項に記載の
方法。
【請求項8】
前記
分解性担体が加水分解触媒
と接触すると水中で分解
される、請求項1から6のいずれか一項に記載の
方法。
【請求項9】
前記
分解性担体が、酵素、または酵素およびキレート剤と接触すると水中で分解
される、請求項1から6のいずれか一項に記載の
方法。
【請求項10】
前記
分解性担体が、40℃を超える温度にさらされると水中で分解
される、請求項1から6のいずれか一項に記載の
方法。
【請求項11】
前記フルオロポリマーが、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、パーフルオロアルコキシ(PFA)、エチレンテトラフルオロエチレン(ETFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、エチレンクロロトリフルオロエチレン(ECTFE)、フッ素化エチレンプロピレン(FEP)、エチレンフッ素化エチレンプロピレン(EFEP)、パーフルオロポリエーテル(PFPE)、変性ポリテトラフルオロエチレン(TFM)、ポリフッ化ビニル(PVF)、またはそれらの任意の混合物である、請求項1から10のいずれか一項に記載の
方法。
【請求項12】
前記提供された容器がその中に収容されているオフターゲット剤を有し、前記オフターゲット剤は、前記第1のタイプ以外の第2のタイプの第2の複数の細胞であり、
10%未満の前記オフターゲット剤が前記分解性担体に結合している、請求項1から11のいずれか一項に記載の
方法。
【請求項13】
容器と、
前記分解性担体と
水性媒体とを混合するように構成されたロッカ
と、前記分解性担体を前記水性媒体から分離するように構成された遠心分離機
と、
前記容器の出口と流体連通し、前記分解性担体を前記水性媒体から分離するように構成されたフィルタ
と、
を備えた細胞単離システム
を使用して実施される請求項1から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記
分解性担体が複数の分解性微小担体
であり、前記第1の
細胞培養培地を除去するステップが、遠心分離機で前記微小担体を沈降させるステップと、前記容器から前記第1の
細胞培養培地をデカントするステップとを含む、または前記微小担体を保持するように構成されたフィルタを通して前記容器から前記第1の
細胞培養培地を除去するステップを含む、請求項
1、2、および4から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記
分解性担体が、前記容器の前記内面に隣接して配置された分解性コーティング
であり、前記第1の
細胞培養培地を除去するステップが、前記容器から前記第1の
細胞培養培地をデカントするステップを含む、請求項
1、および3から14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記
提供された容器は第2のタイプの第2の複数の細胞を収容し、
第1の
細胞培養培地を除去した後の前記容器内の前記細胞の少なくとも80%が前記第1のタイプの細胞である、請求項
1から15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記
分解性担体を分解するステップが、前記
分解性担体を6未満または8を超えるpHに供するステップ、前記
分解性担体を加水分解触媒
と接触させるステップ、前記
分解性担体を酵素および場合によりキレート剤と接触させるステップ、または前記
分解性担体を40℃を超える温度に曝露するステップを含む、請求項
1から16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記
分解性担体を分解するステップが前記
分解性担体を少なくとも部分的に分解するステップを含む、請求項
1から17のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2018年12月31日に出願された米国仮特許出願第62/786913
号の優先権の利益を主張し、その全体を参照により本明細書に組み込む。
【0002】
本開示は、一般に、分解性担体を収容する容器(バッグなど)に関する。より詳細には
、本開示は、フルオロポリマーを含み、生物学的薬剤捕捉部分を含む分解性担体を収容す
るバッグなどの容器、そのようなバッグを備えた細胞単離システム、およびそのようなバ
ッグを使用して生物学的薬剤を培養する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
細胞培養および細胞単離は、多くの用途において重要なプロセスである。例えば、治療
用途(例えば、免疫療法、再生医療など)で使用するための特定の細胞は、典型的には、
体外で単離され、培養される。例えば、前駆細胞および間葉系幹細胞などの細胞、ならび
に単球および他の免疫細胞は、比較的低濃度で血液中に存在し、したがって、典型的には
、血液から単離され、体外で培養される。同様に、神経細胞、心筋細胞、上皮細胞、およ
び再生医療のための他の細胞(例えば、骨修復、皮膚修復、膵島再生などである)を体外
で培養することができる。
【0004】
フルオロポリマーバッグは、細胞培養に一般的に使用される。そのようなバッグは、典
型的には、安価で、使い捨て可能で、携帯可能であり、使いやすい。従来、細胞および供
給培地は培養バッグ内で混合される。栄養素が消費され、細胞廃棄物が蓄積すると、供給
培地を除去し、補充しなければならない。細胞はバッグ内に懸濁されたままであり得るの
で、所望の細胞を枯渇培地と共に除去することができる。
【0005】
1つの従来の細胞単離プロセスは、所望の細胞を固体支持体に選択的に固定することを
含む。例えば、細胞媒介性免疫において中心的な役割を果たすT細胞は、細胞表面上のT
細胞受容体(TCR)の存在によって他のリンパ球と区別することができる。T細胞受容
体に結合することができる結合タンパク質を有する固体支持体は、細胞培養物内のT細胞
を選択的に捕捉するが、望ましくない細胞は懸濁したままである。しかしながら、捕捉さ
れた細胞を放出することは、例えば、アンカータンパク質を切断することによって、単離
された細胞を望ましくないように変化させる可能性がある。
【0006】
したがって、所望の細胞の保持の改善を促進する細胞培養および単離物品が依然として
必要とされている。
【発明の概要】
【0007】
一態様では、本開示は、外面および内面を有する(例えば、バッグの形態の)容器であ
って、内面はフルオロポリマーを含み、容器には分解性担体が収容されており、担体は、
複数の生物学的薬剤捕捉部分を含む、容器を提供する。
【0008】
別の態様では、本開示は、生物学的薬剤を培養するための方法であって、本明細書に記
載の容器であって、生物学的薬剤を収容している容器を提供するステップと、容器に収容
された第1の水性媒体中で、生物学的薬剤と担体とを混合するステップと、容器から第1
の水性媒体を除去するステップと、容器に第2の水性媒体を添加するステップと、担体を
分解させるステップと、を含む方法を提供する。
【0009】
本発明の他の態様は、本明細書の開示内容を考慮して、当業者には明らかになるであろ
