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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-19
(45)【発行日】2025-02-28
(54)【発明の名称】空気圧式停止シャフトシール
(51)【国際特許分類】
   F04D 29/14 20060101AFI20250220BHJP
   F04D 29/08 20060101ALI20250220BHJP
   F16J 15/14 20060101ALI20250220BHJP
   F16J 15/10 20060101ALI20250220BHJP
【FI】
F04D29/14
F04D29/08 F
F04D29/08 C
F16J15/14 G
F16J15/10 P
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2023571795
(86)(22)【出願日】2023-05-03
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-28
(86)【国際出願番号】 IB2023054584
(87)【国際公開番号】W WO2023218290
(87)【国際公開日】2023-11-16
【審査請求日】2023-11-21
(31)【優先権主張番号】17/742,851
(32)【優先日】2022-05-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】523224589
【氏名又は名称】フローサーブ・プライベート リミテッド
【氏名又は名称原語表記】FLOWSERVE PTE.LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】110000028
【氏名又は名称】弁理士法人明成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヴォルフ・ヨハネス
(72)【発明者】
【氏名】ナドルスキ・ギュンター
(72)【発明者】
【氏名】シュタインマン・デトレフ・ウルリッヒ
(72)【発明者】
【氏名】シラー・ミハエル
(72)【発明者】
【氏名】ゲッツ・オリバー
(72)【発明者】
【氏名】クライナー・ジョナサン
(72)【発明者】
【氏名】フォーゲル・ベルトルト
【審査官】岩田 健一
(56)【参考文献】
【文献】特開平02-275093(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2021/0222701(US,A1)
【文献】特開平06-344984(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04D 29/14
F04D 29/08
F16J 15/14
F16J 15/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転可能シャフトが回転していない時に停止シールを越えるプロセス流体の漏れを防止するために、前記回転可能シャフトとのシールを形成するよう構成されている停止シールであって、
前記回転可能シャフトを取り囲む可撓性バンドであって、比較的薄い側方領域が長手方向に伸びている中央領域を有する可撓性バンドと、前記中央領域は長手方向断面が実質的に長方形であり、前記長手方向に垂直な短手方向に伸びる中心線に対して対称であり、
前記可撓性バンドを収容するよう構成されているハウジングと、
前記可撓性バンドの前記側方領域の下に下部を有する一対のカバープレートであって、前記側方領域が前記カバープレートを越えてはみ出ることを防止するよう構成されている前記カバープレートと、前記側方領域は、至る所が前記短手方向に前記カバープレートの前記下部よりも薄く、前記カバープレートの間にギャップが設けられ、それを通して、前記可撓性バンドの前記中央領域が伸ばされることが可能であり、
加圧制御流体のソースと前記可撓性バンドの裏面との間の流体連通を提供するよう構成されている制御流体インレットと、
コントローラと、
前記カバープレートに平行であり、前記カバープレートおよび前記カバープレートの前記ギャップから均一なオフセットで前記カバープレートの前記ギャップ全体にわたって伸びるシーリング表面であって、前記回転可能シャフトの表面、または、前記回転可能シャフトに対してシールされた中間構造の表面である、シーリング表面と、
を備え、
前記停止シールは、前記コントローラが前記加圧制御流体を前記制御流体インレットへ印加した時に、前記可撓性バンドの前記裏面を前記ギャップに向かって押すように構成され、これにより、前記可撓性バンドの前記中央領域は、前記ギャップを通して伸び、前記可撓性バンドの前記中央領域は、実質的に前記中央領域の全幅にわたる前記シーリング表面に実質的に均一な押付力を印加することによって前記シーリング表面と接触してシールを形成し
前記停止シールは、前記コントローラが前記加圧制御流体を前記制御流体インレットへ印加することを停止した時に、前記可撓性バンドの前記中央領域を前記シャフトまたは中間構造から引き離すよう構成されている、停止シール。
【請求項2】
請求項1に記載の停止シールであって、前記可撓性バンドは、前記コントローラが前記加圧制御流体を前記可撓性バンドへ印加することを停止した時に、前記中央領域を前記シーリング表面から引き離させるのに十分な弾性を有する、停止シール。
【請求項3】
請求項1に記載の停止シールであって、前記可撓性バンドの前記側方領域は、曲がった長手方向断面を有する部分を備え、それにより、前記中央領域が前記ギャップを通して伸ばされる時に前記側方領域の伸張を可能にする、停止シール。
【請求項4】
請求項1に記載の停止シールであって、前記停止シールは、前記回転可能シャフトが回転している時に前記回転可能シャフトとシールを形成するよう構成されている回転シャフトシールと一体化されている、停止シール。
【請求項5】
請求項4に記載の停止シールであって、前記停止シールは、前記回転シャフトシールの上流で前記シーリング表面とシールを形成するよう構成されている、停止シール。
【請求項6】
請求項4に記載の停止シールであって、前記停止シールは、前記回転シャフトシールの下流で前記シーリング表面とシールを形成するよう構成されている、停止シール。
