(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-19
(45)【発行日】2025-02-28
(54)【発明の名称】車載装置
(51)【国際特許分類】
B60R 16/02 20060101AFI20250220BHJP
【FI】
B60R16/02 610A
(21)【出願番号】P 2023569003
(86)(22)【出願日】2021-12-24
(86)【国際出願番号】 JP2021048285
(87)【国際公開番号】W WO2023119641
(87)【国際公開日】2023-06-29
【審査請求日】2024-05-22
(73)【特許権者】
【識別番号】509186579
【氏名又は名称】日立Astemo株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001829
【氏名又は名称】弁理士法人開知
(72)【発明者】
【氏名】渡部 皇仁
【審査官】池田 晃一
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-216836(JP,A)
【文献】特開2013-207173(JP,A)
【文献】特開2014-207364(JP,A)
【文献】中国実用新案第206510858(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 16/02
B60R 16/02
B60R 11/02
H05K 5/00 - 5/06
H01R 13/40 - 13/533
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車載用バッテリーの電圧及び電流が供給され、前記電圧及び前記電流を内部に分配する電源回路部及び前記電源回路部の周辺の電源関連部品が実装された基板と、
前記基板上に搭載され、外部装置と前記基板とを電気的に接続するコネクタと、
前記基板を内部に収容するとともに、前記コネクタの取付位置を規定するコネクタ取付け部を有する筐体と、
を備え、
前記筐体は、前記筐体の内部であって前記基板側に突出し前記コネクタの取付け方向に沿って延在
し、前記電源関連部品を挟むよう対向して配置されている第1の壁部及び第2の壁部を有
し、
前記筐体は、前記コネクタ取付け部が設けられる正面部と、前記正面部と対向する背面部と、を有し、
前記第1の壁部は、前記コネクタの取付け方向から見て、前記コネクタのうち第1のコネクタと重なる位置に配置され、
前記第1のコネクタの隣の第2のコネクタと、前記第1のコネクタ側の前記第2のコネクタの周囲に配置された前記コネクタ取付け部と、の隙間から、直径1mm、長さ100mmのテストプローブが押圧力1Nで押し込まれ、前記第2のコネクタにおける前記正面部側の角部に前記テストプローブが接触し、かつ、前記コネクタ取付け部における前記背面部側の角部に前記テストプローブが接触した状態を、前記テストプローブの前記電源関連部品側への第1最大可動状態と定義したとき、
前記第1の壁部は、前記第1最大可動状態にて、前記テストプローブの先端部が前記第1の壁部に突き当たる位置まで、前記背面部から前記正面部側に延在している
車載装置。
【請求項2】
請求項
1に記載の車載装置であって、
前記車載装置は、IEC規格60529に定義されたIP4Xを満たしている
車載装置。
【請求項3】
請求項1に記載の車載装置であって、
前記
第1の壁部及び前記第2の壁部の高さは、前記基板と接しない高さである
車載装置。
【請求項4】
請求項
1に記載の車載装置であって、
前記第1の壁部は、前記第2の壁部よりも前記筐体の中心寄りに配置されている
車載装置。
【請求項5】
請求項1に記載の車載装置であって、
前記
第1の壁部及び前記第2の壁部は、前記筐体と一体形成されている
車載装置。
【請求項6】
請求項1に記載の車載装置であって、
前記
第1の壁部及び前記第2の壁部は、前記筐体とは別体の部材である
車載装置。
【請求項7】
請求項
1に記載の車載装置であって、
前記コネクタは、複数設けられ、
複数の前記コネクタの各々と、複数の前記コネクタの各々の周囲に配置された前記コネクタ取付け部との間には、
前記テストプローブを押圧力1Nで押し込み可能な隙間が形成されている
車載装置。
【請求項8】
請求項
1に記載の車載装置であって、
前記第1のコネクタと、前記第1のコネクタの下方に配置された前記コネクタ取付け部との間には、
前記テストプローブを押圧力1Nで押し込み可能な隙間が形成され、
前記コネクタは、前記基板上に前記基板に対して隙間なく搭載され、
前記第1のコネクタと、前記第1のコネクタの下方に配置された前記コネクタ取付け部と、の隙間から、前記テストプローブを押し込んだときに、前記テストプローブの先端部は、前記基板における前記コネクタ取付け部側の端部に突き当たる
車載装置。
【請求項9】
請求項
1に記載の車載装置であって、
前記第1のコネクタと、前記第1のコネクタの左右の周囲に配置されて前記第2のコネクタとは反対側に設けられたた前記コネクタ取付け部と、の隙間から、