う。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本開示の一実施形態に係るバッグの概略上面図(上)および概略断面図(下)である。
【0011】
【
図2】本開示の特定の実施形態に係るバッグの概略上面図である。
【0012】
【
図3】本開示の一実施形態に係るバッグの概略断面図である。
【0013】
【
図4】本開示の一実施形態に係るバッグの概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本開示は、フルオロポリマーを含む内面を有し、生物学的薬剤捕捉部分を含む分解性担
体を収容する容器(例えば、バッグ)に関する。本開示は、所望の細胞を捕捉し、容器内
の懸濁液から物理的に分離することができ、担体を分解することによって細胞機能に悪影
響を及ぼすことなくさらに再懸濁することができることを実証する。
【0015】
本開示の容器は、いくつかの形態で提供することができる。1つの特に便利な形態は、
例えば、本明細書に記載のフルオロポリマー材料の1つまたは複数のシートから形成され
たバッグである。当業者は、細胞培養で使用されるものなどのバッグ構造に精通しており
、本明細書の説明に基づいて本開示のバッグおよび方法で使用するために従来のバッグ構
造を適合させることができる。当然のことながら、当業者は、本開示の容器を多数の他の
形態、例えばフラスコ、チューブ、皿で提供できることを理解するであろう。
【0016】
したがって、本開示の一態様は、例えば外面および内面を有するバッグの形態の容器で
あり、内面はフルオロポリマーを含む。そのようなバッグの一実施形態が、
図1の概略上
面図(上)および概略断面図(下)に示されている。
図1のバッグ100は、外面112
および内面114を有するバッグ壁110を含み、バッグにまたはバッグから媒体(例え
ば、それぞれ供給培地または廃棄培地)を追加または除去するためにバッグの両端に位置
するポート130および140をさらに含む。ポートの数および位置は特に限定されず、
したがって、例えば使用または製造の便宜のために配置することができることを当業者は
理解するであろう。バッグ100は、区画120を形成するためにそれらの縁部で(例え
ば、レーザ溶接、コロナ放電、放射、熱または溶融積層、エッチング、プラズマ処理、湿
潤、接着剤、またはそれらの組み合わせによって)一緒に2つのフルオロポリマー含有シ
ート(例えば、その内側表面にフッ素化エチレンプロピレンシートの層を有する2つのシ
ート)を結合する製品とすることができる。ポート130および140は、密閉区画12
0を提供するために密閉可能であり得る。
【0017】
容器の壁は、その組成が均一であってもよく、あるいは2つまたはそれ以上の異なるド
メイン(例えば、2つまたはそれ以上の層)を含んでもよい。例えば、2つのフルオロポ
リマーシートを互いに接合し、次いで接合されたシートをコーティングすることにより、
内面114とは組成が異なる外面112を提供することができる。同様に、2つの多層シ
ートを互いに接合することにより、内面114とは組成が異なる外面112を提供するこ
とができる。多層シートは、フルオロポリマー材料と非フッ素化ポリマー材料の両方から
形成することができる。そのような場合、多層シートのうちの1つまたは複数の内面にフ
ルオロポリマー層を設けることができる。容器の厚さ、区画の容積、ならびに容器および
/または区画の形状は特に限定されず、使用または製造の便宜のために、および/または
特定の用途に適するように選択することができる。例えば、容器の壁の厚さは、0.00
03インチ~0.2インチの範囲内とすることができ、区画の容積は、100mL~10
0Lの範囲内とすることができる。
【0018】
図2は、本開示のバッグおよび方法での使用に適した培養バッグの構成のいくつかの例
示的な実施形態を示す図である。バッグ200aは、単一のポート230aのみを有し、
区画220aへのアクセスを提供する。バッグ200bは、システムを通るより長い経路
長を提供することができる、いわゆる「蛇行」構成にある。ポート230bおよび240
bは、バッグを形成するシートの適切な溶接によって形成された蛇行形状区画220bに
よって形成された蛇行経路によって接続されている。また、バッグ200cは非矩形形状
を有し、ポート220cとポート230cとの間に対応する非矩形区画240cを有する
。
【0019】
容器の壁の1つまたは複数は多孔質であってもよく、例えば、細胞培養物中で生成およ
び消費されるガス(例えば、O2、CO2)に対して透過性であるが、液体(例えば、水
)に対して不透過性であってもよい。これは、バッグ内の細胞の呼吸を可能にするために
、容器壁を横切るガスの大気との受動的交換を可能にすることができる。
【0020】
本開示の容器は、望ましくは、容器内の流体の汚染が実質的にないように形成される。
したがって、容器の内面は、有機物を流体に浸出させない材料から形成されることが望ま
しい。例えば、本明細書で他の様式で記載される特定の実施形態では、容器の壁の内面は
、0.1mg/cm2未満(例えば、0.05mg/cm2未満、または0.05mg/
cm2未満)の水中全有機体炭素(TOC)を有するポリマー(例えば、フッ素化エチレ
ンプロピレンなどのフルオロポリマー)から形成される。そのような容器は、例えば、米
国特許出願公開第2016/0178490号および第2016/0178491号に記
載されており、これらの各々は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。当業者
は、本明細書の記載に基づいて、本開示の容器および方法で使用するためにそのような容
器を適合させることができる。特に、本開示の容器は、その内面に反応性官能基を有する
必要はないが、場合によっては、例えば分解性担体が分解性コーティングである場合、以
下に記載されるように、反応性官能基を使用して分解性担体を容器の内面に共有結合させ
ることができる。
【0021】
容器は分解性担体を含有し、担体は複数の生物学的薬剤捕捉部分を含む。本明細書で使
用される場合、生物学的薬剤捕捉部分は、生物学的薬剤が選択的に結合することができる
材料である。生物学的薬剤とそれぞれの捕捉部分との間の会合は、(例えば、遠心分離ま
たは濾過の間中)生物学的薬剤を担体上に保持するのに十分であり、共有結合性であって
も非共有結合性であってもよい。本明細書で他の様式で記載される特定の実施形態では、
生物学的薬剤捕捉部分は、1つまたは複数のアプタマーを含む。特定のこのような実施形
態では、1つまたは複数のアプタマーは、ペプチド、ポリペプチド、オリゴヌクレオチド
、およびポリヌクレオチド(すなわち、DNAおよびRNA)から選択される。例えば、
本明細書に別途記載される特定の実施形態では、生物学的薬剤捕捉部分は、ランダムな合
成的に生成された配列プールから選択されるオリゴヌクレオチドアプタマーを含む。
【0022】
本明細書で他の様式で記載される特定の実施形態では、生物学的薬剤捕捉部分は、生物
学的薬剤が選択的に会合することができる少なくとも2つの部位を有するDNAアプタマ
ーを含む。例えば、特定のこのような実施形態では、生物学的薬剤に選択的なヌクレオチ
ド部分配列の少なくとも5個、または少なくとも10個、または少なくとも25個、また
