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特許7637960フィルム矯正装置、デジタル印刷機、及びプラスチックフィルム印刷物の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-20
(45)【発行日】2025-03-03
(54)【発明の名称】フィルム矯正装置、デジタル印刷機、及びプラスチックフィルム印刷物の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B65H 29/70 20060101AFI20250221BHJP
   B41J 2/01 20060101ALI20250221BHJP
   B41J 11/02 20060101ALI20250221BHJP
   B41J 15/04 20060101ALI20250221BHJP
【FI】
B65H29/70
B41J2/01 305
B41J11/02
B41J15/04
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019130044
(22)【出願日】2019-07-12
(65)【公開番号】P2021014351
(43)【公開日】2021-02-12
【審査請求日】2022-07-07
【審判番号】
【審判請求日】2024-01-10
(73)【特許権者】
【識別番号】592040859
【氏名又は名称】クリロン化成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002239
【氏名又は名称】弁理士法人G-chemical
(72)【発明者】
【氏名】住本 充弘
(72)【発明者】
【氏名】松井 美樹
(72)【発明者】
【氏名】清水 仁恵
【合議体】
【審判長】川俣 洋史
【審判官】殿川 雅也
【審判官】門 良成
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-194297(JP,A)
【文献】特開2009-107768(JP,A)
【文献】特開2018-43840(JP,A)
【文献】特開平6-297605(JP,A)
【文献】特開2018-131714(JP,A)
【文献】特表2006-528918(JP,A)
【文献】特開2012-25395(JP,A)
【文献】特表2013-503089(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 11/00 - 11/70
B41J 15/00 - 15/24
B65H 5/02
B65H 5/06
B65H 5/22
B65H 29/12 - 29/24
B65H 29/32
D21B 1/00 - 1/38
D21C 1/00 - 11/14
D21D 1/00 - 99/00
D21F 1/00 - 13/12
D21G 1/00 - 9/00
D21H 11/00 - 27/42
D21J 1/00 - 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ナイロンの層を含む多層プラスチックフィルムの表面にインクジェット方式で印刷するデジタル印刷時におけるインクヘッド下部に、印刷スピードと同調して駆動する吸引孔を有する吸引式の駆動ベルト及び前記吸引孔からフィルムを吸引するための吸引体を設置し、
前記駆動ベルトと前記多層プラスチックフィルムの間の、ベルト幅方向中央部に板状体を備え、
前記駆動ベルト及び前記吸引体を、フィルムを吸引する位置と吸引しない位置とに移動させる機構を有し、
前記駆動ベルトが、フィルム両側辺に相当する位置に前記吸引孔を有し、
前記吸引孔の孔径が3~5mmであり、フィルムのたるみ及び/又は両側辺のカールを抑えるフィルム矯正装置。
【請求項2】
ナイロンの層を含む多層プラスチックフィルムの搬送方向と直交する方向のたるみ及び/又は搬送方向両側辺のカールを矯正するフィルム矯正装置であって、フィルムを吸引するための吸引孔を有し、フィルムの搬送速度に同調してフィルム搬送方向に駆動する駆動ベルトと、前記吸引孔からフィルムを吸引するための吸引体とを備え、
前記駆動ベルトと前記多層プラスチックフィルムの間の、ベルト幅方向中央部に板状体を備え、
前記駆動ベルト及び前記吸引体を、フィルムを吸引する位置と吸引しない位置とに移動させる機構を有し、
前記駆動ベルトが、フィルム両側辺に相当する位置に前記吸引孔を有し、
前記吸引孔の孔径が3~5mmである、フィルム矯正装置。
【請求項3】
前記駆動ベルトが、フィルム搬送方向に沿って複数の吸引孔を有する請求項1又は2に記載のフィルム矯正装置。
【請求項4】
前記駆動ベルトのフィルム搬送方向上流に、フィルムを搬送しつつフィルムの両側辺部を両側辺側に拡げるフィルム拡張部材を有する請求項1~のいずれか1項に記載のフィルム矯正装置。