前記テストプローブが押圧力1Nで押し込まれ、前記第1のコネクタの周囲に配置された前記コネクタ取付け部における前記正面部側の角部に前記テストプローブが接触し、かつ、前記第1のコネクタにおける前記背面部側の角部に前記テストプローブが接触した状態を、前記テストプローブの前記電源関連部品側への第2最大可動状態と定義したとき、
前記第2の壁部は、前記第2最大可動状態にて、前記テストプローブの先端部が前記第2の壁部に突き当たる位置まで、前記背面部から前記正面部側に延在している
車載装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車載装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車載装置には、多くの種類が存在する。車載装置の搭載位置も様々である。特にメンテナンス性を考慮する場合には、車載装置は、バッテリーに接続した状態でも容易に作業者の触れる事のできる箇所に搭載される。この場合には、作業者の安全を確保するため、一般的に、人体や使用する工具類つまり外来固形物を車載装置の電源関連部品に接近させない構造が採用される。
【0003】
車載装置において、外来固形物の電源関連部品への接近を防ぐ構造として特許文献1に記載された技術がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1に記載の車載装置の筐体では、コネクタカバーがコネクタ周りの隙間を塞ぐことにより外来固形物の侵入が防止されている。しかし、上記特許文献1のコネクタカバーは、組付けの際に一方向から組付けられず、上から下に移動させた後、基板側に移動させて取り付ける必要があり、組み付けに手間がかかる。
【0006】
車載装置は、近年の省人力化工程でロボット等によって、各部品を容易に組付け可能な構成とすることが望ましい。このため、車載装置において、製品個別の寸法誤差や組付け精度誤差を吸収するために、コネクタとコネクタ取付け部との間に形成される隙間から車載装置内部への外来固形物の侵入を防止可能であって、容易に組付け可能な構造が要望されている。なお、車載装置は、外来固形物の侵入を防止する構造として、例えば、IP規格IP4X等の規格基準を遵守可能な構造とすることが要望されている。
【0007】
本発明は、外来固形物の電源関連部品への接近を防ぐことが可能であるとともに、組付け性の良好な車載装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様による車載装置は、車載用バッテリーの電圧及び電流が供給され、前記電圧及び前記電流を内部に分配する電源回路部及び前記電源回路部の周辺の電源関連部品が実装された基板と、前記基板上に搭載され、外部装置と前記基板とを電気的に接続するコネクタと、前記基板を内部に収容するとともに、前記コネクタの取付位置を規定するコネクタ取付け部を有する筐体と、を備え、前記筐体は、前記筐体の内部であって前記基板側に突出し前記コネクタの取付け方向に沿って延在し、前記電源関連部品を挟むよう対向して配置されている第1の壁部及び第2の壁部を有し、前記筐体は、前記コネクタ取付け部が設けられる正面部と、前記正面部と対向する背面部と、を有し、前記第1の壁部は、前記コネクタの取付け方向から見て、前記コネクタのうち第1のコネクタと重なる位置に配置され、前記第1のコネクタの隣の第2のコネクタと、前記第1のコネクタ側の前記第2のコネクタの周囲に配置された前記コネクタ取付け部と、の隙間から、直径1mm、長さ100mmのテストプローブが押圧力1Nで押し込まれ、前記第2のコネクタにおける前記正面部側の角部に前記テストプローブが接触し、かつ、前記コネクタ取付け部における前記背面部側の角部に前記テストプローブが接触した状態を、前記テストプローブの前記電源関連部品側への第1最大可動状態と定義したとき、前記第1の壁部は、前記第1最大可動状態にて、前記テストプローブの先端部が前記第1の壁部に突き当たる位置まで、前記背面部から前記正面部側に延在している。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、外来固形物の電源関連部品への接近を防ぐことが可能であるとともに、組付け性の良好な車載装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、第1実施形態に係る車載装置を示す外観斜視図である。
【
図2】
図2は、第1実施形態に係る車載装置を筐体の正面方向から見た正面図である。
【
図3】
図3は、第1実施形態に係る車載装置を示す部品分解斜視図である。
【
図4】
図4は、第1実施形態に係る車載装置を
図5のB-B線に沿う横断面にて示す横断面図である。
【
図5】
図5は、第1実施形態に係る車載装置を
図4のA-A線に沿う縦断面にて示す縦断面図である。
【
図6】
図6は、第1実施形態に係るテストプローブをコネクタとコネクタ取付け部との隙間に左右方向から挿入した場合を示す横断面図である。
【
図7】
図7は、第1実施形態に係るテストプローブをコネクタとコネクタ取付け部との隙間に上下方向から挿入した場合を
図6のC-C線に沿う縦断面にて示す縦断面図である。
【
図8】
図8は、第2実施形態に係る車載装置を示す横断面図である。
【
図9】
図9は、第3実施形態に係る車載装置を示す横断面図である。
【
図10】