は少なくとも50個、または少なくとも75個、または少なくとも100個の実例がDN
Aアプタマー配列中に存在する。
【0023】
本明細書で他の様式で記載される一定の実施形態では、生物学的薬剤捕捉部分は、ポリ
ペプチドに結合した複数のアプタマー(例えば、オリゴヌクレオチドアプタマー)を含む
。例えば、本明細書で他の様式で記載される特定の実施形態では、生物学的薬剤捕捉部分
は、アビジンタンパク質に結合した複数のビオチン化アプタマーを含む。一定のこのよう
な実施形態では、ビオチン化アプタマーがオリゴヌクレオチドまたはポリペプチドを含む
。特定のこのような実施形態では、生物学的薬剤捕捉部分は、少なくとも10個、または
少なくとも25個、または少なくとも50個、または少なくとも75個、または少なくと
も100個、または少なくとも200個、または少なくとも300個、または少なくとも
400個、または少なくとも500個、または少なくとも600個、または少なくとも7
00個、または少なくとも800個、または少なくとも900個、または少なくとも10
00個のアプタマー(例えば、アビジンタンパク質に結合したビオチン化アプタマー)を
含む。特定のこのような実施形態では、生物学的薬剤捕捉部分は、10~1000、また
は10~900、または10~800、または10~700、または10~600、また
は10~500、または10~400、または10~300、または10~200、また
は25~1000、または50~1000、または100~1000、または200~1
000、または300~1000、または400~1000、または500~1000、
または600~1000、または700~1000、または800~1000、または1
0~400、または100~500、または200~600、または300~700、ま
たは400~800、または500~900、または600~1000の範囲内のいくつ
かのアプタマー(例えば、アビジンタンパク質に結合したビオチン化アプタマー)を含む
。
【0024】
本明細書で他の様式で記載される特定の実施形態では、生物学的薬剤は、無機種および
有機小分子から選択される。例えば、特定のそのような実施形態では、生物学的薬剤は金
属イオンである。他のこのような実施形態では、生物学的薬剤は、ビタミン、ホルモン、
またはペプチドである。本明細書で他の様式で記載される特定の実施形態では、生物学的
薬剤は、例えば、タンパク質、酵素、または核酸(すなわち、DNAまたはRNA)など
の高分子である。本明細書で他の様式で記載される特定の実施形態では、生物学的薬剤は
、例えば、細胞小器官(例えば、核、リボソーム、ミトコンドリア、液胞、粗面小胞体、
平滑小胞体、ゴルジ体、リソソーム、中心体、小胞、膜)または細胞断片などの複雑な生
物系である。本明細書で他の様式で記載される特定の実施形態では、生物学的薬剤は細菌
または細胞群である。
【0025】
本明細書で他の様式で記載される特定の実施形態では、生物学的薬剤は細胞(例えば、
正常細胞または疾患細胞)である。例えば、本明細書で他の様式で記載される特定の実施
形態では、細胞は、血球、幹細胞、または免疫細胞である。特定のこのような実施形態で
は、細胞は白血球である。特定のこのような実施形態では、細胞は単球である。特定のこ
のような実施形態では、細胞は、例えば、間葉系幹細胞または前駆細胞などの幹細胞であ
る。本明細書で他の様式で記載される特定の実施形態では、細胞は、T細胞(例えば、制
御性T細胞)、内皮前駆細胞またはナチュラルキラー細胞である。当業者は、生物学的薬
剤が、特定の実施形態では、細胞培養物(すなわち、ポジティブ選択)中での保持のため
に捕捉可能な望ましい生物学的薬剤であり得、あるいは、他の実施形態では、細胞培養物
(すなわち、ネガティブ選択)からの除去のために捕捉可能な望ましくない生物学的薬剤
であり得ることを理解するであろう。
【0026】
例えば、本明細書で他の様式で記載される特定の実施形態では、生物学的薬剤捕捉部分
は、内皮前駆細胞のCD31マーカーと選択的に会合することができる1つまたは複数の
アプタマーを含む。別の例では、本明細書で他の様式で記載される特定の実施形態では、
生物学的薬剤捕捉部分は、制御性T細胞(例えば、CD4、CD25、CD27)の1つ
または複数のマーカーと選択的に会合することができる1つまたは複数のアプタマーを含
む。さらに別の例では、本明細書に別途記載される特定の実施形態では、生物学的薬剤捕
捉部分は、間葉系幹細胞(例えば、CD73、CD90、CD105)の1つまたは複数
のマーカーと選択的に会合することができる1つまたは複数のアプタマーを含む。一定の
このような実施形態では、生物学的薬剤捕捉部分は、ポリペプチドに結合した複数のアプ
タマー(例えば、オリゴヌクレオチドアプタマー)を含む。
【0027】
本明細書で使用される場合、分解性担体は、分解されていない状態で、生物学的薬剤捕
捉部分が(例えば、共有結合性リンカーを介して)付着され得る表面を有する材料である
。担体は、例えば、水性媒体の存在下で、生物学的薬剤を培養または単離するのに十分な
少なくとも一定期間、または無期限にさえ、未分解状態のままであり得る。担体は、断片
に分解され得るか、または部分的もしくは完全に溶解され得、分解された状態で生物学的
薬剤から分離され得る。
【0028】
本明細書で他の様式で記載される特定の実施形態では、生物学的薬剤捕捉部分は、分解
性担体の表面の官能基に共有結合している。例えば、分解性担体の表面は、カルボキシル
基、ヒドロキシル基、アルデヒド基、カルボニル基、アミン基、イミン基、アミド基、エ
ステル基、無水物基、チオール基、ジスルフィド、フェノール、グアニジン、チオエーテ
ル、インドール、イミダゾールまたはジアゾニウム基で官能化されていてもよい。当業者
は、これらの「官能基」が、生物学的薬剤捕捉部分が共有結合している基として特定され
ることを理解するであろう。例えば、「アミン」官能基をカルボキシを有する生物学的薬
剤捕捉部分に結合させて、生物学的薬剤捕捉部分にカルボキサミド結合を形成することが
できる。
【0029】
特定のこのような実施形態では、生物学的薬剤捕捉部分は、タンパク質に結合した複数
のアプタマー(例えば、オリゴヌクレオチドアプタマー)を含み、タンパク質は、分解性
担体の表面のカルボキシル基にペプチド結合を介して結合している。他のこのような実施
形態では、生物学的薬剤捕捉部分は、分解性担体の表面のアルデヒド基にイミン結合を介
して結合したアミン末端アプタマー(例えば、DNAアプタマー)を含む。
【0030】
分解性担体表面の単位当たりの生物学的薬剤捕捉部分の数(すなわち、捕捉部分密度)
は特に限定されないが、当業者は、捕捉部分密度が、典型的には、分解性担体表面の単位
当たりに捕捉され得る生物学的薬剤(例えば、細胞)の数(すなわち、捕捉された薬剤密
度)よりも大きくなり得ることを理解するであろう。したがって、特定の実施形態では、
分解性担体の捕捉部分密度は、分解性担体の捕捉剤密度よりも大きい。
【0031】
本明細書で他の様式で記載される特定の実施形態では、分解性担体は、複数の分解性微
小担体(例えば、ポリマー微小担体)を含み、微小担体は、生物学的薬剤捕捉部分が付着
され得る表面を有する。例えば、
図3のバッグ300は、区画320を取り囲むバッグ壁
