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特許7637863見守りシステム、情報処理装置、プログラム及び見守り方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-20
(45)【発行日】2025-03-03
(54)【発明の名称】見守りシステム、情報処理装置、プログラム及び見守り方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/11 20060101AFI20250221BHJP
   A61B 5/113 20060101ALI20250221BHJP
   A61B 5/00 20060101ALI20250221BHJP
【FI】
A61B5/11 110
A61B5/113
A61B5/00 102A
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2024546011
(86)(22)【出願日】2024-01-16
(86)【国際出願番号】 JP2024000983
【審査請求日】2024-08-01
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109612
【弁理士】
【氏名又は名称】倉谷 泰孝
(74)【代理人】
【識別番号】100116643
【弁理士】
【氏名又は名称】伊達 研郎
(74)【代理人】
【識別番号】100184022
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 美保
(72)【発明者】
【氏名】小林 暁
(72)【発明者】
【氏名】北村 尭之
(72)【発明者】
【氏名】花岡 美咲
(72)【発明者】
【氏名】吉岐 航
【審査官】冨永 昌彦
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2022/196469(WO,A1)
【文献】特開2023-015580(JP,A)
【文献】特開2013-116216(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/06 - 5/22
A61B 5/00 - 5/01
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被測定箇所の少なくとも一部が隠れた見守り対象者の情報を取得する光センサと、
前記光センサが取得した前記見守り対象者の情報に基づいて前記見守り対象者の頭部の位置を推定する頭部位置推定部と、
前記頭部位置推定部が推定した前記頭部の位置の情報、予め設定された前記頭部と前記見守り対象者の被測定箇所との距離を示す第一距離の情報、及び、前記見守り対象者と前記光センサとの距離を示す第二距離の情報を用いて、前記被測定箇所の位置を推定する被測定箇所推定部と、
前記被測定箇所推定部が推定した前記被測定箇所における前記見守り対象者の生体情報を取得する生体情報取得部と、
を備え
前記被測定箇所推定部は、前記第二距離の情報を用いて前記第一距離の情報を補正し、補正した前記第一距離の情報を用いて前記被測定箇所の位置を推定する、
見守りシステム。
【請求項2】
前記被測定箇所推定部が推定した前記被測定箇所における変位を検出するミリ波センサをさらに備え、
前記被測定箇所推定部は、前記頭部位置推定部が推定した前記頭部の位置から補正した前記第一距離離れた位置を照射位置として設定し、前記ミリ波センサが前記照射位置にミリ波を照射して、前記照射位置において変位が検出された場合に、前記照射位置を前記被測定箇所と推定する、
請求項1に記載の見守りシステム。
【請求項3】
前記見守り対象者の情報は、前記見守り対象者の形状の情報であり、
前記被測定箇所推定部は、前記光センサが取得した前記見守り対象者の形状の情報を用いて前記頭部に対する前記被測定箇所の方向を推定し、推定した前記被測定箇所の方向の情報を用いて前記被測定箇所の位置を推定する、
請求項に記載の見守りシステム。
【請求項4】
前記見守り対象者の部屋に配置された家具の形状の情報、及び、前記家具の形状の情報に紐づいた前記家具の位置の情報を記憶する記憶部と、
をさらに備え、
前記光センサは、前記家具の形状の情報を取得可能であり、
前記被測定箇所推定部は、前記見守り対象者が前記家具の近傍に存在する場合、前記光センサが取得した前記家具の形状の情報と、前記記憶部に記憶された前記家具の形状の情報とを照合し、前記家具の形状の情報に紐づいた前記家具の位置の情報を前記記憶部から取得して、取得した前記家具の位置の情報を用いて前記第一距離の情報を補正し、補正した前記第一距離の情報を用いて前記被測定箇所の位置を推定する、
請求項に記載の見守りシステム。
【請求項5】
前記見守り対象者の部屋に配置されたベッドの形状の情報、及び、前記ベッドの形状の情報に紐づいた前記見守り対象者の前記頭部に対する前記被測定箇所の方向の情報を記憶する記憶部と、
をさらに備え、
前記光センサは、前記ベッドの形状の情報を取得可能であり、
前記被測定箇所推定部は、前記見守り対象者が前記ベッドの上に存在する場合、前記光センサが取得した前記ベッドの形状の情報と、前記記憶部に記憶された前記ベッドの形状の情報とを照合し、前記ベッドの形状の情報に紐づいた前記被測定箇所の方向の情報を前記記憶部から取得して、取得した前記被測定箇所の方向の情報を用いて前記被測定箇所の位置を推定する、
請求項に記載の見守りシステム。
【請求項6】
前記光センサは、赤外線を検出する赤外線センサであり、
前記見守り対象者の情報は、前記見守り対象者が放射する熱エネルギーの情報を含み、
前記頭部位置推定部は、前記熱エネルギーの情報に基づいて前記見守り対象者の前記頭部の位置を推定する、
請求項に記載の見守りシステム
【請求項7】
前記赤外線センサが感度を有する赤外線を照射する赤外線照射装置をさらに備え、
前記赤外線センサは、前記赤外線照射装置から照射され前記頭部で反射された赤外線を検出し、検出した赤外線に基づいて前記第二距離を取得し、
前記被測定箇所推定部は、前記第二距離の情報を用いて前記第一距離の情報を補正し、補正した前記第一距離の情報を用いて前記被測定箇所の位置を推定する、
請求項に記載の見守りシステム。
【請求項8】
前記生体情報取得部が取得した前記見守り対象者の生体情報が正常か異常かを判定する判定部と、
前記判定部により異常と判定された場合に、前記赤外線センサを、前記熱エネルギーの情報を高精度に取得可能な高精度駆動方式に変更する光センサ制御部と、
前記赤外線センサが取得した前記熱エネルギーの情報に基づいて前記頭部の温度を取得する頭部温度取得部と、
をさらに備えた、
請求項に記載の見守りシステム。
【請求項9】
前記赤外線センサが感度を有する赤外線を照射する赤外線照射装置と、
前記生体情報取得部が取得した前記見守り対象者の生体情報が正常か異常かを判定する判定部と、
前記判定部により異常と判定された場合に、前記赤外線照射装置を起動させる赤外線照射装置制御部と、
前記赤外線照射装置から照射され前記頭部で反射された赤外線を前記赤外線センサが検出することで前記頭部の放射率を算出し、算出した放射率に基づいて、前記熱エネルギーの情報を補正して前記頭部の温度を取得する頭部温度取得部と、
をさらに備えた、
請求項に記載の見守りシステム。
【請求項10】
前記赤外線センサの基準光を発生する参照温度装置と、
前記生体情報取得部が取得した前記見守り対象者の生体情報が正常か異常かを判定する判定部と、
前記判定部により異常と判定された場合に、前記参照温度装置を起動させる参照温度装置制御部と、
前記見守り対象者が放射する赤外線、及び、前記参照温度装置が発生する前記基準光を前記赤外線センサが検出することで取得された前記熱エネルギーの情報に基づいて、前記頭部の温度を取得する頭部温度取得部と、
をさらに備えた、
請求項に記載の見守りシステム。
【請求項11】
光センサが取得した被測定箇所の少なくとも一部が隠れた見守り対象者の情報に基づいて前記見守り対象者の頭部の位置を推定する頭部位置推定部と、
前記頭部位置推定部が推定した前記頭部の位置の情報、予め設定された前記頭部と前記見守り対象者の被測定箇所との距離を示す第一距離の情報、及び、前記見守り対象者と前記光センサとの距離を示す第二距離の情報を用いて、前記被測定箇所の位置を推定する被測定箇所推定部と、
前記被測定箇所推定部が推定した前記被測定箇所における前記見守り対象者の生体情報を取得する生体情報取得部と、
を備え
前記被測定箇所推定部は、前記第二距離の情報を用いて前記第一距離の情報を補正し、補正した前記第一距離の情報を用いて前記被測定箇所の位置を推定する、
情報処理装置。
【請求項12】
コンピュータに、
光センサが取得した被測定箇所の少なくとも一部が隠れた見守り対象者の情報に基づいて前記見守り対象者の頭部の位置を推定する頭部位置推定機能と、
前記頭部位置推定機能が推定した前記頭部の位置の情報、予め設定された前記頭部と前記見守り対象者の被測定箇所との距離を示す第一距離の情報、及び、前記見守り対象者と前記光センサとの距離を示す第二距離の情報を用いて、前記被測定箇所の位置を推定する被測定箇所推定機能と、
前記被測定箇所推定機能が推定した前記被測定箇所における前記見守り対象者の生体情報を取得する生体情報取得機能と、
を実現させるためのプログラムであって、
前記被測定箇所推定機能は、前記第二距離の情報を用いて前記第一距離の情報を補正し、補正した前記第一距離の情報を用いて前記被測定箇所の位置を推定する、
プログラム
【請求項13】
光センサが取得した被測定箇所の少なくとも一部が隠れた見守り対象者の情報に基づいて前記見守り対象者の頭部の位置を推定する頭部位置推定ステップと、
前記頭部位置推定ステップで推定された前記頭部の位置の情報、予め設定された前記頭部と前記見守り対象者の被測定箇所との距離を示す第一距離の情報、及び、前記見守り対象者と前記光センサとの距離を示す第二距離の情報を用いて、前記被測定箇所の位置を推定する被測定箇所推定ステップと、
前記被測定箇所推定ステップで推定された前記被測定箇所における前記見守り対象者の生体情報を取得する生体情報取得ステップと、
を備え
前記被測定箇所推定ステップは、前記第二距離の情報を用いて前記第一距離の情報を補正し、補正した前記第一距離の情報を用いて前記被測定箇所の位置を推定する、
見守り方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、見守りシステム、情報処理装置、プログラム及び見守り方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、介護・高齢者施設、病院、独居高齢者等の見守り対象者が機器を身に着けることなく、見守り対象者の生体情報を取得可能な見守りシステムが開発されている。例えば、特許文献1には、心臓又は血管の拍動により生体表面が変位する変位部位を赤外線センサによって特定し、特定された変位部位における心臓又は血管の拍動をミリ波センサによって検出する手法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】WO2022/196469号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の赤外線センサは、赤外線を用いて変位部位を非接触で特定する。しかし、赤外線は、衣服や布団等に吸収され易いため、衣服や布団等で隠れた生体表面の変位を捉えることができないというデメリットがある。したがって、特許文献1の手法では、見守り対象者が布団をかけている状態等、対象者の状態によっては変位部位を特定することができず、高精度に生体情報を取得することができないという問題がある。
【0005】
本開示は、上記のような問題点を解決するためになされたもので、見守り対象者の状態によらず、高精度に生体情報を取得することができる見守りシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る見守りシステムは、被測定箇所の少なくとも一部が隠れた見守り対象者の情報を取得する光センサと、光センサが取得した見守り対象者の情報に基づいて見守り対象者の頭部の位置を推定する頭部位置推定部と、頭部位置推定部が推定した頭部の位置の情報、予め設定された頭部と見守り対象者の被測定箇所との距離を示す第一距離の情報、及び、見守り対象者と光センサとの距離を示す第二距離の情報を用いて、見守り対象者の被測定箇所の位置を推定する被測定箇所推定部と、被測定箇所推定部が推定した被測定箇所における見守り対象者の生体情報を取得する生体情報取得部と、を備え、被測定箇所推定部は、第二距離の情報を用いて第一距離の情報を補正し、補正した第一距離の情報を用いて被測定箇所の位置を推定する。
【0007】
本開示に係る情報処理装置は、光センサが取得した被測定箇所の少なくとも一部が隠れた見守り対象者の情報に基づいて見守り対象者の頭部の位置を推定する頭部位置推定部と、頭部位置推定部が推定した頭部の位置の情報、予め設定された頭部と見守り対象者の被測定箇所との距離を示す第一距離の情報、及び、見守り対象者と光センサとの距離を示す第二距離の情報を用いて、被測定箇所の位置を推定する被測定箇所推定部と、被測定箇所推定部が推定した被測定箇所における見守り対象者の生体情報を取得する生体情報取得部と、を備え、被測定箇所推定部は、第二距離の情報を用いて第一距離の情報を補正し、補正した第一距離の情報を用いて被測定箇所の位置を推定する。
【0008】
