(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-20
(45)【発行日】2025-03-03
(54)【発明の名称】加圧焼結によりプリフォームから複雑な形を有する部品を製造する方法
(51)【国際特許分類】
B22F 10/60 20210101AFI20250221BHJP
B22F 10/18 20210101ALI20250221BHJP
B22F 10/14 20210101ALI20250221BHJP
B22F 10/16 20210101ALI20250221BHJP
B22F 10/43 20210101ALI20250221BHJP
B22F 10/30 20210101ALI20250221BHJP
B22F 3/16 20060101ALI20250221BHJP
B33Y 10/00 20150101ALI20250221BHJP
【FI】
B22F10/60
B22F10/18
B22F10/14
B22F10/16
B22F10/43
B22F10/30
B22F3/16
B33Y10/00
(21)【出願番号】P 2021516748
(86)(22)【出願日】2019-10-01
(86)【国際出願番号】 EP2019076550
(87)【国際公開番号】W WO2020070107
(87)【国際公開日】2020-04-09
【審査請求日】2022-09-15
(32)【優先日】2018-10-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】521117366
【氏名又は名称】ノリマット
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】ベイネット,ヤニック
(72)【発明者】
【氏名】エフェレ,ロマン
【審査官】萩原 周治
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/077028(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/189312(WO,A2)
【文献】国際公開第2016/030654(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/179052(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第108480643(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B22F 1/00-8/00
B22F 10/00-12/90
B33Y 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
3Dアディティブプリントおよび加圧焼結の技術を活用した連続層堆積によって、複雑な形を有する部品(3;8)を製造する方法であって、
金属合金、セラミック、複合材、及び、溶失材をベースとした多孔性材料あるいは粉末材料から選択される材料より、デジタル制御により実施される三次元(3D)アディティブプリント法を活用して、堆積された連続層の生成によって、
型(1;4)を作製する工程と、
高密度化対象となる多孔あるいは粉末状の材料を、
前記型(1;4)で成形することによって得
たプリフォーム(1;6)を、成形型(2)に入れる工程と、を備え、
前記成形型(2)は、前記プリフォーム(1;6)に加え、多孔性あるいは粉末状の犠牲材(13;9)で満たされ、前記成形型(2)を一軸高密度化加圧焼結(10)し、最終的に成形型(2)から取り出すことで、部品(3;8)が完成する、ことを特徴とする製造方法。
【請求項2】
前記3Dアディティブプリント法は、ステレオリソグラフィ、バインダジェット、制御押出成形、融合フィラメント加工、インクジェットプリント、及び、エアロゾルジェットプリントから選択される、ことを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記成形型(2)への投入前に、境界層(11;7)が前記プリフォームの少なくとも一面(1i、1e;5i、5e)上に配置される、ことを特徴とする請求項1または2に記載の製造方法。
【請求項4】
前記プリフォーム、前記境界層、及び、前記犠牲材の材料は、焼結開始・終了時の温度で、それぞれ類似した高密度化挙動を示す、ことを特徴とする請求項3に記載の製造方法。
【請求項5】
前記犠牲材(13;9)は、セラミック、シリカ、金属珪酸塩、複合材から選択される、ことを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項6】