310(外面312および内面314を有する)と、複数の分解性微小担体350を収容
する区画320とを含む。特定の実施形態では、微小担体の平均サイズは、0.5μm~
1000μm、または0.5μm~900μm、または0.5μm~800μm、または
0.5μm~700μm、または0.5μm~600μm、または0.5μm~500μ
m、または0.5μm~400μm、または0.5μm~300μm、または0.5μm
~250μm、または1μm~1000μm、または5μm~1000μm、または10
μm~1000μm、または25μm~1000μm、または50μm~1000μm、
または100μm~1000μm、200μm~1000μm、または300μm~10
00μm、または400μm~1000μm、または500μm~1000μm、または
10μm~750μm、または10μm~500μm、または20μm~400μm、ま
たは50μm~300μmの範囲内である。
【0032】
本明細書で他の様式で記載される特定の実施形態では、分解性担体は、容器の内面の少
なくとも一部(例えば、少なくとも大部分、またはさらには全て)に隣接して配置された
分解性コーティング(例えば、ポリマーコーティング)を含む。特定のこのような実施形
態では、分解性コーティングは、容器の内面に共有結合している。例えば、
図4のバッグ
400は、密閉区画420を取り囲むバッグ壁410(外面412および内面414を有
する)と、内面414に隣接して(例えば、共有結合している)配置された分解性コーテ
ィング460を含む密閉区画420とを含む。特定のこのような実施形態では、分解性コ
ーティングは、10nm(例えば、約単層)~10mm、または10nm~1mm、また
は10nm~500μm、または10nm~100μm、または10nm 1μm、また
は1μm~10mm、または100μm~10mm、または500μm~10mm、また
は1mm~10mmの範囲内の厚さを有する。特定のこのような実施形態では、分解性コ
ーティングは、容器の内面の官能基(例えば、内面を含むフルオロポリマーの官能基)に
共有結合している。ある特定の実施形態において、官能基は、カルボキシル基、ヒドロキ
シル基、アルデヒド基、カルボニル基、アミン基、イミン基、アミド基、エステル基、無
水物基、チオール基、ジスルフィド、フェノール、グアニジン、チオエーテル、インドー
ル、イミダゾールまたはジアゾニウム基である。
【0033】
本明細書で他の様式で記載される特定の実施形態では、分解性担体は切断性ポリマーを
含む。例えば、特定のそのような実施形態では、分解性担体は、例えば多糖などの酵素切
断性ポリマーを含む。特定のこのような実施形態では、多糖はデンプン(例えば、α-ア
ミラーゼによって切断可能である)である。他のこのような実施形態では、多糖はポリガ
ラクツロン酸(例えば、ペクチナーゼによって切断可能である)である。別の例では、特
定のそのような実施形態では、分解性担体は、例えば、ポリ(乳酸-co-グリコール酸
)(PLGA)、ポリ乳酸(PLA)、またはポリカプロラクトンなどの加水分解性ポリ
マーを含む。特定のこのような実施形態では、ポリマー加水分解は、6未満のpHまたは
8を超えるpHで加速される。特定のこのような実施形態では、ポリマー加水分解は、例
えばアミンなどの加水分解触媒の存在下で加速される。
【0034】
本明細書で他の様式で記載される特定の実施形態では、分解性担体は、例えば、水性媒
体中で分解されないままであり得る担体を提供するのに十分な数の架橋を有する架橋ポリ
マーを含む。特定のこのような実施形態では、分解性担体は、臨界レベル未満の酵素を有
する水性媒体中で分解されないままであり得る担体を提供するのに十分な数の架橋(例え
ば、グリセロールジエーテル架橋)を有する酵素切断性ポリマー(例えば、多糖)を含む
。他のこのような実施形態では、分解性担体は、臨界レベル未満の加水分解触媒を有する
水性媒体中、または臨界範囲外のpHを有する水性媒体中で未分解のままであり得る担体
を提供するのに十分な数の架橋を有する加水分解性ポリマー(例えば、PLGA、PLA
、またはポリカプロラクトン)を含む。別の例では、本明細書で他の様式で記載される特
定の実施形態では、分解性担体は、他の様式で可溶性のポリマーの不溶性架橋ネットワー
クを含む。例えば、特定のこのような実施形態では、チオエーテル架橋ポリマーネットワ
ーク(例えば、ヒドロゲル)を含む分解性担体は、臨界レベル未満のグルタチオンを有す
る水性媒体中で分解されないままであり得る。
【0035】
特定の実施形態では、分解性担体の架橋ポリマーは、ポリマーの酵素切断を防止する架
橋剤(例えば、多糖)を含む。例えば、特定のこのような実施形態では、Ca2+架橋多
糖(例えば、ポリガラクツロン酸)を含む分解性担体は、臨界レベル未満のCa2+キレ
ート剤(例えば、EDTA)を有する水性媒体中で、すなわち、媒体が臨界レベルを超え
る切断酵素(例えば、ペクチナーゼ)を含む場合でも、分解されないままであり得る。
【0036】
本明細書で他の様式で記載される特定の実施形態では、分解性担体は、(例えば、45
0nm未満、または420nm未満の波長を有する放射線を用いた)照射時に分解性であ
るか、または分解性担体の分解が加速される。本明細書で他の様式で記載される特定の実
施形態では、分解性担体は、高温(例えば、37℃超、または40℃超)に曝露されると
分解性であるか、または分解性担体の分解が加速される。
【0037】
本明細書で他の様式で記載される特定の実施形態では、容器の内面は、ポリテトラフル
オロエチレン(PTFE)、パーフルオロアルコキシ(PFA)、エチレンテトラフルオ
ロエチレン(ETFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリクロロトリフルオロ
エチレン(PCTFE)、エチレンクロロトリフルオロエチレン(ECTFE)、フッ素
化エチレンプロピレン(FEP)、エチレンフッ素化エチレンプロピレン(EFEP)、
パーフルオロポリエーテル(PFPE)、変性ポリテトラフルオロエチレン(TFM)、
ポリフッ化ビニル(PVF)、またはそれらの任意の混合物から選択されるフルオロポリ
マーを含む。例えば、本明細書で他の様式で記載される特定の実施形態では、容器の内面
はフッ素化エチレンプロピレンを含む。本明細書で他の様式で記載される特定の実施形態
では、容器の内面は、フルオロポリマー(例えば、フッ素化エチレンプロピレン)から本
質的になるか、またはフルオロポリマーである。本明細書で他の様式で記載される特定の
実施形態では、バッグの内面を含む材料は、少なくとも0.0003インチ、少なくとも
0.0004インチ、少なくとも0.0005インチ、少なくとも0.0006インチ、
少なくとも0.001インチ、または少なくとも0.10インチの厚さを有する。例えば
、特定のそのような実施形態では、容器の内面の材料は、0.0003インチ~0.2イ
ンチ、または0.0003インチ~0.1インチ、または0.0005インチ~0.08
インチ、または0.001インチ~0.07インチ、または0.001インチ~0.05
インチ、または0.001インチ~0.03インチ、または0.001インチ~0.01
8インチ、または0.001インチ~0.016インチ、または0.001インチ~0.