本開示に係るプログラムは、コンピュータに、光センサが取得した被測定箇所の少なくとも一部が隠れた見守り対象者の情報に基づいて見守り対象者の頭部の位置を推定する頭部位置推定機能と、頭部位置推定機能が推定した頭部の位置の情報、予め設定された頭部と見守り対象者の被測定箇所との距離を示す第一距離の情報、及び、見守り対象者と光センサとの距離を示す第二距離の情報を用いて、被測定箇所の位置を推定する被測定箇所推定機能と、被測定箇所推定機能が推定した被測定箇所における見守り対象者の生体情報を取得する生体情報取得機能と、を実現させるためのプログラムであって、被測定箇所推定機能は、第二距離の情報を用いて第一距離の情報を補正し、補正した第一距離の情報を用いて被測定箇所の位置を推定するプログラムである。
【0009】
本開示に係る見守り方法は、光センサが取得した被測定箇所の少なくとも一部が隠れた見守り対象者の情報に基づいて見守り対象者の頭部の位置を推定する頭部位置推定ステップと、頭部位置推定ステップで推定された頭部の位置の情報、予め設定された頭部と見守り対象者の被測定箇所との距離を示す第一距離の情報、及び、見守り対象者と光センサとの距離を示す第二距離の情報を用いて、被測定箇所の位置を推定する被測定箇所推定ステップと、被測定箇所推定ステップで推定された被測定箇所における見守り対象者の生体情報を取得する生体情報取得ステップと、を備え、被測定箇所推定ステップは、第二距離の情報を用いて第一距離の情報を補正し、補正した第一距離の情報を用いて被測定箇所の位置を推定する。


【発明の効果】
【0010】
本開示に係る見守りシステム、情報処理装置、プログラム及び見守り方法によれば、見守り対象者の状態によらず、高精度に生体情報を取得することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本開示の実施の形態1に係る見守りシステムの構成例を示す概要図である。
図2】本開示の実施の形態1に係る見守りシステムを示すシステムブロック図である。
図3】第一距離を示す概要図である。
図4】本開示の実施の形態1に係る見守りシステムが備える情報処理装置のハードウェア構成を示すハードウェア構成図である。
図5】本開示の実施の形態1に係る見守りシステムによる見守り方法の手順を示すフローチャートである。
図6】本開示の実施の形態1に係る見守りシステムによる被測定箇所推定ステップの処理手順を示すフローチャートである。
図7】本開示の実施の形態1に係る見守りシステムによるミリ波の照射位置を示す概要図である。
図8】本開示の実施の形態1の変形例1に係る見守りシステムを示すシステムブロック図である。
図9】本開示の実施の形態1の変形例1に係る見守りシステムによる被測定箇所推定ステップの処理手順を示すフローチャートである。
図10】本開示の実施の形態1の変形例2に係る見守りシステムを示すシステムブロック図である。
図11】本開示の実施の形態1の変形例2に係る見守りシステムによる被測定箇所推定ステップの処理手順を示すフローチャートである。
図12】本開示の実施の形態1の変形例3に係る見守りシステムを示すシステムブロック図である。
図13】本開示の実施の形態1の変形例3に係る見守りシステムによる被測定箇所推定ステップの処理手順を示すフローチャートである。
図14】本開示の実施の形態1の変形例4に係る見守りシステムを示すシステムブロック図である。
図15】本開示の実施の形態1の変形例4に係る見守りシステムによる被測定箇所推定ステップの処理手順を示すフローチャートである。
図16】2つの被測定箇所の方向の情報を用いて被測定箇所の位置を推定する場合のミリ波の照射位置を示す概要図である。
図17】本開示の実施の形態2に係る見守りシステムを示すシステムブロック図である。
図18】本開示の実施の形態2に係る見守りシステムによる見守り方法の手順を示すフローチャートである。
図19】本開示の実施の形態2の変形例1に係る見守りシステムを示すシステムブロック図である。
図20】本開示の実施の形態3に係る見守りシステムを示すシステムブロック図である。
図21】本開示の実施の形態3に係る見守りシステムによる見守り方法の手順を示すフローチャートである。
図22】本開示の実施の形態3の変形例1に係る見守りシステムを示すシステムブロック図である。
図23】本開示の実施の形態3の変形例2に係る見守りシステムを示すシステムブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下では、本開示に係る見守りシステム、情報処理装置、プログラム及び見守り方法の一例として、図面を用いて説明する。図面において、同一又は相当する部分には同一の参照番号を付し、その説明は繰り返さず省略する。
【0013】
実施の形態1.
本開示の実施の形態1は、見守り対象者の頭部の位置を推定し、推定した頭部の位置の情報に基づいて被測定箇所の位置を推定する見守りシステム101に関するものである。また、本開示の実施の形態1は、見守りシステム101に係る処理を実行する情報処理装置201と、見守りシステム101に係る処理をコンピュータに実行させるプログラム301と、見守りシステム101を用いた見守り方法とに関するものである。
【0014】
<実施の形態1の構成>
本開示の実施の形態1に係る見守りシステム101の構成について、図1図2、及び図3を用いて説明する。図1は、見守りシステム101の構成例を示す概要図であり、図2は、見守りシステム101のシステムブロック図である。図3は、第一距離lを示す概要図である。
【0015】
図1に示すように、見守りシステム101は、光センサ10と、情報処理装置201と、ミリ波センサ40と、を備える。見守りシステム101は、光センサ10及びミリ波センサ40を用いて、見守り対象者1の状態によらず見守り対象者1の被測定箇所2の位置を推定し、見守り対象者1の生体情報を高精度に取得するシステムである。ここで、被測定箇所2とは、呼吸や心拍等により生体表面が変位する箇所である。図1では、胸部を被測定箇所2として設定した例を示している。被測定箇所2は胸部に限定されず、例えば、頸部、側頭部、胸部、背部等の呼吸や心拍等により生体表面が変位する箇所であれば良い。以下、説明を簡単にするために、胸部を被測定箇所2として設定した例を説明する。
【0016】
図1(a)に示すように、見守りシステム101のうち、少なくとも光センサ10及びミリ波センサ40は、見守り対象者1の部屋Rの中に設置される。なお、図1(b)に示すように、見守り対象者1の部屋Rの中には、光センサ10及びミリ波センサ40に加えて、情報処理装置201が設置されていても良い。
【0017】
光センサ10及びミリ波センサ40と情報処理装置201とは、各種情報の送受信を行う。光センサ10及びミリ波センサ40と情報処理装置201との通信は、信号線によって行われても、WiFi等の無線通信によって行われてもよい。
【0018】
光センサ10及びミリ波センサ40は、対象物の位置の情報を取得可能であり、光センサ10及びミリ波センサ40の各々によって取得される対象物の位置の情報にずれが生じないように、光センサ10及びミリ波センサ40は位置合わせのためのキャリブレーションが前もって行われている。具体的には、光センサ10及びミリ波センサ40の各々の座標系の変換式が後述の記憶部30に予め保存されており、変換式を用いて光センサ10の座標からミリ波センサ40の座標に変換し、光センサ10で取得した情報とミリ波センサ40で利用する情報との位置合わせを行う。
【0019】
光センサ10は、見守り対象者1の頭部3の位置を推定するために、見守り対象者1の情報を取得するセンサである。光センサ10は、例えば、可視カメラ、赤外線カメラ、ステレオカメラ、LiDAR(Light Detection And Ranging)等であり、可視光又は赤外線を用いて、見守り対象者1の情報を取得する。光センサ10により取得される見守り対象者1の情報は、例えば、見守り対象者1の形状の情報、骨格の情報、動作の情報等である。本実施の形態1では、光センサ10が、見守り対象者1の情報として、見守り対象者1の形状の情報を取得する場合について説明する。見守り対象者1の形状の情報とは、頭部3又は胴体部4の輪郭の情報、顔の特徴量の情報等である。なお、見守り対象者1の形状の情報には、少なくとも見守り対象者1の頭部3の形状の情報が含まれているものとする。すなわち、光センサ10は、見守り対象者1の頭部3の輪郭の形状、又は、顔の特徴量の情報を含む、見守り対象者1の形状の情報を取得する。
【0020】
ミリ波センサ40は、見守り対象者1の生体情報を取得するために、見守り対象者1の被測定箇所2における変位を検出するセンサである。生体表面は、呼吸や心拍等により数十ミクロンから数ミリ程度の微小な変位が見られる。ミリ波センサ40は、呼吸又は心拍等による生体表面の微小な変位を検出することで、呼吸数、脈拍数、血圧等の生体情報を取得する。
【0021】
ミリ波センサ40は、ミリ波を用いて、見守り対象者1の被測定箇所2における生体表面の変位を検出する。詳細には、見守り対象者1の被測定箇所2にミリ波を照射し、被測定箇所2からの反射波を受信することで、見守り対象者1の被測定箇所2における生体表面の変位を検出する。ミリ波は、衣服や布団等を透過するため、ミリ波センサ40は衣服や布団等で隠れた生体表面の変位を捉えることができる。
【0022】
また、ミリ波センサ40は、後述するミリ波センサ制御部24からの制御により、被測定箇所2に照準を合わせて、ミリ波を照射する。なお、ミリ波センサ40により変位を高精度に取得するため、ミリ波センサ40の駆動方式、又は、ミリ波センサ40の信号処理方法を調整してS/N比を向上しても良い。S/N比を向上する方法としては、例えば、被測定箇所2に対してビームフォーミングを行うミリ波センサ40の駆動方式、送信ビームスキャンを被測定箇所2に集中させるミリ波センサ40の駆動方式、ミリ波センサ40の信号処理方法であるコヒーレント積分、及び、これらの組み合わせが挙げられる。
【0023】
情報処理装置201は、光センサ10から得られた情報に基づいて見守り対象者1の被測定箇所2の位置を推定するための処理、及び、ミリ波センサ40から得られた情報に基づいて見守り対象者1の生体情報を取得するための処理を行うコンピュータである。図2に示すように、情報処理装置201は、処理部20と、記憶部30と、を備える。
【0024】
図2に示すように、処理部20は、光センサ制御部21、頭部位置推定部22、被測定箇所推定部23、ミリ波センサ制御部24、及び、生体情報取得部25を備える。光センサ制御部21は、見守り対象者1の形状の情報を取得するように光センサ10を制御する。頭部位置推定部22は、光センサ10が取得した見守り対象者1の形状の情報に基づいて見守り対象者1の頭部3の位置を推定する。被測定箇所推定部23は、頭部位置推定部22が推定した頭部3の位置の情報、及び、予め設定された第一距離lの情報を用いて、被測定箇所2の位置を推定する。ここで、第一距離lの情報は、図3に示すように、頭部3と被測定箇所2との距離を示す情報である。第一距離lの情報は、例えば、後述するデータベース31に予め設定される。ミリ波センサ制御部24は、被測定箇所推定部23が推定した被測定箇所2の位置における変位を検出するようにミリ波センサ40を制御する。生体情報取得部25は、推定した被測定箇所2における変位をミリ波センサ40が検出した場合、検出した変位に基づいて見守り対象者1の生体情報を取得する。
【0025】
図2に示すように、記憶部30は、プログラム301、及び、データベース31を記憶している。情報処理装置201は、記憶部30が記憶するプログラム301を読み出して実行することにより、見守り対象者1の被測定箇所2の位置の推定、及び、見守り対象者1の生体情報を取得するための処理を行う。
【0026】
プログラム301は、コンピュータを実施の形態1に係る情報処理装置201として機能させ、実施の形態1に係る見守り方法を実行させるためのプログラムである。詳細には、プログラム301は、コンピュータに、頭部位置推定部22の機能を実行させる頭部位置推定機能と、被測定箇所推定部23の機能を実行させる被測定箇所推定機能と、生体情報取得部25の機能を実行させる生体情報取得機能と、を実現させる。
【0027】
データベース31は、見守り対象者1の頭部3及び被測定箇所2の位置を推定し、見守り対象者1の生体情報を取得するための処理を行う際に用いる情報を格納している。詳細には、データベース31は、見守り対象者1の頭部3の形状の情報、見守り対象者1の頭部3と被測定箇所2との距離を示す第一距離lの情報、及び、光センサ10とミリ波センサ40とのキャリブレーション用の座標系の変換式を格納している。
【0028】
なお、見守りシステム101は、図示しない表示装置を備えていても良い。表示装置は、生体情報取得部25が取得した見守り対象者1の生体情報を表示する装置である。
【0029】
続いて、見守りシステム101が備える情報処理装置201のハードウェア構成について、図4を用いて説明する。図4は、情報処理装置201のハードウェア構成図である。
【0030】
図4に示すように、情報処理装置201は、演算装置211、記憶装置212、入力装置213、補助記憶装置214、及び、出力装置215により構成される。また、演算装置211、記憶装置212、入力装置213、補助記憶装置214、及び、出力装置215は、信号線216を介して接続されている。
【0031】
