(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-20
(45)【発行日】2025-03-03
(54)【発明の名称】新規芳香族プレニルトランスフェラーゼを使用したカンナビノイド前駆体の生合成
(51)【国際特許分類】
C12P 7/42 20060101AFI20250221BHJP
C12P 17/06 20060101ALI20250221BHJP
C12N 15/54 20060101ALI20250221BHJP
C12N 1/19 20060101ALI20250221BHJP
【FI】
C12P7/42 ZNA
C12P17/06
C12N15/54
C12N1/19
(21)【出願番号】P 2022521613
(86)(22)【出願日】2020-10-12
(86)【国際出願番号】 SG2020050582
(87)【国際公開番号】W WO2021071437
(87)【国際公開日】2021-04-15
【審査請求日】2023-07-25
(32)【優先日】2019-10-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】507421865
【氏名又は名称】ナショナル ユニヴァーシティ オブ シンガポール
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】ゴー,メイベル ダ―リーン コー
(72)【発明者】
【氏名】リム,ケヴィン ジー ハン
(72)【発明者】
【氏名】リム,ヤン ピン
(72)【発明者】
【氏名】ユー,ウェン シャン
【審査官】太田 雄三
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/014490(WO,A1)
【文献】特表2008-528036(JP,A)
【文献】DATABASE GenBnk[online],Accession No. KP893683.1,2016年07月28日,https://www.ncbi.nlm.nih.gov/nuccore/KP893683,令和6年7月23日検索
【文献】Database: UniProt/TrEMBL[online],Accession No. 0A1H8R5X4_9ACTN,2017年04月12日,https://www.genome.jp/entry/tr:A0A1H8R5X4_9ACTN,令和6年7月23日検索
【文献】DATABASE UniProt[online],Accession No. A0A0U5C5V3,2016年03月16日,https://www.uniprot.org/uniprotkb/A0A0U5C5V3/entry,令和6年7月23日検索
【文献】DATABASE UniProt[online],Accession No. S5UCZ5,2013年10月16日,https://www.uniprot.org/uniprotkb/S5UCZ5/entry,令和6年7月23日検索
【文献】DATABASE UniProt[online],2007年02月20日,Accession No. A2AXG5,https://www.uniprot.org/uniprotkb/A2AXG5/entry,令和6年7月23日検索
【文献】DATABASE UniProt[online],Accession No. G8LVY5,2012年02月22日,https://www.uniprot.org/uniprotkb/G8LVY5/entry,令和6年7月23日検索
【文献】DATABASE UniProt[online],Accession No. K0EWY8,2012年11月28日,https://www.uniprot.org/uniprotkb/K0EWY8/entry,令和6年7月23日検索
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12P 7/00
C12P 17/00
C12N 15/00
C12N 1/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
GenBank/EMBL/DDBJ/GeneSeq
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カンナビノイド前駆体を生成するための方法であって、
(a)2,4-ジヒドロキシ-6-ペンチル安息香酸およびゲラニルピロリン酸を、NphBオルソログと接触させて、5-ゲラニルオリベトール酸、4-O-ゲラニルオリベトール酸、もしくは2-O-ゲラニルオリベトール酸を得ること、
