(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-20
(45)【発行日】2025-03-03
(54)【発明の名称】海岸浸食防止用構造体、海岸浸食防止用構造体の施工方法及び海岸浸食の防止方法
(51)【国際特許分類】
E02B 3/04 20060101AFI20250221BHJP
【FI】
E02B3/04 301
(21)【出願番号】P 2021048027
(22)【出願日】2021-03-23
【審査請求日】2023-05-18
(73)【特許権者】
【識別番号】301003159
【氏名又は名称】国土交通省九州地方整備局長
(73)【特許権者】
【識別番号】510187129
【氏名又は名称】龍南建設株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】521121673
【氏名又は名称】株式会社谷口重機建設
(73)【特許権者】
【識別番号】521121684
【氏名又は名称】株式会社永和産業
(73)【特許権者】
【識別番号】591224766
【氏名又は名称】ナカダ産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092680
【氏名又は名称】入江 一郎
(72)【発明者】
【氏名】下 西 浩 治
(72)【発明者】
【氏名】福 永 茂 雄
(72)【発明者】
【氏名】安 藤 光 広
(72)【発明者】
【氏名】杉 田 憲 亮
(72)【発明者】
【氏名】大 江 浩 之
(72)【発明者】
【氏名】石 川 祐 介
(72)【発明者】
【氏名】関 谷 勇 太
【審査官】湯本 照基
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-204216(JP,A)
【文献】特開昭61-072118(JP,A)
【文献】特開平07-102540(JP,A)
【文献】特開2019-082065(JP,A)
【文献】特開2013-108218(JP,A)
【文献】特開平03-217508(JP,A)
【文献】特開昭62-148705(JP,A)
【文献】特開2016-050406(JP,A)
【文献】特開平06-193030(JP,A)
【文献】特開平07-207639(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02B 3/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
並設した土嚢と、
この並設した土嚢の周囲を覆うネットとを備え、
前記並設した土嚢を内在した前記ネットが海岸の岸側に設置されている
海岸浸食防止
用構造体であって、
袋体でないシート状の前記ネットの上に並設した前記土嚢の周囲を前記ネットで覆っ
たものである
ことを特徴とする海岸浸食防止用構造体。
【請求項2】
並設した土嚢と、
この並設した土嚢の周囲を覆う袋体でないシート状のネットとを備え、
前記並設した土嚢を内在した前記ネットが海岸の岸側に設置されている海岸浸食防止
用構造体であって、
並設した
前記土嚢は、平面視、略V字形状であり、この略V字形状の開口部は、海側に臨むように設置すると共に、前記略V字形状の開口部は、海から遠ざかる方向に、狭まるように設置
し、
打ち寄せた海水が前記海岸浸食防止用構造体に当たり、前記海岸浸食防止用構造体を
超えた前記海水が海に戻る際、前記略V字形状の先端より2方向へ分流され、衝撃力を緩
和させ、前記海岸浸食防止用構造体の破損を防止すると共に、前記海岸浸食防止用構造体
の海側へ移動するのを阻止することができる
ことを特徴とす
る海岸浸食防止用構造体。
【請求項5】
並設した土嚢と、
この並設した土嚢の周囲を覆うネットとを備え、
