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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-19
(45)【発行日】2025-02-28
(54)【発明の名称】配線モジュール
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/507 20210101AFI20250220BHJP
   H01M 50/50 20210101ALI20250220BHJP
   H01M 50/588 20210101ALI20250220BHJP
   H01M 50/591 20210101ALI20250220BHJP
   H01M 50/503 20210101ALI20250220BHJP
   H01M 50/519 20210101ALI20250220BHJP
   H01M 50/296 20210101ALI20250220BHJP
   H01M 50/284 20210101ALI20250220BHJP
【FI】
H01M50/507
H01M50/50 101
H01M50/588
H01M50/591
H01M50/503
H01M50/519
H01M50/296
H01M50/284
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2023512957
(86)(22)【出願日】2022-03-29
(86)【国際出願番号】 JP2022015353
(87)【国際公開番号】W WO2022215589
(87)【国際公開日】2022-10-13
【審査請求日】2023-06-13
(31)【優先権主張番号】P 2021066326
(32)【優先日】2021-04-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(73)【特許権者】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】507357232
【氏名又は名称】株式会社AESCジャパン
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】弁理士法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】福島 直樹
(72)【発明者】
【氏名】中山 治
(72)【発明者】
【氏名】宮▲崎▼ 克司
【審査官】村岡 一磨
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-003737(JP,A)
【文献】特開2016-143466(JP,A)
【文献】特開2019-133878(JP,A)
【文献】国際公開第2020/171629(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/50-50/598
H01M 50/20-50/298
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電極を有する複数の蓄電素子に取り付けられる配線モジュールであって、
絶縁性の合成樹脂からなる絶縁プロテクタと、
前記絶縁プロテクタに保持されると共に、前記電極に接続されるバスバーと、
前記バスバーを貫通する軸部と、前記軸部の端部に形成された頭部と、を有するボルトと、
前記ボルトの前記軸部に螺合するナットと、を備え、
前記バスバーは板状をなし、前記電極と接続されるとともに延び方向に沿って延びる電極接続部と、曲がり部によって前記電極接続部と接続され、前記延び方向と交差する第1方向に沿って延びるとともに前記ボルトの前記軸部が貫通する被貫通部と、を有し、
前記絶縁プロテクタは、前記電極接続部を位置決め状態で保持する保持部と、前記ナットまたは前記頭部の外形状よりも大きな内形状を有して前記ナットまたは前記頭部を収容する収容部と、を有し、
前記ナットまたは前記頭部が前記収容部に収容された状態で、前記第1方向について前記ナットまたは前記頭部と前記収容部との間に設けられた第1クリアランスは、前記延び方向と交差すると共に前記第1方向と異なる第2方向について前記ナットまたは前記頭部と前記収容部との間に設けられた第2クリアランスよりも大きく設定されている配線モジュール。
【請求項2】
前記ボルトの前記軸部と前記ナットとが螺合した状態において、前記軸部の軸線が延びる方向は、前記電極接続部の延びる前記延び方向と交差している請求項1に記載の配線モジュール。
【請求項3】
前記第1クリアランスの寸法は、前記第2クリアランスの寸法の2倍に設定されている請求項1または請求項2に記載の配線モジュール。
【請求項4】
前記ボルトの前記軸部に前記ナットが螺合した状態で、前記ボルトの前記頭部と前記ナットとの間には、前記被貫通部と、外部回路と電気的に接続される出力端子とが挟まれている請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の配線モジュール。
【請求項5】
前記絶縁プロテクタには、可撓性を有するフィルムと前記フィルムに形成された導電路と、を有する可撓性基板が配されており、
前記バスバーは前記可撓性基板の前記導電路と接続される基板接続部を有し、