【請求項5】
前記多層プラスチックフィルムは厚みが30~100μmである請求項1~のいずれか1項に記載のフィルム矯正装置。
【請求項6】
ロール状のプラスチックフィルムを巻き出して搬送する上流側のガイドロールと、巻き出された前記プラスチックフィルムを吸引孔より吸引しつつフィルムを搬送する前記駆動ベルトをインクヘッド下部に位置するフィルム下部に設けられた請求項1~のいずれか1項に記載のフィルム矯正装置と、前記吸引孔より吸引された前記プラスチックフィルム上にデジタル方式によりインキを塗布する前記インクヘッドと、インキが塗布された前記プラスチックフィルムを搬送してロール状に巻き取る下流側のガイドロールと、を備えたデジタル印刷機。
【請求項7】
プラスチックフィルムを搬送しながら、請求項1~のいずれか1項に記載のフィルム矯正装置によりフィルム搬送方向に直交する方向のフィルムのたるみ及び/又は搬送方向のフィルム両側辺のカールを抑えつつ、デジタル印刷によりフィルム上にインキを塗布して印刷層を形成する印刷工程を有する、プラスチックフィルム印刷物の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、グラビア印刷やオフセット印刷のように版下を作製する必要がなく、例えば、プラスチックフィルムなどの被印刷媒体に、微滴化されたインキを直接吹き付けて印刷するデジタル印刷方法に関し、フィルムのたるみと両側辺のカールを効果的に防止することのできる装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、プラスチックフィルム、詳しくは多層プラスチックフィルムへの印刷では、グラビア印刷が主流であった。これに対し、高精細で解像度の高い印刷ができるデジタル印刷がフィルム業界に2007年ころから取り入れられてきている。デジタル印刷はグラビア印刷と異なって版下を作製する必要がないことから、製造コストが安いという特徴がある。また、インクジェット方式で微滴化されたインキを直接吹き付けて印刷する為、鮮やかで綺麗な印刷が可能である。さらに、多品種小ロットで印刷でき、例えば、季節ごとに絵柄を変えた包装体を提供することも可能である。現在、延伸されたPETフィルム、OPPなどに主に裏刷りとして実用化されてきている。
【0003】
しかし、このようなデジタル印刷時に問題となるのは、被印刷媒体であるプラスチックフィルムのたるみと両側辺のカールである。従来のグラビア印刷では、版胴にフィルムを押し付けて印刷するので、フィルムに多少のたるみ、カールがあっても問題にならなかった。しかし、デジタル印刷ではフィルムをガイドロールのみで進めていくため、フィルムのたるみと両側辺のカールを抑えてくれるものがなく、印刷時にインクヘッドとフィルムの距離が現在は数ミリ、1~2mmしか取れなく、フィルムのたるみの部分がインクヘッドに擦れてしまう。デジタル印刷でもインクを連続的に出し続けるコンティヌアスタイプの場合は、インクヘッドとフィルムの間の距離がもっと取れるので、インクヘッドをフィルムが擦ることはないが、印刷の文字や画像が歪んだりして製品出荷できない。
【0004】
フィルムのたるみや両側辺のカールを抑える方法として、フィルム自体の改良について様々な提案がなされている(例えば、特許文献1、2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】国際公開第2018/110639号
【文献】特開2003-175543号公報
【文献】特開2015-47798号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、フィルム自体の改良をしなくとも、フィルムのたるみと両側辺のカールを抑えてくれるような装置があれば良い。従来、インクジェット印刷は紙向けのものが大半を占め、紙の搬送装置に関しては、いくらか提案がされている(例えば特許文献3参照)。しかし、プラスチックフィルム、特に、厚みが厚い(例えば30~100μm)多層プラスチックフィルムのたるみと両側辺のカールを抑えてくれるような装置は、とりわけデジタル印刷時に関しては、いまだに提案がなされていないのが現状である。
【0007】
従って、本発明の目的は、プラスチックフィルムの表面に、インクジェット方式で文字或いは画像などの情報を印刷するデジタル印刷方法において、印刷時のフィルムのたるみや両側辺のカールを抑えることができるフィルム矯正装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意検討した結果、特定のフィルム矯正装置を用いることにより、印刷時のフィルムのたるみや両側辺のカールを抑えることができることを見出した。本発明はこれらの長年の知見に基づいて完成させたものである。
【0009】