前記セラミックは、YSZ、ATZ、ZTA、圧縮前より40%~80%の範囲の密度が高くなる高密度化度合を発揮するアルミナから選択される、ことを特徴とする請求項5に記載の製造方法。
【請求項7】
グラファイト、酸化イットリウム、及び、窒化ホウ素から選択される材料からなる層によって、前記境界層を形成する、ことを特徴とする請求項3または4に記載の製造方法。
【請求項8】
前記境界層(11;7)は、吹き付け、粉末積層、および適切な形状を有するシートの形で付与される、ことを特徴とする請求項3または4に記載の製造方法。
【請求項9】
製造部品の金属合金は、チタン合金、ステンレススチール、及び、レネ系に属するニッケル系超合金から選択される、ことを特徴とする請求項1~8のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項10】
3Dアディティブプリント実行時、200℃~600℃の温度、かつ、0.1℃/分~1℃/分の温度上昇率で熱処理を行うことによって、前記プリフォーム(1;6)からバインダを取り出す工程を実施する、ことを特徴とする請求項1~9のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項11】
バインダを取り出す前記工程に続いて、600℃~1,500℃の温度で、前記プリフォーム(1;6)を熱処理する予備焼結工程を実施する、ことを特徴とする請求項10に記載の製造方法。
【請求項12】
多孔性あるいは粉末状の材料からなる前記成形型(1)は、高密度化前に、前記プリフォームを作製し、
前記プリフォーム(1)を投入する前後に、前記成形型(2)を、多孔性又は粉末状の犠牲材(13)で満たす、ことを特徴とする請求項1~11のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項13】
アディティブプリントにより、前記成形型(4)が失材から作製され、多孔性あるいは粉末状の材料からなる対向面(5)が、前記成形型(4)の周囲に形成され、
前記失材が除去されると、加圧焼結用の前記成形型(2)に投入される前に、前記対向面(5)が、前記成形型(4)に合わせて前記プリフォーム(6)を構成する、高密度化される材料で満たされ、
前記犠牲材(9)が前記成形型(2)に追加され、
前記加圧焼結(10)後、前記部品(8)が前記対向面(5)から取り出される、ことを特徴とする請求項1~11のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項14】
アディティブプリントにより、前記成形型(4)が失材から作製され、多孔性あるいは粉末状の材料からなる対向面(5)が、前記成形型(4)の周囲に形成され、
前記失材が除去されると、加圧焼結用の前記成形型(2)に投入される前に、前記対向面(5)が、前記成形型(4)に合わせて前記プリフォーム(6)を構成する、高密度化される材料で満たされ、
前記犠牲材(9)が前記成形型(2)に追加され、
前記加圧焼結(10)後、前記部品(8)が前記対向面(5)から取り出される、ことを特徴とする請求項3に記載の製造方法。
【請求項15】
前記対向面(5)の材料は、セラミック、シリカ、金属珪酸塩、及び、複合材から選択され、
前記材料は、前記プリフォーム(1;6)、前記犠牲材(13;9)、及び、前記境界層(7)の材料と同様に、焼結開始・終了時の温度で、同様の高密度化挙動を示す、ことを特徴とする請求項14に記載の製造方法。
【請求項16】
前記セラミックは、YSZ、ATZ、ZTA、及び、圧縮前より40%~80%の範囲の密度が高くなる、高密度化度合を発揮するアルミナから選択される、ことを特徴とする請求項15に記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アディティブ法によって作製されたプリフォームから、加圧焼結により、複雑な形を有する部品を製造する方法に関する。
【0002】
本発明は、部品製造分野、特に、多孔性材料あるいは粉末材料を高密度化することで、産業機械部品を製造する分野に関する。当分野は、一軸あるいは多軸、静水圧負荷下での焼結、例えば、特に、熱間等方圧プレス、SPS(spark plasma sintering)として知られる高圧放電焼結、あるいは選択的レーザー焼結による、高密度化に関するあらゆる技術を含む。
【0003】
より詳しくは、SPS焼結技術において、超微細構造を有する高密度材料を素早く得るため、一定の体積を有するセラミック、ポリマー、あるいは金属粉が、導電性成形型内で固められる。こうした圧密は、負荷を同時に与えることによって実現される(例えば、約100MPaの、成形型にかかる高い一軸圧力、および500~10,000Aの、成形型内の高強度パルス直流から発せられる熱により、粉末の焼結は、全体で、たった数分で完了する)。
【0004】
