(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-19
(45)【発行日】2025-02-28
(54)【発明の名称】固体撮像素子
(51)【国際特許分類】
H10F 39/12 20250101AFI20250220BHJP
H01L 21/3205 20060101ALI20250220BHJP
H01L 21/768 20060101ALI20250220BHJP
H01L 23/522 20060101ALI20250220BHJP
H10F 39/18 20250101ALI20250220BHJP
H10D 88/00 20250101ALI20250220BHJP
H10D 84/83 20250101ALI20250220BHJP
H10D 64/27 20250101ALI20250220BHJP
H10D 30/01 20250101ALI20250220BHJP
H10D 30/67 20250101ALI20250220BHJP
H10D 30/66 20250101ALI20250220BHJP
H10D 84/80 20250101ALI20250220BHJP
【FI】
H10F39/12 D
H01L21/88 J
H01L21/88 T
H10F39/18 A
H10D88/00 B
H10D84/83 E
H10D64/27 G
H10D30/01 101Z
H10D30/67 103C
H10D30/67 102K
H10D30/67 102N
H10D30/66 101F
H10D30/66 102G
H10D30/66 201A
H10D30/66 202C
H10D84/80 202C
H10D84/80 202Z
H10D30/01 301A
(21)【出願番号】P 2023169789
(22)【出願日】2023-09-29
(62)【分割の表示】P 2020550475の分割
【原出願日】2019-10-02
【審査請求日】2023-09-29
(31)【優先権主張番号】P 2018193723
(32)【優先日】2018-10-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2019119168
(32)【優先日】2019-06-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】316005926
【氏名又は名称】ソニーセミコンダクタソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103850
【氏名又は名称】田中 秀▲てつ▼
(74)【代理人】
【識別番号】100114177
【氏名又は名称】小林 龍
(74)【代理人】
【識別番号】100066980
【氏名又は名称】森 哲也
(72)【発明者】
【氏名】深作 克彦
(72)【発明者】
【氏名】松本 光市
(72)【発明者】
【氏名】清水 暁人
【審査官】黒田 久美子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2011/077580(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0138752(US,A1)
【文献】特開2016-127284(JP,A)
【文献】特開2014-056963(JP,A)
【文献】特開2014-022561(JP,A)
【文献】特開2018-129374(JP,A)
【文献】特開2009-070947(JP,A)
【文献】特開2005-142503(JP,A)
【文献】国際公開第2018/180574(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H10F 39/12
H10F 39/18
H01L 21/3205
H10D 88/00
H10D 84/83
H10D 64/27
H10D 30/01
H10D 30/67
H10D 30/66
H10D 84/80
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フォトダイオードと、前記フォトダイオードに接続した転送トランジスタ及びフローティングディフュージョンと、を備える画素回路を配置した半導体層である第一半導体層と、
前記第一半導体層に積層した層間絶縁層と、
半導体装置を含む増幅トランジスタを配置した半導体層であり、且つ前記層間絶縁層に積層した第二半導体層と、を含み、
前記転送トランジスタには、前記層間絶縁層及び前記第二半導体層を貫通する転送側層間配線が接続され、
前記半導体装置は、
低濃度N型領域と、
前記低濃度N型領域を間に挟んで、前記第一半導体層及び前記第二半導体層を積層した方向と直交する方向に積層され、且つ前記低濃度N型領域よりも不純物の濃度が高い第一高濃度N型領域及び第二高濃度N型領域と、
前記低濃度N型領域の少なくとも一部と対向するゲート電極と、
前記ゲート電極と対向する部分とは異なる前記低濃度N型領域の少なくとも一部と対向する遮蔽電極と、
前記ゲート電極と前記低濃度N型領域との間に配置された第一絶縁膜と、
前記ゲート電極と前記第一高濃度N型領域との間に配置された第二絶縁膜と、を有し、
前記第一高濃度N型領域は、ソース電極及びドレイン電極のうち一方と接続し、
前記第二高濃度N型領域は、前記ソース電極及び前記ドレイン電極のうち他方と接続し、
前記低濃度N型領域は、前記低濃度N型領域と前記第一高濃度N型領域及び前記第二高濃度N型領域を積層した方向である積層方向から見て前記積層方向と平行な二辺及び前記積層方向と直交する二辺を有する方形であり、
前記ゲート電極は、前記層間絶縁層及び前記第二半導体層を貫通するゲート側層間配線により前記フローティングディフュージョンに接続されて前記第一半導体層へ電気的に接続され、
前記遮蔽電極は、前記第一半導体層及び前記第二半導体層とは異なる部位へ電気的に接続され
、
前記ゲート電極及び前記遮蔽電極は、前記積層方向から見て、前記低濃度N型領域の三辺又は四辺と対向する固体撮像素子。
【請求項2】
前記ゲート電極は、前記積層方向から見て、前記平行な二辺のうち前記第一半導体層から遠い一辺、及び前記直交する二辺のうち前記ゲート側層間配線に近い一辺と対向し、
前記遮蔽電極は、前記積層方向から見て、前記平行な二辺のうち前記第一半導体層に近い一辺、及び前記直交する二辺のうち前記転送側層間配線に近い一辺と対向する請求項
1に記載した固体撮像素子。
【請求項3】
前記ゲート電極は、前記積層方向から見て、前記平行な二辺、及び前記直交する二辺のうち前記ゲート側層間配線に近い一辺と対向し、
前記遮蔽電極は、前記積層方向から見て、前記直交する二辺のうち前記転送側層間配線に近い一辺と対向する請求項
1に記載した固体撮像素子。
【請求項4】
前記ゲート電極は、前記積層方向から見て、前記平行な二辺のうち前記第一半導体層に近い一辺、及び前記直交する二辺のうち前記ゲート側層間配線に近い一辺と対向し、
前記遮蔽電極は、前記積層方向から見て、前記直交する二辺のうち前記転送側層間配線に近い一辺と対向する請求項
1に記載した固体撮像素子。
【請求項5】
前記ゲート電極は、前記積層方向から見て、前記直交する二辺のうち前記ゲート側層間配線に近い一辺と対向し、
前記遮蔽電極は、前記積層方向から見て、前記平行な二辺のうち前記第一半導体層に近い一辺、及び前記直交する二辺のうち前記転送側層間配線に近い一辺と対向する請求項
1に記載した固体撮像素子。
【請求項6】
前記ゲート電極は、前記積層方向から見て、前記平行な二辺と対向し、
前記遮蔽電極は、前記積層方向から見て、前記直交する二辺と対向し、
前記遮蔽電極と前記低濃度N型領域との間に配置された第五絶縁膜を有し、
前記第五絶縁膜の厚さが、前記第一絶縁膜の厚さよりも厚い請求項
1に記載した固体撮像素子。
【請求項7】
前記ゲート電極と前記遮蔽電極が一体化され、
前記一体化されたゲート電極及び遮蔽電極は、前記積層方向から見て、前記低濃度N型領域を包囲する請求項
6に記載した固体撮像素子。
【請求項8】
前記ゲート電極は、前記低濃度N型領域と対向する部分である低濃度領域対向部と、前記第一高濃度N型領域及び前記第二高濃度N型領域のうち少なくとも一方と対向する部分である高濃度領域対向部と、を有し、
前記高濃度領域対向部と前記第一高濃度N型領域及び前記第二高濃度N型領域のうち少なくとも一方とが対向する距離が、前記低濃度領域対向部と前記低濃度N型領域とが対向する距離よりも長い請求項1に記載した固体撮像素子。
【請求項9】
前記第一半導体層には、4つの前記画素回路が配置され、
4つの前記画素回路がそれぞれ備える4個の前記フローティングディフュージョンを接続するN型ポリシリコンパッドと、
前記N型ポリシリコンパッドと前記増幅トランジスタとを接続する共有コンタクトと、を含む請求項1に記載した固体撮像素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示に係る技術(本技術)は、例えば、撮像装置に用いる半導体装置と、半導体装置が増幅トランジスタに組み込まれている固体撮像素子に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置としては、例えば、特許文献1に開示されている技術のように、チャネルを囲むようにゲート電極が形成される、Gate All Around構造(以降の説明では、「GAA構造」と記載する)を備えるものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示されている技術のように、GAA構造の半導体装置は、製造プロセスが複雑となるため、工程数が増えることに起因して、コストが増加するという問題点がある。
【0005】
本技術は、上記問題点を鑑み、製造プロセスの複雑化を抑制することが可能な半導体装置と、半導体装置が増幅トランジスタに組み込まれている固体撮像素子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本技術の一態様に係る半導体装置は、低濃度N型領域と、第一高濃度N型領域と、第二高濃度N型領域と、ゲート電極と、第一絶縁膜と、第二絶縁膜を有する。第一高濃度N型領域及び第二高濃度N型領域は、低濃度N型領域を間に挟んで積層し、且つ低濃度N型領域よりも不純物の濃度が高い領域である。また、第一高濃度N型領域は、ソース電極及びドレイン電極のうち一方と接続し、第二高濃度N型領域は、ソース電極及びドレイン電極のうち他方と接続している。ゲート電極は、低濃度N型領域、第一高濃度N型領域及び第二高濃度N型領域を積層した方向である積層方向から見て、低濃度N型領域を包囲する。第一絶縁膜は、ゲート電極と低濃度N型領域との間に配置されている。第二絶縁膜は、ゲート電極と第一高濃度N型領域との間に配置されている。
【0007】
本技術の一態様に係る固体撮像素子は、増幅トランジスタを備える画素回路を有し、増幅トランジスタに上述した半導体装置が組み込まれている。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】第1実施形態に係る半導体装置の構成を示す俯瞰図である。
【
図4】第1実施形態に係る半導体装置の製造プロセスのうち、底部領域形成工程を示す断面図である。
【
図5】第1実施形態に係る半導体装置の製造プロセスのうち、素子分離形成工程を示す断面図である。
【
図6】第1実施形態に係る半導体装置の製造プロセスのうち、対向領域形成工程を示す断面図である。
【
図7】第1実施形態に係る半導体装置の製造プロセスのうち、酸化膜堆積工程を示す断面図である。
【
図8】第1実施形態に係る半導体装置の製造プロセスのうち、ポリシリコン堆積工程を示す断面図である。
【
図9】第1実施形態に係る半導体装置の製造プロセスのうち、マスク除去工程を示す断面図である。
【
図10】第1実施形態に係る半導体装置の製造プロセスのうち、低濃度N型領域形成工程と第二高濃度N型領域形成工程を示す断面図である。
【
図11】第2実施形態に係る半導体装置の構成を示す俯瞰図である。
【
図13】第2実施形態に係る半導体装置の製造プロセスのうち、第一酸化膜堆積工程を示す断面図である。
【
図14】第2実施形態に係る半導体装置の製造プロセスのうち、第一酸化膜エッチング工程を示す断面図である。
【
図15】第2実施形態に係る半導体装置の製造プロセスのうち、第一酸化膜エッチング工程を示す断面図である。
【
図16】第2実施形態に係る半導体装置の製造プロセスのうち、第一マスク除去工程を示す断面図である。
【
図17】第2実施形態に係る半導体装置の製造プロセスのうち、第二酸化膜堆積工程を示す断面図である。
【
図18】第2実施形態に係る半導体装置の製造プロセスのうち、ポリシリコン堆積工程を示す断面図である。
【
図19】第2実施形態に係る半導体装置の製造プロセスのうち、マスク除去工程を示す断面図である。
【
図20】第3実施形態に係る半導体装置の構成を示す断面図である。
【
図21】第3実施形態に係る半導体装置の製造プロセスのうち、第一酸化膜堆積工程を示す断面図である。
【
図22】第3実施形態に係る半導体装置の製造プロセスのうち、第一酸化膜エッチング工程を示す断面図である。
【
図23】第3実施形態に係る半導体装置の製造プロセスのうち、第一酸化膜エッチング工程を示す断面図である。
【
図24】第3実施形態に係る半導体装置の製造プロセスのうち、第一マスク除去工程を示す断面図である。
【
図25】第3実施形態に係る半導体装置の製造プロセスのうち、第二酸化膜堆積工程を示す断面図である。
【
図26】第3実施形態に係る半導体装置の製造プロセスのうち、ポリシリコン堆積工程を示す断面図である。
【
図27】第3実施形態に係る半導体装置の製造プロセスのうち、マスク除去工程を示す断面図である。
【
図28】第4実施形態に係る半導体装置の構成を示す俯瞰図である。
【
図30】第4実施形態の変形例に係る半導体装置の構成を示す俯瞰図である。
【
図32】第5実施形態に係る半導体装置の構成を示す俯瞰図である。
【
図33】
図32のXXXIII-XXXIII線断面図である。
【
図34】第6実施形態に係る半導体装置の構成を示す俯瞰図である。
【
図35】第7実施形態に係る半導体装置の構成を示す俯瞰図である。
【
図36】第8実施形態に係る固体撮像素子の構成を示す断面図である。
【
図37】第8実施形態に係る固体撮像素子の構成を示す断面図である。
【
図38】センサ画素及び読み出し回路の一例を表す図である。
【
図39】複数の読み出し回路と複数の垂直信号線との接続態様の一例を表す図である。
【
図41】第8実施形態に係る固体撮像素子の製造プロセスを示す断面図である。
【
図42】第8実施形態に係る固体撮像素子の製造プロセスを示す断面図である。
【
図43】第8実施形態に係る固体撮像素子の製造プロセスを示す断面図である。
【
図44】第8実施形態に係る固体撮像素子の製造プロセスを示す断面図である。
【
図45】第8実施形態に係る固体撮像素子の製造プロセスを示す断面図である。
【
図46】第8実施形態に係る固体撮像素子の製造プロセスを示す断面図である。
【
図47】第8実施形態に係る固体撮像素子の製造プロセスを示す断面図である。
【
図48】第8実施形態に係る固体撮像素子の製造プロセスを示す断面図である。
【
図49】第8実施形態に係る固体撮像素子の製造プロセスを示す断面図である。
【
図50】第8実施形態に係る固体撮像素子の製造プロセスを示す断面図である。
【
図51】第8実施形態に係る固体撮像素子の製造プロセスを示す断面図である。
【
図52】第8実施形態に係る固体撮像素子の製造プロセスを示す断面図である。
【
図53】第8実施形態に係る固体撮像素子の製造プロセスを示す断面図である。
【
図54】
図53のXXXXXIV-XXXXXIV線断面図である。
【
図55】
図54のXXXXXV-XXXXXV線断面図である。
【
図56】第9実施形態に係る固体撮像素子の構成を示す断面図である。
【
図57】第10実施形態に係る固体撮像素子の構成を示す断面図である。
【
図58】第11実施形態に係る固体撮像素子の構成を示す断面図である。
【
図59】第12実施形態に係る固体撮像素子の構成を示す断面図である。
【
図60】第13実施形態に係る固体撮像素子の構成を示す断面図である。
【
図61】第13実施形態に係る固体撮像素子の製造プロセスを示す断面図である。
【
図62】第14実施形態に係る撮像装置の機能構成の一例を表すブロック図である。
【
図63】
図62に示した撮像装置の概略構成を表す平面模式図である。
【
図64】
図63に示したIII-III’線に沿った断面構成を表す模式図である。
【
図65】
図62に示した画素共有ユニットの等価回路図である。
【
図66】複数の画素共有ユニットと複数の垂直信号線との接続態様の一例を表す図である。
【
図67】
図64に示した撮像装置の具体的な構成の一例を表す断面模式図である。
【
図68A】
図67に示した第1基板の要部の平面構成の一例を表す模式図である。
【
図68B】
図68Aに示した第1基板の要部とともにパッド部の平面構成を表す模式図である。
【
図69】
図67に示した第2基板(半導体層)の平面構成の一例を表す模式図である。
【
図70】
図67に示した第1配線層とともに、画素回路および第1基板の要部の平面構成の一例を表す模式図である。
【
図71】
図67に示した第1配線層および第2配線層の平面構成の一例を表す模式図である。
【
図72】
図67に示した第2配線層および第3配線層の平面構成の一例を表す模式図である。
【
図73】
図67に示した第3配線層および第4配線層の平面構成の一例を表す模式図である。
【
図74】
図64に示した撮像装置への入力信号の経路について説明するための模式図である。
【
図75】
図64に示した撮像装置の画素信号の信号経路について説明するための模式図である。
【
図76】
図69に示した第2基板(半導体層)の平面構成の一変形例を表す模式図である。
【
図77】
図76に示した画素回路とともに、第1配線層および第1基板の要部の平面構成を表す模式図である。
【
図78】
図77に示した第1配線層とともに、第2配線層の平面構成の一例を表す模式図である。
【
図79】
図78に示した第2配線層とともに、第3配線層の平面構成の一例を表す模式図である。
【
図80】
図79に示した第3配線層とともに、第4配線層の平面構成の一例を表す模式図である。
【
図81】
図68Aに示した第1基板の平面構成の一変形例を表す模式図である。
【
図82】
図81に示した第1基板に積層される第2基板(半導体層)の平面構成の一例を表す模式図である。
【
図83】
図82に示した画素回路とともに、第1配線層の平面構成の一例を表す模式図である。
【
図84】
図83に示した第1配線層とともに、第2配線層の平面構成の一例を表す模式図である。
【
図85】
図84に示した第2配線層とともに、第3配線層の平面構成の一例を表す模式図である。
【
図86】
図85に示した第3配線層とともに、第4配線層の平面構成の一例を表す模式図である。
【
図87】
図81に示した第1基板の平面構成の他の例を表す模式図である。
【
図88】
図87に示した第1基板に積層される第2基板(半導体層)の平面構成の一例を表す模式図である。
【
図89】
図88に示した画素回路とともに、第1配線層の平面構成の一例を表す模式図である。
【
図90】
図89に示した第1配線層とともに、第2配線層の平面構成の一例を表す模式図である。
【
図91】
図90に示した第2配線層とともに、第3配線層の平面構成の一例を表す模式図である。
【
図92】
図91に示した第3配線層とともに、第4配線層の平面構成の一例を表す模式図である。
【
図93】
図64に示した撮像装置の他の例を表す断面模式図である。
【
図94】
図93に示した撮像装置への入力信号の経路について説明するための模式図である。
【
図95】
図93に示した撮像装置の画素信号の信号経路について説明するための模式図である。
【
図96】
図67に示した撮像装置の他の例を表す断面模式図である。
【
図98】
図68A等に示した画素分離部の他の例を表す平面模式図である。
【
図99】上記実施の形態およびその変形例に係る撮像装置を備えた撮像システムの概略構成の一例を表す図である。
【
図100】
図99に示した撮像システムの撮像手順の一例を表す図である。
【
図101】車両制御システムの概略的な構成の一例を示すブロック図である。
【
図102】車外情報検出部及び撮像部の設置位置の一例を示す説明図である。
【
図103】内視鏡手術システムの概略的な構成の一例を示す図である。
【
図104】カメラヘッド及びCCUの機能構成の一例を示すブロック図である。
【
図105】本技術の適用例としての固体撮像素子の一例を示す回路図である。
【
図106】本技術の適用例としての固体撮像素子の一例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して、本技術の実施形態を説明する。図面の記載において、同一または類似の部分には同一または類似の符号を付し、重複する説明を省略する。各図面は模式的なものであり、現実のものとは異なる場合が含まれる。以下に示す実施形態は、本技術の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、本技術の技術的思想は、下記の実施形態に例示した装置や方法に特定するものでない。本技術の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された技術的範囲内において、種々の変更を加えることが可能である。
【0010】
(第1実施形態)
<半導体装置の全体構成>
第1実施形態に係る半導体装置は、例えば、固体撮像素子の画素回路が備える増幅トランジスタに組み込まれている。
【0011】
図1及び
図2に示すように、半導体装置は、低濃度N型領域LNと、第一高濃度N型領域2と、第二高濃度N型領域3と、ゲート電極4と、第一絶縁膜5aと、第二絶縁膜5bと、第三絶縁膜5cを有する。
【0012】
低濃度N型領域LNは、不純物の濃度が10keV/1E18(個/cm2)以下である材料を用いて形成する。第1実施形態では、低濃度N型領域LNを、不純物の濃度が100keV/1E13(個/cm2)のリンを用いて形成した場合について説明する。
また、低濃度N型領域LNの形状は、直方体である。
【0013】
低濃度N型領域LNが形成する直方体のうち互いに隣接しない二つの面は、それぞれ、
図2に示す積層方向から見て平面を形成している。なお、積層方向の説明は、後述する。
したがって、低濃度N型領域LNの形状は、積層方向から見て方形である。
【0014】
第一高濃度N型領域2は、低濃度N型領域LNよりも不純物の濃度が高い材料、例えば、不純物の濃度が10keV/1E19(個/cm2)以上である材料を用いて形成する。第1実施形態では、第一高濃度N型領域2を、不純物の濃度が500keV/1E14(個/cm2)のリンと、不純物の濃度が100keV/1E14(個/cm2)のリンを用いて形成した場合について説明する。
また、第一高濃度N型領域2は、対向領域2aと、底部領域2bを含んで形成されている。
【0015】
対向領域2aは、ゲート電極4を間に挟んで低濃度N型領域LNと対向する領域である。第1実施形態では、一例として、対向領域2aを、不純物の濃度が100keV/1E
14(個/cm
2)のリンを用いて形成した場合について説明する。
底部領域2bは、低濃度N型領域LNの互いに隣接しない二つの面のうち一方の面(
図2中では下方の面)と接触する部分と、ゲート電極4と積層方向で対向する部分を含む領域である。第1実施形態では、一例として、底部領域2bを、不純物の濃度が500keV/1E
14(個/cm
2)のリンを用いて形成した場合について説明する。
【0016】
また、第一高濃度N型領域2は、ソース電極及びドレイン電極のうち一方と接続している。第1実施形態では、図に示すように、第一高濃度N型領域2のうち対向領域2aが、ドレイン電極(
図2に示す「Drain」)と接続している場合について説明する。
【0017】
第二高濃度N型領域3は、低濃度N型領域LNよりも不純物の濃度が高い材料、例えば、不純物の濃度が10keV/1E
19(個/cm
2)以上である材料を用いて形成する。第1実施形態では、第二高濃度N型領域3を、不純物の濃度が10keV/1E
14(個/cm
2)のリンを用いて形成した場合について説明する。
また、第二高濃度N型領域3は、低濃度N型領域LNの互いに隣接しない二つの面のうち他方の面(
図2中では上方の面)に接触している。
【0018】
以上により、第一高濃度N型領域2及び第二高濃度N型領域3は、低濃度N型領域LNを間に挟んで低濃度N型領域LNと積層し、且つ低濃度N型領域LNよりも不純物の濃度が高い領域である。
したがって、積層方向は、低濃度N型領域LNと第一高濃度N型領域2及び第二高濃度N型領域3を積層した方向である。
【0019】
また、第二高濃度N型領域3は、ソース電極及びドレイン電極のうち他方と接続している。第1実施形態では、図に示すように、第二高濃度N型領域3がソース電極(
図2に示す「Source」)と接続している場合について説明する。
第二高濃度N型領域3のソース電極と接続している面と、対向領域2aのドレイン電極と接続している面は、積層方向と直交する方向から見て同じ高さ(シリコン表面の高さ)である。
したがって、第一高濃度N型領域2のソース電極またはドレイン電極と接続している面と、第二高濃度N型領域3のソース電極またはドレイン電極と接続している面とは、積層方向と直交する方向から見て同じ高さにある。
【0020】
ゲート電極4は、積層方向(
図2中では、上下方向)から見て、低濃度N型領域LNを包囲する。
また、ゲート電極4は、低濃度N型領域LNと対向していない部分を有する。すなわち、低濃度N型領域LNは、ゲート電極4と対向していない部分を有する。
【0021】
ゲート電極4の材料としては、例えば、多結晶シリコン(Poly-Si)、窒化チタン(TiN)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、タングステン(W)のうち少なくとも一つを用いる。第1実施形態では、ゲート電極4の材料として、多結晶シリコンを用いた場合について説明する。
ゲート電極4の形状は、積層方向から見て方形である。
【0022】
第一絶縁膜5aは、ゲート電極と低濃度N型領域LNとの間に配置されている。
第一絶縁膜5aの材料としては、例えば、酸化シリコン(SiO)、窒化シリコン(SiN)、酸化ハフニウム(HfO)のうち少なくとも一つを用いる。
【0023】
第二絶縁膜5bは、ゲート電極と第一高濃度N型領域2との間に配置されている。
第二絶縁膜5bの材料としては、例えば、酸化シリコン、窒化シリコン、酸化ハフニウムのうち少なくとも一つを用いる。
【0024】
第三絶縁膜5cは、対向領域2aとゲート電極との間に配置されている。
第三絶縁膜5cの材料としては、例えば、酸化シリコン、窒化シリコン、酸化ハフニウムのうち少なくとも一つを用いる。
【0025】
第1実施形態では、第一絶縁膜5a、第二絶縁膜5b及び第三絶縁膜5cの材料として、酸化シリコンを用いる場合について説明する。
【0026】
第1実施形態の半導体装置は、シリコン表面よりも下の領域において、縦方向に、不純物の濃度を高くした層(第一高濃度N型領域2)と、不純物の濃度を低くした層(低濃度N型領域LN)と、不純物濃度を高くした層(第二高濃度N型領域3)の分布を有する。これに加え、第1実施形態の半導体装置は、低濃度N型領域LNの周りをゲート絶縁膜(第一絶縁膜5aと、第二絶縁膜5bと、第三絶縁膜5c)とゲート電極4で囲んだGAA構造とする。
このため、電流は、第二高濃度N型領域3が接続しているソース電極から、低濃度N型領域LNで形成されるチャネル(チャネル領域)を経由して、ドレイン電極に接続している第一高濃度N型領域2(底部領域2b)へと、上下方向(積層方向)に流れる。
そして、ゲート電極4は、
図3に示すように、チャネルの周囲から、ゲート電位によって空乏層DLの幅を調節し、ゲート電位を小さくするときは空乏層DLを拡大する。また、チャネルの全てが空乏化したときには、ソース電極からドレイン電極へ電流は流れなくなる(オフ動作時)。一方、ゲート電位を大きくし、空乏層DLを狭くしたときには、ソース電極からドレイン電極へ電流が流れる(オン動作時)。なお、
図3中には、ゲート絶縁膜の界面トラップを、符号TPを付して示す。
【0027】
<半導体装置の製造プロセス>
図1から
図3を参照しつつ、
図4から
図10を用いて、第1実施形態の半導体装置を製造する製造プロセスを説明する。
半導体装置の製造プロセスは、底部領域形成工程と、素子分離形成工程と、対向領域形成工程と、酸化膜堆積工程と、ポリシリコン堆積工程を含む。これに加え、マスク除去工程と、低濃度N型領域形成工程と、第二高濃度N型領域形成工程と、熱処理工程と、コンタクト形成工程を含む。
【0028】
底部領域形成工程では、
図4に示すように、シリコン基板10の下部領域に、イオン注入方法を用いて、不純物の濃度が500keV/1E
14(個/cm
2)のリンを注入することで、底部領域2bを形成する。
【0029】
素子分離形成工程は、底部領域形成工程の後工程である。
素子分離形成工程では、
図5に示すように、後にゲート電極4と、第一絶縁膜5aと、第二絶縁膜5bと、第三絶縁膜5cを形成する領域を除く領域に、フォトリソグラフィによって、窒化膜等で形成されたハードマスク12をパターニングする。さらに、素子分離形成工程では、プラズマエッチングにより、後にゲート電極4と、第一絶縁膜5aと、第二絶縁膜5bと、第三絶縁膜5cを形成する領域に対し、シリコン基板10を約500[nm]の深さで掘り込む。
【0030】
対向領域形成工程は、素子分離形成工程の後工程である。
対向領域形成工程では、
図6に示すように、シリコン基板10のうち素子分離形成工程で掘り込んだ部分と、積層方向から見て素子分離形成工程で掘り込んだ部分に包囲されている部分に、フォトリソグラフィにより第一レジストマスク14aを形成する。さらに、対向領域形成工程では、第一レジストマスク14aを形成していない領域のシリコン基板10に、イオン注入方法を用いて、不純物の濃度が100keV/1E
14(個/cm