014インチ、または0.001インチ~0.012インチの範囲内の厚さを有する。
【0038】
本明細書で他の様式で記載される特定の実施形態では、容器の壁を構成する材料は、そ
の内面にフルオロポリマーの層を有し、その外面に別のポリマー材料(フルオロポリマー
または他の様式で)の層を有する多層材料である。本明細書で他の様式で記載される特定
の実施形態では、容器の外面の材料は、少なくとも0.0005インチ、または少なくと
も0.001インチ、または少なくとも0.005インチ、または少なくとも0.007
5インチ、または少なくとも0.01インチ、または少なくとも0.02インチ、または
少なくとも0.03インチ、または少なくとも0.04インチ、または少なくとも0.0
5インチ、または少なくとも0.06インチ、または少なくとも0.07インチ、または
少なくとも0.08インチ、または少なくとも0.09インチ、または少なくとも0.1
インチ、または少なくとも0.11インチの厚さを有する。例えば、特定のそのような実
施形態では、容器の外面の材料は、0.0005インチ~0.2インチ、または0.00
5インチ~0.18インチ、または0.01インチ~0.16インチ、または0.01イ
ンチ~0.14インチ、または0.01インチ~0.12インチ、または0.06インチ
~0.13インチ、または0.09インチ~0.126インチの範囲内の厚さを有する。
【0039】
特定の実施形態では、分解性担体は、複数の微小担体を含み、容器の内面は、本明細書
に記載の複数の生物学的薬剤捕捉部分をさらに含む。本明細書で他の様式で記載される特
定の実施形態では、容器の内面に結合した生物学的薬剤捕捉部分は、分解性担体の生物学
的薬剤捕捉部分と同じである。他の実施形態では、容器の内面に結合した生物学的薬剤捕
捉部分は、分解性担体の生物学的薬剤捕捉部分が選択的である薬剤以外の生物学的薬剤に
対して選択的である。有利には、本発明者らは、そのような容器が生物学的薬剤の捕捉効
率を改善することができ、または2つの異なる生物学的薬剤の単離および分離を容易にす
ることができることを特定した。
【0040】
本明細書で他の様式で記載される特定の実施形態では、容器の外面は、フルオロポリマ
ー以外の材料を含む。例えば、特定のそのような実施形態では、容器の外面の材料は、熱
可塑性ポリマー、熱可塑性エラストマー、シリコン、ゴム、またはそれらの任意の組み合
わせを含む。あるいは、容器の外面は、本明細書で他の様式で記載される特定の実施形態
では、例えば内面のフルオロポリマーなどのフルオロポリマーを含むことができる。特定
のこのような実施形態では、内面および外面の材料(すなわち、容器壁)は、フルオロポ
リマー(例えば、フッ素化エチレンプロピレン)から本質的になるか、またはフルオロポ
リマーである。
【0041】
本明細書で他の様式で記載される特定の実施形態では、容器は生物学的薬剤を含む。特
定のこのような実施形態では、生物学的薬剤は、生物学的薬剤捕捉部分を介して担体に結
合される。例えば、特定のそのような実施形態では、生物学的薬剤は、分解性微小担体ま
たは分解性コーティングの表面に結合したアプタマーを介して担体と会合した細胞である
。特定の実施形態では、容器の内面は、複数の生物学的薬剤捕捉部分を含み、その少なく
とも一部は生物学的薬剤に結合している。例えば、特定のそのような実施形態では、生物
学的薬剤は細胞であり、分解性微小担体の表面に結合したアプタマー、または容器の内面
に結合したアプタマーと会合することができる。特定のこのような実施形態では、分解性
微小担体の生物学的薬剤捕捉部分は、容器の内面の生物学的薬剤捕捉部分と同じである。
【0042】
本明細書で他の様式で記載される特定の実施形態では、容器は、水性媒体をさらに含む
。水性媒体は、例えば、生物学的薬剤および1つまたは複数のオフターゲット剤を含む細
胞培養培地であり得る。本明細書で使用される場合、オフターゲット剤は、例えば、生物
学的薬剤以外の細胞、細胞断片、タンパク質、ビタミン、ホルモン、ペプチド、および金
属イオンを含む、生物学的薬剤以外の材料(すなわち、生物学的薬剤捕捉部分によって捕
捉可能である)である。
【0043】
本明細書で他の様式で記載される特定の実施形態では、容器はオフターゲット剤(例え
ば、生物学的薬剤以外の細胞)を含み、オフターゲット剤の20%以下が分解性担体また
は容器の内面に接着している。例えば、特定のこのような実施形態では、17.5%未満
、または15%未満、または12.5%未満、または10%未満、または7.5%未満、
または5%未満、または4%未満、または3%未満、または2%未満、または1%未満の
オフターゲット剤が、分解性担体または容器の内面に接着している。
【0044】
本開示の別の態様は、本明細書に別途記載されるような容器を含む細胞単離システムで
ある。例えば、本明細書で他の様式で記載される特定の実施形態では、細胞単離システム
は、水性媒体を含有する本明細書で他の様式で記載される容器と、水性媒体と担体とを混
合するように構成されたロッカとを含む。別の例では、本明細書で他の様式で記載される
特定の実施形態では、細胞単離システムは、水性媒体を含有する本明細書で他の様式で記
載される容器と、水性媒体から担体(例えば、複数の分解性微小担体を含む)を分離する
ように構成された遠心分離機とを含む。さらに別の例では、本明細書で他の様式で記載さ
れる特定の実施形態では、細胞単離システムは、水性媒体を含有する本明細書で他の様式
で記載される容器と、水性媒体から担体(例えば、複数の分解性微小担体を含む)を分離
するように構成された容器の出口と流体連通するフィルタとを含む。特定の実施形態では
、細胞単離システムの容器内の水性媒体は、例えば生物学的薬剤以外の細胞などのオフタ
ーゲット剤を含む。
【0045】
有利には、本発明者らは、本明細書に記載の担体の分解が、細胞機能に有害な影響を及
ぼすことなく、捕捉された(例えば、および単離された)生物学的薬剤を水性媒体(例え
ば、保存またはさらに培養されるべきである)に放出することができることを特定した。
望ましくは、内面のフルオロポリマーは、生物学的薬剤以外の材料(すなわち、オフター
ゲット剤)の付着を防止し、容器内に単離された生物学的薬剤の純度を高めることができ
る。
【0046】
したがって、本開示の別の態様は、生物学的薬剤を培養するための方法であって、生物
学的薬剤を含有する本明細書に別途記載されるような容器を提供するステップと、容器に
収容される第1の水性媒体中で生物学的薬剤と担体とを混合するステップとを含む方法で
ある。方法は、容器から第1の水性媒体を除去するステップと、容器に第2の水性媒体を
添加するステップと、担体を分解するステップとをさらに含む。
【0047】
本明細書で他の様式で記載される特定の実施形態では、容器は、生物学的薬剤を含む血
液試料(例えば、全血サンプル)を含む。例えば、特定のそのような実施形態では、容器
は血液試料を含み、生物学的薬剤は単球である。特定の実施形態では、容器は、1つまた
は複数のオフターゲット剤をさらに含む。例えば、特定のそのような実施形態では、容器