前記並設した土嚢を内在した前記ネットが海岸の岸側に設置されている海岸浸食防止
用構造体であって、
土嚢設置工程は、
前記土嚢を、平面視、略V字形状であり、この略V字形状の開口部は、海側に臨むように設置すると共に、前記略V字形状の開口部は、海から遠ざかる方向に、狭まるように設置
し、
打ち寄せた海水が前記海岸浸食防止用構造体に当たり、前記海岸浸食防止用構造体を
超えた前記海水が海に戻る際、前記略V字形状の先端より2方向へ分流され、衝撃力を緩
和させ、前記海岸浸食防止用構造体の破損を防止すると共に、前記海岸浸食防止用構造体
の海側へ移動するのを阻止することができる
ことを特徴とする請求項4記載の海岸浸食防止用施工方法。
【請求項6】
海岸の岸側に
袋体でないシート状のネットを敷設するネット敷設工程と、
このネット敷設工程で敷設された前記ネットの上に、土嚢を
平面視、略V字形状にな
るように複数設置する土嚢設置工程と、
この土嚢設置工程で設置された前記複数の土嚢の周囲を前記ネットで覆う覆い工程と、
この覆い工程で覆われた前記ネットが開かないように結束部材で結束して海岸浸食防止用構造体を形成する形成工程と、
この形成工程後、打ち寄せた海水が前記海岸浸食防止用構造体に当たり、前記海岸浸食防止用構造体を超えた前記海水が海に戻る際、海水中の土砂が前記ネットの網目を介して、前記ネット内の並設した前記土嚢の隙間に入り込み、前記海岸浸食防止用構造体の重量を増大させると共に、前記海岸浸食防止用構造体を超えた前記海水が海に戻る際、
前記
略V字形状の先端より2方向へ分流され、衝撃力を緩和させ、前記海岸浸食防止用構造体
の破損を防止し、前記海岸浸食防止用構造体の海側へ移動するのを阻止すると共に、海水中の土砂が前記ネット内の並設した土嚢に堆積する堆積工程を有する
ことを特徴とする海岸浸食の防止方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、海岸浸食防止用構造体、海岸浸食防止用構造体の施工方法及び海岸浸食の
防止方法に係り、特に、簡易に得られる海岸浸食防止用構造体、海岸浸食防止用構造体の
施工方法及び海岸浸食の防止方法に関する。
【背景技術】
【0002】
海岸において、海水の侵入、海水による浸食を防ぐため、袋内に中詰材を充填したサ
ンドパックがある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、上記サンドパックは、現地海岸から水中ポンプで海水を水槽に汲み上げる
と共に、バックホウで中詰め材を水槽内に投入し、水槽内に設置したサンドポンプで中詰
め材と海水をチューブ状の大型の袋内に圧送して充填するもので、「大型の袋」、「水中
ポンプ」、「水槽」、「サンドポンプ」等と大掛かりになるという問題点が生じた。
【0005】
本発明は、上記問題点を考慮した海岸浸食防止用構造体、海岸浸食防止用構造体の施
工方法及び海岸浸食の防止方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の海岸浸食防止用構造体は、並設した土嚢と、この並設した土嚢の周囲を覆うネットとを備え、前記並設した土嚢を内在した前記ネットが海岸の岸側に設置されている海岸浸食防止用構造体であって、袋体でないシート状の前記ネットの上に並設した
前記土嚢の周囲を前記ネットで覆ったものである。
【0007】
また、請求項2記載の海岸浸食防止用構造体は、並設した土嚢と、この並設した土嚢
の周囲を覆う袋体でないシート状のネットとを備え、前記並設した土嚢を内在した前記ネ
ットが海岸の岸側に設置されている海岸浸食防止用構造体であって、並設した前記土嚢は、平面視、略V字形状であり、この略V字形状の開口部は、海側に臨むように設置すると共に、前記略V字形状の開口部は、海から遠ざかる方向に、狭まるように設置し、打ち寄