前記基板接続部が前記絶縁プロテクタに位置決め保持されている請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の配線モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、配線モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の蓄電素子に取り付けられる配線モジュールとして特開2019-192561号公報(特許文献1)に記載のものが知られている。この配線モジュールは、電極に接続されるバスバーと、バスバーが取り付けられる絶縁プロテクタと、を備える。バスバーには、ボルトとナットとが螺合される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-192561号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
絶縁プロテクタに対するバスバーの取り付け位置が正規位置からずれた場合、ボルトと、ナットとの相対的な位置も、正規位置からずれるおそれがある。すると、ボルト、又はナットが、絶縁プロテクタと接触してしまう可能性がある。ボルトとナットとを螺合させる際には、比較的に大きな力が加わるので、絶縁プロテクタにも大きな力が加わり、絶縁プロテクタが変形する等の不具合が生じる可能性がある。
【0005】
本開示は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、絶縁プロテクタの変形が抑制された配線モジュールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、電極を有する複数の蓄電素子に取り付けられる配線モジュールであって、絶縁性の合成樹脂からなる絶縁プロテクタと、前記絶縁プロテクタに保持されると共に、前記電極に接続されるバスバーと、前記バスバーを貫通する軸部と、前記軸部の端部に形成された頭部と、を有するボルトと、前記ボルトの前記軸部に螺合するナットと、を備え、前記バスバーは、前記電極と接続されるとともに延び方向に沿って延びる電極接続部と、前記延び方向と交差する第1方向に沿って延びるとともに前記ボルトの前記軸部が貫通する被貫通部と、を有し、前記絶縁プロテクタは、前記電極接続部を位置決め状態で保持する保持部と、前記ナットまたは前記頭部の外形状よりも大きな内形状を有して前記ナットまたは前記頭部を収容する収容部と、を有し、前記ナットまたは前記頭部が前記収容部に収容された状態で、前記第1方向について前記ナットまたは前記頭部と前記収容部との間に設けられた第1クリアランスは、前記延び方向と交差すると共に前記第1方向と異なる第2方向について前記ナットまたは前記頭部と前記収容部との間に設けられた第2クリアランスよりも大きく設定されている配線モジュール。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、絶縁プロテクタの変形を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施形態1に係る蓄電モジュールを示す一部拡大断面図であって、図3におけるI-I線断面図である。
図2図2は、蓄電モジュールを示す斜視図である。
図3図3は、蓄電モジュールを示す正面図である。
図4図4は、左出力バスバーを示す斜視図である。
図5図5は、左出力バスバーのボルト締結構造を示す一部拡大断面図である。
図6図6は、左出力バスバー、及び接続バスバーの、絶縁プロテクタへの組み付け構造を示す一部拡大正面図である。
図7図7は、左出力バスバーと、絶縁プロテクタとを示す一部拡大分解斜視図である。
図8図8は、蓄電モジュールを示す一部拡大平面図である。
図9図9は、ナットが収容部に収容された状態を示す一部拡大平面図である。
図10図10は、左出力バスバーのボルト締結構造を示す一部拡大断面図である。である。
図11図11は、比較例について、左出力バスバーのボルト締結構造を示す一部拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列挙して説明する。
【0010】
(1)本開示は、電極を有する複数の蓄電素子に取り付けられる配線モジュールであって、絶縁性の合成樹脂からなる絶縁プロテクタと、前記絶縁プロテクタに保持されると共に、前記電極に接続されるバスバーと、前記バスバーを貫通する軸部と、前記軸部の端部に形成された頭部と、を有するボルトと、前記ボルトの前記軸部に螺合するナットと、を備え、前記バスバーは、前記電極と接続されるとともに延び方向に沿って延びる電極接続部と、前記延び方向と交差する第1方向に沿って延びるとともに前記ボルトの前記軸部が貫通する被貫通部と、を有し、前記絶縁プロテクタは、前記電極接続部を位置決め状態で保持する保持部と、前記ナットまたは前記頭部の外形状よりも大きな内形状を有して前記ナットまたは前記頭部を収容する収容部と、を有し、前記ナットまたは前記頭部が前記収容部に収容された状態で、前記第1方向について前記ナットまたは前記頭部と前記収容部との間に設けられた第1クリアランスは、前記延び方向と交差すると共に前記第1方向と異なる第2方向について前記ナットまたは前記頭部と前記収容部との間に設けられた第2クリアランスよりも大きく設定されている。
【0011】
第1クリアランスが第2クレアランスよりも大きく設定されているので、ボルトの軸部にナットが螺合した状態で、ボルトの頭部またはナットが絶縁プロテクタと接触することを抑制できる。これにより、絶縁プロテクタに、ボルトの頭部またはナットから力が加わることに起因する、絶縁プロテクタの変形を抑制できる。
【0012】
(2)前記ボルトの前記軸部と前記ナットとが螺合した状態において、前記軸部の軸線が延びる方向は、前記電極接続部の延びる前記延び方向と交差していることが好ましい。
【0013】