すなわち、本発明は、プラスチックフィルムの表面にインクジェット方式で印刷するデジタル印刷方法におけるフィルムのたるみ及び/又は両側辺のカールを抑えるフィルム矯正装置を提供する。
【0010】
上記フィルム矯正装置は、プラスチックフィルムの表面にインクジェット方式で印刷するデジタル印刷時におけるインクヘッド下部に、印刷スピードと同調して駆動する吸引式の駆動ベルト(例えばベルトコンベア)を設置することが好ましい。
【0011】
駆動ベルトの設置位置であるが、インクヘッド下部のみに設置、または、例えば、CMYKインクジェット印刷機など、インクヘッドが4つ搭載されている場合は、インクヘッド下部だけではなく、4つのインクヘッドを合わせた全長と同じ長さのベルトを設置することで、フィルムのたるみと両側辺のカールを防止することができる。
【0012】
ベルト長はインクヘッドに合わせて設定すれば良く、ベルト幅は印刷フィルムの最大幅以上になるように設定することが好ましい。ベルト幅がフィルム幅よりも広いことで、フィルム全体を吸引することができ、効果的にフィルムの両側辺のカールを防止することができる。
【0013】
駆動ベルト(例えばベルトコンベア)内を真空引きし、ベルト上に吸引孔をあけておくことで、フィルムを吸引することができ、フィルムのたるみと両側辺のカールを抑えることが期待できる。ベルトコンベアは印刷スピードと同調して回転させることで、印刷ずれ等を防ぐ。
【0014】
また、本発明は、プラスチックフィルムの搬送方向と直交する方向のたるみ及び/又は搬送方向両側辺のカールを矯正するフィルム矯正装置であって、フィルムを吸引するための吸引孔を有し、フィルムの搬送速度に同調してフィルム搬送方向に駆動する駆動ベルトと、上記吸引孔からフィルムを吸引するための吸引体とを備えたフィルム矯正装置を提供する。
【0015】
上記駆動ベルトは、フィルム搬送方向に沿って複数の吸引孔を有することが好ましい。
【0016】
上記駆動ベルトは、フィルム搬送方向両側辺に相当する位置に吸引孔を有することが好ましい。
【0017】
上記フィルム矯正装置は、上記駆動ベルトと上記プラスチックフィルムの間の、ベルト幅方向中央部に板状体を備えていてもよい。
【0018】
上記フィルム矯正装置は、上記駆動ベルトのフィルム搬送方向上流に、フィルムを搬送しつつフィルムの両側辺部を両側辺側に拡げるフィルム拡張部材を有していてもよい。
【0019】
上記プラスチックフィルムは、厚みが30~100μmの多層プラスチックフィルムであることが好ましい。
【0020】
また、本発明は、ロール状のプラスチックフィルムを巻き出して搬送する上流側のガイドロールと、巻き出された上記プラスチックフィルムを吸引孔より吸引しつつフィルムを搬送する上記駆動ベルトをインクヘッド下部に位置するフィルム下部に設けられた上記フィルム矯正装置と、上記記吸引孔より吸引された上記プラスチックフィルム上にデジタル方式によりインキを塗布する上記インクヘッドと、インキが塗布された上記プラスチックフィルムを搬送してロール状に巻き取る下流側のガイドロールとを備えたデジタル印刷機を提供する。
【0021】
さらに、本発明は、プラスチックフィルムを搬送しながら、上記フィルム矯正装置によりフィルム搬送方向に直交する方向のフィルムのたるみ及び/又は搬送方向のフィルム両側辺のカールを抑えつつ、デジタル印刷によりフィルム上にインキを塗布して印刷層を形成する印刷工程を有する、プラスチックフィルム印刷物の製造方法を提供する。
【0022】
このように、本発明のフィルム矯正装置は、プラスチックフィルムに好ましく適用することができ、とりわけたるみや両側辺のカールがある多層プラスチックフィルムへの印刷には有効である。フィルムのたるみと両側辺のカールを防止し、印刷時のフィルムの平坦性をあげることで、画像などの情報を密着させることができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明のフィルム矯正装置によれば、プラスチックフィルムのたるみや両側辺のカールを抑えることができる。このため、たるみや両側辺のカールがあるプラスチックフィルム、とりわけ多層プラスチックフィルムへの、審美性に優れるデジタル印刷が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明のフィルム矯正装置の一実施形態を示す断面図である。
図2】駆動ベルトの一実施形態を示す上面拡大概略図である。
図3】駆動ベルトの他の一実施形態を示す上面拡大概略図である。
図4】駆動ベルトの他の一実施形態を示す上面拡大概略図である。
図5】駆動ベルトの他の一実施形態を示す上面拡大概略図である。
図6】駆動ベルトの他の一実施形態を示す上面拡大概略図である。
図7】駆動ベルトの他の一実施形態を示す上面拡大概略図である。
図8】駆動ベルトの他の一実施形態を示す上面拡大概略図である。
