(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-19
(45)【発行日】2025-02-28
(54)【発明の名称】2つの半導体のコンポジットキャビティを有するレーザ
(51)【国際特許分類】
H01S 5/026 20060101AFI20250220BHJP
H01S 5/40 20060101ALI20250220BHJP
H01S 5/125 20060101ALI20250220BHJP
H01S 5/12 20210101ALI20250220BHJP
G02B 6/12 20060101ALI20250220BHJP
G02B 6/124 20060101ALI20250220BHJP
G02B 6/125 20060101ALI20250220BHJP
【FI】
H01S5/026 618
H01S5/40
H01S5/125
H01S5/12
G02B6/12 301
G02B6/124
G02B6/125 301
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023116239
(22)【出願日】2023-07-14
【審査請求日】2023-09-05
(32)【優先日】2022-07-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2023-07-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】519146787
【氏名又は名称】ツー-シックス デラウェア インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】II-VI Delaware,Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(72)【発明者】
【氏名】ヨン-カイ・チェン
【審査官】村井 友和
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-151327(JP,A)
【文献】国際公開第2020/245935(WO,A1)
【文献】国際公開第2010/100738(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0207600(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01S 5/00-5/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部半導体基板であって、該上部半導体基板は、上部半導体基板の上面と、上部半導体基板の下面と、上部導波路と、上部半導体基板の前記下面に沿った下部クラッディング層と、1つまたは複数のレーザ構造とを備え、前記上部導波路は、第1のバンドギャップを有する第1の半導体材料を備える、前記上部半導体基板と、
下部半導体基板であって、該下部半導体基板は、上部半導体基板の前記下面に沿った前記下部クラッディング層に結合した下部半導体基板の上面と、下部半導体基板の下面と、前記上部導波路と出力との間の下部導波路とを備え、前記下部導波路は、前記第1のバンドギャップより広い第2のバンドギャップを有する第2の半導体材料を備える、前記下部半導体基板と、
前記上部導波路の光エネルギーを前記下部導波路に結合する、前記上部導波路と前記下部導波路との間の結合器と
を備えるレーザであって、前記1つまたは複数のレーザ構造は、分布ブラッグ反射器(DBR)構造を備える、レーザ。
【請求項2】
上部半導体基板であって、該上部半導体基板は、上部半導体基板の上面と、上部半導体基板の下面と、上部導波路と、上部半導体基板の前記下面に沿った下部クラッディング層と、1つまたは複数のレーザ構造とを備え、前記上部導波路は、第1のバンドギャップを有する第1の半導体材料を備える、前記上部半導体基板と、
下部半導体基板であって、該下部半導体基板は、上部半導体基板の前記下面に沿った前記下部クラッディング層に結合した下部半導体基板の上面と、下部半導体基板の下面と、前記上部導波路と出力との間の下部導波路とを備え、前記下部導波路は、前記第1のバンドギャップより広い第2のバンドギャップを有する第2の半導体材料を備える、前記下部半導体基板と、
前記上部導波路の光エネルギーを前記下部導波路に結合する、前記上部導波路と前記下部導波路との間の結合器と
