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7638016地下ケーブル敷設監視システム及び地下ケーブル敷設監視方法
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  • -地下ケーブル敷設監視システム及び地下ケーブル敷設監視方法 図1
  • -地下ケーブル敷設監視システム及び地下ケーブル敷設監視方法 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-20
(45)【発行日】2025-03-03
(54)【発明の名称】地下ケーブル敷設監視システム及び地下ケーブル敷設監視方法
(51)【国際特許分類】
   H02G 1/06 20060101AFI20250221BHJP
   H02G 9/10 20060101ALI20250221BHJP
【FI】
H02G1/06
H02G9/10
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2023166708
(22)【出願日】2023-09-28
【審査請求日】2024-09-30
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】523371056
【氏名又は名称】株式会社カワミツ
(74)【代理人】
【識別番号】100132964
【弁理士】
【氏名又は名称】信末 孝之
(72)【発明者】
【氏名】河野 泰樹
【審査官】遠藤 尊志
(56)【参考文献】
【文献】特開2023-018544(JP,A)
【文献】特開2022-144356(JP,A)
【文献】特開2001-006077(JP,A)
【文献】特開2015-012431(JP,A)
【文献】特開2003-044973(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0159320(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02G 1/06
H02G 9/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のマンホールを経由して敷設される地下ケーブルの敷設状況を監視する地下ケーブル敷設監視システムであって、
前記地下ケーブルの敷設状況は、前記地下ケーブルがマンホール内の一方の開口部から他方の開口部に向けて通過するときの通過状況であり、
前記複数のマンホール内の各々に設置され通過するケーブルが写るように撮影方向を調整された撮影装置と、前記撮影装置と通信接続されて前記撮影装置が撮影した前記複数のマンホール内の監視映像を記憶する管理装置とを有することを特徴とする地下ケーブル敷設管理システム。
【請求項2】
前記撮影装置と前記管理装置とが、前記複数のマンホールの各々に対応する通信装置を介して通信接続されていることを特徴とする請求項1に記載の地下ケーブル敷設管理システム。
【請求項3】
前記管理装置と通信接続されて前記監視映像を表示する監視用端末を有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の地下ケーブル敷設監視システム。
【請求項4】
複数のマンホールを経由して敷設される地下ケーブルの敷設状況を監視する地下ケーブル敷設監視方法であって、
前記地下ケーブルの敷設状況は、前記地下ケーブルがマンホール内の一方の開口部から他方の開口部に向けて通過するときの通過状況であり、
前記複数のマンホール内の各々に設置され通過するケーブルが写るように撮影方向を調整された撮影装置でマンホール内を撮影し、前記撮影装置が撮影した前記複数のマンホール内の監視映像を前記撮影装置と通信接続された管理装置に記憶することを特徴とする地下ケーブル敷設管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地下ケーブル敷設監視システム及び地下ケーブル敷設監視方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電線や通信線等の地下ケーブルの地中への敷設は、予め地中に埋設されたケーブル用のパイプの中に敷設する地下ケーブルを通していくことにより行われる。また、地下ケーブルの全長は例えば数百メートルの長さになるため、ケーブル用のパイプは複数のマンホールを経由して埋設されており、マンホール内にはケーブル用のパイプの開口部が設けられている。