【請求項7】
請求項1に記載の停止シールであって、前記制御流体は、ガスである、停止シール。
【請求項8】
請求項1に記載の停止シールであって、前記制御流体は、前記プロセス流体である、停止シール。
【請求項9】
請求項1に記載の停止シールであって、前記コントローラは、前記回転可能シャフトの回転を開始および停止し、前記可撓性バンドへの前記加圧制御流体の前記印加を制御するよう構成されている、停止シール。
【請求項10】
請求項1に記載の停止シールであって、さらに、前記中央領域が前記カバープレートの間の前記ギャップを通して伸ばされた時に、前記可撓性バンドの前記中央領域の側面を支持するよう構成されている一対の剛性環状支持リングを備える、停止シール。
【請求項11】
請求項10に記載の停止シールであって、前記環状支持リングは、前記可撓性バンドの前記中央領域に固定されている、停止シール。
【請求項12】
請求項10に記載の停止シールであって、前記環状支持リングは、前記ハウジングから伸びている、停止シール。
【請求項13】
請求項1に記載の停止シールであって、さらに、前記コントローラが前記加圧制御流体を前記可撓性バンドへ印加することを停止した時に、前記シーリング表面からの前記可撓性バンドの前記中央領域の前記引き離しを助けるよう構成されているバネを備える、停止シール。
【請求項14】
請求項1に記載の停止シールであって、前記停止シールは、前記シーリング表面に対して、半径方向内向きに前記可撓性バンドの前記中央領域を当接させるよう構成されている、停止シール。
【請求項15】
請求項1に記載の停止シールであって、前記停止シールは、前記シーリング表面に対して軸方向に、前記可撓性バンドの前記中央領域を当接させるよう構成されている、停止シール。
【請求項16】
請求項10に記載の停止シールであって、
前記停止シールは、前記シーリング表面に対して半径方向内向きに前記可撓性バンドの前記中央領域を当接させるよう構成され、
前記環状支持リングは、前記中央領域が前記シーリング表面に向かって半径方向内向きに伸ばされた時に、前記環状支持リングが半径方向に圧縮することを可能にするリングギャップを備える、停止シール。
【請求項17】
請求項16に記載の停止シールであって、前記停止シールは、さらに、前記支持リング内の前記ギャップに適用されている圧縮バネを備え、前記圧縮バネは、前記コントローラが前記加圧制御流体を前記可撓性バンドへ印加することを停止した時に、前記シーリング表面からの前記可撓性バンドの前記中央領域の前記引き離しを助けるよう構成されている、停止シール。
【請求項18】
請求項13に記載の停止シールであって、
前記停止シールは、前記シーリング表面に対して半径方向内向きに前記可撓性バンドの前記中央領域を当接させるよう構成され、
前記バネは、前記可撓性バンドの前記側方領域の下で互いに向かって軸方向に歯が伸びている中実環状部分を有する一対の離間した環状バンドを備え、前記歯の間には軸方向ギャップが設けられ、それを通して、前記可撓性バンドの前記中央領域が前記シーリング表面と接触するように伸ばされることが可能であり、前記歯は、前記可撓性バンドの前記中央領域が前記回転可能シャフトに向かって押された時に半径方向内向きに曲げられる、停止シール。
【請求項19】
請求項1に記載の停止シールであって、
前記停止シールは、前記シーリング表面に対して半径方向内向きに前記可撓性バンドの前記中央領域を当接させるよう構成され、
前記停止シールは、前記コントローラが前記加圧制御流体を前記可撓性バンドへ印加することを停止した時に、前記シーリング表面からの前記可撓性バンドの前記中央領域の前記引き離しを助けるよう構成されているバネを備え、
前記停止シールは、さらに、前記中央領域が前記カバープレートの間の前記ギャップを通して伸ばされた時に、前記可撓性バンドの前記中央領域の側面を支持するよう構成されている一対の剛性環状支持リングを備え、前記剛性環状支持リングは、前記バネから半径方向内向きに伸びている、停止シール。
【請求項20】
請求項1に記載の停止シールであって、
前記停止シールは、前記シーリング表面に対して軸方向に前記可撓性バンドの前記中央領域を当接させるよう構成され、
前記停止シールは、さらに、前記コントローラが前記加圧制御流体を前記可撓性バンドへ印加することを停止した時に、前記シーリング表面からの前記可撓性バンドの前記中央領域の前記引き離しを助けるよう構成されているバネを備え、
前記バネは、前記可撓性バンドの前記側方領域の下で互いに向かって半径方向内向きおよび半径方向外向きに歯が伸びている中実環状部分を有する一対の半径方向同心環状ディスクを備え、前記半径方向内向きおよび半径方向外向きの歯の間に半径方向ギャップが設けられ、それを通して、前記可撓性バンドの前記中央領域が前記シーリング表面と接触するように伸ばされることが可能であり、前記歯は、前記可撓性バンドの前記中央領域が前記回転可能シャフトに向かって押された時に軸方向に曲げられる、停止シール。
【発明の詳細な説明】
【関連出願】
【0001】
本願は、2022年5月12日出願の米国非仮出願第17/742,851号に基づく優先権を主張し、その非仮出願は、参照によりすべての目的のためにその全体が本明細書に組み込まれる。
【技術分野】
【0002】
本発明は、停止シールに関し、より具体的には、高い圧力差に対してシールするために適用可能な圧力駆動停止シールに関する。
【背景技術】
【0003】
回転シャフトによって貫かれているハウジングを通じたプロセス流体の漏れを制限するための多くの回転シャフトシールアプローチが知られている。一つの例は、回転面メカニカルシールであり、これは、高加圧ガスプロセス流体の場合でも、最小限のプロセス流体の漏れで非接触シールを提供する。いくつかの場合、シャフトが回転している時にシールからプロセス流体をはじくように機能する溝またはその他の形状が、回転面メカニカルシールの少なくとも1つの面上に備えられている。
【0004】
多くの場合、例えば、従業員にとっておよび環境にとって有毒または別の危険性があるガスをシールする際に、シャフトが回転していない時でも、シャフトとの密封シールを形成することが望ましい。多くの回転シャフトシールは、これらの「停止」条件下でシールを形成するためには非効率的である。その代わり、シャフトが回転している時にシャフトから引き離され、シャフトが回転していない時にシールを形成するようにシャフトに押し付けられる別個の停止シールが提供されうる。それにより、プロセス流体は、プロセス流体が回転シャフトシールに到達することを防ぐことによって、または、プロセス流体が回転シャフトシールを越えて漏れた場合に外部環境に到達することを防ぐことによって、停止条件下で環境に到達することを防止される。しばしば、コントローラが、シャフト回転の開始および停止の制御と、停止シャフトシールの開閉の制御との両方のために実装される。