を備えるレーザであって、前記結合器は、前記上部導波路の表面上の垂直格子結合器を備える、レーザ。
【請求項3】
上部半導体基板であって、該上部半導体基板は、上部半導体基板の上面と、上部半導体基板の下面と、上部導波路と、上部半導体基板の前記下面に沿った下部クラッディング層と、1つまたは複数のレーザ構造とを備え、前記上部導波路は、第1のバンドギャップを有する第1の半導体材料を備える、前記上部半導体基板と、
下部半導体基板であって、該下部半導体基板は、上部半導体基板の前記下面に沿った前記下部クラッディング層に結合した下部半導体基板の上面と、下部半導体基板の下面と、前記上部導波路と出力との間の下部導波路とを備え、前記下部導波路は、前記第1のバンドギャップより広い第2のバンドギャップを有する第2の半導体材料を備える、前記下部半導体基板と、
前記上部導波路の光エネルギーを前記下部導波路に結合する、前記上部導波路と前記下部導波路との間の結合器と
を備えるレーザであって、
前記第1の半導体材料の前記第1のバンドギャップは、2eV未満であり、
前記第2の半導体材料の前記第2のバンドギャップは、3eVより大きい、
レーザ。
【請求項4】
請求項
3に記載のレーザであって、
前記第1の半導体材料の前記第1のバンドギャップは、1.34eVと2eVとの間にあり、
前記第2の半導体材料の前記第2のバンドギャップは、3eVと6eVとの間にある、
レーザ。
【請求項5】
請求項1
から4のうちの何れか一項に記載のレーザであって、前記1つまたは複数のレーザ構造は、分布帰還型(DFB)構造を備える、レーザ。
【請求項6】
請求項1
から4のうちの何れか一項に記載のレーザであって、
前記上部導波路の第1の部分は、前記下部導波路の第2の部分に重なり、且つ、物理的に結合され、
前記結合器は、重なり、且つ、物理的に結合された、前記上部導波路および前記下部導波路の前記の第1および第2の部分を介して、前記上部導波路を前記下部導波路に光学的に結合する、
レーザ。
【請求項7】
下部半導体基板であって、下部半導体基板の上面と、下部半導体基板の下面と、下部半導体基板の前記上面と下部半導体基板の前記下面との間の下部半導体基板の側面とを有し、下部半導体基板の前記上面に沿った下部導波路を備える前記下部半導体基板と、
クラッディング層の上面とクラッディング層の下面とを備えるクラッディング層であって、クラッディング層の前記下面は下部半導体基板の前記上面に結合された、前記クラッディング層と、
上部半導体基板であって、上部半導体基板の上面と、上部半導体基板の下面と、上部半導体基板の前記下面に沿った前記クラッディング層と、上部半導体基板の前記上面と上部半導体基板の前記下面との間の上部半導体基板の側面とを有し、上部半導体基板の前記下面に沿った上部導波路を備え、前記上部導波路の第1の部分が前記下部導波路の第2の部分に垂直に重なるように、下部半導体基板の前記上面の上に位置決めされる前記上部半導体基板と、
前記上部導波路と前記下部導波路との間の結合器であって、前記上部導波路の光エネルギーを前記下部導波路に結合する前記結合器と
を備えるレーザであって、
前記下部導波路は、前記上部導波路の半導体材料より広いバンドギャップを有する半導体材料を備え、前記上部導波路は、分布ブラッグ反射器(DBR)構造を備える、レーザ。
【請求項8】
下部半導体基板であって、下部半導体基板の上面と、下部半導体基板の下面と、下部半導体基板の前記上面と下部半導体基板の前記下面との間の下部半導体基板の側面とを有し、下部半導体基板の前記上面に沿った下部導波路を備える前記下部半導体基板と、
クラッディング層の上面とクラッディング層の下面とを備えるクラッディング層であって、クラッディング層の前記下面は下部半導体基板の前記上面に結合された、前記クラッディング層と、
上部半導体基板であって、上部半導体基板の上面と、上部半導体基板の下面と、上部半導体基板の前記下面に沿った前記クラッディング層と、上部半導体基板の前記上面と上部半導体基板の前記下面との間の上部半導体基板の側面とを有し、上部半導体基板の前記下面に沿った上部導波路を備え、前記上部導波路の第1の部分が前記下部導波路の第2の部分に垂直に重なるように、下部半導体基板の前記上面の上に位置決めされる前記上部半導体基板と、
前記上部導波路と前記下部導波路との間の結合器であって、前記上部導波路の光エネルギーを前記下部導波路に結合する前記結合器と