図9】本発明のフィルム矯正装置の他の一実施形態を示す断面図である。
図10図9におけるフィルム側辺折込防止ローラ付近の上面拡大概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明のフィルム矯正装置は、プラスチックフィルムの表面にインクジェット方式で印刷するデジタル印刷時におけるインクヘッド下部に、印刷スピードと同調して駆動する吸引式のベルトを設置する、フィルムのたるみ及び/又は両側辺のカールを抑えるための装置である。本発明のフィルム矯正装置は、例えば、プラスチックフィルムの搬送方向と直交する方向のたるみ及び/又は搬送方向両側辺のカールを矯正するフィルム矯正装置であって、フィルムを吸引するための吸引孔を有し、フィルムの搬送速度に同調してフィルム搬送方向に駆動する駆動ベルトと、上記吸引孔からフィルムを吸引するための吸引体とを少なくとも備える。
【0026】
図1に、本発明のフィルム矯正装置の一実施形態を示す。図1は、本発明のフィルム矯正装置をデジタル印刷機の一種であるインクジェット印刷機に適用した実施形態である。1はプラスチックフィルム(以下、単に「フィルム」と称する場合がある)、21は吸引孔を有する駆動ベルト(無端ベルト)、22及び23はベルト駆動ロール、2は無端ベルト21及びベルト駆動ロール22,23からなるベルトコンベア、3は吸引体、4は巻出側フィルムロール、5は巻取側フィルムロール、6及び7はガイドロール、8a~8dはインクヘッド、9aは巻出部、9bは塗布部、9cは巻取部である。
【0027】
図1において、フィルム搬送方向Dに沿って、空間が巻出部9aと塗布部9bと巻取部9cとに区分されている。巻出部9aには、巻出側モーター(図示略)によって回転駆動される巻出側フィルムロール4及び上流側のガイドロール6がフィルム搬送方向Dに沿って順次配列されて設けられている。塗布部9b下部には、無端ベルト21、並びに回転することで無端ベルト21を駆動させることが可能な一対の駆動ローラ22及び23からなるベルトコンベア2と、当該ベルトコンベア2の内部、より詳細には、ベルトコンベア2における無端ベルト21のベルト間に設置された吸引体3と、からなるフィルム矯正装置が設置されている。巻取部9cには、ガイドロール7及び巻取側フィルムロール5がフィルム搬送方向Dに沿って順次配列されて設けられている。
【0028】
巻出部9aにおいて、巻出側フィルムロール4には、塗布部9bでインキの塗布対象となるフィルム1がロール状に巻き付けられている。また、このフィルム1は、この巻出側フィルムロール4から巻き出されて塗布部9bを通り、巻取部9cで巻取側フィルムロール5に巻き取られている。
【0029】
塗布部9bでは、フィルム1が搬送方向Dに搬送されながら、無端ベルト21を搬送方向Dにフィルム1の搬送速度と同調して駆動され、無端ベルト21を介して吸引体3によりフィルム1を無端ベルト21側に吸引されることでフィルム1のたるみやカールが解消されつつ、インクヘッド8a~8dから印刷インキが吐出され、例えばインクジェット方式によりフィルム1上に連続的に印刷が施され、印刷層が形成される。無端ベルト21及び駆動ロール22,23からなるベルトコンベアは、フィルム1に対面する側のベルトが搬送方向Dに駆動するために、動力に接続している(図示略)。本発明のフィルム矯正装置は、好ましくは、このようなベルトコンベア2と、上記吸引体3とを少なくとも備える。なお、図1では無端ベルト21を備えたベルトコンベアを用いた例を示したが、本発明のフィルム矯正装置における駆動ベルトは、このような態様に限定されず、有端ベルトを用い、フィルム1と同様に巻出側ロールより巻き出されて搬送方向Dに駆動してもよい。
【0030】
吸引体3は、図1中上面側(すなわち、フィルム1側)に吸引面を有する。無端ベルト21は、吸引体3によりフィルム1を無端ベルト21側に吸引可能とするための吸引孔を有する。吸引体3により、吸引孔を通じてフィルム1を無端ベルト21側に吸引することが可能であり、フィルムのたるみ及び/又は両側辺のカールを抑えることができる。
【0031】
図1に示す態様では、本発明のフィルム矯正装置を構成するベルトコンベア2及び吸引体3は、インクヘッド8a~8dがセットされた位置のフィルム1下部に、吸引体3により吸引孔2aからフィルム1を吸引しつつ、ベルトコンベア2が印刷速度と同調して搬送方向Dに回転することで、吸引しながらフィルム1を搬送方向Dに送るように設置されている。すなわち、ベルトコンベア2及び吸引体3は、インクジェット印刷機のインクヘッド8a~8d下部に位置するフィルム1の下部に、フィルム1を吸引可能な位置に設けられている。これによりフィルム1のたるみ、及び/又は、両側辺のカールを解消することができる。そして、インクジェット印刷機によりデジタル印刷を施す際、フィルム1はたるみ及び両側辺のカールが解消されているため、フィルムの平坦性が向上し、印刷ずれ等を防ぎ、画像などの情報を均一に密着させることができる。このように、本発明のフィルム矯正装置によれば、フィルムへの、審美性に優れるデジタル印刷が可能である。