2)のリンを注入することで、対向領域2aを形成する。
【0031】
酸化膜堆積工程は、対向領域形成工程の後工程である。
酸化膜堆積工程では、
図7に示すように、対向領域形成工程で形成した第一レジストマスク14aを除去する。その後に、熱酸化方法によって、後に第一絶縁膜5a、第二絶縁膜5b及び第三絶縁膜5cとなる酸化膜16を、シリコン基板10、底部領域2b及びハードマスク12に、例えば、約7[nm]の厚さで堆積させる。
【0032】
ポリシリコン堆積工程は、酸化膜堆積工程の後工程である。
ポリシリコン堆積工程では、
図8に示すように、酸化膜堆積工程で酸化膜16を堆積させた面に、CVD(Chemical Vapor Deposition)法によって、ポリシリコン18を堆積させる。
【0033】
マスク除去工程は、ポリシリコン堆積工程の後工程である。
マスク除去工程では、
図9に示すように、CMP(Chemical Mechanical Polishing)法によって、ポリシリコン堆積工程で堆積させたポリシリコン18を平坦化する。さらに、マスク除去工程では、ウェットエッチングによって、素子分離形成工程でパターニングしたハードマスク12を除去することで、ゲート電極4と、第一絶縁膜5aと、第二絶縁膜5bと、第三絶縁膜5cを形成する。
【0034】
低濃度N型領域形成工程は、マスク除去工程の後工程である。
低濃度N型領域形成工程では、
図10に示すように、対向領域2aと、ゲート電極4と、第一絶縁膜5aと、第三絶縁膜5cに、フォトリソグラフィにより第二レジストマスク14bを形成する。さらに、低濃度N型領域形成工程では、第二レジストマスク14bを形成していない領域のシリコン基板10に、イオン注入方法を用いて、不純物の濃度が100keV/1E
13(個/cm
2)のリンを注入することで、低濃度N型領域LNを形成する。
【0035】
第二高濃度N型領域形成工程は、低濃度N型領域形成工程の後工程である。
第二高濃度N型領域形成工程では、
図10に示すように、低濃度N型領域LNのうち、底部領域2bと接触している面と反対側の面(
図10中では上側の面)に、イオン注入方法を用いて、不純物の濃度が100keV/1E
14(個/cm
2)のリンを注入する。これにより、第二高濃度N型領域形成工程では、第二高濃度N型領域3を形成する。
【0036】
熱処理工程及びコンタクト形成工程は、第二高濃度N型領域形成工程の後工程である。
熱処理工程では、熱処理を行うことで不純物を活性化させる。
コンタクト形成工程は、公知のCMOSを形成する処理と同様の処理を行うことで、第一高濃度N型領域2をソース電極及びドレイン電極のうち一方と接続させ、第二高濃度N型領域3がソース電極及びドレイン電極のうち他方と接続させる。
【0037】
第1実施形態の構成であれば、公知である従来のCMOSを形成する製造プロセスと親和性を有するため、製造プロセスの複雑化を抑制することが可能な半導体装置を提供することが可能となる。
【0038】
また、第1実施形態の構成であれば、低濃度N型領域LNで形成されるチャネルを、ゲート電極4で包囲する構造となるため、チャネルが、ゲート絶縁膜の界面トラップからの影響を受けない構造となる。このため、界面トラップに起因して発生するノイズを抑制することが可能となる。
【0039】
(第1実施形態の変形例)
第1実施形態では、ゲート電極4の材料として、多結晶シリコンを用いたが、これに限定するものではなく、ゲート電極4の材料として、窒化チタン及びアルミニウムを用いてもよい。この場合、第一絶縁膜5a、第二絶縁膜5b及び第三絶縁膜5cの材料として、酸化シリコンを主成分とし、酸化ハフニウムを添加物として用いることが、ゲート電極4とゲート絶縁膜との組み合わせとして好適である。
【0040】
(第2実施形態)
第2実施形態に係る半導体装置も、
図1に示した断面構造を有し、第1実施形態に係る半導体装置の構造と共通する。しかしながら、第2実施形態に係る半導体装置は、
図11及び
図12に示すように、第二絶縁膜5bの膜厚T2と第三絶縁膜5cの膜厚T3が、第一絶縁膜5aの膜厚T1よりも厚い構成が、第1実施形態と相違する。
【0041】
<半導体装置の製造プロセス>
図11及び
図12を参照しつつ、
図13から
図19を用いて、第2実施形態の半導体装置を製造する製造プロセスを説明する。
【0042】
半導体装置の製造プロセスは、底部領域形成工程と、素子分離形成工程と、対向領域形成工程と、第一酸化膜堆積工程と、第一酸化膜エッチング工程と、第一マスク除去工程と、第二酸化膜堆積工程を含む。これに加え、半導体装置の製造プロセスは、ポリシリコン堆積工程と、第二マスク除去工程と、低濃度N型領域形成工程と、第二高濃度N型領域形成工程と、熱処理工程と、コンタクト形成工程を含む。
底部領域形成工程と、素子分離形成工程と、対向領域形成工程と、低濃度N型領域形成工程、第二高濃度N型領域形成工程、熱処理工程、コンタクト形成工程は、上述した第1実施形態と同様であるため、説明を省略する。
【0043】
第一酸化膜堆積工程は、対向領域形成工程の後工程である。
第一酸化膜堆積工程では、
図13に示すように、熱酸化方法によって、後に第二絶縁膜5b及び第三絶縁膜5cとなる第一酸化膜16aを、シリコン基板10、底部領域2b及びハードマスク12に、例えば、約14[nm]の厚さで堆積させる。
【0044】
第一酸化膜エッチング工程は、第一酸化膜堆積工程の後工程である。
第一酸化膜エッチング工程では、
図14に示すように、シリコン基板10のうち素子分離形成工程で掘り込んだ部分と、素子分離形成工程で掘り込んだ部分よりも外周側の部分に、フォトリソグラフィにより第三レジストマスク14cを形成する。
さらに、第一酸化膜エッチング工程では、
図15に示すように、第一酸化膜16aのうち、第三レジストマスク14cによって覆われていない部分を、ウェットエッチングにより除去する。
【0045】
第一マスク除去工程は、第一酸化膜エッチング工程の後工程である。
第一マスク除去工程では、
図16に示すように、第三レジストマスク14cを除去する。
【0046】
第二酸化膜堆積工程は、第一マスク除去工程の後工程である。
第二酸化膜堆積工程では、
図17に示すように、熱酸化方法によって、後に第一絶縁膜5aとなる第二酸化膜16bを、シリコン基板10、底部領域2b及びハードマスク12に、例えば、約7[nm]の厚さで堆積させる。
【0047】
ポリシリコン堆積工程は、第二酸化膜堆積工程の後工程である。
ポリシリコン堆積工程では、
図18に示すように、第二酸化膜堆積工程で第二酸化膜16bを堆積させた面に、CVD法によって、ポリシリコン18を堆積させる。
【0048】
マスク除去工程は、ポリシリコン堆積工程の後工程である。
マスク除去工程では、
図19に示すように、CMP法によって、ポリシリコン堆積工程で堆積させたポリシリコン18を平坦化する。さらに、マスク除去工程では、ウェットエッチングによって、素子分離形成工程でパターニングしたハードマスク12を除去することで、ゲート電極4と、第一絶縁膜5aと、第二絶縁膜5bと、第三絶縁膜5cを形成する。
【0049】
第2実施形態の構成であれば、第二絶縁膜5b及び第三絶縁膜5cの膜厚と、第一絶縁膜5aの膜厚を異ならせることで、第一寄生容量CPaと、第二寄生容量CPbを低減することが可能となる。第一寄生容量CPaは、対向領域2aとゲート電極4との間に形成される寄生容量である。第二寄生容量CPbは、底部領域2bとゲート電極4との間に形成される寄生容量である。
これにより、ドレイン電極とゲート電極4との間を、低容量化することが可能となる。
【0050】
(第3実施形態)
第3実施形態に係る半導体装置も、
図1に示した断面構造を有し、第1実施形態に係る半導体装置の構造と共通する。しかしながら、第3実施形態に係る半導体装置は、
図20に示すように、第三絶縁膜5cの膜厚T3が、第一絶縁膜5aの膜厚T1及び第二絶縁膜5bの膜厚T2よりも厚い構成が、第1実施形態と相違する。
【0051】
<半導体装置の製造プロセス>
図20を参照しつつ、
図21から
図27を用いて、第3実施形態の半導体装置を製造する製造プロセスを説明する。
【0052】
第3実施形態における製造プロセスは、底部領域形成工程と、素子分離形成工程と、対向領域形成工程と、第一酸化膜堆積工程と、第一酸化膜エッチング工程と、第一マスク除去工程と、第二酸化膜堆積工程を含む。これに加え、半導体装置の製造プロセスは、ポリシリコン堆積工程と、第二マスク除去工程と、低濃度N型領域形成工程と、第二高濃度N型領域形成工程と、熱処理工程と、コンタクト形成工程を含む。
底部領域形成工程と、素子分離形成工程と、対向領域形成工程と、低濃度N型領域形成工程、第二高濃度N型領域形成工程、熱処理工程、コンタクト形成工程は、上述した第1実施形態と同様であるため、説明を省略する。
【0053】
第一酸化膜堆積工程は、対向領域形成工程の後工程である。
第一酸化膜堆積工程では、
図21に示すように、熱酸化方法によって、後に第三絶縁膜5cとなる第三酸化膜16cを、シリコン基板10、底部領域2b及びハードマスク12に、例えば、約14[nm]の厚さで堆積させる。
【0054】
第一酸化膜エッチング工程は、第一酸化膜堆積工程の後工程である。
第一酸化膜エッチング工程では、
図22に示すように、第一酸化膜堆積工程で堆積させた第三酸化膜16cのうち、後に低濃度N型領域LNとなる領域と第一絶縁膜5aとなる領域を除く部分に、フォトリソグラフィにより第四レジストマスク14dを形成する。
さらに、第一酸化膜エッチング工程では、
図23に示すように、第三酸化膜16cのうち、第四レジストマスク14dによって覆われていない部分を、ウェットエッチングにより除去する。
【0055】
第一マスク除去工程は、第一酸化膜エッチング工程の後工程である。
第一マスク除去工程では、
図24に示すように、第四レジストマスク14dを除去する。
【0056】
第二酸化膜堆積工程は、第一マスク除去工程の後工程である。
第二酸化膜堆積工程では、
図25に示すように、熱酸化方法によって、後に第一絶縁膜5a及び第二絶縁膜5bとなる第四酸化膜16dを、シリコン基板10、底部領域2b及びハードマスク12に、例えば、約7[nm]の厚さで堆積させる。
【0057】
ポリシリコン堆積工程は、第二酸化膜堆積工程の後工程である。
ポリシリコン堆積工程では、
図26に示すように、第二酸化膜堆積工程で第二酸化膜16bを堆積させた面に、CVD法によって、ポリシリコン18を堆積させる。
【0058】
マスク除去工程は、ポリシリコン堆積工程の後工程である。
マスク除去工程では、
図27に示すように、CMP法によって、ポリシリコン堆積工程で堆積させたポリシリコン18を平坦化する。さらに、マスク除去工程では、ウェットエッチングによって、素子分離形成工程でパターニングしたハードマスク12を除去することで、ゲート電極4と、第一絶縁膜5aと、第二絶縁膜5bと、第三絶縁膜5cを形成する。
【0059】
(第4実施形態)
第4実施形態に係る半導体装置は、
図28及び
図29に示すように、複数(二つ)の低濃度N型領域LNa,1bと、複数(二つ)の第二高濃度N型領域3a,3bを有する構成が、第1実施形態と相違する。以下の説明では、第1実施形態との共通する部分の説明を省略する。
【0060】
二つの低濃度N型領域LNa,1bは、互いに間隔を空けて配置されている。
二つの第二高濃度N型領域3a,3bは、それぞれ、二つの低濃度N型領域LNa,1bのうち、底部領域2bと接触している面と反対側の面に接触している。なお、図中では、第二高濃度N型領域3aが低濃度N型領域LNaと接触し、第二高濃度N型領域3bが低濃度N型領域LNbと接触している構成を示す。
したがって、一つの第一高濃度N型領域2に、複数の第二高濃度N型領域(第二高濃度N型領域3a,3b)及び複数の低濃度N型領域(低濃度N型領域LNa,1b)が積層されている。
【0061】
第4実施形態の構成であれば、ソース電極の数を増加させることで、第1実施形態の構成と比較して、面積効率を増加させて電流を増加させることが可能となり、トランジスタのサイズを調節することが可能となる。
【0062】
(第4実施形態の変形例)
第4実施形態では、二つの低濃度N型領域LNa,1bと、二つの第二高濃度N型領域3a,3bを有する構成としたが、これに限定するものではない。すなわち、例えば、
図30及び
図31に示すように、四つの低濃度N型領域LNa~1dと、四つの第二高濃度N型領域3a~3dを有する構成としてもよい。
この構成であれば、第4実施形態の構成と比較して、面積効率を増加させて電流を増加させることが可能となり、トランジスタのサイズを調節することが可能となる。
【0063】
(第5実施形態)
第5実施形態に係る半導体装置は、
図32及び
図33に示すように、第一高濃度N型領域2がドレイン電極と接続している面と、第二高濃度N型領域3がソース電極と接続している面とは、異なる高さにある構成が、第1実施形態と相違する。また、二つの面は、積層方向と直交する方向から見て異なる高さである。以下の説明では、第1実施形態との共通する部分の説明を省略する。
【0064】
第一高濃度N型領域2は、底部領域2bのみを含んで形成されている。
底部領域2bのうち、積層方向で低濃度N型領域LNと、ゲート電極4と、第一絶縁膜5aと、第二絶縁膜5bと、第三絶縁膜5cと対向していない部分は、ドレイン電極と接続している。
第5実施形態の構成であれば、半導体装置の設計自由度を向上させることが可能となる。
【0065】
(第6実施形態)
第6実施形態に係る半導体装置は、
図34に示すように、ゲート電極4が、積層方向から見て、低濃度N型領域LNと対向する部分と低濃度N型領域LNと対向していない部分を備える構成と、第四絶縁膜5dを有する構成が、第1実施形態と相違する。以下の説明では、第1実施形態との共通する部分の説明を省略する。
【0066】
ゲート電極4は、低濃度N型領域LNの第一高濃度N型領域2及び第二高濃度N型領域3と接触する二つの面と隣接する四つの面のうち、三つの面と対向している。
【0067】
第四絶縁膜5dは、積層方向と直交する方向で、低濃度N型領域LNと、第一高濃度N型領域2と、第二高濃度N型領域3と、ゲート電極4と、第一絶縁膜5aと、第二絶縁膜5bと、第三絶縁膜5cと接触する。
第四絶縁膜5dの材料としては、例えば、酸化シリコン、窒化シリコン、酸化ハフニウムのうち少なくとも一つを用いる。
第6実施形態では、第四絶縁膜5dの材料として、酸化シリコンを用いる場合について説明する。
【0068】
第6実施形態の構成であれば、低濃度N型領域LNで形成されるチャネルに対し、三方向からゲート電位を制御する構成となる。なお、チャネルに対し、一方向または二方向からゲート電位を制御する構成としてもよい。
また、第6実施形態の構成であれば、半導体装置の設計自由度を向上させることが可能となる。
【0069】
(第7実施形態)
【0070】
第7実施形態に係る半導体装置は、
図35に示すように、低濃度N型領域LNの形状が、積層方向から見て円形であり、ゲート電極4の形状が、積層方向から見て円形である構成が、第1実施形態と相違する。
したがって、第二高濃度N型領域3の形状も、積層方向から見て円形となる。
第7実施形態の構成であれば、低濃度N型領域LNで形成されるチャネルの形状が、尖った角を有していない形状となるため、チャネルの内部に電界が集中する箇所が存在せず、電界の分布が均一となるため、均一なトランジスタの動作が可能となる。
【0071】
(第8実施形態)
第8実施形態に係る半導体装置は、
図36に示すように、固体撮像素子SCCが有する。以下の説明では、第1実施形態との共通する部分の説明を省略する場合がある。
固体撮像素子SCCは、第一半導体層260と、層間絶縁層270と、第二半導体層280と、N型ポリシリコンパッド290aと、共有コンタクト290bを備える。
【0072】
第一半導体層260は、画素回路210を配置した半導体層である。
画素回路210は、フォトダイオード110と、転送トランジスタTRと、フローティングディフュージョン130を備える。
フォトダイオード110は、入射光を光電変換し、光電変換の光量に応じた電荷を生成して蓄積する。
フォトダイオード110(光電変換素子)の一端(アノード電極)は、接地されている。フォトダイオード110の他端(カソード電極)は、転送トランジスタTRのソース電極に接続されている。
【0073】
転送トランジスタTRは、フォトダイオード110とフローティングディフュージョン130との間に配置されている。転送トランジスタTRのドレイン電極は、リセットトランジスタ140のドレイン電極及び増幅トランジスタ150のゲート電極に接続されている。
また、転送トランジスタTRは、図外のタイミング制御部からゲート電極に供給される駆動信号TGRに従って、フォトダイオード110からフローティングディフュージョン130への電荷の転送をオンまたはオフする。
また、
図37に示すように、転送トランジスタTRには、層間絶縁層270及び第二半導体層280を貫通する転送側層間配線310が接続されている。
【0074】
フローティングディフュージョン130は、フォトダイオード110から転送トランジスタTRを介して転送されてくる電荷を蓄積し、電圧に変換する。すなわち、フローティングディフュージョン130は、フォトダイオード110に蓄積された信号電荷が転送される。
なお、フローティングディフュージョン130は、転送トランジスタTRのドレイン電極と、後述するリセットトランジスタ140のソース電極と、後述する増幅トランジスタ150のゲート電極とを接続する点(接続点)に形成されている。
【0075】
層間絶縁層270は、第一半導体層260に積層した層であり、第一半導体層260と第二半導体層280との間を絶縁する。
第二半導体層280は、層間絶縁層270に積層した層であり、半導体装置SDを含む増幅トランジスタ150と、リセットトランジスタ140を配置した半導体層である。
【0076】
増幅トランジスタ150は、ゲート電極がフローティングディフュージョン130に接続され、ソース電極が接地された、ソース接地型のトランジスタである。
N型ポリシリコンパッド290aは、4つの画素回路210がそれぞれ備える4個のフローティングディフュージョン130を接続する。なお、
図36には、4個のフローティングディフュージョン130及びフォトダイオード110のうち、2個のみを図示する。
共有コンタクト290bは、N型ポリシリコンパッド290aと増幅トランジスタ150とを接続する。
【0077】
また、第一半導体層260は、光電変換を行う複数のセンサ画素SPを有している。複数のセンサ画素SPは、第一半導体層260における画素領域の内部において行列状に設けられている。第8実施形態では、
図38に示すように、4つのセンサ画素SPが1つの読み出し回路RCを共有している場合について説明する。ここで、「共有」とは、4つのセンサ画素SPの出力が、共通の読み出し回路RCに入力されることを指している。
【0078】
各センサ画素SPは、互いに共通の構成要素を有している。
図38には、各センサ画素SPの構成要素を互いに区別するために、各センサ画素SPの構成要素の符号の末尾に識別番号(1,2,3,4)を付与している。以下では、各センサ画素SPの構成要素を互いに区別する必要のある場合には、各センサ画素SPの構成要素の符号の末尾に識別番号を付与するが、各センサ画素SPの構成要素を互いに区別する必要がない場合には、各センサ画素SPの構成要素を示す符号の末尾に付与した識別番号を省略する。
【0079】
各センサ画素SPは、例えば、フォトダイオード110と、転送トランジスタTRと、フローティングディフュージョン130とを有している。
1つの読み出し回路RCを共有する各センサ画素SPが有するフローティングディフュージョン130は、互いに電気的に接続されるとともに、共通の読み出し回路RCの入力端に電気的に接続されている。読み出し回路RCは、例えば、リセットトランジスタ140と、増幅トランジスタ150と、選択トランジスタ160とを有している。なお、選択トランジスタ160は、必要に応じて省略してもよい。選択トランジスタ160のソース(読み出し回路RCの出力端)は、垂直信号線170に電気的に接続されている。選択トランジスタ160のゲートは、画素駆動線(図示を省略)へ電気的に接続されている。
増幅トランジスタ150のソース(読み出し回路RCの出力端)は、垂直信号線170に電気的に接続されている。リセットトランジスタ140のソースと増幅トランジスタ150のゲートとの間には、FD転送トランジスタFDGが設けられている。FD転送トランジスタFDGのソースには、増幅トランジスタ150のゲートが電気的に接続されている。
【0080】
FD転送トランジスタFDGは、変換効率を切り替える際に用いられる。一般的に、暗い場所での撮影時には画素信号が小さい。Q=CVに基づき、電荷電圧変換を行う際に、フローティングディフュージョン130の容量(FD容量C)が大きければ、増幅トランジスタ150で電圧に変換した際のVが小さくなってしまう。一方、明るい場所では、画素信号が大きくなるので、FD容量Cが大きくなければ、フローティングディフュージョン130で、フォトダイオード110の電荷を受けきれない。さらに、増幅トランジスタ150で電圧に変換した際のVが大きくなりすぎないように(言い換えると、小さくなるように)、FD容量Cが大きくなっている必要がある。これらを踏まえると、FD転送トランジスタFDGをオンにしたときには、FD転送トランジスタFDG分のゲート容量が増えるので、全体のFD容量Cが大きくなる。一方、FD転送トランジスタFDGをオフにしたときには、全体のFD容量Cが小さくなる。このように、FD転送トランジスタFDGをオンオフ切り替えることで、FD容量Cを可変にし、変換効率を切り替えることができる。
【0081】
図39は、複数の読み出し回路RCと、複数の垂直信号線170との接続態様の一例を表したものである。複数の読み出し回路RCが、垂直信号線170の延在方向(例えば、列方向)に並んで配置されている場合、複数の垂直信号線170は、読み出し回路RCごとに1つずつ割り当てられていてもよい。例えば、
図39に示すように、4つの読み出し回路RCが、垂直信号線170の延在方向(例えば、列方向)に並んで配置されている場合、4つの垂直信号線170が、読み出し回路RCごとに1つずつ割り当てられていてもよい。なお、
図39では、各垂直信号線170を区別するために、各垂直信号線170の符号の末尾に識別番号(1,2,3,4)を付与している。
【0082】
半導体装置SDは、
図1及び
図2と、
図37及び
図40に示すように、低濃度N型領域LNと、第一高濃度N型領域2と、第二高濃度N型領域3と、ゲート電極4と、遮蔽電極320と、第一絶縁膜5aと、第二絶縁膜5bと、第五絶縁膜5eを有する。なお、
図37では、第一高濃度N型領域2、第二高濃度N型領域3、第二絶縁膜5bの図示を省略している。
低濃度N型領域LNは、例えば、不純物の濃度が10keV/1E
18(個/cm
2)以下である材料を用いて形成する。
また、低濃度N型領域LNの形状は、直方体である。
【0083】
低濃度N型領域LNは、低濃度N型領域LN、第一高濃度N型領域2及び第二高濃度N型領域3を積層した方向である積層方向から見て、積層方向と平行な二辺及び積層方向と直交する二辺を有する方形である。
第一高濃度N型領域2は、低濃度N型領域LNよりも不純物の濃度が高い材料を用いて形成する。また、第一高濃度N型領域2は、ソース電極及びドレイン電極のうち一方と接続している。
【0084】
第二高濃度N型領域3は、低濃度N型領域LNよりも不純物の濃度が高い材料を用いて形成する。また、第二高濃度N型領域3は、ソース電極及びドレイン電極のうち他方と接続している。
また、第一高濃度N型領域2及び第二高濃度N型領域3は、低濃度N型領域LNを間に挟んで、第一半導体層260及び第二半導体層280を積層した方向と直交する方向に積層されている。なお、
図40では、第一半導体層260及び第二半導体層280を積層した方向と直交する方向を、「直交方向」と示す。また、
図40に図示しているスペーサ層420については、後述する。
【0085】
ゲート電極4は、低濃度N型領域LNの少なくとも一部と対向する。具体的に、ゲート電極4は、積層方向及び直交方向から見て、低濃度N型領域LNの少なくとも一部と対向する。
また、ゲート電極4は、層間絶縁層270及び第二半導体層280を貫通するゲート側層間配線330により、フローティングディフュージョン130に接続されて第一半導体層260へ電気的に接続されている。なお、ゲート側層間配線330は、ゲート電極4と第一半導体層260を電気的に接続する配線である。
さらに、ゲート電極4は、積層方向から見て、直交する二辺を有するL字形に形成されている。ゲート電極4が有する二辺のうち一方は、積層方向から見て、低濃度N型領域LNの積層方向と平行な二辺(CNa、CNb)のうち第一半導体層260から遠い一辺CNbと対向している。ゲート電極4が有する二辺のうち他方は、積層方向から見て、低濃度N型領域LNの積層方向と直交する二辺(CNc、CNd)のうちゲート側層間配線330に近い一辺CNcと対向している。
【0086】
遮蔽電極320は、ゲート電極4と対向する部分とは異なる低濃度N型領域LNの少なくとも一部と対向する。具体的に、遮蔽電極320は、積層方向及び直交方向から見て、低濃度N型領域LNの少なくとも一部と対向する。ゲート電極4と対向する部分とは異なる低濃度N型領域LNの少なくとも一部と対向する。
また、遮蔽電極320は、例えば、遮蔽側配線340を用いて、第一半導体層260及び第二半導体層280とは異なる部位(例えば、第二半導体層280よりも上方に積層した、図外の半導体層)へ電気的に接続されている。なお、遮蔽側配線340は、遮蔽電極320と第一半導体層260及び第二半導体層280とは異なる半導体層とを電気的に接続する配線である。
第8実施形態では、遮蔽側配線340を遮蔽電極320に接続することで、遮蔽電極320にGND電位等の固定電位を設定する構成とした場合について説明する。
さらに、遮蔽電極320は、積層方向から見て、直交する二辺を有するL字形に形成されている。遮蔽電極320が有する二辺のうち一方は、積層方向から見て、低濃度N型領域LNの積層方向と平行な二辺のうち第一半導体層260に近い一辺CNaと対向している。遮蔽電極320が有する二辺のうち他方は、積層方向から見て、低濃度N型領域LNの積層方向と直交する二辺のうち転送側層間配線310に近い一辺CNdと対向している。
以上により、ゲート電極4及び遮蔽電極320は、低濃度N型領域LN、第一高濃度N型領域2及び第二高濃度N型領域3を積層した方向である積層方向から見て、低濃度N型領域LNの四辺(CNa~CNd)と対向する。
【0087】
第一絶縁膜5aは、ゲート電極4と低濃度N型領域LNとの間に配置されている。
第二絶縁膜5bは、ゲート電極4と第一高濃度N型領域2との間に配置されている。
第五絶縁膜5eは、遮蔽電極320と低濃度N型領域LNとの間に配置されている。
第五絶縁膜5eの材料としては、例えば、酸化シリコン、窒化シリコン、酸化ハフニウムのうち少なくとも一つを用いる。
【0088】
<固体撮像素子の製造プロセス>
図36から
図40を参照しつつ、
図41から
図55を用いて、第8実施形態の固体撮像素子SCCを製造する製造プロセスを説明する。
固体撮像素子SCCの製造プロセスでは、まず、
図41に示すように、第一半導体層260を形成するための第一半導体基板260a(例えば、Siを用いて形成する)に、層間絶縁層270を形成するための第一層間絶縁膜270aと第二層間絶縁膜270bを成膜する。なお、第一層間絶縁膜270aは、例えば、酸化膜により形成する。また、第二層間絶縁膜270bは、例えば、酸化膜又は窒化膜により形成する。
次に、
図42に示すように、低濃度N型領域LNを形成するためのチャネル半導体基板400(例えば、Siを用いて形成する)に、第五絶縁膜5eを形成するための第五基礎絶縁膜410を成膜する。なお、第五基礎絶縁膜410は、例えば、酸化膜により形成する。
【0089】
さらに、
図43に示すように、第五基礎絶縁膜410のチャネル半導体基板400と対向する面と反対側の面に対し、全面に遮蔽電極320を形成するための遮蔽電極材料層320aを成膜する。なお、遮蔽電極材料層320aは、例えば、多結晶シリコンを用いて形成する。
次に、
図44に示すように、遮蔽電極材料層320aの第五基礎絶縁膜410と対向する面と反対側の面に対し、全面に第二層間絶縁膜270bと貼り合わせることで層間絶縁層270を形成するための、第三層間絶縁膜270cを成膜する。なお、第三層間絶縁膜270cは、例えば、酸化膜により形成する。
【0090】
その後、
図45に示すように、チャネル半導体基板400、第五基礎絶縁膜410、遮蔽電極材料層320a、第三層間絶縁膜270cの積層体を積層方向で逆転させ、さらに、
図46に示すように、第三層間絶縁膜270cと第二層間絶縁膜270bとを貼り合わせる。
次に、
図47に示すように、チャネル半導体基板400を、低濃度N型領域LNを形成するための厚さに研磨した後、
図48に示すように、低濃度N型領域LNに対応する領域を残して、チャネル半導体基板400及び第五基礎絶縁膜410をエッチングする。
【0091】
さらに、
図49に示すように、遮蔽電極材料層320aのうち遮蔽電極320が有する二辺のうち一方を形成する部分を残して、遮蔽電極材料層320aをエッチングする。
次に、
図50に示すように、第三層間絶縁膜270cの第二層間絶縁膜270bと対向する面と反対の面に対し、全面に、チャネル半導体基板400、第五基礎絶縁膜410及び遮蔽電極材料層320aの全体を埋め込むように、第二半導体層280を形成するための第二層材料絶縁膜280aを形成する。なお、第二層材料絶縁膜280aは、例えば、酸化膜により形成する。
【0092】
その後、
図51に示すように、第二層材料絶縁膜280aのうち、低濃度N型領域LNの積層方向と直交する二辺(CNc、CNd)と対向するゲート電極4及び遮蔽電極320を形成する部分を掘り込む。
次に、
図52に示すように、第一絶縁膜5aと、第五絶縁膜5eのうち第五基礎絶縁膜410とともに第五絶縁膜5eを形成する部分である第五側方絶縁膜411を成膜する。
【0093】
さらに、
図53に示すように、ゲート電極4を形成する部分に対して、ゲート側電極材料4aを成膜する。さらに、遮蔽電極320が有する二辺のうち他方を形成する部分に対して、遮蔽側電極材料320bを成膜する。