を備えるレーザであって、
前記下部導波路は、前記上部導波路の半導体材料より広いバンドギャップを有する半導体材料を備え、前記結合器は、前記上部導波路の表面上の垂直格子結合器を備える、レーザ。
【請求項9】
下部半導体基板であって、下部半導体基板の上面と、下部半導体基板の下面と、下部半導体基板の前記上面と下部半導体基板の前記下面との間の下部半導体基板の側面とを有し、下部半導体基板の前記上面に沿った下部導波路を備える前記下部半導体基板と、
クラッディング層の上面とクラッディング層の下面とを備えるクラッディング層であって、クラッディング層の前記下面は下部半導体基板の前記上面に結合された、前記クラッディング層と、
上部半導体基板であって、上部半導体基板の上面と、上部半導体基板の下面と、上部半導体基板の前記下面に沿った前記クラッディング層と、上部半導体基板の前記上面と上部半導体基板の前記下面との間の上部半導体基板の側面とを有し、上部半導体基板の前記下面に沿った上部導波路を備え、前記上部導波路の第1の部分が前記下部導波路の第2の部分に垂直に重なるように、下部半導体基板の前記上面の上に位置決めされる前記上部半導体基板と、
前記上部導波路と前記下部導波路との間の結合器であって、前記上部導波路の光エネルギーを前記下部導波路に結合する前記結合器と
を備えるレーザであって、
前記下部導波路は、前記上部導波路の半導体材料より広いバンドギャップを有する半導体材料を備え、
前記上部導波路の前記半導体材料は、2eV未満の第1のバンドギャップを有し、
前記下部導波路の前記半導体材料は、3eVより大きい第2のバンドギャップを有する、
レーザ。
【請求項10】
請求項
9に記載のレーザであって、
前記上部導波路の前記半導体材料は、1.34eVと2eVとの間の第1のバンドギャップを有し、
前記下部導波路の前記半導体材料は、3eVと6eVとの間の第2のバンドギャップを有する、
レーザ。
【請求項11】
請求項
7から10のうちの何れか一項に記載のレーザであって、前記上部導波路は、1つまたは複数のレーザ構造を備える、レーザ。
【請求項12】
請求項
7から10のうちの何れか一項に記載のレーザであって、前記上部導波路は、分布帰還型(DFB)構造を備える、レーザ。
【請求項13】
請求項
7から10のうちの何れか一項に記載のレーザであって、前記結合器は、重なる前記の第1および第2の部分を介して、前記上部導波路を前記下部導波路に結合する、レーザ。
【請求項14】
下部半導体基板であって、下部半導体基板の上面と、下部半導体基板の下面と、広バンドギャップ(WBG)構造であって、前記WBG構造の上面に沿った下部導波路を備える前記WBG構造とを備える前記下部半導体基板と、
上部半導体基板であって、上部半導体基板の上面と、上部半導体基板の下面と、上部導波路と、上部半導体基板の前記下面に沿った下部クラッディング層と、前記WBG構造の上の狭バンドギャップ(NBG)構造であって、前記NBG構造の下面に沿った上部導波路を備える前記NBG構造とを備える前記上部半導体基板と、
前記上部導波路と前記下部導波路との間の結合器であって、前記上部導波路の光エネルギーを前記下部導波路に結合する前記結合器と
を備えるレーザであって、
前記WBG構造の前記上面は、上部半導体基板の前記下面に沿った前記下部クラッディング層に結合され、
前記WBG構造は、前記NBG構造より広いバンドギャップを有し、
前記NBG構造は、前記上部導波路にレーザ光を提供する1つまたは複数のレーザ構造を備え、前記1つまたは複数のレーザ構造は、分布ブラッグ反射器(DBR)構造および分布帰還型(DFB)構造を備える、
レーザ。
【請求項15】
下部半導体基板であって、下部半導体基板の上面と、下部半導体基板の下面と、広バンドギャップ(WBG)構造であって、前記WBG構造の上面に沿った下部導波路を備える前記WBG構造とを備える前記下部半導体基板と、
上部半導体基板であって、上部半導体基板の上面と、上部半導体基板の下面と、上部導波路と、上部半導体基板の前記下面に沿った下部クラッディング層と、前記WBG構造の上の狭バンドギャップ(NBG)構造であって、前記NBG構造の下面に沿った上部導波路を備える前記NBG構造とを備える前記上部半導体基板と、
前記上部導波路と前記下部導波路との間の結合器であって、前記上部導波路の光エネルギーを前記下部導波路に結合する前記結合器と
を備えるレーザであって、