【0003】
地下ケーブルの敷設時には、ケーブルがマンホール内の一方の開口部から他方の開口部に向けて通過していくが、このとき通過するケーブルがマンホール内に配置された機器等と接触することがないかなど、マンホール内のケーブルの通過状況を監視しなければならず、従来は各々のマンホールに作業者が入って目視で確認していた。
【0004】
一方、地下ケーブルの監視に関して、例えば特許文献1には、ケーブルが敷設されたマンホールの異常(火災)を監視して無線で自動送信するようにした、可搬型監視装置に関する発明が記載されている。
【0005】
また特許文献2には、ケーブルの敷設時に、追加敷設ケーブルの先端にカメラを取り付けて前方の画像を見ながらロッドを押し込むようにした、ケーブルの敷設方法に関する発明が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2001-006077号公報
【文献】特開2002-315129号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、マンホール内のケーブルの通過状況を作業者が目視で監視するためには、ケーブルが通過する複数のマンホール内の各々に作業者を配置する必要があり、負担が大きかった。
【0008】
これに対して、特許文献1に記載された発明は、ケーブルが敷設された後のマンホール内を監視するものであり、敷設時のマンホール内のケーブルの通過状況を監視することはできない。
【0009】
また、特許文献2に記載された発明は、ケーブルの先端に取り付けたカメラによりケーブルの前方の画像を見るものであり、敷設時のマンホール内のケーブルの通過状況を監視することはできない。
【0010】
本発明は、上記従来の課題を解決するものであり、地下ケーブルの敷設時に、マンホール内を通過するケーブルの通過状況を効率的に監視することができる、地下ケーブル敷設監視システム及び地下ケーブル敷設監視方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するため、本発明の地下ケーブル敷設管理システムは、複数のマンホールを経由して敷設される地下ケーブルの敷設状況を監視する地下ケーブル敷設監視システムであって、前記複数のマンホール内の各々に設置された撮影装置と、前記撮影装置と通信接続されて前記撮影装置が撮影した前記複数のマンホール内の監視映像を記憶する管理装置とを有することを特徴とする。
【0012】
また好ましくは、前記撮影装置と前記管理装置とが、前記複数のマンホールの各々に対応する通信装置を介して通信接続されていることを特徴とする。
【0013】
また好ましくは、前記管理装置と通信接続されて前記監視映像を表示する監視用端末を有することを特徴とする。
【0014】
また、本発明の地下ケーブル敷設管理方法は、複数のマンホールを経由して敷設される地下ケーブルの敷設状況を監視する地下ケーブル敷設監視方法であって、前記複数のマンホール内の各々に設置された撮影装置でマンホール内を撮影し、前記撮影装置が撮影した前記複数のマンホール内の監視映像を前記撮影装置と通信接続された管理装置に記憶することを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明の地下ケーブル敷設管理システムは、複数のマンホールを経由して敷設される地下ケーブルの敷設状況を監視する地下ケーブル敷設監視システムであり、複数のマンホール内の各々に設置された撮影装置と、撮影装置と通信接続されて撮影装置が撮影した複数のマンホール内の監視映像を記憶する管理装置とを有している。従って、複数のマンホールの監視映像を管理装置に記憶して確認することができ、各々のマンホールに作業者を配置して監視する必要がなく効率的である。
【0016】
また、撮影装置と管理装置とが、複数のマンホールの各々に対応する通信装置を介して通信接続されていることにより、通信環境の悪いマンホールに配置された撮影装置からの監視映像を確実に管理装置に送信することができる。
【0017】
また、管理装置と通信接続されて監視映像を表示する監視用端末を有することにより、場所に関係なく地下ケーブルの敷設状況を監視することができる。
【0018】
また、本発明の地下ケーブル敷設管理方法は、複数のマンホールを経由して敷設される地下ケーブルの敷設状況を監視する地下ケーブル敷設監視方法であって、複数のマンホール内の各々に設置された撮影装置でマンホール内を撮影し、撮影装置が撮影した複数のマンホール内の監視映像を撮影装置と通信接続された管理装置に記憶するものである。従って、複数のマンホールの監視映像を管理装置に記憶して確認することができ、各々のマンホールに作業者を配置して監視する必要がなく効率的である。