次に、
図54に示すように、ゲート電極4が有する二辺のうち一方の、低濃度N型領域LNと対向する面と連続する二つの面に、それぞれ、スペーサ層420を形成する。さらに、低濃度N型領域LNと積層方向で対向する部分に、例えば、イオン注入方法を用いて、第一高濃度N型領域2と第二高濃度N型領域3を形成する。
その後、
図55に示すように、ゲート電極4及びスペーサ層420を埋め込むように、第二層材料絶縁膜280aと共に第二半導体層280を形成するための第三層材料絶縁膜280bを形成する。なお、第三層材料絶縁膜280bは、例えば、酸化膜により形成する。さらに、ゲート電極4及び遮蔽電極320に連通するコンタクトホールを形成し、導体(例えば、タングステン)を用いて、ゲート側層間配線330と、遮蔽側配線340を形成する。
【0094】
第8実施形態の構成であれば、低濃度N型領域LNと対向する電極(ゲート電極4、遮蔽電極320)を2分割し、遮蔽電極320に固定電位を設定することで、隣接する異電位の構造体(転送側層間配線310、ゲート側層間配線330)からの電界を遮蔽することが可能となる。これにより、低濃度N型領域LNに対して全ての方向から同じバイアスが印加されることによって発生する、閾値電圧の低下を抑制することが可能となる。
また、第8実施形態の構成であれば、遮蔽電極320に、例えば、ゲート電極4と異なる電位(GND電位と異なる電位)を設定することで、閾値電圧を任意に制御することが可能となる。
閾値電圧の低下は、以下の要因により発生する。
低濃度N型領域LNと対向する電極が分割されていない一体構造である場合、互いに対抗する電極がそれぞれのバックゲートとして機能し、チャネル(低濃度N型領域LN)内の空間電荷を打ち消して反転させるためのバイアス量が低下する。このため、閾値電圧は大きく低下してしまい、閾値電圧を適切な範囲に制御することが困難となる。
【0095】
(第8実施形態の変形例)
第8実施形態では、例えば、
図37に示すように、ゲート電極4とゲート側層間配線330との間に間隔が空いている構成としたが、これに限定するものではなく、ゲート電極4とゲート側層間配線330が接触している構成としてもよい。
【0096】
(第9実施形態)
第9実施形態に係る固体撮像素子は、
図56に示すように、ゲート電極4及び遮蔽電極320の構成が、第8実施形態と相違する。以下の説明では、第8実施形態との共通する部分の説明を省略する場合がある。
ゲート電極4は、積層方向から見て、平行な二辺と、平行な二辺と直交する一辺を有するC字形に形成されている。ゲート電極4が有する平行な二辺は、積層方向から見て、低濃度N型領域LNの積層方向と平行な二辺(CNa、CNb)と対向している。ゲート電極4が有する平行な二辺と直交する一辺は、積層方向から見て、低濃度N型領域LNの積層方向と直交する二辺(CNc、CNd)のうちゲート側層間配線330に近い一辺CNcと対向している。
【0097】
遮蔽電極320は、積層方向から見て、一辺のみの直線状に形成されている。遮蔽電極320が有する一辺は、積層方向から見て、低濃度N型領域LNの積層方向と直交する二辺(CNc、CNd)のうち転送側層間配線310に近い一辺CNdと対向している。
以上により、ゲート電極4及び遮蔽電極320は、低濃度N型領域LN、第一高濃度N型領域2及び第二高濃度N型領域3を積層した方向である積層方向から見て、低濃度N型領域LNの四辺(CNa~CNd)と対向する。
【0098】
第9実施形態の構成であれば、低濃度N型領域LNと対向する電極(ゲート電極4、遮蔽電極320)を2分割し、遮蔽電極320に固定電位を設定することで、隣接する異電位の構造体(転送側層間配線310、ゲート側層間配線330)からの電界を遮蔽することが可能となる。これにより、低濃度N型領域LNに対して全ての方向から同じバイアスが印加されることによって発生する、閾値電圧の低下を抑制することが可能となる。
また、第9実施形態の構成であれば、遮蔽電極320に、例えば、ゲート電極4と異なる電位(GND電位と異なる電位)を設定することで、閾値電圧を任意に制御することが可能となる。
【0099】
(第10実施形態)
第10実施形態に係る固体撮像素子は、
図57に示すように、ゲート電極4及び遮蔽電極320の構成が、第8実施形態と相違する。以下の説明では、第8実施形態との共通する部分の説明を省略する場合がある。
ゲート電極4は、積層方向から見て、直交する二辺を有するL字形に形成されている。ゲート電極4が有する二辺のうち一方は、積層方向から見て、低濃度N型領域LNの積層方向と平行な二辺(CNa、CNb)のうち第一半導体層260から近い一辺CNaと対向している。ゲート電極4が有する二辺のうち他方は、積層方向から見て、低濃度N型領域LNの積層方向と直交する二辺(CNc、CNd)のうちゲート側層間配線330に近い一辺CNcと対向している。
【0100】
遮蔽電極320は、積層方向から見て、一辺のみの直線状に形成されている。遮蔽電極320が有する一辺は、積層方向から見て、低濃度N型領域LNの積層方向と直交する二辺(CNc、CNd)のうち転送側層間配線310に近い一辺CNdと対向している。
以上により、ゲート電極4及び遮蔽電極320は、低濃度N型領域LN、第一高濃度N型領域2及び第二高濃度N型領域3を積層した方向である積層方向から見て、低濃度N型領域LNの三辺(CNa、CNc、CNd)と対向する。
【0101】
第10実施形態の構成であれば、低濃度N型領域LNと対向する電極(ゲート電極4、遮蔽電極320)を2分割し、遮蔽電極320に固定電位を設定することで、隣接する異電位の構造体(転送側層間配線310、ゲート側層間配線330)からの電界を遮蔽することが可能となる。これにより、低濃度N型領域LNに対して全ての方向から同じバイアスが印加されることによって発生する、閾値電圧の低下を抑制することが可能となる。
また、第10実施形態の構成であれば、遮蔽電極320に、例えば、ゲート電極4と異なる電位(GND電位と異なる電位)を設定することで、閾値電圧を任意に制御することが可能となる。
【0102】
(第11実施形態)
第11実施形態に係る固体撮像素子は、
図58に示すように、ゲート電極4及び遮蔽電極320の構成が、第8実施形態と相違する。以下の説明では、第8実施形態との共通する部分の説明を省略する場合がある。
ゲート電極4は、積層方向から見て、一辺のみの直線状に形成されている。ゲート電極4が有する一辺は、積層方向から見て、低濃度N型領域LNの積層方向と直交する二辺(CNc、CNd)のうちゲート側層間配線330に近い一辺CNcと対向している。
【0103】
遮蔽電極320は、積層方向から見て、直交する二辺を有するL字形に形成されている。遮蔽電極320が有する二辺のうち一方は、積層方向から見て、低濃度N型領域LNの積層方向と平行な二辺(CNa、CNb)のうち第一半導体層260から近い一辺CNaと対向している。遮蔽電極320が有する二辺のうち他方は、低濃度N型領域LNの積層方向と直交する二辺(CNc、CNd)のうち転送側層間配線310に近い一辺CNdと対向している。
以上により、ゲート電極4及び遮蔽電極320は、低濃度N型領域LN、第一高濃度N型領域2及び第二高濃度N型領域3を積層した方向である積層方向から見て、低濃度N型領域LNの三辺(CNa、CNc、CNd)と対向する。
【0104】
第11実施形態の構成であれば、低濃度N型領域LNと対向する電極(ゲート電極4、遮蔽電極320)を2分割し、遮蔽電極320に固定電位を設定することで、隣接する異電位の構造体(転送側層間配線310、ゲート側層間配線330)からの電界を遮蔽することが可能となる。これにより、低濃度N型領域LNに対して全ての方向から同じバイアスが印加されることによって発生する、閾値電圧の低下を抑制することが可能となる。
また、第11実施形態の構成であれば、遮蔽電極320に、例えば、ゲート電極4と異なる電位(GND電位と異なる電位)を設定することで、閾値電圧を任意に制御することが可能となる。
【0105】
(第12実施形態)
第12実施形態に係る固体撮像素子は、
図59に示すように、ゲート電極4、遮蔽電極320及び第五絶縁膜5eの構成が、第8実施形態と相違する。以下の説明では、第8実施形態との共通する部分の説明を省略する場合がある。
第12実施形態に係る固体撮像素子SCCでは、ゲート電極4と遮蔽電極320が一体化されている。一体化されたゲート電極4及び遮蔽電極320は、積層方向から見て、角筒状に形成されており、低濃度N型領域LNを包囲している。
【0106】
ゲート電極4は、積層方向から見て、平行な二辺を有する。ゲート電極4が有する平行な二辺は、積層方向から見て、低濃度N型領域LNの積層方向と平行な二辺(CNa、CNb)と対向している。
遮蔽電極320は、積層方向から見て、平行な二辺を有する。遮蔽電極320が有する平行な二辺は、積層方向から見て、低濃度N型領域LNの積層方向と直交する二辺(CNc、CNd)と対向している。
第五絶縁膜5eの厚さは、第一絶縁膜5aの厚さよりも厚い。第12実施形態では、一例として、第五絶縁膜5eの厚さが、第一絶縁膜5aの厚さの二倍以上である構成について説明する。
【0107】
第12実施形態の構成であれば、第一絶縁膜5aよりも第五絶縁膜5eを厚くすることで、遮蔽電極320の長さがばらついた場合であっても、低濃度N型領域LNのチャネル長が、ゲート電極4の直交方向に沿った構造寸法で定義される。このため、遮蔽電極320の長さがばらつくことにより、増幅トランジスタ150の特性がばらつくことを抑制することが可能となる。
また、第12実施形態の構成であれば、遮蔽電極320により、隣接する異電位の構造体(転送側層間配線310、ゲート側層間配線330)からの電界を遮蔽することが可能となる。これにより、低濃度N型領域LNに対して全ての方向から同じバイアスが印加されることによって発生する、閾値電圧の低下を抑制することが可能となる。
【0108】
(第13実施形態)
第13実施形態に係る固体撮像素子は、
図60に示すように、ゲート電極4と、第一高濃度N型領域2及び第二高濃度N型領域3構成が、第8実施形態と相違する。以下の説明では、第8実施形態との共通する部分の説明を省略する場合がある。
【0109】
ゲート電極4は、低濃度領域対向部4Lと、高濃度領域対向部4Hとを有する。
低濃度領域対向部4Lは、低濃度N型領域LNと対向する部分である。また、低濃度領域対向部4Lと低濃度N型領域LNとの距離は、均一である。
高濃度領域対向部4Hは、第一高濃度N型領域2及び第二高濃度N型領域3と対向する部分である。また、高濃度領域対向部4Hには、ゲート側傾斜部500aが形成されている。
ゲート側傾斜部500aは、ゲート電極4の中心から離れるほど、ゲート電極4の第一高濃度N型領域2及び第二高濃度N型領域3と対向する面が、第一高濃度N型領域2及び第二高濃度N型領域3から離れる形状に形成されている。
【0110】
第一高濃度N型領域2には、ゲート電極4と対向する部分に、第一高濃度側傾斜部500bが形成されている。
第一高濃度側傾斜部500bは、低濃度N型領域LNから離れるほど、第一高濃度側傾斜部500bのゲート電極4と対向する面が、ゲート電極4から離れる形状に形成されている。
第二高濃度N型領域3には、ゲート電極4と対向する部分に、第二高濃度側傾斜部500cが形成されている。
第二高濃度側傾斜部500cは、低濃度N型領域LNから離れるほど、第二高濃度側傾斜部500cのゲート電極4と対向する面が、ゲート電極4から離れる形状に形成されている。
【0111】
以上により、第13実施形態に係る固体撮像素子は、高濃度領域対向部4Hと第一高濃度N型領域2及び第二高濃度N型領域3とが対向する距離が、低濃度領域対向部4Lと低濃度N型領域LNとが対向する距離よりも長い。
【0112】
<固体撮像素子の製造プロセス>
図60を参照しつつ、
図61を用いて、第13実施形態の固体撮像素子SCCを製造する製造プロセスを説明する。
固体撮像素子SCCの製造プロセスでは、
図61に示すように、低濃度N型領域LNと、第一高濃度N型領域2及び第二高濃度N型領域3に対して、保護膜500dを形成する。その後、例えば、等方エッチングを用いて、ゲート電極4の第一高濃度N型領域2及び第二高濃度N型領域3と対向する部分に、ゲート側傾斜部500aを形成する。さらに、第一高濃度N型領域2のゲート電極4と対向する部分に、第一高濃度側傾斜部500bを形成する。これに加え、第二高濃度N型領域3のゲート電極4と対向する部分に、第二高濃度側傾斜部500cを形成する。
その後、例えば、酸化シリコンを用いて、低濃度N型領域LNと、第一高濃度N型領域2及び第二高濃度N型領域3を埋め込む層を形成する。
【0113】
第13実施形態の構成であれば、ソース電極及びドレイン電極と接続する第一高濃度N型領域2及び第二高濃度N型領域3とオーバーラップするゲート電極4の一部を、エッチングで取り除くことで、ゲート電極4の寄生容量を低減することが可能となる。これにより、画素回路210によって光信号から電気信号に変換する際の効率が低下することを、抑制することが可能となる。
なお、第一高濃度N型領域2及び第二高濃度N型領域3とゲート電極4との距離が近いほど、第一高濃度N型領域2及び第二高濃度N型領域3とゲート電極4との間の寄生容量が増加する。このため、画素回路210によって光信号から電気信号に変換する際の効率が低下する。
【0114】
(第13実施形態の変形例)
第13実施形態では、固体撮像素子の構成を、ゲート電極4と第一高濃度N型領域2及び第二高濃度N型領域3とが対向する部分の距離が、ゲート電極4と低濃度N型領域LNとが対向する部分の距離よりも長い構成としたが、これに限定するものではない。すなわち、ゲート電極4と、第一高濃度N型領域2及び第二高濃度N型領域3のうち少なくとも一方とが対向する部分の距離が、ゲート電極4と低濃度N型領域LNとが対向する部分の距離よりも長い構成としてもよい。
【0115】
(第14実施形態)
以下、第14実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、説明は以下の順序で行う。
1.実施の形態(3つの基板の積層構造を有する撮像装置)
2.変形例1(平面構成の例1)
3.変形例2(平面構成の例2)
4.変形例3(平面構成の例3)
5.変形例4(画素アレイ部の中央部に基板間のコンタクト部を有する例)
6.変形例5(プレーナー型の転送トランジスタを有する例)
7.変形例6(1つの画素回路に1つの画素が接続される例)
8.変形例7(画素分離部の構成例)
9.適用例(撮像システム)
10.応用例
【0116】
<1.実施の形態>
[撮像装置1の機能構成]
図62は、本開示の一実施の形態に係る撮像装置(撮像装置1)の機能構成の一例を示すブロック図である。
【0117】
図62の撮像装置1は、例えば、入力部510A、行駆動部520、タイミング制御部530、画素アレイ部540、列信号処理部550、画像信号処理部560および出力部510Bを含んでいる。
【0118】
画素アレイ部540には、画素541がアレイ状に繰り返し配置されている。より具体的には、複数の画素を含んだ画素共有ユニット539が繰り返し単位となり、これが、行方向と列方向とからなるアレイ状に繰り返し配置されている。なお、本明細書では、便宜上、行方向をH方向、行方向と直交する列方向をV方向、と呼ぶ場合がある。
図62の例において、1つの画素共有ユニット539が、4つの画素(画素541A,541B,541C,541D)を含んでいる。画素541A,541B,541C,541Dは各々、フォトダイオードPD(後述の
図67等に図示)を有している。画素共有ユニット539は、1つの画素回路(後述の
図64の画素回路210)を共有する単位である。換言すれば、4つの画素(画素541A,541B,541C,541D)毎に、1つの画素回路(後述の画素回路210)を有している。この画素回路を時分割で動作させることにより、画素541A,541B,541C,541D各々の画素信号が順次読み出されるようになっている。画素541A,541B,541C,541Dは、例えば2行×2列で配置されている。画素アレイ部540には、画素541A,541B,541C,541Dとともに、複数の行駆動信号線542および複数の垂直信号線(列読出し線)543が設けられている。行駆動信号線542は、画素アレイ部540において行方向に並んで配列された、複数の画素共有ユニット539各々に含まれる画素541を駆動する。画素共有ユニット539のうち、行方向に並んで配列された各画素を駆動する。後に
図65を参照して詳しく説明するが、画素共有ユニット539には、複数のトランジスタが設けられている。これら複数のトランジスタをそれぞれ駆動するために、1つの画素共有ユニット539には複数の行駆動信号線542が接続されている。垂直信号線(列読出し線)543には、画素共有ユニット539が接続されている。画素共有ユニット539に含まれる画素541A,541B,541C,541D各々から、垂直信号線(列読出し線)543を介して画素信号が読み出される。
【0119】
行駆動部520は、例えば、画素駆動するための行の位置を決める行アドレス制御部、言い換えれば、行デコーダ部と、画素541A,541B,541C,541Dを駆動するための信号を発生させる行駆動回路部とを含んでいる。
【0120】
列信号処理部550は、例えば、垂直信号線543に接続され、画素541A,541B,541C,541D(画素共有ユニット539)とソースフォロア回路を形成する負荷回路部を備える。列信号処理部550は、垂直信号線543を介して画素共有ユニット539から読み出された信号を増幅する増幅回路部を有していてもよい。列信号処理部550は、ノイズ処理部を有していてもよい。ノイズ処理部では、例えば、光電変換の結果として画素共有ユニット539から読み出された信号から、系のノイズレベルが取り除かれる。
【0121】
列信号処理部550は、例えば、アナログデジタルコンバータ(ADC)を有している。アナログデジタルコンバータでは、画素共有ユニット539から読み出された信号もしくは上記ノイズ処理されたアナログ信号がデジタル信号に変換される。ADCは、例えば、コンパレータ部およびカウンタ部を含んでいる。コンパレータ部では、変換対象となるアナログ信号と、これと比較対象となる参照信号とが比較される。カウンタ部では、コンパレータ部での比較結果が反転するまでの時間が計測されるようになっている。列信号処理部550は、読出し列を走査する制御を行う水平走査回路部を含んでいてもよい。
【0122】
タイミング制御部530は、装置へ入力された基準クロック信号やタイミング制御信号を基にして、行駆動部520および列信号処理部550へ、タイミングを制御する信号を供給する。
【0123】
画像信号処理部560は、光電変換の結果得られたデータ、言い換えれば、撮像装置1における撮像動作の結果得られたデータに対して、各種の信号処理を施す回路である。画像信号処理部560は、例えば、画像信号処理回路部およびデータ保持部を含んでいる。画像信号処理部560は、プロセッサ部を含んでいてもよい。
【0124】
画像信号処理部560において実行される信号処理の一例は、AD変換された撮像データが、暗い被写体を撮影したデータである場合には階調を多く持たせ、明るい被写体を撮影したデータである場合には階調を少なくするトーンカーブ補正処理である。この場合、撮像データの階調をどのようなトーンカーブに基づいて補正するか、トーンカーブの特性データを予め画像信号処理部560のデータ保持部に記憶させておくことが望ましい。
【0125】
入力部510Aは、例えば、上記基準クロック信号、タイミング制御信号および特性データなどを装置外部から撮像装置1へ入力するためのものである。タイミング制御信号は、例えば、垂直同期信号および水平同期信号などである。特性データは、例えば、画像信号処理部560のデータ保持部へ記憶させるためのものである。入力部510Aは、例えば、入力端子511、入力回路部512、入力振幅変更部513、入力データ変換回路部514および電源供給部(不図示)を含んでいる。
【0126】
入力端子511は、データを入力するための外部端子である。入力回路部512は、入力端子511へ入力された信号を撮像装置1の内部へと取り込むためのものである。入力振幅変更部513では、入力回路部512で取り込まれた信号の振幅が、撮像装置1の内部で利用しやすい振幅へと変更される。入力データ変換回路部514では、入力データのデータ列の並びが変更される。入力データ変換回路部514は、例えば、シリアルパラレル変換回路により構成されている。このシリアルパラレル変換回路では、入力データとして受け取ったシリアル信号がパラレル信号へと変換される。なお、入力部510Aでは、入力振幅変更部513および入力データ変換回路部514が、省略されていてもよい。電源供給部は、外部から撮像装置1へ供給された電源をもとにして、撮像装置1の内部で必要となる各種の電圧に設定された電源を供給する。
【0127】
撮像装置1が外部のメモリデバイスと接続されるとき、入力部510Aには、外部のメモリデバイスからのデータを受け取るメモリインタフェース回路が設けられていてもよい。外部のメモリデバイスは、例えば、フラッシュメモリ、SRAMおよびDRAM等である。
【0128】
出力部510Bは、画像データを装置外部へと出力する。この画像データは、例えば、撮像装置1で撮影された画像データ、および、画像信号処理部560で信号処理された画像データ等である。出力部510Bは、例えば、出力データ変換回路部515、出力振幅変更部516、出力回路部517および出力端子518を含んでいる。
【0129】
出力データ変換回路部515は、例えば、パラレルシリアル変換回路により構成されており、出力データ変換回路部515では、撮像装置1内部で使用したパラレル信号がシリアル信号へと変換される。出力振幅変更部516は、撮像装置1の内部で用いた信号の振幅を変更する。変更された振幅の信号は、撮像装置1の外部に接続される外部デバイスで利用しやすくなる。出力回路部517は、撮像装置1の内部から装置外部へとデータを出力する回路であり、出力回路部517により、出力端子518に接続された撮像装置1外部の配線が駆動される。出力端子518では、撮像装置1から装置外部へとデータが出力される。出力部510Bでは、出力データ変換回路部515および出力振幅変更部516が、省略されていてもよい。
【0130】
撮像装置1が外部のメモリデバイスと接続されるとき、出力部510Bには、外部のメモリデバイスへとデータを出力するメモリインタフェース回路が設けられていてもよい。外部のメモリデバイスは、例えば、フラッシュメモリ、SRAMおよびDRAM等である。
【0131】
[撮像装置1の概略構成]
図63および
図64は、撮像装置1の概略構成の一例を表したものである。撮像装置1は、3つの基板(第1基板100、第2基板200、第3基板300)を備えている。
図63は、第1基板100、第2基板200、第3基板300各々の平面構成を模式的に表したものであり、
図64は、互いに積層された第1基板100、第2基板200および第3基板300の断面構成を模式的に表している。
図64は、
図63に示したIII-III’線に沿った断面構成に対応する。撮像装置1は、3つの基板(第1基板100、第2基板200、第3基板300)を貼り合わせて構成された3次元構造の撮像装置である。第1基板100は、半導体層100Sおよび配線層100Tを含む。第2基板200は、半導体層200Sおよび配線層200Tを含む。第3基板300は、半導体層300Sおよび配線層300Tを含む。ここで、第1基板100、第2基板200および第3基板300の各基板に含まれる配線とその周囲の層間絶縁膜を合せたものを、便宜上、それぞれの基板(第1基板100、第2基板200および第3基板300)に設けられた配線層(100T、200T、300T)と呼ぶ。第1基板100、第2基板200および第3基板300は、この順に積層されており、積層方向に沿って、半導体層100S、配線層100T、半導体層200S、配線層200T、配線層300Tおよび半導体層300Sの順に配置されている。第1基板100、第2基板200および第3基板300の具体的な構成については後述する。
図64に示した矢印は、撮像装置1への光Lの入射方向を表す。本明細書では、便宜上、以降の断面図で、撮像装置1における光入射側を「下」「下側」「下方」、光入射側と反対側を「上」「上側」「上方」と呼ぶ場合がある。また、本明細書では、便宜上、半導体層と配線層を備えた基板に関して、配線層の側を表面、半導体層の側を裏面と呼ぶ場合がある。なお、明細書の記載は、上記の呼び方に限定されない。撮像装置1は、例えば、フォトダイオードを有する第1基板100の裏面側から光が入射する、裏面照射型撮像装置となっている。
【0132】
画素アレイ部540および画素アレイ部540に含まれる画素共有ユニット539は、ともに、第1基板100および第2基板200の双方を用いて構成されている。第1基板100には、画素共有ユニット539が有する複数の画素541A,541B,541C,541Dが設けられている。これらの画素541のそれぞれが、フォトダイオード(後述のフォトダイオードPD)および転送トランジスタ(後述の転送トランジスタTR)を有している。第2基板200には、画素共有ユニット539が有する画素回路(後述の画素回路210)が設けられている。画素回路は、画素541A,541B,541C,541D各々のフォトダイオードから転送トランジスタを介して転送された画素信号を読み出し、あるいは、フォトダイオードをリセットする。この第2基板200は、このような画素回路に加えて、行方向に延在する複数の行駆動信号線542および列方向に延在する複数の垂直信号線543を有している。第2基板200は、更に、行方向に延在する電源線544を有している。第3基板300は、例えば、入力部510A,行駆動部520、タイミング制御部530、列信号処理部550、画像信号処理部560および出力部510Bを有している。行駆動部520は、例えば、第1基板100、第2基板200および第3基板300の積層方向(以下、単に積層方向という)において、一部が画素アレイ部540に重なる領域に設けられている。より具体的には、行駆動部520は、積層方向において、画素アレイ部540のH方向の端部近傍に重なる領域に設けられている(
図63)。列信号処理部550は、例えば、積層方向において、一部が画素アレイ部540に重なる領域に設けられている。より具体的には、列信号処理部550は、積層方向において、画素アレイ部540のV方向の端部近傍に重なる領域に設けられている(
図63)。図示は省略するが、入力部510Aおよび出力部510Bは、第3基板300以外の部分に配置されていてもよく、例えば、第2基板200に配置されていてもよい。あるいは、第1基板100の裏面(光入射面)側に入力部510Aおよび出力部510Bを設けるようにしてもよい。なお、上記第2基板200に設けられた画素回路は、別の呼称として、画素トランジスタ回路、画素トランジスタ群、画素トランジスタ、画素読み出し回路または読出回路と呼ばれることもある。本明細書では、画素回路との呼称を用いる。
【0133】
第1基板100と第2基板200とは、例えば、貫通電極(後述の
図67の貫通電極120E,121E)により電気的に接続されている。第2基板200と第3基板300とは、例えば、コンタクト部201,202,301,302を介して電気的に接続されている。第2基板200にコンタクト部201,202が設けられ、第3基板300にコンタクト部301,302が設けられている。第2基板200のコンタクト部201が第3基板300のコンタクト部301に接し、第2基板200のコンタクト部202が第3基板300のコンタクト部302に接している。第2基板200は、複数のコンタクト部201が設けられたコンタクト領域201Rと、複数のコンタクト部202が設けられたコンタクト領域202Rとを有している。第3基板300は、複数のコンタクト部301が設けられたコンタクト領域301Rと、複数のコンタクト部302が設けられたコンタクト領域302Rとを有している。コンタクト領域201R,301Rは、積層方向において、画素アレイ部540と行駆動部520との間に設けられている(
図64)。換言すれば、コンタクト領域201R,301Rは、例えば、行駆動部520(第3基板300)と、画素アレイ部540(第2基板200)とが積層方向に重なる領域、もしくはこの近傍領域に設けられている。コンタクト領域201R,301Rは、例えば、このような領域のうち、H方向の端部に配置されている(
図63)。第3基板300では、例えば、行駆動部520の一部、具体的には行駆動部520のH方向の端部に重なる位置にコンタクト領域301Rが設けられている(
図63,
図64)。コンタクト部201,301は、例えば、第3基板300に設けられた行駆動部520と、第2基板200に設けられた行駆動信号線542とを接続するものである。コンタクト部201,301は、例えば、第3基板300に設けられた入力部510Aと電源線544および基準電位線(後述の基準電位線VSS)とを接続していてもよい。コンタクト領域202R,302Rは、積層方向において、画素アレイ部540と列信号処理部550との間に設けられている(
図64)。換言すれば、コンタクト領域202R,302Rは、例えば、列信号処理部550(第3基板300)と画素アレイ部540(第2基板200)とが積層方向に重なる領域、もしくはこの近傍領域に設けられている。コンタクト領域202R,302Rは、例えば、このような領域のうち、V方向の端部に配置されている(
図63)。第3基板300では、例えば、列信号処理部550の一部、具体的には列信号処理部550のV方向の端部に重なる位置にコンタクト領域301Rが設けられている(
図63,
図64)。コンタクト部202,302は、例えば、画素アレイ部540が有する複数の画素共有ユニット539各々から出力された画素信号(フォトダイオードでの光電変換の結果発生した電荷の量に対応した信号)を、第3基板300に設けられた列信号処理部550へと接続するためのものである。画素信号は、第2基板200から第3基板300に送られるようになっている。
【0134】