(b)2,4-ジヒドロキシ-6-プロピル安息香酸およびゲラニルピロリン酸を、NphBオルソログと接触させて、カンナビゲロバリン酸を得ること、または
(c)2,4-ジヒドロキシ-6-ペンチル安息香酸およびファルネシルピロリン酸を、NphBオルソログと接触させて、
【化1】
の構造を有する化合物を得ること
を含み、
前記NphBオルソログが、
配列番号1~8のいずれか1つのアミノ酸配列を有する、方法。
【請求項2】
前記カンナビノイド前駆体が、LC/MS分析によって決定した場合に質量電荷比359.22および6.1分より長い保持時間を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記NphBオルソログが、ストレプトマイセス・ロゼオクロモゲナス(Streptomyces roseochromogenus)亜種oscitans、ストレプトマイセス・ルビダス(Streptomyces rubidus)、ストレプトマイセス・シンナモネンシス(Streptomyces cinnamonensis)、アスペルギルス・カリドウスタス(Aspergillus calidoustus)、アスペルギルス・テレウス(Aspergillus terreus)、クロストリジウム・クラリフラバム(Clostridium clariflavum)、ノカルディア・ブラジリエンシス(Nocardia brasiliensis)、
または難培養性細菌esnapd16.1
由来である、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記NphBオルソログが、ヤロウィア・リポリティカ(Yarrowia lipolytica)において生成される組換え酵素である、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記NphBオルソログが、ストレプトマイセス・ロゼオクロモゲナス(Streptomyces roseochromogenus)亜種oscitans、ストレプトマイセス・ルビダス(Streptomyces rubidus)、ストレプトマイセス・シンナモネンシス(Streptomyces cinnamonensis)、アスペルギルス・カリドウスタス(Aspergillus calidoustus)、アスペルギルス・テレウス(Aspergillus terreus)、クロストリジウム・クラリフラバム(Clostridium clariflavum)、ノカルディア・ブラジリエンシス(Nocardia brasiliensis)、
または難培養性細菌esnapd16.1由来である、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記NphBオルソログが、ヤロウィア・リポリティカ(Yarrowia lipolytica)において生成される組換え酵素である、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
ヤロウィア・リポリティカの組換え細胞であって、そのゲノム中にNphBオルソログをコードする核酸を含み、前記NphBオルソログが、
配列番号1~8のいずれか1つのアミノ酸配列を有し、前記NphBオルソログが、
前記組換え細胞において発現される、組換え細胞。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
ストレプトマイセス属(Streptomyces sp.)株CL190由来の芳香族プレニルトランスフェラーゼ(NphB)の構造および機能は解明されている。Kumanoら、Bioorg.Med.Chem.2008,16(17):8117-26を参照されたい。Zirpelら、J.Biotechnol.2017,259:204-212で報告された以前の研究では、NphBが、大麻植物由来の膜結合ゲラニルピロリン酸:オリベトール酸ゲラニルトランスフェラーゼと同じ基質を利用して、カンナビノイド前駆体カンナビゲロール酸(CBGA)を形成できることを示した。
【0002】
CBGAは、大麻植物に見られるカンナビノイド生合成経路の最初の分岐点として一般に知られており、野生型NphBは、O‐プレニル化副産物、すなわち2-O-ゲラニルオリベトール酸と同様に、CBGAを作ることができる。
【0003】