演算装置211は、図2に示す処理部20の各機能を実現させる装置である。演算装置211は、補助記憶装置214から必要なプログラム301を読み出して処理を実行することによって、情報処理装置201の処理部20が有する各機能を実現する。演算装置211は、例えば、プロセッサであり、プロセッサは、演算処理を行うIC(Integrated Circuit)である。プロセッサの具体例は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、GPU(Graphics Processing Unit)である。また、演算装置211は、パーソナルコンピュータ、マイコンボード、またはFPGA(Field Programmable Gate Array)ボードなどであってもよい。
【0032】
記憶装置212は、情報処理装置201の主記憶装置である。主記憶装置は、演算装置211が行う処理の計算を一時的に保存する。記憶装置212は、例えば、RAM(Random Access Memory)である。
【0033】
入力装置213は、情報処理装置201の入力インターフェースである。入力装置213は、例えば、光センサ10が取得した見守り対象者1の形状の情報、又は、ミリ波センサ40が検出した見守り対象者1の被測定箇所2における変位の情報を演算装置211に入力する。
【0034】
補助記憶装置214は、図2に示す記憶部30であり、情報処理装置201の補助記憶装置である。補助記憶装置214は、情報処理装置201の処理部20が有する各機能を実現するために必要なプログラム301と、見守り対象者1の被測定箇所2の位置の推定、及び、見守り対象者1の生体情報を取得するための処理を行う際に用いる情報を格納するデータベース31と、を記憶している。補助記憶装置214は、例えば、ROM(Read Only Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、又はSSD(Solid State Drive)である。
【0035】
出力装置215は、情報処理装置201の出力インターフェースである。出力装置215は、例えば、生体情報取得部25が取得した見守り対象者1の生体情報を図示しない表示装置に出力する。
【0036】
信号線216は、図4に記載された各構成要素間でデータの送受信を行うための伝送路である。
【0037】
<実施の形態1の見守りシステムによる見守り方法>
続いて、実施の形態1に係る見守りシステム101によって行われる、見守り対象者1の頭部3及び被測定箇所2の位置の推定と、見守り対象者1の生体情報の取得との手順について、図5を用いて説明する。図5は、実施の形態1に係る見守りシステム101による見守り方法の手順を示すフローチャートである。
【0038】
図5に示すように、見守りシステム101による見守り方法は、対象者情報取得ステップS100と、頭部位置推定ステップS200と、被測定箇所推定ステップS300と、変位検出ステップS400と、生体情報取得ステップS500と、を備える。
【0039】
対象者情報取得ステップS100は、見守り対象者1の形状の情報を光センサ10が取得するステップである。詳細には、まず、情報処理装置201の光センサ制御部21が、見守り対象者1の形状の情報を取得するように光センサ10を制御する。次に、光センサ制御部21により制御された光センサ10が見守り対象者1の形状の情報を取得する。そして、情報処理装置201の入力インターフェースである入力装置213が、光センサ10が取得した見守り対象者1の形状の情報を受信する。
【0040】
頭部位置推定ステップS200は、対象者情報取得ステップS100で取得された見守り対象者1の形状の情報に基づいて見守り対象者1の頭部3の位置を推定するステップである。頭部位置推定ステップS200は、情報処理装置201の頭部位置推定部22により実行される。頭部位置推定部22は、光センサ10が取得した見守り対象者1の形状の情報を用いて、頭部3の位置を推定する。詳細には、頭部位置推定部22は、光センサ10が取得した見守り対象者1の頭部3の形状の情報と、データベース31に予め設定された見守り対象者1の頭部3の形状の情報と、を照合することで、頭部3を識別し、頭部3の位置を推定する。なお、頭部位置推定部22は、見守り対象者1の頭部3の形状の情報を用いる場合に限られず、光センサ10が取得した見守り対象者1の形状の情報から顔認識システムを用いて見守り対象者1の顔の特徴量を抽出し、抽出した顔の特徴量の情報に基づいて頭部3を認識することで、頭部3の位置を推定するようにしても良い。ここで、顔の特徴量の情報とは、例えば、顔の目、鼻、口等の特徴点の位置、顔領域の位置、又は、顔領域の大きさを示す情報である。
【0041】
被測定箇所推定ステップS300は、頭部位置推定ステップS200で推定された頭部3の位置の情報、及び、予め設定された第一距離lの情報を用いて、被測定箇所2の位置を推定するステップである。被測定箇所推定ステップS300は、情報処理装置201の被測定箇所推定部23により実行される。
【0042】
被測定箇所推定ステップS300では、仮に、被測定箇所推定部23が、頭部3の位置の情報、及び、第一距離lの情報に加えて、頭部3に対する被測定箇所2の方向の情報も得られる場合、被測定箇所2の位置を一カ所に特定することができる。
一方、光センサ10は、衣服や布団等に吸収され易い可視光又は赤外線を用いて見守り対象者1の形状の情報を取得するため、例えば、見守り対象者1が布団をかけている場合には、布団に覆われている箇所の情報を取得することができない。すなわち、見守り対象者1が胴体部4に布団をかけている場合、光センサ10は頭部3の形状の情報のみを取得することができ、胴体部4の形状の情報を取得することができない。この場合、処理部20は、胴体部4の形状の情報を用いて頭部3に対する胴体部4(被測定箇所2)の方向を算出することができないので、頭部3に対する被測定箇所2の方向の情報を用いることなく、頭部3の位置の情報、及び、第一距離lの情報のみを用いて被測定箇所2の位置を推定する必要がある。
【0043】
頭部3の位置の情報、及び、第一距離lの情報のみを用いて被測定箇所2の位置を推定する場合の被測定箇所推定部23の処理手順を図6及び図7を用いて説明する。図6は、実施の形態1に係る見守りシステム101による被測定箇所推定ステップS300の処理手順を示すフローチャートである。図7は、ミリ波センサ40のミリ波の照射位置を示す概要図であり、見守り対象者1が布団をかけている場合を例示している。なお、頭部3の位置の情報、及び、第一距離lの情報のみを用いて被測定箇所2の位置を推定する場合、被測定箇所推定ステップS300は、情報処理装置201の被測定箇所推定部23及びミリ波センサ制御部24により実行される。
【0044】
図6及び図7に示すように、被測定箇所推定部23が、推定された頭部3の位置から第一距離l離れた位置を照射位置41として設定する(ステップS310)。設定される照射位置41は、例えば、推定された頭部3の位置を中心として第一距離lを半径とした円周上の複数箇所が照射位置41として設定される。
【0045】
続いて、ミリ波センサ制御部24が、設定された複数の照射位置41のうちの一つの照射位置41aにミリ波を照射するようにミリ波センサ40を制御する(ステップS320)。ミリ波センサ40は、照射位置41aにミリ波を照射し、照射位置41aからの反射波を受信することで、照射位置41aにおける生体表面の変位を検出する。被測定箇所推定部23は、ミリ波センサ40が照射位置41aにおける変位を検出したか否かを判定する(ステップS330)。ミリ波センサ40が照射位置41aにおける変位を検出しなかった場合(ステップS330のNo)、ミリ波センサ制御部24は設定された複数の照射位置41のうちの一つであって未照射の照射位置41bにミリ波を照射するようにミリ波センサ40を制御(ステップS340)し、被測定箇所推定部23はミリ波センサ40が照射位置41bにおける変位を検出したか否かを判定する(ステップS330)。ミリ波センサ40が変位を検出する(ステップS350のYes)まで、S330及びS340の処理は繰り返される。ミリ波センサ40が変位を検出した場合、被測定箇所推定部23は、そのときの照射位置41を被測定箇所2の位置であると推定する(ステップS350)。
【0046】
なお、照射位置41は、推定された頭部の位置から第一距離l離れた位置のみではなく、第一距離lより数cm程長い距離、又は、数cm程短い距離離れた位置としても良い。
【0047】
以上の通り、被測定箇所推定部23は、例えば、見守り対象者1が布団をかけている場合においても、頭部3の位置の情報、及び、予め設定された第一距離lの情報を用いて照射位置41を設定し、照射位置41における変位をミリ波センサ40が検出することで、高精度に被測定箇所2を推定することができる。すなわち、光センサ10及び頭部位置推定部22によって頭部3の位置の情報のみしか得られない場合においても、ミリ波センサ40によって被測定箇所2である可能性の高い照射位置41における変位を検出することで、被測定箇所2を推定することができる。
【0048】
被測定箇所推定ステップS300で被測定箇所2の位置を推定した後は、図5に示すように、変位検出ステップS400を実施する。変位検出ステップS400は、被測定箇所推定ステップS300で推定された被測定箇所2における変位をミリ波センサ40が検出するステップであり、ミリ波センサ40及び情報処理装置201のミリ波センサ制御部24が行う。詳細には、まず、ミリ波センサ制御部24が、推定された被測定箇所2における変位を検出するようにミリ波センサ40を制御する。次に、ミリ波センサ制御部24により制御されたミリ波センサ40が被測定箇所2における変位を検出する。そして、情報処理装置201の入力インターフェースである入力装置213が、ミリ波センサ40が検出した被測定箇所2における変位の情報を受信する。
【0049】
生体情報取得ステップS500は、変位検出ステップS400で検出された変位に基づいて見守り対象者1の生体情報を取得する処理であり、情報処理装置201の生体情報取得部25が行う。生体情報取得部25は、ミリ波センサ40が検出した被測定箇所2における生体表面の変位に基づいて、見守り対象者1の呼吸数、脈拍数、血圧等の生体情報を取得する。
【0050】
以上の処理によれば、光センサ10を用いて見守り対象者1の頭部3の位置を推定し、推定した頭部3の位置の情報及び予め設定された頭部3と被測定箇所2との距離を示す第一距離lの情報とを用いて被測定箇所2の位置を推定することができる。また、光センサ10及び頭部位置推定部22によって頭部3の位置の情報のみしか得られない場合においても、ミリ波センサ40によって被測定箇所2である可能性の高い照射位置41における変位を検出することで、被測定箇所2を推定することができる。このように、見守り対象者1の状態によらず、被測定箇所2を推定することができるため、生体情報を高精度に取得することが出来る。
【0051】
<実施の形態1の作用効果>
次に、本開示の実施の形態1に係る見守りシステム101の作用と効果について説明する。
【0052】
本開示の実施の形態1に係る見守りシステム101は、見守り対象者1の頭部の位置を推定する頭部位置推定部22と、頭部位置推定部22が推定した頭部の位置の情報に基づいて、見守り対象者1の被測定箇所2の位置を推定する被測定箇所推定部23と、被測定箇所推定部が推定した被測定箇所2における見守り対象者1の生体情報を取得する生体情報取得部25と、を備える。
【0053】
本開示の実施の形態1に係る情報処理装置201は、見守り対象者1の頭部の位置を推定する頭部位置推定部22と、頭部位置推定部22が推定した頭部の位置の情報に基づいて、見守り対象者1の被測定箇所2の位置を推定する被測定箇所推定部23と、被測定箇所推定部23が推定した被測定箇所2における見守り対象者1の生体情報を取得する生体情報取得部25と、を備える。
【0054】
本開示の実施の形態1に係るプログラム301は、コンピュータに、見守り対象者1の頭部の位置を推定する頭部位置推定機能と、頭部位置推定機能が推定した頭部の位置の情報に基づいて、被測定箇所2の位置を推定する被測定箇所推定機能と、被測定箇所推定機能が推定した被測定箇所2における見守り対象者1の生体情報を取得する生体情報取得機能と、を実現させる。
【0055】
本開示の実施の形態1に係る見守り方法は、見守り対象者1の頭部の位置を推定する頭部位置推定ステップS200と、頭部位置推定ステップS200で推定された頭部の位置の情報に基づいて、被測定箇所2の位置を推定する被測定箇所推定ステップS300と、被測定箇所推定ステップS300で推定された被測定箇所2における見守り対象者1の生体情報を取得する生体情報取得ステップS500と、を備える。
【0056】
本開示の実施の形態1の見守りシステム101、情報処理装置201、プログラム301及び見守り方法によれば、見守り対象者1の頭部の位置を推定し、推定した頭部の位置の情報に基づいて被測定箇所2の位置を推定するため、見守り対象者1の状態によらず、被測定箇所2の位置を推定することができる。具体的には、光センサ10によって直接被測定箇所2を特定することができない場合、例えば、見守り対象者1が布団をかけている状態においても、ミリ波センサ40によって被測定箇所2である可能性の高い照射位置41の変位を検出することで、被測定箇所2の位置を推定することができる。さらに、推定した被測定箇所2の位置における生体表面の変位をミリ波センサ40で取得することで、見守り対象者1の状態によらず、高精度に生体情報を取得することが出来る。
【0057】
変形例1.