ボルトの軸部の軸線が延びる方向と、バスバーの電極接続部が延びる方向とが交差する場合において、ボルトの頭部またはナットが絶縁プロテクタと接触することを確実に抑制できるので、絶縁プロテクタの変形を確実に抑制できる。
【0014】
(3)前記第1クリアランスの寸法は、前記第2クリアランスの寸法の2倍に設定されていることが好ましい。
【0015】
頭部またはナットが絶縁プロテクタと接触することを一層抑制できるので、絶縁プロテクタの変形を一層よくせいできる。
【0016】
(4)前記ボルトの前記軸部に前記ナットが螺合した状態で、前記ボルトの前記頭部と前記ナットとの間には、前記被貫通部と、外部回路と電気的に接続される出力端子とが挟まれていることが好ましい。
【0017】
ボルトの頭部とナットとの間にバスバーと出力端子とが挟まれることにより、バスバーと外部回路とを出力端子を介して電気的に接続できる。
【0018】
(5)前記絶縁プロテクタには、可撓性を有するフィルムと前記フィルムに形成された導電路と、を有する可撓性基板が配されており、前記バスバーは前記可撓性基板の前記導電路と接続される基板接続部を有し、前記基板接続部が前記絶縁プロテクタに位置決め保持されていることが好ましい。
【0019】
基板接続部と絶縁プロテクタとが位置決め保持された場合には、バスバーと絶縁プロテクタとの位置決め精度がさらに求められる。このような場合であっても、ボルトの軸部にナットが螺合した状態で、ボルトの頭部またはナットが絶縁プロテクタと接触することを抑制できる。これにより、絶縁プロテクタに、ボルトの頭部またはナットから力が加わることに起因する、絶縁プロテクタの変形を抑制できる。
【0020】
[本開示の実施形態の詳細]
以下に、本開示の実施形態について説明する。本開示はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【0021】
<実施形態1>
本開示に係る配線モジュール10を蓄電モジュール11に適用した実施形態1について、図1から図11を参照しつつ説明する。蓄電モジュール11は、電気自動車やハイブリッド車等の車両(図示せず)に搭載されて駆動源として用いられる。図1に示されるように、本実施形態に係る蓄電モジュール11は、ケース13と、ケース13に収容される複数の蓄電素子12と、複数の蓄電素子12に取り付けられる配線モジュール10と、を備える。配線モジュール10は、複数の蓄電素子12のリード端子24(電極の一例)に接続される接続バスバー26C、左出力バスバー26L(バスバーの一例)、及び右出力バスバー26R(バスバーの一例)と、接続バスバー26C、左出力バスバー26L、及び右出力バスバー26Rが保持される絶縁プロテクタ14と、を備える。
【0022】
以下の説明においては、矢線Zで示される方向を上方とし、矢線Yで示される方向を前方とし、矢線Xで示される方向を左方として説明する。複数の同一部材については、一部の部材にのみ符号を付し、他の部材については符号を省略する場合がある。上下方向、左右方向、及び前後方向は互いに直交している。
【0023】
[全体構造]
図2に示されるように、蓄電モジュール11は、前後方向に細長く延びた略直方体形状をなしている。図1に示されるように、蓄電モジュール11は、金属製のケース13内に複数の蓄電素子12が前後方向に並んで収容されてなる。ケース13は、全体として、前方および後方にそれぞれ開口した開口部20を有する角筒状をなしている。ケース13を構成する構成する金属としては、アルミニウム、アルミニウム合金、ステンレス鋼等、任意の金属を適宜に選択できる。
【0024】
[蓄電素子12]
図1に示されるように、蓄電素子12は、ラミネートフィルム外装体23の内部に、発電要素(図示せず)が収容されてなる。ラミネートフィルム外装体23を構成するラミネートフィルムの縁部は熱溶着されている。ラミネートフィルム外装体23の前端部からは、リード端子24が前方に突出している。詳細には図示しないが、ラミネートフィルム外装体23の後端部からは、リード端子(図示せず)が後方に突出している。前側のリード端子24と、後側のリード端子の極性は異なっており、一方が正極端子であり、他方が負極端子である。
【0025】
蓄電素子12は、全体として、前後方向に細長く延びた板状に形成されている。複数(本実施形態では8つ)の蓄電素子12が、左右方向に並べられている。複数の蓄電素子12は、左右方向について隣り合うリード端子24の極性が異なるように並べられている。
【0026】
[絶縁プロテクタ14]
図2に示されるように、ケース13の前端部には、開口部20を前方から塞ぐ絶縁プロテクタ14が取り付けられている。絶縁プロテクタ14は、絶縁性の合成樹脂材が射出成型されてなる。絶縁プロテクタ14は、全体として、前後方向から見て長方形状をなす板状に形成されている。図1に示されるように、絶縁プロテクタ14には、上下方向に延びる複数(本実施形態では8つ)のスリット25が、左右方向に間隔を空けて形成されている。スリット25には、蓄電素子12のリード端子24が後方から前方に挿通されている。
【0027】
図1に示されるように、絶縁プロテクタ14には、スリット25の近傍の位置に、金属板材からなる接続バスバー26C、左出力バスバー26L、及び右出力バスバー26Rが取り付けられている。絶縁プロテクタ14には、絶縁プロテクタ14の左端部に設けられた左出力バスバー26Lと、絶縁プロテクタ14の右端部に設けられた右出力バスバー26Rと、左出力バスバー26Lと右出力バスバー26Rとの間に配された複数(本実施形態では3つ)の接続バスバー26Cと、が取り付けられている。
【0028】
左出力バスバー26L、及び右出力バスバー26Rは、外部回路と電気的に接続されるようになっており、蓄電モジュール11の電力を外部回路に供給するための端子金具として用いられる。