既知のカンナビノイド前駆体および新規カンナビノイド前駆体を特異性および高収率で合成するためには、さらなる酵素および方法が必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
カンナビノイド前駆体を生成するための方法が開示される。この方法は、基質およびゲラニルピロリン酸またはファルネシルピロリン酸をNphBオルソログと接触させるステップを含む。基質は、例えば、2,4-ジヒドロキシ-6-ペンチル安息香酸または2,4-ジヒドロキシ-6-プロピル安息香酸であり得、NphBオルソログは、カンナビス・サティバ(Cannabis sativa)以外の生物由来である。
【0005】
また、そのゲノム中にNphBオルソログをコードする核酸を保有するヤロウィア・リポリティカ(Yarrowia lipolytica)の組換え細胞が提供される。NphBオルソログは、カンナビス・サティバ以外の生物由来であり、組換え細胞中に発現する。
1つ以上の実施形態の詳細は、以下の説明および実施例に記載される。他の特徴、目的、および利点は、詳細な説明、図面、および添付の特許請求の範囲から明らかであろう。
【0006】
以下の発明の説明は、添付の図面を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】オリベトール酸およびゲラニルピロリン酸を基質として使用するカンナビノイド生成物の構造を示す図である。すべての可能な生成物の分子式および式重量は、それぞれC
22H
31O
4および359.22である。黒色:マロニル-CoAの3単位に由来するオリベトール酸部分、暗灰色:ヘキサノイル-CoAに由来するオリベトール酸部分、淡灰色:オルソログにより転移するゲラニルピロリン酸部分。
【
図2】NphBオルソログをコードする遺伝子をヤロウィア・リポリティカのゲノムに組み込むために用いられるpYLEX1ベクターの図である。
【
図3A】3個のNphBオルソログから生合成されたm/z=359.22を有するカンナビノイド前駆体のLC-MSスペクトルを示す図である。1段目=CBGA標準物質、2段目=P3E2、3段目=酵素なしの陰性対照、4段目=P3A5、5段目=P3E8、6段目=NphB陽性対照、7段目=1BF1、8段目=Y1C5。ピークは、保持時間および相対ピーク下面積によって特定される。
【
図3B】3個の追加のNphBオルソログから生合成されたm/z=359.22を有するカンナビノイド前駆体のLC-MSスペクトルを示す:1段目=10μg/mlのCBGA標準物質、2段目=酵素なしの陰性対照、3段目=NphB陽性対照、4段目=P3F5、5段目=P3A6、6段目=1BC2。ピークは、保持時間および相対ピーク下面積によって特定される。
【
図4】オリベトール酸と比較して、2つ少ない炭素単位を有し、その結果CBGAよりも短い2つの炭素であるCBGVAの生成をもたらすジバリン酸(上列)を用いて、またはゲラニルピロリン酸の代わりに、新規カンナビノイド前駆体の生成をもたらすファルネシルピロリン酸(下列)を用いて生合成された、潜在的なカンナビノイド生成物の構造を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
特定のピロリン酸塩、例えば、ゲラニルピロリン酸から芳香族ポリケチド、例えば、2,4-ジヒドロキシ-6-ペンチル安息香酸、すなわち、オリベトール酸、および2,4-ジヒドロキシ-6-プロピル安息香酸にイソプレン単位を転移させることにより、カンナビノイド前駆体の生合成を触媒する酵素を開示する。これらの酵素は、カンナビス・サティバ以外の生物に由来し、大腸菌(Escherichia coli)またはヤロウィア・リポリティカにおいて組換えにより発現させ、その後プレニルトランスフェラーゼ活性のために用いることができる。
【0009】
上記に要約されるとおり、カンナビノイド前駆体を製造するための方法が開示される。具体的な例では、基質は、オリベトール酸であり、ピロリン酸塩は、ゲラニルピロリン酸であり、生成されたカンナビノイド前駆体は、LC/MS分析により決定した場合に、質量電荷比359.22および6.1分より長い保持時間を有する。本明細書に記載されるカンナビノイド前駆体もまた、本発明の範囲に含まれる。
【0010】