実施の形態1の変形例1について説明する。実施の形態1では、頭部3の位置の情報、及び、第一距離lの情報のみを用いて被測定箇所2の位置を推定する見守りシステム101について説明した。変形例1では、頭部3の位置の情報、及び、第一距離lの情報に加えて、頭部3に対する被測定箇所2の方向の情報を用いて被測定箇所2の位置を推定する見守りシステム101aについて説明する。
【0058】
実施の形態1の変形例1に係る見守りシステム101aは、被測定箇所2の推定に頭部3に対する被測定箇所2の方向の情報を用いる点で、実施の形態1の見守りシステム101と異なる。被測定箇所2の方向の情報とは、頭部3から見てどちらの方向に被測定箇所2が存在するかを示す情報である。例えば、被測定箇所2が胸部である場合には、被測定箇所2の方向の情報は、頭部3から胴体部4へと向かう方向を示す。
【0059】
実施の形態1の変形例1に係る見守りシステム101aの構成について、図8を用いて説明する。図8は、見守りシステム101aのシステムブロック図である。
図8に示すように、見守りシステム101aは、実施の形態1に係る見守りシステム101と同様の光センサ10及びミリ波センサ40と、情報処理装置201aと、を備える。情報処理装置201aは、処理部20aと、記憶部30aと、を備える。処理部20aは、頭部3に対する被測定箇所2の方向の情報を用いて被測定箇所2を推定する被測定箇所推定部23aを備え、その他の構成は実施の形態1に係る処理部20と同様である。
記憶部30aは、コンピュータを実施の形態1の変形例1に係る情報処理装置201aとして機能させ、実施の形態1の変形例1に係る見守り方法を実行させるためのプログラム301aと、実施の形態1と同様のデータベース31と、を備える。
【0060】
被測定箇所推定部23aは、光センサ10が取得した見守り対象者1の形状の情報を用いて被測定箇所2の方向を推定し、推定した被測定箇所2の方向の情報を用いて被測定箇所2の位置を推定する。被測定箇所推定部23aによる被測定箇所2の推定手順について、図9を用いて説明する。図9は、見守りシステム101aによる被測定箇所推定ステップS300の処理手順を示すフローチャートである。なお、実施の形態1の変形例1に係る見守り方法は、被測定箇所推定ステップS300における処理手順を除き、図5に示す実施の形態1に係る見守り方法と同様である。
【0061】
図9に示すように、見守りシステム101aによる被測定箇所推定ステップS300では、まず、光センサ10が取得した見守り対象者1の形状の情報に、頭部3のみではなく胴体部4の輪郭の情報、又は、顔の特徴量の情報が含まれているか否かを、被測定箇所推定部23aが判定する(ステップS301)。光センサ10により胴体部4の輪郭の情報、又は、顔の特徴量の情報を取得できたと判定された場合(ステップS301のYes)、光センサ10により取得された頭部3及び胴体部4の輪郭の情報、又は、顔の特徴量の情報に基づいて、被測定箇所2の方向を算出する(ステップS302)。顔の特徴量の情報に基づいて被測定箇所2の方向を算出する場合、被測定箇所推定部23aは、光センサ10が取得した顔の特徴量の情報、すなわち、顔の特徴点の位置の情報に基づいて、被測定箇所2の方向を算出する。例えば、被測定箇所推定部23aは、目、鼻、及び口の位置を抽出し、抽出した目及び口の位置から、頭部3に対する被測定箇所2の方向を算出する。そして、図5の頭部位置推定ステップS200で推定された頭部3の位置の情報、及び、ステップS302で算出した被測定箇所2の方向の情報を用いて、被測定箇所2の位置を推定する(ステップS351)。ステップS351で推定された被測定箇所2の位置の情報は、ミリ波センサ制御部24に送信され、ミリ波センサ制御部24により推定された被測定箇所2における変位が検出される(図5のステップS400)。対して、光センサ10により胴体部4の輪郭の情報、又は、顔の特徴量の情報を取得できなかった場合(ステップS301のNo)、実施の形態1と同様にすればよい。すなわち、図6のステップS310と同様に、頭部3の位置から第一距離l離れた位置を照射位置41として設定し、照射位置41にミリ波を照射することで被測定箇所2の位置の推定を行う。照射位置41を設定した後の処理手順は、実施の形態1に係る見守りシステム101と同様である(図6参照)。
【0062】
実施の形態1の変形例1に係る見守りシステム101aによれば、光センサ10が取得した見守り対象者1の形状の情報を用いて被測定箇所2の方向を推定することで、被測定箇所2の推定に被測定箇所2の方向の情報を用いることができるため、被測定箇所2の推定精度を向上することができる。具体的には、前述したように、被測定箇所2の推定に被測定箇所2の方向の情報を用いることで、被測定箇所2の位置を一カ所に特定することができるため、特定した被測定箇所2の位置における生体表面の変位をミリ波センサ40で取得することで、見守り対象者1の状態によらず、高精度に生体情報を取得することが出来る。また、被測定箇所2の推定に被測定箇所2の方向の情報を用いることで、図6のようにミリ波センサ40が変位を検出するまで照射位置41にミリ波を照射する処理を繰り返す必要が無くなるため、被測定箇所推定ステップS300の処理手順を簡素化できる。
【0063】
変形例2.
実施の形態1の変形例2について説明する。変形例1では、被測定箇所2の方向の情報を用いて被測定箇所2の位置を推定する見守りシステム101aについて説明した。変形例2では、第二距離Lの情報を用いて補正された第一距離lの情報を用いて被測定箇所2の位置を推定する見守りシステム101bについて説明する。
【0064】
実施の形態1の変形例2に係る見守りシステム101bは、被測定箇所2の推定に第二距離Lの情報を用いて補正された第一距離lの情報を用いる点で、実施の形態1の見守りシステム101と異なる。ここで、第二距離Lの情報とは、見守り対象者1と光センサ10との距離を示す情報である。
【0065】
実施の形態1の見守りシステム101が用いる第一距離lの情報は、見守り対象者1の頭部3と被測定箇所2との実寸距離である。対して、光センサ10が取得した見守り対象者1の頭部3と被測定箇所2との距離は、実寸大ではなく、見守り対象者1と光センサ10との距離の分だけ小さい、見かけの距離である。光センサ10が取得する見守り対象者1の見かけの距離は、見守り対象者1と光センサ10との距離を示す第二距離Lに応じて変化する。そこで、変形例2に係る見守りシステム101bは、第二距離Lの情報を用いて第一距離lの情報を補正して、補正した第一距離lの情報を用いて被測定箇所2の位置を推定することで、被測定箇所2の推定精度を向上することができる。
【0066】
実施の形態1の変形例2に係る見守りシステム101bの構成について、図10を用いて説明する。図10は、見守りシステム101bのシステムブロック図である。
図10に示すように、見守りシステム101bは、実施の形態1に係る見守りシステム101と同様の光センサ10及びミリ波センサ40と、情報処理装置201bと、を備える。情報処理装置201bは、処理部20bと、記憶部30bと、を備える。処理部20bは、第二距離Lの情報を用いて第一距離lの情報を補正し、補正した第一距離lの情報を用いて被測定箇所2の位置を推定する被測定箇所推定部23bを備え、その他の構成は実施の形態1に係る処理部20と同様である。
記憶部30bは、コンピュータを実施の形態1の変形例2に係る情報処理装置201bとして機能させ、実施の形態1の変形例2に係る見守り方法を実行させるためのプログラム301bと、実施の形態1と同様のデータベース31と、を備える。
【0067】
被測定箇所推定部23bによる被測定箇所2の推定手順について、図11を用いて説明する。図11は、見守りシステム101bによる被測定箇所推定ステップS300の処理手順を示すフローチャートである。なお、実施の形態1の変形例2における被測定箇所推定ステップS300は、ステップS310の処理を除き、図6に示す実施の形態1に係る見守りシステム101による被測定箇所推定ステップS300の処理手順と同様である。
【0068】
図11に示すように、見守りシステム101bによる被測定箇所推定ステップS300では、まず、光センサ10が第二距離Lの情報を取得可能か否かを、被測定箇所推定部23bが判定する(ステップS303)。なお、光センサ10の近傍にミリ波センサ40が設置される場合は、ミリ波センサ40を用いて測定しても良い。続いて、光センサ10又はミリ波センサ40により第二距離Lの情報が取得されたと判定された場合(ステップS303のYes)、被測定箇所推定部23bは測定された第二距離Lを用いて第一距離lを補正する(ステップS304)。そして、図5の頭部位置推定ステップS200で推定された頭部3の位置から、補正した第一距離lだけ離れた位置を照射位置41として設定する(ステップS311)。光センサ10又はミリ波センサ40により第二距離Lの情報が取得されなかったと判定された場合(ステップS303のNo)、実施の形態1と同様、頭部3の位置から第一距離l離れた位置を照射位置41として設定する(ステップS310)。照射位置41を設定した後の処理手順は、実施の形態1に係る見守りシステム101と同様である(図6参照)。
【0069】
実施の形態1の変形例2に係る見守りシステム101bによれば、光センサ10又はミリ波センサ40が取得した第二距離Lを用いて第一距離lを補正し、補正した第一距離lの情報を用いることができるため、被測定箇所2の位置の推定精度を向上することができる。
【0070】
変形例3.