図64は、上記のように、撮像装置1の断面図の一例である。第1基板100、第2基板200、第3基板300は、配線層100T、200T、300Tを介して電気的に接続される。例えば、撮像装置1は、第2基板200と第3基板300とを電気的に接続する電気的接続部を有する。具体的には、導電材料で形成された電極でコンタクト部201,202,301,302を形成する。導電材料は、例えば、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、金(Au)、などの金属材料で形成される。コンタクト領域201R、202R、301R、302Rは、例えば電極として形成された配線同士を直接接合することで、第2基板と第3基板とを電気的に接続し、第2基板200と第3基板300との信号の入力及び/又は出力を可能にする。
【0135】
第2基板200と第3基板300とを電気的に接続する電気的接続部は、所望の箇所に設けることができる。例えば、
図64においてコンタクト領域201R、202R、301R、302Rとして述べたように、画素アレイ部540と積層方向に重なる領域に設けても良い。また、電気的接続部を画素アレイ部540と積層方向に重ならない領域に設けても良い。具体的には、画素アレイ部540の外側に配置された周辺部と、積層方向に重なる領域に設けても良い。
【0136】
第1基板100および第2基板200には、例えば、接続孔部H1,H2が設けられている。接続孔部H1,H2は、第1基板100および第2基板200を貫通している(
図64)。接続孔部H1,H2は、画素アレイ部540(または画素アレイ部540に重なる部分)の外側に設けられている(
図63)。例えば、接続孔部H1は、H方向において画素アレイ部540より外側に配置されており、接続孔部H2は、V方向において画素アレイ部540よりも外側に配置されている。例えば、接続孔部H1は、第3基板300に設けられた入力部510Aに達しており、接続孔部H2は、第3基板300に設けられた出力部510Bに達している。接続孔部H1,H2は、空洞でもよく、少なくとも一部に導電材料を含んでいても良い。例えば、入力部510A及び/又は出力部510Bとして形成された電極に、ボンディングワイヤを接続する構成がある。または、入力部510A及び/又は出力部510Bとして形成された電極と、接続孔部H1,H2に設けられた導電材料とを接続する構成がある。接続孔部H1,H2に設けられた導電材料は、接続孔部H1,H2の一部または全部に埋め込まれていても良く、導電材料が接続孔部H1,H2の側壁に形成されていても良い。
【0137】
なお、
図64では第3基板300に入力部510A、出力部510Bを設ける構造としたが、これに限定されない。例えば、配線層200T、300Tを介して第3基板300の信号を第2基板200へ送ることで、入力部510A及び/又は出力部510Bを第2基板200に設けることもできる。同様に、配線層100T、200Tを介して、第2基板200の信号を第1基板1000へ送ることで、入力部510A及び/又は出力部510Bを第1基板100に設けることもできる。
【0138】
図65は、画素共有ユニット539の構成の一例を表す等価回路図である。画素共有ユニット539は、複数の画素541(
図65では、画素541A,541B,541C,541Dの4つの画素541を表す)と、この複数の画素541に接続された1の画素回路210と、画素回路210に接続された垂直信号線5433とを含んでいる。画素回路210は、例えば、4つのトランジスタ、具体的には、増幅トランジスタAMP、選択トランジスタSEL、リセットトランジスタRSTおよびFD変換ゲイン切替トランジスタFDを含んでいる。上述のように、画素共有ユニット539は、1の画素回路210を時分割で動作させることにより、画素共有ユニット539に含まれる4つの画素541(画素541A,541B,541C,541D)それぞれの画素信号を順次垂直信号線543へ出力するようになっている。複数の画素541に1の画素回路210が接続されており、この複数の画素541の画素信号が、1の画素回路210により時分割で出力される態様を、「複数の画素541が1の画素回路210を共有する」という。
【0139】
画素541A,541B,541C,541Dは、互いに共通の構成要素を有している。以降、画素541A,541B,541C,541Dの構成要素を互いに区別するために、画素541Aの構成要素の符号の末尾には識別番号1、画素541Bの構成要素の符号の末尾には識別番号2、画素541Cの構成要素の符号の末尾には識別番号3、画素541Dの構成要素の符号の末尾には識別番号4を付与する。画素541A,541B,541C,541Dの構成要素を互いに区別する必要のない場合には、画素541A,541B,541C,541Dの構成要素の符号の末尾の識別番号を省略する。
【0140】
画素541A,541B,541C,541Dは、例えば、フォトダイオードPDと、フォトダイオードPDと電気的に接続された転送トランジスタTRと、転送トランジスタTRに電気的に接続されたフローティングディフュージョンFDとを有している。フォトダイオードPD(PD1,PD2,PD3,PD4)では、カソードが転送トランジスタTRのソースに電気的に接続されており、アノードが基準電位線(例えばグラウンド)に電気的に接続されている。フォトダイオードPDは、入射した光を光電変換し、その受光量に応じた電荷を発生する。転送トランジスタTR(転送トランジスタTR1,TR2,TR3,TR4)は、例えば、n型のCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)トランジスタである。転送トランジスタTRでは、ドレインがフローティングディフュージョンFDに電気的に接続され、ゲートが駆動信号線に電気的に接続されている。この駆動信号線は、1の画素共有ユニット539に接続された複数の行駆動信号線542(
図62参照)のうちの一部である。転送トランジスタTRは、フォトダイオードPDで発生した電荷をフローティングディフュージョンFDへと転送する。フローティングディフュージョンFD(フローティングディフュージョンFD1,FD2,FD3,FD4)は、p型半導体層中に形成されたn型拡散層領域である。フローティングディフュージョンFDは、フォトダイオードPDから転送された電荷を一時的に保持する電荷保持手段であり、かつ、その電荷量に応じた電圧を発生させる、電荷―電圧変換手段である。
【0141】
1の画素共有ユニット539に含まれる4つのフローティングディフュージョンFD(フローティングディフュージョンFD1,FD2,FD3,FD4)は、互いに電気的に接続されるとともに、増幅トランジスタAMPのゲートおよびFD変換ゲイン切替トランジスタFDGのソースに電気的に接続されている。FD変換ゲイン切替トランジスタFDGのドレインはリセットトランジスタRSTのソースに接続され、FD変換ゲイン切替トランジスタFDGのゲートは駆動信号線に接続されている。この駆動信号線は、1の画素共有ユニット539に接続された複数の行駆動信号線542のうちの一部である。リセットトランジスタRSTのドレインは電源線VDDに接続され、リセットトランジスタRSTのゲートは駆動信号線に接続されている。この駆動信号線は、1の画素共有ユニット539に接続された複数の行駆動信号線542のうちの一部である。増幅トランジスタAMPのゲートはフローティングディフュージョンFDに接続され、増幅トランジスタAMPのドレインは電源線VDDに接続され、増幅トランジスタAMPのソースは選択トランジスタSELのドレインに接続されている。選択トランジスタSELのソースは垂直信号線543に接続され、選択トランジスタSELのゲートは駆動信号線に接続されている。この駆動信号線は、1の画素共有ユニット539に接続された複数の行駆動信号線542のうちの一部である。
【0142】
転送トランジスタTRは、転送トランジスタTRがオン状態となると、フォトダイオードPDの電荷をフローティングディフュージョンFDに転送する。転送トランジスタTRのゲート(転送ゲートTG)は、例えば、いわゆる縦型電極を含んでおり、後述の
図67に示すように、半導体層(後述の
図67の半導体層100S)の表面からPDに達する深さまで延在して設けられている。リセットトランジスタRSTは、フローティングディフュージョンFDの電位を所定の電位にリセットする。リセットトランジスタRSTがオン状態となると、フローティングディフュージョンFDの電位を電源線VDDの電位にリセットする。選択トランジスタSELは、画素回路210からの画素信号の出力タイミングを制御する。増幅トランジスタAMPは、画素信号として、フローティングディフュージョンFDに保持された電荷のレベルに応じた電圧の信号を生成する。増幅トランジスタAMPは、選択トランジスタSELを介して垂直信号線543に接続されている。この増幅トランジスタAMPは、列信号処理部550において、垂直信号線543に接続された負荷回路部(
図62参照)とともにソースフォロアを構成している。増幅トランジスタAMPは、選択トランジスタSELがオン状態となると、フローティングディフュージョンFDの電圧を、垂直信号線543を介して列信号処理部550に出力する。リセットトランジスタRST、増幅トランジスタAMPおよび選択トランジスタSELは、例えば、N型のCMOSトランジスタである。
【0143】
FD変換ゲイン切替トランジスタFDGは、フローティングディフュージョンFDでの電荷―電圧変換のゲインを変更する際に用いられる。一般に、暗い場所での撮影時には画素信号が小さい。Q=CVに基づき、電荷電圧変換を行う際に、フローティングディフュージョンFDの容量(FD容量C)が大きければ、増幅トランジスタAMPで電圧に変換した際のVが小さくなってしまう。一方、明るい場所では、画素信号が大きくなるので、FD容量Cが大きくなければ、フローティングディフュージョンFDで、フォトダイオードPDの電荷を受けきれない。さらに、増幅トランジスタAMPで電圧に変換した際のVが大きくなりすぎないように(言い換えると、小さくなるように)、FD容量Cが大きくなっている必要がある。これらを踏まえると、FD変換ゲイン切替トランジスタFDGをオンにしたときには、FD変換ゲイン切替トランジスタFDG分のゲート容量が増えるので、全体のFD容量Cが大きくなる。一方、FD変換ゲイン切替トランジスタFDGをオフにしたときには、全体のFD容量Cが小さくなる。このように、FD変換ゲイン切替トランジスタFDGをオンオフ切り替えることで、FD容量Cを可変にし、変換効率を切り替えることができる。FD変換ゲイン切替トランジスタFDGは、例えば、N型のCMOSトランジスタである。
【0144】
なお、FD変換ゲイン切替トランジスタFDGを設けない構成も可能である。このとき、例えば、画素回路210は、例えば増幅トランジスタAMP、選択トランジスタSELおよびリセットトランジスタRSTの3つのトランジスタで構成される。画素回路210は、例えば、増幅トランジスタAMP、選択トランジスタSEL、リセットトランジスタRSTおよびFD変換ゲイン切替トランジスタFDGなどの画素トランジスタの少なくとも1つを有する。
【0145】
選択トランジスタSELは、電源線VDDと増幅トランジスタAMPとの間に設けられていてもよい。この場合、リセットトランジスタRSTのドレインが電源線VDDおよび選択トランジスタSELのドレインに電気的に接続されている。選択トランジスタSELのソースが増幅トランジスタAMPのドレインに電気的に接続されており、選択トランジスタSELのゲートが行駆動信号線542(
図62参照)に電気的に接続されている。増幅トランジスタAMPのソース(画素回路210の出力端)が垂直信号線543に電気的に接続されており、増幅トランジスタAMPのゲートがリセットトランジスタRSTのソースに電気的に接続されている。なお、図示は省略するが、1の画素回路210を共有する画素541の数は、4以外であってもよい。例えば、2つまたは8つの画素541が1の画素回路210を共有してもよい。
【0146】
図66は、複数の画素共有ユニット539と、垂直信号線543との接続態様の一例を表したものである。例えば、列方向に並ぶ4つの画素共有ユニット539が4つのグループに分けられており、この4つのグループ各々に垂直信号線543が接続されている。
図66には、説明を簡単にするため、4つのグループが各々、1つの画素共有ユニット539を有する例を示したが、4つのグループが各々、複数の画素共有ユニット539を含んでいてもよい。このように、撮像装置1では、列方向に並ぶ複数の画素共有ユニット539が、1つまたは複数の画素共有ユニット539を含むグループに分けられていてもよい。例えば、このグループそれぞれに、垂直信号線543および列信号処理回路550が接続されており、それぞれのグループから画素信号を同時に読み出すことができるようになっている。あるいは、撮像装置1では、列方向に並ぶ複数の画素共有ユニット539に1つの垂直信号線543が接続されていてもよい。このとき、1つの垂直信号線543に接続された複数の画素共有ユニット539から、時分割で順次画素信号が読み出されるようになっている。
【0147】
[撮像装置1の具体的構成]
図67は、撮像装置1の第1基板100、第2基板100および第3基板300の主面に対して垂直方向の断面構成の一例を表したものである。
図67は、構成要素の位置関係を分かりやすくするため、模式的に表したものであり、実際の断面と異なっていてもよい。撮像装置1では、第1基板100、第2基板200および第3基板300がこの順に積層されている。撮像装置1は、さらに、第1基板100の裏面側(光入射面側)に受光レンズ401を有している。受光レンズ401と第1基板100との間に、カラーフィルタ層(図示せず)が設けられていてもよい。受光レンズ401は、例えば、画素541A,541B,541C,541D各々に設けられている。撮像装置1は、例えば、裏面照射型の撮像装置である。撮像装置1は、中央部に配置された画素アレイ部540と、画素アレイ部540の外側に配置された周辺部540Bとを有している。
【0148】
第1基板100は、受光レンズ401側から順に、絶縁膜111、固定電荷膜112、半導体層100Sおよび配線層100Tを有している。半導体層100Sは、例えばシリコン基板により構成されている。半導体層100Sは、例えば、表面(配線層100T側の面)の一部およびその近傍に、pウェル層115を有しており、それ以外の領域(pウェル層115よりも深い領域)に、n型半導体領域114を有している。例えば、このn型半導体領域114およびpウェル層115によりpn接合型のフォトダイオードPDが構成されている。pウェル層115は、p型半導体領域である。
【0149】
図68Aは、第1基板100の平面構成の一例を表したものである。
図68Aは、主に、第1基板100の画素分離部117、フォトダイオードPD、フローティングディフュージョンFD、VSSコンタクト領域118および転送トランジスタTRの平面構成を表している。
図67とともに、
図68Aを用いて第1基板100の構成について説明する。
【0150】
半導体層100Sの表面近傍には、フローティングディフュージョンFDおよびVSSコンタクト領域118が設けられている。フローティングディフュージョンFDは、pウェル層115内に設けられたn型半導体領域により構成されている。画素541A,541B,541C,541D各々のフローティングディフュージョンFD(フローティングディフュージョンFD1,FD2,FD3,FD4)は、例えば、画素共有ユニット539の中央部に互いに近接して設けられている(
図68A)。詳細は後述するが、この画素共有ユニット539に含まれる4つのフローティングディフュージョン(フローティングディフュージョンFD1,FD2,FD3,FD4)は、第1基板100内(より具体的には配線層100Tの内)で、電気的接続手段(後述のパッド部120)を介して互いに電気的に接続されている。更に、フローティングディフュージョンFDは、第1基板100から第2基板200へ(より具体的には、配線層100Tから配線層200Tへ)と電気的手段(後述の貫通電極120E)を介して接続されている。第2基板200(より具体的には配線層200Tの内部)では、この電気的手段により、フローティングディフュージョンFDが、増幅トランジスタAMPのゲートおよびFD変換ゲイン切替トランジスタFDGのソースに電気的に接続されている。
【0151】
VSSコンタクト領域118は、基準電位線VSSに電気的に接続される領域であり、フローティングディフュージョンFDと離間して配置されている。例えば、画素541A,541B,541C,541Dでは、各画素のV方向の一端にフローティングディフュージョンFDが配置され、他端にVSSコンタクト領域118が配置されている(
図68A)。VSSコンタクト領域118は、例えば、p型半導体領域により構成されている。VSSコンタクト領域118は、例えば接地電位や固定電位に接続されている。これにより、半導体層100Sに基準電位が供給される。
【0152】
第1基板100には、フォトダイオードPD、フローティングディフュージョンFDおよびVSSコンタクト領域118とともに、転送トランジスタTRが設けられている。このフォトダイオードPD、フローティングディフュージョンFD、VSSコンタクト領域118および転送トランジスタTRは、画素541A,541B,541C,541D各々に設けられている。転送トランジスタTRは、半導体層100Sの表面側(光入射面側とは反対側、第2基板200側)に設けられている。転送トランジスタTRは、転送ゲートTGを有している。転送ゲートTGは、例えば、半導体層100Sの表面に対向する水平部分TGbと、半導体層100S内に設けられた垂直部分TGaとを含んでいる。垂直部分TGaは、半導体層100Sの厚み方向に延在している。垂直部分TGaの一端は水平部分TGbに接し、他端はn型半導体領域114内に設けられている。転送トランジスタTRを、このような縦型トランジスタにより構成することにより、画素信号の転送不良が生じにくくなり、画素信号の読み出し効率を向上させることができる。
【0153】
転送ゲートTGの水平部分TGbは、垂直部分TGaに対向する位置から例えば、H方向において画素共有ユニット539の中央部に向かって延在している(
図68A)。これにより、転送ゲートTGに達する貫通電極(後述の貫通電極TGV)のH方向の位置を、フローティングディフュージョンFD、VSSコンタクト領域118に接続される貫通電極(後述の貫通電極120E,121E)のH方向の位置に近づけることができる。例えば、第1基板100に設けられた複数の画素共有ユニット539は、互いに同じ構成を有している(
図68A)。
【0154】
半導体層100Sには、画素541A,541B,541C,541Dを互いに分離する画素分離部117が設けられている。画素分離部117は、半導体層100Sの法線方向(半導体層100Sの表面に対して垂直な方向)に延在して形成されている。画素分離部117は、画素541A,541B,541C,541Dを互いに仕切るように設けられており、例えば格子状の平面形状を有している(
図68A,
図68B)。画素分離部117は、例えば、画素541A,541B,541C,541Dを互いに電気的および光学的に分離する。画素分離部117は、例えば、遮光膜117Aおよび絶縁膜117Bを含んでいる。遮光膜117Aには、例えば、タングステン(W)等が用いられる。絶縁膜117Bは、遮光膜117Aとpウェル層115またはn型半導体領域114との間に設けられている。絶縁膜117Bは、例えば、酸化シリコン(SiO)によって構成されている。画素分離部117は、例えば、FTI(Full Trench Isolation)構造を有しており、半導体層100Sを貫通している。図示しないが、画素分離部117は半導体層100Sを貫通するFTI構造に限定されない。例えば、半導体層100Sを貫通しないDTI(Deep Trench Isolation)構造であっても良い。画素分離部117は、半導体層100Sの法線方向に延在して、半導体層100Sの一部の領域に形成される。
【0155】
半導体層100Sには、例えば、第1ピニング領域113および第2ピニング領域116が設けられている。第1ピニング領域113は、半導体層100Sの裏面近傍に設けられており、n型半導体領域114と固定電荷膜112との間に配置されている。第2ピニング領域116は、画素分離部117の側面、具体的には、画素分離部117とpウェル層115またはn型半導体領域114との間に設けられている。第1ピニング領域113および第2ピニング領域116は、例えば、p型半導体領域により構成されている。
【0156】
半導体層100Sと絶縁膜111との間には、負の固定電荷を有する固定電荷膜112が設けられている。固定電荷膜112が誘起する電界により、半導体層100Sの受光面(裏面)側の界面に、ホール蓄積層の第1ピニング領域113が形成される。これにより、半導体層100Sの受光面側の界面準位に起因した暗電流の発生が抑えられる。固定電荷膜112は、例えば、負の固定電荷を有する絶縁膜によって形成されている。この負の固定電荷を有する絶縁膜の材料としては、例えば、酸化ハフニウム、酸化ジルコン、酸化アルミニウム、酸化チタンまたは酸化タンタルが挙げられる。
【0157】
固定電荷膜112と絶縁膜111との間には、遮光膜117Aが設けられている。この遮光膜117Aは、画素分離部117を構成する遮光膜117Aと連続して設けられていてもよい。この固定電荷膜112と絶縁膜111との間の遮光膜117Aは、例えば、半導体層100S内の画素分離部117に対向する位置に選択的に設けられている。絶縁膜111は、この遮光膜117Aを覆うように設けられている。絶縁膜111は、例えば、酸化シリコンにより構成されている。
【0158】
半導体層100Sと第2基板200との間に設けられた配線層100Tは、半導体層100S側から、層間絶縁膜119、パッド部120,121、パッシベーション膜122、層間絶縁膜123および接合膜124をこの順に有している。転送ゲートTGの水平部分TGbは、例えば、この配線層100Tに設けられている。層間絶縁膜119は、半導体層100Sの表面全面にわたって設けられており、半導体層100Sに接している。層間絶縁膜119は、例えば酸化シリコン膜により構成されている。なお、配線層100Tの構成は上述の限りでなく、配線と絶縁膜とを有する構成であれば良い。
【0159】
図68Bは、
図68Aに示した平面構成とともに、パッド部120,121の構成を表している。パッド部120,121は、層間絶縁膜119上の選択的な領域に設けられている。パッド部120は、画素541A,541B,541C,541D各々のフローティングディフュージョンFD(フローティングディフュージョンFD1,FD2,FD3,FD4)を互いに接続するためのものである。パッド部120は、例えば、画素共有ユニット539毎に、平面視で画素共有ユニット539の中央部に配置されている(
図68B)。このパッド部120は、画素分離部117を跨ぐように設けられており、フローティングディフュージョンFD1,FD2,FD3,FD4各々の少なくとも一部に重畳して配置されている(
図67,
図68B)。具体的には、パッド部120は、画素回路210を共有する複数のフローティングディフュージョンFD(フローティングディフュージョンFD1,FD2,FD3,FD4)各々の少なくとも一部と、その画素回路210を共有する複数のフォトダイオードPD(フォトダイオードPD1,PD2,PD3,PD4)の間に形成された画素分離部117の少なくとも一部とに対して、半導体層100Sの表面に対して垂直な方向に重なる領域に形成される。層間絶縁膜119には、パッド部120とフローティングディフュージョンFD1,FD2,FD3,FD4とを電気的に接続するための接続ビア120Cが設けられている。接続ビア120Cは、画素541A,541B,541C,541D各々に設けられている。例えば、接続ビア120Cにパッド部120の一部が埋め込まれることにより、パッド部120とフローティングディフュージョンFD1,FD2,FD3,FD4とが電気的に接続されている。
【0160】
パッド部121は、複数のVSSコンタクト領域118を互いに接続するためのものである。例えば、V方向に隣り合う一方の画素共有ユニット539の画素541C,541Dに設けられたVSSコンタクト領域118と、他方の画素共有ユニット539の画素541A,541Bに設けられたVSSコンタクト領域118とがパッド部121により電気的に接続されている。パッド部121は、例えば、画素分離部117を跨ぐように設けられており、これら4つのVSSコンタクト領域118各々の少なくとも一部に重畳して配置されている。具体的には、パッド部121は、複数のVSSコンタクト領域118各々の少なくとも一部と、その複数のVSSコンタクト領域118の間に形成された画素分離部117の少なくとも一部とに対して、半導体層100Sの表面に対して垂直な方向に重なる領域に形成される。層間絶縁膜119には、パッド部121とVSSコンタクト領域118とを電気的に接続するための接続ビア121Cが設けられている。接続ビア121Cは、画素541A,541B,541C,541D各々に設けられている。例えば、接続ビア121Cにパッド部121の一部が埋め込まれることにより、パッド部121とVSSコンタクト領域118とが電気的に接続されている。例えば、V方向に並ぶ複数の画素共有ユニット539各々のパッド部120およびパッド部121は、H方向において略同じ位置に配置されている(
図68B)。
【0161】
パッド部120を設けることで、チップ全体において、各フローティングディフュージョンFDから画素回路210(例えば増幅トランジスタAMPのゲート電極)へ接続するための配線を減らすことができる。同様に、パッド部121を設けることで、チップ全体において、各VSSコンタクト領域118への電位を供給する配線を減らすことができる。これにより、チップ全体の面積の縮小、微細化された画素における配線間の電気的干渉の抑制、及び/又は部品点数の削減によるコスト削減などが可能になる。
【0162】
パッド部120、121は、第1基板100、第2基板200の所望の位置に設けることができる。具体的には、パッド部120、121を配線層100T、半導体層200Sの絶縁領域212のいずれかに設けることができる。配線層100Tに設ける場合には、パッド部120、121を半導体層100Sに直接接触させても良い。具体的には、パッド部120、121が、フローティングディフュージョンFD及び/又はVSSコンタクト領域118の各々の少なくとも一部と直接接続される構成でも良い。また、パッド部120、121に接続するフローティングディフュージョンFD及び/又はVSSコンタクト領域118の各々から接続ビア120C,121Cを設け、配線層100T、半導体層200Sの絶縁領域2112の所望の位置にパッド部120、121を設ける構成でも良い。
【0163】
特に、パッド部120、121を配線層100Tに設ける場合には、半導体層200Sの絶縁領域212におけるフローティングディフュージョンFD及び/又はVSSコンタクト領域118に接続される配線を減らすことができる。これにより、画素回路210を形成する第2基板200のうち、フローティングディフュージョンFDから画素回路210に接続するための貫通配線を形成するための絶縁領域212の面積を削減することができる。よって、画素回路210を形成する第2基板200の面積を大きく確保することができる。画素回路210の面積を確保することで、画素トランジスタを大きく形成することができ、ノイズ低減などによる画質向上に寄与することができる。
【0164】
特に、画素分離部117にFTI構造を用いた場合、フローティングディフュージョンFD及び/又はVSSコンタクト領域118は、各画素541に設けることが好ましいため、パッド部120、121の構成を用いることで、第1基板100と第2基板200とを接続する配線を大幅に削減することができる。
【0165】
また、
図68Bのように、例えば複数のフローティングディフュージョンFDが接続されるパッド部120と、複数のVSSコンタクト領域118が接続されるパッド部121とは、V方向において直線状に交互に配置される。また、パッド部120、121は、複数のフォトダイオードPDや、複数の転送ゲートTGや、複数のフローティングディフュージョンFDに囲まれる位置に形成される。これにより、複数の素子を形成する第1基板100において、フローティングディフュージョンFDとVSSコンタクト領域118以外の素子を自由に配置することができ、チップ全体のレイアウトの効率化を図ることができる。また、各画素共有ユニット539に形成される素子のレイアウトにおける対称性が確保され、各画素541の特性のばらつきを抑えることができる。
【0166】
パッド部120,121は、例えば、ポリシリコン(Poly Si)、より具体的には、不純物が添加されたドープドポリシリコンにより構成されている。パッド部120,121はポリシリコン、タングステン(W)、チタン(Ti)および窒化チタン(TiN)等の耐熱性の高い導電性材料により構成されていることが好ましい。これにより、第1基板100に第2基板200の半導体層200Sを貼り合わせた後に、画素回路210を形成することが可能となる。以下、この理由について説明する。なお、以下の説明において、第1基板100と第2基板200の半導体層200Sを貼り合わせた後に、画素回路210を形成する方法を、第1の製造方法と呼ぶ。
【0167】
ここで、第2基板200に画素回路210を形成した後に、これを第1基板100に貼り合わせることも考え得る(以下第2の製造方法という)。この第2の製造方法では、第1基板100の表面(配線層100Tの表面)および第2基板200の表面(配線層200Tの表面)それぞれに、電気的接続用の電極を予め形成しておく。第1基板100と第2基板200を貼り合わせると、これと同時に、第1基板100の表面と第2基板200の表面のそれぞれに形成された電気的接続用の電極同士が接触する。これにより、第1基板100に含まれる配線と第2基板200に含まれる配線との間で電気的接続が形成される。よって、第2の製造方法を用いた撮像装置1の構成とすることで、例えば第1基板100と第2基板200の各々の構成に応じて適切なプロセスを用いて製造することができ、高品質、高性能な撮像装置を製造することができる。
【0168】