図10は、第4実施形態に係る車載装置を示す横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。なお、各実施形態は、矛盾しない限り組み合わせられる。各実施形態では、同じ構成に同符号を付して説明が省略され、特徴部分が説明されている。また、各図においてU方向が上方向であり、D方向が下方向であり、F方向が正面方向であり、B方向が背面方向であり、R方向が右方向であり、L方向が左方向である。
【0012】
<IP規格>
IP規格とは、IEC(国際電気標準規格) 60529 Amd.2 Ed.2.0 b Cor.1:2019(b)、JIS(日本産業規格)C 0920 (2003)による規格である。本規格は、外郭(enclosure)によって電気機械器具の保護構造を等級分類する方式について規定している。保護構造の等級分類方式を導入することによって、保護されている内容(程度)の表現とその検証方法の均一化を図っている。
【0013】
<本規格目的>
電気機器の外郭による保護等級の分類についての定義を次の(1)-(2)にて示している。(1)外郭内の危険な箇所へ接近することに対する人体の保護。(2)外部からの固形物の侵入に対する外郭内の電気機器の保護。
【0014】
<IP規格IP4X> 本発明の効果を判断する基準としてIEC 60529 Amd.2 Ed.2.0 b Cor.1:2019(b)、JIS C 0920 (2003)で定義されるIP規格IP4Xを使用する。IP4Xの規定として、直径1mmの長さ100mmテストプローブを押圧力1Nで押し込むと規定されている。テストプローブは、押圧力によって曲げてまで挿入はされず突き当りで止まる。
【0015】
<第1実施形態>
<車載装置1の全体構成> 第1実施形態について
図1~
図5を用いて説明する。
図1は、第1実施形態に係る車載装置1を示す外観斜視図である。
図2は、第1実施形態に係る車載装置1を筐体3の正面方向Fから見た正面図である。
図3は、第1実施形態に係る車載装置1を示す部品分解斜視図である。
図4は、第1実施形態に係る車載装置1を
図5のB-B線に沿う横断面にて示す横断面図である。
図5は、第1実施形態に係る車載装置1を
図4のA-A線に沿う縦断面にて示す縦断面図である。車載装置1は、IEC規格60529に定義されたIP4Xを満たしている。
【0016】
図1~
図5に示されるように、車載装置1は、筐体3と、コネクタ取付け部2と、基板12と、を備える。
【0017】
筐体3は、箱体である。筐体3は、コネクタ取付け部2が設けられる正面部3Fと、上面部3Uと、下面部3Dと、右面部3Rと、左面部3Lと、正面部3Fと対向する背面部3Bと、を有する。筐体3は、筐体3の正面部3F側を開口部に形成されている。筐体3は、基板12を内部に収容するとともに、コネクタ4、5、6の取付位置を規定するコネクタ取付け部2を有する。
【0018】
コネクタ取付け部2は、筐体3の蓋体である。コネクタ取付け部2は、筐体3の正面部3Fに設けられている。コネクタ取付け部2は、筐体3の正面方向Fの表面を面一に形成されている。コネクタ取付け部2は、筐体3の正面方向Fの開口部を覆う。コネクタ取付け部2には、3つの開口部7、8、9が形成されている。
【0019】
コネクタ取付け部2は、筐体3の上面部3U及び下面部3Dの内壁側に設けられた穴31にスナップフィットで取り付けられる。スナップフィットは、上側及び下側各々に対して右方向R側、中央側及び左方向L側に間隔を空けて3つ設けられている。スナップフィットは、筐体3の上面部3U及び下面部3Dの内壁側に設けられた穴31と、コネクタ取付け部2に設けられて穴31に係合する爪部21と、から構成されている。爪部21が筐体3の上面部3U及び下面部3Dの内壁側から筐体3に設けられた穴31に組み合わされて係合し、コネクタ取付け部2が筐体3に固定される。
【0020】
基板12は、図示しない外部装置と電気的に接続するための回路を有する。基板12には、外部装置との電気的な接続をするためのコネクタ4、5、6が搭載されている。つまり、コネクタ4、5、6は、複数設けられている。コネクタ4、5、6各々は、コネクタ取付け部2の開口部7、8、9各々の開口範囲に外部装置との接続部分を露出させている。コネクタ4、5、6は、外部装置の端子が接続されることにより、外部装置と基板12とを電気的に接続している。コネクタ4、5、6は、基板12上に基板12に対して隙間なく搭載されている。
【0021】
基板12は、袋状に形成された筐体3に筐体3の正面方向Fの開口部から背面方向Bへ向けてスライドさせて組み込まれる構成である。基板12は、筐体3の背面部3Bの内壁側に形成された溝32に嵌って固定される。
【0022】
基板12には、車載用バッテリーの電圧及び電流が供給され、電圧及び電流を内部に分配する電源回路部及び電源回路部の周辺の電源関連部品11並びに電気部品20が実装されている。電源関連部品11は、IP規格IP4Xでの(1)-(2)の目的に用いられる危険箇所である。電源関連部品11は、コネクタ6の背面方向Bの投影領域内に配置されている。電源関連部品11以外の電気部品20は、IP規格IP4Xの対象外である。電源回路部は、基板12中に形成されている。
【0023】
<隙間10>