【0005】
図1Aを参照すると、1つのアプローチは、シャフト102を取り囲み、支持構造106を介してシャフト102に対してシールされた放射構造104と軸方向に接触するように押されうる中実剛性シーリングアニュラス(sealing annulus)100を提供することである。図1Aの例において、シーリングアニュラス100は、シャフト102が回転していない時には放射構造104に向かって空気圧で駆動され、シャフトが回転している時にはバネ108によってシャフト102から引き離される。同様の例において、シーリングアニュラス100は、双方向空気圧ピストンによって、または、ソレノイドなどの機械的メカニズムによって、駆動される。典型的には、停止シャフトシールは、コントローラ(図示せず)によって作動および停止され、コントローラは、シャフトの回転開始および停止を制御するのと同じコントローラであってよいが、必ずしも同じである必要はない。
【0006】
このアプローチは、耐久性があり、高圧プロセス流体(高圧ガスなど)をシールできるが、本質的に複雑であり製造に費用がかかる。
【0007】
図1Bおよび図1Cを参照すると、別のアプローチは、ハウジング112によって制約され、膨張流インレット116を介して膨張源(図示せず)(例えば、加圧窒素ガス源)と流体連通する中空エラストマチューブ110でシャフト102を取り巻くことである。チューブ110の断面は、通常はハウジング112を越えてシャフト102まで伸びないように成形されている。しかしながら、チューブ110の内部114が膨張源によって加圧されると、チューブ110は、ハウジング112を越えて半径方向内向きに膨張して、ハウジング112およびシャフト102の両方とのシールを形成する。図1Bは、開いている時の停止シャフトシールを示し、図1Cは、閉じられた時のシールを示している。
【0008】
図1Bおよび図1Cのアプローチは、単純であり、製造が比較的容易である。しかしながら、チューブ110は、典型的には鋳造ではなく押し出し成形されるので、チューブ110に複雑な断面形状を提供するのは困難でありうる。
【0009】
図1Dおよび1Eを参照すると、同様のアプローチで、成形されたエラストマバンド118が、支持フォーム120上に留められ、ハウジング112内に設置されている。支持フォーム120は、膨張インレット116によって貫かれており、膨張インレット116は、バンド118の裏面に向けられている。図1Dを参照すると、膨張インレット116を介して圧力が印加されていない時、エラストマバンド118は、支持フォーム120にぴったりと付いたままであり、ハウジング112を越えていない。しかしながら、図1Eを参照すると、膨張インレット116を介して圧力が印加されると、流体のポケットが、バンド118と支持フォーム120との間に形成され、その結果、バンド118は、ハウジング112から半径方向内向きに伸ばされ、シャフト102に押し付けられて、シールを形成する。
【0010】
これらのアプローチは、一部の環境下では効果的でありうるが、高圧の流体(70バールまたは90バールまで加圧されたガスなど)に対してシールを形成しようとした時に機能しない傾向がある。図1Fを参照すると、シールが閉じられ、シールの上流のプロセス流体によって非常に高い圧力が印加され、シールの下流に対応する圧力がない場合、エラストマシール118は変形し、さらには、シャフト102とハウジング112との間のギャップ内に押し込まれ122、その結果、膨張インレット116を介して圧力が印加されなくなった時に、バンド118がシャフト102から完全には抜けないことがある。かかる場合に、図1Aに示したような剛性の機械的アプローチを用いる必要がありうる。
【0011】
したがって、設計が単純であり、製造コストが比較的低く、高圧のプロセス流体に確実に耐えるシールを形成できる停止シャフトシールが求められている。
【発明の概要】
【0012】
本発明は、設計が単純であり、製造コストが比較的低く、高圧のプロセス流体(70バール以上まで加圧されたプロセスガスなど)に確実に耐えるシールを形成できる流体圧駆動停止シャフトシールである。
【0013】
開示されているシールは、環状ハウジング内に設置され、回転可能シャフトを取り囲む可撓性バンドを備える。可撓性バンドは、両側に薄い側方領域が配置された厚い実質的に長方形の中央領域を備える。可撓性バンドの薄い側方領域は、厚い中央領域が、ハウジング内の環状開口部を通して伸ばされ、その後そこから引っ込められることができるように、中央領域に半径方向または軸方向の可撓性性を提供する。中央領域の厚さは、中央領域が、シャフトに押し付けられて、高い流体の圧力差にさらされた時に、変形されまたは押し出されることに抵抗することを可能にする。加圧制御流体が、停止シールを閉じるために、制御流体インレットを介して中央領域の裏側へ印加される。
【0014】
可撓性バンドの裏側に印加される加圧制御流体は、コントローラによって制御され、コントローラは、実施形態において、シャフトの回転も制御する。シャフトが回転している間、可撓性バンドの中央領域の裏側へ圧力が印加されず、その結果、中央領域は、環状ハウジングの中に部分的または完全にとどまり、シャフトと接触しない。シャフトが回転していない(すなわち、停止状態にある)時、流体圧力は、コントローラによって制御流体インレットを介して可撓性バンドの中央領域の裏側へ印加される。結果として、可撓性バンドの中央領域は、ハウジング内の環状開口部を通して押され、シャフトに向かって、または、シャフトに対してシールされている中間構造に向かって、押し付けられ、それとの停止シールを形成する。半径方向の実施形態において、中央領域の直径の変化は、中央領域がシャフトに向かって半径方向内向きに押される際に必要とされる円周の圧縮に中央領域が容易に対応できるように、可撓性バンドの全直径のわずかな割合にすぎない。
【0015】