前記WBG構造の前記上面は、上部半導体基板の前記下面に沿った前記下部クラッディング層に結合され、
前記WBG構造は、前記NBG構造より広いバンドギャップを有し、
前記結合器は、エバネッセントテーパー結合器を備える、
レーザ。
【請求項16】
下部半導体基板であって、下部半導体基板の上面と、下部半導体基板の下面と、広バンドギャップ(WBG)構造であって、前記WBG構造の上面に沿った下部導波路を備える前記WBG構造とを備える前記下部半導体基板と、
上部半導体基板であって、上部半導体基板の上面と、上部半導体基板の下面と、上部導波路と、上部半導体基板の前記下面に沿った下部クラッディング層と、前記WBG構造の上の狭バンドギャップ(NBG)構造であって、前記NBG構造の下面に沿った上部導波路を備える前記NBG構造とを備える前記上部半導体基板と、
前記上部導波路と前記下部導波路との間の結合器であって、前記上部導波路の光エネルギーを前記下部導波路に結合する前記結合器と
を備えるレーザであって、
前記WBG構造の前記上面は、上部半導体基板の前記下面に沿った前記下部クラッディング層に結合され、
前記WBG構造は、前記NBG構造より広いバンドギャップを有し、
前記NBG構造は、2eV未満の第1のバンドギャップを有し、
前記WBG構造は、3eVより大きい第2のバンドギャップを有する、
レーザ。
【請求項17】
請求項1
から4のうちの何れか一項に記載のレーザであって、前記下部クラッディング層は、1ミクロン未満の厚さである、レーザ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本出願は、非仮出願であり、2022年7月15日に出願された米国特許仮出願第63/389,468号に対する利益を主張し、その内容全体が参照により本願明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、一般にレーザデバイスに関する。
【背景技術】
【0003】
[0002]垂直共振器面発光レーザ(VCSEL)は、2つのミラースタックの間に挟まれ、これらによって画定されるレーザキャビティを有する。VCSELは、典型的には、半導体基板(多くの場合GaAsまたはInP基板)上に製造され、下部ミラースタックは、基板の上面上に形成され、次に、レーザキャビティおよび上部ミラースタックによってカバーされる。各ミラースタックは、交互する屈折率値(例えば、「高」屈折率値と「低」屈折率値との間で交互する)の多くのエピタキシャル層を含む。キャビティ領域自体は、活性領域を含み、活性領域は、例えば、1つまたは複数の量子ウェル構造によって形成され得る。光が一方の屈折率の層から他方に通過するとき、光の一部は反射され、回析ブラッグ反射器(DBR)構造を作成する。十分な数の交互層を用いて、高い割合の光は、反射され、キャビティ全体の定常波パターンを作成する。
【発明の概要】
【0004】
[0003]2つの半導体のコンポジットキャビティを有するレーザは、図面の少なくとも1つに関連して図示および/または記載され、請求項においてより完全に記載される。
[0004]本開示のこれらおよびその他の利点、態様および新規の特徴ならびにその示された実施形態の詳細は、以下の説明および図面からより完全に理解される。
【図面の簡単な説明】
【0005】
[0005]本開示のさまざまな特徴および利点は、添付の図面に関連した以下の詳細な説明を参照してより明確に理解され得るものであり、同様の参照符号は、同様の構造要素を示す。
【
図1】[0006]2つの半導体のコンポジットキャビティを備えるレーザの垂直結合器部分の断面図を示す。
【
図2】[0007]2つの半導体のコンポジットキャビティを備える
図1において描写されるレーザの平面図を示す。
【
図3】[0008]2つの半導体のコンポジットキャビティを備える
図1において描写されるレーザの側面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0006】
[0009]以下の説明は、本開示の例を提供することによって、本開示のさまざまな態様を示す。そのような例は、非限定的であり、したがって、本開示のさまざまな態様の範囲は、提供される例のいかなる特定の特徴によっても制限されるべきではない。以下の説明において、「例えば」および「例示的な」というフレーズは、非限定的であり、概して、「例として、であり、この例に限定されない」、「例えば、であり、限定ではない」などと同義である。