コネクタ4、5、6とコネクタ取付け部2との間には、筐体3の外部から外来固形物が侵入可能な隙間10が形成されている。つまり、コネクタ4、5、6用の開口部7、8、9各々と、コネクタ4、5、6各々と、の間には、1mm以上の隙間10が設けられている。
【0024】
隙間10は、基板12の製造バラツキ、コネクタ4、5、6の形状バラツキ、コネクタ4、5、6の実装時の位置のバラツキ、筐体3に基板12を差し込んで組付けた際の位置バラツキ、コネクタ取付け部2の製造バラツキ及び筐体3とコネクタ取付け部2とを組付けた際の位置バラツキを考慮し、それらを設備で組み立てる事を考慮している。
【0025】
このため、隙間10を1mm未満とすることは、非常に困難である。仮に隙間10を1mm未満とする場合には、車載装置1の手組による人件費や寸法管理費用等のコストアップにつながる。
【0026】
また、コネクタ4、5、6用の開口部7、8、9における採用するコネクタ4、5、6の嵌合面の形状は、正方形、長方形であるとは限らないため、コネクタ4、5、6の嵌合面の最外周から隙間10を確保し、コネクタ4、5、6用の開口部7、8、9の形状を単純な正方形、長方形とする。これにより、少しのコネクタ4、5、6の変更であれば、コネクタ取付け部2の形状を流用することも可能になる。
【0027】
以上の理由により、複数のコネクタ4、5、6各々と、複数のコネクタ4、5、6各々の周囲に配置されたコネクタ取付け部2との間には、直径1mm、長さ100mmのテストプローブ14を押圧力1Nで押し込み可能な隙間10が形成されている。
【0028】
具体的には、3つのコネクタ4、5、6各々と、3つのコネクタ4、5、6各々の周囲のコネクタ取付け部2と、の間には、基準としてIEC60529、JIS C 920で定義されるIP規格IP4Xを使用し、IP4Xの規定として、直径1mmの長さ100mmテストプローブ14を押圧力1Nで押し込み可能な幅1.5mmの隙間10が形成されている。
【0029】
<6つの壁部15、16、17>
筐体3は、筐体3の内部であって基板12側に突出しコネクタ4、5、6の取付け方向に沿って延在する6つの壁部15、16、17を有する。ここで、コネクタ4、5、6の取付け方向とは、図示しない外部装置の端子をコネクタ4、5、6に差し込む方向、すなわち、正面部3Fから背面部3Bに向かう方向(背面方向B)である。6つの壁部15、16、17は、コネクタ4、5、6の取付け方向から見て、コネクタ4、5、6と重なる位置に配置されている。6つの壁部15、16、17の高さは、基板12と接しない高さである。
【0030】
<第1の壁部17及び第2の壁部16>
筐体3は、6つの壁部15、16、17の一部として、電源関連部品11を挟むよう対向して配置されている第1の壁部17及び第2の壁部16を備える。
【0031】
第1の壁部17は、コネクタ4、5、6のうちコネクタ6の取付け方向から見てコネクタ6と重なる位置に配置されている。第1の壁部17は、第2の壁部16よりも筐体3の中心寄りに配置されている。
【0032】
第2の壁部16は、コネクタ6の取付け方向から見て、コネクタ6と重なる位置に配置されている。
【0033】
詳しくは、第1の壁部17及び第2の壁部16は、コネクタ取付け部2とコネクタ5、6との左右の隙間からの外来固形物の侵入に対して、テストプローブ14が基板12上の電源関連部品11に接触できない構成にしている。第1の壁部17及び第2の壁部16は、筐体3の内部にて背面部3Bから正面方向Fに延伸する。つまり、第1の壁部17及び第2の壁部16は、上面部3Uの内壁側から下方向Dに基板12側に突出している。第1の壁部17及び第2の壁部16に挟まれた領域には、基板12内の危険個所である電源関連部品11を配置している。電源関連部品11は、バッテリーの供給部や基板12中の電源回路部及びアクチュエータの出力回路等であり、活電部とも称される。
【0034】
<6つの壁部15、16、17と基板12との間の隙間13>
6つの壁部15、16、17と基板12との間には、上下方向の隙間13が設けられている。6つの壁部15、16、17と基板12との間には、部品を配置せず、上下方向の隙間13の間隔は、1mm未満にすることが望ましい。上下方向の隙間13の間隔は、一定であることが望ましい。電源関連部品11以外の基板12上に搭載された電気部品20は、非活電部の電気部品と称する。
【0035】
<6つの壁部15、16、17及び筐体3の一体形成>
6つの壁部15、16、17は、筐体3と一体形成されている。6つの壁部15、16、17は、背面部3Bから正面方向Fに向かって延伸させて設けられている。つまり、筐体3の外壁と並行に6つの壁部15、16、17を配置することにより、筐体3の型抜きが容易になり、筐体3と6つの壁部15、16、17とを一体成型にすることが可能になる。
【0036】
これに対し、背面部3Bから正面方向Fの筐体3の開口部に対して交差する方向に壁部を設けた場合には、部品点数や組み立て工程を増やすことになる。しかし、少なくとも1つの壁部15、16、17は、筐体3とは別体の部材であってもよい。
【0037】
<IP4X用のテストプローブ14との関係:左右の隙間>
図6は、第1実施形態に係るテストプローブ14をコネクタ4、5、6とコネクタ取付け部2との隙間10に左右方向から挿入した場合を示す横断面図である。
【0038】