いくつかの実施形態において、制御流体のソースは、プロセスから独立しており、例えば、加圧窒素ガス、加圧空気、または、加圧液体のソースでありうる。他の実施形態において、制御流体は、プロセス流体である。これらの実施形態の内のいくつかにおいて、可撓性バンドの裏側に印加されるプロセス流体の圧力を増大させるために、昇圧装置が利用される。
【0016】
様々な実施形態において、可撓性バンドは、印加された流体圧によってもはや変形されなくなった時に元々の形状へ確実に戻るのに十分な弾性を有する材料(エラストマなど)から形成されており、その結果、印加されている流体圧力がなくなると、中央領域は、エラストマの弾性により、シャフトから完全に引き離される。他の実施形態において、可撓性バンドは、可撓性で耐久性があるが、より低い弾性を有する材料(PTFEなど)から形成されており、その結果、可撓性バンドは、制御流体圧が停止された時に中央領域をシャフトから確実に引き離すことができない可能性がある。これらの実施形態の内のいくつかは、一対の環状の歯付きバネを備え、各バネは、ハウジング内の所定位置に固定された中実環状領域と、可撓性バンドの側方領域の少なくとも一部の下にある歯付き環状領域とを有する。歯付きバネは、シャフトから中央領域を完全に引き離すことを保証する追加の復帰力を提供する。
【0017】
実施形態は、さらに、停止シールが係合された時に、ハウジングとシャフトとの間のギャップに厚い領域が押し出される可能性を完全に排除する一対の剛性環状リングを厚い中央領域の両側に備える。環状リングは、可撓性バンドの中央領域に取り付けられてよく、または、ハウジングに固定され、シャフトとハウジングとの間のギャップ内に伸びていてもよい。
【0018】
本発明の停止シールは、少なくとも1つの回転シャフトシール(回転面メカニカルシール)と共に実装されることができる。停止シールは、回転シャフトシールの上流または下流に実装可能である。もしくは、複数の回転シャフトシールが備えられている場合、停止シールは、回転シャフトシールの間に実装されてもよい。いくつかの実施形態において、複数の開示されている停止シールが配備され、例えば、1つが回転シャフトシールの上流に配備され、1つが回転シャフトシールの下流に配備される。
【0019】
開示されている停止シールは、時に、半径方向内向きに作用するものとして本明細書に記載されているが、他の実施形態において、静止シールは軸方向であることが、当業者にとって明らかになる。例えば、実施形態において、可撓性バンドの中央領域は、中間支持構造によって回転シャフトに対して固定およびシールされている半径方向に伸びる面へ軸方向に押し付けられる。
【0020】
本発明は、回転可能シャフトが回転していない時に停止シールを越えるプロセス流体の漏れを防止するために、回転可能シャフトとのシールを形成するよう構成されている停止シールである。停止シールは、シャフトを取り囲む可撓性バンドであって、可撓性バンドは、比較的厚い中央領域を有し、そこから、比較的薄い側方領域が長手方向に伸びており、中央領域は、断面が実質的に長方形である、可撓性バンドと、可撓性バンドを収容するよう構成されているハウジングと、可撓性バンドの側方領域の下にある一対のカバープレートであって、カバープレートは、側方領域がカバープレートを越えてはみ出ることを防止するよう構成されており、カバープレートの間にギャップが設けられ、それを通して、可撓性バンドの中央領域が伸ばされることが可能である、一対のカバープレートと、加圧制御流体のソースと可撓性バンドの裏面との間の流体連通を提供するよう構成されている制御流体インレットと、コントローラと、を備える。
【0021】
停止シールは、コントローラが加圧制御流体を制御流体インレットへ印加した時に、ギャップを通して可撓性バンドの中央領域を伸ばすよう構成され、可撓性バンドの中央領域は、シャフトと、または、シャフトに対してシールされた中間構造と、接触してシールを形成する。停止シールは、さらに、コントローラが加圧制御流体を可撓性バンドへ印加することを停止した時に、可撓性バンドの中央領域をシャフトまたは中間構造から引き離すよう構成されている。
【0022】
実施形態において、停止シールは、シャフトに対してまたは中間構造に対して半径方向内向きに可撓性バンドの中央領域を当接させるよう構成されている。
【0023】
上記の実施形態のいずれかにおいて、停止シールは、中間構造に対して軸方向に、可撓性バンドの中央領域を当接させるよう構成されてもよい。
【0024】
上記の実施形態のいずれかは、さらに、中央領域がカバープレートの間のギャップを通して伸ばされた時に、可撓性バンドの中央領域の側面を支持するよう構成されている一対の剛性環状支持リングを備えてもよい。
【0025】
上記の実施形態のいずれかにおいて、停止シールは、シャフトまたは中間構造に対して半径方向内向きに可撓性バンドの中央領域を当接させるよう構成されてよく、環状支持リングは、中央領域がシャフトまたは中間構造に向かって半径方向内向きに伸ばされた時に、環状支持リングが半径方向に圧縮することを可能にするリングギャップを備えてよい。これらの実施形態の内のいくつかにおいて、環状支持リングは、可撓性バンドの中央領域に固定されている。そして、これらの実施形態のいずれかにおいて、環状支持リングは、ハウジングから伸びていてよい。
【0026】
上記の実施形態のいずれかにおいて、可撓性バンドは、コントローラが加圧制御流体を可撓性バンドへ印加することを停止した時に、中央領域をシャフトまたは中間構造から引き離させるのに十分な弾性を有する。
【0027】
上記の実施形態のいずれかは、さらに、コントローラが加圧制御流体を可撓性バンドへ印加することを停止した時に、シャフトまたは中間構造からの可撓性バンドの中央領域の引き離しを助けるよう構成されているバネを備えてもよい。
【0028】
これらの実施形態の内のいくつかにおいて、停止シールは、シャフトまたは中間構造に対して半径方向内向きに可撓性バンドの中央領域を当接させるよう構成されている。
【0029】
これらの実施形態の内のいくつかにおいて、バネは、可撓性バンドの側方領域の下で互いに向かって軸方向に歯が伸びている中実環状部分を有する一対の離間した環状バンドを備え、歯の間に軸方向ギャップが設けられ、それを通して、可撓性バンドの中央領域がシャフトまたは中間構造と接触するように伸ばされることが可能であり、歯は、可撓性バンドの中央領域がシャフトに向かって押された時に半径方向内向きに曲げられる。これらの実施形態の内のいくつかにおいて、停止シールは、さらに、バネから半径方向内向きに伸びている一対の剛性環状支持リングを備え、剛性環状支持リングは、中央領域がシャフトまたは中間構造に対して半径方向内向きに当てられた時に、可撓性バンドの中央領域の側面を支持するよう構成されている。