せた海水が前記海岸浸食防止用構造体に当たり、前記海岸浸食防止用構造体を超えた前記
海水が海に戻る際、前記略V字形状の先端より2方向へ分流され、衝撃力を緩和させ、前
記海岸浸食防止用構造体の破損を防止すると共に、前記海岸浸食防止用構造体の海側へ移
動するのを阻止することができるものである。
【0008】
また、請求項3記載の海岸浸食防止用構造体は、請求項2記載の海岸浸食防止用構造体において、打ち寄せた海水が海岸浸食防止用構造体に当たり、前記海岸浸食防止用構造体を超えた前記海水が海に戻る際、海水中の土砂がネットの網目を介して、ネット内の並設した土嚢の隙間に入り込み、前記海岸浸食防止用構造体の重量を増大させると共に、前記海岸浸食防止用構造体を超えた前記海水が海に戻る際、海水中の土砂が前記ネット内の並設した土嚢に堆積するものである。
【0009】
また、請求項4記載の海岸浸食防止用構造体の施工方法は、海岸の岸側に袋体でない
シート状のネットを敷設するネット敷設工程と、このネット敷設工程で敷設された前記ネットの上に、土嚢を複数設置する土嚢設置工程と、この土嚢設置工程で設置された前記複数の土嚢の周囲を前記ネットで覆う覆い工程と、この覆い工程で覆われた前記ネットが開かないように結束部材で結束する結束工程とを有するものである。
【0010】
また、請求項5記載の海岸浸食防止用構造体の施工方法は、請求項4記載の海岸浸食防止用施工方法において、並設した土嚢と、この並設した土嚢の周囲を覆うネットとを備
え、前記並設した土嚢を内在した前記ネットが海岸の岸側に設置されている海岸浸食防止
用構造体であって、土嚢設置工程は、前記土嚢を、平面視、略V字形状であり、この略V字形状の開口部は、海側に臨むように設置すると共に、前記略V字形状の開口部は、海から遠ざかる方向に、狭まるように設置し、打ち寄せた海水が前記海岸浸食防止用構造体に
当たり、前記海岸浸食防止用構造体を超えた前記海水が海に戻る際、前記略V字形状の先
端より2方向へ分流され、衝撃力を緩和させ、前記海岸浸食防止用構造体の破損を防止す
ると共に、前記海岸浸食防止用構造体の海側へ移動するのを阻止することができるものである。
【0011】
また、請求項6記載の海岸浸食の防止方法は、海岸の岸側に袋体でないシート状のネットを敷設するネット敷設工程と、このネット敷設工程で敷設された前記ネットの上に、土嚢を平面視、略V字形状になるように複数設置する土嚢設置工程と、この土嚢設置工程で設置された前記複数の土嚢の周囲を前記ネットで覆う覆い工程と、この覆い工程で覆われた前記ネットが開かないように結束部材で結束して海岸浸食防止用構造体を形成する形成工程と、この形成工程後、打ち寄せた海水が前記海岸浸食防止用構造体に当たり、前記海岸浸食防止用構造体を超えた前記海水が海に戻る際、海水中の土砂が前記ネットの網目を介して、前記ネット内の並設した前記土嚢の隙間に入り込み、前記海岸浸食防止用構造体の重量を増大させると共に、前記海岸浸食防止用構造体を超えた前記海水が海に戻る際、前記略V字形状の先端より2方向へ分流され、衝撃力を緩和させ、前記海岸浸食防止用
構造体の破損を防止し、前記海岸浸食防止用構造体の海側へ移動するのを阻止すると共に
、海水中の土砂が前記ネット内の並設した土嚢に堆積する堆積工程を有するものである。
【発明の効果】
【0012】
請求項1記載の海岸浸食防止用構造体によれば、並設した土嚢と、この並設した土嚢
の周囲を覆うネットとを備え、前記並設した土嚢を内在した前記ネットが海岸の岸側に設
置されているため、「複数の土嚢用袋」、「ネット」があれば、袋に詰める土砂は、例え
ば、海岸の岸側にある土砂を詰めれば良く、簡易に、海岸浸食を防止することができ、し
かも、使用を継続することにより、打ち寄せた海水が海岸浸食防止用構造体に当たり、海