このSPS焼結技術における主たる利点としては、高い温度上昇率および、高温下での比較的短い滞留時間により、材料の高密度化を、結晶成長を全く伴うことなく、あるいは、非常に少ない結晶成長で、実現されることが挙げられる。
【背景技術】
【0005】
特に、厚さに実質な違いのある、複雑な形を有する部品の場合、限られた空間および時間内で、厚みが異なる領域間の不均一な材料を取り外すため、SPS焼結技術での一軸圧力には、不均質な高密度化を招いてしまうという欠点がある。一般的に、複雑な形とは、厚さにバリエーションを持たせた、あるいは均等な厚みの、種々の湾曲部を有する形、厚さに大きな変化がある一方、湾曲部にバリエーションを持たせた、あるいは一定の湾曲部を有する形、および/または幾何学的欠けがある形を指す。
【0006】
高密度化の不均質性という欠点を補うため、特許文献1では、粉末状(あるいは多孔性)材料と、その部品を作製するために特注した成形型の対向面との間に、変形境界層を追加することが提案されている。
【0007】
しかしながら、焼結技術には、成形型からの取り出しが容易ではない、成形型あるいは成形型対向面を使用する際の問題もある。これは、部品が複雑な形を有している場合、特に、取り出しづらいアンダーカットや、部品を一部壊さない限り、成形型から取り外すことが困難なテーパード型を形成する場合に顕著である。
【0008】
対向面は、対向面を不活性界面で覆い、バインダにより凝集されたセラミック粉末層をプレスすること、あるいは、セラミック粉末をポリマープリフォーム上に固めることで得たプリント版であってもよい。こうした技術は、アンダーカットのような複雑な形、および界面による覆いが必要な対向面の表面の状態といった問題ゆえに、取り出しやすさの形状に、実質的な制限がある。
【0009】
成形型から取り外せるアンダーカットに合った対向面の作製において、成形型からの取外しの際の問題を回避するため、対向面の数を複数にする必要があった。そのため、対向面のそれぞれに特注したツールの作製が必要となり、その結果、設計、機械工程の手間が増える。また、多くの対向面を組み立てることにより、欠陥(完成部品の形状が一致しない、早期段階での亀裂、材料ロス等)の原因となる。
【0010】
材料を高密度化することにより、複雑な形を有する部品を作製するにあたり、HIP(熱間等方圧プレス)として知られる多軸静水圧負荷技術を使用することが慣行として知られている。こうした技術は、例えば、特許文献2に示されている。特許文献2では、アディティブプリント法により予備成形された対象物の外装を完全に覆う圧力転写材で満たされた高密度化用の炉を使用することが提案されている。これにより、異なる密度を有する外装および内容積を得ることができる。こうした手法は、HIP技術においても、省スペースとは言い難く、複雑で、時間がかかるものである。
【0011】
あるいは、HIP技術による部品製造に関する特許文献3の成形型は、セラミックで覆われた、部品成型用犠牲型を利用して作製される。空洞を形成するため、成形型を取り出し、そして、金属層をセラミックに塗布する。それにより、金属粉を充填し、HIP技術用容器に載置する成形型を構成する。この手法は、依然として複雑で、HIP技術を必要とする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【文献】仏国特許出願3042992号明細書
【文献】国際公開第2016/189312号明細書
【文献】国際公開第2016/030654号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、こうした問題を解決することを目的とし、一軸高密度化と組み合わせた、デジタル制御されたアディティブ技術によって製造された部品のプリフォームを使用することを提案するものである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
より具体的には、本発明の目的は、3Dアディティブプリントおよび加圧焼結の技術を活用した連続層堆積によって、複雑な形を有する部品を製造する方法を提供することである。前記方法は、下記工程を含む。まず、最初の工程として、金属合金、セラミック、複合材や、溶失材をベースとした多孔性材料あるいは粉末材料から選択される材料より、型を作製する。デジタル制御により実施される三次元(3D)アディティブプリント法を活用し、金属合金、セラミック、複合材や、溶失材をベースとした多孔あるいは粉末状の材料から選択される材料で、層を連続堆積し、プリフォームを生成する。続いての工程では、高密度化対象となる多孔あるいは粉末状の材料を、成形型で成形することによって得たプリフォームを、成形型に入れる。前記成形型は、このプリフォームに加え、多孔性あるいは粉末状の犠牲材で満たされる。そして、成形型を一軸高密度化加圧焼結し、最終的に成形型から取り出すことで、部品が完成する。