実施の形態1の変形例3について説明する。変形例2では、被測定箇所2の位置の推定精度を向上するために、第二距離Lを用いて補正した第一距離lを用いて被測定箇所2を推定する見守りシステム101bについて説明した。変形例3では、記憶部に記憶された家具の位置の情報を用いて補正した第一距離lを用いて被測定箇所2を推定する見守りシステム101cについて説明する。
【0071】
まず、実施の形態1の変形例3に係る見守りシステム101cの構成について、図12を用いて説明する。図12は、見守りシステム101cのシステムブロック図である。
図12に示すように、見守りシステム101cは、見守り対象者1の形状の情報のみならず、見守り対象者1の部屋Rに配置された家具の形状の情報も取得可能な光センサ10cと、実施の形態1に係る見守りシステム101と同様のミリ波センサ40と、情報処理装置201cと、を備える。情報処理装置201cは、処理部20cと、記憶部30cと、を備える。
【0072】
記憶部30cは、コンピュータを実施の形態1の変形例3に係る情報処理装置201cとして機能させ、実施の形態1の変形例3に係る見守り方法を実行させるためのプログラム301cと、データベース31cと、を備える。データベース31cには、見守りシステム101のデータベース31に格納された情報に加えて、見守り対象者1の部屋Rに配置された図示しない家具の形状を示す家具の形状の情報、及び、家具の形状の情報に紐づいた家具の位置の情報が記憶されている。なお、家具の種類については特に問わないが、ベッドや机など設置位置が固定されているもののほうが、家具の位置の情報を更新する回数を少なくできるため望ましい。
【0073】
処理部20cは、記憶部30cに記憶された家具の位置の情報を用いて第一距離lを補正し、補正した第一距離lを用いて被測定箇所2を推定する被測定箇所推定部23cを備え、その他の構成は実施の形態1に係る処理部20と同様である。詳細には、被測定箇所推定部23cは、見守り対象者1が家具の近傍に存在する場合、光センサ10cが取得した家具の形状の情報と、記憶部30cに記憶された家具の形状の情報とを照合し、家具の形状の情報に紐づいた家具の位置の情報を記憶部30cから取得する。そして、被測定箇所推定部23cは、記憶部30cから取得した家具の位置の情報を用いて第一距離lの情報を補正し、補正した第一距離lの情報を用いて被測定箇所2の位置を推定する。
【0074】
被測定箇所推定部23cによる被測定箇所2の推定手順について、図13を用いて説明する。図13は、見守りシステム101cによる被測定箇所推定ステップS300の処理手順を示すフローチャートである。なお、実施の形態1の変形例3における被測定箇所推定ステップS300は、ステップS310の処理を除き、図6に示す実施の形態1に係る見守りシステム101による被測定箇所推定ステップS300の処理手順と同様である。
【0075】
図13に示すように、見守りシステム101cによる被測定箇所推定ステップS300では、まず、光センサ10cにより見守り対象者1の近傍で家具の形状の情報が取得されるか否かを、被測定箇所推定部23cが判定する(ステップS305)。詳細には、光センサ10cが取得した見守り対象者1及び家具の形状の情報に基づいて、頭部位置推定部22又は被測定箇所推定部23cが見守り対象者1の位置及び家具の位置を推定し、家具の位置の近傍に見守り対象者1が存在するか否かを判定する。
【0076】
見守り対象者1が家具の近傍に存在する場合(ステップS305のYes)、光センサ10cが取得した家具の形状の情報と、記憶部30cのデータベース31cに記憶された家具の形状の情報とを照合し、家具を識別する(ステップS306)。家具を識別すると、被測定箇所推定部23cは、識別された家具の形状の情報と紐づいた家具の位置の情報を記憶部30cのデータベース31から読み出して、取得する(ステップS307)。ここで、ステップS307を実行するとき、ステップS305で見守り対象者1が家具の近傍に存在すると判定されているため、ステップS307で取得した家具の位置は、家具の近傍に存在する見守り対象者1の位置であると近似できる。すなわち、ステップS307で取得した家具の位置の情報は、見守り対象者1と光センサ10cとの距離を示す第二距離Lの情報とほぼ同じ値として用いることができる。したがって、ステップS307で取得した家具の位置の情報を、第二距離Lの情報の代わりとして用いることで、第一距離lの情報を補正することができる(ステップS308)。そして、図5の頭部位置推定ステップS200で推定された頭部3の位置の情報から、ステップS308で補正した第一距離lだけ離れた位置を照射位置41として設定する(ステップS311)。
【0077】
見守り対象者1が家具の近傍に存在しない場合(ステップS305のNo)、実施の形態1と同様、頭部3の位置から第一距離l離れた位置を照射位置41として設定する(ステップS310)。照射位置41を設定した後の処理手順は、実施の形態1に係る見守りシステム101と同様である(図6参照)。
【0078】
実施の形態1の変形例3の見守りシステム101cによれば、記憶部30cに記憶された家具の位置の情報を用いることで、光センサ10c又はミリ波センサ40により第二距離Lの測定を行うことなく、第一距離lを補正することができる。すなわち、実施の形態1の変形例3の見守りシステム101cによれば、光センサ10c又はミリ波センサ40により第二距離Lの情報を取得することが出来ない場合においても、第一距離lの情報を補正することができるため、被測定箇所2の位置の推定精度を向上することができる。
【0079】
変形例4.
実施の形態1の変形例4について説明する。変形例1では、被測定箇所2の位置の推定精度を向上するために、被測定箇所2の方向の情報を用いて被測定箇所2を算出する見守りシステム101aについて説明した。変形例4では、記憶部に記憶された被測定箇所2の方向の情報を用いて被測定箇所2の位置を推定する見守りシステム101dについて説明する。
【0080】
まず、実施の形態1の変形例4に係る見守りシステム101dの構成について、図14を用いて説明する。図14は、見守りシステム101dのシステムブロック図である。
図14に示すように、見守りシステム101dは、変形例3に係る見守りシステム101cと同様に見守り対象者1の形状の情報のみならず、見守り対象者1の部屋Rに配置された家具の形状の情報も取得可能な光センサ10cと、実施の形態1に係る見守りシステム101と同様のミリ波センサ40と、情報処理装置201dと、を備える。情報処理装置201dは、処理部20dと、記憶部30dと、を備える。
【0081】
記憶部30dは、コンピュータを実施の形態1の変形例4に係る情報処理装置201dとして機能させ、実施の形態1の変形例4に係る見守り方法を実行させるためのプログラム301dと、データベース31dと、を備える。データベース31dには、見守りシステム101のデータベース31に格納された情報に加えて、見守り対象者1の部屋Rに配置されたベッドの形状の情報、及び、ベッドの形状の情報に紐づいたベッドの上に見守り対象者が存在する場合の見守り対象者の被測定箇所の方向の情報が記憶されている。
【0082】
処理部20dは、記憶部30dに記憶された被測定箇所2の方向の情報を用いて被測定箇所2を推定する被測定箇所推定部23dを備え、その他の構成は実施の形態1に係る処理部20と同様である。詳細には、被測定箇所推定部23dは、見守り対象者1がベッドの上に存在する場合、光センサ10cが取得したベッドの形状の情報と、記憶部30dに記憶されたベッドの形状の情報とを照合し、ベッドの形状の情報に紐づいた被測定箇所2の方向の情報を記憶部30dから取得する。そして、被測定箇所推定部23dは、記憶部30dから取得した被測定箇所2の方向の情報を用いて被測定箇所2の位置を推定する、
【0083】
被測定箇所推定部23dによる被測定箇所2の推定手順について、図15を用いて説明する。図15は、見守りシステム101dによる被測定箇所推定ステップS300の処理手順を示すフローチャートである。なお、実施の形態1の変形例4に係る見守り方法は、被測定箇所推定ステップS300における処理手順を除き、図5に示す実施の形態1に係る見守り方法と同様である。
【0084】
図15に示すように、見守りシステム101dによる被測定箇所推定ステップS300では、まず、変形例3に係る見守りシステム101cと同様に、光センサ10により見守り対象者1の近傍で家具の形状の情報が取得されるか否かを、被測定箇所推定部23dが判定する(ステップS305)。詳細には、光センサ10が取得した見守り対象者1及び家具の形状の情報に基づいて、頭部位置推定部22又は被測定箇所推定部23dが見守り対象者1の位置及び家具の位置を推定する。推定された見守り対象者1の位置及び家具の位置に基づいてし、見守り対象者1の近傍に家具が存在するか否かを判定する。
【0085】
見守り対象者1が家具の近傍に存在した場合(ステップS305のYes)、光センサ10が取得した家具の形状の情報と、記憶部30dのデータベース31dに記憶されたベッドの形状の情報とを照合し、光センサ10cが取得した家具がベッドであるか否かを識別する(ステップS306a)。光センサ10が取得した家具がベッドであると識別された場合(ステップS306aのYes)、識別されたベッドの上に見守り対象者1が存在するか否かを、被測定箇所推定部23dが判定する(S306b)。詳細には、被測定箇所推定部23dは、ステップS305と同様に、推定された見守り対象者1の位置及びベッドの位置に基づいて、見守り対象者1がベッドの上に存在するか否かを判定する。見守り対象者1がベッドの上に存在する場合(ステップS306bのYes)、被測定箇所推定部23dは、識別されたベッドの形状の情報と紐づいたベッドの上に見守り対象者1が存在する場合の見守り対象者1の被測定箇所2の方向の情報を記憶部30dのデータベース31dから読み出して、取得する(ステップS309)。そして、図5の頭部位置推定ステップS200で推定された頭部3の位置の情報、及び、ステップS309で算出した被測定箇所2の方向の情報を用いて、被測定箇所2の位置を推定する(ステップS351)。
【0086】
見守り対象者1が家具の近傍に存在しない場合(ステップS305のNo)、光センサ10cが取得した家具がベッドではないと識別された場合(ステップS306aのNo)、又は、見守り対象者1がベッドの上に存在しない場合(ステップS306bのNo)、実施の形態1と同様にすればよい。すなわち、図6のステップS310と同様に、頭部3の位置から第一距離l離れた位置を照射位置41として設定し、照射位置41にミリ波を照射することで被測定箇所2の位置の推定を行う。照射位置41を設定した後の処理手順は、実施の形態1に係る見守りシステム101と同様である(図6参照)。
【0087】
実施の形態1の変形例4の見守りシステム101dによれば、記憶部30dに記憶された被測定箇所2の方向の情報を用いることで、光センサ10cにより取得された情報から被測定箇所2の方向を算出することなく、被測定箇所2の方向を取得することができる。すなわち、変形例4の見守りシステム101dによれば、光センサ10により胴体部の形状又は顔の特徴量の情報を取得することが出来ない場合においても、被測定箇所2の方向の情報を取得することができるため、被測定箇所2の推定精度を向上することができる。
【0088】
なお、変形例1、変形例2、変形例3、又は、変形例4は、それぞれを適宜組み合わせて実施しても良い。例えば、変形例1の見守りシステム101aと、変形例4の見守りシステム101dと、を組み合わせて実施した場合、2つの異なる被測定箇所推定ステップS300により被測定箇所2の方向の情報を2つ得ることができる。2つの被測定箇所2の方向の情報が一致するか否かで、被測定箇所2の方向の情報の信頼度を判定することができる。
【0089】
また、変形例1の見守りシステム101aと、変形例4の見守りシステム101dと、を組み合わせて実施することで、被測定箇所2の位置の推定を簡易化することができる。ここで、変形例1の見守りシステム101aと、変形例4の見守りシステム101dと、を組み合わせて実施した結果、一致しない2つの被測定箇所2の方向の情報が取得できた場合について、図16を用いて説明する。図16は、一致しない2つの被測定箇所2の方向の情報を取得した場合に被測定箇所推定ステップS310で設定されるミリ波の照射位置41を示した概要図である。
【0090】
図16で示すように、一致しない2つの被測定箇所2の方向の情報を取得した場合、ステップS310で設定されるミリ波の照射位置41は、2つになる。被測定箇所2の方向の情報を用いずに照射位置41を設定した場合(図7参照)と比較して、被測定箇所2の方向の情報を用いた場合(図16参照)の方が照射位置41の数は少ない。すなわち、変形例1の見守りシステム101aと、変形例4の見守りシステム101dと、を組み合わせて実施することで、照射位置41を絞り、被測定箇所2の推定のためにミリ波を照射する回数を減少することができる。また、変形例1の見守りシステム101aと、変形例4の見守りシステム101dと、を組み合わせて実施することで、被測定箇所2の方向の情報を取得せずに被測定箇所2を推定するよりも、被測定箇所2の推定精度を向上することができる。
【0091】
また、上記では、見守り対象者1の情報として見守り対象者1の形状の情報を、光センサ10が取得する場合について説明した。なお、見守り対象者1の情報として、骨格の情報、又は、動作の情報を、光センサ10が取得しても良い。この場合、対象者情報取得ステップS100で見守り対象者1の骨格の情報、又は、動作の情報を光センサ10が取得し、頭部位置推定ステップS200で見守り対象者1の骨格の情報、又は、動作の情報に基づいて見守り対象者1の頭部3の位置を推定する。見守り対象者1の骨格の情報、又は、動作の情報を用いた頭部3の位置の推定は、見守り対象者1の形状の情報を用いる場合と同様に、又は、その他の公知の技術を適用することで実現できる。また、見守り対象者1の情報として骨格の情報、又は、動作の情報を用いる場合においても、見守り対象者1の形状の情報を用いる場合と同様の作用効果を得ることができる。
【0092】
実施の形態2.