このような第2の製造方法では、第1基板100と第2基板200とを貼り合わせる際に、貼り合せ用の製造装置に起因して、位置合わせの誤差が生じることがある。また、第1基板100および第2基板200は、例えば、直径数十cm程度の大きさを有するが、第1基板100と第2基板200とを貼り合わせる際に、この第1基板100、第2基板200各部の微視的領域で、基板の伸び縮みが発生するおそれがある。この基板の伸び縮みは、基板同士が接触するタイミングが多少ずれることに起因する。このような第1基板100および第2基板200の伸び縮みに起因して、第1基板100の表面および第2基板200の表面それぞれに形成された電気的接続用の電極の位置に、誤差が生じることがある。第2の製造方法では、このような誤差が生じても、第1基板100および第2基板200それぞれの電極同士が接触するように対処しておくことが好ましい。具体的には、第1基板100および第2基板200の電極の少なくとも一方、好ましくは両方を、上記誤差を考慮して大きくしておく。このため、第2の製造方法を用いると、例えば、第1基板100または第2基板200の表面に形成された電極の大きさ(基板平面方向の大きさ)が、第1基板100または第2基板200の内部から表面に厚み方向へ延在する内部電極の大きさよりも大きくなる。
【0169】
一方、パッド部120,121を耐熱性の導電材料により構成することで、上記第1の製造方法を用いることが可能となる。第1の製造方法では、フォトダイオードPDおよび転送トランジスタTRなどを含む第1基板100を形成した後、この第1基板100と第2基板200(半導体層2000S)とを貼り合わせる。このとき、第2基板200は、画素回路210を構成する能動素子および配線層などのパターンは未形成の状態である。第2基板200はパターンを形成する前の状態であるため、仮に、第1基板100と第2基板200を貼り合わせる際、その貼り合せ位置に誤差が生じたとしても、この貼り合せ誤差によって、第1基板100のパターンと第2基板200のパターンとの間の位置合わせに誤差が生じることはない。なぜならば、第2基板200のパターンは、第1基板100と第2基板200を貼り合わせた後に、形成するからである。なお、第2基板にパターンを形成する際には、例えば、パターン形成のための露光装置において、第1基板に形成されたパターンを位置合わせの対象としながらパターン形成する。上記理由により、第1基板100と第2基板200との貼り合せ位置の誤差は、第1の製造方法においては、撮像装置1を製造する上で問題とならない。同様の理由で、第2の製造方法で生じる基板の伸び縮みに起因した誤差も、第1の製造方法においては、撮像装置1を製造する上で問題とならない。
【0170】
第1の製造方法では、このようにして第1基板100と第2基板200(半導体層200S)とを貼り合せた後、第2基板200上に能動素子を形成する。この後、貫通電極120E,121Eおよび貫通電極TGV(
図67)を形成する。この貫通電極120E,121E,TGVの形成では、例えば、第2基板200の上方から、露光装置による縮小投影露光を用いて貫通電極のパターンを形成する。縮小露光投影を用いるため、仮に、第2基板200と露光装置との位置合わせに誤差が生じても、その誤差の大きさは、第2基板200においては、上記第2の製造方法の誤差の数分の一(縮小露光投影倍率の逆数)にしかならない。よって、第1の製造方法を用いた撮像装置1の構成とすることで、第1基板100と第2基板200の各々に形成される素子同士の位置合わせが容易になり、高品質、高性能な撮像装置を製造することができる。
【0171】
このような第1の製造方法を用いて製造された撮像装置1は、第2の製造方法で製造された撮像装置と異なる特徴を有する。具体的には、第1の製造方法により製造された撮像装置1では、例えば、貫通電極120E,121E,TGVが、第2基板200から第1基板100に至るまで、略一定の太さ(基板平面方向の大きさ)となっている。あるいは、貫通電極120E,121E,TGVがテーパー形状を有するときには、一定の傾きのテーパー形状を有している。このような貫通電極120E,121E,TGVを有する撮像装置1は、画素541を微細化しやすい。
【0172】
ここで、第1の製造方法により撮像装置1を製造すると、第1基板100と第2基板200(半導体層200S)とを貼り合わせた後に、第2基板200に能動素子を形成するので、第1基板100にも、能動素子の形成の際に必要な加熱処理の影響が及ぶことになる。このため、上記のように、第1基板100に設けられたパッド部120,121には、耐熱性の高い導電材料を用いることが好ましい。例えば、パッド部120,121には、第2基板200の配線層200Tに含まれる配線材の少なくとも一部よりも、融点の高い(すなわち耐熱性の高い)材料を用いていることが好ましい。例えば、パッド部120,121にドープトポリシリコン、タングステン、チタンあるいは窒化チタン等の耐熱性の高い導電材を用いる。これにより、上記第1の製造方法を用いて撮像装置1を製造することが可能となる。
【0173】
パッシベーション膜122は、例えば、パッド部120,121を覆うように、半導体層100Sの表面全面にわたって設けられている(
図67)。パッシベーション膜122は、例えば、窒化シリコン(SiN)膜により構成されている。層間絶縁膜123は、パッシベーション膜122を間にしてパッド部120,121を覆っている。この層間絶縁膜123は、例えば、半導体層100Sの表面全面にわたって設けられている。層間絶縁膜123は、例えば酸化シリコン(SiO)膜により構成されている。接合膜124は、第1基板100(具体的には配線層100T)と第2基板200との接合面に設けられている。即ち、接合膜124は、第2基板200に接している。この接合膜124は、第1基板100の主面全面にわたって設けられている。接合膜124は、例えば、窒化シリコン膜により構成されている。
【0174】
受光レンズ401は、例えば、固定電荷膜112および絶縁膜111を間にして半導体層100Sに対向している(
図67)。受光レンズ401は、例えば画素541A,541B,541C,541D各々のフォトダイオードPDに対向する位置に設けられている。
【0175】
第2基板200は、第1基板100側から、半導体層200Sおよび配線層200Tをこの順に有している。半導体層200Sは、シリコン基板で構成されている。半導体層200Sでは、厚み方向にわたって、ウェル領域211が設けられている。ウェル領域211は、例えば、p型半導体領域である。第2基板200には、画素共有ユニット539毎に配置された画素回路210が設けられている。この画素回路210は、例えば、半導体層200Sの表面側(配線層200T側)に設けられている。撮像装置1では、第1基板100の表面側(配線層100T側)に第2基板200の裏面側(半導体層200S側)が向かうようにして、第2基板200が第1基板100に貼り合わされている。つまり、第2基板200は、第1基板100に、フェイストゥーバックで貼り合わされている。
【0176】
図69~
図73は、第2基板200の平面構成の一例を模式的に表している。
図69には、半導体層200Sの表面近傍に設けられた画素回路210の構成を表す。
図70は、配線層200T(具体的には後述の第1配線層W1)と、配線層200Tに接続された半導体層200Sおよび第1基板100の各部の構成を模式的に表している。
図71~
図73は、配線層200Tの平面構成の一例を表している。以下、
図67とともに、
図69~
図73を用いて第2基板200の構成について説明する。
図69および
図70ではフォトダイオードPDの外形(画素分離部117とフォトダイオードPDとの境界)を破線で表し、画素回路210を構成する各トランジスタのゲート電極に重なる部分の半導体層200Sと素子分離領域213または絶縁領域214との境界を点線で表す。増幅トランジスタAMPのゲート電極に重なる部分では、チャネル幅方向の一方に、半導体層200Sと素子分離領域213との境界、および素子分離領域213と絶縁領域212との境界が設けられている。
【0177】
第2基板200には、半導体層200Sを分断する絶縁領域212と、半導体層200Sの厚み方向の一部に設けられた素子分離領域213とが設けられている(
図67)。例えば、H方向に隣り合う2つの画素回路210の間に設けられた絶縁領域212に、この2つの画素回路210に接続された2つの画素共有ユニット539の貫通電極120E,121Eおよび貫通電極TGV(貫通電極TGV1,TGV2,TGV3,TGV4)が配置されている(
図70)。
【0178】
絶縁領域212は、半導体層200Sの厚みと略同じ厚みを有している(
図67)。半導体層200Sは、この絶縁領域212により分断されている。この絶縁領域212に、貫通電極120E,121Eおよび貫通電極TGVが配置されている。絶縁領域212は、例えば酸化シリコンにより構成されている。
【0179】
貫通電極120E,121Eは、絶縁領域212を厚み方向に貫通して設けられている。貫通電極120E,121Eの上端は、配線層200Tの配線(後述の第1配線W1,第2配線W2,第3配線W3,第4配線W4)に接続されている。この貫通電極120E,121Eは、絶縁領域212、接合膜124、層間絶縁膜123およびパッシベーション膜122を貫通して設けられ、その下端はパッド部120,121に接続されている(
図67)。貫通電極120Eは、パッド部120と画素回路210とを電気的に接続するためのものである。即ち、貫通電極120Eにより、第1基板100のフローティングディフュージョンFDが第2基板200の画素回路210に電気的に接続される。貫通電極121Eは、パッド部121と配線層200Tの基準電位線VSSとを電気的に接続するためのものである。即ち、貫通電極121Eにより、第1基板100のVSSコンタクト領域118が第2基板200の基準電位線VSSに電気的に接続される。
【0180】
貫通電極TGVは、絶縁領域212を厚み方向に貫通して設けられている。貫通電極TGVの上端は、配線層200Tの配線に接続されている。この貫通電極TGVは、絶縁領域212、接合膜124、層間絶縁膜123、パッシベーション膜122および層間絶縁膜119を貫通して設けられ、その下端は転送ゲートTGに接続されている(
図67)。このような貫通電極TGVは、画素541A,541B,541C,541D各々の転送ゲートTG(転送ゲートTG1,TG2,TG3,TG4)と、配線層200Tの配線(行駆動信号線542の一部、具体的には、後述の
図72の配線TRG1,TRG2,TRG3,TRG4)とを電気的に接続するためのものである。即ち、貫通電極TGVにより、第1基板100の転送ゲートTGが第2基板200の配線TRGに電気的に接続され、転送トランジスタTR(転送トランジスタTR1,TR2,TR3,TR4)各々に駆動信号が送られるようになっている。
【0181】
絶縁領域212は、第1基板100と第2基板200とを電気的に接続するための前記貫通電極120E,121Eおよび貫通電極TGVを、半導体層200Sと絶縁して設けるための領域である。例えば、H方向に隣り合う2つの画素回路210(共有ユニット539)の間に設けられた絶縁領域212に、この2つの画素回路210に接続された貫通電極120E,121Eおよび貫通電極TGV(貫通電極TGV1,TGV2,TGV3,TGV4)が配置されている。絶縁領域212は、例えば、V方向に延在して設けられている(
図69,
図70)。ここでは、転送ゲートTGの水平部分TGbの配置を工夫することにより、垂直部分TGaの位置に比べて、貫通電極TGVのH方向の位置が貫通電極120E,121EのH方向の位置に近づくように配置されている(
図68A,
図70)。例えば、貫通電極TGVは、H方向において、貫通電極120E,120Eと略同じ位置に配置されている。これにより、V方向に延在する絶縁領域212に、貫通電極120E,121Eおよび貫通電極TGVをまとめて設けることができる。別の配置例として、垂直部分TGaに重畳する領域のみに水平部分TGbを設けることも考え得る。この場合には、垂直部分TGaの略直上に貫通電極TGVが形成され、例えば、各画素541のH方向およびV方向の略中央部に貫通電極TGVが配置される。このとき、貫通電極TGVのH方向の位置と貫通電極120E,121EのH方向の位置とが大きくずれる。貫通電極TGVおよび貫通電極120E,121Eの周囲には、近接する半導体層200Sから電気的に絶縁するため、例えば、絶縁領域212を設ける。貫通電極TGVのH方向の位置と貫通電極120E,121EのH方向の位置とが大きく離れる場合には、貫通電極120E,121E,TGV各々の周囲に絶縁領域212を独立して設けることが必要となる。これにより、半導体層200Sが細かく分断されることになる。これに比べ、V方向に延在する絶縁領域212に、貫通電極120E,121Eおよび貫通電極TGVをまとめて配置するレイアウトは、半導体層200SのH方向の大きさを大きくすることができる。よって、半導体層200Sにおける半導体素子形成領域の面積を大きく確保することができる。これにより、例えば、増幅トランジスタAMPのサイズを大きくし、ノイズを抑えることが可能となる。
【0182】
画素共有ユニット539は、
図65を参照して説明したように、複数の画素541のそれぞれに設けられたフローティングディフュージョンFDの間を電気的に接続し、これら複数の画素541が1つの画素回路210を共有する構造を有している。そして、前記フローティングディフュージョンFD間の電気的接続は、第1基板100に設けられたパッド部120によってなされている(
図67、
図68B)。第1基板100に設けられた電気的接続部(パッド部120)と第2基板200に設けられた画素回路210は、1つの貫通電極120Eを介して電気的に接続されている。別の構造例として、フローティングディフュージョンFD間の電気的接続部を第2基板200に設けることも考え得る。この場合、画素共有ユニット539には、フローティングディフュージョンFD1,FD2,FD3,FD4各々に接続される4つの貫通電極が設けられる。したがって、第2基板200において、半導体層200Sを貫通する貫通電極の数が増え、これら貫通電極の周囲を絶縁する絶縁領域212が大きくなる。これに比べ、第1基板100にパッド部120を設ける構造(
図67,
図68B)は、貫通電極の数を減らし、絶縁領域212を小さくすることができる。よって、半導体層200Sにおける半導体素子形成領域の面積を大きく確保することができる。これにより、例えば、増幅トランジスタAMPのサイズを大きくし、ノイズを抑えることが可能となる。
【0183】
素子分離領域213は、半導体層200Sの表面側に設けられている。素子分離領域213は、STI(Shallow Trench Isolation)構造を有している。この素子分離領域213では、半導体層200Sが厚み方向(第2基板200の主面に対して垂直方向)に掘り込まれており、この掘り込みに絶縁膜が埋め込まれている。この絶縁膜は、例えば、酸化シリコンにより構成されている。素子分離領域213は、画素回路210を構成する複数のトランジスタ間を、画素回路210のレイアウトに応じて素子分離するものである。素子分離領域213の下方(半導体層200Sの深部)には、半導体層200S(具体的には、ウエル領域211)が延在している。
【0184】
ここで、
図68A,
図68Bおよび
図69を参照して、第1基板100での画素共有ユニット539の外形形状(基板平面方向の外形形状)と、第2基板200での画素共有ユニット539の外形形状との違いを説明する。
【0185】
撮像装置1では、第1基板100および第2基板200の両方にわたり、画素共有ユニット539が設けられている。例えば、第1基板100に設けられた画素共有ユニット539の外形形状と、第2基板200に設けられた画素共有ユニット539の外形形状とは互いに異なっている。
【0186】
図68A,
図68Bでは、画素541A,541B,541C,541Dの外形線を一点鎖線で表し、画素共有ユニット539の外形形状を太線で表している。例えば、第1基板100の画素共有ユニット539は、H方向に隣接して配置された2つの画素541(画素541A,541B)と、これにV方向に隣接して配置された2つの画素541(画素541C,541D)により構成されている。即ち、第1基板100の画素共有ユニット539は、隣接する2行×2列の4つの画素541により構成されており、第1基板100の画素共有ユニット539は、略正方形の外形形状を有している。画素アレイ部540では、このような画素共有ユニット539が、H方向へ2画素ピッチ(画素541の2個分に相当するピッチ)、かつ、V方向へ2画素ピッチ(画素541の2個分に相当するピッチ)、で隣接して配列されている。
【0187】
図69および
図70では、画素541A,541B,541C,541Dの外形線を一点鎖線で表し、画素共有ユニット539の外形形状を太線で表している。例えば、第2基板200の画素共有ユニット539の外形形状は、H方向において第1基板100の画素共有ユニット539よりも小さく、V方向において第1基板100の画素共有ユニット539よりも大きくなっている。例えば、第2基板200の画素共有ユニット539は、H方向には画素1個分に相当する大きさ(領域)で形成され、V方向には、画素4個分に相当する大きさで形成されている。即ち、第2基板200の画素共有ユニット539は、隣接する1行×4列に配列された画素に相当する大きさで形成されており、第2基板200の画素共有ユニット539は、略長方形の外形形状を有している。
【0188】
例えば、各画素回路210では、選択トランジスタSEL、増幅トランジスタAMP、リセットトランジスタRSTおよびFD変換ゲイン切替トランジスタFDGがこの順にV方向に並んで配置されている(
図69)。各画素回路210の外形形状を、上記のように、略長方形状に設けることにより、一方向(
図69ではV方向)に4つのトランジスタ(選択トランジスタSEL、増幅トランジスタAMP、リセットトランジスタRSTおよびFD変換ゲイン切替トランジスタFDG)を並べて配置することができる。これにより、増幅トランジスタAMPのドレインと、リセットトランジスタRSTのドレインとを一の拡散領域(電源線VDDに接続される拡散領域)で共有することができる。例えば、各画素回路210の形成領域を略正方形状に設けることも可能である(後述の
図82参照)。この場合には、一方向に沿って2つのトランジスタが配置され、増幅トランジスタAMPのドレインと、リセットトランジスタRSTのドレインとを一の拡散領域で共有することが困難となる。よって、画素回路210の形成領域を略長方形状に設けることにより、4つのトランジスタを近接して配置しやすくなり、画素回路210の形成領域を小さくすることができる。即ち、画素の微細化を行うことができる。また、画素回路210の形成領域を小さくすることが不要であるときには、増幅トランジスタAMPの形成領域を大きくし、ノイズを抑えることが可能となる。
【0189】
例えば、半導体層200Sの表面近傍には、選択トランジスタSEL、増幅トランジスタAMP、リセットトランジスタRSTおよびFD変換ゲイン切替トランジスタFDGに加えて、基準電位線VSSに接続されるVSSコンタクト領域218が設けられている。VSSコンタクト領域218は、例えば、p型半導体領域により構成されている。VSSコンタクト領域218は、配線層200Tの配線および貫通電極121Eを介して第1基板100(半導体層100S)のVSSコンタクト領域118に電気的に接続されている。このVSSコンタクト領域218は、例えば、素子分離領域213を間にして、FD変換ゲイン切替トランジスタFDGのソースと隣り合う位置に設けられている(
図69)。
【0190】
次に、
図68Bおよび
図69を参照して、第1基板100に設けられた画素共有ユニット539と第2基板200に設けられた画素共有ユニット539との位置関係を説明する。例えば、第1基板100のV方向に並ぶ2つの画素共有ユニット539のうち、一方(例えば
図68Bの紙面上側)の画素共有ユニット539は、第2基板200のH方向に並ぶ2つの画素共有ユニット539のうちの一方(例えば、
図69の紙面左側)の画素共有ユニット539に接続されている。例えば、第1基板100のV方向に並ぶ2つの画素共有ユニット539のうち、他方(例えば
図68Bの紙面下側)の画素共有ユニット539は、第2基板200のH方向に並ぶ2つの画素共有ユニット539のうちの他方(例えば、
図69の紙面右側)の画素共有ユニット539に接続されている。
【0191】
例えば、第2基板200のH方向に並ぶ2つの画素共有ユニット539では、一方の画素共有ユニット539の内部レイアウト(トランジスタ等の配置)が、他方の画素共有ユニット539の内部レイアウトをV方向およびH方向に反転させたレイアウトに略等しくなっている。以下、このレイアウトによって得られる効果を説明する。
【0192】
第1基板100のV方向に並ぶ2つの画素共有ユニット539では、各々のパッド部120が、画素共有ユニット539の外形形状の中央部、即ち、画素共有ユニット539のV方向およびH方向の中央部に配置される(
図68B)。一方、第2基板200の画素共有ユニット539は、上記のように、V方向に長い略長方形の外形形状を有しているので、例えば、パッド部120に接続される増幅トランジスタAMPは、画素共有ユニット539のV方向の中央から紙面上方にずれた位置に配置されている。例えば、第2基板200のH方向に並ぶ2つの画素共有ユニット539の内部レイアウトが同じであるとき、一方の画素共有ユニット539の増幅トランジスタAMPと、パッド部120(例えば、
図68の紙面上側の画素共有ユニット539のパッド部120)との距離は比較的短くなる。しかし、他方の画素共有ユニット539の増幅トランジスタAMPと、パッド部120(例えば、
図68の紙面下側の画素共有ユニット539のパッド部120)との距離が長くなる。このため、この増幅トランジスタAMPとパッド部120との接続に要する配線の面積が大きくなり、画素共有ユニット539の配線レイアウトが複雑になるおそれがある。このことは、撮像装置1の微細化に影響を及ぼす可能性がある。
【0193】
これに対して、第2基板200のH方向に並ぶ2つの画素共有ユニット539で、互いの内部レイアウトを少なくともV方向に反転させることにより、これら2つの画素共有ユニット539の両方の増幅トランジスタAMPとパッド部120との距離を短くすることができる。したがって、第2基板200のH方向に並ぶ2つの画素共有ユニット539の内部レイアウトを同じにした構成と比べて、撮像装置1の微細化を行いやすくなる。なお、第2基板200の複数の画素共有ユニット539各々の平面レイアウトは、
図69に記載の範囲では左右対称であるが、後述する
図70に記載の第1配線層W1のレイアウトまで含めると、左右非対称のものとなる。
【0194】
また、第2基板200のH方向に並ぶ2つの画素共有ユニット539の内部レイアウトは、互いに、H方向にも反転されていることが好ましい。以下、この理由について説明する。
図70に示したように、第2基板200のH方向に並ぶ2つの画素共有ユニット539はそれぞれ、第1基板100のパッド部120,121に接続されている。例えば、第2基板200のH方向に並ぶ2つの画素共有ユニット539のH方向の中央部(H方向に並ぶ2つの画素共有ユニット539の間)にパッド部120,121が配置されている。したがって、第2基板200のH方向に並ぶ2つの画素共有ユニット539の内部レイアウトを、互いに、H方向にも反転させることにより、第2基板200の複数の画素共有ユニット539それぞれとパッド部120,121との距離を小さくすることができる。即ち、撮像装置1の微細化を更に行いやすくなる。
【0195】
また、第2基板200の画素共有ユニット539の外形線の位置は、第1基板100の画素共有ユニット539のいずれかの外形線の位置に揃っていなくてもよい。例えば、第2基板200のH方向に並ぶ2つの画素共有ユニット539のうち、一方(例えば
図70の紙面左側)の画素共有ユニット539では、V方向の一方(例えば
図70の紙面上側)の外形線が、対応する第1基板100の画素共有ユニット539(例えば
図68Bの紙面上側)のV方向の一方の外形線の外側に配置されている。また、第2基板200のH方向に並ぶ2つの画素共有ユニット539のうち、他方(例えば
図70の紙面右側)の画素共有ユニット539では、V方向の他方(例えば
図70の紙面下側)の外形線が、対応する第1基板100の画素共有ユニット539(例えば
図68Bの紙面下側)のV方向の他方の外形線の外側に配置されている。このように、第2基板200の画素共有ユニット539と、第1基板100の画素共有ユニット539とを互いに配置することにより、増幅トランジスタAMPとパッド部120との距離を短くすることが可能となる。したがって、撮像装置1の微細化を行いやすくなる。
【0196】
また、第2基板200の複数の画素共有ユニット539の間で、互いの外形線の位置は揃っていなくてもよい。例えば、第2基板200のH方向に並ぶ2つの画素共有ユニット539は、V方向の外形線の位置がずれて配置されている。これにより、増幅トランジスタAMPとパッド部120との距離を短くすることが可能となる。したがって、撮像装置1の微細化を行いやすくなる。
【0197】
図68Bおよび
図70を参照して、画素アレイ部540での画素共有ユニット539の繰り返し配置について説明する。第1基板100の画素共有ユニット539は、H方向に2つ分の画素541の大きさ、およびV方向に2つ分の画素541の大きさを有している(
図68B)。例えば、第1基板100の画素アレイ部540では、この4つの画素541に相当する大きさの画素共有ユニット539が、H方向へ2画素ピッチ(画素541の2つ分に相当するピッチ)、かつ、V方向へ2画素ピッチ(画素541の2つ分に相当するピッチ)、で隣接して繰り返し配列されている。あるいは、第1基板100の画素アレイ部540に、画素共有ユニット539がV方向に2つ隣接して配置された一対の画素共有ユニット539が設けられていてもよい。第1基板100の画素アレイ部540では、例えば、この一対の画素共有ユニット539が、H方向へ2画素ピッチ(画素541の2つ分に相当するピッチ)、かつ、V方向へ4画素ピッチ(画素541の4つ分に相当するピッチ)、で隣接して繰り返し配列している。第2基板200の画素共有ユニット539は、H方向に1つ分の画素541の大きさ、およびV方向に4つ分の画素541の大きさを有している(
図70)。例えば、第2基板200の画素アレイ部540には、この4つの画素541に相当する大きさの画素共有ユニット539を2つ含む、一対の画素共有ユニット539が設けられている。この画素共有ユニット539は、H方向に隣接して配置され、かつ、V方向にはずらして配置されている。第2基板200の画素アレイ部540では、例えば、この一対の画素共有ユニット539が、H方向へ2画素ピッチ(画素541の2個分に相当するピッチ)、かつ、V方向へ4画素ピッチ(画素541の4個分に相当するピッチ)、で隙間なく隣接して繰り返し配列されている。このような画素共有ユニット539の繰り返し配置により、画素共有ユニット539を隙間なく配置することが可能となる。したがって、撮像装置1の微細化を行いやすくなる。
【0198】
増幅トランジスタAMPは、例えば、Fin型等の三次元構造を有していることが好ましい(
図67)。これにより、実効のゲート幅の大きさが大きくなり、ノイズを抑えることが可能となる。選択トランジスタSEL、リセットトランジスタRSTおよびFD変換ゲイン切替トランジスタFDGは、例えば、プレーナー構造を有している。増幅トランジスタAMPがプレーナー構造を有していてもよい。あるいは、選択トランジスタSEL、リセットトランジスタRSTまたはFD変換ゲイン切替トランジスタFDGが、三次元構造を有していてもよい。
【0199】
配線層200Tは、例えば、パッシベーション膜221、層間絶縁膜222および複数の配線(第1配線層W1,第2配線層W2,第3配線層W3,第4配線層W4)を含んでいる。パッシベーション膜221は、例えば、半導体層200Sの表面に接しており、半導体層200Sの表面全面を覆っている。このパッシベーション膜221は、選択トランジスタSEL、増幅トランジスタAMP、リセットトランジスタRSTおよびFD変換ゲイン切替トランジスタFDG各々のゲート電極を覆っている。層間絶縁膜222は、パッシベーション膜221と第3基板300との間に設けられている。この層間絶縁膜222により、複数の配線(第1配線層W1,第2配線層W2,第3配線層W3,第4配線層W4)が分離されている。層間絶縁膜222は、例えば、酸化シリコンにより構成されている。
【0200】
配線層200Tには、例えば、半導体層200S側から、第1配線層W1、第2配線層W2、第3配線層W3、第4配線層W4およびコンタクト部201,202がこの順に設けられ、これらが互いに層間絶縁膜222により絶縁されている。層間絶縁膜222には、第1配線層W1、第2配線層W2、第3配線層W3または第4配線層W4と、これらの下層とを接続する接続部が複数設けられている。接続部は、層間絶縁膜222に設けた接続孔に、導電材料を埋設した部分である。例えば、層間絶縁膜222には、第1配線層W1と半導体層200SのVSSコンタクト領域218とを接続する接続部218Vが設けられている。例えば、このような第2基板200の素子同士を接続する接続部の孔径は、貫通電極120E,121Eおよび貫通電極TGVの孔径と異なっている。具体的には、第2基板200の素子同士を接続する接続孔の孔径は、貫通電極120E,121Eおよび貫通電極TGVの孔径よりも小さくなっていることが好ましい。以下、この理由について説明する。配線層200T内に設けられた接続部(接続部218V等)の深さは、貫通電極120E,121Eおよび貫通電極TGVの深さよりも小さい。このため接続部は、貫通電極120E,121Eおよび貫通電極TGVに比べて、容易に接続孔へ導電材を埋めることができる。この接続部の孔径を、貫通電極120E,121Eおよび貫通電極TGVの孔径よりも小さくすることにより、撮像装置1の微細化を行いやすくなる。
【0201】