テストプローブ14の侵入範囲18は、コネクタ4、5、6とコネクタ取付け部2との隙間10の幅から算出することが可能である。このため、テストプローブ14の侵入範囲18の算出結果と電源関連部品11の位置とによっては、第1の壁部17又は第2の壁部16の長さを短くすることも可能である。
図6から分かるように、テストプローブ14の侵入角度がない場合でも、ある程度の第1の壁部17及び第2の壁部16の長さが必要となる。
【0039】
<第1の壁部17の先端部17aの位置>
コネクタ5と、コネクタ6側のコネクタ5の周囲に配置されたコネクタ取付け部2と、の隙間10から、直径1mm、長さ100mmのテストプローブ14が押圧力1Nで押し込まれ、コネクタ5における正面部3F側の角部C1にテストプローブ14が接触し、かつ、コネクタ取付け部2における背面部3B側の角部C2にテストプローブ14が接触した状態を、テストプローブ14の電源関連部品11側への第1最大可動状態A1と定義する。第1の壁部17は、第1最大可動状態A1にて、テストプローブ14の先端部が第1の壁部17に突き当たる位置まで、背面部3Bから正面部3F側に延在している。
【0040】
上記のテストプローブ14の侵入範囲18に対して、第1の壁部17は、コネクタ6と、コネクタ6の左右の周囲に配置されたコネクタ取付け部2と、の隙間10から、又は、コネクタ5と、コネクタ6側のコネクタ5の周囲に配置されたコネクタ取付け部2と、の隙間10から、IP規格IP4Xを使用し、IP4Xの規定として、直径1mmの長さ100mmテストプローブ14を押圧力1Nで押し込んだときに、テストプローブ14の先端部が第1の壁部17における筐体3の正面部3F側の領域に突き当たる位置に設けられている。
【0041】
つまり、第1の壁部17は、コネクタ6とコネクタ取付け部2との隙間10から侵入する外来固形物の最大可動領域を規定する境界線と交差するように、正面部3Fと対向する筐体3の背面部3Bを起点として正面部3F側に延在している。
【0042】
<第2の壁部16の先端部16aの位置>
コネクタ6と、コネクタ6の左右の周囲に配置されてコネクタ5とは反対側に設けられたコネクタ取付け部2と、の隙間10から、直径1mm、長さ100mmのテストプローブ14が押圧力1Nで押し込まれ、コネクタ6の周囲に配置されたコネクタ取付け部2における正面部3F側の角部C3にテストプローブ14が接触し、かつ、コネクタ6における背面部3B側の角部C4にテストプローブ14が接触した状態を、テストプローブ14の電源関連部品11側への第2最大可動状態A2と定義する。第2の壁部16は、第2最大可動状態A2にて、テストプローブ14の先端部が第2の壁部16に突き当たる位置まで、背面部3Bから正面部3F側に延在している。
【0043】
<IP4X用のテストプローブ14との関係:上下の隙間10>
図7は、第1実施形態に係るテストプローブ14をコネクタ6とコネクタ取付け部2との隙間10に上下方向から挿入した場合を
図6のC-C線に沿う縦断面にて示す縦断面図である。
【0044】
テストプローブ14のコネクタ6の上方向Uの隙間10からの侵入に対しては、侵入範囲19となる。この場合には、テストプローブ14が電源関連部品11に接触することが無い。テストプローブ14のコネクタ6の下方向Dの隙間10からの侵入に対しては、基板12に突き当たる。このため、テストプローブ14が筐体3の内部に侵入できない。
【0045】
<テストプローブ14のコネクタ6の上方向Uの隙間10への侵入>
コネクタ6と、コネクタ6の上方向Uに配置されたコネクタ取付け部2と、の間には、IP規格IP4Xを使用し、IP4Xの規定として、直径1mmの長さ100mmテストプローブ14を押圧力1Nで押し込み可能な隙間10が形成されている。
【0046】
この場合に、テストプローブ14をコネクタ6と、コネクタ6の上方向Uに配置されたコネクタ取付け部2と、の間の隙間10に侵入させると、テストプローブ14の先端部は、コネクタ6の上方向Uに配置されたコネクタ取付け部2における正面部3F側の角部C5にテストプローブ14が接触し、かつ、コネクタ6における背面部3B側の角部C6にテストプローブ14が接触し、テストプローブ14の電源関連部品11側への第3最大可動状態A3になる。そして、第3最大可動状態A3では、テストプローブ14が電源関連部品11の高さよりも上方向Uに可動するだけであり、テストプローブ14が電源関連部品11に接触しない。
【0047】
<テストプローブ14のコネクタ6の下方向Dの隙間10への侵入>
コネクタ6と、コネクタ6の下方向Dに配置されたコネクタ取付け部2との間には、直径1mm、長さ100mmのテストプローブ14を押圧力1Nで押し込み可能な隙間10が形成されている。
【0048】
この場合に、コネクタ6と、コネクタ6の下方向Dに配置されたコネクタ取付け部2と、の隙間10から、テストプローブ14を押し込んだときに、テストプローブ14の先端部は、基板12におけるコネクタ取付け部2側の端部に突き当たる。
【0049】
<テストプローブ14の第1の壁部17及び第2の壁部16と基板12との間の上下方向の隙間13への侵入>
第1の壁部17及び第2の壁部16と、基板12と、の間には、IP規格IP4Xを使用し、IP4Xの規定として、直径1mmの長さ100mmテストプローブを押圧力1Nで押し込んだときに、テストプローブ14の先端部が第1の壁部17及び第2の壁部16に突き当たり、突き抜けない隙間13が形成されている。上記したようにこの隙間13の上下方向幅は、1mm未満である。