本開示の実施の形態1では、見守り対象者1の頭部3の位置を推定するために、光センサ10が見守り対象者1の情報として見守り対象者1の形状の情報を取得する見守りシステム101について説明した。実施の形態2では、光センサ10の一種である赤外線センサ11が見守り対象者1の情報として見守り対象者1が放射する熱エネルギーの情報を取得する見守りシステム102について説明する。
なお、実施の形態2では、本開示の実施の形態1と同一の構成要素には同一の符号を使用し、同一又は対応する部分についての説明は省略する。以下、図面を参照して、実施の形態2に係る見守りシステム102について説明する。本開示の実施の形態2は、見守りシステム102と、見守りシステム102に係る処理を実行する情報処理装置202と、見守りシステム102に係る処理をコンピュータに実行させるプログラム302と、見守りシステム102を用いた見守り方法とに関するものである。
【0093】
<実施の形態2の構成>
本開示の実施の形態2に係る見守りシステム102の構成について、図17を用いて説明する。図17は、見守りシステム102のシステムブロック図である。
【0094】
図17に示すように、実施の形態2に係る見守りシステム102は、光センサ10の一種である赤外線センサ11と、赤外線センサ11の制御に対応した情報処理装置202と、実施の形態1と同様のミリ波センサ40と、を備える。
【0095】
赤外線センサ11は、実施の形態1と同様に、見守り対象者1の頭部3の位置を推定するために、見守り対象者1の情報を取得するセンサであり、光センサ10の一種である。赤外線センサ11は、3-5μmの中赤外線領域、又は、8-14μmの遠赤外線領域の赤外線を検出可能なセンサであり、見守り対象者1が放射する熱エネルギーの情報を見守り対象者1の情報として取得する。赤外線センサ11は、例えば、見守り対象者1が放射する熱エネルギーの情報を熱画像として取得する。一般的に、赤外線センサ11を用いて人体の熱画像を取得すると、頭部3が最大輝度値を示す。したがって、後述する情報処理装置202は、赤外線センサ11を用いることで、取得した画像のうち最大輝度値を示す箇所を頭部3と推定することができる。赤外線センサ11は見守り対象者1が放射する熱エネルギーを取得することができるため、昼夜を問わず見守り対象者1の頭部3の位置を推定することができる。
【0096】
また、赤外線センサ11は、見守り対象者1が放射する熱エネルギーの情報を用いて、見守り対象者1の形状の情報を取得することもできる。赤外線センサ11により見守り対象者1の形状の情報が取得できるのは、周囲に比べて温度の高い見守り対象者1を赤外線センサ11がとらえた場合、赤外線センサ11によって人体の形状通りの温度分布が示された熱画像が取得できるためである。さらに、赤外線センサ11から取得される熱画像の経時変化を記録することで、見守り対象者1の動作の情報を取得することもできる。後述する情報処理装置202は、赤外線センサ11により取得された見守り対象者1の形状又は動作の情報を用いて、頭部3の位置を推定しても良い。
【0097】
なお、見守りシステム102は、頭部3の位置を推定する精度を向上させるため、見守り対象者1の情報を取得するセンサとして赤外線センサ11とは異なる他の光センサをさらに備えていても良い。他の光センサとは、例えば、可視カメラ、赤外線カメラ、ステレオカメラ、LiDAR等である。
【0098】
情報処理装置202は、処理部220と、記憶部230と、を備える。処理部220は、赤外線センサ11を制御する光センサ制御部221と、赤外線センサ11が取得する見守り対象者1が放射する熱エネルギーの情報に基づいて頭部3の位置を推定する頭部位置推定部222とを備え、その他の構成は実施の形態1の情報処理装置201と同様である。記憶部230は、コンピュータを実施の形態2に係る情報処理装置202として機能させ、実施の形態2に係る見守り方法を実行させるためのプログラム302と、実施の形態1と同様のデータベース31と、を備える。
【0099】
<実施の形態2の見守りシステムによる見守り方法>
続いて、実施の形態2に係る見守りシステム102によって行われる、見守り対象者1の被測定箇所2の位置の推定、及び、見守り対象者1の生体情報の取得の手順について、図18を用いて説明する。図18は、実施の形態2に係る見守りシステム102による見守り方法の手順を示すフローチャートである。
【0100】
図18に示すように、見守りシステム102による見守り方法は、対象者情報取得ステップS100aと、頭部位置推定ステップS200aと、被測定箇所推定ステップS300と、変位検出ステップS400と、生体情報取得ステップS500と、を備える。被測定箇所推定ステップS300、変位検出ステップS400、及び、生体情報取得ステップS500は、実施の形態1と同様である。
【0101】
対象者情報取得ステップS100aは、見守り対象者1の放射する熱エネルギーの情報を赤外線センサ11が取得するステップである。詳細には、まず、情報処理装置202の光センサ制御部221が、見守り対象者1の放射する熱エネルギーの情報を取得するように赤外線センサ11を制御する。次に、光センサ制御部221により制御された赤外線センサ11が見守り対象者1の放射する熱エネルギーの情報を取得する。そして、情報処理装置202の入力インターフェースである入力装置213が、赤外線センサ11が取得した見守り対象者1の放射する熱エネルギーの情報を受信する。
【0102】
頭部位置推定ステップS200aは、対象者情報取得ステップS100aで取得された見守り対象者1の放射する熱エネルギーの情報に基づいて見守り対象者1の頭部3の位置を推定するステップである。頭部位置推定ステップS200aは、情報処理装置202の頭部位置推定部222により実行される。頭部位置推定部222は、取得した熱エネルギーの情報から、最大輝度値を示す箇所を頭部3の位置として推定する。
【0103】
なお、頭部位置推定ステップS200aにおいて、見守り対象者1の頭部3の位置に見当をつけるため、注目領域を設定しても良い。注目領域は、見守り対象者1の形状又は動作の情報から設定することができる。例えば、赤外線センサ11が取得した熱画像から見守り対象者1の形状又は動作の情報を取得し、注目領域を設定することができる。具体的には、赤外線センサ11で取得した熱画像において、周囲に比べて熱エネルギーが高く、動いている対象が見守り対象者1であるとして、注目領域を設定する。また、見守りシステム102が、赤外線センサ11の他に可視カメラ等の光センサを備える場合には、可視カメラ等の光センサによりベッド等を識別して、ベッドの周辺を注目領域として設定しても良い。頭部位置推定ステップS200aにおいて、注目領域を設定して頭部3の位置を推定することで、頭部3の位置の推定精度をさらに向上することができる。
【0104】
頭部位置推定ステップS200aで頭部3の位置を推定した後の見守り方法の手順は、実施の形態1と同様である。
【0105】
<実施の形態2の作用効果>
次に、本開示の実施の形態2に係る見守りシステム102の作用と効果について説明する。
【0106】
本開示の実施の形態2に係る見守りシステム102は、見守り対象者1が放射する熱エネルギーの情報を取得する赤外線センサ11と、赤外線センサ11が取得した見守り対象者1が放射する熱エネルギーの情報に基づいて見守り対象者1の頭部3の位置を推定する頭部位置推定部222と、頭部位置推定部222が推定した頭部3の位置の情報に基づいて、被測定箇所2の位置を推定する被測定箇所推定部23と、被測定箇所推定部23が推定した被測定箇所2における変位を検出するミリ波センサ40と、ミリ波センサ40が検出した変位に基づいて見守り対象者1の生体情報を取得する生体情報取得部25と、を備える。
【0107】
本開示の実施の形態2に係る情報処理装置202は、赤外線センサ11が取得した見守り対象者1が放射する熱エネルギーの情報に基づいて見守り対象者1の頭部3の位置を推定する頭部位置推定部222と、頭部位置推定部222が推定した頭部3の位置の情報に基づいて、被測定箇所2の位置を推定する被測定箇所推定部23と、被測定箇所推定部23が推定した被測定箇所2における変位をミリ波センサ40が検出した場合、検出した変位に基づいて見守り対象者1の生体情報を取得する生体情報取得部25と、を備える。
【0108】
本開示の実施の形態2に係るプログラム302は、コンピュータに、赤外線センサ11が取得した見守り対象者1が放射する熱エネルギーの情報に基づいて見守り対象者1の頭部3の位置を推定する頭部位置推定機能と、頭部位置推定機能が推定した頭部3の位置の情報、に基づいて、被測定箇所2の位置を推定する被測定箇所推定機能と、被測定箇所推定機能が推定した被測定箇所2における変位をミリ波センサ40が検出した場合、検出した変位に基づいて見守り対象者1の生体情報を取得する生体情報取得機能と、を実現させる。
【0109】
本開示の実施の形態2に係る見守り方法は、見守り対象者1が放射する熱エネルギーの情報を赤外線センサ11が取得する対象者情報取得ステップS100aと、対象者情報取得ステップS100aで取得された見守り対象者1が放射する熱エネルギーの情報に基づいて見守り対象者1の頭部3の位置を推定する頭部位置推定ステップS200aと、頭部位置推定ステップS200aで推定された頭部3の位置の情報に基づいて、被測定箇所2の位置を推定する被測定箇所推定ステップS300と、被測定箇所推定ステップS300で推定された被測定箇所2における変位をミリ波センサ40が検出する変位検出ステップS400と、変位検出ステップS400で検出された変位に基づいて見守り対象者1の生体情報を取得する生体情報取得ステップS500と、を備える。
【0110】
本開示の実施の形態2の見守りシステム102、情報処理装置202、プログラム302及び見守り方法によれば、赤外線センサ11で取得した見守り対象者1が放射する熱エネルギーの情報に基づいて見守り対象者1の頭部3の位置を推定するため、光源のない状態においても高精度に頭部3の位置を推定することができる。したがって、本開示の実施の形態2の見守りシステム102、情報処理装置202、プログラム302及び見守り方法によれば、昼夜を問わず頭部3の位置を推定可能であり、さらに、推定した頭部3の位置の情報と予め設定された第一距離lの情報とを用いることで、昼夜を問わず被測定箇所2の位置を推定することができる。
【0111】
また、本開示の実施の形態2の見守りシステム102、情報処理装置202、プログラム302及び見守り方法によれば、赤外線センサ11で取得した熱エネルギーの情報から最大輝度値を示す箇所を頭部3の位置として推定することができる。すなわち、実施の形態2の構成によれば、最大輝度値を示す箇所を直接頭部3の位置として簡易に推定することができるため、見守り対象者1の形状の情報の情報に基づいて頭部3の位置を推定する実施の形態1に比べて、情報処理装置202の計算負荷を軽減することができる。
【0112】
変形例1.