は、生物学的薬剤(例えば、単球、幹細胞、T細胞、内皮前駆細胞またはナチュラルキラ
ー細胞)および1つまたは複数のオフターゲット剤(例えば、生物学的薬剤以外の細胞)
を含む試料(例えば、全血サンプル)を含む。
【0048】
本明細書で他の様式で記載される特定の実施形態では、第1の水性媒体は細胞培養培地
である。特定のこのような実施形態では、生物学的薬剤は細胞であり、生物学的薬剤は容
器内で培養される(すなわち、薬剤は、第1の水性媒体中で成長または膨張する)。もち
ろん、水性媒体(例えば、容器に収容された全血サンプルに含まれる)を含む1つまたは
複数のオフターゲット剤もまた、第1の水性媒体中で膨張し得る。本明細書で他の様式で
記載される特定の実施形態では、生物学的薬剤および担体は、ロッカ上で混合される。混
合は、生物学的薬剤捕捉部分と生物学的薬剤とを会合させるのに十分な期間行われる。本
明細書で他の様式で記載される特定の実施形態では、生物学的薬剤は細胞であり、混合は
、生物学的薬剤を増殖させるのに十分な時間および温度で行われる。特定の実施形態では
、混合はロッカで行われる。
【0049】
本明細書で他の様式で記載される特定の実施形態では、担体は複数の分解性微小担体を
含み、第1の水性媒体を除去するステップは、担体を沈降させ、容器から第1の水性媒体
をデカントするステップを含む。例えば、特定のそのような実施形態では、第1の水性媒
体を除去するステップは、微小担体を遠心分離機で沈降させるステップと、容器から第1
の水性媒体をデカントするステップとを含む。本明細書で他の様式で記載される特定の実
施形態では、第1の水性媒体は、微小担体を保持するように構成されたフィルタを通して
容器から除去される。例えば、特定のそのような実施形態では、第1の水性媒体は、分解
されていない状態の分解性微小担体よりも小さい孔径を有するフィルタを通して容器から
除去される。
【0050】
他の実施形態では、担体は、容器の内面に隣接して配置された分解性コーティングを含
み、第1の水性媒体を除去することは、容器から第1の水性媒体をデカントすること(す
なわち、沈降または濾過なし)を含む。
【0051】
もちろん、当業者は、少量の第1の水性媒体を容器内に保持することができることを理
解するであろう。
【0052】
第1の水性媒体の除去後、本明細書で他の様式で記載される容器は、例えば生物学的薬
剤および場合により1つまたは複数のオフターゲット剤を含む細胞を含有することができ
る。望ましくは、容器内に残っている細胞の大部分は、分解性担体に、および場合により
生物学的薬剤捕捉部分を介して容器の内面に付着した生物学的薬剤を含むことができる。
例えば、本明細書で他の様式で記載される特定の実施形態では、生物学的薬剤は細胞であ
り、第1の水性媒体を除去した後の容器内の細胞の少なくとも80%、または少なくとも
82.5%、または少なくとも85%、または少なくとも87.5%、または少なくとも
90%、または少なくとも92.5%、または少なくとも95%、または少なくとも97
.5%、または少なくとも98%、または約98.5%、または少なくとも99%が生物
学的薬剤である。
【0053】
本明細書で他の様式で記載される特定の実施形態では、担体を分解するステップは、担
体を第1の水性媒体のpHとは異なるpHに供するステップを含む。例えば、本明細書で
他の様式で記載される特定の実施形態では、担体を分解するステップは、担体を6未満ま
たは8超のpHに供するステップを含む。特定のこのような実施形態では、容器に添加さ
れる第2の水性媒体は、6未満または8超のpHを有する。他のこのような実施形態では
、第2の水性媒体のpHは、第2の水性媒体を容器に添加した後に調整される。本明細書
で他の様式で記載される特定の実施形態では、担体を分解するステップは、担体を加水分
解触媒(例えば、アミン触媒)と接触させるステップを含む。特定のこのような実施形態
では、容器に添加される第2の水性媒体は、加水分解触媒を含有する。他のこのような実
施形態では、加水分解触媒は、第2の水性媒体を添加した後に容器に添加される。特定の
実施形態では、第2の水性媒体のpHは、加水分解触媒によって触媒される加水分解反応
を可能にするか、または加速さえする。本明細書で他の様式で記載される特定の実施形態
では、担体を分解するステップは、担体を酵素、または酵素およびキレート剤と接触させ
るステップを含む。特定のこのような実施形態では、容器に添加される第2の水性媒体は
酵素を含有する。他のこのような実施形態では、酵素は、第2の水性媒体を添加した後に
容器に添加される。本明細書で他の様式で記載される特定の実施形態では、担体を分解す
るステップは、担体を高温(例えば、37℃を超える、または40℃を超える温度)に供
するステップを含む。本明細書で他の様式で記載される特定の実施形態では、担体を分解
するステップは、(例えば、450nm未満、または420nm未満の波長を有する放射
線を用いて)担体を照射するステップを含む。
【0054】
有利には、本発明者らは、担体を分解する(例えば、断片化するステップ、部分的に溶
解するステップ、または溶解するステップ)ことにより、生物学的薬剤に有害な影響を及
ぼすことなく、捕捉された生物学的薬剤を担体から分離することができることを特定した
。本明細書で他の様式で記載される特定の実施形態では、本方法は、生物学的薬剤を第2
の水性媒体(すなわち、劣化した担体を含む)中で培養するステップをさらに含む。特定
のそのような実施形態では、第2の水性媒体は細胞培養培地である。本明細書で他の様式
で記載される特定の実施形態では、本方法は、例えば生物学的薬剤を沈降させ、第2の水
性媒体を除去し、第3の水性媒体を容器に添加することによって、分解された担体を除去
するステップとをさらに含む。特定のそのような実施形態では、第3の水性媒体は、細胞
培養培地または細胞保存培地である。
【0055】
本開示のさらなる態様は、技術的または論理的に矛盾しない任意の数および任意の方法
で組み合わせることができる、以下に列挙される実施形態によって提供される。
[実施形態1]
外面および内面を有する容器(例えば、バッグの形態で)であって、内面がフルオロポ
リマーを含み、容器に分解性担体が収容されており、
担体が、複数の生物学的薬剤捕捉部分を含む、容器。
[実施形態2]
分解性担体が複数の分解性微小担体を含み、各微小担体が複数の生物学的薬剤捕捉部分
を含む、実施形態1に記載の容器。
[実施形態3]
微小担体の平均直径が約0.5μm~約1000μm(例えば、約5μm~約750μ
m、または約10μm~約500μm、または約25μm~約300μm)の範囲内であ
る、実施形態2に記載の容器。
[実施形態4]
容器の内面が、複数の生物学的薬剤捕捉部分を含む、実施形態2または3に記載の容器
。
[実施形態5]
分解性担体が、容器の内面の少なくとも一部(例えば、少なくとも大多数)に隣接して
配置された分解性コーティングを含む、実施形態1に記載の容器。
[実施形態6]
生物学的薬剤捕捉部分が1つまたは複数のアプタマーを含む、実施形態1~5のいずれ