【0030】
これらの実施形態の内の他のものにおいて、停止シールは、中央領域がカバープレートの間のギャップを通して伸ばされた時に、可撓性バンドの中央領域の両側面を支持する一対の剛性環状支持リングを備え、支持リングは、支持リングの半径方向内向きの圧縮を可能にする円周方向のギャップを備え、バネは、支持リング内のギャップに適用されている圧縮バネである。
【0031】
コントローラが加圧制御流体を可撓性バンドへ印加することを停止した時に、シャフトまたは中間構造からの可撓性バンドの中央領域の引き離しを助けるよう構成されているバネを備えた他の実施形態において、停止シールは、中間構造に対して軸方向に可撓性バンドの中央領域を当接させるよう構成され、バネは、可撓性バンドの側方領域の下で互いに向かって半径方向内向きおよび半径方向外向きに歯が伸びている中実環状部分を有する一対の半径方向同心環状ディスクを備え、半径方向内向きおよび半径方向外向きの歯の間に半径方向ギャップが設けられ、それを通して、可撓性バンドの中央領域が中間構造と接触するように伸ばされることが可能であり、歯は、可撓性バンドの中央領域がシャフトに向かって押された時に軸方向に曲げられる。
【0032】
上記の実施形態のいずれかにおいて、可撓性バンドの側方領域は、曲がった長手方向断面を有する部分を備えてよく、それにより、中央領域がギャップを通して伸ばされる時に側方領域の伸張を可能にする。
【0033】
上記の実施形態のいずれかにおいて、停止シールは、シャフトが回転している時にシャフトとシールを形成するよう構成されている回転シャフトシールと一体化されていてよい。これらの実施形態の内のいくつかにおいて、停止シールは、回転シャフトシールの上流でシャフトまたは中間構造とシールを形成するよう構成されており、一方、これらの実施形態の内の他のものにおいて、停止シールは、回転シャフトシールの下流でシャフトまたは中間構造とシールを形成するよう構成されている。
【0034】
上記の実施形態のいずれかにおいて、制御流体は、ガスであってよく、または、制御流体は、プロセス流体であってもよい。
【0035】
上記の実施形態のいずれかにおいて、コントローラは、シャフトの回転を開始および停止し、可撓性バンドへの加圧制御流体の印加を制御するよう構成されていてよい。
【0036】
本明細書に記載の特徴および利点は、包括的ではなく、特に、図面、明細書、および、特許請求の範囲を考慮すれば、多くのさらなる特徴および利点が当業者にとって明らかになる。さらに、本明細書で用いられている用語は、主に読みやすさおよび指導的な目的で選択されたものであり、本発明の主題の範囲を限定しないことに注意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0037】
図1A】剛性のシーリング要素を中間構造に押し付ける従来技術の停止シールを示す断面図。
【0038】
図1B】シャフトまたは中間構造に押し付けるように中空チューブを膨張させることによってシールを形成する従来技術の停止シールの開構成を示す断面図。
【0039】
図1C図1Bの従来技術のシールの閉構成を示す断面図。
【0040】
図1D】支持フォーム上に留められた薄い成形エラストマバンドを備える従来技術の停止シールの開構成を示す断面図。
【0041】
図1E図1Dの従来技術のシールの閉構成を示す断面図。
【0042】
図1F】エラストマバンドが圧力差によってシャフトとシールハウジングとの間のギャップ内に押し出された状態の図1Eの従来技術のシールを示す断面図。
【0043】
図2A】完全に可撓性バンドの弾性により可撓性バンドの中央領域をシャフトから半径方向に引き離すことによってシールが開かれている本発明の一実施形態の開構成を示す軸方向断面図。
【0044】
図2B図2Aの実施形態の閉構成を示す軸方向断面図。
【0045】
図3A】可撓性なフィンガを備えたバネによってシャフトからの中央領域の半径方向の引き離しが支援される本発明の一実施形態の開構成を示す軸方向断面図。
【0046】
図3B図3Aの実施形態の閉構成を示す軸方向断面図。
【0047】
図3C図3Aのバネの内の1つを示す斜視図。
【0048】
図4】エラストマ圧縮チューブによってシャフトからの中央領域の半径方向の引き離しが支援される本発明の一実施形態の開構成を示す軸方向断面図。
【0049】
図5A図3Aに類似しているが、可撓性バンドの中央領域に取り付けられ、可撓性バンドの中央領域の側面を支持するよう構成されている一対の剛性支持リングをさらに備える一実施形態を示す軸方向断面図。
【0050】
図5B図5Aの支持リングの一方の閉構成を示す半径方向断面図。
【0051】
図5C図5Bの支持リングの閉構成を示す半径方向断面図。
【0052】
図5D図5Bに類似しているが、可撓性バンドの中央領域をさらに含む半径方向断面図。
【0053】
図5E図5Aに類似しているが、支持リングがバネと一体化されている一実施形態を示す軸方向断面図。
【0054】
図5F図2Aに類似しているが、圧縮バネを用いて、円周方向に広がる力をギャップ支持リングへ印加することによって停止シールを開くのを支援する一実施形態を示す軸方向断面図。
【0055】
図5G】円周方向に広がる力を支持リングのギャップへ印加することによって、停止シールを開くのを支援する圧縮バネを示す、図5Fの実施形態における支持リングの一方の半径方向断面図。
【0056】
図5H図5Aに類似しているが、剛性支持リングがカバープレートに固定されている一実施形態を示す軸方向断面図。
【0057】
図6】端面メカニカル回転シャフトシールの上流に図2Aの実施形態を組み込んだ一体化デュアルシールを示す軸方向断面図。
【0058】
図7A】可撓性バンドの中央領域中間構造に対して軸方向に押すことによってシールが閉じられている本発明の一実施形態を示す軸方向断面図。
【0059】
図7B図7Aの実施形態に含まれているバネを示す半径方向断面図。
【発明を実施するための形態】
【0060】
本発明は、設計が単純であり、製造コストが比較的低く、高圧のプロセス流体(70バール以上まで加圧されたプロセスガスなど)に確実に耐えるシールを形成できる流体圧駆動停止シャフトシールである。