【0050】
<第2実施形態>
図8は、第2実施形態に係る車載装置1を示す横断面図である。
図8に示されるように、電源関連部品11は、コネクタ6の背面方向Bの投影領域内にはない。電源関連部品11は、コネクタ6の背面方向Bの領域内から左方向Lである隣に形成された筐体3の左面部3Lと第1の壁部17との間に配置されている。このため、第2の壁部16がなく、第1の壁部17が電源関連部品11を筐体3の左面部3Lの内壁側とで挟み込んでいる。
【0051】
車載装置1に対する、機能要求によっては第1実施形態のコネクタ数に変更はないが回路規模が大きくなり、部品を実装する基板面積が必要になる場合がある。この場合には、筐体3を大きくすることが考えられる。そして、電源関連部品11がコネクタ6とコネクタ取付け部2との間の隙間10の延伸方向に限らず、保護できる箇所に配置されている。このため、第1の壁部17を1つ設けることにより、テストプローブ14の電源関連部品11への接近を防ぐことができる。
【0052】
<第3実施形態>
図9は、第3実施形態に係る車載装置1を示す横断面図である。
図9に示されるように、第1の壁部17の先端部17a及び第2の壁部16の先端部16aは、テーパー形状に形成されている。なお、第1の壁部17は、筐体3の背面部3Bから正面方向Fへの先端部17aまでの長さを第1実施形態の構成に合わせてある。第2の壁部16は、筐体3の背面部3Bから正面方向Fへの先端部16aまでの長さを第1実施形態の構成に合わせてある。
【0053】
テストプローブ14の侵入角度が浅くなる場合には、第1の壁部17及び第2の壁部16のコネクタ6と対向する先端部17a、16aをテーパー形状に形成する。第1の壁部17及び第2の壁部16の先端部17a、16aのテーパー形状は、電源関連部品11側を正面方向Fに伸ばし、電源関連部品11側とは反対側を背面方向Bに短くしたテーパー角度を有する。これにより、テストプローブ14が第1の壁部17及び第2の壁部16の先端部17a、16aのテーパー角度によって滑って電源関連部品11側と反対側かつ背面方向Bに流れることにより、テストプローブ14の侵入をより防ぐ効果がある。
【0054】
<第4実施形態>
図10は、第4実施形態に係る車載装置1を示す横断面図である。
図10に示されるように、第1の壁部17及び第2の壁部16のうちの少なくとも一方の第1の壁部17は、コネクタ6とコネクタ取付け部2との隙間10を覆うように配置されている。第1の壁部17は、コネクタ4、5、6のうちコネクタ5とコネクタ6との間に配置されている。
【0055】
第1の壁部17として、背の高い部品、例えば電解コンデンサ等が隙間10の背面方向Bの延伸方向に配置されている。この場合にも、テストプローブ14の侵入を防ぐ効果がある。ここで、第1の壁部17としての電解コンデンサ等は、外側に向かないように、電子部品のGND端子又は端子が無い面を隙間10側に向けて配置する配慮が必要である。
【0056】
<効果>
(A)車載装置1は、車載用バッテリーの電圧及び電流が供給され、電圧及び電流を内部に分配する電源回路部及び電源回路部の周辺の電源関連部品11が実装された基板12を備える。車載装置1は、基板12上に搭載され、外部装置と基板12とを電気的に接続するコネクタ4、5、6を備える。車載装置1は、基板12を内部に収容するとともに、コネクタ4、5、6の取付位置を規定するコネクタ取付け部2を有する筐体3を備える。筐体3は、筐体3の内部であって基板12側に突出しコネクタ6の取付け方向に沿って延在する少なくとも1つの壁部17、16を有する(
図4参照)。
【0057】
コネクタ4、5、6とコネクタ取付け部2との間には、基板12、コネクタ4、5、6、筐体3及びコネクタ取付け部2の公差を吸収するための隙間10が形成される。これにより、車載装置1は、設備での組付けを容易に実施することができる。また、コネクタ4、5、6とコネクタ取付け部2との間に隙間10が形成されるように、コネクタ取付け部2の開口部7、8、9を形成することで、コネクタ4、5、6の選択の自由度を向上できる。
【0058】
コネクタ4、5、6とコネクタ取付け部2との間の隙間10は、外来固形物の侵入を許してしまう。そこで、上記実施形態では、上述したように、コネクタ4、5、6の取付け方向に沿って延在する壁部17、16が筐体3に設けられている。このため、壁部17、16によって、外来固形物が電源関連部品11に接近することが防止される。上記実施形態に係る車載装置1では、IP規格IP4Xが満たされており、電源関連部品11への外来固形物の接近が防止されることにより、外来固形物を介した人体の保護及び電源関連部品11の電気的保護が適切に行われている。また、外来固形物の侵入を防止するための壁部17、16は、筐体3内において、コネクタ6の取付け方向に沿って延在する簡素な構造であり、コネクタ6とコネクタ取付け部2との組付けには悪影響が及ばない。
【0059】
したがって、上記実施形態によれば、外来固形物の電源関連部品11への接近を防ぐことが可能であるとともに、組み付け性の良好な車載装置1を提供することができる。
【0060】