例えば、第1配線層W1により、貫通電極120Eと増幅トランジスタAMPのゲートおよびFD変換ゲイン切替トランジスタFDGのソース(具体的にはFD変換ゲイン切替トランジスタFDGのソースに達する接続孔)とが接続されている。第1配線層W1は、例えば、貫通電極121Eと接続部218Vとを接続しており、これにより、半導体層200SのVSSコンタクト領域218と半導体層100SのVSSコンタクト領域118とが電気的に接続される。
【0202】
次に、
図71~
図73を用いて、配線層200Tの平面構成について説明する。
図71は、第1配線層W1および第2配線層W2の平面構成の一例を表したものである。
図72は、第2配線層W2および第3配線層W3の平面構成の一例を表したものである。
図73は、第3配線層W3および第4配線層W4の平面構成の一例を表したものである。
【0203】
例えば、第3配線層W3は、H方向(行方向)に延在する配線TRG1,TRG2,TRG3,TRG4,SELL,RSTL,FDGLを含んでいる(
図72)。これらの配線は、
図65を参照して説明した複数の行駆動信号線542に該当する。配線TRG1,TRG2,TRG3,TRG4は各々、転送ゲートTG1,TG2,TG3,TG4に駆動信号を送るためのものである。配線TRG1,TRG2,TRG3,TRG4は各々、第2配線層W2、第1配線層W1および貫通電極120Eを介して転送ゲートTG1,TG2,TG3,TG4に接続されている。配線SELLは選択トランジスタSELのゲートに、配線RSTLはリセットトランジスタRSTのゲートに、配線FDGLは、FD変換ゲイン切替トランジスタFDGのゲートに各々駆動信号を送るためのものである。配線SELL,RSTL,FDGLは各々、第2配線層W2、第1配線層W1および接続部を介して、選択トランジスタSEL,リセットトランジスタRST,FD変換ゲイン切替トランジスタFDG各々のゲートに接続されている。
【0204】
例えば、第4配線層W4は、V方向(列方向)に延在する電源線VDD、基準電位線VSSおよび垂直信号線543を含んでいる(
図73)。電源線VDDは、第3配線層W3、第2配線層W2、第1配線層W1および接続部を介して増幅トランジスタAMPのドレインおよびリセットトランジスタRSTのドレインに接続されている。基準電位線VSSは、第3配線層W3、第2配線層W2、第1配線層W1および接続部218Vを介してVSSコンタクト領域218に接続されている。また、基準電位線VSSは、第3配線層W3、第2配線層W2、第1配線層W1、貫通電極121Eおよびパッド部121を介して第1基板100のVSSコンタクト領域118に接続されている。垂直信号線543は、第3配線層W3、第2配線層W2、第1配線層W1および接続部を介して選択トランジスタSELのソース(Vout)に接続されている。
【0205】
コンタクト部201,202は、平面視で画素アレイ部540に重なる位置に設けられていてもよく(例えば、
図64)、あるいは、画素アレイ部540の外側の周辺部540Bに設けられていてもよい(例えば、
図67)。コンタクト部201,202は、第2基板200の表面(配線層200T側の面)に設けられている。コンタクト部201,202は、例えば、Cu(銅)およびAl(アルミニウム)などの金属により構成されている。コンタクト部201,202は、配線層200Tの表面(第3基板300側の面)に露出している。コンタクト部201,202は、第2基板200と第3基板300との電気的な接続および、第2基板200と第3基板300との貼り合わせに用いられる。
【0206】
図67には、第2基板200の周辺部540Bに周辺回路を設けた例を図示した。この周辺回路は、行駆動部520の一部または列信号処理部550の一部等を含んでいてもよい。また、
図64に記載のように、第2基板200の周辺部540Bには周辺回路を配置せず、接続孔部H1,H2を画素アレイ部540の近傍に配置するようにしてもよい。
【0207】
第3基板300は、例えば、第2基板200側から配線層300Tおよび半導体層300Sをこの順に有している。例えば、半導体層300Sの表面は、第2基板200側に設けられている。半導体層300Sは、シリコン基板で構成されている。この半導体層300Sの表面側の部分には、回路が設けられている。具体的には、半導体層300Sの表面側の部分には、例えば、入力部510A、行駆動部520、タイミング制御部530、列信号処理部550、画像信号処理部560および出力部510Bのうちの少なくとも一部が設けられている。半導体層300Sと第2基板200との間に設けられた配線層300Tは、例えば、層間絶縁膜と、この層間絶縁膜により分離された複数の配線層と、コンタクト部301,302とを含んでいる。コンタクト部301,302は、配線層300Tの表面(第2基板200側の面)に露出されており、コンタクト部301は第2基板200のコンタクト部201に、コンタクト部302は第2基板200のコンタクト部202に各々接している。コンタクト部301,302は、半導体層300Sに形成された回路(例えば、入力部510A、行駆動部520、タイミング制御部530、列信号処理部550、画像信号処理部560および出力部510Bの少なくともいずれか)に電気的に接続されている。コンタクト部301,302は、例えば、Cu(銅)およびアルミニウム(Al)等の金属により構成されている。例えば、接続孔部H1を介して外部端子TAが入力部510Aに接続されており、接続孔部H2を介して外部端子TBが出力部510Bに接続されている。
【0208】
ここで、撮像装置1の特徴について説明する。
【0209】
一般に、撮像装置は、主な構成として、フォトダイオードと画素回路とからなる。ここで、フォトダイオードの面積を大きくすると光電変換の結果発生する電荷が増加し、その結果画素信号のシグナル/ノイズ比(S/N比)が改善し、撮像装置はよりよい画像データ(画像情報)を出力することができる。一方、画素回路に含まれるトランジスタのサイズ(特に増幅トランジスタのサイズ)を大きくすると、画素回路で発生するノイズが減少し、その結果撮像信号のS/N比が改善し、撮像装置はよりよい画像データ(画像情報)を出力することができる。
【0210】
しかし、フォトダイオードと画素回路とを同一の半導体基板に設けた撮像装置において、半導体基板の限られた面積の中でフォトダイオードの面積を大きくすると、画素回路に備わるトランジスタのサイズが小さくなってしまうことが考えられる。また、画素回路に備わるトランジスタのサイズを大きくすると、フォトダイオードの面積が小さくなってしまうことが考えられる。
【0211】
これらの課題を解決するために、例えば、本実施の形態の撮像装置1は、複数の画素541が1つの画素回路210を共有し、かつ、共有した画素回路210をフォトダイオードPDに重畳して配置する構造を用いる。これにより、半導体基板の限られた面積の中で、フォトダイオードPDの面積をできるだけ大きくすることと、画素回路210に備わるトランジスタのサイズをできるだけ大きくすることとを実現することができる。これにより、画素信号のS/N比を改善し、撮像装置1がよりよい画像データ(画像情報)を出力することができる。
【0212】
複数の画素541が1つの画素回路210を共有し、これをフォトダイオードPDに重畳して配置する構造を実現する際、複数の画素541各々のフローティングディフュージョンFDから1つの画素回路210に接続される複数の配線が延在する。画素回路210を形成する半導体基板200の面積を大きく確保するためには、例えばこれらの延在する複数の配線の間を相互に接続し、1つにまとめる接続配線を形成することができる。VSSコンタクト領域118から延在する複数の配線についても同様に、延在する複数の配線の間を相互に接続し、1つにまとめる接続配線を形成することができる。
【0213】
例えば、複数の画素541各々のフローティングディフュージョンFDから延在する複数の配線の間を相互に接続する接続配線を、画素回路210を形成する半導体基板200において形成すると、画素回路210に含まれるトランジスタを形成する面積が小さくなってしまうことが考えられる。同様に、複数の画素541各々のVSSコンタクト領域118から延在する複数の配線の間を相互接続して1つにまとめる接続配線を、画素回路210を形成する半導体基板200に形成すると、これにより画素回路210に含まれるトランジスタを形成する面積が小さくなってしまうことが考えられる。
【0214】
これらの課題を解決するために、例えば本実施の形態の撮像装置1は、複数の画素541が1つの画素回路210を共有し、かつ、共有した画素回路210をフォトダイオードPDに重畳して配置する構造であって、前記複数の画素541各々のフローティングディフュージョンFDの間を相互に接続して1つにまとめる接続配線と、前記複数の画素541のそれぞれに備わるVSSコンタクト領域118の間を相互に接続して1つにまとめる接続配線と、を第1基板100に設けた構造を備えることができる。
【0215】
ここで、前記複数の画素541各々のフローティングディフュージョンFDの間を相互に接続して1つにまとめる接続配線と、前記複数の画素541各々のVSSコンタクト領域118の間を相互に接続して1つにまとめる接続配線とを、第1基板100に設けるための製造方法として、先に述べた第2の製造方法を用いると、例えば、第1基板100および第2基板200各々の構成に応じて適切なプロセスを用いて製造することができ、高品質、高性能な撮像装置を製造することができる。また、容易なプロセスで第1基板100および第2基板200の接続配線を形成することができる。具体的には、上記第2の製造方法を用いる場合、第1基板100と第2基板200の貼り合せ境界面となる第1基板100の表面と第2基板200の表面とに、フローティングディフュージョンFDに接続する電極とVSSコンタクト領域118に接続する電極とをそれぞれ設ける。さらに、第1基板100と第2基板200を貼り合せた際にこれら2つの基板表面に設けた電極間で位置ずれが発生してもこれら2つの基板表面に形成した電極同士が接触するように、これら2つの基板表面に形成する電極を大きくすることが好ましい。この場合、撮像装置1に備わる各画素の限られた面積の中に上記電極を配置することが難しくなってしまうことが考えられる。
【0216】
第1基板100と第2基板200の貼り合せ境界面に大きな電極が必要となる課題を解決するために、例えば本実施の形態の撮像装置1は、複数の画素541が1つの画素回路210を共有し、かつ、共有した画素回路210をフォトダイオードPDに重畳して配置する製造方法として、先に述べた第1の製造方法を用いることができる。これにより、第1基板100および第2基板200各々に形成される素子同士の位置合わせが容易になり、高品質、高性能な撮像装置を製造することができる。さらに、この製造方法を用いることによって生じる固有の構造を備えることができる。すなわち、第1基板100の半導体層100Sと配線層100Tと第2基板200の半導体層200Sと配線層200Tをこの順で積層した構造、言い換えれば、第1基板100と第2基板200をフェイストゥーバックで積層した構造を備え、かつ、第2基板200の半導体層200Sの表面側から、半導体層200Sと第1基板100の配線層100Tを貫通して、第1基板100の半導体層100Sの表面へと至る、貫通電極120E,121Eを備える。
【0217】
前記複数の画素541各々のフローティングディフュージョンFDの間を相互に接続して1つにまとめる接続配線と、前記複数の画素541各々のVSSコンタクト領域118の間を相互に接続して1つにまとめる接続配線と、を第1基板100に設けた構造において、この構造と第2基板200とを前記第1の製造方法を用いて積層し第2基板200に画素回路210を形成すると、画素回路210に備わる能動素子を形成する際に必要となる加熱処理の影響が、第1基板100に形成した上記接続配線に及んでしまう可能性がある。
【0218】
そこで、上記接続配線に対して、上記能動素子を形成する際の加熱処理の影響が及んでしまう課題を解決するために、本実施の形態の撮像装置1は、前記複数の画素541各々のフローティングディフュージョンFD同士を相互に接続して1つにまとめる接続配線と、前記複数の画素541各々のVSSコンタクト領域118の間を相互に接続して1つにまとめる接続配線と、に耐熱性の高い導電材料を用いることが望ましい。具体的には、耐熱性の高い導電材料は、第2基板200の配線層200Tに含まれる配線材の少なくとも一部よりも、融点の高い材料を用いることができる。
【0219】
このように、例えば本実施の形態の撮像装置1は、(1)第1基板100と第2基板200をフェイストゥーバックで積層した構造(具体的には、第1基板100の半導体層100Sと配線層100Tと第2基板200の半導体層200Sと配線層200Tをこの順で積層する構造)と、(2)第2基板200の半導体層200Sの表面側から、半導体層200Sと第1基板100の配線層100Tを貫通して、第1基板100の半導体層100Sの表面へと至る、貫通電極120E,121Eを設けた構造と、(3)複数の画素541のそれぞれに備わるフローティングディフュージョンFDの間を相互に接続して1つにまとめる接続配線と、複数の画素541のそれぞれに備わるVSSコンタクト領域118の間を相互に接続して1つにまとめる接続配線と、を耐熱性の高い導電材料で形成した構造と、を備えることで、第1基板100と第2基板200との界面に大きな電極を備えることなく、第1基板100に、複数の画素541のそれぞれに備わるフローティングディフュージョンFDの間を相互に接続して1つにまとめる接続配線と、複数の画素541のそれぞれに備わるVSSコンタクト領域118の間を相互に接続して1つにまとめる接続配線と、を設けることを可能としている。
【0220】
[撮像装置1の動作]
次に、
図74および
図75を用いて撮像装置1の動作について説明する。
図74および
図75は、
図64に各信号の経路を表す矢印を追記したものである。
図74は、外部から撮像装置1に入力される入力信号と、電源電位および基準電位の経路を矢印で表したものである。
図75は、撮像装置1から外部に出力される画素信号の信号経路を矢印で表している。例えば、入力部510Aを介して撮像装置1に入力された入力信号(例えば、画素クロックおよび同期信号)は、第3基板300の行駆動部520へ伝送され、行駆動部520で行駆動信号が作り出される。この行駆動信号は、コンタクト部301,201を介して第2基板200に送られる。更に、この行駆動信号は、配線層200T内の行駆動信号線542を介して、画素アレイ部540の画素共有ユニット539各々に到達する。第2基板200の画素共有ユニット539に到達した行駆動信号のうち、転送ゲートTG以外の駆動信号は画素回路210に入力されて、画素回路210に含まれる各トランジスタが駆動される。転送ゲートTGの駆動信号は貫通電極TGVを介して第1基板100の転送ゲートTG1,TG2,TG3,TG4に入力され、画素541A,541B,541C,541Dが駆動される(
図74)。また、撮像装置1の外部から、第3基板300の入力部510A(入力端子511)に供給された電源電位および基準電位は、コンタクト部301,201を介して第2基板200に送られ、配線層200T内の配線を介して、画素共有ユニット539各々の画素回路210に供給される。基準電位は、さらに貫通電極121Eを介して、第1基板100の画素541A,541B,541C,541Dへも供給される。一方、第1基板100の画素541A,541B,541C,541Dで光電変換された画素信号は、貫通電極120Eを介して画素共有ユニット539毎に第2基板200の画素回路210に送られる。この画素信号に基づく画素信号は、画素回路210から垂直信号線543およびコンタクト部202,302を介して第3基板300に送られる。この画素信号は、第3基板300の列信号処理部550および画像信号処理部560で処理された後、出力部510Bを介して外部に出力される。
【0221】
[効果]
本実施の形態では、画素541A,541B,541C,541D(画素共有ユニット539)と画素回路210とが互いに異なる基板(第1基板100および第2基板200)に設けられている。これにより、画素541A,541B,541C,541Dおよび画素回路210を同一基板に形成した場合と比べて、画素541A,541B,541C,541Dおよび画素回路210の面積を拡大することができる。その結果、光電変換により得られる画素信号の量を増大させ、かつ、画素回路210のトランジスタノイズを低減することが可能となる。これらにより、画素信号のシグナル/ノイズ比を改善して、撮像装置1は、よりよい画素データ(画像情報)を出力することが可能となる。また、撮像装置1の微細化(言い換えれば、画素サイズの縮小および撮像装置1の小型化)が可能となる。撮像装置1は、画素サイズの縮小により、単位面積当たりの画素数を増加させることができ、高画質の画像を出力することができる。
【0222】
また、撮像装置1では、第1基板100および第2基板200が、絶縁領域212に設けられた貫通電極120E,121Eによって互いに電気的に接続されている。例えば、第1基板100と第2基板200とをパッド電極同士の接合により接続する方法や、半導体層を貫通する貫通配線(例えばTSV(Thorough Si Via))により接続する方法も考え得る。このような方法に比べて、絶縁領域212に貫通電極120E,121Eを設けることにより、第1基板100および第2基板200の接続に要する面積を小さくすることができる。これにより、画素サイズを縮小し、撮像装置1をより小型化することができる。また、1画素あたりの面積の更なる微細化により、解像度をより高くすることができる。チップサイズの小型化が不要なときには、画素541A,541B,541C,541Dおよび画素回路210の形成領域を拡大することができる。その結果、光電変換により得られる画素信号の量を増大させ、かつ、画素回路210に備わるトランジスタのノイズを低減することが可能となる。これにより、画素信号のシグナル/ノイズ比を改善して、撮像装置1はよりよい画素データ(画像情報)を出力することが可能となる。
【0223】
また、撮像装置1では、画素回路210と列信号処理部550および画像信号処理部560とが互いに異なる基板(第2基板200および第3基板300)に設けられている。これにより、画素回路210と列信号処理部550および画像信号処理部560とを同一基板に形成した場合と比べて、画素回路210の面積と、列信号処理部550および画像信号処理部560の面積とを拡大することができる。これにより、列信号処理部550で生じるノイズを低減したり、画像信号処理部560により高度な画像処理回路を搭載することが可能となる。よって、画素信号のシグナル/ノイズ比を改善して、撮像装置1はよりよい画素データ(画像情報)を出力することが可能となる。
【0224】
また、撮像装置1では、画素アレイ部540が、第1基板100および第2基板200に設けられ、かつ、列信号処理部550および画像信号処理部560が第3基板300に設けられている。また、第2基板200と第3基板300とを接続するコンタクト部201,202,301,302は、画素アレイ部540の上方に形成されている。このため、コンタクト部201,202,301,302は、画素アレイに備わる各種配線からレイアウト上の干渉を受けずに自由にレイアウトにすることが可能となる。これにより、第2基板200と第3基板300との電気的な接続に、コンタクト部201,202,301,302を用いることが可能となる。コンタクト部201,202,301,302を用いることにより、例えば、列信号処理部550および画像信号処理部560はレイアウトの自由度が高くなる。これにより、列信号処理部550で生じるノイズを低減したり、画像信号処理部560により高度な画像処理回路を搭載することが可能となる。したがって、画素信号のシグナル/ノイズ比を改善して、撮像装置1はよりよい画素データ(画像情報)を出力することが可能となる。
【0225】
また、撮像装置1では、画素分離部117が半導体層100Sを貫通している。これにより、1画素あたりの面積の微細化によって隣り合う画素(画素541A,541B,541C,541D)の距離が近づいた場合であっても、画素541A,541B,541C,541Dの間での混色を抑制できる。これにより、画素信号のシグナル/ノイズ比を改善して、撮像装置1はよりよい画素データ(画像情報)を出力することが可能となる。
【0226】
また、撮像装置1では、画素共有ユニット539毎に画素回路210が設けられている。これにより、画素541A,541B,541C,541D各々に画素回路210を設けた場合に比べて、画素回路210を構成するトランジスタ(増幅トランジスタAMP,リセットトランジスタRST,選択トランジスタSEL,FD変換ゲイン切替トランジスタFDG)の形成領域を大きくすることが可能となる。例えば、増幅トランジスタAMPの形成領域を大きくすることにより、ノイズを抑えることが可能となる。これにより、画素信号のシグナル/ノイズ比を改善して、撮像装置1はよりよい画素データ(画像情報)を出力することが可能となる。
【0227】
更に、撮像装置1では、4つの画素(画素541A,541B,541C,541D)のフローティングディフュージョンFD(フローティングディフュージョンFD1,FD2,FD3,FD4)を電気的に接続するパッド部120が、第1基板100に設けられている。これにより、このようなパッド部120を第2基板200に設ける場合に比べて、第1基板100と第2基板200とを接続する貫通電極(貫通電極120E)の数を減らすことができる。したがって、絶縁領域212を小さくし、画素回路210を構成するトランジスタの形成領域(半導体層200S)を十分な大きさで確保することができる。これにより、画素回路210に備わるトランジスタのノイズを低減することが可能となり、画素信号のシグナル/ノイズ比を改善して、撮像装置1はよりよい画素データ(画像情報)を出力することが可能となる。
【0228】
以下、上記実施の形態に係る撮像装置1の変形例について説明する。以下の変形例では、上記実施の形態と共通の構成に同一の符号を付して説明する。
【0229】
<2.変形例1>
図76~
図80は、上記実施の形態に係る撮像装置1の平面構成の一変形例を表したものである。
図76は、第2基板200の半導体層200Sの表面近傍の平面構成を模式的に表しており、上記実施の形態で説明した
図69に対応する。
図77は、第1配線層W1と、第1配線層W1に接続された半導体層200Sおよび第1基板100の各部の構成を模式的に表しており、上記実施の形態で説明した
図70に対応する。
図78は、第1配線層W1および第2配線層W2の平面構成の一例を表しており、上記実施の形態で説明した
図71に対応する。
図79は、第2配線層W2および第3配線層W3の平面構成の一例を表しており、上記実施の形態で説明した
図72に対応する。
図80は、第3配線層W3および第4配線層W4の平面構成の一例を表しており、上記実施の形態で説明した
図73に対応する。
【0230】
本変形例では、
図77に示したように、第2基板200のH方向に並ぶ2つの画素共有ユニット539のうち、一方(例えば紙面右側)の画素共有ユニット539の内部レイアウトが、他方(例えば紙面左側)の画素共有ユニット539の内部レイアウトをH方向にのみ反転させた構成となっている。また、一方の画素共有ユニット539の外形線と他方の画素共有ユニット539の外形線との間のV方向のずれが、上記実施の形態で説明したずれ(
図70)よりも大きくなっている。このように、V方向のずれを大きくすることにより、他方の画素共有ユニット539の増幅トランジスタAMPと、これに接続されたパッド部120(
図68に記載のV方向に並ぶ2つの画素共有ユニット539のうちの他方(紙面下側)のパッド部120)との間の距離を小さくすることができる。このようなレイアウトにより、
図76~
図80に記載の撮像装置1の変形例1は、H方向に並ぶ2つの画素共有ユニット539の平面レイアウトを互いにV方向に反転させることなく、その面積を、上記実施の形態で説明した第2基板200の画素共有ユニット539の面積と同じにすることができる。なお、第1基板100の画素共有ユニット539の平面レイアウトは、上記実施の形態で説明した平面レイアウト(
図68A,
図68B)と同じである。したがって、本変形例の撮像装置1は、上記実施の形態で説明した撮像装置1と同様の効果を得ることができる。第2基板200の画素共有ユニット539の配置は、上記実施の形態および本変形例で説明した配置に限定されるものではない。
【0231】
<3.変形例2>
図81~
図86は、上記実施の形態に係る撮像装置1の平面構成の一変形例を表したものである。
図81は、第1基板100の平面構成を模式的に表しており、上記実施の形態で説明した
図68Aに対応する。
図82は、第2基板200の半導体層200Sの表面近傍の平面構成を模式的に表しており、上記実施の形態で説明した
図69に対応する。
図83は、第1配線層W1と、第1配線層W1に接続された半導体層200Sおよび第1基板100の各部の構成を模式的に表しており、上記実施の形態で説明した
図70に対応する。
図84は、第1配線層W1および第2配線層W2の平面構成の一例を表しており、上記実施の形態で説明した
図71に対応する。
図85は、第2配線層W2および第3配線層W3の平面構成の一例を表しており、上記実施の形態で説明した
図72に対応する。
図86は、第3配線層W3および第4配線層W4の平面構成の一例を表しており、上記実施の形態で説明した
図73に対応する。
【0232】
本変形例では、各画素回路210の外形が、略正方形の平面形状を有している(
図82等)。この点において、本変形例の撮像装置1の平面構成は、上記実施の形態で説明した撮像装置1の平面構成と異なっている。
【0233】
例えば、第1基板100の画素共有ユニット539は、上記実施の形態で説明したのと同様に、2行×2列の画素領域にわたって形成されており、略正方形の平面形状を有している(
図81)。例えば、各々の画素共有ユニット539では、一方の画素列の画素541Aおよび画素541Cの転送ゲートTG1,TG3の水平部分TGbが、垂直部分TGaに重畳する位置からH方向において画素共有ユニット539の中央部に向かう方向(より具体的には、画素541A,541Cの外縁に向かう方向、かつ画素共有ユニット539の中央部に向かう方向)に延在し、他方の画素列の画素541Bおよび画素541Dの転送ゲートTG2,TG4の水平部分TGbが、垂直部分TGaに重畳する位置からH方向において画素共有ユニット539の外側に向かう方向(より具体的には、画素541B,541Dの外縁に向かう方向、かつ画素共有ユニット539の外側に向かう方向)に延在している。フローティングディフュージョンFDに接続されたパッド部120は、画素共有ユニット539の中央部(画素共有ユニット539のH方向およびV方向の中央部)に設けられ、VSSコンタクト領域118に接続されたパッド部121は、少なくともH方向において(
図81ではH方向およびV方向において)画素共有ユニット539の端部に設けられている。
【0234】
別の配置例として、転送ゲートTG1,TG2,TG3,TG4の水平部分TGbを垂直部分TGaに対向する領域のみに設けることも考え得る。このときには、上記実施の形態で説明したのと同様に、半導体層200Sが細かく分断されやすい。したがって、画素回路210のトランジスタを大きく形成することが困難となる。一方、転送ゲートTG1,TG2,TG3,TG4の水平部分TGbを、上記変形例のように、垂直部分TGaに重畳する位置からH方向に延在させると、上記実施の形態で説明したのと同様に、半導体層200Sの幅を大きくすることが可能となる。具体的には、転送ゲートTG1,TG3に接続された貫通電極TGV1,TGV3のH方向の位置を、貫通電極120EのH方向の位置に近接させて配置し、転送ゲートTG2,TG4に接続された貫通電極TGV2,TGV4のH方向の位置を、貫通電極121EのH方向の位置に近接して配置することが可能となる(
図83)。これにより、上記実施の形態で説明したのと同様に、V方向に延在する半導体層200Sの幅(H方向の大きさ)を大きくすることができる。よって、画素回路210のトランジスタのサイズ、特に増幅トランジスタAMPのサイズを大きくすることが可能となる。その結果、画素信号のシグナル/ノイズ比を改善して、撮像装置1はよりよい画素データ(画像情報)を出力することが可能となる。
【0235】
第2基板200の画素共有ユニット539は、例えば、第1基板100の画素共有ユニット539のH方向およびV方向の大きさと略同じであり、例えば、略2行×2列の画素領域に対応する領域にわたって設けられている。例えば、各画素回路210では、V方向に延在する1の半導体層200Sに選択トランジスタSELおよび増幅トランジスタAMPがV方向に並んで配置され、FD変換ゲイン切替トランジスタFDGおよびリセットトランジスタRSTがV方向に延在する1の半導体層200Sに、V方向に並んで配置されている。この選択トランジスタSELおよび増幅トランジスタAMPが設けられた1の半導体層200Sと、FD変換ゲイン切替トランジスタFDGおよびリセットトランジスタRSTが設けられた1の半導体層200Sとは、絶縁領域212を介してH方向に並んでいる。この絶縁領域212はV方向に延在している(
図82)。
【0236】
ここで、第2基板200の画素共有ユニット539の外形について、
図82および
図83を参照して説明する。例えば、
図81に示した第1基板100の画素共有ユニット539は、パッド部120のH方向の一方(
図83の紙面左側)に設けられた増幅トランジスタAMPおよび選択トランジスタSELと、パッド部120のH方向の他方(
図83の紙面右側)に設けられたFD変換ゲイン切替トランジスタFDGおよびリセットトランジスタRSTとに接続されている。この増幅トランジスタAMP、選択トランジスタSEL、FD変換ゲイン切替トランジスタFDGおよびリセットトランジスタRSTを含む第2基板200の画素共有ユニット539の外形は、次の4つの外縁により決まる。
【0237】
第1の外縁は、選択トランジスタSELおよび増幅トランジスタAMPを含む半導体層200SのV方向の一端(
図83の紙面上側の端)の外縁である。この第1の外縁は、当該画素共有ユニット539に含まれる増幅トランジスタAMPと、この画素共有ユニット539のV方向の一方(