【0015】
特に、3Dアディティブプリント法は、ステレオリソグラフィ、バインダジェット、制御押出成形、融合フィラメント加工、インクジェットプリント、そしてエアロゾルジェットプリントから選択される。
【0016】
さらに、一軸高密度化により、物理化学的均質性および部品寸法における正確性を得ながら、HIPの三次元静水圧高密度化と比べて、高密度化をより容易に実現することがきる。
【発明の効果】
【0017】
本発明の効果としては、以下のものが挙げられる。
・犠牲材は、セラミック、シリカ、金属珪酸塩、複合材から選択される材料である。
・セラミックは、粉末状のYSZ(イットリア安定化ジルコニア)、ATZ(アルミナ強化ジルコニア)、ZTA(ジルコニア強化アルミナ)、40%~80%の範囲の高密度化度合を発揮するアルミナから選択され得る。
・プリフォームと犠牲材との間で反応が起こることを防ぐ目的で、成形型にプリフォームを入れる前に、プリフォームの少なくとも一面に、界面層を配置し得る。
・プリフォーム、界面層、そして犠牲材の材料は、焼結開始・終了時の温度において同様の高密度化挙動を示す。
【0018】
3Dアディティブプリント実行時、対向面の材料に合わせて、200℃~600℃の温度、かつ、0.1℃/分~1℃/分の温度上昇率で熱処理を行うことによって、プリフォームからバインダを取り出す工程を効果的に実施し得る。前記工程において、対向面の作製中に、材料に含有された有機化合物を取り出すことが可能となる。
【0019】
さらに、バインダを取り出す工程に続き、予備焼結工程を実施し得る。予備焼結工程では、対向面の材料に合わせて、600℃~1,500℃の高温で対向面を熱処理する。これにより、対向面の高密度化が開始され、機械的強度を高め、界面付与を促進することができる。
【0020】
最初の態様として、成形型は、高密度化前に、直接プリフォームを作製し、プリフォームを投入する前後に、成形型を、多孔性あるいは粉末状の犠牲材で満たす。
【0021】
他の態様として、この方法では、例えば、融点の低いワックスや樹脂といった溶失材から、アディティブプリントにより、成形型を作製する。そして、多孔あるいは粉末状の材料からなる対向面が、型の周囲に生成される。溶失材が除去されると、加圧焼結成形型に入れられ、犠牲材を成形型に追加する前に、対向面は、成形型に合わせたプリフォームをなす、高密度化する材料に満たされる。加圧焼結の実施後、部品が対向面より取り出される。
【0022】
図面において、同一の要素には、同一の参照符号が付される。参照符号は、それが示す要素が記載される一つ、あるいはそれ以上の箇所で参照される。
【0023】
本発明の、さらなる情報、特徴、そして効果は、添付の図面を参照して、以下の、制限を意図しない説明を読み進めることによって明らかにされるものである。図面はそれぞれ以下の通りである。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】
図1は、第1実施形態に係る、プリフォームから複雑な形を有する部品を製造する方法における、主な工程(1A~1F)の一例を示す斜視図である。
【
図2】
図2は、第2実施形態に係る、プリフォームから複雑な形を有する部品を製造する方法における、主な工程(2A~2G)の一例を簡略的に示す模式断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明に係る、プリフォームから複雑な形を有する部品を製造する方法における、主な工程1A~1Fの例を、断面図として
図1に示す。工程1Aでは、製造部品の多孔性金属型1を、3Dアディティブプリント法、本例では、バインダジェットによる連続層へのジェットによって形成する。成形型は、ジェットシステム(不図示)の制御部にあらかじめ保存しておいた構成を再現し、焼結後に得られる部品のプリフォームを構成する。プリフォームにより、本発明に係る製造方法より製造する部品の形状を画定する。
【0026】
部品の材料は、加工前の段階では、金属合金をベースとした、特に、本例においては、チタン合金、チタン-アルミニウム合金、例えば、ステンレススチールやレネ系に属するニッケル系超合金をベースとした粉末状あるいは多孔性材料である。
【0027】
有利なことに、200℃~600℃の間、本例では、400℃の温度で、かつ、0.1℃/分~1℃/分、本例では、0.5℃/分の温度上昇率で熱処理を行うことで、型1の形状のプリフォームからバインダを取り出す。本工程では、3Dプリントで対向面部を作製している間、セラミック粉末内に入り込んだ有機化合物を除去することができる。
【0028】