【0061】
図2Aの断面図を参照すると、開示されている停止シールは、環状ハウジング112内に設置されて一対の環状カバープレート206によってカバーされている可撓性バンド200を備える。可撓性バンド200、ハウジング112、および、カバープレート206はすべて、回転可能シャフト102を取り囲んでいる。可撓性バンド200は、両側に薄い側方領域204が配置された厚い実質的に長方形の中央領域202を備える。図2Aの実施形態において、可撓性バンド200の薄い側方領域204は、厚い中央領域202が、カバープレート206の間の軸方向ギャップ208を通って半径方向内向きに伸びて、その後、そこから引っ込められることができるように、中央領域202に半径方向の可撓性性を提供する。中央領域202の厚さは、シャフト102に押し付けられた時に高い軸方向の圧力差に耐えることを可能にし、その結果、中央領域202は、停止シールが閉じられた時に変形されることも押し出されることもない。
【0062】
加圧制御流体(加圧窒素ガス、加圧液体、または、加圧プロセス流体など)が、停止シールを閉じるために、制御流体インレット116を介して中央領域202の裏側へ印加される。加圧制御流体は、コントローラ(図示せず)によって制御可能であり、コントローラは、実施形態において、シャフト102の回転も制御する。図2Aに示すように、シャフト102が回転している間、可撓性バンド200の中央領域の裏側へ圧力が印加されず、その結果、中央領域は、環状ハウジング112およびカバープレート206の中に部分的または完全にとどまり、シャフト102と接触しない。
【0063】
図2Bを参照すると、シャフト102が回転していない(すなわち、停止状態にある)時、加圧制御流体は、コントローラによって制御流体インレット116を介して可撓性バンド200の中央領域202の裏側へ印加される。結果として、図の実施形態において、加圧制御流体で満たされたギャップ210が、可撓性バンド200の中央領域202の裏側に形成され、可撓性バンド200の中央領域が、環状カバープレートの間の軸方向ギャップ208を通して半径方向内向きに押されてシャフト102に押し付けられることで、シャフト102との間に停止シールを形成するようにする。他の実施形態において、厚い中央領域202は、図7Aを参照して後に詳述するように、シャフト102にシールされた中間構造へ軸方向に押し付けられる。
【0064】
図2Aおよび図2Bの半径方向の実施形態において、配備された時の中央領域202の直径の変化は、中央領域202がシャフト102に向かって半径方向内向きに押される際に必要とされる円周の圧縮に中央領域202が容易に対応できるように、可撓性バンド200の全直径のわずかな割合にすぎない。
【0065】
図2Aおよび図2Bの実施形態において、可撓性バンド200は、印加された流体圧によってもはや変形されなくなった時に元々の形状へ確実に戻るのに十分な弾性を有するエラストマまたはその他の材料から形成されている。図3A図3Cの実施形態において、可撓性バンド200は、可撓性で耐久性があるが、より低い弾性を有し、単独では、制御流体圧が停止された時に中央領域202をシャフト102から確実に引き離すことができない可能性のある材料(PTFEなど)から形成されている。
【0066】
したがって、図3Aおよび図3Bの実施形態は、可撓性バンド200の側方領域204に追加の半径方向の復帰力を提供する一対の向かい合った環状の歯付きバネ300を備えることで、可撓性バンド200の背後の制御流体圧が停止された時に、シャフト102から中央領域202を完全に引き離すことを保証する。図の実施形態において、可撓性バンド200の側方部分204は、バネ300の軸方向の歯306の上に載りうるように、制御流体圧が印加されていない時に、実質的に軸方向にあるよう構成されている。可撓性バンドは、2つのO-リング302によってハウジング116内に固定されている。
【0067】
図3Aの実施形態における可撓性バンド200の側方領域204の曲がった形状は、図3Bに示すように、停止シールが閉じられる時に必要とされる追加の長さを提供する。図3Cは、図3Aおよび図3Bのバネ300の内の1つを示す側方からの斜視図である。バネ300は、中実環状部分304と、可撓性バンド200の中央領域202がシャフト102に向かって押された時に半径方向内向きに曲げられうる軸方向の歯306のリングと、を備えることがわかる。
【0068】
図4は、「バネ」400が、ハウジング112内で可撓性バンド200の側方部分204の下方においてシャフト102を取り巻くエラストマチューブであることを除いて、図3Aと類似している一実施形態を示す。中央領域202が配備されると、中空チューブ400は潰され、制御流体圧が解放されると、中空チューブ400の弾性が、中央領域202をハウジング112内の以前の位置へ戻るのを助ける。
【0069】
図5Aを参照すると、実施形態は、中央領域202をさらに支持して、停止シールが係合された時に厚い中央領域202が環状カバープレート206とシャフト102との間に押し出されうる122可能性を完全に排除するために、厚い中央領域202の両側に押し付けられる一対の剛性環状支持リング500をさらに含む。もちろん、2つのカバープレート206の間の空間は、これらの実施形態において、支持リング500の厚さおよび可撓性バンド200の中央領域202の厚さを収容するのに十分大きく作られている。
【0070】
図5B図5Dを参照すると、図の実施形態において、環状支持リング500は、ギャップ506を備えているため、シャフト102の周りで360度全体には伸びていない。ギャップ506は、支持リング500が可撓性バンド200の中央領域202と共に半径方向内向きに圧縮することを可能にする。図5Bでは、非圧縮状態の支持リング500の断面図が示されており、図5Bでは、圧縮状態の支持リング500が示されている。図5Dは、図5Bの支持リング500と可撓性バンド200の中央領域202との間の関係性を示している。
【0071】
図5Eを参照すると、同様の実施形態において、支持リング500は、制御流体が減圧された時に停止シールを再び開く助けとなるバネ300と一体化されている。
【0072】