上記の方法において、NphBオルソログの例示的な供給源は、ストレプトマイセス・ロゼオクロモゲナス(Streptomyces roseochromogenus)亜種oscitans、ストレプトマイセス・ルビダス(Streptomyces rubidus)、ストレプトマイセス・シンナモネンシス(Streptomyces cinnamonensis)、アスペルギルス・カリドウスタス(Aspergillus calidoustus)、アスペルギルス・テレウス(Aspergillus terreus)、クロストリジウム・クラリフラバム(Clostridium clariflavum)、ノカルディア・ブラジリエンシス(Nocardia brasiliensis)、および難培養性細菌esnapd16.1であり得るが、これらに限定されない。
【0011】
本方法の特定の態様では、NphBオルソログは、配列番号1~8のいずれか1つのアミノ酸配列を有する。あるいは、NphBオルソログは、配列番号1~8のいずれか1つと少なくとも70%同一(例えば、少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、および99%)のアミノ酸配列を有することができ、芳香族プレニルトランスフェラーゼ活性を有する。
【0012】
例示的な方法では、NphBオルソログは、組換え酵素である。組換え酵素は、例えば、大腸菌およびヤロウィア・リポリティカにおいて生成され得る。
【0013】
また、上記のものは、ヤロウィア・リポリティカの組換え細胞であり、そのゲノムには、NphBオルソログをコードする核酸が含まれる。NphBオルソログは、カンナビス・サティバ以外の生物由来である。
【0014】
NphBオルソログの例示的な供給源は、ストレプトマイセス・ロゼオクロモゲナス(Streptomyces roseochromogenus)亜種oscitans、ストレプトマイセス・ルビダス(Streptomyces rubidus)、ストレプトマイセス・シンナモネンシス(Streptomyces cinnamonensis)、アスペルギルス・カリドウスタス(Aspergillus calidoustus)、アスペルギルス・テレウス(Aspergillus terreus)、クロストリジウム・クラリフラバム(Clostridium clariflavum)、ノカルディア・ブラジリエンシス(Nocardia brasiliensis)、および難培養性細菌esnapd16.1である。
【0015】
特定の組換え細胞では、NphBオルソログは、配列番号1~8のいずれか1つのアミノ酸配列を有する。別の実施例では、NphBオルソログは、配列番号1~8のいずれか1つに対して、少なくとも70%同一(例えば、少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、および99%)のアミノ酸配列を有することができ、芳香族プレニルトランスフェラーゼ活性を有する。
【0016】
さらなる詳述がなくとも、当業者は、本明細書の開示に基づいて、本開示をその最大限に利用することができると考えられる。したがって、以下の具体的な例は、単なる説明的なものとして解釈されるべきであり、いかなる点においても、本開示の残りの部分を限定するものではない。本明細書に引用されるすべての刊行物は、参照によりその全体が援用される。
【0017】
実施例
利用可能な配列データベースの検索により、NphBに対する105の遺伝子オルソログが同定され、これらはまた、UniProtデータベースに潜在的芳香族プレニルトランスフェラーゼとしてアノテートされた。遺伝子を合成し、T7プロモーターおよびターミネーターを含む改変pES2ベクターにクローニングした。化学処理を用いて、ベクターを大腸菌Acella(商標)細胞に形質転換し、37℃でLB+ストレプトマイシン選択プレート上で増殖させた。配列を確認したクローンを採取し、OD600nmが0.8になるまでLB+ストレプトマイシン培地中で増殖させた。培養物に0.1mM IPTGを添加し、25℃で24時間インキュベートすることによりタンパク質発現を誘導した。その後細胞を回収し、タンパク質精製まで-20℃で保存した。
【0018】
ペレット化した細胞を、20mMのTris-HCl(pH7.9)、500mMのNaCl、および5mMのイミダゾールを含有する100μL結合緩衝液に再懸濁させた。その後、細胞を超音波処理により溶解し、細胞片を4℃で30分間の遠心分離により除去した。Hisタグ付きタンパク質を含む上清を、Ni2+アフィニティークロマトグラフィを用いて精製し、20mM Tris-HCl(pH7.9)、500mM NaCl、および100mM L-ヒスチジンを含む緩衝液で組換えタンパク質を溶出した。Hisタグ付きタンパク質の濃度を、ELISA検出キットを用いて推定し、精製NphBオルソログを4℃で保存した。
【0019】