【0029】
[左出力バスバー26L]
図4に示されるように、左出力バスバー26Lは、全体として上下方向(延び方向の一例)に細長く延びる板状をなしている。左出力バスバー26Lは、上下方向に細長く延びる板状をなす電極接続部34Lを有する。電極接続部34Lには、スリット25に後方から挿通されたリード端子24が、絶縁プロテクタ14の前方の領域において、電気的に接続されている。電極接続部34Lとリード端子24とは、溶接、半田付け、ろう付け等の公知の手法により接続される。本実施形態においては、電極接続部34Lとリード端子24とは、レーザー溶接により接続されている。
【0030】
電極接続部34Lの上端部には、半円弧状をなして右方に曲がった曲がり部35Lが形成されている。曲がり部35Lの右端部には、右方に延びる被貫通部30Lが形成されている。被貫通部30Lと電極接続部34Lとは実質的に直交している。実質的に直交しているとは、被貫通部30Lと電極接続部34Lとが直交する場合を含むとともに、被貫通部30Lと電極接続部34Lとが直交しない場合でも、実質的に直交していると認定できる場合も含む。
【0031】
図5に示されるように、被貫通部30Lには、外部回路と電気的に接続される出力端子33Lが接続されるようになっている。出力端子33Lは金属製の板状をなしている。出力端子33Lには上下方向に貫通する挿通孔21Lが形成されている。また、被貫通部30Lには、上下方向に貫通する貫通孔31Lが形成されている。この貫通孔31L内にボルト32が挿通されて、このボルト32がナット36と螺合することにより、左出力バスバー26Lと出力端子33Lとが電気的に接続されるようになっている。
【0032】
図6に示されるように、絶縁プロテクタ14には、被貫通部30Lの左方、及び右方のそれぞれに、上下方向に延びる保護壁37Lが設けられている。保護壁37Lの上端部は、左右方向について互いに接近するように屈曲したのち、上方に延びて形成されている。2つの保護壁37Lの上端部は、上方に開口した状態になっている。
【0033】
図4に示されるように、電極接続部34Lの下端部には、後方に突出する基板接続部28Lが形成されている。この基板接続部28Lは、絶縁プロテクタ14に設けられた固定孔29に前方から挿通されることにより、絶縁プロテクタ14に対して位置決め保持されるようになっている。
【0034】
図6に示されるように、絶縁プロテクタ14には、電極接続部34Lの上端部寄りの位置であって、曲がり部35Lの下方の位置を左右方向から挟持する一対の上側挟持部38Lが、前方に突出して設けられている。左右方向について一対の上側挟持部38Lの間隔は、電極接続部34Lの左右方向の幅寸法と同じか、やや小さく形成されている。
【0035】
図6に示されるように、絶縁プロテクタ14には、電極接続部34Lの下端部寄りの位置であって、基板接続部28Lの上方の位置を左右方向から挟持する一対の下側挟持部39Lが、前方に突出して設けられている。左右方向について一対の下側挟持部39Lの間隔は、電極接続部34Lの左右方向の幅寸法と同じか、やや小さく形成されている。
【0036】
電極接続部34Lが、一対の上側挟持部38L、及び一対の下側挟持部39Lによって挟持されることにより、電極接続部34Lが絶縁プロテクタ14に対して位置決め保持されるようになっている。
【0037】
[右出力バスバー26R]
図3に示されるように、右出力バスバー26Rは、全体として上下方向に細長く延びる板状をなしている。右出力バスバー26Rは、上下方向に細長く延びる板状をなす電極接続部34Rを有する。図1に示されるように、電極接続部34Rには、スリット25に後方から挿通されたリード端子24が、絶縁プロテクタ14の前方の領域において、電気的に接続されている。電極接続部34Rとリード端子24とは、溶接、半田付け、ろう付け等の公知の手法により接続される。本実施形態においては、電極接続部34Rとリード端子24とは、レーザー溶接により接続されている。
【0038】
図3に示されるように、電極接続部34Rの上端部には、半円弧状をなして左方に曲がった曲がり部35Rが形成されている。曲がり部35Rの左端部には、左方に延びる被貫通部30Rが形成されている。被貫通部30Rと電極接続部34Rとは実質的に直交している。実質的に直交しているとは、被貫通部30Rと電極接続部34Rとが直交する場合を含むとともに、被貫通部30Rと電極接続部34Rとが直交しない場合でも、実質的に直交していると認定できる場合も含む。
【0039】
詳細には図示しないが、被貫通部30Rには、外部回路と電気的に接続される出力端子(図示せず)が接続されるようになっている。出力端子は金属製の板状をなしている。出力端子には、上下方向に貫通する挿通孔(図示せず)が形成されている。また、被貫通部30Rには、上下方向に貫通する貫通孔31Rが形成されている。この貫通孔31R内にボルト32が挿通されて、このボルト32がナット36と螺合することにより、右出力バスバー26Rと出力端子とが電気的に接続されるようになっている。
【0040】
図3に示されるように、絶縁プロテクタ14には、被貫通部30Rの左方、及び右方のそれぞれに、上下方向に延びる保護壁37Rが設けられている。保護壁37Rの上端部は、左右方向について互いに接近するように屈曲したのち、上方に延びて形成されている。2つの保護壁37Rの上端部は、上方に開口した状態になっている。
【0041】
図3に示されるように、電極接続部34Rの下端部には、後方に突出する基板接続部28Rが形成されている。この基板接続部28Rは、絶縁プロテクタ14に設けられた固定孔(図示せず)に前方から挿通されることにより、絶縁プロテクタ14に対して位置決め保持されるようになっている。