【0032】
図2は、吸引孔を有する駆動ベルトの一実施形態を示す上面図である。無端ベルト21はベルト面(吸引孔を有するベルト面)がフィルム1と平行となるようにフィルム1の下側に設置されている。吸引孔2aは、フィルム1両側辺に相当する位置に、フィルム搬送方向Dに沿って、すなわち無端ベルト21の周方向全体に亘って、複数設けられている。フィルム搬送方向Dに駆動した際も無端ベルト21上側(フィルム1に対面する側)に吸引孔2aが連続的に存在することとなる。また、吸引孔2aは、ベルト幅方向(フィルム搬送方向Dと直交する方向)に複数設けられており、さらに、このベルト幅方向に複数設けられた吸引孔2a群を一列として、周方向に平行に複数列設けられている。吸引孔2aは、フィルム搬送方向若しくは周方向及びベルト幅方向に、それぞれ、等間隔で設けられている。これにより、均等にフィルム1のたるみや両側辺のカールを抑えることができる。
【0033】
無端ベルト21のベルト幅は、フィルム1の最大幅以上となるように設定されている。そして、フィルム1の両側辺に相当する位置に吸引孔2aが設けられている。このような構成とすることで、吸引体3によりフィルム1の幅方向全体を吸引することができるため、効果的にフィルムの両側辺のカールを防止することができる。
【0034】
本発明のフィルム矯正装置がデジタル印刷機(特にインクジェット印刷機)に適用される場合、図1に示すように、ベルトコンベア2は、塗布部9bにのみ、すなわちインクジェット印刷機のインクヘッド前後に亘る箇所にのみ、インクヘッド下部に位置するフィルムの下部に設けることが好ましい。これにより、インキを直接吹き付ける時のみフィルムのたるみや両側辺のカールを防止することができる。なお、この場合、ベルトコンベア2の長さはインクヘッドの大きさに応じて適宜設定される。また、例えば、CMYKインクジェット印刷機など、インクヘッドがフィルム搬送方向Dに複数搭載されている場合は、1つのインクヘッド下部だけではなく、上記複数のインクヘッドに亘る距離と略同じ(同じ若しくはわずかに長い)長さのベルトコンベア2を設置することで、インキ塗布時に亘ってフィルムのたるみと両側辺のカールを防止することができる。本発明のフィルム矯正装置は1つのインクヘッドごとに(例えばCMYKインクジェット印刷機の場合は4つ)ベルトコンベアを有していてもよいが、複数のインクヘッドに亘る距離と略同じ長さとする場合、1つのベルトコンベア及び吸引体を準備すればよく、安価である。
【0035】
本発明のフィルム矯正装置は、稼働時はフィルムを吸引するために駆動ベルトがフィルムを吸引可能或いは接触する位置となればよく、稼働させない際はフィルムを吸引しない位置となるような可動式であってもよい。このように、本発明のフィルム矯正装置は、駆動ベルト及び吸引体がフィルムを吸引する位置と吸引しない位置とに移動させる機構を有していてもよい。
【0036】
例えば、フィルム1の塗布対象領域が塗布部9bに至ると、無端ベルト21が吸引孔2aから真空吸着可能な状態に設定され、フィルム1のこの塗布対象領域へのインキの塗布のための動作が開始し、フィルム1が搬送方向Dのテンションが掛けられたまま、無端ベルト21を作動させ、フィルム1が真空吸着され側辺部のカールやたるみを矯正する。フィルム1の塗布対象領域が塗布部9bに至る前及び塗布部9bを通過した後では、ベルトコンベア2の動作を停止させてもよく、及び/又は、ベルトコンベア2を例えば退避位置に降下させてもよい。
【0037】
吸引孔2aは、図3に示すように、ベルト幅方向両側辺部(フィルム1の両側辺部に相当する位置)10a及び10cのみに設けられており、幅方向中央部10bに設けられていなくてもよい。このような構成の場合、フィルム1両側辺部のみを吸引することが可能となり、これにより、フィルムの両側辺のカールを抑えることができる。また、同様の目的で、図4に示すように、ベルト幅方向中央部10bにアクリル樹脂板などの板状体11を設置してもよい。なお、板状体11は、幅方向中央部10bにおいてフィルム1を吸引しないようにするため、フィルム1と無端ベルト21の間に設置する。板状体11は、備えられた部分の吸引を阻害する目的で設置されるため、吸引孔を有しない。
【0038】
吸引孔2aの孔径(直径)は、フィルムを充分に吸引でき且つ搬送方向Dに搬送可能となる程度に吸引できるものであればよく、例えば3~5mm程度である。孔径が3mm以上であると、吸引力が充分となり、より効果的にたるみやカールを抑制することができる。孔径が5mm以下であると、吸引力が高くなりすぎず、より適切にフィルムを搬送方向に搬送することができる。
【0039】