NphBオルソログを、in vitroプレニルトランスフェラーゼアッセイを用いて、プレニルトランスフェラーゼについて試験した。反応容量200μL中で、20μLの1M Tris-HCl(pH7.9)、2μLの1M MgCl2、4μLの50mM芳香族ポリケチド基質、例えばオリベトール酸およびジバリン酸、20μLの10mMゲラニルピロリン酸、ならびに50μgの精製NphBオルソログを組み合わせて、30℃でインキュベートした。酵素を含まない対照反応物も調製した。
【0020】
24時間後、反応混合物を6M HClでpH3.0に酸性化し、酢酸エチルで3回抽出した。試料を真空乾燥させ、ネガティブイオンモードを用いるLC‐MS分析のためにメタノールに再溶解した。m/z=359.22(オリベトール酸を用いた場合)およびm/z=331.19(ジバリン酸を用いた場合)の抽出イオンクロマトグラム(EIC)を各試料について作成し、潜在的カンナビノイド前駆体の生合成がNphBオルソログによって触媒されるか否かを決定した。基質としてオリベトール酸およびゲラニルピロリン酸を用いて生合成できる潜在的カンナビノイド前駆体の構造を
図1に示す。
【0021】
NphBのある種のオルソログは、野生型NphBによって形成されたピークと比較して、LC‐MS分析において、新しいピークとして同定される新規生成物を生成した。また、特定のオルソログは、CBGAの収率が高いことも実証した。このようなオルソログを、その後のヤロウィア・リポリティカへのクローニングのために選択する。それらを、改変pYLEX1ベクター(Yeastern Biotech;
図2参照)にサブクローニングし、化学処理を用いてY・リポリティカに形質転換する。形質転換体を、ロイシンを含まないYNB寒天上で選択し、その後の収率最適化アッセイに使用する。
【0022】
試験した105個のオルソログのうち、8個のオルソログは、良好なタンパク質発現および新規プレニルトランスフェラーゼ活性を示した。8個のオルソログを、対応するUniprot IDおよび供給源生物と共に、以下の表1に列挙する。
【表1】
【0023】
P3E8は、野生型NphBと比較して、CBGAの収量が同等であり、8個のオルソログはすべて、LC‐MS分析において、少なくとも1つの新しいピークを示し、それはC22H31O4(FW=359.22)の分子式も有していた。
【0024】
図3Aおよび
図3Bに示すとおり、8つのすべてのオルソログならびに野生型NphBは、CBGAを生成できる(保持時間:
図3Aでは、6.4分、
図3Bでは6.1分)。P3A5を除くすべてのオルソログはまた、副産物、すなわち2‐O‐ゲラニルオリベトール酸も生成した(保持時間:
図3Aでは6.6分、
図3Bでは6.3分)。オルソログP3A5、Y1C5、およびP3E2は、野生型NphBを用いた反応では観察されなかった保持時間7.23~7.24分で、m/z=359.2225のかなりの量の新しいプレニル化生成物をそれぞれ生成した。
【0025】
m/z=359.22を有し、
図3Aおよび
図3Bで同定された新規生成物を、以下の表2に要約する。これらの生成物は、野生型NphB酵素で生成されたものには見られない保持時間を有する。
【表2】
【0026】
ある研究では、Uniprot ID:C4PWA1およびQ9L9F1に対応する2つのオルソログが、微量の新規プレニル化生成物のみ生成することが示され、これらのオルソログが野生型NphBとは異なる部位で、オリベトール酸をプレニル化したことが示唆された。
【0027】
さらに、異なる基質をNphBオルソログと共にインキュベートして、新規カンナビノイド前駆体が生成され得るか否かを決定することができる。
図4は、オリベトール酸またはゲラニルピロリン酸のいずれかまたは両方を置換したときに形成され得る生成物を示している。次いで、カンナビノイド化合物ライブラリを多様化するために、新規カンナビノイド前駆体を下流のカンナビノイドシンターゼで試験することができる。
【0028】
他の実施形態
本明細書に開示される特徴はすべて、任意の組み合わせで組み合わせることができる。本明細書に開示される各特徴は、同じ、同等の、または同様の目的を果たす代替的な特徴に置き換えることができる。したがって、明示的に別段の記載がない限り、開示される各特徴は、等価または類似の特徴の一般的な系列の例である。
以上の説明から、当業者は、本発明の本質的な特徴を容易に確認することができ、その趣旨および範囲から逸脱することなく、本発明を種々の用途および条件に適合させるために種々の変更および修正を加えることができる。したがって、他の実施形態も、以下の特許請求の範囲の範囲内にある。
【配列表】