【0042】
図3に示されるように、絶縁プロテクタ14には、電極接続部34Rの上端部寄りの位置であって、曲がり部35Rの下方の位置を左右方向から挟持する一対の上側挟持部38Rが、前方に突出して設けられている。左右方向について一対の上側挟持部38Rの間隔は、電極接続部34Rの左右方向の幅寸法と同じか、やや小さく形成されている。
【0043】
図3に示されるように、絶縁プロテクタ14には、電極接続部34Rの下端部寄りの位置であって、基板接続部28Rの上方の位置を左右方向から挟持する一対の下側挟持部39Rが、前方に突出して設けられている。左右方向について一対の下側挟持部39Rの間隔は、電極接続部34Rの左右方向の幅寸法と同じか、やや小さく形成されている。
【0044】
電極接続部34Rが、一対の上側挟持部38R、及び一対の下側挟持部39Rによって挟持されることにより、電極接続部34Rが絶縁プロテクタ14に対して位置決め保持されるようになっている。
【0045】
[接続バスバー26C]
図3に示されるように、接続バスバー26Cは、全体として上下方向に細長く延びる板状をなしている。左出力バスバー26Lは、上下方向に細長く延びる板状をなす電極接続部34Cを有する。図1に示されるように、電極接続部34Cには、スリット25に後方から挿通されたリード端子24が、絶縁プロテクタ14の前方の領域において、電気的に接続されている。電極接続部34Cとリード端子24とは、溶接、半田付け、ろう付け等の公知の手法により接続される。本実施形態においては、電極接続部34Cとリード端子24とは、レーザー溶接により接続されている。
【0046】
電極接続部34Cの下端部には、後方に突出する基板接続部28Cが形成されている。この基板接続部28Cは、絶縁プロテクタ14に設けられた固定孔29に前方から挿通されることにより、絶縁プロテクタ14に対して位置決め保持されるようになっている(図5参照)。
【0047】
図6に示されるように、絶縁プロテクタ14には、電極接続部34Cの上端部を左右方向から挟持する上側挟持部38Cが設けられている。上側挟持部38Cは、絶縁プロテクタ14の前面に溝状に形成されている。溝状をなす上側挟持部38Cの左右方向の間隔は、電極接続部34Cの左右方向の幅寸法と同じか、やや小さく形成されている。
【0048】
図6に示されるように、絶縁プロテクタ14には、電極接続部34Cの下端部寄りの位置であって、基板接続部28Cの上方の位置を左右方向から挟持する一対の下側挟持部39Cが、前方に突出して設けられている。左右方向について一対の下側挟持部39Cの間隔は、電極接続部34Cの左右方向の幅寸法と同じか、やや小さく形成されている。
【0049】
電極接続部34Cが、上側挟持部38C、及び一対の下側挟持部39Cによって挟持されることにより、電極接続部34Cが絶縁プロテクタ14に対して位置決め保持されるようになっている。
【0050】
[フレキシブルプリント基板60]
図3に示されるように、絶縁プロテクタ14の前面には、フレキシブルプリント基板60(可撓性基板の一例)が配されている。フレキシブルプリント基板60は、絶縁性の合成樹脂からなるベースフィルム62(フィルムの一例)の片面、又は両面に、複数の導電路63が形成されてなる。詳細には図示しないが、ベースフィルム62、及び導電路63は、絶縁性の合成樹脂からなるカバーレイフィルムで覆われている。複数の導電路63は、銅や銅合金等の金属箔により形成されている(図5参照)。
【0051】
図3に示されるように、フレキシブルプリント基板60は、左右方向に延びる横行部64と、左右方向について横行部64の中央よりやや左の位置から上方に延びる上行部65と、を有する。換言すると、フレキシブルプリント基板60は、上下反転されたT字状をなしている。
【0052】
図3に示されるように、横行部64には、左右方向に間隔を空けて、複数(本実施形態では5つ)のランド66が形成されている。ランド66は導電路63と接続されている(図5参照)。カバーレイフィルムのうちランド66に対応する部分は開口されている。これにより、ランド66は外部に露出するようになっている。
【0053】
図6に示されるように、ランド66は前方から見て四角形状をなしている。ランド66には、ランド66、及びベースフィルム62を貫通する貫通孔67が形成されている。貫通孔67の孔縁部は、前方から見て略四角形状をなしている。貫通孔67の内形状は、基板接続部28L、28R、28Cの外形状よりも大きく形成されている。これにより、貫通孔67内に基板接続部28L、28R、28Cが挿通されるようになっている。各貫通孔67内に、基板接続部28L、28R、28Cのそれぞれが挿通された状態で、各ランド66と、基板接続部28L、28R、28Cのそれぞれとは、公知の手法により半田付けされるようになっている。
【0054】
図3に示されるように、フレキシブルプリント基板60の上行部65の上端部には、出力用コネクタ90が取り付けられている。出力用コネクタ90には複数の端子91が配されている。複数の端子91は、複数の導電路63と、半田付け等の公知の手法により電気的に接続されている。各導電路63は、出力用コネクタ90により、図示しない外部のECU(Electronic Control Unit)に電気的に接続される。ECUは、マイクロコンピュータ、素子等が搭載されたものであって、蓄電素子12の電圧、電流、温度等の検知、各蓄電素子12の充放電コントロール等を行うための機能を備えた周知の構成のものである。
【0055】
[ボルト32とナット36の締結構造]