【0007】
[0010]本願明細書において利用されるとき、「および/または」は、「および/または」によって接続されるリストにおける項目の任意の1つまたは複数を意味する。例えば、「xおよび/またはy」は、3つの要素セット{(x)、(y)、(x、y)}の任意の要素を意味する。換言すれば、「xおよび/またはy」は、「xおよびyの一方または両方」を意味する。他の例として、「x、yおよび/またはz」は、7つの要素セット{(x)、(y)、(z)、(x、y)、(x、z)、(y、z)、(x、y、z)}の任意の要素を意味する。換言すれば、「x、yおよび/またはz」は、「x、yおよびzの1つまたは複数」を意味する。
【0008】
[0011]本願明細書において用いられる用語は、特定の例のみを記載するためであり、開示を限定することを意図するものではない。本願明細書において用いられるとき、文脈が明らかに別段の指示をしない限り、単数形は、複数形も含むことを意図する。この明細書において用いられるとき、「備える」、「含む」、「備えている」、「含んでいる」、「有する」、「有している」などの用語は、述べられた特徴、整数、ステップ、動作、要素および/または構成要素の存在を特定するが、1つまたは複数の他の特徴、整数、ステップ、動作、要素、構成要素および/またはそのグループの存在または追加を排除しないということをさらに理解されたい。
【0009】
[0012]本願明細書において、第1、第2などの用語は、さまざまな要素を記載するために用いられ得るが、これらの要素は、これらの用語によって制限されるべきでないことを理解されたい。これらの用語は、1つの要素を他の要素と区別するために用いられるだけである。したがって、例えば、後述する第1の要素、第1の構成要素または第1の部分は、本開示の教示を逸脱しない範囲で、第2の要素、第2の構成要素または第2の部分と称することができる。同様に、さまざまな空間的用語、例えば、「上部」、「下部」、「側部」などは、相対的な方法で1つの要素を他の要素と区別する際に用いられ得る。しかしながら、構成要素が異なる方法で配向され得ることを理解されたい。例えば、半導体デバイスまたはパッケージは、本開示の教示を逸脱しない範囲で、その「上」面が水平に面しており、その「側」面が垂直に面しているように、横向きにされ得る。
【0010】
[0013]図面において、層、領域および/または構成要素の厚さまたはサイズは、明確にするために誇張され得る。したがって、この開示の範囲は、そのような厚さまたはサイズによって制限されるべきではない。加えて、図面において、同様の参照符号は、考察の全体にわたって同様の要素を参照し得る。アポストロフィ(’)を有する番号付きの要素は、アポストロフィのない対応して番号が付けられた要素に類似し得る。
【0011】
[0014]特に明記しない限り、「結合される」という用語は、互いに直接接触する2つの要素を記載するかまたは1つもしくは複数の他の要素によって間接的に接続される2つの要素を記載するために用いられ得る。例えば、要素Aが要素Bに結合される場合、要素Aは、要素Bに直接接触することができるかまたは介在する要素Cによって要素Bに間接的に接続することができる。同様に、「上に(over)」または「上に(on)」という用語は、互いに直接接触する2つの要素を記載するかまたは1つもしくは複数の他の要素によって間接的に接続される2つの要素を記載するために用いられ得る。
【0012】
[0015]コンポジットキャビティレーザ(CCL)は、2つの半導体材料からのキャビティから成るコンポジットレーザキャビティを含む。CCLは、一対の2つの半導体構造を用いて製造され得、キャビティの上部は、狭いバンドギャップエネルギーを有する半導体材料(例えば、GaAsまたはInP)を備える上部構造を介して形成され、キャビティの下部は、広いバンドギャップエネルギーを有する半導体材料(例えば、SiC、AlNまたはダイヤモンド)を備える下部構造を介して形成される。キャビティ部は、結合器(例えば、垂直格子結合器(VGC)またはエバネッセントテーパー結合器(ETC))を介して共に結合され得る。キャビティの上部は、ゲインおよび分布ミラー(例えば、分布帰還型構造または分布ブラッグ反射器構造を形成する格子部分)を狭バンドギャップ半導体の活性レーザ作用のために提供し得る。結合器は、キャビティの上部によって生成されるレーザ光または他の光エネルギーをキャビティの下部内に導き得る。キャビティの下部は、より低い損失の導波路を下部構造の出力ファセットに提供し得る。CCLの上部レーザ部分は、例えば、1つまたは複数の量子ウェル構造によって形成され得る。