図83の紙面上側)に隣り合う画素共有ユニット539に含まれる選択トランジスタSELとの間に設けられている。より具体的には、第1の外縁は、これら増幅トランジスタAMPと選択トランジスタSELとの間の素子分離領域213のV方向の中央部に設けられている。第2の外縁は、選択トランジスタSELおよび増幅トランジスタAMPを含む半導体層200SのV方向の他端(
図83の紙面下側の端)の外縁である。この第2の外縁は、当該画素共有ユニット539に含まれる選択トランジスタSELと、この画素共有ユニット539のV方向の他方(
図83の紙面下側)に隣り合う画素共有ユニット539に含まれる増幅トランジスタAMPとの間に設けられている。より具体的には、第2の外縁は、これら選択トランジスタSELと増幅トランジスタAMPとの間の素子分離領域213のV方向の中央部に設けられている。第3の外縁は、リセットトランジスタRSTおよびFD変換ゲイン切替トランジスタFDGを含む半導体層200SのV方向の他端(
図83の紙面下側の端)の外縁である。この第3の外縁は、当該画素共有ユニット539に含まれるFD変換ゲイン切替トランジスタFDGと、この画素共有ユニット539のV方向の他方(
図83の紙面下側)に隣り合う画素共有ユニット539に含まれるリセットトランジスタRSTとの間に設けられている。より具体的には、第3の外縁は、これらFD変換ゲイン切替トランジスタFDGとリセットトランジスタRSTとの間の素子分離領域213のV方向の中央部に設けられている。第4の外縁は、リセットトランジスタRSTおよびFD変換ゲイン切替トランジスタFDGを含む半導体層200SのV方向の一端(
図83の紙面上側の端)の外縁である。この第4の外縁は、当該画素共有ユニット539に含まれるリセットトランジスタRSTと、この画素共有ユニット539のV方向の一方(
図83の紙面上側)に隣り合う画素共有ユニット539に含まれるFD変換ゲイン切替トランジスタFDG(不図示)との間に設けられている。より具体的には、第4の外縁は、これらリセットトランジスタRSTとFD変換ゲイン切替トランジスタFDGとの間の素子分離領域213(不図示)のV方向の中央部に設けられている。
【0238】
このような第1,第2,第3,第4の外縁を含む第2基板200の画素共有ユニット539の外形では、第1,第2の外縁に対して、第3,第4の外縁がV方向の一方側にずれて配置されている(言い換えればV方向の一方側にオフセットされている)。このようなレイアウトを用いることにより、増幅トランジスタAMPのゲートおよびFD変換ゲイン切替トランジスタFDGのソースをともに、パッド部120にできるだけ近接して配置することが可能となる。したがって、これらを接続する配線の面積を小さくし、撮像装置1の微細化を行いやすくなる。なおVSSコンタクト領域218は、選択トランジスタSELおよび増幅トランジスタAMPを含む半導体層200Sと、リセットトランジスタRSTおよびFD変換ゲイン切替トランジスタFDGを含む半導体層200Sとの間に設けられている。例えば、複数の画素回路210は、互いに同じ配置を有している。
【0239】
このような第2基板200を有する撮像装置1も、上記実施の形態で説明したのと同様の効果が得られる。第2基板200の画素共有ユニット539の配置は、上記実施の形態および本変形例で説明した配置に限定されるものではない。
【0240】
<4.変形例3>
図87~
図92は、上記実施の形態に係る撮像装置1の平面構成の一変形例を表したものである。
図87は、第1基板100の平面構成を模式的に表しており、上記実施の形態で説明した
図68Bに対応する。
図88は、第2基板200の半導体層200Sの表面近傍の平面構成を模式的に表しており、上記実施の形態で説明した
図69に対応する。
図89は、第1配線層W1と、第1配線層W1に接続された半導体層200Sおよび第1基板100の各部の構成を模式的に表しており、上記実施の形態で説明した
図70に対応する。
図90は、第1配線層W1および第2配線層W2の平面構成の一例を表しており、上記実施の形態で説明した
図71に対応する。
図91は、第2配線層W2および第3配線層W3の平面構成の一例を表しており、上記実施の形態で説明した
図72に対応する。
図92は、第3配線層W3および第4配線層W4の平面構成の一例を表しており、上記実施の形態で説明した
図73に対応する。
【0241】
本変形例では、第2基板200の半導体層200Sが、H方向に延在している(
図89)。即ち、上記
図82等に示した撮像装置1の平面構成を90度回転させた構成に略対応している。
【0242】
例えば、第1基板100の画素共有ユニット539は、上記実施の形態で説明したのと同様に、2行×2列の画素領域にわたって形成されており、略正方形の平面形状を有している(
図87)。例えば、各々の画素共有ユニット539では、一方の画素行の画素541Aおよび画素541Bの転送ゲートTG1,TG2が、V方向において画素共有ユニット539の中央部に向かって延在し、他方の画素行の画素541Cおよび画素541Dの転送ゲートTG3,TG4が、V方向において画素共有ユニット539の外側方向に延在している。フローティングディフュージョンFDに接続されたパッド部120は、画素共有ユニット539の中央部に設けられ、VSSコンタクト領域118に接続されたパッド部121は、少なくともV方向において(
図87ではV方向およびH方向において)画素共有ユニット539の端部に設けられている。このとき、転送ゲートTG1,TG2の貫通電極TGV1,TGV2のV方向の位置が貫通電極120EのV方向の位置に近づき、転送ゲートTG3,TG4の貫通電極TGV3,TGV4のV方向の位置が貫通電極121EのV方向の位置に近づく(
図89)。したがって、上記実施の形態で説明したのと同様の理由により、H方向に延在する半導体層200Sの幅(V方向の大きさ)を大きくすることができる。よって、増幅トランジスタAMPのサイズを大きくし、ノイズを抑えることが可能となる。
【0243】
各々の画素回路210では、選択トランジスタSELおよび増幅トランジスタAMPがH方向に並んで配置され、選択トランジスタSELと絶縁領域212を間にしてV方向に隣り合う位置にリセットトランジスタRSTが配置されている(
図88)。FD変換ゲイン切替トランジスタFDGは、リセットトランジスタRSTとH方向に並んで配置されている。VSSコンタクト領域218は、絶縁領域212に島状に設けられている。例えば、第3配線層W3はH方向に延在し(
図91)、第4配線層W4はV方向に延在している(
図92)。
【0244】
このような第2基板200を有する撮像装置1も、上記実施の形態で説明したのと同様の効果が得られる。第2基板200の画素共有ユニット539の配置は、上記実施の形態および本変形例で説明した配置に限定されるものではない。例えば、上記実施の形態および変形例1で説明した半導体層200Sが、H方向に延在していてもよい。
【0245】
<5.変形例4>
図93は、上記実施の形態に係る撮像装置1の断面構成の一変形例を模式的に表したものである。
図93は、上記実施の形態で説明した
図64に対応する。本変形例では、撮像装置1が、コンタクト部201,202,301,302に加えて、画素アレイ部540の中央部に対向する位置にコンタクト部203,204,303,304を有している。この点において、本変形例の撮像装置1は、上記実施の形態で説明した撮像装置1と異なっている。
【0246】
コンタクト部203,204は、第2基板200に設けられており、第3基板300との接合面の露出されている。コンタクト部303,304は、第3基板300に設けられており、第2基板200との接合面に露出されている。コンタクト部203は、コンタクト部303と接しており、コンタクト部204は、コンタクト部304と接している。即ち、この撮像装置1では、第2基板200と第3基板300とが、コンタクト部201,202,301,302に加えてコンタクト部203,204,303,304により接続されている。
【0247】
次に、
図94および
図95を用いてこの撮像装置1の動作について説明する。
図94には、外部から撮像装置1に入力される入力信号と、電源電位および基準電位の経路を矢印で表す。
図95には、撮像装置1から外部に出力される画素信号の信号経路を矢印で表している。例えば、入力部510Aを介して撮像装置1に入力された入力信号は、第3基板300の行駆動部520へ伝送され、行駆動部520で行駆動信号が作り出される。この行駆動信号は、コンタクト部303,203を介して第2基板200に送られる。更に、この行駆動信号は、配線層200T内の行駆動信号線542を介して、画素アレイ部540の画素共有ユニット539各々に到達する。第2基板200の画素共有ユニット539に到達した行駆動信号のうち、転送ゲートTG以外の駆動信号は画素回路210に入力されて、画素回路210に含まれる各トランジスタが駆動される。転送ゲートTGの駆動信号は貫通電極TGVを介して第1基板100の転送ゲートTG1,TG2,TG3,TG4に入力され、画素541A,541B,541C,541Dが駆動される。また、撮像装置1の外部から、第3基板300の入力部510A(入力端子511)に供給された電源電位および基準電位は、コンタクト部303,203を介して第2基板200に送られ、配線層200T内の配線を介して、画素共有ユニット539各々の画素回路210に供給される。基準電位は、さらに貫通電極121Eを介して、第1基板100の画素541A,541B,541C,541Dへも供給される。一方、第1基板100の画素541A,541B,541C,541Dで光電変換された画素信号は、画素共有ユニット539毎に第2基板200の画素回路210に送られる。この画素信号に基づく画素信号は、画素回路210から垂直信号線543およびコンタクト部204,304を介して第3基板300に送られる。この画素信号は、第3基板300の列信号処理部550および画像信号処理部560で処理された後、出力部510Bを介して外部に出力される。
【0248】
このようなコンタクト部203,204,303,304を有する撮像装置1も、上記実施の形態で説明したのと同様の効果が得られる。コンタクト部303,304を介した配線の接続先である、第3基板300の回路等の設計に応じてコンタクト部の位置および数等を変えることができる。
【0249】
<6.変形例5>
図96は、上記実施の形態に係る撮像装置1の断面構成の一変形例を表したものである。
図96は、上記実施の形態で説明した
図67に対応する。本変形例では、第1基板100にプレーナー構造を有する転送トランジスタTRが設けられている。この点において、本変形例の撮像装置1は、上記実施の形態で説明した撮像装置1と異なっている。
【0250】
この転送トランジスタTRは、水平部分TGbのみにより転送ゲートTGが構成されている。換言すれば、転送ゲートTGは、垂直部分TGaを有しておらず、半導体層100Sに対向して設けられている。
【0251】
このようなプレーナー構造の転送トランジスタTRを有する撮像装置1も、上記実施の形態で説明したのと同様の効果が得られる。更に、第1基板100にプレーナー型の転送ゲートTGを設けることにより、縦型の転送ゲートTGを第1基板100に設ける場合に比べて、より半導体層100Sの表面近くまでフォトダイオードPDを形成し、これにより、飽和信号量(Qs)を増加させることも考え得る。また、第1基板100にプレーナー型の転送ゲートTGを形成する方法は、第1基板100に縦型の転送ゲートTGを形成する方法に比べて、製造工程数が少なく、製造工程に起因したフォトダイオードPDへの悪影響が生じにくい、とも考え得る。
【0252】
<7.変形例6>
図97は、上記実施の形態に係る撮像装置1の画素回路の一変形例を表したものである。
図97は、上記実施の形態で説明した
図65に対応する。本変形例では、1つの画素(画素541A)毎に画素回路210が設けられている。即ち、画素回路210は、複数の画素で共有されていない。この点において、本変形例の撮像装置1は、上記実施の形態で説明した撮像装置1と異なっている。
【0253】
本変形例の撮像装置1は、画素541Aと画素回路210とを互いに異なる基板(第1基板100および第2基板200)に設ける点では、上記実施の形態で説明した撮像装置1と同じである。このため、本変形例に係る撮像装置1も、上記実施の形態で説明したのと同様の効果を得ることができる。
【0254】
<8.変形例7>
図98は、上記実施の形態で説明した画素分離部117の平面構成の一変形例を表したものである。画素541A,541B,541C,541D各々を囲む画素分離部117に、隙間が設けられていてもよい。即ち、画素541A,541B,541C,541Dの全周が画素分離部117に囲まれていなくてもよい。例えば、画素分離部117の隙間は、パッド部120,121近傍に設けられている(
図68B参照)。
【0255】
上記実施の形態では、画素分離部117が半導体層100Sを貫通するFTI構造を有する例(
図67参照)を説明したが、画素分離部117はFTI構造以外の構成を有していてもよい。例えば、画素分離部117は、半導体層100Sを完全に貫通するように設けられていなくてもよく、いわゆる、DTI(Deep Trench Isolation)構造を有していてもよい。
【0256】
<9.適用例>
図99は、上記実施の形態およびその変形例に係る撮像装置1を備えた撮像システム7の概略構成の一例を表したものである。
【0257】
撮像システム7は、例えば、デジタルスチルカメラやビデオカメラ等の撮像装置や、スマートフォンやタブレット型端末等の携帯端末装置などの電子機器である。撮像システム7は、例えば、上記実施の形態およびその変形例に係る撮像装置1、DSP回路243、フレームメモリ244、表示部245、記憶部246、操作部247および電源部248を備えている。撮像システム7において、上記実施の形態およびその変形例に係る撮像装置1、DSP回路243、フレームメモリ244、表示部245、記憶部246、操作部247および電源部248は、バスライン249を介して相互に接続されている。
【0258】
上記実施の形態およびその変形例に係る撮像装置1は、入射光に応じた画像データを出力する。DSP回路243は、上記実施の形態およびその変形例に係る撮像装置1から出力される信号(画像データ)を処理する信号処理回路である。フレームメモリ244は、DSP回路243により処理された画像データを、フレーム単位で一時的に保持する。表示部245は、例えば、液晶パネルや有機EL(Electro Luminescence)パネル等のパネル型表示装置からなり、上記実施の形態およびその変形例に係る撮像装置1で撮像された動画又は静止画を表示する。記憶部246は、上記実施の形態およびその変形例に係る撮像装置1で撮像された動画又は静止画の画像データを、半導体メモリやハードディスク等の記録媒体に記録する。操作部247は、ユーザによる操作に従い、撮像システム7が有する各種の機能についての操作指令を発する。電源部248は、上記実施の形態およびその変形例に係る撮像装置1、DSP回路243、フレームメモリ244、表示部245、記憶部246および操作部247の動作電源となる各種の電源を、これら供給対象に対して適宜供給する。
【0259】
次に、撮像システム7における撮像手順について説明する。
【0260】
図100は、撮像システム7における撮像動作のフローチャートの一例を表す。ユーザは、操作部247を操作することにより撮像開始を指示する(ステップS101)。すると、操作部247は、撮像指令を撮像装置1に送信する(ステップS102)。撮像装置1(具体的にはシステム制御回路36)は、撮像指令を受けると、所定の撮像方式での撮像を実行する(ステップS103)。
【0261】
撮像装置1は、撮像により得られた画像データをDSP回路243に出力する。ここで、画像データとは、フローティングディフュージョンFDに一時的に保持された電荷に基づいて生成された画素信号の全画素分のデータである。DSP回路243は、撮像装置1から入力された画像データに基づいて所定の信号処理(例えばノイズ低減処理など)を行う(ステップS104)。DSP回路243は、所定の信号処理がなされた画像データをフレームメモリ244に保持させ、フレームメモリ244は、画像データを記憶部246に記憶させる(ステップS105)。このようにして、撮像システム7における撮像が行われる。
【0262】
本適用例では、上記実施の形態およびその変形例に係る撮像装置1が撮像システム7に適用される。これにより、撮像装置1を小型化もしくは高精細化することができるので、小型もしくは高精細な撮像システム7を提供することができる。
【0263】
<10.応用例>
[応用例1]
本開示に係る技術(本技術)は、様々な製品へ応用することができる。例えば、本開示に係る技術は、自動車、電気自動車、ハイブリッド電気自動車、自動二輪車、自転車、パーソナルモビリティ、飛行機、ドローン、船舶、ロボット等のいずれかの種類の移動体に搭載される装置として実現されてもよい。
【0264】
図101は、本開示に係る技術が適用され得る移動体制御システムの一例である車両制御システムの概略的な構成例を示すブロック図である。
【0265】
車両制御システム12000は、通信ネットワーク12001を介して接続された複数の電子制御ユニットを備える。
図101に示した例では、車両制御システム12000は、駆動系制御ユニット12010、ボディ系制御ユニット12020、車外情報検出ユニット12030、車内情報検出ユニット12040、及び統合制御ユニット12050を備える。また、統合制御ユニット12050の機能構成として、マイクロコンピュータ12051、音声画像出力部12052、及び車載ネットワークI/F(interface)12053が図示されている。
【0266】
駆動系制御ユニット12010は、各種プログラムにしたがって車両の駆動系に関連する装置の動作を制御する。例えば、駆動系制御ユニット12010は、内燃機関又は駆動用モータ等の車両の駆動力を発生させるための駆動力発生装置、駆動力を車輪に伝達するための駆動力伝達機構、車両の舵角を調節するステアリング機構、及び、車両の制動力を発生させる制動装置等の制御装置として機能する。
【0267】
ボディ系制御ユニット12020は、各種プログラムにしたがって車体に装備された各種装置の動作を制御する。例えば、ボディ系制御ユニット12020は、キーレスエントリシステム、スマートキーシステム、パワーウィンドウ装置、あるいは、ヘッドランプ、バックランプ、ブレーキランプ、ウィンカー又はフォグランプ等の各種ランプの制御装置として機能する。この場合、ボディ系制御ユニット12020には、鍵を代替する携帯機から発信される電波又は各種スイッチの信号が入力され得る。ボディ系制御ユニット12020は、これらの電波又は信号の入力を受け付け、車両のドアロック装置、パワーウィンドウ装置、ランプ等を制御する。
【0268】
車外情報検出ユニット12030は、車両制御システム12000を搭載した車両の外部の情報を検出する。例えば、車外情報検出ユニット12030には、撮像部12031が接続される。車外情報検出ユニット12030は、撮像部12031に車外の画像を撮像させるとともに、撮像された画像を受信する。車外情報検出ユニット12030は、受信した画像に基づいて、人、車、障害物、標識又は路面上の文字等の物体検出処理又は距離検出処理を行ってもよい。
【0269】
撮像部12031は、光を受光し、その光の受光量に応じた電気信号を出力する光センサである。撮像部12031は、電気信号を画像として出力することもできるし、測距の情報として出力することもできる。また、撮像部12031が受光する光は、可視光であっても良いし、赤外線等の非可視光であっても良い。
【0270】
車内情報検出ユニット12040は、車内の情報を検出する。車内情報検出ユニット12040には、例えば、運転者の状態を検出する運転者状態検出部12041が接続される。運転者状態検出部12041は、例えば運転者を撮像するカメラを含み、車内情報検出ユニット12040は、運転者状態検出部12041から入力される検出情報に基づいて、運転者の疲労度合い又は集中度合いを算出してもよいし、運転者が居眠りをしていないかを判別してもよい。
【0271】
マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030又は車内情報検出ユニット12040で取得される車内外の情報に基づいて、駆動力発生装置、ステアリング機構又は制動装置の制御目標値を演算し、駆動系制御ユニット12010に対して制御指令を出力することができる。例えば、マイクロコンピュータ12051は、車両の衝突回避あるいは衝撃緩和、車間距離に基づく追従走行、車速維持走行、車両の衝突警告、又は車両のレーン逸脱警告等を含むADAS(Advanced Driver Assistance System)の機能実現を目的とした協調制御を行うことができる。
【0272】
また、マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030又は車内情報検出ユニット12040で取得される車両の周囲の情報に基づいて駆動力発生装置、ステアリング機構又は制動装置等を制御することにより、運転者の操作に拠らずに自律的に走行する自動運転等を目的とした協調制御を行うことができる。
【0273】
また、マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030で取得される車外の情報に基づいて、ボディ系制御ユニット12020に対して制御指令を出力することができる。例えば、マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030で検知した先行車又は対向車の位置に応じてヘッドランプを制御し、ハイビームをロービームに切り替える等の防眩を図ることを目的とした協調制御を行うことができる。
【0274】
音声画像出力部12052は、車両の搭乗者又は車外に対して、視覚的又は聴覚的に情報を通知することが可能な出力装置へ音声及び画像のうちの少なくとも一方の出力信号を送信する。
図101の例では、出力装置として、オーディオスピーカ12061、表示部12062及びインストルメントパネル12063が例示されている。表示部12062は、例えば、オンボードディスプレイ及びヘッドアップディスプレイの少なくとも一つを含んでいてもよい。
【0275】
図102は、撮像部12031の設置位置の例を示す図である。
【0276】
図102では、車両12100は、撮像部12031として、撮像部12101,12102,12103,12104,12105を有する。
【0277】
撮像部12101,12102,12103,12104,12105は、例えば、車両12100のフロントノーズ、サイドミラー、リアバンパ、バックドア及び車室内のフロントガラスの上部等の位置に設けられる。フロントノーズに備えられる撮像部12101及び車室内のフロントガラスの上部に備えられる撮像部12105は、主として車両12100の前方の画像を取得する。サイドミラーに備えられる撮像部12102,12103は、主として車両12100の側方の画像を取得する。リアバンパ又はバックドアに備えられる撮像部12104は、主として車両12100の後方の画像を取得する。撮像部12101及び12105で取得される前方の画像は、主として先行車両又は、歩行者、障害物、信号機、交通標識又は車線等の検出に用いられる。
【0278】
なお、
図102には、撮像部12101ないし12104の撮影範囲の一例が示されている。撮像範囲12111は、フロントノーズに設けられた撮像部12101の撮像範囲を示し、撮像範囲12112,12113は、それぞれサイドミラーに設けられた撮像部12102,12103の撮像範囲を示し、撮像範囲12114は、リアバンパ又はバックドアに設けられた撮像部12104の撮像範囲を示す。例えば、撮像部12101ないし12104で撮像された画像データが重ね合わせられることにより、車両12100を上方から見た俯瞰画像が得られる。
【0279】
撮像部12101ないし12104の少なくとも1つは、距離情報を取得する機能を有していてもよい。例えば、撮像部12101ないし12104の少なくとも1つは、複数の撮像素子からなるステレオカメラであってもよいし、位相差検出用の画素を有する撮像素子であってもよい。
【0280】
例えば、マイクロコンピュータ12051は、撮像部12101ないし12104から得られた距離情報を基に、撮像範囲12111ないし12114内における各立体物までの距離と、この距離の時間的変化(車両12100に対する相対速度)を求めることにより、特に車両12100の進行路上にある最も近い立体物で、車両12100と略同じ方向に所定の速度(例えば、0km/h以上)で走行する立体物を先行車として抽出することができる。さらに、マイクロコンピュータ12051は、先行車の手前に予め確保すべき車間距離を設定し、自動ブレーキ制御(追従停止制御も含む)や自動加速制御(追従発進制御も含む)等を行うことができる。このように運転者の操作に拠らずに自律的に走行する自動運転等を目的とした協調制御を行うことができる。
【0281】
例えば、マイクロコンピュータ12051は、撮像部12101ないし12104から得られた距離情報を元に、立体物に関する立体物データを、2輪車、普通車両、大型車両、歩行者、電柱等その他の立体物に分類して抽出し、障害物の自動回避に用いることができる。例えば、マイクロコンピュータ12051は、車両12100の周辺の障害物を、車両12100のドライバが視認可能な障害物と視認困難な障害物とに識別する。そして、マイクロコンピュータ12051は、各障害物との衝突の危険度を示す衝突リスクを判断し、衝突リスクが設定値以上で衝突可能性がある状況であるときには、オーディオスピーカ12061や表示部12062を介してドライバに警報を出力することや、駆動系制御ユニット12010を介して強制減速や回避操舵を行うことで、衝突回避のための運転支援を行うことができる。
【0282】
撮像部12101ないし12104の少なくとも1つは、赤外線を検出する赤外線カメラであってもよい。例えば、マイクロコンピュータ12051は、撮像部12101ないし12104の撮像画像中に歩行者が存在するか否かを判定することで歩行者を認識することができる。かかる歩行者の認識は、例えば赤外線カメラとしての撮像部12101ないし12104の撮像画像における特徴点を抽出する手順と、物体の輪郭を示す一連の特徴点にパターンマッチング処理を行って歩行者か否かを判別する手順によって行われる。マイクロコンピュータ12051が、撮像部12101ないし12104の撮像画像中に歩行者が存在すると判定し、歩行者を認識すると、音声画像出力部12052は、当該認識された歩行者に強調のための方形輪郭線を重畳表示するように、表示部12062を制御する。また、音声画像出力部12052は、歩行者を示すアイコン等を所望の位置に表示するように表示部12062を制御してもよい。
【0283】
以上、本開示に係る技術が適用され得る移動体制御システムの一例について説明した。本開示に係る技術は、以上説明した構成のうち、撮像部12031に適用され得る。具体的には、上記実施の形態およびその変形例に係る撮像装置1は、撮像部12031に適用することができる。撮像部12031に本開示に係る技術を適用することにより、ノイズの少ない高精細な撮影画像を得ることができるので、移動体制御システムにおいて撮影画像を利用した高精度な制御を行うことができる。
【0284】
[応用例2]
図103は、本開示に係る技術(本技術)が適用され得る内視鏡手術システムの概略的な構成の一例を示す図である。
【0285】
図103では、術者(医師)11131が、内視鏡手術システム11000を用いて、患者ベッド11133上の患者11132に手術を行っている様子が図示されている。図示するように、内視鏡手術システム11000は、内視鏡11100と、気腹チューブ11111やエネルギー処置具11112等の、その他の術具11110と、内視鏡11100を支持する支持アーム装置11120と、内視鏡下手術のための各種の装置が搭載されたカート11200と、から構成される。
【0286】
内視鏡11100は、先端から所定の長さの領域が患者11132の体腔内に挿入される鏡筒11101と、鏡筒11101の基端に接続されるカメラヘッド11102と、から構成される。図示する例では、硬性の鏡筒11101を有するいわゆる硬性鏡として構成される内視鏡11100を図示しているが、内視鏡11100は、軟性の鏡筒を有するいわゆる軟性鏡として構成されてもよい。
【0287】
鏡筒11101の先端には、対物レンズが嵌め込まれた開口部が設けられている。内視鏡11100には光源装置11203が接続されており、当該光源装置11203によって生成された光が、鏡筒11101の内部に延設されるライトガイドによって当該鏡筒の先端まで導光され、対物レンズを介して患者11132の体腔内の観察対象に向かって照射される。なお、内視鏡11100は、直視鏡であってもよいし、斜視鏡又は側視鏡であってもよい。
【0288】
カメラヘッド11102の内部には光学系及び撮像素子が設けられており、観察対象からの反射光(観察光)は当該光学系によって当該撮像素子に集光される。当該撮像素子によって観察光が光電変換され、観察光に対応する電気信号、すなわち観察像に対応する画像信号が生成される。当該画像信号は、RAWデータとしてカメラコントロールユニット(CCU: Camera Control Unit)11201に送信される。
【0289】
CCU11201は、CPU(Central Processing Unit)やGPU(Graphics Processing Unit)等によって構成され、内視鏡11100及び表示装置11202の動作を統括的に制御する。さらに、CCU11201は、カメラヘッド11102から画像信号を受け取り、その画像信号に対して、例えば現像処理(デモザイク処理)等の、当該画像信号に基づく画像を表示するための各種の画像処理を施す。
【0290】
表示装置11202は、CCU11201からの制御により、当該CCU11201によって画像処理が施された画像信号に基づく画像を表示する。
【0291】
光源装置11203は、例えばLED(Light Emitting Diode)等の光源から構成され、術部等を撮影する際の照射光を内視鏡11100に供給する。