図5に示されるように、絶縁プロテクタ14には、被貫通部30Lの下方の位置に、台座部40Lが設けられている。台座部40Lは上方から見て略四角形状をなしている(図7参照)。図8に示されるように、台座部40Lの左右方向の長さ寸法は、2つの保護壁37Lの上端部同士の差し渡し寸法よりも小さく設定されている。台座部40Lの上方には、被貫通部30Lが配されるようになっている。
【0056】
図9に示されるように、台座部40Lの上面には、ナット36が収容される収容部41Lが下方に凹んで形成されている。上方から見て、収容部41Lの口縁部は、略四角形状をなしている。収容部41L内には金属製のナット36が収容される。ナット36は上方から見て四角形状をなしている。ナット36には、ネジ孔42が上下方向に貫通して形成されている。ネジ孔42の内径寸法は、貫通孔31Lの内径寸法よりも小さく設定されている(図5参照)。
【0057】
図5に示されるように、台座部40Lの収容部41L内にナット36が収容され、且つ、台座部40Lの上方に被貫通部30Lが配され、且つ、被貫通部30Lの上面に出力端子33Lが重ねられた状態で、ボルト32がナット36に螺合されるようになっている。ボルト32は上下方向に延びるとともに外面にネジ山が形成された軸部43と、軸部43の上端部に形成された頭部44と、を有する。
【0058】
ボルト32の軸部43が、出力端子33L、被貫通部30Lに貫通された状態で、ナット36が螺合することにより、ボルト32の頭部44と、ナット36との間に、出力端子33Lと被貫通部30Lとが挟まれる。これにより、出力端子33Lと、左出力バスバー26Lとが電気的に接続されるようになっている。
【0059】
図9に示されるように、台座部40Lに形成された収容部41Lの口縁部は略四角形状をなしている。収容部41Lには、後側に位置して左右方向に延びる後縁部45と、前側に位置して左右方向に延びる前縁部46と、後縁部45の右端部と前縁部46の右端部とを前後方向(第2方向の一例)に連結する右縁部47と、後縁部45の左端部と前縁部46の左端部とを前後方向に連結する左縁部48と、を有する。後縁部45の左右両端部のそれぞれには、後方に半円形状に凹む後凹部49が形成されている。前縁部46の左右両端部のそれぞれには、前方に半円形状に凹む前凹部50が形成されている。
【0060】
図9に示されるように、ナット36が収容部41L内に収容された状態で、ナット36の外形状と、収容部41Lの内形状との間には、左右方向について第1クリアランスPが設定されており、前後方向について第2クリアランスQが設定されている。第1クリアランスPは、ナット36の左側縁と収容部41Lの左縁部48との間隔P1と、ナット36の右側縁と収容部41Lの右縁部47との間隔P2との和と定義される。第2クリアランスQは、ナット36の前縁と収容部41Lの前縁部46との間隔Q1と、ナット36の後縁と収容部41Lの後縁部45との間隔Q2との和と定義される。
【0061】
第1クリアランスPは、第2クリアランスQよりも大きく設定されている。第1クリアランスPと、第2クリアランスQとの相対的な大きさの差は限定されないが、本実施形態においては、第1クリアランスPは、第2クリアランスQの実質的に2倍の大きさに設定されている。実質的に2倍とは、第1クリアランスPが第2クリアランスQの2倍である場合と含むとともに、第1クリアランスPが第2クリアランスQの2倍と異なる場合であっても、実質的に2倍と認定し得る場合を含む。収容部41Lに収容されたナット36は、収容部41Lとナット36に設定された第1クリアランスP、及び第2クリアランスQの範囲内で、前後方向、及び左右方向に移動可能になっている。
【0062】
図3に示されるように、絶縁プロテクタ14には、被貫通部30Rの下方の位置に、台座部40Rが設けられている。台座部40Rは上方から見て四角形状をなしている。台座部40Rの左右方向の長さ寸法は、2つの保護壁37Rの上端部同士の差し渡し寸法よりも小さく設定されている。台座部40Rの上方には、被貫通部30Rが配されるようになっている。
【0063】
図3に示されるように、台座部40Rの上面には、ナット36が収容される収容部41Rが下方に凹んで形成されている。上方から見て、収容部41Rの口縁部は、略四角形状をなしている。収容部41R内には金属製のナット36が収容される。ナット36は上方から見て四角形状をなしている。ナット36には、ネジ孔42が上下方向に貫通して形成されている。ネジ孔42の内径寸法は、貫通孔31Rの内径寸法よりも小さく設定されている。
【0064】
台座部40Rの収容部41R内にナット36が収容され、且つ、台座部40Rの上方に被貫通部30Rが配され、且つ、被貫通部30Rの上面に出力端子33Rが重ねられた状態で、ボルト32がナット36に螺合されるようになっている。ボルト32は上下方向に延びるとともに外面にネジ山が形成された軸部43と、軸部43の上端部に形成された頭部44と、を有する。
【0065】
詳細には図示しないが、ボルト32の軸部43が、出力端子、被貫通部30Rに貫通された状態で、ナット36が螺合することにより、ボルト32の頭部44と、ナット36との間に、出力端子と被貫通部30Rとが挟まれる。これにより、出力端子と、左出力バスバー26Lとが電気的に接続されるようになっている。
【0066】
収容部41Rとナット36との間における、第1クリアランスP、及び第2クリアランスQについては、収容部41Lとナット36との間における第1クリアランスP、及び第2クリアランスQと同様の構成なので、重複する説明を省略する。
【0067】
[実施形態の作用効果]