(B)少なくとも1つの壁部17、16は、コネクタ6の取付け方向から見て、コネクタ6と重なる位置に配置されている(
図4参照)。
【0061】
この構成では、コネクタ6の背面方向Bに設けられた電源関連部品11に対して、外来固形物の接近を防ぐことが可能である。
【0062】
(C)少なくとも1つの壁部17、16として、電源関連部品11を挟むよう対向して配置されている第1の壁部17及び第2の壁部16を備える(
図4参照)。
【0063】
この構成では、第1の壁部17及び第2の壁部16が電源関連部品11を挟むよう対向し、外来固形物の接近を防ぐことが可能である。
【0064】
(D)コネクタ4、5、6とコネクタ取付け部2との間には、筐体3の外部から外来固形物が侵入可能な隙間10が形成されている(
図2参照)。
【0065】
この構成では、コネクタ4、5、6とコネクタ取付け部2との間の隙間10は、外来固形物の侵入を許してしまう。しかし、少なくとも1つの壁部17、16が筐体3の内部であって基板12側に突出しコネクタ6の取付け方向に沿って延在する。このため、外来固形物が電源関連部品11に接近できない。そして、このような電源関連部品11への外来固形物の接近が防がれることは、外来固形物を介した人体の保護及び電源関連部品の電気的保護が確立され、IP規格IP4Xが満たされる。
【0066】
(E)第1の壁部17及び第2の壁部16のうちの少なくとも一方の第1の壁部17は、コネクタ5、6とコネクタ取付け部2との隙間10を覆うように配置されている(
図10参照)。
【0067】
この構成では、第1の壁部17は、コネクタ5、6とコネクタ取付け部2との隙間10を覆う。このため、外来固形物が電源関連部品11に接近できない。
【0068】
(F)車載装置1は、IEC規格60529に定義されたIP4Xを満たしている。
【0069】
この構成では、外来固形物の電源関連部品11への接近が防がれつつ、IP規格IP4Xが基準として遵守できる。
【0070】
(G)第1の壁部17は、コネクタ4、5、6のうちコネクタ6とコネクタ5との間に配置されている。コネクタ取付け部2は、筐体3の正面部3Fに設けられている。第1の壁部17は、コネクタ6とコネクタ取付け部2との隙間10から侵入する外来固形物の最大可動領域を規定する境界線と交差するように、正面部3Fと対向する筐体3の背面部3Bを起点として正面部3F側に延在している(
図6参照)。
【0071】
この構成では、IP規格IP4Xが基準として遵守されつつ、必要な長さだけの第1の壁部17が設けられる。これにより、筐体3の内部での基板12上の部品レイアウトの自由度が向上できる。
【0072】
(H)少なくとも1つの壁部17、16の高さは、基板12と接しない高さである(
図5参照)。
【0073】
この構成では、少なくとも1つの壁部17、16が基板12と接しないので、組付け時に基板12上の部品を傷つける悪影響が生じない。
【0074】
(I)第1の壁部17は、第2の壁部16よりも筐体3の中心寄りに配置されている(
図4参照)。
【0075】
この構成では、第1の壁部17は、コネクタ5と、コネクタ6側のコネクタ5の周囲に配置されたコネクタ取付け部2と、の隙間10から、最大可動状態になったテストプローブ14の先端部が第1の壁部17に突き当たる位置まで、筐体3の背面部3Bから筐体3の正面部3F側に延在している。したがって、外来固形物の電源関連部品11への接近が防がれつつ、IP規格IP4Xが基準として遵守できる。
【0076】
(J)少なくとも1つの壁部17、16は、筐体3と一体形成されている(
図3参照)。
【0077】
この構成では、少なくとも1つの壁部17、16を含む筐体3が製造し易い。これにより、筐体3の型抜きが容易になり、筐体3が一体成型によって形成できる。そして、部品点数や組み立て工程が削減できる。
【0078】
(K)少なくとも1つの壁部17、16は、筐体3とは別体の部材である。
【0079】
この構成では、少なくとも1つの壁部17、16と筐体3とが異なる製造工程で異なる材料を用いて製造できる。
【0080】
(L)筐体3は、コネクタ取付け部2が設けられる正面部3Fと、正面部3Fと対向する背面部3Bと、を有する。第1の壁部17は、コネクタ4、5、6の取付け方向から見て、コネクタ4、5、6のうちコネクタ6と重なる位置に配置されている。コネクタ5と、コネクタ6側のコネクタ5の周囲に配置されたコネクタ取付け部2と、の隙間10から、直径1mm、長さ100mmのテストプローブ14が押圧力1Nで押し込まれ、コネクタ5における正面部3F側の角部C1にテストプローブ14が接触し、かつ、コネクタ取付け部2における背面部3B側の角部C2にテストプローブ14が接触した状態を、テストプローブ14の電源関連部品11側への第1最大可動状態A1と定義する。第1の壁部17は、第1最大可動状態A1にて、テストプローブ14の先端部が第1の壁部17に突き当たる位置まで、背面部3Bから正面部3F側に延在している(
図6参照)。
【0081】
車載装置1は、設備での組付けを実施できるように、基板12、コネクタ4、5、6、筐体3及びコネクタ取付け部2の公差を吸収するために、コネクタ4、5、6とコネクタ取付け部2との間に所定の隙間10が形成される。また、コネクタ4、5、6とコネクタ取付け部2との間の隙間10は、コネクタ4、5、6の選択余裕度を持たせるように、コネクタ取付け部2のコネクタ間口形状を流用可能とする。