【0013】
[0016]
図1から
図3は、レーザ10の実施形態を描写する。レーザ10は、コンポジットキャビティレーザ(CCL)として実施され得、異なるバンドギャップの半導体材料を備える2つの半導体構造100、200は、共に集積される。特に、レーザ10は、第1の半導体材料を用いて形成される上部キャビティ110を提供する上部半導体構造100および第1の半導体材料より広いバンドギャップを有する第2の半導体材料を用いて形成される下部キャビティ210を提供する下部半導体構造200を備え得る。
【0014】
[0017]上部半導体構造100は、上部構造の上面101、上部構造の下面102、および、上部構造の上面101と上部構造の下面102との間の上部構造の側面103を備え得る。同様に、下部半導体構造200は、下部構造の上面201、下部構造の下面202、および、下部構造の上面201と下部構造の下面202との間の下部構造の側面203を備え得る。
【0015】
[0018]上部半導体構造100の上部キャビティ110は、第1の半導体材料から形成され得るか、または、第1の半導体基板は、第1のバンドギャップを有する。下部半導体構造200の下部キャビティ210は、第2の半導体材料、または、第1のバンドギャップより大きいかまたはより広い第2のバンドギャップを有する第2の半導体基板から形成され得る。バンドギャップのそのような差のため、上部半導体構造100は、本願明細書において、狭バンドギャップ(NBG)構造100と称され得、下部半導体構造200は、本願明細書において、広バンドギャップ(WBG)構造200と称され得る。動作において、NBG構造100は、ゲイン、レーザ処理および垂直結合機能を提供し得る。WBG構造200は、冷却、導波路およびフォトニック機能を提供し得る。
【0016】
[0019]示すように、NBG構造100は、NBG構造100の下面102に沿った上部導波路120を備え得る。上部導波路120は、分布ブラッグ反射器(DBR)構造または分布帰還型(DFB)構造のような1つまたは複数のレーザ構造を含み得る。描写されるように、上部導波路120は、第1のコンタクト140(例えば、nコンタクト)と第2のコンタクト150(例えば、pコンタクト)との間にDBR構造130を備える。NBG構造100の上部導波路120は、上部導波路120のDBR構造130と結合器170との間にDFB構造160をさらに含み得る。NBG構造100は、上部導波路120およびコンタクト140、150を封入する誘電体180をさらに備え得る。示すように、誘電体180は、上部構造の上面101および上部構造の側面103を提供および/または画定し得る。
【0017】
[0020]WBG構造200は、WBG構造200の上面に沿った下部導波路220を備え得る。下部導波路220は、下部半導体構造200の上面内に埋設され得る。WBG構造200はまた、WBG構造200の下部導波路220と出力ファセット240との間に、オプションのDBR構造230を含み得る。
【0018】
[0021]示すように、上部構造の下面102は、下部構造の上面201に結合され得るし、下部構造の上面201上に形成され得るし、または、下部構造の上面201に係合され得る。さらに、上部導波路120は、上部導波路120の第1の部分190が下部導波路220の第2の部分290と垂直に重なるように、WBG構造200の下部導波路220の上に位置決めされ得る。
【0019】
[0022]結合器170は、上部導波路120および下部導波路220の重なる部分内に組み込まれ得、および/または、上部導波路120および下部導波路220の重なる部分190、290の間に位置決めされ得る。結合器170は、レーザ光および/または他の光エネルギーを、上部導波路120の第1の部分190からWBG構造200の下部導波路220の第2の部分290まで結合し得る。
【0020】