続いて、実施形態1の作用効果について説明する。まず、被貫通部30Lと、電極接続部34Lとが直交する場合について説明する。電極接続部34Lは、絶縁プロテクタ14に対して、上側挟持部38L、及び下側挟持部39Lによって位置決め状態で保持される。電極接続部34Lには蓄電素子12のリード端子24が接続されるようになっている。このため、電極接続部34Lと、絶縁プロテクタ14とは、比較的に高い精度で位置決めされるようになっている。
【0068】
被貫通部30Lが電極接続部34Lと直交する場合、図5に示されるように、被貫通部30Lは台座部40Lの上面と平行に配される。被貫通部30Lに形成された貫通孔31Lは、台座部40Lの収容部41L内に収容されたナット36のネジ孔42に整合する位置に配される。出力端子33Lの挿通孔21Lと、被貫通部30Lの貫通孔31Lとが整合するようにして、出力端子33Lが被貫通部30Lの上面に重ねられる。その後、上方からボルト32の軸部43が、出力端子33Lの挿通孔21L、及び被貫通部30Lに挿通され、ナット36のネジ孔42に螺合される。すると、ナット36が収容部41Lから上方に引き上げられる。さらにボルト32とナット36とが螺合されると、ボルト32の頭部44と、ナット36との間に、出力端子33L、及び被貫通部30Lが挟まれる。これにより、出力端子33L、左出力バスバー26L、及び蓄電素子12のリード端子24が電気的に接続される。
【0069】
次に、図10に示されるように、被貫通部30Lと、電極接続部34Lとが直交しない場合について説明する。被貫通部30Lと電極接続部34Lとは、曲がり部35Lによって連結されている。この曲がり部35Lが曲げ加工される際に加工精度により、被貫通部30Lと電極接続部34Lとのなす角度が定まる。左出力バスバー26Lには蓄電モジュール11から出力される比較的に大きな電流が流れるので、電気抵抗値を低減させるために、左出力バスバー26Lの板厚寸法は、比較的に大きく設定されている。このため、曲がり部35Lを精度よく曲げ加工することが難しいという問題がある。この結果、被貫通部30Lと電極接続部34Lとのなす角度が直角と異なる場合が生じうる。
【0070】
図10には、被貫通部30Lと、電極接続部34Lとのなす角度が90°よりも大きな場合が例示されている。なお、図10においては、説明の便宜のために、被貫通部30Lと、電極接続部34Lとのなす角度は強調されている。
【0071】
電極接続部34Lが、絶縁プロテクタ14に対して、上側挟持部38L、及び下側挟持部39Lによって保持された状態において、被貫通部30Lは台座部40Lの上面と交差している。このため、ナット36のネジ孔42の軸線が上下方向に延びているのに対し、被貫通部30Lの貫通孔31Lの軸線は、上下方向に対して角度を有して延びている。被貫通部30Lの上面に出力端子33Lが重ねられた状態では、被貫通部30Lの貫通孔31Lの軸線と、出力端子33Lの挿通孔21Lの軸線とは整合して配される。
【0072】
ボルト32の軸部43が上方から、出力端子33Lの挿通孔21L、及び被貫通部30Lの貫通孔31Lに挿通されると、ボルト32の軸部43の軸線は、出力端子33Lの挿通孔21Lの軸線、及び被貫通部30Lの貫通孔31Lの軸線と整合される。
【0073】
収容部41Lに収容されたナット36は、収容部41Lとナット36に設定された第1クリアランスP、及び第2クリアランスQの範囲内で、前後方向、及び左右方向に移動する。このため、ボルト32の軸部43の軸線と、ナット36のネジ孔42の軸線とがずれていた場合でも、ナット36が収容部41L内を移動することにより、ボルト32の軸部43の下端部がナット36のネジ孔42内に螺合可能になっている。
【0074】
ボルト32の軸部43の下端部がナット36のネジ孔42内に螺合すると、ナット36は上方に引き上げられる。このとき、ナット36のネジ孔42の軸線は、ボルト32の軸部43に軸線と整合する。これにより、ナット36は、収容部41L内において、上下方向について、上端部が右寄りになり、下端部が左寄りとなった、傾いた姿勢となる。
【0075】
本実施形態においては、左右方向について収容部41Lとナット36との間に設定された第1クリアランスPは、前後方向について収容部41Lとナット36との間に設定された第2クリアランスQよりも大きく設定されている。これにより、ナット36が収容部41L内において、上下方向について、上端部が右寄りになり、下端部が左寄りとなった、傾いた姿勢となった場合でも、ナット36の上端部が収容部41Lの右縁部47と接触しないようになっており、且つ、ナット36の下端部が収容部41Lの左縁部48と接触しないようになっている。これにより、ナット36から収容部41Lに対して力が加わらないので、絶縁プロテクタ14に、ナット36から力が加わることに起因する、絶縁プロテクタ14の変形等の不具合を抑制できる。
【0076】
なお、図11には、比較例として、左右方向について収容部41Lとナット36との間に設定された第1クリアランスPが、前後方向について収容部41Lとナット36との間に設定された第2クリアランスQと同じ値に設定された場合を示されている。つまり、図10とは、図11における第1クリアランスPが、図10における第1クリアランスPの実質的に二分の一に設定されている点で相違する。その他の構成は図10と同様なので、同一の部材には同一の符号が付されている。なお、図11においては、説明の便宜のために、被貫通部30Lと、電極接続部34Lとのなす角度は強調されている。
【0077】
比較例においては、ナット36が収容部41L内において、上下方向について、上端部が右寄りになり、下端部が左寄りとなった、傾いた姿勢となった場合においては、ナット36の上端部が収容部41Lの右縁部47と接触し、且つ、ナット36の下端部が収容部41Lの左縁部48と接触している。これにより、ナット36から収容部41Lに対して力が加わってしまうので、絶縁プロテクタ14の変形等の不具合が発生するおそれが生じる。