図5Fおよび図5Gの実施形態において、制御流体が減圧された時に停止シールを開く助けとして、歯付きバネ300ではなく、圧縮バネ508が用いられている。図5Fは、図2Aと同様の断面図であり、図5Gは、バネ508の位置および動作を示す支持リング500のギャップ領域の拡大図である。可撓性バンド200の側方領域204へ「吊り上げ」力を印加する代わりに、図5Gの圧縮バネ508は、支持リング500へ円周方向に広がる力を印加することにより、シャフト102から可撓性バンド200の中央領域を引き戻す助けとなる。
【0073】
図5Hを参照すると、他の実施形態において、支持リング502は、カバープレート206に固定され、シャフト102とカバープレート206との間のギャップ504に伸びている。
【0074】
図6を参照すると、本発明の停止シールは、少なくとも1つの回転シャフトシールと共に実装されうる。図6の実施形態において、停止シールは、中間支持構造602によってシャフトに対してシールされている回転シール面600と、ハウジング610に対してシールされ、バネ606によって回転シール面600に向かって押されている静止シール面604と、を備えた端面メカニカルシールの上流に実装されている。図の実施形態において、可撓性バンド200の中央領域202は、シャフト102との直接的なシールを形成するのではなく、シャフト102が回転していない時に中間支持構造602に対するシールを形成するよう構成されている。図の実施形態は、停止シールと端面メカニカルシールとを単一ユニットに一体化させていることがわかる。
【0075】
いくつかの実施形態において、制御流体のソースは、プロセスから独立しており、例えば、加圧窒素ガスまたは加圧空気のソースもしくは加圧液体のソースでありうる。図6の実施形態において、制御流体は、プロセス流体である。図の実施形態において、プロセス流体が、シールの加圧側608から引き込まれ、可撓性バンド200の背面に印加される前にプロセス流体の圧力を高める昇圧装置610を通される。昇圧装置610へのプロセス流体の流量を制御するバルブ612が、複数の実施形態においてシャフト102の回転の停止および開始も制御するコントローラ614によって作動される。
【0076】
同様の実施形態において、停止シールは、回転シャフトシールの下流に実装される。もしくは、複数の回転シャフトシールが備えられている場合、停止シールは、回転シャフトシールの間に実装されてもよい。いくつかの実施形態において、複数の開示されている停止シールが配備され、例えば、1つが回転シャフトシールの上流に配備され、1つが回転シャフトシールの下流に配備される。
【0077】
開示されている静止シールは、時に、半径方向内向きに作用するものとして本明細書に記載されているが、他の実施形態において、静止シールは半径方向ではなく軸方向であることが、当業者にとって明らかになる。例えば、図7Aを参照すると、実施形態において、可撓性バンド200の中央領域202は、中間支持構造602によって回転シャフト102に対してシールされている半径方向に伸びる面700へ軸方向に押し付けられる。図の実施形態において、可撓性バンド200の側方領域204は、軸方向ではなく半径方向に伸びており、図7Bを参照すると、バネ300a、300bは、向かい合うのではなく同心であり、外側のバネ300aの歯は半径方向内向きに方向付けられ、内側のバネ300bの歯は半径方向外向きに方向付けられ、バネの間にギャップ800が提供され、そのギャップ800を通して、可撓性バンド200の中央領域202が配備されうる。
【0078】
本発明の実施形態に関するこれまでの記載は、図解および説明を目的としたものである。この提出物のあらゆるページ、および、そのすべての内容は、特徴付けられ、識別され、または、番号付けられても、本願の中での形態または配置に関わりなく、すべての目的に対して本願の実質的部分であると見なされる。本願は、包括的であることも、開示されている正確な形態に本発明を限定することも意図されていない。多くの変形例および変更例が、本開示に照らして可能である。
【0079】
本願は限られた数の形態で示されているが、本発明の範囲は、これらの形態だけに限定されず、様々な変更および変形が可能である。本明細書で提示されている開示は、本発明の範囲内にある特徴のすべての可能な組みあわせを明示的に開示していない。様々な実施形態について本明細書で開示されている特徴は、一般に、交換可能であり、本発明の範囲から逸脱することなく自己矛盾しない任意の組みあわせに組みあわせられることができる。特に、以下の請求項に提示されている限定は、従属請求項が互いに論理的に矛盾しない限り、本開示の範囲から逸脱することなく、任意の数および任意の順序でそれらに対応する従属請求項と組み合わせられることができる。
[適用例1]回転可能シャフトが回転していない時に停止シールを越えるプロセス流体の漏れを防止するために、前記回転可能シャフトとのシールを形成するよう構成されている停止シールであって、
前記シャフトを取り囲む可撓性バンドであって、比較的厚い中央領域を有し、そこから、比較的薄い側方領域が長手方向に伸びている可撓性バンドと、前記中央領域は長手方向断面が実質的に長方形であり、
前記可撓性バンドを収容するよう構成されているハウジングと、
前記可撓性バンドの前記側方領域の下にある一対のカバープレートであって、前記側方領域が前記カバープレートを越えてはみ出ることを防止するよう構成されているカバープレートと、前記カバープレートの間にギャップが設けられ、それを通して、前記可撓性バンドの前記中央領域が伸ばされることが可能であり、
加圧制御流体のソースと前記可撓性バンドの裏面との間の流体連通を提供するよう構成されている制御流体インレットと、
コントローラと、
を備え、
前記停止シールは、前記コントローラが前記加圧制御流体を前記制御流体インレットへ印加した時に、前記可撓性バンドの前記裏面を前記ギャップに向かって押すように構成され、これにより、前記可撓性バンドの前記中央領域は、前記ギャップを通して伸び、前記可撓性バンドの前記中央領域は、前記シャフトと、または、前記シャフトに対してシールされた中間構造と、接触してシールを形成し、
前記停止シールは、前記コントローラが前記加圧制御流体を前記制御流体インレットへ印加することを停止した時に、前記可撓性バンドの前記中央領域を前記シャフトまたは中間構造から引き離すよう構成されている、停止シール。
[適用例2]適用例1に記載の停止シールであって、前記可撓性バンドは、前記コントローラが前記加圧制御流体を前記可撓性バンドへ印加することを停止した時に、前記中央領域を前記シャフトまたは中間構造から引き離させるのに十分な弾性を有する、停止シール。