【0019】
このように、本発明によれば、地下ケーブルの敷設時に、マンホール内を通過するケーブルの通過状況を効率的に監視することができる、地下ケーブル敷設監視システム及び地下ケーブル敷設監視方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の実施形態に係る地下ケーブル敷設監視システムの構成図である。
図2】マンホール内の監視映像を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
次に、図1及び図2を参照して、本発明の実施形態に係る地下ケーブル敷設監視システム及び地下ケーブル敷設監視方法について説明する。図1は、本実施形態に係る地下ケーブル敷設監視システム100の構成図である。
【0022】
まず、地下ケーブル敷設監視システム100の監視対象について説明する。地面3の下の地中には、複数(図1では3つ)のマンホール1が埋設されている。また、電線や通信線等の地下ケーブル2が、予め地下に埋設されたケーブル用のパイプ(図示しない)の中に通されている。また、地下ケーブル2の全長は例えば数百メートルの長さになるため、ケーブル用のパイプは複数のマンホール1を経由して埋設されており、マンホール1内にはケーブル用のパイプの開口部が設けられている。
【0023】
地下ケーブル2の地中への敷設は、ケーブル用のパイプの中に敷設する地下ケーブル2を通していくことにより行われる。従って、地下ケーブル2の敷設時には、ケーブルがマンホール1内の一方の開口部から他方の開口部に向けて通過していくが、このとき通過するケーブルがマンホール1内に配置された機器等と接触することがないかなど、マンホール1内のケーブルの通過状況を監視しなければならない。地下ケーブル敷設監視システム100は、このような複数のマンホール1を経由して敷設される地下ケーブルの敷設状況を監視するためのものである。
【0024】
地下ケーブル敷設監視システム100は、主として撮影装置10、通信装置20、管理装置30及び監視用端末40,60から構成されている。
【0025】
撮影装置10は、複数のマンホール1内の各々に設置されており、マンホール1内の監視映像を撮影できるようになっている。例えば、マンホール1内の壁面に設置して通過するケーブルが写るように撮影方向を調整する。撮影装置10は、ネットワークカメラなどの通信機能を有する装置である。撮影装置10には、電源を供給するモバイルバッテリーなどのバッテリー11が接続されている。撮影装置10及びバッテリー11は防水ボックス12に格納されており、雨水等の浸入を防止するようになっている。
【0026】
通信装置20は、複数のマンホール1の各々に対応している。複数のマンホール1の蓋は開いている状態であり、通信装置20は例えば各々のマンホール1の開口部の周縁近くに設置することができる。通信装置20は撮影装置10と通信接続されている。接続方法は有線又は無線のいずれでもよいが、通信装置20として例えばWi-Fi(登録商標)接続可能なモバイルルーターを使用することができる。通信装置20の設置位置は地上に限定されるものではなく、撮影装置10との通信接続が可能な位置であれば、例えばマンホール上端部の壁面であってもよい。
【0027】
管理装置30は、複数のマンホール1の各々に対応する通信装置20とインターネットにより通信接続されている。従って、撮影装置10と管理装置30とが、通信装置20を介して通信接続された状態になっている。撮影装置10が撮影した複数のマンホール1内の監視映像は、通信装置20を介して管理装置30へと送信されて記憶される。管理装置30に表示部を設けて、監視映像を管理装置30に表示させることもできる。
【0028】
監視用端末40は、会社の管理部門用のモニタリングパソコンであり、管理装置30と通信接続されて、撮影装置10が撮影した監視映像を表示するようになっている。会社の管理部門では、表示された監視映像によりマンホール1内のケーブルの通過状況を監視する。
【0029】
監視用端末60は、現場用のモニタリングパソコンであり、モバイルルーターなどの通信装置50を介して管理装置30と通信接続されて、撮影装置10が撮影した監視映像を表示するようになっている。ケーブル敷設現場では、表示された監視映像によりマンホール1内のケーブルの通過状況を監視する。
【0030】