か1つに記載の容器。
[実施形態7]
生物学的薬剤が細胞である、実施形態1~6のいずれか1つに記載の容器。
[実施形態8]
細胞が、血球または免疫細胞である、実施形態7に記載の容器。
[実施形態9]
細胞が、単球、幹細胞もしくは前駆細胞(例えば、間葉系幹細胞)、T細胞(例えば、
制御性T細胞)、内皮前駆細胞またはナチュラルキラー細胞である、実施形態7に記載の
容器。
[実施形態10]
分解性担体がポリマーを含む、実施形態1~9のいずれか1つに記載の容器。
[実施形態11]
分解性担体が多糖(例えば、デンプンまたはポリガラクツロン酸)を含む、実施形態1
0に記載の容器。
[実施形態12]
分解性担体が、ポリ(乳酸-co-グリコール酸)(PLGA)、ポリ乳酸(PLA)
およびポリカプロラクトンから選択される1つまたは複数のポリマーを含む、実施形態1
0に記載の容器。
[実施形態13]
ポリマーが架橋(例えば、チオエーテル架橋、Ca2+架橋、またはグリセロールジエ
ーテル架橋)されている、実施形態10~12のいずれか1つに記載の容器。
[実施形態14]
担体が、6未満のpHまたは8を超えるpHで水中で分解可能である、実施形態1~1
3のいずれか1つに記載の容器。
[実施形態15]
担体が加水分解触媒(例えば、アミン触媒)と接触すると水中で分解可能である、実施
形態1~13のいずれか1つに記載の容器。
[実施形態16]
担体が、酵素、または酵素およびキレート剤と接触すると水中で分解可能である、実施
形態1~13のいずれか1つに記載の容器。
[実施形態17]
酵素がアミラーゼまたはペクチナーゼである、実施形態16に記載の容器。
[実施形態18]
担体が、高温(例えば、37℃を超える、または40℃を超える温度)に曝露されると
水中で分解可能である、実施形態1~13のいずれか1つに記載の容器。
[実施形態19]
担体が、(例えば、450nm未満、または420nm未満の波長を有する放射線を用
いた)照射時に水中で分解可能である、実施形態1~13のいずれか1つに記載の容器。
[実施形態20]
フルオロポリマーが、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、パーフルオロアルコ
キシ(PFA)、エチレンテトラフルオロエチレン(ETFE)、ポリフッ化ビニリデン
(PVDF)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、エチレンクロロトリフ
ルオロエチレン(ECTFE)、フッ素化エチレンプロピレン(FEP)、エチレンフッ
素化エチレンプロピレン(EFEP)、パーフルオロポリエーテル(PFPE)、変性ポ
リテトラフルオロエチレン(TFM)、ポリフッ化ビニル(PVF)、またはそれらの任
意の混合物である、実施形態1~19のいずれか1つに記載の容器。
[実施形態21]
フルオロポリマーがフッ素化エチレンプロピレン(FEP)である、実施形態1~19
のいずれか1つに記載の容器。
[実施形態22]
分解性担体が生物学的薬剤に結合しており、生物学的薬剤が生物学的薬剤捕捉部分を介
して担体に結合している、実施形態1~21のいずれか1つに記載の容器。
[実施形態23]
水性媒体を含有する、実施形態1~22のいずれか1つに記載の容器。
[実施形態24]
オフターゲット剤を含有する実施形態23に記載の容器。
[実施形態25]
オフターゲット剤が生物学的薬剤以外の細胞である、実施形態24に記載の容器。
[実施形態26]
オフターゲット剤の20%未満(例えば、15%未満、10%未満、5%未満、または
1%未満)が担体または容器の内面に付着している、実施形態24または25に記載の容
器。
[実施形態27]
実施形態23~25のいずれか1つに記載の容器と、担体と水性媒体とを混合するよう
に構成されたロッカとを備えた細胞単離システム。
[実施形態28]
実施形態23~25のいずれか1つに記載の容器と、水性媒体から担体を分離するよう
に構成された遠心分離機とを備えた細胞単離システム。
[実施形態29]
実施形態23~25のいずれか1つに記載の容器と、容器の出口と流体連通するフィル
タとを備え、フィルタが、水性媒体から担体を分離するように構成されている、細胞単離
システム。
[実施形態30]
生物学的薬剤を培養する方法であって、
実施形態1~21のいずれか1つに記載の容器であって、生物学的薬剤を収容している
容器を提供するステップと、
容器に収容された第1の水性媒体中で、生物学的薬剤と担体とを混合するステップと、
容器から第1の水性媒体を除去するステップと、
容器に第2の水性媒体を添加するステップと、
担体を分解させるステップと、
を含む方法。
[実施形態31]
担体が複数の分解性微小担体を含み、第1の水性媒体を除去するステップが、微小担体
を遠心分離機で沈降させるステップと、容器から第1の水性媒体をデカントするステップ
とを含む、実施形態30に記載の方法。
[実施形態32]
担体が複数の分解性微小担体を含み、第1の水性媒体が、微小担体を保持するように構
成されたフィルタを通して容器から除去される、実施形態30の方法。
[実施形態33]
担体が、容器の内面に隣接して配置された分解性コーティングを含み、第1の水性媒体
を除去するステップが、容器から第1の水性媒体をデカントするステップを含む、実施形
態30に記載の方法。
[実施形態34]
生物学的薬剤は細胞であり、
第1の水性媒体を除去した後の容器内の細胞の少なくとも80%(例えば、少なくとも
85%、または少なくとも90%、または少なくとも95%、または少なくとも98%、
または少なくとも99%)が生物学的薬剤である、
実施形態30~34のいずれか1つに記載の方法。
[実施形態35]
担体を分解させるステップが、担体を6未満または約8未満のpHに供するステップを
含む、実施形態30~34のいずれか1つに記載の方法。
[実施形態36]
担体を分解させるステップが、担体を加水分解触媒(例えば、アミン触媒)と接触させ
るステップを含む、実施形態30~34のいずれか1つに記載の方法。
[実施形態37]
担体を分解するステップが、担体を酵素および場合によりキレート剤と接触させるステ
ップを含む、実施形態30~34のいずれか1つに記載の方法。
[実施形態38]
担体を分解させるステップが、担体を高温(例えば、37℃を超える、または40℃を
超える温度)に曝露するステップを含む、実施形態30~34のいずれか1つに記載の方
法。
[実施形態39]
担体を分解させるステップが、(例えば、450nm未満、または420nm未満の波
長を有する放射線を用いて)担体を照射することを含む、実施形態30~34のいずれか
1つに記載の方法。
[実施形態40]
劣化した担体を容器から除去するステップをさらに含む、実施形態30~39のいずれ
か1つに記載の方法。
[実施形態41]
容器がバッグの形態である、請求項1~40のいずれか1つに記載の容器または方法。
【0056】
本明細書に示す詳細は、例示として、かつ本発明の好ましい実施形態を考察する目的で
のみ示されており、本発明の様々な実施形態の原理および概念的な態様について、最も有