[適用例3]上記の適用例のいずれか一項に記載の停止シールであって、前記可撓性バンドの前記側方領域は、曲がった長手方向断面を有する部分を備え、それにより、前記中央領域が前記ギャップを通して伸ばされる時に前記側方領域の伸張を可能にする、停止シール。
[適用例4]上記の適用例のいずれか一項に記載の停止シールであって、前記停止シールは、前記シャフトが回転している時に前記シャフトとシールを形成するよう構成されている回転シャフトシールと一体化されている、停止シール。
[適用例5]適用例4に記載の停止シールであって、前記停止シールは、前記回転シャフトシールの上流で前記シャフトまたは中間構造とシールを形成するよう構成されている、停止シール。
[適用例6]適用例4に記載の停止シールであって、前記停止シールは、前記回転シャフトシールの下流で前記シャフトまたは中間構造とシールを形成するよう構成されている、停止シール。
[適用例7]上記の適用例のいずれか一項に記載の停止シールであって、前記制御流体は、ガスである、停止シール。
[適用例8]上記の適用例のいずれか一項に記載の停止シールであって、前記制御流体は、前記プロセス流体である、停止シール。
[適用例9]上記の適用例のいずれか一項に記載の停止シールであって、前記コントローラは、前記シャフトの回転を開始および停止し、前記可撓性バンドへの前記加圧制御流体の前記印加を制御するよう構成されている、停止シール。
[適用例10]上記の適用例のいずれか一項に記載の停止シールであって、さらに、前記中央領域が前記カバープレートの間の前記ギャップを通して伸ばされた時に、前記可撓性バンドの前記中央領域の側面を支持するよう構成されている一対の剛性環状支持リングを備える、停止シール。
[適用例11]適用例10に記載の停止シールであって、前記環状支持リングは、前記可撓性バンドの前記中央領域に固定されている、停止シール。
[適用例12]適用例10に記載の停止シールであって、前記環状支持リングは、前記ハウジングから伸びている、停止シール。
[適用例13]上記の適用例のいずれか一項に記載の停止シールであって、さらに、前記コントローラが前記加圧制御流体を前記可撓性バンドへ印加することを停止した時に、前記シャフトまたは中間構造からの前記可撓性バンドの前記中央領域の前記引き離しを助けるよう構成されているバネを備える、停止シール。
[適用例14]上記の適用例のいずれか一項に記載の停止シールであって、前記停止シールは、前記シャフトに対して、または、前記中間構造に対して、半径方向内向きに前記可撓性バンドの前記中央領域を当接させるよう構成されている、停止シール。
[適用例15]上記の適用例のいずれか一項に記載の停止シールであって、前記停止シールは、前記中間構造に対して軸方向に、前記可撓性バンドの前記中央領域を当接させるよう構成されている、停止シール。
[適用例16]適用例10または適用例11に記載の停止シールであって、
前記停止シールは、前記シャフトまたは前記中間構造に対して半径方向内向きに前記可撓性バンドの前記中央領域を当接させるよう構成され、
前記環状支持リングは、前記中央領域が前記シャフトまたは前記中間構造に向かって半径方向内向きに伸ばされた時に、前記環状支持リングが半径方向に圧縮することを可能にするリングギャップを備える、停止シール。
[適用例17]適用例16に記載の停止シールであって、前記停止シールは、さらに、前記支持リング内の前記ギャップに適用されている圧縮バネを備え、前記圧縮バネは、前記コントローラが前記加圧制御流体を前記可撓性バンドへ印加することを停止した時に、前記シャフトまたは中間構造からの前記可撓性バンドの前記中央領域の前記引き離しを助けるよう構成されている、停止シール。
[適用例18]適用例13に記載の停止シールであって、
前記停止シールは、前記シャフトまたは前記中間構造に対して半径方向内向きに前記可撓性バンドの前記中央領域を当接させるよう構成され、
前記バネは、前記可撓性バンドの前記側方領域の下で互いに向かって軸方向に歯が伸びている中実環状部分を有する一対の離間した環状バンドを備え、前記歯の間には軸方向ギャップが設けられ、それを通して、前記可撓性バンドの前記中央領域が前記シャフトまたは前記中間構造と接触するように伸ばされることが可能であり、前記歯は、前記可撓性バンドの前記中央領域が前記シャフトに向かって押された時に半径方向内向きに曲げられる、停止シール。
[適用例19]適用例1から9のいずれか一項に記載の停止シールであって、
前記停止シールは、前記シャフトまたは前記中間構造に対して半径方向内向きに前記可撓性バンドの前記中央領域を当接させるよう構成され、
前記停止シールは、前記コントローラが前記加圧制御流体を前記可撓性バンドへ印加することを停止した時に、前記シャフトまたは中間構造からの前記可撓性バンドの前記中央領域の前記引き離しを助けるよう構成されているバネを備え、
前記停止シールは、さらに、前記中央領域が前記カバープレートの間の前記ギャップを通して伸ばされた時に、前記可撓性バンドの前記中央領域の側面を支持するよう構成されている一対の剛性環状支持リングを備え、前記剛性環状支持リングは、前記バネから半径方向内向きに伸びている、停止シール。
[適用例20]適用例1から9のいずれか一項に記載の停止シールであって、
前記停止シールは、前記中間構造に対して軸方向に前記可撓性バンドの前記中央領域を当接させるよう構成され、
前記停止シールは、さらに、前記コントローラが前記加圧制御流体を前記可撓性バンドへ印加することを停止した時に、前記シャフトまたは中間構造からの前記可撓性バンドの前記中央領域の前記引き離しを助けるよう構成されているバネを備え、
前記バネは、前記可撓性バンドの前記側方領域の下で互いに向かって半径方向内向きおよび半径方向外向きに歯が伸びている中実環状部分を有する一対の半径方向同心環状ディスクを備え、前記半径方向内向きおよび半径方向外向きの歯の間に半径方向ギャップが設けられ、それを通して、前記可撓性バンドの前記中央領域が前記中間構造と接触するように伸ばされることが可能であり、前記歯は、前記可撓性バンドの前記中央領域が前記シャフトに向かって押された時に軸方向に曲げられる、停止シール。
図1A
図1B
図1C
図1D
図1E
図1F
図2A
図2B
図3A
図3B
図3C
図4
図5A
図5B
図5C
図5D
図5E
図5F
図5G
図5H
図6
図7A
図7B