【0292】
入力装置11204は、内視鏡手術システム11000に対する入力インタフェースである。ユーザは、入力装置11204を介して、内視鏡手術システム11000に対して各種の情報の入力や指示入力を行うことができる。例えば、ユーザは、内視鏡11100による撮像条件(照射光の種類、倍率及び焦点距離等)を変更する旨の指示等を入力する。
【0293】
処置具制御装置11205は、組織の焼灼、切開又は血管の封止等のためのエネルギー処置具11112の駆動を制御する。気腹装置11206は、内視鏡11100による視野の確保及び術者の作業空間の確保の目的で、患者11132の体腔を膨らめるために、気腹チューブ11111を介して当該体腔内にガスを送り込む。レコーダ11207は、手術に関する各種の情報を記録可能な装置である。プリンタ11208は、手術に関する各種の情報を、テキスト、画像又はグラフ等各種の形式で印刷可能な装置である。
【0294】
なお、内視鏡11100に術部を撮影する際の照射光を供給する光源装置11203は、例えばLED、レーザ光源又はこれらの組み合わせによって構成される白色光源から構成することができる。RGBレーザ光源の組み合わせにより白色光源が構成される場合には、各色(各波長)の出力強度及び出力タイミングを高精度に制御することができるため、光源装置11203において撮像画像のホワイトバランスの調整を行うことができる。また、この場合には、RGBレーザ光源それぞれからのレーザ光を時分割で観察対象に照射し、その照射タイミングに同期してカメラヘッド11102の撮像素子の駆動を制御することにより、RGBそれぞれに対応した画像を時分割で撮像することも可能である。当該方法によれば、当該撮像素子にカラーフィルタを設けなくても、カラー画像を得ることができる。
【0295】
また、光源装置11203は、出力する光の強度を所定の時間ごとに変更するようにその駆動が制御されてもよい。その光の強度の変更のタイミングに同期してカメラヘッド11102の撮像素子の駆動を制御して時分割で画像を取得し、その画像を合成することにより、いわゆる黒つぶれ及び白とびのない高ダイナミックレンジの画像を生成することができる。
【0296】
また、光源装置11203は、特殊光観察に対応した所定の波長帯域の光を供給可能に構成されてもよい。特殊光観察では、例えば、体組織における光の吸収の波長依存性を利用して、通常の観察時における照射光(すなわち、白色光)に比べて狭帯域の光を照射することにより、粘膜表層の血管等の所定の組織を高コントラストで撮影する、いわゆる狭帯域光観察(Narrow Band Imaging)が行われる。あるいは、特殊光観察では、励起光を照射することにより発生する蛍光により画像を得る蛍光観察が行われてもよい。蛍光観察では、体組織に励起光を照射し当該体組織からの蛍光を観察すること(自家蛍光観察)、又はインドシアニングリーン(ICG)等の試薬を体組織に局注するとともに当該体組織にその試薬の蛍光波長に対応した励起光を照射し蛍光像を得ること等を行うことができる。光源装置11203は、このような特殊光観察に対応した狭帯域光及び/又は励起光を供給可能に構成され得る。
【0297】
図104は、
図103に示すカメラヘッド11102及びCCU11201の機能構成の一例を示すブロック図である。
【0298】
カメラヘッド11102は、レンズユニット11401と、撮像部11402と、駆動部11403と、通信部11404と、カメラヘッド制御部11405と、を有する。CCU11201は、通信部11411と、画像処理部11412と、制御部11413と、を有する。カメラヘッド11102とCCU11201とは、伝送ケーブル11400によって互いに通信可能に接続されている。
【0299】
レンズユニット11401は、鏡筒11101との接続部に設けられる光学系である。鏡筒11101の先端から取り込まれた観察光は、カメラヘッド11102まで導光され、当該レンズユニット11401に入射する。レンズユニット11401は、ズームレンズ及びフォーカスレンズを含む複数のレンズが組み合わされて構成される。
【0300】
撮像部11402は、撮像素子で構成される。撮像部11402を構成する撮像素子は、1つ(いわゆる単板式)であってもよいし、複数(いわゆる多板式)であってもよい。撮像部11402が多板式で構成される場合には、例えば各撮像素子によってRGBそれぞれに対応する画像信号が生成され、それらが合成されることによりカラー画像が得られてもよい。あるいは、撮像部11402は、3D(Dimensional)表示に対応する右目用及び左目用の画像信号をそれぞれ取得するための1対の撮像素子を有するように構成されてもよい。3D表示が行われることにより、術者11131は術部における生体組織の奥行きをより正確に把握することが可能になる。なお、撮像部11402が多板式で構成される場合には、各撮像素子に対応して、レンズユニット11401も複数系統設けられ得る。
【0301】
また、撮像部11402は、必ずしもカメラヘッド11102に設けられなくてもよい。例えば、撮像部11402は、鏡筒11101の内部に、対物レンズの直後に設けられてもよい。
【0302】
駆動部11403は、アクチュエータによって構成され、カメラヘッド制御部11405からの制御により、レンズユニット11401のズームレンズ及びフォーカスレンズを光軸に沿って所定の距離だけ移動させる。これにより、撮像部11402による撮像画像の倍率及び焦点が適宜調整され得る。
【0303】
通信部11404は、CCU11201との間で各種の情報を送受信するための通信装置によって構成される。通信部11404は、撮像部11402から得た画像信号をRAWデータとして伝送ケーブル11400を介してCCU11201に送信する。
【0304】
また、通信部11404は、CCU11201から、カメラヘッド11102の駆動を制御するための制御信号を受信し、カメラヘッド制御部11405に供給する。当該制御信号には、例えば、撮像画像のフレームレートを指定する旨の情報、撮像時の露出値を指定する旨の情報、並びに/又は撮像画像の倍率及び焦点を指定する旨の情報等、撮像条件に関する情報が含まれる。
【0305】
なお、上記のフレームレートや露出値、倍率、焦点等の撮像条件は、ユーザによって適宜指定されてもよいし、取得された画像信号に基づいてCCU11201の制御部11413によって自動的に設定されてもよい。後者の場合には、いわゆるAE(Auto Exposure)機能、AF(Auto Focus)機能及びAWB(Auto White Balance)機能が内視鏡11100に搭載されていることになる。
【0306】
カメラヘッド制御部11405は、通信部11404を介して受信したCCU11201からの制御信号に基づいて、カメラヘッド11102の駆動を制御する。
【0307】
通信部11411は、カメラヘッド11102との間で各種の情報を送受信するための通信装置によって構成される。通信部11411は、カメラヘッド11102から、伝送ケーブル11400を介して送信される画像信号を受信する。
【0308】
また、通信部11411は、カメラヘッド11102に対して、カメラヘッド11102の駆動を制御するための制御信号を送信する。画像信号や制御信号は、電気通信や光通信等によって送信することができる。
【0309】
画像処理部11412は、カメラヘッド11102から送信されたRAWデータである画像信号に対して各種の画像処理を施す。
【0310】
制御部11413は、内視鏡11100による術部等の撮像、及び、術部等の撮像により得られる撮像画像の表示に関する各種の制御を行う。例えば、制御部11413は、カメラヘッド11102の駆動を制御するための制御信号を生成する。
【0311】
また、制御部11413は、画像処理部11412によって画像処理が施された画像信号に基づいて、術部等が映った撮像画像を表示装置11202に表示させる。この際、制御部11413は、各種の画像認識技術を用いて撮像画像内における各種の物体を認識してもよい。例えば、制御部11413は、撮像画像に含まれる物体のエッジの形状や色等を検出することにより、鉗子等の術具、特定の生体部位、出血、エネルギー処置具11112の使用時のミスト等を認識することができる。制御部11413は、表示装置11202に撮像画像を表示させる際に、その認識結果を用いて、各種の手術支援情報を当該術部の画像に重畳表示させてもよい。手術支援情報が重畳表示され、術者11131に提示されることにより、術者11131の負担を軽減することや、術者11131が確実に手術を進めることが可能になる。
【0312】
カメラヘッド11102及びCCU11201を接続する伝送ケーブル11400は、電気信号の通信に対応した電気信号ケーブル、光通信に対応した光ファイバ、又はこれらの複合ケーブルである。
【0313】
ここで、図示する例では、伝送ケーブル11400を用いて有線で通信が行われていたが、カメラヘッド11102とCCU11201との間の通信は無線で行われてもよい。
【0314】
以上、本開示に係る技術が適用され得る内視鏡手術システムの一例について説明した。本開示に係る技術は、以上説明した構成のうち、内視鏡11100のカメラヘッド11102に設けられた撮像部11402に好適に適用され得る。撮像部11402に本開示に係る技術を適用することにより、撮像部11402を小型化もしくは高精細化することができるので、小型もしくは高精細な内視鏡11100を提供することができる。
【0315】
(適用例)
本技術の半導体装置は、例えば、
図105に示すように、フォトダイオード110(光電変換素子)と組み合わせた画素回路(CMOSイメージセンサ)が備える増幅トランジスタ150に組み込まれている構成とする。そして、半導体装置と画素回路210を有する固体撮像素子に適用することが可能である。固体撮像素子としては、いわゆる裏面照射型の固体撮像装置としてもよく、また、表面照射型の固体撮像装置としてもよい。
画素回路210は、転送トランジスタTRと、フローティングディフュージョン130と、リセットトランジスタ140と、増幅トランジスタ150と、選択トランジスタ160と、垂直信号線170を備える。
【0316】
転送トランジスタTRは、フォトダイオード110とフローティングディフュージョン130との間に配置されている。転送トランジスタTRのソース電極は、入射光を光電変換し、光電変換の光量に応じた電荷を生成して蓄積するフォトダイオード110の他端(カソード電極)に接続されている。フォトダイオード110の一端(アノード電極)は、接地されている。転送トランジスタTRのドレイン電極は、リセットトランジスタ140のドレイン電極及び増幅トランジスタ150のゲート電極に接続されている。
また、転送トランジスタTRは、図外のタイミング制御部からゲート電極に供給される駆動信号に従って、フォトダイオード110からフローティングディフュージョン130への電荷の転送をオンまたはオフする。なお、転送トランジスタTRがフローティングディフュージョン130への信号電荷の転送を停止している間、フォトダイオード110が光電変換した電荷は、フォトダイオード110に蓄積される。
【0317】
フローティングディフュージョン130は、転送トランジスタTRのドレイン電極と、リセットトランジスタ140のソース電極と、増幅トランジスタ150のゲート電極とを接続する点(接続点)に形成されている。
また、フローティングディフュージョン130は、フォトダイオード110から転送トランジスタTRを介して転送されてくる電荷を蓄積し、電圧に変換する。すなわち、フローティングディフュージョン130は、フォトダイオード110に蓄積された信号電荷が転送される。
【0318】
リセットトランジスタ140は、ソース電極がフローティングディフュージョン130に接続され、ドレイン電極がリセット側画素電源180に接続されている。
また、リセットトランジスタ140は、タイミング制御部からゲート電極に供給される駆動信号に従って、フローティングディフュージョン130に蓄積されている電荷の排出をオンまたはオフする。
【0319】
例えば、リセットトランジスタ140は、Highレベルの駆動信号がゲート電極に供給されると、フォトダイオード110からフローティングディフュージョン130への信号電荷の転送に先立ち、電荷を画素電源へ流す。これにより、フローティングディフュージョン130に蓄積されている電荷を排出(リセット)する。排出する電荷の量は、ドレイン電圧に応じた量である。ドレイン電圧は、フローティングディフュージョン130をリセットするリセット電圧である。
一方、リセットトランジスタ140は、Lowレベルの駆動信号がゲート電極に供給されると、フローティングディフュージョン130を電気的に浮遊状態とする。
【0320】
増幅トランジスタ150は、ゲート電極がフローティングディフュージョン130に接続され、ソース電極がアンプ側画素電源190に接続されている。増幅トランジスタ150のソース電極には、図外の回路から、制御電圧が入力される。増幅トランジスタ150のドレイン電極は、選択トランジスタ160のソース電極に接続されている。
また、増幅トランジスタ150は、リセットトランジスタ140によってリセットされたフローティングディフュージョン130の電位を、リセットレベルとして読み出す。さらに、増幅トランジスタ150は、転送トランジスタTRによって信号電荷が転送されたフローティングディフュージョン130に蓄積されている信号電荷に応じた電圧を増幅する。すなわち、増幅トランジスタ150は、フローティングディフュージョン130に転送された信号電荷を、電気信号として読み出して増幅する。
増幅トランジスタ150により増幅された電圧(電圧信号)は、選択トランジスタ160を介して垂直信号線170に出力される。
【0321】
選択トランジスタ160は、例えば、ドレイン電極が垂直信号線170の一端に接続され、ソース電極が増幅トランジスタ150のドレイン電極に接続されている。
また、選択トランジスタ160は、タイミング制御部からゲート電極に供給される駆動信号SELに従って、増幅トランジスタ150から垂直信号線170への電圧信号の出力を、オンまたはオフする。
【0322】
垂直信号線170(垂直信号線)は、増幅トランジスタ150で増幅された電気信号を出力する配線である。垂直信号線170の一端には、選択トランジスタ160のドレイン電極が接続されている。垂直信号線170の他端には、図外のA/D変換器が接続されている。
【0323】
固体撮像素子SCCは、
図106に示すように、第一デバイス層215と、第一配線層220と、第二デバイス層230と、第二配線層240を積層した構成を備えている。
【0324】
第一デバイス層215は、フォトダイオード110と、転送トランジスタTRと、リセットトランジスタ140と、フローティングディフュージョン130を含む光電変換基板を形成している。
第一配線層220は、第一デバイス層215の一方の面(
図106中では上側の面)に積層されており、第一デバイス層215と第二デバイス層230との間を絶縁する層間絶縁層を形成している。また、第一配線層220には、フォトダイオード110と増幅トランジスタ150とを接続する層間配線250の一部が形成されている。
【0325】
第二デバイス層230は、第一配線層220の一方の面(
図106中では上側の面)に積層されており、半導体装置SDが組み込まれている増幅トランジスタ150を含む。また、第一配線層220には、フォトダイオード110と増幅トランジスタ150とを接続する層間配線250の一部が形成されている。
第二配線層240は、第二デバイス層230の一方の面(
図106中では上側の面)に積層されており、フォトダイオード110と増幅トランジスタ150とを接続する層間配線250の一部が形成されている。
【0326】
なお、リセットトランジスタ140や選択トランジスタ160には、Junctionless FET、または、Plane型のFETのうち、どちらを採用してもよい。
【0327】
第一配線層220と、第二デバイス層230と、第二配線層240は、それぞれ、積層方向に沿った厚さが、例えば、0.5[μm]となるように形成されている。
したがって、第一デバイス層215と第一配線層220で形成される下層シリコン基板の表面から約1[μm]の高さに、第二デバイス層230と第二配線層240で形成される上層シリコンの表面が形成される。
【0328】
また、低濃度N型領域LNと、第二高濃度N型領域3と、ゲート電極4と、対向領域2aは、それぞれ、積層方向から見た幅が、例えば、0.2[μm]となるように形成されている。
さらに、第二高濃度N型領域3は、積層方向に沿った厚さが、例えば、0.1[μm]となるように形成されている。また、低濃度N型領域LNと、底部領域2bは、それぞれ、積層方向に沿った厚さが、例えば、0.2[μm]となるように形成されている。
【0329】
すなわち、第一高濃度N型領域2及び第二高濃度N型領域3が低濃度N型領域LNを間に挟んで低濃度N型領域LNと積層する縦型のGAA構造を有する半導体装置SDは、個々の部品の大きさが0.1[μm]~0.3[μm]程度となるように形成されている。
特に、ソース電極からドレイン電極へ縦方向(積層方向)に伸びる低濃度N型領域LN(チャネル)と、ゲート電極4との間隔は、0.05[μm]程度となるように形成されている。
【0330】
半導体装置SDの大きさは、フォトダイオード110の大きさに応じて、フォトダイオード110よりも小さく設定し、さらに、特性や加工容易性に応じて詳細なサイズを決める。
なお、本技術の半導体装置は、増幅トランジスタ150に組み込まれている構成に限定するものではなく、例えば、フォトダイオード110以外に組み込まれている構成としてもよい。
【0331】
(その他の実施形態)
上記のように、本技術の実施形態を記載したが、この開示の一部をなす論述及び図面は本技術を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。
その他、上記の実施形態において説明される各構成を任意に応用した構成等、本技術はここでは記載していない様々な実施形態等を含むことは勿論である。したがって、本技術の技術的範囲は上記の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。
【0332】
また、本開示の半導体装置では、上記の実施形態等で説明した各構成要素を全て備える必要はなく、また逆に他の構成要素を備えていてもよい。
なお、本明細書中に記載された効果はあくまで例示であって限定されるものでは無く、また他の効果があってもよい。
【0333】
なお、本技術は、以下のような構成を取ることが可能である。
(1)
低濃度N型領域と、
前記低濃度N型領域を間に挟んで積層し、且つ前記低濃度N型領域よりも不純物の濃度が高い第一高濃度N型領域及び第二高濃度N型領域と、
前記低濃度N型領域、前記第一高濃度N型領域及び前記第二高濃度N型領域を積層した方向である積層方向から見て、前記低濃度N型領域を包囲するゲート電極と、
前記ゲート電極と前記低濃度N型領域との間に配置された第一絶縁膜と、
前記ゲート電極と前記第一高濃度N型領域との間に配置された第二絶縁膜と、を有し、
前記第一高濃度N型領域は、ソース電極及びドレイン電極のうち一方と接続し、
前記第二高濃度N型領域は、前記ソース電極及び前記ドレイン電極のうち他方と接続している半導体装置。
(2)
低濃度N型領域と、
前記低濃度N型領域を間に挟んで積層され、且つ前記低濃度N型領域よりも不純物の濃度が高い第一高濃度N型領域及び第二高濃度N型領域と、
前記低濃度N型領域と前記第一高濃度N型領域及び前記第二高濃度N型領域を積層した方向である積層方向から見て、前記低濃度N型領域と対向する部分と、前記低濃度N型領域と対向していない部分と、を有するゲート電極と、
前記ゲート電極と前記低濃度N型領域との間に配置された第一絶縁膜と、
前記ゲート電極と前記第一高濃度N型領域との間に配置された第二絶縁膜と、を有し、
前記第一高濃度N型領域は、ソース電極及びドレイン電極のうち一方と接続し、
前記第二高濃度N型領域は、前記ソース電極及び前記ドレイン電極のうち他方と接続している半導体装置。
(3)
前記第一高濃度N型領域は、前記ゲート電極を間に挟んで前記低濃度N型領域と対向する領域である対向領域を含んで形成され、
前記対向領域と前記ゲート電極との間に配置された第三絶縁膜を有し、
前記第二絶縁膜の膜厚と前記第三絶縁膜の膜厚は、前記第一絶縁膜の膜厚よりも厚い前記(1)または(2)に記載した半導体装置。
(4)
前記第一高濃度N型領域は、前記ゲート電極を間に挟んで前記低濃度N型領域と対向する領域である対向領域を含んで形成され、
前記対向領域と前記ゲート電極との間に配置された第三絶縁膜を有し、
前記第三絶縁膜の膜厚は、前記第一絶縁膜の膜厚及び前記第二絶縁膜の膜厚よりも厚い前記(1)または(2)に記載した半導体装置。
(5)
前記第三絶縁膜の材料として、酸化シリコン、窒化シリコン、酸化ハフニウムのうち少なくとも一つを用いる前記(3)または(4)に記載した半導体装置。
(6)
前記第一絶縁膜及び前記第二絶縁膜の材料として、酸化シリコン、窒化シリコン、酸化ハフニウムのうち少なくとも一つを用いる前記(1)~(5)のいずれかに記載した半導体装置。
(7)
前記ゲート電極の材料として、多結晶シリコン、窒化チタン、銅、アルミニウム、タングステンのうち少なくとも一つを用いる前記(1)~(6)のいずれかに記載した半導体装置。
(8)
複数の前記第二高濃度N型領域と、複数の前記低濃度N型領域と、を有し、
一つの前記第一高濃度N型領域に、複数の前記第二高濃度N型領域及び複数の前記低濃度N型領域が積層されている前記(1)~(7)のいずれかに記載した半導体装置。
(9)
前記低濃度N型領域の形状は、前記積層方向から見て方形であり、
前記ゲート電極の形状は、前記積層方向から見て方形である前記(1)~(8)のいずれかに記載した半導体装置。
(10)
前記低濃度N型領域の形状は、前記積層方向から見て円形であり、
前記ゲート電極の形状は、前記積層方向から見て円形である前記(1)~(8)のいずれかに記載した半導体装置。
(11)
前記第一高濃度N型領域の前記ソース電極または前記ドレイン電極と接続している面と、前記第二高濃度N型領域の前記ソース電極または前記ドレイン電極と接続している面とは、前記積層方向と直交する方向から見て同じ高さにある前記(1)~(10)のいずれかに記載した半導体装置。
(12)
前記第一高濃度N型領域の前記ソース電極または前記ドレイン電極と接続している面と、前記第二高濃度N型領域の前記ソース電極または前記ドレイン電極と接続している面とは、前記積層方向と直交する方向から見て異なる高さにある前記(1)~(10)のいずれかに記載した半導体装置。
(13)
前記低濃度N型領域は、前記ゲート電極と対向していない部分を有する前記(1)~(12)のいずれかに記載した半導体装置。
(14)
前記低濃度N型領域は、前記不純物の濃度が10keV/1E18(個/cm2)以下であり、
前記第一高濃度N型領域及び前記第二高濃度N型領域は、前記不純物の濃度が10keV/1E19(個/cm2)以上である前記(1)~(13)のいずれかに記載した半導体装置。
(15)
増幅トランジスタを備える画素回路を有し、
前記増幅トランジスタに、前記(1)~(14)のいずれかに記載した半導体装置が組み込まれている固体撮像素子。
(16)
増幅トランジスタを備える画素回路を有し、
前記増幅トランジスタに、前記(2)に記載した半導体装置が組み込まれている固体撮像素子。
(17)
フォトダイオードと、前記フォトダイオードに接続した転送トランジスタ及びフローティングディフュージョンと、を備える画素回路を配置した半導体層である第一半導体層と、
前記第一半導体層に積層した層間絶縁層と、
半導体装置を含む増幅トランジスタを配置した半導体層であり、且つ前記層間絶縁層に積層した第二半導体層と、を含み、
前記転送トランジスタには、前記層間絶縁層及び前記第二半導体層を貫通する転送側層間配線が接続され、
前記半導体装置は、
低濃度N型領域と、
前記低濃度N型領域を間に挟んで、前記第一半導体層及び前記第二半導体層を積層した方向と直交する方向に積層され、且つ前記低濃度N型領域よりも不純物の濃度が高い第一高濃度N型領域及び第二高濃度N型領域と、
前記低濃度N型領域の少なくとも一部と対向するゲート電極と、
前記ゲート電極と対向する部分とは異なる前記低濃度N型領域の少なくとも一部と対向する遮蔽電極と、
前記ゲート電極と前記低濃度N型領域との間に配置された第一絶縁膜と、
前記ゲート電極と前記第一高濃度N型領域との間に配置された第二絶縁膜と、を有し、
前記第一高濃度N型領域は、ソース電極及びドレイン電極のうち一方と接続し、
前記第二高濃度N型領域は、前記ソース電極及び前記ドレイン電極のうち他方と接続し、
前記ゲート電極は、前記層間絶縁層及び前記第二半導体層を貫通するゲート側層間配線により前記フローティングディフュージョンに接続されて前記第一半導体層へ電気的に接続され、
前記遮蔽電極は、前記第一半導体層及び前記第二半導体層とは異なる部位へ電気的に接続されている固体撮像素子。
(18)
前記低濃度N型領域は、前記積層方向から見て積層方向と平行な二辺及び前記積層方向と直交する二辺を有する方形であり、
前記ゲート電極及び前記遮蔽電極は、前記積層方向から見て、前記低濃度N型領域の三辺又は四辺と対向する前記(17)に記載した固体撮像素子。
(19)
前記ゲート電極は、前記積層方向から見て、前記平行な二辺のうち前記第一半導体層から遠い一辺、及び前記直交する二辺のうち前記ゲート側層間配線に近い一辺と対向し、
前記遮蔽電極は、前記積層方向から見て、前記平行な二辺のうち前記第一半導体層に近い一辺、及び前記直交する二辺のうち前記転送側層間配線に近い一辺と対向する前記(18)に記載した固体撮像素子。
(20)
前記ゲート電極は、前記積層方向から見て、前記平行な二辺、及び前記直交する二辺のうち前記ゲート側層間配線に近い一辺と対向し、
前記遮蔽電極は、前記積層方向から見て、前記直交する二辺のうち前記転送側層間配線に近い一辺と対向する前記(19)に記載した固体撮像素子。
(21)
前記ゲート電極は、前記積層方向から見て、前記平行な二辺のうち前記第一半導体層に近い一辺、及び前記直交する二辺のうち前記ゲート側層間配線に近い一辺と対向し、
前記遮蔽電極は、前記積層方向から見て、前記直交する二辺のうち前記転送側層間配線に近い一辺と対向する前記(19)に記載した固体撮像素子。
(22)
前記ゲート電極は、前記積層方向から見て、前記直交する二辺のうち前記ゲート側層間配線に近い一辺と対向し、
前記遮蔽電極は、前記積層方向から見て、前記平行な二辺のうち前記第一半導体層に近い一辺、及び前記直交する二辺のうち前記転送側層間配線に近い一辺と対向する前記(19)に記載した固体撮像素子。
(23)
前記ゲート電極は、前記積層方向から見て、前記平行な二辺と対向し、
前記遮蔽電極は、前記積層方向から見て、前記直交する二辺と対向し、
前記遮蔽電極と前記低濃度N型領域との間に配置された第五絶縁膜を有し、
前記第五絶縁膜の厚さが、前記第一絶縁膜の厚さよりも厚い前記(19)に記載した固体撮像素子。
(24)
前記ゲート電極と前記遮蔽電極が一体化され、
前記一体化されたゲート電極及び遮蔽電極は、前記積層方向から見て、前記低濃度N型領域を包囲する前記(23)に記載した固体撮像素子。
(25)
前記ゲート電極は、前記低濃度N型領域と対向する部分である低濃度領域対向部と、前記第一高濃度N型領域及び前記第二高濃度N型領域のうち少なくとも一方と対向する部分である高濃度領域対向部と、を有し、
前記高濃度領域対向部と前記第一高濃度N型領域及び前記第二高濃度N型領域のうち少なくとも一方とが対向する距離が、前記低濃度領域対向部と前記低濃度N型領域とが対向する距離よりも長い前記(17)~(24)のいずれかに記載した固体撮像素子。
(26)
前記第一半導体層には、4つの前記画素回路が配置され、
4つの前記画素回路がそれぞれ備える4個の前記フローティングディフュージョンを接続するN型ポリシリコンパッドと、
前記N型ポリシリコンパッドと前記増幅トランジスタとを接続する共有コンタクトと、を含む前記(17)~(25)のいずれかに記載した固体撮像素子。
【符号の説明】
【0334】
1…撮像装置、2…第一高濃度N型領域、2a…対向領域、2b…底部領域、3(3a~3d)…第二高濃度N型領域、4…ゲート電極、4a…ゲート側電極材料、4L…低濃度領域対向部、4H…高濃度領域対向部、5a…第一絶縁膜、5b…第二絶縁膜、5c…第三絶縁膜、5d…第四絶縁膜、5e…第五絶縁膜、10…シリコン基板、12…ハードマスク、14a…第一レジストマスク、14b…第二レジストマスク、14c…第三レジストマスク、14d…第四レジストマスク、16…酸化膜、16a…第一酸化膜、16b…第二酸化膜、16c…第三酸化膜、16d…第四酸化膜、18…ポリシリコン、110…フォトダイオード、130…フローティングディフュージョン、140…リセットトランジスタ、150…増幅トランジスタ、160…選択トランジスタ、170…垂直信号線、180…リセット側画素電源、190…アンプ側画素電源、210…画素回路、215…第一デバイス層、220…第一配線層、230…第二デバイス層、240…第二配線層、250…層間配線、260…第一半導体層、260a…第一半導体基板、270…層間絶縁層、270a…第一層間絶縁膜、270b…第二層間絶縁膜、270c…第三層間絶縁膜、280…第二半導体層、280a…第二層材料絶縁膜、280b…第三層材料絶縁膜、290a…N型ポリシリコンパッド、290b…共有コンタクト、310…転送側層間配線、320…遮蔽電極、320a…遮蔽電極材料層、320b…遮蔽側電極材料、330…ゲート側層間配線、340…遮蔽側配線、400…チャネル半導体基板、410…第五基礎絶縁膜、411…第五側方絶縁膜、420…スペーサ層、500a…ゲート側傾斜部、500b…第一高濃度側傾斜部、500c…第二高濃度側傾斜部、500d…保護膜、LN(LNa~LNd)…低濃度N型領域、DL…空乏層、TP…界面トラップ、T1…第一絶縁膜5aの膜厚、T2…第二絶縁膜5bの膜厚、T3…第三絶縁膜5cの膜厚、CPa…第一寄生容量、CPb…第二寄生容量、SCC…固体撮像素子、TR…転送トランジスタ、SD…半導体装置、SP…センサ画素、RC…読み出し回路、FDG…FD転送トランジスタ