【0078】
また、本実施形態では、ボルトの軸部とナットとが螺合した状態において、軸部の軸線が延びる方向は、電極接続部の延びる方向と交差している。
【0079】
ボルト32の軸部43が延びる軸線の方向と、左出力バスバー26Lの電極接続部34L、又は右出力バスバー26Rの電極接続部34Rが延びる方向とが交差する場合において、ナット36が絶縁プロテクタ14と接触することを確実に抑制できるので、絶縁プロテクタ14の変形を確実に抑制できる。
【0080】
また、本実施形態では、第1クリアランスPの寸法は、第2クリアランスQの寸法の2倍に設定されている。
【0081】
ナット36が絶縁プロテクタ14と接触することを一層抑制できるので、絶縁プロテクタ14の変形を一層抑制できる。
【0082】
また、本実施形態によれば、ボルト32の軸部43にナット36が螺合した状態で、ボルト32の頭部44とナット36との間には、被貫通部30Lと、外部回路と電気的に接続される出力端子33Lとが挟まれるとともに、被貫通部30Rと、外部回路と電気的に接続される出力端子とが挟まれている。
【0083】
ボルト32の頭部44とナット36との間に、左出力バスバー26Lの被貫通部30Lと出力端子33Lが挟まれることにより、左出力バスバー26Lと外部回路とを出力端子33Lを介して電気的に接続できる。また、ボルト32の頭部44とナット36との間に、右出力バスバー26Rの被貫通部30Rと出力端子33Rとが挟まれることにより、右出力バスバー26Rと外部回路とを出力端子を介して電気的に接続できる。
【0084】
また、本実施形態によれば、絶縁プロテクタ14には、可撓性を有するとベースフィルム62に形成された導電路63と、を有するフレキシブルプリント基板60が配されており、左出力バスバー26Lはフレキシブルプリント基板60の導電路63と接続される基板接続部28Lを有し、基板接続部28Lが絶縁プロテクタ14に位置決め保持されており、また、右出力バスバー26Rはフレキシブルプリント基板60の導電路63と接続される基板接続部28Rを有し、基板接続部28Rが絶縁プロテクタ14に位置決め保持されている。
【0085】
基板接続部28L、28Rと絶縁プロテクタ14とが位置決め保持された場合には、左出力バスバー26L、及び右出力バスバー26Rと絶縁プロテクタ14との位置決め精度がさらに求められる。このような場合であっても、ボルト32の軸部43にナット36が螺合した状態で、ナット36が絶縁プロテクタ14と接触することを抑制できる。これにより、絶縁プロテクタ14にナット36から力が加わることに起因する、絶縁プロテクタ14の変形を抑制できる。
【0086】
<他の実施形態>
(1)複数の蓄電素子12は直列つなぎされていてもよいし、並列つなぎされていてもよい。
【0087】
(2)ボルト32の頭部44が収容部に収容され、ナット36が上方から螺合される構成としてもよい。また、1つの絶縁プロテクタ14が、ナット36が収容される収容部と、ボルト32の頭部44が収容される収容部の双方を有する構成としてもよい。
【0088】
(3)左出力バスバー26L及び右出力バスバー26Rに接続される可撓性基板は、いわゆるフレキシブルフラットケーブルでもよい。また、左出力バスバー26L及び右出力バスバー26Rに電線が接続される構成としてもよい。
【0089】
(4)電極接続部34L、34Rを位置決め保持する構造は、限定されない。例えば、接着、ネジ止め、熱融着、係止爪によるロック構造、インサート成形等、任意の手法を採用できる。
【0090】
(5)ボルト32の頭部44とナット36との間には、座金が挟まれていてもよいし、電圧検知用の端子が挟まれていてもよく、任意の部材が挟まれる構成とすることができる。また、左出力バスバー26L、及び右出力バスバー26Rの双方又は一方が省略されてもよい。
【0091】
(6)絶縁プロテクタ14には、1つ、2つ、又は4つ以上の接続バスバー26Cが配される構成としてもよい。
【0092】
(7)被貫通部30L、30Rと、電極接続部34L、34Rとのなす角度は、直角よりも小さくてもよい。
【符号の説明】
【0093】
10: 配線モジュール
11: 蓄電モジュール
12: 蓄電素子
13: ケース
14: 絶縁プロテクタ
20: 開口部
21L: 挿通孔
23: ラミネートフィルム外装体
24: リード端子
25: スリット
26C: 接続バスバー
26R: 右出力バスバー
26L: 左出力バスバー
28C、28R、28L: 基板接続部
29: 固定孔
30R、30L: 被貫通部
31R、31L: 貫通孔
32: ボルト
33L: 出力端子
34C、34R、34L: 電極接続部
35: ナット
35R、35L: 曲がり部
36: ナット
37R、37L: 保護壁
38C、38R、38L: 上側挟持部
39C、39R、39L: 下側挟持部
40R、40L: 台座部
41R、41L: 収容部
42: ネジ孔
43: 軸部
44: 頭部
45: 後縁部
46: 前縁部
47: 右縁部
48: 左縁部
49: 後凹部
50: 前凹部
60: フレキシブルプリント基板
62: ベースフィルム
63: 導電路
64: 横行部
65: 上行部
66: ランド
67: 貫通孔
90: 出力用コネクタ
91: 端子
P1、P2: 間隔
P: 第1クリアランス
Q1、Q2: 間隔
Q: 第2クリアランス
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11