【0082】
このとき、コネクタ4、5、6とコネクタ取付け部2との間の隙間10は、外来固形物の侵入を許してしまう。ここで、この構成では、筐体3は、筐体3の内部に対向して配置され、電源関連部品11を挟む第1の壁部17及び第2の壁部16を有する。このため、外来固形物が電源関連部品11に接近できない。そして、このような電源関連部品11への外来固形物の接近が防がれることは、外来固形物を介した人体の保護及び電源関連部品の電気的保護が確立され、IP規格IP4Xが満たされる。
【0083】
したがって、外来固形物の電源関連部品11への接近が防がれつつ、IP規格IP4Xが基準として遵守できる。
【0084】
また、この構成では、IP規格IP4Xが基準として遵守されつつ、必要な長さだけの第1の壁部17が設けられる。これにより、筐体3の内部での基板12上の部品レイアウトの自由度が向上できる。
【0085】
(M)コネクタ4、5、6は、複数設けられている。複数のコネクタ4、5、6各々と、複数のコネクタ4、5、6各々の周囲に配置されたコネクタ取付け部2との間には、直径1mm、長さ100mmのテストプローブ14を押圧力1Nで押し込み可能な隙間10が形成されている(
図2参照)。
【0086】
この構成では、コネクタ4、5、6とコネクタ取付け部2との間の隙間10は、外来固形物の侵入を許してしまう。しかし、筐体3は、筐体3の内部に対向して配置され、電源関連部品11を挟む第1の壁部17及び第2の壁部16を有する。このため、外来固形物が電源関連部品11に接近できない。そして、このような電源関連部品11への外来固形物の接近が防がれることは、外来固形物を介した人体の保護及び電源関連部品の電気的保護が確立され、IP規格IP4Xが満たされる。
【0087】
(N)コネクタ6と、コネクタ6の下方向Dに配置されたコネクタ取付け部2との間には、直径1mm、長さ100mmのテストプローブ14を押圧力1Nで押し込み可能な隙間10が形成されている。コネクタ6は、基板12上に基板12に対して隙間なく搭載されている。コネクタ6と、コネクタ6の下方向Dに配置されたコネクタ取付け部2と、の隙間10から、テストプローブ14を押し込んだときに、テストプローブ14の先端部は、基板12におけるコネクタ取付け部2側の端部に突き当たる(
図7参照)。
【0088】
この構成では、外来固形物の電源関連部品11への接近が防がれつつ、IP規格IP4Xが基準として遵守できる。
【0089】
(O)コネクタ6と、コネクタ6の左右の周囲に配置されてコネクタ5とは反対側に設けられたコネクタ取付け部2と、の隙間10から、直径1mm、長さ100mmのテストプローブが押圧力1Nで押し込まれ、コネクタ6の周囲に配置されたコネクタ取付け部2における正面部3F側の角部C3にテストプローブ14が接触し、かつ、コネクタ6における背面部3B側の角部C4にテストプローブ14が接触した状態を、テストプローブ14の電源関連部品11側への第2最大可動状態A2と定義する。第2の壁部16は、第2最大可動状態A2にて、テストプローブ14の先端部が第2の壁部16に突き当たる位置まで、背面部3Bから正面部3F側に延在している(
図6参照)。
【0090】
この構成では、IP規格IP4Xが基準として遵守されつつ、必要な長さだけの第2の壁部16が設けられる。これにより、筐体3の内部での基板12上の部品レイアウトの自由度が向上できる。
【0091】
(P)第1の壁部17は、コネクタ4、5、6のうちコネクタ6の取付け方向から見て第1の壁部17と重なる位置に配置されているコネクタ6と、コネクタ6の隣のコネクタ5と、の間に設けられている。第1の壁部17は、コネクタ6と、コネクタ6の左右の周囲に配置されたコネクタ取付け部2と、の隙間10から、又は、コネクタ5と、コネクタ6側のコネクタ5の周囲に配置されたコネクタ取付け部2と、の隙間10から、IP規格IP4Xを使用し、IP4Xの規定として、直径1mmの長さ100mmテストプローブ14を押圧力1Nで押し込んだときに、テストプローブ14の先端部が第1の壁部17における筐体3の正面部3F側の領域に突き当たる位置に設けられている(
図10参照)。
【0092】
この構成では、IP規格IP4Xが基準として遵守されつつ、必要な部分だけの第1の壁部17が設けられる。これにより、筐体3の内部での基板12上の部品レイアウトの自由度が向上できる。
【0093】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例の一部を示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。
【符号の説明】
【0094】
1…車載装置、2…コネクタ取付け部、3…筐体、3B…背面部、3D…下面部、3F…正面部、3L…左面部、3R…右面部、3U…上面部、4…コネクタ、5…コネクタ、6…コネクタ、7…開口部、8…開口部、9…開口部、10…隙間、11…電源関連部品、12…基板、13…隙間、14…テストプローブ、15…壁部、16…第2の壁部、16a…先端部、17…第1の壁部、17a…先端部、18…侵入範囲、19…侵入範囲、20…電気部品、21…爪部、31…穴、32…溝。