岸浸食防止用構造体を超えた海水が海に戻る際、海水中の土砂がネットの網目を介して、
ネット内の並設した土嚢の隙間に入り込み、海岸浸食防止用構造体の重量を増大させると
共に、ネット内の並設した土嚢の周囲を覆って、周囲の景観に同化させることができる。
【0013】
また、請求項2記載の海岸浸食防止用構造体によれば、上述した請求項1記載の発
明の効果に加え、並設した土嚢は、平面視、略V字形状であり、この略V字形状の開口部
は、海側に臨むように設置すると共に、前記略V字形状の開口部は、海から遠ざかる方向
に、狭まるように設置するため、打ち寄せた海水が海岸浸食防止用構造体に当たり、海岸
浸食防止用構造体を超えた海水が海に戻る際、略V字形状の先端より2方向へ分流され、
衝撃力を緩和させ、海岸浸食防止用構造体の破損を防止すると共に、海岸浸食防止用構造
体の海側へ移動するのを阻止することができる。
【0014】
また、請求項3記載の海岸浸食防止用構造体によれば、並設した土嚢と、この並設し
た土嚢の周囲を覆うネットとを備え、前記並設した土嚢を内在した前記ネットが海岸の岸
側に設置されているため、「複数の土嚢用袋」、「ネット」があれば、袋に詰める土砂は
、例えば、海岸の岸側にある土砂を詰めれば良く、簡易に、海岸浸食を防止することがで
き、しかも、使用を継続することにより、打ち寄せた海水が海岸浸食防止用構造体に当た
り、海岸浸食防止用構造体を超えた海水が海に戻る際、海水中の土砂がネットの網目を介
して、ネット内の並設した土嚢の隙間に入り込み、海岸浸食防止用構造体の重量を増大さ
せると共に、ネット内の並設した土嚢の周囲を覆って、周囲の景観に同化させることがで
きる。
【0015】
また、請求項4記載の海岸浸食防止用構造体の施工方法によれば、海岸の岸側にネッ
トを敷設するネット敷設工程と、このネット敷設工程で敷設された前記ネットの上に、土
嚢を複数設置する土嚢設置工程と、この土嚢設置工程で設置された前記複数の土嚢の周囲
を前記ネットで覆う覆い工程と、この覆い工程で覆われた前記ネットが開かないように結
束部材で結束する結束工程とを有するため、簡易に、施工することができ、しかも、使用
を継続することにより、打ち寄せた海水が海岸浸食防止用構造体にあたり、海岸浸食防止
用構造体を超えた海水が海に戻る際、海水中の土砂がネットの目を介して、ネット内の並
設した土嚢の隙間に入り込み、海岸浸食防止用構造体の重量を増大させると共に、ネット
内の並設した土嚢の周囲を覆って、周囲の景観に同化させることができる。
【0016】
また、請求項5記載の海岸浸食防止用構造体の施工方法によれば、上述した請求項4
記載の発明の効果に加え、並設した土嚢は、平面視、略V字形状であり、この略V字形状
の開口部は、海側に臨むように設置すると共に、前記V字形状の開口部は、海から遠ざか
る方向に、狭まるように設置するため、打ち寄せた海水が海岸浸食防止用構造体に当たり
、海岸浸食防止用構造体を超えた海水が海に戻る際、略V字形状の先端より2方向へ分流
され、衝撃力を緩和させ、海岸浸食防止用構造体の破損を防止すると共に、海岸浸食防止
用構造体の海側へ移動するのを阻止することができる。
【0017】
また、請求項6記載の海岸浸食の防止方法によれば、海岸の岸側にネットを敷設する
ネット敷設工程と、このネット敷設工程で敷設された前記ネットの上に、土嚢を複数設置
する土嚢設置工程と、この土嚢設置工程で設置された前記複数の土嚢の周囲を前記ネット
で覆う覆い工程と、この覆い工程で覆われた前記ネットが開かないように結束部材で結束
する結束工程とを有するため、簡易に、施工することができ、しかも、堆積工程により、
打ち寄せた海水が海岸浸食防止用構造体にあたり、海岸浸食防止用構造体を超えた海水が
海に戻る際、海水中の土砂がネットの目を介して、ネット内の並設した土嚢の隙間に入り