吸引孔2aの形は円形であることが望ましいが、本発明の効果を損なわない範囲内で多角形であってもよい。
【0040】
吸引の強さを変えたい場合、吸引孔の大きさを大きくするより、吸引孔の数を増やす方が好ましい。例えば、5~50mm間隔で吸引孔を作製することが好ましい。
【0041】
吸引孔を増やすことが難しい場合、例えば、図5~7に示すように、無端ベルトの一部又は全部を網版2bにすることもできる。なお、網版2bも吸引孔に該当する。これにより、真空度を変えず、吸引力を上げることが可能である。なお、図5~7に示す無端ベルト21において、網版2bの配置(数、位置、配列など)は特に限定されるものではなく、適宜変更することが可能である。
【0042】
無端ベルト21は、図8に示すように、ベルト面下部からフィルム1に紫外線照射を行ってフィルム1上に塗布された紫外線硬化型インキを硬化させるために、紫外線透過用孔2cを有していてもよい。インクジェット印刷において、プライマーの紫外線硬化型インキを硬化させる場合、フィルムの裏側からも紫外線照射し、プライマーの紫外線硬化型インキの硬化を行うとより完全な紫外線硬化が行われる。紫外線透過用孔2cは、紫外線がベルトを透過しやすいために設けられるものであるため、一般に、吸引孔2aよりも大きい面積で設けられる。なお、ベルトが紫外線を透過する程度に透明或いは半透明である場合、紫外線透過用孔2bを設ける必要は無い。
【0043】
紫外線透過用孔2cは、例えば、搬送方向Dに沿って、任意の第一列L1のベルト幅方向中央部10b、及び第二列L2のベルト幅方向中央部10bに上記第一列L1に設けたものよりも幅広範囲に設けられたものを1セット(セットS)とし、このセットSを無端ベルト周方向に等間隔で複数有する。
【0044】
無端ベルト21の材質は、特に限定されないが、ステンレス、プラスチックが好ましい。プラスチックである場合、透明又は半透明であってもよい。すなわち、無端ベルト21は、ステンレスベルトであってもよく、プラスチックベルトであってもよい。また、帯電防止性能を有することがさらに好ましい。
【0045】
本発明のフィルム矯正装置は、駆動ベルトのフィルム搬送方向上流に、フィルムを搬送しつつフィルムの両側辺部を両側辺側に拡げるフィルム拡張部材を有していてもよい。上記フィルム拡張部材としては、例えば、駆動ベルトのフィルム搬送方向上流側のフィルム下部となる位置に備えられたフィルム側辺折込防止ローラが挙げられる。例えば、図9に示すように、フィルム側辺折込防止ローラ12をベルトコンベア2の直前に備えることで、搬送されるフィルム1側辺の裏面側への折り込みを防止或いは解消し、その後の吸引体3による吸引の際に、フィルム1側辺が内側或いは外側に折り込まれることを防ぐことができる。
【0046】
図10は、図9におけるフィルム側辺折込防止ローラ12付近の上方から見た図を示す。フィルム側辺折込防止ローラ12として、例えば、フィルム幅方向にそれぞれ、一対のフィルム側辺折込防止ローラ12a及び12bが設けられている。フィルム側辺折込防止ローラ12a及び12bは、それぞれ、上方がフィルム幅外側に任意の角度で互いに左右対称となるように傾斜し、傾斜したフィルム側辺折込防止ローラ12a及び12bの上端がフィルム1の搬送路よりも高い位置となるように設置されている。このような構成で設置し、フィルム側辺折込防止ローラ12a及び12bをフィルム搬送速度と同調して回転させることにより、搬送されるフィルム1は裏面側(ベルトコンベア2側)でフィルム側辺折込防止ローラ12a及び12bと接触し、同時にフィルム1が側辺部に折り込みBを有する場合は幅方向外側に押し広げられ、折り込みBが解消される。
【0047】
本発明のフィルム矯正装置によれば、プラスチックフィルムのたるみや両側辺のカールを抑えることができる。このため、たるみや両側辺のカールがあるプラスチックフィルム、とりわけ多層プラスチックフィルムへの、審美性に優れるデジタル印刷が可能である。プラスチックフィルムのように、ロールからロールに巻き出されて印刷するため、印刷用紙とは異なり、自己支持性を有する。このため、プラスチックフィルムにデジタル印刷を施す印刷機において、通常、インクヘッド下部のフィルム下部に駆動ベルトを設置する必要性はない。しかしながら、本発明は、インクヘッド下部のフィルム下部に敢えて駆動ベルト及び吸引体を備えてフィルム矯正装置を設置することで、印刷時のフィルムのたるみや側辺部のカールを抑制して印刷することができ、審美性に優れるデジタル印刷が可能であるという効果を奏するものである。
【0048】
本発明のフィルム矯正装置に用いるプラスチックフィルムは、特に限定されないが、多層フィルム(特に、多層共押出フィルム)であることが好ましい。多層フィルム(特に、多層共押出フィルム)は、各層の樹脂成分や厚みの割合等に違いにより、厚み方向において非対称な構成となることが多く、たるみやカールが生じやすいためである。上記プラスチックフィルムは、シート状フィルム(フラットフィルム)であってもよいし、チューブ状フィルムが平坦化されたフィルムであってもよい。また、上記プラスチックフィルムは、ロールトゥロールで搬送されるフィルムであることが好ましい。