実施の形態2の変形例1について説明する。実施の形態2では、見守り対象者1の情報を取得する光センサ10として、赤外線センサ11を備えた見守りシステム102について説明した。変形例1では、赤外線センサ11が感度を有する赤外線を照射する赤外線照射装置をさらに備えた見守りシステム102aについて説明する。
なお、実施の形態2の変形例1では、本開示の実施の形態2と同一の構成要素には同一の符号を使用し、同一又は対応する部分についての説明は省略する。以下、図面を参照して、実施の形態2の変形例1に係る見守りシステム102aについて説明する。本開示の実施の形態2の変形例1は、見守りシステム102aと、見守りシステム102aに係る処理を実行する情報処理装置202aと、見守りシステム102aに係る処理をコンピュータに実行させるプログラム302aと、見守りシステム102aを用いた見守り方法とに関するものである。
【0113】
本開示の実施の形態2の変形例1に係る見守りシステム102aの構成について、図19を用いて説明する。図19は、見守りシステム102aのシステムブロック図である。
【0114】
図19に示すように、実施の形態2の変形例1に係る見守りシステム102aは、実施の形態2の構成に加えて、赤外線照射装置50をさらに備える。また、見守りシステム102aは、実施の形態2の処理部220の構成に加えて赤外線照射装置制御部27をさらに備えた処理部220aと、処理部220aの機能を実行させるためのプログラム302a及びデータベース31とを記憶する記憶部230aと、を備えた情報処理装置202aを備える。
【0115】
赤外線照射装置50は、赤外線センサ11が感度を有する赤外線を照射する装置である。実施の形態2と同様に、赤外線センサ11は、赤外線センサ11は、3-5μmの中赤外線領域、又は、8-14μmの遠赤外線領域の赤外線を検出可能なセンサである。そのため、赤外線照射装置50は、赤外線センサ11が感度を有する3-5μmの中赤外線領域、又は、8-14μmの遠赤外線領域の赤外線を照射する装置である。赤外線照射装置50は、情報処理装置202aの赤外線照射装置制御部27により照射を制御される。
【0116】
実施の形態2の変形例1に係る見守りシステム102aでは、赤外線センサ11により第二距離Lを取得するために、赤外線照射装置50をさらに備えている。赤外線センサ11は、単体では対象との距離、すなわち、第二距離Lを取得することができない。赤外線センサ11は、赤外線照射装置50から照射され頭部3で反射された赤外線を検出することで、見守り対象者1と赤外線センサ11との距離を示す第二距離Lの情報を取得することができる。赤外線照射装置50及び赤外線センサ11により取得された第二距離Lの情報は、第一距離lの情報を補正するために用いられる。第二距離Lの情報を用いて第一距離lの情報を補正する手順は、実施の形態1の変形例1の被測定箇所推定ステップS300a、又は、変形例3の被測定箇所推定ステップS300c(図8及び図10参照)で示した通りである。
【0117】
本開示の実施の形態2の変形例1に係る見守りシステム102aの作用と効果について説明する。
【0118】
本開示の実施の形態2の変形例1の見守りシステム102a、情報処理装置202a、プログラム302a及び見守り方法によれば、赤外線照射装置50及び赤外線センサ11により第二距離Lの情報を取得可能であるため、第二距離Lの情報を用いて第一距離lを補正することができる。補正した第一距離lを用いて被測定箇所2の位置を算出することで、被測定箇所2の位置の算出精度が向上し、被測定箇所2の推定精度を向上することができる。
【0119】
実施の形態3.
本開示の実施の形態2では、赤外線センサ11が見守り対象者1が放射する熱エネルギーの情報を取得し、見守り対象者1の頭部3の位置を推定する見守りシステム102、102aについて説明した。実施の形態3では、赤外線センサ11が見守り対象者1が放射する熱エネルギーの情報を取得し、見守り対象者1の頭部3の位置を推定するとともに頭部3の温度を取得する見守りシステム103について説明する。
なお、実施の形態3では、本開示の実施の形態1又は2と同一の構成要素には同一の符号を使用し、同一又は対応する部分についての説明は省略する。以下、図面を参照して、実施の形態3に係る見守りシステム103について説明する。本開示の実施の形態3は、見守りシステム103と、見守りシステム103に係る処理を実行する情報処理装置203と、見守りシステム103に係る処理をコンピュータに実行させるプログラム303と、見守りシステム103を用いた見守り方法とに関するものである。
【0120】
<実施の形態3の構成>
本開示の実施の形態3に係る見守りシステム103の構成について、図20を用いて説明する。図20は、見守りシステム103のシステムブロック図である。
【0121】
図20に示すように、実施の形態3に係る見守りシステム103は、実施の形態2と同様の赤外線センサ11及びミリ波センサ40と、赤外線センサ11が取得した熱エネルギーの情報に基づいて見守り対象者1の頭部3の位置を推定するとともに頭部3の温度を取得する情報処理装置203と、を備える。
【0122】
情報処理装置203は、処理部320と、記憶部330と、を備える。処理部320は、実施の形態2の処理部220において、光センサ制御部221の代わりに光センサ制御部321を備えるとともに、判定部26と、頭部温度取得部28と、をさらに備える。
【0123】
判定部26は、生体情報取得部25が取得した見守り対象者1の生体情報が正常か異常かを判定する。判定部26は、取得した生体情報の値、例えば、呼吸数、脈拍数、血圧等の値が予め設定された所定の範囲内の値であった場合に正常とし、所定の範囲から外れていた場合には異常とする。所定の範囲は、医学的な知見により正常値であるとして予め設定された範囲、又は、見守り対象者1の平常時の生体情報の値に基づいて予め設定された範囲である。所定の範囲は、例えば、データベース31に予め設定される。
なお、判定部26は、取得した生体情報と予め設定された値とを比較せず、取得した生体情報の時間変化に基づいて正常か異常かを判定しても良い。詳細には、生体情報取得部25が取得した見守り対象者1の生体情報の値が不規則な変化を示す場合、又は、値の振れ幅が大きい場合に異常と判定しても良い。
【0124】
光センサ制御部321は、実施の形態2の光センサ制御部221の機能に加えて、判定部26により異常と判定された場合に、赤外線センサ11を、熱エネルギーの情報を高精度に取得可能な高精度駆動方式に変更する。高精度駆動方式とは、例えば、フレーム積分を増やすことによりS/N比を向上した駆動方式である。また、高精度駆動方式は、温度計測直前に温度と放射率が既知であるシャッターを用いて画素のキャリブレーションを行うことにより出力バラつきを抑制したノイズ低減駆動方式、又は、駆動電圧を増加することにより温度感度を向上した信号強度増加駆動方式であっても良い。赤外線センサ11は、判定部26が異常と判定した場合に、光センサ制御部321の制御によって高精度駆動方式に変更され、頭部3の熱エネルギーの情報を高精度に取得する。
【0125】
頭部温度取得部28は、赤外線センサ11が高精度駆動方式により駆動した際に取得した熱エネルギーの情報に基づいて頭部3の温度を取得する。
【0126】
記憶部330は、プログラム303と、データベース31と、を記憶する。プログラム303は、処理部320の機能を実行させるためのコンピュータプログラムである。
【0127】
<実施の形態3の見守りシステムによる見守り方法>
続いて、実施の形態3に係る見守りシステム103によって行われる見守り方法の手順について、図21を用いて説明する。図21は、実施の形態3に係る見守りシステム103による見守り方法の手順を示すフローチャートである。
【0128】
図21に示すように、見守りシステム103による見守り方法は、実施の形態2と同様のステップに加え、判定ステップS600と、頭部温度取得ステップS700と、を備える。
【0129】
図21に示すように、対象者情報取得ステップS100aから生体情報取得ステップS500までの手順は、実施の形態2と同様であり、まず、見守り対象者1の被測定箇所2の位置の推定、及び、見守り対象者1の生体情報の取得を行う。そして、生体情報取得ステップS500で、見守り対象者1の生体情報を取得した後、判定ステップS600に移行する。
【0130】
判定ステップS600は、生体情報取得ステップS500で取得した見守り対象者1の生体情報が正常か異常かを判定するステップである。判定ステップS600は、情報処理装置204の判定部26により実行される。判定部26は、例えば、取得した見守り対象者1の生体情報が予め設定された所定の範囲内の値である場合には正常、所定の範囲から外れた値である場合には異常と判定する。
【0131】
判定ステップS600で正常と判定された場合(S600のYes)、処理部320は見守りシステム103の処理を終了する(END)。判定ステップS600で異常と判定された場合(S600のNo)、頭部温度取得ステップS700を実行する。頭部温度取得ステップS700は、判定ステップS600で異常と判定された場合に、赤外線センサ11で頭部3の温度を取得するステップである。頭部温度取得ステップS700は、情報処理装置203の光センサ制御部321、赤外線センサ11、及び、頭部温度取得部28により実行される。
【0132】
頭部温度取得ステップS700では、まず、光センサ制御部321が、赤外線センサ11を、熱エネルギーの情報を高精度に取得可能な高精度駆動方式に変更する。赤外線センサ11は、光センサ制御部321の制御によって高精度駆動方式に変更され、頭部3の熱エネルギーの情報を高精度に取得する。そして、赤外線センサ11が取得した熱エネルギーの情報に基づいて、頭部温度取得部28が頭部3の温度を取得する。
【0133】
頭部温度取得ステップS700で取得された頭部3の温度は、生体情報取得ステップS500で取得された生体情報と共に、図示しない表示装置に表示しても良い。また、判定ステップS600の判定結果も同様に、図示しない表示装置に表示しても良い。
【0134】
<実施の形態3の作用効果>
本開示の実施の形態3に係る見守りシステム103の作用と効果について説明する。
【0135】
本開示の実施の形態3の見守りシステム103、情報処理装置203、プログラム303及び見守り方法によれば、見守り対象者1の状態によらずミリ波センサ40により生体情報が取得可能であり、さらに、異常時には赤外線センサ11により頭部3の温度を取得することができる。すなわち、本開示の実施の形態3の見守りシステム103、情報処理装置203、プログラム303及び見守り方法によれば、異常時に、呼吸数、脈拍数、血圧等の生体情報に加え、体温も取得することができる。
【0136】
また、本開示の実施の形態3の見守りシステム103、情報処理装置203、プログラム303及び見守り方法によれば、異常時にのみ、赤外線センサ11を高精度駆動方式に変更するため、常時赤外線センサ11を高精度駆動方式とするよりも、消費電力を抑制することができる。すなわち、本開示の実施の形態3の見守りシステム103、情報処理装置203、プログラム303及び見守り方法によれば、消費電力を抑制しつつ、各種の生体情報を取得することができる。
【0137】
変形例1.