込み、海岸浸食防止用構造体の重量を増大させると共に、ネット内の並設した土嚢の周囲
を覆って、周囲の景観に同化させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】
図1は、本発明の一実施例の海岸浸食防止用構造体の設置状態を示す概略的断面図である。
【
図2】
図2は、
図1の海岸浸食防止用構造体の施工方法を示すもので、
図2(a)は、施工現場である海岸の岸側にネットが設置された状態の概略的側面図であり、
図2(b)は、
図2(a)の概略的平面図である。
【
図3】
図3(a)は、
図2(a)のネットに土嚢を設置された状態の概略的側面図であり、
図3(b)は、
図3(a)の概略的平面図である。
【
図4】
図4(a)は、
図3(a)のネットを被せる状態の概略的側面図であり、
図4(b)は、
図4(a)の概略的平面図である。
【
図5】
図5(a)は、
図4(a)のネットの長手を結束する状態の概略的側面図であり、
図5(b)は、
図5(a)の概略的平面図である。
【
図6】
図6(a)は、
図5(a)のネットの短手を結束する状態の概略的側面図であり、
図6(b)は、
図6(a)の概略的平面図である。
【
図7】
図7は、
図1の海岸浸食防止用構造体の設置状態と異なる他の実施例の概略的平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の一実施例の海岸浸食防止用構造体、海岸浸食防止用構造体の施工方法及び海
岸浸食の防止方法について、
図1乃至
図7を参照して説明する。
図1に示すKは海岸の岸側に設置される海岸浸食防止用構造体である。
【0020】
この海岸浸食防止用構造体Kは、並設した土嚢1と、この並設した土嚢1の周囲(並
設した土嚢1の底面、頂面、底面と頂面との間の側面)を覆うネット2とを備えている。
土嚢1は、例えば、約1トン~約2トン程度の土砂等を収納するもので、複数の土嚢
1を、例えば、海岸線に沿って直線状に複数列設置するものである。複数の土嚢1は、例
えば、10個~60個程度である。
【0021】
そのため、「複数の土嚢用袋」、「ネット」があれば、袋に詰める土砂は、例えば、
海岸の岸側にある土砂を詰めれば良く、簡易に、海岸浸食を防止することができ、しかも
、使用を継続することにより、打ち寄せた海水が海岸浸食防止用構造体Kに当たり、海岸
浸食防止用構造体Kを超えた海水が海に戻る際、海水中の土砂がネット2の網目を介して
、ネット2内の並設した土嚢1の隙間に入り込み、海岸浸食防止用構造体Kの重量を増大
させると共に、ネット2内の並設した土嚢1の周囲を覆って、周囲の景観に同化させるこ
とができる。
【0022】
上述した海岸浸食防止用構造体Kは、以下のようにして施工される。
海岸浸食防止用構造体の施工方法は、先ず、
図2に示すように、海岸の岸側にネット
2を敷設する(ネット敷設工程)。
ネット2は、例えば、縦約11m、横約7.6mの長方形状で、ネット2の目の大き
は、例えば、約50mm四方の網目(50mmより小さくなればなる程、例えば、5mm
程度になると砂の補足性能が上がり、景観が更に良くなる。)で、ネット2を構成する繊
維の太さは、例えば6.3mmである。
このネット敷設工程で敷設されたネット2の上に、
図3に示すように、土嚢1を複数
設置する(土嚢設置工程)。
土嚢1は、例えば、直径約1m 高さ約1mの円柱形状で、土嚢1は、
図3(b)に
示すように、上下1mを残して、土嚢1を2列(1列は、例えば、土嚢1を5個並設する
。)に配置する。なお、土嚢1を例えば、ネット2の長手方向の端から約1m、短手方向
の端から約2.1mの位置を始点21として配置していく。
この土嚢設置工程で設置された複数の土嚢1の周囲を、
図4及び
図5に示すように、
ネット2で覆う(覆い工程)。