好ましくは、バインダを取り出した後、予備焼結を行う。予備焼結とは、より高い温度、例えば、使用する材料に合わせて、600℃~1,500℃、本例では、1,200℃の温度で、プリフォーム1に処理を施すものである。熱処理により、対向面部の高密度化を開始することが出来る。これにより、機械的強度を高め、後述のように、一つあるいはそれ以上の界面層の付与を容易にする。
【0029】
有利なことに、工程1Bでは、プリフォーム1の外側面1e(工程1C参照)あるいは内側面1i(工程1A参照)に吹き付けることで、グラファイト界面層11を均一に積層させる。あるいは、グラファイト層がプリフォーム1の両面1iおよび1eに吹き付けられる。グラファイト層11により、成形型1と、粉末状の犠牲材、本例では言えば、セラミックとの間のいかなる反応も防ぐことができる。犠牲材は、成形型からの最終取り出しを容易にする目的で、後工程において積層される。
【0030】
工程1Cでは、グラファイト層11に覆われたプリフォーム1を、SPS加圧焼結成形型2内の、事前に投入されたセラミック粉末の犠牲材(図示せず)の土台上に投入する。次に、犠牲粉末13を成形型2に投入する。これにより、成形型2が、高密度化する材料群で満たされる(工程1C)。犠牲粉により、続いて実施する焼結において、高密度化の差を補うことができる。
【0031】
そして、成形型2にSPS焼結(50MPaの負荷10、3,000アンペアの直電流)が施され、これにより、成形型2内の材料群が高密度化される(工程1E)。続いて、部品3を覆う犠牲材13の部分を、型抜きして除去することで、高密度化された部品3を成形型2から取り外す(工程1F)。
【0032】
他の実施形態によれば、工程2A~2Gを示した
図2の模式図の通り、まず、ロストワックス型4がステレオリソグラフィによってプリントされる(工程2A)。成形型は、本例では、円錐形を有している。
【0033】
そして、図示の例では(工程2B)、細長い形状の円錐対向面5が、ワックス4の周りに設けられる。あるいは、対向面をなす多孔性材料は、セラミック、シリカ、金属珪酸塩、複合材等であってもよい。
【0034】
ワックスを液状化させる、好適な熱処理により、ワックス4を対向面5から除去する。液状化したワックスは、対向面錐5の底面に設けた開口部51から流れ出す(矢印F1)。これにより、完全な空洞ができる(工程2C)。
【0035】
成形型からの取り出しを容易にし、対向面と高密度化する材料との間の、あらゆる反応を防ぐため、有利なことに、対向面5の内側面5iは、グラファイト界面層7で覆われている。あるいは、グラファイト層は、対向面5の面5iおよび5eのうち、少なくとも一つの面に吹き付けられる。
【0036】
工程2Dでは、対向面5は、ワックス型に合わせて製造部品のプリフォーム6を構成する、高密度化する粉末材料で満たされる。そして、対向面5の内側面5iのグラファイト層7は、プリフォーム6を覆う。
【0037】
有利なことに、上述の温度、温度上昇率と同様の条件下で、バインダの取り出し工程および予備焼結工程が実施される。
【0038】
そして、対向面5およびプリフォーム6は、SPS焼結成形型2(工程2E)に投入され、犠牲材9が、成形型2に追加投入される。犠牲材は、本例において、セラミック、シリカ、金属珪酸塩、複合材等から選択される材料である。
【0039】
負荷10と3,000アンペアの直電流を加えることで、SPS高密度化を実行する(工程2F)。犠牲粉により、焼結において、高密度化の差を補うことができる。
【0040】
続いて、犠牲材9および対向面5を除去し、型抜きをすることにより、部品8が成形型2から抜き出される(工程2G)。
【0041】
本発明は、説明し、例示したものに限定されない。したがって、グラファイト以外の多孔あるいは粉末状の材料、特に、酸化イットリウムや窒化ホウ素等からなる界面層であってもよい。
【0042】
第1の態様は、特に、凹凸の対面を有する中空部品に適しており、第2の態様は、両凸を有する立体部品に適している。
【0043】
態様に関わらず、犠牲材、対向面、プリフォーム、そして界面層の材料は、焼結開始・終了時の温度に対して同様の挙動を見せるものであればよい。使用するセラミックは、YSZ(イットリア安定化ジルコニア)、ATZ(アルミナ強化ジルコニア)、ZTA(ジルコニア強化アルミナ)、あるいは40%~80%の範囲の高密度化度合を発揮するアルミナをベースとする粉末状である。
【0044】
さらに、界面層は、吹き付け、粉末に合わせたバインダ(水溶液やRhodovil(登録商標)液等)により結合した粉末積層、適切な形状を有するシート等から選択された方法で付与される。
【0045】
さらに、例示した第1実施形態では、プリフォームは直接型取られる。一般的に、プリフォームは、他の3Dアディティブプリント法により、および/または他の材料を使用することで、基礎型から形成され得る。これにより、部品の材料の選択に合わせて、プリント技術やプリント材料を変更できる。