[0023]この目的で、結合器170は、垂直格子結合器(VGC)を上部導波路120の1つまたは複数の表面に含み得る。VGCは、上部導波路120および下部導波路220の重なる部分190、290を介して、上部導波路120の光エネルギーを下部導波路220に結合する垂直格子を含み得る。あるいは、結合器170は、上部導波路120および/または下部導波路220の1つまたは複数のテーパー部190、290においてエバネッセントテーパー結合器(ETC)を含み得る。ETCは、格子の援助なしに、上部導波路120の光エネルギーを下部導波路220に結合し得る。それにもかかわらず、結合器170(例えば、VGCまたはETC)は、NBG構造100の上部導波路120とWBG構造200の下部導波路220との間で、キャビティ内の光学的結合器として機能し得る。このように、
図1から
図3のレーザ10は、異なるバンドギャップを有する半導体から形成される上部キャビティ110および下部キャビティ210を有するコンポジットレーザキャビティを形成し得る。
【0021】
[0024]上述したように、上部キャビティ110は、下部キャビティ210を実施するのに用いられる半導体材料より狭いバンドギャップを有する半導体材料によって実施され得る。特に、上部キャビティ110は、狭バンドギャップ半導体材料、例えば、InP、GaAsまたは合金層を用いた関連付けられた量子ウェルによって実施され得る。例えば、上部キャビティ110は、約1.34eVの、約1.42eVの、2eV未満の、3eV未満の、または、上述した値のいずれか2つの値の間の範囲内のバンドギャップを有する半導体材料によって実施され得る。さまざまな実施形態において、上部キャビティ110、DBR構造130、DFB構造160および結合器170は、非常に薄い下部クラッディング層厚(例えば、1ミクロン未満)を有する点以外、典型的な半導体レーザ構造と同様の方法で実施され得る。非常に薄い下部クラッディング層厚は、より高い熱伝導率を示し得る下部半導体構造200に熱を効率的に伝達することができる。
【0022】
[0025]さまざまな実施形態において、WBG構造200およびその下部キャビティ210は、広バンドギャップ半導体材料または基板、例えば、SiC、AlN、ダイヤモンドなどによって実施され得る。例えば、WBG構造200は、約3eVの、約3.3eVの、約5.47の、約6.2の、3eV超の、5eV超の、6eV超の、または、上述した値のいずれか2つの値の間の範囲内のバンドギャップを有する半導体材料によって実施され得る。WBG構造200の下部導波路220は、レーザ光または他の光エネルギーを、NBG構造100の上部導波路120から下部半導体構造200の出力ファセット240まで導き得る。
【0023】
[0026]WBG構造200は、それ自身の結合器または部分的な反射出力ファセットを有するNBG構造100の結合器170を通して、コンポジットレーザキャビティを確立し得る。さらに、WBG構造200は、より高い光出力および効率のためのNBG構造100からの熱のより良好な熱除去を提供し得る。WBG構造200の下部導波路220は、上部導波路120の屈折率より低い屈折率を提供し得る。より低い屈折率は、出力ファセット240でのより大きい光学モードを提供し得、上部導波路120と比較して、外部の光ファイバとのより低い損失結合を可能にし得る。下部導波路220のより低い屈折率はまた、密度の減少によって生成されるより少ない光損傷で、出力ファセット240における高い光出力での信頼性を高め得る。WBG構造200の下部導波路220はまた、複数のNBG構造100からの異なる放出波長を結合し、多色レーザエミッタを形成する光出力結合器を提供し得る。
【0024】
[0027]本開示は、特定の例の参照を含むが、開示の範囲から逸脱することなく、さまざまな変更がなされ得、均等物が置換され得ることは、当業者には理解される。加えて、本開示の範囲から逸脱することなく、開示された例に対して修正が行われ得る。それゆえ、本開示が開示される例に限定されるものではなく、開示が添付の請求の範囲に含まれるすべての例を含むことが意図される。
【符号の説明】
【0025】
10 レーザ
100 上部半導体構造、NBG構造
101 上部構造の上面
102 上部構造の下面
103 上部構造の側面
110 上部キャビティ
120 上部導波路
130 DBR構造
140 第1のコンタクト
150 第2のコンタクト
160 DFB構造
170 結合器
180 誘電体
190 重なる部分、第1の部分、テーパー部
200 下部半導体構造、WBG構造
201 下部構造の上面
202 下部構造の下面
203 下部構造の側面
210 下部キャビティ
220 下部導波路
230 DBR構造
240 出力ファセット
290 重なる部分、第2の部分、テーパー部