監視用端末40,60は、パソコンに限定されるものではなく、タブレット端末やスマートフォンなど他の機器であってもよい。
【0031】
なお、地下ケーブル敷設監視システム100における各機器の通信接続は、暗号化することが好ましい。
【0032】
地下ケーブル敷設監視システム100を用いた地下ケーブル敷設監視方法は、複数のマンホール1内の各々に設置された撮影装置10でマンホール1内を撮影し、撮影装置10が撮影した複数のマンホール1内の監視映像を撮影装置10と通信接続された管理装置30に記憶することにより行われる。
【0033】
図2は、マンホール1内の監視映像を示す模式図である。マンホール1内の壁面には、ケーブル用のパイプの開口部4が設けられている。マンホール1内を通過する地下ケーブル2は、開口部4からマンホール1内に入って反対側の開口部(図示しない)から出ていく。あるいは、反対側の開口部からマンホール1内に入って開口部4から出ていく。通過する地下ケーブル2を支持するために、マンホール1内に設置された支柱5,5には支持台6,6が設けられている。撮影装置10は、図2に示すような監視映像を撮影して管理装置30に送信する。
【0034】
本実施形態に係る地下ケーブル敷設管理システム100は、複数のマンホール1を経由して敷設される地下ケーブル2の敷設状況を監視する地下ケーブル敷設監視システムであり、複数のマンホール1内の各々に設置された撮影装置10と、撮影装置10と通信接続されて撮影装置10が撮影した複数のマンホール1内の監視映像を記憶する管理装置30とを有している。従って、複数のマンホール1の監視映像を管理装置30に記憶して確認することができ、各々のマンホール1に作業者を配置して監視する必要がなく効率的である。
【0035】
また、撮影装置10と管理装置30とが、複数のマンホール1の各々に対応する通信装置20を介して通信接続されていることにより、通信環境の悪いマンホール1に配置された撮影装置10からの監視映像を確実に管理装置30に送信することができる。
【0036】
また、管理装置30と通信接続されて監視映像を表示する監視用端末40,60を有することにより、場所に関係なく地下ケーブル2の敷設状況を監視することができる。
【0037】
また、本実施形態に係る地下ケーブル敷設管理方法は、複数のマンホール1を経由して敷設される地下ケーブル2の敷設状況を監視する地下ケーブル敷設監視方法であって、複数のマンホール1内の各々に設置された撮影装置10でマンホール1内を撮影し、撮影装置10が撮影した複数のマンホール1内の監視映像を撮影装置10と通信接続された管理装置30に記憶するものである。従って、複数のマンホール1の監視映像を管理装置30に記憶して確認することができ、各々のマンホール1に作業者を配置して監視する必要がなく効率的である。
【0038】
このように、本実施形態に係る地下ケーブル敷設監視システム及び地下ケーブル敷設監視方法は、地下ケーブルの敷設時に、マンホール内を通過するケーブルの通過状況を効率的に監視することができるものである。
【0039】
以上、本発明の実施形態に係る下ケーブル敷設監視システム及び地下ケーブル敷設監視方法について説明したが、本発明は上述した実施の形態に限定されるわけではなく、その他種々の変更が可能である。
【0040】
例えば、1つのマンホール1に設置する撮影装置10は1台に限定されるものではなく、地下ケーブル2の入口側及び出口側のそれぞれを撮影することができるように2台又はそれ以上設置してもよい。
【符号の説明】
【0041】
1 マンホール
2 地下ケーブル
3 地面
4 開口部
5 支柱
6 支持台
10 撮影装置
11 バッテリー
12 防水ボックス
20 通信装置
30 管理装置
40 監視用端末
50 通信装置
60 監視用端末
100 地下ケーブル敷設監視システム
【要約】
【課題】地下ケーブルの敷設時に、マンホール内を通過するケーブルの通過状況を効率的に監視することができる、地下ケーブル敷設監視システム及び地下ケーブル敷設監視方法を提供する。
【解決手段】複数のマンホール1を経由して敷設される地下ケーブル2の敷設状況を監視する地下ケーブル敷設監視システム100であって、複数のマンホール1内の各々に設置された撮影装置10と、撮影装置10と通信接続されて撮影装置10が撮影した複数のマンホール1内の監視映像を記憶する管理装置30とを有する。撮影装置10と管理装置30とが、複数のマンホール1の各々に対応する通信装置20を介して通信接続されていることが好ましい。管理装置30と通信接続されて監視映像を表示する監視用端末40,60を有することが好ましい。
【選択図】図1
図1
図2