この覆い工程で覆われたネット2が開かないように結束部材(例えば、ロープR)で
結束する(結束工程)。結束は、ネット2の長手及び短手を結束する(
図6)。
なお、土嚢1単体では、波が衝突した場合に容易に転倒、流出するが、ネット2で併
設した土嚢1、併設した土嚢1の上に積層した土嚢1等をネット2で包んで群体とすること
により、波による転倒、流出を防ぐことができる。
【0023】
なお、上記結束工程は、形成工程でもある。即ち、覆い工程で覆われたネット2が開
かないように結束部材(例えば、ロープR)で結束して海岸浸食防止用構造体を形成する
(形成工程)。結束部材は、ロープR以外には、例えば、ファスナー、結束バンド、紐、
シャックル、ボルト等である。
この形成工程後、打ち寄せた海水が海岸浸食防止用構造体Kに当たり、海岸浸食防止
用構造体Kを超えた海水が海に戻る際、海水中の土砂がネット2の網目を介して、ネット
2内の並設した土嚢1の隙間に入り込み、海岸浸食防止用構造体Kの重量を増大させると
共に、前記海に戻る際、海水中の土砂がネット2内の並設した土嚢1に堆積する(堆積工
程)。
【0024】
上述したネット敷設工程、土嚢設置工程、覆い工程、形成工程、堆積工程を有した海
岸浸食の防止方法により、「複数の土嚢用袋」、「ネット」があれば、袋に詰める土砂は
、例えば、海岸の岸側にある土砂を詰めれば良く、簡易に、海岸浸食を防止することがで
き、しかも、堆積工程により、打ち寄せた海水が海岸浸食防止用構造体Kに当たり、海岸
浸食防止用構造体Kを超えた海水が海に戻る際、海水中の土砂がネット2の網目を介して
、ネット2内の並設した土嚢1の隙間に入り込み、海岸浸食防止用構造体の重量を増大さ
せると共に、ネット2内の並設した土嚢1の周囲を覆って、周囲の景観に同化させること
ができる。
なお、堆積工程は、海岸浸食防止用構造体Kを海岸の岸側に設置し、使用を継続する
ことにより得られるものである。
【0025】
なお、結束工程後、土嚢1が破れた場合、土嚢1が破れた部位のネット2を破り、前
記破れた土嚢1を除去するか、又は、破れた土嚢1をそのままとし、破ったネット2の部
位から新たな土嚢1を入れ、その後、破ったネット2を補修する(ネット補修工程)を有
するようにしても良い。かかる場合、簡易かつ迅速に補修することができる。
【0026】
また、上述した実施例にあっては、複数の土嚢1を海岸線に沿って直線状に複数列設
置するようにしたが、本願発明にあっては、これに限らず、図示しないが、直線状に複数
列設置した複数の土嚢1のそれぞれに土嚢1を積層しても良いし、また、図示しないが、
直線状に複数列設置した複数の土嚢1の境の上に土嚢1を積層しても良いし、要は、図示
しないが、直線状に複数列設置した複数の土嚢1の上に土嚢1を積層すれば良く、また、
図7に示すように、並設した土嚢を、平面視、略V字形状にしても良い。
この略V字形状の開口部V1は、海側に臨むように設置すると共に、略V字形状の開
口部V1は、海から遠ざかる方向に、狭まるように設置する。
【0027】
この海岸浸食防止用構造体Kにあっては、打ち寄せた海水が海岸浸食防止用構造体K
に当たり、海岸浸食防止用構造体Kを超えた海水が海に戻る際、略V字形状の先端より2
方向へ分流され、衝撃力を緩和させ、海岸浸食防止用構造体Kの破損を防止すると共に、
海岸浸食防止用構造体Kの海側へ移動するのを阻止することができる。
【0028】
なお、この場合の海岸浸食防止用施工方法は、上述の土嚢設置工程は、土嚢1を、平
面視、略V字形状であり、この略V字形状の開口部V1は、海側に臨むように設置すると
共に、前記略V字形状の開口部V1は、海から遠ざかる方向に、狭まるように設置する。
その後は、上述と同様、覆い工程、結束工程を経ることとなる。
【符号の説明】
【0029】
K 海岸浸食防止用構造体
1 土嚢
2 ネット