用で容易に理解されると考えられる説明を提供するために提示される。この点に関して、
本発明の構造的な詳細を、本発明の基本的な理解に対して必要以上に詳細に示そうとはせ
ず、図面および/または例を用いる説明によって、本発明のいくつかの形式がどのように
実施され得るかを当業者に明らかにする。したがって、開示されたプロセスおよびデバイ
スを説明する前に、本明細書に記載された態様は、特定の実施形態、装置、または構成に
限定されるものではなく、そのようなものとして、もちろん、変化し得ることを理解され
たい。また、本明細書で使用される用語は、特定の態様を説明することを目的としておら
ず、本明細書で特に定義されない限り、限定することを意図したものではないことを理解
されたい。
【0057】
本発明を説明する文脈(特に以下の特許請求の範囲の文脈において)で使用される用語
「a」、「an」、「the」および同様の指示対象は、本明細書で別段の指示がない限
り、または文脈によって明らかに矛盾しない限り、単数形と複数形の両方を対象とするよ
うに解釈されるべきである。本明細書で値の範囲を記載することは、単にその範囲内にあ
る各個別の値を個別に参照するための略記法として機能することを意図する。本明細書で
特に示さない限り、各個別の値は、本明細書に個別に記載されるかのように本明細書に組
み込まれる。本明細書では、ある特定の値の「約」から、および/または別の特定の値の
「約」までの範囲を表すことができる。このような範囲を表す場合、別の態様としては、
ある特定の値から、および/または他の特定の値までを含む。同様に、値が近似値として
表現される場合、先行詞の「約」を使用することで、特定の値が別の態様を形成すること
が理解されよう。さらに、範囲の各々の終点は、他の終点および独立して他の終点と関連
してどちらとも重要であることが理解されよう。
【0058】
本明細書に記載される全ての方法は、本明細書に別段の記載がない限り、または文脈上
明らかに矛盾しない限り、あらゆる好適なステップの順序で実行することができる。本明
細書で提供されるありとあらゆる実施例、または例示的な言語(例えば、「など」)の使
用は、単に本発明をより容易に理解することを意図し、別の形で特許請求される本発明の
範囲に制限を課すものではない。本明細書中のいかなる言語も、本発明の実施に不可欠な
非特許請求要素を示すものとして解釈されるべきではない。
【0059】
文脈が明らかに他の方法が必要とされない限り、本明細書および特許請求の範囲を通じ
て、「comprise」、「comprising」などの語は、排他的または網羅的
な意味ではなく、包括的な意味で解釈されるべきであり、すなわち、「~を含むが、~に
限定されない」という意味で解釈されるべきである。また、単数形や複数形を使用する語
には、それぞれ複数形や単数形も含まれる。さらに、本出願で使用される「本明細書」、
「超」、「未満」という語および同様の意味を持つ語は、本出願の任意の特定の部分では
なく、本出願全体を指すものとする。
【0060】
当業者であれば理解することができるように、本明細書で開示される各実施形態は、そ
の特定の記載された要素、ステップ、成分、または構成要素を含み、本質的にこれらから
成るか、またはこれらから成り得る。本明細書で使用される場合、移行語「compri
se」または「comprises」は、主要な量であっても、不特定の要素、ステップ
、成分、または構成要素を含むことを意味するが、これらに限定されない。「から成る」
という移行句は、指定されないあらゆる要素、ステップ、成分、または構成要素を除外す
る。「から本質的に成る」という移行語は、実施形態の範囲を、指定された要素、ステッ
プ、成分または構成要素と、実施形態に重要な影響を与えないものに限定する。
【0061】
特に明記しない限り、本明細書および特許請求の範囲で使用される、成分の量、分子量
などの特性、反応条件などを表す全ての数字は、全ての場合において「約」という言葉で
修飾されていると理解されよう。したがって、反対の指示がない限り、明細書および添付
の特許請求の範囲に記載される数値パラメータは、本発明によって得ようとする所望の特
性に応じて変化する可能性がある近似値である。少なくとも、特許請求の範囲の範囲への
均等論の適用を制限するものではないが、各数値パラメータは少なくとも、報告された有
効数字を考慮し、かつ通常の丸め技術を適用して解釈されるべきである。さらに明確にす
る必要がある場合、「約」という用語は、記載された数値または範囲と関連して使用され
たときに、当業者によって合理的に与えられる意味を持つ、すなわち、当業者の通常の精
度の範囲内で、記載された数値または範囲よりも幾分多いまたは幾分少ないことを示す。
【0062】
本発明の広い範囲を示す数値範囲やパラメータは近似値であるにもかかわらず、具体的
例で示された数値は可能な限り正確に報告される。しかしながら、いずれの数値にも、そ
れらのそれぞれの試験測定値内に見られる標準偏差に必然的に起因する一定の誤差が含ま
れる。
【0063】
本明細書に開示される本発明の代替要素または実施形態のグループ化は、制限として解
釈されるものではない。各グループの構成要素は、個別に、またはグループの他の構成要
素または本明細書に記載される他の要素との任意の組み合わせで参照され、特許請求され
得る。利便性および/または特許性のために、グループの1つまたは複数の構成要素をグ
ループに含め、またはグループから削除することが予想される。任意のこのような包含ま
たは削除が行われた場合、本明細書には修正されたグループが含まれるとみなされ、添付
の特許請求の範囲で使用される全てのマーカッシュ群の記述が行われる。
【0064】
本発明のいくつかの実施形態は、本発明を実施するために本発明者らに知られている最
良の態様を含めて、本明細書に記載される。もちろん、これらの説明された実施形態の変
形は、前述の説明を読むことで、当業者に明らかになるであろう。本発明者は、当業者が
適宜そのような変形を採用することを期待しており、本発明者らは、本明細書に具体的に
記載されない方法で本発明が実施されることを意図する。したがって、本発明には、適用
法で認められる限り、添付の特許請求の範囲に記載された主題の全ての変更および同等物
が含まれる。さらに、その全ての可能な変形における上述した要素のいずれの組み合わせ
も、本明細書に別段の記載がない限り、あるいは文脈上明らかに矛盾しない限り、本発明
に包含される。
【0065】
本明細書を通じて、特許や出版物を数多く参照している。引用された文献および印刷さ
れた出版物の各々は、個々にそれらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0066】
さらに、本明細書に開示された本発明の実施形態は、本発明の原理を例示するものであ
ることを理解されたい。用いられ得る他の変更は、本発明の範囲内である。したがって、
限定ではなく例として、本発明の代替構成を、本明細書の教示に従って利用することがで
きる。したがって、本発明は正確に示され、説明されたものに限定されるものではない。