実施の形態3の変形例1について説明する。実施の形態3では、異常時に光センサ制御部321により赤外線センサ11を高精度駆動方式に変更することで、見守り対象者1の頭部3の温度を取得する構成について説明した。変形例1では、赤外線照射装置50をさらに備え、異常時に赤外線照射装置50により赤外線センサ11が感度を有する赤外線を照射することで、見守り対象者1の頭部3の温度を取得する構成について説明する。
なお、実施の形態3の変形例1では、本開示の実施の形態3と同一の構成要素には同一の符号を使用し、同一又は対応する部分についての説明は省略する。以下、図面を参照して、実施の形態3の変形例1に係る見守りシステム103aについて説明する。本開示の実施の形態3の変形例1は、見守りシステム103aと、見守りシステム103aに係る処理を実行する情報処理装置203aと、見守りシステム103aに係る処理をコンピュータに実行させるプログラム303aと、見守りシステム103aを用いた見守り方法とに関するものである。
【0138】
本開示の実施の形態3の変形例1に係る見守りシステム103aの構成について、図22を用いて説明する。図22は、見守りシステム103aのシステムブロック図である。
【0139】
図22に示すように、実施の形態3の変形例1に係る見守りシステム103aは、実施の形態2又は3と同様の赤外線センサ11及びミリ波センサ40と、情報処理装置203aと、赤外線照射装置50と、を備える。情報処理装置203aは、処理部320aと、記憶部330aと、を備える。処理部320aは、実施の形態3の処理部320において、頭部温度取得部28の代わりに頭部温度取得部28aを備えるとともに、赤外線照射装置制御部27をさらに備える。記憶部330aは、プログラム303aと、データベース31と、を記憶する。プログラム303aは、処理部320aの機能を実行させるためのコンピュータプログラムである。
【0140】
赤外線照射装置50は、赤外線センサ11が感度を有する赤外線を照射する装置である。実施の形態2の変形例1と同様、赤外線照射装置50は、赤外線センサ11が感度を有する3-5μmの中赤外線領域、又は、8-14μmの遠赤外線領域の赤外線を照射する装置である。赤外線照射装置50は、判定部26により異常と判定された場合に、赤外線照射装置制御部27により起動される。
【0141】
赤外線センサ11は、赤外線照射装置50から照射され頭部3で反射された赤外線を検出する。頭部温度取得部28aは、赤外線センサ11が検出した赤外線に基づいて、頭部3の放射率εを算出し、算出した放射率εに基づいて、熱エネルギーの情報を補正して頭部3の温度を取得する。
【0142】
頭部温度取得部28aによる熱エネルギーの情報の補正方法について、説明する。赤外線照射装置50により赤外線が照射され、対象で反射された赤外線を赤外線センサ11が検出した場合を考える。赤外線センサ11が検出した輝度値をP、赤外線照射装置50が照射する光の強さをP、見守り対象者1の反射率をR、見守り対象者1と赤外線センサ11との距離をLとすると、赤外線センサ11が検出した輝度値Pは次の式で表される。
ここで、赤外線照射装置50が照射する光の強さPは、既知の値である。また、見守り対象者1と赤外線センサ11との距離L、すなわち、第二距離Lの情報は、赤外線センサ11又はミリ波センサ40により計測できる。よって、第二距離Lを事前に計測しておくことで、赤外線センサ11が検出した輝度値Pから反射率Rを算出することができる。また、キルヒホッフの法則より、反射率Rと放射率εは次の式で表される。
キルヒホッフの法則より、反射率Rが既知であれば、放射率εを算出することができる。
【0143】
ここで、赤外線センサ11による温度算出時の対象温度をTobj、シャッター温度等の基準温度をT、温度感度等による補正温度をTとすると、赤外線センサ11による温度算出時の対象温度Tobj、補正温度Tは次の式で与えられる。


基準温度Tは既知の値であるため、放射率εを算出することで、温度算出時の対象温度Tobjを求めることができる。すなわち、放射率εを用いることで、赤外線センサ11による温度測定の精度を向上することができる。
【0144】
本開示の実施の形態3の変形例1の見守りシステム103a、情報処理装置203a、プログラム303a及び見守り方法によれば、見守り対象者1の状態によらずミリ波センサ40により生体情報が取得可能であり、さらに、異常時には赤外線照射装置50及び赤外線センサ11により放射率εを算出し、頭部3の温度を高精度に取得することができる。すなわち、本開示の実施の形態3の変形例1の見守りシステム103a、情報処理装置203a、プログラム303a及び見守り方法によれば、異常時に、呼吸数、脈拍数、血圧等の生体情報に加え、体温も高精度に取得することができる。
【0145】
また、本開示の実施の形態3の変形例1の見守りシステム103a、情報処理装置203a、プログラム303a及び見守り方法によれば、異常時にのみ、赤外線照射装置50を起動するため、常時赤外線照射装置50を起動するよりも、消費電力を抑制することができる。すなわち、本開示の実施の形態3の変形例1の見守りシステム103a、情報処理装置203a、プログラム303a及び見守り方法によれば、消費電力を抑制しつつ、各種の生体情報を高精度に取得することができる。
【0146】
変形例2.
続いて、実施の形態3の変形例2について説明する。変形例1では、赤外線照射装置50をさらに備え、異常時に赤外線照射装置50により赤外線センサ11が感度を有する赤外線を照射することで、見守り対象者1の頭部3の温度を取得する構成について説明した。変形例2では、赤外線照射装置50の代わりに参照温度装置60を備え、異常時に参照温度装置60が発生する基準光を赤外線センサ11が検出することで、見守り対象者1の頭部3の温度を取得する構成について説明する。
なお、実施の形態3の変形例2では、本開示の実施の形態3又はその変形例1と同一の構成要素には同一の符号を使用し、同一又は対応する部分についての説明は省略する。以下、図面を参照して、実施の形態3の変形例2に係る見守りシステム103bについて説明する。本開示の実施の形態3の変形例2は、見守りシステム103bと、見守りシステム103bに係る処理を実行する情報処理装置203bと、見守りシステム103bに係る処理をコンピュータに実行させるプログラム303bと、見守りシステム103bを用いた見守り方法とに関するものである。
【0147】
本開示の実施の形態3の変形例2に係る見守りシステム103bの構成について、図23を用いて説明する。図23は、見守りシステム103bのシステムブロック図である。
【0148】
図23に示すように、実施の形態3の変形例2に係る見守りシステム103bは、実施の形態2又は3と同様の赤外線センサ11及びミリ波センサ40と、情報処理装置203bと、参照温度装置60と、を備える。情報処理装置203bは、処理部320bと、記憶部330bと、を備える。処理部320bは、実施の形態3の処理部320において、頭部温度取得部28の代わりに頭部温度取得部28bを備えるとともに、参照温度装置制御部29をさらに備える。記憶部330bは、プログラム303bと、データベース31と、を記憶する。プログラム303bは、処理部320bの機能を実行させるためのコンピュータプログラムである。
【0149】
参照温度装置60は、赤外線センサ11の基準光を発生する装置であり、例えば、黒体炉である。参照温度装置60は、判定部26により異常と判定された場合に、参照温度装置制御部29により起動される。
【0150】
赤外線センサ11は、見守り対象者1が放射する赤外線、及び、参照温度装置60が発生する基準光を検出する。頭部温度取得部28bは、赤外線センサ11が検出した基準光に基づいて、赤外線センサ11の温度感度を補正、すなわち、見守り対象者1が放射する熱エネルギーの情報を補正することで、頭部3の温度を取得する。
【0151】
本開示の実施の形態3の変形例2の見守りシステム103b、情報処理装置203b、プログラム303b及び見守り方法によれば、見守り対象者1の状態によらずミリ波センサ40により生体情報が取得可能であり、さらに、異常時には参照温度装置60により赤外線センサ11の温度感度を補正し、頭部3の温度を高精度に取得することができる。すなわち、本開示の実施の形態3の変形例2の見守りシステム103b、情報処理装置203b、プログラム303b及び見守り方法によれば、異常時に、呼吸数、脈拍数、血圧等の生体情報に加え、体温も高精度に取得することができる。
【0152】
また、本開示の実施の形態3の変形例2の見守りシステム103b、情報処理装置203b、プログラム303b及び見守り方法によれば、異常時にのみ、参照温度装置60を起動するため、常時参照温度装置60を起動するよりも、消費電力を抑制することができる。すなわち、本開示の実施の形態3の変形例2の見守りシステム103b、情報処理装置203b、プログラム303b及び見守り方法によれば、消費電力を抑制しつつ、生体情報を高精度に取得することができる。
【0153】
以上、各実施の形態に基づいて本開示について説明したが、本開示は各実施の形態に限定されるものではない。また、各実施の形態を、適宜、組み合わせたり、変形や省略したりすること等も、本開示の技術的思想の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0154】
1 見守り対象者
2 被測定箇所
3 頭部
4 胴体部
10 光センサ
11 赤外線センサ
20、220、320 処理部
21、221、321 光センサ制御部
22、222 頭部位置推定部
23 被測定箇所推定部
24 ミリ波センサ制御部
25 生体情報取得部
26 判定部
27 赤外線照射装置制御部
28 頭部温度取得部
29 参照温度装置制御部
30、230、330 記憶部
31 データベース
40 ミリ波センサ
50 赤外線照射装置
60 参照温度装置
101、102、103 見守りシステム
201、202、203 情報処理装置
301、302、303 プログラム
l 第一距離
L 第二距離
【要約】
見守り対象者の状態によらず、高精度に生体情報を取得することができる見守りシステム101を提供する。
本開示に係る見守りシステム101は、見守り対象者1の頭部の位置を推定する頭部位置推定部22と、頭部位置推定部22が推定した頭部の位置の情報に基づいて、見守り対象者1の被測定箇所2の位置を推定する被測定箇所推定部23と、被測定箇所推定部23が推定した被測定箇所2における見守り対象者1の生体情報を取得する生体情報取得部25と、を備える。
図1
図2
図3
図4
図5
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図11
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図20
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