【0049】
上記プラスチックフィルムの厚みは、特に限定されないが、30~100μmであることが好ましい。本発明のフィルム矯正装置は、このような厚みのプラスチックフィルムのたるみやカールの解消に特に適する。
【0050】
本発明のフィルム矯正装置は、フィルムの改良によらず、フィルムにたるみやカールがある場合であっても一時的にたるみやカールを解消することができる。このため、例えば図1に示すように、インクジェット印刷機等のデジタル印刷機と組み合わせて使用することが特に好ましい。なお、本発明のフィルム矯正装置の使用態様はこれに限定されるものではなく、フィルムのたるみやサイドのカールを解消する用途としてあらゆる機器に適用することができる。例えば、他のフィルムとラミネートする際に一時的にフィルムのたるみやカールを解消する用途にも好ましく使用することができる。
【0051】
本発明のフィルム矯正装置とデジタル印刷機を用いて、プラスチックフィルム印刷物を製造することができる。具体的には、プラスチックフィルムを搬送しながら、本発明のフィルム矯正装置によりフィルム搬送方向に直交する方向のフィルムのたるみ及び/又は搬送方向両側辺のカールを抑えつつ、デジタル印刷(例えばインクジェット方式)によりフィルム上にインキを塗布して印刷層を形成する印刷工程を有する方法により、プラスチックフィルム印刷物を製造することができる。
【0052】
プラスチックフィルムの搬送速度は、特に限定されないが、たるみやカールの解消と同時に印刷を行う観点から、100m/min以下が好ましい。本発明のフィルム矯正装置をインクジェット印刷機に用いる場合、たるみやカールの解消と同時に印刷を行う観点から、紫外線硬化型インキ(UVインキ)を用いる場合は最大50m/min、水性インキを用いる場合は最大75m/min、或いはインキの乾燥の工夫でさらに印刷速度を上げることができる。また、駆動ベルトの搬送速度(すなわちベルトコンベアの回転速度)は、フィルムの搬送速度と同調させることが好ましい。すなわち、駆動ベルトの搬送速度は、印刷速度を同調できる駆動構造になっていることが好ましい。
【0053】
吸引体3により吸引孔からフィルムを吸引する際の真空度合いは、吸引孔の数及び孔径に応じて適宜設定されるが、12~36kPaが好ましい。なお、上記真空度合いは、吸引体3の稼働中において一定でなくてもよい。また、吸引体3による吸引は、連続的に行ってもよく、断続的に行ってもよい。さらに、上記真空度合いは、フィルムの幅や厚みによって、吸引される度合いが違うので、状況に合わせて調整することができる。
【実施例
【0054】
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例にのみ限定されるものではない。被印刷媒体としてプラスチックフィルムを用意した。フィルムの詳細は以下の通りである。
・フィルムA:多層共押出フラットフィルム(構成:ナイロン/接着層/ポリエチレン、厚み:50μm)
・フィルムB:多層共押出チューブフィルム(構成:ナイロン/接着層/ポリエチレン、厚み:50μm)
・フィルムC:多層共押出チューブフィルム(サイドシール有、構成:ナイロン/接着層/ポリエチレン、厚み:50μm)
【0055】
実施例1~3
上記フィルムA~Cについて、図1に示すフィルム矯正装置を用いてフィルムのたるみ及びカールを解消しつつインクジェット方式によるデジタル印刷を行い、プラスチックフィルム印刷物を作製した。フィルム搬送速度は印刷速度に合わせて50mm/minとし、ベルトコンベアの回転速度は50mm/min、真空度合いは36kPaとした。
【0056】
比較例1~3
上記フィルムA~Cについて、フィルム矯正装置を用いなかったこと以外は実施例1~3と同様にしてインクジェット方式によるデジタル印刷を行い、プラスチックフィルム印刷物を作製した。
【0057】
(評価)
実施例及び比較例で行ったデジタル印刷時について、フィルムのたるみ、カール、及びインクヘッドとの擦れについて評価を行った。各評価の基準は以下の通りである。結果を表1に示した。
【0058】
(1)たるみ及びカール
印刷時にたるみ又はカールが解消されていた場合を○、たるみ又はカールが比較的小さかった場合を△、たるみ又はカールが比較的大きかった場合を×として評価した。
【0059】
(2)インクヘッドとの擦れ
印刷時にインクヘッドとフィルムの擦れが発生しなかった場合を○、擦れが発生した場合を×として評価した。
【0060】
【表1】
【0061】
表1から分かるとおり、本発明のフィルム矯正装置を使用することで、フラットフィルムもチューブフィルムもたるみと両側辺のカールを防止し、さらにはインクヘッドとの擦れも確認されなかった。また、同フィルムを使用し、本発明のフィルム矯正装置を使用しなかった場合、チューブフィルムの両側辺のカールは、フラットフィルム程度は確認されなかったが、フラットフィルム同様、上部(インクヘッド側)へのたるみが確認されたため、インクヘッドとの擦れも確認された。
【0062】
以上のまとめとして、本発明の構成及びそのバリエーションを以下に付記しておく。
[1]プラスチックフィルムの表面にインクジェット方式で印刷するデジタル印刷時におけるインクヘッド下部に、印刷スピードと同調して駆動する吸引式のベルトを設置するフィルムのたるみ及び/又は両側辺のカールを抑えるフィルム矯正装置。
[2]プラスチックフィルムの搬送方向と直交する方向のたるみ及び/又は搬送方向両側辺のカールを矯正するフィルム矯正装置であって、フィルムを吸引するための吸引孔を有し、フィルムの搬送速度に同調してフィルム搬送方向に駆動する駆動ベルトと、上記吸引孔からフィルムを吸引するための吸引体とを備えたフィルム矯正装置。
[3]上記駆動ベルトが、フィルム搬送方向に沿って複数の吸引孔を有する[1]又は[2]に記載のフィルム矯正装置。
[4]上記駆動ベルトが、フィルム搬送方向両側辺に吸引孔を有する[1]~[3]のいずれか1つに記載のフィルム矯正装置。
[5]上記駆動ベルトが、フィルム搬送方向両側辺に相当する位置に、フィルム搬送方向に沿って等間隔で複数の吸引孔を有する[3]又は[4]に記載のフィルム矯正装置。
[6]上記駆動ベルトが、ベルト幅方向に等間隔で複数の吸引孔を有する[1]~[5]のいずれか1つに記載のフィルム矯正装置。
[7]上記駆動ベルトが、ベルト幅方向中央部に吸引孔を有しない[1]~[5]のいずれか1つに記載のフィルム矯正装置。
[8]上記駆動ベルトが無端ベルトである[1]~[7]のいずれか1つに記載のフィルム矯正装置。
[9]上記無端ベルト及び回転することで上記無端ベルトを駆動させることが可能な一対の駆動ローラを有するベルトコンベアと、上記吸引体を備えた[8]に記載のフィルム矯正装置。
[10]上記吸引体が、上記無端ベルトのベルト間に設置された[9]に記載のフィルム矯正装置。
[11]上記駆動ベルトと上記プラスチックフィルムの間の、ベルト幅方向中央部に板状体を備えた[1]~[10]のいずれか1つに記載のフィルム矯正装置。
[12]上記駆動ベルトのフィルム搬送方向上流に、フィルムを搬送しつつフィルムの両側辺部を両側辺側に拡げるフィルム拡張部を有する[1]~[11]のいずれか1つに記載のフィルム矯正装置。
[13]上記プラスチックフィルムは厚みが30~100μmの多層プラスチックフィルムである[1]~[12]のいずれか1つに記載のフィルム矯正装置。
[14]上記プラスチックフィルムは、ロールトゥロールで搬送されるプラスチックフィルムである[1]~[13]のいずれか1つに記載のフィルム矯正装置。
[15]ロール状のプラスチックフィルムを巻き出して搬送する上流側のガイドロールと、巻き出された上記プラスチックフィルムを吸引孔より吸引しつつフィルムを搬送する上記駆動ベルトをインクヘッド下部に位置するフィルム下部に設けられた[1]~[14]のいずれか1つに記載のフィルム矯正装置と、上記吸引孔より吸引された上記プラスチックフィルム上にデジタル方式によりインキを塗布する上記インクヘッドと、インキが塗布された上記プラスチックフィルムを搬送してロール状に巻き取る下流側のガイドロールと、を備えたデジタル印刷機。
[16]プラスチックフィルムを搬送しながら、[1]~[15]のいずれか1つにフィルム矯正装置によりフィルム搬送方向に直交する方向のフィルムのたるみ及び/又は搬送方向のフィルム両側辺のカールを抑えつつ、デジタル印刷によりフィルム上にインキを塗布して印刷層を形成する印刷工程を有する、プラスチックフィルム印刷物の製造方法。
【産業上の利用可能性】
【0063】
本発明のフィルム矯正装置は、たるみやサイドのカールがあるプラスチックフィルムに対しても、インクジェット方式で審美性に優れる文字或いは画像などの情報を印刷するデジタル印刷を実施することができる。
【符号の説明】
【0064】
1 プラスチックフィルム
2 ベルトコンベア
21 無端ベルト
22,23 駆動ロール
2a 吸引孔
2b 網版
2c 紫外線透過用孔
3 吸引体
4 巻出側フィルムロール
5 巻取側フィルムロール
6,7 ガイドロール
8a~8d インクヘッド
9a 巻出部
9b 塗布部
9c 巻取部
10a,10c ベルト幅方向側辺部
10b ベルト幅方向中央部
11 板状体
12,12a,12b フィルム側辺折込防止ローラ
D フィルム搬送方向
L1 第一列
L2 第二列
S セット
B フィルム側辺部折り込み
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10